(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-04
(45)【発行日】2024-03-12
(54)【発明の名称】前吸引孔を画定する隆起部を備えた超音波チップ
(51)【国際特許分類】
A61B 17/32 20060101AFI20240305BHJP
【FI】
A61B17/32 510
(21)【出願番号】P 2021540375
(86)(22)【出願日】2019-09-23
(86)【国際出願番号】 US2019052451
(87)【国際公開番号】W WO2020068678
(87)【国際公開日】2020-04-02
【審査請求日】2022-09-26
(32)【優先日】2018-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】321002835
【氏名又は名称】ストライカー・ユーロピアン・オペレイションズ・ホールディングス・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】STRYKER EUROPEAN OPERATIONS HOLDINGS LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【氏名又は名称】松島 鉄男
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100180231
【氏名又は名称】水島 亜希子
(74)【代理人】
【氏名又は名称】有原 幸一
(72)【発明者】
【氏名】グラ,ギヨーム
(72)【発明者】
【氏名】ヘヴィー,カハル
(72)【発明者】
【氏名】マッカーシー,コナー
【審査官】鈴木 敏史
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第4516398(US,A)
【文献】特開平5-15545(JP,A)
【文献】特開2003-190180(JP,A)
【文献】特表平9-504981(JP,A)
【文献】特表2016-526435(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
手術用ハンドピースとともに使用することで長手方向の運動及び捻れ方向の運動の両方をもたらす超音波チップであって、前記ハンドピースは、ハウジング内に配置される超音波トランスデューサを有し、該超音波チップは、
シャフトであって、近位端と遠位端との間に延在する長手軸を有し、前記近位端は、第1の直径を有し、前記遠位端は、第2の直径を有し、前記第1の直径は、前記第2の直径よりも大きく、前記シャフトは、超音波トランスデューサから伝達される振動エネルギーを前記長手軸に沿った長手方向の振動と捻れ方向の振動とから構成される複合振動に変換する振動変換機構を有する、シャフトと、
前記シャフトの前記遠位端に連結される切断機能部と、
吸引管腔であって、前記シャフトによって画定され、該吸引管腔は、前記シャフトの前記長手軸に沿って延在するように構成され、該吸引管腔は、前記ハンドピースと流体連通して載置されるように構成される、吸引管腔と、
隆起部であって、前記シャフト上にあり、前記遠位端と前記近位端との間に位置し、該隆起部は、前記長手軸に沿って前記振動変換機構に対して遠位に位置し、該隆起部の一部は、第3の直径を有し、前記第3の直径は、前記第1の直径よりも小さく、前記第3の直径は、前記第2の直径よりも大きい、隆起部と、
開口であって、前記隆起部によって画定され、前記吸引管腔と流体連通し、前記隆起部は、該開口を囲む区域を補強する、開口と、
を備える、超音波チップ。
【請求項2】
前記シャフトの前記近位端は、前記シャフトを前記ハンドピースの前記トランスデューサに取り外し可能に連結するように構成される連結機能部を有する、請求項1に記載の超音波チップ。
【請求項3】
前記連結機能部は、前記ハンドピースの前記トランスデューサに連結するように構成される複数のねじ筋を有する、請求項2に記載の超音波チップ。
【請求項4】
前記振動変換機構は、前記シャフトの外表面上に形成される1つ以上の螺旋状溝部を有する、請求項1に記載の超音波チップ。
【請求項5】
前記開口の軸は、前記超音波チップの前記長手軸に対して横断する、請求項4に記載の超音波チップ。
【請求項6】
前記切断機能部は、前記長手軸に対して90度以下の角度の方向に面する切断用面を有する、請求項1に記載の超音波チップ。
【請求項7】
前記切断機能部は、前記長手軸から径方向の外方に配列される切断用面を有し、前記切断用面は1つ以上の歯を有する、請求項1に記載の超音波チップ。
【請求項8】
前記隆起部は、第1のテーパ領域と、中央領域と、第2のテーパ領域とを有し、前記中央領域の外表面は、前記長手軸に対して概ね平行であり、前記中央領域は、前記第1のテーパ領域と前記第2のテーパ領域との間に配置され、前記第1のテーパ領域は、前記中央領域に対して近位にあり、正の傾斜を有し、前記第2のテーパ領域は、前記中央領域に対して遠位にあり、負の傾斜を有する、請求項1~7のいずれか一つに記載の超音波チップ。
【請求項9】
前記吸引管腔は、前記シャフトの前記遠位端及び前記近位端において開口を有する、請求項1~7のいずれか一つに記載の超音波チップ。
【請求項10】
超音波トランスデューサを有する手術用ハンドピースとともに使用する超音波スリーブアセンブリであって、前記超音波スリーブアセンブリは、
切断用チップであって、
シャフトであって、近位端と遠位端との間に延在し、前記近位端は、該シャフトを前記ハンドピースに取り外し可能に連結するように構成される連結機能部を有し、前記近位端は、第1の直径を有し、前記遠位端は、第2の直径を有し、前記第1の直径は、前記第2の直径よりも大きく、該シャフトは、前記超音波トランスデューサから伝達される振動エネルギーを当該シャフトの長手軸に沿った長手方向の振動と捻れ方向の振動とから構成される複合振動に変換する振動変換機構を有する、シャフトと、
前記シャフトの前記遠位端に連結される切断機能部と、
吸引管腔であって、前記シャフトによって画定され、前記シャフトの前記長手軸に沿って延在するように構成され、該吸引管腔は、前記シャフトが前記手術用ハンドピースに連結されたときに前記手術用ハンドピースと流体連通するように構成される、吸引管腔と、
隆起部であって、前記シャフト上にあり、前記振動変換機構の遠位に位置し、該隆起部の一部は、第3の直径を有し、前記第3の直径は、前記第1の直径よりも小さく、前記第3の直径は、前記第2の直径よりも大きく、該隆起部は、前記シャフトを強化するように構成される、隆起部と、
前記隆起部によって画定され、前記吸引管腔と流体連通する開口と、
を有する、切断用チップと、
灌注スリーブであって、該灌注スリーブは、該灌注スリーブ及び前記切断用チップが前記ハンドピースに連結されたときに、前記シャフトの一部を囲むように構成され、該灌注スリーブは、近位端と遠位端とを有し且つ管腔を画定し、前記灌注スリーブの前記近位端は、前記ハンドピースに取り外し可能に連結するように構成される連結機構を有する、灌注スリーブと、
を備え、
前記灌注スリーブは、前記管腔とは別個の灌注チャネルを更に画定し、該灌注チャネルは、遠位端と近位端とを有し、前記灌注チャネルの前記近位端は、灌注源に解放可能に連結するように構成され、前記灌注チャネルは、灌注口を介して前記管腔に流体を運ぶように構成され、前記灌注口は、前記灌注チャネル及び前記管腔と流体連通する、
超音波スリーブアセンブリ。
【請求項11】
前記切断機能部は、前記長手軸に対して垂直な方向に面する切断用面を有し、前記開口は、前記切断用面に対して径方向における反対方向に位置する、前記請求項10に記載の超音波スリーブアセンブリ。
【請求項12】
前記隆起部は、第1のテーパ領域と、中央領域と、第2のテーパ領域とを有し、前記中央領域の外表面は、前記長手軸に対して概ね平行であり、前記中央領域は、前記第1のテーパ領域と前記第2のテーパ領域との間に配置され、前記第1のテーパ領域は、前記中央領域に対して近位にあり、正の傾斜を有し、前記第2のテーパ領域は、前記中央領域に対して遠位にあり、負の傾斜を有する、請求項10又は11に記載の超音波スリーブアセンブリ。
【請求項13】
前記灌注スリーブの前記遠位端は、前記シャフトの前記遠位端に対して近位に位置し、
前記灌注口は、前記長手軸に沿って前記開口に対して相対的に近位に位置し、
前記灌注スリーブの前記遠位端は、前記灌注スリーブが前記開口の全体を取り囲むように該開口
の遠位端に対して遠位にある、
請求項10から12のいずれか一つに記載の超音波
スリーブアセンブリ。
【請求項14】
手術用ハンドピースとともに使用することで長手方向の運動及び捻れ方向の運動の両方をもたらす超音波チップであって、前記ハンドピースは、超音波トランスデューサを有し、該超音波チップは、
シャフトであって、近位端と遠位端との間に延在し、前記近位端は、第1の断面積を有し、前記遠位端は、第2の断面積を有し、前記第1の断面積は、前記第2の断面積よりも大きく、該シャフトは、前記超音波トランスデューサから伝達される振動エネルギーを当該シャフトの長手軸に沿った長手方向の振動と捻れ方向の振動とから構成される複合振動に変換する振動変換機構を有する、シャフトと、
前記シャフトの前記遠位端に連結される切断機能部と、
吸引管腔であって、前記シャフトによって画定され、該吸引管腔は、前記シャフトの前記長手軸に沿って延在するように構成され、該吸引管腔は、前記ハンドピースと流体連通して載置されるように構成される、吸引管腔と、
隆起部であって、前記シャフト上にあり、前記遠位端と前記近位端との間に位置し、該隆起部は、前記長手軸に沿って前記振動変換機構に対して遠位に位置し、該隆起部の一部は、第3の断面積を有し、前記第3の断面積は、前記第1の断面積よりも小さく、前記第3の断面積は、前記第2の断面積よりも大きい、隆起部と、
開口であって、前記隆起部によって画定され、前記吸引管腔と流体連通し、前記隆起部は該開口を囲む区域を補強する、開口と、
を備える、超音波チップ。
【請求項15】
ハウジング内に配置される超音波トランスデューサを有する手術用ハンドピースとともに使用する超音波チップであって、
シャフトであって、遠位領域と、中間領域と、近位領域とを有し、前記中間領域は、第1の直径を有し、前記遠位領域は、第2の直径を有し、前記第1の直径は、前記第2の直径よりも大きく、該シャフトは、前記超音波トランスデューサから伝達される振動エネルギーを当該シャフトの長手軸に沿った長手方向の振動と捻れ方向の振動とから構成される複合振動に変換する振動変換機構を有する、シャフトと、
前記シャフトの前記遠位領域に連結される切断機能部と、
第1の管腔であって、前記シャフトによって画定され、該第1の管腔は、前記シャフトの前記長手軸に沿って延在するように構成され、該第1の管腔は、前記ハンドピースと流体連通して載置されるように構成される、第1の管腔と、
隆起部であって、前記シャフト上にあり、前記中間領域と前記遠位領域との間に位置し、前記中間領域は、該隆起部と前記振動変換機構との間に位置し、該隆起部の一部は、第3の直径を有し、前記第3の直径は、前記第1の直径よりも小さく、前記第3の直径は、前記第2の直径よりも大きい、隆起部と、
開口であって、前記隆起部によって画定され、前記第1の管腔と流体連通し、前記隆起部は、該開口を囲む区域を補強する、開口と、
を備える、超音波チップ。
【請求項16】
手術用ハンドピースとともに使用することで長手方向の運動及び捻れ方向の運動の両方をもたらす超音波チップであって、前記ハンドピースは、超音波トランスデューサを有し、該超音波チップは、
シャフトであって、近位端と遠位端との間に延在し、前記近位端は、第1の断面積を有し、前記遠位端は、第2の断面積を有し、前記第1の断面積は、前記第2の断面積よりも大きい、シャフトと、
前記シャフトの前記遠位端に連結される切断機能部と、
吸引管腔であって、前記シャフトによって画定され、該吸引管腔は、前記シャフトの長手軸に沿って延在するように構成され、該吸引管腔は、前記ハンドピースと流体連通して載置されるように構成される、吸引管腔と、
隆起部であって、前記シャフト上にあり、前記遠位端と前記近位端との間に位置し、該隆起部の一部は、第3の断面積を有し、前記第3の断面積は、前記第1の断面積よりも小さく、前記第3の断面積は、前記第2の断面積よりも大きい、隆起部と、
開口であって、前記隆起部によって画定され、前記吸引管腔と流体連通し、前記隆起部は、該開口を囲む区域を補強する、開口と、
を備える、超音波チップ。
【請求項17】
手術用ハンドピースとともに使用することで長手方向の運動及び捻れ方向の運動の両方をもたらす超音波チップであって、前記ハンドピースは、ハウジング内に配置される超音波トランスデューサを有し、該超音波チップは、
シャフトであって、近位端と遠位端との間に延在する長手軸を有し、前記近位端は、第1の直径を有し、前記遠位端は、第2の直径を有し、前記第1の直径は、前記第2の直径よりも大きい、シャフトと、
前記シャフトの前記遠位端に連結される切断機能部と、
吸引管腔であって、前記シャフトによって画定され、該吸引管腔は、前記シャフトの前記長手軸に沿って延在するように構成され、該吸引管腔は、前記ハンドピースと流体連通して載置されるように構成される、吸引管腔と、
隆起部であって、前記シャフト上にあり、前記遠位端と前記近位端との間に位置し、該隆起部の一部は、第3の直径を有し、前記第3の直径は、前記第1の直径よりも小さく、前記第3の直径は、前記第2の直径よりも大きい、隆起部と、
開口であって、前記隆起部によって画定され、前記吸引管腔と流体連通し、前記隆起部は、該開口を囲む区域を補強する、開口と、
を備える、超音波チップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本特許出願は、2018年9月24日に出願された米国仮特許出願第62/735,440号の優先権及びその全ての利益を主張するものであり、その全体が引用により本明細書の一部をなすものとする。
【背景技術】
【0002】
切開の大きさ及び外科的手術の後に必要となる回復時間の量を減少させるように医療専門家が努めていることから、このような手術において使用される医療器具の大きさは小さくなっている。このような外科的手術を行うのに利用される医療器具は、超音波チップ等の切断用アクセサリの使用を含み得る。切断、削り取り、又は成形作業を行う際、切断用アクセサリは、様々な量の力に晒されることとなり、切断用アクセサリ内において応力が生じる。切断用アクセサリは、灌注又は吸引、すなわち吸入と連動して使用することで手術部位における熱を減少させる及び/又はデブリを除去することもできる。灌注は、切断手段として利用することもできる。
【0003】
本開示の利点は、添付図面とともに考慮したときに、以下の詳細な説明を参照することで本発明がより良く理解されるにつれて、容易に理解される。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【
図1】超音波手術用ハンドピースアセンブリの上面図である。
【
図2】切断線矢印2の方向における
図1の超音波手術用ハンドピースアセンブリの断面図である。
【
図3】超音波チップ及び灌注スリーブの上面傾斜図であり、超音波チップが灌注スリーブ内に位置している。
【
図4】切断線矢印4の方向における
図3の超音波チップ及び灌注スリーブの断面図である。
【
図5】隆起部と切断機能部とを備える超音波チップの遠位部の斜視図である。
【
図6A】隆起部と切断機能部とを備える超音波チップの第1の構成の側面図である。
【
図6B】切断線矢印6Bの方向における
図6Aの6B軸に沿った超音波チップの横断面図である。
【
図6C】切断線矢印6Cの方向における
図6Aの6C軸に沿った超音波チップの横断面図である。
【
図6D】切断線矢印6Dの方向における
図6Aに示されている6D軸に沿った超音波チップの横断面図である。
【
図6E】切断線矢印6Eの方向における
図6Aに示されている6E軸に沿った超音波チップの横断面図である。
【
図6F】切断線矢印6Fの方向における
図6Aに示されている6F軸に沿った超音波チップの横断面図である。
【
図7】切断線矢印7の方向における
図6Aの超音波チップの断面図である。
【
図8】切断線矢印8の方向における隆起部と切断機能部とを備える
図5の超音波チップの遠位部の断面図である。
【
図9】
図4の楕円9内の部分における超音波チップの遠位部及び灌注スリーブの拡大断面図である。
【
図10A】隆起部と切断機能部とを備える超音波チップの第1の構成の底面図である。
【
図10B】
図10Aの超音波チップの遠位領域における切断機能部の第1の構成の斜視図である。
【
図10C】
図10Aの超音波チップの遠位領域における切断機能部の第2の構成の斜視図である。
【
図10D】
図10Aの超音波チップの遠位領域における切断機能部の第3の構成の斜視図である。
【
図10E】
図10Aの超音波チップの遠位領域における切断機能部の第4の構成の斜視図である。
【
図11】
図1の超音波手術用ハンドピースアセンブリの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
灌注及び/又は吸引システムを利用することができる手術器具の1つの例は、超音波手術用ハンドピースである。一般に、1つ以上のラインを超音波手術用ハンドピースに連結することで灌注及び/又は吸入を供給することができる。超音波手術用ハンドピースは、灌注源から手術部位及び/又は切断用アクセサリ、すなわち超音波チップへ流体を向けるために利用することができる1つ以上の管腔を有するスリーブを更に備えることができる。
【0006】
超音波チップは、手術用ハンドピースとともに使用することで長手方向の運動及び捻れ方向の運動の両方をもたらすものであり、ハンドピースは、ハウジング内に配置される超音波トランスデューサを有する。超音波チップは、シャフトと、切断機能部と、隆起部とを備える。シャフトは、シャフトの近位端と遠位端との間に延在する長手軸を有する。近位端は、第1の直径を有する。遠位端は、第2の直径を有する。第1の直径は、第2の直径よりも大きい。シャフトは、超音波トランスデューサから伝達される振動エネルギーを長手軸に沿った長手方向の振動と捻れ方向の振動とから構成される複合振動に変換する振動変換機構を有する。切断機能部は、シャフトの遠位端に連結される。吸引管腔は、シャフトによって画定される。吸引管腔は、シャフトの長手軸に沿って延在するように構成される。吸引管腔は、ハンドピースと流体連通して載置されるように構成される。隆起部は、シャフト上にあり、遠位端と近位端との間に位置する。隆起部は、長手軸に沿って振動変換機構に対して遠位に位置する。隆起部の一部は、第3の直径を有する。第3の直径は、第1の直径よりも小さく、第3の直径は、第2の直径よりも大きい。開口は、隆起部によって画定される。開口は、吸引管腔と流体連通する。隆起部は、開口を囲む区域を補強する。
【0007】
シャフトの近位端は、シャフトをハンドピースのトランスデューサに取り外し可能に連結するように構成される連結機能部を有することができる。
【0008】
連結機能部は、ハンドピースのトランスデューサに連結するように構成される複数のねじ山を有することができる。
【0009】
振動変換機構は、シャフトの外表面上に形成される1つ以上の螺旋状溝部を有することができる。
【0010】
開口の軸は、超音波チップの長手軸に対して横断することができる。
【0011】
切断機能部は、長手軸に対して90度以下の角度の方向に面する切断用面を有することができる。
【0012】
切断機能部は、長手軸から径方向の外方に配列される切断用面を有することができる。切断用面は、1つ以上の歯を有することができる。
【0013】
隆起部は、第1のテーパ領域と、中央領域と、第2のテーパ領域とを有することができる。中央領域の外表面は、長手軸に対して概ね平行とすることができる。中央領域は、第1のテーパ領域と第2のテーパ領域との間に配置することができる。第1のテーパ領域は、中央領域に対して近位にあることができ、正の傾斜を有することができる。第2のテーパ領域は、中央領域に対して遠位にあることができ、負の傾斜を有することができる。
【0014】
吸引管腔は、シャフトの遠位端及び近位端において開口部を有することができる。
【0015】
超音波スリーブアセンブリは、超音波トランスデューサを有する手術用ハンドピースとともに使用するものである。超音波スリーブアセンブリは、切断用チップと灌注スリーブとを備える。切断用チップは、シャフトと、振動変換機構と、切断機能部と、隆起部とを備える。シャフトは、近位端と遠位端との間に延在する。近位端は、シャフトをハンドピースに取り外し可能に連結するように構成される連結機能部を有する。近位端は、第1の直径を有し、遠位端は、第2の直径を有する。第1の直径は、第2の直径よりも大きい。振動変換機構は、超音波トランスデューサから伝達される振動エネルギーを長手軸に沿った長手方向の振動と捻れ方向の振動とから構成される複合振動に変換するものである。切断機能部は、シャフトの遠位端に連結される。吸引管腔は、シャフトによって画定され、シャフトの長手軸に沿って延在するように構成される。吸引管腔は、シャフトが手術用ハンドピースに連結されたときに手術用ハンドピースと流体連通するように構成される。隆起部は、シャフト上にあり、振動変換機構の遠位に位置する。隆起部の一部は、第3の直径を有する。第3の直径は、第1の直径よりも小さい。第3の直径は、第2の直径よりも大きい。隆起部は、シャフトを強化するように構成される。開口は、隆起部によって画定され、吸引管腔と流体連通する。灌注スリーブは、灌注スリーブ及び切断用チップがハンドピースに連結されたときにシャフトの一部を囲むように構成される。灌注スリーブは、近位端と遠位端とを有する管腔を画定する。管腔の近位端は、ハンドピースに取り外し可能に連結するように構成される連結機構を有する。灌注スリーブは、管腔とは別個の灌注チャネルを更に画定する。灌注チャネルは、遠位端と近位端とを有する。灌注チャネルの近位端は、灌注源に解放可能に連結するように構成される。灌注チャネルは、灌注口を介して流体を管腔に運ぶように構成される。灌注口は、灌注チャネル及び管腔と流体連通する。
【0016】
連結機能部は、ハンドピースのトランスデューサに連結するように構成される複数のねじ山を有することができる。
【0017】
振動変換機構は、シャフトの外表面上に形成される1つ以上の螺旋状溝部を有することができる。
【0018】
切断機能部は、長手軸に対して垂直な方向に面する切断用面を有することができる。
【0019】
開口は、切断用面に対して径方向における反対方向に位置することができる。
【0020】
切断機能部は、長手軸から径方向の外方に配列される切断用面を有することができる。切断用面は、1つ以上の歯を有することができる。
【0021】
隆起部は、第1のテーパ領域と、中央領域と、第2のテーパ領域とを有することができる。中央領域の外表面は、長手軸に対して概ね平行とすることができる。中央領域は、第1のテーパ領域と第2のテーパ領域との間に配置することができる。第1のテーパ領域は、中央領域に対して近位にあることができ、正の傾斜を有することができる。第2のテーパ領域は、中央領域に対して遠位にあることができ、負の傾斜を有することができる。
【0022】
吸引管腔は、シャフトの遠位端及び近位端において開口部を有することができる。
【0023】
長手方向の運動及び捻れ方向の運動の両方をもたらす超音波切断システムは、ハンドピースと、切断用チップと、灌注スリーブとを備える。ハンドピースは、ハウジング内に配置されるトランスデューサを有する。切断用チップは、ハンドピースに連結され、シャフトと切断機能部とを備える。シャフトは、遠位端と近位端とを有する。近位端は、シャフトをハンドピースに取り外し可能に連結するように構成される連結機能部を有する。切断機能部は、シャフトの遠位端に連結される。吸引管腔は、シャフトによって画定される。吸引管腔は、シャフトの長手軸に沿って延在するように構成される。吸引管腔は、ハンドピースと流体連通する。開口は、吸引管腔と流体連通し、シャフトの近位端と遠位端との間に位置する。開口は、近位端と遠位端とを有する。灌注スリーブは、ハンドピースに連結される。灌注スリーブは、シャフトの一部を囲み、近位端と遠位端とを有する。灌注スリーブは、管腔を画定する。灌注スリーブの近位端は、灌注スリーブをハンドピースに取り外し可能に連結するように構成される連結機構を有する。灌注スリーブは、遠位端と近位端とを有する灌注チャネルを更に画定する。灌注チャネルの近位端は、灌注源から灌注流体を受け取るように構成される。灌注口は、灌注チャネルの遠位端と流体連通する。灌注口は、灌注流体をシャフトに向けて送出するように構成される。灌注スリーブの遠位端は、シャフトの遠位端に対して近位に位置する。灌注口は、長手軸に沿って開口に対して相対的に近位に位置する。灌注スリーブの遠位端は、灌注スリーブが開口の全体を取り囲むように開口の遠位端に対して遠位にある。
【0024】
灌注スリーブの遠位端は、長手軸に沿った遠位方向において開口の遠位端を越えて延在することができる。
【0025】
連結機能部は、ハンドピースのトランスデューサに連結するように構成される複数のトランスデューサねじ山を有することができる。
【0026】
シャフトは、トランスデューサから伝達される振動エネルギーを長手軸に沿った長手方向の振動と捻れ方向の振動とから構成される複合振動に変換する振動変換機構を有することができる。
【0027】
振動変換機構は、シャフトの外表面上に形成される1つ以上の螺旋状溝部を有することができる。
【0028】
切断機能部は、長手軸に対して垂直な方向に面する切断用面を有することができる。
【0029】
開口は、切断用面に対して径方向における反対方向に位置することができる。
【0030】
切断機能部は、長手軸から径方向の外方に配列される切断用面を有することができ、切断用面は、1つ以上の歯を有する。
【0031】
吸引管腔は、シャフトの遠位端及び近位端において開口を有することができる。
【0032】
超音波チップは、手術用ハンドピースとともに使用することで長手方向の運動及び捻れ方向の運動の両方をもたらすものであり、手術用ハンドピースは、超音波トランスデューサを有する。超音波チップは、シャフトと、切断機能部と、隆起部とを備える。シャフトは、近位端と遠位端との間に延在する。近位端は、第1の断面積と第2の断面積とを有する。第1の断面積は、第2の断面積よりも大きい。シャフトは、超音波トランスデューサから伝達される振動エネルギーを長手軸に沿った長手方向の振動と捻れ方向の振動とから構成される複合振動に変換する振動変換機構を有する。切断機能部は、シャフトの遠位端に連結される。吸引管腔は、シャフトによって画定される。吸引管腔は、シャフトの長手軸に沿って延在するように構成される。吸引管腔は、ハンドピースと流体連通して載置されるように構成される。隆起部は、シャフト上にあり、遠位端と近位端との間に位置する。隆起部は、長手軸に沿って振動変換機構に対して遠位に位置する。隆起部の一部は、第3の断面積を有する。第3の断面積は、第1の断面積よりも小さい。第3の断面積は、第2の断面積よりも大きい。開口は、隆起部によって画定され、吸引管腔と流体連通する。隆起部は、開口を囲む区域を補強する。
【0033】
超音波チップは、ハウジング内に配置される超音波トランスデューサを有する手術用ハンドピースとともに使用するものである。超音波チップは、シャフトと、切断機能部と、隆起部とを備える。シャフトは、遠位領域と、中間領域と、近位領域とを有する。中間領域は、第1の直径を有する。遠位領域は、第2の直径を有する。第1の直径は、第2の直径よりも大きい。シャフトは、超音波トランスデューサから伝達される振動エネルギーを長手軸に沿った長手方向の振動と捻れ方向の振動とから構成される複合振動に変換する振動変換機構を有する。切断機能部は、シャフトの遠位領域に連結される。第1の管腔は、シャフトによって画定される。第1の管腔は、シャフトの長手軸に沿って延在するように構成される。第1の管腔は、ハンドピースと流体連通して載置されるように構成される。隆起部は、シャフト上にあり、中間領域と遠位領域との間に位置する。中間領域は、隆起部と振動変換機構との間に位置する。隆起部の一部は、第3の直径を有する。第3の直径は、第1の直径よりも小さく、第3の直径は、第2の直径よりも大きい。開口は、隆起部によって画定される。開口は、第1の管腔と流体連通する。隆起部は、開口を囲む区域を補強する。
【0034】
超音波チップは、手術用ハンドピースとともに使用することで長手方向の運動及び捻れ方向の運動の両方をもたらすものであり、ハンドピースは、超音波トランスデューサを有する。超音波チップは、シャフトと、切断機能部と、隆起部とを備える。シャフトは、近位端と遠位端との間に延在する。近位端は、第1の断面積を有する。遠位端は、第2の断面積を有する。第1の断面積は、第2の断面積よりも大きい。切断機能部は、シャフトの遠位端に連結される。吸引管腔は、シャフトによって画定される。吸引管腔は、シャフトの長手軸に沿って延在するように構成される。吸引管腔は、ハンドピースと流体連通して載置されるように構成される。隆起部は、シャフト上にあり、遠位端と近位端との間に位置する。隆起部の一部は、第3の断面積を有する。第3の断面積は、第1の断面積よりも小さい。第3の断面積は、第2の断面積よりも大きい。開口は、隆起部によって画定され、吸引管腔と流体連通する。隆起部は、開口を囲む区域を補強する。
【0035】
超音波チップは、手術用ハンドピースとともに使用することで長手方向の運動及び捻れ方向の運動の両方をもたらすものであり、ハンドピースは、ハウジング内に配置される超音波トランスデューサを有する。超音波チップは、シャフトと、切断機能部と、隆起部とを備える。シャフトは、近位端と遠位端との間に延在する長手軸を有する。近位端は、第1の直径を有し、遠位端は、第2の直径を有する。第1の直径は、第2の直径よりも大きい。切断機能部は、シャフトの遠位端に連結される。吸引管腔は、シャフトによって画定される。吸引管腔は、シャフトの長手軸に沿って延在するように構成される。吸引管腔は、ハンドピースと流体連通して載置されるように構成される。隆起部は、シャフト上にあり、遠位端と近位端との間に位置する。隆起部の一部は、第3の直径を有する。第3の直径は、第1の直径よりも小さい。第3の直径は、第2の直径よりも大きい。開口は、隆起部によって画定され、吸引管腔と流体連通する。隆起部は、開口を囲む区域を補強する。
【0036】
図1及び
図2は、生体物質を患者から除去するのに医療専門家によって利用され得る、超音波手術用ハンドピースアセンブリ10の一例示の構成を示しており、超音波手術用ハンドピースアセンブリ10は、超音波切断システム12の一部を含むことができる。超音波手術用ハンドピースアセンブリ10は、近位ハウジング部22と遠位ハウジング部20とを有する超音波ハンドピース11を有することができる。灌注スリーブ24は、超音波手術用ハンドピース11の遠位ハウジング部20に取り外し可能に連結することができる。灌注スリーブ24及び本明細書においては代替的に切断用チップ26として識別される超音波チップ26は、灌注スリーブ24及び超音波チップ26の両方が超音波ハンドピース11に連結されたときに超音波チップ26の長さに沿った超音波チップ26の少なくとも一部を灌注スリーブ24が囲むように構成することができる。灌注スリーブ24及び超音波チップ26は、少なくとも部分的に超音波スリーブアセンブリ14を含むことができる。
【0037】
図2は、
図1の超音波手術用ハンドピースアセンブリ10の断面図を示している。
図2に示されているように、超音波ハンドピース11は、超音波ハンドピース11の遠位ハウジング部20及び近位ハウジング部22によって画定される空所内に配置される、超音波トランスデューサ32であり得るトランスデューサ32を有することができる。トランスデューサ32は、機械的エネルギーを生成するように構成される圧電素子又は磁歪素子を有することができる。
【0038】
超音波ハンドピース11は、超音波ハンドピース11の遠位ハウジング部20及び近位ハウジング部22によって画定される空所内に少なくとも部分的に配置することができる角状部(horn)30も有することができる。角状部30は、遠位端と近位端とを有することができる。角状部30の近位端は、トランスデューサ32の遠位端に連結することができる。トランスデューサ32は、圧電素子又は磁歪素子によって生成される機械的エネルギーを角状部30に提供するように構成することができる。近位ハウジング部22の近位端16におけるニップル28への流体接続のために角状部30の遠位端から近位端へ延在する角状部管腔31を画定するようにも構成することができる。ニップル28は、ハンドピース11を真空源(図示せず)に接続するために使用することができる。角状部管腔31は、吸引を超音波チップ26に提供するために超音波ハンドピース11を介して延在する通路の一部を画定することができる。
【0039】
超音波ハンドピース11は、超音波ハンドピース11の遠位ハウジング部20及び近位ハウジング部22によって画定される空所内に配置される灌注ライン33を更に有することができる。灌注ライン33は、超音波ハンドピース11の近位端16から遠位端へ延在するように構成することができる。灌注ライン33は、超音波ハンドピース11に連結される灌注システムから超音波ハンドピース11を介して灌注スリーブ24へ水を送る役割を有することができる。なお、灌注ライン33は灌注源(図示せず)から超音波スリーブへ直接的に経路設定できること(すなわち、必ずしもハンドピースを介して灌注ラインを経路設定する必要はない)を理解すべきである。
【0040】
超音波チップ26は、本明細書において代替的に遠位端50として参照される遠位領域50と、中間領域37と、本明細書において代替的に近位端36として参照される近位領域36とを有するシャフト48を備えることができる。シャフトも、遠位端及び近位端を有し、近位領域は近位端に隣接し、遠位領域は遠位端に隣接する。超音波チップは、シャフト48の近位領域36に位置する連結機能部34も有することができ、超音波チップ26の近位領域36を角状部30の遠位端に連結して角状部30を超音波チップ26と機械連通させるように構成される。連結機能部34は、角状部30の遠位端上の対応するねじ連結部35と係合するように構成されるねじ連結部とすることができる。超音波チップ26は、角状部30にねじ係合され、所定のトルク仕様に締め付けられることで、超音波チップ26を超音波ハンドピース11に取り外し可能に固定することができる。図には示されていないが、クイックコネクション(quick connection)、クォータターンフィッティング(quarter turn fitting)、又は同様の連結機構として連結機能部34を構成し得ることが考えられる。超音波チップ26をハンドピース11に永続的に固定するように連結機能部34を構成し得ることが更に考えられる。例えば、超音波チップ26は、溶接、エポキシ、又は同様の連結方法によって超音波ハンドピース11に連結することができる。代替的に、超音波チップ26及び角状部30を一体の構成部品として構成し得ることも考えられる。
【0041】
超音波チップ26のシャフト48は、超音波チップ26の近位領域36から中間領域37を介して遠位領域50へ延在する吸引管腔52を画定するように構成することもできる。吸引管腔52は、長手軸に対して概ね平行に方向付けることができる、及び長手軸に沿って延在することができる。超音波チップ26の吸引管腔52は、超音波チップ26が角状部30に連結されたときに角状部30の管腔31とともに流体通路を形成するように構成することができる。特に明記されない限り、吸引管腔52は、ハンドピース11、特に角状部30の管腔31と流体連通して載置されるように構成することができる。吸引管腔52は、シャフト48の遠位領域50において開口を有する。超音波チップ26の吸引管腔52は、手術部位から離れる方向への吸引を提供するように構成することができる。例えば、吸引管腔52は、流体及び生体組織を超音波チップ26の遠位端50から離れる方向へ吸い込むために使用することができる。吸引管腔52は、切断機能部62によって画定される管腔と流体連通することができる。
【0042】
図3は、遠位端94と近位端とを有する灌注スリーブ24の一例示の構成の上面図を示している。灌注スリーブ24は、灌注スリーブ24の近位端上に灌注スリーブ連結機構38を有することができる。灌注スリーブ連結機構38は、灌注スリーブ24の近位端から近位方向に延在する1つ以上のフィンガー部42を有することができる。1つ以上のフィンガー部42のそれぞれは、灌注スリーブ24の長手軸46に対して相対的に径方向の外方向に延在するタブ44を有することができる。フィンガー部42は、ハンドピース11上の雌嵌合部(図示せず)に連結してスナップフィット40又は締まり嵌めを生じさせるように構成される雄嵌合部として作用する。他のタイプの灌注スリーブ連結機構38を使用して灌注スリーブ24を超音波ハンドピース11に連結し得ることが考えられる。例えば、灌注スリーブ連結機構38は、ねじ接続部として構成することができる。
【0043】
図4を参照すると、灌注スリーブ24によって画定される管腔70内に少なくとも部分的に配置される超音波チップ26の断面図が示されている。灌注スリーブ24は、近位端と遠位端とを有する灌注チャネル88を有することができる。灌注チャネル88の近位端は、超音波ハンドピース11又は灌注源の灌注ライン33の遠位端に連結するように構成することができる。灌注チャネル88は、灌注スリーブ24によって画定された管腔70に隣接して延びるとともに管腔70の表面上に配置される流通口92で終端し、灌注流体を超音波ハンドピース11から超音波チップ26及び手術部位に提供するように構成することができる。流通口92の位置は異ならせることができる。例えば、流通口92は、スリーブ24の近位端に隣接することができる。代替的に、流通口の位置は、スリーブの遠位端に隣接することができる。
【0044】
図5を参照すると、超音波チップ26の遠位領域の一部が示されている。超音波チップ26のシャフト48は、シャフト48上における超音波チップ26の近位領域36と遠位領域50との間の中間点に隆起部68を有することができる。隆起部68は、超音波チップ26のシャフト48を中心として径方向に延在するように構成することができる。隆起部68は、第1のテーパ領域76と、中央領域80と、第2のテーパ領域78とを有することができる。中央領域80は、第1のテーパ領域76と第2のテーパ領域78との間に位置する。一例示の構成では、シャフトの管腔の長手軸に対して相対的に、第1のテーパ領域76は隆起部68の近位側に正の傾斜を有することができ、第2のテーパ領域78は前記隆起部68の遠位側に負の傾斜を有することができる。中央領域80は、傾斜を有さず、長手軸46に対して平行とすることができる。別の構成では、隆起部68は、第1のテーパ領域76から中央領域80及びそこから第2のテーパ領域78への移行部に概ね丸形状又は半球形状を有することができる。第1のテーパ領域76及び第2のテーパ領域78の直径及び断面積は、中央領域80の直径及び断面積よりも小さい。別の構成では、隆起部68は、図示されていないが、他の多面形状を有することができる。隆起部68は、第1のテーパ領域76から中央領域80及び中央領域80から第2のテーパ領域78に漸進的な移行部を有するように構成することができる。隆起部68の漸進的な移行部により、超音波振動時に不具合が起こる可能性の高いシャフト48における追加の応力点の生じやすさを低減することができる。加えて、漸進的な移行部により、流体が灌注口92から灌注スリーブ24と超音波チップ26との間から超音波チップ26に対して相対的に遠位方向50に移動する際の超音波チップ26を中心とした流体の流れパターンの乱れが防止される。漸進的な移行部により、超音波チップ26の破損を生じさせる可能性のある点で高い応力を受けることなく高出力で超音波チップ26を使用することも可能となる。漸進的な移行部は、最適な周波数で超音波チップ26を動作させるようにシャフト48の性質も改善することができる。
【0045】
シャフト48は、直径D4に関連する長さから直径D5に関連する長さへの急な段差及び/又は直径D3に関連する長さからD5に関連する長さへの急な段差がないものとすることができる。急な段差がないということは、移行領域のそれぞれの傾斜の角度がシャフト48の外表面に対して相対的に10度又は5度未満であるということを意味する。
【0046】
超音波チップ26は、シャフト48内に開口66を更に有することができる。隆起部68は、通常は隆起部68の中央領域80に開口66を画定する。開口66は、吸引管腔52と流体連通する。開口66の軸は、超音波チップ26の長手軸46に対して横断することができる。1つの構成では、開口66の軸は、長手軸46に対して垂直とすることができる。開口66の直径は、吸引管腔52の直径よりも小さい。
【0047】
隆起部68は、開口66の近くのシャフト48の区域を補強する。このようにしなかった場合には開口66がシャフト48の強度を弱めてしまうことから、隆起部68におけるシャフト48の第3の直径D3を大きくすることで、使用時において超音波チップ26が捻れ方向及び長手方向の超音波動作を受ける際の超音波チップ26の構造的な一体性を向上させる一助となり得る。
【0048】
切断機能部62及び吸引管腔開口部72は、シャフト48の遠位端に位置することができる。
図8及び
図9は、シャフト48の遠位領域50及び/又は切断機能部62で開口している吸引管腔開口部72を示している。吸引管腔開口部72は、余分な流体及び/又は生体デブリを手術部位から除去するために使用することができる。
【0049】
或る特定の構成では、隆起部68の寸法は、開口66の寸法に基づいて構成される。例えば、中央領域80の軸方向の長さは、開口66の直径よりも200%~1000%大きいものとすることができる。他の構成では、中央領域80の軸方向の長さは、開口66の直径よりも500%~800%大きいものとすることができる。同様に、第1のテーパ領域及び第2のテーパ領域(76、78)の長さも、開口66の直径に関連させることができる。例えば、第1のテーパ領域76、中央領域80、及び第2のテーパ領域78の軸方向の長さを合わせたものは、開口66の直径よりも15000%~24000%大きいものとすることができる。これらの寸法により、応力の低減及び切断性能の正確なバランスがチップにおいて確実に実現される。
【0050】
例えば、隆起部68の長さ(すなわち、
図6Aにおける6Eの線と6Fの線との間の距離)は、略2mmとすることができ、他の構成では1mm~6mmとすることができる。隆起部68の軸方向の長さ(D4での長さからD5での長さ)及び径方向の厚さは、開口を設けるために除去される材料の量に関連させることができる。例えば、開口66の直径をより大きくする場合、隆起部68の直径及び厚さはより大きくなる。逆に、開口66の直径をより小さくする場合、隆起部68の厚さ及び長さはより小さくなる。
【0051】
図7及び
図8は、シャフト48と、シャフト48上にあって遠位領域50と近位領域36との間に位置する隆起部68とを備える超音波チップ26を示している。隆起部68は、
図6Aに示されているように、長手軸46に沿って振動変換機構60に対して遠位に位置する。シャフト48は、隆起部68において、中間領域37での第1の直径D1よりも小さく遠位領域50での第2の直径D2よりも大きい第3の直径D3を有することができる。
【0052】
図6A~
図7に示されているように、超音波チップ26の直径は、シャフト48の近位領域36から中間領域37を介した遠位領域50までの範囲において異なる。シャフト48は、第1の直径D1を有し、第2の直径D2を有し、第1の直径D1は、第2の直径D2よりも大きい。直径D1は、シャフト48の中間領域37内に位置し、直径D2は、シャフトの遠位領域50内に位置する。
【0053】
シャフト48は、長手軸46に沿って近位領域36から中間領域37を介した遠位領域50までの範囲において概ねテーパ状とすることができる。例えば、シャフト48の直径は、シャフト48に沿って近位領域36から遠位領域50へ遠位方向に進むにつれ小さくすることができる。テーパ状のシャフト48によって提供される幾つかの利点の1つとして、チップのサイズが近位に向かうにつれ低減することから超音波チップ26を使用中の使用者の視線が改善され得るという点が挙げられる。
【0054】
シャフト48は、用途に応じて、チタン合金、ステンレス鋼等の金属材料、又は複合材料等の非金属材料から作製することができる。1つの例では、シャフト46及び超音波チップ26は、一体(integral)、単体(unitary)、及び一部片(one-piece)のものとすることができる。別の例では、超音波チップ26の遠位端50は、ねじ山(図示せず)等の適した機構によってシャフト48に取り付けることができる。金属は高出力超音波構成部品に関する技術において既知であることを理解すべきである。また、シャフト48及び超音波チップ26の遠位領域50の直径は、患者の小さな開口での作業のために、例えば1センチメートル(1cm)未満の比較的小さい直径であることを理解すべきである。さらに、シャフト48及び超音波チップ26は、用途に応じて大きさをより大きくなるように又はより小さくなるように調整できることを理解すべきである。
【0055】
図6Aを参照すると、超音波チップ26は、超音波トランスデューサ32から伝達される振動エネルギーを長手軸46に沿った長手方向の振動と捻れ方向の振動とから構成される複合振動に変換する振動変換機構60を更に備える。中間領域37は、振動変換機構60に対して遠位にある。振動変換機構60は、シャフト48の表面上に1つ以上の螺旋状溝部71を有することができる。これらの1つ以上の溝部71は、図示されているように、シャフト48の周面を取り巻くように設けることができる。振動変換機構60は、トランスデューサ32から角状部30を介して伝達される長手方向の振動を超音波チップ26の長手軸46方向における長手方向の振動と超音波チップ26の長手軸46が支点として作用する捻れ方向の振動とから構成される複合振動に変換するように機能する。振動変換機構は代替的に長手方向の運動を複合運動に変換するのに適した他の形態を取ることができることを理解すべきである。これらの代替的な形態では、シャフト48の断面形状を非対称とすることができる。振動変換機構についての詳細は、米国特許第6,497,715号、同第6,955,680号、及び同6,984,220号において見出すことができ、これらの特許はその全体が引用により本明細書の一部をなすものとする。
【0056】
図6Aは、シャフト48とシャフト48の遠位領域50に連結される切断機能部62とを備える超音波チップ26も示している。切断機能部62は、患者の生体組織を切離又は切断する超音波チップ26の一部とすることができる。或る範囲内において異なる切断機能部62をシャフト48の遠位端50に連結することができる。1つの例では、切断機能部62は、長手軸46に対して相対的に90度以下の角度の方向に面する切断用面64を有することができる。切断用面及び切断用表面の用語は、本明細書においては置換可能に使用され得る。切断用面64は、切断用面64の中心が開口66に対して相対的にシャフト48の反対側となるような態様で位置することができる。切断機能部は、捻れ方向の運動により切断するように構成することができる。
【0057】
図6B~
図6Fに示されているように、シャフト48は、位置D1における中間領域37の断面積が位置D2における断面積よりも大きいものとすることができる。
図6Bは、位置D1におけるシャフト48の断面積を示している。
図6Cは、D2におけるシャフト48の断面積を示している。さらにまた、
図6Dは、位置D3におけるシャフト48の断面積を示しており、開口66も示している。
図6Eに示されているように、D4の断面積は、D3の断面積よりも小さい。
図6Fは、位置D5における断面積を示している。
図6B~
図6Fを合わせて見ると、隆起部68の近くの位置D3における断面積が、それぞれ隆起部の近位方向及び遠位方向に隣接する位置D4及び位置D5における断面積よりも大きいことを示している。シャフト48が様々な断面積を有することで、長さに沿った様々な位置においてシャフト48の強度が異なることになる。一般に、所与の位置におけるシャフト48の断面積が大きいと、肉厚が大きくなり、強度が高くなる。
【0058】
上記のように、開口66は、シャフト48の強度を弱める。隆起部68における断面積が大きいと、開口66によって生じる弱さが克服され、超音波チップ26を高出力設定で使用することができ、高まった応力による破損が生じない。隆起部68の断面積は、不具合を回避するために必要な応力特性を維持しながら、不足を回避するのに必要な最低限の面積を有するとともに視線を維持するように構成することができる。
【0059】
図8に示されているように、超音波チップ26のシャフト48は、異なる厚さを有する。吸引管腔52が遠位領域50から中間領域37を介して近位領域36までの範囲で一定の直径を有すると仮定すると、開口66におけるシャフト48の厚さは、開口に直接隣接した区域におけるシャフト48の厚さよりも大きい。別の言い方をすると、中央領域80におけるシャフト48の厚さは、第1のテーパ領域76及び第2のテーパ領域78におけるシャフト48の厚さよりも大きい。開口66が位置する中央領域80においてシャフト48の厚さが大きくなることにより、シャフト48の強度を改善することができる。
【0060】
図4に示されているように、灌注スリーブ24は、灌注スリーブ24及び超音波チップ26がハンドピース11に連結されたときにシャフト48の一部を囲むように構成される。灌注スリーブ24は、管腔70を有する。灌注スリーブ24は、近位端36と遠位端94とを有する。スリーブ24の近位端36は、ハンドピース11に取り外し可能に連結するように構成される連結機構38を有する。灌注スリーブは、灌注チャネル88を画定し、管腔70とは別個である。灌注チャネル88は、遠位端と近位端とを有し、灌注チャネル88の近位端は、灌注源(図示せず)に解放可能に連結するように構成される。灌注チャネル88は、灌注口92を介して管腔70に流体を運ぶことができる。灌注口92は、灌注チャネル88及び管腔70と流体連通することができる。
【0061】
或る特定の構成では、流体は、灌注源(図示せず)から灌注チャネル88を介して灌注口92に流れることができる。灌注口92は、流体を灌注スリーブ24の管腔70に供給する。灌注スリーブ24の管腔70内の流体は、切断用チップ26に向けて遠位方向に流れることができる。流体が切断用チップ26に向けて流れている間に、流体の一部が隆起部68上の開口66を介して吸引管腔52に入ることができる。開口66を流れる流体は、切断用チップ26の温度を低下させる一助となり、手術用ハンドピースアセンブリ10の性能を向上させることができる。さらにまた、代替的にスリーブ24の温度を低下させる一助となることができ、これにより、スリーブの外表面と接触する組織が不意に加熱されることを防止する。
【0062】
灌注スリーブ24は、例えば熱可塑性樹脂等の任意のポリマから作製することができる。灌注スリーブ24の遠位端94は、灌注スリーブ24の長さを変更するために切断又は切り取られ得る脆い部分の一部を有することができる。
【0063】
灌注チャネル88は、ハンドピース11及び/又は灌注源(図示せず)と流体連通することができる。シャフト48上の開口66と、灌注チャネル88と、開口66に対するスリーブ24の遠位端94の位置と、灌注口92と、吸引管腔52との組み合わせにより、超音波チップ26の冷却性能が改善する。加えて、上で参照した組み合わせにより、超音波チップ26の冷却が改善し、超音波チップ26の長手方向の運動及び捻れ方向の運動によって生じる余分な熱による灌注スリーブ24の変形又は溶解が防止される。
【0064】
図9に示されているように、灌注スリーブ24は、超音波チップの長さに沿った超音波チップ26の一部を囲む。灌注スリーブ24の遠位端94は、長手軸46に沿って超音波チップ26の遠位領域50へ向けて延在する。灌注スリーブ24の遠位端94は、開口66を越えて延在することができる。開口66は、近位端と遠位端とを有することができ、灌注スリーブ24の遠位端94は、開口66の近位側及び遠位側の両方を越えて延在する。換言すると、開口66は、超音波チップ及びスリーブ24がハンドピース11に連結されたときにスリーブ24によって完全に覆われる。管腔70内の流体は、超音波チップ26及びスリーブ24を冷却する一助となる。
【0065】
超音波チップ26により、器具チップの捻れ方向の運動又は長手方向の運動で骨を効率的に除去することが可能となる。切断機能部62は、このような除去を補助する切断用面64Aを有することができる。しかしながら、超音波チップ26は長手方向、捻れ方向、又は長手方向の運動及び捻れ方向の運動の組み合わせで振動するトランスデューサとともに使用し得ることを理解すべきである。さらにまた、幾つかの例では、超音波チップには振動変換機構がない。
【0066】
捻れ切離チップは、切断機能部が骨、骨隆起、石灰化腫瘍、軟骨、軟骨性物質、椎間板、及び他の病変に接触したときにこれらを除去するのに有効である。装置は、とりわけ外表皮質がひとたび除去された後の内外骨切離である神経外科手術、脊髄手術、整形外科、形成外科/再建手術、耳、鼻、及び喉の手術、並びに上記の組織と直面する他の手術時において特に有用である。
【0067】
超音波チップ26の切断機能部62が複数の構成を有し得ることが理解される。
図10A~
図10Eを参照すると、超音波チップ26の切断機能部62の様々な例示の構成が示されている。切断機能部62は、切断用面64を有することができ、切断用面64は、1つ以上の歯65を有する。切断用面64の歯65を配列することができ、歯65は、超音波チップ26の長手軸46から径方向の外方に向けられる。或る特定の構成について、切断機能部の面は、器具の遠位端50の中心軸に対して実質的に平行でありオフセットしているが、切断用面64の位置は、実質的に無制限に異ならせることができる。
【0068】
図10Bを参照すると、切断機能部62の第1の構成が示されている。切断機能部62の第1の構成は、シャフト48の遠位端50を中心として径方向に配置される複数の歯65を有する切断用面64Bを含む。例えば、歯65は、超音波チップ26の長手軸46から径方向の外方に向くように構成することができ、歯65は、シャフト48の遠位端の全周を囲むように配列される。歯のうちの少なくとも幾つかは遠位方向に延在する。
【0069】
代替的に、
図10Cは、切断機能部62の第2の構成を示している。切断機能部62の第2の構成は、超音波チップ26の長手軸から外方に向けられる複数の歯65を有する円弧状又は半円筒状の形状を有する切断用面64Cを含む。
【0070】
図10Dは、切断機能部62の第3の構成を示している。切断機能部62の第3の構成は、超音波チップ26の長手軸から外方に向けられる複数の歯65を有する円弧状又は半円筒状の形状を有する切断用面64Dを含む。切断用面64Dは、超音波チップ26のシャフト48から概ねオフセットしており、超音波チップ26の長手軸46に対して垂直に方向付けされる。
【0071】
図10Eは、切断機能部62の第4の構成を示している。切断機能部62の第4の構成は、超音波チップ26の長手軸から外方に向けられる複数の歯65を有する円弧状又は半円筒状の形状を有する切断用面64Eを含む。切断用面64Eは、超音波チップ26のシャフトから概ねオフセットしており、超音波チップ26の長手軸46に対して垂直に方向付けされる。米国特許第8,512,340号及び米国公開第2018/0103976号に記載されているものを含む他の適した切断機能部も考えられ、これらはその全体が引用により本明細書の一部をなすものとする。
【0072】
上記の説明では、幾つかの例について論じた。しかしながら、本明細書において論じられた例は、網羅的なものとすることを意図していない、又は本発明を特定の形態に限定することを意図していない。例えば、例示の構成で手術器具を超音波ハンドピースとして説明しているが、超音波ハンドピースについて説明した特徴及び概念を他の医療器具又は手術器具に適用し得ることも更に考えられる。これは、超音波チップに対しても同様に適用され、刃、ドリルビット、回転バー、開放窓シェーバ(open-window shaver)等を更に含むことができる。使用された用語は、説明の言葉とすることを意図しており、限定することは意図していない。上記の教示に鑑みて多くの改変及び変形が可能であり、本発明は、具体的に説明されたものとは別様に実施することができる。
(付記)
(付記1)
手術用ハンドピースとともに使用することで長手方向の運動及び捻れ方向の運動の両方をもたらす超音波チップであって、前記ハンドピースは、ハウジング内に配置される超音波トランスデューサを有し、該超音波チップは、
シャフトであって、近位端と遠位端との間に延在する長手軸を有し、前記近位端は、第1の直径を有し、前記遠位端は、第2の直径を有し、前記第1の直径は、前記第2の直径よりも大きく、前記シャフトは、超音波トランスデューサから伝達される振動エネルギーを前記長手軸に沿った長手方向の振動と捻れ方向の振動とから構成される複合振動に変換する振動変換機構を有する、シャフトと、
前記シャフトの前記遠位端に連結される切断機能部と、
吸引管腔であって、前記シャフトによって画定され、該吸引管腔は、前記シャフトの前記長手軸に沿って延在するように構成され、該吸引管腔は、前記ハンドピースと流体連通して載置されるように構成される、吸引管腔と、
隆起部であって、前記シャフト上にあり、前記遠位端と前記近位端との間に位置し、該隆起部は、前記長手軸に沿って前記振動変換機構に対して遠位に位置し、該隆起部の一部は、第3の直径を有し、前記第3の直径は、前記第1の直径よりも小さく、前記第3の直径は、前記第2の直径よりも大きい、隆起部と、
開口であって、前記隆起部によって画定され、前記吸引管腔と流体連通し、前記隆起部は、該開口を囲む区域を補強する、開口と、
を備える、超音波チップ。
(付記2)
前記シャフトの前記近位端は、前記シャフトを前記ハンドピースの前記トランスデューサに取り外し可能に連結するように構成される連結機能部を有する、付記1に記載の超音波チップ。
(付記3)
前記連結機能部は、前記ハンドピースの前記トランスデューサに連結するように構成される複数のねじ筋を有する、付記2に記載の超音波チップ。
(付記4)
前記振動変換機構は、前記シャフトの外表面上に形成される1つ以上の螺旋状溝部を有する、付記1に記載の超音波チップ。
(付記5)
前記開口の軸は、前記超音波チップの前記長手軸に対して横断する、付記4に記載の超音波チップ。
(付記6)
前記切断機能部は、前記長手軸に対して90度以下の角度の方向に面する切断用面を有する、付記1に記載の超音波チップ。
(付記7)
前記切断機能部は、前記長手軸から径方向の外方に配列される切断用面を有し、前記切断用面は1つ以上の歯を有する、付記1に記載の超音波チップ。
(付記8)
前記隆起部は、第1のテーパ領域と、中央領域と、第2のテーパ領域とを有し、前記中央領域の外表面は、前記長手軸に対して概ね平行であり、前記中央領域は、前記第1のテーパ領域と前記第2のテーパ領域との間に配置され、前記第1のテーパ領域は、前記中央領域に対して近位にあり、正の傾斜を有し、前記第2のテーパ領域は、前記中央領域に対して遠位にあり、負の傾斜を有する、付記1に記載の超音波チップ。
(付記9)
前記吸引管腔は、前記シャフトの前記遠位端及び前記近位端において開口を有する、付記1に記載の超音波チップ。
(付記10)
超音波トランスデューサを有する手術用ハンドピースとともに使用する超音波スリーブアセンブリであって、前記超音波スリーブアセンブリは、
切断用チップであって、
シャフトであって、近位端と遠位端との間に延在し、前記近位端は、該シャフトを前記ハンドピースに取り外し可能に連結するように構成される連結機能部を有し、前記近位端は、第1の直径を有し、前記遠位端は、第2の直径を有し、前記第1の直径は、前記第2の直径よりも大きく、該シャフトは、前記超音波トランスデューサから伝達される振動エネルギーを長手軸に沿った長手方向の振動と捻れ方向の振動とから構成される複合振動に変換する振動変換機構を有する、シャフトと、
前記シャフトの前記遠位端に連結される切断機能部と、
吸引管腔であって、前記シャフトによって画定され、前記シャフトの前記長手軸に沿って延在するように構成され、該吸引管腔は、前記シャフトが前記手術用ハンドピースに連結されたときに前記手術用ハンドピースと流体連通するように構成される、吸引管腔と、
隆起部であって、前記シャフト上にあり、前記振動変換機構の遠位に位置し、該隆起部の一部は、第3の直径を有し、前記第3の直径は、前記第1の直径よりも小さく、前記第3の直径は、前記第2の直径よりも大きく、該隆起部は、前記シャフトを強化するように構成される、隆起部と、
前記隆起部によって画定され、前記吸引管腔と流体連通する開口と、
を有する、切断用チップと、
灌注スリーブであって、該灌注スリーブ及び前記切断用チップが前記ハンドピースに連結されたときに前記シャフトの一部を囲むように構成され、該灌注スリーブは、近位端と遠位端とを有する管腔を画定し、前記管腔の前記近位端は、前記ハンドピースに取り外し可能に連結するように構成される連結機構を有する、灌注スリーブと、
を備え、
前記灌注スリーブは、前記管腔とは別個の灌注チャネルを更に画定し、該灌注チャネルは、遠位端と近位端とを有し、前記灌注チャネルの前記近位端は、灌注源に解放可能に連結するように構成され、前記灌注チャネルは、灌注口を介して前記管腔に流体を運ぶように構成され、前記灌注口は、前記灌注チャネル及び前記管腔と流体連通する、
超音波スリーブアセンブリ。
(付記11)
前記連結機能部は、前記ハンドピースの前記トランスデューサに連結するように構成される複数のねじ筋を有する、付記10に記載の超音波スリーブアセンブリ。
(付記12)
前記振動変換機構は、前記シャフトの外表面上に形成される1つ以上の螺旋状溝部を有する、付記10に記載の超音波スリーブアセンブリ。
(付記13)
前記切断機能部は、前記長手軸に対して垂直な方向に面する切断用面を有する、付記10に記載の超音波スリーブアセンブリ。
(付記14)
前記開口は、前記切断用面に対して径方向における反対方向に位置する、付記13に記載の超音波スリーブアセンブリ。
(付記15)
前記切断機能部は、前記長手軸から径方向の外方に配列される切断用面を有し、前記切断用面は、1つ以上の歯を有する、付記10に記載の超音波スリーブアセンブリ。
(付記16)
前記隆起部は、第1のテーパ領域と、中央領域と、第2のテーパ領域とを有し、前記中央領域の外表面は、前記長手軸に対して概ね平行であり、前記中央領域は、前記第1のテーパ領域と前記第2のテーパ領域との間に配置され、前記第1のテーパ領域は、前記中央領域に対して近位にあり、正の傾斜を有し、前記第2のテーパ領域は、前記中央領域に対して遠位にあり、負の傾斜を有する、付記10に記載の超音波スリーブアセンブリ。
(付記17)
前記吸引管腔は、前記シャフトの前記遠位端及び前記近位端において開口を有する、付記10に記載の超音波スリーブアセンブリ。
(付記18)
長手方向の運動及び捻れ方向の運動の両方をもたらす超音波切断システムであって、
ハウジング内に配置されるトランスデューサを有するハンドピースと、
前記ハンドピースに連結される切断用チップであって、
シャフトであって、遠位端と近位端とを有し、前記近位端は、該シャフトを前記ハンドピースに取り外し可能に連結するように構成される連結機能部を有する、シャフトと、
前記シャフトの前記遠位端に連結される切断機能部と、
吸引管腔であって、前記シャフトによって画定され、該吸引管腔は、前記シャフトの長手軸に沿って延在するように構成され、該吸引管腔は、前記ハンドピースと流体連通する、吸引管腔と、
開口であって、前記吸引管腔と流体連通し、前記シャフトの前記近位端と前記遠位端との間に位置し、該開口は、近位端と遠位端とを有する、開口と、
を有する、切断用チップと、
灌注スリーブであって、前記ハンドピースに連結され、該灌注スリーブは、前記シャフトの一部を囲み、近位端と遠位端とを有し、該灌注スリーブは、管腔を画定し、該灌注スリーブの前記近位端は、該灌注スリーブを前記ハンドピースに取り外し可能に連結するように構成される連結機構を有する、灌注スリーブと、
を備え、
前記灌注スリーブは、遠位端と近位端とを有する灌注チャネルを更に画定し、該灌注チャネルの前記近位端は、灌注流体を灌注源から受け取るように構成される、灌注スリーブと、
灌注口であって、前記灌注チャネルの前記遠位端と流体連通し、該灌注口は、灌注流体を前記シャフトに向けて送出するように構成される、灌注口と、
を備え、
前記灌注スリーブの前記遠位端は、前記シャフトの前記遠位端に対して近位に位置し、
前記灌注口は、前記長手軸に沿って前記開口に対して相対的に近位に位置し、
前記灌注スリーブの前記遠位端は、前記灌注スリーブが前記開口の全体を取り囲むように該開口の前記遠位端に対して遠位にある、超音波切断システム。
(付記19)
前記灌注スリーブの前記遠位端は、前記開口の前記遠位端を越えて前記長手軸に沿って遠位方向に延在する、付記18に記載の超音波切断システム。
(付記20)
前記連結機能部は、前記ハンドピースの前記トランスデューサに連結するように構成される複数のねじ筋を有する、付記18に記載の超音波切断システム。
(付記21)
前記シャフトは、前記トランスデューサから伝達される振動エネルギーを前記長手軸に沿った長手方向の振動と捻れ方向の振動とから構成される複合振動に変換する振動変換機構を有する、付記18に記載の超音波切断システム。
(付記22)
前記振動変換機構は、前記シャフトの外表面上に形成される1つ以上の螺旋状溝部を有する、付記21に記載の超音波切断システム。
(付記23)
前記切断機能部は、前記長手軸に対して垂直な方向に面する切断用面を有する、付記18に記載の超音波切断システム。
(付記24)
前記開口は、前記切断用面に対して径方向における反対方向に位置する、付記23に記載の超音波切断システム。
(付記25)
前記切断機能部は、前記長手軸から径方向の外方に配列される切断用面を有し、前記切断用面は、1つ以上の歯を有する、付記18に記載の超音波切断システム。
(付記26)
前記吸引管腔は、前記シャフトの前記遠位端及び前記近位端において開口を有する、付記18に記載の超音波切断システム。
(付記27)
手術用ハンドピースとともに使用することで長手方向の運動及び捻れ方向の運動の両方をもたらす超音波チップであって、前記ハンドピースは、超音波トランスデューサを有し、該超音波チップは、
シャフトであって、近位端と遠位端との間に延在し、前記近位端は、第1の断面積を有し、前記遠位端は、第2の断面積を有し、前記第1の断面積は、前記第2の断面積よりも大きく、該シャフトは、前記超音波トランスデューサから伝達される振動エネルギーを長手軸に沿った長手方向の振動と捻れ方向の振動とから構成される複合振動に変換する振動変換機構を有する、シャフトと、
前記シャフトの前記遠位端に連結される切断機能部と、
吸引管腔であって、前記シャフトによって画定され、該吸引管腔は、前記シャフトの前記長手軸に沿って延在するように構成され、該吸引管腔は、前記ハンドピースと流体連通して載置されるように構成される、吸引管腔と、
隆起部であって、前記シャフト上にあり、前記遠位端と前記近位端との間に位置し、該隆起部は、前記長手軸に沿って前記振動変換機構に対して遠位に位置し、該隆起部の一部は、第3の断面積を有し、前記第3の断面積は、前記第1の断面積よりも小さく、前記第3の断面積は、前記第2の断面積よりも大きい、隆起部と、
開口であって、前記隆起部によって画定され、前記吸引管腔と流体連通し、前記隆起部は該開口を囲む区域を補強する、開口と、
を備える、超音波チップ。
(付記28)
ハウジング内に配置される超音波トランスデューサを有する手術用ハンドピースとともに使用する超音波チップであって、
シャフトであって、遠位領域と、中間領域と、近位領域とを有し、前記中間領域は、第1の直径を有し、前記遠位領域は、第2の直径を有し、前記第1の直径は、前記第2の直径よりも大きく、該シャフトは、前記超音波トランスデューサから伝達される振動エネルギーを長手軸に沿った長手方向の振動と捻れ方向の振動とから構成される複合振動に変換する振動変換機構を有する、シャフトと、
前記シャフトの前記遠位領域に連結される切断機能部と、
第1の管腔であって、前記シャフトによって画定され、該第1の管腔は、前記シャフトの前記長手軸に沿って延在するように構成され、該第1の管腔は、前記ハンドピースと流体連通して載置されるように構成される、第1の管腔と、
隆起部であって、前記シャフト上にあり、前記中間領域と前記遠位領域との間に位置し、前記中間領域は、該隆起部と前記振動変換機構との間に位置し、該隆起部の一部は、第3の直径を有し、前記第3の直径は、前記第1の直径よりも小さく、前記第3の直径は、前記第2の直径よりも大きい、隆起部と、
開口であって、前記隆起部によって画定され、前記第1の管腔と流体連通し、前記隆起部は、該開口を囲む区域を補強する、開口と、
を備える、超音波チップ。
(付記29)
手術用ハンドピースとともに使用することで長手方向の運動及び捻れ方向の運動の両方をもたらす超音波チップであって、前記ハンドピースは、超音波トランスデューサを有し、該超音波チップは、
シャフトであって、近位端と遠位端との間に延在し、前記近位端は、第1の断面積を有し、前記遠位端は、第2の断面積を有し、前記第1の断面積は、前記第2の断面積よりも大きい、シャフトと、
前記シャフトの前記遠位端に連結される切断機能部と、
吸引管腔であって、前記シャフトによって画定され、該吸引管腔は、前記シャフトの長手軸に沿って延在するように構成され、該吸引管腔は、前記ハンドピースと流体連通して載置されるように構成される、吸引管腔と、
隆起部であって、前記シャフト上にあり、前記遠位端と前記近位端との間に位置し、該隆起部の一部は、第3の断面積を有し、前記第3の断面積は、前記第1の断面積よりも小さく、前記第3の断面積は、前記第2の断面積よりも大きい、隆起部と、
開口であって、前記隆起部によって画定され、前記吸引管腔と流体連通し、前記隆起部は、該開口を囲む区域を補強する、開口と、
を備える、超音波チップ。
(付記30)
手術用ハンドピースとともに使用することで長手方向の運動及び捻れ方向の運動の両方をもたらす超音波チップであって、前記ハンドピースは、ハウジング内に配置される超音波トランスデューサを有し、該超音波チップは、
シャフトであって、近位端と遠位端との間に延在する長手軸を有し、前記近位端は、第1の直径を有し、前記遠位端は、第2の直径を有し、前記第1の直径は、前記第2の直径よりも大きい、シャフトと、
前記シャフトの前記遠位端に連結される切断機能部と、
吸引管腔であって、前記シャフトによって画定され、該吸引管腔は、前記シャフトの前記長手軸に沿って延在するように構成され、該吸引管腔は、前記ハンドピースと流体連通して載置されるように構成される、吸引管腔と、
隆起部であって、前記シャフト上にあり、前記遠位端と前記近位端との間に位置し、該隆起部の一部は、第3の直径を有し、前記第3の直径は、前記第1の直径よりも小さく、前記第3の直径は、前記第2の直径よりも大きい、隆起部と、
開口であって、前記隆起部によって画定され、前記吸引管腔と流体連通し、前記隆起部は、該開口を囲む区域を補強する、開口と、
を備える、超音波チップ。