(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-04
(45)【発行日】2024-03-12
(54)【発明の名称】画像コーデック方法、エンコーダ、デコーダおよび記憶媒体
(51)【国際特許分類】
H04N 19/593 20140101AFI20240305BHJP
【FI】
H04N19/593
(21)【出願番号】P 2021568185
(86)(22)【出願日】2019-06-25
(86)【国際出願番号】 CN2019092689
(87)【国際公開番号】W WO2020258010
(87)【国際公開日】2020-12-30
【審査請求日】2022-05-31
(73)【特許権者】
【識別番号】516227559
【氏名又は名称】オッポ広東移動通信有限公司
【氏名又は名称原語表記】GUANGDONG OPPO MOBILE TELECOMMUNICATIONS CORP., LTD.
【住所又は居所原語表記】No. 18 Haibin Road,Wusha, Chang’an,Dongguan, Guangdong 523860 China
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100152205
【氏名又は名称】吉田 昌司
(74)【代理人】
【識別番号】100137523
【氏名又は名称】出口 智也
(72)【発明者】
【氏名】ワン、シューアイ
(72)【発明者】
【氏名】フオ、チュンイェン
(72)【発明者】
【氏名】マー、イェンチュオ
(72)【発明者】
【氏名】ヤン、フーチョン
(72)【発明者】
【氏名】クオ、チンクン
(72)【発明者】
【氏名】ワン、ハイシン
【審査官】間宮 嘉誉
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/255769(WO,A1)
【文献】特開2000-92331(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2022/0141453(US,A1)
【文献】HUO, Junyan et al.,Non-CE3: Unification of Shifting for MIP Mode,JVET-O0323 (version 1),ITU,2019年06月25日,pp.1-4,[online],[retrieved on 2023-06-09],Retrieved from the Internet: <URL: https://jvet-experts.org/doc_end_user/documents/15_Gothenburg/wg11/JVET-O0323-v1.zip>,JVET-O0323.docx
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 7/12
H04N 19/00-19/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンコーダに適用される、画像コーディング方法であって、
マトリックスベースのイントラ予測(MIP)モードに従ってコーディング処理を実行する前に、異なるコーディングブロックのサイズおよび異なるMIPモード番号に対応する初期右シフトパラメータを統一なオフセットパラメータとして設定することであって、前記オフセットパラメータは、予測値の右シフトビット数を指示するために使用され、前記オフセットパラメータは6に設定される、ことと、
前記MIPモードに従ってコーディング処理を実行する場合、前記オフセットパラメータに従って、コーディング処理を実行することと、を含む、前記画像コーディング方法。
【請求項2】
前記異なるコーディングブロックのサイズおよび異なるMIPモード番号に対応する初期右シフトパラメータを統一なオフセットパラメータとして設定することは、
前記初期右シフトパラメータが前記オフセットパラメータと異なる場合、前記初期右シフトパラメータを前記オフセットパラメータに補正して、すべてのサイズおよびすべてのMIPモード番号に対応する、すべての予測値の右シフトビット数をすべて同じくすること、を含む、
請求項1に記載の画像コーディング方法。
【請求項3】
前記異なるコーディングブロックのサイズおよび異なるMIPモード番号に対応する初期右シフトパラメータを統一なオフセットパラメータとして設定した後、前記画像コーディング方法は、
プリセットの計算ルールに従って、初期重みマトリックスおよび初期バイアスマトリックスを補正して、補正後の重みマトリックスおよび補正後のバイアスマトリックスを取得することであって、前記初期重みマトリックスおよび前記初期バイアスマトリックスは、統一化させる補正を実行した初期右シフトパラメータと対応することと、
前記オフセットパラメータ、前記補正後の重みマトリックスおよび前記補正後のバイアスマトリックスに従って、コーディング処理を実行することと、をさらに含む、
請求項1に記載の画像コーディング方法。
【請求項4】
デコーダに適用される、画像デコーディング方法であって、
MIPモードに従ってデコーディング処理を実行する前に、異なるコーディングブロックのサイズおよび異なるMIPモード番号に対応する初期右シフトパラメータを統一なオフセットパラメータとして設定することであって、前記オフセットパラメータは、予測値の右シフトビット数を指示するために使用され、前記オフセットパラメータは6に設定される、ことと、
前記MIPモードに従ってデコーディング処理を実行する場合、前記オフセットパラメータに従って、デコーディング処理を実行することと、を含む、前記画像デコーディング方法。
【請求項5】
前記異なるコーディングブロックのサイズおよび異なるMIPモード番号に対応する初期右シフトパラメータを統一なオフセットパラメータとして設定することは、
前記初期右シフトパラメータが前記オフセットパラメータと異なる場合、前記初期右シフトパラメータを前記オフセットパラメータに補正して、すべてのサイズおよびすべてのMIPモード番号に対応する、すべての予測値の右シフトビット数をすべて同じくすること、を含む、
請求項
4に記載の画像デコーディング方法。
【請求項6】
前記異なるコーディングブロックのサイズおよび異なるMIPモード番号に対応する初期右シフトパラメータを統一なオフセットパラメータとして設定した後、前記画像デコーディング方法は、
プリセットの計算ルールに従って、初期重みマトリックスおよび初期バイアスマトリックスを補正して、補正後の重みマトリックスおよび補正後のバイアスマトリックスを取得することであって、前記初期重みマトリックスおよび前記初期バイアスマトリックスは、統一化させる補正を実行した初期右シフトパラメータと対応することと、
前記オフセットパラメータ、前記補正後の重みマトリックスおよび前記補正後のバイアスマトリックスに従って、デコーディング処理を実行することと、をさらに含む、
請求項
5に記載の画像デコーディング方法。
【請求項7】
デコーダであって、前記デコーダは、第2プロセッサ、前記第2プロセッサの実行可能命令を記憶する第2メモリ、第2通信インターフェース、および、前記第2プロセッサと、前記第2メモリと、前記第2通信インターフェースとを接続するために使用される第2バスを備え、前記命令が、前記第2プロセッサによって実行されるとき、請求項
4ないし
6のいずれか1項に記載の画像デコーディング方法を実行する、前記デコーダ。
【請求項8】
コンピュータプログラムが記憶される、コンピュータ可読記憶媒体であって、前記プログラムが、プロセッサに、請求項1ないし
3のいずれか1項に記載の画像コーディング方法を実行させる、前記コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項9】
コンピュータプログラムが記憶される、コンピュータ可読記憶媒体であって、前記プログラムが、プロセッサに、請求項
4ないし
6のいずれか1項に記載の画像デコーディング方法を実行させる、前記コンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願実施例は、ビデオコーデックの技術分野に関し、特に、画像コーデック方法、エンコーダ、デコーダおよび記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
多機能ビデオコーディング(VVC:Versatile Video Coding)の参照ソフトウェアテストプラットホームにおいて、新しいイントラコーディング技術であるマトリックスベースのイントラ予測(MIP:Matrix-based Intra Prediction)が提案されている。MIPは、ニューラルネットワークに基づくイントラ予測技術であり、即ち、多層ニューラルネットワークを使用して、隣接する再構築された輝度ブロックに基づいて現在のブロックの輝度値を予測するものである。具体的に、従来のイントラモードと同様に、MIPモードを使用してイントラ予測を実行する場合、MIP予測の入力も、現在のブロックの前の行および左の列に隣接する輝度ブロックのデータであり、出力は、現在のブロックの輝度成分予測値である。具体的な予測プロセスは、ダウンサンプリング、マトリックスベクトル乗算および補間の、3つのステップに分けられる。
【0003】
しかしながら、MIPモードを介して輝度予測を実行するとき、異なるサイズの輝度ブロックで使用されるパラメータも、異なる可能性もあり、したがって、大きな記憶スペースを占有して多数のパラメータを記憶する必要があり、且つ、予測プロセスのパラメータの検索と呼び出しも、全体的な時間を増加して、コーデックの効率を低下させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願実施例は、画像コーデック方法、エンコーダ、デコーダおよび記憶媒体を提供し、コーデック性能を保証する基で、コーデックプロセスに必要な記憶スペースおよび全体的な時間を減らし、コーデックの効率を効果的に改善する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願実施例の技術的解決策は、以下のように実現される。
【0006】
本願実施例は、エンコーダに適用される、画像コーディング方法を提供し、前記方法は、
MIPモードに従ってコーディング処理を実行する前に、オフセットパラメータに従って、異なるサイズおよび異なるMIPモード番号に対応する初期右シフトパラメータを統一化させる補正を実行することであって、ここで、前記オフセットパラメータは、予測値の右シフトビット数を指示するために使用されること、および、
前記MIPモードに従ってコーディング処理を実行する場合、前記オフセットパラメータに従って、コーディング処理を実行すること、を含む。
【0007】
本願実施例は、デコーダに適用される、画像デコーディング方法を提供し、前記方法は、
MIPモードに従ってデコーディング処理を実行する前に、オフセットパラメータに従って、異なるサイズおよび異なるMIPモード番号に対応する初期右シフトパラメータを統一化させる補正を実行することであって、ここで、前記オフセットパラメータは、予測値の右シフトビット数を指示するために使用されること、および、
前記MIPモードに従ってデコーディング処理を実行する場合、前記オフセットパラメータに従って、デコーディング処理を実行すること、を含む。
【0008】
本願実施例は、エンコーダを提供し、前記エンコーダは、第1補正部分およびコーディング部分を備え、
前記第1補正部分は、MIPモードに従ってコーディング処理を実行する前に、オフセットパラメータに従って、異なるサイズおよび異なるMIPモード番号に対応する初期右シフトパラメータを統一化させる補正を実行するように構成され、ここで、前記オフセットパラメータは、予測値の右シフトビット数を指示するために使用され、
前記コーディング部分は、前記MIPモードに従ってコーディング処理を実行する場合、前記オフセットパラメータに従って、コーディング処理を実行するように構成される。
【0009】
本願実施例は、デコーダを提供し、前記デコーダは、第2補正部分およびデコーディング部分を備え、
前記第2補正部分は、MIPモードに従ってデコーディング処理を実行する前に、オフセットパラメータに従って、異なるサイズおよび異なるMIPモード番号に対応する初期右シフトパラメータを統一化させる補正を実行するように構成され、ここで、前記オフセットパラメータは、予測値の右シフトビット数を指示するために使用され、
前記コーディング部分は、前記MIPモードに従ってデコーディング処理を実行する場合、前記オフセットパラメータに従って、デコーディング処理を実行するように構成される。
【0010】
本願実施例は、エンコーダを提供し、前記エンコーダは、第1プロセッサと、前記第1プロセッサの実行可能命令を記憶する第1メモリと、第1通信インターフェース、および、前記第1プロセッサと、前記第1メモリおよび前記第1通信インターフェースを接続するために使用される第1バスを備え、前記命令が、前記第1プロセッサによって実行されるとき、上記の画像コーディング方法を実現する。
【0011】
本願実施例は、デコーダを提供し、前記デコーダは、第2プロセッサと、前記第2プロセッサの実行可能命令を記憶する第2メモリと、第2通信インターフェース、および、前記第2プロセッサと、前記第2メモリおよび前記第2通信インターフェースを接続するように構成される第2バスを備え、前記命令が、前記第2プロセッサによって実行されるとき、上記の画像デコーディング方法を実現する。
【0012】
本願実施例は、プログラムが記憶される、コンピュータ可読記憶媒体を提供し、エンコーダおよびデコーダに適用され、前記プログラムが、プロセッサによって実行されるとき、上記の画像コーデック方法を実現する。
【発明の効果】
【0013】
本願実施例は、画像コーデック方法、エンコーダ、デコーダおよび記憶媒体を提供し、エンコーダは、MIPモードに従ってコーディング処理を実行する前に、オフセットパラメータに従って、異なるサイズおよび異なるMIPモード番号に対応する初期右シフトパラメータを統一化させる補正を実行し、ここで、オフセットパラメータは、予測値の右シフトビット数を指示するために使用され、および、MIPモードに従ってコーディング処理を実行する場合、オフセットパラメータに従ってコーディング処理を実行する。デコーダは、MIPモードに従ってデコーディング処理を実行する前に、オフセットパラメータに従って、異なるサイズおよび異なるMIPモード番号に対応する初期右シフトパラメータを統一化させる補正を実行し、および、MIPモードに従ってデコーディング処理を実行する場合、オフセットパラメータに従ってデコーディング処理を実行する。これから分かるように、本願によって提案される画像コーデック方法は、オフセットパラメータを使用して、予測値の右シフトビット数を統一化させる補正を実行することを介して、異なるサイズ、異なるMIPモード番号のすべての輝度ブロックに同じsW値を持たせ、それにより、コーデック処理を実行するとき、sW値を照会および呼び出す必要なく、MIPアルゴリズムの複雑さを軽減し、コーデック性能を保証する基で、コーデックプロセスに必要な記憶スペースおよび全体的な時間を減らし、コーデックの効率を効果的に改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】イントラ予測における67種類の予測モードの配置の概略図である。
【
図2】MIPモードでコーディングする例示的なフローチャートである。
【
図3】現在のブロックの上側の隣接する輝度ブロックと左側の隣接する輝度ブロックの配置の概略図である。
【
図5】ビデオコーディングシステムの例示的な構造図である。
【
図6】ビデオデコーディングシステムの例示的な構造図である。
【
図7】本願実施例によって提案される画像コーディング方法の例示的な実現フローチャート1である。
【
図8】本願実施例によって提案される画像コーディング方法の例示的な実現フローチャート2である。
【
図9】本願実施例によって提案される画像デコーディング方法の例示的な実現フローチャート1である。
【
図10】本願実施例によって提案される画像デコーディング方法の例示的な実現フローチャート2である。
【
図11】本願実施例によって提案されるエンコーダの構成の例示的な構造
図1である。
【
図12】本願実施例によって提案されるエンコーダの構成の例示的な構造
図2である。
【
図13】本願実施例によって提案されるデコーダの構成の例示的な構造
図1である。
【
図14】本願実施例によって提案されるデコーダの構成の例示的な構造
図2である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本願実施例における図面を参照して、本願実施例における技術的解決策を明確且つ完全に説明する。ここで説明される具体的な実施例は、関連付けされるアプリケーションを説明するためにのみ使用され、当該アプリケーションを限定するものではないことを理解されたい。さらに、説明を容易にするために、図面には、関するアプリケーションに関連付けされる部分のみ示されることに留意されたい。
【0016】
ビデオ画像において、VVCは、共同ビデオエキスパートチーム(JVET:Joint Video Experts Team)-N0217で提案されたアフィン線形加重イントラ予測技術(Affine Linear Weighted Intra Prediction)を受け入れ、その名前を、マトリックスベースのイントラ予測、即ちMIP技術に補正し、前記技術は、イントラ輝度コーディングブロックのサイズの違いに対して、イントラ輝度予測プロセスに、異なる数のマトリックスベースのイントラ予測モードを追加する。
【0017】
自然ビデオで提示されるより細かいエッジ方向を捕獲するために、VVCにおいて、ビデオ圧縮標準(HEVC:High Efficiency Video Coding)で定義される33種類のイントラ輝度予測角度モードを65種類に拡張し、
図1は、イントラ予測における67種類の予測モードの配置の概略図であり、
図1に示されるように、矢印番号2~66は、65種類のイントラ角度予測モードを表し、さらに、番号が0である徐々に平坦になるPlanarモード、および番号が1である直流DCモードの2種類の非角度モードもあるため、VVCにおけるイントラ予測プロセスには、2種類の非角度モードと、65種類の角度モードを含み、ここで、この67種類の予測モードを、イントラ予測の従来のモードと称する。
【0018】
MIPは、ニューラルネットワークに基づくイントラ予測技術であり、即ち多層ニューラルネットワークを使用して、隣接する再構築したピクセルに基づいて現在のブロックの輝度値を予測する。具体的に、MIP技術は、イントラ輝度コーディングブロックのサイズに従って、輝度コーディングブロックを3つのタイプに分け、輝度コーディングブロックのサイズをW×Hと設定し、ここで、Wは幅パラメータであり、Hは高さパラメータであり、輝度コーディングブロックのサイズに従って、輝度コーディングブロックを以下の3つのタイプに分けることができる。
【0019】
サイズが4×4である輝度コーディングブロックは、第1タイプの輝度ブロックであり、サイズが8×4、4×8および8×8である輝度コーディングブロックは、第2タイプの輝度ブロックであり、他のサイズの輝度コーディングブロックは、第3タイプの輝度ブロックである。
【0020】
このような3つのタイプのイントラ輝度コーディングブロックに対して、MIP技術は、67種類の従来のイントラ予測モードの基で、M種類のMIPモードを追加し、ここで、第1タイプの輝度ブロックに対して、M=35であり、第2タイプの輝度ブロックに対して、M=19であり、第3タイプの輝度ブロックに対して、M=11である。
【0021】
具体的に、MIP技術は、イントラ輝度予測にのみ適用され、従来のモードと同様に、MIP予測の入力も現在のブロックの前の行および左の列のデータであり、出力は、現在のブロックの予測値であり、具体的な予測プロセスは、平均、マトリックスベクトル乗算および補間の3つのステップに分けられる。即ち、入力した前の行および左の列に隣接するピクセルの再構築した輝度値に対して、この3つのステップを実行することを介して、現在のブロックの輝度成分予測値を取得し得る。
【0022】
図2は、MIPモードでコーディングする例示的なフローチャートであり、
図2に示されるように、MIPモードが輝度予測を実行することは、具体的に以下のように実現される。
【0023】
ステップ1において、現在のブロックの上側の隣接する参照点に対して平均操作を実行して、合計N個の値を持つベクトルbdrytopを取得し、現在のブロックの左側の隣接する参照点に対して平均操作を実行して、合計N個の値を持つベクトルbdryleftを取得する。現在のブロックが第1タイプの輝度コーディングである場合、N=2であり、現在のブロックが第2タイプまたは第3タイプの輝度コーディングである場合、N=4である。ベクトルbdrytopおよびベクトルbdryleftは、新たなベクトルbdryredを形成し、後続の操作を実行する。
【0024】
ステップ2において、MIPモードのモード番号kを介して、対応するマトリックスA
kおよびオフセット量b
kを取得し、以下の式(1)を介して、
図2に示されるように、クロスラインで識別した現在のブロックの部分的な予測値を計算して取得する。
【数1】
【0025】
ステップ3において、線形補間を介して、現在のブロックの残りの予測値Predredを取得する。
【0026】
現在のブロックがコーディングする具現プロセスに対して、イントラ予測に使用される具体的なコーディングモードを、圧縮コードストリームに書き込む必要があり、それにより、デコーディング側が、前記モード情報を解析することを介して、具体的に、従来のモードであるかそれともMIPモードであるかのどちらのモードを使用するかを決定し得、従来のモードであれば、具体的にどの従来のモードか、MIPモードであれば、具体的にどのMIPモードかを決定し得るようにすることに留意されたい。
【0027】
VVCのイントラ予測において、各輝度コーディングブロックに対して、すべて、67個の従来のモードとM個のMIPモードとのレード歪みコストRDcostの比較を実行して、67個の従来のモードおよびM個のMIPモードから最適なモードを選択してコーディングする。ビットオーバーヘッドを節約するために、VVCには、最も可能性の高いモードリスト(MPM:Most Probable Modes List)に基づく、イントラモードコーディング技術を使用する。
【0028】
マルチ基準線技術(extend reference line)およびイントラサブブロック分割技術(ISP:Intra Sub-Patitionar)は、MPMリストにおけるモードにのみ使用されるため、extendrefflagおよびispflagが両方とも0である場合、即ち、0である基準線を使用し、且つ、サブブロック分割を実行しない場合、mpmflagをコーディングする必要なく、直接に、MPMリストにおける最適なモードの位置をコーディングすることに留意されたい。
【0029】
さらに、MPMリストおよびMIPMPMリストの構築に対して、VVC輝度イントラ予測において、現在のブロックで選択される最適なモードが、従来のモードであれば、6つの最も可能性の高い従来のモードを含むMPMリストを構築する必要があり、現在のブロックで選択される最適なモードが、MIPモードであれば、3つの最も可能性の高いMIPモードを含むMIPMPMリストを構築する必要がある。
【0030】
図3は、現在のブロックの上側の隣接する輝度ブロックと、左側の隣接する輝度ブロックの配置の概略図であり、
図3に示されるように、上記の2つのリストは、両方とも
図3に示される現在のブロックの上側の隣接する輝度ブロック(A)、および左側の隣接する輝度ブロック(L)の最適なモードに従って導き出す。
【0031】
さらに、MIPMPMリストの構築に対して、VVCイントラ予測において、現在のブロックの最適なモードがMIPモードであれば、MIPMPMリストを構築する必要がある。MIPMPMリストを構築するプロセスにおいて、まず、上側の隣接する輝度ブロックの最適なモードに対応するMIPモードABOVE_MIP、および左側の隣接する輝度ブロックの最適なモードに対応するMIPモードLEFT_MIPモードを取得する必要がある。
【0032】
さらに、LEFT_MIPおよびABOVE_MIPを取得した後、以下の方法に従って、3つの最も可能性の高いMIPMPMモードを含むMIPMPMリストの構築を実行し、ここで、MIPMPMにおける番号は、MIPモードの番号であり、番号範囲は、0ないし(M-1)であり、第1タイプの輝度ブロックに対して番号は0~34であり、第2タイプの輝度ブロックに対して番号は0~18であり、第3タイプの輝度ブロックに対して番号は0~10であり、
LEFT_MIPが使用可能である場合(-1ではない)、LEFT_MIPを、MIPMPMlistに入れ、
ABOVE_MIPが使用可能である場合(-1ではない)、ABOVE_MIPを、冗長性チェック後にMIPMPMlistに入れ、
LEFT_MIPが使用不可能であり(-1である)、ABOVE_MIPが使用不可能である場合(-1である)、現在のブロックのタイプに従って、冗長性チェック後に、MIPMPMlistを満たすまでデフォルトリストを加える。
【0033】
第1タイプの輝度ブロックのデフォルトリストは、{17,34,5}であり、
第2タイプの輝度ブロックのデフォルトリストは、{0,7,16}であり、
第3タイプの輝度ブロックのデフォルトリストは、{1,4,6}である。
【0034】
さらに、VVCの彩度イントラ予測プロセスにおいて、コンポーネント間の相関を使用するダイレクトモード(DM:Direct Mode)があり、現在のブロックに対応する同じ位置の輝度コーディングブロックの中央位置のイントラ予測モードを使用して、現在の彩度ブロックのイントラ予測を実行し、
図4は、DMモードを決定する配置の概略図であり、
図4に示されるように、MIP技術は、輝度コーディングブロックにのみ使用されるため、
図4のCR位置のイントラ予測モードが、MIPモードである場合、前記MIPモードを、「MIP-従来のマッピングテーブル」を介して、従来のモードにマッピングして、現在の彩度ブロックのイントラ予測を実行することを追加する必要がある。
【0035】
即ち、MIP技術の導入により、イントラ予測プロセスにおいて、MIPMPMリストの構築には、従来のモードをMIPモードにマッピングする必要があり、MPMリストの構築およびDMモードの決定において、MIPモードを従来のモードにマッピングする必要がある。
【表1】
【0036】
さらに、MPMリストの構築プロセスおよびDMモードの取得プロセスにおいて、MIPモードから従来のモードへのマッピングを使用する必要がある。具体的には、「MIP-従来のマッピングテーブル」を介して、35/19/11種類のMIPモードを、67種類の従来のモードにマッピングする。3つのタイプの輝度ブロックに対して、3つの「MIP-従来のマッピングテーブル」は、表2、表3および表4に示されるようである。
【表2】
【表3】
【表4】
【0037】
図5は、ビデオコーディングシステムの例示的な構造図であり、
図5に示されるように、前記ビデオコーディングシステム100は、変換および量子化モジュール101、イントラ推定モジュール102、イントラ予測モジュール103、運動補正モジュール104、運動推定モジュール105、逆変換および逆量子化モジュール106、フィルタ制御分析モジュール107、ブロック解除フィルタリングおよびサンプル適応インデント(SAO:Sample Adaptive 0ffset)フィルタリングモジュール108、ヘッダコーディングおよびコンテキストベースの適応型バイナリ算術符号化(CABAC:Context-based Adaptive Binary Arithmatic Coding)コーディングモジュール109、デコーディング画像キャッシュモジュール110などの部材を備え、
図6は、ビデオデコーディングシステムの例示的な構造図であり、
図6に示されるように、前記ビデオデコーディングシステム200は、ヘッダデコーディングおよびCABACデコーディングモジュール201、逆変換および逆量子化モジュール202と、イントラ予測モジュール203、運動補正モジュール204、ブロック解除フィルタリングおよびSAOフィルタリングモジュール205、デコーディング画像キャッシュモジュール206などの部材を備える。ビデオ画像は、ビデオコーディングシステム100の変換および量子化モジュール101、イントラ推定モジュール102と、イントラ予測モジュール103、運動補正モジュール104、運動推定モジュール105、ブロック解除フィルタリングとSAOフィルタリングモジュール108、および、ヘッダコーディングとCABACモジュール109などの部分的な処理後、前記ビデオ画像のコードストリームを出力し、前記コードストリームは、ビデオデコーディングシステム200に入力し、ビデオデコーディングシステム200におけるヘッダデコーディングとCABACデコーディングモジュール201、逆変換と逆量子化モジュール202、イントラ予測モジュール203と運動補正モジュール204などの部分的な処理後、最終的には元のビデオ画像を復元する。
【0038】
高さパラメータおよび幅パラメータに従って、現在のブロックは、25種類のサイズであり得、具体的に、標準では、最大輝度ブロックは128×128であると規定するが、変換ユニットの最大サイズは64×64であるため、即ち、輝度ブロックは、128×128のサイズで、まず四分木分割を実行する必要があるため、最大の輝度ブロックサイズは、64×64である。表5は、輝度ブロックのサイズの概略表であり、表5に示されるようである。
【表5】
【0039】
先行技術において、現在のブロックの高さパラメータおよび幅パラメータに従って、MIPモードを制限し、具体的に、現在のブロックの幅と高さの比率が4より大きいか、または高さと幅の比率が4より大きいと、MIPモードを介して現在のブロックをコーディングしなく、表6は、先行技術のMIPモードにおける輝度ブロックサイズの制限であり、表6に示されるようである。
【表6】
【0040】
先行技術において、MIPモードの第1タイプの輝度ブロックでは(4×4に対応する輝度ブロック)、それぞれ2つの上の隣接する輝度ブロックおよび左の隣接する輝度ブロックは、マトリックス演算して、4×4の予測ブロックを生成し、MIPモードの第2タイプの輝度ブロックでは(4×8、8×4、8×8に対応する輝度ブロック)、それぞれ4つの上の隣接する輝度ブロックおよび左の隣接する輝度ブロックは、マトリックス演算して、4×4の予測ブロックを生成し、MIPモードの第3タイプの輝度ブロックでは(他のサイズに対応する輝度ブロック)、それぞれ4つの上の隣接する輝度ブロックおよび左の隣接する輝度ブロックは、マトリックス演算して、4×8の予測ブロック(4×16の輝度ブロック)、8×4の予測ブロック(16×4の輝度ブロック)または8×8の予測ブロック(他のサイズの輝度ブロック)を生成する。ここで、第3タイプの輝度ブロックは、非正方形の予測ブロックを生成するため、計算するとき、マトリックスに対して奇数行の抽出を実行する必要がある。
【0041】
さらに、文法において、MipSizeIdを介してMIPの適用クラスを表示し、numModesを介してMIPモードの数を表示し、boundarySizeを介してダウンサンプリングで取得する上の参照行または左の参照列の輝度ブロック数を表示し、predWを介して予測ブロックの幅パラメータを表示し、predHを介して予測ブロックの高さパラメータを表示し、predCを介してMIPのマトリックスの辺の長さを表示することができる。表7は、先行技術のMIPモードに対応する文法関係であり、表7に示されるように、文法におけるMipSizeId、numModes、boundarySize、predW、predH、predCは、以下の関係を持つ。
【表7】
【0042】
さらに、文法において、MipSizeIdは、0の値を取って4×4の輝度ブロックを表示し、1の値を取って4×8、8×4、8×8の輝度ブロックを表示し、2の値を取って他のサイズの輝度ブロックを表示する。numModesは、MIP予測モードの合計の数を表示し、即ち、4×4の輝度ブロックは合計35種類、4×8、8×4、8×8の輝度ブロックは合計19種類、他のサイズの輝度ブロックは合計11種類がある。boundarySizeは、現在のブロックの上の行の隣接する輝度ブロックまたは左の列の隣接する輝度ブロックが、最終的に、2つまたは4つの隣接する輝度ブロックにダウンサンプリングされることを表示する。
【0043】
先行技術において、エンコーダがMIPモードを介して輝度予測を実行するとき、以下の式(2)を介して実行することができる。
【数2】
【0044】
ここで、mWeightおよびvBiasは、各MIPモードがディープラーニングを介してトレーニングして得る重みマトリックスおよびバイアスマトリックスであり、具体的に、mWeightは、各MIPモードの重みマトリックスであり、vBiasは、各MIPモードのバイアスマトリックスである。sBは、バイアスマトリックスの左シフト量であり、oWは、四捨五入の保留値であり、sWは、全体の予測値の右シフト量であり、テーブルの検索を介して異なるMIPモードにおけるsW値を取得する必要がある。
【0045】
JVET-N1001-v7に基づいて、MIPの予測マトリックスを生成するとき、エンコーダは、変数incWおよびincHを介して、奇数行の予測値を抽出する必要がある否かを判断し、具体的には以下のようである。
【数3】
【0046】
ここで、incW=2またはincH=2は、幅パラメータまたは高さパラメータで抽出する必要があることを表す。
【0047】
表8は、先行技術におけるsWの文法説明であり、表8に示されるように、MipSizeIdは1と等しい場合にのみ、即ち現在のブロックサイズは4×8、8×4、8×8であり、且つ、MIPモード番号は3、8、12、17である場合にのみ、sWの値は9を取り、残りのすべてのMIPモードでsWの値は、すべて8を取る。ここで、MIPモードでsWの値は、マッピング関係であるため、表8を介してすべてのモードにおけるsWの値を取得することができる。
【表8】
【0048】
表9は、MipSizeIdが1で、MIPモード番号が3および12である場合のmWeightマトリックスである。
【表9】
【0049】
表10は、MipSizeIdが1であり、MIPモード番号が3および12である場合のvBiasマトリックスである。
【表10】
【0050】
表11は、MipSizeIdが1であり、MIPモード番号が8および17である場合のmWeightマトリックスである。表12は、MipSizeIdが1で、MIPモード番号が8および17である場合のvBiasマトリックスである。
【表11】
【表12】
【0051】
表8に示されるように、異なるMIPモードでsWの異なる文法説明のため、エンコーダは、MIPモードを介して輝度予測を実行するとき、現在のブロックのMipSizeIdが1であれば、即ち、現在のブロックが第2タイプの輝度ブロック(サイズが4×8、8×4、8×8である輝度ブロック)であり、且つ、現在のコーディングブロックに対応するMIPモード番号が3、8、12、17モードであれば、sWの値は、他のモードと異なり、これにより、アルゴリズムの不統一さが発生され、且つ、上記の表8を照会するプロセスにアルゴリズムの時間複雑さが増え、表8のストレージも記憶スペースを占める必要がある。即ち、MIPモードを介して輝度予測を実行するとき、異なるサイズの輝度ブロックで使用されるパラメータも、異なる可能性もあり、したがって、大きな記憶スペースを占有して多数のパラメータを記憶する必要があり、且つ、予測プロセスにおけるパラメータの検索と呼び出しにも、全体的な時間が増加して、コーデックの効率を低下させる。
【0052】
上記の問題を解決するために、本願は、画像コーディング方法を提案し、第2タイプの輝度ブロックのMIPモード番号3、8、12、17におけるsWの値を補正することにより、すべてのMIPモード番号におけるsWの値をすべて同じくし、それにより記憶スペースを減らし、テーブルを検索する演算を省略することを介して全体的な時間を減らす。
【0053】
さらに、本願で提案される画像コーディング方法は、ビデオコーディングハイブリッドフレームワークにおけるイントラ予測部分に影響を与えることができ、即ち、主に、ビデオコーディングにおけるイントラ予測モジュール103およびビデオデコーディングにおけるイントラ予測モジュール203に適用され、コーディング側およびデコーディング側に、同時に作用する。
【0054】
本願の実施例において、機械学習方法のトレーニングで得られた計算用パラメータに基づいて、本願で提案される画像コーデック方法は、固定値のオフセットパラメータに従って、sWを統一化させる補正を実行する同時に、対応する重みマトリックスおよびバイアスマトリックスを補正することができることに留意されたい。ここで、本願において、第2タイプの輝度ブロックが、3、8、12、17のMIPモード番号におけるsWの値の補正に限定されなく、具体的なパラメータ(サイズ、モード、右シフト値などのパラメータの異なる組み合わせを含む)変化の後、機械学習方法のトレーニングで得られた計算用パラメータであるsWの異なる値の場合に対して、統一化させる補正を実行する。
【0055】
さらに、以下の実施例において、第2タイプの輝度ブロックのMIPモード番号3、8、12、17におけるsWの値を例として、本願で提案される画像コーデック方法を例示的に説明する。
【0056】
以下、本願実施例における図面を参照して、本願実施例における技術的解決策を明確且つ完全に説明する。
【0057】
本願の一実施例において、
図7は、本願実施例によって提案される画像コーディング方法の例示的な実現フローチャート1であり、
図7に示されるように、本願の実施例において、エンコーダが画像コーディングを実行する方法は、以下のステップを含み得る。
【0058】
ステップ101において、MIPモードに従ってコーディング処理を実行する前に、オフセットパラメータに従って、異なるサイズおよび異なるMIPモード番号に対応する初期右シフトパラメータを統一化させる補正を実行し、ここで、オフセットパラメータは、予測値の右シフトビット数を指示するために使用される。
【0059】
本願の実施例において、MIPモードに従ってコーディング処理を実行する前に、エンコーダは、まずオフセットビット数を指示するために使用されるオフセットパラメータを設定することができる。
【0060】
本願の実施例において、上記の式(2)に基づいて、オフセットパラメータは、即ち式(2)におけるsWであり、即ち、オフセットパラメータは、全体の予測値の右シフト量であり、即ち、現在のブロックに対して輝度予測を実行するとき、オフセットパラメータは、現在のブロックの全体予測値の右シフトビット数を指示するために使用されることに留意されたい。
【0061】
さらに、本願の実施例において、エンコーダは、MIPモードに従ってコーディング処理を実行する前に、オフセットパラメータを、1つの固定の正の整数に設定することができる。即ち、エンコーダは、オフセットパラメータを設定した後、任意の現在のブロックに対して、前記現在のブロックのサイズに関係なく、前記現在のブロックに対応するMIPモード番号にも関係なく、使用されるオフセットパラメータは、すべて決定されている。
【0062】
本願の実施例において、エンコーダは、オフセットパラメータに従って、異なるサイズおよび異なるMIPモード番号に対応する初期右シフトパラメータを統一化させる補正を実行するとき、オフセットパラメータを任意の正の整数に設定することができることに留意されたい。具体的に、エンコーダは、好ましくて、オフセットパラメータsWを6に設定することができ、または好ましくて、オフセットパラメータsWを7に設定することができ、または好ましくて、オフセットパラメータsWを8に設定することができ、好ましくて、オフセットパラメータsWを9に設定することもできる。
【0063】
例えば、表13は、本願のsWの第1の文法説明であり、本願の実施例において、エンコーダは、オフセットパラメータに従って、異なるサイズおよび異なるMIPモード番号に対応する初期右シフトパラメータを統一化させる補正を実行するとき、サイズが4×8、8×4または8×8で、且つ、MIPモード番号が3、8、12または17である輝度ブロックに対して、対応するsWを、他の輝度ブロックに対応するsWと同じ数値に設定することができ、即ち、他の輝度ブロックに対応するsWが8である場合、サイズが4×8、8×4または8×8で、且つ、MIPモード番号が3、8、12または17である輝度ブロックに対応するsWを8に設定して、異なる現在のブロックに、同じオフセットパラメータsWを持たせる。
【表13】
【0064】
例えば、表14は、本願におけるsWの第2の文法説明であり、本願の実施例において、エンコーダは、オフセットパラメータに従って、異なるサイズおよび異なるMIPモード番号に対応する初期右シフトパラメータを統一化させる補正を実行するとき、サイズが4×8、8×4または8×8で、且つ、MIPモード番号が3、8、12または17である輝度ブロックに対して、対応するsWを、他の輝度ブロックに対応するsWと同じ数値に設定することができ、即ち、他の輝度ブロックに対応するsWが7である場合、サイズが4×8、8×4または8×8で、且つ、MIPモード番号が3、8、12または17である輝度ブロックに対応するsWを7に設定して、異なる現在のブロックに、同じオフセットパラメータsWを持たせる。
【表14】
【0065】
例えば、表15は、本願におけるsWの第2の文法説明であり、本願の実施例において、エンコーダは、オフセットパラメータに従って、異なるサイズおよび異なるMIPモード番号に対応する初期右シフトパラメータを統一化させる補正を実行するとき、サイズが4×8、8×4または8×8で、且つ、MIPモード番号が3、8、12または17である輝度ブロックに対して、対応するsWを、他の輝度ブロックに対応するsWと同じ数値に設定することができ、即ち、他の輝度ブロックに対応するsWが8である場合、サイズが4×8、8×4または8×8で、且つ、MIPモード番号が3、8、12または17である輝度ブロックに対応するsWを8に設定して、異なる現在のブロックに、同じオフセットパラメータsWを持たせる。
【表15】
【0066】
上記の表8に示されるように、先行技術において、異なる現在のブロックに対応するオフセットパラメータsWは、異なる可能性もあり、具体的に、MipSizeIdが1と等しい場合にのみ、即ち現在のブロックは第2タイプの輝度ブロックであり、サイズは4×8、8×4、8×8であり、且つ、MIPモード番号が3、8、12、17である場合にのみ、sWの値は、残りのすべてのMIPモード番号におけるsWの値と異なる。したがって、エンコーダは、現在のブロックをコーディングするとき、現在のブロックのサイズおよびMIPモード番号に従って、オフセットパラメータsWの照会および呼び出しを実行する必要があり、それにより、全体的な時間を増加し、コーデックの効率を低下する同時に、sWの文法説明表を記憶する必要があるため、記憶スペースも増加する。先行技術と比べて、本願は、MIPモードに従ってコーディング処理を実行する前に、まず、オフセットパラメータsWを設定することができ、異なるサイズ、異なるMIPモード番号のすべての輝度ブロックに対応するオフセットパラメータsWを、すべて同じ値に設定して、現在のブロックをコーディングするとき、現在のブロックのサイズおよびMIPモード番号に従って、オフセットパラメータsWの照会および呼び出しを実行する必要なく、且つ、エンコーダも、sWの文法説明表を記憶する必要なく、さらに、コーデックプロセスに必要な記憶スペースおよび全体的な時間を減らし、コーデックの効率を効果的に改善する。
【0067】
本願の実施例において、エンコーダは、オフセットパラメータsWを設定するとき、異なるサイズ、異なるMIPモード番号に対応するすべてのオフセットパラメータsWを、同じ値に設置するが、MipSizeIdが1と等しい場合にのみ、即ち、現在のブロックが、第2タイプの輝度ブロックであり、サイズが4×8、8×4、8×8であり、且つ、MIPモード番号が3、8、12、17である場合にのみ、sWの値は、残りのすべてのMIPモード番号のsWの値と異なるため、エンコーダは、オフセットパラメータに従って、異なるサイズおよび異なるMIPモード番号に対応する初期右シフトパラメータに対して、統一にsWを補正するとき、サイズが4×8、8×4、8×8であり、且つMIPモード番号が3、8、12、17であることに対応するオフセットパラメータsWを設定することであることに留意されたい。
【0068】
これから分かるように、本願の実施例において、エンコーダが、オフセットパラメータに従って、異なるサイズおよび異なるMIPモード番号に対応する初期右シフトパラメータを統一化させる補正を実行するプロセスは、即ち、前記初期右シフトパラメータが前記オフセットパラメータと異なる場合、初期右シフトパラメータを、オフセットパラメータに補正して、すべてのサイズおよびすべてのMIPモード番号に対応する、すべての予測値の右シフトビット数をすべて同じくすることである。
【0069】
ステップ102において、MIPモードに従ってコーディング処理を実行する場合、オフセットパラメータに従ってコーディング処理を実行する。
【0070】
本願の実施例において、エンコーダは、オフセットパラメータに従って、異なるサイズおよび異なるMIPモード番号に対応する初期右シフトパラメータを統一化させる補正を実行した後、エンコーダが、MIPモードに従ってコーディング処理を実行するとき、設定したオフセットパラメータに基づいてコーディング処理を実行することができる。
【0071】
本願の実施例において、エンコーダは、オフセットパラメータを設定した後、MIPモードに従ってコーディング処理を実行するとき、直接に、オフセットパラメータに従って、現在のブロックに対してコーディング処理を実行することができることに留意されたい。これにより、コーデック性能を保証する基で、コーデックプロセスに必要な記憶スペースおよび全体的な時間を減らし、コーデックの効率を効果的に改善することができる。
【0072】
本願の実施例において、さらに、
図8は、本願実施例によって提案される画像コーディング方法の例示的な実現フローチャート2であり、
図8に示されるように、エンコーダは、オフセットパラメータに従って、異なるサイズおよび異なるMIPモード番号に対応する初期右シフトパラメータを統一化させる補正を実行した後、即ち、ステップ101の後、エンコーダが画像コーディングを実行する方法は、以下のステップをさらに含む。
【0073】
ステップ103において、プリセットの計算ルールに従って、初期重みマトリックスおよび初期バイアスマトリックスを補正して、補正後の重みマトリックスおよび補正後のバイアスマトリックスを取得し、ここで、初期重みマトリックスおよび初期バイアスマトリックスは、統一化させる補正を実行した初期右シフトパラメータと対応する。
【0074】
本願の実施例において、エンコーダは、オフセットパラメータに従って、異なるサイズおよび異なるMIPモード番号に対応する初期右シフトパラメータを統一させる補正を実行した後、プリセットの計算ルールに従って初期重みマトリックスおよび初期バイアスマトリックスを補正することができ、それにより、補正後の重みマトリックスおよび補正後のバイアスマトリックスを取得し得る。
【0075】
本願の実施において、初期重みマトリックスおよび初期バイアスマトリックスは、統一化させる補正を実行した初期右シフトパラメータと対応することに留意されたい。
【0076】
本願の実施例において、プリセットの計算ルールは、サイズが4×8、8×4または8×8であり、且つ、MIPモード番号が3、8、12または17である場合に、対応する初期重みマトリックスおよび初期バイアスマトリックスを更新するために使用され得ることに留意されたい。
【0077】
さらに、本願の実施例において、エンコーダが、オフセットパラメータを設定した後、即ち、サイズが4×8、8×4または8×8であり、且つ、MIPモード番号が3、8、12または17であることに対応するオフセットパラメータを補正後、コーデック性能が低下されることを防ぐため、さらに、対応する初期重みマトリックスおよび初期バイアスマトリックスに対して、更新処理を実行することができ、これにより、補正後の重みマトリックスおよび補正後のバイアスマトリックスを取得することができる。
【0078】
本願の実施例において、サイズが4×8、8×4または8×8であり、且つ、MIPモード番号が3、8、12または17である場合、エンコーダは、プリセットの計算ルールに従って、補正後の重みマトリックスおよび補正後のバイアスマトリックスを取得するとき、複数の異なる方法を介して、対応する初期重みマトリックスおよび初期バイアスマトリックスを更新することができることに留意されたい。例えば、サイズが4×8、8×4または8×8であり、且つ、MIPモード番号が3、8、12または17である場合、エンコーダは、切り捨ての計算ルールに従って、初期重みマトリックスにおける任意の要素値AをA/2に更新する同時に、初期バイアスマトリックスにおける任意の要素値BをB/2に更新して、補正後の重みマトリックスおよび補正後のバイアスマトリックスを取得し得る。ここで、AおよびBは、両方とも整数である。さらに、エンコーダは、切り上げの計算ルールに従って、初期重みマトリックスにおける任意の要素値AをA/2に更新する同時に、初期バイアスマトリックスにおける任意の要素値BをB/2に更新して、補正後の重みマトリックスおよび補正後のバイアスマトリックスを取得することもできる。さらに、エンコーダは、四捨五入の計算ルールに従って、初期重みマトリックスにおける任意の要素値AをA/2に更新する同時に、初期バイアスマトリックスにおける任意の要素値BをB/2に更新して、補正後の重みマトリックスおよび補正後のバイアスマトリックスを取得することもできる。
【0079】
ステップ104において、オフセットパラメータと、補正後の重みマトリックスおよび補正後のバイアスマトリックスに従って、コーディング処理を実行する。
【0080】
本願の実施例において、エンコーダが、MIPモードに従ってコーディング処理を実行するとき、設定したオフセットパラメータと、補正後の重みマトリックスおよび補正後のバイアスマトリックスに基づいて、コーディング処理を実行することができる。
【0081】
本願の実施例において、エンコーダは、オフセットパラメータを設定した後、コーデック性能の低下を防ぐため、さらに、対応する初期重みマトリックスおよび初期バイアスマトリックスを更新して、補正後の重みマトリックスおよび補正後のバイアスマトリックスを取得し、MIPモードに従ってコーディング処理を実行するとき、オフセットパラメータと、補正後の重みマトリックスおよび補正後のバイアスマトリックスに従って、現在のブロックに対して、コーディング処理を実行することができることに留意されたい。これにより、コーデック性能を保証する基で、コーデックプロセスに必要な記憶スペースおよび全体的な時間を減らし、コーデックの効率を効果的に改善することができる。
【0082】
本願の実施例において、エンコーダがオフセットパラメータを設定した後、直接に、オフセットパラメータと、初期重みマトリックスおよび初期バイアスマトリックスに従って、現在のブロックに対して、コーディング処理を実行することができることに留意されたい。即ち、エンコーダは、オフセットパラメータの設定を完成した後、対応する初期重みマトリックスおよび初期バイアスマトリックスを更新しないこともできる。
【0083】
先行技術において、MIPモードを介して現在のブロックに対して輝度値を予測するとき、右シフトのビット数を不統一にする必要があり、即ち、オフセットパラメータsWが異なる必要があり、本願で提案される画像コーディング方法は、オフセットパラメータを統一に設定して、MIPモードの実現をより簡単で統一にし、さらに、先行技術におけるオフセットパラメータsWが異なるため、右シフトビット数を表すsW表を記憶する必要があり、計算プロセスにおいて、現在のブロックに対応するsWを照会および呼び出して、MIPで計算される予測値が右シフトする必要があるビット数を決定し、本願で提案される画像コーディング方法は、オフセットパラメータを統一に設定したため、右シフトビット数を表すsW表を記憶する必要なく、これにより、記憶スペースを節約する同時に、sWを照会および呼び出す処理プロセスを省略する。
【0084】
さらに、本願の実施例において、エンコーダがオフセットパラメータを設定した後、さらに、対応する初期重みマトリックスおよび初期バイアスマトリックスを更新して、コーデック性能に、明らかな損失はないようにする。具体的に、VVCの一般的なテスト基準に従って、Y、U、VにおけるBD-rateは、それぞれ、0.00%、-0.02%、-0.02%であり、ここで、24フレーム間隔の結果は、8フレーム間隔のコーデック性能と同じであると予想される。
【0085】
本願実施例で提案される画像コーディング方法で、エンコーダは、MIPモードに従ってコーディング処理を実行する前に、オフセットパラメータに従って、異なるサイズおよび異なるMIPモード番号に対応する初期右シフトパラメータを統一させる補正を実行し、ここで、オフセットパラメータは、予測値の右シフトビット数を指示するために使用され、および、MIPモードに従ってコーディング処理を実行する場合、オフセットパラメータに従ってコーディング処理を実行する。これから分かるように、本願によって提案される画像コーデック方法は、オフセットパラメータを使用して、予測値の右シフトビット数を統一化させる補正を実行することを介して、異なるサイズ、異なるMIPモード番号のすべての輝度ブロックに、同じsW値を持たせて、コーデック処理を実行するとき、sW値を照会および呼び出す必要なく、MIPアルゴリズムの複雑さを軽減し、コーデック性能を保証する基で、コーデックプロセスに必要な記憶スペースおよび全体的な時間を減らし、コーデックの効率を効果的に改善することができる。
【0086】
上記の実施例に基づいて、本願の別の実施例において、サイズが4×8、8×4または8×8であり、且つ、MIPモード番号は3、8、12または17である場合、エンコーダが、プリセットの計算ルールに従って、補正後の重みマトリックスおよび補正後のバイアスマトリックスを取得する方法は、以下のステップを含み得る。
【0087】
ステップ103aにおいて、切り捨ての計算ルールに従って、初期重みマトリックスにおけるすべての要素値を、他の重みマトリックス要素値と同じ2進次数の値に補正して、補正後の重みマトリックスを取得する。
【0088】
ステップ103bにおいて、切り捨ての計算ルールに従って、初期バイアスマトリックスにおけるすべての要素を、他のバイアスマトリックス要素値と同じ2進次数の値に補正して、補正後のバイアスマトリックスを取得する。
【0089】
本願の実施例において、サイズが4×8、8×4または8×8であり、且つ、MIPモード番号が3、8、12または17である場合、エンコーダは、切り捨ての計算ルールに従って、初期重みマトリックスにおけるすべての要素値を、他の重みマトリックス要素値と同じ2進次数の値に補正する同時に、初期バイアスマトリックスにおけるすべての要素を、他のバイアスマトリックス要素値と同じ2進次数の値に補正することができ、それにより、補正後の重みマトリックスおよび補正後のバイアスマトリックスを取得し得る。
【0090】
上記の表9に基づいて、表16は、MipSizeIdが1であり、MIPモード番号が3および12である場合の補正後の重みマトリックスであり、表16に示されるように、エンコーダは、切り捨ての計算ルールに従って、表9における各要素値AをA/2に更新して、MipSizeIdが1であり、MIPモード番号が3および12である場合の補正後の重みマトリックスを取得する。
【表16】
【0091】
上記の表10に基づいて、表17は、MipSizeIdが1であり、MIPモード番号が3および12である場合の補正後のバイアスマトリックスであり、表17に示されるように、エンコーダは、切り捨ての計算ルールに従って、表10における各要素値BをB/2に補正して、MipSizeIdが1であり、MIPモード番号が3および12である場合の補正後のバイアスマトリックスを取得する。
【表17】
【0092】
上記の表11に基づいて、表18は、MipSizeIdが1であり、MIPモード番号が8および17である場合の補正後の重みマトリックスであり、表18に示されるように、エンコーダは、切り捨ての計算ルールに従って、表11における各要素値AをA/2に更新して、MipSizeIdが1であり、MIPモード番号が8および17である場合の補正後の重みマトリックスを取得する。
【表18】
【0093】
上記の表12に基づいて、表19は、MipSizeIdが1であり、MIPモード番号が8および17である場合の補正後のバイアスマトリックスであり、表22に示されるように、エンコーダは、切り捨ての計算ルールに従って、表12における各要素値BをB/2に補正して、MipSizeIdが1であり、MIPモード番号が8および17である場合の補正後のバイアスマトリックスを取得する。
【表19】
【0094】
本願の実施例において、さらに、サイズが4×8、8×4または8×8であり、且つ、MIPモード番号が3、8、12または17である場合、エンコーダが、プリセットの計算ルールに従って、補正後の重みマトリックスおよび補正後のバイアスマトリックスを取得する方法は、以下のステップを含み得る。
【0095】
ステップ103cにおいて、切り上げの計算ルールに従って、初期重みマトリックスにおけるすべての要素値を、他の重みマトリックス要素値と同じ2進次数の値に補正して、補正後の重みマトリックスを取得する。
【0096】
ステップ103dにおいて、切り上げの計算ルールに従って、初期バイアスマトリックスにおけるすべての要素を、他のバイアスマトリックス要素値と同じ2進次数の値に補正して、補正後のバイアスマトリックスを取得する。
【0097】
本願の実施例において、サイズが4×8、8×4または8×8であり、且つ、MIPモード番号が3、8、12または17である場合、エンコーダは、切り上げの計算ルールに従って、初期重みマトリックスにおけるすべての要素値を、他の重みマトリックス要素値と同じ2進次数の値に補正する同時に、初期バイアスマトリックスにおけるすべての要素を、他のバイアスマトリックス要素値と同じ2進次数の値に補正することができ、それにより、補正後の重みマトリックスおよび補正後のバイアスマトリックスを取得し得る。
【0098】
上記の表9に基づいて、表20は、MipSizeIdが1であり、MIPモード番号が3および12である場合の補正後の重みマトリックスであり、表20に示されるように、エンコーダは、切り上げの計算ルールに従って、表9における各要素値AをA/2に更新して、MipSizeIdが1であり、MIPモード番号が3および12である場合の補正後の重みマトリックスを取得する。
【表20】
【0099】
上記の表10に基づいて、表21は、MipSizeIdが1であり、MIPモード番号が3および12である場合の補正後のバイアスマトリックスであり、表21に示されるように、エンコーダは、切り上げの計算ルールに従って、表10における各要素値BをB/2に補正して、MipSizeIdが1であり、MIPモード番号が3および12である場合の補正後のバイアスマトリックスを取得する。
【表21】
【0100】
上記の表11に基づいて、表22は、MipSizeIdが1であり、MIPモード番号が8および17である場合の補正後の重みマトリックスであり、表22に示されるように、エンコーダは、切り上げの計算ルールに従って、表11における各要素値AをA/2に更新して、MipSizeIdが1であり、MIPモード番号が8および17である場合の補正後の重みマトリックスを取得する。
【表22】
【0101】
上記の表12に基づいて、表23は、MipSizeIdが1であり、MIPモード番号が8および17である場合の補正後のバイアスマトリックスであり、表23に示されるように、エンコーダは、切り上げの計算ルールに従って、表12における各要素値BをB/2に補正して、MipSizeIdが1であり、MIPモード番号が8および17である場合の補正後のバイアスマトリックスを取得する。
【表23】
【0102】
本願の実施例において、さらに、サイズが4×8、8×4または8×8であり、且つ、MIPモード番号が3、8、12または17である場合、エンコーダが、プリセットの計算ルールに従って、補正後の重みマトリックスおよび補正後のバイアスマトリックスを取得する方法は、以下のステップを含み得る。
【0103】
ステップ103eにおいて、四捨五入の計算ルールに従って、初期重みマトリックスにおけるすべての要素値を、他の重みマトリックス要素値と同じ2進次数の値に補正して、補正後の重みマトリックスを取得する。
【0104】
ステップ103fにおいて、四捨五入の計算ルールに従って、初期バイアスマトリックスにおけるすべての要素を、他のバイアスマトリックス要素値と同じ2進次数の値に補正して、補正後のバイアスマトリックスを取得する。
【0105】
本願の実施例において、サイズが4×8、8×4または8×8であり、且つ、MIPモード番号が3、8、12または17である場合、エンコーダは、四捨五入の計算ルールに従って、初期重みマトリックスにおけるすべての要素値を、他の重みマトリックス要素値と同じ2進次数の値に補正する同時に、初期バイアスマトリックスにおけるすべての要素を、他のバイアスマトリックス要素値と同じ2進次数の値に補正することができ、それにより、補正後の重みマトリックスおよび補正後のバイアスマトリックスを取得し得る。
【0106】
上記の表9に基づいて、表24は、MipSizeIdが1であり、MIPモード番号が3および12である場合の補正後の重みマトリックスであり、表24に示されるように、エンコーダは、四捨五入の計算ルールに従って、表9における各要素値AをA/2に更新して、MipSizeIdが1であり、MIPモード番号が3および12である場合の補正後の重みマトリックスを取得する。
【表24】
【0107】
上記の表10に基づいて、表25は、MipSizeIdが1であり、MIPモード番号が3および12である場合の補正後のバイアスマトリックスであり、表25に示されるように、エンコーダは、四捨五入の計算ルールに従って、表10における各要素値BをB/2に補正して、MipSizeIdが1であり、MIPモード番号が3および12である場合の補正後のバイアスマトリックスを取得する。
【表25】
【0108】
上記の表11に基づいて、表26は、MipSizeIdが1であり、MIPモード番号が8および17である場合の補正後の重みマトリックスであり、表26に示されるように、エンコーダは、四捨五入の計算ルールに従って、表11における各要素値AをA/2に更新して、MipSizeIdが1であり、MIPモード番号が8および17である場合の補正後の重みマトリックスを取得する。
【表26】
【0109】
上記の表12に基づいて、表27は、MipSizeIdが1であり、MIPモード番号が8および17である場合の補正後のバイアスマトリックスであり、表30に示されるように、エンコーダは、四捨五入の計算ルールに従って、表12における各要素値BをB/2に補正して、MipSizeIdが1であり、MIPモード番号が8および17である場合の補正後のバイアスマトリックスを取得する。
【表27】
【0110】
本願実施例で提案される画像コーディング方法で、エンコーダは、MIPモードに従ってコーディング処理を実行する前に、オフセットパラメータに従って、異なるサイズおよび異なるMIPモード番号に対応する初期右シフトパラメータを統一させる補正を実行し、ここで、オフセットパラメータは、予測値の右シフトビット数を指示するために使用され、および、MIPモードに従ってコーディング処理を実行する場合、オフセットパラメータに従ってコーディング処理を実行する。これから分かるように、本願によって提案される画像コーデック方法は、オフセットパラメータを使用して、予測値の右シフトビット数を統一化させる補正を実行することを介して、異なるサイズ、異なるMIPモード番号のすべての輝度ブロックに、同じsW値を持たせて、コーデック処理を実行するとき、sW値を照会および呼び出す必要なく、MIPアルゴリズムの複雑さを軽減し、コーデック性能を保証する基で、コーデックプロセスに必要な記憶スペースおよび全体的な時間を減らし、コーデックの効率を効果的に改善することができる。
【0111】
本願の別の実施例において、
図9は、本願実施例によって提案される画像デコーディング方法の例示的な実現フローチャート1であり、
図9に示されるように、本願の実施例において、デコーダが画像デコーディングを実行する方法は、以下のステップを含み得る。
【0112】
ステップ201において、MIPモードに従ってデコーディング処理を実行する前に、オフセットパラメータに従って、異なるサイズおよび異なるMIPモード番号に対応する初期右シフトパラメータを統一させる補正を実行し、ここで、オフセットパラメータは、予測値の右シフトビット数を指示するために使用される。
【0113】
本願の実施例において、MIPモードに従ってデコーディング処理を実行する前に、デコーダは、まずオフセットビット数を指示するために使用されるオフセットパラメータを設定することができる。
【0114】
本願の実施例において、上記の式(2)に基づいて、オフセットパラメータは、即ち式(2)におけるsWであり、即ち、オフセットパラメータは、全体の予測値の右シフト量であり、即ち、現在のブロックに対して輝度予測を実行するとき、オフセットパラメータは、現在のブロックの全体予測値の右シフトビット数を指示するために使用されることに留意されたい。
【0115】
さらに、本願の実施例において、デコーダは、MIPモードに従ってデコーディング処理を実行する前に、オフセットパラメータを、1つの固定の正の整数に設定ことができる。即ち、デコーダは、オフセットパラメータを設定した後、任意の現在のブロックに対して、前記現在のブロックのサイズに関係なく、前記現在のブロックに対応するMIPモード番号にも関係なく、使用されるオフセットパラメータは、すべて決定されている。
【0116】
本願の実施例において、デコーダは、オフセットパラメータに従って、異なるサイズおよび異なるMIPモード番号に対応する初期右シフトパラメータを統一化させる補正を実行するとき、オフセットパラメータを任意の正の整数に設定することができることに留意されたい。具体的に、デコーダは、好ましくて、オフセットパラメータsWを6に設定することができ、または好ましくて、オフセットパラメータsWを7に設定することができ、または好ましくて、オフセットパラメータsWを8に設定することができ、好ましくて、オフセットパラメータsWを9に設定することもできる。
【0117】
先行技術において、異なる現在のブロックに対応するオフセットパラメータsWは、異なる可能性があり、具体的に、MipSizeIdが1と等しい場合にのみ、即ち現在のブロックが第2タイプの輝度ブロックであり、サイズが4×8、8×4、8×8であり、且つ、MIPモード番号が3、8、12、17である場合にのみ、sWの値は、残りのすべてのMIPモード番号におけるsWの値と異なる。したがって、デコーダは、現在のブロックをデコーディングするとき、現在のブロックのサイズおよびMIPモード番号に従って、オフセットパラメータsWの照会および呼び出しを実行する必要があり、それにより、全体的な時間を増加し、コーデックの効率を低下する同時に、sWの文法説明表を記憶する必要があるため、記憶スペースも増加する。先行技術と比べて、本願は、MIPモードに従ってデコーディング処理を実行する前に、まず、オフセットパラメータsWを設定することができ、異なるサイズ、異なるMIPモード番号のすべての輝度ブロックに対応するオフセットパラメータsWを、すべて同じ値に設定して、現在のブロックをデコーディングするとき、現在のブロックのサイズおよびMIPモード番号に従って、オフセットパラメータsWの照会および呼び出しを実行する必要なく、且つ、デコーダも、sWの文法説明表を記憶する必要なく、さらに、コーデックプロセスに必要な記憶スペースおよび全体的な時間を減らし、コーデックの効率を効果的に改善する。
【0118】
本願の実施例において、デコーダは、オフセットパラメータsWを設定するとき、異なるサイズ、異なるMIPモード番号に対応するすべてのオフセットパラメータsWを、同じ値に設置するが、MipSizeIdが1と等しい場合にのみ、即ち、現在のブロックが、第2タイプの輝度ブロックであり、サイズが4×8、8×4、8×8であり、且つ、MIPモード番号が3、8、12、17である場合にのみ、sWの値は、残りのすべてのMIPモード番号のsWの値と異なり、したがって、デコーダは、オフセットパラメータに従って、異なるサイズおよび異なるMIPモード番号に対応する初期右シフトパラメータに対して、統一にsWを補正するとき、サイズが4×8、8×4、8×8であり、且つMIPモード番号が3、8、12、17であることに対応するオフセットパラメータsWを、設定することであることに留意されたい。
【0119】
これから分かるように、本願の実施例において、デコーダが、オフセットパラメータに従って、異なるサイズおよび異なるMIPモード番号に対応する初期右シフトパラメータを統一化させる補正を実行するプロセスは、即ち、初期右シフトパラメータが、オフセットパラメータと異なる場合、初期右シフトパラメータを、オフセットパラメータに補正して、すべてのサイズおよびすべてのMIPモード番号に対応する、すべての予測値の右シフトビット数をすべて同じくすることである。
【0120】
ステップ202において、MIPモードに従ってデコーディング処理を実行する場合、オフセットパラメータに従ってデコーディング処理を実行する。
【0121】
本願の実施例において、デコーダは、オフセットパラメータに従って、異なるサイズおよび異なるMIPモード番号に対応する初期右シフトパラメータを統一させる補正を実行した後、デコーダが、MIPモードに従ってデコーディング処理を実行するとき、設定したオフセットパラメータに基づいてデコーディング処理を実行することができる。
【0122】
本願の実施例において、デコーダは、オフセットパラメータを設定した後、MIPモードに従ってデコーディング処理を実行するとき、直接に、オフセットパラメータに従って、現在のブロックに対してデコーディング処理を実行することができることに留意されたい。これにより、コーデック性能を保証する基で、コーデックプロセスに必要な記憶スペースおよび全体的な時間を減らし、コーデックの効率を効果的に改善することができる。
【0123】
本願の実施例において、さらに、
図10は、本願実施例によって提案される画像デコーディング方法の例示的な実現フローチャート2であり、
図10に示されるように、デコーダは、オフセットパラメータに従って、異なるサイズおよび異なるMIPモード番号に対応する初期右シフトパラメータを統一化させる補正を実行した後、即ち、ステップ201の後、デコーダが画像デコーディングを実行する方法は、以下のステップをさらに含み得る。
【0124】
ステップ203において、プリセットの計算ルールに従って、初期重みマトリックスおよび初期バイアスマトリックスを補正して、補正後の重みマトリックスおよび補正後のバイアスマトリックスを取得し、ここで、初期重みマトリックスおよび初期バイアスマトリックスは、統一させる補正を実行した初期右シフトパラメータと対応する。
【0125】
本願の実施例において、デコーダは、オフセットパラメータに従って、異なるサイズおよび異なるMIPモード番号に対応する初期右シフトパラメータを統一化させる補正を実行した後、プリセットの計算ルールに従って初期重みマトリックスおよび初期バイアスマトリックスを補正することができ、それにより、補正後の重みマトリックスおよび補正後のバイアスマトリックスを取得し得る。
【0126】
本願の実施において、初期重みマトリックスおよび初期バイアスマトリックスは、統一化させる補正を実行した初期右シフトパラメータと対応することに留意されたい。
【0127】
本願の実施例において、プリセットの計算ルールは、サイズが4×8、8×4または8×8であり、且つ、MIPモード番号が3、8、12または17である場合に、対応する初期重みマトリックスおよび初期バイアスマトリックスを更新するために使用され得ることに留意されたい。
【0128】
さらに、本願の実施例において、デコーダが、オフセットパラメータ設定した後、即ち、サイズが4×8、8×4または8×8であり、且つ、MIPモード番号が3、8、12または17であることに対応するオフセットパラメータを補正後、コーデック性能が低下されることを防ぐため、さらに、対応する初期重みマトリックスおよび初期バイアスマトリックスに対して、更新処理を実行することができ、これにより、補正後の重みマトリックスおよび補正後のバイアスマトリックスを取得することができる。
【0129】
本願の実施例において、サイズが4×8、8×4または8×8であり、且つ、MIPモード番号が3、8、12または17である場合、デコーダは、プリセットの計算ルールに従って、補正後の重みマトリックスおよび補正後のバイアスマトリックスを取得するとき、複数の異なる方法を介して、対応する初期重みマトリックスおよび初期バイアスマトリックスを更新することができることに留意されたい。例えば、サイズが4×8、8×4または8×8であり、且つ、MIPモード番号が3、8、12または17である場合、デコーダは、切り捨ての計算ルールに従って、初期重みマトリックスにおける任意の要素値AをA/2に更新する同時に、初期バイアスマトリックスにおける任意の要素値BをB/2に更新して、補正後の重みマトリックスおよび補正後のバイアスマトリックスを取得し得る。ここで、AおよびBは、両方とも整数である。さらに、デコーダは、切り上げの計算ルールに従って、初期重みマトリックスにおける任意の要素値AをA/2に更新する同時に、初期バイアスマトリックスにおける任意の要素値BをB/2に更新して、補正後の重みマトリックスおよび補正後のバイアスマトリックスを取得することもできる。さらに、デコーダは、四捨五入の計算ルールに従って、初期重みマトリックスにおける任意の要素値AをA/2に更新する同時に、初期バイアスマトリックスにおける任意の要素値BをB/2に更新して、補正後の重みマトリックスおよび補正後のバイアスマトリックスを取得することもできる。
【0130】
ステップ204において、オフセットパラメータと、補正後の重みマトリックスおよび補正後のバイアスマトリックスに従って、デコーディング処理を実行する。
【0131】
本願の実施例において、デコーダが、MIPモードに従ってデコーディング処理を実行するとき、設定したオフセットパラメータと、補正後の重みマトリックスおよび補正後のバイアスマトリックスに基づいて、デコーディング処理を実行することができる。
【0132】
本願の実施例において、デコーダは、オフセットパラメータを設定した後、コーデック性能が低下されることを防ぐため、さらに、対応する初期重みマトリックスおよび初期バイアスマトリックスを更新して、補正後の重みマトリックスおよび補正後のバイアスマトリックスを取得し、MIPモードに従ってデコーディング処理を実行するときに、オフセットパラメータと、補正後の重みマトリックスおよび補正後のバイアスマトリックスに従って、現在のブロックに対して、デコーディング処理を実行することができることに留意されたい。これにより、コーデック性能を保証する基で、コーデックプロセスに必要な記憶スペースおよび全体的な時間を減らし、コーデックの効率を効果的に改善することができる。
【0133】
本願の実施例において、デコーダがオフセットパラメータを設定した後、直接に、オフセットパラメータと、初期重みマトリックスおよび初期バイアスマトリックスに従って、現在のブロックに対して、デコーディング処理を実行することもできることに留意されたい。即ち、デコーダは、オフセットパラメータの設定を完成した後、対応する初期重みマトリックスおよび初期バイアスマトリックスを更新しないこともできる。
【0134】
先行技術において、MIPモードを介して現在のブロックに対して輝度値を予測する場合、右シフトのビット数を不統一にする必要があり、即ち、オフセットパラメータsWが異なる必要があり、本願で提案される画像デコーディング方法は、オフセットパラメータを統一に設定して、MIPモードの実現をより簡単で統一にし、さらに、先行技術におけるオフセットパラメータsWが異なるため、右シフトビット数を表すsW表を記憶する必要があり、計算プロセスにおいて、現在のブロックに対応するsWを照会および呼び出して、MIPで計算される予測値が右シフトする必要があるビット数を決定し、本願で提案される画像デコーディング方法は、オフセットパラメータを統一に設定したため、右シフトビット数を表すsW表を記憶する必要なく、これにより、記憶スペースを節約する同時に、sWを照会および呼び出す処理プロセスを省略する。
【0135】
本願実施例で提案される画像デコーディング方法で、デコーダは、MIPモードに従ってデコーディング処理を実行する前に、オフセットパラメータに従って、異なるサイズおよび異なるMIPモード番号に対応する初期右シフトパラメータを統一化させる補正を実行し、ここで、オフセットパラメータは、予測値の右シフトビット数を指示するために使用され、および、MIPモードに従ってデコーディング処理を実行する場合、オフセットパラメータに従ってデコーディング処理を実行する。これから分かるように、本願によって提案される画像コーデック方法は、オフセットパラメータを使用して、予測値の右シフトビット数を統一化させる補正を実行することを介して、異なるサイズ、異なるMIPモード番号のすべての輝度ブロックに、同じsW値を持たせて、コーデック処理を実行するとき、sW値を照会および呼び出す必要なく、MIPアルゴリズムの複雑さを軽減し、コーデック性能を保証する基で、コーデックプロセスに必要な記憶スペースおよび全体的な時間を減らし、コーデックの効率を効果的に改善することができる。
【0136】
上記の実施例によると、本願のまた別の実施例において、
図11は、本願実施例によって提案されるエンコーダの構成の例示的な構造
図1であり、
図11に示されるように、本願実施例によって提案されるエンコーダ300は、第1補正部分301およびコーディング部分302を備えることができる。
【0137】
前記第1補正部分301は、MIPモードに従ってコーディング処理を実行する前に、オフセットパラメータに従って、異なるサイズおよび異なるMIPモード番号に対応する初期右シフトパラメータを統一化させる補正を実行するように構成され、ここで、前記オフセットパラメータは、予測値の右シフトビット数を指示するために使用される。
【0138】
前記コーディング部分302は、前記MIPモードに従ってコーディング処理を実行する場合、前記オフセットパラメータに従って、コーディング処理を実行するように構成される。
【0139】
前記第1補正部分301は、具体的に、前記初期右シフトパラメータが前記オフセットパラメータと異なる場合、前記初期右シフトパラメータを前記オフセットパラメータに補正して、すべてのサイズおよびすべてのMIPモード番号に対応する、すべての予測値の右シフトビット数をすべて同じくするように構成される。
【0140】
図12は、本願実施例によって提案されるエンコーダの構成の例示的な構造
図2であり、
図12に示されるように、本願実施例によって提案されるエンコーダ300は、さらに、第1プロセッサ303と、第1プロセッサ303実行可能命令を記憶する第1メモリ304と、第1通信インターフェース305と、第1プロセッサ303、第1メモリ304および第1通信インターフェース305を接続するために使用される第1バス306と、を備える。
【0141】
さらに、本願の実施例において、前記第1プロセッサ303は、MIPモードに従ってコーディング処理を実行する前に、オフセットパラメータに従って、異なるサイズおよび異なるMIPモード番号に対応する初期右シフトパラメータを統一化させる補正を実行するために使用され、ここで、前記オフセットパラメータは、予測値の右シフトビット数を指示するために使用され、および、前記MIPモードに従ってコーディング処理を実行する場合、前記オフセットパラメータに従ってコーディング処理を実行する。
【0142】
さらに、本実施例における各機能モジュールは、1つの処理ユニットに統合され得、または各ユニットが、物理的に別々に存在することもでき、2つまたは2つ以上のユニットを1つのユニットに統合することもできる。前記統合されるユニットは、ハードウェアの形を使用して実現されることができ、ソフトウェア機能モジュールの形を使用して実現されることもできる。
【0143】
統合されるユニットが、ソフトウェア機能モジュールの形で実現され、独立した製品として販売または使用されない場合、1つのコンピュータ可読記憶媒体に記憶されることができ、このような理解に基づいて、本実施例の技術的解決策は、本質でまたは先行技術に対して貢献のある部分、または当該技術的解決策の全部または一部は、ソフトウェア製品の形で具現されることができ、前記コンピュータソフトウェア製品は、1つの記憶媒体に記憶され、一台のコンピュータ機器(パーソナルコンピュータ、サーバ、またはネットワーク機器などであリ得る)、またはプロセッサ(processor)が、本実施例における方法のステップの全部または一部を実行させるために、いくつかの命令を含む。前述した記憶媒体は、Uディスク、モバイルハードディスク、読み取り専用メモリ(ROM:Read-Only Memory)、ランダムアクセスメモリ(RAM:Random Access Memory)、磁気ディスクまたは光ディスクなどの、プログラムコードを記憶することができる様々な媒体を含む。
【0144】
本願実施例は、エンコーダを提供し、前記エンコーダは、MIPモードに従ってコーディング処理を実行する前に、オフセットパラメータに従って、異なるサイズおよび異なるMIPモード番号に対応する初期右シフトパラメータを統一化させる補正を実行し、ここで、オフセットパラメータは、予測値の右シフトビット数を指示するために使用され、および、MIPモードに従ってコーディング処理を実行する場合、オフセットパラメータに従ってコーディング処理を実行する。これから分かるように、本願によって提案される画像コーデック方法は、オフセットパラメータを使用して、予測値の右シフトビット数を統一化させる補正を実行することを介して、異なるサイズ、異なるMIPモード番号のすべての輝度ブロックに、同じsW値を持たせて、コーデック処理を実行するとき、sW値を照会および呼び出す必要なく、MIPアルゴリズムの複雑さを軽減し、コーデック性能を保証する基で、コーデックプロセスに必要な記憶スペースおよび全体的な時間を減らし、コーデックの効率を効果的に改善することができる。
【0145】
図13は、本願実施例によって提案されるデコーダの構成の例示的な構造
図1であり、
図13に示されるように、本願実施例によって提案されるデコーダ400は、第1補正部分401およびデコーディング部分402を備えることができる。
【0146】
前記第2補正部分401は、MIPモードに従ってデコーディング処理を実行する前に、オフセットパラメータに従って、異なるサイズおよび異なるMIPモード番号に対応する初期右シフトパラメータを統一化させる補正を実行するように構成され、ここで、前記オフセットパラメータは、予測値の右シフトビット数を指示するために使用される。
【0147】
前記デコーディング部分402は、前記MIPモードに従ってデコーディング処理を実行する場合、前記オフセットパラメータに従って、デコーディング処理を実行するように構成される。
【0148】
前記第2補正部分401は、具体的に、前記初期右シフトパラメータが前記オフセットパラメータと異なる場合、前記初期右シフトパラメータを前記オフセットパラメータに補正して、すべてのサイズおよびすべてのMIPモード番号に対応する、すべての予測値の右シフトビット数をすべて同じくするように構成される。
【0149】
図14は、本願実施例によって提案されるデコーダの構成の例示的な構造
図2であり、
図14に示されるように、本願実施例によって提案されるデコーダ400は、さらに、第2プロセッサ403と、第2プロセッサ403実行可能命令を記憶する第2メモリ404と、第2通信インターフェース405と、第2プロセッサ403、第2メモリ404および第1通信インターフェース405を接続するために使用される第2バス406と、を備えることができる。
【0150】
さらに、本願の実施例において、前記第2プロセッサ403は、MIPモードに従ってデコーディング処理を実行する前に、オフセットパラメータに従って、異なるサイズおよび異なるMIPモード番号に対応する初期右シフトパラメータを統一化させる補正を実行するために使用され、ここで、前記オフセットパラメータは、予測値の右シフトビット数を指示するために使用され、および、前記MIPモードに従ってデコーディング処理を実行する場合、前記オフセットパラメータに従ってデコーディング処理を実行するために使用される。
【0151】
さらに、本実施例における各機能モジュールは、1つの処理ユニットに統合され得、または各ユニットが、物理的に別々に存在することもでき、2つまたは2つ以上のユニットを1つのユニットに統合することもできる。前記統合されるユニットは、ハードウェアの形を使用して実現されることができ、ソフトウェア機能モジュールの形を使用して実現されることもできる。
【0152】
統合されるユニットが、ソフトウェア機能モジュールの形で実現され、独立した製品として販売または使用されない場合、1つのコンピュータ可読記憶媒体に記憶されることができ、このような理解に基づいて、本実施例の技術的解決策は、本質でまたは先行技術に対して貢献のある部分、または当該技術的解決策の全部または一部は、ソフトウェア製品の形で具現されることができ、前記コンピュータソフトウェア製品は、1つの記憶媒体に記憶され、一台のコンピュータ機器(パーソナルコンピュータ、サーバ、またはネットワーク機器などであリ得る)、またはプロセッサ(processor)が、本実施例における方法のステップの全部または一部を実行させるために、いくつかの命令を含む。前述した記憶媒体は、Uディスク、モバイルハードディスク、読み取り専用メモリ(ROM:Read-Only Memory)、ランダムアクセスメモリ(RAM:Random Access Memory)、磁気ディスクまたは光ディスク等のプログラムコードを記憶することができる、様々な媒体を含む。
【0153】
本願実施例は、エンコーダを提供し、前記デコーダは、MIPモードに従ってデコーディング処理を実行する前に、オフセットパラメータに従って、異なるサイズおよび異なるMIPモード番号に対応する初期右シフトパラメータを統一化させる補正を実行し、および、MIPモードに従ってデコーディング処理を実行する場合、オフセットパラメータに従ってデコーディング処理を実行する。これから分かるように、本願によって提案される画像コーデック方法は、オフセットパラメータを使用して、予測値の右シフトビット数を統一化させる補正を実行することを介して、異なるサイズ、異なるMIPモード番号のすべての輝度ブロックに、同じsW値を持たせて、コーデック処理を実行するとき、sW値を照会および呼び出す必要なく、MIPアルゴリズムの複雑さを軽減し、コーデック性能を保証する基で、コーデックプロセスに必要な記憶スペースおよび全体的な時間を減らし、コーデックの効率を効果的に改善することができる。
【0154】
本願実施例は、プログラムが記憶される、コンピュータ可読記憶媒体およびコンピュータ可読記憶媒体を提供し、前記プログラムは、プロセッサによって実行されるとき、上記の実施例に記載の方法を実現する。
【0155】
具体的には、本実施例における画像コーディング方法に対応するプログラム命令は、光ディスク、ハードディスク、Uディスクなどの記憶媒体に記憶され得、記憶媒体における1つの画像コーディング方法に対応するプログラム命令が、電子機器によって読み取られるかまたは実行されるとき、
MIPモードに従ってコーディング処理を実行する前に、オフセットパラメータに従って、異なるサイズおよび異なるMIPモード番号に対応する初期右シフトパラメータを統一化させる補正を実行することであって、ここで、前記オフセットパラメータは、予測値の右シフトビット数を指示するために使用されること、および、
前記MIPモードに従ってコーディング処理を実行する場合、前記オフセットパラメータに従って、コーディング処理を実行すること、のステップを含む。
【0156】
具体的には、本実施例における画像デコーディング方法に対応するプログラム命令は、光ディスク、ハードディスク、Uディスクなどの記憶媒体に記憶され得、記憶媒体における1つの画像デコーディング方法に対応するプログラム命令が、電子機器によって読み取られるかまたは実行されるとき、
MIPモードに従ってデコーディング処理を実行する前に、オフセットパラメータに従って、異なるサイズおよび異なるMIPモード番号に対応する初期右シフトパラメータを統一化させる補正を実行することであって、ここで、前記オフセットパラメータは、予測値の右シフトビット数を指示するために使用されること、および、
前記MIPモードに従ってデコーディング処理を実行する場合、前記オフセットパラメータに従って、デコーディング処理を実行すること、のステップを含む。
【0157】
当業者は、本願の実施例は、方法、システム、またはコンピュータプログラム製品として提供され得ることを理解するであろう。したがって、本願は、ハードウェアの実施例、ソフトウェアの実施例、またはソフトウェアとハードウェアの組み合わせの実施例の形を採用することができる。さらに、本願は、コンピュータ利用可能なプログラムコードを含む1つまたは複数のコンピュータ利用可能な記憶媒体(ディスクメモリおよび光学メモリなどを含むが、これらに限定されない)で実施される、コンピュータプログラム製品の形を採用することができる。
【0158】
本願は、本願の実施例に係る方法、機器(システム)、およびコンピュータプログラム製品の例示的な実現フローチャートおよび/またはブロック図を参照して説明される。コンピュータプログラム命令によって、例示的な実現フローチャートおよび/またはブロック図の各プロセスおよび/またはブロック、および例示的な実現フローチャートおよび/またはブロック図のプロセスおよび/またはブロックの組み合わせを実現されることができることを理解されたい。これらのコンピュータプログラム命令を、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、組み込みプロセッサまたは他のプログラマブルデータ処理装置のプロセッサに提供して、1つの機械を生成して、コンピュータまたは他のプログラマブルデータ処理装置のプロセッサによって実行される命令を、例示的な実現フローチャートの1つのプロセスまたは複数のプロセスおよび/またはブロック図の1つのブロックまたは複数のブロックに指定される機能を実行するための装置を生成させる。
【0159】
これらのコンピュータプログラム命令は、コンピュータまたは他のプログラマブルデータ処理装置に、特定の方法で動作するようにガイドすることができる、コンピュータ可読メモリに記憶されて、前記コンピュータ可読メモリに記憶される命令に、命令装置を備える製品を生成させることもでき、前記命令装置は、例示的な実現フローチャートの1つのプロセスまたは複数のプロセスおよび/またはブロック図の1つのブロックまたは複数のブロックで指定される機能を具現する。
【0160】
これらのコンピュータプログラム命令は、コンピュータまたは他のプログラマブルデータ処理装置にロードすることもでき、コンピュータまたは他のプログラマブル装置に、一連の操作ステップを実行させて、コンピュータで実現される処理を生成するようにし、それにより、コンピュータまたは他のプログラマブル装置で実行される命令は、例示的な実現フローチャートの1つのプロセスまたは複数のプロセスおよび/またはブロック図の1つのブロックまたは複数のブロックで指定される機能を具現するためのステップを提供する。
【0161】
上記は、本願の好ましい実施例に過ぎず、本願の保護範囲を限定することを意図するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0162】
本願実施例は、画像コーデック方法、エンコーダ、デコーダおよび記憶媒体を提供し、エンコーダは、MIPモードに従ってコーディング処理を実行する前に、オフセットパラメータに従って、異なるサイズおよび異なるMIPモード番号に対応する初期右シフトパラメータを統一化させる補正を実行し、ここで、オフセットパラメータは、予測値の右シフトビット数を指示するために使用され、および、MIPモードに従ってコーディング処理を実行する場合、オフセットパラメータに従ってコーディング処理を実行する。デコーダは、MIPモードに従ってデコーディング処理を実行する前に、オフセットパラメータに従って、異なるサイズおよび異なるMIPモード番号に対応する初期右シフトパラメータを統一化させる補正を実行し、および、MIPモードに従ってデコーディング処理を実行する場合、オフセットパラメータに従ってデコーディング処理を実行する。これから分かるように、本願によって提案される画像コーデック方法は、オフセットパラメータを使用して、予測値の右シフトビット数を統一化させる補正を実行することを介して、異なるサイズ、異なるMIPモード番号のすべての輝度ブロックに、同じsW値を持たせて、コーデック処理を実行するとき、sW値を照会および呼び出す必要なく、MIPアルゴリズムの複雑さを軽減し、コーデック性能を保証する基で、コーデックプロセスに必要な記憶スペースおよび全体的な時間を減らし、コーデックの効率を効果的に改善することができる。