(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-04
(45)【発行日】2024-03-12
(54)【発明の名称】治療薬の持続放出用の胃内滞留システム及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
A61K 9/00 20060101AFI20240305BHJP
A61K 9/52 20060101ALI20240305BHJP
A61K 47/04 20060101ALI20240305BHJP
A61K 47/10 20170101ALI20240305BHJP
A61K 47/32 20060101ALI20240305BHJP
A61K 47/34 20170101ALI20240305BHJP
A61K 47/22 20060101ALI20240305BHJP
A61K 47/02 20060101ALI20240305BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20240305BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20240305BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20240305BHJP
A61K 47/24 20060101ALI20240305BHJP
A61K 47/20 20060101ALI20240305BHJP
A61K 47/44 20170101ALI20240305BHJP
A61K 31/65 20060101ALI20240305BHJP
A61K 31/445 20060101ALI20240305BHJP
A61K 31/7048 20060101ALI20240305BHJP
A61K 31/519 20060101ALI20240305BHJP
A61K 31/495 20060101ALI20240305BHJP
A61K 31/505 20060101ALI20240305BHJP
A61P 3/06 20060101ALI20240305BHJP
A61P 37/08 20060101ALI20240305BHJP
A61P 31/04 20060101ALI20240305BHJP
A61P 33/10 20060101ALI20240305BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20240305BHJP
A61P 25/18 20060101ALI20240305BHJP
【FI】
A61K9/00
A61K9/52
A61K47/04
A61K47/10
A61K47/32
A61K47/34
A61K47/22
A61K47/02
A61K47/36
A61K47/38
A61K47/12
A61K47/24
A61K47/20
A61K47/44
A61K31/65
A61K31/445
A61K31/7048
A61K31/519
A61K31/495
A61K31/505
A61P3/06
A61P37/08
A61P31/04
A61P33/10
A61P25/28
A61P25/18
(21)【出願番号】P 2022091617
(22)【出願日】2022-06-06
(62)【分割の表示】P 2018521218の分割
【原出願日】2016-10-21
【審査請求日】2022-07-06
(32)【優先日】2015-12-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2015-12-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2016-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2015-10-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2015-12-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2015-10-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518137726
【氏名又は名称】リンドラ セラピューティクス, インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100150810
【氏名又は名称】武居 良太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100134784
【氏名又は名称】中村 和美
(72)【発明者】
【氏名】ローズマリー カナスティー
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー ベリンガー
(72)【発明者】
【氏名】コリン ガードナー
(72)【発明者】
【氏名】タイラー グラント
(72)【発明者】
【氏名】サウミャ シン
【審査官】田澤 俊樹
(56)【参考文献】
【文献】特開平3-128934(JP,A)
【文献】特開昭62-26215(JP,A)
【文献】特表2006-518392(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0152410(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0116285(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第0388234(EP,A1)
【文献】特開平3-163011(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 9/00-9/72
47/00-47/69
31/00-33/44
A61P 1/00-43/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の担体ポリマー-薬剤成分を含む、患者に投与するための胃内滞留システムであって、
前記複数の担体ポリマー-薬剤成分が、
(i)治療薬又はその医薬的に許容される塩、
(ii)シリカ(SiO
2)を含む分散剤、
(iii)賦形剤、及び
(iv)担体ポリマー
を含み、
前記担体ポリマー-薬剤成分
は0.1%
~1%のシリカ(SiO
2)を含み、
前記賦形剤は、
(a)ポロキサマーP407を含む放出促進剤、
(b)安定化剤
を含み、
前記担体ポリマー-薬剤成分
は1%
~5%のポロキサマーP407を含み、
前記担体ポリマーは、酢酸ビニル・ビニルピロリドン共重合体(VA64)、及びポリカプロラクトンを含み、前記担体ポリマー-薬剤成分
は5%
~10%の酢酸ビニル・ビニルピロリドン共重合体(VA64)を含み、
前記担体ポリマー-薬剤成分は1種以上の結合ポリマー成分によって一緒に連結され、
前記1種以上の結合ポリマー成分の少なくとも1種はエラストマーであり;
前記胃内滞留システムは、容器内では経口投与又は栄養管を介して投与するのに適した圧縮形態を有し、容器から放出されたときは非圧縮形態を有するように構成され;
前記胃内滞留システムは、少なくと
も24時間
~1ヶ月の滞留期間、胃内に保持され;
前記システムは、治療有効量の治療薬を有効放出期間にわたって放出し;そして
前記システムは
、6時間以内には、治療薬又はその医薬的に許容される塩
の20%未満しか放出しない、システム。
【請求項2】
前記システムは
、30%
~70%の治療薬又はその医薬的に許容される塩を、有効放出期間
の40%~60%の時間内に放出する、請求項1に記載の胃内滞留システム。
【請求項3】
前記システムは
、70%を超える治療薬又はその医薬的に許容される塩を、有効放出期間
の90%の時間内に放出する、請求項1又は2に記載の胃内滞留システム。
【請求項4】
前記治療薬又はその医薬的に許容される塩の放出は、模擬胃液で測定される、請求項1~3のいずれか1項に記載の胃内滞留システム。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の胃内滞留システムであって、前記治療薬又はその医薬的に許容される塩の放出は、40%エタノール/60%模擬胃液中では、模擬胃液中の同じ時間での放出に対し
て40%以下である、胃内滞留システム。
【請求項6】
治療薬又はその医薬的に許容される塩は、前記担体ポリマー-薬剤成分中
に10%
~35%で含まれる、請求項1~5のいずれか1項に記載の胃内滞留システム。
【請求項7】
前記治療薬又はその医薬的に許容される塩は、ドキシサイクリン、ドネペジル、イベルメクチン、リスペリドン、セチリジン、及びロスバスタチンから成る群から選択される、請求項1~6のいずれか1項に記載の胃内滞留システム。
【請求項8】
前記治療薬又はその医薬的に許容される塩はリスペリドンである、請求項1~6のいずれか1項に記載の胃内滞留システム。
【請求項9】
前記担体ポリマー-薬剤成分が
、35%の前記治療薬又はその医薬的に許容される塩を含み、
前記担体ポリマー-薬剤成分が
、0.5%のシリカ(SiO
2)を含み、
前記担体ポリマー-薬剤成分が
、3%のポロキサマーP407を含み
、
前記担体ポリマー-薬剤成分が
、0.5%のトコフェロール及びアルファトコフェロールを含み、
前記担体ポリマー-薬剤成分が
、5%の酢酸ビニル・ビニルピロリドン共重合体(VA64)を含み、
前記担体ポリマー-薬剤成分の残量がポリカプロラクトンを含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の胃内滞留システム。
【請求項10】
前記放出促進剤は、アクリル酸ポリマー、アクリル酸コポリマー、ポリジオキサノン-ポリエチレングリコールポリマー、及びポリビニルピロリドンから成る群から選択される1以上の化合物を更に含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の胃内滞留システム。
【請求項11】
前記分散剤は、前記担体ポリマー-薬剤成分中
に0.1%
~4%で含まれる、請求項1~8及び10のいずれか1項に記載の胃内滞留システム。
【請求項12】
請求項1~8、10及び11のいずれか1項に記載の胃内滞留システムであって、分散剤は、多孔性無機材料、極性無機材料、非毒性金属酸化物、両親媒性有機分子、多糖、セルロース、セルロース誘導体、脂肪酸、界面活性剤、親水性ヒュームドシリカ、疎水性コロイド状シリカ、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ステアリン酸塩、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、微結晶セルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒプロメロース、リン脂質、ステアリン酸ポリオキシエチレン、酢酸亜鉛、アルギン酸、レシチン、ラウリル硫酸ナトリウム、及び酸化アルミニウムから成る群から選択される1以上の化合物を更に含む、システム。
【請求項13】
前記賦形剤は、可溶化剤を更に含む、請求項1~8及び10~12のいずれか1項に記載の胃内滞留システム。
【請求項14】
前記可溶化剤は、ポリアルキレンオキシド、ポリエトキシ化ヒマシ油、及び界面活性剤から成る群から選択される、請求項13に記載の胃内滞留システム。
【請求項15】
安定
化剤が前記担体ポリマー-薬剤成分中
に0.1%
~2%で含まれる、請求項1~8及び10~14のいずれか1項に記載の胃内滞留システム。
【請求項16】
請求項15に記載の胃内滞留システムであって、前記安定
化剤が、抗酸化剤、アスコルビン酸、アスコルビン酸塩、カロチン、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、フマル酸、抗菌剤、緩衝物質、炭酸カルシウム、乳酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸ナトリウム、及び重炭酸ナトリウムから成る群から選択される1種以上の化合物
を含む、システム。
【請求項17】
前記ポリカプロラクトン
は60,000
~100,000の平均M
nを有する、請求項1~16のいずれか1項に記載の胃内滞留システム。
【請求項18】
前記治療薬又はその医薬的に許容される塩が1mg/ml未満の水中の溶解度を有する、請求項1~17のいずれか1項に記載の胃内滞留システム。
【請求項19】
前記可溶化剤がポリビニルカプロラクタム、ポリ酢酸ビニル、及びポリエチレングリコールのコポリマーである、請求項13に記載の胃内滞留システム。
【請求項20】
少なくとも1つの担体ポリマー-薬剤成分を含む、患者に投与するための胃内滞留システムであって、
前記担体ポリマー-薬剤成分が、
(i)治療薬又はその医薬的に許容される塩、
(ii)シリカ(SiO
2)を含む分散剤、
及び
(iii)賦形剤、及び
(iv)担体ポリマー
を含み、
前記担体ポリマー-薬剤成分
は0.1%
~1%のシリカ(SiO
2)を含み、
前記賦形剤は、
(a)ポロキサマーP407を含む放出促進剤、
(b)安定化剤
を含み、前記担体ポリマー-薬剤成分
は1%
~5%のポロキサマーP407を含み、
前記担体ポリマーは、酢酸ビニル・ビニルピロリドン共重合体(VA64)、及びポリカプロラクトンを含み、前記担体ポリマー-薬剤成分は酢酸ビニル・ビニルピロリドン共重合体(VA64)を含み、
前記担体ポリマー-薬剤成分は1種以上の結合ポリマー成分によって胃内滞留システムに連結され、
前記1種以上の結合ポリマー成分の少なくとも1種はエラストマーであり;
前記胃内滞留システムは、容器内では経口投与又は栄養管を介して投与するのに適した圧縮形態を有し、容器から放出されたときは非圧縮形態を有するように構成され;
前記胃内滞留システムは、少なくと
も24時間
~1ヶ月の滞留期間、胃内に保持され;
前記システムは、治療有効量の治療薬を有効放出期間にわたって放出し;そして
前記システムは
、6時間以内には、治療薬又はその医薬的に許容される塩
の20%未満しか放出しない、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、治療薬の持続的な胃内放出のための胃内滞留システム及びその使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(関連出願への相互参照)
本出願は、2015年10月23日に出願された米国仮特許出願第62/245,789号、2015年10月23日に出願された米国仮特許出願第62/245,797号、2015年12月8日に出願された米国仮特許出願第62/264,795号;2015年12月8日に出願された米国仮特許出願第62/264,799号、2015年12月8日に出願された米国仮特許出願第62/264,806号、及び2016年9月30日に出願された米国仮特許出願第62/402,947号の優先権を主張する。これらの特許出願の各々の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
(発明の背景)
胃内滞留システムはまた、治療薬が数日から数週間又はより長期間にわたって胃内にとどまり、その間に薬剤又は他の物質がそのシステムから溶出して胃腸管に吸収される、送達システムである。そのようなシステムの例は、国際特許出願PCT/US2015/035423(WO2015/191920)に記載されている。胃内滞留システムは、最も簡便には、圧縮された形態のカプセルを介して患者に投与される。胃内でカプセルが溶解すると、システムは所望の滞留期間にわたって幽門括約筋中の通過に抵抗するサイズまで拡張する。胃内環境において長期間にわたって定常状態でシステムが治療薬を放出する必要があるために、システムの調製に対して特に厳しい要求が課される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、胃内滞留中の治療薬を溶出させる成分中の分散剤の使用と、所望のサイズへの治療薬の粉砕とを含む、胃内滞留システムの調製の進歩を記載する。本明細書に記載されるシステムは、患者に投与されたときのシステムの改善された性能を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
いくつかの実施態様において、本発明は、i)担体ポリマーと、ii)治療薬又はその医薬的に許容し得る塩とを含む複数の担体ポリマー-薬剤成分を含む、患者に投与するための胃内滞留システムを提供し、ここで、担体ポリマー-薬剤成分は1種以上の結合ポリマー(coupling polymer)成分によって一緒に連結され、1種以上の結合ポリマー成分の少なくとも1種はエラストマーであり;胃内滞留システムは、容器内では経口投与又は栄養管を介して投与するのに適した圧縮形態を有し、容器から放出されたときは非圧縮形態を有するように構成され;胃内滞留システムは、少なくとも約24時間~約1ヶ月の滞留期間、胃内に保持される。システムは、治療有効量の治療薬を有効放出期間にわたって放出し;システムは、約6時間以内には、治療薬又はその医薬的に許容し得る塩の約20%未満しか放出しない。いくつかの実施態様において、有効放出期間は滞留期間以下である。いくつかの実施態様において、有効放出期間は(滞留期間+約24時間)以下である。いくつかの実施態様において、有効放出期間は(滞留期間+約48時間)以下である。いくつかの実施態様において、有効放出期間は(滞留期間+約72時間)以下である。いくつかの実施態様において、有効放出期間は約3日間である。いくつかの実施態様において、有効放出期間は約7日間である。いくつかの実施態様において、有効放出期間は約10日間である。いくつかの実施態様において、有効放出期間は約14日間である。いくつかの実施態様において、有効放出期間は約20日間である。いくつかの実施態様において、有効放出期間は約21日間である。いくつかの実施態様において、有効放出期間は約28日間である。いくつかの実施態様において、有効放出期間は約30日間である。いくつかの実施態様において、有効放出期間は約1ヶ月である。いくつかの実施態様において、有効放出期間は約1ヶ月であり得る。いくつかの実施態様において、有効放出期間は約3日間~約1ヶ月、約3日間~約4週間、約3日間~約2週間、約3日間~約14日間、約3日間~約7日間、又は約3日間~約5日間であり得る。いくつかの実施態様において、有効放出期間は約7日間~約1ヵ月、約7日間~約4週間、約7日間~約2週間、約7日間~約14日間、又は約7日間~約10日間であり得る。これらの実施態様のいずれかにおいて、有効放出期間は約24時間~約2週間、約24時間~約1週間、約24時間~約3週間、約1日、約2日間、約3日間、約4日間、約5日間、約6日間、約7日間、約8日間、約9日間、約10日間、約2週間、約3週間、約4週間、又は約1ヶ月間であり得る。これらの実施態様のいずれかにおいて、滞留期間は、有効放出期間より約24時間~約2週間、約24時間~約1週間、約24時間~3日間、約1日、約2日間、約3日間、約4日間、約5日間、約6日間、約7日間、約8日間、約9日間、又は約10日間以上長くてもよい。
【0006】
いくつかの実施態様において、システムは、約30%~約70%の治療薬又はその医薬的に許容し得る塩を、有効放出期間の約40%~60%の時間内に放出する。
【0007】
いくつかの実施態様において、システムは、約70%を超える治療薬又はその医薬的に許容し得る塩を有効放出期間の約90%の時間内に放出する。
【0008】
治療薬又はその医薬的に許容し得る塩の放出は、0.1N塩酸、模擬胃液(simulated gastric fluid)、絶食状態模擬胃液、摂食状態模擬胃液、動物の胃、ブタの胃、イヌの胃、及びヒトの胃から成る群から選択される水性環境で測定することができる。治療薬又はその医薬的に許容し得る塩の放出は、0.1N塩酸中で測定することができる。治療薬又はその医薬的に許容し得る塩の放出は、絶食状態模擬胃液中で測定することができる。治療薬又はその医薬的に許容し得る塩の放出は、摂食状態模擬胃液中で測定することができる。
【0009】
胃内滞留システムいくつかの実施態様において、治療薬又はその医薬的に許容し得る塩の放出は、40%エタノール/60%0.1N塩酸中では、0.1N塩酸中の同じ時間での放出に対して、約40%以下であり、又は40%エタノール/60%模擬胃液中では、模擬胃液中の同じ時間での放出に対して約40%以下であり、又は40%エタノール/60%絶食状態模擬胃液中では、絶食状態模擬胃液中の同じ時間での放出に対して約40%以下であり、又は40%エタノール/60%摂食状態模擬胃液中では、摂食状態模擬胃液中の同じ時間での放出に対して約40%以下である。この時間は、約15分、約30分、約45分、約60分、約90分、又は約120分でもよい。
【0010】
胃内滞留システムのいくつかの実施態様において、胃内滞留システムは、40%エタノール/60%0.1N塩酸中では、約15分、約30分、約45分、約60分、約90分、又は約120分であってよい時間の後、約20%以下の治療薬を放出する。胃内滞留システムのいくつかの実施態様において、胃内滞留システムは、40%エタノール/60%0.1N塩酸中では、約120分後に、約20%以下の治療薬を放出する。
【0011】
胃内滞留システムのいくつかの実施態様において、ii)治療薬又はその医薬的に許容し得る塩は、約10%~約35%の担体ポリマー-薬剤成分を含有する。治療薬又はその医薬的に許容し得る塩は、ドキシサイクリン、ドネペジル、イベルメクチン、リスペリドン、セチリジン、及びロスバスタチン、及びこれらの医薬的に許容し得る塩から成る群から選択することができる。いくつかの実施態様において、治療薬又はその医薬的に許容し得る塩は、ドキシサイクリン又はその医薬的に許容し得る塩である。いくつかの局面において、治療薬又はその医薬的に許容し得る塩は、ドネペジル又はその医薬的に許容し得る塩である。いくつかの実施態様において、治療薬又はその医薬的に許容し得る塩は、イベルメクチン又はその医薬的に許容し得る塩である。いくつかの実施態様において、治療薬又はその医薬的に許容し得る塩は、リスペリドン又はその医薬的に許容し得る塩である。いくつかの実施態様において、治療薬又はその医薬的に許容し得る塩は、セチリジン又はその医薬的に許容し得る塩である。いくつかの実施態様において、治療薬又はその医薬的に許容し得る塩は、ロスバスタチン又はその医薬的に許容し得る塩である。胃内滞留システムのいくつかの実施態様において、治療薬は、メマンチンのようなアダマンタン類薬剤;アマンタジン;アダプロミン;ニトロメマンチン;リマンタジン;ブロマンタン;ネラメキサン;又はトロマンタジン;又は、メマンチン、アマンタジン、アダプロミン、ニトロメマンチン、リマンタジン、ブロマンタン、又はトロマンタジンの医薬的に許容し得る塩を含むことができる。胃内滞留システムのいくつかの実施態様において、治療薬はメマンチンを含み得る。胃内滞留システムのいくつかの実施態様において、治療薬はメマンチンの医薬的に許容し得る塩を含み得る。胃内滞留システムのいくつかの実施態様において、治療薬はアダマンタン類薬剤を除外することができる。胃内滞留システムのいくつかの実施態様において、治療薬は、メマンチン;アマンタジン;アダプロミン;ニトロメマンチン;リマンタジン;ブロマンタン;ネラメキサン;又はトロマンタジン;又は、メマンチン、アマンタジン、アダプロミン、ニトロメマンチン、リマンタジン、ブロマンタン、又はトロマンタジンの医薬的に許容し得る塩の任意の1個以上を除外することができる。胃内滞留システムのいくつかの実施態様において、治療薬はメマンチンを除外することができる。胃内滞留システムのいくつかの実施態様において、治療薬はメマンチンの塩又はメマンチンの医薬的に許容し得る塩を除外することができる。
【0012】
胃内滞留システムのいくつかの実施態様において、担体ポリマー-薬剤成分は、iii)放出促進剤をさらに含む。放出促進剤は、約2%~約30%の担体ポリマー-薬剤成分を含む。例えば1mg/ml未満の溶解度、又は1mg/ml以下の溶解度を有する薬剤などの疎水性薬剤については、放出促進剤は、約2%~約50%の担体ポリマー-薬剤成分を含む。放出促進剤は、アクリル酸ポリマー、アクリル酸コポリマー、ポリジオキサノン-ポリエチレングリコールポリマー、及びポリビニルピロリドンから成る群から選択することができる。アクリル酸ポリマー又はアクリル酸コポリマーは、場合により約1:2:0.1、約1:2:0.2、又は約1:2:0.1~約1:2:0.2のモル比の、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、及びメタクリル酸トリメチルアンモニオエチルのコポリマーを含むことができ;又はアクリル酸ポリマー若しくはアクリル酸コポリマーは、場合により約2:1:1~約1:1:1のモル比の、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ブチル、及びメタクリル酸メチルのコポリマーを、含むことができる。
【0013】
胃内滞留システムのいくつかの実施態様において、担体ポリマー-薬剤成分は、iv)分散剤をさらに含む。分散剤は、約0.1%~約4%の担体ポリマー-薬剤成分を含み得る。分散剤は、多孔性無機材料、極性無機材料、非毒性金属酸化物、両親媒性有機分子、多糖、セルロース、セルロース誘導体、脂肪酸、界面活性剤、シリカ、親水性ヒュームドシリカ、疎水性コロイド状シリカ、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ステアリン酸塩、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、微結晶セルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒプロメロース、リン脂質、ステアリン酸ポリオキシエチレン、酢酸亜鉛、アルギン酸、レシチン、ラウリル硫酸ナトリウム、及び酸化アルミニウムから成る群から選択することができる。分散剤は、親水性-ヒュームドシリカなどのシリカを含むことができる。
【0014】
胃内滞留システムのいくつかの実施態様において、担体ポリマー-薬剤成分は、v)可溶化剤をさらに含む。可溶化剤は、約1%~約10%の担体ポリマー-薬剤成分を含むことができる。可溶化剤は、ポリアルキレンオキシド、ポリエトキシ化ヒマシ油、及び界面活性剤から成る群から選択することができる。可溶化剤がポリアルキレンオキシドである場合、それは、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)、及びPEGとPPGのブロックコポリマーから成る群から選択することができる。可溶化剤がPEGとPPGのブロックコポリマーである場合、それは、式H-(OCH2CH2)X-(O-CH(CH3)CH2)Y-(OCH2CH2)Z-OHであることができ、ここで、X及びZは独立に約95~約105であり、yは約50~約60であり、x及びzは約101であり、yは約56である。
【0015】
胃内滞留システムのいくつかの実施態様において、担体ポリマー-薬剤成分は、vi)安定剤をさらに含む。安定剤は、約0.1%~約2%の担体ポリマー-薬剤成分を含むことができる。安定剤は、抗酸化剤、トコフェロール、アルファトコフェロール、アスコルビン酸、アスコルビン酸塩、カロチン、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、フマル酸、抗菌剤、緩衝物質、炭酸カルシウム、乳酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸ナトリウム、及び重炭酸ナトリウムから成る群から選択される一種以上の化合物を含むことができる。
【0016】
胃内滞留システムのいくつかの実施態様において、担体ポリマーはポリラクトンを含む。
【0017】
いくつかの実施態様において、ポリラクトンは、ポリカプロラクトン、例えば約60,000~100,000の平均Mnを有するポリカプロラクトン;約75,000~85,000の平均Mnを有するポリカプロラクトン;又は約80,000の平均Mnを有するポリカプロラクトンを含む。
【0018】
胃内滞留システムのいくつかの実施態様において、可溶化剤が存在する場合、可溶化剤は、約5%以下の担体ポリマー-薬剤成分を含み;1個以上の可溶化剤、放出促進剤、分散剤、又は安定剤が存在する場合、存在する任意の可溶化剤、放出促進剤、分散剤、及び安定剤の総組合せ量は、約30%以下の担体ポリマー-薬剤成分を含む。
【0019】
1つの実施態様において本発明は、複数の担体ポリマー-薬剤成分を含む、患者への投与のための胃内滞留システムを包含し、ここで、担体ポリマー-薬剤成分は、i)担体ポリマー、ii)分散剤、iii)治療薬又はその塩を含み、前記複数の担体ポリマー-薬剤成分は、1種以上の結合ポリマー成分により一緒に連結され、前記1種以上の結合ポリマー成分の少なくとも1種はエラストマーであり;胃内滞留システムは、容器内では経口投与又は栄養管を介して投与するのに適した圧縮形態を有し;患者の胃の中で容器から放出されたときは、非圧縮形態を有するように構成され;胃内滞留システムは、少なくとも約24時間、胃内に維持され;そして、システムは、システムが胃内に維持される期間の少なくとも一部にわたって、治療有効量の治療薬を放出する。
【0020】
分散剤は、多孔性無機材料、極性無機材料、シリカ、親水性ヒュームドシリカ、ステアリン酸塩、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、微結晶セルロース、カルボキシメチルセルロース、疎水性コロイド状シリカ、ヒプロメロース、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、リン脂質、ステアリン酸ポリオキシエチレン、酢酸亜鉛、アルギン酸、レシチン、脂肪酸、ラウリル硫酸ナトリウム、非毒性金属酸化物、及び酸化アルミニウムから成る群から選択される化合物を含むことができる。分散剤は、シリカ、又は親水性ヒュームドシリカ、例えばCAB-O-SIL(登録商標)M-5P(CAS#112945-52-5)を含むことができる。
【0021】
胃内滞留システムでは、治療薬又はその塩は、担体ポリマー中に分散された粒子を含むことができる。1つの実施態様において、治療薬粒子の質量の少なくとも約80%は、直径約2ミクロン~約50ミクロンの範囲である。
【0022】
1つの実施態様において、胃内滞留システム内の治療薬又はその塩は、親水性治療薬又はその塩でもよい。1つの実施態様において、親水性治療薬又はその塩は、0.5以下のlogPoctを有することができる。1つの実施態様において、親水性治療薬又はその塩は、少なくとも約1mg/mlの水中の溶解度を有することができる。別の実施態様において、胃液への暴露の最初の約6時間以内に溶出される、システム内に含有される親水性治療薬又はその塩は、約10%未満である。別の実施態様において、胃液への暴露の最初の約6時間以内にシステムから溶出される親水性治療薬又はその塩の量は、分散剤無しでシステムから溶出される治療薬又はその塩の量の約50%以下である。
【0023】
ある実施態様において、胃内滞留システムは、親水性治療薬又はその塩を含み、担体ポリマー-薬剤成分は、約1%~約30%の親水性治療薬又はその塩、約0.5%~約2.5%の分散剤、及び約67.5%~約98.5の担体ポリマーを含む。
【0024】
1つの実施態様において、胃内滞留システム中の治療薬又はその塩は、疎水性治療薬又はその塩であってもよい。1つの実施態様において、疎水性治療薬又はその塩は、約1以上のlogPoctを有する。1つの実施態様において、疎水性治療薬又はその塩は、約1mg/ml未満の水中の溶解度を有することができる。1つの実施態様において、疎水性治療薬又はその塩は、水中よりもエタノール中でより高い溶解度を有する。1つの実施態様において、疎水性治療薬又はその塩は、100%模擬胃液よりも40%エタノール/60%模擬胃液中で、より高い溶解度を有する。
【0025】
さらなる実施態様において、胃内滞留システムが疎水性治療薬又はその塩を含む場合、担体ポリマー-薬剤成分は、約1%~約30%の疎水性治療薬又はその塩、約0.5%~約2.5%の分散剤、及び約67.5%~約98.5%の担体ポリマーを含む。
【0026】
胃内滞留システムの任意の実施態様において、胃内滞留システムで使用される担体ポリマーは、ポリカプロラクトン、例えば、数平均分子量(Mn)範囲が、約60キロダルトン(kDa)~約100kDa、75kDa~85kDa、又は約80kDa、又は約45kDa~約55kDaである線形ポリカプロラクトン、を含むことができる。
【0027】
胃内滞留システムの任意の実施態様において、複数の担体ポリマー-薬剤成分は、2種以上の結合ポリマー成分により、一緒に連結することができ、ここで、2種以上の結合ポリマー成分の少なくとも1種はエラストマーであり、2種以上の結合ポリマー成分の別の少なくとも1種は、腸溶性ポリマーである。さらなる実施態様において、腸溶性ポリマーは、ポリ(メタクリル酸-コ-アクリル酸エチル)、酢酸フタル酸セルロース、酢酸コハク酸セルロース、及びフタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロースから成る群から選択される選択することができる。
【0028】
別の実施態様において、胃内滞留システムは、胃内に約5日~約7日間保持される。
【0029】
上記した及び本明細書の任意の実施態様の特徴は、適切かつ実用的である場合には、上記した及び本明細書の任意の他の実施態様に適合する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本発明の胃内滞留システムの1つの実施態様を示す。
【
図2】
本発明の胃内滞留システムの別の実施態様を示す。
【
図2A】本発明の胃内滞留システムの別の実施態様を示す。
【
図2C】本発明の胃内滞留システムの別の実施態様を示す。
【
図3】折りたたまれた構成の
図2の胃内滞留システムの実施態様を示す。折りたたまれた構成のシステムを保持するカプセルは図示されていない。
【
図4A】担体ポリマー配合物中の酸化分解に対するセチリジンの保護を示す。トレースAは、酸化条件に暴露する前の、ポリカプロラクトン/プルロニック407担体ポリマー配合物から抽出されたセチリジンのHPLC分析を示す。トレースBは、酸化条件に暴露
された、溶液中のセチリジンのHPLC分析を示す。トレースC、D、及びEは、酸化に異なる時間暴露した後のポリカプロラクトン/プルロニック407担体ポリマー配合物中のセチリジンのHPLC分析を示す。
【
図4B】担体ポリマー配合物中の酸化分解に対するセチリジンの保護を示す。トレースAは、酸化条件に暴露する前の、ポリカプロラクトン/プルロニック407担体ポリマー配合物から抽出されたセチリジンのHPLC分析を示す。トレースBは、酸化条件に暴露
された、溶液中のセチリジンのHPLC分析を示す。トレースC、D、及びEは、酸化に異なる時間暴露した後のポリカプロラクトン/プルロニック407担体ポリマー配合物中のセチリジンのHPLC分析を示す。
【
図4C】担体ポリマー配合物中の酸化分解に対するセチリジンの保護を示す。トレースAは、酸化条件に暴露する前の、ポリカプロラクトン/プルロニック407担体ポリマー配合物から抽出されたセチリジンのHPLC分析を示す。トレースBは、酸化条件に暴露
された、溶液中のセチリジンのHPLC分析を示す。トレースC、D、及びEは、酸化に異なる時間暴露した後のポリカプロラクトン/プルロニック407担体ポリマー配合物中のセチリジンのHPLC分析を示す。
【
図4D】担体ポリマー配合物中の酸化分解に対するセチリジンの保護を示す。トレースAは、酸化条件に暴露する前の、ポリカプロラクトン/プルロニック407担体ポリマー配合物から抽出されたセチリジンのHPLC分析を示す。トレースBは、酸化条件に暴露
された、溶液中のセチリジンのHPLC分析を示す。トレースC、D、及びEは、酸化に異なる時間暴露した後のポリカプロラクトン/プルロニック407担体ポリマー配合物中のセチリジンのHPLC分析を示す。
【
図4E】担体ポリマー配合物中の酸化分解に対するセチリジンの保護を示す。トレースAは、酸化条件に暴露する前の、ポリカプロラクトン/プルロニック407担体ポリマー配合物から抽出されたセチリジンのHPLC分析を示す。トレースBは、酸化条件に暴露
された、溶液中のセチリジンのHPLC分析を示す。トレースC、D、及びEは、酸化に異なる時間暴露した後のポリカプロラクトン/プルロニック407担体ポリマー配合物中のセチリジンのHPLC分析を示す。
【
図5A】異なる量のプルロニック407賦形剤ポリマーを含むポリカプロラクトン担体ポリマー配合物からの、セチリジンのバースト放出を示す。パネルAは、3時間後の模擬胃液への放出を示し、パネルBは6時間後の模擬胃液への放出を示す。
【
図5B】異なる量のプルロニック407賦形剤ポリマーを含むポリカプロラクトン担体ポリマー配合物からの、セチリジンのバースト放出を示す。パネルAは、3時間後の模擬胃液への放出を示し、パネルBは6時間後の模擬胃液への放出を示す。
【
図6】追加の賦形剤又は分散剤を含まず、異なる量の賦形剤又は分散剤を含むポリカプロラクトン担体ポリマー剤配合物からの、セチリジンのバースト放出を示す。黒い棒(塗りつぶし)、3時間後に放出;白い棒(塗りつぶしていない)、6時間後に放出。
【
図7】追加の分散剤を含まず、異なる量のSiO
2分散剤を含むポリカプロラクトン担体ポリマー-薬剤配合物からの、セチリジンのバースト放出を示す。
【
図8】異なるポリカプロラクトン担体ポリマー 薬剤配合物からの、7日間にわたるセチリジンの累積放出を示す。7日目に、追加の賦形剤又は分散剤(黒丸)を含まないPCL-セチリジン配合物は最も多いセチリジン放出を示し、次に2%のP407を有するPCL-セチリジン配合物(黒三角)、2%のP407と急速冷却を有するPCL-セチリジン配合物(白三角)、5%ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HMPC)を有するPCL-セチリジン配合物(黒四角)が続き、一方、2%SiO
2を有するPCL-セチリジン配合物(Xのマーク)は、7日間後と7日間にわたる毎日、最も低い放出を示した。
【
図9A】未処理のイベルメクチン(A)、1時間粉砕したイベルメクチン(B)、及び1%のSiO
2で1時間粉砕したイベルメクチン(C)の画像を示し、未処理のイベルメクチンを有するPCL配合物(AA)、イベルメクチンを1時間粉砕したPCL配合物(BB)、及び1%のSiO
2とともに1時間粉砕したイベルメクチンを有するPCL配合物(CC)の画像を示す。
【
図9B】未処理のイベルメクチン(A)、1時間粉砕したイベルメクチン(B)、及び1%のSiO
2で1時間粉砕したイベルメクチン(C)の画像を示し、未処理のイベルメクチンを有するPCL配合物(AA)、イベルメクチンを1時間粉砕したPCL配合物(BB)、及び1%のSiO
2とともに1時間粉砕したイベルメクチンを有するPCL配合物(CC)の画像を示す。
【
図9C】未処理のイベルメクチン(A)、1時間粉砕したイベルメクチン(B)、及び1%のSiO
2で1時間粉砕したイベルメクチン(C)の画像を示し、未処理のイベルメクチンを有するPCL配合物(AA)、イベルメクチンを1時間粉砕したPCL配合物(BB)、及び1%のSiO
2とともに1時間粉砕したイベルメクチンを有するPCL配合物(CC)の画像を示す。
【
図10A】未処理リスペリドン(A)、1%のSiO
2とともに粉砕したリスペリドン(B、倍率2×;C、倍率40×)、三井処理リスペリドンを有するPCL配合物(AA)、1%のSiO
2とともに粉砕したリスペリドンを有するPCL配合物(BB、倍率2×;CC、倍率40×)。
【
図10B】未処理リスペリドン(A)、1%のSiO
2とともに粉砕したリスペリドン(B、倍率2×;C、倍率40×)、三井処理リスペリドンを有するPCL配合物(AA)、1%のSiO
2とともに粉砕したリスペリドンを有するPCL配合物(BB、倍率2×;CC、倍率40×)。
【
図10C】未処理リスペリドン(A)、1%のSiO
2とともに粉砕したリスペリドン(B、倍率2×;C、倍率40×)、三井処理リスペリドンを有するPCL配合物(AA)、1%のSiO
2とともに粉砕したリスペリドンを有するPCL配合物(BB、倍率2×;CC、倍率40×)。
【
図11】24時間にわたる模擬胃液中のイベルメクチン配合物からの放出を示す。
【
図12】イベルメクチン薬剤添加アームの4点曲げ試験を示す。
【
図13】6時間にわたる模擬胃液中の種々のリスペリドン配合物のバースト放出を示す。
【
図14】6時間にわたる模擬胃液中の種々のリスペリドン配合物のバースト放出を、拡大した直交するスケールで示す。
【
図15】ポリカプロラクトンと追加の賦形剤の種々の混合(25%ロスバスタチン+記載の%の追加の賦形剤;残りはポリカプロラクトン)からのロスバスタチン(RS)のインビトロ放出速度を示す。略語:PCL、ポリカプロラクトン;RH40、コリフォール(Kolliphor)RH40;P407、プルロニックP407;VA74、コリドン(Kollidon)VA64;PVA、ポリ酢酸ビニル;PVP、ポリビニルピロリドン。
【
図16A】様々な条件下でのロスバスタチンのUPLC分析を示す。トレースAは、純粋なロスバスタチンのUPLC分析を示す。トレースBは、37℃で0.1M HCl溶液中で2日後のロスバスタチンのUPLC分析を示す。トレースCは、37℃で0.1M HCl溶液中で2日後に、ポリカプロラクトン配合物から放出されたロスバスタチンのUPLC分析を示す。トレースDは、37℃で0.1M HCl溶液中で18日後に、ポリカプロラクトン配合物から放出されたロスバスタチンのUPLC分析を示す。
【
図16B】様々な条件下でのロスバスタチンのUPLC分析を示す。トレースAは、純粋なロスバスタチンのUPLC分析を示す。トレースBは、37℃で0.1M HCl溶液中で2日後のロスバスタチンのUPLC分析を示す。トレースCは、37℃で0.1M HCl溶液中で2日後に、ポリカプロラクトン配合物から放出されたロスバスタチンのUPLC分析を示す。トレースDは、37℃で0.1M HCl溶液中で18日後に、ポリカプロラクトン配合物から放出されたロスバスタチンのUPLC分析を示す。
【
図16C】様々な条件下でのロスバスタチンのUPLC分析を示す。トレースAは、純粋なロスバスタチンのUPLC分析を示す。トレースBは、37℃で0.1M HCl溶液中で2日後のロスバスタチンのUPLC分析を示す。トレースCは、37℃で0.1M HCl溶液中で2日後に、ポリカプロラクトン配合物から放出されたロスバスタチンのUPLC分析を示す。トレースDは、37℃で0.1M HCl溶液中で18日後に、ポリカプロラクトン配合物から放出されたロスバスタチンのUPLC分析を示す。
【
図16D】様々な条件下でのロスバスタチンのUPLC分析を示す。トレースAは、純粋なロスバスタチンのUPLC分析を示す。トレースBは、37℃で0.1M HCl溶液中で2日後のロスバスタチンのUPLC分析を示す。トレースCは、37℃で0.1M HCl溶液中で2日後に、ポリカプロラクトン配合物から放出されたロスバスタチンのUPLC分析を示す。トレースDは、37℃で0.1M HCl溶液中で18日後に、ポリカプロラクトン配合物から放出されたロスバスタチンのUPLC分析を示す。
【
図17A】ロスバスタチンカルシウム粉末中でころがしたポリカプロラクトンビーズの表面の明視野顕微鏡画像を示す。画像のスケール棒は100ミクロンである。
【
図17B】ポリカプロラクトンビーズの端部におけるロスバスタチンカルシウム粉末の明視野顕微鏡画像を示す。画像のスケール棒は100ミクロンである。
【
図19】ロスバスタチンカルシウム粉末、ポリカプロラクトン(PCL)、及びPCL配合物中で配合したロスバスタチンカルシウムのX線回折パターンを示す。
【
図20】PCL配合物中に対する、溶液中のロスバスタチンの酸安定性を示す。
【
図21】溶液中のロスバスタチンのPCL配合物に対する熱安定性を示す。
【
図22】模擬胃液に対する、40%エタノール/60%模擬胃液に暴露された場合のロスバスタチンのバースト放出を示す。
【
図23A】種々の量のプルロニックP407賦形剤ポリマーを含むポリカプロラクトン担体ポリマー配合物からのロスバスタチンのバースト放出を示す。パネルAは、3時間後の模擬胃液への放出を示し、パネルBは6時間後の模擬胃液への放出を示す。
【
図23B】種々の量のプルロニックP407賦形剤ポリマーを含むポリカプロラクトン担体ポリマー配合物からのロスバスタチンのバースト放出を示す。パネルAは、3時間後の模擬胃液への放出を示し、パネルBは6時間後の模擬胃液への放出を示す。
【
図24】模擬胃液(SGF)(黒い棒)又は40%エタノール/60%模擬胃液(白い棒)中で37℃で1時間後の、種々の量のSiO
2の分散剤とヒドロキシプロピルメチルセルロース(HMPC)とを含むポリカプロラクトン担体ポリマー-薬剤配合物からのロスバスタチンのバースト放出を示す。
【
図25】模擬胃液(SGF)(黒い棒)又は40%エタノール/60%模擬胃液(白い棒)中で37℃で1時間後の、5%プルロニックP407(5%P407)、10%プルロニックP407(10%P407)、又は10%ポリビニルピロリドン(PVP)を有するポリカプロラクトン担体ポリマー-薬剤配合物からの、ロスバスタチンのバースト放出を示す。
【
図26】FaSSGF(絶食状態模擬胃液)中の薬剤配合物からのドキシサイクリンのインビトロ放出を示す。ドキシサイクリン主体の配合物は、25%のドキシサイクリン、0.5%のSiO
2、0.5%のP407、及び0.5%のアルファトコフェロールを含有する。ドキシサイクリン主体の配合物からの放出が、追加の2%PVPと5%PVPとを含む配合物と比較される。
【
図27】
図27は、FaSSGF中の薬剤配合物からのドキシサイクリンのインビトロ放出を示す。ドキシサイクリン主体の配合物は、25%のドキシサイクリン、0.5%のSiO
2、及び0.5%のアルファトコフェロールを含有する。ドキシサイクリン放出は、0.5%、2%、3%、4%、及び5%のP407を含む配合物と比較される。
【
図28】FaSSGF中のドネペジル配合物Dn-1、Dn-2、及びDn-3のインビトロ放出アッセイを示す。
【
図29】薬剤を含まない配合物(上)、メマンチンを含有する配合物(中)、及び配合物を用いない薬剤(下)のフーリエ変換赤外分光分析を示す。
【
図30】メマンチン(上)、薬剤を含まない配合物(中)、メマンチンを含有する配合物(下)のX線回折パターンを示す。
【
図31】メマンチン(上部スペクトル)、薬剤を含まない配合物(中間スペクトル)、及びメマンチンを含有する配合物(下部スペクトル)のラマンスペクトルを示す。
【
図32】イヌにおけるLyndra-メマンチン配合物M18及びNamenda XRメマンチンカプセルのインビボ薬物動態を示す。
【
図33】ブタにおけるLyndra-メマンチンのインビボ薬物動態を示す。
【
図34】FaSSGF中のアリピプラゾール配合物A1及びA2のインビトロ放出アッセイを示す。
【
図35】FaSSGF中のアリピプラゾールA3及びA4のインビトロ放出アッセイを示す。
【
図36】FaSSGF中のアリピプラゾール配合物A5のインビトロ放出アッセイを示す。
【
図37】FaSSGF中のアリピプラゾール配合物A6、A7、及びA10のインビトロ放出アッセイを示す。
【
図38】FaSSGF中のアリピプラゾール配合物A8及びA9のインビトロ放出アッセイを示す。
【
図39】FaSSGF中のアリピプラゾール配合物A11及びA12のインビトロ放出アッセイを示す。
【
図40】FaSSGF中のアリピプラゾール配合物A13及びA16のインビトロ放出アッセイを示す。
【
図41】FaSSGF5におけるアリピプラゾール配合物A14及びA1のインビトロ放出アッセイを示す。
【
図42】FaSSGF中のアリピプラゾール配合物A17及びA18のインビトロ放出アッセイを示す。
【
図43】FaSSGF中のアリピプラゾール配合物A19及びA20のインビトロ放出アッセイを示す。
【
図44】、FaSSGF中のアリピプラゾール配合物A21及びA22のインビトロ放出アッセイを示す。
【
図45】FaSSGF中のアリピプラゾール配合物A23、A24、及びA25のインビトロ放出アッセイを示す。
【
図46】FaSSGF中のリスペリドン配合物R1、R3、及びR8のインビトロ放出アッセイを示す。
【
図47】FaSSGF中のリスペリドン配合物R6、R7、及びR16のインビトロ放出アッセイを示す。
【
図48】FaSSGF中のリスペリドン配合物R9のインビトロ放出アッセイを示す。
【
図49】FaSSGF中のリスペリドン配合物R13及びR15のインビトロ放出アッセイを示す。
【
図50】FaSSGF中のリスペリドン配合物R18及びR22のインビトロ放出アッセイを示す。
【
図51】FaSSGF中のリスペリドン配合物R20及びR21のインビトロ放出アッセイを示す。
【
図52】FaSSGF中のリスペリドン配合物R14及びR19のインビトロ放出アッセイを示す。
【
図53】FaSSGF中のメマンチン配合物M1、M2、及びM3のインビトロ放出アッセイを示す。
【
図54】FaSSGF中のメマンチン配合物M4及びM5のインビトロ放出アッセイを示す。
【
図55】FaSSGF中のメマンチン配合物M7のインビトロ放出アッセイを示す。
【
図56】FaSSGF中のメマンチン配合物M17のインビトロ放出アッセイを示す。
【
図57】FaSSGF中のメマンチン配合物M18、M21、及びM24のインビトロ放出アッセイを示す。
【
図58】FaSSGF中のメマンチン配合物M19及びM20のインビトロ放出アッセイを示す。
【
図59】FaSSGF中のメマンチン配合物M22のインビトロ放出アッセイを示す。
【
図60】FaSSGF中のメマンチン配合物M25及びM29のインビトロ放出アッセイを示す。
【
図61】FaSSGF中のメマンチン配合物M26、M27、及びM31のインビトロ放出アッセイを示す。
【
図62】FaSSGF中のメマンチン配合物M30のインビトロ放出アッセイを示す。
【
図63】FaSSGF及びFeSSF中のメマンチン配合物M1及びM3のインビトロ放出アッセイを示す。
【
図64】FaSSGF及びFeSSGF中のメマンチン配合物M16及びM23のインビトロ放出アッセイを示す。
【
図65】FaSSGF及びFeSSF中のリスペリドン配合物R6のインビトロ放出アッセイを示す。
【
図66】FaSSGF及びFeSSGF中のリスペリドン配合物R9及びR13のインビトロ放出アッセイを示す。
【
図68】pH1.6及び6.8におけるイベルメクチン配合物のインビトロ放出アッセイを示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
(発明の詳細な説明)
【0032】
胃内滞留システムにおける分散剤の利点
胃内滞留装置からの治療薬の安定した連続放出を得ることは困難な場合がある。例えば、特に親水性治療薬では、初期バースト相を制限することが重要である。親水性薬剤は水性胃内環境では、胃内滞留システムから急速に溶出される可能性がある。薬剤のバーストは患者によって吸収され、血漿レベルの突然の上昇をもたらす。バースト放出は、治療薬の好ましくない初期ピークレベルをもたらし、システムの残りの滞留時間中の、不充分な薬剤送達ももたらす。投与後の最初の期間の後(すなわち、バースト放出が起こる期間の後)、薬剤の予測可能な投与と適切な血漿レベルの維持のために、治療薬の安定した放出速度が望ましい。逆に、疎水性治療薬については。胃の水性環境において胃内滞留システムからの薬剤の顕著な放出を得ることは、問題となり得る。
【0033】
本明細書に記載される本発明のいくつかの実施態様において、胃内滞留システム中の分散剤の含有は、システムが投与された後の親水性治療薬の突然の初期バースト放出が制限される。分散剤、親水性治療薬、及び担体ポリマーの組み合わせは、分散剤を含まない親水性薬剤と担体ポリマーの組み合わせと比較して、より安定な初期薬剤放出を提供する。分散剤は、親水性治療薬の担体ポリマーへの良好な混合を確保することができ、従って分散剤は、担体ポリマー-薬剤混合液の表面上の過剰量の薬剤の暴露を防ぐことができる。分散剤はまた、親水性薬剤「ポケット」の大きな塊が形成されるのを防ぐことができ、こうして薬剤の突然の「ダンプ」を防ぐことができる。
【0034】
分散剤の含有はまた、胃内滞留システムにおける疎水性治療薬の投与を助けることができる。疎水性薬剤の小さな均一に分散した粒子は、疎水性薬剤物質のより大きな粒子と比較して、担体ポリマーを通って拡散する水との接触のための、より多くの表面積を提供する。
【0035】
本明細書に記載される本発明のいくつかの実施態様において、胃内滞留システム中の放出促進剤の含有は、システムが投与された後の疎水性治療薬の放出を助ける。放出促進剤としては、特に限定されるものではないが、ポロゲン(porogen)及びウィッキング剤が含まれる。ポロゲンとは、溶液と接触すると溶解し、担体ポリマーマトリックス(細孔及びチャネルが分散されている)中の細孔及びチャネルを開き、マトリックス中への水のより完全な浸透を可能にする。ウィッキング剤は、ポリマーマトリックス中に水を引き込む材料である。両方の場合に、放出促進剤は、水に曝されるマトリックス中の治療薬の有効表面積を増加させ、これは、薬剤が担体ポリマーから溶出(放出)される速度を増加させる働きをする。特に有用な特性は、放出促進剤が滞留期間にわたって治療薬のより高率な送達を促進し、従って患者に治療薬を提供するために、過剰の薬剤を胃内滞留システム中に含有させる必要が無いことである。
【0036】
薬剤を胃内滞留システムに組み込む前に、治療薬を粉砕して所望の粒子サイズ又は粒サイズ範囲を得ることはまた、システムの性能の向上に寄与することができる。
【0037】
本発明は、親水性治療薬及び疎水性治療薬の両方を含む治療薬の持続放出のための胃内滞留システムの様々な実施態様を提供する。システムのいくつかのパラメータ、例えば放出促進剤の包含及び濃度、分散剤の包含及び濃度、可溶化剤の包含及び濃度、システムで使用される治療薬の粉砕、システムの幾何学的な構成、及びシステムの化学的及び物理的性質は、胃内滞留システムが胃内にとどまる時間の長さ、治療薬の治療有効量が放出される有効放出時間を調整し、治療薬の放出速度を調整するために変化させることができる。
【0038】
継続的治療薬放出の利点
本発明は、長期にわたる治療薬の放出のための胃内滞留システムを提供する。ゼロ次又は擬ゼロ次放出速度での一定期間にわたる漸進的な放出は、定常状態での治療薬の実質的に一定の血漿レベルを提供することができる。従って、治療薬の実質的に一定の血漿レベルは、定期的な投与によるピーク-谷の血漿レベルを上回る利点を提供することができ、例えば副作用を最小限に抑えながら治療効果を最大化することができる。
【0039】
例示的な薬剤である親水性化合物セチリジンを用いたオンデマンド的治療に対する継続的治療の研究において、Ciprandi et al., Ann. Allergy Asthma Immunol. 79(6):507-511 (1997)は、皮膚の肥大により測定されるように、セチリジンの連続レベルはセチリジンの断続的投与よりも有利であることを示唆している。メカニズム的には、これは、粘膜組織への免疫細胞の遊走に及ぼすセチリジンの作用に起因する可能性がある。Shimizu et al. Clin. Exp. Allergy 34, 103-109 (2004)は、セチリジンがマウスにおけるマクロファージ遊走阻害因子の発現を抑制することを見出した。セチリジンのこれらの免疫調節作用は、特に本発明により提供される持続的薬剤レベルに依存し、こうして、セチリジンを送達する本発明の実施態様の利点を証明している。
【0040】
操作の一般的原理
本発明の胃内滞留システムは、嚥下又は他の投与方法(例えば、栄養管又は胃管)のいずれかによって、患者の胃に投与するように設計されている。胃内滞留システムがいったん胃の中に配置されると、システムは所望の滞留時間(例えば3日、7日、2週間など)胃の中に維持され、従ってこれは、胃と小腸を分離する幽門弁の通過に対する抵抗を伴う。これは、抵抗の期間にわたって、又は抵抗の期間の少なくとも一部(「有効放出期間」)にわたって治療薬を放出させ、バースト放出が最小になる。システムは胃の中にとどまるが、食物又は他の胃内容物の正常な通過を妨害しない。システムは、所望の滞留時間の最後(すなわち、滞留期間の最後)に胃の外に出て行き、患者から容易に排除される。胃から小腸へのシステムの通過が早過ぎても、これは腸閉塞を引き起こすことはなく、再度容易に患者から排除される。
【0041】
投与
胃内滞留システムはカプセル又は他の容器に含有され、これは患者が飲み込むことができるか、又は飲み込むことができない患者のために他の方法(例えば、胃瘻管、栄養管、胃管、又は胃への他の投与経路)で胃に投与することができる。従って、胃内滞留システムは、飲み込むか又は投与するのに充分に小さい形態に圧縮されて、好ましくはカプセルなどの容器内に入れられる。従ってシステムは容器内で(折りたたみ、圧縮、又はシステムのサイズを縮小する他の方法によって)圧縮形態を有するように構成される。
【0042】
このような圧縮可能なシステムを
図1、
図2、及び
図2Aに示す。
図1に示される胃内滞留システムのためのリング形状の設計は、ねじって二重らせんにすることができ、これが構造体を圧縮して、カプセル内に入れることができるほぼ円筒形状にする。
図2及び
図2Aに示される胃内滞留システムの星型(星状)のデザインは、
図3に示されるように中央部分で折りたたむことができ、これは次にカプセルに入れることができる。システムは、カプセルを嚥下することによって、又は胃管によって患者に投与される。
【0043】
胃内のシステムの展開
カプセル又は他の容器がいったん患者の胃に入ると、カプセルは溶解して、圧縮された胃内滞留システムを放出する。放出されると、システムは、リング形状又は星形などの元の形状に戻る。圧縮されていないシステムの寸法は、システムが胃の中に滞留すべき期間、システムの幽門括約筋中の通過を防止する。
【0044】
胃の中では、胃内滞留システムは、胃又は消化管の消化や他の正常な機能に適合している。胃内滞留システムは、幽門括約筋を介して胃から十二指腸内に出る消化粥(部分的に消化された食物)又は他の胃内容物の幽門通過を妨害したり妨げたりしない。
【0045】
胃に常駐しているシステムからの治療薬の溶出;放出の直線性
胃内滞留システムは、複数の担体ポリマー-薬剤成分を含む。担体ポリマー-薬剤成分は、担体ポリマー及び治療薬(又はその塩)を含む。放出促進剤、可溶化剤、分散剤、及び安定剤もまた、担体ポリマー-薬剤成分に添加することができる。複数の担体ポリマー-薬剤成分は、1つ以上の結合ポリマー成分によって一緒に連結される。薬剤は、担体ポリマー-薬剤成分から患者の胃液中に、システムの有効放出期間又は所望の滞留時間(滞留期間)にわたって溶出される。治療薬の放出は、担体ポリマー-薬剤成分の適切な配合物により制御され、担体ポリマー-薬剤成分の配合物中の分散剤の使用、及び薬剤を担体ポリマー及び分散剤と混合する前に治療薬を粉砕して所望のサイズの粒子とすることが含まれる。
【0046】
治療薬の溶出又は放出は、好ましくは可能な限り直線的である。上記のように分散剤は、バースト放出を減少させるのに役立ち、直線性を改善する。いくつかの実施態様において、バースト放出は0.1N塩酸中で約6時間後、模擬胃液(絶食)中で約6時間後、模擬胃液(摂食)中で約6時間後、ブタの胃の中で約6時間後、イヌの胃の中で約6時間後、又はヒトの胃の中で約6時間に、全薬剤量の約20%未満である。いくつかの実施態様において、バースト放出は、0.1N塩酸中で約6時間後、模擬胃液(絶食)中で約6時間後、模擬胃液(摂食)中で約6時間後、ブタの胃の中で約6時間後、イヌの胃の中で約6時間後、又はヒトの胃の中で約6時間に、全薬剤量の約10%未満である。いくつかの実施態様において、バースト放出は、0.1N塩酸中で約6時間後、模擬胃液(絶食)中で約6時間後、模擬胃液(摂食)中で約6時間後、ブタの胃の中で約6時間後、イヌの胃の中で約6時間後、又はヒトの胃の中で約6時間に、全薬剤量の約5%未満である。
【0047】
治療薬の放出がほぼ線形である場合、放出されるべき薬剤の総量の約半分が、滞留期間又は有効放出期間の約半分の時点で放出されるであろう。従って、胃内滞留システムの滞留時間がD日間である場合、胃内滞留システムが0.1N塩酸内、模擬胃液(絶食)内、模擬胃液(摂食)内、ブタの胃内、イヌの胃内、又はヒトの胃内にある時、全薬剤量の約30%~70%が、経過時間約0.4D~0.6Dの間、例えば時間0.5Dで放出されるであろう。同様に、胃内滞留システムの有効放出期間がE日間の場合、胃内滞留システムが0.1N塩酸内、模擬胃液(絶食)内、模擬胃液(摂食)内、ブタの胃内、イヌの胃内、又はヒトの胃内にある時、全薬剤量の約30%~70%が、経過時間約0.4E~0.6Eの間、例えば時間0.5Eで放出されるであろう。
【0048】
治療薬の放出がほぼ線形である場合、胃の中の薬剤のほとんどが溶出しているであろう。従って、いくつかの実施態様において、胃内滞留システムの滞留期間がD日間である場合、胃内滞留システムが0.1N塩酸内、模擬胃液(絶食)内、模擬胃液(摂食)内、ブタの胃内、イヌの胃内、又はヒトの胃内にある時、全薬剤量の約70%以上が、経過時間約0.8D~1Dの間に放出されるであろう。いくつかの実施態様において、胃内滞留システムの滞留期間がD日間である場合、胃内滞留システムが0.1N塩酸内、模擬胃液(絶食)内、模擬胃液(摂食)内、ブタの胃内、イヌの胃内、又はヒトの胃内にある時、全薬剤量の約80%以上が、経過時間約0.8D~1Dの間に放出されるであろう。いくつかの実施態様において、胃内滞留システムの滞留期間がD日間である場合、胃内滞留システムが0.1N塩酸内、模擬胃液(絶食)内、模擬胃液(摂食)内、ブタの胃内、イヌの胃内、又はヒトの胃内にある時、全薬剤量の約90%以上が、経過時間約0.8D~1Dの間に放出されるであろう。いくつかの実施態様において、胃内滞留システムの有効放出期間がE日間である場合、胃内滞留システムが0.1N塩酸内、模擬胃液(絶食)内、模擬胃液(摂食)内、ブタの胃内、イヌの胃内、又はヒトの胃内にある時、全薬剤量の約70%以上が、経過時間約0.8E~1Eの間に放出されるであろう。いくつかの実施態様において、胃内滞留システムの滞留期間がE日間である場合、胃内滞留システムが0.1N塩酸内、模擬胃液(絶食)内、模擬胃液(摂食)内、ブタの胃内、イヌの胃内、又はヒトの胃内にある時、全薬剤量の約80%以上が、経過時間約0.8E~1Eの間に放出されるであろう。いくつかの実施態様において、胃内滞留システムの滞留期間がE日間である場合、胃内滞留システムが0.1N塩酸内、模擬胃液(絶食)内、模擬胃液(摂食)内、ブタの胃内、イヌの胃内、又はヒトの胃内にある時、全薬剤量の約90%以上が、経過時間約0.8E~1Eの間に放出されるであろう。
【0049】
追加の初期バースト放出パラメータ
いくつかの実施態様において、本発明の胃内滞留システムは、滞留期間の約5%が経過する前に、治療薬又はその塩の約30%以下を放出する。いくつかの実施態様において、本発明の胃内滞留システムは、滞留期間の約5%が経過する前に、治療薬又はその塩の約25%以下を放出する。いくつかの実施態様において、本発明の胃内滞留システムは、滞留期間の約5%が経過する前に、治療薬又はその塩の約20%以下を放出する。いくつかの実施態様において、本発明の胃内滞留システムは、滞留期間の約5%が経過する前に、治療薬又はその塩の約15%以下を放出する。いくつかの実施態様において、本発明の胃内滞留システムは、滞留期間の約5%が経過する前に、治療薬又はその塩の約10%以下を放出する。いくつかの実施態様において、本発明の胃内滞留システムは、有効放出期間の約5%が経過する前に、治療薬又はその塩の約30%以下を放出する。いくつかの実施態様において、本発明の胃内滞留システムは、有効放出期間の約5%が経過する前に、治療薬又はその塩の約25%以下を放出する。いくつかの実施態様において、本発明の胃内滞留システムは、有効放出期間の約5%が経過する前に、治療薬又はその塩の約20%以下を放出する。いくつかの実施態様において、本発明の胃内滞留システムは、有効放出期間の約5%が経過する前に、治療薬又はその塩の約15%以下を放出する。いくつかの実施態様において、本発明の胃内滞留システムは、有効放出期間の約5%が経過する前に、治療薬又はその塩の約10%以下を放出する。
【0050】
追加の初期バースト放出パラメータ、続き
いくつかの実施態様において、本発明の胃内滞留システムは、約6時間が経過する前に、治療薬又はその塩の約30%以下を放出する。いくつかの実施態様において、本発明の胃内滞留システムは、約6時間が経過する前に、治療薬又はその塩の約25%以下を放出する。いくつかの実施態様において、本発明の胃内滞留システムは、約6時間が経過する前に、治療薬又はその塩の約20%以下を放出する。いくつかの実施態様において、本発明の胃内滞留システムは、約6時間が経過する前に、治療薬又はその塩の約15%以下を放出する。
【0051】
即時放出パラメータ
いくつかの実施態様において、本発明の胃内滞留システムは、滞留期間の約30~70%以内に、治療薬又はその塩の約30~70%を放出する。いくつかの実施態様において、本発明の胃内滞留システムは、滞留期間の約40~60%以内に、治療薬又はその塩の約30~70%を放出する。いくつかの実施態様において、本発明の胃内滞留システムは、滞留期間の約45~55%以内に、治療薬又はその塩の約30~70%を放出する。いくつかの実施態様において、本発明の胃内滞留システムは、滞留期間の約30~70%以内に、治療薬又はその塩の約40~60%を放出する。いくつかの実施態様において、本発明の胃内滞留システムは、滞留期間の約40~60%以内に、治療薬又はその塩の約40~60%を放出する。いくつかの実施態様において、本発明の胃内滞留システムは、滞留期間の約45~55%以内に、治療薬又はその塩の約40~60%を放出する。いくつかの実施態様において、本発明の胃内滞留システムは、滞留期間の約30~70%以内に、治療薬又はその塩の約45~55%を放出する。いくつかの実施態様において、本発明の胃内滞留システムは、滞留期間の約40~60%以内に、治療薬又はその塩の約45~55%を放出する。いくつかの実施態様において、本発明の胃内滞留システムは、滞留期間の約45~55%以内に、治療薬又はその塩の約45~55%を放出する。いくつかの実施態様において、本発明の胃内滞留システムは、有効放出期間の約30~70%以内に、治療薬又はその塩の約30~70%を放出する。いくつかの実施態様において、本発明の胃内滞留システムは、有効放出期間の約40~60%以内に、治療薬又はその塩の約30~70%を放出する。いくつかの実施態様において、本発明の胃内滞留システムは、有効放出期間の約45~55%以内に、治療薬又はその塩の約30~70%を放出する。いくつかの実施態様において、本発明の胃内滞留システムは、有効放出期間の約30~70%以内に、治療薬又はその塩の約40~60%を放出する。いくつかの実施態様において、本発明の胃内滞留システムは、有効放出期間の約40~60%以内に、治療薬又はその塩の約40~60%を放出する。いくつかの実施態様において、本発明の胃内滞留システムは、有効放出期間の約45~55%以内に、治療薬又はその塩の約40~60%を放出する。いくつかの実施態様において、本発明の胃内滞留システムは、有効放出期間の約30~70%以内に、治療薬又はその塩の約45~55%を放出する。いくつかの実施態様において、本発明の胃内滞留システムは、有効放出期間の約40~60%以内に、治療薬又はその塩の約45~55%を放出する。いくつかの実施態様において、本発明の胃内滞留システムは、有効放出期間の約45~55%以内に、治療薬又はその塩の約45~55%を放出する。
【0052】
終結放出パラメータ:
いくつかの実施態様において、本発明の胃内滞留システムは、滞留期間の約70%以上が経過後に、治療薬又はその塩の少なくとも約60%を放出する。いくつかの実施態様において、本発明の胃内滞留システムは、滞留期間の約70%以上が経過後に、治療薬又はその塩の少なくとも約70%を放出する。いくつかの実施態様において、本発明の胃内滞留システムは、滞留期間の約80%以上が経過後に、治療薬又はその塩の少なくとも約70%を放出する。いくつかの実施態様において、本発明の胃内滞留システムは、滞留期間の約80%以上が経過後に、治療薬又はその塩の少なくとも約80%を放出する。いくつかの実施態様において、本発明の胃内滞留システムは、滞留期間の約90%以上が経過後に、治療薬又はその塩の少なくとも約80%を放出する。いくつかの実施態様において、本発明の胃内滞留システムは、滞留期間の約90%以上が経過後に、治療薬又はその塩の少なくとも約90%を放出する。いくつかの実施態様において、本発明の胃内滞留システムは、有効放出期間の約70%以上が経過後に、治療薬又はその塩の少なくとも約60%を放出する。いくつかの実施態様において、本発明の胃内滞留システムは、有効放出期間の約70%以上が経過後に、治療薬又はその塩の少なくとも約70%を放出する。いくつかの実施態様において、本発明の胃内滞留システムは、有効放出期間の約80%以上が経過後に、治療薬又はその塩の少なくとも約70%を放出する。いくつかの実施態様において、本発明の胃内滞留システムは、有効放出期間の約80%以上が経過後に、治療薬又はその塩の少なくとも約80%を放出する。いくつかの実施態様において、本発明の胃内滞留システムは、有効放出期間の約90%以上が経過後に、治療薬又はその塩の少なくとも約80%を放出する。いくつかの実施態様において、本発明の胃内滞留システムは、有効放出期間の約90%以上が経過後に、治療薬又はその塩の少なくとも約90%を放出する。
【0053】
上記した初期バースト放出パラメータ、即時放出パラメータ、及び終結放出パラメータの任意の組み合わせを有する胃内滞留システムは、本発明の一部として企図される。例えばいくつかの実施態様において、本発明の胃内滞留システムは、滞留期間の約5%の前に、治療薬又はその塩の約25%以下を放出する;滞留期間の約30~70%以内に、治療薬又はその塩の約40~60%を放出する;滞留期間の約70%以上後に、治療薬又はその塩の約60%以上を放出する。いくつかの実施態様において、本発明の胃内滞留システムは、滞留期間の約5%の前に、治療薬又はその塩の約20%以下を放出する;滞留期間の約40~60%以内に、治療薬又はその塩の約40~60%を放出する;滞留期間の約70%以上後に、治療薬又はその塩の約60%以上を放出する。いくつかの実施態様において、本発明の胃内滞留システムは、滞留期間の約5%の前に、治療薬又はその塩の約15%以下を放出する;滞留期間の約45~55%までに、治療薬又はその塩の約40~60%を放出する;滞留期間の約70%以上後に、治療薬又はその塩の約70%以上を放出する。いくつかの実施態様において、本発明の胃内滞留システムは、有効放出期間の約5%の前に、治療薬又はその塩の約25%以下を放出する;有効放出期間の約30~70%以内に、治療薬又はその塩の約40~60%を放出する;有効放出期間の約70%以上後に、治療薬又はその塩の約60%以上を放出する。いくつかの実施態様において、本発明の胃内滞留システムは、有効放出期間の約5%の前に、治療薬又はその塩の約20%以下を放出する;有効放出期間の約40~60%以内に、治療薬又はその塩の約40~60%を放出する;有効放出期間の約70%以上後に、治療薬又はその塩の約60%以上を放出する。いくつかの実施態様において、本発明の胃内滞留システムは、有効放出期間の約5%の前に、治療薬又はその塩の約15%以下を放出する;有効放出期間の約45~55%までに、治療薬又はその塩の約40~60%を放出する;有効放出期間の約70%以上後に、治療薬又はその塩の約70%以上を放出する。
【0054】
上記のように、これらのパラメータは、特定の時点の胃内滞留システムについて以下の任意のものについて測定することができる:0.1N塩酸、模擬胃液(絶食)、模擬胃液(摂食)、ブタの胃、イヌの胃、又はヒトの胃。放出速度の標準化及び比較のために、0.1N塩酸が好ましい。
【0055】
比較的長い半減期(約1日より長い、約2日間より長い、約3日間より長い、約4日間より長い、約5日間より長い、約6日間より長い、又は約7日間より長い)、及び/又は比較的大きな治療ウインドウを有する治療薬を送達する胃内滞留システムは、放出の直線性に対する要求があまり厳しくない。すなわち、上に提供された任意の放出範囲(広いものも狭いものも)を、そのようなシステムで使用することができる。対照的に、比較的短い半減期(約1日未満、約18時間未満、約12時間未満、約9時間未満、約6時間未満、又は約3時間未満)、及び/又は高温小さな治療ウインドウを有する治療薬を送達する胃内滞留システムは、より大きな線形性を有するはずであり、すなわち、そのようなシステムでは上記のより狭い放出範囲が好ましい(すなわち、バースト放出、即時放出、及び集結放出パラメータの、2つの最も狭いか、又は最も直線性のもの)。
【0056】
アルコール誘発放出に対する耐性
胃内滞留システムからの治療薬の放出速度は、システムが展開される環境の変化に影響を受け得る。ヒトの胃内環境は、摂食状態(食事後)と絶食状態(直近の食事後の長い時間)の変化に加えて、酒類(すなわち、エタノールを含む飲料)の消費によって変化し得る。任意の治療薬、特に疎水性治療薬(例えば、本明細書でより詳細に議論されているロスバスタチン)については、エタノールの消費が、胃内滞留システムからの治療薬の放出速度に劇的に影響を及ぼさないことが望ましい。
【0057】
本発明の胃内滞留システムからの治療薬のエタノール誘発性放出の測定は、40%エタノール/60%0.1N塩酸に、ある時間、例えば約2時間、システムを入れ、 システムからの治療薬の放出を測定することにより行われる。いくつかの実施態様において、40%エタノール/60%0.1N塩酸中で約2時間後、約30%以下の治療薬が胃内滞留システムから放出される。いくつかの実施態様において、40%エタノール/60%0.1N塩酸中で約2時間後、約25%以下の治療薬が胃内滞留システムから放出される。いくつかの実施態様において、40%エタノール/60%0.1N塩酸中で約2時間後、約20%以下の治療薬が胃内滞留システムから放出される。いくつかの実施態様において、40%エタノール/60%0.1N塩酸中で約2時間後、約15%以下の治療薬が胃内滞留システムから放出される。いくつかの実施態様において、40%エタノール/60%0.1N塩酸中で約2時間後、約10%以下の治療薬が胃内滞留システムから放出される。いくつかの実施態様において、40%エタノール/60%0.1N塩酸中で約2時間後、約5%以下の治療薬が胃内滞留システムから放出される。
【0058】
本発明の胃内滞留システムからの治療薬のエタノール誘発性放出の測定は、絶食状態の模擬胃液中、摂食状態の模擬胃液中、又は0.1N塩酸中の、薬剤の放出を、40%エタノール/60%絶食状態模擬胃液中、40%エタノール/60%摂食状態の模擬胃液中、40%エタノール/60%0.1NのHCl中、又は40%エタノール/60%水中の、薬剤の放出と比較することによっても行われる。いくつかの実施態様において、治療薬(又は治療薬の医薬的に許容し得る塩)の放出は、40%エタノール/60%0.1N塩酸中では、同じ時間にわたる0.1N塩酸中での放出に対して、約50%以下増加し、又は40%エタノール/60%模擬胃液中では、同じ時間にわたる模擬胃液中での放出に対して、約50%以下増加し、又は40%エタノール/60%絶食状態模擬胃液中では、同じ時間にわたる絶食状態模擬胃液中での放出に対して、約50%以下増加し、又は40%エタノール/60%摂食状態模擬胃液中では、同じ時間にわたる摂食状態模擬胃液中での放出に対して、約50%以下増加する。いくつかの実施態様において、治療薬(又は治療薬の医薬的に許容し得る塩)の放出は、40%エタノール/60%0.1N塩酸中では、同じ時間にわたる0.1N塩酸中での放出に対して、約40%以下増加し、又は40%エタノール/60%模擬胃液中では、同じ時間にわたる模擬胃液中での放出に対して、約40%以下増加し、又は40%エタノール/60%絶食状態模擬胃液中では、同じ時間にわたる絶食状態模擬胃液中での放出に対して、約40%以下増加し、又は40%エタノール/60%摂食状態模擬胃液中では、同じ時間にわたる摂食状態模擬胃液中での放出に対して、約40%以下増加する。いくつかの実施態様において、治療薬(又は治療薬の医薬的に許容し得る塩)の放出は、40%エタノール/60%0.1N塩酸中では、同じ時間にわたる0.1N塩酸中での放出に対して、約30%以下増加し、又は40%エタノール/60%模擬胃液中では、同じ時間にわたる模擬胃液中での放出に対して、約30%以下増加し、又は40%エタノール/60%絶食状態模擬胃液中では、同じ時間にわたる絶食状態模擬胃液中での放出に対して、約30%以下増加し、又は40%エタノール/60%摂食状態模擬胃液中では、同じ時間にわたる摂食状態模擬胃液中での放出に対して、約30%以下増加する。いくつかの実施態様において、治療薬(又は治療薬の医薬的に許容し得る塩)の放出は、40%エタノール/60%0.1N塩酸中では、同じ時間にわたる0.1N塩酸中での放出に対して、約20%以下増加し、又は40%エタノール/60%模擬胃液中では、同じ時間にわたる模擬胃液中での放出に対して、約20%以下増加し、又は40%エタノール/60%絶食状態模擬胃液中では、同じ時間にわたる絶食状態模擬胃液中での放出に対して、約20%以下増加し、又は40%エタノール/60%摂食状態模擬胃液中では、同じ時間にわたる摂食状態模擬胃液中での放出に対して、約20%以下増加する。
【0059】
比較放出が測定される時間は、約15分、約30分、約45分、約1時間、約90分、又は約2時間でもよい。
【0060】
エタノール含有溶液中の分解能の測定に関する前記段落において、「40%エタノール」は「約40%エタノール」でもよく;「60%模擬胃液」は「約60%模擬胃液」でもよく;「60%絶食状態模擬胃液」は「約60%の絶食状態模擬胃液」でもよく;「60%摂食状態模擬胃液」は「約60%摂食状態模擬胃液」でもよく;「0.1N塩酸」は「約0.1N塩酸」でもよい。
【0061】
胃での保持;胃からのシステムの通過
胃内滞留システムは、適切な時点で、すなわちシステムの有用な治療薬送達寿命に達した時点で、又はシステムの有用な治療薬送達寿命の適切な割合のところで、胃を通過して出ていく。これは、結合ポリマー成分とシステム寸法の適切な選択により行われる。胃内滞留システムは、そのままの非圧縮形態では幽門括約筋の通過に抵抗するように設計されている。すなわち胃内滞留システムは、そのままの形態では大きすぎて幽門括約筋を通過することができない。従って胃内滞留システムは、胃内の圧縮力によって一時的に再折りたたまれることにより早すぎる通過に対して抵抗性のはずである。胃内での早すぎる再折りたたみに抵抗するために、胃内滞留システムは、典型的には胃内に存在する力を受けたとき、その非圧縮形態又はほぼ非圧縮形態を維持するはずである。従っていくつかの実施態様において、構造体を折りたたむか又は圧縮するのに必要な力は、少なくとも約0.2ニュートン(N)、少なくとも約0.3N、少なくとも約0.4N、少なくとも約0.5N、少なくとも約0.75N、少なくとも約1N、少なくとも約1.5N、少なくとも約2N、少なくとも約2.5N、少なくとも約3N、少なくとも約4N、又は少なくとも約5Nである。いくつかの実施態様において、構造体を折りたたむか又は圧縮するのに必要な力は、約0.2N~約5N、約0.3N~約5N、約0.4N~約5N、約0.5N~約5N、約0.75N~約5N、約1N~約5N、約1.5N~約5N、約2N~約5N、約2.5N~約5N、約3N~約5N、又は約4N~N~約5Nである。
【0062】
結合ポリマー成分は、それらが胃内の滞留期間にわたって徐々に分解するように選択される。結合ポリマー成分が分解により十分に弱くなると、胃内滞留システムは分解されて、幽門括約筋を通過するのに十分小さな片になる。するとシステムは腸を通過し、患者から排除される。
【0063】
安全要素
操作の所望モードでは、胃内滞留システムは、胃の中に滞留しているときはその完全な非圧縮形態を取っており、所望の滞留時間(滞留期間)後に分解されるまで、幽門を通過しない。胃内滞留システムが完全なまま通過して小腸に入ると、腸閉塞を引き起こす可能性がある。従って胃内滞留システムは、小腸内環境では48時間以内に、好ましくは24時間以内、より好ましくは1~2時間以内に、1種以上の結合ポリマーの溶解により急速に分離するように設計されており、こうして腸閉塞の可能性を回避する。これは、腸溶性ポリマーを、システム中の結合ポリマーの1つ又は全てとして使用することによって容易に達成される。腸溶性ポリマーは、胃内の酸性pHレベルに対して比較的耐性であるが、十二指腸内の高いpHレベルでは急速に溶解する。安全要素としての腸溶性結合ポリマーの使用は、完全な胃内滞留システムの小腸への望ましくない通過を防止する。従って、腸溶性結合ポリマーの使用はまた、設計された滞留時間(滞留期間)の前に胃内滞留システムを除去する方法を提供する。システムを除去する場合は、患者は、重炭酸ナトリウムなどの弱いアルカリ性溶液を飲むか、又は水和水酸化マグネシウム(マグネシアの乳)又は炭酸カルシウムなどの酸などの中和調製物を飲むと、これは胃内のpHレベルを上昇させ腸溶性結合ポリマーの急速な分解を引き起こす。こうして胃内滞留システムは、分解され、患者から排除される。
【0064】
定義
「担体ポリマー」は、本発明において使用される薬剤などの治療薬との混合に適したポリマーである。
【0065】
「親水性治療薬」、「親水性薬剤」、又は「親水性薬剤」は、容易に水に溶解する薬剤である。親水性薬剤は、水への溶解度が1mg/ml以上である薬剤として定義される。あるいは親水性薬剤は、1-オクタノール/水系へのlogPoct(対数分配係数Poct、ここでPoct=(1-オクタノール中の濃度)/(H2O中の濃度))が0.5未満である薬剤として定義することができる。溶解度又はlogPoctが測定されるpHは1.6であり、胃内環境に近似する。
【0066】
「疎水性治療薬」、「疎水性薬剤」、又は「疎水性薬剤」は、容易に水に溶解しない薬剤である。疎水性薬剤は、水への溶解度が1mg/ml未満である薬剤として定義される。あるいは疎水性剤は、1-オクタノール/水系へのlogPoct(対数分配係数)が1より大きい薬剤として定義することができる。エタノール中の溶解度は水中よりも高い。あるいは疎水性治療薬は、100%模擬胃液中よりも40%エタノール/60%模擬胃液中で、より高い溶解度を有する薬剤として定義することができる。
【0067】
logPoctに加えて、物質の分配係数が1-オクタノール/水系で測定される場合、別のシステムを使用して分配挙動を測定することができる。別のそのような系は、ポリカプロラクトン相(PCL相)と模擬胃液相(SGF相)との間で物質を分配して、2つの相の間の分配係数PPCL-SGFを与えることである。logPPCL-SGFも計算することができる。ポリカプロラクトンジオール(MW530):酢酸エチルの5:1混合物をPCL相として使用することができ、絶食状態模擬胃液(FaSSGF)をSGF相として使用することができる。
【0068】
「分散剤」は、治療薬の粒子サイズの最小化と担体ポリマーマトリックス中への治療薬粒子の分散とを助ける物質であると定義される。すなわち分散剤は、システムの製造中に粒子の凝集又はフロック形成を最小化又は防止するのに役立つ。すなわち分散剤は、抗凝集活性及び抗フロック形成活性を有し、担体ポリマーマトリックス中の治療薬粒子の均一な分布を維持するのに役立つ。
【0069】
「賦形剤」は、治療薬自体ではない、治療薬の配合物に添加される任意の物質である。賦形剤には、特に限定されるものではないが、結合剤、コーティング剤、希釈剤、崩壊剤、乳化剤、香味料、流動促進剤、潤滑剤、及び防腐剤が含まれる。分散剤の特定の範疇は、賦形剤のより一般的な範疇内である。
【0070】
「弾性ポリマー」又は「エラストマー」(「引張ポリマー」とも呼ばれる)は、ある期間にわたって加えられた力によってその元の形状から変形することができ、加えられた力が取り除かれると、実質的に元の形に戻るポリマーである。
【0071】
「結合ポリマー」は、第1の担体ポリマー-薬剤成分を第2の担体ポリマー薬剤成分に結合させるなど、他のポリマーを一緒に結合するのに適したポリマーである。
【0072】
「実質的に一定の血漿レベル」とは、胃内滞留システムが胃の中に滞留する期間にわたって測定される平均血漿レベルの±25%以内に維持される血漿レベルを指す。
【0073】
「滞留時間」又は「滞留期間」は、胃の中で胃内滞留システムが展開されてから、胃内滞留システムが胃を出るまでの時間である。
【0074】
「有効放出期間」又は「有効放出時間」は、その間、胃内滞留システムがシステムに含まれる治療有効量の治療薬を放出する時間である。胃内滞留システムが胃に滞留する間のみ治療有効量で放出される治療薬について、有効な放出期間は滞留期間以下である。胃内滞留システムが胃に滞留する間と、胃内滞留システムの成分が滞留期間後に腸管に移行する間との両方で、治療有効量で放出される治療薬について、有効な放出期間は滞留期間よりも長くなり得る。
【0075】
物質又はシステムを説明するために使用される場合「生体適合性」は、その物質又はシステムが、ヒトなどの生体と接触したとき、有害反応を引き起こさず、ほんのわずかな許容される有害反応のみを引き起こすことを示す。胃内滞留システムの状況において、生体適合性は胃腸管の環境において評価される。
【0076】
単数形「a」、「an」、及び「the」には、特に別の指定がないか又は文脈が明確に示していなければ、複数形が含まれる。
【0077】
「患者」、「個体」、又は「被験体」は、哺乳動物、好ましくはヒト又はイヌ又はネコなどの家畜動物を指す。好適な実施態様において、患者、個体、又は被験体はヒトである。
【0078】
本明細書で使用される粒子の「直径」は、粒子の最長寸法を指す。
【0079】
本明細書に開示されたシステム及び方法を用いて疾患若しくは障害を「治療すること」は、疾患若しくは障害を又は疾患若しくは障害の1つ以上の症状を低減若しくは排除するか、又は疾患若しくは障害の又は疾患若しくは障害の1つ以上の症状の進行を遅らせるか、又は疾患若しくは障害の又は疾患若しくは障害の1つ以上の症状の重症度を低減するために、さらなる治療薬を使用して又は使用せずに、それを必要とする患者に本明細書に開示されたシステムの1つ以上を投与することと定義される。本明細書に開示されたシステム及び方法を用いる疾患若しくは障害の「抑制」は、疾患若しくは障害の臨床症状を抑制するために、又は疾患若しくは障害の有害症状の発現を抑制するために、さらなる治療薬を使用して又は使用せずに、それを必要とする患者に本明細書に開示されたシステムの1つ以上を投与することと定義される。治療と抑制の区別は、治療は、患者に疾患若しくは障害の有害症状が現れた後に行われ、一方、抑制は、患者に疾患若しくは障害の有害症状が現れる前に行われることである。抑制は、部分的、実質的に全体的、又は全体的であってもよい。いくつかの疾患若しくは障害は遺伝性であるため、遺伝子スクリーニングを使用して、疾患若しくは障害のリスクのある患者を同定することができる。従って本発明のシステムと方法は、任意の有害症状の出現を抑制するために、疾患若しくは障害の臨床症状を発症するリスクのある無症候性患者を処置するために使用することができる。
【0080】
本明細書に開示されたシステムの「治療的使用」は、上記で定義された疾患若しくは障害を治療するために、本明細書に開示されたシステムの1つ以上を使用することとして定義される。治療薬の「治療有効量」が患者に投与された時、疾患若しくは障害を又は疾患若しくは障害の1つ以上の症状を低減若しくは排除するか、又は疾患若しくは障害の又は疾患若しくは障害の1つ以上の症状の進行を遅らせるか、又は疾患若しくは障害の又は疾患若しくは障害の1つ以上の症状の重症度を低減するのに充分な、治療薬の量である。治療有効量は、単回用量として、又は分割され複数回用量として、患者に投与することができる。
【0081】
本明細書に開示されたシステムの「予防的使用」は、上記で定義された疾患若しくは障害を抑制するために、本明細書に開示されたシステムの1つ以上を使用することと定義される。治療薬の「予防的有効量」とは、患者に投与された時、疾患若しくは障害の臨床症状を抑制するのに、又は疾患若しくは障害の有害症状の発現を抑制するのに十分な、治療薬の量である、予防的有効量は、単回用量として又は分割され複数回用量として、患者に投与することができる。
【0082】
用語「約(about)」又は用語「およそ(approximately)」を使用して数値が表現される場合、これは、特性された値と特定された値に妥当に近い値の両方が含まれると理解される。例えば「約50℃」又は「およそ50℃」という記載は、50℃自体の開示、ならびに50°Cに近い値の両方を含む。すなわち用語「約X」又は「およそX」は、値X自体の記載を含む。範囲が示される場合、例えば「約50°C~60°C」又は「およそ50°C~60°C」が示される場合、終点で特定される両方の値が含まれ,各終点に近い値又は両方の終点の値が、各終点又は両方の終点について含まれる;すなわち「およそ50°C~60°C」(又は「約50°C~60°C」)は、「50°C~60°C」及び「およそ50℃~およそ60℃」(又は「約50℃~60°」)に等しい。
【0083】
本説明に開示される数値範囲について、ある成分の上限はその成分の開示された下限と組合せて範囲を提供することができる(ただし、上限は、組合わされる下限より大きいものとする)。開示された上限及び下限のこれらの組み合わせのそれぞれは、明示的に想定されている。例えば、特定の成分の量の範囲が、10%~30%、10%~12%、及び15%~20%として与えられる場合、10%~20%、及び15%~30%も想定され、一方、15%下限と12%上限の組み合わせは不可能であり、従って想定されない。
【0084】
特に別の指定がなければ、組成物中の成分の%は、重量%、又は重量/重量%として表される。組成物中の相対的重量%への言及は、組成物中の全成分の合計重量%が100になると仮定すると理解される。さらに、1つ以上の成分の相対的重量%は、組成物中の成分の重量%が合計で100になるように上又は下に調整される。ただし、任意の特定の成分の重量%は、その成分について特定された範囲の限界の外ではないものとする。
【0085】
本明細書に記載のいくつかの実施態様は、それらの様々な要素に関して「含む(comprising)」又は「含む(comprises)」と記載される。代替実施態様においてこれらの要素は、これらの要素に適用されるように「から本質的になっている(consisting essentially of)」又は「から本質的になる(consists essentially of)」という暫定的な句を用いて記載することができる。さらなる代替的実施態様においてこれらの要素は、それらの要素に適用されるように「からなっている(consisting of)」又は「からなる(consists of)」という暫定的な句を用いて記載することができる。従って、組成物又は方法がA及びBを含むとして本明細書に開示される場合、「A及びBから本質的になっている」組成物又は方法の代替的実施態様、及び「A及びBから本質的になる」組成物又は方法の代替的実施態様も、本明細書に開示されていると見なされる。同様に、本発明の様々な要素について「から本質的になる」又は「からなる」と記載される実施態様はまた、これらの要素に適用されるように「含む」と記載することもできる。最後に、これらの様々な要素について「から本質的になる」と記載される実施態様は、これらの要素に適用されるように「からなる」と記載することもでき、これらの様々な要素について「からなる」と記載される実施態様は、これらの要素に適用されるように、「から本質的になる」することもできる。
【0086】
組成物又はシステムが列挙された要素「から本質的になる」と記載される場合、組成物又はシステムは明示的に列挙された要素を含み、治療される状態に実質的に影響を与えない他の要素(症状を治療する組成物のための)、及び記載された系の特性 (システムを含む組成物の)を含むことができる。しかしながら、組成物又はシステムは、明示的に列挙された要素(システムを処理するための組成物の)以外の治療される症状に実質的に影響を及ぼす他の要素を含まないか、又はシステムの特性に実質的に影響を及ぼす他の要素(システムを含む組成物の)を含まない;又は、組成物又はシステムが、治療されている症状又はシステムの特性に実質的に影響を及ぼす可能性のある列挙された要素以外の余分な要素を含む場合、組成物又はシステムは、治療されている症状又はシステムの特性に実質的に影響を及ぼすのに充分な濃度の又は量の、これらの余分の要素を含まない。方法が記載された工程「から本質的になる」と記載されている場合、この方法は列挙された工程を含み、方法によって治療されている症状又は方法によって生成されるシステムの特性に実質的に影響を及ぼさない他の工程を含むことができるが、この方法は、治療されている症状又は明示的に列挙された工程以外により製造されるシステムに実質的に影響を及ぼす他の工程は含まれない。
【0087】
本開示はいくつかの実施態様を提供する。任意の実施態様からの特徴を、適宜任意の他の実施態様からの特徴と組合せることが可能であると考えられる。このように、開示された特徴の混成された構成は、本発明の範囲内である。
【0088】
治療薬放出の調節のための分散剤及びポリマー混合の安定性
担体ポリマー-薬剤成分中の分散剤の使用は、多くの利点を提供する。担体ポリマー-薬剤成分からの治療薬の溶出速度は、上記した多くの要因、例えば担体ポリマー(それ自体が複数のポリマー成分及び非ポリマー成分を含むことができる)の組成及び特性;治療薬の物理的及び化学的特性;及び胃内の環境、による影響を受ける。治療薬、特に親水性薬剤のバースト放出を回避し、有効放出期間又は滞留期間にわたって治療薬の持続放出を維持することは、システムの重要な特性である。本発明による分散剤の使用は、放出速度のより良好な制御及びバースト放出の抑制を可能にする。バースト放出及び放出速度は、分散剤の濃度を変えることによって調整することができる。実施例9は、模擬胃液中のセチリジンのバースト放出に対する、異なる分散剤及び異なる賦形剤の影響を示す。
【0089】
本発明で使用することができる分散剤には、二酸化ケイ素(シリカ、SiO2)(親水性ヒュームド);ステアリン酸カルシウム及びステアリン酸マグネシウムなどのステアリン酸塩;微結晶セルロース;カルボキシメチルセルロース;疎水性コロイド状シリカ;ヒプロメロース;ケイ酸アルミニウムマグネシウム;リン脂質;ステアリン酸ポリオキシエチレン;酢酸亜鉛;アルギン酸;レシチン;脂肪酸;ラウリル硫酸ナトリウム;酸化アルミニウムなどの非毒性の金属酸化物が含まれる。多孔性無機材料及び極性無機材料を使用することができる。親水性-ヒュームド二酸化ケイ素が好ましい分散剤である。
【0090】
凝集防止/フロック形成防止活性に加えて、分散剤は、システムの製造及び/又は保存中の相分離を防止するのに役立ち得る。これは、ホットメルト押出によるシステムの製造に特に有用である。
【0091】
分散剤と治療薬の重量/重量比は、約0.1%~約5%、約0.1%~約4%、約0.1%~約3%、約0.1%~約2%、約0.1%~約1%、約1%~約5%、約1%~約4%、約1%~約3%、約1%~約2%、約2%~約4%、約2%~約3%、約3%~約4%、約4%~約5%、又は約0.1%、約0.5%、約1%、約2%、約3%、約4%、又は約5%でもよい。
【0092】
分散剤は、約0.1%~約4%の担体ポリマー-薬剤成分、例えば約0.1%~約3.5%、約0.1%~約3%、約0.1%~約2.5%、約0.1%~約2%、約0.1%~約1.5%、約0.1%~約1%、約0.1%~約0.5%、又は約0.2%~約0.8%の担体ポリマー-薬剤成分を含むことができる。
【0093】
胃内滞留システムが投与される初期期間中の許容可能なバースト放出の量は、所望の有効放出期間に依存するか、場合によっては所望の胃内滞留期間に依存する。週1回投与される(すなわち有効放出期間が約1週間)胃内滞留システムの実施態様において、最初の投与後の最初のほぼ6時間にわたるバースト放出は、システム中の薬剤の総量の約8%未満、好ましくは約6%未満である。3日毎に1回投与される胃内滞留システムの実施態様において、最初の投与後の最初のほぼ6時間にわたるバースト放出は、システム中の薬剤の総量の約12%未満、好ましくは約10%未満である。1日に1回投与される胃内滞留システムの実施態様において、最初の投与後の最初のほぼ6時間にわたるバースト放出は、システム中の薬剤の総量の約40%未満、好ましくは約30%未満である。一般に、新しい胃内滞留システムがE日おきに投与され、薬剤の総量がMである場合、胃内滞留システムは、約[(M/E)×0.5]未満、好ましくは約[(M/E)×0.4]未満、又は約[(M/E)×(3/8)]未満、より好ましくは約[(M/E)×0.3]未満を、最初の投与後の最初のほぼ6時間にわたって放出する。更なる実施態様において、胃内滞留システムは、最初の投与後の最初のほぼ6時間にわたって、少なくとも約[(M/E)×0.25]を放出し、すなわちシステムは、投与最初の日の最初の4分の1にわたって、1日量の少なくとも約4分の1を放出する。
【0094】
治療薬の安定化
多くの治療薬は、胃に存在し得る活性酸素種に曝されると酸化的分解を受けやすい。従って、システムに含有される治療薬は、胃内でのシステムの長い滞留時間と、システムからの治療薬の長い放出期間のために、酸化されることがある。従って、薬剤を安定化して酸化的及び他の劣化を防止するために、システムには安定剤又は防腐剤を含むことが望ましい。
【0095】
安定剤、例えばトコフェロール、アルファトコフェロール、アスコルビン酸、パルミチン酸アスコルビル、ブチル化ヒドロキシトルエン、ブチル化ヒドロキシアニソール、及びフマル酸を含む抗酸化剤は、約0.1%~約4%の担体ポリマー-薬剤成分、例えば約0.1%~約3.5%、約0.1%~約3%、約0.1%~約2.5%、約0.1%~約2%、約0.1%~約1.5%、約0.1%~約1%、約0.1%~約0.5%、又は約0.2%~約0.8%の担体ポリマー-薬剤成分を含むことができる。
【0096】
治療薬の酸化を低減又は防止するためにシステムに含めることができる抗酸化安定剤には、アルファトコフェロール(約0.01~約0.05%v/v)、アスコルビン酸(約0.01~約0.1%w/v)、パルミチン酸アスコルビル(約0.01~約0.1%w/v)、ブチル化ヒドロキシトルエン(約0.01%~約0:1%w/w)、ブチル化ヒドロキシアニソール(約0.01~約0.1%w/w)、及びフマル酸(最大3600ppm)が含まれる。
【0097】
特定の治療薬は、特に胃内環境に存在する低pHにおいて、pH感受性であり得る。低pHでの治療薬の分解を低減又は防止するためにシステム中に含めることができる緩衝性又はpH安定剤化合物には、炭酸カルシウム、乳酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸ナトリウム、及び重炭酸ナトリウムが含まれる。それらは、典型的には最大約2%w/wの量で使用される。緩衝性又はpH安定剤化合物は、約0.1%~約4%の担体ポリマー-薬剤成分、例えば約0.1%~約3.5%、約0.1%~約3%、約0.1%~約2.5%、約0.1%~約2%、約0.1%~約1.5%、約0.1%~約1%、約0.1%~約0.5%又は約0.2%~約0.8%の担体ポリマー-薬剤成分を含むことができる。
【0098】
抗酸化安定剤、pH安定剤、及び他の安定剤化合物は、安定剤を融解担体ポリマー-薬剤混合物中に混合することにより、ポリマー中に混合される。安定剤は、治療薬をポリマー-安定剤混合物に混合する前に、融解担体ポリマーに混合することができるか、又は安定剤は、担体ポリマー中に混合された薬剤-安定剤混合物を調製する前に薬剤と混合することができる。又は安定剤、薬剤、及び融解担体ポリマーを同時に混合することができる。従って治療薬はまた、安定剤をポリマー-薬剤混合物に混合する前に、融解担体ポリマー中に混合することができる。
【0099】
1つの実施態様において、システムに残っている治療薬の約10%未満が、約24時間の胃内滞留期間又は有効放出期間後に分解又は酸化される。1つの実施態様において、システムに残っている治療薬の約10%未満が、約48時間の胃内滞留期間又は有効放出期間後に分解又は酸化される。1つの実施態様において、システムに残っている治療薬の約10%未満が、約72時間の胃内滞留期間又は有効放出期間後に分解又は酸化される。1つの実施態様において、システムに残っている治療薬の約10%未満が、約96時間の胃内滞留期間又は有効放出期間後に分解又は酸化される。1つの実施態様において、システムに残っている治療薬の約10%未満が、約5日間の胃内滞留期間又は有効放出期間後に分解又は酸化される。別の実施態様において、システムに残っている治療薬の約10%未満が、約1週間の胃内滞留期間又は有効放出期間後に分解又は酸化される。別の実施態様において、システムに残っている治療薬の約10%未満が、約2週間の胃内滞留期間又は有効放出期間後に分解又は酸化される。別の実施態様において、システムに残っている治療薬の約10%未満が、約3週間の胃内滞留期間又は有効放出期間後に分解又は酸化される。別の実施態様において、システムに残っている治療薬の約10%未満が、約4週間の胃内滞留期間又は有効放出期間後に分解又は酸化される。別の実施態様において、システムに残っている治療薬の約10%未満が、約1ヵ月の胃内滞留期間又は有効放出期間後に分解又は酸化される。
【0100】
1つの実施態様において、システムに残っている治療薬の約5%未満が、約24時間の胃内滞留期間又は有効放出期間後に分解又は酸化される。1つの実施態様において、システムに残っている治療薬の約5%未満が、約48時間の胃内滞留期間又は有効放出期間後に分解又は酸化される。1つの実施態様において、システムに残っている治療薬の約5%未満が、約72時間の胃内滞留期間又は有効放出期間後に分解又は酸化される。1つの実施態様において、システムに残っている治療薬の約5%未満が、約96時間の胃内滞留期間又は有効放出期間後に分解又は酸化される。1つの実施態様において、システムに残っている治療薬の約5%未満が、約5日間の胃内滞留期間又は有効放出期間後に分解又は酸化される。別の実施態様において、システムに残っている治療薬の約5%未満が、約1週間の胃内滞留期間又は有効放出期間後に分解又は酸化される。別の実施態様において、システムに残っている治療薬の約5%未満が、約2週間の胃内滞留期間又は有効放出期間後に分解又は酸化される。別の実施態様において、システムに残っている治療薬の約5%未満が、約3週間の胃内滞留期間又は有効放出期間後に分解又は酸化される。別の実施態様において、システムに残っている治療薬の約5%未満が、約4週間の胃内滞留期間又は有効放出期間後に分解又は酸化される。別の実施態様において、システムに残っている治療薬の約5%未満が、約1ヵ月の胃内滞留期間又は有効放出期間後に分解又は酸化される。
【0101】
特定の時点の胃内滞留システムの経時的な分解及び/又は酸化を、以下のいずれかで測定することができる:0.1N塩酸、模擬胃液(絶食)、模擬胃液(摂食)、ブタの胃、イヌの胃、又はヒトの胃。放出速度の標準化及び比較のためには、0.1N塩酸が好ましい。
【0102】
治療薬の粒子サイズ及び粉砕
胃内滞留システムで使用される粒子サイズの制御は、治療薬の最適放出及びシステムの機械的安定性の両方にとって重要である。 治療薬の粒子サイズは、胃液がシステムの担体ポリマー-薬剤成分中に浸透するときに、溶解に利用可能な薬剤の表面積に影響を与える。また、システムの「アーム」(細長部材)は直径が比較的薄い(例えば、1ミリメートルから5ミリメートル)ため、以前は薬剤粒子により占められていたスペース内に空隙が残ると、アームの直径より数%過剰なサイズの治療薬の粒子の存在は、薬剤が装置から溶出する前及び溶出後に、より弱いアームを与える。このようなアームの弱体化は、所望の滞留時間が終了する前にシステムの早期破損及び通過を招くことがあるため、不利である。
【0103】
1つの実施態様において、担体ポリマー-薬剤成分に混合するために使用される治療薬粒子は、直径約100ミクロン未満である。別の実施態様において、治療薬粒子は直径約75ミクロン未満である。別の実施態様において、治療薬粒子は直径約50ミクロン未満である。別の実施態様において、治療薬粒子は直径約40ミクロン未満である。別の実施態様において、治療薬粒子は直径約30ミクロン未満である。別の実施態様において、治療薬粒子は直径約25ミクロン未満である。別の実施態様において、治療薬粒子は直径約20ミクロン未満である。別の実施態様において、治療薬粒子は直径約10ミクロン未満である。別の実施態様において、治療薬粒子は直径約5ミクロン未満である。
【0104】
1つの実施態様において、担体ポリマー-薬剤成分に混合するために使用される治療薬粒子の少なくとも約80%は、直径約100ミクロン未満である。別の実施態様において、治療薬粒子の少なくとも約80%は直径約75ミクロン未満である。別の実施態様において、治療薬粒子の少なくとも約80%は直径約50ミクロン未満である。別の実施態様において、治療薬粒子の少なくとも約80%は直径約40ミクロン未満である。別の実施態様において、治療薬粒子の少なくとも約80%は直径約30ミクロン未満である。別の実施態様において、治療薬粒子の少なくとも約80%は直径約25ミクロン未満である。別の実施態様において、治療薬粒子の少なくとも約80%は直径約20ミクロン未満である。別の実施態様において、治療薬粒子の少なくとも約80%は直径約10ミクロン未満である。別の実施態様において、治療薬粒子の少なくとも約80%は直径約5ミクロン未満である。
【0105】
1つの実施態様において、担体ポリマー-薬剤成分に混合するために使用される治療薬粒子の質量の少なくとも約80%は、約1ミクロン~約100ミクロンの直径を有する。別の実施態様において、治療薬粒子の質量の少なくとも約80%は、約1ミクロン~約75ミクロンの直径を有する。別の実施態様において、治療薬粒子の質量の少なくとも約80%は、約1ミクロン~約50ミクロンの直径を有する。別の実施態様において、治療薬粒子の質量の少なくとも約80%は、約1ミクロン~約40ミクロンの直径を有する。別の実施態様において、治療薬粒子の質量の少なくとも約80%は、約1ミクロン~約30ミクロンの直径を有する。別の実施態様において、治療薬粒子の質量の少なくとも約80%は、約1ミクロン~約25ミクロンの直径を有する。別の実施態様において、治療薬粒子の質量の少なくとも約80%は、約1ミクロン~約20ミクロンの直径を有する。別の実施態様において、治療薬粒子の質量の少なくとも約80%は、約1ミクロン~約10ミクロンの直径を有する。別の実施態様において、治療薬粒子の質量の少なくとも約80%は、約1ミクロン~約5ミクロンの直径を有する。
【0106】
1つの実施態様において、担体ポリマー-薬剤成分に混合するために使用される治療薬粒子の質量の少なくとも約80%は、約2ミクロン~約100ミクロンの直径を有する。別の実施態様において、治療薬粒子の質量の少なくとも約80%は、約2ミクロン~約75ミクロンの直径を有する。別の実施態様において、治療薬粒子の質量の少なくとも約80%は、約2ミクロン~約50ミクロンの直径を有する。別の実施態様において、治療薬粒子の質量の少なくとも約80%は、約2ミクロン~約40ミクロンの直径を有する。別の実施態様において、治療薬粒子の質量の少なくとも約80%は、約2ミクロン~約30ミクロンの直径を有する。別の実施態様において、治療薬粒子の質量の少なくとも約80%は、約2ミクロン~約25ミクロンの直径を有する。別の実施態様において、治療薬粒子の質量の少なくとも約80%は、約2ミクロン~約20ミクロンの直径を有する。別の実施態様において、治療薬粒子の質量の少なくとも約80%は、約2ミクロン~約10ミクロンの直径を有する。別の実施態様において、治療薬粒子の質量の少なくとも約80%は、約2ミクロン~約5ミクロンの直径を有する。
【0107】
1つの実施態様において、担体ポリマー-薬剤成分に混合するために使用される治療薬粒子の質量の少なくとも約80%は、約5ミクロン~約100ミクロンの直径を有する。別の実施態様において、治療薬粒子の質量の少なくとも約80%は、約5ミクロン~約75ミクロンの直径を有する。別の実施態様において、治療薬粒子の質量の少なくとも約80%は、約5ミクロン~約50ミクロンの直径を有する。別の実施態様において、治療薬粒子の質量の少なくとも約80%は、約5ミクロン~約40ミクロンの直径を有する。別の実施態様において、治療薬粒子の質量の少なくとも約80%は、約5ミクロン~約30ミクロンの直径を有する。別の実施態様において、治療薬粒子の質量の少なくとも約80%は、約5ミクロン~約25ミクロンの直径を有する。別の実施態様において、治療薬粒子の質量の少なくとも約80%は、約5ミクロン~約20ミクロンの直径を有する。別の実施態様において、治療薬粒子の質量の少なくとも約80%は、約5ミクロン~約10ミクロンの直径を有する。
【0108】
治療薬の粒子サイズは、粉砕によって容易に調整することができる。より大きな粒子を所望のサイズのより小さい粒子に縮小するために、いくつかの粉砕技術が利用可能である。流体エネルギー粉砕は、粒子間の衝突を利用して粒子のサイズを小さくする乾式粉砕技術である。 空気ジェットミルと呼ばれる流体エネルギーミルの一種は、治療薬粒子間の衝突を最大にするような方法で、空気を円筒形チャンバーに噴出させる。 ボールミル粉砕は、その主軸の周りを回転する転がり円筒形チャンバーを利用する。 治療薬及び粉砕材料(例えば、クロム鋼またはCR-NI鋼から製造されたスチールボール;ジルコニアなどのセラミックボール;又はポリアミド)が衝突して、薬剤の粒径が低下する。ボールミル粉砕は、乾燥状態で、または治療薬と粉砕材料が液体に不溶性である時はシリンダーに添加した液体を用いて、行うことができる。さらなる情報は、R.W. Lee et al. 標題 “Particle Size Reduction”Water-Insoluble Drug Formulation中, 第2版 (Ron Liu, 編者),中 Boca Raton, Florida: CRC Press, 2008; 及び A.W. Brzeczko et al. 標題 “Granulation of Poorly Water-Soluble Drugs” Handbook of Pharmaceutical Granulation Technology, 第3版 (Dilip M. Parikh, 編者)中, Boca Raton, Florida: CRC Press/Taylor & Francis Group, 2010 (及びこのハンドブックの他のセクション) 中に記載されている。
粉砕添加剤
【0109】
粉砕の間に治療薬材料に物質を添加して、所望のサイズの粒子を得て、操作中の凝集を最小にすることができる。シリカ(二酸化ケイ素、SiO2)は、好適な粉砕添加剤であり、安価であるため、広く利用され、非毒性である。使用することができる他の添加剤には、シリカ、リン酸カルシウム、粉末セルロース、コロイド状二酸化ケイ素、疎水性コロイド状シリカ、酸化マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、三ケイ酸マグネシウム、タルク、ポリビニルピロリドン、セルロースエーテル、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、及び界面活性剤が含まれる。特に、直径5ミクロン未満の疎水性粒子は、凝集が特に起こりやすく、このような粒子を粉砕する時には親水性添加剤が使用される。重量/重量比が約0.1%~約5%の粉砕添加剤、例えばシリカを、流体粉砕又はボールミル粉砕に使用することができるか、又は約0.1%~約4%、約0.1%~約3%、約0.1%~約2%、約0.1%~約1%、約1%~約5%、約1%~約4%、約1%~約3%、約1%~約2%、又は約0.1%、約0.5%、約1%、約2%、約3%、約4%、又は約5%が使用される。
粒子サイジング
【0110】
粉砕後、粒子を適切なサイズのメッシュに通して、所望のサイズの粒子を得ることができる。所望の最大サイズの粒子を得るために、粒子は所望の最大サイズの穴を有するメッシュに通される;大きすぎる粒子はメッシュ内に保持され、メッシュを通過する粒子は、所望の最大サイズを有する。所望の最小サイズの粒子を得るために、粒子は、所望の最小サイズの孔を有するメッシュに通される。メッシュを通過する粒子は小さ過ぎ、所望の粒子はメッシュ上に保持される。
【0111】
システム形状
胃内滞留システムに、様々な幾何学的構成を使用することができる。このような構成の1つが
図1に示されており、これは、非圧縮形態の環の形を取る。胃内滞留システム100は、担体ポリマー-薬剤成分102と、結合ポリマーを含む結合104とから構築される。システムは結合ポリマー接合部で折りたたまれるか、又は圧縮形態でカプセル中にパッケージングするために、ねじってらせんにされる。カプセルが胃に溶解すると、システム100は非圧縮形態の円形に展開され、幽門括約筋中の通過を防止する。この実施態様において、結合ポリマーはエラストマーとして働く。担体ポリマー-薬剤成分102及び結合104は一定の縮尺で描かれてはいない。「アーム」102及び結合104の寸法(例えば長さ又は直径)は、図に示されているものから変化し得る。
【0112】
星形(星状)である別の構成が
図2に示される。胃内滞留システム200は、放射状に出ている細長部材である「アーム」を有する中央のエラストマー206の周りに構成されており、1つのそのようなアームは図中で208として表示されている。アームは、外側の担体ポリマー-薬剤成分202、内側の担体ポリマー-薬剤成分203、及び結合ポリマーを含む結合204によって形成される。成分202、204、203は共に、この「星形」構成の「アーム」を構成する。エラストマー206は、システムが折りたたまれてカプセル内にパッケージングされることを可能にする。再度、成分は縮尺通りに描かれていない。
【0113】
図2Aは、3つのアームを有するシステムの別の実施態様を示す。
図2又は
図2Aの星形構成の場合、連結エラストマー206の周囲に実質的に均等に配置されていると理解される。すなわちN個のアームを有する星型の装置の場合、アームは(360/N)度だけ離れるであろう。例えば、
図2Aの装置の3つのアームは、約120度だけ離れている。
図1及び
図2の場合のように、
図2A中の成分は縮尺通りに描かれていない。
【0114】
図3は、
図2又は
図2Aのシステムの折りたたまれた状態を示し、外側担体ポリマー-薬剤成分302と、内側担体ポリマー-薬剤成分303と、結合ポリマーを含む結合304と、エラストマー306とを含むアーム308を用いて、折りたたまれてカプセル内にパッケージングされ(図に示していない)、エラストマーは、
図2又は
図2Aの形状から変形している。明確にするために、
図3には、外側の担体ポリマー-薬剤成分302と、結合304と、内側の担体ポリマー-薬剤成分303とによって形成された、2つの「アーム」のみが示されている。
図2及び
図2Aのシステムに示すように、追加のアームが存在してもよい。胃内に保持されているカプセルが溶解すると、システム300は、
図2又は
図2Aに示される星型形状に展開され、システムの滞留時間(滞留期間)にわたって幽門括約筋中の通過を防止する。担体ポリマー-薬剤成分、結合、及びエラストマーは一定の縮尺で描かれていない。担体ポリマー-薬剤成分、結合、エラストマーの寸法(例えば長さ又は直径)は、図に示されるものとは異なることがある。
【0115】
システムの寸法
システムは、患者がシステムを飲み込むことを可能にする(又は、例えば栄養管又は胃管などの他の手段により、システムが胃に導入されることを可能にする)大きさの圧縮状態を取ることができなければならない、典型的にはシステムは、カプセルなどの容器によって圧縮された状態に保持される。胃の中に入ると、次にシステムは容器から放出され、非圧縮状態、すなわち拡張したコンフォメーションを取り、システムが幽門括約筋を通過することを防ぎ、こうして胃内のシステムの保持を可能にする。
【0116】
従って、システムは、通常薬局で使用されるタイプの標準サイズのカプセル内に配置できなければならない。米国で使用されている標準的なカプセルサイズは以下の表1に与えられる(“Draft Guidance for Industry on Size, Shape, and Other Physical Attributes of Generic Tablets and Capsules”、URL www.regulations.gov/#!documentDetail;D=FDA-2013-N-1434-0002 参照)。これらはカプセルの外形寸法であり、寸法はカプセル製造業者間でわずかに異なるため、システムは、図示された外径より約0.5~1mm小さく、表1に示す長さよりも約1~2mm短い。
【0117】
【0118】
カプセルは、ゼラチン又はヒドロキシプロピルメチルセルロースなどの当該分野で公知の材料で作ることができる。1つの実施態様において、カプセルは胃内環境に溶解するが、口腔又は食道環境では溶解されない材料で作成され、これが、胃に到達する前のシステムの早期放出を防止する。
【0119】
1つの実施態様において、例えば
図3に示されるような方法でカプセルに適合するようにに、システムは折りたたまれ圧縮された圧縮状態になる。いったんカプセルが胃の中で溶解すると、システムは、例えば
図2又は
図2Aに示されるような方法で、胃内滞留に適した構成を取る。好適なカプセルサイズは00~00el(00elサイズのカプセルは000カプセルのおよその長さと00カプセルのおよその幅を有する)であり、これは、折りたたまれたシステムの長さと直径を制約する。
【0120】
いったん容器から放出されると、システムは、幽門括約筋を介する胃内滞留システムの通過を防止するのに適した寸法を有する非圧縮状態を取る。1つの実施態様においてシステムは、それぞれ少なくとも2cmの長さの2つの直交する寸法を有し、すなわち、胃内滞留システムは少なくとも2つの直交する方向にわたって少なくとも約2cmの長さを有する。別の実施態様において非圧縮状態のシステムの周囲は、平面上に投影されたとき、各々が少なくとも2cmの長さの2つの直交する寸法を有する。2つの直交する寸法は、独立に、約2cm~約7cm、約2cm~約6cm、約2cm~約5cm、約2cm~約4cm、約2cm~約3cm、約3cm~約7cm、約3cm~約6cm、約3cm~約5cm、約3cm~約4cm、約4cm~約7cm、約4cm~約6cm、約4cm~約5cm、又は約4cm~約4cm、の長さを有する。これらの寸法は、幽門括約筋を介する胃内滞留システムの通過を防止する。
【0121】
N個のアーム(ここでNは3以上)を有する星型ポリマーの場合、アームは少なくとも2つの直交寸法を有し、各長さは上述の長さである。例えば、
図2Aのシステムは、
図2Bに示すように三角形で囲むことができ、ここで三角形は、その基部Bの長さと高さHによって記述され、BとHは直交し、これらは上述の長さの2つの直交寸法を含む。これら2つの直交寸法は、上記したように胃内滞留システムの保持を促進するために選択される。
【0122】
システムは、最終的に所望の滞留時間(滞留期間)の終わりに胃の中で分解されるように設計されている。結合ポリマーがいったん分解されると、システムの残りの成分は、幽門括約筋、小腸、及び大腸へのシステムの通過を可能にする大きさとなる。最後に、システムは排便によって、又は小腸及び大腸におけるシステムの最終的な完全な溶解によって、分解される。従って結合ポリマーは、所望の滞留期間の終了時に結合ポリマーが分解されるか又は溶解した時、胃内滞留システムの非結合成分が幽門括約筋を通過し、消化管から排除されるのに適した寸法を有するような構成で、本発明の胃内滞留システム内に配置される。
【0123】
システムポリマー組成物
担体ポリマー、結合ポリマー、及びエラストマーの個々のポリマーの選択は、システムの多くの特性、例えば治療薬溶出速度(担体ポリマーならびに他の要因に依存する)、システムの有効放出期間、滞留時間(滞留期間)(ポリマー、主に結合ポリマーの分解に依存する)、システムが小腸中に通過する場合のシステムの脱結合時間(本明細書に議論されるように、主に結合ポリマーの腸内分解速度に依存する)、及びその圧縮形態のシステムの寿命(主にエラストマーの特性に依存する)などに影響を与える。システムは消化管に投与されるため、システムの全ての成分は胃腸の環境と生体適合性でなければならない。
【0124】
担体ポリマー-薬剤成分からの治療薬の溶出速度は、それ自体がいくつかのポリマーと非ポリマー成分の混合物であってもよい担体ポリマーの組成と特性;治療薬の特性、例えば親水性/疎水性、電荷状態、PKa、及び水素結合能力;及び胃内環境の特性を含む多くの要因により影響を受ける。胃の水性環境では、治療薬(バースト放出とは、胃におけるシステムの初期展開時の活性医薬成分の高い初期送達を指す)、特に親水性物質のバースト放出を回避すること、及び数日から数週間にわたる薬剤の持続放出を維持することが課題である。
【0125】
胃におけるシステムの滞留時間(滞留期間)は、結合ポリマーの選択によって調整される。胃の機械的作用と変動するpHとが最終的に腸溶コーティングポリマーを弱めるため、腸溶コーティングポリマーの使用にもかかわらず、システムは最終的に胃の中で分解される。胃内で時間依存的に分解する結合ポリマーは、システムが分解するまでの時間を調整し、従って滞留時間を調整するために使用することもできる。システムがいったん分解すると、これは小腸に入り、次に除去される。
【0126】
システムで使用されるエラストマーは、システムの保存寿命に影響を与える。システムが圧縮されると、エラストマーは機械的応力を受ける。次に応力は、ポリマークリープを引き起こし、これが十分に広範囲な場合は、システムがカプセル又は他の容器から放出されたときに、システムがその非圧縮形態に戻ることを防ぐことができる。ポリマークリープはまた温度依存性でもあり、従ってエラストマー及び他のポリマー成分を選択する場合は、システムの予測される保存条件を考慮する必要がある。
【0127】
いくつかの実施態様において、システム成分とポリマーは、胃内環境において膨潤してはならず、又は膨潤は最小であるべきである。成分の膨潤は、胃内環境で滞留期間にわたって、約20%以下、約10%以下、又は好ましくは約5%以下であるべきである。
【0128】
いくつかの実施態様において、システム成分及びポリマーは、胃内環境で膨潤することができる。
【0129】
担体ポリマー-薬剤成分用の担体ポリマー
担体ポリマー-薬剤成分は、胃内環境において胃内滞留システムから溶出した治療薬を含む。治療薬は、担体ポリマー剤混合物に混合されて、担体ポリマー-薬剤混合物を形成する。この混合物は、システム中の担体ポリマー-薬剤成分として使用される所望の形、例えば
図1、
図2、及び
図3に記載されるシステム用のロッド(円筒部材)に形成することができる。本発明での使用に適した代表的な担体ポリマーには、特に限定されるものではないが、親水性セルロース誘導体(例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ナトリウム-カルボキシメチルセルロース)、酢酸フタル酸セルロース、ポリ(ビニルピロリドン)、エチレン/ビニルアルコールコポリマー、ポリ(ビニルアルコール)、カルボキシビニルポリマー(カルボマー)、Carbopol(登録商標)、酸性カルボキシポリマー、ポリカルボフィル、ポリ(エチレンオキシド)(ポリオックスWSR)、多糖類及びその誘導体、ポリアルキレンオキシド、ポリエチレングリコール、キトサン、アルギン酸塩、ペクチン、アカシア、トラガカント、グアーガム、ローカストビーンガム、ビニルピロリジンビニルアセテートコポリマー、デキストラン、天然ゴム、寒天、アガロース、アルギン酸ナトリウム、カラゲニン、フコイダン、ファーセレラン、ラミナラン、ヒプネア(hypnea)、ユーケウマ(eucheuma)、アラビアゴム、ガティゴム、カラヤゴム、アラビノグラクタン(arbinoglactan)、アミロペクチン、ゼラチン、ジェラン、ヒアルロン酸、プルラン、スクレログルカン、キサンタンゴム、キシログルカン、無水マレイン酸コポリマー、エチレン無水マレイン酸コポリマー、ポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)、アンモニオメタクリレートコポリマー(例えばオイドラギットRL又はオイドラギットRS)、ポリ(アクリル酸エチル-メタクリル酸メチル)(オイドラギットNE)、オイドラギットE(ジメチルアミノエチルメチルアクリレートと中性メタクリル酸エステルに基づくカチオン性コポリマー)、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸)、ポリラクトン、例えばポリ(カプロラクトン)、ポリ無水物、例えばポリ[ビス(p-カルボキシフェノキシ)プロパン無水物]、ポリ(テレフタル酸無水物)、ポリペプチド、例えばポリリジン、ポリグルタミン酸、ポリ(オルトエステル)、例えばDETOSUとジオール(例えばヘキサンジオール、デカンジオール)とのコポリマー、シクロヘキサンジメタノール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、及び米国特許第4,304,767号に記載され開示されたポリ(オルト)エステル、デンプン、特にα化デンプン、及びデンプン主体のポリマー、カルボマー、マルトデキストリン、アミロマルトデキストリン、デキストラン、ポリ(2-エチル-2-オキサゾリン)、ポリ(エチレンイミン)、ポリウレタン、ポリ(乳酸)、ポリ(グリコール酸)、ポリ(乳酸-コ-グリコール酸)(PLGA)、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリヒドロキシブチレート、並びにこれらのコポリマー、混合物、調合物、及び組み合わせが含まれる。ポリカプロラクトン(PCL)が好ましい担体ポリマーである。
【0130】
胃内滞留システムで使用される放出促進剤及び可溶化剤
治療薬の放出を調節するために、担体ポリマーに他の賦形剤を添加することができる。そのような賦形剤は、担体ポリマー-薬剤成分の約1%~約50%、約1%~約40%、約1%~約30%、約1%~約25%、約1%~約20%、約1%~約15%、約5%~約10%、約5%、又は約10%の量で添加することができる。そのような賦形剤の例には、ポロキサマー407(コリフォールP407として入手可能, Sigma カタログ番号62035);プルロニックP407;オイドラギットEPO(Evonikから入手可能);ヒプロメロース(Sigmaから入手可能、カタログ番号H3785)、コリフォール RH40(Sigmaから入手できる、カタログ番号07076)、ポリビニルカプロラクタム、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレングリコール、アクアプレン(Aquaprene)、例えば、アクアスプレン8020(ポリジオキサノン-ポリエチレングリコールポリマー)、及びソルプラス(Soluplus)(BASFから入手可能;ポリビニルカプロラクタム、ポリ酢酸ビニル、及びポリエチレングリコールのコポリマー)が含まれる。
【0131】
可溶化剤として機能する賦形剤を添加することができる。即ち可溶化剤賦形剤は、水溶液が胃内滞留システムと接触するとき治療薬の溶解を助ける。そのような可溶化剤は、1%~約30%、約1%~約25%、約5%~約25%、約5%~約20%、又は約5%~約15%の量で添加することができる。
【0132】
担体ポリマーからの治療薬の放出を促進するのに役立つ賦形剤を添加することができる。例としては、時間依存的に溶解し、水溶液がアクセスして担体ポリマー-治療薬マトリックスへの浸透を提供する細孔形成物質と、担体ポリマー-治療薬マトリックスに水を引き込むウィッキング物質とがある。そのような放出促進剤は、約1%~約30%、約1%~約25%、約1%~約20%、約1%~約15%、約5%~約10%、約5%、又は約10%の量で添加することができる。担体ポリマーからの放出が特に困難な物質については、放出促進剤は、約1%~約50%、又は約1%~約40%の多量で添加することができる。
【0133】
分散剤及び安定化剤(保存剤)も有用であり、本明細書の他のセクションに議論されている。
【0134】
本発明での使用に適した可溶化賦形剤、放出促進賦形剤、分散剤、及び安定剤/保存剤は、表2に列挙される。
【0135】
【0136】
担体ポリマー-薬剤成分の製造方法
ポリマーマトリックス中への治療薬の取り込みのための混合温度は典型的には、約80℃~約120℃の範囲であるが、この範囲外の温度で最良に混合されるポリマーについては、より高い又はより低い温度を使用することができる。治療薬の遊離結晶を使用する場合、薬剤粒子又は結晶を融解するために約80℃~約100℃の低い混合温度を使用することができる。特定の状況において、融解が薬剤をマトリックス中に添加することを助ける場合、及び治療薬が望ましくない形態に再結晶化しない場合は、混合中に治療薬結晶を融解することが許容される。
【0137】
混合又は製造中に、薬剤の約0.5%、0.4%、0.3%、0.2%、0.1%、0.09%、0.08%。0.07%、0.06%、0.05%、0.04%、0.03%、0.02%。0.01%、又は0.005%未満が分解するように、混合温度は、治療薬の分解温度より低い混合温度を使用する必要がある。
【0138】
ホットメルト押出しを使用して、担体ポリマー-薬剤成分を調製することができる。一軸式又は好ましくは二軸式システムを使用することができる。上記のようにいくつかの態様において、治療薬の粒子の融解は、粒子のサイズ及び分布特性を劇的に変化させる可能性があるため、担体ポリマーは、ポリマー中に混合される治療薬粒子を融解しない温度で融解することができるものを使用すべきである。
【0139】
ホットメルト押出しに必要な温度を下げるために、例えばトリアセチン、クエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、又はポロキサマーなどの可塑剤を混合物に添加することができ、これは次にホットメルト中に起こり得る治療薬の分解を減少させることができる。融解粘度は、押出し可能な物質については、約100パスカル-秒(Pa-s)~約100,000Pa-s、例えば約100Pa-s~約1,000Pa-s、約100Pa-s~約10,000Pa-s、約100Pa-s~約50,000Pa-s、約1,000Pa-s~約10,000Pa-s、約1,000Pa-s~約50,000Pa-s、約10,000Pa-s~約50,000Pa-s、約1,000Pa-s~約100,000Pa-s、約50,000Pa-s~約100,000Pa-sであり;いくつかの実施態様において、押出しは、約10/s~約1,000/sの剪断速度、及び約200℃以下、例えば150℃以下、120℃以下、又は治療薬の融解温度以下で行われる。
【0140】
融解及び流延成形を用いて、担体ポリマー-薬剤成分を調製することもできる。担体ポリマー及び治療薬及び任意の他の所望の成分は、一緒に混合される。担体ポリマーは、融解し(再度、治療薬の粒子を融解させない温度で)、そして融解物は混合されて、その結果、薬剤粒子が融解物中に均等に分散され、型に注がれ、冷却される。
【0141】
溶媒流延成形を用いて、担体ポリマー-薬剤成分を調製することもできる。すなわちポリマーを溶媒に溶解し、治療薬の粒子を加える。粒子のサイズ特性の変更を避けるため、薬剤粒子を溶解させない溶媒を使用すべきである。次に溶媒-担体ポリマー-粒子混合物を混合して、粒子を均一に分散させ、型に注ぎ、溶媒を蒸発させる。
【0142】
結合ポリマー
結合ポリマーを使用して、1種以上の担体ポリマー-薬剤成分を1種以上の担体ポリマー-薬剤成分に連結させ、1種以上の担体ポリマー-薬剤成分を1種以上のエラストマー成分に連結させ、又は1種以上のエラストマー成分を1種以上のエラストマー成分と連結させる。いくつかの実施態様において、腸溶性ポリマーは結合ポリマーとして使用される。いくつかの実施態様において、pH耐性の、すなわち腸溶性ポリマーよりもpHの変化に対して感受性が低い時間依存性ポリマーが、結合ポリマーとして使用される。いくつかの実施態様において、腸溶性ポリマーと、腸溶性ポリマーよりもpHの変化に対して感受性が低い時間依存性ポリマーの両方が、結合ポリマーとして使用される。腸溶性ポリマーは、胃で遭遇する条件などの酸性条件下では比較的不溶性であるが、小腸で遭遇するような弱い酸性から塩基性の条件では可溶性である。小腸の初期部分である十二指腸のpHは約5.4~6.1の範囲であるため、約pH5以上で溶解する腸溶性ポリマーを結合ポリマーとして使用することができる。胃内滞留システムが未変性なまま幽門弁を通過すると、腸溶性結合ポリマーが溶解し、結合ポリマーに連結された成分が分解され、滞留システムの小腸及び大腸内の通過が可能になる。治療中に何らかの理由で胃内滞留システムを迅速に除去しなければならない場合、患者は弱塩基性水溶液(重炭酸塩溶液など)を飲んで、胃内滞留システムの即時脱結合を誘導することができる。
【0143】
「pH耐性である時間依存性ポリマー」(又は同等の「pH耐性時間依存性ポリマー」)とは、腸溶性ポリマーがもはや成分を一緒に連結することがない点まで分解される条件下で、時間依存性ポリマーが、まだ成分を一緒に連結するのに十分な機械的強度を有することを意味する。いくつかの実施態様において時間依存性ポリマーは、約pH7~約pH8の溶液への暴露後に、約pH2~約pH3の溶液に暴露した後とほぼ同じ結合能力、すなわちその結合強度の約100%を保持し、ここで暴露は、約1時間、約1日、約3日間、又は約1週間である。いくつかの実施態様において時間依存性ポリマーは、約pH7~約pH8の溶液への暴露後に、約pH2~約pH3の溶液に暴露後の結合強度の少なくとも約90%を保持し、ここで暴露は、約1時間、約1日、約3日間、又は約1週間である。いくつかの実施態様において時間依存性ポリマーは、約pH7~約pH8の溶液への暴露後に、約pH2~約pH3の溶液に暴露後の結合強度の少なくとも約75%を保持し、ここで暴露は、約1時間、約1日、約3日間、又は約1週間である。いくつかの実施態様において時間依存性ポリマーは、約pH7~約pH8の溶液への暴露後に、約pH2~約pH3の溶液に暴露後の結合強度の少なくとも約60%を保持し、ここで暴露は、約1時間、約1日、約3日間、又は約1週間である。いくつかの実施態様において時間依存性ポリマーは、約pH7~約pH8の溶液への暴露後に、約pH2~約pH3の溶液に暴露後の結合強度の少なくとも約50%を保持し、ここで暴露は、約1時間、約1日、約3日間、又は約1週間である。いくつかの実施態様において時間依存性ポリマーは、約pH7~約pH8の溶液への暴露後に、約pH2~約pH3の溶液に暴露後の結合強度の少なくとも約25%を保持し、ここで暴露は、約1時間、約1日、約3日間、又は約1週間である。いくつかの実施態様において時間依存性ポリマーは、約pH7~約pH8の溶液への暴露後に、約0.2ニュートン(N)、約0.3N、約0.4N、約0.5N、約0.75N、約1N、約1.5N、約2N、約2.5N、約3N、約4N、又は約5Nの曲げ力の条件下で破壊に耐え、ここで暴露は、約1時間、約1日、約3日間、又は約1週間である。結合強度は、結合能力を試験するのに役立つ任意の関連試験、例えば実施例18に記載された4点曲げ試験(ASTM D790)によって測定することができる。
【0144】
例示的な結合ポリマーには、特に限定されるものではないが、酢酸フタル酸セルロース、酢酸コハク酸セルロース、フタル酸メチルセルロース、フタル酸エチルヒドロキシセルロース、フタル酸ポリ酢酸ビニル、ポリビニルブチレートアセテート、酢酸ビニル-無水マレイン酸コポリマー、スチレン-マレイン酸モノエステルコポリマー、メタクリル酸メチル-メタクリル酸コポリマー、アクリル酸メチル-メタクリル酸コポリマー、メタクリレート-メタクリル酸-アクリル酸オクチルコポリマー、及びこれらのコポリマー、混合物、調合物、及び組み合わせが含まれる。本発明で使用できる腸溶性ポリマーのいくつかは、表3にその溶解pHとともに列挙されている(Mukherji, Gour and Clive G. Wilson, “Enteric Coating for Colonic Delivery,” Chapter 18 of Modified-Release Drug Delivery Technology (編者 Michael J. Rathbone, Jonathan Hadgraft, Michael S. Roberts), Drugs and the Pharmaceutical Sciences Volume 126, New York: Marcel Dekker, 2002を参照)。好ましくは、約5以下又は約5.5以下のpHで溶解する腸溶性ポリマーが使用される。ポリ(メタクリル酸-コ-アクリル酸エチル)(商品名EUDRAGIT L 100-55で販売されている;EUDRAGIT(オイドラギット)はEvonik Rohm GmbH, Darmstadt, Germanyの登録商標である)が好ましい腸溶性ポリマーである。従って、酢酸フタル酸セルロース、酢酸コハク酸セルロース、及びフタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロースもまた、適切な腸溶性ポリマーである。
【0145】
1つの実施態様において、胃内滞留システムで使用される腸溶性ポリマーは、約4を超えるpHで溶解する。別の実施態様において、胃内滞留システムで使用される腸溶性ポリマーは、約5を超えるpHで溶解する。別の実施態様において、胃内滞留システムで使用される腸溶性ポリマーは、約6を超えるpHで溶解する。別の実施態様において、胃内滞留システムで使用される腸溶性ポリマーは、約7を超えるpHで溶解する。別の実施態様において、胃内滞留システムで使用される腸溶性ポリマーは、約7.5を超えるpHで溶解する。別の実施態様において、胃内滞留システムで使用される腸溶性ポリマーは、約4~約5のpHで溶解する。別の実施態様において、胃内滞留システムで使用される腸溶性ポリマーは、約4~約6のpHで溶解する。別の実施態様において、胃内滞留システムで使用される腸溶性ポリマーは、約4~約7のpHで溶解する。別の実施態様において、胃内滞留システムで使用される腸溶性ポリマーは、約4~約7.5のpHで溶解する。別の実施態様において、胃内滞留システムで使用される腸溶性ポリマーは、約5~約6のpHで溶解する。別の実施態様において、胃内滞留システムで使用される腸溶性ポリマーは、約5~約7のpHで溶解する。別の実施態様において、胃内滞留システムで使用される腸溶性ポリマーは、約5~約7.5のpHで溶解する。別の実施態様において、胃内滞留システムで使用される腸溶性ポリマーは、約6~約7のpHで溶解する。別の実施態様において、胃内滞留システムで使用される腸溶性ポリマーは、約6~約7.5のpHで溶解する。
【0146】
【0147】
結合ポリマーとして使用される追加の好ましいポリマーは、胃内環境において時間依存的に分解するポリマーである。液体可塑剤トリアセチンは、模擬胃液中で7日間にわたって経時的にポリマー配合物から放出され、プラストイドB(Plastoid B)は、模擬胃液中で7日間にわたってその強度を保持する。すなわち、時間依存的に分解するポリマーは、プラストイドBとトリアセチンとを混合することによって容易に調製することができる。混合液中で使用されるプラストイドBの量を増加させることにより(すなわち、混合物中でより少ないトリアセチンを使用して)、分解時間を延長することができ、一方、混合液中で使用されるプラストイドBの量を減少させることにより(すなわち、混合物中でより多くのトリアセチンを使用して)、分解時間を減少することができる。
【0148】
いくつかの実施態様において、担体ポリマー-薬剤成分は、腸溶性ポリマーによって結合されたセグメントからなる細長部材である。いくつかの態様において、担体ポリマー-薬剤成分は、腸溶性ポリマーによってシステムのエラストマー成分に結合される。これらの実施態様のいずれかにおいて、腸溶性ポリマーがセグメント対セグメントの結合に使用される場合、及び細長部材とエラストマー成分の結合に使用される場合、セグメント-セグメント結合のために使用される腸溶性ポリマーは、細長部材とエラストマー成分の結合に使用される腸溶性ポリマーと同じ腸溶性ポリマーであってもよく、又はセグメント-セグメント結合のために使用される腸溶性ポリマーは、細長部材とエラストマー成分の結合に使用される腸溶性ポリマーとは異なる腸溶性ポリマーであってもよい。セグメント-セグメント結合のために使用さ腸溶性ポリマーは、すべて同じ腸溶性ポリマーであるか、又はすべて異なる腸溶性ポリマーであるか、又はセグメント-セグメント結合における一部の腸溶性ポリマーは同じであることができ、セグメント-セグメント結合における一部の腸溶性ポリマーは異なることができる。すなわち、各セグメント-セグメント結合に使用される腸溶性ポリマーと、細長部材とエラストマー成分の結合に使用される腸溶性ポリマーは独立して選択することができる。
【0149】
エラストマー
エラストマー(弾性ポリマー又は引張ポリマーとも呼ぶ)は、結合ポリマーとして使用することができ、胃内滞留システムが折りたたまれるか又は圧縮されることによって、圧縮化システムを含む容器又はカプセルを飲み込むことによる胃への投与に適した形態にすることを可能にする。胃の中でカプセルが溶解すると、胃内滞留システムは膨張して、システムが所望の時間、患者の幽門括約筋を通過することを妨げる形になる。すなわちエラストマーは、妥当な保存寿命の間、カプセル内で圧縮された形態で保存されることが可能であり、及び/又はカプセルから放出されると、その元の形状まで又はほぼ元の形状まで膨張する。1つの実施態様においてエラストマーは、例えば表3に列挙されるような腸溶性ポリマーである。別の実施態様において、システムで使用される結合ポリマーはエラストマーでもある。
図1は、結合ポリマーがエラストマーでもある場合のシステムの例であり、例えばカプセルへのパッケージングのための結合ポリマーにより形成される接合部で、環状リングが折りたたまれる。
【0150】
1つの実施態様において、結合ポリマーとびエラストマーの両方が腸溶性ポリマーであり、これは、システムが小腸に入った場合、又は患者が、システムの通過を誘導するために弱塩基性溶液を飲む場合、担体ポリマー剤片へのシステムのより完全な破損を提供する。
【0151】
使用可能なエラストマーの例としては、ウレタン架橋ポリカプロラクトン(実施例10、セクションBを参照)、ポリ(アクリロイル6-アミノカプロン酸)(PA6ACA)、ポリ(メタクリル酸-コ-アクリル酸エチル)(オイドラギット L 100-55)、及びポリ(アクリロイル6-アミノカプロン酸)(PA6ACA)とポリ(メタクリル酸-コ-アクリル酸エチル)(オイドラギット L 100-55)の混合物が含まれる(実施例11を参照)。
【0152】
可撓性結合ポリマー、すなわち、エラストマー性結合ポリマー又はエラストマーは、胃内滞留システムの星形又は星状デザインにおいて中心ポリマーとして使用される。星形又は星状配置の中心エラストマーとして使用するのに特に好ましいエラストマーはシリコーンゴムである。液状シリコーンゴム(LSR)は、容易に所望の形状に硬化させることができる。架橋ジメチル及びメチルビニルシロキサンコポリマー及び補強シリカを含むダウコーニングのQP-1シリーズは、そのようなシリコーンゴムポリマーの例である(例えば、ウェブサイト www.dowcorning.com/DataFiles/090276fe8018ed07.pdfを参照)。次に担体ポリマー-薬剤成分のセグメントを含む細長部材を、中央シリコーンゴムエラストマーに結合させることができる。
図2Cは、本発明の胃内滞留システムのこの構成のある実施態様を提供する。星状設計の中央エラストマーとして使用することができる別のエラストマーは、例えば
図10Bで調製したエラストマー等の架橋ポリカプロラクトンである。
【0153】
システムの製造/組立
胃内滞留システムの星状又は星状のデザイン例は、アームが中央エラストマーに結合されている細長部材の形状の「アーム」として、担体ポリマー-薬剤成分を調製することにより組み立てることができる。アームが円筒形で調製される場合、それらは平坦近位端(円筒形の基部、第1基部)、遠位端部(円筒形の他の基部、第2基部)、及び円筒形の容積を囲むその間の湾曲した外表面を含む。アームはまた、三角プリズム、直角プリズム、又は他の形状に調製することができる。
【0154】
胃内滞留システムの中央エラストマーは、
図2Cに示す胃内滞留システム250の1つの実施態様の要素252などの「アステリスク」(又は星)の形で調製することができる。
図2Cにおいて、中央エラストマー252はアステリスク形であり、アステリスクの枝は、担体ポリマー-薬剤セグメント254に結合され、セグメント254は、腸溶性リンカー257を介して担体ポリマー-薬剤セグメント256に結合され、セグメント256は、腸溶性リンカー259を介して担体ポリマー-薬剤セグメント258に結合され、254-257-256-259-258のアセンブリーは、250の1つのアームを形成する。
図2Cの254-257-256-259-258に示すように、担体ポリマー-薬剤成分のセグメントから構成される細長部材(アーム)は、次に溶融インターフェース接続、接着剤、溶媒溶着、又は他の方法により、アステリスクの各枝の端部に結合することができる。
図2Cの成分は必ずしも一定の縮尺で描かれていない。
【0155】
実施例10は、担体ポリマー-薬剤成分「アーム」(セクションA)及び中央エラストマー(セクションB)の調製を記載する。
【0156】
本発明の胃内滞留システムの製造は、以下を含む方法により行うことができる:
【0157】
A.可撓性結合ポリマー成分を形成する。いくつかの実施態様において、可撓性結合ポリマー成分は、複数の少なくとも3つの枝(スター形状の調製のため)を有するアステリスク形である。
【0158】
B.近位端と遠位端とを含む細長部材である複数の少なくとも3つの担体ポリマー-薬剤成分を形成する。
【0159】
形成工程Aと形成工程Bは、任意の順序で、又は同時に実施することができることに注意されたい。
【0160】
C.細長部材を可撓性結合ポリマー成分に結合させる。細長部材が取り付けられ、外部の拘束力が存在しない場合、得られるアセンブリーは非圧縮状態の胃内滞留システムである。非圧縮状態では、胃内滞留システムが少なくとも2つの直交寸法を有し、各寸法は少なくとも2cmであり、すなわち、胃内滞留システムは少なくとも2つの直交方向にわたって少なくとも約2cmの長さであるか、又は非圧縮状態の胃内滞留システムの周囲は、平面に投射されたとき各々少なくとも2cmの長さの2つの直交寸法を有するように、細長部材は可撓性結合ポリマー成分に結合される。(直交寸法の長さの更に可能な値は、「システム寸法」を記載するセクションに提供される)。
【0161】
胃内滞留システムを、患者に投与するためのカプセル又は他の容器に入れるために、以下を含むさらなる工程を実行することができる:
【0162】
D.胃内滞留システムを圧縮し、システムを、経口投与又は胃管又は栄養管を介した投与に適したカプセルなどの容器に挿入する。
【0163】
工程A、可撓性結合ポリマーの形成は、成形ポリマーを調製するのに適した任意の方法、例えば射出成形、重力成形、圧縮成形、押出成形、ホットメルト押出、又は三次元印刷によって行うことができる。可撓性結合ポリマーは、リング、円環体、球体、扁平楕円体(oblate ellipsoid)(扁平球体、楕円体、又は扁平球)の形で、又は、少なくとも1つの回転対称軸を有する任意の他の形状、例えば球体又は直方体(Rectangular Cuboid)に形成することができる。場合により可撓性結合ポリマーの形状は、枝、突起、又は凸部を有することができ、ここで、細長部材である担体ポリマー-薬剤成分を結合することができる。場合により可撓性結合ポリマーの形は、ぎざぎざ、凹部、くぼみ、又はへこみを有することができ、ここで、細長部材である担体ポリマー-薬剤成分を結合することができる。
【0164】
工程B、細長部材の形状において複数の少なくとも3つの担体ポリマー-薬剤成分の形成は、同様に、担体ポリマー-薬剤混合液を使用して、成形ポリマーを製造するのに適した任意の方法、例えば射出成形、重力成形、圧縮成形、押出成形、ホットメルト押出、又は三次元印刷によって行うことができる。形成する前に、治療薬は本明細書に記載されているように粉砕し、次に、本明細書に記載のように、適切な担体ポリマー、任意の所望の放出促進剤、可溶化剤、分散剤、安定剤、及び他の成分と混合される。細長部材は、中実の直角プリズム、中実三角プリズム、又は中実円筒の形状に形成することができる。さらに、上記のように細長部材は、腸溶性ポリマーにより、時間依存性リンカーにより、又は腸溶性ポリマーと時間依存性リンカーの両方により結合された結合ポリマーによって結合される2、3、又はそれ以上のセグメントから形成することができる。細長部材は、突合わせ接合(すなわち、一つのセグメントの端部は、接着により、例えば両方のセグメントの端部間の腸溶性ポリマーの膜により及び両方のセグメントの端部間を一緒に接着することにより、接合することができる)により、又は一緒に溶融させて接合するか、又はカラー接合(すなわち、腸溶性ポリマーの膜を、2つのセグメントの端部の周りに包んで、これらを一緒に接合することにより形成する)により、セグメントを一緒に接合することができる。
【0165】
工程C、担体ポリマー-薬剤成分細長部材を、可撓性結合ポリマー成分に結合させることは、種々の方法、例えば溶融インターフェース接続、接着、溶媒溶着、又はポリマーの結合に適した任意の他の方法により行うことができる。可撓性結合ポリマーが分枝を有する場合、担体ポリマー-薬剤成分細長部材を可撓性結合ポリマー成分に結合するために、カラー接合を使用することができる。担体ポリマー-薬剤成分細長部材の可撓性結合ポリマー成分への結合は、腸溶性ポリマーを使用して形成することができる。いったん担体ポリマー-薬剤成分が可撓性結合ポリマー成分に結合されると、胃内滞留システムは、外部拘束力の非存在下では、非圧縮形態である。
【0166】
星状構造では、可撓性結合ポリマーへの細長部材の溶融インターフェース接続又は熱溶着は、担体ポリマーの小部分(治療薬や賦形剤を含まない)を中央エラストマー上の様々な位置に提供することにより行うことができる。可撓性結合ポリマーに結合すべき細長部材の端部の、及び担体ポリマーの対応する小さい部分の局所的加熱と、その後の担体ポリマーの小部分への細長部材の接合とシステムの冷却は、細長部材と中央エラストマーとの連結を提供する。
【0167】
以下の実施例10に記載されるように、担体ポリマーの小部分を有する中央エラストマーは、以下のように調製することができる:
【0168】
純粋な担体ポリマー又は所望の組成の細長部材を提供する。
【0169】
細長部材を中央エラストマーの調製用の型に入れ、中央エラストマーのプレポリマー又は前駆体成分を型に加え、ここで、プレポリマー又は前駆体成分の硬化後に、細長部材の一端が中央エラストマーに接合されるように、細長部材を入れる。1つの実施態様において、型は、3個、4個、5個、6個、7個、又は8個のアーム、好ましくは3個、4個、5個、又は6個のアームを有する星形である。
【0170】
細長部材の一端が中央エラストマーに結合されるように、中央エラストマーのプレポリマー又は前駆体成分を硬化させる。
【0171】
細長部材を切断して、担体ポリマーと治療薬とを含む異なる細長部材への熱溶着に充分な、中央エラストマーに結合した細長部材の一部を残す。
【0172】
担体ポリマー、治療薬、及び任意の所望の賦形剤及び/又は分散剤を含む異なる細長部材は、次に切断後に中央エラストマーに結合している担体ポリマーを含む細長部材の小部分を使用して、中央エラストマーに熱溶着又は溶融インターフェース接続することができる。
【0173】
さらなる実施態様において、次に担体ポリマーと治療薬とを含む異なる細長部材に、中央エラストマーに結合された細長部材の一部分を熱溶着して、熱溶着された構造体を形成する。熱溶着は、安定な溶着を与える任意の温度で行うことができる。いくつかの実施態様において、担体ポリマーがポリカプロラクトン(例えば、Mnが約80kDaのポリカプロラクトン)であるとき、熱溶着は、約90℃、約93℃、約95℃、約100℃、約110℃、約120℃、約130℃、約140℃、約150℃、約160℃、約170℃、約180℃、又は約90℃~約180℃、約90℃~約170℃、約140℃~約180℃、又は約150℃~約170℃、又は約155℃~約165℃で行うことができる。熱溶着の後、熱溶着された構造体を室温環境に約24時間、又は約2℃~約12℃の間、約5℃~約15℃、約5℃~約10℃、又は約8℃の冷却環境に約24時間暴露することができる。
【0174】
溶着物が胃内の圧縮力により破壊されないことを確実にするために、治療薬を含まない担体ポリマーと、担体ポリマーを含む細長部材との間で形成された熱溶着物の強度試験を行った。実施例34の熱溶着はそのような試験を記載する。この実施例では、160℃での熱溶着と次の8℃で24時間の溶着構造体の冷却は、試験溶着物が全く破壊されることなく約100Nの曲げ力に抵抗する溶着物を与えた。異なるポリマー調合物間の熱溶着の強度を試験すると、最終的に組み立てられたシステムは、破壊強度について試験することができる。あるいは、、より容易な操作のために、治療薬を含まない担体ポリマーを含む細長部材と、担体ポリマー、治療薬、及び任意の所望の賦形剤及び/又は分散剤を含む細長部材を溶着することができる。そのような試験片のための中央のポリマーを省略することは、単一の結合した細長部材を曲げ試験で使用することを可能にする。熱溶着後及び溶着構造体を24時間冷却(室温又は低温、例えば約8℃で)後、4点曲げ試験(ASTM D790)(下記の実施例18で使用される)を使用して、アームの強度を評価することができる。いくつかの実施態様において、熱溶着は破壊されることなく10Nの曲げ力に抵抗することができる。いくつかの実施態様において、熱溶着は破壊されることなく15Nの曲げ力に抵抗することができる。いくつかの実施態様において、熱溶着は破壊されることなく20Nの曲げ力に抵抗することができる。いくつかの実施態様において、熱溶着は破壊されることなく25Nの曲げ力に抵抗することができる。いくつかの実施態様において、熱溶着は破壊されることなく30Nの曲げ力に抵抗することができる。いくつかの実施態様において、熱溶着は破壊されることなく40Nの曲げ力に抵抗することができる。いくつかの実施態様において、熱溶着は破壊されることなく50Nの曲げ力に抵抗することができる。いくつかの実施態様において、熱溶着は破壊されることなく60Nの曲げ力に抵抗することができる。いくつかの実施態様において、熱溶着は破壊されることなく70Nの曲げ力に抵抗することができる。いくつかの実施態様において、熱溶着は破壊されることなく80Nの曲げ力に抵抗することができる。いくつかの実施態様において、熱溶着は破壊されることなく90Nの曲げ力に抵抗することができる。いくつかの実施態様において、熱溶着は破壊されることなく100Nの曲げ力に抵抗することができる。
【0175】
工程D、胃内滞留システムを圧縮し、容器内にシステムを挿入することは、用手的に又は機械的に、胃内滞留システムをその圧縮形状に圧縮し(compacting)、折りたたみ、又は圧縮することにより、及びカプセル又は他の適切なサイズの容器への挿入により、行われる。
【0176】
放出速度の測定
従って、担体ポリマーと混合された治療薬の固体状態の性質は、胃内滞留システムからの治療薬の放出速度に影響を及ぼす。システムからの治療薬の放出速度は、下記の実施例3に記載されるように、システムを模擬胃液(SGF)に入れることにより測定することができる。システムからの治療薬の放出速度は、下記の実施例8Aに記載されるように実験動物へのシステムの投与により、又は以下の実施例8Bに記載されているようにヒト患者へのシステムの投与により、インビトロで測定することができる。
【0177】
胃内滞留システムからの治療薬又はその医薬的に許容し得る塩の放出速度は、0.1N塩酸、模擬胃液、絶食状態模擬胃液、摂食状態模擬胃液、動物の胃、ブタの胃、イヌの胃、及びヒトの胃を含む様々な環境において、測定することができる。
【0178】
治療薬胃内滞留システムのための胃内薬物動態
本発明の胃内滞留システムは、システムの投与後にAUCINFによって測定すると、治療薬剤の従来の経口配合物のバイオアベイラビリティと比較して、治療薬の高い生物学的利用能を提供する。すなわちシステムは、治療薬の実質的に一定の血漿レベルの維持を提供する。
【0179】
2つの異なる配合物(配合物A及び配合物B)の相対的バイオアベイラビリティ(FREL)は、以下のように定義される:
FREL = 100×(AUCA×投与量B)/(AUCB×DoseA)
ここで、AUCAは配合物Aの曲線下の面積であり、AUCBは、配合物Bの曲線下の面積である。投与量Aは、使用された配合物Aの投与量であり、投与量Bは、使用された配合物Bの投与量である。治療薬の血漿濃度対時間のプロットの曲線下の面積は、同じ時点での配合物の相対的生物学的利用能を提供するために、通常各配合物の投与後の同じ時点(t)で測定される。AUCinfは、「無限大」の時間にわたって、すなわち最初の投与から始まって、治療薬の血漿レベルが無視できる量に低下して終了するまでの期間として、測定又は計算されるAUCを指す。
【0180】
1つの実施態様において、本発明の胃内滞留システムにより提供される治療薬の実質的に一定の血漿レベルは、従来の経口配合物で毎日投与されるときの治療薬のトラフ(trough)血漿レベル(すなわち、即時放出製剤で毎日投与される治療薬のCmin)以上から、従来の経口配合物で毎日投与されるときの治療薬のピーク血漿レベル(すなわち、即時放出製剤で毎日投与される治療薬のCmax)までの範囲であり得る。別の実施態様において、本発明の胃内滞留システムにより提供される治療薬の実質的に一定の血漿レベルは、従来の経口配合物で毎日投与されるときの治療薬のピーク血漿レベル(すなわち、即時放出製剤で毎日投与される治療薬のCmax)の約50%~約90%であり得る。本発明の胃内滞留システムにより提供される治療薬の実質的に一定の血漿レベルは、従来の経口配合物で毎日投与されるときの治療薬の平均血漿レベル(すなわち、即時放出製剤で毎日投与される治療薬のCave)の約75%~約125%、又はCaveの約50%~約120%であり得る。本発明の胃内滞留システムにより提供される治療薬の実質的に一定の血漿レベルは、従来の経口配合物で毎日投与されるときの治療薬のトラフ(trough)血漿レベル(すなわち、即時放出製剤で毎日投与される治療薬のCmin)以上、例えばCminの約100%~約150%、又はCminの約50%~約150%であり得る。
【0181】
本発明の胃内滞留システムは、同じ量の治療薬を含む即時放出形態により提供される生物学的利用能の少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、又は少なくとも約80%の、システムから放出される治療薬の生物学的利用能を提供することができる。上記に示したように生物学的利用能は、血漿濃度-時間曲線(AUCinf)下の面積により測定される。
【0182】
胃内滞留システムで使用される治療薬
消化管又は経由して投与することができる治療薬は、本発明の胃内滞留システムで使用することができる。治療薬には、特に限定されるものではないが、薬剤、プロドラッグ、生物製材、及び病気やけがに対する有益な効果をもたらすために投与することができる任意の他の物質が含まれる。本発明の胃内滞留システムで使用することができる治療薬には、スタチン類、例えばロスバスタチン:非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、例えばメロキシカム:選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)、例えばエスシタロプラム及びシタロプラム;抗凝血剤、例えばクロピドグレル;プレドニゾンなどのステロイド;抗精神病薬、例えばアリピプラゾール及びリスペリドン:鎮痛剤、例えばブプレノルフィン;オピオイドアンタゴニスト、例えばナロキソン;抗喘息薬、例えばモンテルカスト;抗痴呆薬、例えばメマンチン;心臓配糖体、例えばジゴキシン;アルファブロッカー、例えばタムスロシン;コレステロール吸収阻害剤、例えばエゼチミブ;抗痛風治療、例えばコルヒチン;抗ヒスタミン剤,例えばロラタジン及びセチリジン:オピオイド、例えばロペラミド:プロトンポンプ阻害剤,例えばオメプラゾール;抗ウイルス剤、例えばエンテカビル;抗生物質、例えばドキシサイクリン、シプロフロキサシン、及びアジスロマイシン;抗マラリア剤、例えばレボチロキシン;薬剤乱用治療薬、例えばメタドン及びバレニクリン;避妊薬;覚醒剤、例えばカフェイン;及び栄養素、例えば葉酸、カルシウム、ヨウ素、鉄、亜鉛、チアミン、ナイアシン、ビタミンC、ビタミンD、ビオチン、植物抽出物、植物ホルモン、及び他のビタミンやミネラルが含まれる。本発明の胃内滞留システム中の治療薬として使用できる生物製剤には、タンパク質、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、及びホルモンが含まれる。治療薬の代表的な部類としては、特に限定されるものではないが、鎮痛薬、抗鎮痛薬、抗炎症薬、解熱剤;抗うつ薬;抗てんかん薬;抗精神病薬;神経保護剤;抗増殖剤、例えば抗癌剤;抗ヒスタミン薬;抗片頭痛薬;ホルモン;プロスタグランジン;抗菌剤、例えば抗生物質、抗真菌剤、抗ウイルス剤、抗寄生虫剤;抗ムスカリン剤、抗不安薬;静菌剤;免疫抑制剤;鎮静剤;催眠薬;抗精神病薬;気管支拡張薬;抗喘息薬;心血管薬;麻酔薬;抗凝固剤;酵素阻害剤;ステロイド剤;ステロイド又は非ステロイド抗炎症剤;コルチコステロイド;ドーパミン作用薬;電解質;胃腸薬;筋弛緩剤;栄養剤;ビタミン、副交感神経;覚せい剤;食欲抑制薬;抗ナルコレプシー;抗マラリア薬、例えばキニーネ、ルメファントリン、クロロキン、アモジアキン、ピリメタミン、プログアニル、クロルプログアニル-ダプソン、スルホンアミド(例えばスルファドキシン及びスルファメトキシピリダミン)、メフロキン、アトバコン、プリマキン、ハロファントリン、ドキシサイクリン、クリンダマイシン、アルテミシニン、及びアルテミシニン誘導体(例えばアルテメテル、ジヒドロアルテミシンイン、アルテエーテル、及びアルテスネート)が含まれる。「治療薬」という用語は、塩、溶媒和物、多形体、及び前述の物質の共結晶を含む。特定の実施態様において治療薬は、セチリジン、ロスバスタチン、エスシタロプラム、シタロプラム、リスペリドン、オランザピン、ドネゼピル、及びイベルメクチンから成る群から選択される。別の実施態様において治療薬は、神経精神障害を治療するために使用される薬剤、例えば抗精神病薬、例えばメナンチンである。
【0183】
本発明のいくつかの実施態様において、治療薬は、アダマンタン類の薬剤を除外する。本明細書に開示されるいくつかの実施態様において、治療薬は、メマンチン、アマンタジン、アダプロミン、ニトロメルマンチン、リマンタジン、ブロマンタン、ネラメキサン、又はトロマンタジン;又はメマンチン、アマンタジン、アダプロミン、ニトロメマンチン、リマンタジン、ブロマンタン、又はトロマンタジンの医薬的に許容し得る塩の任意の1つ以上を除外する。本明細書に開示される本発明のいくつかの実施態様において、治療薬はメマンチンを除外し得る。本明細書に開示される本発明のいくつかの実施態様において、治療薬は、メマンチンの塩又はメマンチンの医薬的に許容し得る塩を排除し得る。
【0184】
治療薬の結晶形態及び非晶質形態
治療薬は、本発明の胃内滞留システムでは、結晶形態で、又は非晶質形態で、又は結晶形態と非晶質形態の両方で使用することができる。すなわち胃内滞留システムに含まれる治療薬又は薬剤粒子は、結晶形態で、非晶質形態で、又は例えば結晶形態(単結晶形態、又は多結晶形態のいずれか)と非晶質形態の混合物で使用することができ、その結果、所望の放出速度又は所望の物理的若しくは化学的特性を提供する。
【0185】
目的の治療薬クラス
胃内滞留システムは、患者のコンプライアンスの困難さがある疾患及び障害の治療に使用するのに適しており、いくつかの実施態様において。胃内滞留システムは、薬剤療法に対して患者のコンプライアンスに問題がある疾患若しくは障害を治療するために使用される。そのような疾患及び障害には、記憶に影響を与える神経精神医学的疾患及び障害、痴呆及び他の疾患、アルツハイマー病、精神病、統合失調症、及びパラノイアが含まれる。従って、胃内滞留システムで使用できる治療薬には、特に限定されるものではないが、抗痴呆剤、抗アルツハイマー病薬、及び抗精神病薬が含まれる。
【0186】
親水性治療薬
システムで使用できる親水性治療薬の例には、リスペリドン、セチリジン、メマンチン、及びオランザピンが含まれる。
【0187】
疎水性治療薬
システムで使用できる疎水性治療薬の例には、アリピプラゾール、イベルメクチン、ロスバスタチン、シタロプラム、及びエスシタロプラムが含まれる。
【0188】
物理化学的クラスの薬剤
本明細書の実施例27は、ポリカプロラクトン(PCL)相と絶食模擬胃液(FasSGF)相の間(PPCL)と、オクタノールと水との間(POCT)の、異なる治療薬の分配係数を示す。そのような分配係数は、これらの治療薬を含む胃内滞留システムで使用される賦形剤及び分散剤を選択するためのガイドとして使用することができる。より高いPPCL(又はlogPPCL)は、PCLマトリックスの治療薬のより大きな親和性を示す。その結果、放出促進剤、可溶化剤、又は放出促進剤と可溶化剤の両方の量を増加させて、PCLマトリックスからの治療薬の放出を促進することができる。
【0189】
いくつかの実施態様において、担体ポリマー-薬剤成分が約0未満のPPCLを有する治療薬を含む胃内滞留システムでは、約1%~約30%の量の可溶化剤を使用することができるか、又は約1%~約30%の量の放出促進剤を使用することができか、又は約1%~約30%の量の可溶化剤と約1%~約30%の量の放出促進剤の両方を使用することができる。更なる実施態様において、可溶化剤と放出促進剤の総量は、約30%より多い担体ポリマー-薬剤成分を含まないという条件が付加される。いくつかの実施態様において、担体ポリマー-薬剤成分が約1未満のPPCLを有する治療薬を含む胃内滞留システムでは、約1%~約30%の量の可溶化剤を使用することができるか、又は約1%~約30%の量の放出促進剤を使用することができか、又は約1%~約30%の量の可溶化剤と約1%~約30%の量の放出促進剤の両方を使用することができる。更なる実施態様において、可溶化剤と放出促進剤の総量は、約30%より多い担体ポリマー-薬剤成分を含まないという条件が付加される。いくつかの実施態様において、担体ポリマー-薬剤成分が約2未満のPPCLを有する治療薬を含む胃内滞留システムでは、約1%~約30%の量の可溶化剤を使用することができるか、又は約1%~約30%の量の放出促進剤を使用することができか、又は約1%~約30%の量の可溶化剤と約1%~約30%の量の放出促進剤の両方を使用することができる。更なる実施態様において、可溶化剤と放出促進剤の総量は、約30%より多い担体ポリマー-薬剤成分を含まないという条件が付加される。いくつかの実施態様において、担体ポリマー-薬剤成分が約5未満のPPCLを有する治療薬を含む胃内滞留システムでは、約1%~約30%の量の可溶化剤を使用することができるか、又は約1%~約30%の量の放出促進剤を使用することができか、又は約1%~約30%の量の可溶化剤と約1%~約30%の量の放出促進剤の両方を使用することができる。更なる実施態様において、可溶化剤と放出促進剤の総量は、約30%より多い担体ポリマー-薬剤成分を含まないという条件が付加される。いくつかの実施態様において、担体ポリマー-薬剤成分が約10未満のPPCLを有する治療薬を含む胃内滞留システムでは、約1%~約30%の量の可溶化剤を使用することができるか、又は約1%~約30%の量の放出促進剤を使用することができか、又は約1%~約30%の量の可溶化剤と約1%~約30%の量の放出促進剤の両方を使用することができる。更なる実施態様において、可溶化剤と放出促進剤の総量は、約30%より多い担体ポリマー-薬剤成分を含まないという条件が付加される。
【0190】
いくつかの実施態様において、担体ポリマー-薬剤成分が0.1N塩酸中で約1mg/ml超の溶解度を有する治療薬を含む胃内滞留システムでは、約1%~約30%の量の可溶化剤を使用することができるか、又は約1%~約30%の量の放出促進剤を使用することができか、又は約1%~約30%の量の可溶化剤と約1%~約30%の量の放出促進剤の両方を使用することができる。更なる実施態様において、可溶化剤と放出促進剤の総量は、約30%より多い担体ポリマー-薬剤成分を含まないという条件が付加される。いくつかの実施態様において、担体ポリマー-薬剤成分が0.1N塩酸中で約5mg/ml超の溶解度を有する治療薬を含む胃内滞留システムでは、約1%~約30%の量の可溶化剤を使用することができるか、又は約1%~約30%の量の放出促進剤を使用することができか、又は約1%~約30%の量の可溶化剤と約1%~約30%の量の放出促進剤の両方を使用することができる。更なる実施態様において、可溶化剤と放出促進剤の総量は、約30%より多い担体ポリマー-薬剤成分を含まないという条件が付加される。いくつかの実施態様において、担体ポリマー-薬剤成分が0.1N塩酸中で約10mg/ml超の溶解度を有する治療薬を含む胃内滞留システムでは、約1%~約30%の量の可溶化剤を使用することができるか、又は約1%~約30%の量の放出促進剤を使用することができか、又は約1%~約30%の量の可溶化剤と約1%~約30%の量の放出促進剤の両方を使用することができる。更なる実施態様において、可溶化剤と放出促進剤の総量は、約30%より多い担体ポリマー-薬剤成分を含まないという条件が付加される。いくつかの実施態様において、担体ポリマー-薬剤成分が約0.1N塩酸中で約20mg/ml超の溶解度を有する治療薬を含む胃内滞留システムでは、約1%~約30%の量の可溶化剤を使用することができるか、又は約1%~約30%の量の放出促進剤を使用することができか、又は約1%~約30%の量の可溶化剤と約1%~約30%の量の放出促進剤の両方を使用することができる。更なる実施態様において、可溶化剤と放出促進剤の総量は、約30%より多い担体ポリマー-薬剤成分を含まないという条件が付加される。
【0191】
いくつかの実施態様において、担体ポリマー-薬剤成分が約10超のPPCLを有する治療薬を含む胃内滞留システムでは、約1%~約30%の量の可溶化剤を使用することができるか、又は約1%~約30%の量の放出促進剤を使用することができか、又は約1%~約30%の量の可溶化剤と約1%~約30%の量の放出促進剤の両方を使用することができる。更なる実施態様において、可溶化剤と放出促進剤の総量は、約50%超の担体ポリマー-薬剤成分を含まないという条件が付加される。いくつかの実施態様において、担体ポリマー-薬剤成分が約20超のPPCLを有する治療薬を含む胃内滞留システムでは、約1%~約30%の量の可溶化剤を使用することができるか、又は約1%~約30%の量の放出促進剤を使用することができか、又は約1%~約30%の量の可溶化剤と約1%~約30%の量の放出促進剤の両方を使用することができる。更なる実施態様において、可溶化剤と放出促進剤の総量は、約50%超の担体ポリマー-薬剤成分を含まないという条件が付加される。いくつかの実施態様において、担体ポリマー-薬剤成分が約30超のPPCLを有する治療薬を含む胃内滞留システムでは、約1%~約30%の量の可溶化剤を使用することができるか、又は約1%~約30%の量の放出促進剤を使用することができか、又は約1%~約30%の量の可溶化剤と約1%~約30%の量の放出促進剤の両方を使用することができる。更なる実施態様において、可溶化剤と放出促進剤の総量は、約50%超の担体ポリマー-薬剤成分を含まないという条件が付加される。いくつかの実施態様において、担体ポリマー-薬剤成分が約40超のPPCLを有する治療薬を含む胃内滞留システムでは、約1%~約30%の量の可溶化剤を使用することができるか、又は約1%~約30%の量の放出促進剤を使用することができか、又は約1%~約30%の量の可溶化剤と約1%~約30%の量の放出促進剤の両方を使用することができる。更なる実施態様において、可溶化剤と放出促進剤の総量は、約50%超の担体ポリマー-薬剤成分を含まないという条件が付加される。いくつかの実施態様において、担体ポリマー-薬剤成分が約50超のPPCLを有する治療薬を含む胃内滞留システムでは、約1%~約30%の量の可溶化剤を使用することができるか、又は約1%~約30%の量の放出促進剤を使用することができか、又は約1%~約30%の量の可溶化剤と約1%~約30%の量の放出促進剤の両方を使用することができる。更なる実施態様において、可溶化剤と放出促進剤の総量は、約50%超の担体ポリマー-薬剤成分を含まないという条件が付加される。
【0192】
いくつかの実施態様において、担体ポリマー-薬剤成分が0.1N塩酸中で約1mg/ml未満の溶解度を有する治療薬を含む胃内滞留システムでは、約1%~約30%の量の可溶化剤を使用することができるか、又は約1%~約30%の量の放出促進剤を使用することができか、又は約1%~約30%の量の可溶化剤と約1%~約30%の量の放出促進剤の両方を使用することができる。更なる実施態様において、可溶化剤と放出促進剤の総量は、約50%より多い担体ポリマー-薬剤成分を含まないという条件が付加される。いくつかの実施態様において、担体ポリマー-薬剤成分が0.1N塩酸中で約0.5mg/ml未満の溶解度を有する治療薬を含む胃内滞留システムでは、約1%~約30%の量の可溶化剤を使用することができるか、又は約1%~約30%の量の放出促進剤を使用することができか、又は約1%~約30%の量の可溶化剤と約1%~約30%の量の放出促進剤の両方を使用することができる。更なる実施態様において、可溶化剤と放出促進剤の総量は、約50%より多い担体ポリマー-薬剤成分を含まないという条件が付加される。いくつかの実施態様において、担体ポリマー-薬剤成分が0.1N塩酸中で約0.1mg/ml未満の溶解度を有する治療薬を含む胃内滞留システムでは、約1%~約30%の量の可溶化剤を使用することができるか、又は約1%~約30%の量の放出促進剤を使用することができか、又は約1%~約30%の量の可溶化剤と約1%~約30%の量の放出促進剤の両方を使用することができる。更なる実施態様において、可溶化剤と放出促進剤の総量は、約50%より多い担体ポリマー-薬剤成分を含まないという条件が付加される。いくつかの実施態様において、担体ポリマー-薬剤成分が約0.1N塩酸中で約0.05mg/ml未満の溶解度を有する治療薬を含む胃内滞留システムでは、約1%~約30%の量の可溶化剤を使用することができるか、又は約1%~約30%の量の放出促進剤を使用することができか、又は約1%~約30%の量の可溶化剤と約1%~約30%の量の放出促進剤の両方を使用することができる。更なる実施態様において、可溶化剤と放出促進剤の総量は、約50%より多い担体ポリマー-薬剤成分を含まないという条件が付加される。
【0193】
粒状化
薬剤の粒状化は、特に水に難溶性の疎水性薬剤の溶解性を高めるために使用することができる。薬剤は、ポリアルキレンオキシド(例えば、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)、PEG-PPGコポリマー、PEG-PPGブロックコポリマー)、ポリエトキシ化ヒマシ油、及び界面活性剤などの可溶化剤の溶液を用いて粒状化することができる、いくつかの実施態様において、担体ポリマー-薬剤成分が、0.1N塩酸中で約1mg/mlで、0.5mg/ml、0.1mg/ml、又は0.05mg/mlより低い溶解度を有する治療薬を含む場合、治療薬は、担体ポリマーと混合する前に、1種以上の可溶化剤、例えば上記可溶化剤(例えばポリアルキレンオキシド(例えば、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)、PEG-PPGコポリマー、PEG-PPGブロックコポリマー)、ポリエトキシルヒマシ油、及び界面活性剤)の1種を用いて粒状化される。いくつかの実施態様において、担体ポリマー-薬剤成分が、約10、約20、約30、約40、又は約50より大きいPPCLを有する治療薬を含む場合、治療薬は、担体ポリマーと混合する前に、1種以上の可溶化剤、例えば上記可溶化剤(例えばポリアルキレンオキシド(例えば、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)、PEG-PPGコポリマー、PEG-PPGブロックコポリマー)、ポリエトキシルヒマシ油、及び界面活性剤)の1種を用いて粒状化される。
【0194】
アリピプラゾールは可溶化することが特に困難な薬剤であり、いくつかの実施態様において、アリピプラゾールは、担体ポリマーと混合する前に一種以上の可溶化剤を用いて粒状化される。アリピプラゾールは、溶解度と胃内滞留システムからの放出を上昇させるために、CAPROL 3GO、CAPTEX 355、CAPMUL MCM、コリフォールP407、PVP、コリフォールRH-40、ソルプラス、コリフォールEL、及び/又はSDSを用いて粒状化することができる。コリフォールEL及びSDSは、アリピプラゾール用に好適な可溶化剤である。
【0195】
疎水性薬剤のための粒状化は、好ましくは、比較的小さな薬剤粒子サイズと組合せて使用され、例えば、治療薬の粒子が直径約20ミクロンより小さい実施態様、治療薬の粒子が直径約10ミクロンより小さい実施態様、治療薬の粒子が直径約5ミクロンより小さい実施態様、治療薬の粒子の少なくとも約80%が直径約20ミクロンより小さい実施態様、治療薬の粒子の少なくとも約80%が直径約10ミクロンより小さい実施態様、治療薬の粒子の少なくとも約80%が直径約5ミクロンより小さい実施態様、治療薬の粒子の質量の少なくとも約80%が直径約1ミクロン~約20ミクロンより小さい実施態様、治療薬の粒子の質量の少なくとも約80%が直径約1ミクロン~約10ミクロンより小さい実施態様、治療薬の粒子の質量の少なくとも約80%が直径約1ミクロン~約5ミクロンより小さい実施態様、治療薬の粒子の質量の少なくとも約80%が直径約2ミクロン~約20ミクロンのサイズを有する実施態様、治療薬の粒子の質量の少なくとも約80%が直径約2ミクロン~約10ミクロンのサイズを有する実施態様、治療薬の粒子の質量の少なくとも約80%が直径約2ミクロン~約5ミクロンのサイズを有する実施態様、治療薬の粒子の質量の少なくとも約80%が直径約5ミクロン~約20ミクロンのサイズを有する実施態様、治療薬の粒子の質量の少なくとも約80%が直径約5ミクロン~約10ミクロンのサイズを有する実施態様、が挙げられる。
【0196】
低用量の薬剤
例えば約1mg/日以下、約0.5mg/日以下、又は約0.1mg/日以下の比較的低用量で使用される薬剤及び他の治療薬は、本発明の胃内滞留システムで使用するのに充分適している。胃内滞留システムで使用することができるそのような薬剤の例には、特に限定されるものではないが、レボチロキシン、低用量避妊薬、及びビタミン及び他の栄養素(例えば、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンK、葉酸、ビタミンB12、ビオチン)が含まれる。
【0197】
セチリジン
親水性薬剤であるセチリジンは、第2世代の抗ヒスタミン薬(sgAH)である。セチリジンは、商品名Zyrtec(登録商標)及び他の商品名で販売されている。セチリジンは、様々な剤形で入手可能である。典型的にはセチリジンは、1日1回、5mg又は10mgの用量で投与される。持続放出配合物はZyrtec D(登録商標)(これは、セチリジン塩酸塩とプソイドエフェドリン塩酸塩を組み合わせている)として入手可能である。しかし、持続放出は主にプソイドエフェドリン放出を指すため、この「持続放出」の組み合わせは、セチリジン利用単独よりも頻繁(12時間ごと)に投与される。
【0198】
セチリジンは、様々なアレルギー疾患及びヒスタミン媒介性(ヒスタミン誘発性)疾患を治療するために使用することができる。セチリジンは、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、皮膚炎、急性蕁麻疹、慢性蕁麻疹、花粉誘発性喘息、掻痒症、アナフィラキシー、血管性浮腫、木村病、及び好酸球増加症(ALHE)を伴うと血管リンパ様過形成を治療するために使用される。
【0199】
セチリジンは、(S)-セチリジンと(R)-セチリジンの二塩酸塩のラセミ混合体として医薬品に配合され、ブランド名Zyrtec(登録商標)で販売されている(Zyrtecは、Johnson & Johnson Corporation, New Brunswick, New Jerseyの登録商標である)。この二塩酸塩の融点は225℃(分解)であり、遊離セチリジンの結晶(両性イオンとして存在する非塩形態)は110~115℃で融解する(米国特許第4,525,358号)。レボセチリジンとして知られている(R)-セチリジンは、より活性な鏡像異性体であり、レボセチリジン二塩酸塩を含有する医薬品は、商品名Xyzal(登録商標)で販売されている(Xyzalは、UCB Pharma, Brussels, Belgiumの登録商標である)。(S)-セチリジンはデキストロセチリジンとして知られている。
【0200】
遊離(非塩)形態のセチリジン結晶の約110~115℃の比較的低い融点は、そのような結晶を含むポリマーマトリックスを配合するための特定の課題を提起する。多くのポリマーは、それらを軟化させて薬剤と混合するために、及び/又はポリマーを押出又は成形するために、115℃以上で加熱しなければならない。従って遊離セチリジン結晶とポリマーの混合液の配合は、ポリマー中に含まれるセチリジンが所望の形態であることを確実にする(これは次にポリマー-薬剤混合液からの薬剤の放出速度に影響を与える)ために、ポリマーと混合条件の慎重な選択が必要である。
【0201】
セチリジンはまた酸化することが知られており(Dyakonov et al., Pharm. Res. 27(7):1318-24 (2010))、これは、持続放出製剤の開発が直面している別の課題である。従ってセチリジンの配合物はまた、持続放出の期間にわたって、酸化又は他の分解反応に対して耐性でなければならない。
【0202】
セチリジンが胃内滞留システム中で提供される本明細書に記載された実施態様のいずれにおいても、胃内滞留システム中に存在するセチリジンは酸化に抵抗することができ、その結果、胃内での約5日間の保持後に酸化されるシステムの担体ポリマー-薬剤成分中のセチリジンは約5%未満である。
【0203】
セチリジンが胃内滞留システム中で提供される本明細書に記載された実施態様のいずれにおいても、胃内滞留システムは、胃の中で一日あたり約5~15mgのセチリジンを放出することができる。
【0204】
セチリジンが胃内滞留システム中で提供される本明細書に記載された実施態様のいずれにおいても、胃内滞留システムは、システムから放出されるセチリジンが、同じ量のセチリジンを含む即時放出形態により提供される生物学的利用能の少なくとも約50%である生物学的利用能を提供する。生物学的利用能は、血漿濃度-時間曲線下面積(AUCinf)によって測定することができる。
【0205】
セチリジンが胃内滞留システム中で提供される本明細書に記載された実施態様のいずれにおいても、胃内滞留システムは、約40mg~約120mgのセチリジンを含むことができる。
【0206】
ある実施態様において、本発明の胃内滞留システムによって提供されるセチリジンの実質的に一定の血漿レベルは、従来の経口製剤で毎日投与される場合のセチリジンの血漿レベルのトラフレベル(すなわち、即時放出形態で毎日投与されるセチリジンのCmin)以上~従来の経口製剤で毎日投与される場合のセチリジンの血漿レベルのピークレベル(すなわち、即時放出形態で毎日投与されるセチリジンのCmax)以下の範囲であり得る。別の実施態様において、本発明の胃内滞留システムによって提供されるセチリジンの実質的に一定の血漿レベルは、従来の経口製剤で毎日投与される場合のセチリジンのピーク血漿レベル(すなわち、即時放出形態で毎日投与されるセチリジンのCmax)の約50%~約90%であり得る。本発明の胃内滞留システムによって提供されるセチリジンの実質的に一定の血漿レベルは、従来の経口製剤で毎日投与される場合のセチリジンの平均血漿レベル(すなわち、即時放出形態で毎日投与されるセチリジンのCave)の約75%~約125%であり得る。本発明の胃内滞留システムによって提供されるセチリジンの実質的に一定の血漿レベルは、従来の経口製剤で毎日投与される場合のセチリジンの血漿レベルのトラフレベル(すなわち、即時放出形態で毎日投与されるセチリジンのCmin)以上、例えばCminの約100%~約150%であり得る。
【0207】
本発明の胃内滞留システムによって提供されるセチリジンの実質的に一定の血漿レベルは、成体において約150ng/ml~約250ng/mlであり得る。
【0208】
本発明の胃内滞留システムは、約8.4mg/日~約11mg/日、又は約10mg/日、又は約0.35mg/時間~約0.45mg/時間の速度でセチリジンを放出することができる。
【0209】
本発明の胃内滞留システムは、同じ量のセチリジンを含む即時放出形態により提供される生物学的利用能の少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、又は少なくとも約80%である、システムから放出されるセチリジンの生物学的利用能を提供することができる。上記したように生物学的利用能は、血漿濃度-時間曲線下の面積(AUCinf)により測定される。
【0210】
ロスバスタチン
疎水性薬剤であるロスバスタチンは、3-ヒドロキシ-3-メチルグルタリル補酵素A(HMG-CoA)還元酵素の選択的競合阻害剤である。ロスバスタチンはCRESTOR(登録商標)の有効成分である。HMG-CoA還元酵素は、HMG-CoAをコレステロールの前駆体であるメバロン酸に変換し、その作用機構の結果、ロスバスタチンは主に、血液中の脂質(例えば、コレステロール及び/又はトリグリセリド)の異常レベルにより特徴付けられる症状の治療に必要であるとされている。ロスバスタチンは、塩野義製薬株式会社により開発され、特に米国特許第RE37314号及び6,316,460号に記載されている。
【0211】
ロスバスタチン及び他のスタチンHMG-CoA阻害剤は、筋肉痛を含む望ましくない副作用に関連している。まれな副作用は、重度の筋障害及び横紋筋融解症であり、これは、傷害された筋肉が急速に破壊され、腎臓に有害であり、腎障害及び腎不全を引き起こす可能性のある化合物の産生をもたらす。ロスバスタチンはまた、筋肉痛の発生と関連している。これらの合併症はあらゆる用量レベルで発生することがあり、薬剤の高用量ではリスクが上昇する。
【0212】
ロスバスタチンは、典型的には1日1回経口投与され、約19時間の排出半減期を有する。周期的に投与された薬剤の血漿濃度は、定期的投与のすぐ後の最大値(Cmax)と各周期的投与前の最小値(Cmin)との間で振動する。インビトロ及びインビボ試験の両方により、ロスバスタチン摂取の主要位置は、コレステロール及びトリグリセリドを低下させることを目指した肝臓であることを示している。ミオパシーなどのいくつかの望ましくない副作用は、血清中の全身薬剤暴露と用量依存的に関連すると考えられている。従って、全身暴露に関して肝臓でのより高い取り込みを促進する投与方法は、好ましいリスク-利益プロフィールを有することができる。
【0213】
本発明の胃内滞留システムを介するロスバスタチンの投与は、定期的な投与とは対照的に、ロスバスタチンの比較的低く比較的一定のレベルが肝臓の門脈循環に入ることを可能にする。この低い継続的なレベルは、肝臓(薬剤がその治療効果を提供する標的器官)における薬剤のよる大きな吸収と、全身循環(ここで、薬剤は望ましくない副作用を引き起こす)における薬剤のより低い最大量をもたらす。
【0214】
本明細書に記載の任意の実施態様において、ロスバスタチンは、ロスバスタチンカルシウムの形態で胃内滞留システム中で提供されるか、又は遊離塩基(非塩)形態で提供されることができる。
【0215】
ロスバスタチンが胃内滞留システム中に提供される本明細書に記載の任意の実施態様において、胃内滞留システム中のロスバスタチンは分解(例えば酸分解)に対して防御されることができ、従って、約24時間の胃内滞留期間後又は有効放出期間後に分解されるのは、システム内に滞留しているロスバスタチンの約5%未満である。いくつかの実施態様において、約48時間の胃内滞留期間後又は有効放出期間後に、システム内に滞留しているロスバスタチンの約5%未満が分解される。いくつかの実施態様において、約72時間の胃内滞留期間後又は有効放出期間後に、システム内に滞留しているロスバスタチンの約5%未満が分解される。いくつかの実施態様において、約96時間の胃内滞留期間後又は有効放出期間後に、システム内に滞留しているロスバスタチンの約5%未満が分解される。いくつかの実施態様において、約5日間の胃内滞留期間後又は有効放出期間後に、システム内に滞留しているロスバスタチンの約5%未満が分解される。いくつかの実施態様において、約1週間の胃内滞留期間後又は有効放出期間後に、システム内に滞留しているロスバスタチンの約5%未満が分解される。いくつかの実施態様において、約2週間の胃内滞留期間後又は有効放出期間後に、システム内に滞留しているロスバスタチンの約5%未満が分解される。いくつかの実施態様において、約3週間の胃内滞留期間後又は有効放出期間後に、システム内に滞留しているロスバスタチンの約5%未満が分解される。いくつかの実施態様において、約4週間の胃内滞留期間後又は有効放出期間後に、システム内に滞留しているロスバスタチンの約5%未満が分解される。いくつかの実施態様において、約1ヵ月の胃内滞留期間後又は有効放出期間後に、システム内に滞留しているロスバスタチンの約5%未満が分解される。
【0216】
ロスバスタチンが胃内滞留システム中に提供される本明細書に記載の任意の実施態様において、胃内滞留システムは、その滞留期間にわたって又はその有効放出期間にわたって、1日約5~約40mgのロスバスタチンを放出することができる。本明細書に記載の任意の実施態様において、胃内滞留システムは、その滞留期間にわたって又はその有効放出期間にわたって、1日約5~約20mgのロスバスタチンを放出することができる。
【0217】
ロスバスタチンが胃内滞留システム中に提供される本明細書に記載の任意の実施態様において、胃内滞留システムによるLDLコレステロールの低下は、ほぼ同じ期間、例えば約1週間に投与されたほぼ等量のロスバスタチンの即時放出製剤によるLDLコレステロールの低下の約90%~150%である。胃内滞留システム中で使用される担体ポリマーは、ポリカプロラクトンを.例えば数平均分子量が約45kDa~約55kDa、約60kDa~約100kDa、約75kDa~約85kDa、又は約80kDaの形形ポリカプロラクトンを含むことができる。
【0218】
ロスバスタチンが胃内滞留システム中に提供される本明細書に記載の任意の実施態様において、胃内滞留システムは約25mg~約300mgのロスバスタチンを含む。
【0219】
ロスバスタチンが胃内滞留システム中に提供される本明細書に記載の任意の実施態様において、胃内滞留システムの担体ポリマー-薬剤成分は、緩衝物質をさらに含む。緩衝物質は、炭酸カルシウム、乳酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸ナトリウム、及び重炭酸ナトリウムから成る群から選択される1種以上の化合物であり得る。緩衝物質は典型的には、最大約2%w/wの量で使用される。
【0220】
更なる実施態様において本発明は、本明細書に開示の任意の実施態様の胃内滞留システムを患者に投与することを含む、高コレステロールレベル又は高トリグリセリドレベルを有する患者を治療する方法を包含し、ここで胃内滞留システムはロスバスタチン(遊離塩基の形態、ロスバスタチンカルシウム塩の形態、又はロスバスタチンの他の医薬的に許容し得る塩の形態)を含む。胃内滞留システムは、1週間に1回などの間隔で患者に投与することができる。新しい胃内滞留システムをE日間の間隔で患者に投与することができ、ここでE日間はシステムの有効放出期間である。この投与は、望ましい全治療期間にわたって、E日ごとに行うことができる。
【0221】
ロスバスタチンで患者を治療する場合、筋肉痛が特に懸念される。いくつかの実施態様において、分散剤(例えばシリカ)を含む胃内滞留デバイスを使用するロスバスタチンの投与は、ほぼ同等の治療効果を有するロスバスタチンの即時放出経口投与と比較して、筋肉痛の自己報告発生率を少なくとも5%低下させることができる。いくつかの実施態様において、分散剤を含む胃内滞留デバイスを使用するロスバスタチンの投与は、ほぼ同等の治療効果を有するロスバスタチンの即時放出経口投与と比較して、筋肉痛の自己報告発生率を少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、又は少なくとも50%低下させることができる。いくつかの実施態様において、分散剤を含む胃内滞留デバイスを使用するロスバスタチンの投与は、ほぼ同等の治療効果を有するロスバスタチンの即時放出経口投与と比較して、筋肉痛の自己報告発生率を少なくとも約5%~約50%低下させることができる。いくつかの実施態様において、分散剤を含む胃内滞留デバイスを使用するロスバスタチンの投与は、ほぼ同等の治療効果を有するロスバスタチンの即時放出経口投与と比較して、筋肉痛の自己報告発生率を少なくとも約10%~約40%又は約15%~約30%低下させることができる。
【0222】
薬剤血漿レベルの安定化、特に初期バースト相及び誘発されたバースト放出の制限は、胃滞留システムを用いるロスバスタチンにとって特に困難である。 ロスバスタチンは比較的疎水性であり、ロスバスタチンは水よりもエタノールに溶けやすいため、高脂肪食品またはアルコール飲料の摂取後に、胃内滞留システムから急速に溶出する可能性がある。植物油中で投与される薬剤などの他の疎水性物質の摂取もまた、胃内滞留システムからの疎水性薬剤のバースト放出を引き起こす可能性を有する。 薬剤のバーストは患者によって吸収され、血漿レベルの突然の上昇をもたらす。バースト放出は、望ましくないピークレベルの薬剤をもたらし、システムの残りの有効放出時間または滞留時間の間に不十分な薬剤送達をもたらす可能性もある。胃内滞留システムに記載されているような分散剤の包含は、本明細書に記載のように、疎水性物質(例えばアルコール性飲料)の摂取によるロスバスタチンの突然の誘発性バースト放出を制限する。分散剤、ロスバスタチン、及び担体ポリマーの組み合わせは、分散剤の無いロスバスタチンと担体ポリマーの組み合わせに比べて、より安定した薬剤放出を提供する。本明細書に記載の粉砕はまた、担体ポリマー中のより小さい薬剤粒子サイズ、したがってロスバスタチンのより大きい表面積を確保することができ、それによって胃環境への薬剤の暴露を増加させ、効率的な薬剤溶出を促進することもできる。
【0223】
ロスバスタチンを含む胃放出システムにより提供される低い暴露レベルで治療の効力を確保するために、患者は周期的脂質パネルを介してモニターされる。そのような脂質パネル試験には、総コレステロール、高密度リポタンパク質(HDL)コレステロール(時に「善玉」コレステロールと呼ばれる)、低密度リポタンパク質(LDL)コレステロール(時に「悪玉」コレステロールと呼ばれる)、及びトリグリセリドのアッセイが含まれる、LDL受容体密度などの他の特殊な検査も使用することができる。患者はまた、アラニントランスアミナーゼ(ALT)、アスパラギン酸トランスアミナーゼ(AST)、アルカリホスファターゼ(ALP)、アルブミン、総タンパク質、ビリルビン、ガンマグルタミルトランスフェラーゼ(GGT)、L-乳酸デヒドロゲナーゼ(LD)、及びプロトロンビン時間(PT)のための標準的な臨床化学検査を含む標準的な肝臓パネル検査を使用する通常の肝機能についてモニターすることができる。
【0224】
1つの実施態様において、ロスバスタチンを含む本発明の胃内滞留システムによるLDLコレステロールの低下は、ロスバスタチンの即時放出製剤によるLDLコレステロールの低下の約75%~150%であり、ここで、ほぼ等しい量のロスバスタチンが各送達方法により同一の期間にわたって投与される。例えば、1週間の有効放出期間又は滞留期間を有し、約10mg/日で放出される70mgのロスバスタチンを含有する本発明の胃内滞留システムによるLDLコレステロールの低下は、7日間にわたり10mg/日の用量で投与されるロスバスタチンの即時放出製剤により放出されるLDLコレステロールの低下の約75%~150%である。1週間の有効放出期間又は滞留期間に有し、約20mg/日で放出される140mgのロスバスタチンを含有する本発明の胃内滞留システム(ここで、胃内滞留システムは、週に1回、連続4週間にわたって患者に投与される)によるLDLコレステロールの低下は、28日間にわたり20mg/日の用量で投与されるロスバスタチンの即時放出製剤により放出されるLDLコレステロールの低下の約75%~150%である。ほぼ等しい量は、10mg/日、20mg/日、30mg/日、又は40mg/日であり得る。期間は、3日間、4日間、5日間、6日間、1週間、10日間、2週間、3週間、4週間、又は1ヶ月とすることができる。さらなる実施態様において、本発明の胃内滞留システムによるLDLコレステロールの低下は、ロスバスタチンの即時放出製剤(ここで、ほぼ等しい量のロスバスタチンが、各送達方法により同じ期間にわたって投与される)によるLDLコレステロールの低下の、少なくとも約50%、少なくとも約75%、少なくとも約90%、少なくとも約100%、少なくとも約125%、少なくとも約140%、少なくとも約150%、約50%~150%、約75%~150%、約90%~約150%、約100%~150%、又は約125%~150%である。
【0225】
有効放出期間;滞留期間
胃内滞留システムの有効放出期間(又は有効放出時間)は、胃内滞留システムが胃内滞留システム中の治療薬の治療有効量を放出する時間として定義される。好ましい有効放出期間は1週間又は約1週間であり、別の好ましい有効放出期間は3日間又は約3日間である。1つの実施態様において胃内滞留システムは、約24時間又は最大約24時間の有効放出期間を有する。1つの実施態様において胃内滞留システムは、約48時間又は最大約48時間の有効放出期間を有する。1つの実施態様において胃内滞留システムは、約72時間又は最大約72時間の有効放出期間を有する。1つの実施態様において胃内滞留システムは、約96時間又は最大約96時間の有効放出期間を有する。1つの実施態様において胃内滞留システムは、約5日間又は最大約5日間の有効放出期間を有する。1つの実施態様において胃内滞留システムは、約6日間又は最大約6日間の有効放出期間を有する。1つの実施態様において胃内滞留システムは、約7日間又は最大約7日間の有効放出期間を有する。1つの実施態様において胃内滞留システムは、約10日間又は最大約10日間の有効放出期間を有する。1つの実施態様において胃内滞留システムは、約14日間又は最大約14日間の有効放出期間を有する。1つの実施態様において胃内滞留システムは、約3週間又は最大約3週間の有効放出期間を有する。1つの実施態様において胃内滞留システムは、約4週間又は最大約4週間の有効放出期間を有する。1つの実施態様において胃内滞留システムは、約1ヶ月又は最大約1ヶ月の有効放出期間を有する。
【0226】
1つの実施態様において胃内滞留システムは、約24時間~約7日間の有効放出期間を有する。1つの実施態様において胃内滞留システムは、約48時間~約7日間の有効放出期間を有する。1つの実施態様において胃内滞留システムは、約72時間~約7日間の有効放出期間を有する。1つの実施態様において胃内滞留システムは、約96時間~約7日間の有効放出期間を有する。1つの実施態様において胃内滞留システムは、約5日間~約7日間の有効放出期間を有する。1つの実施態様において胃内滞留システムは、約6日間~約7日間の有効放出期間を有する。
【0227】
1つの実施態様において胃内滞留システムは、約24時間~約10日間の有効放出期間を有する。1つの実施態様において胃内滞留システムは、約48時間~約10日間の有効放出期間を有する。1つの実施態様において胃内滞留システムは、約72時間~約10日間の有効放出期間を有する。1つの実施態様において胃内滞留システムは、約96時間~約10日間の有効放出期間を有する。1つの実施態様において胃内滞留システムは、約5日間~約10日間の有効放出期間を有する。1つの実施態様において胃内滞留システムは、約6日間~約10日間の有効放出期間を有する。1つの実施態様において胃内滞留システムは、約7日間~約10日間の有効放出期間を有する。
【0228】
1つの実施態様において胃内滞留システムは、約24時間~約14日間の有効放出期間を有する。1つの実施態様において胃内滞留システムは、約48時間~約14日間の有効放出期間を有する。1つの実施態様において胃内滞留システムは、約72時間~約14日間の有効放出期間を有する。1つの実施態様において胃内滞留システムは、約96時間~約14日間の有効放出期間を有する。1つの実施態様において胃内滞留システムは、約5日間~約14日間の有効放出期間を有する。1つの実施態様において胃内滞留システムは、約6日間~約14日間の有効放出期間を有する。1つの実施態様において胃内滞留システムは、約7日間~約14日間の有効放出期間を有する。 1つの実施態様において胃内滞留システムは、約10日間~約14日間の有効放出期間を有する。
【0229】
1つの実施態様において胃内滞留システムは、約24時間~約3週間の有効放出期間を有する。1つの実施態様において胃内滞留システムは、約48時間~約3週間の有効放出期間を有する。1つの実施態様において胃内滞留システムは、約72時間~約3週間の有効放出期間を有する。1つの実施態様において胃内滞留システムは、約96時間~約3週間の有効放出期間を有する。1つの実施態様において胃内滞留システムは、約5日間~約3週間の有効放出期間を有する。1つの実施態様において胃内滞留システムは、約6日間~約3週間の有効放出期間を有する。1つの実施態様において胃内滞留システムは、約7日間~約3週間の有効放出期間を有する。1つの実施態様において胃内滞留システムは、約10日間~約3週間の有効放出期間を有する。1つの実施態様において胃内滞留システムは、約14日間~約3週間の有効放出期間を有する。
【0230】
1つの実施態様において胃内滞留システムは、約24時間~約4週間の有効放出期間を有する。1つの実施態様において胃内滞留システムは、約48時間~約4週間の有効放出期間を有する。1つの実施態様において胃内滞留システムは、約72時間~約4週間の有効放出期間を有する。1つの実施態様において胃内滞留システムは、約96時間~約4週間の有効放出期間を有する。1つの実施態様において胃内滞留システムは、約5日間~約4週間の有効放出期間を有する。1つの実施態様において胃内滞留システムは、約6日間~約4週間の有効放出期間を有する。1つの実施態様において胃内滞留システムは、約7日間~約4週間の有効放出期間を有する。1つの実施態様において胃内滞留システムは、約10日間~約4週間の有効放出期間を有する。1つの実施態様において胃内滞留システムは、約14日間~約4週間の有効放出期間を有する。1つの実施態様において胃内滞留システムは、約3週間~約4週間の有効放出期間を有する。
【0231】
1つの実施態様において胃内滞留システムは、約24時間~約1ヶ月の有効放出期間を有する。1つの実施態様において胃内滞留システムは、約48時間~約1ヶ月の有効放出期間を有する。1つの実施態様において胃内滞留システムは、約72時間~約1ヶ月の有効放出期間を有する。1つの実施態様において胃内滞留システムは、約96時間~約1ヶ月の有効放出期間を有する。1つの実施態様において胃内滞留システムは、約5日間~約1ヶ月の有効放出期間を有する。1つの実施態様において胃内滞留システムは、約6日間~約1ヶ月の有効放出期間を有する。1つの実施態様において胃内滞留システムは、約7日間~約1ヶ月の有効放出期間を有する。1つの実施態様において胃内滞留システムは、約10日間~約1ヶ月の有効放出期間を有する。1つの実施態様において胃内滞留システムは、約14日間~約1ヶ月の有効放出期間を有する。1つの実施態様において胃内滞留システムは、約3週間~約1ヶ月の有効放出期間を有する。
【0232】
胃内滞留システムの滞留時間(又は滞留期間)は、胃へのシステムの投与から胃からのシステムの排出までの時間として定義される。1つの実施態様において胃内滞留システムは、約24時間又は最大約24時間の滞留時間(滞留期間)を有する。1つの実施態様において胃内滞留システムは、約48時間又は最大約48時間の滞留時間(滞留期間)を有する。1つの実施態様において胃内滞留システムは、約72時間又は最大約72時間の滞留時間(滞留期間)を有する。1つの実施態様において胃内滞留システムは、約96時間又は最大約96時間の滞留時間(滞留期間)を有する。1つの実施態様において胃内滞留システムは、約5日間又は最大約5日間の滞留時間(滞留期間)を有する。1つの実施態様において胃内滞留システムは、約6日間又は最大約6日間の滞留時間(滞留期間)を有する。1つの実施態様において胃内滞留システムは、約7日間又は最大約7日間の滞留時間(滞留期間)を有する。1つの実施態様において胃内滞留システムは、約10日間又は最大約10日間の滞留時間(滞留期間)を有する。1つの実施態様において胃内滞留システムは、約14日間又は最大約14日間の滞留時間(滞留期間)を有する。1つの実施態様において胃内滞留システムは、約3週間又は最大約3週間までの滞留時間(滞留期間)を有する。1つの実施態様において胃内滞留システムは、約4週間又は最大約4週間までの滞留時間(滞留期間)を有する。1つの実施態様において胃内滞留システムは、約1ヶ月又は最大約1ヶ月の滞留時間(滞留期間)を有する。
【0233】
1つの実施態様において胃内滞留システムは、約24時間~約7日間の滞留時間(滞留期間)を有する。1つの実施態様において胃内滞留システムは、約48時間~約7日間の滞留時間(滞留期間)を有する。1つの実施態様において胃内滞留システムは、約72時間~約7日間の滞留時間(滞留期間)を有する。1つの実施態様において胃内滞留システムは、約96時間~約7日間の滞留時間(滞留期間)を有する。1つの実施態様において、胃内滞留システムは約5日間~約7日間の滞留時間(滞留期間)を有する。1つの実施態様において胃内滞留システムは、約6日間~約7日間の滞留時間(滞留期間)を有する。
【0234】
1つの実施態様において胃内滞留システムは、約24時間~約10日間の滞留時間(滞留期間)を有する。1つの実施態様において胃内滞留システムは、約48時間~約10日間の滞留時間(滞留期間)を有する。1つの実施態様において胃内滞留システムは、約72時間~約10日間の滞留時間(滞留期間)を有する。1つの実施態様において胃内滞留システムは、約96時間~約10日間の滞留時間(滞留期間)を有する。1つの実施態様において胃内滞留システムは約5日間~約10日間の滞留時間(滞留期間)を有する。1つの実施態様において胃内滞留システムは、約6日間~約10日間の滞留時間(滞留期間)を有する。1つの実施態様において胃内滞留システムは、約7日間~約10日間の滞留時間(滞留期間)を有する。
【0235】
1つの実施態様において胃内滞留システムは、約24時間~約14日間の滞留時間(滞留期間)を有する。1つの実施態様において胃内滞留システムは、約48時間~約14日間の滞留時間(滞留期間)を有する。1つの実施態様において胃内滞留システムは、約72時間~約14日間の滞留時間(滞留期間)を有する。1つの実施態様において胃内滞留システムは、約96時間~約14日間の滞留時間(滞留期間)を有する。1つの実施態様において胃内滞留システムは、約5日間~約14日間の滞留時間(滞留期間)を有する。1つの実施態様において胃内滞留システムは、約6日間~約14日間の滞留時間(滞留期間)を有する。1つの実施態様において胃内滞留システムは、約7日間~約14日間の滞留時間(滞留期間)を有する。 1つの実施態様において胃内滞留システムは、約10日間~約14日間の滞留時間(滞留期間)を有する。
【0236】
1つの実施態様において胃内滞留システムは、約24時間~約3週間の滞留時間(滞留期間)を有する。1つの実施態様において胃内滞留システムは、約48時間~約3週間の滞留時間(滞留期間)を有する。1つの実施態様において胃内滞留システムは、約72時間~約3週間の滞留時間(滞留期間)を有する。1つの実施態様において胃内滞留システムは、約96時間~約3週間の滞留時間(滞留期間)を有する。1つの実施態様において胃内滞留システムは、約5日間~約3週間の滞留時間(滞留期間)を有する。1つの実施態様において胃内滞留システムは、約6日間~約3週間の滞留時間(滞留期間)を有する。1つの実施態様において胃内滞留システムは、約7日間~約3週間の滞留時間(滞留期間)を有する。1つの実施態様において胃内滞留システムは、約10日間~約3週間の滞留時間(滞留期間)を有する。1つの実施態様において胃内滞留システムは、約14日間~約3週間の滞留時間(滞留期間)を有する。
【0237】
1つの実施態様において胃内滞留システムは、約24時間~約4週間の滞留時間(滞留期間)を有する。1つの実施態様において胃内滞留システムは、約48時間~約4週間の滞留時間(滞留期間)を有する。1つの実施態様において胃内滞留システムは、約72時間~約4週間の滞留時間(滞留期間)を有する。1つの実施態様において胃内滞留システムは、約96時間~約4週間の滞留時間(滞留期間)を有する。1つの実施態様において胃内滞留システムは、約5日間~約4週間の滞留時間(滞留期間)を有する。1つの実施態様において胃内滞留システムは、約6日間~約4週間の滞留時間(滞留期間)を有する。1つの実施態様において胃内滞留システムは、約7日間~約4週間の滞留時間(滞留期間)を有する。1つの実施態様において胃内滞留システムは、約10日間~約4週間の滞留時間(滞留期間)を有する。1つの実施態様において胃内滞留システムは、約14日間~約4週間の滞留時間(滞留期間)を有する。1つの実施態様において胃内滞留システムは、約3週間~約4週間の滞留時間(滞留期間)を有する。
【0238】
1つの実施態様において胃内滞留システムは、約24時間~約1ヶ月の滞留時間(滞留期間)を有する。1つの実施態様において胃内滞留システムは、約48時間~約1ヶ月の滞留時間(滞留期間)を有する。1つの実施態様において胃内滞留システムは、約72時間~約1ヶ月の滞留時間(滞留期間)を有する。1つの実施態様において胃内滞留システムは、約96時間~約1ヶ月の滞留時間(滞留期間)を有する。1つの実施態様において胃内滞留システムは、約5日間~約1ヶ月の滞留時間(滞留期間)を有する。1つの実施態様において胃内滞留システムは、約6日間~約1ヶ月の滞留時間(滞留期間)を有する。1つの実施態様において胃内滞留システムは、約7日間~約1ヶ月の滞留時間(滞留期間)を有する。1つの実施態様において胃内滞留システムは、約10日間~約1ヶ月の滞留時間(滞留期間)を有する。1つの実施態様において胃内滞留システムは、約14日間~約1ヶ月の滞留時間(滞留期間)を有する。1つの実施態様において胃内滞留システムは、約3週間~約1ヶ月の滞留時間(滞留期間)を有する。
【0239】
胃内滞留システムは、治療薬の治療有効量を滞留時間又は滞留期間の少なくとも一部分の間に放出する。1つの実施態様においてシステムは、治療薬の治療有効量を滞留期間の少なくとも約25%の間に放出する(すなわち、有効放出期間は滞留期間の少なくとも約25%である)。1つの実施態様においてシステムは、治療薬の治療有効量を滞留期間の少なくとも約50%の間に放出する(すなわち、有効放出期間は滞留期間の少なくとも約50%である)。1つの実施態様においてシステムは、治療薬の治療有効量を滞留期間の少なくとも約60%の間に放出する(すなわち、有効放出期間は滞留期間の少なくとも約60%である)。1つの実施態様においてシステムは、治療薬の治療有効量を滞留期間の少なくとも約70%の間に放出する(すなわち、有効放出期間は滞留期間の少なくとも約70%である)。1つの実施態様においてシステムは、治療薬の治療有効量を滞留期間の少なくとも約75%の間に放出する(すなわち、有効放出期間は滞留期間の少なくとも約75%である)。1つの実施態様においてシステムは、治療薬の治療有効量を滞留期間の少なくとも約80%の間に放出する(すなわち、有効放出期間は滞留期間の少なくとも約80%である)。1つの実施態様においてシステムは、治療薬の治療有効量を滞留期間の少なくとも約85%の間に放出する(すなわち、有効放出期間は滞留期間の少なくとも約85%である)。1つの実施態様においてシステムは、治療薬の治療有効量を滞留期間の少なくとも約90%の間に放出する(すなわち、有効放出期間は滞留期間の少なくとも約90%である)。1つの実施態様においてシステムは、治療薬の治療有効量を滞留期間の少なくとも約95%の間に放出する(すなわち、有効放出期間は滞留期間の少なくとも約95%である)。1つの実施態様においてシステムは、治療薬の治療有効量を滞留期間の少なくとも約98%の間に放出する(すなわち、有効放出期間は滞留期間の少なくとも約98%である)。1つの実施態様においてシステムは、治療薬の治療有効量を滞留期間の少なくとも約99%の間に放出する(すなわち、有効放出期間は滞留期間の少なくとも約99%である)。
【0240】
胃内滞留システムは、治療薬の治療有効量を滞留時間又は滞留期間の少なくとも一部分の間に放出する。胃内滞留システムが破壊されて、胃を通過して小腸に入ると、胃内滞留システムの化合物は、治療薬の治療有効量を放出しなくなることがあり、この場合、有効放出期間が終了する。しかしながら、いくつかの実施態様において、胃内滞留システムの化合物は治療薬の治療有効量を放出し続けることがある。すなわち、治療薬の治療有効量の放出期間(有効放出期間)は、胃内の滞留期間より長いことがある。1つの実施態様においてシステムは、治療薬の治療有効量を、[滞留期間+約24時間]の少なくとも約25%の間に放出する(すなわち、有効放出期間は[滞留期間+約24時間]の少なくとも約25%である)。1つの実施態様においてシステムは、治療薬の治療有効量を、[滞留期間+約24時間]の少なくとも約50%の間に放出する(すなわち、有効放出期間は[滞留期間+約24時間]の少なくとも約50%である)。1つの実施態様においてシステムは、治療薬の治療有効量を、[滞留期間+約24時間]の少なくとも約60%の間に放出する(すなわち、有効放出期間は[滞留期間+約24時間]の少なくとも約60%である)。1つの実施態様においてシステムは、治療薬の治療有効量を、[滞留期間+約24時間]の少なくとも約70%の間に放出する(すなわち、有効放出期間は[滞留期間+約24時間]の少なくとも約70%である)。1つの実施態様においてシステムは、治療薬の治療有効量を、[滞留期間+約24時間]の少なくとも約75%の間に放出する(すなわち、有効放出期間は[滞留期間+約24時間]の少なくとも約75%である)。1つの実施態様においてシステムは、治療薬の治療有効量を、[滞留期間+約24時間]の少なくとも約80%の間に放出する(すなわち、有効放出期間は[滞留期間+約24時間]の少なくとも約80%である)。1つの実施態様においてシステムは、治療薬の治療有効量を、[滞留期間+約24時間]の少なくとも約85%の間に放出する(すなわち、有効放出期間は[滞留期間+約24時間]の少なくとも約85%である)。1つの実施態様においてシステムは、治療薬の治療有効量を、[滞留期間+約24時間]の少なくとも約90%の間に放出する(すなわち、有効放出期間は[滞留期間+約24時間]の少なくとも約90%である)。1つの実施態様においてシステムは、治療薬の治療有効量を、[滞留期間+約24時間]の少なくとも約95%の間に放出する(すなわち、有効放出期間は[滞留期間+約24時間]の少なくとも約95%である)。1つの実施態様においてシステムは、治療薬の治療有効量を、[滞留期間+約24時間]の少なくとも約98%の間に放出する(すなわち、有効放出期間は[滞留期間+約24時間]の少なくとも約98%である)。1つの実施態様においてシステムは、治療薬の治療有効量を、[滞留期間+約24時間]の少なくとも約99%の間に放出する(すなわち、有効放出期間は[滞留期間+約24時間]の少なくとも約99%である)。
【0241】
1つの実施態様においてシステムは、治療薬の治療有効量を、[滞留期間+約48時間]の少なくとも約25%の間に放出する(すなわち、有効放出期間は[滞留期間+約48時間]の少なくとも約25%である)。1つの実施態様においてシステムは、治療薬の治療有効量を、[滞留期間+約48時間]の少なくとも約50%の間に放出する(すなわち、有効放出期間は[滞留期間+約48時間]の少なくとも約50%である)。1つの実施態様においてシステムは、治療薬の治療有効量を、[滞留期間+約48時間]の少なくとも約60%の間に放出する(すなわち、有効放出期間は[滞留期間+約48時間]の少なくとも約60%である)。1つの実施態様においてシステムは、治療薬の治療有効量を、[滞留期間+約48時間]の少なくとも約70%の間に放出する(すなわち、有効放出期間は[滞留期間+約48時間]の少なくとも約70%である)。1つの実施態様においてシステムは、治療薬の治療有効量を、[滞留期間+約48時間]の少なくとも約75%の間に放出する(すなわち、有効放出期間は[滞留期間+約48時間]の少なくとも約75%である)。1つの実施態様においてシステムは、治療薬の治療有効量を、[滞留期間+約48時間]の少なくとも約80%の間に放出する(すなわち、有効放出期間は[滞留期間+約48時間]の少なくとも約80%である)。1つの実施態様においてシステムは、治療薬の治療有効量を、[滞留期間+約48時間]の少なくとも約85%の間に放出する(すなわち、有効放出期間は[滞留期間+約48時間]の少なくとも約85%である)。1つの実施態様においてシステムは、治療薬の治療有効量を、[滞留期間+約48時間]の少なくとも約90%の間に放出する(すなわち、有効放出期間は[滞留期間+約48時間]の少なくとも約90%である)。1つの実施態様においてシステムは、治療薬の治療有効量を、[滞留期間+約48時間]の少なくとも約95%の間に放出する(すなわち、有効放出期間は[滞留期間+約48時間]の少なくとも約95%である)。1つの実施態様においてシステムは、治療薬の治療有効量を、[滞留期間+約48時間]の少なくとも約98%の間に放出する(すなわち、有効放出期間は[滞留期間+約48時間]の少なくとも約98%である)。1つの実施態様においてシステムは、治療薬の治療有効量を、[滞留期間+約48時間]の少なくとも約99%の間に放出する(すなわち、有効放出期間は[滞留期間+約48時間]の少なくとも約99%である)。
【0242】
1つの実施態様においてシステムは、治療薬の治療有効量を、[滞留期間+約72時間]の少なくとも約25%の間に放出する(すなわち、有効放出期間は[滞留期間+約72時間]の少なくとも約25%である)。1つの実施態様においてシステムは、治療薬の治療有効量を、[滞留期間+約72時間]の少なくとも約50%の間に放出する(すなわち、有効放出期間は[滞留期間+約72時間]の少なくとも約50%である)。1つの実施態様においてシステムは、治療薬の治療有効量を、[滞留期間+約72時間]の少なくとも約60%の間に放出する(すなわち、有効放出期間は[滞留期間+約72時間]の少なくとも約60%である)。1つの実施態様においてシステムは、治療薬の治療有効量を、[滞留期間+約72時間]の少なくとも約70%の間に放出する(すなわち、有効放出期間は[滞留期間+約72時間]の少なくとも約70%である)。1つの実施態様においてシステムは、治療薬の治療有効量を、[滞留期間+約72時間]の少なくとも約75%の間に放出する(すなわち、有効放出期間は[滞留期間+約72時間]の少なくとも約75%である)。1つの実施態様においてシステムは、治療薬の治療有効量を、[滞留期間+約72時間]の少なくとも約80%の間に放出する(すなわち、有効放出期間は[滞留期間+約72時間]の少なくとも約80%である)。1つの実施態様においてシステムは、治療薬の治療有効量を、[滞留期間+約72時間]の少なくとも約85%の間に放出する(すなわち、有効放出期間は[滞留期間+約72時間]の少なくとも約85%である)。1つの実施態様においてシステムは、治療薬の治療有効量を、[滞留期間+約72時間]の少なくとも約90%の間に放出する(すなわち、有効放出期間は[滞留期間+約72時間]の少なくとも約90%である)。1つの実施態様においてシステムは、治療薬の治療有効量を、[滞留期間+約72時間]の少なくとも約95%の間に放出する(すなわち、有効放出期間は[滞留期間+約72時間]の少なくとも約95%である)。1つの実施態様においてシステムは、治療薬の治療有効量を、[滞留期間+約72時間]の少なくとも約98%の間に放出する(すなわち、有効放出期間は[滞留期間+約72時間]の少なくとも約98%である)。1つの実施態様においてシステムは、治療薬の治療有効量を、[滞留期間+約72時間]の少なくとも約99%の間に放出する(すなわち、有効放出期間は[滞留期間+約72時間]の少なくとも約99%である)。
【0243】
放射線不透過性
システムは放射線不透過性であるため、必要に応じて腹部X線を介して配置することができる。いくつかの実施態様において、システムの構築に使用される1種以上の物質は、X線視覚化に対して充分に放射線不透過性である。他の実施態様において放射線不透過性物質は、システムの1つ以上の材料に添加されるか、又はシステムの1つ又は複数の物質上にコーティングされるか、又はシステムの小部分に添加される。適切な放射線不透過性物質の例は、硫酸バリウム、次炭酸ビスマス、オキシ塩化ビスマス、及び三酸化ビスマスである。これらの物質は、担体ポリマーからの治療薬放出を又は他のシステムポリマーの所望の特性を改変することがないように、胃内滞留システムを構築するのに使用されるポリマーと混合しないことが好ましい。タングステンなどの金属を使用して、システム成分の小部分上に金属製のストライプ又は金属チップを使用することができる。
【0244】
胃内滞留システムを用いた治療方法
胃内滞留システムは、長期間にわたって治療薬の投与を必要とする症状を治療するために使用することができる。何ヶ月も、何年も、又は無期限に必要とされる長期投与について、週1回、2週間に1回、又は月に一回の胃内滞留システムの投与は、患者のコンプライアンスと利便性に実質的な利点を提供することができる。
【0245】
いったん胃内滞留システムが患者に投与されると、システムは、有効放出期間にわたって治療薬の持続放出を提供する。胃内滞留期間の後システムは分解し、胃の外に出る。従って有効放出期間が1週間のシステムでは、患者は毎週新しいシステムを飲み込む(又は他の手段を介して胃に投与される)。従って1つの実施態様において、E日間(E-daysは、日数で示される有効放出期間である)の有効放出期間を有する本発明の胃内滞留システム(システム中に治療薬が存在する)を用いて、所望の総治療期間T-total(ここで、T-totalは、日数で示される所望の治療長さである)にわたる患者の治療方法は、経口投与又は他の手段により所望の総治療期間にわたって新しい胃内滞留システムを導入することを含む。患者に投与される胃内滞留システムの数は、(T-total)÷(E-days)である。例えば1年間(T-total=365日)が所望の場合、及びシステムの有効放出期間が7日間(E-days=7日間)である場合、新しいシステムは7日毎に1回投与されるため、約52個の胃内滞留システムが365日にわたって患者に投与される。
【0246】
キット及び製造品
従って、本発明の胃内滞留システムを用いて患者を治療するためのキットも、本明細書に提供される。キットは、例えば所望の総治療期間にわたって患者に定期的に投与するのに十分な数の胃内滞留システムを含むことができる。総処理時間(日数)が(T-total)であり、胃内滞留システムがが(E-days)の終結放出パラメータを有する場合、キットは、E-days毎に投与するために、[(T-total)÷(E-days)](整数に丸められる)に等しい数の胃内滞留システムを含有する。キットは、容器(容器はカプセルであってもよい)中に、例えば数個の胃内滞留システムを含み、場合により、投与処方、治療期間、及び胃内滞留システム及び/又は胃内滞留システム内に含まれる治療薬の使用に関する情報の印刷された説明書又はコンピュータ可読説明書を含むことができる。例えば患者に処方される総治療期間が1年であり、胃内滞留システムが1週間の有効放出期間を有する場合、キットは、週に1回同じ日(例えば、毎土曜日)に1つのカプセルを飲み込むための説明書とともに、52個のカプセル(1つのカプセルは、1つの胃内滞留システムを含む)を含むことができる。
【0247】
所望の総治療期間にわたって患者に定期的投与するための充分な数の胃内滞留システムを含み、場合により投与処方、治療期間、又は胃内滞留システム及び/又は胃内滞留システムに含まれる治療薬の使用に関する他の情報の説明書を含む製造品もまた、本発明に含まれる。製造品は、適切なパッケージ中で、例えばディスペンサー、トレイ、又は処方された間隔で胃内滞留システムの投与で患者を補助する他のパッケージング中で供給されてよい。
【0248】
例示的実施態様
本発明は、以下の実施態様によりさらに説明される。各実施態様の特徴は、適切で実用的な場合、他の実施態様のいずれかに適合し得る。
【0249】
実施態様1
患者に投与するための胃内滞留システムであって、
【0250】
以下:
【0251】
i)担体ポリマー、
【0252】
Ii)分散剤、及び
【0253】
iii)治療薬又はその塩、を含む複数の担体ポリマー-薬剤成分を含み、
【0254】
複数の担体ポリマー-薬剤成分は、1種以上の結合ポリマー成分により一緒に連結され、1種以上の結合ポリマー成分の少なくとも1種はエラストマーであり
【0255】
胃内滞留システムは、経口投与又は栄養管による投与に適した容器中では圧縮形態を有し、容器から患者の胃に放出される時は非圧縮形態を有するように構成され、
【0256】
胃内滞留システムは少なくとも約24時間、胃内に保持され、そして
【0257】
システムが胃内に保持される期間の少なくとも一部にわたって、システムは治療薬の治療有効量を放出する。上記システム。
【0258】
実施態様2
実施態様1の胃内滞留システムであって、分散剤が、多孔性無機材料、極性無機材料、シリカ、親水性フュームドシリカ、ステアリン酸塩、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、微結晶セルロース、カルボキシメチルセルロース、疎水性コロイド状シリカ、ヒプロメロース、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、リン脂質、ステアリン酸ポリオキシエチレン、酢酸亜鉛、アルギン酸、レシチン、脂肪酸、ラウリル硫酸ナトリウム、非毒性の金属酸化物、及び酸化アルミニウムから成る群から選択される化合物を含む、上記システム。
【0259】
実施態様3
分散剤がシリカを含む、実施態様1の胃内滞留システム。
【0260】
実施態様4
治療薬又はその塩が、担体ポリマー中に分散された粒子からなる、実施態様1~3のいずれか1つの胃内滞留システム。
【0261】
実施態様5
治療薬粒子の質量の少なくとも約80%が、直径約2ミクロン~約50ミクロンである、実施態様4の胃内滞留システム。
【0262】
実施態様6
前記治療薬又はその塩が親水性治療薬又はその塩であり、システムに含まれる前記親水性治療薬の約10%未満が、胃液に暴露されてから最初の約6時間以内に溶出する、実施態様1~5のいずれか1つの胃内滞留システム。
【0263】
実施態様7
治療薬又はその塩が親水性治療薬又はその塩であり、胃液に暴露されてから最初の約6時間以内に溶出する親水性治療薬の量が、分散剤の無いシステムから溶出する治療薬の量の約50%又はそれ以下である、実施態様1~5のいずれか1つの胃内滞留システム。
【0264】
実施態様8
担体ポリマー-薬剤成分が、約1%~約30%の親水性治療薬又はその塩、約0.5%~約2.5%の分散剤、及び約67.5%~約98.5%の担体ポリマーを含む。実施態様6又は実施態様7の胃内滞留システム、
【0265】
実施態様9
疎水性治療薬が約0.5以下のlogPを有する、実施態様6~8のいずれか1つの胃内滞留システム。この実施態様においてlogPは1-オクタノール/水系で測定される。
【0266】
実施態様10
疎水性治療薬の水中の溶解度が少なくとも約1mg/mlである、実施態様6~8のいずれか1つの胃内滞留システム。
【0267】
実施態様11
治療薬又はその塩が疎水性治療薬又はその塩である、実施態様1~5のいずれか1つの胃内滞留システム。
【0268】
実施態様12
担体ポリマー-薬剤成分が、約1%~約30%の疎水性治療薬又はその塩、約0.5%~約2.5%の分散剤、及び約67.5%~約98.5%の担体ポリマーを含む、実施態様11の胃内滞留システム。
【0269】
実施態様13
疎水性治療剤が約1より大きいlogPを有する、実施態様11又は実施態様12の胃内滞留システム。この実施形態において、logPは1-オクタノール/水系で測定される。
【0270】
実施態様14
疎水性治療薬の水中の溶解度が約1mg/ml未満である、実施態様11又は実施態様12の胃内滞留システム。
【0271】
実施態様15
担体ポリマーがポリカプロラクトンを含む、実施態様1~14のいずれか1つの胃内滞留システム。
【0272】
実施態様16
ポリカプロラクトンが、約45kDa~約55kDaの数平均分子量範囲を有する形形ポリカプロラクトンを含む、実施態様15の胃内滞留システム。
【0273】
実施態様16A
ポリカプロラクトンが、数平均分子量(Mn)範囲が約60キロダルトン(kDa)~約100kDa、75kDa~85kDa、又は約80kDaである形形ポリカプロラクトンを含む、実施態様15の胃内滞留システム。
【0274】
実施態様17
複数の担体ポリマー-薬剤成分が2つ以上の結合ポリマー成分により一緒に連結され、この2つ以上の結合ポリマー成分の少なくとも1つがエラストマーであり、この2つ以上の結合ポリマー成分の別の少なくとも1つが腸溶性ポリマーである、実施態様1~16の胃内滞留システム。
【0275】
実施態様18
各腸溶性ポリマーが、ポリ(メタクリル酸-コ-アクリル酸エチル)、酢酸フタル酸セルロース、酢酸コハク酸セルロース、及びフタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロースからなる群から独立して選択される、実施態様17の胃内滞留システム。
【0276】
実施態様18A
各腸溶性ポリマーが、ポリ(メタクリル酸-コ-アクリル酸エチル)、酢酸フタル酸セルロース、酢酸コハク酸セルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、及び酢酸コハク酸ヒプロメロース(HPMCAS)からなる群から独立して選択される、実施態様17の胃内滞留システム。
【0277】
実施態様19
胃内滞留システムが胃内に約5日間~約7日間維持される、実施態様1~18のいずれか1つの胃内滞留システム。
【0278】
実施態様20
実施態様1~19のいずれか1つの胃内滞留システムの製造方法であって、
【0279】
可撓性結合ポリマー成分を形成する工程と、
【0280】
近位端と遠位端とを含む細長部材である複数の少なくとも3つの担体ポリマー-薬剤成分を形成する工程と、
【0281】
細長部材を可撓性結合ポリマー成分に結合させる工程と、を含む上記方法。
【0282】
実施態様21
胃内滞留システムを圧縮し、システムを、経口投与又は胃管又は栄養管を介した投与に適した容器に挿入することをさらに含む、実施態様20の方法。
【0283】
実施態様22
担体ポリマー-薬剤成分は、治療薬又はその塩を粉砕し、粉砕された治療薬又はその塩、分散剤、及び担体ポリマーを混合することによって形成される、実施態様20又は実施態様21の方法。
【0284】
実施態様23
治療薬又はその塩は、シリカ、リン酸カルシウム、粉末セルロース、コロイド状二酸化ケイ素、疎水性コロイド状シリカ、酸化マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、三ケイ酸マグネシウム、タルク、ポリビニルピロリドン、セルロースエーテル、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、及び界面活性剤から成る群から選択される化合物を用いて粉砕される、実施態様22の方法。
【0285】
実施態様24
治療薬又はその塩は粒子を含み、前記粒子の質量の少なくとも約80%は直径約2ミクロン~約50ミクロンを有する、実施態様22又は実施態様23の方法。
【0286】
実施態様25
混合はホットメルト押出により行われる、実施態様22の方法。
【0287】
実施態様26
細長部材である複数の少なくとも3つの担体ポリマー-薬剤成分を形成することは、少なくとも2つのセグメントから細長部材を形成することを含む、実施態様20~25のいずれか1つの方法。
【0288】
実施態様27
少なくとも2つのセグメントから細長部材を形成することは、セグメント間のカラー接合部を形成することを含む、実施態様26の方法。
【0289】
実施態様28
可撓性結合ポリマー成分は、複数の少なくとも3つの分枝を有する星形である、実施態様20~27のいずれか1つの方法。
【0290】
実施態様29
細長部材を可撓性結合ポリマー成分に結合することは、細長部材を可撓性結合ポリマー成分に接着することを含む、実施態様20~28のいずれか1つの方法。
【0291】
実施態様30
細長部材を星形可撓性結合ポリマー成分に結合することは、細長部材と可撓性結合ポリマー成分の分岐との間にカラー接合部を形成することを含む、実施態様28の方法。
【0292】
実施態様31
実施態様1~19のいずれか1つの胃内滞留システムを患者に投与することを含む、患者に治療薬を投与する方法。
【0293】
実施態様32
胃内滞留システムはD日間の胃内滞留期間を有し、所望の総治療期間にわたってD日毎に新しい胃内滞留システムが患者に投与される、実施態様31の方法。
【0294】
実施態様33
胃内滞留期間は7日間である、実施態様32の方法。
【0295】
実施態様34
患者に、
【0296】
以下:
【0297】
i)担体ポリマーと
【0298】
ii)治療薬又はその医薬的に許容し得る塩を含む、複数の担体ポリマー-薬剤成分を投与するための胃内滞留システムであって、
【0299】
担体ポリマー-薬剤成分は、1つ以上の結合ポリマー成分により一緒に連結され、前記1つ以上の結合ポリマー成分の少なくとも1つはエラストマーであり、
【0300】
胃内滞留システムは、容器内では経口投与又は栄養管を介して投与するのに適した圧縮形態を有し、容器から放出されたときは非圧縮形態を有するように構成され、
【0301】
胃内滞留システムは、少なくとも約24時間~約1ヶ月の滞留期間、胃内に維持され、
【0302】
システムは、システムが胃内に保持される期間の少なくとも一部にわたって、治療有効量の治療薬を放出し、そしてシステムは、6時間以内には、治療薬又はその医薬的に許容し得る塩の約20%未満しか放出しない、上記システム。
【0303】
実施態様35
システムは、約30%~約70%の治療薬又はその医薬的に許容し得る塩を、滞留期間の約40%~60%の期間内に放出する。実施態様34の胃内滞留システム。
【0304】
実施態様36
システムは、約70%を超える治療薬又はその医薬的に許容し得る塩を、滞留期間の約90%の期間内に放出する、実施態様34又は実施態様35の胃内滞留システム。
【0305】
実施態様37
治療薬又はその医薬的に許容し得る塩の放出は、0.1N塩酸、模擬胃液、絶食状態模擬胃液、摂食状態模擬胃液、動物の胃、ブタの胃、イヌの胃、及びヒトの胃から成る群から選択される水性環境で測定される、実施態様34~36のいずれか1つの胃内滞留システム。
【0306】
実施態様38
治療薬又はその医薬的に許容し得る塩の放出は、0.1N塩酸中で測定される、実施態様34~37のいずれか1つの胃内滞留システム。
【0307】
実施態様39
治療薬又はその医薬的に許容し得る塩の放出は、絶食状態模擬胃液中で測定される、実施態様34~37のいずれか1つの胃内滞留システム。
【0308】
実施態様40
治療薬又はその医薬的に許容し得る塩の放出は、摂食状態模擬胃液中で測定される、実施態様34~37のいずれか1つの胃内滞留システム。
【0309】
実施態様41
実施態様34~40のいずれか1つの胃内滞留システムであって、治療薬又はその医薬的に許容し得る塩の放出は、40%エタノール/60%0.1N塩酸中では、0.1N塩酸中の同じ期間での放出に対して約40%以下であり、又は40%エタノール/60%模擬胃液中では、模擬胃液中の同じ期間での放出に対して約40%以下であり、又は40%エタノール/60%絶食状態模擬胃液中では、絶食状態模擬胃液中の同じ期間での放出に対して約40%以下であり、又は40%エタノール/60%摂食状態模擬胃液中では、摂食状態模擬胃液中の同じ期間での放出に対して約40%以下である、上記システム。
【0310】
実施態様42
ii)治療薬又はその医薬的に許容し得る塩は、約10%~約35%の担体ポリマー-薬剤成分を含有する、実施態様34~41のいずれか1つの胃内滞留システム。
【0311】
実施態様43
治療薬又はその医薬的に許容し得る塩は、ドキシサイクリン、ドネペジル、イベルメクチン、リスペリドン、セチリジン、及びロスバスタチンから成る群から選択される、実施態様34~42のいずれか1つの胃内滞留システム。
【0312】
実施態様44
担体ポリマー-薬剤成分は、iii)放出促進剤をさらに含む、実施態様34~43のいずれか1つの胃内滞留システム。
【0313】
実施態様45
放出促進剤は、約2%~約30%の担体ポリマー-薬剤成分を含む、実施態様34~44のいずれか1つの胃内滞留システム。
【0314】
実施態様46
放出促進剤は、アクリル酸ポリマー、アクリル酸コポリマー、ポリジオキサノン-ポリエチレングリコールポリマー、及びポリビニルピロリドンから成る群から選択される、実施態様34~45のいずれか1つの胃内滞留システム。
【0315】
実施態様47
担体ポリマー-薬剤成分は、iv)分散剤をさらに含む、実施態様34~46のいずれか1つの胃内滞留システム。
【0316】
実施態様48
分散剤は、約0.1%~約4%の担体ポリマー-薬剤成分を含む、実施態様34~47のいずれか1つの胃内滞留システム。
【0317】
実施態様49
分散剤は、多孔性無機材料、極性無機材料、非毒性金属酸化物、両親媒性有機分子、多糖、セルロース、セルロース誘導体、脂肪酸、界面活性剤、シリカ、親水性ヒュームドシリカ、疎水性コロイド状シリカ、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ステアリン酸塩、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、微結晶セルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒプロメロース、リン脂質、ステアリン酸ポリオキシエチレン、酢酸亜鉛、アルギン酸、レシチン、ラウリル硫酸ナトリウム、及び酸化アルミニウムから成る群から選択される、実施態様34~48のいずれか1つの胃内滞留システム。
【0318】
実施態様50
分散剤はシリカを含む、実施態様34~48のいずれか1つの胃内滞留システム。
【0319】
実施態様51
担体ポリマー-薬剤成分は、v)可溶化剤をさらに含む、実施態様34~50のいずれか1つの胃内滞留システム。
【0320】
実施態様52
可溶化剤は、約1%~約10%の担体ポリマー-薬剤成分を含む、実施態様34~51のいずれか1つの胃内滞留システム。
【0321】
実施態様53
可溶化剤は、ポリアルキレンオキシド、ポリエトキシ化ヒマシ油、及び界面活性剤から成る群から選択される、実施態様34~52のいずれか1つの胃内滞留システム。
【0322】
実施態様54
担体ポリマー-薬剤成分は、vi)安定剤をさらに含む、実施態様34~53のいずれか1つの胃内滞留システム。
【0323】
実施態様55
安定剤は、約0.1%~約2%の担体ポリマー-薬剤成分を含む、実施態様34~54のいずれか1つの胃内滞留システム。
【0324】
実施態様56
安定剤は、抗酸化剤、トコフェロール、アルファトコフェロール、アスコルビン酸、アスコルビン酸塩、カロチン、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、フマル酸、抗菌剤、緩衝物質、炭酸カルシウム、乳酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸ナトリウム、及び重炭酸ナトリウムから成る群から選択される抗酸化剤である、実施態様34~55のいずれか1つの胃内滞留システム。
【0325】
実施態様57
担体ポリマーはポリラクトンを含む、実施態様34~56のいずれか1つの胃内滞留システム。
【0326】
実施態様58
ポリラクトンはポリカプロラクトンを含む、実施態様57の胃内滞留システム。
【0327】
実施態様59
ポリカプロラクトンは、約60,000~100,000の平均Mnを有する、実施態様58の胃内滞留システム。
【0328】
実施態様60
ポリカプロラクトンは、約75,000~85,000の平均Mnを有する、実施態様58の胃内滞留システム。
【0329】
実施態様61
ポリカプロラクトンは、約80,000の平均Mnを有する、実施態様58の胃内滞留システム。
【0330】
実施態様62
可溶化剤が存在する場合、可溶化剤は、約5%以下の担体ポリマー-薬剤成分を含み;可溶化剤、放出促進剤、分散剤、又は安定剤の1つ以上が存在する場合、存在する任意の可溶化剤、放出促進剤、分散剤、及び安定剤の総組合せ量は、約30%以下の担体ポリマー-薬剤成分を含む、実施態様34~61のいずれか1つの胃内滞留システム。
【0331】
実施態様63
i)ポリラクトンを含む、治療薬の長期放出配合物であって、ii)治療薬は、ドキシサイクリン、ドネペジル、イベルメクチン、リスペリドン、ロスバスタチン、セチリジン、又はその医薬的に許容し得る塩から成る群から選択される、上記配合物。
【0332】
実施態様64
ポリラクトンはポリカプロラクトンを含む、実施態様63の配合物。
【0333】
実施態様65
ポリカプロラクトンは、約60,000~100,000の平均Mnを有する、実施態様63の配合物。
【0334】
実施態様66
ポリカプロラクトンは、約75,000~85,000の平均Mnを有する、実施態様63の配合物。
【0335】
実施態様67
ポリカプロラクトンは、約80,000の平均Mnを有する、実施態様63の配合物。
【0336】
実施態様68
iii)放出促進剤をさらに含む、実施態様63~67のいずれか1つの配合物。
【0337】
実施態様69
放出促進剤は、約2%~30%の配合物を含む、実施態様68の配合物。
【0338】
実施態様70
放出促進剤は、アクリル酸ポリマー、アクリル酸コポリマー、ポリジオキサノン-ポリエチレングリコールポリマー、及びポリビニルピロリドンから成る群から選択される、実施態様68又は実施態様69の配合物。
【0339】
実施態様71
放出促進剤はポリビニルピロリドンを含み、ポリビニルピロリドンは約2%~約8%の配合物を含む、実施態様68又は実施態様69の配合物。
【0340】
実施態様72
放出促進剤はアクリル酸ポリマー又はアクリル酸コポリマーを含み、アクリル酸ポリマー又はアクリル酸コポリマーは約5%~約30%の配合物を含む、実施態様68又は実施態様69の配合物。
【0341】
実施態様73
アクリル酸ポリマー又はアクリル酸コポリマーは、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、及びメタクリル酸トリメチルアンモニオエチルのコポリマーを、場合により約1:2:0.1、約1:2:0.2、又は約1:2:0.1~約1:2:0.2のモル比で含むことができ;又はアクリル酸ポリマー又はアクリル酸コポリマーは、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ブチル、及びメタクリル酸メチルのコポリマーを、場合により約2:1:1~約1:1:1のモル比で含むことができる、実施態様70又は実施態様72の配合物。
【0342】
実施態様74
iv)分散剤をさらに含む、実施態様63~73のいずれか1つの配合物。
【0343】
実施態様75
分散剤は約0.1%~約4%の担配合物を含む、実施態様74の配合物。
【0344】
実施態様76
分散剤は、多孔性無機材料、極性無機材料、非毒性金属酸化物、両親媒性有機分子、多糖、セルロース、セルロース誘導体、脂肪酸、界面活性剤、シリカ、親水性ヒュームドシリカ、疎水性コロイド状シリカ、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ステアリン酸塩、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、微結晶セルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒプロメロース、リン脂質、ステアリン酸ポリオキシエチレン、酢酸亜鉛、アルギン酸、レシチン、ラウリル硫酸ナトリウム、及び酸化アルミニウムから成る群から選択される、実施態様74又は実施態様75の配合物。
【0345】
実施態様77
分散剤はシリカを含む、実施態様74又は実施態様75の配合物。
【0346】
実施態様78
シリカは親水性ヒュームドシリカを含む、実施態様77の配合物。
【0347】
実施態様79
配合物は、v)可溶化剤をさらに含む、実施態様63~78のいずれか1つの配合物。
【0348】
実施態様80
可溶化剤は、約0.2%~約10%の配合物を含む、実施態様79の配合物。
【0349】
実施態様81
可溶化剤は、ポリアルキレンオキシド、ポリエトキシ化ヒマシ油、及び界面活性剤から成る群から選択される、実施態様79又は実施態様80の配合物。
【0350】
実施態様82
可溶化剤は、ポリアルキレングリコールを含む、実施態様79~81のいずれか1つの配合物。
【0351】
実施態様83
可溶化剤は、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)、及びPEGとPPGのブロックコポリマーから成る群から選択される、実施態様79~82のいずれか1つの配合物。
【0352】
実施態様84
可溶化剤は、場合により式H-(OCH2CH2)X-(O-CH(CH3)CH2)Y-(OCH2CH2)Z-OH(ここで、x及びzは約101であり、yは約56である)の、PEGとPPGのブロックコポリマーである、実施態様79~83のいずれか1つの配合物。
【0353】
実施態様85
配合物は、vi)安定剤をさらに含む、実施態様63~84のいずれか1つの配合物。
【0354】
実施態様86
安定剤は、約0.1%~約2%の配合物を含む、実施態様85の配合物。
【0355】
実施態様87
安定剤は、抗酸化剤、トコフェロール、アルファトコフェロール、アスコルビン酸、アスコルビン酸塩、カロチン、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、フマル酸、抗菌剤、緩衝物質、炭酸カルシウム、乳酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸ナトリウム、及び重炭酸ナトリウムから成る群から選択される1種以上の化合物を含む、実施態様85又は実施態様86の配合物。
【0356】
実施態様88
安定剤はアルファトコフェロールを含む、実施態様85又は実施態様86の配合物。
【0357】
実施態様89
治療薬又はその医薬的に許容し得る塩は、約15%~約35%の配合物を含む、実施態様63~88のいずれか1つの配合物。
【0358】
実施態様90
可溶化剤が存在する場合、可溶化剤は、約5%以下の担体ポリマー-薬剤成分を含み;1つ以上の可溶化剤、放出促進剤、分散剤、又は安定剤が存在する場合、存在する任意の可溶化剤、放出促進剤、分散剤、及び安定剤の総組合せ量は、約30%以下の担体ポリマー-薬剤成分を含む、実施態様63~89のいずれか1つの配合物。
【0359】
実施態様91
治療薬はドキシサイクリン又はその医薬的に許容し得る塩である、実施態様63~90のいずれか1つの配合物。
【0360】
実施態様92
治療薬は、ドネペジル又はその医薬的に許容し得る塩である、実施態様63~90のいずれか1つの配合物。
【0361】
実施態様93
治療薬は、イベルメクチン又はその医薬的に許容し得る塩である、実施態様63~90のいずれか1つの配合物。
【0362】
実施態様94
治療薬は、リスペリドン又はその医薬的に許容し得る塩である、実施態様63~90のいずれか1つの配合物。
【0363】
実施態様95
治療薬は、ロスバスタチン又はその医薬的に許容し得る塩である、実施態様63~90のいずれか1つの配合物。
【0364】
実施態様96
治療薬は、セチリジン又はその医薬的に許容し得る塩である、実施態様63~90のいずれか1つの配合物。
【0365】
実施態様97
治療薬は、以下の基準のいずれか1つ、いずれか2つ、又はいずれか3つを満足する、実施態様63~96のいずれか1つの配合物:
【0366】
配合物は、水性環境中で6時間以内に約20%未満の治療薬又はその医薬的に許容し得る塩を放出する;配合物は、水性環境中で約3日間以内に約30%~約70%の治療薬又はその医薬的に許容し得る塩を放出する;及び、配合物は、水性環境中で約7日間以内に約70%を超える治療薬又はその医薬的に許容し得る塩を放出する。
【0367】
実施態様98
水性環境は、0.1N塩酸、模擬胃液、絶食状態模擬胃液、摂食状態模擬胃液、動物の胃、ブタの胃、イヌの胃、及びヒトの胃から成る群から選択される、実施態様97の胃内滞留システム。
【0368】
実施態様99
水性環境0.1N塩酸はである、実施態様97の胃内滞留システム。
【0369】
実施態様100
水性環境は絶食状態模擬胃液である、実施態様97の胃内滞留システム。
【0370】
実施態様101
水性環境は摂食状態模擬胃液である、実施態様97の胃内滞留システム。
【0371】
実施態様102
実施態様63~96のいずれか1つの配合物を含む複数の担体ポリマー-薬剤成分を含む、治療薬又はその医薬的に許容し得る塩を患者に投与するための、胃内滞留システムであって、
【0372】
担体ポリマー-薬剤成分は1種以上の結合ポリマー成分によって一緒に連結され、1種以上の結合ポリマー成分の少なくとも1種はエラストマーであり;
【0373】
胃内滞留システムは、容器内では経口投与又は栄養管を介して投与するのに適した圧縮形態を有し、容器から放出されたときは非圧縮形態を有するように構成され;
【0374】
胃内滞留システムは、少なくとも約24時間~約1ヶ月の滞留期間、胃内に保持され;
【0375】
システムは、システムが胃内に保持される滞留期間以下である有効放出期間にわたって、治療有効量の治療薬を放出し;及び、システムは、6時間以内に約20%未満の治療薬又はその医薬的に許容し得る塩を放出する、上記システム。
【0376】
実施態様103
システムは、約30%~約70%の治療薬又はその医薬的に許容し得る塩を、有効放出期間の約40%~60%の期間内に放出する、実施態様102の胃内滞留システム。
【0377】
実施態様104
システムは、約70%を超える治療薬又はその医薬的に許容し得る塩を、有効放出期間の約90%の期間内に放出する、実施態様102又は実施態様103の胃内滞留システム。
【0378】
実施態様105
治療薬又はその医薬的に許容し得る塩の放出は、0.1N塩酸、模擬胃液、絶食状態模擬胃液、摂食状態模擬胃液、動物の胃、ブタの胃、イヌの胃、及びヒトの胃から成る群から選択される水性環境で測定される、実施態様102~104のいずれか1つの胃内滞留システム、
【0379】
実施態様106
治療薬又はその医薬的に許容し得る塩の放出は、0.1N塩酸中で測定される、実施態様102~104のいずれか1つの胃内滞留システム。
【0380】
実施態様107
治療薬又はその医薬的に許容し得る塩の放出は、絶食状態模擬胃液中で測定される、実施態様102~104のいずれか1つの胃内滞留システム。
【0381】
実施態様108
治療薬又はその医薬的に許容し得る塩の放出は、摂食状態模擬胃液中で測定される、実施態様102~104のいずれか1つの胃内滞留システム。
【0382】
実施態様109
治療薬又はその医薬的に許容し得る塩の放出は、40%エタノール/60%0.1N塩酸中では、0.1N塩酸中の同じ期間での放出に対して、約40%以下増加し、又は40%エタノール/60%模擬胃液中では、模擬胃液中の同じ期間での放出に対して約40%以下増加し、又は40%エタノール/60%絶食状態模擬胃液中では、絶食状態模擬胃液中の同じ期間での放出に対して約40%以下増加し、又は40%エタノール/60%摂食状態模擬胃液中では、摂食状態模擬胃液中の同じ期間での放出に対して約40%以下増加する、実施態様102~108のいずれか1つの胃内滞留システム。
【0383】
実施態様110
40%エタノール/60%0.1N塩酸中で約2時間後に、約20%未満の治療薬がシステムから放出される 実施態様102~108のいずれか1つの胃内滞留システム。
【0384】
実施態様111
実施態様63~96のいずれか1つの配合物を含む材料から形成される細長部材。
【0385】
実施態様112
実施態様111の少なくとも1つの細長部材を含む胃内滞留システム。
【0386】
実施態様113
実施態様111の少なくとも1つの細長部材を含む、実施態様1~19、34~62、又は98~101のいずれか1つの胃内滞留システム。
【0387】
実施態様114
担体ポリマーとセチリジン又はその塩とを含む複数の担体ポリマー-薬剤成分を含む、患者の胃への投与のための胃内滞留システムであって、複数の担体ポリマー-薬剤成分は結合ポリマーにより一緒に連結され;胃内滞留システムは、容器内では経口投与又は栄養管を介して投与するのに適した圧縮形態を有し;患者の胃の中で容器から放出されたときは非圧縮形態を有するように構成され;胃内滞留システムは、少なくとも約24時間胃内に保持され;及び。システムは、システムが胃内に保持される期間にわたって、治療有効量のセチリジンを放出する、上記システム。
【0388】
実施態様115
セチリジンはセチリジン塩酸塩の形態である、実施態様114の胃内滞留システム。
【0389】
実施態様116
セチリジンは非塩形態である、実施態様114の胃内滞留システム。
【0390】
実施態様117
担体ポリマーはポリカプロラクトンである、実施態様114~116のいずれか1つの胃内滞留システム。
【0391】
実施態様118
結合ポリマーは腸溶性ポリマーである、実施態様114~117のいずれか1つの胃内滞留システム。
【0392】
実施態様119
結合ポリマーは、pH約5以上で溶解する腸溶性ポリマーである、実施態様118の胃内滞留システム。
【0393】
実施態様120
腸溶性ポリマーはpH約5~約7で溶解する、実施態様118の胃内滞留システム。
【0394】
実施態様121
結合ポリマーはポリ(メタクリル酸-コ-アクリル酸エチル)である、実施態様114~120のいずれか1つの胃内滞留システム。
【0395】
実施態様122
システムは少なくとも約5日間胃内に保持される、実施態様114~121のいずれか1つの胃内滞留システム。
【0396】
実施態様123
システム中に存在するセチリジンの約5%未満は、胃内に約5日間保持された後に酸化される、実施態様114~122のいずれか1つの胃内滞留システム。
【0397】
実施態様124
システムは、1日に約5~15mgのセチリジンを胃の中に放出する、実施態様114~123のいずれか1つの胃内滞留システム。
【0398】
実施態様125
システムから放出されるセチリジンの生物学的利用能は、同じ量のセチリジンを含む即時放出形態により提供される生物学的利用能の少なくとも約50%であり、生物学的利用能は、血漿濃度-時間曲線下の面積(AUCinf)により測定される、実施態様114~124のいずれか1つの胃内滞留システム。
【0399】
実施態様126
システムは約40mg~約120mgのセチリジンを含む、実施態様114~125のいずれか1つの胃内滞留システム。
【0400】
実施態様127
システムは、容器から放出された時に非圧縮形態を取る、実施態様114~126のいずれか1つの胃内滞留システム。
【0401】
実施態様128
容器はカプセルである、実施態様114~127のいずれか1つの胃内滞留システム。
【0402】
実施態様129
胃内滞留システムは放射線不透過性物質をさらに含む、実施態様114~128のいずれか1つの胃内滞留システム。
【0403】
実施態様130
担体ポリマー-薬剤成分は抗酸化剤をさらに含む、実施態様114~129のいずれか1つの胃内滞留システム。
【0404】
実施態様131
実施態様114~130のいずれか1つの胃内滞留システムを患者に投与することを含む、アレルギー反応を有する患者を治療する方法。
【0405】
実施態様132
アレルギー反応はアレルギー性鼻炎である。実施態様131の方法。
【0406】
実施態様133
アレルギー反応は皮膚炎である。実施態様131の方法。
【0407】
実施態様134
アレルギー反応は急性蕁麻疹又は慢性蕁麻疹である。実施態様131の方法。
【0408】
実施態様135
胃内滞留システムは週に1回患者に投与される。実施態様131~134のいずれか1つの方法。
【0409】
実施態様136
胃内滞留システムはD日間の胃内滞留期間を有し、所望の総治療期間にわたってD日毎に新しい胃内滞留システムが患者に投与される、実施態様131~134のいずれか1つの方法。
【0410】
実施態様137
I)担体ポリマー、ii)分散剤、及びiii)セチリジン又はその塩、を含む複数の担体ポリマー-薬剤成分を含む、患者への投与のための胃内滞留システムであって、複数の担体ポリマー-薬剤成分は1種以上の結合ポリマー成分によって一緒に連結され、1種以上の結合ポリマー成分の少なくとも1種はエラストマーであり;胃内滞留システムは、容器内では経口投与又は栄養管を介して投与するのに適した圧縮形態を有し;容器から患者の胃の中に放出されたときは、非圧縮形態を有するように構成され;胃内滞留システムは、少なくとも約24時間、胃内に維持され;そして、システムは、システムが胃内に維持される期間の少なくとも一部にわたって、治療有効量の薬剤を放出する、上記システム。
【0411】
実施態様138
分散剤は、多孔性無機材料、極性無機材料、シリカ、親水性ヒュームドシリカ、ステアリン酸塩、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、微結晶セルロース、カルボキシメチルセルロース、疎水性コロイド状シリカ、ヒプロメロース、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、リン脂質、ステアリン酸ポリオキシエチレン、酢酸亜鉛、アルギン酸、レシチン、脂肪酸、ラウリル硫酸ナトリウム、非毒性金属酸化物、及び酸化アルミニウムから成る群から選択される、実施態様137の胃内滞留システム。
【0412】
実施態様139
分散剤はシリカを含む、実施態様137の胃内滞留システム。
【0413】
実施態様140
セチリジン又はその塩は、担体ポリマー中に分散された粒子からなる、実施態様137~139のいずれか1つの胃内滞留システム。
【0414】
実施態様141
セチリジン又はセチリジン塩粒子の少なくとも約80%は、直径約2ミクロン~約50ミクロンである、実施態様140の胃内滞留システム。
【0415】
実施態様142
システムに含まれるセチリジン又はその塩の約10%未満は、胃液への暴露の最初の約6時間以内に溶出する、実施態様137~141のいずれか1つの胃内滞留システム。
【0416】
実施態様143
胃液への暴露の最初のほぼ6時間以内に溶出したセチリジン又はその塩の量は、分散剤の無いシステムから溶出したセチリジンの量の約50%以下である、実施態様137~141のいずれか1つの胃内滞留システム。
【0417】
実施態様144
担体ポリマー-薬剤成分が、約1%~約30%のセチリジン又はその塩、約0.5%~約2.5%の分散剤、及び約67.5%~約98.5%の担体ポリマーを含む、実施態様142又は実施態様143の胃内滞留システム。
【0418】
実施態様145
担体ポリマーがポリカプロラクトンを含む、実施態様137~144のいずれか1つの胃内滞留システム。
【0419】
実施態様146
ポリカプロラクトンが、約45kDa~約55kDaの数平均分子量範囲を有する形形ポリカプロラクトンを含む、実施態様145の胃内滞留システム。
【0420】
実施態様147
複数の担体ポリマー-薬剤成分は2つ以上の結合ポリマー成分により一緒に連結され、この2つ以上の結合ポリマー成分の少なくとも1つがエラストマーであり、この2つ以上の結合ポリマー成分の別の少なくとも1つが腸溶性ポリマーである、実施態様137~146の胃内滞留システム。
【0421】
実施態様148
腸溶性ポリマーが、ポリ(メタクリル酸-コ-アクリル酸エチル)、酢酸フタル酸セルロース、酢酸コハク酸セルロース、及びフタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロースからなる群から選択される、実施態様147の胃内滞留システム。
【0422】
実施態様149
胃内滞留システムは約5日間~約7日間胃内に保持される、実施態様136~148のいずれか1つの胃内滞留システム。
【0423】
実施態様150
セチリジン又はその塩を含む、患者の胃への投与のための胃内滞留システムであって、複数の担体ポリマー-薬剤成分は結合ポリマーにより一緒に連結され;胃内滞留システムは、容器内では経口投与又は栄養管を介して投与するのに適した圧縮形態を有し;患者の胃の中で容器から放出されたときは非圧縮形態を有するように構成され;胃内滞留システムは、少なくとも約24時間胃の中に保持され;及び。システムは、システムが胃内に保持される期間にわたって、治療有効量のセチリジンを放出する、上記システム。
【0424】
実施態様151
セチリジンはセチリジン塩酸塩の形態である、実施態様150の胃内滞留システム。
【0425】
実施態様152
セチリジンは非塩形態である、実施態様150の胃内滞留システム。
【0426】
実施態様153
担体ポリマーはポリカプロラクトンである、実施態様150~152のいずれか1つの胃内滞留システム。
【0427】
実施態様154
結合ポリマーは腸溶性ポリマーである、実施態様150~153のいずれか1つの胃内滞留システム。
【0428】
実施態様155
結合ポリマーは、pH約5以上で溶解する腸溶性ポリマーである、実施態様154の胃内滞留システム。
【0429】
実施態様156
腸溶性ポリマーはpH約5~約7で溶解する、実施態様154の胃内滞留システム。
【0430】
実施態様157
結合ポリマーはポリ(メタクリル酸-コ-アクリル酸エチル)である、実施態様150~156のいずれか1つの胃内滞留システム。
【0431】
実施態様158
システムは少なくとも約5日間胃内に保持される、実施態様150~157のいずれか1つの胃内滞留システム。
【0432】
実施態様159
システム中に存在するセチリジンの約5%未満は、胃内に約5日間保持された後に酸化される、実施態様150~158のいずれか1つの胃内滞留システム。
【0433】
実施態様160
システムは、1日に約5~15mgのセチリジンを胃の中に放出する、実施態様150~159のいずれか1つの胃内滞留システム。
【0434】
実施態様161
システムから放出されるセチリジンの生物学的利用能は、同じ量のセチリジンを含む即時放出形態により提供される生物学的利用能の少なくとも約50%であり、生物学的利用能は、血漿濃度-時間曲線下の面積(AUCinf)により測定される、実施態様150~160のいずれか1つの胃内滞留システム。
【0435】
実施態様162
システムは約40mg~約120mgのセチリジンを含む、実施態様150~161のいずれか1つの胃内滞留システム。
【0436】
実施態様163
システムは、容器から放出された時に非圧縮形態を取る、実施態様150~162のいずれか1つの胃内滞留システム。
【0437】
実施態様164
容器はカプセルである、実施態様150~163のいずれか1つの胃内滞留システム。
【0438】
実施態様165
胃内滞留システムは放射線不透過性物質をさらに含む、実施態様150~164のいずれか1つの胃内滞留システム。
【0439】
実施態様166
担体ポリマー-薬剤成分は抗酸化剤をさらに含む、実施態様150~165のいずれか1つの胃内滞留システム。
【0440】
実施態様167
実施態様137~166のいずれか1つの胃内滞留システムを患者に投与することを含む、アレルギー反応を有する患者を治療する方法。
【0441】
実施態様168
アレルギー反応はアレルギー性鼻炎である。実施態様167の方法。
【0442】
実施態様169
アレルギー反応は皮膚炎である。実施態様167の方法。
【0443】
実施態様170
アレルギー反応は急性蕁麻疹又は慢性蕁麻疹である。実施態様167の方法。
【0444】
実施態様171
胃内滞留システムは週に1回患者に投与される。実施態様167~170のいずれか1つの方法。
【0445】
実施態様172
胃内滞留システムはD日間の胃内滞留期間を有し、所望の総治療期間にわたってD日毎に新しい胃内滞留システムが患者に投与される、実施態様167~170のいずれか1つの方法。
【0446】
実施態様173
実施態様137~166のいずれか1つの胃内滞留システムの製造方法であって、結合ポリマー成分を形成する工程と、近位端と遠位端とを含む細長部材である複数の少なくとも3つの担体ポリマー-薬剤成分を形成する工程と、細長部材を結合ポリマー成分に結合させる工程とを含む、上記方法。
【0447】
実施態様174
胃内滞留システムを圧縮する工程と、経口投与又は栄養管を介して投与するのに適した容器中にシステムを挿入する工程とをさらに含む、実施態様173の方法。
【0448】
実施態様175
担体ポリマー-薬剤成分は、セチリジン又はその塩を粉砕し、粉砕されたセチリジン又はその塩、分散剤、及び担体ポリマーを混合することにより形成される、実施態様173又は実施態様174の方法。
【0449】
実施態様176
混合はホットメルト押出により行われる、実施態様175の方法。
【0450】
実施態様177
細長部材である複数の少なくとも3つの担体ポリマー-薬剤成分の形成は、少なくとも2つのセグメントからの細長部材の形成を含む、実施態様173~176のいずれか1つの方法。
【0451】
実施態様178
少なくとも2つのセグメントからの細長部材の形成は、セグメント間のカラー接合部の形成を含む、実施態様177の方法。
【0452】
実施態様179
結合ポリマー成分は、複数の少なくとも3つの分枝を有する星形である、実施態様173~178のいずれか1つの方法。
【0453】
実施態様180
結合ポリマー成分への細長部材の結合は、結合ポリマー成分への細長部材の接着を含む、実施態様173~179のいずれか1つの方法。
【0454】
実施態様181
星形の結合ポリマー成分への細長部材の結合は、細長部材と結合ポリマー成分の分枝との間のカラー接合部の形成を含む、実施態様179の方法。
【0455】
実施態様182
担体ポリマーとロスバスタチン又はその塩とを含む複数の担体ポリマー-薬剤成分を含む、患者の胃への投与のための胃内滞留システムであって、複数の担体ポリマー-薬剤成分は結合ポリマーにより一緒に連結され;胃内滞留システムは、容器内では経口投与又は栄養管を介して投与するのに適した圧縮形態を有し;患者の胃の中で容器から放出されたときは非圧縮形態を有するように構成され;胃内滞留システムは、少なくとも約24時間胃内に保持され;及び。システムは、システムが胃内に保持される期間にわたって、治療有効量のロスバスタチンを放出する、上記システム。
【0456】
実施態様183
ロスバスタチンはロスバスタチンカルシウムの形態である、実施態様182の胃内滞留システム。
【0457】
実施態様184
担体ポリマーはポリカプロラクトンである、実施態様182又は実施態様183の胃内滞留システム。
【0458】
実施態様185
結合ポリマーは腸溶性ポリマーである、実施態様182~185のいずれか1つの胃内滞留システム。
【0459】
実施態様186
結合ポリマーはpH約5以上で溶解する腸溶性ポリマーである、実施態様185の胃内滞留システム。
【0460】
実施態様187
腸溶性ポリマーはpH約5~約7で溶解する、実施態様185の胃内滞留システム。
【0461】
実施態様188
結合ポリマーはポリ(メタクリル酸-コ-アクリル酸エチル)である、実施態様182~187のいずれか1つの胃内滞留システム。
【0462】
実施態様189
システムは少なくとも約5日間胃内に保持される、実施態様182~188のいずれか1つの胃内滞留システム。
【0463】
実施態様190
システム中に存在するロスバスタチンの約5%未満は、胃内に約5日間保持された後に分解される、実施態様182~189のいずれか1つの胃内滞留システム。
【0464】
実施態様191
システムは、1日あたり約5~40mgのロスバスタチンを胃の中に放出する。実施態様182~190のいずれか1つの胃内滞留システム。
【0465】
実施態様192
胃内滞留システムによるLDLコレステロールの低下は、ほぼ同じ期間に投与されるほぼ等量のロスバスタチンの即時放出製剤によるLDLコレステロールの低下の約90%~150%である、実施態様182~191のいずれか1つの胃内滞留システム。
【0466】
実施態様193
期間は約1週間である、実施態様192の胃内滞留システム。
【0467】
実施態様194
システムは約25mg~約300mgのロスバスタチンを含む、実施態様182~193のいずれか1つの胃内滞留システム。
【0468】
実施態様195
システムは容器から放出されると非圧縮形態を取る、実施態様182~194のいずれか1つの胃内滞留システム。
【0469】
実施態様196
容器はカプセルである、実施態様182~195のいずれか1つの胃内滞留システム。
【0470】
実施態様197
胃内滞留システムは放射線不透過性物質をさらに含む、実施態様182~196のいずれか1つの胃内滞留システム。
【0471】
実施態様198
担体ポリマー-薬剤成分は緩衝物質をさらに含む、実施態様182~197のいずれか1つの胃内滞留システム。
【0472】
実施態様199
実施態様182~198のいずれか1つの胃内滞留システムを患者に投与することを含む、高コレステロールレベル又は高トリグリセリドレベルを有する患者の治療方法。
【0473】
実施態様200
胃内滞留システムは週に1回患者に投与される、実施態様199の方法。
【0474】
実施態様201
胃内滞留システムはD日間の胃内滞留期間を有し、所望の総治療期間にわたってD日毎に新しい胃内滞留システムが患者に投与される、実施態様199の方法。
【0475】
↓↓↓
実施態様202
I)担体ポリマー、ii)分散剤、及びiii)ロスバスタチン又はその塩、を含む複数の担体ポリマー-薬剤成分を含む、患者への投与のための胃内滞留システムであって、複数の担体ポリマー-薬剤成分は1種以上の結合ポリマー成分によって一緒に連結され、1種以上の結合ポリマー成分の少なくとも1種はエラストマーであり;胃内滞留システムは、容器内では経口投与又は栄養管を介して投与するのに適した圧縮形態を有し;患者の胃の中で容器から放出されたときは、非圧縮形態を有するように構成され;胃内滞留システムは、少なくとも約24時間、胃内に維持され;そして、システムは、システムが胃内に保持される期間の少なくとも一部にわたって、治療有効量の薬剤を放出する、上記システム。
【0476】
実施態様203
分散剤は、多孔性無機材料、極性無機材料、シリカ、親水性ヒュームドシリカ、ステアリン酸塩、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、微結晶セルロース、カルボキシメチルセルロース、疎水性コロイド状シリカ、ヒプロメロース、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、リン脂質、ステアリン酸ポリオキシエチレン、酢酸亜鉛、アルギン酸、レシチン、脂肪酸、ラウリル硫酸ナトリウム、非毒性金属酸化物、及び酸化アルミニウムから成る群から選択される化合物を含む、実施態様202の胃内滞留システム。
【0477】
実施態様204
分散剤はシリカを含む、実施態様202の胃内滞留システム。
【0478】
実施態様205
ロスバスタチン又はその塩は、担体ポリマー中に分散された粒子からなる、実施態様202~204のいずれか1つの胃内滞留システム。
【0479】
実施態様206
ロスバスタチン又はロスバスタチン塩粒子の少なくとも約80%は、直径約2ミクロン~約50ミクロンである、実施態様205の胃内滞留システム。
【0480】
実施態様207
システムに含まれるロスバスタチン又はその塩の約10%未満は、胃液への暴露の最初のほぼ6時間以内に溶出する、実施態様202~206のいずれか1つの胃内滞留システム。
【0481】
実施態様208
胃液への暴露の最初のほぼ6時間以内にシステムから溶出したロスバスタチン又はその塩の量は、分散剤の無いシステムから溶出したロスバスタチンの量の約50%以下である、実施態様202~207のいずれか1つの胃内滞留システム。
【0482】
実施態様209
担体ポリマー-薬剤成分は、約1%~約30%のロスバスタチン又はその塩、約0.5%~約2.5%の分散剤、及び約67.5%~約98.5%の担体ポリマーを含む、実施態様207又は実施態様208の胃内滞留システム。
【0483】
実施態様210
担体ポリマーがポリカプロラクトンを含む、実施態様202~209のいずれか1つの胃内滞留システム。
【0484】
実施態様211
ポリカプロラクトンが、約45kDa~約55kDaの数平均分子量範囲を有する形形ポリカプロラクトンを含む、実施態様210の胃内滞留システム。
【0485】
実施態様212
複数の担体ポリマー-薬剤成分が2種以上の結合ポリマー成分により一緒に連結され、この2種以上の結合ポリマー成分の少なくとも1種がエラストマーであり、この2種以上の結合ポリマー成分の別の少なくとも1種が腸溶性ポリマーである、実施態様202~221の胃内滞留システム。
【0486】
実施態様213
腸溶性ポリマーが、ポリ(メタクリル酸-コ-アクリル酸エチル)、酢酸フタル酸セルロース、酢酸コハク酸セルロース、及びフタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロースからなる群から選択される、実施態様212の胃内滞留システム。
【0487】
実施態様214
胃内滞留システムは約5日間~約7日間胃内に維持される、実施態様202~213のいずれか1つの胃内滞留システム。
【0488】
実施態様215
担体ポリマーとロスバスタチン又はその塩を含む複数の担体ポリマー-薬剤成分を含む、患者の胃への投与のための胃内滞留システムであって、複数の担体ポリマー-薬剤成分は結合ポリマーにより一緒に連結され;胃内滞留システムは、容器内では経口投与又は栄養管を介して投与するのに適した圧縮形態を有し;患者の胃の中で容器から放出されたときは非圧縮形態を有するように構成され;胃内滞留システムは、少なくとも約24時間胃内に保持され;及び、システムは、システムが胃内に保持される期間にわたって、治療有効量のロスバスタチンを放出する、上記システム。
【0489】
実施態様216
ロスバスタチンはロスバスタチンカルシウムの形態である、実施態様215の胃内滞留システム。
【0490】
実施態様217
担体ポリマーはポリカプロラクトンを含む、実施態様215又は実施態様216の胃内滞留システム。
【0491】
実施態様218
結合ポリマーは腸溶性ポリマーである、実施態様215~217のいずれか1つの胃内滞留システム。
【0492】
実施態様219
結合ポリマーは、pH約5以上で溶解する腸溶性ポリマーである、実施態様218の胃内滞留システム。
【0493】
実施態様220
腸溶性ポリマーはpH約5~約7で溶解する、実施態様218の胃内滞留システム。
【0494】
実施態様221
結合ポリマーはポリ(メタクリル酸-コ-アクリル酸エチル)である、実施態様215~220のいずれか1つの胃内滞留システム。
【0495】
実施態様222
システムは少なくとも約5日間胃内に保持される、実施態様215~221のいずれか1つの胃内滞留システム。
【0496】
実施態様223
システム中に存在するロスバスタチンの約5%未満は、胃内に約5日間保持された後に分解される、実施態様215~222のいずれか1つの胃内滞留システム。
【0497】
実施態様224
システムは、1日に約5~40mgのロスバスタチンを胃の中に放出する、実施態様215~223のいずれか1つの胃内滞留システム。
【0498】
実施態様225
胃内滞留システムによるLDLコレステロールの低下は、ほぼ同じ期間に投与されたほぼ等量のロスバスタチンの即時放出製剤によるLDLコレステロールの低下の約90%~150%である、実施態様215~224のいずれか1つの胃内滞留システム。
【0499】
実施態様226
期間は約1週間である、実施態様225の胃内滞留システム。
【0500】
実施態様227
システムは約25mg~約300mgのロスバスタチンを含む、実施態様215~226のいずれか1つの胃内滞留システム。
【0501】
実施態様228
システムは、容器から放出されると非圧縮形態を取る、実施態様215~227のいずれか1つの胃内滞留システム。
【0502】
実施態様229
容器はカプセルである、実施態様215~228のいずれか1つの胃内滞留システム。
【0503】
実施態様230
胃内滞留システムは放射線不透過性物質をさらに含む、実施態様215~229のいずれか1つの胃内滞留システム。
【0504】
実施態様231
担体ポリマー-薬剤成分は緩衝物質をさらに含む、実施態様215~230のいずれか1つの胃内滞留システム。
【0505】
実施態様232
実施態様1~30のいずれか1つの胃内滞留システムを患者に投与することを含む、高コレステロールレベル又は高トリグリセリドレベルを有する患者の治療方法。
【0506】
実施態様233
胃内滞留システムは週に1回患者に投与される、実施態様232の方法。
【0507】
実施態様234
胃内滞留システムはD日間の胃内滞留期間を有し、所望の総治療期間にわたってD日毎に新しい胃内滞留システムが患者に投与される、実施態様232の方法。
【0508】
実施態様235
実施態様182~231のいずれか1つの胃内滞留システムの製造方法であって、結合ポリマー成分を形成する工程と、近位端と遠位端とを含む細長部材である複数の少なくとも3つの担体ポリマー-薬剤成分を形成する工程と、細長部材を結合ポリマー成分に結合させる工程とを含む、上記方法。
【0509】
実施態様236
胃内滞留システムを圧縮する工程と、経口投与又は栄養管を介して投与するのに適した容器中にシステムを挿入する工程とをさらに含む、実施態様235の方法。
【0510】
実施態様237
担体ポリマー-薬剤成分は、ロスバスタチン又はその塩を粉砕し、粉砕されたロスバスタチン又はその塩、分散剤、及び担体ポリマーを混合することにより形成される、実施態様235又は実施態様236の方法。
【0511】
実施態様238
混合はホットメルト押出により行われる、実施態様237の方法。
【0512】
実施態様239
細長部材である複数の少なくとも3つの担体ポリマー-薬剤成分の形成は、少なくとも2つのセグメントからの細長部材の形成を含む、実施態様235~238のいずれか1つの方法。
【0513】
実施態様240
少なくとも2つのセグメントからの細長部材の形成は、セグメント間のカラー接合部の形成を含む、実施態様239の方法。
【0514】
実施態様241
結合ポリマー成分は、複数の少なくとも3つの分枝を有する星形である、実施態様235~240のいずれか1つの方法。
【0515】
実施態様242
結合ポリマー成分への細長部材の結合は、結合ポリマー成分への細長部材の接着を含む、実施態様235~241のいずれか1つの方法。
【0516】
実施態様243
星形の結合ポリマー成分への細長部材の結合は、細長部材と結合ポリマー成分の分枝との間のカラー接合部の形成を含む、実施態様241の方法。
【実施例】
【0517】
本発明は、以下の非限定的な実施態様によってさらに説明される。
【0518】
実施例1
配合物
セチリジン塩酸塩粉末を秤量し、ガラスバイアル中の親水性賦形剤ポリマーの乾燥粉末と混合した。ポリカプロラクトン(PCL)ビーズを添加し、バイアルを90℃のオーブン中で10~20分間、又はPCLが完全に融解するまで加熱した。次にバイアルを90℃の乾式加熱ブロックに移し、ここで、スパテラを使用して成分を完全に混合した。次に混合物を所望の型に移し、これを90℃オーブンに20~30分戻し、重力成形した。次に型をオーブンから取り出し、室温に冷却した。
【0519】
実施例2
液体クロマトグラフィー/質量分析
インビトロ放出実験に使用した培地中の薬剤濃度を、Agilent Eclipse XDB C18カラムを備えたAgilent 1100 シリーズHPLCを使用して、又はXevo QToF LC/MSを備えたWaters Acquity UPLCを使用して測定した。Agilentシステムで水中5%~95%アセトニトリルの勾配で10分間か、又は水中40$アセトニトリルの均一溶媒法を使用して10分間、又はWaters Acuity C18カラムを備えたWatersシステムで5%~95%(0.1%蟻酸を含むアセトニトリル):(0.1%蟻酸を含む水)の勾配を用いて3分間、試料を流した。セチリジン濃度の測定のための標準曲線は、UV吸光度トレースの組み込みによって作成した。このカラム溶出物を、さらなる分析のために質量分析計に供給することができる。
【0520】
実施例3
模擬胃液中のインビトロ放出
実施例1に記載のように、25%セチリジン、5~20%の他の賦形剤、及び残りのPCLの配合物を調製した。配合物を棒状片に重力成形した。
【0521】
供給者の指示(Biorelevant.com, London, United Kingdom)に従って、絶食状態模擬胃液(FaSSGF、SGFとも呼ばれる)を調製した。約0.9Lの精製水に2.0gのNaClを溶解して、NaCl/HCl溶液を調製した。HClを用いてpHを1.6に調整した。室温で精製水を用いて容量を1.0Lにした。0.060gのFaSSIF、FeSSIF&FaSSGF粉末を約0.5LのHCl/NaCl溶液に加え、室温でHCl/NaCl溶液を用いて容量を1.0Lにして、FaSSGF(SGFとも呼ばれる)を作成した。
【0522】
ポリマー薬剤片を、小さな撹拌棒を用いてガラスバイアル中の20mLのFaSSGFに浸した。バイアルは、乾式加熱ブロック中で37℃に加熱し、約200rpmの速度で撹拌した。各時点で、実施例2と同様にしてLCMS又はHPLC分析のために、放出培地をサンプリングし、放出培地の全容量を新鮮なFaSSGFで交換した。
【0523】
セチリジンバースト放出。SGF中でのインキュベーションの最初の6時間で配合物から放出された薬剤量の%を、ポリマー賦形剤として種々の量のプルロニックP407を含むポリカプロラクトン(PCL)中のセチリジンの配合物について
図5に示す。パネルAはSGF中で3時間後の放出を示し、
図5のパネルBはSGF中で6時間後の放出を示す。セチリジンは非常に親水性の高い薬剤であり、SGF中のPCL配合物から速やかに放出された。配合物中の親水性賦形剤ポリマー(この場合プルロニックP407)の量を減少させると、配合物からのセチリジンの放出速度が低下した。
【0524】
実施例4
インビトロでの異なる溶媒に対する放出変動の試験
配合物を上記のように調製し、200mgのディスクに成形する。ディスクを10mLのFaSSGFに浸し、乾式加熱ブロックで37℃に加熱し、約200rpmの速度で24時間撹拌する。24時間後、FaSSGFを除去し、10mlの温水(50℃)、40%エタノール、又は新鮮なFaSSgF(対照)をバイアルに加える。さらに1時間後、放出培地をサンプリングして、LCMS又はHPLCにより分析して、セチリジン濃度を測定し、対照配合物(これは10mLのFaSSGF中で37℃で1時間インキュベートされる)と比較して、1時間の枠内の総薬剤放出を計算する。
【0525】
実施例5
インビトロの異なる溶液と熱条件下での治療薬の安定性試験
セチリジンを、溶液中及びPCL配合物中の両方において、様々な強制分解条件に供した。50mgの配合物片(25%セチリジン、5%プルロニックP407、70%PCL)を、37℃で30%H
2O
2に浸漬した。指定された時点で、配合物を過酸化物溶液から取り出し、残りの薬剤を抽出し、HPLCにより分析した。
図4は分析結果を示す。第1のトレース(A)は、ペルオキシドに暴露する前の配合物から抽出された未変性セチリジンを示す。第2のトレース(B)は、30%H
2O
2中で37℃で20時間溶解することによって分解された、ポリマー配合物のないセチリジンを示す。残りのトレースは、37℃で30%H
2O
2中で特定の時間(トレースC、4時間;トレースD、8時間;トレースE、20時間)後の、配合物から抽出されたセチリジンを示す。トレースCからEへのピークサイズの減少は、担体ポリマーマトリックスからの薬剤の溶出によるものである。トレースC、D、及びEは、PCL配合物中に残存するセチリジン(すなわち、時間内に溶出されなかった薬剤)を酸化分解に対して保護されたことを示す。
【0526】
実施例6
顕微鏡
EVOS蛍光顕微鏡を用いて試料を画像化する。塩酸セチリジン粉末、純粋なPCL、及び薬剤-ポリマー配合物を、明視野設定及び赤色蛍光タンパク質設定の両方を用いて画像化する。
【0527】
実施例7
脱結合時間のインビトロ推定
結合ポリマーの弱化及び溶解によって引き起こされるシステムの脱結合時間は、システムを模擬胃液(SGF)及び擬似腸液中に入れることによって推定することができる。模擬胃液(SGF)及び模擬腸液(SIF)は、URL biorelevant.com/fassif-fessif-fassgf-dissolution-media/fasted-fed-state-simulated-intestinal-gastric-fluid/how-to-makeで、SGF(実施例3参照)とSIFの製造業者の説明書に従って、Biorelevant.com FaSSIF, FeSSIF & FaSSGF粉末を使用して調製した。SIFの調製のための説明は以下の通りである:精製水約0.900L中にNaOHペレット0.420g、無水NaH2PO4 3.438g、及びNaCl 6.186gを溶解して、緩衝液を調製する。1N NaOH又は1N塩酸のいずれかを用いてpHを6.5に調整し、室温で精製水を用いて容量を1,000Lにする。2.240gのFaSSIF, FeSSIF & FaSSGF粉末を約0.5Lの緩衝液に加え、粉末が完全に溶解するまで混合物を攪拌する。室温で緩衝液を用いて容量を1,000リットルにする。SIFは2時間放置後、使用される。
【0528】
システムをSGFに入れる。別の同じシステムをSIFに入れる。静かに周期的に攪拌して、胃又は腸の環境をシミュレートする。第1の結合ポリマー接合が分離する時間を初期又は第1脱結合時間と呼び、以後の結合ポリマー接合部が分離する時間を、第2分離時間、第3脱結合時間などと呼ぶ。全てのポリマー接合部が分離するのに要する時間は、最終脱結合時間である。理想的には、SGF中の脱結合時間は約7日間~約12日であるが、SIF中の脱結合時間は約1時間~約48時間である。
【0529】
実施例8A
胃内滞留システムのインビボ評価:ブタ
胃内滞留システムのインビボ試験を、ブタモデルで行うことができる。実験動物は、適用される法律及び施設のガイドラインに従って使用される。ヨークシャーブタは、ヒトと同様の胃及び腸の解剖学的構造を有し、胃腸管で使用されるシステムの評価に使用されている。体重45~55kgのヨークシャーブタを鎮静させ、内視鏡下で食道経由でカプセルを胃に導入する。システム導入の数日前からシステム通過の数日後までの期間、ブタはモニターされる。ブタの食事と排泄パターンを記録する。X線及び/又は内視鏡画像を定期的に撮って、胃内滞留システムの位置及び状態を測定する。血液試料を定期的に採取して、胃内滞留システムにより送達される血漿レベルを測定する。
【0530】
実施例8B
胃内滞留システムのインビボ評価:ヒト
胃内滞留システムのインビボ試験を、ヒト被験体において実施する。試験は、適用される法律及び施設のガイドラインに従って行われる。被験者はカプセルを飲み、システム導入の数日前からシステム通過の数日後までの期間モニターされる。被験者の消化機能と排泄パターンが記録される。X線及び/又は内視鏡画像を定期的に撮って、胃内滞留システムの位置及び状態を測定する。血液試料を定期的に採取して、胃内滞留システムにより送達される血漿レベルを測定する。
【0531】
実施例9
治療薬溶出速度に対する賦形剤の効果;セチリジンのバースト放出に対する分散剤の効果
担体ポリマー-薬剤配合物からのセチリジンの溶出速度に対する異なる賦形剤の効果を試験した。担体ポリマー-薬剤配合物は、
図2又は
図2Aに示されるようなシステムでの使用に適した三角プリズム(「星型アーム」)の形状であった。
図3に記載されるように調製された模擬胃液に、星型アームを入れた。放出された薬剤の量をSGF中で3時間浸漬と、SGF中で6時間浸漬でアッセイした。
【0532】
図6は、セチリジンのバースト放出を試験した結果を示す。左から右に対の棒は以下を示す:セチリジン(25%)+ポリカプロラクトン(75%)(セチリジン+PCLと表示された棒);セチリジン(25%)+ポリカプロラクトン(75%)でポリマー融解物の急速冷却有り(セチリジン+PCL、急速冷却と表示された棒);セチリジン(25%)+プルロニックP407(2%)+ポリカプロラクトン(73%)(2%P407と表示された棒);セチリジン(25%)+プルロニックP407(2%)+ポリカプロラクトン(73%)でポリマー融解物の急速冷却有り(2%P407、急速冷却と表示された棒);セチリジン(25%)+SiO
2(2%)+ポリカプロラクトン(73%)(2%SiO
2と表示された棒);セチリジン(25%)+SiO
2(5%)+ポリカプロラクトン(70%)(5%SiO
2と表示された棒);セチリジン(25%)+ヒドロキシプロピルメチルセルロース(2%)+ポリカプロラクトン(73%)(2%HPMCと表示された棒);セチリジン(25%)+ヒドロキシプロピルメチルセルロース(5%)+ポリカプロラクトン(70%)(5%HPMCと表示された棒)。黒い棒(塗りつぶし)は3時間後の放出を示し、白い棒(塗りつぶしていない)は6時間後の放出を示す。
【0533】
図6の「セチリジン+PCL」と表示された最も左の棒に示されるように、セチリジンがポリカプロラクトン(PCL)中に、薬剤25%対PCL75%の比率で配合されたとき、薬剤の約12%が3時間以内に放出され、一方薬剤の約18%が6時間以内に放出された。
図6の「セチリジン+PCL、急速冷却」と表示された棒に示されるように、ポリマー-薬剤融解物の急速な冷却は、バースト放出の顕著な低下をもたらす。バースト放出の最大の低下は、賦形剤として二酸化ケイ素を使用することにより示される。従って、担体ポリマー-薬剤成分中に異なる量のSiO
2を使用する場合の効果を試験した。
【0534】
図7は、追加の賦形剤を含まないか、又は種々の量のSiO
2賦形剤を含むポリカプロラクトン担体ポリマー-薬剤配合物からの、セチリジンのバースト放出を示す。配合物は、25%のセチリジンと記載量のSiO
2を含み、残りの量はポリカプロラクトンによって構成された。
図7の左から右へ。用いたSiO
2の割合は、0%、0.5%、1%、2%、3%、及び5%であった。1%~2%のSiO
2の量は、模擬胃液中で6時間後に最も少ないバースト放出(約5%~7%)を示した。
【0535】
実施例10
システムで使用されるエラストマーの調製
【0536】
A.エラストマーのインターフェース接続用の80K PCL星型アームの調製:
ポリカプロラクトン(PCL)ビーズ(Mn約80k, Sigma カタログ番号440744)を00elサイズの星状ポリジメチルシロキサン(PDMS)型に充填した。ビーズをオーブン中で90~100℃で20~30分間、又は完全に融解するまで融解させた。追加のポリマービーズを添加し、必要に応じて融解させて型を完全に充填した。一旦充填され完全に融解された後、型をオーブンから取り出し、テフロンシートで覆った。テフロンシートの上部に重りを載せ、成形した形の平らな上部表面を確認した。星形を室温で少なくとも1時間冷却させた。
【0537】
冷却後、型からPCLスターを取り出し、過剰のPCLをメス又はカミソリの刃を用いてトリミングして除去した。次に星型アームを、星形の中央部分から切り取った。星型アームが出会う点から1~5mmの位置で、アームに沿って切断した。6個の星型アームをPDMS型に入れ、中央部分を廃棄し、弾性架橋PCL要素を形成するために、金型の中心に空間を残した。
【0538】
B.弾性架橋PCLの調製:
ポリカプロラクトン(PCL)ジオール(3.2g、Mn約900:Sigmaカタログ番号189405)、PCLトリオール(1.2g、Mn約530;Sigmaカタログ番号200409)、及び線状PCL(Mn約14K、Sigmaカタログ番号440752;又はMn約45K、Sigmaカタログ番号704105;又はMn約55K、Scientific Polymer Productsカタログ番号1029;1.2g)を、磁気攪拌棒を備えた20mLのガラスバイアルに入れ、70℃に加熱した。混合物を、少なくとも2時間100~150rpmの速度で穏やかに攪拌した。次に架橋剤(1.573mLのヘキサメチレンジイソシアネート、Sigmaカタログ番号52649)を添加し、混合物を70℃でさらに20~40分撹拌した。次にプレポリマー混合物を真空下で2~5分間脱気した。次にプレポリマーを、所望の型(上述したように、星型アームをあらかじめ80k PCLで充填した00elサイズの星型)に移した。次にプレポリマーを80k PCLアームの存在下で硬化させて、エラストマーのPCLアームへの強力なインターフェース接続を確保した。ポリマーを70℃で48時間硬化させた後、オーブンから取り出し、室温で少なくとも2日間放置した。次に80k PCLアームを、PCLと架橋エラストマーとのインターフェース部から0.5~3mmの位置で切断した。これにより、その端部に薄い層のPCLで覆われたアームを有する弾性の中央の星形が生じた。PCLの薄い層は、例えば本実施例のセクションAで調製したものなどの、後の薬剤添加アーム(担体ポリマー-薬剤成分)への融解インターフェース接続を可能にする。
【0539】
例えばトルエンジイソシアネート(Sigmaカタログ番号T3985)又はシクロヘキシレンジイソシアネート(Sigmaカタログ番号269360)などの他の架橋剤について、混合温度、硬化温度、及び硬化時間を変化させた。
【0540】
実施例11
システムで使用される腸溶性エラストマーの調製
システムで使用するのに適した腸溶性エラストマーを、Zhang et al.,“A pH-responsive supramolecular polymer gel as an enteric elastomer for use in gastric devices,” Nature Materials 14(10):1065-71 (epub July 27, 2015)に記載されているように、ポリ(アクリロイル6-アミノカプロン酸)(PA6ACA)と(メタクリル酸-コ-アクリル酸エチル)(オイドラギット L100-55)から調製する。簡単に述べると、腸溶性エラストマーを、PA6ACAの溶液とL100-55ナトリウム塩をポリマー重量比1:0、1:1、及び1:2で、6M HCl溶液を添加して共沈することにより調製する。次にポリマーを超遠心分離によって圧縮し、システム用の所望の形状に切断する。
【0541】
実施例12
PCL配合物からのリスペリドンのバースト放出
薬剤ポリマー混合物の調製と成形。
1.5gの薬剤-ポリマー混合物を以下のように調製した:各配合物について、375mgの未処理のリスペリドン、またはボールミル粉砕し篩にかけたリスペリドンのいずれかを、20mLガラスバイアル中に秤量した。二酸化ケイ素(ヒュームドシリカ:CAB-O-SIL(登録商標)M-5P (CAS番号112945-52-5);0~7.5mg(総配合物の0~5%相当する)を薬剤粉末に加えた。薬剤粉末と二酸化ケイ素賦形剤を、スパテラで約1分間混合した。ポリカプロラクトン(PCL)ペレット(1.05g~1.125g、Mn約45K、Sigmaカタログ番号704105;又はMn約55k、Scientific Polymer Productsカタログ番号1029(CAS番号24980-41-4))を、薬剤-シリカ混合物に添加し、バイアルを90℃の対流オーブン中に20~30分間又はPCLが溶解するまで入れた。全ての薬剤粉末が融解ポリマー内に均一に分布するまで、各配合物を金属スパテラを用いて混合した。混合後、配合物を90℃で20~30分間オーブンに戻した。次に配合物をオーブンから取り出し、薬剤-ポリマー混合物を所望の形状(00elサイズの星型)のPDMS型に充填した。充填した型をオーブン中で90℃で30分間加熱した。次にこれらをオーブンから取り出し、テフロンシートで覆い、平らな上面を得た。覆った型を1時間室温まで冷却した。
【0542】
薬剤放出アッセイ
模擬胃液(FaSSGF)と擬似腸液(FaSSIF)を、製造業者の説明(biorelevant.com)に従って調製した。薬剤ポリマー配合物の成型星形を50mg片に切断した。各断片を、5mLの放出培地(FaSSGF又はFaSSIF)を有する15mLのファルコン(Falcon)遠心管に入れた。管のラックを37℃オービタルシェーカーに置き、180~250rpmで所望の放出時間の間振盪した。放出培地の試料をHPLCで分析して、薬剤濃度を測定した。
【0543】
図13は、25%リスペリドン、0~5%のSiO
2、及び残りのPCLを含有する未粉砕リスペリドンと粉砕リスペリドン配合物の両方について、模擬胃液中のリスペリドンのバースト放出試験の結果を示す。未粉砕リスペリドンの場合、SiO
2分散剤の添加は、バースト放出を最大約1%SiO
2まで低下させた;SiO
2の量を最大5%まで増加させてもさらなる効果を示さなかった。粉砕リスペリドンの場合、SiO
2分散剤の添加はバースト放出を最大約2%SiO
2まで低下させた;バースト放出は3%SiO
2で上昇し始めた。SiO
2は、セチリジンで見られたものと同様の方法で、リスペリドンのバースト放出を低下させた。しかしながら、はるかに重要なことは、
図13で見られる未粉砕リスペリドンと粉砕リスペリドンの間のバースト放出の劇的な低下である。
図14は、拡張された軸上の粉砕されたリスペリドンのデータを示す。2%SiO
2では、模擬胃液中の最初の6時間に、リスペリドンのバースト放出は3%未満に低下した。
【0544】
実施例13
イベルメクチン粉砕
イベルメクチンを1%シリカ有り及びシリカ無しでボールミル粉砕し、180ミクロンの篩に通した。薬剤-ポリマー混合物を、実施例12のように未粉砕イベルメクチン、粉砕イベルメクチン、又は1%シリカで粉砕したイベルメクチンのいずれかを用いて、調製した。
図9は、得られた薬剤粒子の大きさ及び均一性を示す;図(A)は未処理のイベルメクチンを示し、図(B)は1時間粉砕したイベルメクチンを示し、図(C)は1%のSiO
2を用いて1時間粉砕したイベルメクチンを示す。
【0545】
実施例14
光学顕微鏡によるイベルメクチン配合物の均一性の評価
実施例13の未処理イベルメクチンと粉砕イベルメクチンを使用して、イベルメクチンのポリカプロラクトン配合物を調製した。他の賦形剤とともに、配合中の薬剤に追加の二酸化ケイ素を加えた。最終配合物は、15%のイベルメクチン、0.5%の二酸化ケイ素、0.5%のアルファトコフェロール、0.5又は8.5%のポロキサマー407、及び残りのPCLからなっていた。(15%イベルメクチンは粉砕剤を含んだ;従って、イベルメクチンを1%シリカで粉砕し、15%粉砕イベルメクチンを配合物に加えたとき、粉砕イベルメクチンの1%はシリカであった。すなわち、0.5%二酸化ケイ素の添加により、配合物中のシリカの総量は0.65%となった(1%x15%は追加の0.15%のシリカを与えるため)。
【0546】
約20mgの薬剤-ポリマー配合物を顕微鏡のスライドガラス上に置き、70℃のオーブン中で10分間加熱した。スライドガラスをオーブンから取り出し、テフロンシートで覆った。テフロンシートの上に重りを置き、軟化した配合物を押し付けて、厚さ1mm未満のフィルムにした。これらの配合物シートを、Evos光学顕微鏡下で明視野又は位相差設定を用いて、観察した。
【0547】
図9は、PCLを有するイベルメクチン配合物の顕微鏡観察を示す。ビュー(AA)は、未処理イベルメクチンを有するPCL配合物を示し、ビュー(BB)は、1時間粉砕したイベルメクチンを有するPCL配合物を示し、ビュー(CC)は、1%のSiO
2で1時間粉砕イベルメクチンを有するPCL配合物を示す(CC)。
【0548】
実施例15
リスペリドン粉砕
リスペリドン原薬を、未処理状態と、1%SiO
2で粉砕後に分析した。
図10のビュー(A)は未処理リスペリドンを示す;
図10のビュー(B)は、1%のSiO
2で粉砕したリスペリドンを2X倍率でしめし、ビュー(C)は、1%のSiO
2で粉砕したリスペリドンを40X倍率でを示す。
【0549】
実施例16
光学顕微鏡によるリスペリドン配合物の均一性の評価
実施例15で粉砕したリスペリドンを含有する配合物を、実施例14のイベルメクチンの場合と同様の方法で調製した。
図10のビュー(AA)は、未処理のリスペリドンを有する配合物を示す;
図10のビュー(BB)は、1%のSiO
2で粉砕したリスペリドンを有する配合物を2X倍率で示す;ビュー(CC)は、1%のSiO
2で粉砕したリスペリドンを有する配合物を40X倍率で示す。
【0550】
実施例17
模擬胃液中のイベルメクチン放出
イベルメクチンを含有する薬剤添加PCLアームを調製した。イベルメクチン(IVM)の様々な形態及び配合物を使用した;未処理IVM(15%未粉砕の薬剤、0.5%SiO
2、0.5%アルファトコフェロール、0.5%プルロニックP407、残りのPCL)、粉砕IVM(粉砕添加剤/流動促進剤無しで粉砕した15%薬剤、0.5%SiO
2、0.5%アルファトコフェロール、0.5%プルロニックP407、残りのPCL)、SiO
2で粉砕したIVM(1%SiO
2で粉砕した15%薬剤、粉砕した薬剤のw/wとしてのSiO
2の割合;総配合物重量をに添加された追加の0.5%SiO
2w/w、0.5%アルファトコフェロール、0.5%プルロニックP407、残りのPCL)、IVM+P407(15%未粉砕薬剤、0.5%SiO
2、0.5%アルファトコフェロール、8.5%プルロニックP407、残りのPCL)、P407を配合した粉砕IVM(粉砕添加剤/流動促進剤無しで粉砕した15%薬剤、0.5%のSiO
2、0.5%アルファトコフェロール、8.5%プルロニックP407、残りのPCL)、及びSiO
2で粉砕しP407を配合したIVM(1%のSiO
2で粉砕した15%薬剤、粉砕薬剤のw/wとしてのSiO
2の割合;総配合物重量に添加された追加の0.5%SiO
2w/w、0.5%アルファトコフェロール、8.5%プルロニックP407、残りのPCL)。結果を
図11に示す。SiO
2を用いるイベルメクチンの粉砕は、SiO
2無しで粉砕したイベルメクチンを使用するP407配合物よりも、P407配合物からのイベルメクチンの放出を増強し、配合物からの疎水性イベルメクチンの非常に遅い放出という所望の結果が得られた。
【0551】
実施例18
アームの機械的強度に及ぼす粉砕と分散剤の影響
4点曲げ曲げ試験(ASTM D790)を使用して、アームの強度を評価する。簡単に述べると、アームはアームの各端部の近くで支持される。支持体よりもアームの中央に近く配置された2つのロッドは力を加え、試料を屈曲させる。力及び変位が記録され、最大曲げ力が記録される。
【0552】
イベルメクチン薬剤添加アームの配合物を実施例17と同様に調製し、この方法を使用して、模擬胃液(FaSSGF)中でインキュベーションの0日目、2日目、及び7日目に試験した。結果を
図12に示す。P407は、P407を含まない配合物と比較して、模擬胃液中でインキュベーション後のアームの機械的強度を低下させた。薬剤を粉砕すると、粉砕しない薬剤に対して、インキュベーションの0日目及び2日目にアームの機械的強度を上昇させた。
【0553】
実施例19
ロスバスタチン配合物
ロスバスタチンカルシウム粉末を秤量し、ガラスバイアル中で親水性賦形剤ポリマーの乾燥粉末と混合した。ポリカプロラクトン(PCL)ビーズを添加し、90℃のオーブン中で10~20分間又はPCLが完全に溶解するまで加熱した。次にバイアルを90℃の乾式加熱ブロックに移し、ここでスパテラを使用して成分を完全に混合した。次に混合物を所望の型に移し、これを重力成形のために90℃のオーブンに20~30分間戻した。型をオーブンから取り出し、室温に冷却した。
図19は、PCL中のロスバスタチン配合物がロスバスタチンのX線回折パターンを変化させないことを示す。これは、ポリマーを有する薬剤が薬剤の固体状態を変化させないことを示している。
【0554】
実施例20
ロスバスタチンの液体クロマトグラフィー/質量分析
薬剤濃度は、Xevo QToF LC/MSを備えたWaters Acquity UPLCを使用して測定した。試料を、Waters Acuity C18カラム上で、5%~95%の0.1%ギ酸を含むアセトニトリル:0.1%ギ酸を含む水の勾配で3分間流した。薬剤は1.75分に溶出し、241nmで最大UV吸光度を示した。ロスバスタチン濃度の決定のための標準曲線は、241nmでのUV吸光度トレースの組み込みによって作成した。標準曲線は、試験した試料の範囲について線形であることが見出された(0.02mg/mL~0.5mg/mLのロスバスタチン)。強制分解試験(安定性の方法を参照)は、このUPLC法が、未変性ロスバスタチンを、ロスバスタチンラクトンや他の分解物から区別できることを示した。
【0555】
実施例21
模擬胃液中のインビトロ放出
一般的方法:25%ロスバスタチン、5~10%の他の賦形剤、及び残りのPCLの配合物を記載のように調製した。配合物を重力成形して、それぞれ約200mgの約10mmのディスクにした。
【0556】
絶食状態模擬胃液(FaSSGF)を、製造業者の説明(biorelevant.com, London, United Kingdom)に従って調製した。最初に、2.0gのNaClを約0.9Lの精製水に溶解してNaCl/HCl溶液を調製した。HClを用いてpHを1.6に調整した。室温で精製水を用いて容量を1.0Lにした。0.060gのFaSSIF, FeSSIF & FaSSGF粉末を、約0.5LのHCl/NaCl溶液に添加し、室温でHCl/NaCl溶液を用いて容量を1.0LにしてFaSSGF(SGFとも呼ぶ)を作成した。
【0557】
粉末-薬剤ディスクを、小さな攪拌棒を用いてガラスバイアル中の20mLのFaSSGF中に浸した。バイアルを乾式加熱ブロック中で37℃に加熱し、約200rpmの速度で撹拌した。各時点で、LCMS分析のために放出培地をサンプリングし、放出培地の全量を新鮮なFaSSGFと交換した。
【0558】
【0559】
実施例22
インビトロでの異なる溶媒に対する放出変動の試験
【0560】
25%ロスバスタチン、10%プルロニックP407、及び65%PCLを含有する配合物を記載のように調製し、200mgのディスク中に成形した。ディスクを10mLのFaSSGFに浸し、乾式加熱ブロックで37℃に加熱し、約200rpmの速度で3時間攪拌した。3時間後、10mLの沸騰水又はエタノールをバイアルに加えた。さらに1時間後、放出培地をサンプリングし、LCMSで分析して、ロスバスタチン濃度を測定し、4時間の枠内で総薬剤放出を計算し、対照配合物(これは10mLのFaSSGF中で37℃で4時間インキュベートした)と比較した。結果を以下の表4に示す。
【0561】
【0562】
エタノール中でロスバスタチン放出のさらなる試験を行った。配合物をSGF中で24時間インキュベートした後、エタノール溶液又は新鮮なSGF(37℃)に1時間移した。1時間の薬剤放出量を、
図22、24及び25に示し、実施例25でさらに詳述する。
【0563】
実施例23
インビトロでの異なる溶液と熱条件下での薬剤の安定性試験
以下の表5に要約されるように、ロスバスタチンカルシウムを溶液(水又は有機溶媒)中及びポリカプロラクトン(PCL)配合物中の両方で、様々な強制分解条件に供した。
【0564】
溶液条件:酸分解試験のために、ロスバスタチンを0.1M HCl中で1mg/mLに溶解し、特定の時間及び温度で加熱した。アルカリ分解のために、ロスバスタチンを0.1MNaOH中で1mg/mLに溶解し、80℃で1時間加熱した。酸化的分解のために、ロスバスタチンを30%過酸化水素中で1mg/mLに溶解し、80℃で30分間加熱した。経時安定性のために、ロスバスタチンを水中で1mg/mLに溶解し、室温に5日間置いた。溶液中での熱分解試験のために、ロスバスタチンをジメチルスルホキシドで1mg/mLに溶解し、指定温度で2時間加熱した。それぞれの場合に、溶液の試料をメタノールで希釈し、LCMSにより分析して、未変性の薬剤対分解された薬剤の比を決定した。
【0565】
ポリマー条件:配合物の熱分解試験のために、ロスバスタチンをPCLと25:75の薬剤:PCLの比率で混合し、混合物を所定の温度に2時間加熱した。薬剤-ポリマー混合物をジクロロメタンに溶解し、この溶液を過剰のメタノールに加えてPCLを沈殿させた。メタノール溶液の試料をLCMSで分析して、未変性の薬剤対分解された薬剤の比を決定した。
【0566】
インビトロ分解実験の結果を、
図20、
図21、及び表5に示す。
図20は、PCL中のロスバスタチン配合物が、薬剤を酸分解から保護することを示す。
図21は、PCL中のロスバスタチン配合物が、薬剤を高温での分解から防御することを示す。
【0567】
【0568】
実施例24
顕微鏡
EVOS蛍光顕微鏡を用いて試料を画像化した。ロスバスタチンカルシウム粉末、純粋なポリカプロラクトン(PCL)、及び薬剤-ポリマー配合物を、明視野設定及び赤色蛍光タンパク質設定の両方を用いて画像化した。
図17A及び
図17Bはロスバスタチン粉末の画像を示し、
図18はPCL及び薬剤-PCL配合物の画像を示す。
【0569】
実施例25
インビトロでのエタノールに対する薬剤溶出速度に対する賦形剤の影響
担体ポリマー-薬剤配合物からのロスバスタチンの溶出速度に対する異なる賦形剤の影響を試験した。担体ポリマー-薬剤配合物は、
図2又は
図2Aに示されるようなシステムでの使用に適した三角プリズム(「星型アーム」)の形状であった。星型アームを、
図21記載されるように調製された模擬胃液に入れたか、又は40%エタノール/60%SGFに入れた。放出された薬剤の量を、SGF又は40%エタノール/SGFに1時間浸漬してアッセイした。
【0570】
図24は、ロスバスタチンのバースト放出を試験した結果を示す。左から右に対の棒は以下を示す:ロスバスタチン(25%)+ヒドロキシプロピルメチルセルロース(5%)+残りの材料を含むポリカプロラクトン(5%HPMCと表示された棒);ロスバスタチン(25%)+ヒドロキシプロピルメチルセルロース(10%)+残りの材料を含むポリカプロラクトン(10%HPMCと表示された棒);ロスバスタチン(25%)+ヒドロキシプロピルメチルセルロース(5%)+0.5%SiO
2+残りの材料を含むポリカプロラクトン(0.5%SiO
2、5%HPMCと表示された棒);及びロスバスタチン(25%)++ヒドロキシプロピルメチルセルロース(5%)+2%SiO
2+残りの材料を含むポリカプロラクトン(2%SiO
2、5%HPMCと表示された棒)。黒い棒(塗りつぶし)はSGFに1時間浸漬後の放出を示し、白い棒(塗りつぶしていない)は40%エタノール/60%模擬胃液に1時間浸漬後の放出を示す。
【0571】
ロスバスタチンを、ポリカプロラクトン(PCL)と5%ヒドロキシプロピルメチルセルロース中に配合した場合は、SGFに対して、40%エタノール/60%模擬胃液中でのロスバスタチンの溶出において3.7倍のみの増加があった。ロスバスタチンを、ポリカプロラクトン(PCL)と10%ヒドロキシプロピルメチルセルロース中に配合した場合は、SGFに対して、40%エタノール/60%模擬胃液中でのロスバスタチンの溶出に3.5倍のみの増加があった。ロスバスタチンを、ポリカプロラクトン(PCL)、0.5%SiO2、及び5%ヒドロキシプロピルメチルセルロース中に配合した場合は、SGFに対して、40%エタノール/60%模擬胃液中でのロスバスタチンの溶出に3.6倍のみの増加があった。ロスバスタチンを、ポリカプロラクトン(PCL)、0.5%SiO2、及びと5%ヒドロキシプロピルメチルセルロース中に配合した場合は、SGFに対して、40%エタノール/60%模擬胃液中でのロスバスタチンの溶出に4.6倍のみの増加があった。
【0572】
これらの配合物は、試験した他の配合物と比較すると、40%エタノール/60%模擬胃液中に浸漬後、誘発されるバースト放出の低下を示す。
【0573】
図25は、ロスバスタチンのバースト放出を試験した結果を示す。左から右に対の棒は以下を示す:ロスバスタチン(25%)+P407(5%)+残りの材料を含むポリカプロラクトン(5%P407と表示された棒);ロスバスタチン(25%)+P407(10%)+残りの材料を含むポリカプロラクトン(10%P407と表示された棒);及びロスバスタチン(25%)+PVP(10%)+残りの材料を含むポリカプロラクトン(10%PVPと表示された棒)。黒い棒(塗りつぶし)は、SGF中に1時間浸漬後の放出を示し、白い棒(塗りつぶしていない)は、40%エタノール/60%模擬胃液中に1時間浸漬後の放出を示す。これらの配合物は、SGFに対して、40%エタノール/60%模擬胃液において、ロスバスタチンの溶出のそれぞれ5.5倍、4.9倍、及び5.4倍の増加を示した。
【0574】
従って、HPMC及びシリカは、ロスバスタチンバースト放出を制御するのに特に有用である。
【0575】
実施例26
ホットメルト押出による配合物の混合:手順
活性医薬成分(API)、ポリカプロラクトン(PCL)構造ポリマー、及び放出を制御し処理を容易にするための様々な賦形剤を組み合わせることにより、薬剤添加配合物を調製した。APIと賦形剤粉末を混合し、次にホットメルト押出(HME)によってポリマーペレットと混合した。いくつかの場合に、粉末化された賦形剤は、HMEの前に結合剤溶液を用いて粒状化された。粒状化手順は実施例33に記載されている。逆回転双スクリューを備えたThermo Fisher HAAKE MiniCTW押出機で、ホットメルト押出を行った。
【0576】
配合物は、特定されたように10%~25%のAPI、0.5%の二酸化ケイ素、0.5%のアルファトコフェロール、0.5~30%の賦形剤、及び残りのPCLを含む。API及び粉末賦形剤を秤量し、スパテラを用いて混合した。PCLペレットを別々に秤量し、粉末及びペレット相を容量付加(volumetric addition)の原理に従って押出機に充填した。混合物を100℃でスクリュー速度75rpmで10分間バッチ混合した後、20~30rpmの速度で押出した。押し出された融解物の切片をアルミニウム圧縮モールド上に配置し、長さ20mmで幅2mmの三角棒に成形した。周囲温度まで冷却してから、アームをトリミングして過剰の配合物を除去し、冷凍庫に保存した(約-20℃)。例示された配合物で使用される賦形剤の組成及び機能を表6に示す。
【0577】
【0578】
実施例27
PCL/SGF分配係数
構造ポリマー、ポリカプロラクトン(PCL)、及び絶食状態模擬胃液(FaSSGF)間の活性医薬成分(API)の分配は、PCL主体の配合物からのAPIの放出速度を予測するために重要である。APIのPCL-SGF分配係数を測定するために、1mLのFaSSGFと1mLの1:5のPCLジオール(MW530):酢酸エチルの混合物中に、APIの濃縮原液を加えた。試料をボルテックス混合し、10,000rpmで5分間遠心分離した。SGF相をHPLCで分析して薬剤濃度を測定した。PCL相をメタノールで希釈してから、HPLCで定量した。様々な水溶性及び親油性を有する異なる薬剤のPCL/SGF分配係数を表7に示す。
【0579】
【0580】
実施例28
インビトロ放出試験:手順
インビトロ放出のために、約50mgの配合物アーム(三角形のダイから押出したか又は圧縮成形された)を切断し、15mlのファルコンチューブに入れた。各チューブに、絶食状態模擬胃液(FaSSGF)10mlを添加し、37℃、200rpmで維持されたオービタルシェーカーに入れた。試料を三重測定で7日間測定し、1mlの試料のアリコートを、約0.25、1、2、3、4、5、及び7日目に採取した。各サンプリング後に、浸漬条件を維持するために、残りの培地を廃棄し、新鮮な10mLのFaSSGFをファルコンチューブに添加した。チューブを37℃、200rpmのオービタルシェーカー内で戻した。試料アリコートを各時点でAPI定量のためにHPLCで分析した。
【0581】
実施例29
配合物中のPVP%に応じたFaSSGF中のドキシサイクリン(親水性)添加構造体のインビトロ放出
図26は、配合物中の異なる量のPVPを有するFaSSGF中の配合物アームからのドキシサイクリンのインビトロ放出を示す。ドキシサイクリンを1%シリカでボールミル粉砕し、75ミクロンの篩に通した。実施例26に記載のように配合物を調製し、実施例28で説明したように、インビトロ放出アッセイを行い、各時点でのAPIの定量についてHPLCによって分析した。ドキシサイクリン配合物は25%のAPI、0.5%シリカ、0.5%アルファトコフェロール、0.5% P407、特定量のポリビニルピロリドン(PVP)、及び残りの55k PCLを含む。ドキシサイクリンをPVPを含まない基本配合物(
図26、基本)に配合した場合、7日後に薬剤の30%の完総放出があった。配合物中のPVPの量を2%に増加すると、総放出量は50%に増加した。基本配合物に加えてドキシサイクリンに5%PVPを配合すると、7日後の薬剤の総放出は約75%であり、3日目の放出の直線性は約55%であり、6時間目のバースト放出は15%であった。これらのデータは、配合物中のPVP量の増加に応答した完全な薬剤放出の増加を示す。
【0582】
実施例30
配合物中のP407の%に応答したFaSSGF中のドキシサイクリン(親水性)添加構造体のインビトロ放出
図27は、配合物中のP407の異なる量のPVPを有するFaSSGF中の配合物アームからのドキシサイクリンのインビトロ放出を示す。ドキシサイクリンを1%シリカでボールミル粉砕し、75ミクロンの篩に通した。実施例26に記載のように配合物を調製し、実施例28で説明したように、インビトロ放出アッセイを行い、各時点でのAPIの定量についてHPLCによって分析した。ドキシサイクリン配合物は25%のAPI、0.5%シリカ、0.5%アルファトコフェロール、特定量のP407、及び残りの55k PCLを含む。ドキシサイクリンに0.5%のP407を配合した場合、6時間後に約10%のバースト放出、3時間以内に約22%の薬剤放出、及び7時間後に約34%の完総放出があった(
図27)。ドキシサイクリンに2%のP407を配合した場合、7時間後の完総放出は約40%に増加した。P407の量をさらに増加すると、薬剤の総放出量が増加し、3%、4%、及び5%のP407を含有する配合物は、7時間後に、それぞれ約43%、57%、及び65%の総放出を示した。ドキシサイクリンを基本配合物に加えて5% P407を配合すると、7日後の薬剤の総放出は約65%であり、3日後の線形放出は約48%であり、6時間後のバースト放出は15%であった。
【0583】
実施例31
FaSSGF中のドネペジル添加構造体のインビトロ放出
図28は、FaSSGF中の配合物アームからのドネペジルのインビトロ放出を示す。実施例26に記載されるように、未粉砕ドネペジルを使用して配合物を調製した。実施例28で説明したように、インビトロ放出アッセイを行い、各時点でのAPIの定量についてHPLCによって分析した。ドネペジル配合物は、20%ドネペジル、0.5%アルファトコフェロール、表8に列挙した特定の賦形剤、及び残りの80k PCLを含む。
【0584】
ドネペジルに0.5%シリカ、0.5%アルファトコフェロール、25%オイドラギットRS、及び5%P407を配合すると、7日目に薬剤の約35%の完全放出、3日目に約16%の線形放出、及び6時間目に5%バースト放出があった(
図28、Dn-1)。ドネペジルに2%シリカ、0.5%アルファトコフェロール、10%オイドラギットRS、及び5%P407を配合すると、7日目に約45%に完全放出、3日目に21%、そしてバースト放出は約5%のままであった(
図28、Dn-3)。ドネペジルに0.5%シリカ、0.5%アルファトコフェロール、9%オイドラギットRSを配合し、P407無しの場合、7日目に薬剤の48%の完全放出への更なる増加、3日目に27%放出があり、バースト放出は6時間後に約8%の低いままであった(
図28、Dn-4)。
【0585】
【0586】
実施例32
API抽出による含有物均一性の分析
PCL主体の配合物中のAPI含量を測定するために、溶解及び沈殿により配合物から薬剤を抽出した。薬剤添加配合物(50mg)をジクロロメタン(2mL)に溶解し、周囲温度で撹拌して透明な溶液を得た。メタノールをゆっくり加えて、最終容積10mlを得た。試料を15mLの遠心管に移し、800rpmで約5分間遠心分離して、沈殿したポリマーを上清から分離した。上清液をメタノールで希釈し、薬剤をHPLCで定量した。アリピプラゾールについては、API回収率は平均94.73%であった(表9)。
【0587】
【0588】
実施例33
粒状化
薬剤と賦形剤との混合を助けるために、混合物の流動特性を増強するために、及び押出機中のバッチ混合を改善するために、粒状化を行った。粒状化は、5%コリフォールP407水溶液をバインダー溶液として使用することによって行った。この溶液を、薬剤と賦形剤とを含有する粉末混合物に滴下して加えた。湿った塊を18メッシュのハンドスクリーンに加え、顆粒を40℃に維持した熱風オーブン中で約15分間乾燥させた。得られた顆粒を、流動性と湿潤性について目視で観察し、周囲温度で乾燥剤で保存した。
【0589】
実施例34
熱溶着
実施例26と同様に押出と圧縮成形によって、薬剤添加配合物(20%メマンチン、25%オイドラギットRS、5%P407、0.5%シリカ、0.5%アルファトコフェロール)を調製し、80K PCLの三角ロッドに熱溶着させた。溶着温度とアラインメントを制御できるカスタム器具を使用して、溶着を実行した。溶着温度は93~170℃まで変化させ、溶着部は室温又は8℃で24時間保存した(n=6試料/条件)。溶着強度は、600ミクロンの変位を有する4点曲げ試験を用いて解析した。各試料について最大曲げ力を記録し、並びに曲げアッセイ中に失敗した溶着の数も記録した。結果を表10に示す。
【0590】
【0591】
実施例35
保存安定性をモニターするための薬剤配合物の固体状態の性状解析
フーリエ変換赤外分光法(FTIR)、ラマン分光法、X線回折、及び示差走査熱量測定法などの性状解析法により、保存中の配合物の固体状態安定性を評価することができる。経時的に採取されたスペクトルを使用して、性能に影響を及ぼす組成又は構造の変化を検出することができる。
【0592】
実施例36
フーリエ変換赤外分光法によるメマンチンの固体状態の性状解析
メマンチンを1%シリカを用いてボールミル粉砕し、75ミクロンの篩に通した。20%メマンチン、9%オイドラギットE、0.5%シリカ、0.5%アルファトコフェロール、及び70%PCLを含有するメマンチン配合物を、実施例26に記載のように調製した。FTIRを、サーモフィッシャー連続フーリエ変換赤外線顕微鏡でATRモード(減衰全反射)で行った。配合物中の薬剤(
図29、中央)を薬剤の無い配合物(9%オイドラギットE、0.5%シリカ、0.5%アルファトコフェロール、及び残りのPCL)(
図29、上)及びメマンチン単独の配合物(
図29、下)と比較した。メマンチンは、この方法を使用して、他の配合物成分から薬剤を区別するための強力なFTIR署名を欠いている。FTIRは、配合物の均一性についての限られた情報しか提供しない。X線回折(実施例36)及びラマン分光法(実施例37)を用いて、同じ配合物を試験した。
【0593】
実施例37
X線回折によるメマンチンの固体状態の性状解析
実施例36に記載されたメマンチンの同じ配合物を、Bruker D8一般領域検出器回折装置を透過モードで用いて、X線回折によって分析した。
図30は、薬剤単独(上)、薬剤なしの配合物(中)、および配合物中の薬剤(下)のX線回折パターンを示す。メマンチンのユニークなピークが観察され、X線回折を製造および保存中の品質管理およびモニタリングに使用できることを示している。カーブフィッティングソフトウェアは、薬剤結晶化度のおおよその定量化のために、メマンチンピークの組み込みを可能にすることができる。X線回折は、配合物中でメマンチンの結晶性が維持されていることを確認する。
【0594】
実施例38
ラマン分光法によるメマンチンの固体状態の性状解析
実施例36に記載されたメマンチンの同じ配合物は、785nmの励起波長を使用するKaiser Optical Hololab 5000Rラマン顕微鏡を用いて、ラマン分光法によって分析した。
図31は、メマンチン(上)、薬剤のないメマンチン配合物(中央)、及びメマンチンを含有する配合物(下)のラマンスペクトルを示す。メマンチンの特徴的なピークは、500~700cm
-1に存在し、メマンチン(上)及びメマンチン配合物(下)のスペクトルに見られ、結晶メマンチンの存在を確認している。薬剤のない配合物(中央)のスペクトルは、長期保存による変化を検出するために経時的にモニターすることができる配合物の指紋(fingerprint)を提供する、従ってラマン分光法は、メマンチンを他の配合物成分から区別することができ、製造及び保存中の配合物のモニタリングに使用することができる。
【0595】
実施例39
カプセル中メマンチン持続放出配合物に対する胃内滞留システムによって提供されるメマンチンのインビボ比較
毎日のNamenda XRと本発明の胃内滞留システムとの薬物動態を比較するために、イヌ(ハウンド)モデルで胃内滞留システムのインビボ試験を行った。Namenda XRは、カプセルで供給されるメマンチンの持続放出形態である。試験はタフツ大学カミングス獣医学校(Tufts University Cummings School of Veterinary Medicine)(North Grafton, Massachusetts, USA)で実施した。
【0596】
Lyndra-メマンチン配合物は、20%のメマンチン、0.5%の二酸化ケイ素(CAB-O-SIL)、0.5%のアルファトコフェロール、25%のオイドラギットRS、5%のP407、及び残りの80K PCLを含有する(表13、配合物M18)。星状胃内滞留システムは、単一の時間依存性リンカーを用いて設計され、メマンチンを含有した。各星状システムは、中央ポリカプロラクトン-ポリウレタンエラストマーから突出した6本のアームを有し、エラストマーは。直径5mmであった。アームを、30/70の比率のアクアプレン/ポリカプロラクトンの押出混合物から成る時間依存性リンカーを用いて、エラストマー中心に熱溶着した。メマンチン粒子を粉砕し、<75μmで篩い分け、配合物M18を使用して、20%の薬剤量で、メマンチンを薬剤-ポリマーアームに組み込んだ。
【0597】
投与のために、システムを00EL HPMCカプセル(Capsugel)に入れた。4匹のイヌの喉の後部に、カプセル封入された2つのシステム(星形)を投与し、続いて食物モニタリングを行った。これは、7日間にわたって約44mg/日の放出可能性を提供する。用量投与の後1時間以内に、次に0日目、1日目~7日目、9日目、及び11日目(又はシステムが身体から出るまで)に、左側腹部のレントゲン写真を介して、X線の視覚化を取得して、星状剤形の完全な展開を確実にした。
【0598】
投与前に、4匹のハウンドドッグ(約20kg)を12時間絶食させ、次にLyndra-メマンチン剤形を、HPMCカプセルで経口投与した。システムあたりの総薬剤量は約322mgであった。次にイヌに標準的な1日のイヌ用食事を与えた。
【0599】
星形胃内滞留システムを投与されているイヌについて、0日目の0、2、4、及び6時間目に、そして以後の8日間毎日、血液試料を採取した。血液は上が赤い採取チューブ(1mLを捨てた後、各時点で3mLを採取)に集め、遠心分離し、血清をピペットでエッペンドルフチューブに移し、-20℃で凍結した。血液をAgilux Laboratoriesに送って生物分析を行った。
【0600】
比較のために、別の群のイヌに市販の持続放出メマンチンカプセル(Namenda XR)を投与した。6匹のイヌ(約20kg)に標準用量(28mgのNameda XRカプセル)を、5日間毎日、喉の後部に投与した。血液試料を1日目の0、2、4、及び6時間目、及び2~4日目の0(投与前)及び4時間目に採取した。血液を処理して血清とし、血液をAgilux Laboratories(Worcester, MA)に送って生物分析を行った。
【0601】
実験動物は、該当する法律及び施設のガイドラインに従って使用される。システムを導入する数日前からシステム通過の数日後までの期間、イヌをモニターした。 胃内滞留システムの位置および状態を調べるために、X線写真を定期的に採取する。星状の胃内滞留システムはすべて正しく展開された。比較群では、Namenda XRは無事に投与され、耐容性が良好であった。
【0602】
星形胃内滞留システム(Lyndra-メマンチン)又はNamenda XRカプセルの投与後のインビメマンチンボ濃度の薬物動態は、
図32に示される。結果は、嚥下によるイヌの胃内滞留システムの経口投与が容易に実行可能であり、システムが正しく展開されることを示す。胃内滞留システムは、最大8日間胃に保持される。注目すべきことに、胃内滞留システムからのメマンチンの血清レベルは、毎日投与されるNamenda XRからのものよりも安定している。この安全性試験において、Namenda XR又は胃内滞留試験動物の有害事象はなかった。
【0603】
実施例40
ブタモデルにおけるLyndra-イベルメクチンのインビボ薬物動態
15%イベルメクチン、0.5%シリカ、0.5%アルファトコフェロール、2%P407、10%オイドラギットEPO、及び残りの80K PCLを含有するイベルメクチン配合物を、実施例26に記載のように、用手的混合と重力成形により調製した。2匹のヨークシャーブタ(35~50kg)のそれぞれに、135mgのAPIを1回投与した(
図33、被験体1及び被験体2)。システムを導入する数日前からシステム通過の数日後までの期間、動物をモニターした。 胃内滞留システムの位置および状態を調べるために、X線写真を定期的に採取する。剤形は3~5日間、胃内に維持された。血液試料を0日目、1、2、3、6、7、8、10、13日目に採取して、胃内滞留システムにより送達される血漿レベルを測定する。血清薬剤濃度は
図33に示される。剤形は8~12日間胃内に維持された。
【0604】
鎮静下の2匹のヨークシャーブタ(35~50kg)に胃内滞留システムを、内視鏡オーバーチューブを介して胃腔に投与した。胸部、腹部、及び骨盤の複数の位置(前後左横、左横)で、連続X線写真を得た。
【0605】
投与後最大15分まで、15のX線写真を取り、外側カプセルの展開及び/又は拘束システムを確認した。その後4日間毎日と最初の5日間後毎週3回、X線写真を得た。
【0606】
実施例41
FaSSGF中のアリピプラゾール添加構造体のインビトロ放出
図34~
図45は、FaSSGF中の配合物アームからのアリピプラゾールのインビトロ放出を示す。アリピプラゾールは1%シリカでボールミル粉砕し、75ミクロンの篩に通した。
【0607】
実施例26及び表3に記載のように配合物を調製した。実施例28に記載のように各時点のAPI定量のために、インビトロ放出アッセイを行い、HPLCにより分析した。アリピプラゾール配合物は、20%アリピプラゾール、0.5%シリカ、0.5%アルファトコフェロール、表11に特定される他の賦形剤、及び残りの80k PCLを含む。
【0608】
図34は、アリピプラゾール配合物A1及びA2のインビトロ放出データを示す。アリピプラゾールが、10%P407及び10%オイドラギットE(EPO)とともに配合物中にあるとき、7日後の総バーストは約18%であった(
図34、A1)。アリピプラゾールが、25%EPO及び5%P407とともに配合物中にあるとき、約16%の同様の全バーストがあった(
図34、A2)。両方の配合物は3日間で約10%の放出を有し、6時間で約5%のバーストを有した。
【0609】
図35は、配合物A3及びA4のインビトロ放出データを示す。A3及びA4の両方とも、それぞれ2%P407及び28%オイドラギットRS又は28%オイドラギットRLを含有する。これらの配合物は、7日後に約8~9%の薬剤の低い総放出を与えた。
【0610】
図36は、5%SDS(ドデシル硫酸ナトリウム)を追加した基本配合物を含有する配合物A5のインビトロ放出データを示す。この配合物は、約30%の総薬剤放出、3日後の約18%での線形放出、及び約7%のバースト放出をもたらす。
【0611】
図37は、配合物A6、A7、及びA10のインビトロ放出データを示す。配合物A6は30%アクアスプレンを追加した基本配合物を含有し、約22%の薬剤の総放出、3日後の15%の放出、及び6時間後の5%のバースト放出をもたらす。配合物A10は、20%のNaClを追加した基本配合物を含有し、これは約15%の総放出の低下、約7%の線形放出、及び約1%のバースト放出を与える。配合物A7は、30%クロスカルメロース(ベータ-(1,4)-D-グルコピラノースポリマーであるセルロース誘導体)を追加した基本配合物を含有する。この配合物は、約30%の改善された完総放出、22%の線形放出、及び5%のバースト放出をもたらす。
【0612】
図38は、10%P407及び10%オイドラギットEを追加した基本配合物を含有し、また、それぞれ10%又は5%クエン酸を含有する、配合物A8及びA9のインビトロ放出データを示す。これらは、約19%の薬剤の総放出、及び3日後に約10~12%の線形放出をもたらす。
【0613】
図39は、10%SDS、及び20%架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム(crosCMC)又は5%クエン酸をそれぞれ追加した基本配合物を含有する、配合物A11とA12のインビトロ放出データを示す。
【0614】
図40は、配合物A13及びA16についてのインビトロ放出データを示す。配合物A13は、20%CrosCMC及び10%ソルプラスを追加した基本配合物を含有し、A16は20%CrosCMCを追加した基本配合物を含有する。配合物A13は、約19%の総放出、約13%の線形放出、及び約3%のバースト放出をもたらす。配合物A16は、約25%の総放出、約16%の線形放出、及び約3%のバースト放出を示した。
【0615】
図41は、配合物A14及びA15のインビトロ放出データを示す。これらの配合物は、それぞれ20%の凍結乾燥NaCl又は20%の顆粒化NaClに加えて、10%のSDSを追加した基本配合物を含有する。これらの配合物は、7日後に同様の約3%の総薬剤放出をもたらした。
【0616】
図42は、配合物A17及びA18のインビトロ放出データを示す。A17は、20%NaCl(顆粒)及び10%CrosCMCを追加した基本配合物を含有する。A18は、10%NaCl(顆粒)、10%CrosCMC、及び10%SDSを追加した基本配合物を含有する。A17は、約13%の総放出、約6%の線形放出、及び約1%のバースト放出を有した。A18は、約9%の総放出、約4%の線形放出、及び約2%のバースト放出を示した。
【0617】
図43は、それぞれ30%SDS又は30%ソルプラスを追加した基本配合物を含有する、配合物A19及びA20のインビトロ放出データを示す。配合物A19は、約7%の非常に低い総放出をもたらし、約7%の線形放出とバースト放出をもたらした。しかし、30%ソルプラスを含有する配合物A20は、約40%の総放出、約30%の線形放出、及び約10%のバースト放出をもたらした。
【0618】
図44は、それぞれ30%デンプングリコール酸ナトリウム(SSG)又は30%P407を含有する、配合物A21及びA22のインビトロ放出データを示す。配合物A21は、約47%の総放出、約36%の線形放出、及び約19%のバースト放出を伴う最高レベルの薬剤放出を示した。配合物A22は、約46%の総放出、約36%の線形放出、及び約23%のバースト放出を伴う同様の結果を示した。
【0619】
図45は、配合物A23、A24、及びA25のインビトロ放出データを示す。A23及びA25は、それぞれ20%及び9%の割合のクレモフォアEL(ポリオキシル35硬化ヒマシ油)を追加した基本配合物を含有する。A24は、4.5%、1.5%、及び14%の混合物で、それぞれ20%のカプムルMCM+カプテックス355+クレモフォアELを含有する。カプムルMCMはモノカプリル酸グリセリルであり、カプテックス355ははトリカプリル酸/カプリン酸グリセロールであり、クレモフォアELはポリオキシル35硬化ヒマシ油である。A23及びA25は、約40%の総薬剤放出、約32%の線形放出、及び約8%のバースト放出をもたらした。A24は、約32%のわずかに低い総放出、約22%の線形放出、及び約5%のバースト放出をもたらした。
【0620】
【0621】
実施例42
FaSSGF中のリスペリドン添加構造体のインビトロ放出
図46~
図52は、FaSSGF中の配合物アームからのリスペリドンのインビトロ放出を示す。配合物は実施例15及び実施例26に記載のyni調製し、表12に記載されている。インビトロ放出アッセイを行い、実施例28に記載のように各時点のAPI定量のためにHPLCにより分析した。リスペリドン配合物は、10%リスペリドン、0.5%シリカ、0.5%アルファトコフェロール、表12に特定される他の賦形剤、及び残りの80k PCLを含む。
【0622】
【0623】
図46は、配合物R1、R3、及びR8のインビトロ放出データを示す。R1配合物は基本配合物のみを含有し、一方R3は追加の98%ストラタプレン3534(ストラタプレン)3534(Strataprene 3534, Poly-Med, Inc.:35%カプロラクトン、34%ラクチド、17%グリコリド、及び14%炭酸トリメチレン)を含有する。R8は追加の89%ポリジオキサノンを含有する。基本配合物R1は、約19%の総放出、約13%の線形放出、及び約5%のバースト放出を示した。配合物R3及びR8は、改善された薬剤放出をもたらさなかった。R3は約18%の総放出、12%の線形放出、及び5%のバースト放出を示した。R8は同様の結果を示し、約17%の総放出、約11%の線形放出、及び約4%のバースト放出を有した。
【0624】
図47は、配合物R6、R7、及びR16のインビトロ放出データを示す。配合物R6は、9%のアクアプレン(Aquaprene 8020、Poly-Med、Inc.:80%ジオキサノン、20%ポリエチレングリコール)を追加した基本配合物を含有し、配合物R7は、18%のアクアプレンを追加した基本配合物を含有する。配合物R6及びR7は同様の結果を有し、約55%の総放出、約37%の線形放出、及び約13%のバースト放出を有する。配合物R16は、28%のアクアプレンを追加した基本配合物を含有する。
【0625】
図48は、44.5%ストラタプレン(Straprene)及び44.5%オイドラギットRSを追加した基本配合物を含有する配合物R9のインビトロ放出データを示す。この配合物は、約55%の総放出、約33%の線形放出、及び約5%のバースト放出をもたらした。
【0626】
図49は、5%P407と、それぞれ42%又は44.5%のオイドラギットRSを追加した基本配合物R13及びR15のインビトロ放出データを示す。配合物R13は、62%の総薬剤放出、40%の線形放出、及び9%のバースト放出をもたらした。オイドラギットRSの量を増加させると、配合物R15は、総放出75%の薬剤放出、50%の線形放出、及び9%のバースト放出で増加を示した。
【0627】
図50は、基本配合物に、それぞれ28%オイドラギットRL又は28%オイドラギットRSを補足した配合物R18及びR22のインビトロ放出データを示す。配合物R22は、33%の総放出、20%の線形放出、及び9%のバースト放出をもたらす。配合物R18は、増加した64%の総放出、45%の線形放出、及び10%のバースト放出をもたらす。
【0628】
図51は、それぞれ14%のアクアプレン又は14%オイドラギットRLを追加した基本配合物と14%のオイドラギットRSを含有する配合物R20及びR21のインビトロ放出データを示す。両方の配合物とも同様の結果を有し、約51%の総放出、約33%の線形放出、及び約10%のバースト放出を示した。
【0629】
図52は、R14及びR19の配合物のインビトロ放出データを示す。R14は、5%タウロコール酸/レシチンを有する基本配合物を含有する。R19は、9.33%のオイドラギットRS、9.33%オイドラギットRL、及び9.33%アクアスプレンを有する基本配合物を含有する。R14は、約28%の総放出、約19%の線形放出、及び約9%のバースト放出をもたらした。R19は、より高い約67%の総バースト、約44%の線形放出、及び約11%のバースト放出をもたらした。
【0630】
実施例43
FaSSGF中のメマンチン添加構造体のインビトロ放出
メマンチンと混合された担体ポリマー及び賦形剤の種々の配合物を試験した。メマンチンを1%シリカでボールミル粉砕し、75ミクロンの篩で篩分け、実施例26に記載したように、配合物を調製した。配合物は以下の成分を含有していた:20%メマンチン、0.5%二酸化ケイ素(CAB-O-SIL)、0.5のアルファトコフェロール、及び表13に列挙される追加の賦形剤;配合物の残りをポリカプロラクトン(MW 80,000)で作成した。実施例28に記載したように、インビトロ放出アッセイを実施し、各時点でAPI定量のためにHPLCにより分析した。
【0631】
【0632】
図53は、種々の量のオイドラギットE及びP407を含むメマンチン配合物M1、M2、及びM3のインビトロ放出データを示す。配合物M3は、9%P407を追加した基本配合物を含有し、約24%の総放出、約16%の線形放出、及び約5%のバースト放出をもたらす。配合物M1は、9%オイドラギットEを追加した基本配合物を含有し、はるかに高い約60%の総放出、約40%の線形放出をもたらし、約12%の低いバースト放出を維持する。配合物が4.5%オイドラギットE及び4.5%P407を含有する場合、約26%のより低い総放出、約18%の線形放出、及び約5%のバースト放出がある。
【0633】
図54は、それぞれ9%ポリ酢酸ビニル(PVA)又は9%ポリビニルピロリドン(PVP)を追加した基本配合物を含有する、配合物M4及びM5のインビトロ放出データを示す。PVAの添加は、わずかに約5%の総放出をもたらし、PVPの添加は、約13%のわずかに高い総放出をもたらした。
【0634】
図55は、5%コリフォールRH40を追加した基本配合物を含有する配合物M7のインビトロ放出データを示す。この配合物は、約9%の低い総薬剤放出、約7%の線形放出、及び約2%のバースト放出を有する。
【0635】
図56は、2%P407及び7%オイドラギットEを追加した基本配合物を含有する配合物M17のインビトロ放出データを示す。これは、約37%の総放出、約25%の線形放出、及び約7%のバースト放出をもたらす。
【0636】
図57は、基本配合物と種々の量のP407及びオイドラギットRSを含有する配合物M18、M21、及びM24のインビトロ放出データを示す。M21は5%P407を含み、追加のオイドラギットRSを含まず、約92%の非常に高い総放出をもたらす。しかしこの配合物はまた、約92%の高い線形放出、及び約58%のバーストを示した。2%P407及び20%オイドラギットRSの両方を含む配合物M24は、約58%のより良好な総放出、約40%の線形放出、及び約12%のバースト放出をもたらした。5%P407及び25%オイドラギットRSを含む配合物M18は、約90%の高い総放出、約68%の線形放出、及び約15%の低バースト放出をもたらした。
【0637】
図58は、それぞれ5%又は9%タウロコール酸/レシチンを追加した基本配合物を含有する配合物M19及びM20のインビトロ放出データを示す。これは、M19について約10%の総薬剤放出を与えた。M20は、約29%の総放出、約18%の線形放出、及び約7%のバースト放出をもたらした。
【0638】
図59は、30%ポリジオキサノンを追加した基本配合物を含有する配合物M22のインビトロ放出データを示す。この配合物は、約20%の総薬剤放出、約15%の線形放出、及び約7%のバースト放出を有した。
【0639】
図60は、それぞれ19.85%及び25%オイドラギットRSを追加した基本配合物を含有する配合物M25及びM29のインビトロ放出データを示す。M25は、約22%の総放出、約12%の線形放出、及び約3%のバースト放出をもたらした。M29は、約31%のより高い総薬剤放出、約18%の線形放出、及び約4%のバースト放出をもたらした。
【0640】
図61は、基本配合物、5%P407、及び種々の量のオイドラギットRSを含有する配合物M26、M27、及びM31のインビトロ放出データを示す。M31配合物はM18と同一であるが、薬剤添加配合物は別の粉砕バッチで調製され、粒径及び粒度分布にわずかな差が生じている。M26は17.5%オイドラギットRSを含有し、70%の総放出、47%の線形放出、及び10%のバースト放出をもたらした。M27は10%のオイドラギットRSを含有し、79%の総放出、54%の線形放出、及び12%のバースト放出をもたらした。M31は25%オイドラギットRSを含有し、79%の総放出、58%の線形放出、及び12%のバースト放出をもたらした。
【0641】
図62は、2.5%P407及び21.25%オイドラギットRSを追加した基本配合物を含有する配合物M30のインビトロ放出データを示す。この配合物は、約45%の総薬剤放出、約29%の線形放出、及び約6%のバースト放出をもたらす。
【0642】
実施例44
摂食状態対絶食状態のメマンチン放出
メマンチン配合物を、インビトロ放出プロフィールに及ぼす培地のpH及び組成の影響について評価した。
図63は、絶食状態模擬胃液(FaSSGF)及び摂食状態模擬胃液(FeSSGF)中の配合物M1及びM3からの薬剤放出の比較を示す。配合物の試料を、絶食状態模擬胃液(FaSSGF、pH1.6)及び摂食状態模擬胃液(FeSSGF、pH5.0)培地中でインキュベートした。配合物を、37℃、200rpmで約7日間の放出試験に供した。FaSSGFでは、M1からの総薬剤放出は約60%であり、線形放出は約40%であり、バースト放出は約12%であった。同じ配合物は、FeSSGF中でより高い薬剤放出を示し、約70%の総放出(7日目ではなく6日目に試験した試料)、約55%の線形放出、及び約19%のバースト放出を有した。配合物M3は、FaSSGF及びFeSSGFにおいて同様の放出を示し、約20%の総放出を有した。
【0643】
図64は、絶食状態模擬胃液(FaSSGF)及び摂食状態模擬胃液(FeSSGF)における配合物M16とM23からインビトロ薬剤放出の比較を示す。M16及びM23の両方は、配合物M1と同じ組成(20%メマンチン、9%オイドラギットE、0.5%シリカ、0.5%アルファトコフェロール、残りの80KのPCL)の異なる粉砕バッチである。配合物M16は、絶食状態及び摂食状態の両方で約30%の総放出をもたらした。配合物M23は、絶食状態及び摂食状態の両方で同様の結果を示し、約50%の総放出、約33%の線形放出、及び約10%のバースト放出を有した。
【0644】
実施例45
摂食状態対絶食状態のリスペリドン放出
インビトロ放出プロフィールに及ぼす培地のpHと組成の影響について、リスペラドン配合物を評価した。配合物の試料を、絶食状態模擬胃液(FaSSGF、pH1.6)及び摂食状態模擬胃液(FeSSGF、pH5.0)培地中でインキュベートした。配合物は37℃、200rpmで7日間の放出試験に供した。放出培地のpHは、リスペリドンなどのpH依存溶解性プロフィールを有する薬剤の放出に大きな影響を有し得る。ほとんどの配合物において、リスペリドンはFeSSGF(pH5)よりもFaSSGF(pH1.6)中でより速く放出される。しかし放出速度の差は、特定の配合物では最小限に抑えることができる。例えば、10%薬剤、0.5%二酸化ケイ素、0.5%アルファトコフェロール、及び9%アクアスプレンからなる配合物(配合物R6)中のリスペリドンは、FaSSGF及びFeSSGFにおいて同様の放出を示した(
図65)、しかし44.5%ストラタプレン及び44.5%オイドラギットRSを含有する配合物(配合物R9)又は42%オイドラギットRS及び5%コリフォールP407を含有する配合物(配合物R13)は、絶食状態での放出と比較すると、摂食状態での放出で有意な低下をもたらした(
図66)。
【0645】
実施例46
賦形剤の適合性
HME中のAPIの賦形剤適合性を比較するために、様々な配合物を薬剤安定性について分析した。すべての配合物を、二軸押出機で100℃で10分間処理した。処理後、実施例32に記載したように溶解及び沈殿により、配合物から薬剤を抽出した。API不純物をHPLCにより定量した。
【0646】
いくつかのアリピプラゾール配合物の総API不純物が表14に報告される。アリピプラゾールの安定性は、試験した全ての賦形剤の存在下で充分である。
【0647】
【0648】
*全て 配合物が、20%アリピプラゾール、0.5%二酸化ケイ素、0.5%アルファトコフェロール、上記の賦形剤、及び残りの80KのPCLを含有した。
【0649】
実施例47
API安定性対処理温度
ある範囲の処理温度に対するAPI安定性を評価した。薬剤添加配合物を、90℃~180℃の範囲の温度で75rpmで10分間バッチ混合を行って、押出した。押出した試料を、目視により、及び薬剤抽出後にHPLCにより、分解について分析した。
【0650】
以下の表15は、アリピプラゾールが最大120℃まで視覚的変色なしで安定であり、分解物が0.05%未満であることを示す。すなわち、薬剤がその温度で安定であり、塩基性ポリマーPCLを融解するのに適しているため、処理温度として100℃が選択された。
【0651】
【0652】
配合物は、20%アリピプラゾール、10%コリフォールP407、10%オイドラギットEPO、0.5%二酸化ケイ素、0.5%アルファトコフェロール、及び残りの80K PCLからなった。
【0653】
実施例48
配合物の押出性:ダイ膨張
薬剤-ポリマー配合物を所望の三角形形状に押出すために、ダイは、押出物がダイから出る際に膨潤する傾向を補償するように設計される。押し出された配合物の膨潤の性状解析は、三角形のダイの設計を助ける。ダイの膨潤は、円形ダイを通るフィラメントの押し出し、及びオリフィスの直径に対する押出物の直径の比較によって特徴付けられる。ダイの膨潤は温度とともに変化することが知られているため、ダイの膨潤は90~180℃の温度範囲について特徴付けられた。アリピプラゾール配合物(20%アリピプラゾール、10%コリフォールP407、10%オイドラギットEPO、0.5%二酸化ケイ素、0.5%アルファトコフェロール、及び残りの80K PCL)について、ダイ膨張対温度の結果が表16に示される。ドキシサイクリン配合物(25%ドキシサイクリン水和物、10%コリフォールP407、0.5%二酸化ケイ素、0.5%アルファトコフェロール、及び残りの80K PCL)について、ダイ膨張対温度の結果が表17に示される。
【0654】
図67は、PCLについて、温度に対するダイ膨張を示す。90℃未満の温度では、膨張が顕著になり、PCLを安定した三角形形状に押し出すことが困難になる。この結果に基づいて、PCL主体の薬剤-添加配合物を、少なくとも90℃の温度で処理した。
【0655】
【0656】
配合物は、20%アリピプラゾール、10%コリフォールP407、10%オイドラギットEPO、0.5%二酸化ケイ素、0.5%アルファトコフェロール、及び残りの80K PCLからなった。
【0657】
【0658】
配合物は、25%ドキシサイクリン水和物、10%コリフォールP407、0.5%二酸化ケイ素、0.5%アルファトコフェロール、及び残りの80K PCLからなった。
【0659】
実施例49
安定性基準:時間依存性
時間に対するホットメルト押出中の薬剤の経時的安定性を評価するために、実施例47で議論した熱処理安定性試験に基づいて、100℃を時間依存性熱処理のために選択した。薬剤を含有する配合物を、100℃で5分~30分の範囲の時間、75rpmでバッチ混合して押し出した、押出した試料を、目視的観察とAPI抽出及びHPLCによる分解物の存在により分析した。
【0660】
視覚的には、全ての試料は変色の徴候を有さず、周囲温度まで冷却すると色が白色であった。
図18は、アリピプラゾール配合物(20%アリピプラゾール、10%コリフォールP407、10%オイドラギットEPO、0.5%二酸化ケイ素、0.5%アルファトコフェロール、及び残りの80K PCL)について、全ての試料は100℃で安定であり、すべての時点で顕著な分解物はなかったことを示す。
【0661】
【0662】
配合物は、20%アリピプラゾール、10%コリフォールP407、10%オイドラギットEPO、0.5%二酸化ケイ素、0.5%アルファトコフェロール、及び残りの80K PCLからなった。
【0663】
実施例50
APIの溶解度のpH依存性
放出に及ぼすpH変動の影響を予測するために、開発中の薬剤のpH依存性溶解度を評価することが重要である。溶解度の推定は、酸性から塩基性までの範囲のpHで行った。pH1.06、3.00、,4.65、6.50、及び8.00で周囲温度で薬剤の飽和溶液を調製し、周囲温度で一晩平衡化させ、HPLCにより溶液中の薬剤濃度を測定することにより、平衡溶解度を測定した。
【0664】
表19は、pH低下によるアリピプラゾール溶解度の上昇を示す。リスペリドンは、pH最大4.65までの増加で溶解度の上昇を示し、その後より高いpHで溶解度の低下を示し、従って両方の薬剤はpH依存性溶解度を示すことが確認された。
【0665】
【0666】
実施例51
溶解度上昇技術
アリピプラゾールは、水溶性が低く(約0.456g/ml)、典型的な配合物からの薬剤の低いインビトロ放出をもたらす。放出を改善するために、界面活性剤、細孔形成剤、粒状化技術を用いて、アリピプラゾールの溶解度を上昇させることを探った。
【0667】
最初に、FaSSGF及び水中のアリピプラゾールの溶解度を改善する能力について、種々の界面活性剤をスクリーニングした。実施例50に記載された点順により、界面活性剤の存在下でのアリピプラゾールの平衡溶解度を、水とFaSSGFで推定した。表20は、いくつかの界面活性剤がアリピプラゾールの溶解度を上昇させたことを示す。コリフォールELはアリピプラゾールの溶解度を、水溶液中で4.5倍、そしてFaSSGF中で120倍上昇させたことを示す。
【0668】
APIの溶解度の最大の増加をもたらしたもの(ソルプラス、SDS、及びコリフォールEL)を、配合物の評価のために選択した。薬剤と溶解増強剤との接触を最大化するために、API及び他の賦形剤を、ホットメルト押出(HME)で混合する前に粒状化した。API、可溶化剤、及び他の粉末状の賦形剤(配合物A18、A20、A21、及びA22)を、実施例33に記載のように粒状化した。顆粒を100℃でHMEによってPCLペレットと混合し、実施例26に記載のように圧縮成形した。押出試料を7日間インビトロ放出試験に供した。結果を
図34~
図45に示す.配合物に可溶化剤を添加すると、放出速度が大きく上昇し(配合物A20、A22~A25)、超崩壊剤などの孔形成剤の取り込みにより、放出がさらに改善された(配合物A21、A18)。
【0669】
【0670】
実施例52
SGF中でのインキュベーション前後の配合物中のAPI安定性
FaSSGF中での7日間のインキュベーション後に配合物中に残っているAPIの安定性を分析した。実施例28に記載のように、放出アッセイを行った。放出アッセイ後、配合物の試料を抽出のために回収し、実施例32に記載の手順により分析した。インキュベーション前及びインキュベーション後に分析したアリピプラゾール配合物は、FaSSGF中の7日間のインキュベーション中に、薬剤の顕著な分解が起こらないことを示す(表21)。
【0671】
【0672】
すべての配合物:20%薬剤、0.5%シリカ、0.5%アルファトコフェロール、上記の賦形剤、残りの80k PCL。
【0673】
実施例53
押出性:配合物の融解粘度
配合物の融解粘度及び押出性は、配合組成に依存する。融解粘度は、可塑剤を配合物に添加することによって調整することができる。Hake MiniCTWマイクロコンパウンダー(スクリュー速度=75rpm)でのバッチ混合と押出しの間、融解粘度の尺度としてトルクがモニターされる。種々の配合物について平衡トルク測定値を表22に示す。一般に、配合物への可塑剤の添加は、処理トルクを大幅に低減させる。可塑剤添加なしの配合物は、典型的には、混合速度75rpmで0.8~1.0Nmのトルクを示し、30%コリフォールP407を含有する配合物A22は、0.13Nmのトルクを有し、低融解粘度を反映している。
【0674】
【0675】
実施例54
薬剤添加された配合物アームの曲げ強度
4点曲げ試験(ASTM D790)を使用して、実施例18に記載したようにアームの強度を評価する。簡単に説明すると、アームの各端部近くでアームを支持する。支持体よりもアームの中央に近く配置された2つのロッドが力を加え、試料を屈曲させる。力と変位が記録され、最大曲げ力が記録される。20%イベルメクチン薬剤添加アーム及び及び20%ドキシサイクリン薬剤添加アームの配合物を調製し、模擬胃液(FASSGF)中で0日、2日間、及び7日間のインキュベーション後に、この技術を用いて試験した。結果は表23に示される。
【0676】
【0677】
実施例55
pH変動に対するイベルメクチンのインビトロ放出
イベルメクチン配合物を、インビトロ放出プロフィールに対する培地のpHと組成の影響について評価した。イベルメクチンを1%シリカ有り又は無しでボールミル粉砕し、180ミクロンの篩に通した。15%API、0.5%SiO
2、0.5%アルファトコフェロール、2%P407、及び12%オイドラギットE、残りの80K PCLとともに有する配合物中で、実施例12に記載のように薬剤-ポリマー混合物を調製した。
図68は、pH6.8とpH1.6における薬剤放出の比較を示す。この配合物は、pH6.8で3日後に約4.75%イベルメクチンの放出をもたらし、pH1.6ではわずかに低い放出をもたらす。
【0678】
引用を特定するために本明細書で参照されたすべての刊行物、特許、特許出願、及び公開された特許出願の開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。統一資源位置指定子(Uniform Resource Locator:URL)の先頭にある「World-Wide-Web」を使用したWebサイト参照には、「World-Wide-Web」を「www」に置き換えることでアクセスできる。
【0679】
前記発明は、理解の明確さのために説明と実施例により詳細に記載されているが、いくつかの変更や修飾が可能であることは、当業者には明らかである。従って、説明及び実施例は、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。