(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-04
(45)【発行日】2024-03-12
(54)【発明の名称】はんだバンプを形成するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/60 20060101AFI20240305BHJP
H01L 23/12 20060101ALI20240305BHJP
【FI】
H01L21/92 604A
H01L21/92 604S
H01L21/60 311Q
H01L23/12 Q
(21)【出願番号】P 2022500766
(86)(22)【出願日】2020-06-17
(86)【国際出願番号】 EP2020066803
(87)【国際公開番号】W WO2021018466
(87)【国際公開日】2021-02-04
【審査請求日】2022-11-21
(32)【優先日】2019-07-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390009531
【氏名又は名称】インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MACHINES CORPORATION
【住所又は居所原語表記】New Orchard Road, Armonk, New York 10504, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100112690
【氏名又は名称】太佐 種一
(72)【発明者】
【氏名】レワンドウスキ、エリック、ピーター
(72)【発明者】
【氏名】ナ、ジェウン
(72)【発明者】
【氏名】ヤウ、ジェン-バン
(72)【発明者】
【氏名】ソース、ピーター、ジェローム
【審査官】小池 英敏
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-173001(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0053886(US,A1)
【文献】特開平11-312758(JP,A)
【文献】特開2001-358160(JP,A)
【文献】国際公開第2019/105716(WO,A1)
【文献】特表2002-500763(JP,A)
【文献】特表2013-520011(JP,A)
【文献】特開2006-210937(JP,A)
【文献】特表2021-504935(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/60
H10L 39/22
H01L 23/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
はんだバンプを形成する方法であって、
モールド基板から第1のフォトレジスト層を通って延びるはんだ柱を有するトランスファ・モールドを準備することであって、前記はんだ柱が、第2のフォトレジスト層によって部分的に規定される形状を有し、前記トランスファ・モールドを準備することが、前記第2のフォトレジスト層の少なくとも一部を除去することを含む、前記準備することと、
湿潤式パッドを含むようにデバイス基板を構成することと、
前記はんだ柱が前記湿潤式パッドと整列するように、前記トランスファ・モールドと前記デバイス基板とを位置合わせすることと、
前記はんだ柱と前記湿潤式パッドとの間に金属結合を形成することと、
前記モールド基板および前記第1のフォトレジスト層を除去することと
を含む方法。
【請求項2】
前記第1のフォトレジスト層が永久フォトレジスト材料を含み、
前記第2のフォトレジスト層が剥離性フォトレジスト材料を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記トランスファ・モールドを準備することが、
前記モールド基板上の湿潤層、
前記モールド基板上のシード層、および
前記第2のフォトレジスト層上の非湿潤層
のうちの少なくとも1つを形成することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記モールド基板が可撓性であり、
前記トランスファ・モールドを準備することが、可撓性のトランスファ・モールドとなるように前記トランスファ・モールドを形成することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記デバイス基板を通る孔を形成することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記デバイス基板であるインタポーザを量子ビット半導体デバイスに取り付けることをさらに含み、
前記量子ビット半導体デバイスがジョセフソン接合を含み、
前記インタポーザを前記量子ビット半導体デバイスに取り付けることが、前記インタポーザを通る前記孔を前記ジョセフソン接合と位置合わせして、前記ジョセフソン接合にアクセスするための経路を提供することを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記はんだ柱が、
前記量子ビット半導体デバイスと前記インタポーザとの間で前記孔の周りに形成される複数のはんだ柱のうちの1つである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記デバイス基板が有機基板を含み、
前記デバイス基板を通る孔を形成することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記はんだ柱が前記トランスファ・モールドの複数のはんだ柱のうちの1つであり、
前記複数のはんだ柱が、第1の直径を有する第1のはんだ柱と第2の直径を有する第2のはんだ柱とを含み、前記第1の直径が前記第2の直径よりも大きい、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記デバイス基板が半導体基板を含み、
前記半導体基板に
凹部を形成することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記半導体基板が前記
凹部に回路部品を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記金属結合を形成することが、前記はんだ柱と前記湿潤式パッドとの間に前記金属結合を形成する冷間溶接プロセスを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記金属結合を形成することが、前記はんだ柱と前記湿潤式パッドとの間に前記金属結合を形成するリフロー・プロセスを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記トランスファ・モールドを準備することが、
前記第1のフォトレジスト層および前記第2のフォトレジスト層をパターニングして、前記第1のフォトレジスト層および前記第2のフォトレジスト層を貫通する凹部を規定することと、
射出成形はんだ付け(IMS)を使用して前記凹部をはんだで充填し、前記はんだ柱を形成することと
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記トランスファ・モールドを準備することが、
前記第1のフォトレジスト層および前記第2のフォトレジスト層をパターニングして、前記第1のフォトレジスト層および前記第2のフォトレジスト層を貫通する凹部を規定することと、
少なくとも一部が前記凹部に設けられるシード層を形成することと、
電気めっきを使用して前記凹部をはんだで充填し、前記はんだ柱を形成することと
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記トランスファ・モールドを準備することが、
上面を有するモールド基板を準備することと、
前記モールド基板の前記上面上に永久フォトレジスト材料から形成された第1のフォトレジスト層を形成することと、
前記第1のフォトレジスト層上に剥離性フォトレジスト材料から形成された第2のフォトレジスト層を形成することと、
前記第1のフォトレジスト層および前記第2のフォトレジスト層をパターニングして、前記第2のフォトレジスト層と前記第1のフォトレジスト層の少なくとも一部とを貫通する凹部を形成することと、
前記凹部にはんだ柱を形成することと、
前記はんだ柱が形成された後に前記第2のフォトレジスト層を除去して、前記第1のフォトレジスト層の上方に延びる前記はんだ柱の一部を残すことと
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記モールド基板が可撓性基板である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記モールド基板上にシード層を形成することをさらに含み、
前記はんだ柱を形成することが、電気めっきを使用して前記はんだ柱を形成することを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記はんだ柱を形成することが、射出成形はんだ付け(IMS)を使用して前記はんだ柱を形成することを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
超伝導量子プロセッサであって、
量子ビットを含む超伝導チップと、
前記超伝導チップに接続され、前記超伝導チップ上の前記量子ビットと位置合わせされた孔を規定するインタポーザと、
前記量子ビットの周りおよび前記インタポーザと前記超伝導チップとの間に円形壁を形成する複数のはんだ相互接続部と
を含む、超伝導量子プロセッサ。
【請求項21】
前記円形壁が少なくとも1つの間隙を含む、請求項20に記載のプロセッサ。
【請求項22】
前記少なくとも1つの間隙が少なくとも10μm幅である、請求項21に記載のプロセッサ。
【請求項23】
前記はんだ相互接続部が、それぞれの金属結合によって前記超伝導チップおよび前記インタポーザに接続される、請求項20に記載のプロセッサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、半導体デバイスと、はんだバンプを形成するための作製方法および作製システムとに関する。
【背景技術】
【0002】
以下で、単語または句の中の接頭辞「Q」または「q」は、使用されている箇所で明確に区別されていない限り、量子コンピューティングの文脈におけるその単語または句への言及を示す。
【0003】
分子および素粒子(subatomic particle)は量子力学の法則に従う。量子力学は、物質界がどのように機能しているのかを最も基本的なレベルで探究する物理学の一部門である。このレベルで、粒子は不思議な挙動を示し、同時に2つ以上の状態をとり、非常に遠く離れた他の粒子と相互作用する。量子コンピューティングは、これらの量子現象を利用して情報を処理する。
【0004】
現在我々が使用しているコンピュータは、古典的コンピュータ(本明細書では「従来型」コンピュータまたは従来型ノードもしくは「CN」とも呼ぶ)として知られている。従来型コンピュータは、半導体材料および半導体技術、半導体メモリ、ならびに磁気または固体記憶デバイスを使用して作製された従来型のプロセッサを、フォン・ノイマン型アーキテクチャとして知られるアーキテクチャ内で使用する。具体的には、従来型コンピュータのプロセッサは、2進プロセッサ、すなわち1および0で表された2進データに対して演算を実施するプロセッサである。
【0005】
量子プロセッサ(qプロセッサ)は、エンタングルされた量子ビット・デバイス(本明細書では簡潔に「量子ビット」と称する)の変わった性質を使用して、計算タスクを実行する。量子力学が機能する特定の領域において、物質の粒子は、例えば「オン」状態、「オフ」状態、および同時に「オン」と「オフ」の両方の状態など、多数の状態で存在し得る。半導体プロセッサを使用する2進コンピューティングは、(2進コードの1および0と等価の)オン状態およびオフ状態だけを使用することに限定されているが、量子プロセッサは、物質のこれらの量子状態を利用して、データ・コンピューティングで使用可能な信号を出力する。
【0006】
従来型コンピュータは、情報をビットとしてコード化する。それぞれのビットは値1または0をとることができる。これらの1および0は、コンピュータ機能を最終的に駆動するオン/オフ・スイッチの働きをする。他方、量子コンピュータは量子ビットに基づき、量子ビットは、量子物理学の鍵となる2つの原理、すなわち重合せおよびエンタングルメントに従って動作する。重合せは、それぞれの量子ビットが1と0の両方を同時に表すことができることを意味する。エンタングルメントは、重合せの量子ビットを古典的でない方法で互いに相関させることができること、すなわち、1つの状態(それが1であるか0であるかまたはその両方であるかに関わらず)が別の状態に依存し得ること、および2つの量子ビットがエンタングルされているときの方が、個別に処理されるときよりも、それらの2つの量子ビットに関して確認できるより多くの情報が存在することを意味する。
【0007】
これらの2つの原理を使用して、量子ビットは、従来型コンピュータを使用することによっては手に負えない難しい問題を量子コンピュータが解決できるようにする方法で量子コンピュータが機能することを可能にする、より洗練された情報プロセッサとして動作する。IBM(R)は、量子プロセッサを構築し、その動作可能性を示すことに成功した(IBMは、米国および他の国におけるInternational Business Machines Corporationの登録商標である)。
【0008】
超伝導量子ビットはジョセフソン接合を含み得る。ジョセフソン接合は、2つの薄膜超伝導金属層を非超伝導材料によって分離することによって形成される。超伝導層の金属を、例えばその金属の温度を指定された極低温まで下げることによって超伝導性にすると、非超伝導層を通して一方の超伝導層から他方の超伝導層へ電子対がトンネリングすることができる。超伝導量子ビットでは、小さいインダクタンスを有するジョセフソン接合が、1つまたは複数の容量性デバイスと並列に電気的に結合されて、非線形共振器を形成する。
【0009】
量子ビットによって処理された情報は、マイクロ波周波数範囲のマイクロ波エネルギの形態で放射される。それらのマイクロ波放射は、その中にコード化された量子情報を解読するために捕捉、処理、および解析される。量子ビットの量子コンピューティングを信頼できるものにするために、量子回路、例えば量子ビット自体、量子ビットに関連した読出し回路、および他のタイプの超伝導量子論理回路が、粒子またはマイクロ波放射のエネルギ状態を著しく変化させてはならない。量子情報を用いて動作する任意の回路に対するこの動作上の制約は、このような回路で使用される半導体構造体を作製する際に特別な考慮を必要とする。
【発明の概要】
【0010】
例示的な実施形態は、はんだバンプを形成する方法を提供する。実施形態において、方法は、モールド基板から第1のフォトレジスト層を通って延びるはんだ柱を有するトランスファ・モールドを準備することを含み、はんだ柱は、第2のフォトレジスト層によって部分的に規定される形状を有し、トランスファ・モールドを準備することは、第2のフォトレジスト層の少なくとも一部を除去することを含む。実施形態において、モールド基板は可撓性で、トランスファ・モールドに可撓性を追加する。実施形態において、トランスファ・モールドは可撓性で、非平面の受入面にはんだを転写しながら適合する。実施形態において、方法は、湿潤式パッドを有するデバイス基板を設けることを含む。実施形態において、方法は、はんだ柱が湿潤式パッドに接触するように、トランスファ・モールドとデバイス基板とを整列接触させて配置することを含む。実施形態において、方法は、はんだ柱と湿潤式パッドとの間に金属結合を形成することを含む。実施形態において、方法は、モールド基板および第1のフォトレジスト層を除去することを含む。
【0011】
実施形態において、方法は、第1のフォトレジスト層が永久フォトレジスト材料を含むことと、第2のフォトレジスト層が剥離性フォトレジスト材料を含むこととを含む。
【0012】
実施形態において、方法は、モールド基板上に湿潤層を形成することを含む。実施形態において、方法は、モールド基板上にシード層を形成することを含む。実施形態において、方法は、第2のフォトレジスト層上に非湿潤層を形成することを含む。
【0013】
実施形態において、モールド基板は可撓性であり、トランスファ・モールドを準備することは、可撓性のトランスファ・モールドとなるようにトランスファ・モールドを形成することを含む。
【0014】
実施形態において、方法は、デバイス基板がインタポーザであることを含み、デバイス基板を設けることは、デバイス基板を通る孔を形成することを含む。実施形態において、方法は、インタポーザを量子ビット半導体デバイスに取り付けることを含み、量子ビット半導体デバイスはジョセフソン接合を含み、インタポーザを量子ビット半導体デバイスに取り付けることは、インタポーザを通る孔をジョセフソン接合と位置合わせして、ジョセフソン接合にアクセスするための経路を提供することを含む。実施形態において、方法は、はんだ柱が、ジョセフソン接合のある程度の熱的分離(thermal isolation)をもたらすために量子ビット半導体デバイスとインタポーザとの間で孔の周りに形成される複数のはんだ柱のうちの1つであることを含む。
【0015】
実施形態において、方法は、デバイス基板が有機基板を含み、デバイス基板を通る孔を形成することを含む。
【0016】
実施形態において、方法は、はんだ柱がトランスファ・モールドの複数のはんだ柱のうちの1つであることと、複数のはんだ柱が、第1の直径を有する第1のはんだ柱と第2の直径を有する第2のはんだ柱とを含むことと、第1の直径が第2の直径よりも大きいこととを含む。
【0017】
実施形態において、方法は、デバイス基板が半導体基板を含むことを含み、半導体基板に深い凹部を形成することをさらに含む。実施態様において、方法は、半導体基板が深い凹部に回路部品を含むことを含む。
【0018】
実施形態において、金属結合を形成することは、はんだ柱と湿潤式パッドとの間に金属結合を形成する冷間溶接プロセスを含む。
【0019】
実施形態において、金属結合を形成することは、はんだ柱と湿潤式パッドとの間に金属結合を形成するリフロー・プロセスを行うことを含む。
【0020】
実施形態において、方法は、第1のフォトレジスト層および第2のフォトレジスト層をパターニングして、第1のフォトレジスト層および第2のフォトレジスト層を貫通する凹部を規定することと、射出成形はんだ付け(IMS:injection molded soldering)を使用して凹部をはんだで充填し、はんだ柱を形成することとを含む。
【0021】
実施形態において、方法は、第1のフォトレジスト層および第2のフォトレジスト層をパターニングして、第1のフォトレジスト層および第2のフォトレジスト層を貫通する凹部を規定することと、少なくとも一部が凹部に設けられるシード層を形成することと、電気めっきを使用して凹部をはんだで充填し、はんだ柱を形成することとを含む。
【0022】
実施形態は、基板にはんだを転写するためのトランスファ・モールドを作製する方法を含む。実施形態において、方法は、上面を有するモールド基板を準備することを含む。実施形態において、方法は、モールド基板の上面上に永久フォトレジスト材料から形成された第1のフォトレジスト層を形成することを含む。実施形態において、方法は、第1のフォトレジスト層上に剥離性フォトレジスト材料から形成された第2のフォトレジスト層を形成することを含む。実施形態において、方法は、第1のフォトレジスト層および第2のフォトレジスト層をパターニングして、第2のフォトレジスト層と第1のフォトレジスト層の少なくとも一部とを貫通する凹部を形成することを含む。実施形態において、方法は、凹部にはんだ柱を形成することを含む。実施形態において、方法は、はんだ柱が形成された後に第2のフォトレジスト層を除去して、第1のフォトレジスト層の上方に延びるはんだ柱の一部を残すことを含む。
【0023】
実施形態において、モールド基板は可撓性基板である。実施形態において、方法は、モールド基板上にシード層を形成することを含み、はんだ柱を形成することは、電気めっきを使用してはんだ柱を形成することを含む。
【0024】
実施形態において、方法は、射出成形はんだ付け(IMS)を使用して、はんだ柱を形成することを含む。
【0025】
実施形態は、基板にはんだを転写するためのトランスファ・モールド装置を含む。実施形態において、装置は、モールド基板と、モールド基板の少なくとも一部の上の、永久フォトレジスト材料から形成された第1のフォトレジスト層と、第1のフォトレジスト層の間隙を通ってモールド基板の上方に延びるはんだ柱とを含む。実施形態において、はんだ柱は、第1のフォトレジスト層の上方に延びる突出部(extrusion)を含む。実施形態において、突出部は、第1のフォトレジスト層上の、剥離性フォトレジスト材料から形成された第2のフォトレジスト層によって部分的に規定される形状を有する。実施形態において、第2のフォトレジスト層は、突出部を囲む開放領域を規定するために、第1のフォトレジスト層の表面の少なくとも一部には略存在しない。
【0026】
実施形態は、量子ビットを含む超伝導チップと、超伝導チップに接続され、超伝導チップ上の量子ビットと位置合わせされた孔を規定するインタポーザと、量子ビットの周りおよびインタポーザと超伝導チップとの間に円形壁を形成する複数のはんだ相互接続部とを含む超伝導量子プロセッサを含む。
【0027】
実施形態において、円形壁は少なくとも1つの間隙を含む。
【0028】
実施形態において、間隙は少なくとも10μm幅である。
【0029】
実施形態において、はんだ相互接続部は、それぞれの金属結合によって超伝導チップおよびインタポーザに接続される。
【0030】
本発明の特徴と考えられる新規の特徴が、添付の特許請求の範囲に示される。しかしながら、本発明自体、ならびに本発明の好ましい使用形態、さらなる目的および利点は、例示的な実施形態の以下の詳細な説明を添付図面と共に参照することによって最もよく理解される。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】例示的な実施形態による、はんだバンプを形成するための例示的な方法を示す概略断面図(A)、(B)、(C)、(D)、(E)、(F)、(G)、(H)、および(J)である。
【
図2】例示的な実施形態によるインタポーザの平面図(A)、例示的な実施形態によるインタポーザの平面図(B)である。
【
図3】例示的な実施形態による半導体パッケージの断面図である。
【
図4】例示的な実施形態によるトランスファ・モールドの断面図である。
【
図5】例示的な実施形態による、はんだバンプを形成するための例示的な方法を示す概略断面図(A)、(B)、(C)、(D)、(E)、および(F)である。
【
図6】例示的な実施形態によるインタポーザの概略的な断面図である。
【
図7】例示的な実施形態による、はんだバンプを形成するための例示的なプロセスのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明を説明するために使用される例示的な実施形態は、一般に、より多様な半導体パッケージまたは超伝導体パッケージ(使用時に明確に区別されない限り、以下では簡潔にパッケージと称する)に量子ビットを組み込む問題に対処し、これを解決する。量子ビットはワイヤ・ボンディング・パッケージにうまく組み込まれ、量子ビット・チップは、基板から離れる方を向くジョセフソン接合により基板にワイヤ・ボンディングされている。他のタイプのパッケージ、例えば、所与のチップ領域において大量の量子ビットを可能にし、クロス・トークの問題を回避できるフリップチップ・パッケージに、量子ビットを組み込むことが望ましい。しかしながら、パッケージの作製後にジョセフソン接合にアクセスできないと、他のタイプのパッケージに量子ビットを使用することができない。
【0033】
例えば、ジョセフソン接合にアクセスして設計周波数を調整することが望ましい。しかしながら、一部のタイプのパッケージでは、ジョセフソン接合に熱または反応種を適用するために利用可能な視線アクセス(line-of-sight access)がないため、設計周波数の調整ができない。例えば、フリップチップ・パッケージは、シリコン・インタポーザに下向きに配置された半導体デバイスまたは超伝導体デバイスを含むので、ジョセフソン接合はインタポーザに面している。したがって、インタポーザはジョセフソン接合へのアクセスをブロックし、それによりジョセフソン接合の熱プロセスまたは化学プロセスを防ぐ。これは、デバイスが組み立てられ冷却されるまで理想的な周波数が不明であるので、作製後に量子ビットの設計周波数を調整できることが望ましいため、問題となる。
【0034】
本発明を説明するために使用される例示的な実施形態は、一般に、普通なら従来のパターニング技術の使用を妨げる、基板のスルーホールを可能にするはんだ転写方法を使用することにより、フリップチップ半導体パッケージにおける量子ビットの設計周波数を調整するという上記の問題に対処し、これを解決する。
【0035】
実施形態は、基板にはんだバンプを形成するための方法を提供する。実施形態において、方法は、作製プロセス中に使用されるトランスファ・モールドを準備することを含む。実施形態において、トランスファ・モールドは、作製されるパッケージのコンポーネント上に構造を転写するために使用される。実施形態において、トランスファ・モールドは、モールド基板から第1のフォトレジスト層を通って延びるはんだ柱を有し、はんだ柱は、第2のフォトレジスト層によって部分的に規定される形状を有し、トランスファ・モールドを準備することは、第2のフォトレジスト層の少なくとも一部を除去することを含む。実施形態において、方法は、湿潤式パッドを有するデバイス基板を準備することを含む。実施形態において、湿潤式パッドは、その上に液体はんだを広げること、またはそれとの金属結合を形成することを促すパッドである。実施形態において、方法は、はんだ柱が湿潤式パッドに接触するように、トランスファ・モールドとデバイス基板とを整列接触させて配置することを含む。実施形態において、方法は、はんだ柱と湿潤式パッドとの間に金属結合を形成する溶接プロセスを行うことを含む。実施形態において、方法は、モールド基板および第1のフォトレジスト層を除去することを含む。
【0036】
以下の説明のために、「上」、「下」、「右」、「左」、「垂直」、「水平」、「上部」、「下部」などの用語およびそれらの派生語は、図面内で方向付けされているような、開示された構造および方法に関連するものとする。「上方」、「上にある」、「上に」、「上部に」、「上に位置決めされた」、または「上部に位置決めされた」などの用語は、第1の構造体などの第1の要素が第2の構造体などの第2の要素上に存在し、第1の要素と第2の要素との間に界面構造体などの介在する要素が存在してもよいことを意味する。用語「直接接触」は、第1の構造体などの第1の要素と第2の構造体などの第2の要素が、2つの要素の界面に中間の導電層、絶縁層、または半導体層なしで接続されていることを意味する。用語「略」または「略同様の」は、長さ、高さ、または向きの違いが、明確な記述(例えば、略同様の用語がない句)と略同様の変形との間に実質的な違いをもたらさない事例を指す。一実施形態において、略(およびその派生語)は、同様のデバイスについて一般的に受け入れられている工学的公差または製造公差による差、例えば、最大10%の値の偏差または最大10°の角度の偏差を指す。
【0037】
説明を明確にするために、また説明の限定を暗示することなしに、例示的な実施形態について、いくつかの例示的な構成を使用して説明する。この開示から、当業者は、説明される目的を達成するために、説明される構成の改変、適合、および修正を考えることができ、それらは、例示的な実施形態の範囲内で考察される。
【0038】
さらに、例示的な実施形態は、特定の実際の構成要素または仮定の構成要素に関して単なる例として説明される。これらおよび他の同様のアーチファクトの任意の特定の明示は、本発明に限定することは意図されていない。これらおよび他の同様のアーチファクトの任意の適切な明示は、例示的な実施形態の範囲内で選択することができる。
【0039】
本開示の例は、説明を分かりやすくするためだけに使用され、例示的な実施形態に限定するものではない。本明細書に挙げる利点は、単なる例であり、例示的な実施形態に限定することは意図されていない。特定の例示的な実施形態によって追加の利点または異なる利点を実現することができる。さらに、特定の例示的な実施形態は、上に挙げた利点の一部もしくは全部を有することがあり、または上に挙げた利点を1つも持たないことがある。
【0040】
図1を参照すると、概略断面図(A)、(B)、(C)、(D)、(E)、(F)、(G)、(H)、および(J)は、例示的な実施形態による、はんだバンプを形成するための例示的な方法を示す。例えば、特定の実施形態において、
図1の(A)~(F)に示すプロセスに従ってトランスファ・モールド100が形成され、次に、
図1の(H)および(J)に示す作製プロセスに従って、トランスファ・モールド100を使用して
図1の(G)に示すインタポーザ114にはんだバンプを形成する。
【0041】
図1の(A)を参照すると、特定の実施形態において、基板102が組立てのために準備される。実施形態において、基板102の準備は、基板102に対する今後のフォトレジスト材料の接着性を向上させるための1つまたは複数のプロセスを含む。例えば、実施形態において、基板102は、(1)汚染を除去する洗浄、(2)水分を除去する脱水ベーキング、および(3)基板への接着促進剤の添加のうちの少なくとも1つを含むような方法で準備される。実施形態において、基板102は、任意の適切な材料から形成された基板である。例えば、実施形態において、基板102は、溶融はんだ温度で安定し、フォトレジスト材料を除去するために使用される剥離溶媒に対して安定した可撓性または剛性材料を含む。例えば、実施形態において、基板102は剛性であり、以下の非限定的な材料の例、すなわち(1)シリコン・ウエハ、(2)ガラス板、(3)セラミック板、または(4)金属板のうちの1つまたは複数から形成される。
【0042】
別の例として、基板102は、以下の非限定的な材料の例、すなわち(1)ポリイミド・フィルム(カプトンなど)、(2)ポリエチレン・テレフタレート(PET)、(3)ポリエチレン・ナフタレート(PEN)、(4)ポリエーテル・エーテル・ケトン(PEEK)、(5)ポリエチレン(PE)、(6)ポリ塩化ビニル(PVC)、および(7)薄い可撓性金属またはガラスのうちの1つまたは複数から形成される非剛性または可撓性基板である。実施形態において、基板102は、比較的低いヤング率を有する可撓性基板である。例えば、実施形態において、基板102は、60kPa~3MPaの範囲のヤング率を有する可撓性基板である。実施形態において、基板102は、ウエハサイズの円形またはそれ以外の基板を含む。実施形態において、基板102は、はんだレジスト(SR)表面を有するベース基板から形成される。
【0043】
図1の(B)を参照すると、特定の実施形態において、適切である任意の既知のフォトリソグラフィ・プロセスを使用して、第1のフォトレジスト層104が基板102上に形成されパターニングされる。例えば、実施形態において、第1のフォトレジスト層104は、既知の技術に従って適用されるドライ・フィルム・レジスト積層体の1つまたは複数のサブ層を含む。別の例として、実施形態において、第1のフォトレジスト層104は、コーティング材料の1回または複数回の塗布によって形成される。これは、コーティング材料の各塗布をスピン・コーティングして、1つまたは複数の薄い均一なサブ層を形成し、このサブ層が、特定の所定の厚さを有する第1のフォトレジスト層104を集合的に形成することを含む。実施形態において、第1のフォトレジスト層104は、フォトレジスト材料の一部を選択的に除去するようにパターニングされることによって、凹部106を形成する。実施形態において、凹部106は基板102まで延びる。実施形態において、第1のフォトレジスト層104は、比較的除去が困難なフォトレジスト材料から構成される。例えば、実施形態において、第1のフォトレジスト層104は、溶融はんだ温度で安定し、高度に架橋されたエポキシなどの剥離性溶媒に対して安定したフォトパターニング可能なレジストから構成される。
【0044】
実施形態において、第1のフォトレジスト層104は、以下の非限定的な材料の例、すなわち(1)撥水性であり、5μm~100μmの範囲の厚さを有する層を形成することのできるドライ・フィルム・ネガティブ・フォトレジスト、例えば、Engineered Materials Systems(EMS) DF-1000シリーズ、例えばEMSDF-1050、(2)5μm~100μmの範囲の厚さを有する層を形成するドライ・フィルム・ネガティブ・フォトポリマ、例えばDuPont Vacrel(R)はんだマスク・フィルム、および(3)1μm~300μmの範囲の厚さを有する層を形成する粘性ポリマとしてまたがるまたは広がることのできるエポキシベースのネガティブ・フォトレジスト、例えばSU-8エポキシベースのレジストのうちの1つまたは複数のサブ層から形成される。例えば、一実施形態において、第1のフォトレジスト層104は、EMSDF-1050の5~10のサブ層(または、別の厚さまたは解像度あるいはその両方を有する他の関連するEMSフォトレジストのうちの1つ)を積層およびパターニングすることによって形成され、各サブ層フィルムは、5μm~100μmの範囲の厚さを有して、25μm~1000μmmの範囲の厚さを有する層104を形成する。別の例として、一実施形態において、DuPont Vacrel(R)はんだマスク・フィルムは、第1のフォトレジスト層と第2のフォトレジスト層との間の、
図4に示すオプションの溶媒バリアまたは接着層414と共に、第1のフォトレジスト層104に使用されて、はんだマスク・フィルムが一次レジスト剥離化学物質の影響を受けないように保護する。実施形態において、第1のフォトレジスト層104の上面は、平面であり、基板102の上面から均一な高さである。
【0045】
図1の(C)および(D)を参照すると、特定の実施形態において、適切である任意の既知のフォトリソグラフィ・プロセスを使用して、第2のフォトレジスト層108が、第1のフォトレジスト層104をパターニングするのに使用されるものと同じパターニングに従って第1のフォトレジスト層104上に形成されパターニングされる。例えば、実施形態において、第2のフォトレジスト層108は、既知の技術に従って適用されるドライ・フィルム・レジスト積層体の1つまたは複数の層を含む。別の例として、実施形態において、第2のフォトレジスト層108は、コーティング材料の1回または複数回の塗布によって形成される。これは、コーティング材料の各塗布をスピン・コーティングして、1つまたは複数の薄い均一なサブ層を形成し、このサブ層が、合わせて特定の所定の厚さを有する第2のフォトレジスト層108を形成することを含む。実施形態において、第2のフォトレジスト層108は、フォトレジスト材料の一部を選択的に除去するようにパターニングされることによって、凹部110を形成する。実施形態において、凹部110は基板102まで延びる。実施形態において、第2のフォトレジスト層108は、比較的除去しやすいフォトレジスト材料から構成される。例えば、実施形態において、第2のフォトレジスト層108は、溶融はんだ温度で安定しているが、溶媒により容易に剥離可能でもある剥離性のフォトパターニング可能なレジストから構成される。
【0046】
実施形態において、第2のフォトレジスト層108は、以下の非限定的な材料の例、すなわち、ドライ・フィルム・ネガティブ・フォトレジスト、例えば(1)DuPont WBRシリーズ、WBR2050、WBR2100、WBR2150(50、100、および150μm厚)、(2)日立RY5325およびRY5345(25および45μm厚)、(3)朝日ドライ・フィルム(Sunfort)、および(4)DuPont Riston(R)シリーズの材料のうちの1つまたは複数のサブ層から形成される。例えば、一実施形態において、第2のフォトレジスト層108は、WBRシリーズのドライ・フィルム・レジストの5~10のサブ層を積層およびパターニングすることによって形成され、各サブ層フィルムは、50μm~100μmの範囲の厚さを有して、250μm~1000μmの範囲の厚さを有する層108を形成する。実施形態において、第2のフォトレジスト層108の上面は、平面であり、基板102の上面から均一な高さである。
【0047】
実施形態において、第2のフォトレジスト層108の上面は、平面であり、基板102の上面から均一な高さである。実施形態において、凹部110は円筒形である。別の実施形態において、凹部110は円錐台形であり、凹部110の内径が第2のフォトレジスト層108の上面で比較的大きく、基板102の上面における凹部110の底部で比較的小さい。凹部110の上部における比較的広い開口部は、以下で説明するように、はんだ注入後の分離を容易にする。
【0048】
図1の(E)を参照すると、特定の実施形態において、射出成形はんだ付け(IMS)を使用して凹部110が充填され、充填ヘッド116が基板102を横切り、凹部110に溶融はんだを注入して柱112を形成する。実施形態において、凹部110が上部まで完全に充填されることにより、マスクにはんだくずを残すことなく、結果として得られるはんだバンプの高さの均一性を保証し、柱112を固化して凹部110の形状に適合させることができる。実施形態において、凹部110では、はんだフラックスが使用されていない。実施形態において、柱112は導電性であり、比較的高い融点を有するが、好ましくは285℃未満、または基板102に適合しない他の温度である。例えば、柱112を形成するためにはんだとして使用される材料の非限定的な例は、スズ、インジウム、スズ合金、あるいは、Ag、Cu、Zn、Bi、In、Sb、Ni、Co、Ge、もしくはFe、またはその組合せを含むインジウム合金を使用する無鉛はんだである。これは、括弧内に示す比較的高い融点を有し、Sn-20Au(280℃)、Sn-5Sb(243℃)、純Sn(232℃)、Sn-0.7Cu(227℃)、Sn-3.5Ag(221℃)、およびSn-3.8AG-1.0Cu(217℃)を含む。
【0049】
一実施形態において、柱112に使用される材料は、第1のフォトレジスト層104および第2のフォトレジスト層108の組合せ厚さのよりも大きい高さに堆積され、裏面研削、エッチング、または他の平坦化プロセスが行われて、柱112の上面と第2のフォトレジスト層108の上面とが、
図1の(E)に示すように同一平面になる。別の実施形態において、導電性の柱112は、銅めっきまたは銅スタッド・バンプによって形成された3次元金属ポストである。
【0050】
図1の(F)を参照すると、2つの異なるフォトレジスト層104および108についての理由が、第1のフォトレジスト層104が存在し、第2のフォトレジスト層108が存在しないことによって示される。実施形態において、第2のフォトレジスト層108について前述したようなフォトレジスト層を除去するための剥離プロセスは、既知の方法に従って行われる。例えば、実施形態において、第2のフォトレジスト層108は、ウエハ・レベル・パッケージング(WLP)に適したレジスト剥離剤を使用して除去される。このレジスト剥離剤は、ウエハ・バンピングおよびWLPで使用される厚いフォトレジストを効果的に除去するために配合された水性有機混合物、例えばDuPont(TM) EKC162(TM)レジスト剥離剤である。第1のフォトレジスト層104は、このようなレジスト剥離剤に対して安定したフォトレジスト材料から形成されるため、第1のフォトレジスト層104は残り、第2のフォトレジスト層108の残りの部分は剥離されて導電性の柱112を残す。実施形態において、第2のフォトレジスト層108が除去された後、柱112の突出部が第1のフォトレジスト層104の上方に残る。残っている構造が
図1の(F)に示され、これは、インタポーザ114にはんだバンプ122を形成するためのトランスファ・モールド100の実施形態の例である。
【0051】
図1の(G)ならびに
図2の(A)および(B)を参照すると、
図1の(G)はインタポーザ114の断面図であり、
図2の(A)および(B)は例示的な実施形態によるインタポーザ114の平面図である。特定の実施形態において、インタポーザ114は、適切な半導体基板材料から形成されたウエハまたは基板から形成される。例えば、実施形態において、インタポーザ114は、以下の非限定的な材料の例、すなわち(1)シリコン、(2)ガラス、および(3)有機基板材料のうちの1つまたは複数から形成される。実施形態において、インタポーザ114は、インタポーザ114の上面と下面との間に高密度の相互接続を提供する導電構造を含む。例えば、実施形態において、インタポーザ114は、その上面および下面に金属化層を接続する複数のスルーシリコン・ビア(TSV)を含む。
【0052】
実施形態において、インタポーザ114は、以下で説明し
図3に示すフリップチップ方式でインタポーザ114に接続される半導体デバイス上の量子ビットと並ぶように選択的に位置決めされた複数のスルーホール118を規定する。例えば、実施形態において、スルーホール118は、50μm~500μmの範囲の内径を有する。実施形態において、インタポーザ114は、複数の湿潤式パッド120も含む。例えば、実施形態において、インタポーザ114は、アンダー・バンプ冶金(UBM)パッド120を含む。例えば、実施形態において、UBMパッド120は、トランスファ・モールド100の柱112との整列および接続を可能にする既知の技術に従って配置および構築することができる。実施形態において、様々なスルーホールは、エッチング・フォトリソグラフィ・プロセスまたはレーザ穿孔によって形成される。
【0053】
図1の(H)を参照すると、この図は、例示的な実施形態によるトランスファ・モールド100にインタポーザ114を取り付けた結果を示す。特定の実施形態において、インタポーザ114は、トランスファ・モールド100上に位置合わせされ、インタポーザのUBMパッド120とそれぞれのモールド柱112との間に金属結合を形成する溶接プロセスが行われる。
【0054】
本明細書で使用される用語「金属結合」は、一般に、結合金属物品が金属の隣接する電子間に存在する同じ引力によって共に保持され、結合金属物品の価電子が結合金属物品間を自由に移動する、結合金属物品間の冶金結合を指す。
【0055】
金属結合の例として、限定されないが、溶加材/卑金属界面ではんだ付けすることによって生じる結合が含まれ、この界面では、はんだが少量の卑金属と反応し、金属間化合物を形成することによって金属を湿潤させ、固化すると、はんだ接合が、接着または機械的取付けを超える、はんだと卑金属との金属結合となる。
【0056】
本明細書で使用される用語「溶接プロセス」は、特に示されない限り、一般に、金属結合をもたらす金属を接合するための任意のプロセスを指す。溶接プロセスの例として、限定されないが、溶加材/卑金属界面ではんだ付けすることによって生じる結合が含まれ、この界面では、はんだが少量の卑金属と反応し、金属間化合物を形成することによって金属を湿潤させ、固化すると、はんだ接合が、接着または機械的取付けを超える、はんだと卑金属との金属結合となる。
【0057】
一実施形態において、柱112は、UBMパッド120と接触している間に溶融し始めるまで柱112を加熱するリフロー・プロセスを使用して、それぞれのUBMパッド120に取り付けられ、その後、柱112は冷却および再固化することができる。このプロセスは、柱112とそれぞれのUBMパッド120との間にはんだ接合をもたらす。別の実施形態において、柱112とUBMパッド120との間の金属結合は、リフロー温度未満の温度で特定の金属を結合する冷間溶接プロセスによって、例えば、室温拡散または室温とリフロー温度との間の温度での拡散によって形成される。例えば、実施形態において、柱112とUBMパッド120との間の金属結合は、室温で、またはある程度の熱を加えた状態で圧力を加えることを含む冷間溶接プロセスによって形成される。
【0058】
図1の(J)を参照すると、この図は、基板102および第1のフォトレジスト層104を除去した後の、スルーホール118とはんだバンプ122とを含むインタポーザ114を示す。特定の実施形態において、柱112のはんだとUBMパッド120との間の金属結合が、柱112を基板102に保持していた二次タイプの力、例えば、分散力またはファン・デル・ワールス・タイプの力よりもはるかに強いため、基板102および第1のフォトレジスト層104をインタポーザ114から離して持ち上げることができ、インタポーザ114に取り付けられた柱112を残すことができる。
【0059】
図2の(A)および(B)を参照すると、これらの図は、インタポーザ114にはんだバンプ122が形成された状態の、
図1の(J)に示すインタポーザ114の実施形態の平面図である。
図2の(A)に示す例示的な実施形態において、構成200aは複数のはんだバンプ122を含み、これらのはんだバンプ122は、間隙202によって分離され、スルーホール118の周囲に形成されている。
図2の(B)に示す例示的な実施形態において、構成200bは、複数のはんだバンプ122を含み、これらのはんだバンプ122は、それぞれ隣接するバンプ122に接触し、スルーホール118の周囲に形成されている。構成200aおよび200bのはんだバンプ122は、下記の熱的操作または化学的操作中にジョセフソン接合304(
図3に示す)の熱的分離を集合的に向上させ、それにより、他の構成要素に影響を与えるまたは損傷を与える焼鈍作業による熱を防ぐのを助ける。
【0060】
実施形態において、はんだバンプ122の構成200aは、互いに物理的に接触することなくスルーホール118を囲むように配置されるため、隣接するはんだバンプ122間に間隙202が存在する。例えば、構成200aの実施形態において、スルーホール118の周囲に形成されたはんだバンプ122は、スルーホール118に整合する円筒形領域の少なくとも半分をブロックし、インタポーザ114とその上に取り付けられた基板302との間に延びる。実施形態において、はんだバンプ122の構成200bは、間隙202なしでスルーホール118を囲むように配置される。しかしながら、このような実施形態は良好な熱的分離をもたらすが、はんだバンプ122が連続したリングを形成する場合、例えばバスを介して量子ビットにアクセスすることは困難である。したがって、熱伝達および物質移動を最小限に抑えるのに十分に小さい10μm程度、例えば10μm~20μmの範囲の少なくとも1つまたは複数の間隙202を残して、略連続したリングを形成することが好ましい。実施形態において、間隙202の数は、量子ビット接続性(例えば、読出し共振器の数と量子ビット・バスに対する量子ビット数との合計)によって決まる。実施形態において、はんだバンプ122の連続したまたは略連続したリングは、フォトリソグラフィ、IMS、または1つもしくは複数の任意の形状のリング・セグメントを電気めっきすることによって形成される。別の実施形態において、パターニングされた湿潤性セグメント化リングを含む基板に球形のバンプ122を転写することによって、はんだバンプ122の連続したまたは略連続したリングが形成され、次に、トランスファ・モールドを除去した後に第2のリフローを行うと、はんだがセグメント化リングを湿潤させる。さらに別の実施形態において、はんだバンプ122の連続したまたは略連続したリングは、セグメント化リング周囲の内側に、狭いピッチでバンプをパターニングすることによって形成され、インタポーザが超伝導チップ300(または他の基板)に取り付けられている間に、加えられる圧力および熱の量に応じてバンプ122が統合するようにする(例えば、接合中の圧力が高いほど、互いに物理的に接触するバンプが短く幅広になる)。
【0061】
図3を参照すると、この図は、例示的な実施形態による、例示的な半導体パッケージの断面図である。特定の実施形態において、半導体パッケージは、シリコン・インタポーザ114に下向きに配置された超伝導チップ300を含むフリップチップ・パッケージである。超伝導チップ300は、複数の量子ビット・ジョセフソン接合304を有する基板302を含む。実施形態において、ジョセフソン接合304は、インタポーザ114によって規定されたスルーホール118と位置合わせされる。実施形態において、スルーホール118は、直熱、電磁(EM)放射、または反応化学種がインタポーザ114を通過できるようにする視線経路308を提供するので、接合修正システム306がそのような熱、放射、または化学種をジョセフソン接合304上に向けて量子ビットの周波数を調整することができる。実施形態において、経路308は10μm~20μmの範囲の外径を有する。例えば、実施形態において、経路308は約15μmの外径を有する。
【0062】
実施形態において、量子ビット回路が形成される基板302は、高抵抗(固有)シリコン・ウエハである。別の実施形態において、ジョセフソン接合304は、Al/AlOx/Al構造体を形成するための出発化合物としてアルミニウムを使用して、シリコン(Si)基板302上に作製される。例えば、実施形態において、基板302は、低温での誘電正接を低減させるように選択される。例えば、実施形態において、基板302は、ジョセフソン接合304に使用する超伝導材料および誘電材料に選択的にエッチングされる材料となるように選択される。例えば、実施形態において、基板302は、高抵抗Siウエハである。
【0063】
実施形態において、ジョセフソン接合304を調整して、量子ビットの周波数を調整する。実施形態において、ジョセフソン接合304の調整は、ジョセフソン接合304に対する加熱、放射、または化学種の適用により、ジョセフソン接合304内で物理的変化が生じて抵抗の変化をもたらすことを可能にすることを含む。
【0064】
図4を参照すると、この図は、例示的な実施形態により含むことのできるオプションの層を示す、例示的なトランスファ・モールドの断面図である。
【0065】
例えば、実施形態は、はんだが凹部410を適切に充填することを妨げる、問題のあるタイプのはんだ、または問題のある柱のアスペクト比を使用して柱112を形成することを含む。したがって、凹部の底部において、湿潤層は、はんだが凹部を充填して、はんだが硬化しているときに底部にとどまることを可能にする金属の薄層である。そのような実施形態において、湿潤層を採用して、湿潤層を層位置412に形成し、場合によって層位置418にも形成することにより問題を解決する。湿潤層は、その後の導電性材料を、湿潤層を有する表面、すなわち層位置412または418あるいはその両方における表面との最小限の相互作用でリフローすることを可能にする。例えば、実施形態は、層位置412および418に形成されたチタンおよび金、銀または銅のうちの1つまたは複数を含む湿潤層を含み、次に、アルミニウム(Al)を含む柱112が堆積およびリフローされて開口部410を充填し、層位置412および418における柱112のアルミニウム(Al)と湿潤層との最小限の相互作用で柱112を形成することができる。例えば、実施形態は、チタンと金、銀、および銅のうちの1つまたは複数とを含む湿潤層を含み、この湿潤層においてチタンが基板との間の接着層として作用し、金、銀、または銅、あるいはその組合せが湿潤層として作用し、その後の(ある期間の)リフロー中に、金/銀/銅が柱112の材料によって消費された後、チタンをディウェッティングし(de-wet)、柱112を基板402からより容易に分離可能にする。
【0066】
実施形態において、シード層が層位置412に形成されて、
図1の(E)に関連して前述した射出成形を使用する代わりに、既知の電気めっきプロセスによって柱112を形成できるようにする。別の実施形態において、金の層が層位置412に形成され、はんだが凹部410に注入されて柱を形成する。金は、はんだと反応して、はんだが凹部410に確実にとどまるようにする、高エネルギ金属である。例えば、このような一実施形態において、層位置412の金はまた、加熱されると剥離層として作用して、容易な分離を可能にしつつ、様々なプロセス段階中にはんだを凹部に維持するのを助ける。これは、比較的高いアスペクト比を有する柱112を転写するときに有用である。
【0067】
実施形態において、層位置412および414の一方または両方は、第1のフォトレジスト層404を基板402(層位置412)に固定するのに役立つ、または第2のフォトレジスト層408を第1のフォトレジスト層404(層位置414)に固定するのに役立つ金属層または接着層として設けられる。
【0068】
実施形態において、層位置416は、第2のフォトレジスト層408にはんだが堆積することを防ぐ非湿潤層として設けられる。例えば、実施形態において、層位置416のチタン、モリブデン、またはグラファイトの層は非湿潤層として作用する。これは、はんだがリフローし、露出したチタン、モリブデン、またはグラファイトに接触すると、これらの材料の非湿潤性により、はんだが金属結合ではなく、ばらばらの(loose)はんだボールを形成する傾向があるからである。
【0069】
図5を参照すると、この図は、例示的な実施形態による、はんだバンプを形成するための例示的な方法を示す概略断面図(A)、(B)、(C)、(D)、(E)、および(F)である。例えば、特定の実施形態において、トランスファ・モールド506は、スルーホール504を有する有機基板502にはんだバンプ514を形成するために使用される。実施形態において、量子ビット・デバイス516は、有機基板502のスルーホール504を通過する経路528に沿って直熱、電磁(EM)放射、または反応化学種を放出することによって量子ビット518を調整することができるような、フリップチップ実装型である。
【0070】
図5の(A)および(B)を参照すると、特定の実施形態において、有機基板502が提供され、スルーホール504が、切削され、穿孔され、またはそれ以外の方法で形成されている。実施形態において、スルーホール504は、エッチング・フォトリソグラフィ・プロセスまたはレーザ穿孔によって形成される。代替実施形態において、有機基板502にスルーホール504が予め形成されている。実施形態において、有機基板502は、非限定的な例として、エポキシおよびビスマレイミド・トリアジン(BT)樹脂のガラス繊維から形成された積層材料を含む。実施形態において、スルーホール504は、基板502の複数のスルーホールのうちの1つである。
【0071】
別の例として、基板502は、以下の非限定的な材料の例、すなわち(1)ポリイミド・フィルム(カプトンなど)、(2)ポリエチレン・テレフタレート(PET)、(3)ポリエチレン・ナフタレート(PEN)、(4)ポリエーテル・エーテル・ケトン(PEEK)、(5)ポリエチレン(PE)、(6)ポリ塩化ビニル(PVC)、および(7)薄い可撓性金属またはガラスのうちの1つまたは複数から形成される非剛性または可撓性基板である。実施形態において、基板502は、比較的低いヤング率を有する可撓性基板である。例えば、実施形態において、基板502は、60kPa~3MPaの範囲のヤング率を有する可撓性基板である。
【0072】
図5の(C)を参照すると、
図1の(A)~(F)に示し前述したように、トランスファ・モールド506が作製され、基板508、第1のフォトレジスト層510、ならびに対の小さい柱512および対の大きい柱512を含む複数の柱512を有する図示された構造が得られる。
【0073】
実施形態において、基板508は、以下の非限定的な材料の例、すなわち(1)ポリイミド・フィルム(カプトンなど)、(2)ポリエチレン・テレフタレート(PET)、(3)ポリエチレン・ナフタレート(PEN)、(4)ポリエーテル・エーテル・ケトン(PEEK)、(5)ポリエチレン(PE)、(6)ポリ塩化ビニル(PVC)、および(7)薄い可撓性金属またはガラスのうちの1つまたは複数から形成される非剛性または可撓性基板である。実施形態において、基板508は、比較的低いヤング率を有する可撓性基板である。例えば、実施形態において、基板508は、60kPa~3MPaの範囲のヤング率を有する可撓性基板である。
【0074】
実施形態において、トランスファ・モールド506は可撓性であり、はんだを転写するための平坦なまたは肉眼的に湾曲した基板に適合することができる。例えば、実施形態において、トランスファ・モールド506および基板508の両方が可撓性であり、はんだがトランスファ・モールド506から基板502に転写される間は非平面である。実施形態において、基板508は、剛性であるが肉眼的に湾曲し、トランスファ・モールド506は可撓性であり、はんだを基板502に転写している間、基板508の形状に適合するように曲がる。
【0075】
図5の(D)を参照すると、
図1の(H)および(J)を参照して前述したように、トランスファ・モールド506は、有機基板502にはんだバンプ514を形成して、柱512がはんだバンプ514となるようにする。実施形態において、有機基板502は、銅、金、またはニッケルから形成された湿潤式パッド(図示せず)を含んで、はんだバンプ514との金属結合を形成するための接触面を提供することができる。
【0076】
図5の(E)および(F)を参照すると、これらの図は、例示的な実施形態による、例示的な半導体パッケージの断面図である。特定の実施形態において、半導体パッケージは、有機基板502に下向きに配置された、複数の量子ビット・ジョセフソン接合518を有する半導体デバイス516を含むフリップチップ・パッケージである。
【0077】
実施形態において、ジョセフソン接合518は、有機基板502によって規定されたスルーホール504と位置合わせされる。実施形態において、スルーホール504は、接合修正システム526が直熱、電磁(EM)放射、または反応化学種を経路528に沿って放出して、各量子ビット・ジョセフソン接合518を調整することを可能にする。
【0078】
例えば、実施形態において、接合修正システム526は、直熱、電磁(EM)放射、または反応化学種を経路528に沿ってジョセフソン接合518に放出することによってジョセフソン接合518を修正し、ジョセフソン接合518内で物理的変化が生じて抵抗の変化をもたらすことを可能にする。
【0079】
図6を参照すると、この図は、
図1の(A)~(J)に関連して前述したものと同じ方法でトランスファ・モールドを使用して形成できるはんだバンプ606間に深いウェル機構(well feature)604を有するインタポーザ600を示す。特定の実施形態において、インタポーザ600は、凹部604の底部に凹んだ回路部品608を有する基板602を含む。例えば、実施形態において、凹部604はマイクロ波キャビティであり、回路部品はジョセフソン接合を有する量子ビットである。実施形態において、はんだバンプ606は、インジウムまたはインジウム合金から形成される。実施形態において、
図1の(F)に示すトランスファ・モールド100などのトランスファ・モールドを使用して基板602にはんだバンプ606が形成され、はんだバンプ606用のはんだはトランスファ・モールド100の柱112から転写される。
【0080】
図7を参照すると、この図は、例示的な実施形態による、はんだバンプのための例示的なプロセス700のフローチャートである。特定の実施形態において、プロセス700は、
図1の(A)~(J)、
図2、および
図3に関連して前述したプロセスを含む。
【0081】
特定の実施形態において、ブロック702で、基板が組立てのために準備される。実施形態において、基板の準備は、基板に対する今後のフォトレジスト材料の接着性を向上させるための1つまたは複数のプロセスを含む。例えば、実施形態において、基板は、(1)汚染を除去する洗浄、(2)水分を除去する脱水ベーキング、および(3)基板への接着促進剤の添加のうちの少なくとも1つを含むような方法で準備される。
【0082】
実施形態において、ブロック704で、適切である任意の既知のフォトリソグラフィ・プロセスを使用して、第1のフォトレジスト層が基板上に形成されパターニングされる。実施形態において、第1のフォトレジスト層は、比較的除去が困難な「永久」フォトレジスト材料の1つまたは複数のサブ層から構成される。例えば、実施形態において、第1のフォトレジスト層は、溶融はんだ温度で安定し、高度に架橋されたエポキシなどの剥離性溶媒に対して安定したフォトパターニング可能なレジストから構成される。実施形態において、第1のフォトレジスト層は、コーティング材料の1回または複数回の塗布によって形成される。これは、コーティング材料の各塗布をスピン・コーティングして、1つまたは複数の薄い均一なサブ層を形成し、このサブ層が、合わせて特定の所定の厚さを有する第1のフォトレジスト層を形成することを含む。続いて、第1のフォトレジスト層は、フォトレジスト材料の一部を選択的に除去するようにパターニングして凹部を形成することによって形成される。実施形態において、凹部は基板まで延びる。
【0083】
実施形態において、ブロック706で、第2のフォトレジスト層が、適切である任意の既知のフォトリソグラフィ・プロセスを使用して、第1のフォトレジスト層をパターニングするのに使用されるものと同じパターニングに従って第1のフォトレジスト層上に形成されパターニングされる。実施形態において、第2のフォトレジスト層は、比較的除去しやすいフォトレジスト材料の1つまたは複数のサブ層から構成される。例えば、実施形態において、第2のフォトレジスト層は、溶融はんだ温度で安定しているが、溶媒により容易に剥離可能でもある「剥離性」のフォトパターニング可能なレジストから構成される。実施形態において、第2のフォトレジスト層は、コーティング材料の1回または複数回の塗布によって形成される。これは、コーティング材料の各塗布をスピン・コーティングして、1つまたは複数の薄い均一なサブ層を形成し、このサブ層が、合わせて特定の所定の厚さを有する第2のフォトレジスト層を形成することを含む。続いて、第2のフォトレジスト層は、フォトレジスト材料の一部を選択的に除去するようにパターニングして凹部を形成することによって形成される。
【0084】
実施形態において、ブロック708で、ブロック704および706のパターニングはパターン機構を含み、パターン機構では、ブロック704で形成された凹部がブロック706で形成された凹部に整合するように、凹部が形成され配置される。実施形態において、ブロック704および706で形成された凹部は、第2のフォトレジスト層の上面から基板の上面まで延びる。一部の実施形態において、ブロック706および708は、場合により、
図4を参照して説明した、位置412、414、416、および418における任意の1つまたは複数の層を形成することを含むことができる。
【0085】
実施形態において、ブロック710で、射出成形はんだ付け(IMS)を使用して凹部が充填され、充填ヘッドが基板を横切り、凹部に溶融はんだを注入して柱を形成する。実施形態において、凹部が上部まで完全に充填されることにより、マスクにはんだくずを残すことなく、結果として得られるはんだバンプの高さの均一性を保証し、柱を固化して凹部の形状に適合させることができる。ブロック710は、代わりに、電気めっきを使用して柱を形成することを含んでもよいことが理解されよう。
【0086】
実施形態において、ブロック712で、第2のフォトレジスト層は、ウエハ・レベル・パッケージング(WLP)に適したレジスト剥離剤を使用して除去される。例えば、実施形態において、レジスト剥離剤は、ウエハ・バンピングおよびWLPで使用される厚いフォトレジストを効果的に除去するために配合された水性有機混合物、例えばDuPont(TM) EKC162(TM)レジスト剥離剤である。第1のフォトレジスト層は、このようなレジスト剥離剤に対して安定したフォトレジスト材料から形成されるため、第1のフォトレジスト層は残り、第2のフォトレジスト層の残りの部分は剥離されて導電性の柱を残す。
【0087】
実施形態において、ブロック714で、適切な半導体基板材料から形成されたウエハまたは基板から、インタポーザが形成される。実施形態において、インタポーザは、フリップチップ方式でインタポーザに接続される半導体デバイス上の量子ビットに並ぶように選択的に位置決めされた複数のスルーホールを規定する。実施形態において、スルーホールは、エッチング・フォトリソグラフィ・プロセスまたはレーザ穿孔によって形成される。
【0088】
実施形態において、ブロック716で、インタポーザ上のはんだ接点が、トランスファ・モールドの柱に面し、かつこれと並ぶように、インタポーザを反転させることによって、インタポーザがトランスファ・モールドに取り付けられる。
【0089】
実施形態において、ブロック718で、インタポーザは、インタポーザのUBMパッドとそれぞれのトランスファ・モールドの柱との間に金属結合を形成することによってトランスファ・モールドに取り付けられる。一実施形態において、柱は、UBMパッドと接触している間に溶融し始めるまで柱を加熱するリフロー・プロセスを使用して、それぞれのUBMパッドに取り付けられ、その後、柱は冷却および再固化して、柱とそれぞれのUBMパッドとの間にはんだ接合をもたらすことができる。別の実施形態において、柱とUBMパッドとの間の金属結合は、リフロー温度未満の温度で特定の金属を結合する冷間溶接プロセスによって、例えば、室温拡散または室温とリフロー温度との間の温度での拡散によって形成される。例えば、実施形態において、柱とUBMパッドとの間の金属結合は、室温で、またはある程度の熱を加えた状態で圧力を加えることを含む冷間溶接プロセスによって形成される。
【0090】
実施形態において、ブロック720で、基板および第1のフォトレジスト層が、現在インタポーザに金属結合されている柱から除去される。特定の実施形態において、柱のはんだとUBMパッドとの間の金属結合が、柱を基板に保持していた二次タイプの力、例えば、分散力またはファン・デル・ワールス・タイプの力よりもはるかに強いため、基板および第1のフォトレジスト層をインタポーザから離して持ち上げ、インタポーザに取り付けられた柱を残すことができる。
【0091】
実施形態において、ブロック722で、複数の量子ビット・ジョセフソン接合を有する半導体デバイスが、シリコン・インタポーザに下向きに配置される。実施形態において、ジョセフソン接合は、インタポーザによって規定されたスルーホールと位置合わせされ、接合修正システムが直熱、電磁(EM)放射、または反応化学種を放出して半導体デバイス上の量子ビット・ジョセフソン接合を調整することができる。
【0092】
実施形態において、ブロック724で、プロセスは、ジョセフソン接合の抵抗を調整して、量子ビットの周波数を調整する。実施形態において、接合修正システムは、インタポーザのスルーホールを通る経路を使用して、直熱、電磁(EM)放射、または反応化学種を適用することによって、ジョセフソン接合を調整する。
【0093】
以下の定義および略語は、特許請求の範囲および本明細書の解釈のために使用されるものとする。本明細書で使用されるとき、用語「備える」、「備えている」、「含む」、「含んでいる」、「有する」、「有している」、「収容する」、または「収容している」、あるいはそれらの任意の他の変形は、非排他的な介在物を含むものとする。例えば、要素のリストを含む組成物、混合物、プロセス、方法、物品、または装置は、必ずしもそれらの要素のみに限定されるのではなく、明確に挙げられていない他の要素、またはそのような組成物、混合物、プロセス、方法、物品、もしくは装置に固有の他の要素を含むことができる。
【0094】
加えて、用語「例示的な」は、「一例、例、または例示として働くこと」を意味するために本明細書で使用される。「例示的な」として本明細書に記載された任意の実施形態または設計は、必ずしも他の実施形態または設計よりも好ましいまたは有利であると解釈されるものではない。用語「少なくとも1つの」および「1つまたは複数の」は、1以上の任意の整数、すなわち、1、2、3、4などを含むと理解される。用語「複数」は、2以上の任意の整数、すなわち、2、3、4、5などを含むと理解される。用語「接続」は、間接「接続」および直接「接続」を含み得る。
【0095】
本明細書における「一実施形態」、「ある実施形態」、「例示的な実施形態」などへの言及は、説明された実施形態が特定の特徴、構造、または特性を含むことができるが、すべての実施形態がこの特定の特徴、構造、または特性を含んでも含まなくてもよいことを示す。また、そのような句は、必ずしも同じ実施形態に言及しているわけではない。さらに、特定の特徴、構造、または特性がある実施形態に関連して説明されるとき、明示的に説明されているか否かに関わらず、他の実施形態に関連するそのような特徴、構造、または特性に影響を与えることは当業者の知識の範囲内であることが提示される。
【0096】
用語「約」、「略」、「おおよそ」、およびそれらの変形は、本出願の提出時に利用可能な機器に基づく特定の量の測定に関連した誤差の程度を含むことが意図されている。例えば、「約」は、所与の値の±8%、または5%、または2%の範囲を含むことができる。
【0097】
本発明の様々な実施形態の説明は、例示の目的で提示されているが、網羅的であることも、開示された実施形態に限定することも意図されていない。記載された実施形態の範囲から逸脱することなく、多くの変更および変形が当業者に明らかであろう。本明細書で使用される用語は、実施形態の原理、市場で見られる技術に対する実際の応用または技術的改良を最もよく説明するために、または当業者が本明細書に記載された実施形態を理解できるようにするために選択された。
【0098】
したがって、コンピュータ実装方法、システムまたは装置、およびコンピュータ・プログラム製品が、オンライン・コミュニティへの参加を管理するための例示的な実施形態、および他の関連する特徴、機能、または動作において提供される。実施形態またはその一部が、デバイスのタイプに関して説明される場合、コンピュータ実装方法、システムまたは装置、コンピュータ・プログラム製品、またはその一部は、そのタイプのデバイスの適切かつ同等の明示を伴う使用のために適合または構成される。
【0099】
実施形態が、アプリケーションに実装されるものとして説明される場合、サービスとしてのソフトウェア(SaaS)モデルにおけるアプリケーションの配信は、例示的な実施形態の範囲内にあるものと考えられる。SaaSモデルでは、実施形態を実施するアプリケーションの能力は、クラウド・インフラストラクチャでアプリケーションを実行することによってユーザに提供される。ユーザは、ウェブ・ブラウザ(例えば、ウェブベースの電子メール)、または他の軽量なクライアント・アプリケーションなどのシン・クライアント・インターフェースを通じて様々なクライアント・デバイスを使用してアプリケーションにアクセスすることができる。ユーザは、ネットワーク、サーバ、オペレーティング・システム、またはクラウド・インフラストラクチャのストレージを含む基礎となるクラウド・インフラストラクチャの管理または制御を行わない。場合によっては、ユーザは、SaaSアプリケーションの能力の管理または制御さえもしなくてよい。他のいくつかの場合では、アプリケーションのSaaS実装は、限定的なユーザ固有アプリケーション構成設定の可能な例外を許容することができる。
【0100】
本発明は、任意の可能な統合の技術的詳細レベルにおけるシステム、方法、またはコンピュータ・プログラム製品、あるいはその組合せであってよい。コンピュータ・プログラム製品は、プロセッサに本発明の態様を実行させるためのコンピュータ可読プログラム命令を有するコンピュータ可読記憶媒体(または複数の媒体)を含むことができる。
【0101】
コンピュータ可読記憶媒体は、命令実行デバイスによって使用するための命令を保持し格納することができる有形デバイスであってよい。コンピュータ可読記憶媒体は、例えば、電子ストレージ・デバイス、磁気ストレージ・デバイス、光学ストレージ・デバイス、電磁ストレージ・デバイス、半導体ストレージ・デバイス、またはこれらの任意の適切な組合せであってよいが、これらに限定されない。コンピュータ可読記憶媒体のより具体的な例の非網羅的なリストには、以下のもの、すなわち、携帯型コンピュータ・ディスケット、ハード・ディスク、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、読取り専用メモリ(ROM)、消去可能なプログラマブル読取り専用メモリ(EPROMもしくはフラッシュ・メモリ)、スタティック・ランダム・アクセス・メモリ(SRAM)、携帯型コンパクト・ディスク読取り専用メモリ(CD-ROM)、デジタル・バーサタイル・ディスク(DVD)、メモリ・スティック、フロッピ(R)・ディスク、パンチカードもしくは命令が記録されている溝内の隆起構造などの機械的に符号化されたデバイス、およびこれらの任意の適切な組合せが含まれる。本明細書で使用されるコンピュータ可読記憶媒体は、電波もしくは他の自由に伝搬する電磁波、導波路もしくは他の伝送媒体を伝搬する電磁波(例えば光ファイバ・ケーブルを通過する光パルス)、または電線を介して伝送される電気信号などの、一過性の信号自体であると解釈されるべきではない。
【0102】
本明細書に記載のコンピュータ可読プログラム命令は、コンピュータ可読記憶媒体からそれぞれのコンピューティング/処理デバイスにダウンロードすることができ、または、ネットワーク、例えばインターネット、ローカル・エリア・ネットワーク、ワイド・エリア・ネットワーク、または無線ネットワーク、あるいはその組合せを介して、外部コンピュータまたは外部ストレージ・デバイスにダウンロードすることができる。ネットワークは、銅伝送ケーブル、光伝送ファイバ、無線伝送、ルータ、ファイアウォール、スイッチ、ゲートウェイ・コンピュータ、またはエッジ・サーバ、あるいはその組合せを含むことができる。各コンピューティング/処理デバイスにおけるネットワーク・アダプタ・カードまたはネットワーク・インターフェースが、ネットワークからコンピュータ可読プログラム命令を受信し、それらのコンピュータ可読プログラム命令を、それぞれのコンピューティング/処理デバイス内のコンピュータ可読記憶媒体に格納するために転送する。
【0103】
本発明の動作を実行するためのコンピュータ可読プログラム命令は、アセンブラ命令、命令セット・アーキテクチャ(ISA)命令、マシン命令、マシン依存命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ、集積回路の構成データ、あるいはSmalltalk(R)、C++などのオブジェクト指向プログラミング言語および「C」プログラミング言語もしくは同様のプログラミング言語などの手続き型プログラミング言語を含む、1つまたは複数のプログラミング言語の任意の組合せで書かれたソース・コードまたはオブジェクト・コードであってよい。コンピュータ可読プログラム命令は、全体的にユーザのコンピュータ上で、一部がユーザのコンピュータ上で、独立型ソフトウェア・パッケージとして、一部がユーザのコンピュータ上かつ一部がリモート・コンピュータ上で、または全体的にリモート・コンピュータもしくはサーバ上で実行することができる。後者の場合、リモート・コンピュータは、ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)もしくはワイド・エリア・ネットワーク(WAN)を含む任意の種類のネットワークを介してユーザのコンピュータに接続することができ、または(例えば、インターネット・サービス・プロバイダを使用してインターネットを介して)外部コンピュータに接続することができる。一部の実施形態において、本発明の態様を実行するために、例えば、プログラマブル論理回路、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、またはプログラマブル・ロジック・アレイ(PLA)を含む電子回路が、コンピュータ可読プログラム命令の状態情報を利用して電子回路をパーソナライズすることにより、コンピュータ可読プログラム命令を実行することができる。
【0104】
本発明の実施形態による方法、装置(システム)、およびコンピュータ・プログラム製品のフローチャート図またはブロック図あるいはその両方を参照しながら、本発明の態様について本明細書で説明している。フローチャート図またはブロック図あるいはその両方の各ブロック、およびフローチャート図またはブロック図あるいはその両方におけるブロックの組合せは、コンピュータ可読プログラム命令によって実装できることが理解されるだろう。
【0105】
これらのコンピュータ可読プログラム命令は、コンピュータまたは他のプログラマブル・データ処理装置のプロセッサを介して実行される命令が、フローチャートまたはブロック図あるいはその両方の1つまたは複数のブロックに指定される機能/動作を実施する手段を作り出すべく、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、または他のプログラマブル・データ処理装置のプロセッサに提供されてマシンを作り出すものであってよい。これらのコンピュータ可読プログラム命令は、命令が格納されたコンピュータ可読記憶媒体が、フローチャートまたはブロック図あるいはその両方の1つまたは複数のブロックに指定される機能/動作の態様を実施する命令を含んだ製品を含むべく、コンピュータ可読記憶媒体に格納されて、コンピュータ、プログラマブル・データ処理装置、または他のデバイス、あるいはその組合せに特定の方式で機能するように指示できるものであってもよい。
【0106】
コンピュータ可読プログラム命令は、コンピュータ、他のプログラマブル装置、または他のデバイスで実行される命令が、フローチャートまたはブロック図あるいはその両方の1つまたは複数のブロックに指定される機能/動作を実施するように、コンピュータによって実行されるプロセスを作り出すべく、コンピュータ、他のプログラマブル・データ処理装置、または他のデバイスにロードされ、コンピュータ、他のプログラマブル装置、または他のデバイス上で一連の動作ステップを実行させるものであってもよい。
【0107】
図中のフローチャートおよびブロック図は、本発明の様々な実施形態によるシステム、方法、およびコンピュータ・プログラム製品の可能な実装形態のアーキテクチャ、機能、および動作を示す。これに関して、フローチャートまたはブロック図の各ブロックは、指定された論理機能を実施するための1つまたは複数の実行可能命令を含む、命令のモジュール、セグメント、または部分を表すことができる。一部の代替実装形態において、ブロックに示す機能を、図示する順序以外で行うことができる。例えば、連続して示す2つのブロックを、実際には略同時に実行することができ、または、関与する機能に応じて、それらのブロックを時として逆の順序で実行することができる。また、ブロック図またはフローチャート図あるいはその両方の各ブロック、およびブロック図またはフローチャート図あるいはその両方におけるブロックの組合せは、指定された機能もしくは動作を実行する、または専用ハードウェア命令とコンピュータ命令との組合せを実行する専用ハードウェア・ベースのシステムによって実装することができることにも留意されたい。
【0108】
本発明の好ましい実施形態において、基板にはんだを転写するためのトランスファ・モールドを作製する方法が提供され、方法は、上面を有するモールド基板を準備することと、モールド基板の上面上に永久フォトレジスト材料から形成された第1のフォトレジスト層を形成することと、第1のフォトレジスト層上に剥離性フォトレジスト材料から形成された第2のフォトレジスト層を形成することと、第1のフォトレジスト層および第2のフォトレジスト層をパターニングして、第2のフォトレジスト層と第1のフォトレジスト層の少なくとも一部とを貫通する凹部を形成することと、凹部にはんだ柱を形成することと、はんだ柱が形成された後に第2のフォトレジスト層を除去して、第1のフォトレジスト層の上方に延びるはんだ柱の一部を残すこととを含む。
【0109】
本発明を別の態様から見ると、基板にはんだを転写するためのトランスファ・モールドが提供され、トランスファ・モールドは、モールド基板と、モールド基板の少なくとも一部の上の、永久フォトレジスト材料から形成された第1のフォトレジスト層と、第1のフォトレジスト層の間隙を通ってモールド基板の上方に延びるはんだ柱とを含み、はんだ柱は、第1のフォトレジスト層の上方に延びる突出部を含み、突出部は、第1のフォトレジスト層上の、剥離性フォトレジスト材料から形成された第2のフォトレジスト層によって部分的に規定される形状を有し、第2のフォトレジスト層は、突出部を囲む開放領域を規定するために、第1のフォトレジスト層の表面の少なくとも一部には略存在しない。