(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-04
(45)【発行日】2024-03-12
(54)【発明の名称】電流駆動回路
(51)【国際特許分類】
H03M 1/66 20060101AFI20240305BHJP
H03K 19/0175 20060101ALI20240305BHJP
【FI】
H03M1/66 B
H03K19/0175 220
(21)【出願番号】P 2022505556
(86)(22)【出願日】2021-02-22
(86)【国際出願番号】 KR2021002167
(87)【国際公開番号】W WO2021251590
(87)【国際公開日】2021-12-16
【審査請求日】2022-02-16
(31)【優先権主張番号】10-2020-0070477
(32)【優先日】2020-06-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】518086871
【氏名又は名称】ドンウン アナテック カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【氏名又は名称】廣田 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100107733
【氏名又は名称】流 良広
(74)【代理人】
【識別番号】100115347
【氏名又は名称】松田 奈緒子
(72)【発明者】
【氏名】ジュンソク・リ
(72)【発明者】
【氏名】ユファン・リ
(72)【発明者】
【氏名】ジン・パク
【審査官】及川 尚人
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-214183(JP,A)
【文献】再公表特許第2011/158786(JP,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2011-0017491(KR,A)
【文献】特開2009-054928(JP,A)
【文献】特開昭53-059851(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0127564(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0059136(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0340150(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03M 1/00-1/88
H03K 19/0175
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力電圧を電流に変換する電圧電流変換部と、入力において前記電圧電流変換部の出力段に連結され前記入力に印可される第1デジタルコードに対応する電圧を生成して出力する第1デジタルアナログコンバータ(DAC)と、
ドレイン電極が負荷に連結され
ソース電極は抵抗が連結されるノードに連結され、ゲートに印可される電圧に対応して前記負荷に電流が流れるようにする電界効果トランジスタと、前記第1DACから出力される電圧と前記抵抗によって形成された電圧をそれぞれ伝達を受けて前記電界効果トランジスタで電流が流れるように断続するための電圧を生成して前記ゲートに印可する増幅器を含む電流駆動回路において、
前記電界効果トランジスタが飽和領域で動作するために必要な電流を前記ソース電極に供給するための電流供給源と;
前記電界効果トランジスタの出力電流が0に近い場合、前記第1デジタルコードを前記第1DACに伝達して前記第1DACの出力を維持することにより、前記増幅器により前記電界効果トランジスタのゲートに印可される電圧を維持し、第2デジタルコードを前記電流供給源に伝達して前記電流供給源を活性化させることにより、前記電界効果トランジスタの
ドレイン電極に電流を供給するように制御する制御部と;を含
み、
前記電流供給源は第2DACであり、
前記第2DACは、
前記第2デジタルコードに応じてスイッチングされる多数のスイッチと;
共通電源段と前記スイッチそれぞれの間に連結されて各スイッチのスイッチングの有無により電流を供給する電力スイッチング素子と;
を含むことを特徴とする、電流駆動回路。
【請求項2】
前記制御部は、
前記電界効果トランジスタの出力電流が0に近い場合、前記第1DACが制限設定された最小電圧を出力するように制御することを特徴とする、請求項1に記載の電流駆動回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電流駆動回路に関し、特に低電流駆動時高い線形特性を有する新しいタイプの電流駆動回路に関する。
【背景技術】
【0002】
電流駆動方式はAFドライバ、バックライトLED駆動ドライバ、LED照明駆動ドライバ、ホワイトLED駆動ドライバ、フラッシュ(Flash)LED駆動ドライバおよび各種応用分野に多く使われる駆動方式である。このような電流駆動方式の重要な仕様の中には線形性(Linearity)が重要な要素であるが、これは望む入力デジタルコード対比駆動出力電流が1次線形的でなければならないのである。
【0003】
このような線形性は出力電流がゼロに近い非常に低電流駆動の場合に特性が悪くなるが、その理由は電流が過度に少ないため駆動するトランジスタがウィーク(weak)な状態、すなわちほぼオフとなっている状態(閾値電圧以下)で動作するため特性の低下をもたらす。
【0004】
より具体的には、
図1は一般的な電流駆動回路の構造を図示したものであるが、RDAC(Resistor D/A converter、30)に印可されるデジタルコードに応じて出力電流が決定される構造である。出力電流が非常に少ない時は電流駆動トランジスタ50が線形領域で動作することになるが、増幅器40のフィードバックループ特性が大幅に下がることになる。このような場合、駆動部のフィードバックループゲインが下落することによって線形性の低下をもたらす。特に、外部工程、温度、電源電圧の変化により出力電流が変動するノイジー(noisy)な特性を有するようになって電流駆動の致命的な弱点として作用する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】大韓民国公開特許公報10-2011-0017491号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明は前述した問題点を解決するために創案した発明であり、本発明の主な目的は、低電流駆動時に高い線形特性を有する電流駆動回路を提供することにあり、
【0007】
ひいては、本発明のさらに他の目的は外部工程および環境の変化に敏感でない高い線形特性を有する電流駆動回路を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述した目的を達成するための本発明の実施例に係る電流駆動回路は、バンドギャップリファレンス(Band Gap Reference)回路と、前記バンドギャップリファレンス回路から出力される電圧を電流に変換する電圧電流変換部と、前記電圧電流変換部の出力段に連結されて印可されるデジタルコードに対応する電圧を生成して出力するデジタルアナログコンバータ(DAC)と、第1電極が負荷に連結され第2電極は抵抗が連結されるノードに連結され、ゲートに印可される電圧に対応して前記負荷に電流が流れるようにする電界効果トランジスタと、前記デジタルアナログコンバータから出力される電圧と前記抵抗によって形成された電圧をそれぞれ伝達を受けて前記電界効果トランジスタで電流が流れるようにスイッチングするための電圧を生成して前記ゲートに印可する増幅器を含む電流駆動回路であって、
前記電界効果トランジスタが飽和領域で動作するために必要な電流を前記第1電極に供給するための電流供給源と、
前記電界効果トランジスタが閾値電圧より低い領域で動作する場合、前記電流供給源を活性化させて前記電界効果トランジスタが飽和領域で動作するように制御する制御部をさらに含むことを特徴とする。
【0009】
ひいては、前述した構成の電流駆動回路において前記電流供給源は、
入力されるデジタルコードに応じてスイッチングされる多数のスイッチと、
共通電源段と前記スイッチそれぞれの間に連結されて各スイッチのスイッチングの有無により電流を供給する電力スイッチング素子を含むデジタルアナログコンバータであることをさらに他の特徴とし、
前記制御部は前記電界効果トランジスタが閾値電圧より低い領域で動作する場合、前記電圧電流変換部の出力段に連結されたデジタルアナログコンバータが制限設定された最小電圧を出力するように制御することをさらに他の特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
前述した技術的課題解決手段によると、本発明の実施例に係る電流駆動回路は出力電流が「0」に近い低電流駆動時にも高い線形特性を確保できるだけでなく、外部工程および環境の変化にも敏感でない高い線形特性を有する長所がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図2】本発明の実施例に係る電流駆動回路の例示図である。
【
図3】
図2に図示した2nd DACの回路例示図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
後述する本発明に対する詳細な説明は、本発明の目的、技術的解決法および長所を明らかにするために本発明が実施され得る特定の実施例を例示したものであり、図示された添付図面を参照する。これらの実施例は通常の技術者が本発明を十分に実施できるように詳細に説明される。
【0013】
また、本発明の詳細な説明および請求項に亘り、「含む」という単語およびその変形は他の技術的特徴、付加物、構成要素または段階を除くものと意図されたものではない。通常の技術者に本発明の他の目的、長所および特性が、一部は本説明書から、そして一部は本発明の実施から明らかになるであろう。以下の例示および図面は実例として提供され、本発明を限定するものに意図されたものではない。したがって、後述する詳細な説明は限定的な意味で取ろうとするものではなく、本発明の範囲は適切に説明されるのであれば、その請求項が主張するものと均等なすべての範囲とともに添付された請求項によってのみ限定される。
【0014】
本明細書で異なって表示されたり明確に文脈に矛盾しない限り、単数で指称された項目は、その文脈で特に要求されない限り、複数のものを含む。また、本発明の説明において、一般的な電流駆動回路に関連した公知の構成または機能に対する具体的な説明が本発明の要旨を曖昧にさせ得る恐れがあると判断される場合には、それに対する詳細な説明は省略することにする。
【0015】
図2は本発明の実施例に係る電流駆動回路を例示したものであり、
図3は
図2に図示した2nd DAC150の回路図を例示したものである。
【0016】
まず、本発明の実施例に係る電流駆動回路は
図2に図示した通り、
安定した電圧を供給するためのバンドギャップリファレンス(BGR)回路100と、
前記バンドギャップリファレンス(BGR)回路100から入力される電圧を電流に変換する電圧電流変換部(Voltage to Current)110と、
前記電圧電流変換部110の出力段に連結されて後述する制御部160から印可されるデジタルコードに対応する電圧を生成して出力するデジタルアナログコンバータ(Resistor DAC:RDAC、)120と、
第1電極が負荷に連結され第2電極は抵抗Rが連結されるノードに連結され、ゲートに印可される電圧に対応して前記負荷に電流が流れるようにする電界効果トランジスタ140と、を含む。
【0017】
前記電界効果トランジスタ140の第1電極はドレイン電極であり、第2電極はソース電極であって、ゲートに印可される電圧に対応して第1電極から第2電極に流れる電流を制御する。
【0018】
前記電界効果トランジスタ140のゲート段には増幅器130が連結されるが、前述したデジタルアナログコンバータ(RDAC)120から出力される電圧と前記抵抗Rにより形成された電圧を、それぞれ非反転端子(+)と反転端子(-)で伝達を受けて、前記電界効果トランジスタ140で電流が流れるようにスイッチングするための電圧を生成して前記ゲート段に印可する。
【0019】
因みに、前述した構成を含む一般的な電流駆動回路で、前記反転端子(-)にフィードバックされる電圧は非反転端子(+)に入力される電圧と同一電圧と定義される。
【0020】
一方、前述した構成の他に本発明の実施例に係る電流駆動回路は、前記電界効果トランジスタ140が飽和領域で動作するために必要な電流を前記第1電極に供給するための電流供給源をさらに含む。
【0021】
前記電流供給源は
図3に図示した通り、入力されるデジタルコード(nビットの2nd DAC入力)によりスイッチングされる多数のスイッチSW1、SW2、SW4、SW8、SW16と、
共通電源段VDDと前記スイッチSWnそれぞれとの間に連結されて、各スイッチのスイッチングの有無により電流を供給する電力スイッチング素子1、2、4、8、16を含むデジタルアナログコンバータ(DAC)150で具現可能である。このようなデジタルアナログコンバータ(DAC)150は前述したRDAC120と差別化するために2nd DACと称することもある。
【0022】
図3に図示した2nd DAC150の電力スイッチング素子1、2、4、8、16はbinary weighted transistorであって2倍ずつ増加したサイズを表現しており、分解能も供給する電流により可変され得る構造を有することができる。このような2nd DAC150は、後述する制御部160から印可されるあるいは予め設定されて活性化されるデジタルコードに応じて選択的にスイッチングオンとなるスイッチによって、望む電流を電流駆動トランジスタに該当する電界効果トランジスタ140の第1電極に供給する。
【0023】
前述した電流供給源の他に、本発明の実施例に係る電流駆動回路は前記電界効果トランジスタ140が閾値電圧より低い領域(sub-threshold)で動作する場合、前記電流供給源である2nd DAC150を活性化させて前記電界効果トランジスタ140が飽和領域で動作するように制御する制御部160をさらに含むことを特徴とする。
【0024】
このような制御部160は前記電界効果トランジスタ140が閾値電圧より低い領域で動作する場合、前記RDAC120が制限設定された最小電圧を出力するように制御することをさらに他の特徴とする。これは電界効果トランジスタ140が設定された閾値電圧より低い領域で動作する場合、制御部160がRDAC120の出力電圧がそれ以上低くならないように制御するということを意味するものと解釈することが好ましい。
【0025】
以下、添付図面を参照して本発明の実施例に係る電流駆動回路の動作をより具体的に説明することにする。
【0026】
まず
図2を参照すると、制御部160がRDAC120にデジタルコードの入力を印可すると、それに該当するアナログ電圧が最終ドライバ段、すなわち電界効果トランジスタ140のゲートに印可されて出力電流が発生する。
【0027】
もし出力電流が非常に小さいのであれば、電界効果トランジスタ140が線形(linear)領域で動作および閾値電圧より低い領域で動作する。このような場合、増幅器130のフィードバックループ特性が下がることになり、これによって駆動部のフィードバックループゲインが下落することによって線形性の低下をもたらす。
【0028】
このような問題を解決するために、本発明の実施例に係る電流駆動回路の制御部160は出力電流が「0」に近い低電流区間以外の区間では2nd DAC150から電流が供給されないように非活性状態を維持する。
【0029】
もし出力電流が「0」に近い低電流区間、すなわち電界効果トランジスタ140が閾値電圧より低い領域(sub-threshold)で動作しなければならない場合、制御部160はRDAC120の出力をそれ以上低くせず(設定された最小電圧に制限)、電界効果トランジスタ140がリニア領域や閾値電圧より低い領域で動作することを防止するために2nd DAC150を活性化させてドレイン電極に電流の供給がなされるように支援する。
【0030】
すなわち、本発明は電流駆動回路の出力電流が「0」に近い低電流区間では、電界効果トランジスタ140が飽和領域で動作できるように互いに異なるDAC120、150を通じてゲート段とドレイン電極それぞれに印可される電流レベルをトリミングすることによって、電界効果トランジスタ140に印可される電流を減少させることなく最終出力電流は低い電流で出力することができる。
【0031】
したがって、本発明の実施例に係る電流駆動回路は出力電流が「0」に近い低電流駆動時にも高い線形特性を確保できるだけでなく、外部工程および環境の変化にも敏感でない高い線形特性を有する電流駆動回路(駆動ドライバIC)を設計できる長所がある。
【0032】
併せて、本発明の実施例に係る電流駆動回路はバックライトLED駆動ドライバ、ホワイトLED駆動ドライバ、照明用LED駆動ドライバ、フラッシュLED駆動ドライバ、オートフォーカス(両方向開ループAF、閉ループAF)駆動ドライバICなどのような電流駆動ドライバ方式に幅広く適用できる長所もある。
【0033】
以上、本発明が具体的な構成要素などのような特定事項と限定された実施例および図面によって説明されたが、これは本発明のより全般的な理解を助けるために提供されたものに過ぎず、本発明は前記実施例に限定されず、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者であれば、このような記載から多様な修正および変形を試みることができる。例えば、本発明の実施例では2nd DAC150を活性化させて設定されたレベルの電流がドレイン電極に供給されることを説明したが、必要な電流の供給がなされ得るnビットのデジタルコードを2nd DAC150に印可する方式で具現してもよい。したがって、本発明の思想は前記説明された実施例に限定されて定められてはならず、後述する特許請求の範囲だけでなくこの特許請求の範囲と均等にまたは等価的に変形された全てのものは本発明の思想の範疇に属すると言える。