IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 帝人フロンティア株式会社の特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-04
(45)【発行日】2024-03-12
(54)【発明の名称】撥水性布帛および繊維製品
(51)【国際特許分類】
   D03D 15/47 20210101AFI20240305BHJP
   A41D 31/10 20190101ALI20240305BHJP
   A41D 31/18 20190101ALI20240305BHJP
   D02G 3/04 20060101ALI20240305BHJP
   D02G 3/32 20060101ALI20240305BHJP
   D03D 15/283 20210101ALI20240305BHJP
   D03D 15/292 20210101ALI20240305BHJP
   D03D 15/33 20210101ALI20240305BHJP
   D03D 15/56 20210101ALI20240305BHJP
   D06M 15/227 20060101ALI20240305BHJP
【FI】
D03D15/47
A41D31/10
A41D31/18
D02G3/04
D02G3/32
D03D15/283
D03D15/292
D03D15/33
D03D15/56
D06M15/227
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022516988
(86)(22)【出願日】2021-04-14
(86)【国際出願番号】 JP2021015409
(87)【国際公開番号】W WO2021215319
(87)【国際公開日】2021-10-28
【審査請求日】2022-08-30
(31)【優先権主張番号】P 2020075193
(32)【優先日】2020-04-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】501270287
【氏名又は名称】帝人フロンティア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100169085
【弁理士】
【氏名又は名称】為山 太郎
(72)【発明者】
【氏名】宇熊 昭雄
(72)【発明者】
【氏名】永江 卓也
【審査官】中西 聡
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-163632(JP,A)
【文献】特開平02-074673(JP,A)
【文献】特開2006-161204(JP,A)
【文献】特開2006-336162(JP,A)
【文献】特開2005-139602(JP,A)
【文献】特開2020-186503(JP,A)
【文献】国際公開第2017/183485(WO,A1)
【文献】特開2004-210962(JP,A)
【文献】特開2011-47068(JP,A)
【文献】特開2002-180354(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D03D、D02G、D06M、A41D
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撥水加工を施してなる撥水性布帛であって、該布帛が、伸縮性繊維と単繊維繊度1dtex以下の極細繊維とを含む複合糸を含み、
前記伸縮性繊維が、2成分がサイドバイサイド型もしくは偏心芯鞘型に接合された複合繊維、またはポリトリメチレンテレフタレート繊維であり、
前記複合糸が空気混繊糸(ただし、同時仮撚及び空気混繊の両方を施した糸を除く。)であることを特徴とする撥水性布帛。
【請求項2】
布帛が、カバーファクターCFが1000以上の織物である、請求項1に記載の撥水性布帛。
ただし、カバーファクターCFは下記式により定義される。
CF=(DWp/1.1)1/2×MWp+(DWf/1.1)1/2×MWf
[DWpは経糸総繊度(dtex)、MWpは経糸織密度(本/2.54cm)、DWfは緯糸総繊度(dtex)、MWfは緯糸織密度(本/2.54cm)である。]
【請求項3】
前記極細繊維からなる微細繊維ループが布帛表面に形成されている、請求項1または請求項2に記載の撥水性布帛。
【請求項4】
布帛表面の撥水ころがり角度が15度以下である、請求項1~3のいずれかに記載の撥水性布帛。
【請求項5】
JIS L1092-2009 7.2 はっ水度試験(スプレー法)により測定した、撥水度が4級以上である、請求項1~4のいずれかに記載の撥水性布帛。
【請求項6】
JIS L0217-1995に規定された洗濯(但し、JAFET標準配合洗剤を使用)を10回行った後において、JIS L 1092-2009 7.2 はっ水度試験(スプレー法)により測定した、撥水度が3級以上である、請求項1~5のいずれかに記載の撥水性布帛。
【請求項7】
JIS L1096-2010 8.16 B法により測定した、経方向または緯方向のストレッチ性が10%以上である、請求項1~6のいずれかに記載の撥水性布帛。
【請求項8】
JIS L1096-2010 8.16 B-1法により測定した、経方向または緯方向のストレッチ性回復率が85%以上である、請求項1~7のいずれかに記載の撥水性布帛。
【請求項9】
JIS L1096-2010 8.17 D法により測定した、経方向または緯方向の引裂強度が7N以上である、請求項1~7のいずれかに記載の撥水性布帛。
【請求項10】
請求項1~9のいずれかに記載の撥水性布帛を用いてなる繊維製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撥水性だけでなくストレッチ性にも優れた撥水性布帛、および該撥水性布帛を用いてなる繊維製品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スポーツ衣料、カジュアル衣料、傘地などの分野で撥水性を有する布帛が求められており、フッ素系撥水剤などの撥水剤を布帛に付着させることが行われている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【0003】
また、近年では、環境に配慮するため、生物に影響を及ぼす可能性のある化合物(例えば、パーフルオロオクタン酸やパーフルオロオクタンスルホン酸など)を使用しない非フッ素系撥水剤を使用した布帛が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【0004】
しかしながら、これらの布帛は、ストレッチ性の点で十分ではないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開昭60-94645号公報
【文献】特開昭61-70043号公報
【文献】特開2017-145521号公報
【発明の概要】
【0006】
本発明は上記の背景に鑑みなされたものであり、その目的は、撥水性だけでなくストレッチ性にも優れた撥水性布帛、および該撥水性布帛を用いてなる繊維製品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは上記の課題を達成するため鋭意検討した結果、撥水加工を施してなる撥水性布帛において、布帛を構成する繊維などを巧みに工夫することにより、撥水性だけでなくストレッチ性にも優れた撥水性布帛が得られることを見出し、さらに鋭意検討を重ねることにより本発明を完成するに至った。
【0008】
かくして、本発明によれば「撥水加工を施してなる撥水性布帛であって、該布帛が、伸縮性繊維と単繊維繊度1dtex以下の極細繊維とを含む複合糸を含むことを特徴とする撥水性布帛。」が提供される。
【0009】
その際、前記伸縮性繊維が、2成分がサイドバイサイド型もしくは偏心芯鞘型に接合された複合繊維、またはポリトリメチレンテレフタレート繊維であることが好ましい。また、布帛が、カバーファクターCFが1000以上の織物であることが好ましい。ただし、カバーファクターCFは下記式により定義される。
CF=(DWp/1.1)1/2×MWp+(DWf/1.1)1/2×MWf
[DWpは経糸総繊度(dtex)、MWpは経糸織密度(本/2.54cm)、DWfは緯糸総繊度(dtex)、MWfは緯糸織密度(本/2.54cm)である。]
本発明の撥水性布帛において、前記極細繊維からなる微細繊維ループが布帛表面に形成されていることが好ましい。また、布帛表面の撥水ころがり角度が15度以下であることが好ましい。また、JIS L1092-2009 7.2 はっ水度試験(スプレー法)により測定した、撥水度が4級以上であることが好ましい。また、JIS L0217-1995に規定された洗濯(但し、JAFET標準配合洗剤を使用)を10回行った後において、JIS L1092-2009 7.2 はっ水度試験(スプレー法)により測定した、撥水度が3級以上であることが好ましい。また、JIS L1096-2010 8.16 B法により測定した、経方向または緯方向のストレッチ性が10%以上であることが好ましい。また、JIS L1096-2010 8.16 B-1法により測定した、経方向または緯方向のストレッチ性回復率が85%以上であることが好ましい。また、JIS L1096-2010 8.17 D法により測定した、経方向または緯方向の引裂強度が7N以上であることが好ましい。
【0010】
また、本発明によれば、前記の撥水性布帛を用いてなる繊維製品が提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、撥水性だけでなくストレッチ性にも優れた撥水性布帛、および該撥水性布帛を用いてなる繊維製品が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。本発明の撥水性布帛は、撥水加工を施してなる撥水性布帛であって、該布帛は複合糸を含み、該複合糸は、単繊維繊度1dtex以下(より好ましくは0.00002~0.8dtex、特に好ましくは0.001~0.5dtex)の極細繊維と、伸縮性繊維とを含む。かかる構成により、前記極細繊維からなる微細繊維ループが布帛表面に形成されることにより布帛表面に蓮の葉状の微細な凹凸が形成され、優れた撥水性が得られる。また同時に、伸縮繊維の効果により布帛がストレッチ性にも優れる。ここで、前記極細繊維の単繊維繊度が1dtexよりも大きいと微細繊維ループが形成されず好ましくない。また、微細繊維ループを形成する上でかかる極細繊維は非捲縮繊維であることが好ましい。例えば、かかる極細繊維が仮撚捲縮加工糸であると、微細繊維ループが形成されないおそれがある。
【0013】
前記極細繊維としては、ポリエステル繊維、アクリル繊維、ナイロン繊維、レーヨン繊維、アセテート繊維、さらには、綿、ウール、絹などの天然繊維やこれらを複合したものが使用可能である。ポリエステル繊維は、少なくとも1成分としてポリエステル成分を含む複合繊維を含む。その際、複合繊維としては、サイドバイサイド型複合繊維、偏心芯鞘型複合繊維、芯鞘型複合繊維、海島型複合繊維などが例示される。また、ナイロン繊維は、ナイロン6繊維やナイロン66繊維を含む。
【0014】
ポリエステル繊維を形成するポリエステルとしては、テレフタル酸を主たる酸成分とし、炭素数2~6のアルキレングリコール、すなわちエチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコールからなる群より選ばれた少なくとも1種を主たるグリコール成分とするポリエステルが好ましい。なかでも、エチレングリコールを主たるグリコール成分とするポリエステル(ポリエチレンテレフタレート)またはトリメチレングリコールを主たるグリコール成分とするポリエステル(ポリトリメチレンテレフタレート)が特に好ましい。
【0015】
かかるポリエステルには、必要に応じて少量(通常30モル%以下)の共重合成分を有していてもよい。その際、使用されるテレフタル酸以外の二官能性カルボン酸としては、例えばイソフタル酸、ナフタリンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、β-ヒドロキシエトキシ安息香酸、P-オキシ安息香酸、5-ナトリウムスルホイソフタル酸、アジピン酸、セバシン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸のごとき芳香族、脂肪族、脂環族の二官能性カルボン酸をあげることができる。また、上記グリコール以外のジオール化合物としては、例えばシクロヘキサン-1,4-ジメタノール、ネオペンチルグリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールSのごとき脂肪族、脂環族、芳香族のジオール化合物およびポリオキシアルキレングリコール等をあげることができる。
【0016】
前記ポリエステルは任意の方法によって合成したものでよい。例えばポリエチレンテレフタレートの場合について説明すると、テレフタル酸とエチレングリコールとを直接エステル化反応させるか、テレフタル酸ジメチルのごときテレフタル酸の低級アルキルエステルとエチレングリコールとをエステル交換反応させるかまたはテレフタル酸とエチレンオキサイドとを反応させるかしてテレフタル酸のグリコールエステルおよび/またはその低重合体を生成させる第1段階の反応と、第1段階の反応生成物を減圧下加熱して所望の重合度になるまで重縮合反応させる第2段階の反応によって製造されたものでよい。また、前記ポリエステルは、マテリアルリサイクルまたはケミカルリサイクルされたポリエステル、または、特開2004-270097号公報や特開2004-211268号公報に記載されているような、特定のリン化合物およびチタン化合物を含む触媒を用いて得られたポリエステルであってもよい。さらには、ポリ乳酸やステレオコンプレックスポリ乳酸などの生分解性を有するポリエステルでもよい。
【0017】
また、前記極細繊維に紫外線吸収剤が繊維重量対比0.1重量%以上(好ましくは0.1~5.0重量%)含まれていると、布帛に紫外線遮蔽性が付加され好ましい。かかる紫外線吸収剤としては、ベンゾオキサジン系有機紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系有機紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系有機紫外線吸収剤、サリチル酸系有機紫外線吸収剤などが例示される。なかでも、紡糸の段階で分解しないという点からベンゾオキサジン系有機紫外線吸収剤が特に好ましい。
【0018】
かかるベンゾオキサジン系有機紫外線吸収剤としては、特開昭62-11744号公報に開示されたものが好適に例示される。すなわち、2-メチル-3,1-ベンゾオキサジン-4-オン、2-ブチル-3,1-ベンゾオキサジン-4-オン、2-フェニル-3,1-ベンゾオキサジン-4-オン、2,2’-エチレンビス(3,1-ベンゾオキサジン-4-オン)、2,2’-テトラメチレンビス(3,1-ベンゾオキサジン-4-オン)、2,2’-p-フェニレンビス(3,1-ベンゾオキサジン-4-オン)、1,3,5-トリ(3,1-ベンゾオキサジン-4-オン-2-イル)ベンゼン、1,3,5-トリ(3,1-ベンゾオキサジン-4-オン-2-イル)ナフタレンなどである。
【0019】
また、前記極細繊維に艶消し剤(二酸化チタン)が繊維重量対比0.1重量%以上(好ましくは0.2~4.0重量%)含まれていると、布帛の防透性が向上し好ましい。
【0020】
さらに前記極細繊維には、必要に応じて、微細孔形成剤(有機スルホン酸金属塩)、着色防止剤、熱安定剤、難燃剤(三酸化二アンチモン)、蛍光増白剤、着色顔料、帯電防止剤(スルホン酸金属塩)、吸湿剤(ポリオキシアルキレングリコール)、抗菌剤、その他の無機粒子の1種以上が含まれていてもよい。
【0021】
一方、前記伸縮性繊維としては、ポリトリメチレンテレフタレートからなる1成分で構成される繊維、2成分がサイドバイサイド型もしくは偏心芯鞘型に接合された複合繊維、弾性繊維(ポリウレタン系繊維、ポリエーテルエステル系繊維、吸水性エラストマー繊維など)、未延伸ポリエステル繊維、仮撚捲縮加工糸などが好ましい。
【0022】
ここで、前記複合繊維としては、少なくとも1成分がポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、またはポリエチレンテレフタレートからなる複合繊維であることが好ましい。具体的にかかる2成分としては、ポリトリメチレンテレフタレートとポリトリメチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレートとポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレートとポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレートとポリブチレンテレフタレートなどが例示される。
【0023】
ここで、ポリトリメチレンテレフタレートとは、トリメチレンテレフタレート単位を主たる繰り返し単位とするポリエステルからなる繊維をいい、トリメチレンテレフタレート単位が50モル%以上、好ましくは70モル%以上、さらに好ましくは80モル%以上、特に好ましくは90モル%以上のものをいう。従って第3成分としての他の酸成分および/またはグリコール成分の合計量が50モル%以下、好ましくは30モル%以下、さらに好ましくは20モル%以下、特に好ましくは10モル%以下の範囲で含有されたポリトリメチレンテレフタレートを含有する。
【0024】
ポリトリメチレンテレフタレートは、テレフタル酸またはその機能的誘導体とトリメチレングリコールまたはその機能的誘導体とを、触媒の存在下で適当な反応条件下で縮合させることにより製造される。
【0025】
添加する第3成分としては、脂肪族ジカルボン酸(シュウ酸、アジピン酸など)、脂環族ジカルボン酸(シクロヘキサンジカルボン酸など)、芳香族ジカルボン酸(イソフタル酸、ソジウムスルホイソフタル酸など)、脂肪族グリコール(エチレングリコール、1,2-トリメチレングリコール、テトラメチレングリコールなど)、脂環族グリコール(シクロヘキサングリコールなど)、芳香族ジオキシ化合物(ハイドロキノンビスフェノールAなど)、芳香族を含む脂肪族グリコ-ル(1,4-ビス(β-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンなど)、脂肪族オキシカルボン酸(p-オキシ安息香酸など)などが挙げられる。
【0026】
前記ポリエチレンテレフタレートは3成分を共重合させたものでもよい。また、マテリアルリサイクルまたはケミカルリサイクルされたものでもよい。さらには、特開2004-270097号公報や特開2004-211268号公報に記載されているような、特定のリン化合物及びチタン化合物を含む触媒を用いて得られたものでもよい。
【0027】
前記のポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどには、微細孔形成剤、カチオン染料可染剤、着色防止剤、熱安定剤、蛍光増白剤、艶消し剤、着色剤、吸湿剤、無機微粒子が1種または2種以上含まれていてもよい。
【0028】
前記の複合繊維は、例えば、特開2009-46800号公報に記載された方法により製造することができる。
【0029】
前記伸縮性繊維において、単繊維繊度は特に限定されないが、0.00002~5.0dtex(より好ましくは0.1~3.0dtex、特に好ましくは1.1~2.5dtex)の範囲内であることが好ましい。
【0030】
また、前記極細繊維および/または前記伸縮性繊維において、単繊維断面形状としては、丸断面の他、楕円形断面、三角、四角、十字、扁平、くびれ付扁平、H型、W型などが例示される。
【0031】
本発明の撥水性布帛は前記極細繊維と伸縮性繊維とを含む複合糸を含む。その際、前記複合糸の製造方法は特に限定されない。例えば、前記のような極細繊維と伸縮性繊維と、必要ならばさらに他の繊維とを引きそろえて、空気加工(インターレース加工やタスラン(登録商標)加工)により空気混繊してもよいし、複合仮撚してもよい。特に好ましいのは空気混繊法である。
【0032】
その際、前記複合糸が、交絡の個数1~150個/mでインターレース加工を施された交絡糸であることが好ましい。
【0033】
また、前記3種の繊維を複合させる際、適宜オーバーフィード率を変更してもよい。また、まず2種の繊維を複合させた後、次の工程で他の糸条を複合させてもよい。
【0034】
かかる複合糸において、総繊度が40~180dtexの範囲内であることが好ましい。
【0035】
本発明の布帛は、前記複合糸を含む。その際、前記複合糸が布帛重量対比30重量%以上(最も好ましくは100重量%)含まれていることが好ましい。
【0036】
本発明の布帛において、布帛の組織は特に限定されないが、優れた撥水性を得る上で織物が好ましい。その際、織物の組織は特に限定されない。例えば、平織、綾織、朱子織等の三原組織、変化組織、たて二重織、よこ二重織等の片二重組織、たてビロードなどが例示される。層数も単層でもよいし、2層以上の多層でもよい。
【0037】
また、下記式で定義する織物のカバーファクターCFが1000以上(好ましくは1500~4000、特に好ましくは2300~3500)であると、さらに優れた撥水性が得られ好ましい。
CF=(DWp/1.1)1/2×MWp+(DWf/1.1)1/2×MWf
ただし、DWpは経糸総繊度(dtex)、MWpは経糸織密度(本/2.54cm)、DWfは緯糸総繊度(dtex)、MWfは緯糸織密度(本/2.54cm)である。
【0038】
また、織密度としては、優れた撥水性を得る上で、経密度110本/2.54cm以上(より好ましくは120~170本/2.54cm)、かつ緯密度90本/2.54cm以上(より好ましくは100~150本/2.54cm)の範囲内であることが好ましい。
【0039】
本発明の布帛は、例えば以下の方法により製造することができる。すなわち、まず前記複合糸を用いて布帛を製編織する。その際、製編織方法は通常の織機(例えば、通常のウオータージェットルーム、エアージェットルーム、レピアルームなど)や編機を用いた通常の製編織方法でよい。また、前記の複合糸に下記式で表される撚係数30000以下(好ましくは500~30000)程度の撚糸をしてもよい。撚数としては、100~2000t/mの範囲が好ましい。
(撚係数)=撚数[t/m]×(繊度[de])1/2
ただし、繊度[de]は繊度[dtex]に0.9をかけた値である。
【0040】
次いで、かかる布帛に精錬処理または染色加工(好ましくは精錬処理および染色加工)を施す。その際、精錬処理や染色加工の熱処理により、伸縮繊維が複合繊維の場合、複合繊維の潜在捲縮が顕在化することにより布帛が収縮し、布帛の密度が向上すると同時に、極細繊維が相対的に長くなって、極細繊維からなる微細繊維ループが布帛表面に形成される。
【0041】
次いで、該布帛に撥水加工を施す。かかる撥水加工において、撥水剤の種類は特に限定されない。例えば、フッ素系化合物でもよいし、炭化水素系化合物、シリコーン系化合物などの環境に配慮した撥水剤が例示される。必要に応じて、制電剤、メラミン樹脂、触媒を混合して撥水剤の濃度が3~15重量%程度の加工剤とし、ピックアップ率50~90%程度で、該加工剤を用いて布帛の表面を処理することが好ましい。加工剤で布帛の表面を処理する方法としては、パッド法、スプレー法などが例示される。なかでも、加工剤を布帛内部まで浸透させる上でパッド法が好ましい。前記ピックアップ率とは、布帛(加工剤付与前)重量に対する加工剤の重量割合(%)である。
【0042】
なお、前記制電剤としては、ポリエチレングリコール基を含有するポリエステル系樹脂、ポリエチレングリコール基を含有するウレタン系樹脂、ポリエチレングリコール基を含有するポリカチオン系化合物とジグリシジルエーテルとの反応物等などが好ましい。高級アルコール硫酸エステル塩、硫酸化油、スルホン酸塩、燐酸エステル塩などのアニオン系界面活性剤、アミン塩型、第4級アンモニウム塩、イミダリン型4級塩などのカチオン系界面活性剤、ポリエチレングリコール型、多価アルコールエステル型などの非イオン系界面活性剤、イミダリン型4級塩、アラニン型、ベタイン型などの両性界面活性剤などの制電性化合物でもよい。
【0043】
また、前記撥水加工工程の前工程および後工程のうち少なくともどちらか一方において、常法の染色加工、アルカリ減量加工、起毛加工を行ってもよい。さらには、紫外線遮蔽剤、抗菌剤、消臭剤、防虫剤、蓄光剤、再帰反射剤、マイナスイオン発生剤等を付加適用してもよい。なお、布帛に複合繊維が含まれる場合は、染色加工などの熱履歴により、複合繊維の潜在捲縮が顕在化(コイル状)する。
【0044】
かくして得られた撥水性布帛には、前記複合糸が布帛に含まれることにより、前記極細繊維からなる微細繊維ループが布帛表面に形成され、布帛表面において蓮の葉状の微細な凹凸が形成される。そして、当該微細繊維ループにより微小な空気層が形成されるので、水滴が布帛表面に滴下した際に優れた撥水性を呈する。なお、かかる効果はロータス効果と称されることもある。
【0045】
その際、撥水性としては、布帛表面の撥水ころがり角度が20度以下(より好ましくは15度以下、さらに好ましくは12度以下、特に好ましくは5~11度)であることが好ましい。
【0046】
ただし、撥水ころがり角度とは、水平版上に取りつけた平面状の被測定試料に0.2ccの水を静かに滴下し、この平板を等速度で静かに傾斜させ、水滴がころがりはじめるときの角度である。
【0047】
また、JIS L1092-2009 7.2 はっ水度試験(スプレー法)により測定した、撥水度が4級以上であることが好ましい。また、JIS L0217-1995に規定された洗濯(但し、JAFET標準配合洗剤を使用)を10回行った後において、JIS L 1092-2009 7.2 はっ水度試験(スプレー法)により測定した、撥水度が3級以上であることが好ましい。
【0048】
本発明の撥水性布帛は前記複合糸を含み、該複合糸は前記伸縮性繊維を含んでいるので、布帛も伸縮性(ストレッチ性)を有する。その際、JIS L1096-2010 8.16 B法により測定した、経方向または緯方向(好ましくは経方向および緯方向)のストレッチ性が10%以上(より好ましくは10~30%)であることが好ましい。また、JIS L1096-2010 8.16 B-1法により測定した、経方向または緯方向(好ましくは経方向および緯方向)のストレッチ性回復率が85%以上であることが好ましい。
【0049】
また、本発明の撥水性布帛において、JIS L1096-2010 8.17 D法により測定した、経方向または緯方向(好ましくは経方向および緯方向)の引裂強度が7N以上(より好ましくは20~100N)であることが好ましい。また、布帛の目付けとしては、軽量性の点で200g/m以下(より好ましくは100~180g/m)であることが好ましい。
【0050】
次に、本発明の繊維製品は前記の撥水性布帛を含む。かかる繊維製品は前記の布帛を含んでいるので、優れた撥水性とストレッチ性を有している。なお、かかる繊維製品には傘地や衣料などが含まれる。そして、かかる衣料には、ダウン衣料、バドミントンシャツ、ランニングシャツ、サッカーパンツ、テニスパンツ、バスケットパンツ、卓球パンツ、バドミントンパンツ、ランニングパンツ、ゴルフパンツ、各種スポーツ用アンダーシャツ、各種スポーツ 用インナーウエア、セーター、Tシャツ、ジャージ、トレーナー、ウインドブレーカー、ジャケット、防塵衣、医療用ガウンなどが含まれる。
【実施例
【0051】
次に本発明の実施例および比較例を詳述するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。なお、実施例中の各測定項目は下記の方法で測定した。
(1)ストレッチ性、
JIS L 1096-2010 8.16 B法によりストレッチ性(%)を測定した。
(2)ストレッチ性回復率
JIS L 1096-2010 8.16 B-1法によりストレッチ性回復率(%)を測定した。
(3)織物の引裂強度
JIS L 1096-2010 8.17 D法により引裂強度(N)を測定した。
(4)カバーファクター
下記式により織物のカバーファクターCFを算出した。
CF=(DWp/1.1)1/2×MWp+(DWf/1.1)1/2×MWf
ただし、DWpは経糸総繊度(dtex)、MWpは経糸織密度(本/2.54cm)、DWfは緯糸総繊度(dtex)、MWfは緯糸織密度(本/2.54cm)である。
(5)撥水性(撥水ころがり角度)
水平板上に取りつけた平面状の被測定試料に0.2ccの水を静かに滴下し、この平板を等速度で静かに傾斜させ、水滴がころがりはじめるときの角度を撥水ころがり角度とした。なお、撥水ころがり角度が小さいほど撥水性が良好であり、25度以下を合格とする。
(6)撥水度
JIS L1092-2009 7.2 はっ水度試験(スプレー法)により撥水度(級)を測定した。
(7)織物の目付け
JIS L1096-2010 8.3により織物の目付け(g/m)を測定した。
【0052】
[実施例1]
ポリエチレンテレフタレートを紡糸温度300℃で紡出し、4000m/minで引き取り、一旦巻き取ることなく引き続き1.3倍に延伸し、フィラメントの横断面形状が丸断面のポリエステルマルチフィラメント70dtex/144fil(非捲縮繊維からなる極細繊維)を得た。
【0053】
また、特開2009-46800号公報の実施例24に記載された方法において、総繊度とフィラメント数だけを変えて、総繊度56dtex/36filの、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)成分とポリエチレンテレフタレート(PET)成分とがサイドバイサイド型に接合された複合繊維(伸縮性繊維)を得た。
【0054】
次いで、前記の非捲縮糸と複合繊維(伸縮性繊維)とを合糸して空気交絡処理を行い、複合糸(総繊度126dtex/180fil)を得た。
【0055】
次いで、該複合糸を経糸および緯糸に配して、通常のウオータージェットルーム織機を使用して平組織の織物(前記複合糸だけで構成される織物)を織成した。
【0056】
次いで、精練装置を用いて95℃で前記織物を拡布精練処理した。次いで、液流染色機を用いて温度130℃で分散染料による染色加工を行った後、下記の撥水加工を施した。撥水加工は下記の加工剤を使用し、ピックアップ率80%で搾液し、130℃で3分間乾燥後170℃で45秒間熱処理を行った。
<加工剤組成>
・非フッ素撥水剤 5.0wt%
(日華化学(株)製、NeoseedNR-7080、炭化水素系化合物)
・メラミン樹脂 0.3wt%
(住友化学(株)製、スミテックスレジンM-3)
・触媒 0.3wt%
(住友化学(株)製、スミテックスアクセレレータACX)
・水 94.4wt%
かくして得られた撥水性織物において、目付け153g/m、経密度123本/2.54cm、緯密度104/2.54cm、カバーファクターは2417、引裂き強度は経46N、緯25N、経ストレッチ性11%、経ストレッチ性回復率90%、緯ストレッチ性35%、緯ストレッチ性回復率87%、ころがり角度9度であった。該撥水性織物の表面に前記極細繊維からなる微細繊維ループ(蓮の葉状の微細な凹凸)が形成されており、該撥水性織物は撥水度4級、JIS L0217-1995に規定された洗濯(ただし、JAFET標準配合洗剤を使用)を10回行った後において撥水度が3級であった。また、該撥水性織物には前記の撥水剤が付着しているので、該撥水性織物は環境に配慮した織物であった。かかる撥水性織物を用いてウインドブレーカー(スポーツ衣料)を縫製し、試験者が該ウインドブレーカーを着用したところ、該ウインドブレーカーは撥水性とストレッチ性に優れていた。
【0057】
[実施例2]
ポリエチレンテレフタレートを紡糸温度300℃で紡出し、4000m/minで引き取り、一旦巻き取ることなく引き続き1.3倍に延伸し、フィラメントの横断面形状が丸断面のポリエステルマルチフィラメント70dtex/144fil(非捲縮繊維からなる極細繊維)を得た。
【0058】
また、特開2009-46800号公報の実施例24に記載された方法において、総繊度とフィラメント数だけを変えて、総繊度56dtex/36filの、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)成分とポリエチレンテレフタレート(PET)成分とがサイドバイサイド型に接合された複合繊維(伸縮性繊維)を得た。
【0059】
次いで、前記の非捲縮糸と複合繊維(伸縮性繊維)とを合糸して空気交絡処理を行い、複合糸(総繊度126dtex/180fil)を得た。
【0060】
次いで、Z400t/mで撚糸をした後、該複合糸を経糸および緯糸に配して、通常のウオータージェットルーム織機を使用して平組織の織物(前記複合糸だけで構成される織物)を織成した。
【0061】
次いで、精練装置を用いて95℃で前記織物を拡布精練処理した。次いで、液流染色機を用いて温度130℃で分散染料による染色加工を行った後、下記の撥水加工を施した。撥水加工は下記の加工剤を使用し、ピックアップ率80%で搾液し、130℃で3分間乾燥後170℃で45秒間熱処理を行った。
<加工剤組成>
・非フッ素撥水剤 5.0wt%
(日華化学(株)製、NeoseedNR-7080、炭化水素系化合物)
・メラミン樹脂 0.3wt%
(住友化学(株)製、スミテックスレジンM-3)
・触媒 0.3wt%
(住友化学(株)製、スミテックスアクセレレータACX)
・水 94.4wt%
かくして得られた撥水性織物において、目付け155g/m、経密度125本/2.54cm、緯密度106/2.54cm、カバーファクターは2459、引裂き強度は経44N、緯24N、経ストレッチ性11%、経ストレッチ性回復率91%、緯ストレッチ性36%、緯ストレッチ性回復率88%、ころがり角度8度であった。該撥水性織物の表面に前記極細繊維からなる微細繊維ループ(蓮の葉状の微細な凹凸)が形成されており、該撥水性織物は撥水度4級、JIS L0217-1995に規定された洗濯(但し、JAFET標準配合洗剤を使用)を10回行った後において撥水度が3級であった。また、該撥水性織物には前記の撥水剤が付着しているので、該撥水性織物は環境に配慮した織物であった。かかる撥水性織物を用いてウインドブレーカー(スポーツ衣料)を縫製し、試験者が該ウインドブレーカーを着用したところ、該ウインドブレーカーは撥水性とストレッチ性に優れていた。
【0062】
[実施例3]
ポリエチレンテレフタレートを紡糸温度300℃で紡出し、4000m/minで引き取り、一旦巻き取ることなく引き続き1.3倍に延伸し、フィラメントの横断面形状が丸断面のポリエステルマルチフィラメント70dtex/72fil(非捲縮繊維からなる極細繊維)を得た。
【0063】
また、特開2009-46800号公報の実施例24に記載された方法において、総繊度とフィラメント数だけを変えて、総繊度33dtex/24filの、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)成分とポリエチレンテレフタレート(PET)成分とがサイドバイサイド型に接合された複合繊維(伸縮性繊維)を得た。
【0064】
次いで、前記の非捲縮糸と複合繊維(伸縮性繊維)とを合糸して空気交絡処理を行い、複合糸(総繊度100dtex/96fil)を得た。
【0065】
次いで、Z800t/mで撚糸をした後、該複合糸を経糸および緯糸に配して、通常のウオータージェットルーム織機を使用して綾組織の織物(前記複合糸だけで構成される織物)を織成した。
【0066】
次いで、精練装置を用いて95℃で前記織物を拡布精練処理した。次いで、液流染色機を用いて温度130℃で分散染料による染色加工を行った後、下記の撥水加工を施した。撥水加工は下記の加工剤を使用し、ピックアップ率80%で搾液し、130℃で3分間乾燥後170℃で45秒間熱処理を行った。
<加工剤組成>
・非フッ素撥水剤 5.0wt%
(日華化学(株)製、NeoseedNR-7080、炭化水素系化合物)
・メラミン樹脂 0.3wt%
(住友化学(株)製、スミテックスレジンM-3)
・触媒 0.3wt%
(住友化学(株)製、スミテックスアクセレレータACX)
・水 94.4wt%
かくして得られた撥水性織物において、目付け156g/m、経密度163本/2.54cm、緯密度130/2.54cm、カバーファクターは2459、引裂き強度は経42N、緯37N、経ストレッチ性12%、経ストレッチ性回復率96%、緯ストレッチ性21%、緯ストレッチ性回復率90%、ころがり角度9度であった。該撥水性織物の表面に前記極細繊維からなる微細繊維ループ(蓮の葉状の微細な凹凸)が形成されており、該撥水性織物は撥水度4級、JIS L0217-1995に規定された洗濯(但し、JAFET標準配合洗剤を使用)を10回行った後において撥水度が3級であった。また、該撥水性織物には前記の撥水剤が付着しているので、該撥水性織物は環境に配慮した織物であった。かかる撥水性織物を用いてウインドブレーカー(スポーツ衣料)を縫製し、試験者が該ウインドブレーカーを着用したところ、該ウインドブレーカーは撥水性とストレッチ性に優れていた。
【0067】
[比較例1]
実施例1において、極細繊維のフィラメント数を変えてポリエステルマルチフィラメント70dtex/36fil(非捲縮繊維、単繊維繊度1.9dtex)とし、複合糸(総繊度126dtex/72fil)として経糸および緯糸に配すること以外は実施例1と同様にした。
【0068】
得られた撥水性織物において、目付け155g/m、経密度125本/2.54cm、緯密度105/2.54cm、カバーファクターは2449、引裂き強度は経42N、緯27N、経ストレッチ性12%、経ストレッチ性回復率92%、緯ストレッチ性33%、緯ストレッチ性回復率88%と良好であったが、ころがり角度18度であった。また、微細な凹凸が形成されておらず、JISL0217-1995に規定された洗濯(但し、JAFET標準配合洗剤を使用)を10回行った後において撥水度が2級であった。
【0069】
[比較例2]
実施例1において、複合繊維(伸縮性繊維)をポリエステルマルチフィラメント56dtex/36fil(非捲縮繊維)に置き換え、複合糸(総繊度126dtex/180fil)を得た後、該複合糸を経糸および緯糸に配すること以外は実施例1と同様にした。
【0070】
得られた撥水性織物において、目付け144g/m、経密度116本/2.54cm、緯密度98/2.54cm、カバーファクターは2279、引裂き強度は経35N、緯22Nと良好であったが、ストレッチ性が10%未満であった。ころがり角度12度であった。
【0071】
[比較例3]
実施例1において、撥水加工を施さないこと以外は実施例1と同様にした。かくして得られた織物において、目付け154g/m、経密度124本/2.54cm、緯密度102/2.54cm、カバーファクターは2406、引裂き強度は経30N、緯20N、経ストレッチ性12%、経ストレッチ性回復率90%、緯ストレッチ性36%、緯ストレッチ性回復率90%で織物の表面に前記極細繊維からなる微細繊維ループ(蓮の葉状の微細な凹凸)が形成されていたが、該撥水性織物は撥水度0級、JIS L0217-1995に規定された洗濯(但し、JAFET標準配合洗剤を使用)を10回行った後において撥水度が0級であり、撥水性に劣るものであった。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明によれば、撥水性だけでなくストレッチ性にも優れた撥水性布帛、および該撥水性布帛を用いてなる繊維製品が得られ、その工業的価値は極めて大である。