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特許7448655検査データ作成方法、検査データ作成装置および検査装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-04
(45)【発行日】2024-03-12
(54)【発明の名称】検査データ作成方法、検査データ作成装置および検査装置
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/08 20060101AFI20240305BHJP
【FI】
H05K13/08 D
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2022532968
(86)(22)【出願日】2020-07-02
(86)【国際出願番号】 JP2020026087
(87)【国際公開番号】W WO2022003919
(87)【国際公開日】2022-01-06
【審査請求日】2022-09-16
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(72)【発明者】
【氏名】水嶋 孝智
【審査官】寺川 ゆりか
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-340832(JP,A)
【文献】特開2019-100917(JP,A)
【文献】特開2006-250609(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品が実装済の基板の実装済基板画像を取得するステップと、
前記実装済基板画像中の前記部品の部品画像を抽出するステップと、
前記部品画像に基づいて、部品情報が予め登録された部品登録情報に対して、前記部品登録情報に登録された登録部品ごとの前記部品の類似度を取得するステップと、
前記登録部品ごとの前記部品の類似度に基づいて、前記基板を検査する検査装置において用いられる部品データとしての検査データを設定するステップと、を備え、
前記登録部品ごとの前記部品の類似度を取得するステップは、前記登録部品の全てに対して登録部品種類ごとの前記部品の種類の類似度および登録部品形状ごとの前記部品の形状の類似度を取得し、取得した登録部品種類ごとの前記部品の種類の類似度および登録部品形状ごとの前記部品の形状の類似度に基づいて、前記登録部品の全てに対して前記登録部品ごとの前記部品の総合的な類似度を取得するステップを含み、
前記検査データを設定するステップは、前記部品登録情報の登録部品データから、前記部品データとしての前記検査データを設定するステップを含む、検査データ作成方法。
【請求項2】
前記登録部品ごとの前記部品の類似度は、数値を含み、
前記検査データを設定するステップは、前記部品の類似度の数値が最も高い前記部品を前記部品データとしての前記検査データとして設定するステップを含む、請求項1に記載の検査データ作成方法。
【請求項3】
前記登録部品ごとの前記部品の類似度を取得するステップは、予め学習された機械学習モデルによる画像処理と、画像中の濃淡および画像中の高さのうちの少なくとも1つを利用した画像処理と、のうちの少なくとも1つを用いて、前記登録部品ごとの前記部品の類似度を取得するステップを含む、請求項1または2に記載の検査データ作成方法。
【請求項4】
前記部品の形状の類似度は、前記部品の外形の類似度と、前記部品の本体の類似度と、前記部品の端子の類似度とのうちの少なくとも1つを含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の検査データ作成方法。
【請求項5】
前記登録部品ごとの前記部品の類似度を取得するステップは、前記部品画像に基づいて、前記部品の外形の幅と、前記部品の外形の長さと、前記部品の外形の厚みと、前記部品の本体の幅と、前記部品の本体の長さと、前記部品の本体の厚みと、前記部品の端子の数と、前記部品の端子のピッチと、前記部品の端子の幅と、前記部品の端子の長さと、のうちの少なくとも1つを取得するステップを含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の検査データ作成方法。
【請求項6】
前記登録部品ごとの前記部品の類似度を取得するステップは、予め学習された機械学習モデルによる画像処理を用いて、前記登録部品種類ごとの前記部品の種類の類似度を取得するとともに、画像中の濃淡および画像中の高さのうちの少なくとも1つを利用した画像処理を用いて、前記登録部品形状ごとの前記部品の形状の類似度を取得するステップを含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の検査データ作成方法。
【請求項7】
前記登録部品ごとの前記部品の類似度を取得するステップは、画像中の濃淡および画像中の高さのうちの少なくとも1つを利用した画像処理を用いて、前記登録部品種類ごとの前記部品の種類の類似度および前記登録部品形状ごとの前記部品の形状の類似度のうちの少なくとも1つを取得する場合に、前記基板の色に関する情報、および、前記基板のはんだの厚みに関する情報のうちの少なくとも1つを考慮するステップを含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の検査データ作成方法。
【請求項8】
前記実装済基板画像中の前記部品画像を抽出するステップは、前記基板に前記部品を実装する部品実装装置において用いられるとともに、前記部品の形状および前記部品の実装位置を含む基板データ、および、前記基板の画像データとしての基板CADデータのうちの少なくとも1つに基づいて、前記実装済基板画像中の前記部品画像を抽出するステップを含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の検査データ作成方法。
【請求項9】
前記検査データを設定するステップは、前記検査データとして設定した前記部品の端子の情報が、前記部品画像に基づいて取得した前記部品の端子の情報と異なる場合、前記検査データとして設定した前記部品の端子の情報を、前記部品画像に基づいて取得した前記部品の端子の情報により上書きすることにより、新たな前記検査データを作成するステップを含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の検査データ作成方法。
【請求項10】
部品が実装済の基板の実装済基板画像を取得する取得部と、
前記実装済基板画像中の前記部品の部品画像を抽出し、前記部品画像に基づいて、部品情報が予め登録された部品登録情報に対して、前記部品登録情報に登録された登録部品ごとの前記部品の類似度を取得し、前記登録部品ごとの前記部品の類似度に基づいて、前記基板を検査する検査装置において用いられる部品データとしての検査データを設定する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記登録部品の全てに対して登録部品種類ごとの前記部品の種類の類似度および登録部品形状ごとの前記部品の形状の類似度を取得し、取得した登録部品種類ごとの前記部品の種類の類似度および登録部品形状ごとの前記部品の形状の類似度に基づいて、前記登録部品の全てに対して前記登録部品ごとの前記部品の総合的な類似度を取得するとともに、前記部品登録情報の登録部品データから、前記部品データとしての前記検査データを設定するように構成されている、検査データ作成装置。
【請求項11】
部品が実装済の基板を撮影して実装済基板画像を取得する撮影部と、
前記実装済基板画像中の前記部品の部品画像を抽出し、前記部品画像に基づいて、部品情報が予め登録された部品登録情報に対して、前記部品登録情報に登録された登録部品ごとの前記部品の類似度を取得し、前記登録部品ごとの前記部品の類似度に基づいて、部品データとしての検査データを設定する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記登録部品の全てに対して登録部品種類ごとの前記部品の種類の類似度および登録部品形状ごとの前記部品の形状の類似度を取得し、取得した登録部品種類ごとの前記部品の種類の類似度および登録部品形状ごとの前記部品の形状の類似度に基づいて、前記登録部品の全てに対して前記登録部品ごとの前記部品の総合的な類似度を取得するとともに、前記部品登録情報の登録部品データから、前記部品データとしての前記検査データを設定するように構成されている、検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、検査データ作成方法、検査データ作成装置および検査装置に関し、特に、部品データとしての検査データを設定する検査データ作成方法、検査データ作成装置および検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、部品データとしての検査データを設定する検査データ作成方法が知られている。このような方法は、たとえば、再公表2018/105100号公報に開示されている。
【0003】
上記再公表2018/105100号公報には、部品データとしての検査ジョブデータを設定する検査ジョブデータ作成方法(検査データ作成方法)が開示されている。この検査ジョブデータ作成方法では、まず、完成品基板の完成品画像データから、電子部品の寸法が抽出される。そして、この検査ジョブデータ作成方法では、抽出した電子部品の寸法と、多種類の電子部品の部品データが予め登録されている部品ライブラリの電子部品の寸法とが一致するか否かが照会される。そして、この検査ジョブデータ作成方法では、電子部品の寸法が一致したことに基づいて部品データとしての検査データが設定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】再公表2018/105100号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記再公表2018/105100号公報に記載された検査ジョブデータ作成方法では、単に抽出した電子部品の寸法と、多種類の電子部品の部品データが予め登録されている部品ライブラリの電子部品の寸法とが一致したことのみに基づいて部品データとしての検査ジョブデータ(検査データ)を設定するだけであるため、適用範囲が狭く、部品データとしての検査ジョブデータ(検査データ)を容易に設定することが困難であるという問題点がある。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、単に寸法が一致したことに基づいて部品データとしての検査データを設定する場合に比べて、部品データとしての検査データを容易に設定することが可能な検査データ作成方法、検査データ作成装置および検査装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の第1の局面による検査データ作成方法は、部品が実装済の基板の実装済基板画像を取得するステップと、実装済基板画像中の部品の部品画像を抽出するステップと、部品画像に基づいて、部品情報が予め登録された部品登録情報に対して、部品登録情報に登録された登録部品ごとの部品の類似度を取得するステップと、登録部品ごとの部品の類似度に基づいて、基板を検査する検査装置において用いられる部品データとしての検査データを設定するステップと、を備え、登録部品ごとの部品の類似度を取得するステップは、登録部品の全てに対して登録部品種類ごとの部品の種類の類似度および登録部品形状ごとの部品の形状の類似度を取得し、取得した登録部品種類ごとの部品の種類の類似度および登録部品形状ごとの部品の形状の類似度に基づいて、登録部品の全てに対して登録部品ごとの部品の総合的な類似度を取得するステップを含み、検査データを設定するステップは、部品登録情報の登録部品データから、部品データとしての検査データを設定するステップを含む。
【0008】
この発明の第1の局面による検査データ作成方法では、上記のように、部品画像に基づいて、部品ごとの部品の類似度を取得するステップと、部品ごとの部品の類似度に基づいて、基板を検査する検査装置において用いられる部品データとしての検査データを設定するステップと、を設ける。これにより、単に寸法が一致したことのみに基づいて部品データとしての検査データを設定する場合と異なり、寸法が完全には一致していなくても、部品ごとの部品の類似度に基づいて、部品データとしての検査データを設定することができる。その結果、適用範囲を広くすることができるので、単に寸法が一致したことに基づいて部品データとしての検査データを設定する場合に比べて、部品データとしての検査データを容易に設定することが可能な検査データ作成方法を提供することができる。
【0009】
上記第1の局面による検査データ作成方法において、好ましくは、登録部品ごとの部品の類似度は、数値を含み、検査データを設定するステップは、部品の類似度の数値が最も高い部品を部品データとしての検査データとして設定するステップを含む。このように構成すれば、部品の類似度の数値が最も高い部品を部品データとしての検査データとして設定することができる。その結果、部品データとしての検査データをより容易に設定することができる。
【0010】
上記第1の局面による検査データ作成方法において、好ましくは、登録部品ごとの部品の類似度を取得するステップは、予め学習された機械学習モデルによる画像処理と、画像中の濃淡および画像中の高さのうちの少なくとも1つを利用した画像処理と、のうちの少なくとも1つを用いて、部品ごとの部品の類似度を取得するステップを含む。このように構成すれば、予め学習された機械学習モデルによる画像処理、または、画像中の濃淡および画像中の高さのうちの少なくとも1つを利用した画像処理、を用いて、部品ごとの部品の類似度を容易に取得することができる。また、予め学習された機械学習モデルによる画像処理を用いた場合、熟練者の判断に近い高精度な判断(類似度の取得)を容易に行うことができる。
【0011】
上記第1の局面による検査データ作成方法では、部品種類ごとの部品の種類の類似度に基づいて、部品ごとの部品の類似度を取得することができる。その結果、部品の種類を考慮した部品の類似度に基づいて、種類が異なる部品を識別しつつ、部品データとしての検査データを設定することができる。
【0012】
上記第1の局面による検査データ作成方法では、部品種類ごとの部品の種類の類似度だけでなく、部品形状ごとの部品の形状の類似度にも基づいて、部品ごとの部品の類似度を取得することができる。その結果、部品の種類および形状を考慮した部品の類似度に基づいて、種類および形状が異なる部品を識別しつつ、部品データとしての検査データを設定することができる。また、部品の種類および形状の両方を考慮するので、部品の形状のみを考慮する場合と異なり、同一形状であるが、種類が異なる部品を識別しつつ、部品データとしての検査データを設定することができる。
【0013】
上記第1の局面による検査データ作成方法では、部品登録情報の登録部品データを用いて、部品データとしての検査データを容易に設定することができる。
【0014】
上記第1の局面による検査データ作成方法において、好ましくは、部品の形状の類似度は、部品の外形の類似度と、部品の本体の類似度と、部品の端子の類似度とのうちの少なくとも1つを含む。このように構成すれば、部品の外形の類似度、部品の本体の類似度、または、部品の端子の類似度に基づいて、部品の形状の類似度を適切に取得することができる。
【0015】
上記第1の局面による検査データ作成方法において、好ましくは、登録部品ごとの部品の類似度を取得するステップは、部品画像に基づいて、部品の外形の幅と、部品の外形の長さと、部品の外形の厚みと、部品の本体の幅と、部品の本体の長さと、部品の本体の厚みと、部品の端子の数と、部品の端子のピッチと、部品の端子の幅と、部品の端子の長さと、のうちの少なくとも1つを取得するステップを含む。このように構成すれば、部品の外形の幅、部品の外形の長さ、部品の外形の厚み、部品の本体の幅、部品の本体の長さ、部品の本体の厚み、部品の端子の数、部品の端子のピッチ、部品の端子の幅、または、部品の端子の長さに基づいて、部品の形状の類似度を適切に取得することができる。
【0016】
上記第1の局面による検査データ作成方法において、好ましくは、部品ごとの部品の類似度を取得するステップは、予め学習された機械学習モデルによる画像処理を用いて、登録部品種類ごとの部品の種類の類似度を取得するとともに、画像中の濃淡および画像中の高さのうちの少なくとも1つを利用した画像処理を用いて、登録部品形状ごとの部品の形状の類似度を取得するステップを含む。このように構成すれば、予め学習された機械学習モデルによる画像処理を用いて、部品種類ごとの部品の種類の類似度を適切に取得しつつ、画像中の濃淡および画像中の高さのうちの少なくとも1つを利用した画像処理を用いて、部品形状ごとの部品の形状の類似度を適切に取得することができる。
【0017】
上記第1の局面による検査データ作成方法において、好ましくは、部品ごとの部品の類似度を取得するステップは、画像中の濃淡および画像中の高さのうちの少なくとも1つを利用した画像処理を用いて、登録部品種類ごとの部品の種類の類似度および登録部品形状ごとの部品の形状の類似度のうちの少なくとも1つを取得する場合に、基板の色に関する情報、および、基板のはんだの厚みに関する情報のうちの少なくとも1つを考慮するステップを含む。このように構成すれば、基板の色に関する情報を考慮する場合、基板の色と部品の色(部品の本体の色、および、部品の端子の色など)とが近い色である場合にも、基板と部品とを容易に識別することができる。その結果、部品種類ごとの部品の種類の類似度、または、部品形状ごとの部品の形状の類似度を、正確に取得することができる。また、基板のはんだの厚みに関する情報を考慮する場合、基板のはんだと部品の端子とを識別する高さの基準が分かるので、基板のはんだと部品の端子とを容易に識別することができる。その結果、部品種類ごとの部品の種類の類似度、または、部品形状ごとの部品の形状の類似度を、正確に取得することができる。
【0018】
上記第1の局面による検査データ作成方法において、好ましくは、実装済基板画像中の部品画像を抽出するステップは、基板に部品を実装する部品実装装置において用いられるとともに、部品の形状および部品の実装位置を含む基板データ、および、基板の画像データとしての基板CADデータのうちの少なくとも1つに基づいて、実装済基板画像中の部品画像を抽出するステップを含む。このように構成すれば、基板データ、または、基板CADデータに基づいて、実装済基板画像中の部品の位置を容易に指定することができる。その結果、基板データ、または、基板CADデータを用いない場合に比べて、実装済基板画像中の部品画像を容易に抽出することができる。
【0019】
上記第1の局面による検査データ作成方法において、好ましくは、検査データを設定するステップは、検査データとして設定した部品の端子の情報が、部品画像に基づいて取得した部品の端子の情報と異なる場合、検査データとして設定した部品の端子の情報を、部品画像に基づいて取得した部品の端子の情報により上書きすることにより、新たな検査データを作成するステップを含む。このように構成すれば、誤った部品の端子の情報を検査データとして設定することを抑制することができる。
【0020】
この発明の第2の局面による検査データ作成装置は、部品が実装済の基板の実装済基板画像を取得する取得部と、実装済基板画像中の部品の部品画像を抽出し、部品画像に基づいて、部品情報が予め登録された部品登録情報に対して、部品登録情報に登録された登録部品ごとの部品の類似度を取得し、登録部品ごとの部品の類似度に基づいて、基板を検査する検査装置において用いられる部品データとしての検査データを設定する制御部と、を備え、制御部は、登録部品の全てに対して登録部品種類ごとの部品の種類の類似度および登録部品形状ごとの部品の形状の類似度を取得し、取得した登録部品種類ごとの部品の種類の類似度および登録部品形状ごとの部品の形状の類似度に基づいて、登録部品の全てに対して登録部品ごとの部品の総合的な類似度を取得するとともに、部品登録情報の登録部品データから、部品データとしての検査データを設定するように構成されている。
【0021】
この発明の第2の局面による検査データ作成装置では、上記のように、部品画像に基づいて、部品ごとの部品の類似度を取得し、部品ごとの部品の類似度に基づいて、基板を検査する検査装置において用いられる部品データとしての検査データを設定する制御部を設ける。これにより、上記第1の局面による検査データ作成方法と同様に、単に寸法が一致したことに基づいて部品データとしての検査データを設定する場合に比べて、部品データとしての検査データを容易に設定することが可能な検査データ作成装置を提供することができる。
【0022】
この発明の第3の局面による検査装置は、部品が実装済の基板を撮影して実装済基板画像を取得する撮影部と、実装済基板画像中の部品の部品画像を抽出し、部品画像に基づいて、部品情報が予め登録された部品登録情報に対して、部品登録情報に登録された登録部品ごとの部品の類似度を取得し、登録部品ごとの部品の類似度に基づいて、部品データとしての検査データを設定する制御部と、を備え、制御部は、登録部品の全てに対して登録部品種類ごとの部品の種類の類似度および登録部品形状ごとの部品の形状の類似度を取得し、取得した登録部品種類ごとの部品の種類の類似度および登録部品形状ごとの部品の形状の類似度に基づいて、登録部品の全てに対して登録部品ごとの部品の総合的な類似度を取得するとともに、部品登録情報の登録部品データから、部品データとしての検査データを設定するように構成されている。
【0023】
この発明の第3の局面による検査装置では、上記のように、部品画像に基づいて、部品ごとの部品の類似度を取得し、部品ごとの部品の類似度に基づいて、部品データとしての検査データを設定する制御部を設ける。これにより、上記第1の局面による検査データ作成方法と同様に、単に寸法が一致したことに基づいて部品データとしての検査データを設定する場合に比べて、部品データとしての検査データを容易に設定することが可能な検査装置を提供することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、上記のように、単に寸法が一致したことに基づいて部品データとしての検査データを設定する場合に比べて、部品データとしての検査データを容易に設定することが可能な検査データ作成方法、検査データ作成装置および検査装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】一実施形態による部品実装システムを示すブロック図である。
図2】一実施形態による検査装置を示すブロック図である。
図3】一実施形態による検査データ作成装置による検査データ作成処理を説明するためのフローチャートである。
図4】一実施形態による検査データ作成装置による部品の類似度の取得を説明するためのフローチャートである。
図5】一実施形態による検査データ作成装置による検査データ作成処理を説明するための図である。
図6】一実施形態による検査データ作成装置による部品の種類の類似度の取得を説明するための図である。
図7】一実施形態による検査データ作成装置の機械学習モデルの作成を説明するための図である。
図8】一実施形態による検査データ作成装置による部品の形状の取得を説明するための図である。
図9】一実施形態による検査データ作成装置による部品の形状の類似度の取得を説明するための図である。
図10】一実施形態による検査データ作成装置による部品の類似度の取得を説明するための第1図である。
図11】一実施形態による検査データ作成装置による部品の類似度の取得を説明するための第2図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0027】
まず、図1を参照して、一実施形態による部品実装システム100の構成について説明する。
【0028】
(部品実装システムの構成)
図1に示すように、部品実装システム100は、検査データ作成装置10と、データベース20と、検査装置30とを備えている。
【0029】
検査データ作成装置10は、検査装置30において用いられる検査データを作成するための装置である。検査データ作成装置10は、たとえば、各種の演算を行うことが可能に構成されたパーソナルコンピュータである。検査データ作成装置10は、制御部11と、記憶部12と、入力部13と、表示部14と、通信部15とを備えている。制御部11は、検査データ作成装置10の動作を制御する制御回路である。制御部11は、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサを含んでいる。記憶部12は、各種の情報(データ)の記憶と、記憶した情報(データ)の読み出しとが可能な不揮発性の記憶媒体を含んでいる。記憶部12には、たとえば、検査装置30から取得する実装済基板画像40、および、検査装置30に送信する検査データ50などが記憶されている。なお、通信部15は、請求の範囲の「取得部」の一例である。
【0030】
入力部13は、マウス、および、キーボードなどを含み、ユーザによる入力操作を受け付けるように構成されている。表示部14は、たとえば液晶モニタを含み、検査データ50などの情報を表示する。通信部15は、外部の機器と通信可能に構成されている。通信部15は、データベース20、および、検査装置30と通信可能に構成されている。通信部15は、検査装置30から、実装済基板画像40を取得するように構成されている。
【0031】
データベース20は、基板B(図2参照)に実装される部品Cごとの部品データが登録された部品ライブラリ21を備えている。部品ライブラリ21は、部品Cごとの部品データとして、部品Cの種類の情報、部品Cの形状の情報、部品Cの検査の情報を含んでいる。部品Cの種類の情報は、たとえば、チップコンデンサ、チップ抵抗器、チップインダクタ、チップトランジスタ、LED、SOP、BGA、QFP、および、コネクタなどの部品Cの種類の情報を含んでいる。また、部品Cの形状の情報は、たとえば、部品Cの外形の幅、部品Cの外形の長さ、部品Cの外形の厚み、部品Cの本体の幅、部品Cの本体の長さ、部品Cの本体の厚み、部品Cの端子(リード)の数、部品Cの端子(リード)のピッチ、部品Cの端子(リード)の幅、および、部品Cの端子(リード)の長さなどの部品Cの形状の情報を含んでいる。また、部品Cの検査の情報は、たとえば、検査枠の位置、検査部位、および、検査パラメータなどの部品Cの検査の情報を含んでいる。なお、部品ライブラリ21は、請求の範囲の「部品登録情報」の一例である。
【0032】
検査装置30は、基板Bを検査対象として撮影し、基板Bおよび基板B上の部品Cに対する各種検査を行う装置である。検査装置30は、部品Cを基板Bに実装して回路基板を製造するための基板製造ラインの一部を構成している。
【0033】
基板製造プロセスの概要としては、まず、配線パターンが形成された基板B上に、はんだ印刷装置(図示せず)によって所定のパターンではんだ(はんだペースト)の印刷(塗布)が行われる(はんだ印刷工程)。続いて、はんだ印刷後の基板Bに、部品実装装置(図示せず)によって部品Cが搭載(実装)される(実装工程)ことにより、部品Cの端子がはんだ上に配置される。その後、部品Cを実装済みの基板Bがリフロー炉(図示せず)に搬送されてはんだの溶融および硬化(冷却)が行われる(リフロー工程)ことにより、部品Cの端子が基板Bの配線に対して半田接合される。これにより、部品Cが配線に対して電気的に接続された状態で基板B上に固定され、基板製造が完了する。
【0034】
検査装置30は、たとえば、はんだ印刷工程後の基板B上のはんだの印刷状態の検査や、実装工程後における部品Cの実装状態の検査、または、リフロー工程後における部品Cの実装状態の検査などに用いられる。したがって、検査装置30は、基板製造ラインにおいて1または複数設けられる。はんだの印刷状態としては、設計上の印刷位置に対する印刷位置ずれ、はんだの形状、体積および高さ(塗布量)、ブリッジ(短絡)の有無などの検査が行われる。部品Cの実装状態としては、部品Cの種類および向き(極性)が適正か否か、部品Cの設計上の実装位置に対する位置ずれの量が許容範囲内か、端子のはんだ接合状態が正常か否かなどの検査が行われる。また、各工程間での共通の検査内容として、ゴミやその他の付着物などの異物の検出も行われる。
【0035】
図2に示すように、検査装置30は、基板Bを搬送するための基板搬送コンベア31と、基板搬送コンベア31の上方をXY方向(水平方向)およびZ方向(上下方向)に移動可能なヘッド移動機構32と、ヘッド移動機構32によって保持された測定部33と、検査装置30の制御を行う制御装置34とを備えている。
【0036】
基板搬送コンベア31は、基板Bを水平方向に搬送するとともに、所定の検査位置で基板Bを停止させて保持することが可能なように構成されている。また、基板搬送コンベア31は、検査が終了した基板Bを所定の検査位置から水平方向に搬送して、検査装置30から基板Bを搬出することが可能なように構成されている。
【0037】
ヘッド移動機構32は、基板搬送コンベア31の上方に設けられ、たとえばボールねじ軸とサーボモータとを用いた直交3軸(XYZ軸)ロボットにより構成されている。ヘッド移動機構32は、これらのX軸、Y軸およびZ軸の駆動を行うためのX軸モータ、Y軸モータおよびZ軸モータを備えている。これらのX軸モータ、Y軸モータおよびZ軸モータにより、ヘッド移動機構32は、測定部33を、基板搬送コンベア31(基板B)の上方でXY方向(水平方向)およびZ方向(上下方向)に移動させることが可能なように構成されている。
【0038】
測定部33は、2次元情報(2次元画像)および3次元情報(3次元画像)を測定(撮影)するように構成されている。測定部33は、撮影部33aと、投影部33bとを備えている。この測定部33がヘッド移動機構32によって基板Bの上方の所定位置に移動されるとともに、撮影部33aや投影部33bなどを用いることによって、測定部33が基板Bおよび基板B上の部品Cなどの外観検査のための撮影を行うように構成されている。
【0039】
撮影部33aは、投影部33bにより縞パターン光が照射された基板Bを撮影するように構成されている。撮影部33aは、CCDイメージセンサ、および、CMOSイメージセンサなどの撮像素子を有している。撮影部33aは、略矩形形状の撮影領域において基板Bを撮影可能なように構成されている。また、撮影部33aは、水平方向の基準面に対して垂直方向に光軸33cが配置されている。つまり、撮影部33aは、基板Bの上面の2次元画像を略垂直上方の位置から撮影するように構成されている。この撮影部33aにより、投影部33bによる照明光の下では、2次元画像が得られる。
【0040】
投影部33bは、複数設けられている。また、複数の投影部33bは、それぞれ、撮影部33aの光軸33c方向に対して傾斜した方向から撮影部33aにより撮影する測定パターンを投影するように構成されている。つまり、測定部33は、複数の方向から測定パターンを投影して3次元情報を測定するように構成されている。投影部33bは、上方からみて、撮影部33aの周囲を取り囲むように複数個(たとえば、4個)配置されている。また、複数個の投影部33bは、撮影中心(撮影部33a)から等距離の位置に、略等角度(略90度)間隔で配列されている。また、投影部33bは、測定パターンとして、正弦波状の光強度分布を有する等間隔の格子状の明暗パターン(縞パターン光)を投影するように構成されている。また、投影部33bは、この明暗パターンの位置(位相)をシフトさせて投影するように構成されている。
【0041】
制御装置34は、検査装置30の各部を制御するように構成されている。制御装置34は、制御部34aと、記憶部34bと、画像処理部34cと、撮影制御部34dと、投影制御部34eと、モータ制御部34fとを含んでいる。
【0042】
制御部34aは、論理演算を実行するCPUなどのプロセッサ、CPUを制御するプログラムなどを記憶するROM(Read Only Memory)および装置の動作中に種々のデータを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)などから構成されている。制御部34aは、ROMに記憶されているプログラムや、記憶部34bに格納されたソフトウェア(プログラム)に従って、画像処理部34c、撮影制御部34d、投影制御部34eおよびモータ制御部34fを介して、検査装置30の各部を制御するように構成されている。そして、制御部34aは、測定部33を制御して、基板Bに対する各種の外観検査を行う。
【0043】
記憶部34bは、各種の情報(データ)の記憶と、記憶した情報(データ)の読み出しとが可能な不揮発性の記憶媒体を含んでいる。記憶部34bには、たとえば、撮影部33aによって撮影された撮影画像データ(実装済基板画像40)、および、検査データ作成装置10から取得する検査データ50などが記憶されている。検査データ50に基づいて、検査装置30による基板Bおよび基板B上の部品Cに対する各種検査が行われる。
【0044】
画像処理部34cは、撮影部33aによって撮影された撮影画像(撮影信号)を画像処理して、基板B、基板B上の部品C、および、はんだ接合部(はんだ)を認識(画像認識)するのに適した画像データを生成するように構成されている。
【0045】
撮影制御部34dは、制御部34aから出力される制御信号に基づいて、撮影部33aから所定のタイミングで撮影信号の読み出しを行うとともに、読み出した撮影信号を画像処理部34cに出力するように構成されている。投影制御部34eは、制御部34aから出力される制御信号に基づいて、投影部33bによる投影の制御を行うように構成されている。
【0046】
モータ制御部34fは、制御部34aから出力される制御信号に基づいて、検査装置30の各サーボモータ(ヘッド移動機構32のX軸モータ、Y軸モータおよびZ軸モータ、基板搬送コンベア31を駆動するためのモータ(図示せず)など)の駆動を制御するように構成されている。また、モータ制御部34fは、各サーボモータのエンコーダ(図示せず)からの信号に基づいて、測定部33、および、基板Bなどの位置を取得するように構成されている。
【0047】
(検査データ作成処理)
次に、図3のフローチャート、図4のフローチャート、および、図5図11を参照して、本実施形態の検査データ作成装置10による検査データ作成処理について説明する。なお、図3のフローチャートおよび図4のフローチャートの各処理は、検査データ作成装置10の制御部11により行われる。
【0048】
図3および図5に示すように、まず、ステップS101では、部品Cが実装済の基板Bの実装済基板画像(完成基板画像)40が取得される。具体的には、まず、検査装置30において部品Cが実装済の基板Bが撮影されることにより実装済基板画像40が取得される。そして、ステップS101において、検査装置30において取得された実装済基板画像40が、通信部15を介して、検査データ作成装置10において取得される。なお、実装済基板画像40は、部品Cが実装済の基板Bの3次元形状の情報を有する3次元画像と、部品Cが実装済の基板Bの2次元形状の情報を有する2次元画像とを含んでいる。
【0049】
そして、ステップS102では、実装済基板画像40中の部品画像41が抽出される。具体的には、ステップS102では、基板データ、および、基板CADデータのうちの少なくとも1つに基づいて、実装済基板画像40中の部品画像41が抽出される。基板データは、基板Bに部品Cを実装する部品実装装置(図示せず)において用いられるとともに、部品Cの形状および部品Cの実装位置を含むデータである。また、基板CADデータは、部品Cの実装位置を含む基板Bの画像データである。ステップS102では、基板データが含む部品Cの実装位置の情報、および、基板CADデータが含む部品Cの実装位置の情報のうちの少なくとも1つを利用して、実装済基板画像40中の部品画像41が抽出される。なお、部品画像41は、部品Cの3次元形状の情報を有する3次元画像と、部品Cの2次元形状の情報を有する2次元画像とを含んでいる。
【0050】
そして、ステップS103では、部品画像41に基づいて、部品Cごとの部品Cの類似度60の取得が行われる。具体的には、ステップS103では、図4のステップS201~S203の処理が行われる。
【0051】
図4および図5に示すように、まず、ステップS201では、部品画像41に基づいて、部品種類ごとの部品Cの種類の類似度61が取得される。具体的には、ステップS201では、図6に示すように、予め学習された機械学習モデル(判別器)70による画像処理を用いて、部品種類ごとの部品Cの種類の類似度61が取得される。より具体的には、ステップS201では、機械学習モデル70に、2次元画像および3次元画像としての部品画像41を入力し、出力結果として部品種類ごとの部品Cの種類の類似度61が取得される。また、ステップS201では、部品種類ごとの部品Cの種類の類似度61が、部品種類ごとの確信度(確率)として取得される。部品種類ごとの部品Cの種類の類似度61は、数値を含んでいる。
【0052】
機械学習モデル70は、たとえば、図7に示すように学習させることにより、作成することができる。すなわち、図7に示すように、まず、視野画像71が準備される。視野画像71としては、部品Cを含む画像であれば、特に限られないが、たとえば、検査装置30において取得された画像を用いることができる。また、視野画像71は、2次元画像および3次元画像を含んでいる。そして、視野画像71から、部品Cの領域を切り出す(抽出する)ことにより、視野画像71中の部品画像72が取得される。この際、2次元画像および3次元画像としての視野画像71から、2次元画像および3次元画像としての部品画像72が取得される。なお、部品Cの領域を切り出す工程では、部品Cの種類およびサイズにより、切り出した画像のサイズが異なる。
【0053】
このため、部品画像72に対して画像サイズの変更(リサイズ)が行われることにより、決められたサイズの部品画像73が学習画像として取得される。この際、2次元画像および3次元画像としての部品画像72から、2次元画像および3次元画像としての部品画像73が取得される。そして、部品画像73に、部品Cの種類がラベル付けされる。そして、部品Cの種類がラベル付けされた、2次元画像および3次元画像としての部品画像73に基づいて、機械学習を行うことにより、学習済みの機械学習モデル70が作成される。機械学習モデル70は、畳み込みニューラルネットワークを利用して、作成(構築)することができる。また、機械学習モデル70は、チップコンデンサ、チップ抵抗器、チップインダクタ、チップトランジスタ、LED,SOP、BGA、QFP、および、コネクタなどの様々な種類の部品画像73を用いて、学習される。
【0054】
そして、図4および図5に示すように、ステップS202では、部品画像41に基づいて、部品Cの形状の類似度62が取得される。すなわち、部品画像41に基づいて、部品種類ごとの部品Cの種類の類似度61を取得するステップS201に加えて、部品Cの種類の類似度61を取得するステップS201とは別個に、部品画像41に基づいて、部品形状ごとの部品Cの形状の類似度62を取得するステップS202が行われる。
【0055】
図8に示すように、ステップS202では、まず、部品画像41に基づいて、部品Cの形状が取得される。具体的には、部品画像41に基づいて、部品Cの外形の幅W1と、部品Cの外形の長さL1と、部品Cの外形の厚みT1と、部品Cの本体の幅W2と、部品Cの本体の長さL2と、部品Cの本体の厚みT2と、部品Cの端子の数と、部品Cの端子のピッチP3と、部品Cの端子の幅W3と、部品Cの端子の長さL3と、が取得される。なお、部品Cの外形とは、部品Cの本体および端子の両方を含む部品Cの全体を意味している。また、部品Cの本体とは、部品Cの端子を含まないチップ部分を意味している。また、部品Cの端子とは、部品Cの本体を含まない電極(リード)部分を意味している。
【0056】
この際、画像中の濃淡および画像中の高さを利用した画像処理を用いて、部品Cの外形の幅W1と、部品Cの外形の長さL1と、部品Cの外形の厚みT1と、部品Cの本体の幅W2と、部品Cの本体の長さL2と、部品Cの本体の厚みT2と、部品Cの端子の数と、部品Cの端子のピッチP3と、部品Cの端子の幅W3と、部品Cの端子の長さL3と、が取得される。画像中の濃淡および画像中の高さを利用した画像処理としては、特に限られないが、2値化処理、エッジ抽出処理、および、輪郭追跡処理などを用いることができる。
【0057】
たとえば、2次元画像としての部品画像41から、部品Cの本体および端子と、基板Bとの濃淡(輝度値)の相違を利用して、部品Cの本体および端子を識別することができる。その結果、2次元画像としての部品画像41から、部品Cの外形の幅W1と、部品Cの外形の長さL1と、部品Cの本体の幅W2と、部品Cの本体の長さL2と、部品Cの端子の数と、部品Cの端子のピッチP3と、部品Cの端子の幅W3と、部品Cの端子の長さL3と、を取得することができる。
【0058】
また、3次元画像としての部品画像41から、部品Cの本体および端子と、基板Bとの高さの相違を利用して、部品Cの本体および端子を識別することができる。その結果、3次元画像としての部品画像41から、部品Cの外形の幅W1と、部品Cの外形の長さL1と、部品Cの外形の厚みT1と、部品Cの本体の幅W2と、部品Cの本体の長さL2と、部品Cの本体の厚みT2と、部品Cの端子の数と、部品Cの端子のピッチP3と、部品Cの端子の幅W3と、部品Cの端子の長さL3と、を取得することができる。
【0059】
また、2次元画像および3次元画像としての部品画像41を互いに独立して利用するのではなく、2次元画像および3次元画像としての部品画像41を複合して利用してもよい。たとえば、3次元画像としての部品画像41の高さ情報に基づいて、2次元画像としての部品画像41に対して不要部分(部品C以外の部分)を隠すマスク処理を行った状態で、2次元画像としての部品画像41から、部品Cの形状を取得することができる。これにより、より精度よく、部品Cの形状を取得することができる。
【0060】
また、画像中の濃淡および画像中の高さを利用した画像処理を用いて、部品Cの形状を取得する場合に、基板Bの色に関する情報、および、基板Bのはんだの厚みに関する情報が考慮される。基板Bの色に関する情報は、基板Bの表面の色、および、基板Bのシルクプリントの色などを含んでいる。また、基板Bのはんだの厚みに関する情報は、基板Bのはんだの厚み、または、はんだの印刷に用いられたスクリーンマスクの厚みを含んでいる。基板Bの色に関する情報は、たとえば、画像中の濃淡を利用した画像処理時に、部品Cと基板Bとを識別するための補助情報として用いられる。また、基板Bのはんだの厚みに関する情報は、画像中の高さを利用した画像処理時に、部品Cの端子と基板Bのはんだとを識別するための補助情報として用いられる。
【0061】
ステップS202では、画像中の濃淡および画像中の高さを利用した画像処理を用いて、部品形状ごとの部品Cの形状の類似度62が取得される。また、ステップS202では、画像中の濃淡および画像中の高さを利用した画像処理を用いて、部品形状ごとの部品Cの形状の類似度62を取得する場合に、基板Bの色に関する情報、および、基板Bのはんだの厚みに関する情報が考慮される。
【0062】
そして、ステップS202では、図9に示すように、部品Cの形状に基づいて、部品形状ごとの部品Cの形状の類似度62が取得される。具体的には、複数の部品Cの種類および形状が予め登録された部品ライブラリ21に対して、部品形状ごとの部品Cの形状の類似度62が取得される。部品Cの形状の類似度62は、部品Cの外形の類似度と、部品Cの本体の類似度と、部品Cの端子の類似度とを含んでいる。具体的には、部品Cの形状の類似度62は、部品Cの外形の幅W1の類似度と、部品Cの外形の長さL1の類似度と、部品Cの外形の厚みT1の類似度と、部品Cの本体の幅W2の類似度と、部品Cの本体の長さL2の類似度と、部品Cの本体の厚みT2の類似度と、部品Cの端子の数の類似度と、部品Cの端子のピッチP3の類似度と、部品Cの端子の幅W3の類似度と、部品Cの端子の長さL3の類似度と、を含んでいる。これらの部品Cの形状の類似度62は、以下の式(1)により、計測部品(部品画像41の部品C)と部品ライブラリ21の登録部品との乖離度として求めることができる。部品形状ごとの部品Cの形状の類似度62は、数値を含んでいる。
=1.0-|X1-X2|/X1 ・・・(1)
ここで、
:部品の形状の類似度(乖離度)
X1:計測部品の形状の値
X2:登録部品の形状の値
である。
【0063】
たとえば、部品Cの外形の長さL1の類似度を求める場合、図9に示す例では、計測部品の外形の長さL1が6.40(X1)であり、登録部品の外形の長さL1が6.50(X2)であるため、部品Cの外形の長さL1の類似度(S)は、1.0-|6.40-6.50|/6.40=0.9843となる。また、たとえば、部品Cの本体の幅W2の類似度を求める場合、図9に示す例では、計測部品の本体の幅W2が4.37(X1)であり、登録部品の本体の幅W2が4.40(X2)であるため、部品Cの本体の幅W2の類似度(S)は、1.0-|4.37-4.40|/4.37=0.9931となる。また、たとえば、部品Cの端子の数の類似度を求める場合、図9に示す例では、計測部品の右辺の端子の数が6(X1)であり、登録部品の右辺の端子の数が7(X2)であるため、部品Cの端子の数の類似度(S)は、1.0-|6-7|/6=0.8333となる。
【0064】
そして、図4および図5に示すように、ステップS203では、部品種類ごとの部品Cの種類の類似度61および部品形状ごとの部品Cの形状の類似度62に基づいて、部品種類および部品形状の両方の評価指標を含む総合的な評価指標としての部品Cごとの部品Cの類似度60が取得される。具体的には、図10に示すように、部品種類ごとの部品Cの種類の類似度61および部品形状ごとの部品Cの形状の類似度62に基づいて、複数の部品Cの種類および形状が予め登録された部品ライブラリ21に対して、部品Cごとの部品Cの類似度60が取得される。より具体的には、部品ライブラリ21の全ての登録部品に対して、部品Cの類似度60が取得されることにより、種類および形状の両方が特定された部品Cごとの部品Cの類似度60が取得される。部品Cの類似度60は、以下の式(2)により、部品種類および部品形状の両方の評価指標(類似度)を含む総合的な評価指標として求めることができる。部品Cごとの部品Cの類似度60は、数値を含んでいる。
=a×S+b×(Ssow×Ssol×Ssot)+c×(Ssbw×Ssbl×Ssbt)+d×(Ssrn×Ssrp×Ssrw×Ssrl) ・・・(2)
ここで、
:部品の類似度
a:部品の種類の類似度の重み係数
:部品の種類の類似度(確信度)
b:部品の外形の類似度の重み係数
sow:部品の外形の幅の類似度(乖離度)
sol:部品の外形の長さの類似度(乖離度)
sot:部品の外形の厚みの類似度(乖離度)
c:部品の本体の類似度の重み係数
sbw:部品の本体の幅の類似度(乖離度)
sbl:部品の本体の長さの類似度(乖離度)
sbt:部品の本体の厚みの類似度(乖離度)
d:部品の端子の類似度の重み係数
srn:部品の端子の数の類似度(乖離度)
srp:部品の端子のピッチの類似度(乖離度)
srw:部品の端子の幅の類似度(乖離度)
srl:部品の端子の長さの類似度(乖離度)
である。
【0065】
なお、上記式(2)のS、S、Ssow、Ssol、Ssot、Ssbw、Ssbl、Ssbt、Ssrn、Ssrp、Ssrw、Ssrlは、0以上1以下の値である。また、重み係数a、b、c、dは、予め実験などにより求めておくことができる。また、部品Cの類似度60の最大値(Sの最大値)を100とする場合、重み係数a、b、c、dの合計は、100となる。
【0066】
上記式(2)に示すように、部品Cの類似度60は、部品Cの種類の類似度61と、部品Cの形状の類似度62とにそれぞれ重みづけをして加算することにより、取得される。具体的には、部品Cの類似度60は、部品Cの種類の類似度61のグループと、部品Cの外形の類似度のグループと、部品Cの本体の類似度のグループと、部品Cの端子の類似度のグループとにそれぞれ重みづけをして加算することにより、取得される。
【0067】
このように、ステップS201~S203では、予め学習された機械学習モデル70による画像処理と、画像中の濃淡および画像中の高さのうちの少なくとも1つを利用した画像処理とを用いて、部品Cごとの部品Cの類似度60が取得される。
【0068】
そして、図3および図10に示すように、ステップS104では、部品Cごとの部品Cの類似度60に基づいて、基板Bを検査する検査装置30において用いられる部品データとしての検査データ50が設定される。具体的には、ステップS104では、部品ライブラリ21の登録部品データから、部品Cの類似度60の数値が最も高い部品Cが、部品データとしての検査データ50として設定される。図10に示す例では、「SOP14pin-p1.27-L6.5×W4.4」の部品(登録部品)Cが、部品データとしての検査データ50として設定されている。
【0069】
ここで、部品ライブラリ21の登録部品の数によっては、部品画像41より取得した部品形状に近い登録部品データが無く、部品形状が異なる登録部品データを部品データとしての検査データ50として設定してしまう事象が発生するおそれがある。このような事象は、SOPおよびQFPなどのリード部品において発生しやすい。リード部品では、部品Cの外形および本体の形状が略同じで、端子の形状が異なる部品Cが多く存在するためである。
【0070】
そこで、ステップS104では、検査データ50として設定した部品Cの端子の情報(登録部品データの部品Cの端子の情報)が、部品画像41に基づいて取得した部品Cの端子の情報と異なる場合、検査データ50として設定した部品Cの端子の情報を、部品画像41に基づいて取得した部品Cの端子の情報により上書きすることにより、新たな検査データが作成される。部品Cの端子の情報は、部品Cの端子の数と、部品Cの端子のピッチP3と、部品Cの端子の幅W3と、部品Cの端子の長さL3を含んでいる。ステップS104では、検査データ50として設定した部品Cの端子の情報と、部品画像41に基づいて取得した部品Cの端子の情報とを比較し、比較結果に基づいて2つの情報がしきい値を超えて大きく異なると判断される場合、検査データ50として設定した部品Cの端子の情報が、部品画像41に基づいて取得した部品Cの端子の情報により上書きされる。
【0071】
そして、ステップS103およびS104の処理が、実装済基板画像40中の全ての部品C(全ての部品画像41)に対して行われることにより、部品Cが実装済の基板Bを検査するための検査データ50の自動設定が完了する。
【0072】
なお、図11に示すように、ステップS104では、部品Cの類似度60が小さくても、部品Cの類似度60の数値が最も高い部品Cが、部品データとしての検査データ50として設定される。すなわち、部品Cの類似度60の数値の大小にかかわらず、部品Cの類似度60の数値が最も高い部品Cが、部品データとしての検査データ50として設定される。
【0073】
(本実施形態の効果)
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0074】
本実施形態では、上記のように、部品画像41に基づいて、部品Cごとの部品Cの類似度60を取得するステップと、部品Cごとの部品Cの類似度60に基づいて、基板Bを検査する検査装置30において用いられる部品データとしての検査データ50を設定するステップと、を設ける。これにより、単に寸法が一致したことのみに基づいて部品データとしての検査データ50を設定する場合と異なり、寸法が完全には一致していなくても、部品Cごとの部品Cの類似度60に基づいて、部品データとしての検査データ50を設定することができる。その結果、適用範囲を広くすることができるので、単に寸法が一致したことに基づいて部品データとしての検査データ50を設定する場合に比べて、部品データとしての検査データ50を容易に設定することができる。
【0075】
また、本実施形態では、上記のように、部品Cごとの部品Cの類似度60は、数値を含む。また、検査データ50を設定するステップは、部品Cの類似度60の数値が最も高い部品Cを部品データとしての検査データ50として設定するステップを含む。これにより、部品Cの類似度60の数値が最も高い部品Cを部品データとしての検査データ50として設定することができる。その結果、部品データとしての検査データ50をより容易に設定することができる。
【0076】
また、本実施形態では、上記のように、部品Cごとの部品Cの類似度60を取得するステップは、予め学習された機械学習モデル70による画像処理と、画像中の濃淡および画像中の高さを利用した画像処理とを用いて、部品Cごとの部品Cの類似度60を取得するステップを含む。これにより、予め学習された機械学習モデル70による画像処理、または、画像中の濃淡および画像中の高さのうちを利用した画像処理、を用いて、部品Cごとの部品Cの類似度60を容易に取得することができる。また、予め学習された機械学習モデル70による画像処理を用いた場合、熟練者の判断に近い高精度な判断(類似度の取得)を容易に行うことができる。
【0077】
また、本実施形態では、上記のように、部品Cごとの部品Cの類似度60を取得するステップは、部品画像41に基づいて、部品種類ごとの部品Cの種類の類似度61を取得するステップを含む。これにより、部品種類ごとの部品Cの種類の類似度61に基づいて、部品Cごとの部品Cの類似度60を取得することができる。その結果、部品Cの種類を考慮した部品Cの類似度60に基づいて、種類が異なる部品Cを識別しつつ、部品データとしての検査データ50を設定することができる。
【0078】
また、本実施形態では、上記のように、部品Cごとの部品Cの類似度60を取得するステップは、部品画像41に基づいて、部品種類ごとの部品Cの種類の類似度61を取得するステップに加えて、部品Cの種類の類似度61を取得するステップとは別個に、部品画像41に基づいて、部品形状ごとの部品Cの形状の類似度62を取得するステップをさらに含む。これにより、部品種類ごとの部品Cの種類の類似度61だけでなく、部品形状ごとの部品Cの形状の類似度62にも基づいて、部品Cごとの部品Cの類似度60を取得することができる。その結果、部品Cの種類および形状を考慮した部品Cの類似度60に基づいて、種類および形状が異なる部品Cを識別しつつ、部品データとしての検査データ50を設定することができる。また、部品Cの種類および形状の両方を考慮するので、部品Cの形状のみを考慮する場合と異なり、同一形状であるが、種類が異なる部品Cを識別しつつ、部品データとしての検査データ50を設定することができる。
【0079】
また、本実施形態では、上記のように、部品Cごとの部品Cの類似度60を取得するステップは、部品種類ごとの部品Cの種類の類似度61および部品形状ごとの部品Cの形状の類似度62に基づいて、複数の部品Cの種類および形状が予め登録された部品ライブラリ21に対して、部品Cごとの部品Cの類似度60を取得するステップを含む。また、検査データ50を設定するステップは、部品ライブラリ21の登録部品データから、部品データとしての検査データ50を設定するステップを含む。これにより、部品ライブラリ21の登録部品データを用いて、部品データとしての検査データ50を容易に設定することができる。
【0080】
また、本実施形態では、上記のように、部品Cの形状の類似度62は、部品Cの外形の類似度と、部品Cの本体の類似度と、部品Cの端子の類似度とを含む。これにより、部品Cの外形の類似度、部品Cの本体の類似度、または、部品Cの端子の類似度に基づいて、部品Cの形状の類似度62を適切に取得することができる。
【0081】
また、本実施形態では、上記のように、部品Cごとの部品Cの類似度60を取得するステップは、部品画像41に基づいて、部品Cの外形の幅W1と、部品Cの外形の長さL1と、部品Cの外形の厚みT1と、部品Cの本体の幅W2と、部品Cの本体の長さL2と、部品Cの本体の厚みT2と、部品Cの端子の数と、部品Cの端子のピッチP3と、部品Cの端子の幅W3と、部品Cの端子の長さL3と、を取得するステップを含む。これにより、部品Cの外形の幅W1、部品Cの外形の長さL1、部品Cの外形の厚みT1、部品Cの本体の幅W2、部品Cの本体の長さL2、部品Cの本体の厚みT2、部品Cの端子の数、部品Cの端子のピッチP3、部品Cの端子の幅W3、または、部品Cの端子の長さL3に基づいて、部品Cの形状の類似度62を適切に取得することができる。
【0082】
また、本実施形態では、上記のように、部品Cごとの部品Cの類似度60を取得するステップは、予め学習された機械学習モデル70による画像処理を用いて、部品種類ごとの部品Cの種類の類似度61を取得するとともに、画像中の濃淡および画像中の高さを利用した画像処理を用いて、部品形状ごとの部品Cの形状の類似度62を取得するステップを含む。これにより、予め学習された機械学習モデル70による画像処理を用いて、部品種類ごとの部品Cの種類の類似度61を適切に取得しつつ、画像中の濃淡および画像中の高さを利用した画像処理を用いて、部品形状ごとの部品Cの形状の類似度62を適切に取得することができる。
【0083】
また、本実施形態では、上記のように、部品Cごとの部品Cの類似度60を取得するステップは、画像中の濃淡および画像中の高さを利用した画像処理を用いて、部品形状ごとの部品Cの形状の類似度62を取得する場合に、基板Bの色に関する情報、および、基板Bのはんだの厚みに関する情報を考慮するステップを含む。これにより、基板Bの色に関する情報を考慮する場合、基板Bの色と部品Cの色(部品Cの本体の色、および、部品Cの端子の色など)とが近い色である場合にも、基板Bと部品Cとを容易に識別することができる。その結果、部品形状ごとの部品Cの形状の類似度62を、正確に取得することができる。また、基板Bのはんだの厚みに関する情報を考慮する場合、基板Bのはんだと部品Cの端子とを識別する高さの基準が分かるので、基板Bのはんだと部品Cの端子とを容易に識別することができる。その結果、部品形状ごとの部品Cの形状の類似度62を、正確に取得することができる。
【0084】
また、本実施形態では、上記のように、実装済基板画像40中の部品画像41を抽出するステップは、基板Bに部品Cを実装する部品実装装置において用いられるとともに、部品Cの形状および部品Cの実装位置を含む基板データ、および、基板Bの画像データとしての基板CADデータのうちの少なくとも1つに基づいて、実装済基板画像40中の部品画像41を抽出するステップを含む。これにより、基板データ、または、基板CADデータに基づいて、実装済基板画像40中の部品Cの位置を容易に指定することができる。その結果、基板データ、または、基板CADデータを用いない場合に比べて、実装済基板画像40中の部品画像41を容易に抽出することができる。
【0085】
また、本実施形態では、上記のように、検査データ50を作成するステップは、検査データ50として設定した部品Cの端子の情報が、部品画像41に基づいて取得した部品Cの端子の情報と異なる場合、検査データ50として設定した部品Cの端子の情報を、部品画像41に基づいて取得した部品Cの端子の情報により上書きすることにより、新たな検査データ50を作成するステップを含む。これにより、誤った部品Cの端子の情報を検査データ50として設定することを抑制することができる。
【0086】
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく請求の範囲によって示され、さらに請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更(変形例)が含まれる。
【0087】
たとえば、上記実施形態では、検査データ作成装置が、本発明の検査データの作成を行う例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、検査装置が、本発明の検査データの作成を行ってもよい。この場合、上記実施形態の検査装置30の制御部34aが、上記実施形態の検査データ作成装置10の制御部11と同様に機能する。
【0088】
また、上記実施形態では、部品ごとの部品の類似度に基づいて、検査データが自動設定される例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、部品ごとの部品の類似度に基づいて、検査データが手動設定されてもよい。この場合、たとえば、表示部に表示することにより、部品ごとの部品の類似度を作業者に提示し、作業者により検査データが手動設定されてもよい。
【0089】
また、上記実施形態では、部品の類似度の数値の大小にかかわらず、部品の類似度の数値が最も高い部品が、部品データとしての検査データとして設定される例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、部品の類似度の数値がしきい値以下である場合、部品の類似度の数値がしきい値以下であることが作業者に通知されてもよい。
【0090】
また、上記実施形態では、機械学習モデルによる画像処理と、画像中の濃淡および画像中の高さを利用した画像処理とを用いて、部品ごとの部品の類似度が取得される例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、機械学習モデルによる画像処理と、画像中の濃淡および画像中の高さを利用した画像処理とのうちのいずれか一方のみを用いて、部品ごとの部品の類似度が取得されてもよい。たとえば、機械学習モデルによる画像処理により、部品の種類の類似度および部品の形状の類似度の両方が取得されてもよい。また、たとえば、画像中の濃淡および画像中の高さを利用した画像処理により、部品の種類の類似度および部品の形状の類似度の両方が取得されてもよい。この場合、画像中の濃淡および画像中の高さを利用した画像処理により、部品の端子の配置状態を取得するとともに、部品の端子の配置状態と部品の端子形状のルールに基づいて、部品の種類の類似度が取得されてもよい。端子形状のルールとしては、たとえば、SOPの場合、部品の本体の互いに対向する2辺にガルウィング状の端子が存在することをルールとすることができる。また、たとえば、QFPの場合、部品の本体の4辺にガルウィング状の端子が存在することをルールとすることができる。
【0091】
また、上記実施形態では、画像中の濃淡および画像中の高さを利用した画像処理が行われる例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、画像中の濃淡および画像中の高さのうちの一方のみを利用した画像処理が行われてもよい。
【0092】
また、上記実施形態では、実装済基板画像および部品画像が、2次元画像および3次元画像を含んでいる例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、実装済基板画像および部品画像が、2次元画像および3次元画像のうちのいずれか一方のみを含んでいてもよい。
【0093】
また、上記実施形態では、部品ライブラリ(部品登録情報)の全ての登録部品に対して、部品の類似度が取得されることにより、部品ごとの部品の類似度が取得される例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、部品登録情報の一部の登録部品に対して、部品の類似度が取得されることにより、部品ごとの部品の類似度が取得されてもよい。
【0094】
また、上記実施形態では、部品の形状の類似度が、部品の外形の類似度と、部品の本体の類似度と、部品の端子の類似度と、を含んでいる例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、部品の形状の類似度が、部品の外形の類似度と、部品の本体の類似度と、部品の端子の類似度とのうちのいずれか1つまたは2つのみを含んでいてもよい。
【0095】
また、上記実施形態では、部品画像に基づいて、部品の外形の幅と、部品の外形の長さと、部品の外形の厚みと、部品の本体の幅と、部品の本体の長さと、部品の本体の厚みと、部品の端子の数と、部品の端子のピッチと、部品の端子の幅と、部品の端子の長さと、が取得される例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、部品画像に基づいて、部品の外形の幅と、部品の外形の長さと、部品の外形の厚みと、部品の本体の幅と、部品の本体の長さと、部品の本体の厚みと、部品の端子の数と、部品の端子のピッチと、部品の端子の幅と、部品の端子の長さと、の全てが取得される必要はない。
【0096】
また、上記実施形態では、機械学習モデルによる画像処理を用いて、部品種類ごとの部品の種類の類似度が取得されるとともに、画像中の濃淡および画像中の高さを利用した画像処理を用いて、部品形状ごとの部品の形状の類似度が取得される例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、画像中の濃淡および画像中の高さのうちの少なくとも1つを利用した画像処理を用いて、部品種類ごとの部品の種類の類似度が取得されるとともに、機械学習モデルによる画像処理を用いて、部品形状ごとの部品の形状の類似度が取得されてもよい。
【0097】
また、上記実施形態では、画像中の濃淡および画像中の高さを利用した画像処理を用いて、部品形状ごとの部品の形状の類似度を取得する場合に、基板の色に関する情報、および、基板のはんだの厚みに関する情報が考慮される例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、画像中の濃淡および画像中の高さのうちの少なくとも1つを利用した画像処理を用いて、部品形状ごとの部品の形状の類似度を取得する場合に、基板の色に関する情報、および、基板のはんだの厚みに関する情報のうちの一方のみが考慮されてもよい。また、画像中の濃淡および画像中の高さのうちの少なくとも1つを利用した画像処理を用いて、部品種類ごとの部品の種類の類似度を取得する場合に、基板の色に関する情報、および、基板のはんだの厚みに関する情報のうちの少なくとも1つが考慮されてもよい。
【0098】
また、上記実施形態では、説明の便宜上、制御部の処理動作を処理フローに沿って順番に処理を行うフロー駆動型のフローチャートを用いて説明したが、本発明はこれに限られない。本発明では、制御部の処理動作を、イベント単位で処理を実行するイベント駆動型(イベントドリブン型)の処理により行ってもよい。この場合、完全なイベント駆動型で行ってもよいし、イベント駆動およびフロー駆動を組み合わせて行ってもよい。
【符号の説明】
【0099】
10 検査データ作成装置
11、34a 制御部
15 通信部
21 部品ライブラリ(部品登録情報)
30 検査装置
33a 撮影部
40 実装済基板画像
41 部品画像
50 検査データ
60 部品の類似度
61 部品の種類の類似度
62 部品の形状の類似度
70 機械学習モデル
B 基板
C 部品
L1 部品の外形の長さ
L2 部品の本体の長さ
L3 部品の端子の長さ
P3 部品の端子のピッチ
T1 部品の外形の厚み
T2 部品の本体の厚み
W1 部品の外形の幅
W2 部品の本体の幅
W3 部品の端子の幅
図1
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図11