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特許7448656オルガニルオキシシラン末端ポリマーをベースとする架橋性組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-04
(45)【発行日】2024-03-12
(54)【発明の名称】オルガニルオキシシラン末端ポリマーをベースとする架橋性組成物
(51)【国際特許分類】
   C08L 101/10 20060101AFI20240305BHJP
   C08K 5/5415 20060101ALI20240305BHJP
   C08K 5/544 20060101ALI20240305BHJP
   C08G 65/336 20060101ALI20240305BHJP
【FI】
C08L101/10
C08K5/5415
C08K5/544
C08G65/336
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022533487
(86)(22)【出願日】2019-12-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-08
(86)【国際出願番号】 EP2019084076
(87)【国際公開番号】W WO2021110281
(87)【国際公開日】2021-06-10
【審査請求日】2022-08-03
(73)【特許権者】
【識別番号】390008969
【氏名又は名称】ワッカー ケミー アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Wacker Chemie AG
【住所又は居所原語表記】Hanns-Seidel-Platz 4, D-81737 Muenchen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100120617
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 真理
(74)【代理人】
【識別番号】100183678
【弁理士】
【氏名又は名称】丸島 裕
(72)【発明者】
【氏名】フォルカー、スタンイェク
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス、バウエル
(72)【発明者】
【氏名】ラルス、ザンダー
【審査官】横山 法緒
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2010/0216950(US,A1)
【文献】特表2015-515503(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0007938(US,A1)
【文献】特表2017-523294(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 1/00-101/14
C08K 3/00-13/08
C08G 65/00-67/04
C08G 18/00-18/87
C08G 71/00-71/04
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)100重量部の式(I)の化合物、
(B)テトラエトキシシランおよび式(II)のシランから選択される、
少なくとも0.1重量部のシラン、ならびに
(C)最大で2重量部の、1種以上の式(III)のシラン
を含有する架橋性組成物(Z)。
Y-[(CR -Si(OR) (I)
[式(I)中、
Yは、窒素または酸素を介して結合したx価のポリマー基であり、
Rは、同一でも異なっていてもよく、水素原子、または置換されていてもよい一価の炭化水素基であり、
は、同一でも異なっていてもよく、水素原子、または置換されていてもよい一価の炭化水素基であり、該炭化水素基は、炭素原子に窒素、リン、酸素、硫黄またはカルボニル基を介して結合していてもよく、
xは、2~10の整数であり、
aは、1~10の整数であり、
ただし、成分(A)において、全単位[(CR -Si(OR)]の5%~60%においてaは1であり、式(I)の全化合物の少なくとも5%において1分子あたり少なくとも一つのaは1であり、少なくとも一つのaは2~10の整数である。]
-Si(CH(OR3-b (II)
[式(II)中、
は、同一でも異なっていてもよく、水素原子、または置換されていてもよい一価の炭化水素基であり、
は、置換されていてもよい一価の炭化水素基であり、該炭化水素基は、酸素原子で中断されていてもよく、カルボニル基に直接結合していない窒素原子を含まず、ケイ素原子から単一の炭素原子によってのみ隔てられたヘテロ原子を含まず、
bは、0または1である。]
X-CH-SiR (OR3-c (III)
[式(III)中、
は、同一または異なっていてもよく、水素原子、または置換されていてもよい一価の炭化水素基であり、
は、同一でも異なっていてもよく、置換されていてもよい一価の炭化水素基であり、
Xは、式-NR 、-NR-CO-R、-NR-CO-OR、-NR-CO-NR 、-OR、-O-CO-R、O-CO-OR、O-CO-NR の基、またはN原子を介して結合した複素環であり、
は、同一でも異なっていてもよく、水素原子、または置換されていてもよい炭素数1~6の一価の炭化水素基であり、
は、同一でも異なっていてもよく、水素原子、または置換されていてもよい炭素数1~6の一価の炭化水素基であり、
cは、0または1である。]
【請求項2】
成分(A)において、全単位[(CR -Si(OR)]の少なくとも10%~45%におけるaの値が1であることを特徴とする、請求項1に記載の架橋性組成物。
【請求項3】
式(I)の全化合物の少なくとも15%が、1分子あたり、少なくとも一つの基[(CR )-Si(OR)]と、aが2~10の整数である少なくとも一つの基[(CR -Si(OR)]とを有することを特徴とする、請求項1または2に記載の架橋性組成物。
【請求項4】
式(I)の全化合物の少なくとも15%が、1分子あたり、少なくとも一つの基[(CR )-Si(OR)]と、式(I)のaが3である少なくとも一つの基[(CR -Si(OR)とを有することを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の架橋性組成物。
【請求項5】
前記化合物(A)が、式:
-O-C(=O)-NH-(CH-Si(OC、または
-O-C(=O)-NH-(CH-Si(OCH
のプロピレンスペーサーを含む末端基とともに、式:
-O-C(=O)-NH-CH-Si(OCH、または
-O-C(=O)-NH-CH-Si(OC
のメチレンスペーサーを含む末端基
を有するポリアルキレングリコールであることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の架橋性組成物。
【請求項6】
前記各成分を任意の所望の順序で混合することにより、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物(Z)を製造する方法。
【請求項7】
請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物(Z)または請求項6に記載の方法で製造された組成物(Z)を架橋することにより製造された、成形品。
【請求項8】
少なくとも200%の破断伸度、および少なくとも70%の弾力性を有することを特徴とし、
前記弾力性が、DIN EN ISO 7389に準拠し、方法Bによる保存で測定される、請求項7に記載の成形品。
【請求項9】
請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物(Z)または請求項6に記載の方法で製造された組成物(Z)を少なくとも一つの基材の表面に塗布し、次いで、この表面を接合のために第2の基材と接触させ、次いで、組立物を架橋させる、基材を接着接合する方法。
【請求項10】
請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物(Z)または請求項6に記載の方法で製造された組成物(Z)を少なくとも一つの基材に塗布し、次いで架橋させる、材料の組立物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シラン架橋性ポリマーの架橋性組成物、その製造方法、ならびに接着剤およびシーラントとしてのその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
反応性アルコキシシリル基を有するポリマー系はよく知られている。水または大気中の水分と接触すると、これらのアルコキシシラン末端ポリマーは、アルコキシ基の脱離を伴って、室温でも互いに縮合することができる。このような材料の最も重要な用途の1つは、接着剤の製造、特に弾性接着剤系およびシーラントの製造である。
【0003】
したがって、アルコキシシラン架橋性ポリマーをベースとする接着剤は、完全硬化状態で非常に優れた機械的物性を示し、引張強度および高い弾性を併せ持つことが可能である。シラン架橋系のさらなる決定的な利点は、他の多くの接着剤およびシーラント技術(例えば、イソシアネート架橋系など)と比較して、プレポリマーの毒性がないことである。
【0004】
この分野の多くの用途では、大気中の水分と接触することで硬化する1成分型システム(1Kシステム)が好まれている。1成分型システムの最も決定的な利点は、ユーザーが異なる接着剤成分を混合する必要がないため、非常に簡単に適用できることである。時間と労力の節約、可能性のある計量誤差の回避に加え、1成分型システムの場合、多成分型システムの場合のように2つの成分を完全に混合した後に、通常非常に狭い時間内に接着剤/シーラントを処理する必要がない。
【0005】
しかしながら、先行技術によるアルコキシシラン架橋系の大部分に影響する不利な点は、対応するポリマーの水分反応性が低いことであり、これは積極的な触媒作用を必要とする。したがって、対応する混合物は、典型的には、毒物学的に好ましくないスズ触媒を相当量含む。
【0006】
利点は、αスペーサーと呼ばれるメチレンスペーサーによって隣接するウレタン単位に結合した反応性アルコキシシリル基を有する、α-シラン末端ポリマーと呼ばれるものを用いることである。このクラスの化合物は、γスペーサーと呼ばれるプロピレンスペーサーを介してアルコキシシリル基が隣接するヘテロ原子に結合している、従来のγ-シラン末端ポリマーよりも実質的に反応性に優れている。α-シラン末端ポリマーは、一般に空気接触で高い硬化速度を得るために、スズ触媒および強酸または強塩基をいずれも必要としない。市販のα-シラン末端ポリマーは、Wacker Chemie AG(Munich、DE)のGENIOSIL(登録商標) STP-E10またはGENIOSIL(登録商標) STP-E30である。
【0007】
しかしながら、このいわゆるα技術の限界は、上記のWacker社製品などの市販のα-シラン官能性ポリマーがジメトキシ-メチルシリル基で終端しており、トリメトキシシリル末端基を有する利用可能な製品がないという事実にある。
【0008】
接着剤およびシーラント市場における大半の最終製品については、既存のα-シラン末端ポリマーは非常に適しており、多くの場合、実際に、同等の従来のジ-またはトリメトキシシリル官能性製品よりも優れている。しかしながら、α-トリメトキシシラン末端基を有するポリマーが望ましい用途も存在する。
【0009】
このような用途には、次のような例がある:
・α-トリメトキシシリル基は、対応するα-ジメトキシメチルシリル末端基よりもこの場合もやはり反応性が高いため、「瞬間接着剤」と呼ばれる極めて速やかな接着剤。
・スズ触媒を含まない木質床材用接着剤で、該接着剤は、オープンタイムが長く、しかしその後の硬度発現が非常に速い。これらの系では、α-ジメトキシシリル基のみで終端したポリマーは、硬化時に比較的低い架橋密度のネットワークを形成し、対応するα-トリメトキシシリル系に劣る。
・高モジュラスまたは低モジュラスで、同時に良好な弾力性を示す、スズを含まないシーラント。ここでも、後者の物性は、同等のジメトキシシリル末端製品よりもトリメトキシシリル官能性ポリマーの方が容易に達成可能である。
【0010】
α-トリメトキシシリル末端基を有するシラン末端ポリマーは、原理的には長い間知られており、EP-A 1 414 909のように、過去に複数回記載されている。しかしながら、不利な側面は、その極めて高い反応性のために、そのようなポリマーはほとんど作業不可能であり、さらに、例えばビニルトリメトキシシランなどの従来の水分捕捉剤で安定化させることができないことである。
【0011】
これらの捕捉剤は、比較的少量の水の浸入、特に、使用される充填剤の表面で吸収される水の態様での浸入を防ぐことはほとんど不可能であることから、シラン末端ポリマーをベースとするほぼすべての実用的な接着剤およびシーラントの配合物において用いられている。また、チューブやカートリッジなどの容器は完全な水密性を有さないため、充填剤を含まない系においても水分捕捉剤は不可欠である。
【0012】
ビニルトリメトキシシランなどの水分捕捉剤は、これらの微量の水分と反応することで該水分を遮断し、シラン末端ポリマーの早期縮合とそれに伴う粘度の上昇とを完全にあるいは少なくとも大きく防ぐことができる。
【0013】
しかしながら、α-トリメトキシシラン末端ポリマーのように、架橋性ポリマーが水分捕捉剤よりも上述した微量の水分に対して著しく反応性が高い場合、水分捕捉剤はその機能を発揮することができなくなる。このため、これらの非常に反応性の高いポリマーをベースとする接着剤およびシーラントは、同様に反応性の高い水分捕捉剤を必要とする。
【0014】
ここでの1つの解決策は、EP-A 1 414 909に記載されているように、上記ポリマーと同様に、隣接するヘテロ原子からメチレンスペーサーによってのみ隔てられたアルコキシシリル基を有する高反応性α-シランを用いることであるかもしれない。しかしながら、この解決策の不利な点は、これらのα-シランが非常に高価であり、価格に敏感な接着剤およびシーラント市場での使用が、経済的観点から事実上不可能であることである。
【0015】
α-トリメトキシシリル基で終端したポリマーのみをベースとする接着剤およびシーラントのこれらの問題を解決するための一つの考えられる可能性は、ポリマーが部分的にα-トリメトキシシリル基で、かつ部分的に従来の反応性の低いトリメトキシシリル基で官能化されている「混合系」を用いることである。この種のアプローチは、EP-A 2 222 751に記載されている。しかしながら、EP-A 2 222 751は、アルコキシシラン末端ポリマーの量に対して、N-トリメトキシシリルメチル-O-メチルカルバメート(すなわち上述の高価なα-シランの1つ)を2%超で含む系のみを特に記載している。したがって、これらのα-シランの使用は経済的観点からほとんど不可能であるという上述の問題は、EP 2 222 751によっても、またその後の10年間においても解決されていない。
【発明の概要】
【0016】
したがって、その目的は、トリメトキシシラン基で終端したポリマーをベースとしながらも、もはや先行技術の上述の不利な点を有さない組成物を見出すことであった。
【0017】
本発明の主題は、
(A)100重量部の式(I)の化合物、
(B)テトラエトキシシランおよび式(II)のシランから選択される、
少なくとも0.1重量部のシラン、ならびに
(C)最大で2重量部の、1種以上の式(III)のシラン
を含有する架橋性組成物(Z)である。
【0018】
Y-[(CR1 2a-Si(OR)3x (I)
式(I)中、
Yは、窒素または酸素を介して結合したx価のポリマー基であり、
Rは、同一でも異なっていてもよく、水素原子、または置換されていてもよい一価の炭化水素基であり、
1は、同一でも異なっていてもよく、水素原子、または置換されていてもよい一価の炭化水素基であり、該炭化水素基は、炭素原子に窒素、リン、酸素、硫黄またはカルボニル基を介して結合していてもよく、
xは、2~10の整数であり、好ましくは2または3、より好ましくは2であり、
aは、1~10の整数であり、好ましくは1、3または4、より好ましくは1または3であり、
ただし、成分(A)において、全単位[(CR1 2a-Si(OR)3]の5%~60%においてaは1であり、式(I)の全化合物の少なくとも5%において1分子あたり少なくとも一つのaは1であり、少なくとも一つのaは2~10の整数である。
【0019】
4-Si(CH3b(OR23-b (II)
式(II)中、
2は、同一でも異なっていてもよく、水素原子、または置換されていてもよい一価の炭化水素基であり、
4は、置換されていてもよい一価の炭化水素基であり、該炭化水素基は、酸素原子で中断されていてもよく、カルボニル基に直接結合していない窒素原子を含まず、ケイ素原子から単一の炭素原子によってのみ隔てられたヘテロ原子を含まず、
bは、0または1であり、好ましくは0である。
【0020】
X-CH2-SiR6 c(OR53-c (III)
式(III)中、
5は、同一または異なっていてもよく、水素原子、または置換されていてもよい一価の炭化水素基であり、
6は、同一でも異なっていてもよく、置換されていてもよい一価の炭化水素基であり、
Xは、式-NR7 2、-NR7-CO-R8、-NR7-CO-OR8、-NR7-CO-NR8 2、-OR7、-O-CO-R7、O-CO-OR7、O-CO-NR7 2の基、またはN原子を介して結合した複素環であり、
7は、同一でも異なっていてもよく、水素原子、または置換されていてもよい炭素数1~6の一価の炭化水素基であり、
8は、同一でも異なっていてもよく、水素原子、または置換されていてもよい炭素数1~6の一価の炭化水素基であり、
cは、0または1である。
【0021】
本発明でいうヘテロ原子とは、炭素でも水素でもない原子のことである。
【0022】
本発明は、反応性の高いα-トリメトキシシリル基だけでなく、従来のトリメトキシシリル基、すなわちaが1以外の式(1)のトリメトキシシリル基を本発明による割合で有するポリマー(A)もビニルトリメトキシシランなどの従来の水分捕捉剤で安定化でき、反応性の高いα-シラン水分捕捉剤は必要としないという、驚くべき発見に基づく。この発見は、1分子内にα-および従来のトリメトキシシリル基の両方を含むポリマーをある割合で含むポリマー(A)のみが従来の水分捕捉剤で安定化でき、反応性の高いα-トリメトキシシリル基のみを含むポリマーおよび鎖末端が従来のトリメトキシシリル基のみで終結しているポリマーから構成されるポリマー混合物は安定化できない点で、より驚くべきものである。
【0023】
基Rの例は、アルキル基、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、1-n-ブチル基、2-n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert-ペンチル基;n-ヘキシルなどのヘキシル基;n-ヘプチルなどのヘプチル基;n-オクチル基、イソオクチル基および2,2,4-トリメチルペンチル基などのオクチル基;n-ノニル基などのノニル基;n-デシル基などのデシル基;n-ドデシル基などのドデシル基;n-オクタデシル基などのオクタデシル基;シクロアルキル基、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基およびメチルシクロヘキシル基;アルケニル基、例えば、ビニル基、1-プロペニル基および2-プロペニル基;アリール基、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントリル基およびフェナントリル基;アルカリール基、例えば、o-,m-,p-トリル基;キシリル基およびエチルフェニル基;ならびにアラルキル基、例えば、ベンジル基、α-およびβ-フェニルエチル基である。
【0024】
置換された基Rの例は、3,3,3-トリフルオロ-n-プロピル基、2,2,2,2’,2’,2’-ヘキサフルオロイソプロピル基およびヘプタフルオロイソプロピルなどのハロアルキル基、ならびにo-,m-およびp-クロロフェニル基などのハロアリール基である。
【0025】
基Rは、好ましくは炭素数1~6の一価の炭化水素基からなり、より好ましくは炭素数1または2のアルキル基からなり、より好ましくはメチル基からなる。
【0026】
基R1の例は、水素原子、Rについて示した基、および炭素原子に窒素、リン、酸素、硫黄、炭素またはカルボニル基を介して結合した、置換されていてもよい炭化水素基である。
【0027】
基R1は、好ましくは水素原子または炭素数1~20の炭化水素基からなり、より好ましくは水素原子からなる。
【0028】
成分(A)において、全単位[(CR1 2a-Si(OR)3]の好ましくは10%~45%、より好ましくは15%~40%におけるaの値が1であり、RおよびR1は、それらについて上記に示した定義を有する。
【0029】
成分(A)において、式(I)の全化合物の好ましくは少なくとも10%、より好ましくは少なくとも15%が、1分子あたり少なくとも一つの基[(CR1 2)-Si(OR)3]および少なくとも一つの基[(CR1 2a-Si(OR)3]を有し、式中、aは2~10の整数、好ましくは3または4、特に好ましくは3であり、RおよびR1はそれぞれの場合においてそれらについて上記に示した定義を有する。
【0030】
ポリマー基Yが基づいているポリマーは、本発明の目的のために、主鎖におけるすべての結合の少なくとも50%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも90%が炭素-炭素、炭素-窒素または炭素-酸素結合である、すべてのポリマーを包含する。
【0031】
ポリマー基Yの例は、ポリエステル基、ポリエーテル基、ポリウレタン基、ポリアルキレン基およびポリアクリレート基である。
【0032】
ポリマー基Yは、ポリマー鎖として、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシブチレン、ポリオキシテトラメチレン、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンコポリマーおよびポリオキシプロピレン-ポリオキシブチレンコポリマー等のポリオキシアルキレン;ポリイソブチレンおよびポリイソブチレンとイソプレンとのコポリマーなどの炭化水素ポリマー;ポリクロロプレン;ポリイソプレン;ポリウレタン;ポリエステル;ポリアミド;ポリアクリレート;ポリメタクリレート;ビニルポリマーおよびポリカーボネートを含む有機ポリマー基を好ましくは含み、該基は、好ましくは-O-C(=O)-NH-、-NH-C(=O)O-、-NH-C(=O)-NH-、-NR’-C(=O)-NH-、NH-C(=O)-NR’-、-NH-C(=O)-、-C(=O)-NH-、-C(=O)-O-、-O-C(=O)-、-O-C(=O)-O-、-S-C(=O)-NH-、-NH-C(=O)-S-、-C(=O)-S-、-S-C(=O)-、-S-C(=O)-S-、-C(=O)-、-S-、-O-、-NR’-を介して、基-[(CR1 2a-Si(OR)3]に結合している。式中、R’は、同一でも異なっていてもよく、Rについて示した定義を有するか、または基-CH(COOR”)-CH2-COOR”であり、R”は、同一でも異なっていてもよく、Rについて示した定義を有する。
【0033】
基R’は、好ましくは基-CH(COOR”)-CH2-COOR”、または置換されていてもよい炭素数1~20の炭化水素基であり、より好ましくは直鎖状、分岐状または環状の炭素数1~20のアルキル基、またはハロゲン原子によって置換されていてもよい炭素数6~20のアリール基である。
【0034】
基R’の例は、シクロヘキシル、シクロペンチル、n-およびイソプロピル、n-、イソ-およびt-ブチル、ペンチル基、ヘキシル基またはヘプチル基の各種立体異性体、ならびにフェニル基である。
【0035】
基R”は、好ましくは炭素数1~10のアルキル基であり、より好ましくはメチル基、エチル基またはプロピル基である。
【0036】
成分(A)は、ポリマー中の任意の所望の位置、例えば、鎖中位置および/または末端に、記載した態様で結合した基-[(CR1 2a-Si(OR)3]を有することができる。
【0037】
基Yは、好ましくはポリウレタン基またはポリオキシアルキレン基、より好ましくは末端に結合した基-[(CR1 2a-Si(OR)3]を有し、それぞれの場合に0~3個の分岐点を有するカテナリー(catenary)ポリウレタン基またはカテナリーポリオキシアルキレン基を含み、本発明の目的の分岐点は1個超の炭素原子を有する主鎖からのすべての分岐を包含し、基および添え字は上記の定義を有する。
【0038】
より詳細には、式(I)における基Yは、末端に結合した基-[(CR1 2a-Si(OR)3]を有し、分岐点を有さないカテナリーポリウレタン基またはカテナリーポリオキシアルキレン基を含み、基および添え字は上記の定義を有する。
【0039】
ポリウレタン基Yは、鎖末端が-NH-C(=O)O-、-NH-C(=O)-NH-、-NR’-C(=O)-NH-または-NH-C(=O)-NR’-、より詳細には-O-C(=O)-NH-または-NH-C(=O)-NR’-を介して、基-[(CR1 2a-Si(OR)3]に結合しているものであることが好ましく、基および添え字のすべてが上記の定義のうちの1つを有する。ここでのポリウレタン基Yは、直鎖状または分岐状のポリオキシアルキレン、より詳細にはポリプロピレングリコールと、ジ-またはポリイソシアネートとから、好ましくは調製可能である。
【0040】
ポリオキシアルキレン基Yは、好ましくは直鎖状または分岐状のポリオキシアルキレン基、より好ましくはポリオキシプロピレン基、特に好ましくは直鎖状のポリオキシプロピレン基であり、その鎖末端は好ましくは-O-C(=O)-NH-を介して基-[(CR1 2a-Si(OR)3]に結合しており、基および添え字は上記の定義のうちの1つを有する。ここで、すべての鎖末端の好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、より特に好ましくは少なくとも95%が、-O-C(=O)-NH-を介して基-[(CR1 2a-Si(OR)3]に結合している。
【0041】
本発明で用いられる化合物(A)の末端基は、好ましくは一般式
-NH-C(=O)-NR’-(CR1 2a-Si(OR)3 (Ia)、または
-O-C(=O)-NH-(CR1 2a-Si(OR)3 (Ib)
の基であり、ここで、すべての基および添え字は上記で示された定義のうちの1つを有する。
【0042】
化合物(A)がポリウレタンである場合、これは好ましく、それらは、式:
-NH-C(=O)-NR’-(CH23-Si(OCH33
-NH-C(=O)-NR’-(CH23-Si(OC253
-O-C(=O)-NH-(CH23-Si(OCH33、または
-O-C(=O)-NH-(CH23-Si(OC253
のプロピレンスペーサーを含む末端基とともに、式:
-NH-C(=O)-NR’-CH2-Si(OCH33
-NH-C(=O)-NR’-CH2-Si(OC253
-O-C(=O)-NH-CH2-Si(OCH33、または
-O-C(=O)-NH-CH2-Si(OC253
のメチレンスペーサーを含む末端基、を有することが好ましい。ここで、R’は上記の定義を有するが、ただし、成分(A)において、全末端基の5%~60%がメチレンスペーサーを含む末端基であり、全化合物(A)の少なくとも5%が、1分子あたり、メチレンスペーサーを含む少なくとも一つの末端基と、プロピレンスペーサーを含む少なくとも一つの末端基と、を有する。
【0043】
化合物(A)がポリアルキレングリコール、より詳細にはポリプロピレングリコールである場合、これは特に好ましく、それらは、式:
-O-C(=O)-NH-(CH23-Si(OC253、または
-O-C(=O)-NH-(CH23-Si(OCH33
のプロピレンスペーサーを含む末端基とともに、式:
-O-C(=O)-NH-CH2-Si(OCH33、または
-O-C(=O)-NH-CH2-Si(OC253
のメチレンスペーサーを含む末端基、を有することが好ましく、
ここで、
-O-C(=O)-NH-(CH23-Si(OCH33、および
-O-C(=O)-NH-CH2-Si(OCH33
末端基の組合せが特に好ましい。
ただし、成分(A)において、全末端基の5%~60%がメチレンスペーサーを含む末端基であり、全化合物(A)の少なくとも5%が、1分子あたり、メチレンスペーサーを含む少なくとも一つの末端基と、プロピレンスペーサーを含む少なくとも一つの末端基と、を有する。
【0044】
化合物(A)の平均分子量Mnは、好ましくは少なくとも400g/mol、より好ましくは少なくとも4000g/mol、より特に好ましくは少なくとも10,000g/molであり、好ましくは最大で30,000g/mol、より好ましくは最大で25,000g/mol、より特に好ましくは最大で19,000g/molである。
【0045】
本発明の文脈において、ここでの数平均モル質量Mnは、ポリスチレン標準に対するサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって、THF中、60℃、流速1.2ml/分、RI(屈折率検出器)による検出、Styragel HR3-HR4-HR5-HR5のカラムセット(Waters Corp、USA)、注入量100μl、にて測定される。
【0046】
化合物(A)の粘度は、好ましくは少なくとも0.2Pas、より好ましくは少なくとも1Pas、非常に好ましくは少なくとも5Pasであり、好ましくは最大で700Pas、より好ましくは最大で100Pasであり、それぞれの場合において、20℃で測定される。
【0047】
非ペースト液の粘度は、本発明の文脈では、ISO 2555に準拠して、5Hzで、スピンドル6を使用するDV 3 P回転粘度計(A. Paar(Brookfield systems))を用いて、23℃で調整した後に測定される。
【0048】
本発明で用いられる化合物(A)は、公知の方法、特にイソシアネート官能性化合物とイソシアネート反応性基を有する化合物との反応によって調製することができる。
【0049】
化合物(A)がシラン末端ポリウレタンである場合、これは好ましく、それぞれの場合において好ましい、2つの調製方法の候補がある。
【0050】
第1の好ましい方法は、イソシアネート官能性ポリウレタンプレポリマーと、少なくとも2種のアミノシラン(そのうちの少なくとも1種は式(IV)のものであり、少なくとも1種は式(V)のものである)の組合せとの反応を提供する。
HNR’-(CR1 2a-Si(OR)3 (IV)
HNR’-CR1 2-Si(OR)3 (V)
ここで、すべての変数は上記の定義のいずれかを有する。
【0051】
ここでの成分(IV)および(V)は、本発明で用いられる成分(A)、すなわち変数aについて請求項1に記載の条件を満たす成分(A)、を与えるような割合で用いられる。
【0052】
ここでのイソシアネート官能性ポリウレタンプレポリマーは、シラン(IV)および(V)の混合物と反応させてもよく、連続的に、これらの2種のシランの一方と最初に反応させ、ここで最後に記載のものは不足する量で用いられ、次に残りのイソシアネート基をそれぞれの第2のシランと反応させてもよい。
【0053】
この種の成分(A)を調製するための原理的手順に関する方法は、EP 1 093 482 B1(段落[0014]~[0023]、[0039]~[0055]、また発明例1および比較例1)またはEP 2 785 755 B1(段落[0052]~[0080]、また例1、2、7および8)などの刊行物に記載されており、これらは本願の開示内容の一部と見なされる。しかしながら、そこに記載された方法は、イソシアネート官能性ポリウレタンプレポリマーのシラン終端が、純粋なシランではなく、シラン(IV)および(V)の上記の混合物を用いて実施されるように変更されなければならない。
【0054】
本発明で用いられるシラン末端ポリウレタン(A)を調製するための第2の好ましい方法は、ヒドロキシ官能性ポリウレタンプレポリマーと、少なくとも2種のイソシアネート官能性シラン(そのうちの少なくとも1種は式(VI)のものであり、少なくとも1種は式(VII)のものである)の組合せとの反応を提供する。
OCN-(CR1 2a-Si(OR)3 (VI)
OCN-CR1 2-Si(OR)3 (VII)
ここで、すべての変数は上記の定義のいずれかを有する。
【0055】
ここでの成分(VI)および(VII)は、本発明で用いられる成分(A)、すなわち変数aについて請求項1に記載の条件を満たす成分(A)、を与えるような割合で用いられる。
【0056】
ここでのヒドロキシ官能性ポリウレタンプレポリマーは、シラン(VI)および(VII)の混合物と反応させてもよく、連続的に、これらの2種のシランの一方と最初に反応させ、ここで最後に記載のものは不足する量で用いられ、次に残りのヒドロキシ基をそれぞれの第2のシランと反応させてもよい。
【0057】
対応する成分(A)を調製するための適切な方法は、EP 0 931 800 A(段落[0011]~[0022]、また例1~5)などの刊行物に記載されており、これらは本願の開示内容の一部と見なされる。しかしながら、そこに記載された方法は、ヒドロキシ官能性ポリウレタンプレポリマーのシラン終端が、純粋なシランではなく、シラン(VI)および(VII)の上記の混合物を用いて実施されるように変更されなければならない。
【0058】
化合物(A)がシラン末端ポリプロピレングリコールである場合、これは特に好ましく、それらは、ヒドロキシ官能性ポリプロピレングリコールと、少なくとも2種のイソシアネート官能性シラン(そのうちの少なくとも1種は上記式(VI)のものであり、少なくとも1種は式(VII)のものである)の組合せとの反応によって調製されることが好ましい。
【0059】
ここでの成分(VI)および(VII)は、本発明で用いられる成分(A)、すなわち変数aについて請求項1に記載の条件を満たす成分(A)、を与えるような割合で用いられる。
【0060】
この場合、ヒドロキシ官能性ポリプロピレングリコールは、シラン(VI)および(VII)の混合物と反応させてもよく、連続的に、これらの2種のシランの一方と最初に反応させ、ここで最後に記載のものは不足する量で用いられ、次に残りのヒドロキシ基をそれぞれの第2のシランと反応させてもよい。
【0061】
対応する成分(A)を調製するための適切な方法は、EP 1 535 940 B1(段落[0005]~[0025]、また発明例1~3および比較例1~4)またはEP 1 896 523 B1(段落[0008]~[0047])などの刊行物に記載されており、これらは本願の開示内容の一部と見なされる。しかしながら、そこに記載された方法は、ポリプロピレングリコールのシラン終端が、純粋なイソシアナト官能性シランではなく、シラン(VI)および(VII)の上記の混合物を用いて実施されるように変更されなければならない。
【0062】
本発明の湿気硬化性組成物(Z)は、好ましくは、少なくとも8wt%、より好ましくは少なくとも15wt%の濃度の化合物(A)を含有する。本発明の架橋性組成物(Z)は、好ましくは、組成物(Z)が充填剤を含まない場合、最大で98wt%、より好ましくは最大で95wt%の濃度の化合物(A)を含有し、組成物(Z)が充填剤を含む場合、最大で50%、より好ましくは最大で40wt%の濃度の化合物(A)を含有する。
【0063】
基R2の例は、基Rについて示した例である。
【0064】
基R2は、好ましくは炭素数1~6の一価の炭化水素基からなり、より好ましくは炭素数1または2のアルキル基からなり、より特に好ましくはメチル基からなる。
【0065】
基R4の例は、基Rについて示した例のほか、O-メチルカルバマトプロピル基およびO-エチルカルバマトプロピル基などのO-アルキルカルバマトアルキル官能基、グリシジルオキシプロピル基などのエポキシ官能基、ウレアプロピル基などのウレア官能基、3-メタクリロイルオキシプロピル基および3-アクリロイルオキシプロピル基などのアクリロイル-またはメタクリロイル-官能基である。
【0066】
基R4は、好ましくは、炭素数1~8のアルキル基、炭素数1~8のアルケニル基、または炭素数1~10の芳香族基からなり、特に好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、ビニル基またはフェニル基であり、より特に好ましくはビニル基またはフェニル基である。
【0067】
成分(B)の例は、テトラエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランおよびビニルメチルジメトキシシランなどのビニルシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシランおよびフェニルメチルジメトキシシランなどのアリールシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、プロピルメチルジメトキシシラン、n-オクチルトリメトキシシラン、n-オクチルトリエトキシシラン、i-オクチルトリメトキシシランおよびi-オクチルトリエトキシシランなどのアルキルシラン、N-(3-トリメトキシシリルプロピル)-O-メチルカルバメートおよびN-(3-トリエトキシシリルプロピル)-O-エチルカルバメートなどのカルバマトシラン、グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、グリシジルオキシプロピル-メチルジメトキシシランおよびグリシジルオキシプロピルトリエトキシシランなどのエポキシシラン、3-メタクリロイルオキシプロピル-トリメトキシシラン、メタクリロイルオキシプロピル-トリエトキシシラン、3-アクリロイルオキシプロピル-トリメトキシシランおよびアクリロイルオキシプロピル-トリエトキシシランなどのメタクリロイル-またはアクリロイル-官能性シラン、またはN-(3-トリメトキシシリルプロピル)ウレアおよびN-(3-トリエトキシシリルプロピル)ウレア等のウレア官能性シランである。
【0068】
本発明で用いられる成分(B)は、テトラエトキシシラン、ビニルトリアルコキシシラン、アルキルトリアルコキシシランまたはアリールトリアルコキシシランを含むことが好ましく、特に好ましくはメチル-、エチル-、プロピル-、ビニル-またはフェニルトリメトキシシラン、またはメチル-、エチル-、プロピル-、ビニル-またはフェニルトリエトキシシランであり、より特に好ましくはビニルトリメトキシシランまたはフェニルトリメトキシシランである。
【0069】
本発明の組成物(Z)は、成分(A)100重量部に対して、それぞれの場合において、好ましくは少なくとも0.2重量部、より好ましくは少なくとも0.5重量部、特に好ましくは少なくとも1重量部の量でシラン(B)を含む。
【0070】
本発明の組成物(Z)は、成分(A)100重量部に対して、それぞれの場合において、好ましくは最大で30重量部、より好ましくは最大で20重量部、特に好ましくは最大で15重量部の量でシラン(B)を含む。
【0071】
基R5の例は、基Rについて示した例である。
【0072】
基R5は、好ましくは炭素数1~6の一価の炭化水素基からなり、より好ましくは炭素数1または2のアルキル基からなる。
【0073】
基R6の例は、基Rで示した置換されていてもよい炭化水素基の例である。
【0074】
基R6は、好ましくは炭素数1~6の一価の炭化水素基からなり、より好ましくはメチル基からなる。
【0075】
基R7およびR8の例は、互いに独立して、基Rについて示した炭素数1~6の例である。
【0076】
基R7およびR8は、好ましくは、互いに独立して、水素原子または炭素数1~6の一価の炭化水素基であり、より好ましくは水素原子またはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基もしくはシクロヘキシル基である。
【0077】
成分(C)の例は、N-トリメトキシシリルメチル-O-メチルカルバメート、N-メチルジメトキシシリルメチル-O-メチルカルバメート、N-トリエトキシシリルメチル-O-エチルカルバメートおよびN-メチルジエトキシシリルメチル-O-エチルカルバメートなどのα-官能性カルバマトシラン、メタクリロイルオキシメチル-トリメトキシシラン、メタクリロイルオキシメチル-メチルジメトキシシラン、メタクリロイルオキシメチル-トリエトキシシラン、メタクリロイルオキシメチル-メチルジエトキシシラン、アクリロイルオキシメチル-トリメトキシシラン、アクリロイルオキシメチル-メチルジメトキシシラン、アクリロイルオキシメチル-トリエトキシシランおよびアクリロイルオキシメチル-メチルジエトキシシランなどのα-官能性メタクリロイル-またはアクリロイルシラン、アセトキシメチルトリメトキシシランおよびアセトキシメチルトリエトキシシランなどのα-官能性カルボキシシラン、あるいは、N-ブチルアミノメチル-トリメトキシシラン、N-アルキルアミノメチル-トリエトキシシラン、N-アルキルアミノメチル-メチルジメトキシシランおよびN-アルキルアミノメチル-メチルジエトキシシランなどのα-官能性アミノシランであり、アルキルは通常、線状または環状の炭素数1~10の炭化水素基である。
【0078】
特に典型的な例は、上記のα-官能性カルバマトシラン、より詳細にはN-トリメトキシシリルメチル-O-メチルカルバメートである。本発明の組成物(Z)中に成分(C)が存在する場合、それは好ましくはカルバメート官能性シランであり、調製が過剰の式(VII)のイソシアナト官能性シランを用いて行われる場合、それは成分(A)の調製において副生成物として形成されてもよく、それはその後アルコールで捕捉して反応させる。
【0079】
本発明の組成物(Z)は、成分(A)100重量部に対して、それぞれの場合において、好ましくは最大で1.5重量部、より好ましくは最大で1重量部の量で、シラン(C)を含む。理想的には、本発明の組成物(Z)は、シラン(C)を含まないが、これを達成することは技術的に困難である。
【0080】
組成物(Z)は、成分(A)100重量部に対して、Xが基-NR7-CO-OR8であり、R7が水素原子であり、R8が置換されていてもよい炭素数1~6の一価の炭化水素基である式(III)のシラン(C)を、(調製で用いられる式(VII)のイソシアナト官能性シランを、非常に完全かつ迅速な反応を達成するために過剰に用い、この過剰分をその後、EP 1 896 523 B1(段落[0008]~[0047]および請求項1)に記載されているように、アルコールR8OHで捕捉して反応させると)このシランが成分(A)の調製の副生成物として形成されることがあるため、少量含有してもよい。
【0081】
本発明の特に好ましい一実施形態では、式(VII)のシランから成分(A)を調製する際に副生成物として形成され、成分(A)100重量部に対して、それぞれの場合において、2重量部以下、好ましくは1.5重量部以下、より好ましくは1重量部以下で組成物(Z)中に存在する式(III)の上記シランに加えて、組成物(Z)は、シラン(C)とは混和されない。
【0082】
成分(A)および(B)、さらに任意に(C)に加えて、本発明の組成物(Z)は、成分(A)、(B)および(C)とは異なるさらなる物質、例えば、(D)カルボニル基に直接結合した窒素原子を有さない有機ケイ素化合物、(E)充填剤、(F)シリコーン樹脂、(G)触媒、(H)不活性可塑剤、(I)添加剤および(J)アジュバンド等を含有してもよい。
【0083】
本発明の組成物(Z)中に存在してもよい有機ケイ素化合物(D)は、好ましくは、式(IX)の単位を含む有機ケイ素化合物である。
dSi(OR9e10 f(4-d-e-f)/2 (IX)
式(IX)、
9は、同一でも異なっていてもよく、水素原子、または置換されていてもよい炭化水素基であり、
Dは、同一でも異なっていてもよく、カルボニル基に直接結合していない窒素原子を含む、SiC結合した一価の基であり、該基中、窒素も他のヘテロ原子もシリル基から単一の炭素原子によってのみ隔てられているものではなく、
10は、同一でも異なっていてもよく、アルキル基またはフェニル基であり、
dは、0、1、2または3であり、好ましくは1であり、
eは、0、1、2または3であり、好ましくは1、2または3であり、より好ましくは2または3であり、
fは、0、1、2または3であり、好ましくは1または0であり、
ただし、和d+e+fは4以下であり、1分子あたり少なくとも一つの基Dが存在する。
【0084】
本発明で用いられる有機ケイ素化合物(D)は、シラン、すなわちd+e+f=4の式(IX)の化合物でもよく、シロキサン、すなわちd+e+f≦3の式(IX)の単位を含む化合物でもよく、好ましくはシランである。
【0085】
基R9の例は、基Rについて示した例である。
【0086】
基R9は、好ましくは、水素原子、またはハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1~18個の炭化水素基からなり、より好ましくは、水素原子、または炭素数1~10の炭化水素基からなり、より特に好ましくはメチル基またはエチル基からなる。
【0087】
基R10の例は、Rについて示したアルキル基の例であり、メチル基が好ましい。
【0088】
基Dの例は、式H2N(CH23-、H2N(CH22NH(CH23-、H2N(CH22NH(CH22NH(CH23-、H3CNH(CH23-、C25NH(CH23-、C37NH(CH23-、C49NH(CH23-、C511NH(CH23-、C613NH(CH23-、C715NH(CH23-、H2N(CH24-、H2N-CH2-CH(CH3)-CH2-、H2N(CH25-、cyclo-C59NH(CH23-、cyclo-C611NH(CH23-、フェニル-NH(CH23-、(CH32N(CH23-、(C252N(CH23-、(C372N(CH23-、(C492N(CH23-、(C5112N(CH23-、(C6132N(CH23-、(C7152N(CH23-、(CH3O)3Si(CH23NH(CH23-、(C25O)3Si(CH23NH(CH23-、(CH3O)2(CH3)Si(CH23NH(CH23-、および(C25O)2(CH3)Si(CH23NH(CH23-の基であり、また、上記一級アミノ基と、一級アミノ基に対して反応性のあるエポキシド基または二重結合を有する化合物との反応生成物である。
【0089】
基Dは、好ましくは、基H2N(CH23-、H2N(CH22NH(CH23-またはcyclo-C611NH(CH23-からなる。
【0090】
本発明で用いてもよい式(IX)のシランの例は、H2N(CH23-Si(OCH33、H2N(CH23-Si(OC253、H2N(CH23-Si(OCH32CH3、H2N(CH23-Si(OC252CH3、H2N(CH22NH(CH23-Si(OCH33、H2N(CH22NH(CH23-Si(OC253、H2N(CH22NH(CH23-Si(OCH32CH3、H2N(CH22NH(CH23-Si(OC252CH3、H2N(CH22NH(CH22NH(CH23-Si(OCH33、H2N(CH22NH(CH22NH(CH23-Si(OC253、cyclo-C611NH(CH23-Si(OCH33、cyclo-C611NH(CH23-Si(OC253、cyclo-C611NH(CH23-Si(OCH32CH3、cyclo-C611NH(CH23-Si(OC252CH3、フェニル-NH(CH23-Si(OCH33、フェニル-NH(CH23-Si(OC253、フェニル-NH(CH23-Si(OCH32CH3、フェニル-NH(CH23-Si(OC252CH3、HN((CH23-Si(OCH332、HN((CH23-Si(OC2532、HN((CH23-Si(OCH32CH32、およびHN((CH23-Si(OC252CH32、ならびにそれらの部分加水分解物であり、好ましくは、H2N(CH23-Si(OCH33、H2N(CH23-Si(OC253、H2N(CH23-Si(OCH32CH3、H2N(CH23-Si(OC252CH3、H2N(CH22NH(CH23-Si(OCH33、H2N(CH22NH(CH23-Si(OC253、H2N(CH22NH(CH23-Si(OCH32CH3、cyclo-C611NH(CH23-Si(OCH33、cyclo-C611NH(CH23-Si(OC253、またはcyclo-C611NH(CH23-Si(OCH32CH3、および/またはそれぞれの場合においてそれらの部分加水分解物であり、特に好ましくは、H2N(CH23-Si(OCH33、H2N(CH23-Si(OC253、H2N(CH23-Si(OCH32CH3、H2N(CH23-Si(OC252CH3、H2N(CH22NH(CH23-Si(OCH33、H2N(CH22NH(CH23-Si(OCH32CH3、cyclo-C611NH(CH23-Si(OCH33、またはcyclo-C611NH(CH23-Si(OCH32CH3、および/またはそれぞれの場合においてそれらの部分加水分解物である。
【0091】
本発明で用いてもよい有機ケイ素化合物(D)は、本発明の組成物(Z)において、硬化触媒または硬化助触媒の機能を担っていてもよい。
【0092】
さらに、本発明で用いてもよい有機ケイ素化合物(D)は、接着促進剤および/または水分捕捉剤として作用することができる。
【0093】
本発明で用いてもよい有機ケイ素化合物(D)は、標準的な市販品であるか、または化学の世界で一般的な方法で製造することができる。
【0094】
本発明の組成物(Z)が成分(D)を含有する場合、その含有量は、成分(A)100重量部に対して、それぞれの場合において、好ましくは0.01~25重量部、より好ましくは0.1~10重量部、より特に好ましくは0.5~5重量部である。本発明の組成物(Z)は、好ましくは成分(D)を含有する。
【0095】
本発明の組成物(Z)において用いてもよい充填剤(E)は、現在までに知られている任意の所望の充填剤でもよい。
【0096】
充填剤(E)の例は、非補強充填剤、ここで該充填剤は好ましくは50m2/g以下のBET表面積を有する充填剤であり、例えば、石英、珪藻土、ケイ酸カルシウム、ケイ酸ジルコニウム、タルク、カオリン、ゼオライト、金属酸化物粉(例えばアルミニウムの、チタンの、鉄のまたは亜鉛の酸化物およびそれらの混合酸化物)、硫酸バリウム、沈降および/または粉砕チョーク(コーティングされていてもいなくてもよい)、石膏、窒化ケイ素、炭化ケイ素、窒化ホウ素、ガラス粉末ならびにプラスチック粉末(例えばポリアクリロニトリル粉末);補強充填剤、ここで該充填剤は50m2/g超のBET表面積を有する充填剤であり、例えばヒュームドシリカ、沈降シリカ、沈降チョーク、カーボンブラック(例えばファーネスブラックおよびアセチレンブラック)、および高BET表面積の混合シリコンアルミニウム酸化物;三水酸化アルミニウム、中空ビーズの形態の充填剤、例えばセラミックマイクロビーズ、例えば3M Deutschland GmbH(Neuss、DE)の商品名ZeeospheresTMで入手できるもの、弾性高分子ビーズ、例えばAKZO NOBEL、Expancel(Sundsvall、スウェーデン)の商品名EXPANCEL(登録商標)で入手できるもの、またはガラスビーズ;繊維状充填剤、例えば石綿およびポリマー繊維である。記載された充填剤は、例えば、有機シランおよび/または有機シロキサンを用いた処理により、あるいはステアリン酸を用いた処理により、あるいはアルコキシ基を形成するためのヒドロキシ基のエーテル化により、疎水化されていてもよい。
【0097】
用いてもよい充填剤(E)は、好ましくは、コーティングされていてもいなくてもよい粉砕および/または沈降チョーク、タルク、三水酸化アルミニウム、およびシリカであり、炭酸カルシウムおよび三水酸化アルミニウムが特に好ましい。好ましい炭酸カルシウムのグレードは、粉砕または沈降され、ステアリン酸またはその塩などの脂肪酸で任意に表面処理されたものである。好ましいシリカは、好ましくはヒュームドシリカである。
【0098】
用いてもよい充填剤(E)は、好ましくは1wt%未満、より好ましくは0.5wt%未満の含水率を有する。
【0099】
本発明の組成物(Z)が充填剤(E)を含有する場合、その含有量は、構成成分(A)100重量部に対して、それぞれの場合において、好ましくは10~1000重量部、より好ましくは50~500重量部、より特に好ましくは70~200重量部である。本発明の組成物(Z)は、好ましくは充填剤(E)を含有する。
【0100】
本発明の特定の一実施形態において、本発明の組成物(Z)は、充填剤(E)として、炭酸カルシウム、三水酸化アルミニウムおよび/またはタルク、あるいは
a)シリカ、より詳細にはヒュームドシリカと、
b)炭酸カルシウム、三水酸化アルミニウムおよび/またはタルクと
の組合せを含有する。
【0101】
本発明の別の特定の実施形態では、本発明の組成物(Z)は、充填剤(E)として、
a)沈降チョークと、
b)粉砕チョークと
の組合せを含有する。
【0102】
本発明の組成物(Z)において用いてもよいシリコーン樹脂(F)は、フェニルシリコーン樹脂であることが好ましい。
【0103】
成分(F)として用いることのできるフェニルシリコーン樹脂の例は、標準的な市販品であり、例としては、Wacker Chemie AGの種々のSILRES(登録商標)グレード、例えばSILRES(登録商標) IC 368、SILRES(登録商標) IC 678またはSILRES(登録商標) IC 231またはSILRES(登録商標) SY231である。好適なシリコーン樹脂は、国際公開第2015/158624号の明細書および実施例に詳細に記載されている。したがって、国際公開第2015/158624号のシリコーン樹脂の記載に関する箇所は、本明細書の開示内容の一部とみなされる。
【0104】
本発明の組成物(Z)が樹脂(F)を含有する場合、その含有量は、成分(A)100重量部に対して、それぞれの場合において、少なくとも5重量部、より好ましくは少なくとも10重量部、より特に好ましくは少なくとも50重量部であり、好ましくは最大で1000重量部、より好ましくは最大で500重量部、より特に好ましくは最大で300重量部である。
【0105】
本発明の組成物(Z)において用いてもよい触媒(G)は、成分(D)とは異なる、シラン縮合により硬化する組成物について現在までに知られている任意の所望の触媒であることができる。
【0106】
金属含有硬化触媒(G)の例は、有機チタン化合物および有機スズ化合物であり、例としては、テトラブチルチタネート、テトラプロピルチタネート、テトライソプロピルチタネートおよびチタンテトラアセチルアセトネートなどのチタン酸エステル;ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズマレエート、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジオクタノエート、ジブチルスズアセチルアセトネート、ジブチルスズオキシド、および対応するジオクチルスズ化合物などのスズ化合物である。
【0107】
金属を含まない硬化触媒(G)の例は、塩基性化合物であり、例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミン、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノン-5-エン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン、N,N-ビス(N,N-ジメチル-2-アミノエチル)メチルアミン、ペンタメチルグアニジン、テトラメチルグアニジンおよび他のグアニジン誘導体、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N-ジメチルフェニルアミンおよびN-エチルモルフォリニンである。
【0108】
同様に触媒(G)として使用できるのは、例えば、リン酸およびそのエステル、トルエンスルホン酸、硫酸、硝酸などの酸性化合物、あるいは有機カルボン酸、例えば酢酸および安息香酸である。
【0109】
本発明の好ましい一実施形態では、本発明の組成物(Z)は、組成物(Z)の全質量を基準として、それぞれの場合において、0.5wt%未満、より好ましくは0.2wt%未満、より特に好ましくは0.05wt%未満のスズ含有触媒(G)を含む。
【0110】
本発明の特に好ましい一実施形態では、本発明の組成物(Z)は、スズ含有触媒を含まない。
【0111】
本発明の特に好ましい一実施形態では、本発明の組成物(Z)は、金属含有触媒を含まない。
【0112】
本発明の組成物(Z)が触媒(G)を含有する場合、その含有量は、構成成分(A)100重量部に対して、それぞれの場合において、好ましくは0.01~20重量部、より好ましくは0.05~5重量部である。本発明の組成物(Z)は、好ましくは、触媒(G)を含有しない。
【0113】
本発明の組成物(Z)において用いてもよい不活性可塑剤(H)は、シラン架橋系に典型的な、現在までに知られている任意の所望の可塑剤であることができる。
【0114】
不活性可塑剤(H)の例は、フタル酸エステル(例えば、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジイソオクチルおよびフタル酸ジウンデシル)、過水素化フタル酸エステル(例えば、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸ジイソノニルおよび1,2-シクロヘキサンジカルボン酸ジオクチル)、アジピン酸エステル(例えば、アジピン酸ジオクチル)、安息香酸エステル、グリコールエステル、飽和アルカンジオールのエステル(例えば、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオールモノイソブチレートおよび2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオールジイソブチレート)、リン酸エステル、スルホン酸エステル、ポリエステル、ポリエーテル(例えば、モル質量Mnが好ましくは400~10,000g/molの、ポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコール)、ポリスチレン、ポリブタジエン、ポリイソブチレン、パラフィン系炭化水素および高分子量の分岐状炭化水素である。
【0115】
本発明の組成物(Z)が不活性可塑剤(H)を含有する場合、その含有量は、成分(A)100重量部に対して、好ましくは0.01~100重量部である。
【0116】
本発明の特に有利な一実施形態では、本発明の組成物(Z)は、不活性可塑剤(H)を含有する。
【0117】
本発明の組成物(Z)において用いてもよい添加剤(I)は、現在までに知られている、シラン架橋系に典型的な任意の所望の添加剤であることができる。
【0118】
本発明で用いてもよい添加剤(I)は、好ましくは、酸化防止剤、例えばHALS化合物と呼ばれるものなどの紫外線安定剤、殺菌剤、または顔料である。
【0119】
本発明の組成物(Z)が添加剤(I)を含有する場合、その含有量は、成分(A)100重量部に対して、それぞれの場合において、好ましくは0.01~30重量部、より好ましくは0.1~10重量部である。本発明の組成物(Z)は、好ましくは添加剤(I)、より好ましくはUV安定剤および/またはHALS化合物を含有する。
【0120】
本発明で用いてもよいアジュバント(J)は、好ましくは、レオロジー添加剤、難燃剤または有機溶媒である。
【0121】
レオロジー添加剤(J)は、好ましくは、ポリアミドワックス、水添ヒマシ油またはステアリン酸塩である。
【0122】
有機溶媒(J)の例は、低分子量のエーテル、エステル、ケトン、ハロゲンを含有してもよい芳香族炭化水素、ハロゲンを含有してもよい脂肪族炭化水素、またはアルコールであり、後者が好ましい。
【0123】
好ましくは、本発明の組成物(Z)には、有機溶媒(J)を加えないことである。
【0124】
本発明の組成物(Z)が1種以上の成分(J)を含有する場合、その含有量は、成分(A)100重量部に対して、それぞれの場合において、好ましくは0.5~200重量部、より好ましくは1~100重量部、より特に好ましくは2~70重量部である。
【0125】
本発明の組成物(Z)は、
(A)式(I)のポリマー 100重量部、
(B)テトラエトキシシランおよび式(II)のシランから選択されるシラン
0.2~30重量部、
(C)式(III)のシラン 2重量部以下、
(D)式(IX)の単位を含む有機ケイ素化合物 0.01~25重量部、
任意に(E)充填剤、
任意に(F)シリコーン樹脂、
任意に(G)触媒、
任意に(H)不活性可塑剤、
任意に(I)添加剤、ならびに
任意に(J)アジュバント
を含有する組成物であることが好ましい。
【0126】
本発明の組成物(Z)は、
(A)式(I)のポリマー 100重量部、
(B)テトラエトキシシランおよび式(II)のシランから選択されるシラン
0.2~30重量部、
(C)式(III)のシラン 1.5重量部以下、
(D)式(IX)の単位を含む有機ケイ素化合物 0.1~10重量部、
任意に(E)充填剤、
任意に(F)シリコーン樹脂、
任意に(G)触媒、ここで組成物(Z)は、組成物(Z)の総質量に基づいて、0.05wt%未満のスズ触媒を含み、
任意に(H)不活性可塑剤、
任意に(I)添加剤、ならびに
任意に(J)アジュバント
を含有する組成物であることがより好ましい。
【0127】
本発明の組成物(Z)は、
(A)式(I)のポリマー 100重量部、
(B)式(II)のシラン 0.2~30重量部、
(C)式(III)のシラン 1.5重量部以下、
(D)式(IX)の単位を含む有機ケイ素化合物 0.1~10重量部、
(E)充填剤 10~1000重量部、
任意に(F)シリコーン樹脂、
任意に(G)触媒、ここで組成物(Z)は、組成物(Z)の総質量に基づいて、0.05wt%未満のスズ触媒を含み、
任意に(H)不活性可塑剤、
任意に(I)添加剤、ならびに
任意に(J)アジュバント
を含有する組成物であることが特に好ましい。
【0128】
本発明の組成物(Z)は、好ましくは、成分(A)~(J)以外の構成成分を含有しない。
【0129】
本発明で用いられる各成分は、該成分の1種からなるものでもよく、それぞれの成分の少なくとも2種の混合物からなるものでもよい。
【0130】
本発明の組成物(Z)は、それぞれの場合において、25℃において、好ましくは500~1,000,000mPas、より好ましくは1000~500,000mPas、さらに特に好ましくは5000~100,000mPasの粘度を有する配合物であることが好ましい。
【0131】
本発明の組成物(Z)は、液状またはペースト状の組成物であることが好ましい。
【0132】
本発明の組成物(Z)は湿気硬化性であり、これは、水の非存在下では保存安定であり、水および/または大気中の水分と接触することで硬化することを意味する。
【0133】
本発明の組成物(Z)は、それ自体公知の任意の所望の方法で、例えば、湿気硬化性組成物の調製に慣用される種類の方法および混合技術に従って製造することができる。
【0134】
本発明のさらなる主題は、個々の成分を任意の所望の順序で混合することにより、本発明の組成物(Z)を製造する方法である。
【0135】
その場合、好ましくは、用いてもよい触媒活性成分(D)および/または(G)は、混合手順の最後にのみ添加される。
【0136】
この混合は、周囲の大気の圧力、言い換えれば約900~1100hPaの下で、0~30℃の温度で行ってもよい。しかしながら、所望により、この混合は、より高い温度、例えば30~130℃の範囲の温度で行ってもよい。また、揮発性化合物および/または空気を除去するために、例えば30~500hPaの絶対圧のような減圧下で一時的または継続的に混合を実施することも可能である。
【0137】
本発明による混合は、好ましくは水分の非存在下で行われる。
【0138】
本発明の方法は、連続的に実施してもよく、不連続的に実施してもよい。
【0139】
本発明の組成物(Z)は、好ましくは、水の非存在下で保存可能であり、室温で水の浸入により架橋可能な1成分型組成物である。あるいは、本発明の組成物(Z)は、2成分架橋系の一部であってもよく、該系では、水などのOH含有化合物が第2成分に添加されている。
【0140】
本発明の組成物(Z)を架橋するためには、空気中の通常の水分量で充分である。本発明の組成物(Z)は、好ましくは室温で架橋される。あるいは、所望により、例えば-5~15℃または30~50℃などの室温より高い温度または低い温度で、および/または空気中の通常の水分量を超える濃度の水によって、それらは架橋されてもよい。
【0141】
架橋は、好ましくは100~1100hPaの圧力下、より詳細には周囲の大気の圧力下、すなわち約900~1100hPaの圧力下で行われる。
【0142】
本発明の組成物(Z)は、有機ケイ素化合物をベースとする架橋性組成物がこれまで採用されてきたあらゆる目的に用いることができ、好ましくは接着剤またはシーラントとして、より好ましくはシーラントとして、さらに好ましくは接合用シーラント(sealants for joints)として用いることができる。
【0143】
組成物(Z)を接合用シーラントとして用いる場合、シールされる接合部は、例えば、石材、コンクリート、鉱物基材、金属、ガラス、セラミック、木材および塗装面、またPVCなどのプラスチックなどの多種多様な異なる材料のいずれから構成されていてもよい。このような場合、接合部の端部は、同じ材料で構成されていてもよく、異なる材料で構成されていてもよい。
【0144】
本発明のさらなる主題は、本発明の組成物(Z)または本発明で製造される組成物(Z)を架橋することによって製造される成形品である。
【0145】
好ましい一実施形態において、本発明の成形品は、好ましくは0.1~1.4MPas、より好ましくは0.15~0.5MPasの100%モジュラス、好ましくは少なくとも200%、より好ましくは少なくとも400%の破断伸度(elongations at break)、および好ましくは少なくとも70%の弾力性(resilience)を有する。
【0146】
本発明の成形品は、例えば、ガスケット、圧縮成形品、押出成形品(extruded profiles)、コーティング、含浸、カプセル化、レンズ、プリズム、多角形構造、ラミネート層または接着剤層など、任意の所望の成形品でもよい。
【0147】
本発明のさらなる主題は、基材を接着接合する方法であって、本発明の組成物(Z)を少なくとも一つの基材の表面に塗布し、この表面を次に接合のために第2の基材と接触させ、その後、組立物(assembly)を架橋させる方法である。
【0148】
本発明で接合され得る基材の例は、コンクリート、鉱物基材、金属、ガラス、セラミックおよび塗装面、木材、またPVCなどのプラスチックである。同一の材料と異なる材料の両方が互いに接合されてもよい。好ましい用途の1つは、スクリードやコンクリートなどの慣用的な基材に木質床材を接合することである。
【0149】
本発明のさらなる主題は、材料の組立物を製造する方法であって、本発明の組成物(Z)を少なくとも一つの基材に塗布し、その後、架橋させる方法である。その例は、コーティング、カプセル化、例えば、LEDまたは他の電子部品のための封入材料などである。
【0150】
本発明の組成物(Z)は、製造が容易であるという利点を有する。
【0151】
さらに、本発明の組成物(Z)は、スズを用いずに架橋可能で、優れた物性を有するシーラントを製造するために用いることができるという利点を有する。
【0152】
本発明の組成物(Z)は、非常に高い保存安定性と、スズ触媒の非存在下でも、高い、あるいは非常に高い架橋速度とが特筆すべきであるという利点を有する。
【0153】
本発明の組成物(Z)は、さらに、優れた粘着プロファイルを示すという利点を有する。
【0154】
さらに、本発明の架橋性組成物(Z)は、加工が容易であるという利点を有する。
【0155】
さらに、本発明の架橋性組成物(Z)は、低モジュラスで良好な弾力性を有する、スズを含まない成形品、より詳細にはスズを含まないシーラントを得るために用いることができるという利点を有する。
【0156】
以下に説明する例において、粘度の数値はすべて温度25℃に基づく。特に断らない限り、以下の例は、周囲の大気の圧力下、言い換えれば約1000hPaで、室温、言い換えれば約23℃、または反応物を追加の加熱または冷却なしに室温で混合したときに生じる温度で実施し、また約50%の相対大気湿度でも実施する。さらに、部およびパーセントの数値は、特に断らない限り、すべて重量を指す。
【実施例
【0157】
例1:イソシアナトメチル-トリメトキシシランの調製
イソシアナトメチル-トリメトキシシランは、長さ25cm、内径8cm、および壁面温度300℃の薄膜蒸発器にて調製する。
【0158】
400gのN-トリメトキシシリルメチル-O-メチルカルバメート(Wacker Chemie AG(Munich、DE)からGENIOSIL(登録商標) XL 63として市販)を0.28gのジオクチルスズジラウレートと混和させる。計量は、薄膜蒸発器の上端で110ml/hの速度で行う。65 l/hの窒素流が下部から上部へ、すなわち反応混合物の進行方向に対して流される。これらの条件下では、下部での流出量は計量されたシランの量の10%程度に過ぎない。
【0159】
蒸発した生成混合物は、窒素の流れとともに、真空ジャケットで絶縁された長さ10cmのVigreuxカラムを通過し、液体カラムのランバックは薄膜蒸発器に戻される。Vigreuxカラムの上部の温度は158~164℃である。熱処理されたシラン混合物は、従来のガラスコンデンサーにより、54℃の温度でこのガス流から選択的に凝縮される。第2の凝縮工程では、メタノールが0℃の温度で凝縮され、その後、窒素の流れがコールドトラップを通過して、セットアップ全体が配置されている実験室用ヒュームフードの空気抽出部に送られる。得られたシラン混合物は、-20℃で保存される。
【0160】
この工程をさらに正確に2回繰り返し、得られた2つの凝縮シラン混合物を一体化させる。合計988gの凝縮シラン混合物が得られる。この無色の液体を1H-NMRおよびガスクロマトグラフィーで分析する。それは、イソシアナトメチル-トリメトキシシラン31.8%、N-トリメトキシシリルメチル-O-メチルカルバメート67.9%、およびメタノール0.1%を含む。
【0161】
その後の分留により、249gのイソシアナトメチル-トリメトキシシランを純度98.9%で得る。
【0162】
例2:モデル反応:α-およびγ-イソシアナトシランの混合物と短鎖ポリプロピレングリコールの反応
滴下ロートを備え、攪拌、冷却および加熱設備を有する250mlの反応容器に、400g/molの平均モル質量Mnを有する線状ポリプロピレングリコール(Sigma-Aldrichから市販)を50.0g(125mmol)装入し、この初期装入物を攪拌しながら80℃および1mbarで2時間乾燥する。
【0163】
その後、0.022g(150ppm、全成分の完全添加後の反応混合物を基準)のビスマス含有触媒(Borchers GmbH(Langenfeld、DE)からBorchi(登録商標) Kat 315という名称で市販)を添加し、その後、44.3g(250mmol)のイソシアナトメチル-トリメトキシシラン(例1に従って調製)および51.3g(250mmol)の3-イソシアナトプロピル-トリメトキシシラン(Wacker Chemie AG(Munich、DE)からGENIOSIL(登録商標)) GF 40という名称で市販)の混合物を15分かけて攪拌しながら滴加する。この反応は発熱が大きいので、80℃の反応温度内に収まるように冷却しながら行わなければならない。この後、80℃でさらに30分間攪拌する。
【0164】
反応混合物の1H-NMR分析は、測定精度の範囲内(±~5%)で、α-イソシアナトシランで終結した鎖末端と同数のγ-イソシアナトシランで終結した鎖末端が存在することを示す。したがって、両イソシアナトシランは、測定精度の範囲内で、OH基末端ポリプロピレングリコールに対して同一の反応性を有する。2つの鎖末端は互いに独立して反応するため、ポリマーの50%はα-およびγ-シラン末端の両方を有する。
【0165】
例3a:ポリマーA:α-トリメトキシシリルメチル末端基30%およびγ-トリメトキシシリルプロピル末端基70%を有するポリプロピレングリコール
攪拌、冷却および加熱設備を備えた2000mlの反応容器に、18,000g/molの平均モル質量Mnを有する線状ポリプロピレングリコール(Covestro AG(Leverkusen、DE)からAcclaim 18200という名称で市販)を1800.0g(100mmol)装入し、この初期装入物を攪拌しながら80℃および1mbarで2時間乾燥する。
【0166】
容器の内容物を室温まで冷却し、次に12.8g(72mmol)のイソシアナトメチル-トリメトキシシラン(例1に従って調製)および34.5g(168mmol)の3-イソシアナトプロピル-トリメトキシシラン(Wacker Chemie AG(Munich、DE)からGENIOSIL(登録商標) GF 40という名称で市販)を添加する。混合物を攪拌しながら80℃に加熱する。その後、0.24g(150ppm)のビスマス含有触媒(Borchers GmbH(Langenfeld、DE)からBorchi(登録商標)) Kat 315という名称で市販)を添加し、反応混合物を84~85℃まで昇温させる。反応混合物を80℃でさらに120分間攪拌する。
【0167】
続いて60℃に冷却し、1.92g(60mmol)のメタノールを加え、60℃でさらに30分間攪拌する。得られたポリマー混合物には、IR分光法で検出可能な残存イソシアネート基はない。得られたポリマー混合物は、澄んでおり透明であり、25℃で25Pasの粘度を有する。それは、問題なくさらに処理することができる。
【0168】
例3b:ポリマーB:α-トリメトキシシリルメチル末端基35%およびγ-トリメトキシシリルプロピル末端基65%を有するポリプロピレングリコール
採用した手順は例3aに記載したものであるが、18,000g/molの平均モル質量Mnを有する線状ポリプロピレングリコール1800.0g(100mmol)に対して、14.9g(84mmol)のイソシアナトメチル-トリメトキシシランおよび32.0g(156mmol)の3-イソシアナトプロピル-トリメトキシシランを用いている。
【0169】
得られたポリマー混合物において、例3aに記載したように1.92g(60mmol)のメタノールを添加した後、IR分光法で検出可能な残存イソシアネート基はない。得られたポリマー混合物は、澄んでおり透明であり、25℃で25Pasの粘度を有する。それは、問題なくさらに処理することができる。
【0170】
例3c:ポリマーC:α-トリメトキシシリルメチル末端基40%およびγ-トリメトキシシリルプロピル末端基60%を有するポリプロピレングリコール
採用した手順は例3aに記載したものであるが、18,000g/molの平均モル質量Mnを有する線状ポリプロピレングリコール1800.0g(100mmol)に対して、17.0g(96mmol)のイソシアナトメチル-トリメトキシシランおよび29.6g(144mmol)の3-イソシアナトプロピル-トリメトキシシランを用いている。
【0171】
得られたポリマー混合物において、例3aに記載したように1.92g(60mmol)のメタノールを添加した後、IR分光法で検出可能な残存イソシアネート基はない。得られたポリマー混合物は、澄んでおり透明であり、25℃で25Pasの粘度を有する。それは、問題なくさらに処理することができる。
【0172】
例3d:ポリマーD:α-トリメトキシシリルメチル末端基50%およびγ-トリメトキシシリルプロピル末端基50%を有するポリプロピレングリコール
採用した手順は例3aに記載したものであるが、18,000g/molの平均モル質量Mnを有する線状ポリプロピレングリコール1800.0g(100mmol)に対して、21.3g(120mmol)のイソシアナトメチル-トリメトキシシランおよび24.6g(120mmol)の3-イソシアナトプロピル-トリメトキシシランを用いている。
【0173】
得られたポリマー混合物において、例3aに記載したように1.92g(60mmol)のメタノールを添加した後、IR分光法で検出可能な残存イソシアネート基はない。得られたポリマー混合物は、澄んでおり透明であり、25℃で25Pasの粘度を有する。それは、問題なくさらに処理することができる。
【0174】
例3e:ポリマーE(非発明例):α-トリメトキシシリルメチル末端基70%およびγ-トリメトキシシリルプロピル末端基30%を有するポリプロピレングリコール
採用した手順は例3aに記載したものであるが、18,000g/molの平均モル質量Mnを有する線状ポリプロピレングリコール1800.0g(100mmol)に対して、29.8g(168mmol)のイソシアナトメチル-トリメトキシシランおよび14.8g(72mmol)の3-イソシアナトプロピル-トリメトキシシランを用いている。
【0175】
得られたポリマー混合物において、例3aに記載したように1.92g(60mmol)のメタノールを添加した後、IR分光法で検出可能な残存イソシアネート基はない。得られたポリマー混合物は、澄んでおり透明であり、25℃で25Pasの粘度を有する。それは、問題なくさらに処理することができる。
【0176】
例3f:ポリマーF(非発明例):α-トリメトキシシリルメチル末端基を100%有するポリプロピレングリコール
採用した手順は例3aに記載したものであるが、18,000g/molの平均モル質量Mnを有する線状ポリプロピレングリコール1800.0g(100mmol)に対して、42.5g(240mmol)のイソシアナトメチル-トリメトキシシランを用い、3-イソシアナトプロピル-トリメトキシシランは用いていない。
【0177】
得られたポリマー混合物において、例3aに記載したように1.92g(60mmol)のメタノールを添加した後、IR分光法で検出可能な残存イソシアネート基はない。得られたポリマー混合物は、澄んでおり透明であり、25℃で25Pasの粘度を有する。それは、問題なくさらに処理することができる。
【0178】
例4a:1K接着性配合物の製造
116.0gの例3aのポリマーAを、80.0gのフタル酸ジイソウンデシル(ExxonMobilから市販)および8.0gのビニルトリメトキシシラン(Wacker Chemie AG(Munich、DE)からGENIOSIL(登録商標) XL 10として市販)と共に、2つのクロスアームミキサーを備える実験室用遊星混合機(PC-Laborsystem)中で、約25℃において200rpmで2分間均質化する。
【0179】
その後、ステアリン酸でコーティングされ、約0.4μmの平均粒子径(D50%)を有する粉砕炭酸カルシウム(Omya(Cologne、DE)からOmyabond 302という名称で市販)192.0gを加え、600rpmで攪拌しながら1分間混ぜ合わせる。最後に、4.0gの3-アミノプロピル-トリメトキシシラン(Wacker Chemie AG(Munich、DE)からGENIOSIL(登録商標) GF 96として市販)を200rpmで1分間混合することにより組み込み、混合物を部分真空(約100mbar)中で200rpmで1分間均質化し、泡がなくなるまで攪拌させる。
【0180】
得られた組成物を、310mlのPEカートリッジ2つに分注する(1カートリッジあたり約200g)。1つ目のカートリッジは、分析前に20℃で24時間保存する。2つ目のカートリッジは、分析前に20℃で14日間保存する。
【0181】
例4b:1K接着性配合物の製造
採用した手順は例4aに記載したものであるが、例3aのポリマーAの代わりに、例3bのポリマーBを同量用いる。
ここでも2つのカートリッジが得られ、分析前にそれぞれ20℃で24時間または14日間保存する。
【0182】
例4c.1K接着性配合物の製造
採用した手順は例4aに記載したものであるが、例3aのポリマーAの代わりに、例3cのポリマーCを同量用いる。
ここでも2つのカートリッジが得られ、分析前にそれぞれ20℃で24時間または14日間保存する。
【0183】
例4d:1K接着性配合物の製造
採用した手順は例4aに記載したものであるが、例3aのポリマーAの代わりに、例3dのポリマーDを同量用いる。さらに、3-アミノプロピル-トリメトキシシランの使用量を4.0gから2.0gに半減させる。
ここでも2つのカートリッジが得られ、分析前にそれぞれ20℃で24時間または14日間保存する。
【0184】
例4e(非発明例):1K接着性配合物の製造
採用した手順は例4aに記載したものであるが、例3aのポリマーAの代わりに、例3eのポリマーEを同量用いる。さらに、3-アミノプロピル-トリメトキシシランの使用量を4.0gから2.0gに半減させる。
ここでも2つのカートリッジが得られ、分析前にそれぞれ20℃で24時間または14日間保存する。
【0185】
例4f(非発明例):1K接着性配合物の製造
採用した手順は例4aに記載したものであるが、例3aのポリマーAの代わりに、例3fのポリマーFを同量用いる。さらに、3-アミノプロピル-トリメトキシシランの使用量を4.0gから2.0gに半減させる。
ここでも2つのカートリッジが得られ、分析前にそれぞれ20℃で24時間または14日間保存する。
【0186】
例4g(非発明例):1K接着性配合物の製造
採用した手順は例4aに記載したものであるが、例3aのポリマーA 116gの代わりに、例3fのポリマーF 46.4gおよび18,000g/molの平均モル質量(Mn)を有し、式-O-C(=O)-NH-(CH23-Si(OCH33の末端基(Wacker Chemie AG(Munich、DE)からGENIOSIL(登録商標) STP-E35という名称で市販)のシラン末端ポリプロピレングリコール 69.6gを用いる。さらに、3-アミノプロピル-トリメトキシシランの使用量を4.0gから2.0gに半減させる。
ここでも2つのカートリッジが得られ、分析前にそれぞれ20℃で24時間または14日間保存する。
【0187】
例4h(非発明例):1K接着性配合物の製造
採用した手順は例4aに記載したものであるが、例3aのポリマーAの代わりに、例3eの同量のポリマーE、およびビニルトリメトキシシランの代わりに、同量のN-トリメトキシシリルメチル-O-メチルカルバメート(Wacker Chemie AG(Munich、DE)からGENIOSIL(登録商標) XL 63として市販)を用いる。さらに、3-アミノプロピル-トリメトキシシランの使用量を4.0gから2.0gに半減させる。
ここでも2つのカートリッジが得られ、分析前にそれぞれ20℃で24時間または14日間保存する。
【0188】
例4i(非発明例):1K接着性配合物の製造
採用した手順は例4aに記載したものであるが、例3aのポリマーAの代わりに、例3fの同量のポリマーF、およびビニルトリメトキシシランの代わりに、同量のN-トリメトキシシリルメチル-O-メチルカルバメート(Wacker Chemie AG(Munich、DE)からGENIOSIL(登録商標) XL 63として市販)を用いる。さらに、3-アミノプロピル-トリメトキシシランの使用量を4.0gから2.0gに半減させる
ここでも2つのカートリッジが得られ、分析前にそれぞれ20℃で24時間または14日間保存する。
【0189】
例5:製造された接着剤の物性プロファイルの測定
例4a~4iで得られた接着剤は、カートリッジ内でまだ硬化していない場合は、架橋させ、皮膜形成およびその機械的物性を調べた。その結果を表1に示す。
【0190】
皮膜形成時間(SFT)
皮膜形成時間は、上記例で得られた架橋性組成物をPEフィルムに2mm層厚で塗布し、処理後のフィルムを標準条件(23℃、相対湿度50%)下で保存することにより測定される。皮膜の形成に関するテストは、硬化の過程で1分毎に1回実施される。このテストでは、乾燥した実験用スパチュラをサンプルの表面に注意深く置き、上方に引き上げる。サンプルがスパチュラに付着したままであれば、皮膜はまだ形成されていない。サンプルがスパチュラにもはや付着していなければ、皮膜が形成されており、その時間を記録する。
【0191】
機械的物性
上記組成物をそれぞれ、圧延された深さ2mmのテフロンプレートにコーティングし、23℃、相対湿度50%で2週間硬化させる。
【0192】
ショアA硬度は、DIN 53505に準拠して測定する。
引張強度は、DIN 53504-S1に準拠して測定する。
破断伸度は、DIN 53504-S1に準拠して測定する。
100%モジュラスは、DIN 53504-S1に準拠して測定する。
【0193】
【表1】
【0194】
* 非発明例
** α-シラン末端100%を有するポリマーF 40%と、γ-シラン末端100%を有するポリマー 60%との混合物
*** カートリッジ中の段階で完全硬化
【0195】
V-TMOはビニルトリメトキシシランを意味し、C-TMOはN-トリメトキシシリルメチル-O-メチルカルバメートを意味する。
【0196】
例6a:1Kシーラント配合物の製造
30.0gの例3aのポリマーAを、5000g/molの平均モル質量Mnおよび式-O-C(=O)-NH-(CH23-Si(OCH33の末端基を有するシラン片末端ポリプロピレングリコール(Wacker Chemie AG(Munich、DE)からGENIOSIL(登録商標) XM25という名称で市販)12.0g、43.0gのジイソノニルシクロヘキサン-1,2-ジカルボキシレート(BASF SE(Ludwigshafen、DE)から「Hexamoll DINCH」という名称で市販)、3.0gのビニルトリメトキシシラン、ならびに1.0gの安定剤混合物(20%のIrganox(登録商標) 1135(CAS No.125643-61-0)、40%のTinuvin(登録商標) 571(CAS No.23328-53-2)および40%のTinuvin(登録商標) 765(CAS No.41556-26-7)の混合物、BASF SE(Ludwigshafen、DE)のTINUVIN(登録商標) B 75という名称で市販)と共に、クロスアームミキサーおよびディゾルバーを備える実験室用遊星混合機(PC-Laborsystem)中で、約25℃においてクロスアームミキサーを用いて200rpmで2分間均質化する。
【0197】
その後、ステアリン酸でコーティングされ、約2.0μmの平均粒子径(D50%)を有する炭酸カルシウム(Omya(Cologne、DE)からOmyabond 520という名称で市販)102.0gおよび微粉化ポリアミドワックス(Arkema(フランス)からCrayvallac(登録商標) SLCという名称で市販)8gを加え、クロスアームミキサーを用いて200rpmで攪拌しながら1分間で組み込ませる。続いて、クロスアームミキサーで500rpm、ディゾルバーで1000rpmで攪拌しながら、組成物を80℃に加熱し、温度を15分間保持し、その後、35℃に冷却して戻す。
【0198】
最後に1.0gのN-(2-アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン(Wacker Chemie AG(Munich、DE)からGENIOSIL(登録商標) GF 9という名称で販売)を加え、混合物を部分真空(約100mbar)下で600rpm(クロスアームミキサー)および1000rpm(ディゾルバー)で2分間均質化し、泡がなくなるまで攪拌する。
【0199】
得られた組成物を310mlのPEカートリッジに分注し、分析前に20℃で24時間保存する。
【0200】
例6b:1Kシーラント配合物の製造
採用した手順は例6aに記載したものであるが、例3aのポリマーAの代わりに、例3bのポリマーBを同量用いる。
ここでもカートリッジが充填され、分析前に20℃で24時間保存される。
【0201】
例6c:1Kシーラント配合物の製造
採用した手順は例6aに記載したものであるが、例3aのポリマーAの代わりに、例3cのポリマーCを同量用いる。
ここでもカートリッジが充填され、分析前に20℃で24時間保存される。
【0202】
例6d:1Kシーラント配合物の製造
採用した手順は例6aに記載したものであるが、例3aのポリマーAの代わりに、例3dのポリマーDを同量用いる。
ここでもカートリッジが充填され、分析前に20℃で24時間保存される。
【0203】
例6e(非発明例):1Kシーラント配合物の製造
採用した手順は例6aに記載したものであるが、例3aのポリマーAの代わりに、例3eのポリマーEを同量用いる。
ここでもカートリッジが充填され、分析前に20℃で24時間保存される。
【0204】
例6f(非発明例):1Kシーラント配合物の製造
採用した手順は例6aに記載したものであるが、例3aのポリマーA 30.0gの代わりに、例3fのポリマーF 12.0g、ならびに18,000g/molの平均モル質量(Mn)および式-O-C(=O)-NH-(CH23-Si(OCH33の末端基を有するシラン末端ポリプロピレングリコール(Wacker Chemie AG(Munich、DE)からGENIOSIL(登録商標) STP-E35という名称で市販)18gを用いる。
ここでもカートリッジが充填され、分析前に20℃で24時間保存される。
【0205】
例7:製造されたシーラントの物性プロファイルの測定
例6a~6fで得られたシーラントは、カートリッジ内でまだ硬化していない場合は、架橋させ、皮膜形成およびその機械的物性を調べた。その結果を表2に示す。
【0206】
皮膜形成時間、ショアA硬度、引張強度および100%モジュラスは、例5に記載の方法で測定する。
弾力性は、DIN EN ISO 7389に準拠し、方法Bによる保存で測定する。
低モジュラスシーラントでは、弾力性が70%超であることが好ましい。
【0207】
【表2】
【0208】
* 非発明例
** α-シラン末端100%を有するポリマーF 40%と、γ-シラン末端100%を有するポリマー 60%との混合物
*** カートリッジ中の段階で完全硬化