(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-04
(45)【発行日】2024-03-12
(54)【発明の名称】エアロゾル発生装置
(51)【国際特許分類】
A24F 40/30 20200101AFI20240305BHJP
A24F 40/57 20200101ALI20240305BHJP
【FI】
A24F40/30
A24F40/57
(21)【出願番号】P 2022550978
(86)(22)【出願日】2021-02-09
(86)【国際出願番号】 GB2021050296
(87)【国際公開番号】W WO2021170969
(87)【国際公開日】2021-09-02
【審査請求日】2022-09-28
(32)【優先日】2020-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】519138265
【氏名又は名称】ニコベンチャーズ トレーディング リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Nicoventures Trading Limited
【住所又は居所原語表記】Globe House, 1 Water Street,WC2R 3LA London,United Kingdom
(74)【代理人】
【識別番号】100183782
【氏名又は名称】轟木 哲
(72)【発明者】
【氏名】アウン、ワリド アビ
【審査官】安食 泰秀
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第03406147(EP,A1)
【文献】国際公開第2016/135342(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/30
A24F 40/57
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用時に装置がエアロゾルの流れを発生させる液体を収容するための第1の容器と、
使用時にそのエアロゾルの流れが通過する材料を収容するための第2の容器と、
前記第1の容器に収容された液体からエアロゾルの流れを発生させるためのエアロゾル発生装置と、
前記第2の容器に収容された材料を加熱するための加熱装置と
、を含み、
前記加熱装置は、
前記第2の容器に収容された材料をその材料上に形成されるエアロゾルの流れからの凝縮を妨げるまたは減少させる温度であって、かつ、その材料から実質的にエアロゾルを形成させるために必要とされる温度より低い温度に加熱するように構成されており
、
前記加熱装置は、磁界を発生させてサセプタ材料の加熱を誘発して前記材料を加熱するように構成された誘導加熱装置を含み、当該誘導加熱装置は、前記第2の容器の周囲にまたは第2の容器に誘導コイルを含む、ユーザーによる吸引のためのエアロゾル発生装置。
【請求項2】
加熱装置は、第2の容器に収容された材料を250℃未満の温度に加熱するように構成されていることを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項3】
加熱装置は、第2の容器に収容された材料を50~150℃の範囲内の温度に加熱するように構成されていることを特徴とする請求項2記載の装置。
【請求項4】
エアロゾル発生装置は、第1の容器からの液体を100~300℃の範囲内の温度に加熱するように構成されたヒーターであることを特徴とする請求項1乃至3いずれか1項記載の装置。
【請求項5】
エアロゾル発生装置は、第1の容器からの液体を150~250℃の範囲内の温度に加熱するように構成され
たヒーターであることを特徴とする請求項4記載の装置。
【請求項6】
前記
第2の容器に収容される材料は、タバコ材に散在させたサセプタ材のフレーク、長尺のサセプタ材およびその材料を包むサセプタ材のシートのうちの1つ以上を含むことを特徴とする請求項
1乃至5いずれか1項記載の装置。
【請求項7】
本体部分と、
第1の容器とエアロゾル発生装置とを含むカートリッジと、
第2の容器と加熱装置とを含むマウスピース集合体とを含み、
マウスピース集合体は、カートリッジによって発生させたエアロゾルがマウスピース集合体でのユーザー
の吸引によって第2の容器内の材料を介して引き込まれるようにカートリッジの下流に配置されていることを特徴とする請求項1乃至
6いずれか1項記載の装置。
【請求項8】
エアロゾル発生装置を使用して第1の容器に収容された液体からエアロゾルの流れを発生させることと、
加熱装置を使用して第2の容器に収容された材料を加熱し、その材料から実質的にエアロゾルを形成させることなく、発生したエアロゾルがその材料上に凝縮することを妨げるまたは凝縮を減少させることと
、を含む請求項1乃至
7いずれか1項記載の装置の使用方法。
【請求項9】
エアロゾル発生装置は、
第1の容器の液体を100~300℃の範囲内の温度に加熱するように構成された
ヒーターであることを特徴とする請求項
8記載の方法。
【請求項10】
エアロゾル発生装置は、第1の容器の液体を150~250℃の範囲内の温度に加熱するように構成され
たヒーターであることを特徴とする請求項
9記載の方法。
【請求項11】
加熱装置は、第2の容器に収容された材料を250℃未満の温度に加熱するように構成されていることを特徴とする請求項
8乃至
10いずれか1項記載の方法。
【請求項12】
加熱装置は、第2の容器に収容された材料を50~150℃の範囲内の温度に加熱するように構成されていることを特徴とする請求項
11記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
紙巻きタバコ、シガーなどの喫煙品は使用時にタバコを燃やし、煙を発生させる。
【0003】
燃焼させずに化合物を放出する製品を創ることによってこれら喫煙品に代わるものが提供されている。
【0004】
そのような製品としてはその材料を燃焼させずに加熱によって化合物を放出する加熱装置が挙げられる。基材は、タバコまたはニコチンを含むまたは含まない非タバコ製品であってもよい。
【0005】
別の例として、所謂e-シガレットデバイスなるものがある。これらのデバイスは、加熱されると揮発して吸引可能な蒸気またはエアロゾルを製するエアロゾル化可能な物品、典型的には液体を含む。液体はニコチンおよび/または風味料および/またはグリセロールなどのエアロゾル発生物質を含んでもよい。このような従来の電子タバコデバイスは、通常はタバコを含まないまたはタバコを使用しない。
【0006】
さらに別例としていわゆる、ハイブリッドデバイスなるものがある。これらのハイブリッドデバイスは、通常は別個にエアロゾル化可能な物質、典型的には液体と、材料用の容器とを含む。典型的な例ではその材料は、タバコまたは他の風味材であってもよい。液体は、エアロゾル化され、吸引可能な蒸気またはエアロゾルを生成し、これは材料用容器を通過して、ユーザーに吸引される前に材料によって風味等の特性が付与される。
【0007】
ハイブリッドデバイスではエアロゾル化可能な材料をカートリッジ、典型的には液体カートリッジに設けられる。このカートリッジをデバイスの本体部から取り外しできることが望ましく、一部の従来のハイブリッドデバイスは、カートリッジを交換または再充填するために本体部から取り外すことが可能である。例えば、カートリッジは、カートリッジ内の液体を使い切ったときまたはユーザーがデバイスで使用される液体の種類を変えたいときに交換または再充填される。
【発明の概要】
【0008】
本発明の第1の態様ではユーザーによる吸引のためのエアロゾル発生装置が提供され、該装置は、
使用時に装置がエアロゾルの流れを発生させる液体を収容するための第1の容器と、
使用時にそのエアロゾルの流れが通過する材料を収容するための第2の容器と、
第1の容器に収容された液体からエアロゾルの流れを発生させるためのエアロゾル発生装置と、
第2の容器に収容された材料を加熱するための加熱装置とを含み、この加熱装置は、第2の容器に収容された材料をその材料上に形成されるエアロゾルの流れからの凝縮を妨げるまたは減少させる温度であって、かつ、その材料から実質的にエアロゾルを形成させるために必要とされる温度より低い温度に加熱するように構成されている。
【0009】
一部の実施態様では加熱装置は、第2の容器に収容された材料を250℃未満の温度に加熱するように構成されている。
【0010】
一部の実施態様ではヒーターは、第2の容器に収容された材料を50~150℃の範囲内の温度に加熱するように構成されている。
【0011】
一部の実施態様ではエアロゾル発生装置は、第1の容器からの液体を100~300℃の範囲内の温度に加熱するように構成されたヒーターである。
【0012】
一部の実施態様ではエアロゾル発生装置は、第1の容器からの液体を150~250℃の範囲内の温度に加熱するように構成されたヒーターである。
【0013】
一部の実施態様では材料は、サセプタ材料を含み、加熱装置は、磁界を発生させてサセプタ材料の加熱を誘発して材料を加熱するように構成された誘導加熱装置を含む。
【0014】
一部の実施態様では誘導加熱装置は、第2の容器の周囲に誘導コイルを含む。
【0015】
一部の実施態様では材料は、タバコ材に散在させたサセプタ材のフレーク、長尺のサセプタ材およびその材料を包むサセプタ材のシートのうちの1つ以上を含む。
【0016】
一部の実施態様では加熱装置は、熱を材料に移動させるように構成された抵抗性加熱装置を含む。
【0017】
一部の実施態様では装置は、
本体部分と、
第1の容器とエアロゾル発生装置とを含むカートリッジと、
第2の容器と加熱装置とを含むマウスピース集合体とを含み、
マウスピース集合体は、カートリッジによって発生させたエアロゾルがマウスピース集合体でのユーザーに吸引によって第2の容器内の材料を介して引き込まれるようにカートリッジの下流に配置されている。
【0018】
本発明の第2の態様では本発明による装置の使用方法が提供され、該方法は、
エアロゾル発生装置を使用して第1の容器に収容された液体からエアロゾルの流れを発生させることと、
加熱装置を使用して第2の容器に収容された材料を加熱し、その材料から実質的にエアロゾルを形成させることなく、発生したエアロゾルがその材料上に凝縮することを妨げるまたは凝縮を減少させることとを含む。
【0019】
一部の実施態様ではエアロゾル発生装置は、液体を100~300℃の範囲内の温度に加熱するように構成された加熱装置である。
【0020】
一部の実施態様ではエアロゾル発生装置は、第1の容器の液体を150~250℃の範囲内の温度に加熱するように構成されている。
【0021】
一部の実施態様では加熱装置は、第2の容器に収容された材料を250℃未満の温度に加熱するように構成されている。
【0022】
一部の実施態様では加熱装置は、第2の容器に収容された材料を50~150℃の範囲内の温度に加熱するように構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0023】
添付図面を参照して本発明の実施態様をあくまで例示を目的として説明する。
【
図1a】一例によるエアロゾル発生装置の斜視図である。
【
図1c】一例によるマウスピース集合体の断面図である。
【
図2】
図1aおよび1bの装置の使用方法を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1を参照すると本明細書では装置100であるエアロゾル供給デバイスが略式に示されている。装置100は、吸入デバイス(即ち、ユーザーがそれを使用してシステム100によって供されるエアロゾルを吸入する)である。この例では装置100は電子デバイスである。
【0025】
装置100は、マウスピース集合体102と、カートリッジ104と、本体部106とを含む。装置100は、エアロゾル化可能な材料、例えばe-リキッドを加熱して、エアロゾル化可能な材料の少なくとも1つの成分を揮発させてユーザーによる吸引のためのエアロゾルの流れを発生させるのためのものである。1つの例では装置100は、電子タバコまたは「e-シガレット」であってもよい。マウスピース集合体102は、タバコポッド(
図1に示していない)を含んでもよく、ユーザーによって吸入される前にそれを介してエアロゾルの流れが流れる。そのような例では装置100は、所謂「ハイブリッド装置」である。
【0026】
図1に示した例ではマウスピース集合体102は、カートリッジ104から分離可能な(即ち取り外し自在である)部品である。しかしながら、一部の例ではマウスピース集合体102は、カートリッジ104と一体であってもよい。同様に
図1に示した例ではカートリッジ104は、本体部106から離脱可能な部品であるが、一部の例では本体部106は、カートリッジ104と一体であってもよい。
【0027】
図1bは、
図1aに示した装置100の略式断面図である。
図1bに示すようにマウスピース集合体102は、ユーザーの口に入れられるマウスピース102aと、以下により詳しく説明する材料108を収容するための材料容器102bとを含む。
【0028】
カートリッジ104は、貯蔵部110に貯蔵されたエアロゾル化可能な材料を含む。エアロゾル化可能な材料は、液体、例えばe-シガレット液体(または「e-リキッド」)またはゲルまたは固体のエアロゾル化可能な材料などのあらゆる他の種類のエアロゾル化可能な材料であってもよい。
【0029】
カートリッジ104は、貯蔵部110から供給されるエアロゾル化可能な材料からエアロゾルの流れを発生させるためのエアロゾル発生装置112を含む。この例ではエアロゾル発生装置112は、本体部106(以下に説明する)の電源から電力が供給され、貯蔵部110から供給されるエアロゾル化可能な材料を加熱する第1の加熱装置112である。エアロゾル化可能な材料の加熱において揮発性のエアロゾル化可能な材料の成分は、蒸気として放出される。第1の加熱装置112は、少なくとも1つの加熱素子を含んでもよく、貯蔵部110から第1の加熱装置112へと液体を供給するための少なくとも1つの芯を含んでもよい。第1の加熱装置112は、「アトマイザー」と言われる場合もあり、カートリッジ104は、アトマイザーを含み、カートリッジ104は、「カトマイザー」と言われる場合がある。
【0030】
他の例ではエアロゾル発生装置112は、加熱装置である必要はなく、代わりに他の手段、例えばエアロゾルの流れを発生させるための圧電装置を含んでもよい。
【0031】
カートリッジ104は、またエアロゾルおよび少なくとも一部の例ではマウスピース集合体102内の材料108から同伴される成分を搬送するためにカートリッジ104内に空気を引き込み、ユーザー(図示せず)による吸引のためのマウスピース102aに設けられた出口116を介して装置100から出るようにする入り口114を含む。少なくとも一部の例では生成された蒸気は、ユーザー(図示せず)による吸引のためのマウスピース102aを介して装置100から出る前に少なくとも部分的に凝縮してエアロゾルを形成する。
【0032】
貯蔵部110内のエアロゾル化可能な材料は、好ましくは液体であるが、一部の例ではエアロゾル化可能な材料は、ゲルなどの別の種類のエアロゾル化可能な材料であってもよい。例えば、液体は100~300℃の範囲内の温度でまたは特に150~250℃の範囲内の温度でエアロゾル化されてもよい。低い温度でエアロゾル化可能な液体は、加熱量が少なく、したがって、装置100の電力消費を減らすことになる。好適な材料は電子タバコ装置に従来から使用されている、例えばプロピレングリコールおよびグリセロール(グリセリンとして知られている)などがある。使用時、ユーザーがマウスピース102aで吸引すると、空気が1つ以上の入り口114を介して装置100内に引き込まれる。
【0033】
使用時、ユーザーがマウスピース102aで吸引すると、エアロゾル化可能な材料は、貯蔵部110から引き込まれ、第1の加熱装置112によって加熱され、エアロゾル化可能な材料の成分を揮発させ、エアロゾルを発生させ、入り口114から流れる空気と混ざり、エアロゾルの流れを生成する。エアロゾルの流れは、ユーザーによる吸引のためのマウスピース102の開口部を介して装置100から吸い出される。
【0034】
エアロゾル化可能な材料は、通常は9~25%の水(吸い上げを可能にするために液体の粘度を変えるために存在する)を含み、そしてこれが気化され、マウスピース集合体102を通過させると、(加熱された)水は、(比較的冷たい)材料108上で凝縮する。これは材料108を濡らし、材料108を凝集させ、材料108を通過するエアロゾルの流れを妨げ、究極的にはエアロゾルおよび/または同伴する風味剤のユーザーへの供給を損なう原因になる。
【0035】
材料108は、エアロゾルがユーザーによる吸引のために装置100から出て行く前に特性、例えばエアロゾルの風味を付与するまたは変性してもよい。材料108は、例えばタバコからなるまたはタバコを含む。エアロゾルが材料108内および上を通過する際、エアロゾルは材料108からの有機物および/または他の化合物または成分を同伴し、材料108の風味をエアロゾルに付与する。
【0036】
材料108の例としてはタバコ、タバコ派生物、膨張タバコ、再生タバコ、粉タバコ、タバコ抽出物、均質化タバコまたはタバコ代替え品が挙げられる。材料108は、タバコロッド、タバコポッドまたはプラグ、バラのタバコ、凝集物等の形体であってもよく、例えば比較的乾燥した形体または比較的湿った形体であってもよい。材料108は、風味剤などの他の非タバコ製品を含んでもよい。
【0037】
材料108は、ハウジングに梱包される押し出しタバコペレットの形体であってもよい。ペレット間に間隔を空けることによって空気または空気/エアロゾル混合物がペレット間の間隔を介して流れることができ、エアロゾル化された材料(例えば、風味剤)をペレットから同伴する。
【0038】
使用時、材料108は、材料108へのエアロゾル流からの熱伝導によって加熱され、エアロゾルに同伴される成分を放出する。材料から当該成分を放出するために必要な温度は、通常は150℃~170℃の範囲内である。しかしながら、加えてそして材料108上でエアロゾルの凝縮を妨げるまたは減らすために材料容器102bは、第2の加熱装置118を含む。第2の加熱装置118は、材料108を材料からエアロゾルを形成するために必要な温度未満の温度に加熱する、即ち材料から実質的なエアロゾルの形成を生じさせないように構成されている。
【0039】
一部の例では第2の加熱装置118は、凝縮を減少させるまたは妨げるために50~150℃の範囲、好ましくは100~150℃の範囲内の温度に材料108を加熱するためのものである。
【0040】
第2の加熱装置118は、誘導ヒーターであってもよい。例えば、材料108は交流電磁場との相互作用に応じて加熱される金属(例えば、アルミニウム)などのサセプタ材料を含んでもよい。
【0041】
加熱装置118は、例えばサセプタ材と相互作用した際にサセプタ材に電流を誘導してサセプタ材を加熱する交流電磁場を発するように構成されたコイルを含む。サセプタ材内に発生した熱は、伝導、対流または放射によって材料容器102b内の材料108に伝えられる。
【0042】
一部の例では加熱装置118は、材料108に巻かれた螺旋コイルを含んでもよい。例えば、加熱装置は実質的に平坦なワイヤーからなる螺旋コイルを含んでもよい。一部の例ではコイルは、印刷回路板(PCB)構造の異なる層に形成された弓状金属材料の層として形成され、コイルの各巻きは、PCB構造の独立した層に形成され、各巻きは、隣接する巻きまたは電源にその端部で接合し、各巻きは、隣接する巻きからその長さに沿って電気的絶縁材によって隔てられている。例えば、巻きは、銅のトラックとして形成してもよい。他の例ではコイルは、単一ストランドワイヤまたは多芯ワイヤ(例えば、所謂「Litz」ワイヤ)などの他のワイヤー構造で形成されてもよい。加熱装置118は、PCBにプリントされた誘導コイルを含んでもよい。コイルは、あらゆる好適な形状、例えば方形、丸形または楕円形状を有してもよい。
【0043】
一部の例ではサセプタ材は、抵抗加熱によって達成される場合より速く必要とされる温度に材料108を加熱できるので、誘導加熱を使用することは有利である。さらに一部の例では誘導加熱装置は、抵抗温度検出器を必要とせずに利用してもよく、したがって簡単および/または安価に製造できる。
【0044】
一部の例では材料108は、例えばタバコ材のペレット間に散在させたサセプタ材料のフレークを含んでもよい。一部の例ではサセプタ材をタバコ材のペレットに埋め込むことも可能である。他の例ではサセプタ材は、タバコ材の周囲または間に巻かれたワイヤー(例えば、アルミニウムワイヤー)からなる長尺のストリングであってもよい。他の例ではサセプタ材は、材料容器102bの内面に貼り付けられるシートに形成して、材料容器102b全体が凝縮が起こり得る温度を超える温度に加熱されるようにしてもよい。例えばサセプタ材は、材料108を囲む箔、例えばアルミニウムラッパーを含んでもよい。
【0045】
サセプタ材は、一部の例ではフェライト系材料を含んでもよい。フェライト系材料は、電磁誘導による熱効率が良いので有利である。他の例ではサセプタ材は、アルミニウム、銅または電磁誘導によって熱を発生させることが可能なあらゆる他の材料であってもよい。例えばサセプタ材は、アルミニウムの薄膜(例えば厚さ0.5~20μm)を含んでもよい。
【0046】
一部の例では代わりに第2の加熱装置118は、抵抗性ヒーターであってもよい。
【0047】
本体部106は、装置100に給電および装置100を制御するためのものであり、電源120と、コントローラ122とを含む。電源120は、バッテリー、例えば使い捨てバッテリーまたは外部の電力供給源に装置を接続することによって充電される充電可能なバッテリーを含んでもよい。例えば装置100は、定期的に電源を充電するために電源120に電流を供するように構成されたUSBポートなどの充電ポート(図示せず)を含んでもよい。
【0048】
コントローラ122は、装置100の種々の部品の作動を制御するための電気回路(例えば集積回路を含む)を含んでもよい。コントローラ122は、ユーザー入力装置124で受けたユーザーの入力に応答してカートリッジ104の第1の加熱装置112および材料容器102bの第2の加熱装置118に電力を供給するように構成されている。ユーザー入力装置124は、例えば装置100のユーザーがエアロゾル化可能な材料を吸入しようとした際に装置のユーザーによって(またはこれとは別にパフ検知器によって)プレスされるように構成された本体部106の表面に設けられたプレススイッチであってもよい。
【0049】
一部の例では第2の加熱装置118は、第1の加熱装置112によるエアロゾルの発生前(即ち、貯蔵部110内の液体から)、例えばエアロゾルの発生前の1~2秒間、材料容器102bをコントローラ122の制御下で予備加熱するように構成されている。第2の加熱装置118は、ユーザーが吸入している間、材料容器102b加熱し続け、次に吸入が完了したら(例えばパフ検知器によって検知された際またはユーザー入力装置のスイッチを離した際)スイッチを切ってもよい。
【0050】
図1cは、
図1bを参照して上述したマウスピース集合体102の断面図である。
図1cに示すように材料容器102bは、材料108を収容するチェンバー126を含む。製造時、材料容器102bは、チェンバー126を含んで形成され、その後、材料108がチェンバー126に設けられる。材料108は、チェンバー126の第1端部でまたはその近くでチェンバー126を囲む第1のバリア128およびチェンバー126の第2端部にある第2のバリア130によってチェンバー126内に囲まれている。第1のバリア128および第2のバリア130は、それぞれ多孔性メッシュを含む。メッシュは、エアロゾルの流れがチェンバー126を通過できるようにするが、材料108は例えばユーザーが不注意で吸引することによってチェンバー126から失われることを妨げる。メッシュは、耐熱性材で形成され、材料からより多くの所望の化合物を放出するように材料108へと熱移動しやすくするため金属などの熱伝導性材であると有利である。
【0051】
マウスピース102aは、例えばポリプロピレンなどのプラスチック材から射出成形によって形成してもよい。
図1aの例のマウスピース102aの形状は、ユーザーの口に接触するための人間工学的形状を供するためにテーパーしている。材料容器102bもまた射出成形によってプラスチック材から形成されてもよい。材料容器102bは、例えばポリプロピレンまたはポリエチレンテレフタレート(PET)で形成されてもよい。
【0052】
一部の例ではマウスピース102aと材料容器102bが分離可能な部品ではなく、分離しないマウスピース102aおよび材料容器102bがマウスピースとして機能してもよい。
【0053】
図2は、
図1a~1cを参照して上述した装置100の使用方法を示すフロー図である。
【0054】
ブロック202では第1の加熱装置112を使用して第1の容器(例えば、貯蔵部110)に収容された液体を加熱してエアロゾルを発生させる。
【0055】
ブロック204では第2の加熱装置118を使用して第2の容器(例えば、材料容器102b)に収容された材料108を加熱して、発生したエアロゾルが材料108上に凝縮することを妨げるまたは減少させる。
【0056】
上記の実施態様は本発明の説明に役立つ実例として理解されたい。本発明のさらなる実施態様が想定される。例えば材料は、材料チェンバーから例えば、ユーザーの選択で省略してもよい。これはユーザーが選択した場合に時々ユーザーが液体をエアロゾル化するだけでエアロゾルを材料上をまたは材料内を通過させない古来の「e-シガレット」としてカートリッジと使用できるのでユーザーにカートリッジの使用に亘ってより柔軟性を与える。
【0057】
本明細書中で使用する「風味料」および「風味剤」なる用語は各地の条例で許可されており、成人消費者が望む味や香りを製品に加えるのに用いることができる材料を指す。このような材料としては、抽出物(例えば、カンゾウ、アジサイ、ホオノキの葉、カミツレ、フェヌグリーク、クローブ、メントール、ニホンハッカ、アニシード、シナモン、ハーブ、ヒメコウジ、サクランボ、ベリー、モモ、リンゴ、ドランブイ(登録商標)、バーボン、スコッチ、ウイスキー、スペアミント、ペパーミント、ラベンダー、カルダモン、セロリ、カスカリラ、ナツメグ、サンダルウッド、ベルガモット、ゼラニウム、ハチミツエキス、ローズ油、バニラ、レモン油、オレンジ油、カシア、キャラウェイ、コニャック、ジャスミン、イランイランノキ、セージ、ウイキョウ、ピメント、ショウガ、アニス、コリアンダー、コーヒー、ハッカ属のいずれかの種からのハッカ油など)、調味料、苦味受容体部位遮断剤、感覚受容器部位活性化剤または刺激剤、糖及び/または糖置換体(例えば、スクラロース、アセスルファムカリウム、アスパルテーム、サッカリン、サイクラミン酸塩、ラクトース、スクロース、グルコース、フルクトース、ソルビトール、マンニトールなど)や、木炭、クロロフィル、鉱物、植物、息消臭剤などのその他の添加剤などが挙げられる。これら材料は模造品、合成または天然成分であってもよく、またはこれらのブレンドであってもよい。これら材料は、例えば油、液体、粉末などの任意の好適な形体であってもよい。