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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-04
(45)【発行日】2024-03-12
(54)【発明の名称】産業機械の制御装置及び制御方法
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/18 20060101AFI20240305BHJP
   B23Q 15/00 20060101ALI20240305BHJP
   B23B 23/00 20060101ALI20240305BHJP
【FI】
G05B19/18 W
B23Q15/00 B
B23B23/00 Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2023577778
(86)(22)【出願日】2023-09-22
(86)【国際出願番号】 JP2023034452
【審査請求日】2023-12-15
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 俊大
(72)【発明者】
【氏名】河野 淳一郎
【審査官】山本 忠博
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-284819(JP,A)
【文献】特開平5-11832(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第113843423(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/00-19/46;
B23Q 15/00;
B23B 23/00-23/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
産業機械内にある移動体を被押し当て物に押し当てる、押し当て制御をプログラム指令によって実行する、産業機械の制御装置であって、
前記プログラム指令を含むプログラムをテスト運転しているか否かを判定する第1判定部と、
前記プログラム指令に基づき前記押し当て制御を行うか否かを判定する第2判定部と、
前記第1判定部による判定結果と、前記第2判定部による判定結果とに基づいて、前記移動体を動かす軸の制御方法を選択する制御方法選択部と、
選択された前記制御方法に従って前記軸を制御する軸制御部と、
を備え、
前記制御方法選択部は、前記第1判定部によってテスト運転をしていると判定され、且つ前記第2判定部によって前記押し当て制御を行うと判定された場合は、前記軸の駆動制御を行わず、前記移動体を停止させたままとする制御方法を選択する、制御装置。
【請求項2】
前記制御方法選択部は、前記第1判定部によって前記テスト運転をしていないと判定され、且つ前記第2判定部によって前記押し当て制御を行うと判定された場合は、前記移動体を前記押し当て物に押し当てるように前記軸を駆動制御する制御方法を選択する、請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
外部の入力装置からの入力情報を受け取る受信部を備え、前記第1判定部は前記入力情報に応じてテスト運転か否かを判定する、請求項1に記載の制御装置。
【請求項4】
前記入力情報が、
テスト運転の指示、
前記プログラムの指令速度とは異なる速度で前記産業機械を動作させる運転モード、
1つ以上の指令から成る所定構成単位ごとに前記プログラムを実行し完了したら所定トリガを検出するまで該プログラムを実行しない運転モード、及び
前記外部の入力装置からの入力結果と同期させて前記プログラムを運転する運転モード
のうちの少なくとも1つの情報である、請求項3に記載の制御装置。
【請求項5】
前記第1判定部は、前記プログラムにて前記押し当て制御の指令がされた場合、前記移動体が前記被押し当て物から所定値以上の抗力を受けない場合、及び/又は前記移動体が所定の距離だけ移動した場合にテスト運転と判定する、請求項1に記載の制御装置。
【請求項6】
前記第1判定部の判定結果、第2判定部の判定結果、前記制御方法選択部の選択結果のうち少なくも1つを通知する通知部を備える、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項7】
産業機械内にある移動体を被押し当て物に押し当てる、押し当て制御をプログラム指令によって実行する、産業機械の制御方法であって、
コンピュータが、
前記プログラム指令を含むプログラムをテスト運転しているか否かを判定する処理と、
前記プログラム指令に基づき前記押し当て制御を行うか否かを判定する処理と、
テスト運転をしていると判定され、且つ前記押し当て制御を行うと判定された場合は、前記移動体を動かす軸の駆動制御を行わず、前記移動体を停止させたままとする処理と、
を実行する、制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、産業機械内にある移動体を被押し当て物に押し当てる、押し当て制御をプログラム指令によって実行する、産業機械の制御装置及び制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
産業機械内にあるテールストック等の移動体を被押し当て物に押し当てる押し当て制御を行う制御装置が、例えば、特許文献1、特許文献2、及び特許文献3に記載されている。
【0003】
特許文献1には、テールストックの押付力を自動的に制御する、テールストックの押付力制御装置が記載されている。
具体的には、特許文献1に記載のテールストックの押付力制御装置は、圧油源からの圧油をテールストックシリンダの押側の室に供給する第1ラインに、第1電磁比例減圧弁を介設する。そして、圧力センサによって検出された第1ラインの圧力が、NC制御部から受け取った押付圧力になるように、ディジタルコントローラによってフィードバック制御する。こうして、テールストックの押付力が自動的に設定/制御される。
【0004】
特許文献2には、長いワークの両側を、対向した2台の主軸台で把握し、この2台の主軸台を同期させて駆動しながら、ワークを加工する複合旋盤における、工作機械の制御装置が記載されている。
具体的には、特許文献2に記載の工作機械の制御装置は、2台の主軸台をワークに押し付けるための2つの押し付け完了判定手段、2台の主軸台を移動させるための2つの指令値、軸の移動のデータなどCNCが演算するために必要なデータを設定するための2つのパラメータ、2つのZ軸サーボモータのトルク量を決定するための2つのトルク制限量で構成される。
【0005】
特許文献3には、最適なテールストック押付け力を自動計算することが可能な数値制御装置が記載されている。
具体的には、特許文献3に記載の数値制御装置は、旋盤加工時のワークの挙動を安定させるためのテールストック押付け力を機械学習により算出するテールストック押付け力算出部を有する。そして、数値制御装置は、現在のワークの形状を含む前提条件を取得し、現在のテールストック押付け力を状態情報として取得し、現在の前記ワークの振動、又は変位、あるいはテールストック軸の消費電力のうち少なくともいずれか1つを判定データとして取得し、判定データに基づいて価値関数を更新し、価値関数に基づいて状態情報の調整値を出力する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開平10-80802号公報
【文献】特開平7-186007号公報
【文献】特開2018-130798号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
CNC(Computer Numerical Control)プログラム又はPLC(Programmable Logic Controller)プログラム等のプログラムの指令によって押し当て制御を行う産業機械が存在する。
産業機械全体の動作について、プログラムの妥当性を確認するために、産業機械を実際に動かしてテスト運転する技術が知られている。
産業機械をテスト運転する場合に、プログラムに押し当て制御が含まれていると、テールストック等の移動体が、ユーザが意図しない動作をしてしまう可能性がある。例えば、ワーク等の被押し当て物がない状態で押し当て制御がされると、被押し当て物があれば侵入できない領域に侵入してしまう可能性がある。産業機械をテスト運転する場合に、テスト運転をプログラムの実行途中で止めないことが望ましい。
【0008】
よって、プログラムに押し当て制御が含まれている場合に、テスト運転をプログラムの実行途中で止めずに、テスト運転でユーザが意図しない移動体の動作が行われないように制御できる、産業機械の制御装置及び制御方法が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の代表的な第1の態様は、産業機械内にある移動体を被押し当て物に押し当てる、押し当て制御をプログラム指令によって実行する、産業機械の制御装置であって、
前記プログラム指令を含むプログラムをテスト運転しているか否かを判定する第1判定部と、
前記プログラム指令に基づき前記押し当て制御を行うか否かを判定する第2判定部と、
前記第1判定部による判定結果と、前記第2判定部による判定結果とに基づいて、前記移動体を動かす軸の制御方法を選択する制御方法選択部と、
選択された前記制御方法に従って前記軸を制御する軸制御部と、
を備え、
前記制御方法選択部は、前記第1判定部によってテスト運転をしていると判定され、且つ前記第2判定部によって前記押し当て制御を行うと判定された場合は、前記軸の駆動制御を行わず、前記移動体を停止させたままとする制御方法を選択する、制御装置である。
【0010】
本開示の代表的な第2の態様は、産業機械内にある移動体を被押し当て物に押し当てる、押し当て制御をプログラム指令によって実行する、産業機械の制御方法であって、
コンピュータが、
前記プログラム指令を含むプログラムをテスト運転しているか否かを判定する処理と、
前記プログラム指令に基づき前記押し当て制御を行うか否かを判定する処理と、
テスト運転をしていると判定され、且つ前記押し当て制御を行うと判定された場合は、前記移動体を動かす軸の駆動制御を行わず、前記移動体を停止させたままとする処理と、
を実行する、制御方法である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】ワークにテールストックを押し当てる押し当て制御を説明するための説明図である。
図2】本開示の第1実施形態の制御装置の一構成例を示すブロック図である。
図3】受信部を挿入した制御装置の一構成例を示すブロック図である。
図4】産業機械及び制御装置を含む制御システムの通常運転の動作を示す説明図である。
図5】産業機械及び制御装置を含む制御システムのテスト運転の動作の第1例を示す説明図である。
図6】産業機械及び制御装置を含む制御システムのテスト運転の動作の第2例を示す説明図である。
図7】産業機械及び制御装置を含む制御システムのテスト運転の動作の第3例の一形態を示す説明図である。
図8】産業機械及び制御装置を含む制御システムのテスト運転の動作の第3例の他の形態を示す説明図である。
図9】産業機械及び制御装置を含む制御システムのテスト運転の動作の第3例の他の形態を示す説明図である。
図10】産業機械及び制御装置を含む制御システムのテスト運転の動作の第4例の形態を示す説明図である。
図11】産業機械及び制御装置を含む制御システムのテスト運転の動作の第5例を示す説明図である。
図12】第1実施形態の制御装置の動作の一例を示すフローチャートである。
図13】本開示の第2実施形態の制御装置の一構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。
まず、本開示の実施形態の制御装置の説明に先立って、本開示の実施形態の制御装置によって実行される押し当て制御について説明する。
押し当て制御は、産業機械内にある移動体を被押し当て物に押し当てる制御である。産業機械は、工作機械又はロボット等である。押し当て制御の例として、旋削加工のワークのブレを防ぐために、ワークにテールストックを押し当てる制御がある。この場合、テールストックが移動体、ワークが被押し当て物に該当する。押し当て制御を行う場合、テールストックを被押し当て物、ワークを移動体として、固定されたテールストックにワークを押し当ててもよい。
【0013】
図1は、ワークにテールストックを押し当てる押し当て制御を説明するための説明図である。
テールストック31は、図1に示すW軸方向に長尺のワーク32に近づくように制御され、チャック33によって固定された長尺のワーク32の端面に押し当てられる。ワーク32は工具34によって加工される。
テールストック31は、回転軸を回転させるモータに接続されたボールネジ又はリニアモータに接続され、テールストックの移動は、回転軸を回転させるモータ又はリニアモータに接続される、後述する軸制御部104によって制御される。
【0014】
次に、押し当て制御を行う、本開示の実施形態の制御装置について説明する。以下の説明では、制御装置がワークにテールストックを押し当てる押し当て制御を行う例について説明する。
【0015】
(第1実施形態)
図2は本開示の第1実施形態の制御装置の一構成例を示すブロック図である。
制御装置10は、産業機械内にある、移動体となるテールストック31を被押し当て物となるワーク32に押し当てる、押し当て制御をプログラム指令によって実行する。
制御装置10は、第1判定部101、第2判定部102、制御方法選択部103及び軸制御部104を備えている。
【0016】
第1判定部101は、入力情報に基づいて、プログラムをテスト運転しているか否かを判定して、判定結果を制御方法選択部103に出力する。プログラムは、産業機械全体を制御するプログラムであり、プログラムのテスト運転は押し当て制御に限らず、例えば、被押し当て物となるワーク32と工具34との相対的な送り制御も含まれる。プログラムは、例えば、CNCプログラム又はPLCプログラムであるが、CNCプログラムとPLCプログラムとを組み合わせたプログラムであってよい。テスト運転には、被押し当て物となるワーク32を置いてテスト運転を行う場合と、試加工回数削減等のためワーク32を置かないでテスト運転を行う場合とがある。
第1判定部101が、プログラムをテスト運転しているか否かを判定する方法については後述する。
【0017】
第2判定部102は、プログラム指令に基づき押し当て制御を行うか否かを判定して、判定結果を制御方法選択部103に出力する。第2判定部102は、例えば、プログラムにトルク制御ONを示すプログラム指令“TRQON”があれば、押し当て制御を行うと判定し、プログラム指令“TRQON”がなければ、押し当て制御を行わないと判定する。
【0018】
制御方法選択部103は、第1判定部101の判定結果からテスト運転であり、且つ第2判定部102の判定結果から押し当て制御を行うと判断される場合は、軸の駆動制御を行わず、移動体となるテールストック31を停止させたままとする。一方、制御方法選択部103は、第1判定部101の判定結果からテスト運転でなく、且つ第2判定部102の判定結果から押し当て制御を行うと判断される場合は、テールストック31をワーク32に押し当てるように、テールストック31を動かす軸を駆動制御する。
【0019】
軸制御部104は、制御方法選択部103から出力される駆動制御信号に基づいてテールストック31を動かす軸を制御する。具体的には、軸制御部104は、テールストック31を移動させる、モータ又はリニアモータを制御する。
【0020】
(第1判定部がテスト運転しているか否かを判定する方法)
第1判定部101が、プログラムをテスト運転しているか否かを判定する方法は、以下の方法がある。
【0021】
(1)入力装置からの入力情報に基づく判定方法
制御装置10は、外部の入力装置からの入力情報を受け、第1判定部101は、入力情報に応じてテスト運転か否かを判定することができる。外部の入力装置から入力情報を受ける場合、制御装置10に受信部105を挿入することが望ましい。
図3は制御装置10に受信部105を挿入した制御装置10Aのブロック図である。図3に示すように、制御装置10Aの受信部105は、外部の入力装置20からの入力情報を受け、第1判定部101に入力情報を出力する。
【0022】
外部の入力装置20から入力情報は、ユーザが入力装置20となるキーボード、タッチパネル等を用いて入力するテスト運転の指示、プログラムの指令速度とは異なる速度で産業機械を動作させる第1の運転モード、1つ以上の指令から成る所定構成単位ごとにプログラムを実行し完了してから所定トリガを検出するまでプログラムを実行しない第2の運転モード、及び外部の入力装置20からの入力結果と同期させてプログラムを運転する第3の運転モード、のうちの少なくとも1つの情報である。
第1判定部101は、入力情報に、テスト運転を示す情報、及び上記の3つの運転モードを示す情報のうちの少なくとも1つの情報が含まれていれば、テスト運転と判定する。
(2)軸制御部からの入力情報に基づく判定方法
既に説明したように、試加工回数削減等のためワーク32を置かずにテスト運転したい場合がある。その場合、第1判定部101は、判定の際、軸制御部からの入力情報、例えば、押し当て制御が指令されたときにテールストック31が受ける抗力、及び押し当て制御が指令されたときにテールストック31が移動した距離の2つの情報のいずれか又は両方を用いて判定することができる。ワーク32を置かなければ、所定値以上の抗力を受けず、ワーク32によって止められないため、テールストック31の移動距離が増えるからである。押し当て制御が指令されているかどうかは、第2判定部102からの通知により判断することができる。
【0023】
テールストック31が受ける抗力は、テールストック31の先端に設けられた圧力センサから検出される。第1判定部101は、圧力センサから出力される抗力の検出値に基づき、テールストック31が所定値以上の抗力を受けていないと判断した場合、テスト運転と判定する。テールストックが受ける抗力は、モータのトルクに比例するため、トルク値に基づいて求めてもよい。トルク値は、例えば、駆動電流にトルク定数を掛けて求めることができる。
テールストック31が移動した距離は、モータでテールストック31を移動させる場合に、モータに取り付けられたロータリーエンコーダ、テールストック31に取り付けられたリニアスケール等の距離検出器で検出することができる。第1判定部101は、距離検出器から出力される移動距離に基づき、テールストック31が移動した距離が所定距離を超えて移動したと判断した場合、テスト運転と判定する。
【0024】
制御装置10の動作の具体例を以下に説明する。
(制御装置が通常運転を行う場合の動作)
図4に示すように、制御装置10は、プログラムに基づいて産業機械30を制御する。図4は産業機械及び制御装置を含む制御システムの第1例を示す説明図である。産業機械30は、図1に示した、テールストック31、長尺のワーク32が取付られたチャック33、及び工具34を備えている。
【0025】
制御装置10は、図4に示すように、プログラムによって、テールストック31を、W軸の負方向に移動するよう制御し、ワーク32に押し当てる。プログラムの”F6000”はテールストック31の送り速度6000mm/minを示す。ワーク32が“X0”、“Z0”の位置にあり、テールストック31が位置“W0”から位置“W-20”に移動する。位置“W-20”はテールストック31がワーク32へ押し当てられる位置である。
【0026】
第2判定部102はプログラムに“TRQON”があるので、押し当て制御を行うと判断し、第1判定部101は、受信部等からテスト運転を示す入力情報(入力装置からの入力情報又は軸制御部からの入力情報等)を受けないためテスト運転でなく通常の運転であると判断する。プログラムの“TRQON”はトルク制御ONの指令を示し、この指令によってテールストック31のトルクが一定に制御され、W軸の負方向に0.1Nmmのトルクで押し当て制御が行われる。
【0027】
制御方法選択部103は、第1判定部101の判定結果からテスト運転でなく通常運転であり、且つ第2判定部102の判定結果から押し当て制御を行うと判断し、テールストック31をワーク32に押し当てるように、テールストック31を動かす軸を、軸制御部104を介して制御する。
【0028】
次に、制御装置がテスト運転を行う場合の動作の4つの例について以下に説明する。
(テスト運転の切り替え指示に基づいて、制御装置がテスト運転を行う場合の動作)
図5は、産業機械及び制御装置を含む制御システムのテスト運転の動作の第1例を示す説明図である。
制御装置10Aは、ユーザが入力装置20となるスイッチ盤21のテスト運転に切り替えるためのスイッチを用いて入力した、切り替え信号(入力情報となる)を、受信部105を介して受ける。第1判定部101は、受信部105から切り替え信号を受けると、テスト運転であると判断する。
【0029】
制御装置10Aは、図5に示すように、図4を用いて説明した動作と同様に、プログラムによって、テールストック31を、W軸の負方向に移動するよう制御し、ワーク32の押し当て位置まで移動させる。
第2判定部102はプログラムに“TRQON”があるので、押し当て制御を行うと判断する。
【0030】
制御方法選択部103は、第1判定部101の判定結果と第2判定部102の判定結果とから、テールストック31をワーク32に押し当てるための、軸の駆動制御を行わず、テールストック31をW軸方向に動かさないようにする。
【0031】
(プログラム指令とは異なる速度で運転する場合の制御装置の動作)
図6は、産業機械及び制御装置を含む制御システムのテスト運転の動作の第2例を示す説明図である。
制御装置10Aは、ユーザが入力装置20となるスイッチ盤21の第1運転モード切替のスイッチを用いて入力した、第1運転モード切り替え信号(入力情報となる)を、受信部105を介して受ける。第1運転モードは、産業機械30内の工具34、ワーク32、及びテールストック31の少なくとも1つを、プログラム指令の指令速度とは異なる速度で動作する運転モードである。第1運転モードでの速度は、空運転(ワーク32の実加工を行わない運転)用にあらかじめ制御装置10Aに記憶された速度である。図6では、工具34をZ軸方向の送り速度を、プログラム指令を異なる、空運転用速度V1とした場合を示している。空運転用速度V1は、プログラムの指令速度より大きくても小さくともよいが、空運転の場合は、時間短縮のためには空運転用速度V1を、プログラムの指令速度より大きくすることが望ましい。
【0032】
第1判定部101は、受信部105から第1運転モード切り替え信号を受けると、テスト運転であると判断する。
制御装置10Aは、図6に示すように、図5を用いて説明した動作と同様に、プログラムによって、テールストック31を、W軸の負方向に移動するよう制御し、ワーク32の押し当て位置まで移動させる。第2判定部102はプログラムに“TRQON”があるので、押し当て制御を行うと判断する。
【0033】
制御方法選択部103は、第1判定部101の判定結果と第2判定部102の判定結果とから、テールストック31をワーク32に押し当てるための、軸の駆動制御を行わず、テールストック31をW軸方向に動かさないようにする。
【0034】
(プログラム指令がスイッチ押下げに基づいて実行される場合の制御装置の動作)
図7から図9は、産業機械及び制御装置を含む制御システムのテスト運転の動作の第3例の各形態を示す説明図である。
制御装置10Aは、ユーザが入力装置20となるスイッチ盤21の第2運転モード切替のスイッチを用いて入力した、第2運転モード切り替え信号(入力情報となる)を、受信部105を介して受ける。第2運転モードは、プログラムを実行した場合、プログラムを1行(1ブロック)ずつ、複数行(複数ブロック)、又は1ブロック内の複数の移動指令(サイクル)の特定サイクルずつ実行する運転モードである。ユーザがスイッチ盤21のサイクルスタートスイッチを押すごとに、制御装置10Aにスイッチ押下げ信号(所定のトリガ)が送られ、制御装置10Aはプログラムを1行(1ブロック)、複数行(複数ブロック)まとめて又は1ブロック内の複数の移動指令(サイクル)の特定サイクルについて実行する。制御装置10Aはスイッチ押下げ信号を検出するまでプログラムを実行しない。制御装置10Aの構成は、プログラムを1行(1ブロック)、複数行(複数ブロック)又は1ブロック内の複数の移動指令(サイクル)の特定サイクルについて実行することを除き図6の構成と同じである。
【0035】
図7は、プログラムが1行ずつ実行される例を示す説明図である。例えば、図7に示すように、サイクルスタートスイッチの押下げごとにプログラムのN1行からN6行が1行ずつ順次実行される。図8は、プログラムが1行と複数行とが混在して実行される例を示す説明図である。例えば、図8に示すように、サイクルスタートスイッチの押下げごとに、プログラムのN1行とN2行、N3行、N4行とN5行とN6行とが順次実行される。図9は、プログラムの1行で複数の移動指令(サイクル)が実行される例を示す説明図である。例えば、図9に示すように、サイクルスタートスイッチの押下げがあると、プログラムのサイクルaが実行され、サイクルaの終点で停止される。次に、サイクルスタートスイッチの押下げがあると、プログラムのサイクルb、cが実行され、サイクルcの終点で停止される。更に、サイクルスタートスイッチの押下げがあると、プログラムのサイクルdが実行され、サイクルdの終点で停止される。このように、制御装置10Aは、特定のサイクルを実行後に運転を停止させ、ユーザがサイクルスタートスイッチを押さない限り以降のサイクルには進めないようにする。
【0036】
第1判定部101は、受信部105から第2運転モード切り替え信号を受けると、テスト運転であると判断する。
制御装置10Aは、図6に示すように、図5を用いて説明した動作と同様に、プログラムによって、テールストック31を、W軸の負方向に移動するよう制御し、ワーク32の押し当て位置まで移動させる。第2判定部102はプログラムに“TRQON”があるので、押し当て制御を行うと判断する。
【0037】
制御方法選択部103は、第1判定部101の判定結果と第2判定部102の判定結果とから、テールストック31をワーク32に押し当てるための、軸の駆動制御を行わず、テールストック31をW軸方向に動かさないようにする。
【0038】
(外部の操作装置への入力と同期させてプログラムを実行させる場合の制御装置の動作)
図10は、産業機械及び制御装置を含む制御システムのテスト運転の動作の第4例の形態を示す説明図である。
制御装置10Aは、ユーザが入力装置20となるスイッチ盤21の第3運転モード切替のスイッチを用いて入力した、第3運転モード切り替え信号(入力情報となる)を、受信部105を介して受ける。第3運転モードは、外部の操作装置、例えば、手動ハンドルの回転と同期する形でプログラムを実行する運転モードである。制御装置10Aの構成は、外部の操作装置、例えば、手動ハンドルの回転と同期する形でプログラムを実行することを除き図6の構成と同じである。
【0039】
図10は、手動ハンドルの回転と同期する形でプログラムを実行する例を示している。手動ハンドルを回す速度によって、産業機械30内の工具34、ワーク32、及びテールストック31の少なくとも1つの動作速度が変わる。手動ハンドルを逆方向に回すとプログラムが逆行して実行される。
例えば、図10に示すように、手動ハンドルを一定速度で時計回り方向(正方向)に回すと、プログラムのN1行、N2行、N3行が実行され、手動ハンドルを停止させ、その後手動ハンドルを一定速度で時計回りと反対方向(負方向)に回すと、プログラムのN3行、N2行が逆行して実行される。手動ハンドルを停止させ、更に一定速度で時計回り方向(正方向)に回すと、プログラムのN2行からN6行が実行される。
【0040】
第1判定部101は、受信部105から第3運転モード切り替え信号を受けると、テスト運転であると判断する。
制御装置10Aは、図6に示すように、図5を用いて説明した動作と同様に、プログラムによって、テールストック31を、W軸の負方向に移動するよう制御し、ワーク32の押し当て位置まで移動させる。第2判定部102はプログラムに“TRQON”があるので、押し当て制御を行うと判断する。
【0041】
制御方法選択部103は、第1判定部101の判定結果と第2判定部102の判定結果とから、テールストック31をワーク32に押し当てるための、軸の駆動制御を行わず、テールストック31をW軸方向に動かさないようにする。
【0042】
以上説明した4つの例は、ユーザが入力装置を用いて入力した、切り替え信号に基づいて制御装置がテスト運転を行う例であるが、次に、軸制御部から入力情報に基づいて制御装置がテスト運転を行う例について説明する。この例は、試加工回数削減等のためワークを置かずにテスト運転したい場合の例である。
【0043】
(軸制御部からの入力情報に基づいて、制御装置がテスト運転を行う場合の動作)
図11に示すように、産業機械30には、チャック33にワーク32が取付られていない。
制御装置10は、図11に示すように、プログラムによって、テールストック31を、W軸の負方向に移動するよう制御する。プログラムの”F6000”はテールストック31の送り速度6000mm/minを示す。テールストック31が“W0”から“W-20”に移動する。“X0”、“Z0”はワーク32が取付られていれば存在するはずの位置である。位置“W-20”はテールストック31がワーク32へ押し当てられるはずの位置である。制御装置10は、プログラムの“TRQON”(トルク制御ONの指令)によってテールストック31のトルクが一定に制御し、W軸の負方向に0.1Nmmのトルクで押し当て制御を行う。
【0044】
制御装置10は、軸制御部104から、押し当て制御が指令されたときにテールストックが受ける抗力、及び押し当て制御が指令されたときにテールストックが移動した距離の2つの情報のいずれか又は両方を取得する。第1判定部101は、図11に示すように、テールストック31がW軸方向に距離d以上の距離動いたこと、又はテールストック31が受ける抗力が所定値より小さいことを検知すると、テスト運転であると判断する。
【0045】
第2判定部102はプログラムに“TRQON”があるので、押し当て制御を行うと判断する。
制御方法選択部103は、第1判定部101の判定結果と第2判定部102の判定結果とから、テールストック31をワーク32に押し当てるための、軸の駆動制御を行わず、テールストック31をW軸方向に動かさないようにする。
【0046】
次に、制御装置10又は制御装置10Aの動作についてフローチャートを用いて説明する。
図12は、制御装置10又は制御装置10Aの動作の一例を示すフローチャートである。
【0047】
ステップS11において、第1判定部101は、プログラムをテスト運転しているか否かを判定し、第2判定部102は、プログラム指令に基づき押し当て制御を行うか否かを判定する。
【0048】
ステップS12において、制御方法選択部103は、第2判定部102の判定結果から押し当て制御を行うか否かを判断して、押し当て制御を行う場合はステップS13に移り、押し当て制御を行わない場合は処理を終了する。
【0049】
ステップS13において、制御方法選択部103は、第1判定部101の判定結果からテスト運転するか否かを判断して、テスト運転する場合はステップS14に移り、テスト運転しない場合はステップS15に移る。
【0050】
ステップS14において、制御方法選択部103は、軸の駆動制御を行わず、移動体となるテールストック31を停止させたままとする。
【0051】
ステップS15において、制御方法選択部103は、移動体となるテールストック31をワーク32に押し当てるように、テールストック31を動かす軸を駆動制御する。
ステップS14又はステップS15の後に処理を終了する。
【0052】
以上説明した第1実施形態の制御装置10又は10Aによれば、以下の効果が得られる。
(1)テスト運転で、且つ押し当て制御を行う場合は、軸の駆動制御を行わず、テールストック等の移動体を停止させたままとすることができる。そのため、テスト運転でユーザが意図しない移動体の動作が行われないように制御できる。例えば、被押し当て物が無い状態で押し当て制御を含むプログラムを運転しても、移動体が被押し当て物があれば侵入できない領域に侵入してしまうことを防止することができる。
(2)押し当て制御指令を含むプログラムのテスト運転の途中に、移動体以外の運転を止めずにテスト運転を行うことができる。
(3)テスト運転の際、テールストックをメカ的に動かさないようにする機構が不要となる。
【0053】
(第2実施形態)
本実施形態では、第1判定部101による判定結果、第2判定部による判定結果及び制御方法選択部103による選択結果の少なくとも1つを通知部で通知する形態について説明する。
【0054】
図13は、本開示の第2実施形態の制御装置の一構成例を示すブロック図である。本開示の第2実施形態の制御装置11は、図2に示した制御装置10に、通知部106が加えられている。図12において、制御装置10Aと同一構成部については同一符号を付し、説明を省略する。
【0055】
通知部106は、第1判定部101による判定結果、第2判定部による判定結果及び制御方法選択部103による選択結果の少なくとも1つをユーザに通知する。通知部106は、例えば、2つの判定結果、及び選択結果のうちの少なくとも1つを表示する、液晶ディスプレイ装置等の表示装置、ユーザの通信端末に2つの判定結果、及び選択結果のうちの少なくとも1つを送信する通信部等である。
【0056】
例えば、通知部106は、第1判定部101による判定結果として「テスト運転です。」、「通常運転です。」のいずれかを表示装置に表示する。また、通知部106は、第2判定部102による判定結果として「押し当て制御を行っています。」、「押し当て制御を行っていません。」のいずれかを表示装置に表示する。また、通知部106は、制御方法選択部103による選択結果として「テールストックの押し当て制御を行っています。」、「テールストックを停止しています。」のいずれかを表示装置に表示する。
【0057】
以上説明した第2実施形態の制御装置11によれば、第1実施形態の効果に加えて、ユーザが、テスト運転中であるか否か、押し当て制御中であるか否か、及びテールストック等の移動体の動作状況の少なくとも1つを知ることができる。そのため、ユーザは移動体に対して特定の操作(手動操作で移動体の移動を行う操作等)をしてはいけないことを判断できる。
【0058】
以上、各実施形態における、制御装置に含まれる機能ブロックを実現するために、制御装置は、ハードウェア、ソフトウェア又はこれらの組み合わせにより実現することができる。ここで、ソフトウェアによって実現されるとは、コンピュータがプログラムを読み込んで実行することにより実現されることを意味する。
制御装置に含まれる構成部をソフトウェア又はこれらの組み合わせにより実現する実現するために、制御装置は、CPU(Central Processing Unit)等の演算処理装置を備える。演算処理装置は実行部として機能する。また、制御装置は、アプリケーションソフトウェア又はOS(Operating System)等の各種の制御用プログラムを格納したHDD(Hard Disk Drive)等の補助記憶装置、及び演算処理装置がプログラムを実行する上で一時的に必要とされるデータを格納するためのRAM(Random Access Memory)といった主記憶装置も備える。
【0059】
そして、制御装置は、演算処理装置が補助記憶装置からアプリケーションソフトウェア又はOSを読み込み、読み込んだアプリケーションソフトウェア又はOSを主記憶装置に展開させながら、これらのアプリケーションソフトウェア又はOSに基づいた演算処理を行なう。また、この演算結果に基づいて、制御装置が備える各種のハードウェアを制御する。これにより、本実施形態の機能ブロックは実現される。
【0060】
制御装置に含まれる構成部は、電子回路等を含むハードウェアにより実現することができる。制御装置をハードウェアで構成する場合、制御装置に含まれる各構成部の機能の一部又は全部を、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、ゲートアレイ、FPGA(Field Programmable Gate Array)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)等の集積回路(IC)で構成することができる。
【0061】
プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えば、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば、光磁気ディスク)、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(random access memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。
【0062】
そして、各実施形態を含む本開示の制御装置によれば、テスト運転で、且つ押し当て制御を行う場合は、軸の駆動制御を行わず、テールストック等の移動体を停止させたままとすることができる。そのため、テスト運転をプログラムの実行途中で止めずに、テスト運転でユーザが意図しない移動体の動作が行われないように制御できる。
【0063】
上述した各実施形態は、本発明の好適な実施形態ではあるが、上記実施形態のみに本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更を施した形態での実施が可能である。
例えば、押し当て制御の他の例として、産業用ロボットのハンドに取り付けられた回転工具をワークに押し当てて摩擦撹拌接合を行う制御がある。この場合、回転工具が移動体、ワークが被押し当て物に該当する。また、押し当て制御の更に他の例として、プレス加工がある。
【0064】
上記実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1)
産業機械(30)内にある移動体を被押し当て物に押し当てる、押し当て制御をプログラム指令によって実行する、産業機械の制御装置(10、10A、11)であって、
前記プログラム指令を含むプログラムをテスト運転しているか否かを判定する第1判定部(101)と、
前記プログラム指令に基づき前記押し当て制御を行うか否かを判定する第2判定部(102)と、
前記第1判定部による判定結果と、前記第2判定部による判定結果とに基づいて、前記移動体を動かす軸の制御方法を選択する制御方法選択部(103)と、
選択された前記制御方法に従って前記軸を制御する軸制御部(104)と、
を備え、
前記制御方法選択部は、前記第1判定部によってテスト運転をしていると判定され、且つ前記第2判定部によって前記押し当て制御を行うと判定された場合は、前記軸の駆動制御を行わず、前記移動体を停止させたままとする制御方法を選択する、制御装置。
【0065】
(付記2)
前記制御方法選択部(103)は、前記第1判定部(101)によって前記テスト運転をしていないと判定され、且つ前記第2判定部(102)によって前記押し当て制御を行うと判定された場合は、前記移動体を前記押し当て物に押し当てるように前記軸を駆動制御する制御方法を選択する、付記1に記載の制御装置。
【0066】
(付記3)
外部の入力装置(20、21)からの入力情報を受け取る受信部(105)を備え、前記第1判定部(101)は前記入力情報に応じてテスト運転か否かを判定する、付記1に記載の制御装置。
【0067】
(付記4)
前記入力情報が、
テスト運転の指示、
前記プログラムの指令速度とは異なる速度で前記産業機械を動作させる運転モード、
1つ以上の指令から成る所定構成単位ごとに前記プログラムを実行し完了したら所定トリガを検出するまで該プログラムを実行しない運転モード、及び
前記外部の入力装置(20、21)からの入力結果と同期させて前記プログラムを運転する運転モード
のうちの少なくとも1つの情報である、付記3に記載の制御装置。
【0068】
(付記5)
前記第1判定部(101)は、前記プログラムにて前記押し当て制御の指令がされた場合、前記移動体が前記被押し当て物から所定値以上の抗力を受けない場合、及び/又は前記移動体が所定の距離だけ移動した場合にテスト運転と判定する、付記1に記載の制御装置。
【0069】
(付記6)
前記第1判定部(101)の判定結果、第2判定部(102)の判定結果、前記制御方法選択部(103)の選択結果のうち少なくも1つを通知する通知部(106)を備える、付記1から付記5のいずれかに記載の制御装置。
【0070】
(付記7)
産業機械(30)内にある移動体を被押し当て物に押し当てる、押し当て制御をプログラム指令によって実行する、産業機械の制御方法であって、
コンピュータが、
前記プログラム指令を含むプログラムをテスト運転しているか否かを判定する処理と、
前記プログラム指令に基づき前記押し当て制御を行うか否かを判定する処理と、
テスト運転をしていると判定され、且つ前記押し当て制御を行うと判定された場合は、前記移動体を動かす軸の駆動制御を行わず、前記移動体を停止させたままとする処理と、
を実行する、制御方法。
【符号の説明】
【0071】
10、10A、11 制御装置
20 入力装置
21 スイッチ盤
30 産業機械
31 テールストック
32 ワーク
33 チャック
34 工具
101 第1判定部
102 第2判定部
103 制御方法選択部
104 軸制御部
105 受信部
106 通知部
【要約】
テスト運転で、且つ押し当て制御を行う場合に、移動体についての、ユーザが意図しない動作を未然に防ぐ。
産業機械内にある移動体を被押し当て物に押し当てる、押し当て制御をプログラム指令によって実行する制御装置が、プログラム指令を含むプログラムをテスト運転しているか否かを判定する第1判定部と、プログラム指令に基づき押し当て制御を行うか否かを判定する第2判定部と、テスト運転をしていると判定され且つ押し当て制御を行うと判定された場合は、軸の駆動制御を行わず、移動体を停止させたままとする制御方法を選択する制御方法選択部とを備える。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13