(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-05
(45)【発行日】2024-03-13
(54)【発明の名称】平行な巻線を有する中周波変圧器
(51)【国際特許分類】
H01F 30/10 20060101AFI20240306BHJP
H01F 27/04 20060101ALI20240306BHJP
H01F 27/28 20060101ALI20240306BHJP
H02M 3/28 20060101ALI20240306BHJP
【FI】
H01F30/10 F
H01F30/10 C
H01F30/10 H
H01F30/10 M
H01F27/04 B
H01F27/28 152
H02M3/28 Y
(21)【出願番号】P 2022535683
(86)(22)【出願日】2020-12-04
(86)【国際出願番号】 EP2020084710
(87)【国際公開番号】W WO2021115966
(87)【国際公開日】2021-06-17
【審査請求日】2022-08-09
(32)【優先日】2019-12-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】523380173
【氏名又は名称】ヒタチ・エナジー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】HITACHI ENERGY LTD
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ドロフェニック,ウーベ
(72)【発明者】
【氏名】リーデル,ゲーアノート
(72)【発明者】
【氏名】グラディンガー,トーマス・ベルンハルト
【審査官】久保田 昌晴
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-088758(JP,A)
【文献】特表2016-510948(JP,A)
【文献】特開2001-275276(JP,A)
【文献】特開2009-254118(JP,A)
【文献】特開2012-231616(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第102843041(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 27/04、27/28-27/29、30/00-30/16
H02M 3/00-3/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
変圧
器であって、
a)コ
アと、
b)前記コアの第1の区画を囲む第1のコイル(100)と、
c)前記第1のコイルを囲む
第1の電気絶縁
体とを備え、
d)前記第1のコイルは、複数M個の第1の巻線(101,102)を備え、
e)前記複数M個の第1の巻線の各々は、
i)第1の終端部および第2の終端部と、
ii)前記第1の終端部と前記第2の終端部との間に少なくとも1つのターンで前記コアの前記第1の
区画の周りに巻かれた導体とを備え、前記変圧器はさらに、
f)前記
第1の電気絶縁体の外側に設けられた複数M個の第1の端子(411,412)を備え、前記第1の端子の各々は、複数M個の第1のコネクタ(413,414)のうちの1つによって前記第1の終端部のうちの異なる1つに接続されており、その結果、各第1の端子をそれぞれの第1の終端部に接続しており、前記変圧器はさらに、
g)前記
第1の電気絶縁体の外側から前記
第1の電気絶縁体の中に延在して少なくとも部分的に前記
第1の電気絶縁体を通って延在する第1のチャネル(410)を備え、前記複数M個の第1のコネクタは、前記第1のチャネルを通って延在しており、
h)前記複数M個の第1のコネクタは、前記
第1のチャネル内の
第2の電気絶縁体(415)によって互いに絶縁され
、
i)前記第2の終端部は、前記
第1の電気絶縁体
内で互いに接続されており、
j)第2の端子(421)は、前記
第1の電気絶縁体の外側に設けられ、第2のコネクタ(423)によって前記第2の終端部に接続されている、変圧器。
【請求項2】
a)前記
第1の電気絶縁体の外側に設けられた複数M個の第2の端子をさらに備え、前記第2の端子の各々は、複数M個の第2のコネクタのうちの1つによって前記第2の終端部のうちの異なる1つに接続されており、その結果、各第2の端子をそれぞれの第2の終端部に接続しており、前記変圧器はさらに、
b)前記
第1の電気絶縁体の外側から前記
第1の電気絶縁体の中に延在して少なくとも部分的に前記
第1の電気絶縁体を通って延在する第2のチャネルを備え、前記複数M個の第2のコネクタは、前記第2のチャネルを通って延在しており、
c)前記複数M個の第2のコネクタは、前記
第2のチャネル内の
電気絶縁体によって互いに絶縁され
る、請求項1に記載の変圧器。
【請求項3】
前記第1および/または第2のチャネルを囲む壁は
、前記
第1の電気絶縁体に対する第1および/または第2のコネクタ(413,414,423)の
電気絶縁体を提供する、請求項1または2のいずれか1項に記載の変圧器。
【請求項4】
前記
第1の電気絶縁体は、タンク(4
)の中の電気絶縁流
体を備え、前記
電気絶縁流体の中に
前記変圧器の少なくとも前記第1のコイル(100
)が浸漬され、前記第1のチャネルは、前記
タンク(4)の壁を通って少なくとも部分的に前記
電気絶縁流体の中に延在するブッシング内に設けられる、請求項1~3のいずれか1項に記載の変圧器。
【請求項5】
前記
第1の電気絶縁体は、前記コイル(100)の周りに鋳造される、請求項1~3のいずれか1項に記載の変圧器。
【請求項6】
前記第1および/または第2のコネクタ(413,414,423)の各々は、リッツ線を備
える、請求項1~5のいずれか1項に記載の変圧器。
【請求項7】
各巻線(101,102)の前記導体は、リッツ線によって形成され、前記第1および/または第2のコネクタ(413,414,423)の各々は、それが接続する前記導体と一体に、同一のリッツ線によっ
て形成される、請求項1~6のいずれか1項に記載の変圧器。
【請求項8】
前記リッツ線は
、少なくとも本質的にその全長に沿って延在する絶縁被覆またはクラッドを備え、前記絶縁被覆またはクラッドは、
電気絶縁体を提供
し、前記絶縁被覆またはクラッドの厚さは
、5mm未満
である、請求項6または7に記載の変圧器。
【請求項9】
前記第1のチャネル(410)は、少なくと
も前記コアの前記第1の区画に対して垂直な方向に、および/または、少なくと
も前記巻線(101,102)および/または前記第1のコイル(100)によって規定される長手方向に対して垂直な方向に延在している、請求項1~8のいずれか1項に記載の変圧器。
【請求項10】
a)前記コアの前記第1の区画または第2の区画を囲む第2のコイル(200)と、
b)前記第2のコイルを囲む電気絶縁
体とをさらに備え、
c)前記第2のコイルは、複数M’個の第2の巻線(201,202)を備え、
d)前記複数M’個の第2の巻線の各々は、
i)第3の終端部および第4の終端部と、
ii)前記第3の終端部と前記第4の終端部との間に少なくとも1つのターンで前記コアの前記第1または前記第2の
区画の周りに巻かれた導体とを備え、前記変圧器はさらに、
e)前記絶縁体の外側に設けられた複数M’個の第3の端子を備え、前記第3の端子の各々は、複数M’個の第3のコネクタのうちの1つによって前記第3の終端部のうちの異なる1つに接続されており、その結果、各第3の端子をそれぞれの第3の終端部に接続しており、前記変圧器はさらに、
f)前記電気絶縁体の外側から前記電気絶縁体の中に延在して少なくとも部分的に前記電気絶縁体を通って延在する第3のチャネルを備え、前記複数M’個の第3のコネクタは、前記第3のチャネルを通って延在しており、
g)前記複数M’個の第3のコネクタは、前記第3のチャネル内の
電気絶縁体によって互いに絶縁され
る、請求項1~9のいずれか1項に記載の変圧器。
【請求項11】
前記第1の巻線(101,102)は、前記変圧器の一次巻線を形成し、前記第2の巻線(201,202)は、前記変圧器の二次巻線を形成する、請求項10に記載の変圧器。
【請求項12】
前記第1のコイル(100)も前記第2のコイル(200)も
、少なくとも本質的に同軸配置で前記コアの前記第1の区画を囲んでいる、請求項10または11に記載の変圧器。
【請求項13】
前記第1のコイルは前記第2のコイルを囲み、またはその逆である、請求項10~12のいずれか1項に記載の変圧器。
【請求項14】
前記複数M個の第1の巻線は、
a)巻線(101,102)の対を備え、前記巻線の対は、
i)第1の導電性箔帯(111,111’,111’’)から作製され、互いを囲む第1の複数のターンを備える第1の巻線(101)と、
ii)第2の導電性箔帯(112,112’,112’’)から作製され、互いを囲む第2の複数のターンを備える第2の巻線(102)とを備え、前記第1の複数のターンの各ターンは、前記第2の複数のターンの1つのターンによって隣接して囲まれ、
iii)前記第1および第2の巻線の最内端は、前記それぞれの巻線の前記第2の終端部を形成し、
iv)前記第1および第2の巻線の最外端は、前記それぞれの巻線の前記第1の終端部を形成する、請求項1~13のいずれか1項に記載の変圧器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、パワーエレクトロニクスの分野に関する。それは、独立特許請求項による変圧器、特に共振DC/DCコンバータまたはデュアルアクティブブリッジDC/DCコンバータのための中周波変圧器に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
数キロヘルツの高周波数(特に3kHz以上)で大電流(数百アンペア以上、特に200Aを超える)に対処する変圧器は、より低い周波数、特に1kHz未満の周波数において、および/または低電流、特に100A未満の電流については無視できるいくつかの影響のため、低コストおよび/または既製の構成要素によって構築することが非常に困難である。そのような高い周波数および/または電流を伴う典型的な用途は、ソリッドステート変圧器(SST)において、特に以下などにおいて中電圧(MV)グリッドに分散電力を接続するためのAC/DCコンバータとして構成されたSSTについて、頻繁に使用される中周波変圧器(MFT)である。
【0003】
・電気自動車(EV)急速充電
・光起電(PV)太陽電池
・電池エネルギー貯蔵システム(BESS)
・陸上および海上の風力
・データセンター
ただし、EV高速充電器の充電極で必要とされるガルバニック絶縁を備えた高出力低電圧DC/DCコンバータに頻繁に使用されるMV絶縁要件のない変圧器も含まれる。そのようなDC/DCコンバータの2つの特定の例が、両方とも参照によりその全体が本明細書に含まれるスイス特許出願公開第707 533号明細書または米国特許出願公開第2018/0159435号明細書に例示的に記載されているようなデュアルアクティブブリッジコンバータ、および、同じく参照によりその全体が本明細書に含まれる国際公開第2018/141092号に例示的に記載されているような共振DC/DCコンバータである。
【0004】
変圧器コイルの高周波損失を小さく保つために、1つの方法は、リッツ線を利用してコイルの巻線を形成することである。リッツ線は、中実の銅線よりも数倍高価であるが、これは、最大100~200A(二乗平均平方根、rms)のAC電流に対する「既製」のものを購入することができる。リッツ線は、概して銅から作製された多数の転置された撚り線からなり、最大0.5cm2の全断面積のものが既製品で入手可能であり、100~200Armsの範囲の最大電流を可能にする(0.8の充填率および2.5...5A/mm2の電流密度を仮定する)。より大きい電流は、上記の用途で典型的であるように、より大きい断面積を必要とし、屈曲することがますます困難になる。リッツ線は、通常、アルミニウム製ではないが、それは、アルミニウムでは、ワイヤ末端においてすべての撚り線を確実に接触させることが非常に困難であるためである(例えば、上記の銅リッツ線においては各々直径0.2mmの900本の撚り線)。銅リッツ線は、中実銅よりも少なくとも2~4倍高価であり、銅はアルミニウムよりも約3倍高価である。上記の用途で典型的であるようなより高い電流(>100A)の場合、いくつかの銅リッツ線を平行にする必要があり、これは、平行導線間の漂遊磁束に起因して循環電流をもたらす可能性があり、損失を大幅に増大させる可能性がある。
【0005】
製造労力および必要とされる資源の最適化および/または最小化のためには、50Hz変圧器で一般的に利用されるアルミニウム箔巻線が、コイルのための好ましい選択であろう。高周波数では、箔の巻線損失は、表皮効果および近接効果によって著しく増大する。単一の箔が利用される場合、周波数は必要な箔の厚さを規定し、所望のまたは必要な電流は箔の高さを規定し、これは変圧器の高さをもたらす。したがって、大電流および高周波の場合、変圧器の形状は、方体形状から大きく逸脱し、これは、はるかに高い重量、コア損失、ならびに資源および労力の要件の増大(必要とされるコア体積の増大)をもたらす。
【0006】
平行な箔が利用される場合、箔の高さを低減することができるが、平行な箔間の漂遊磁場に起因して、強い循環電流が誘導される可能性があり、損失が大幅に増大する(平行なリッツ線と同様の効果に起因)。
【0007】
銅リッツ線および箔の両方の設計において、主要な問題は、巻線損失を大幅に増大させることが多く、それによって変圧器の電力定格を低減し、および/または変圧器のコスト(USD/kW)を大幅に増大させる平行導体間の循環電流である。EV高速充電、PV太陽電池、電池エネルギー貯蔵システム、風力、またはデータセンターなどの有望な分散エネルギー用途では、中周波変圧器(MFT)が重要な構成要素である。より高い電流(特に100Aを超える)の場合、単純に50/60Hz技術をスケールアップし、および/または既製のリッツ線もしくは低コストの箔線を利用する結果として、高周波誘導循環電流による大きい損失が生じ、変圧器の性能が大幅に低下する。
【0008】
特に、各巻線が複数のターンを含む、並列に接続された2つの巻線の構成における循環電流の生成は、以下のように理解され得、すなわち、各ターンが、例えば変圧器のコアによって形成された巻線窓内で磁気漂遊磁場に暴露される。変圧器の入力端子および出力端子に接続された個々の巻線を形成する平行なリッツ線は、漂遊磁場に暴露されるループを形成する。漂遊磁場はMFTの動作周波数とともに変化し、その結果、このループ内の循環電流を駆動する電圧が生じる。循環電流は、MFT内の公称電流を増加させ、その結果、1本のリッツ線が公称電流の半分より多い電流を搬送し、平行なリッツ線がそれに応じて公称電流の半分未満を搬送することになり得る。循環電流が十分に大きい場合、1本のリッツ線は合計公称電流を超える電流を搬送することができ、次いで平行なリッツ線は負(180°位相シフトされた)電流を搬送する。このようにして、利用可能な銅断面全体が実効的に50%減少するだけでなく、追加の損失が導入され、MFTの最大出力電力が2倍以上減少する。
【0009】
循環電流を制限するための現行技術水準の解決策は、追加の構成要素、より高い製造労力、および追加のスペースを必要とし、追加の問題をもたらす可能性がある。例えば互いに撚り合わされた、または他の様態で絡み合ったもしくは交絡した平行ワイヤによって提供されるような、並列に接続されたワイヤまたは箔の転置という1つの現行技術水準の解決策は、特に箔巻線のための追加の製造労力を必要とし、実効的なワイヤ長さの増大をもたらし、巻線ターンがわずかしかないMFTにおいて限られた効率を示し、例えば転置位置の近傍における幾何学的不均一性に起因する高電圧絶縁の課題をもたらす可能性がある。代替的に、コモンモードフィルタが平行なワイヤまたは箔の間に追加され得る。しかしながら、これは追加の構成要素を必要とし、したがって、より高いコストおよびより高い製造労力をもたらす可能性があり、追加のスペースおよび/または他の資源を必要とする可能性がある。
【0010】
最近なされた1つの有望な提案は、欧州特許出願第19198713.0号明細書および第19198718.9号明細書に記載されているように、ならびにさらに以下でより詳細に説明されるように、変圧器の使用に関連したコンバータのタイプおよび/または種類に応じて、平行な巻線の各々と直列に適切なインピーダンス要素、特にキャパシタまたはインダクタを設けるというものである。このようなインピーダンス要素は、コンバータトポロジによってやはり必要とされるインピーダンス要素に少なくとも部分的に取って代わることができ、循環電流を効率的に抑制するため、分割インピーダンス要素、特に分割共振キャパシタまたは分割エネルギー伝達インダクタと称されることもある。
【0011】
しかし、分割インピーダンス要素を使用する場合、適切な(電気)絶縁体の十分な設計に関しては問題が生じる。
【0012】
分割インピーダンス要素をそれぞれの変圧器巻線の端部または終端部に非常に(物理的に)近接して設ける場合、分割インピーダンス要素は、コイルを囲むおよび/または封じ込める絶縁体の中に封入される必要がある。
【0013】
2つの基本的なタイプのこのような絶縁体が存在する。すなわち、固体絶縁体および液体絶縁体である。
【0014】
乾式鋳造絶縁体とも称される固体絶縁体は、コイルを電気絶縁材料に鋳造することによって提供され得て、電気絶縁材料は、その後、たとえば重合、特に樹脂によって硬化され得る。固体絶縁体の中に分割インピーダンス要素を封入することにより、特にコストおよび製造性の点において上記絶縁体の複雑さが大幅に増大することになる。さらに、それは、分割インピーダンス要素のメンテナンスおよび/または交換を不可能ではないにしても困難にする。また、それは、たとえば微調整にとって望ましいであろうインピーダンス値の変更をシステム設計者が行うことを困難にする。
【0015】
液体絶縁体は、タンク、入れ物または他の種類の容器に含まれる絶縁液体の中にコイルおよびしばしば変圧器全体を沈めることによって提供され得る。この場合にも同様の課題および問題が生じる。第一に、インピーダンス要素は、容器の内部に位置している必要があるため、アクセスしたり交換したり微調整したりすることが容易にできない。さらに、インピーダンス要素がキャパシタである場合には、許容できる平均寿命のために、通常はキャパシタを誘導性構成要素の材料よりもはるかに低い温度に保つ必要がある。これは、キャパシタがMFTと同一のタンク内に収容される場合には実現することが困難である。
【0016】
一般に、コイルを形成する巻線がコネクタによって個々のキャパシタに接続される場合、このようなコネクタを形成する接続サブ導体が(効率に関してだけでなく過熱の点でも)許容できない高周波損失を持たないこと、これらの接続サブ導体が互いに絶縁されること、およびこれらの接続サブ導体が、中電圧では、接地電位または低電圧電位のコアおよび存在する場合には液体容器などのMFT構成要素から絶縁されることを保証しなければならない。これは、各接続サブ導体のためのいわゆる端子絶縁体を個々の巻線に設けることによって実現することができる。しかし、これは、設計を非常に複雑でかさ高で高価にするであろう。本開示の文脈において、中電圧は、特に、1kV~100kVの電圧範囲を指し得る。中電圧絶縁体は、特に、電気絶縁体全体にわたって、特に絶縁体の厚さ全体にわたって、中電圧範囲内の電圧、特に100kVまでの電圧に耐えるように構成され得る。中電圧絶縁体は、特に、より高い電圧、特に100kVよりも大幅に大きな高電圧には耐えられないように構成され得る。しかし、それにもかかわらず、中電圧絶縁体は、雷インパルス、特に雷インパルス中におよび/または雷インパルスに起因して発生する200kVまでの電圧に耐えるように構成され得る。固体絶縁体の場合、これは、一般に、少なくとも5mm、好ましくは少なくとも10mm、最も好ましくは少なくとも20mmの厚さの電気絶縁材料を、互いに電気的に絶縁される必要がある任意の2箇所の間に設けることを必要とする。
【0017】
本発明の目的は、変圧器、特に共振DC/DCコンバータまたはデュアルアクティブブリッジDC/DCコンバータのための中周波変圧器であって、上記変圧器は、複数の巻線を有し、複数の巻線は、各巻線に直列に接続されたインピーダンス要素に並列に接続され得て、妥当な製造労力で効率的な電気絶縁を提供することができる、変圧器を開示することである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0018】
発明の概要
この目的は、独立特許請求項による変圧器によって達成される。さらなる例示的な実施形態は、添付の図面と併せて、従属請求項および以下の説明から明らかである。
【0019】
本発明による変圧器、特に、特に共振DC/DCコンバータまたはデュアルアクティブブリッジDC/DCコンバータのための中周波変圧器は、
a)好ましくは空隙を有するコアと、
b)上記コアの第1の区画を囲む第1のコイルと、
c)上記第1のコイルを囲む電気絶縁体、好ましくは中電圧絶縁体とを備え、
d)上記第1のコイルは、複数M>1個の巻線を備え、
e)上記複数M個の巻線の各々は、
i)第1の終端部および第2の終端部と、
ii)上記第1の終端部と上記第2の終端部との間に少なくとも1つのターンで上記コアの上記第1の部分の周りに巻かれた導体とを備え、上記変圧器はさらに、
f)上記絶縁体の外側に設けられた複数M個の第1の端子を備え、上記第1の端子の各々は、複数M個の第1のコネクタのうちの1つによって上記第1の終端部のうちの異なる1つに接続されており、その結果、各第1の端子をそれぞれの第1の終端部に接続しており、上記変圧器はさらに、
g)上記電気絶縁体の外側から上記電気絶縁体の中に延在して少なくとも部分的に上記電気絶縁体を通って延在する第1のチャネルを備え、上記複数M個の第1のコネクタは、上記第1のチャネルを通って延在しており、
h)上記複数M個の第1のコネクタは、上記チャネル内の低電圧絶縁体によって互いに絶縁され、好ましくは上記第1のコネクタのうちのいずれか2つの間には中電圧および/または高電圧絶縁体は存在しない。
【0020】
変圧器コアは、特に、高透磁率を有する磁性材料、特に強誘電材料またはフェリ誘電材料から作製されてもよく、横方向に対応し得る第1の方向に延在する第1の肢部と、特に第1の方向に延在する第2の肢部と、特に第1の方向に垂直な第2の方向に延在する第1のヨークと、特に第2の方向に延在する第2のヨークとを備えることができる。コア窓が、第1の方向および第2の方向の両方に垂直な第3の方向にコアを通じて延在することができる。好ましくは、第1の方向および/または第2の方向におけるコアの寸法D1およびD2は、一般にl3≒D3であり、しばしばl3=D3である、横方向のコア窓の非ゼロ寸法l3にかかわらず、コアが本質的に平坦であると見なされ得るように、第3の方向におけるコアの寸法D3よりも著しく大きい、すなわち、D1>D3かつ/またはD2>D3であり、好ましくはD1>>D3かつ/またはD2>>D3である。第1の肢部と第2の肢部の両方は、第1のヨークから第2のヨークへ、およびその逆に延在することができ、コア窓を取り囲むことができる。
【0021】
一般に外鉄型として参照される変圧器設計では、第1の肢部および第2の肢部は、第1のヨークと第2のヨークとの間、およびその逆に延在し、コア窓を取り囲むことができる。第3の肢部が、特に第1の方向において第1のヨークと第2のヨークとの間に、かつ、第1の肢部と第2の肢部との間に延在することができ、結果、コア窓が第1の部分窓と第2の部分窓とに分割され、好ましくは両方の部分窓がコアを通って第3の方向に延在する。
【0022】
コアは、特に、閉じたコアであってもよく、すなわち、間隙、特に空隙が肢部またはヨークのいずれの中にも存在せず、肢部とヨークとのいずれの対の間にも存在せず、それにより、一次巻線と二次巻線とを連結する磁束は、少なくとも本質的に、コアを構成する磁性材料内で全体にわたって進行し、それにより、少なくとも本質的に、空気を通じた磁束の損失は生じない。代替的に、コアは、閉じたコアではなく、コアの磁性材料、一般的に空気および/または合成材料、特にプラスチックよりも著しく低い透磁率を有する材料で充填された1つまたは複数のコア間隙を含んでもよい。1つの肢部に設けられたNgap個のコア間隙は、上記肢部をNgap+1個の部分に分離すると考えることができる。肢部の近接部分は、距離dcoreだけ離間することができ、距離dcoreは、すべてのコア間隙に対して等しくてもよいが、そうである必要はない。
【0023】
コイルは、特に、コアの直線的な第1の区画を囲んでもよく、当該区画は、特に、肢部の一部分、特に第1の肢部であってもよい。コイルは、特に、少なくとも本質的に第1の肢部全体を囲んでもよい。
【0024】
コイルは、並列に接続され得る複数の、すなわち少なくとも2つの巻線を備え、そのため特に変圧器の一次巻線を形成することができる。
【0025】
本発明による変圧器のためのコイルは、特に、各々が第1の端部および第2の端部を有する複数M>1個の導電性箔帯を提供するステップと、第1の端部および第2の端部を有する箔帯スタックを得るために複数の導電性箔帯を積層するステップであって、任意の2つの隣接する箔帯の間に絶縁層、特に低電圧絶縁層が設けられる、積層するステップと、箔帯スタックを第2の端部から巻回するステップとによって得ることができる。
【0026】
コイルを得るための1つの可能な出発点は、導電性箔、特にアルミニウム箔から作製された複数M個の導電性箔帯である。各箔帯は、特に第1の方向または横方向における幅w、特に、好ましくは第1の方向に垂直な第2の方向または長手方向における長さl、および、特に、好ましくは第1の方向および第2の方向の両方に垂直な第3の方向における厚さdを有することができる。すべての箔帯は、少なくとも本質的に同一の寸法を有することができる。各箔帯の幅および長さは、両方とも厚さよりもはるかに大きくすることができ、すなわちw>>dかつl>>dとすることができる。したがって、各箔帯は、少なくとも本質的に長方形であってもよく、または少なくとも長方形の基本形状を有してもよい。ストリップはまた、細長い、すなわちl>w、好ましくはl>>wであってもよい。各箔帯は、長手方向に関して第1の端部および第2の端部を有する。各箔帯は、w・dの実効断面積を有することができ、これは上記箔帯の長さlに沿って少なくとも本質的に一定であり得る。
【0027】
第1のステップにおいて、箔帯は、それらの第1の端部および第2の端部が互いに上方に位置付けられるように積層される。電気絶縁体は、任意の2つの隣接するまたは近隣の箔帯間に提供される。上記電気絶縁体は、特に、任意の2つの隣接するまたは近隣の箔帯の間に積層および/または配置された別個のおよび/または追加の電気絶縁層によって提供されてもよい。別個のおよび/または追加の電気絶縁層は、箔帯と少なくとも本質的に同じ幅wおよび長さlを有してもよい。スタックの底部および上部に、さらなる追加の電気絶縁層が設けられてもよい。代替的または付加的に、電気絶縁体はまた、箔絶縁層上に積層された、または2つの箔絶縁層の間に積層された導電層を含み得る、隣接するまたは近隣の箔帯の一方または両方の一部分によって形成することもできる。任意の2つの隣接するまたは近隣の箔帯の間に設けられた電気絶縁体は、低電圧絶縁体であってもよい。このような低電圧絶縁体は、電気絶縁体全体にわたって、特に絶縁体の厚さ全体にわたって50V,100V,250Vまたは500Vまでの電圧に耐えるように構成され得る。低電圧絶縁体は、特に、電圧、特に中電圧または高電圧に耐えられないように構成され得て、すなわち、50V,100V,250Vまたは500Vを超える電圧、特に実質的に50V,100V,250Vまたは500Vを超える電圧が電気絶縁体全体にわたって、特に絶縁体の厚さ全体にわたって印加されると、絶縁破壊および/または誘電破壊が少なくとも高い確率で、特に20%,50%,80%または90%を超える確率で起こるであろう。代替的または付加的に、低電圧絶縁体の厚さは、特に、5mm未満、2.5mm未満、1mm未満または0.5mm未満であってもよい。
【0028】
結果として得られる箔帯スタックは、箔帯と少なくとも本質的に同じ幅wおよび長さl、ならびにDの総厚を有することができ、w>>Dおよび/またはl>>Dが成り立つことができる。したがって、スタックはまた、少なくとも本質的に長方形であってもよく、または少なくとも長方形の基本形状を有してもよい。個々の箔帯と同様に、スタックは、長手方向に対して第1の端部および第2の端部を有し、スタックの第1の端部は、箔帯の第1の端部の近くに配置され、スタックの第2の端部は、箔帯の第2の端部の近くに配置され、または、言い換えれば、スタックの第1の端部が第2の端部よりも箔帯の第1の端部の近くに配置され、逆もまた同様である。
【0029】
さらなるステップにおいて、すべての導電性箔帯の第2の端部が、特に完成したコイルのコンバータ回路へのおよび/またはコンバータ回路内の単純で迅速かつ確実な電気接続のために、互いに接続されてもよい。好ましくは、すべての第2の端部が、直接的に、特に星状のトポロジで、特にすべての第2の端部が単一のコネクタに接続された状態で接続されてもよい。代替的に、第2の端部は直列に接続されてもよい。
【0030】
さらなるステップにおいて、複数M個の第1のコネクタ、すなわち各箔帯に対して1つのコネクタが提供され得る。複数M個のコネクタの各々は、複数N個の導電性箔帯のうちの異なる1つに接続される。コネクタは、例えば、箔帯の第2の端部を越えて延在し、折り畳まれ、および/または撚り合わされてケーブル状またはワイヤ状の導体を形成している追加の箔帯部分によって、またはそれから、各箔帯と一体に形成することができる。より一般的には、コネクタは、第2の端部に設けられまたは形成され、第2の端部と接触して、好ましくはそれぞれの箔帯の1つの下の断面積を一切縮小することなく、何らかの種類の導体、特に端子の接続を可能にする任意の種類の手段を備えることができる。
【0031】
さらなるステップにおいて、箔帯のスタックは、Nturn回のターンを有するコイルを得るために、第2の端部においておよび/または第2の端部から始まり、長手方向においておよび/または長手方向に沿って、すなわち、好ましくは長手方向に少なくとも本質的に平行に巻回され、スクロールアップされ、またはロールアップされる。上記コイルは、箔帯の幅wに少なくともおおよそ等しい高さhを有するシリンダシェル、バレルまたはジャケットに少なくとも本質的に類似する形状を有することができる。コイルは、少なくとも本質的に円筒形状を有することができる中央開口部をさらに有するかまたは画定することができ、上記円筒形状の長手方向軸は、横方向に少なくとも本質的に平行に延在することができる。中央開口部は、特に、変圧器コアの一区画、特に肢部を受け入れて、上記のようにコイルが上記区画を囲むように構成されてもよい。
【0032】
したがって、複数M個の導電性箔帯は、複数M個の巻線を形成し、各箔帯の第1および第2の端部は、第1および第2の終端部をそれぞれ表す。すべての巻線は、それらの第2の端部において並列に接続され得て、特に互いに絡み合っていると考えることができる。代替的に、巻線は、それらの内側端部において互いに接続されている、互いに噛み合った螺旋を形成すると考えることもできる。しかしながら、巻線は、転置がなく、特に、互いに撚り合わされていない。
【0033】
したがって、本発明による変圧器の、または変圧器のためのコイルまたは巻線構成は、1つの巻線対を備えることができ、上記巻線対は、導電性箔帯から作製され、互いを囲む第1の複数のターンを含む第1の巻線と、導電性箔帯から作製され、互いを囲む第2の複数のターンを含む第2の巻線とを含み、第1の複数のターンの各ターンは、第2の複数のターンの1つのターンによって隣接して囲まれており、第1の巻線および第2の巻線の最内端が第1の端子において電気的に接続されており、第1のコネクタおよび第2のコネクタが、それぞれ第1の巻線および第2の巻線の最外端に、第1の巻線および第2の巻線に接触して設けられている。
【0034】
コイルまたは巻線構成は、第1の巻線および第2の巻線と絡み合い、互いを囲むさらなる複数のターンを含むさらなる巻線を備えることができる。
【0035】
第1の巻線、第2の巻線、および任意のさらなる巻線は、電気的に接続されてもよく、特に直接的に、最内端において、特に第2のコネクタを介して電気的に接続されてもよく、そうでなければさらに互いに電気的に絶縁されてもよく、または、言い換えれば、第1の巻線および第2の巻線は、巻線の最内端にある上記接続部を除いて互いに電気的に絶縁されてもよい。
【0036】
そのような巻線構成は、特に、上述の方法またはその特定の方法変形例に従って製造することができ、第1の巻線および第2の巻線は、複数M>1個の導電性箔帯のうちの第1の導電性箔帯および第2の導電性箔帯によって形成され、第1の巻線および第2の巻線の最内端は、上記箔帯の第2の端部によって形成され、第1の巻線および第2の巻線の最外端は、上記箔帯の第1の端部によって形成される。
【0037】
代替的に、本発明による変圧器のためのコイルは、好ましくは少なくとも本質的に同一の長さを有する複数M>1個のリッツ線撚り線を提供するステップと、撚り線を少なくとも本質的に互いに平行に配置して、特にジョイント撚り線を形成するステップと、撚り線の配列、特にジョイント撚り線の少なくとも一部を少なくとも部分的に巻回するまたは巻き上げるステップとによって得ることができる。この配列および/またはジョイント撚り線を形成する複数の撚り線は、絡み合わせられていてもよく、編み組みされていてもよく、編まれていてもよく、および/または、そうでなければより合わせられていてもよい。また、この配列および/またはジョイント撚り線を形成する複数の撚り線は、特に長手方向にまたは長手方向に関して整列されてもよい。したがって、この配列またはジョイント撚り線における各々の巻き上げられたまたは巻回された撚り線、またはその一部は、第1の終端部と第2の終端部とを有する巻線を形成し、撚り線またはその一部は、導体に相当する。
【0038】
コイルを形成する際に導電性箔またはリッツ線が使用されるか否かにかかわらず、コイルは、変圧器コアとは別に形成されることができ、コイルに関連して例示的に上記した中央開口部は、導電性箔を使用して作製される。次いで、コイルは、その後、コアの第1の区画、特に直線的な部分、特に肢部の上に、上記第1の区画を囲むように取り付けられ得る。コイルは、中央開口部が形成および/または画定される、好ましくは導電性材料、たとえばプラスチックからなるある種の支持体の上に形成されてもよい。代替的に、コイルは、コアの第1の区画の周りにおよび/または上に、導電性箔、特に上記の箔帯スタック、またはリッツ線の撚り線の配列、特にジョイント撚り線を巻回する、特に巻き付けることによって形成されてもよく、結果として得られるコイルとコアとの間に電気絶縁体、特に中電圧および/または高電圧絶縁体が設けられてもよい。
【0039】
特に上記のようにコイルが形成されると、電気絶縁体、特に上記のような固体または液体絶縁体を適用する必要がある。
【0040】
箔帯スタックまたはリッツ線の配列が巻回され、スクロールアップされ、ロールアップされ、または巻き付けられると、このようにして得られたコイルは、電気絶縁材料に鋳造され得て、電気絶縁材料は、その後、たとえば重合、特に樹脂によって硬化され得る。したがって、(硬化された)電気絶縁材料は、少なくともコイルを囲む電気絶縁体、特に中電圧絶縁体を構成する。したがって、各巻線の第1の終端部および第2の終端部は、電気絶縁体内および/または電気絶縁体の内部に位置することになる。コイルは、電気絶縁材料に鋳造される前または後に、上記のようにコアの第1の区画を囲むように位置決めされてもよい。
【0041】
代替的に、コイルは、タンク、入れ物または他の種類の容器に含まれる電気絶縁液体、特に電気絶縁油の中に浸漬および/または沈められてもよい。この場合、コイルの巻線が上記のように一次側または二次側の少なくとも一方に設けられた、一次側および二次側を両方とも含む変圧器全体は、特にコイルがコアの第1の区画を囲むように位置決めされた後で浸漬および/または沈められてもよい。したがって、電気絶縁液体は、少なくともコイル、該当する場合には変圧器全体を囲む電気絶縁体、特に中電圧絶縁体を構成する。やはり、各巻線の第1の終端部および第2の終端部は、電気絶縁体内および/または電気絶縁体の内部に位置することになる。
【0042】
複数M個の第1の端子は、電気絶縁体の外側に、特に電気絶縁体の外部に設けられ得る。複数M個の第1のコネクタが設けられ得て、上記第1の端子の各々は、第1のコネクタのうちの1つによって第1の終端部のうちの1つに接続され得て、その結果、各第1の端子は、第1の終端部のうちの異なる1つに接続される。
【0043】
複数M個の第1のコネクタは、第1のチャネル、特に電気絶縁体の外側から上記電気絶縁体の中に延在して、少なくとも部分的に上記電気絶縁体を通って、特に第1の終端部付近の場所まで延在する単一の共通の第1のチャネルを通って延在し得る。第1のチャネルは、特に、電気絶縁体の外側から、第1の終端部が位置する絶縁体の内部を画定または形成する空間または空洞まで延在し得る。
【0044】
固体絶縁体の場合、第1のチャネルは、単に通路、特に少なくとも部分的に上記固体絶縁体を通って延在する少なくとも本質的に円筒形通路の形で設けられ得る。また、上記通路内にはブッシングが設けられ得て、上記ブッシングは、少なくとも本質的に管状の形状を有し得て、中電圧および/または高電圧絶縁体を提供し得て、すなわち上記管状の形状を規定する壁全体にわたって500V,1000V,2500Vまたは10kVを超える電圧に耐えるように構成され得て、上記壁は、少なくとも第1のチャネルの一部を囲み得る。また、ブッシングは、コイルを囲む電気絶縁体と一体に形成されたスタブの形で設けられてもよい。
【0045】
液体絶縁体の場合、このようなブッシングは、電気絶縁液体を入れるタンク、入れ物または他の容器に設けられた貫通孔内に設けられ得る。
【0046】
第1のチャネル内において、コネクタは、低電圧絶縁体によって、特に低電圧専用絶縁体によって互いに電気的に絶縁されている。このような低電圧絶縁体は、電気絶縁体全体にわたって、特に絶縁体の厚さ全体にわたって50V,100V,250Vまたは500Vまでの電圧に耐えるように構成され得る。低電圧絶縁体は、特に、電圧、特に中電圧または高電圧に耐えられないように構成され得て、すなわち、50V,100V,250Vまたは500Vを超える電圧、特に実質的に50V,100V,250Vまたは500Vよりも大きな電圧が電気絶縁体全体にわたって、特に絶縁体の厚さ全体にわたって印加されると、絶縁破壊および/または誘電破壊が少なくとも高い確率で、特に20%,50%,80%または90%を超える確率で起こるであろう。
【0047】
チャネルの領域内、特に第1のチャネル内においてコネクタ間にのみ低電圧専用絶縁体を設けることによって、特にMの値がより大きい場合、特にM>3,M>5またはM>10である場合に、コイルの電気絶縁体をシンプルかつコンパクトに維持することができる。電気絶縁体の外側にインピーダンス要素を提供する可能性と組み合わせて、これは、変圧器、特に上記の用途のための特に共振DC/DCコンバータまたはデュアルアクティブブリッジDC/DCコンバータのための中周波変圧器を、複雑さを大幅に増大させることなく、かつ、信頼性を減少させることなく、製造することを可能にする。平行な巻線を持たない変圧器、特に中周波変圧器を製造するために使用される製造プロセスを少なくとも大規模または妥当な規模で適応させることは不要である。
【0048】
既に上記したように、特に第2のコネクタとの接続によって電気絶縁体の内部または電気絶縁体内において第2の終端部が互いに接続され得る。次いで、電気絶縁体の外側に、特に電気絶縁体の外部に第2の端子が設けられ得る。第2のコネクタ、特に単一の第2のコネクタは、第2の端子を電気的に接続された第2の終端部と接続するように設けられ得る。第2のコネクタは、第2のチャネル、特に電気絶縁体の外側から上記電気絶縁体の中に延在して、少なくとも部分的に上記電気絶縁体を通って、特に第2の終端部付近の場所まで延在する単一の共通の第2のチャネルを通って延在し得る。第2のチャネルは、特に、電気絶縁体の外側から、第2の終端部が位置する絶縁体の内部を画定または形成する空間または空洞まで延在し得る。
【0049】
電気絶縁体の内部または電気絶縁体内において第2の終端部を互いに接続することによって、本発明による変圧器の製造効率、コンパクトさおよび信頼性をさらに向上させることができる。
【0050】
第1のコネクタおよび/または第2のコネクタは、リッツ線、特に被覆またはクラッドリッツ線によって形成され得て、絶縁被覆またはクラッドは、各コネクタの低電圧電気絶縁体を提供することができるが、中電圧または高電圧絶縁体を提供することはできない。特に詳述されるようなリッツ線によって形成されるコイルの場合、コネクタは、特に同一のリッツ線の撚り線から巻線と一体に形成され得る。被覆またはクラッドの厚さは、好ましくは5mm未満、2.5mm未満、1mm未満または0.5mm未満である。そして、被覆およびまたはクラッドは、第1のチャネルおよび/または第2のチャネルにおいて複数のコネクタ間に低電圧絶縁体を提供することができ、特に排他的に提供することができる。
【0051】
本発明の上記の態様およびさらなる態様が、以下に記載される実施形態を参照して諒解され、明らかになるであろう。
【0052】
図面の簡単な説明
本発明の主題は、添付の図面に例示される例示的な実施形態を参照して、以下の本文においてより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【
図1】基本的、一般的な従来技術のDC/DCコンバータを示す図である。
【
図2a)】基本的な従来技術のDC/DCデュアルアクティブブリッジ(DAB)コンバータを示す図である。
【
図2b)】基本的な従来技術の共振DC/DCコンバータを示す図である。
【
図3】
図1のDC/DCコンバータの1つの可能な実施形態のより詳細な概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0054】
原則として、図中の同一の参照符号は、同一の特徴または要素を示す。
例示的な実施形態の詳細な説明
背景情報について、
図1a)は、本発明をその一部分として使用することができる基本的、一般的な従来技術のDC/DCコンバータ1を示す。DC/ACコンバータ11は、その入力に接続された好ましくはDCリンクキャパシタを含むDC源からのDC電圧および/または電流を、中周波数、すなわち好ましくは500Hz~500kHzの周波数範囲内のAC電圧および/または電流に変換するように構成されている。上記AC電圧および/または電流は、変圧器141、特に中周波変圧器(MFT)を備えるAC中間回路12に供給され、上記変圧器は一次側および二次側を備え、上記側の間にガルバニック絶縁を提供する。変圧器は、とりわけ、結合インダクタンスL
mおよびL
m’ならびに漂遊インダクタンスL
sによって特徴付けることができ、1つまたは複数のその一次側巻線は、特にワイヤまたは他の接続の寄生インダクタンスでもあり得るインピーダンス
Z
1
を有するインダクタンス素子を介してDC/ACコンバータに接続される。変圧器は、その一次側の電圧および/または電流を既知の方法で二次側電圧および/または電流に変換する。上記二次側電圧および/または電流は、その後、AC/DCコンバータ16、特に整流器によって、上記AC/DCコンバータ16の出力におけるDC電圧および/または電流に変換される。DC/ACコンバータ12は、特に、
図1aに示すようにハーフブリッジ構成に配置構成された、または
図1b)に示すようにフルブリッジ構成に配置構成された複数の半導体スイッチを備えることができる。同様に、AC/DCコンバータ16は、特に、
図1aに示すものに対応するハーフブリッジ構成に配置構成された、または
図1c)に示すものに対応するフルブリッジ構成に配置構成された複数の半導体スイッチを備えることができる。
【0055】
図2a)は、
図1a)に示すDC/DCコンバータ1の一実施形態と考えることができ、本発明の別の可能な出発点として考えることができる、基本的な従来技術のDC/DCデュアルアクティブブリッジ(DAB)コンバータ1’を示す。DC/ACコンバータ11は、その入力に接続された好ましくはDCリンクキャパシタを含むDC源からのDC電圧および/または電流を、中周波数、すなわち好ましくは500Hz~500kHzの周波数範囲内のAC電圧および/または電流に変換するように構成されている。上記AC電圧および/または電流は、変圧器141’、特に中周波変圧器(MFT)を備えるAC中間回路14’に供給され、上記変圧器は一次側および二次側を備え、上記側の間にガルバニック絶縁を提供する。変圧器は、とりわけ、結合インダクタンスL
mおよびL
m’ならびに漂遊インダクタンスL
sによって特徴付けることができ、1つまたは複数のその一次側巻線は、インピーダンス素子としてのインダクタを介してDC/ACコンバータに接続され、エネルギー伝達インダクタとして参照されることもある上記インダクタは、インダクタンスL
DAB1を有する。変圧器は、その一次側の電圧および/または電流を既知の方法で二次側電圧および/または電流に変換する。上記二次側電圧および/または電流は、その後、AC/DCコンバータ16’、特に整流器によって、上記AC/DCコンバータ16の出力におけるDC電圧および/または電流に変換される。変圧器の二次側とAD/DCコンバータとの間に接続された任意選択のインダクタは、好ましくはL
DAB1と少なくとも本質的に同一であるインダクタンスL
DAB2を有することが好ましい。DC/ACコンバータ12は、特に、
図1b)に示すものに対応するハーフブリッジ構成に配置構成された、または
図1c)に示すものに対応するフルブリッジ構成に配置構成された複数の半導体スイッチを備えることができる。同様に、AC/DCコンバータ16は、特に、
図1b)に示すものに対応するハーフブリッジ構成に配置構成された、または
図1c)に示すものに対応するフルブリッジ構成に配置構成された複数の半導体スイッチを備えることができる。デュアルアクティブブリッジコンバータは、スイス特許出願公開第707 533号明細書または米国特許出願公開第2018/0159435号明細書にも例示的に記載されている。
【0056】
図2b)は、
図1a)に示すDC/DCコンバータ1の別の実施形態と考えることができ、本発明のさらに別の可能な出発点として考えることができる、基本的な従来技術の共振DC/DCコンバータ1’’を示す。DC/ACコンバータ11は、その入力に接続された好ましくはDCリンクキャパシタを含むDC源からのDC電圧および/または電流を、中周波数、すなわち好ましくは500Hz~500kHzの周波数範囲内のAC電圧および/または電流に変換するように構成されている。上記AC電圧および/または電流は、変圧器141’’、特に中周波変圧器(MFT)を備えるAC中間回路14’’に供給され、上記変圧器は一次側および二次側を備え、上記側の間にガルバニック絶縁を提供する。変圧器は、とりわけ、結合インダクタンスL
mおよびL
m’ならびに漂遊インダクタンスL
sによって特徴付けることができ、1つまたは複数のその一次側巻線は、インピーダンス素子としてのキャパシタを介してDC/ACコンバータに接続され、上記キャパシタは、キャパシタンスC
res1を有する。キャパシタは漂遊インダクタンスとともに、AC中間回路によって構成されている共振タンクの一部分であり、これは電気エネルギーを蓄積することができ、L
sおよびC
res1の値に依存する共振周波数によって特徴付けられる。したがって、キャパシタは一般に共振キャパシタとして参照される。変圧器は、その一次側の電圧および/または電流を既知の方法で二次側電圧および/または電流に変換する。上記二次側電圧および/または電流は、その後、AC/DCコンバータ16、特に整流器によって、上記AC/DCコンバータ16の出力におけるDC電圧および/または電流に変換される。DC/ACコンバータ12は、特に、
図1b)に示すものに対応するハーフブリッジ構成に配置構成された、または
図1c)に示すものに対応するフルブリッジ構成に配置構成された複数の半導体スイッチを備えることができる。同様に、AC/DCコンバータ16は、特に、
図1b)に示すものに対応するハーフブリッジ構成に配置構成された、または
図1c)に示すものに対応するフルブリッジ構成に配置構成された複数の半導体スイッチを備えることができる。上述のようなアクティブブリッジを備え、双方向の電力の流れを可能にする変形例の代替形態として、AC/DCコンバータ16は、特に、半導体スイッチなしで具現化されてもよく、一方向の電力の流れのみが必要な場合にハーフブリッジまたはフルブリッジ構成でのみ配置構成されたダイオードを備えてもよい。共振DC/DCコンバータは、国際公開第2018/141092号に例示的に記載されている。
【0057】
図3は、
図1a)のDC/DCコンバータの1つの可能な実施形態のより詳細な概略図を示し、2つの平行な巻線が変圧器の一次側1001と二次側1002の両方に設けられており、インピーダンス素子
Z
1
および
Z
2
が平行な巻線の間で分割され、分配されている。また、単に背景情報のために、第1のDCリンク10に接続された電圧源、第2のDCリンク18に接続されており、抵抗R
loadによって特徴付けられる抵抗負荷、ならびに(灰色の)変圧器のコアおよび漂遊磁束のリラクタンスネットワーク19が示されている。
【0058】
図4は、
図3のDC/DCコンバータの一実施形態として例示的な共振DC/DCコンバータにおいて利用される、本発明による変圧器の概略図である。変圧器の一次側の第1のコイル100は、M=2個の第1の巻線101,102の対と、第1のキャパシタ121,122の対とを備え、各第1のキャパシタは、第1の巻線のうちのそれぞれ1つと直列に接続されている。変圧器は、タンク4内に含まれる電気絶縁油40に浸漬される。単純で安全で確実な方法で第1のコイルとの電気接続を確立することができるように第1および第2のブッシング41および42がタンクの壁に配置されている。タンクから離れる方に向いている第1のブッシングの端部には第1の端子411,412の対が設けられており、各第1の端子は、特に、ケーブルシューを取り付けることを可能にすることができる。2つの第1のコネクタ413,414は、第1の端子411,412をコイル101,102の第1の終端部にそれぞれ接続する。第1のコネクタは、第1のブッシング41内に設けられた第1のチャネル410を通って延在している。第1の巻線101,102の第2の終端部は、絶縁油40内、したがってタンク4内で、ノードT
2において互いに接続されている。タンクから離れる方に向いている第2のブッシング42の端部には第2の端子421が設けられており、第2の端子は、特に、ケーブルシューを取り付けることを可能にすることができる。単一の第2のコネクタ423は、第2の端子421をノードT
2に接続する。また、変圧器の二次側の第2のコイル200は、M=2個の第2の巻線201,202の対と、第2のキャパシタ221,222の対とを備え、各第2のキャパシタは、第2の巻線201,202のうちのそれぞれ1つと直列に接続されている。第3および第4のブッシング43および44が設けられており、第3および第4のブッシング43および44は、それぞれ第1および第2のブッシング41および42と少なくとも本質的に同一であり、対応して単純で安全で確実な方法で第2のコイルとの電気接続を確立することができるように、少なくとも本質的に同様の方法で配置されている。
【0059】
特に指定されない限り、特にノード、点、端子、要素、デバイスなど、またはそれらの組み合わせを含む任意の2つのエンティティ間の接続は、特にワイヤ、ケーブル、バスバー、導電性トラック、例えば(プリント)回路基板上のトレースまたはライン、はんだなどによって確立されるような導電性接続を指してもよい。導電性接続は、好ましくは、特に抵抗器、キャパシタ、インダクタ、または接続されたエンティティ間に接続された他の受動または能動素子またはデバイスのような、特にいかなる別個の要素も有せず、少なくとも実質的に直接的である。したがって、導電性接続は、少なくとも本質的に無視できる抵抗、キャパシタンスおよびインダクタンス、好ましくは少なくとも本質的にゼロの抵抗、キャパシタンスおよびインダクタンスを有する。特に、導電性接続の抵抗、キャパシタンスおよびインダクタンスは、本質的に排他的に寄生的である。さらに、導電性接続の抵抗、キャパシタンスおよびインダクタンスは、導電性接続によって接続された、および/または導電性接続を含む電気回路もしくはネットワークに含まれる抵抗器、キャパシタまたはインダクタのそれぞれの抵抗、キャパシタンスおよびインピーダンスよりも著しく小さい(好ましくは1/100倍、1/1000倍または1/10000倍)。
【0060】
特に明記しない限り、電気接続または電気的接続は、上記で定義した接続と同一である。
【0061】
特に明記しない限り、特にノード、点、端子、要素、デバイスなど、またはそれらの組み合わせを含む2つのエンティティが接続され、電気的に接続され、または(電気的に)互いに接続されると言われる場合、上記で定義したような接続が2つのエンティティ間に存在する。
【0062】
特に指定されない限り、特に第1および第2のノード、点、端子、要素、デバイスなど、またはそれらの組み合わせを含む第1のエンティティおよび第2のエンティティが、特に第3のノード、点、端子、要素、デバイスを含む第3のエンティティを介して、またはそれらの間のそのような第3のエンティティと接続されると言われる場合、上記のような接続が、第1のエンティティと第3のエンティティとの間、ならびに第3のエンティティと第2のエンティティとの間に存在する。しかしながら、第1のエンティティと第2のエンティティとの間に上述したような接続はなく、特に、少なくとも実質的に直接的な接続は存在しない。明示的に指定されている場合、第3の要素は、特に接続、特に導体、ワイヤ、ケーブル、バスバーなどであってもよい。このような場合には、指定されたもの以外に上記のような接続が存在しないものと仮定してもよい。
【0063】
特に明記しない限り、本特許出願全体を通して、a≒bという記述は、|a-b|/(|a|+|b|)<10、好ましくは|a-b|/(|a|+|b|)<100を意味すると仮定され、aおよびbは、本特許出願のどこかに記載および/または定義されているような、または当業者に知られているような任意の変数を表すことができる。さらに、aがbと少なくともおおよそ等しい、または少なくともおおよそ同一であるという記述は、a≒b、好ましくはa=bであることを意味する。さらに、特に明記しない限り、本特許出願全体を通して、a>>bという記載は、a>10b、好ましくはa>100bを意味すると仮定され、a<<bという記述は、10a<b、好ましくは100a<bを意味する。さらに、特に明記しない限り、本特許出願全体を通して、a>>bである、またはaがbよりも著しく大きいもしくははるかに大きいという記述は、a>10b、好ましくはa>100bであることを意味すると仮定され、a<<b、またはaがbよりも著しく小さいもしくははるかに小さいという記述は、10a<b、好ましくは100a<bであることを意味する。さらに、2つの値aおよびbが互いに大幅に逸脱するか、または大きく異なるという記述は、a≒bが成り立たないこと、特にa>>bまたはa<<bを意味する。
【0064】
本発明の態様および実施形態を例示するこの説明および添付の図面は、保護される発明を定義する特許請求の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。言い換えれば、本発明は、図面および前述の説明において詳細に図示および説明されてきたが、そのような図示および説明は、図示的または例示的であって限定的ではないと考えられるべきである。本明細書および特許請求の範囲の思想および範囲から逸脱することなく、様々な機械的、組成的、構造的、電気的、および動作的変更を行うことができる。いくつかの例では、本発明を不明瞭にしないために、周知の回路、構造、および技法は詳細に示されていない。したがって、添付の特許請求項の範囲内で当業者によって変更および修正が行われ得ることが理解されよう。特に、本発明は、上記および下記の異なるおよび/または個々の実施形態からの特徴の任意の組み合わせを有するさらなる実施形態を包含する。本発明による実施形態は、特に、図面に示されていない、または上述されていないさらなるおよび/または追加の特徴、要素、態様などを含むことができる。
【0065】
本明細書および特に特許請求の範囲に列挙された方法ステップは、好ましくは列挙された順序で実行されるが、代替的に、技術的かつ実用的に実現可能な限り、任意の他の順序で実行されてもよい。
【0066】
本開示はまた、図面に示されているすべてのさらなる特徴を個別に包含するが、それらは前述または後述の説明では説明されていない場合がある。また、図および本明細書に記載された実施形態の個々の代替形態およびその特徴の個々の代替形態は、本発明の主題または開示された主題から除外することができる。本開示は、特許請求の範囲または例示的な実施形態で定義された特徴からなる主題、ならびに上記特徴を含む主題を含む。
【0067】
さらに、特許請求の範囲において、「備える(comprising)」という単語はさらなるまたは追加の特徴、要素、ステップなどを排除するものではなく、不定冠詞「a」または「an」は複数を除外しない。単一のユニットまたはステップは、特許請求の範囲に記載のいくつかの特徴の機能を果たすことができる。特定の手段が相互に異なる従属請求項に列挙されているというだけの事実は、これらの手段の組み合わせが有利に使用できないことを示すものではない。属性、特性または値に関連する「本質的に」、「約」、「おおよそ」などの用語はまた、特に、述べられたように、それぞれ正確にその属性、特性または値も含む。所与の数値または範囲の文脈における「おおよそ」または「約」という用語は、例えば、所与の値または範囲の20%以内、10%以内、5%以内、または2%以内である値または範囲を指し、特に、記載された正確な値または範囲も含む。結合または接続されたと記載された構成要素は、電気的または機械的に直接結合されてもよく、または1つまたは複数の中間構成要素を介して間接的に結合されてもよい。特許請求の範囲内のいかなる参照符号も、範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0068】
本発明のさらなる実施形態は、以下の態様に開示される。
1)変圧器、特に共振DC/DCコンバータ(1’’)またはデュアルアクティブブリッジDC/DCコンバータ(1’)のための中周波変圧器であって、
a)コア、特に空隙を有するコアと、
b)上記コアの第1の区画を囲む第1のコイル(100)と、
c)上記第1のコイルを囲む電気絶縁体、特に中電圧電気絶縁体(40)とを備え、
d)上記第1のコイルは、複数M個の第1の巻線(101,102)を備え、
e)上記複数M個の第1の巻線の各々は、
i)第1の終端部および第2の終端部と、
ii)上記第1の終端部と上記第2の終端部との間に少なくとも1つのターンで上記コアの上記第1の部分の周りに巻かれた導体とを備え、上記変圧器はさらに、
f)上記絶縁体の外側に設けられた複数M個の第1の端子(411,412)を備え、上記第1の端子の各々は、複数M個の第1のコネクタ(413,414)のうちの1つによって上記第1の終端部のうちの異なる1つに接続されており、その結果、各第1の端子をそれぞれの第1の終端部に接続しており、上記変圧器はさらに、
g)上記電気絶縁体の外側から上記電気絶縁体の中に延在して少なくとも部分的に上記電気絶縁体を通って延在する第1のチャネル(410)を備え、上記複数M個の第1のコネクタは、上記第1のチャネルを通って延在しており、
h)上記複数M個の第1のコネクタは、上記チャネル内の低電圧絶縁体(415)によって互いに絶縁され、好ましくは上記第1のコネクタのうちのいずれか2つの間には中電圧および/または高電圧絶縁体は存在しない、変圧器。
【0069】
2)a)上記第2の終端部は、上記電気絶縁体内または上記電気絶縁体の内部で互いに接続されており、
b)第2の端子(421)は、上記電気絶縁体の外側に設けられ、第2のコネクタ(423)によって上記第2の終端部に接続されている、態様1に記載の変圧器。
【0070】
3)a)上記電気絶縁体の外側に設けられた複数M個の第2の端子をさらに備え、上記第2の端子の各々は、複数M個の第2のコネクタのうちの1つによって上記第2の終端部のうちの異なる1つに接続されており、その結果、各第2の端子をそれぞれの第2の終端部に接続しており、上記変圧器はさらに、
b)上記電気絶縁体の外側から上記電気絶縁体の中に延在して少なくとも部分的に上記電気絶縁体を通って延在する第2のチャネルを備え、上記複数M個の第2のコネクタは、上記第2のチャネルを通って延在しており、
c)上記複数M個の第2のコネクタは、上記チャネル内の低電圧絶縁体によって互いに絶縁され、好ましくは上記第2のコネクタのうちのいずれかの間には中電圧および/または高電圧絶縁体は存在しない、態様1に記載の変圧器。
【0071】
4)上記第1および/または第2のチャネルを囲む壁は、中電圧または高電圧絶縁体、特に上記電気絶縁体に対する第1および/または第2のコネクタ(413,414,423)の中電圧または高電圧絶縁体を提供する、先行する態様のいずれか1つに記載の変圧器。
【0072】
5)上記電気絶縁体は、タンク(4)、入れ物または他の容器の中の電気絶縁流体、特に油を備え、上記流体の中に上記第1のコイル(100)、好ましくは上記変圧器全体が浸漬され、上記第1のチャネルは、上記容器の壁を通って少なくとも部分的に上記流体の中に延在するブッシング内に設けられる、先行する態様のいずれか1つに記載の変圧器。
【0073】
6)上記電気絶縁体は、上記コイル(100)の周りに鋳造される、態様1~4のいずれか1つに記載の変圧器。
【0074】
7)上記第1および/または第2のコネクタ(413,414,423)の各々は、リッツ線を備え、特にリッツ線から作製される、先行する態様のいずれか1つに記載の変圧器。
【0075】
8)各巻線(101,102)の上記導体は、リッツ線によって形成され、上記第1および/または第2のコネクタ(413,414,423)の各々は、それが接続する上記導体と一体に、同一のリッツ線によって、特にリッツ線の1本の撚り線として形成される、先行する態様のいずれか1つに記載の変圧器。
【0076】
9)上記リッツ線は、好ましくは少なくとも本質的にその全長に沿って延在する絶縁被覆またはクラッドを備え、上記絶縁被覆またはクラッドは、低電圧絶縁体を提供し、好ましくは中電圧および/または高電圧絶縁体を提供せず、上記絶縁被覆またはクラッドの厚さは、好ましくは5mm未満であり、2.5mm未満であり、1mm未満であり、または0.5mm未満である、態様7または8に記載の変圧器。
【0077】
10)上記第1のチャネル(410)は、少なくともおおよそ上記コアの上記第1の区画に対して垂直な方向に、および/または、少なくともおおよそ上記巻線(101,102)および/または上記第1のコイル(100)によって規定される長手方向に対して垂直な方向に延在している、先行する態様のいずれか1つに記載の変圧器。
【0078】
11)a)上記コアの上記第1の区画または第2の区画を囲む第2のコイル(200)と、
b)上記第2のコイルを囲む電気絶縁体、特に中電圧電気絶縁体(40)とをさらに備え、
c)上記第2のコイルは、複数M’個の第2の巻線(201,202)を備え、
d)上記複数M’個の第2の巻線の各々は、
i)第3の終端部および第4の終端部と、
ii)上記第3の終端部と上記第4の終端部との間に少なくとも1つのターンで上記コアの上記第1または上記第2の部分の周りに巻かれた導体とを備え、上記変圧器はさらに、
e)上記絶縁体の外側に設けられた複数M’個の第3の端子を備え、上記第3の端子の各々は、複数M’個の第3のコネクタのうちの1つによって上記第3の終端部のうちの異なる1つに接続されており、その結果、各第3の端子をそれぞれの第3の終端部に接続しており、上記変圧器はさらに、
f)上記電気絶縁体の外側から上記電気絶縁体の中に延在して少なくとも部分的に上記電気絶縁体を通って延在する第3のチャネルを備え、上記複数M’個の第3のコネクタは、上記第3のチャネルを通って延在しており、
g)上記複数M’個の第3のコネクタは、上記第3のチャネル内の低電圧絶縁体によって互いに絶縁され、好ましくは上記第3のコネクタのうちのいずれか2つの間には中電圧および/または高電圧絶縁体は存在しない、先行する態様のいずれか1つに記載の変圧器。
【0079】
12)上記第1の巻線(101,102)は、上記変圧器の一次巻線を形成し、上記第2の巻線(201,202)は、上記変圧器の二次巻線を形成する、先行する態様のいずれか1つに記載の変圧器。
【0080】
13)上記第1のコイル(100)も上記第2のコイル(200)も、特に少なくとも本質的に同軸配置で上記コアの上記第1の区画を囲んでいる、態様11または12に記載の変圧器。
【0081】
14)上記第1のコイルは上記第2のコイルを囲み、またはその逆である、態様11~13のいずれか1つに記載の変圧器。
【0082】
15)上記第1のコイルは、
a)巻線(101,102)の対を備え、上記巻線の対は、
i)第1の導電性箔帯(111,111’,111’’)から作製され、互いを囲む第1の複数のターンを備える第1の巻線(101)と、
ii)第2の導電性箔帯(112,112’,112’’)から作製され、互いを囲む第2の複数のターンを備える第2の巻線(102)とを備え、上記第1の複数のターンの各ターンは、上記第2の複数のターンの1つのターンによって隣接して囲まれ、
iii)上記第1および第2の巻線の最内端は、上記それぞれの巻線の上記第2の終端部を形成し、
iv)上記第1および第2の巻線の最外端は、上記それぞれの巻線の上記第1の終端部を形成する、先行する態様のいずれか1つに記載の変圧器。