(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-05
(45)【発行日】2024-03-13
(54)【発明の名称】コインタイマーの硬貨返却部構造
(51)【国際特許分類】
G07F 9/00 20060101AFI20240306BHJP
【FI】
G07F9/00 104
(21)【出願番号】P 2023097030
(22)【出願日】2023-06-13
【審査請求日】2023-06-21
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516382098
【氏名又は名称】株式会社ボディワークサービス
(74)【代理人】
【識別番号】100137338
【氏名又は名称】辻田 朋子
(72)【発明者】
【氏名】大野 政嗣
【審査官】永安 真
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-176622(JP,A)
【文献】登録実用新案第3038550(JP,U)
【文献】実開昭60-010376(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07F 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬貨投入口と、前記硬貨投入口の下方に設けられた硬貨返却部と、を備え、前記硬貨返却部が、正面側に開口することで使用者の手を挿通可能な硬貨返却部本体と、前記硬貨投入口に投入された硬貨を
、前記硬貨返却部本体の背面側から排出し、前記硬貨返却部本体に落下させるための落下空間と、を有するコインタイマーの硬貨返却部構造であって、
前記落下空間を通過する硬貨が衝突する緩衝部を備え、
前記緩衝部は、
可撓性フィルムにより構成され、前記硬貨返却部の正面側から背面側に向かって延びて設けられることで、背面側端部を自由端として撓むことが可能に構成され、衝突した前記硬貨の自重により撓むことで、前記硬貨を前記硬貨返却部本体に誘導し、
前記硬貨返却部本体の上部開口は、前記緩衝部が、上面視で、その背面側端部から前記硬貨返却部本体の背面側内周面まで間隔が空くように設けられることで、前記緩衝部により部分的に覆われている、コインタイマーの硬貨返却部構造。
【請求項2】
前記緩衝部は、前記硬貨返却部本体の上端に隣接して設けられている、請求項1に記載のコインタイマーの硬貨返却部構造。
【請求項3】
前記緩衝部を、前記硬貨返却部に着脱可能に設ける着脱手段を備える、
請求項1に記載のコインタイマーの硬貨返却部構造。
【請求項4】
前記着脱手段は、粘着テープである、請求項3に記載のコインタイマーの硬貨返却部構造。
【請求項5】
前記硬貨返却部は、前記緩衝部を取付けるために、前記緩衝部の正面側端部が載置される取付部を有し、
前記取付部は、前記硬貨返却部の正面側から背面側に延びて設けられた略平板状部材であり、
前記取付部の上面は、
前記硬貨返却部本体が形成する硬貨返却空間と前記落下空間との間に介在するように設けられている、請求項1に記載のコインタイマーの硬貨返却部構造。
【請求項6】
請求項1~5の何れかに記載の硬貨返却部構造を有する、コインタイマー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コインタイマーの硬貨返却部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、様々な施設において、共用設備に一定の利用制限を掛けるために、コインタイマーが広く用いられてきた。
【0003】
コインタイマーは、通常10円や100円等、動作に必要な硬貨の種類が決められており、利用者が、特定の硬貨と異なる種類の硬貨を投入した場合、内部でこれが検知され、当該硬貨は、返却部に誘導される。
また、経年使用による検知手段の劣化等により、特定の硬貨を投入した場合でも、検知手段が上手く作動せず、当該硬貨が返却部に誘導されることもある。
【0004】
そして、返却部へと誘導される硬貨は、一定の勢いが付いていることから、返却口から飛出してしまうことがあり、回収にあたって利用者に不便を感じさせることがあった。
【0005】
このような問題を解決するために、特許文献1には、簡単な構成で返却口からの硬貨の飛出しを防止し、取り扱い性を向上させた前金制御装置に関する発明が記載されている。
【0006】
この発明は、硬貨返却部の開放口縁側に、硬貨取出し空間を確保するように硬貨衝突壁を形成することで、傾斜した返却通路により一定の速度で転がり落ち、硬貨返却部に飛出した硬貨を受止めることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開平9-204564号公報
【文献】http://www.d-box.co.jp/
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載の発明は、硬貨の飛出しを防止するにあたって、硬貨衝突壁を設けるのみならず、これに対応する縦長の硬貨返却出口や返却通路を設ける必要があり、構成が複雑化する。
また、特にマッサージ機等に併設されているコインタイマーは、非特許文献1に記載されているように、投入口から検知手段を介して、シンプルに返却部に落下する形式のものが多く、上記構成を容易に適用することができない。
【0009】
本発明は上記のような実状に鑑みてなされたものであり、簡易な構成で、好適に硬貨の飛出しを防止することが可能な、コインタイマーの硬貨返却部構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明は、硬貨投入口と、前記硬貨投入口の下方に設けられた硬貨返却部と、を備え、前記硬貨返却部が、正面側に開口することで使用者の手を挿通可能な硬貨返却空間と、前記硬貨投入口に投入された硬貨を前記硬貨返却空間に落下させるための落下空間と、を有するコインタイマーの硬貨返却部構造であって、
前記落下空間を通過する硬貨が衝突する緩衝部を備え、
前記緩衝部は、衝突した前記硬貨を前記硬貨返却部本体に誘導可能に構成されている。
【0011】
本発明によれば、落下空間を通過する硬貨が衝突する緩衝部を備えることで、硬貨の落下速度を、緩衝部への衝突でもって減速させることができる。
これにより、硬貨返却空間に落下した際の硬貨の跳上がりを好適に抑制し、硬貨が、硬貨返却空間の正面側開口から飛出す事態を防止することができる。
【0012】
本発明の好ましい形態では、前記緩衝部は、前記硬貨返却空間の上端に隣接して設けられている。
【0013】
このようにすることで、硬貨が緩衝部に衝突してから硬貨返却空間に落下するまでの距離・時間を極力小さくすることができ、より好適に硬貨の跳上がりを抑制することで、硬貨の飛出しをより好適に防止することができる。
【0014】
本発明の好ましい形態では、前記緩衝部は、硬貨返却部の正面側から背面側に向かって延びて設けられている。
【0015】
このようにすることで、硬貨の硬貨返却空間への落下位置を、正面側開口から遠い位置にすることができ、硬貨の飛出しをより好適に防止することができる。
【0016】
本発明の好ましい形態では、前記緩衝部は、可撓性フィルムにより構成され、衝突した前記硬貨の自重により撓むことで、前記硬貨を前記硬貨返却空間に誘導する。
【0017】
このようにすることで、緩衝部への衝突にあたって硬貨の損傷を防止しつつ、硬貨の飛出しを防止することができる。
【0018】
本発明の好ましい形態では、前記緩衝部は、前記硬貨返却部に着脱可能に設けられている。
【0019】
このようにすることで、既存のコインタイマーに対しても容易に本構造を適用できる上、緩衝部が経年劣化した場合等に、緩衝部の交換が容易となり、本構造の利便性が向上する。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、簡易な構成で、好適に硬貨の飛出しを防止することが可能な、コインタイマーの硬貨返却部構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の実施形態に係るコインタイマーの概略斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態に係るコインタイマーの内部を示す断面図であって、(a)PP´線断面図、(b)QQ´線拡大断面図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る硬貨返却部構造を有するコインタイマーにおいて、硬貨が返却されるまでの流れを示す拡大断面図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る硬貨返却部構造を有するコインタイマーにおいて、硬貨が返却されるまでの流れを示す拡大断面図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る硬貨返却部構造を有するコインタイマーにおいて、硬貨が返却されるまでの流れを示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
<構成>
以下、
図1及び
図2を用いて、本発明の実施形態に係るコインタイマーの返却部構造の構成について説明する。
なお、以下に示す実施形態は本発明の一例であり、本発明を以下の実施形態に限定するものではない。
また、これらの図において、符号Aは、本実施形態に係るコインタイマーを示し、符号Bは、本実施形態に係る硬貨返却部構造を示す。
また、以下、説明の便宜上、
図1における矢印x方向を正面とする。
【0023】
<<コインタイマーA>>
図1及び
図2に示すように、コインタイマーAは、硬貨投入口A1と、硬貨投入口A1の下方に設けられた硬貨返却部A2と、を備えている。
なお、
図2(a)において、硬貨投入口A1や、後述する硬貨識別手段A3、硬貨収容部A4及びについては、断面図で示しておらず、連結手段A5の図示は省略している。
また、コインタイマーAは、一般的な、硬貨返却部A2に硬貨を落下させる形式のものを概略的に示しており、硬貨返却部構造Bを適用するにあたって、コインタイマーAの構成はこれに限定されない。
【0024】
詳述すれば、コインタイマーAは、正面側が開口した略直方体の箱状体である第一構成体H1と、第一構成体H1の開口を閉塞する略板状の第二構成体H2と、が連結されることで構成される筐体Hにより、その外形状が概略構成されている。
そして、硬貨投入口A1は筐体Hの外部(第一構成体H1の上面部)に、硬貨返却部A2は筐体Hの内部に、それぞれ設けられている。
【0025】
硬貨投入口A1は、硬貨C(
図3等参照)を起立姿勢(硬貨の面直方向が地面と略平行となる姿勢)で投入可能に構成され、後述する第一構成体H1内部の硬貨識別手段A3と連通している。
【0026】
硬貨返却部A2は、正面側に開口することで使用者X(
図5参照)の手を挿通可能な硬貨返却部本体A21と、硬貨投入口A1に投入された硬貨Cを硬貨返却部本体A21に落下させるための落下空間A22と、後述する緩衝部B1を取付けるための取付部A23と、を有している。
【0027】
硬貨返却部本体A21は、特に
図2に示すように、第二構成体H2の内面から突設された箱状体であり、略直方体状の空間(以下、硬貨返却空間Sと称する)を形成している。
また、硬貨返却部本体A21は、その上方が開口することで硬貨返却空間Sと落下空間A22とが連通し、その正面側が開口することで硬貨返却空間Sと外部空間とが連通している。
【0028】
落下空間A22は、特に
図2に示すように、硬貨識別手段A3の誘導路rの下方から硬貨返却空間Sの上方までの空間であり、
図2においては仮想的に一点鎖線で示している。
なお、落下空間A22は、一点鎖線の領域に筒状体を配置することで、この内部空間として構成されていても良い。
【0029】
取付部A23は、硬貨返却空間Sの上端部に、第二構成体H2の内面から突設されて構成された略平板状部材である。
これにより、取付部A23の上面は、硬貨返却空間Sと落下空間A22との間に介在することとなる。
【0030】
その他、コインタイマーAの構成について詳述すれば、コインタイマーAは、第一構成体H1の内面に取付けられた硬貨識別手段A3と、硬貨識別手段A3の下部に設けられ、硬貨識別手段A3の内部と連通する硬貨収容部A4と、を備えている。
また、コインタイマーAは、第二構成体H2を第一構成体H1に連結するための連結手段A5と、第二構成体H2の内面下部から突設され、第一構成体H1の底面部に載置される錘部A6と、第二構成体H2の内面上端から突設され、第一構成体H1の上面部に当接する舌片A7と、を備えている。
【0031】
硬貨識別手段A3は、硬貨投入口A1に投入された硬貨の種類を識別し、硬貨収容部A4に誘導するか、落下空間A22に誘導するか、を決定する。
また、硬貨識別手段A3の正面側には、硬貨の排出口(図示せず)が設けられており、硬貨が起立姿勢で落下空間A22に向かって排出される。
なお、排出口からは、下方に向かって傾斜した誘導路rが突設されている。
【0032】
硬貨収容部A4は、硬貨識別手段A3から誘導された硬貨を一定量蓄積することができる。
【0033】
連結手段A5は、その構成の一部として、第二構成体H2に設けられた鍵穴を有しており、施設の管理者等は、この鍵穴に専用の鍵を差し込み、特定の方向に回動させることで、第一構成体H1と第二構成体H2との連結又は解除状態を任意に切り替えることができる。
【0034】
錘部A6は、硬貨収容部A4の下方まで延び、上方に向かって開口した箱状体であり、第二構成体H2を第一構成体H1に取付ける際に、取付け易さ及び取付け状態の安定性を向上させる。
【0035】
舌片A7は、錘部A5と同様に、第二構成体H2を第一構成体H1に取付ける際に、取付け易さ及び取付け状態の安定性を向上させる。
【0036】
<<硬貨返却部構造B>>
硬貨返却部構造Bは、落下空間A22を通過する硬貨が衝突する緩衝部B1と、緩衝部B1を、硬貨返却部本体A21に着脱可能に設ける着脱手段B2と、を備えている。
【0037】
緩衝部B1は、取付部A23の上面部に取付けられた半透明の可撓性フィルムであり、着脱手段B2は、緩衝部B1の一端を覆う粘着テープである。
【0038】
緩衝部B1について詳述すれば、緩衝部B1は、特に
図2に示すように、略長方形状に構成されている。
また、緩衝部B1は、その正面側端部が、着脱手段B2により取付部A23に取付けられることで、硬貨返却部本体A21の上端に隣接し、且つコインタイマーAの正面側から背面側に向かって延びて設けられている。
【0039】
これにより、緩衝部B1は、硬貨返却部本体A21の上部開口を部分的に覆って設けられており、背面側端部を自由端として撓むことが可能に構成されている。
また、緩衝部B1は、硬貨返却空間Sと落下空間A22との間に介在することとなる。
【0040】
なお、緩衝部B1は、例えばクリアファイル等の0.2mm~0.3mm程度の厚さの市販品を、返却部構造Bを適用するコインタイマーに合わせて任意の形状に切出すことで、容易に形成することができる。
また、着脱手段B2は、既述の通り、市販品の粘着テープを、返却部構造Bを適用するコインタイマーに合わせて任意の形状に切出して用いれば良い。
【0041】
<流れ>
以下、
図3~
図5を用いて、本実施形態に係る硬貨返却部構造Bを有するコインタイマーAにおいて、硬貨Cが返却されるまでの流れを示す。
なお、本実施形態において、硬貨識別手段A3は、例えば100円玉を、硬貨収容部A4に誘導する特定の硬貨として識別し、他の硬貨を落下空間A22に誘導する。
また、
図3~
図5では、使用者Xが、硬貨投入口A1に、硬貨Cとして10円玉を投入し、返却されるまでの流れを示すが、他の硬貨であっても同様の流れとなる。
【0042】
まず、
図3(a)に示すように、使用者Xが、硬貨投入口A1に硬貨Cを投入すると、硬貨Cは、硬貨識別手段A3により識別され、排出口から誘導路rに誘導される。
【0043】
次に、
図3(b)に示すように、誘導路rを転動した硬貨Cは、落下空間A22に落下していく。
【0044】
次に、
図4(a)に示すように、硬貨Cは、そのまま重力により落下速度が増大しつつ、落下空間A22を落下し続け、緩衝部Bに接近する。
【0045】
次に、
図4(b)に示すように、硬貨Cは、緩衝部Bの先端側に衝突する。
このとき、可撓性フィルムである緩衝部Bは、衝突した硬貨Cの自重により、その先端側が下方に撓むと共に、硬貨Cの落下速度は、緩衝部Bへの衝突でもって減速される。
また、緩衝部Bの先端側が下方に撓むことにより、硬貨Cが硬貨返却空間Sに自然に誘導される。
【0046】
次に、
図4(c)に示すように、硬貨Cは、落下空間A22及び緩衝部Bを通過し、硬貨返却空間Sに落下する。
【0047】
次に、
図5(a)に示すように、硬貨Cは、硬貨返却部本体A21の底面に衝突した後、硬貨返却空間Sに収まる。
このとき、硬貨Cは、緩衝部Bへの衝突により減速されているため、硬貨返却空間S内で跳上がることなく、安定的に収まる。
【0048】
最後に、
図5(b)に示すように、使用者Xは、自身の指を、硬貨返却部本体A21の正面側開口から硬貨返却空間S内部に挿通し、硬貨Cを回収する。
【0049】
<効果>
本実施形態によれば、緩衝部B1により、衝突した硬貨Cを硬貨返却空間Sに誘導することで、硬貨Cの落下速度を、緩衝部B1への衝突でもって減速させることができる。
これにより、硬貨返却空間Sに落下した際の硬貨Cの跳上がりを好適に抑制し、硬貨Cが、硬貨返却空間Sの正面側開口から飛出す事態を防止することができる。
【0050】
また、緩衝部B1が硬貨返却部本体A21の上端に隣接して設けられていることで、硬貨Cが緩衝部B1に衝突してから硬貨返却空間Sに落下するまでの距離・時間を極力小さくすることができる。
これにより、より好適に硬貨Cの跳上がりを抑制し、硬貨Cの飛出しをより好適に防止することができる。
【0051】
また、緩衝部B1が硬貨返却部A2の正面側から背面側に向かって延びて設けられていることで、硬貨Cの硬貨返却空間Sへの落下位置を、正面側開口から遠い位置にすることができ、硬貨Cの飛出しをより好適に防止することができる。
【0052】
また、緩衝部B1が、可撓性フィルムにより構成され、衝突した硬貨Cの自重により撓むことで、緩衝部B1への衝突にあたって硬貨Cの損傷を防止しつつ、硬貨Cの飛出しを防止することができる。
【0053】
また、着脱手段B2を備えることで、既存のコインタイマーAに対しても容易に返却部構造Bを適用できる上、緩衝部B1が経年劣化した場合等に、緩衝部B1の交換が容易となり、返却部構造Bの利便性が向上する。
例えば、本実施形態におけるコインタイマーAは、第二筐体H2を第一構成体H1から取外し可能であるから、施設の管理者等は、第二構成体H2を取外すことで、取付部A23を外部に露出させ、容易に緩衝部B1の着脱作業を行うことができる。
【0054】
<変更例>
なお、上述の実施形態において示した各構成部材の諸形状や寸法等は一例であって、設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0055】
例えば、
図2(b)に示す緩衝部B1の背面側端部から硬貨返却空間Sの背面側端部までの距離dや緩衝部B1の厚みは、硬貨の種類や落下位置、落下速度等を鑑みて、適宜変更可能である。
そして、施設の管理者等は、硬貨Cが緩衝部B1の先端側へ衝突した上で、硬貨返却空間Sに収まるように、距離dや緩衝部B1の厚みを調整することができる。
【0056】
また、硬貨返却空間Sの上部開口の大きさや硬貨返却部A2の構成は、既存のコインタイマーAの一例として例示したものである。
このため、返却部構造Bを適用するコインタイマーの硬貨返却部の仕様に合わせて、緩衝部B1の大きさや形状、着脱手段B2による緩衝部B1の取付け位置は、適宜変更可能である。
【0057】
また、本実施形態においては、緩衝部B1を可撓性フィルムとした例を示したが、第二筐体H2の内面から下方に向かって突設された剛性を有する板状体であっても良い。
【0058】
また、本実施形態においては、着脱手段B2を粘着テープとした例を示したが、他の粘着剤や剛性を有する固定具(ネジ等)等であっても良い。
【0059】
また、本実施形態においては、取付部A23の上面に緩衝部Bを取付けた例を示したが、取付部A23は必須ではなく、例えば、緩衝部Bを、第二構成体H2の内面に取付けることで、落下空間A22と硬貨返却空間Sとの間に介在させても良い。
【符号の説明】
【0060】
A コインタイマー
A1 硬貨投入口
A2 硬貨返却部
A21 硬貨返却部本体
A22 落下空間
A23 取付部
S 硬貨返却空間
A3 硬貨識別手段
A4 硬貨収容部
A5 連結手段
A6 錘部
A7 舌片
H 筐体部
H1 第一構成体
H2 第二構成体
B 返却部構造
B1 緩衝部
B2 着脱手段
C 硬貨
X 使用者
【要約】
【課題】簡易な構成で、好適に硬貨の飛出しを防止することが可能な、コインタイマーの硬貨返却部構造を提供する。
【解決手段】硬貨投入口A1と、硬貨投入口A1の下方に設けられた硬貨返却部A2と、を備え、硬貨返却部A2が、正面側に開口することで使用者Xの手を挿通可能な硬貨返却部本体A21と、硬貨投入口A1に投入された硬貨Cを硬貨返却部本体A21に落下させるための落下空間A22と、を有するコインタイマーAの硬貨返却部構造であって、落下空間A22を通過する硬貨Cが衝突する緩衝部Bを備え、緩衝部Bは、衝突した硬貨Cを硬貨返却部本体A21に誘導可能に構成されている。
【選択図】
図2