(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-05
(45)【発行日】2024-03-13
(54)【発明の名称】温度監視システム、温度監視制御装置、温度監視端末装置、温度監視方法、及び温度監視プログラム
(51)【国際特許分類】
A61B 5/01 20060101AFI20240306BHJP
G01J 5/48 20220101ALI20240306BHJP
G08B 25/04 20060101ALI20240306BHJP
G08B 21/02 20060101ALI20240306BHJP
【FI】
A61B5/01 100
G01J5/48 A
G08B25/04 K
G08B21/02
(21)【出願番号】P 2020104634
(22)【出願日】2020-06-17
【審査請求日】2023-06-13
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 2020.6.9 自社ウェブサイトに掲載 https://netsumiru.com/
(73)【特許権者】
【識別番号】520207136
【氏名又は名称】株式会社ネツミル
(74)【代理人】
【識別番号】100187322
【氏名又は名称】前川 直輝
(74)【代理人】
【識別番号】100208395
【氏名又は名称】北畠 健二
(72)【発明者】
【氏名】北村 健
【審査官】牧尾 尚能
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/170984(WO,A1)
【文献】特開2011-067371(JP,A)
【文献】特開2020-027465(JP,A)
【文献】特開2007-000244(JP,A)
【文献】特開2016-103786(JP,A)
【文献】国際公開第2017/209089(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第111207836(CN,A)
【文献】韓国公開特許第10-2011-0069197(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00 - 5/01
G08B 19/00 - 21/24
G08B 23/00 - 31/00
G01J 5/00 - 5/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定者の映像と赤外線像を取得するためのカメラ装置と、
前記カメラ装置が撮像した被測定者の映像のうち複数の被測定者を1人ずつの領域に識別する人物識別部と、
前記人物識別部が識別した領域に該当する被測定者の体表温度に関する情報である推定体表温度を、前記カメラ装置が撮像した被測定者の赤外線像から推定する温度推定部と、
前記被測定者に関する映像と前記被測定者の推定体表温度に関する情報を表示するための表示装置と、
前記推定体表温度が、予め定められた条件を満たすか否かを判別する本体制御部と、
前記本体制御部が、前記被測定者の推定体表温度が予め定められた条件を満たすと判別した場合、前記本体制御部が、前記被測定者の映像及び前記推定体表温度に関する情報を警戒人物の情報として生成し、生成された警戒人物の情報を送信する制御装置通信部と、
前記制御装置通信部から送信された前記警戒人物の情報を受信する端末通信部と、
前記端末通信部で受信した前記警戒人物の情報を記憶する端末記憶部と、
前記端末記憶部に記憶される前記警戒人物の情報を表示する端末表示部と、
を備える温度監視システム。
【請求項2】
前記本体制御部は、前記被測定者の推定体表温度が予め定められた条件を満たすと判別した場合、前記表示装置に警報情報を表示する請求項1に記載の温度監視システム。
【請求項3】
温度監視システムは、警戒人物を誘導するための誘導情報を記憶する制御装置記憶部を更に備え、
前記本体制御部は、前記被測定者の推定体表温度が予め定められた条件を満たすと判別した場合、前記表示装置に、前記制御装置記憶部に記憶される誘導情報を表示する請求項1又は2に記載の温度監視システム。
【請求項4】
前記人物識別部は、複数の被測定者を1人ずつの領域に識別し、
前記温度推定部は、前記人物識別部が識別した複数の領域に該当する複数の被測定者のそれぞれの体表温度に関する情報であるそれぞれの推定体表温度を、前記カメラ装置が撮像した複数の被測定者のそれぞれの赤外線像から推定する請求項1から3のいずれか一項に記載の温度監視システム。
【請求項5】
前記温度推定部は、前記人物識別部が識別した領域から発せられる赤外線により推定される前記被測定者の体表温度のうち、最も高い温度を推定体表温度として推定する請求項1から4のいずれか一項に記載の温度監視システム。
【請求項6】
前記制御装置通信部と前記端末通信部は、ピアツーピアの通信を行う通信手段により通信を行う請求項1から5のいずれか一項に記載の温度監視システム。
【請求項7】
前記制御装置通信部と前記端末通信部は他の中間装置を介することなく通信を行う請求項1から5のいずれか一項に記載の温度監視システム。
【請求項8】
温度監視システムは、前記本体制御部が生成する前記警戒人物の情報を記憶する制御装置記憶部を更に備え、
前記本体制御部は、前記警戒人物の情報を制御装置通信部から前記端末通信部へ送信した後に、前記制御装置記憶部に記憶されている前記警戒人物の情報を消去する請求項1から7のいずれか一項に記載の温度監視システム。
【請求項9】
温度監視システムは、端末制御部と、温度監視端末装置に警戒人物の情報を表示するための端末表示部を更に備え、
前記端末制御部は、前記端末表示部に表示される複数の警戒人物の情報の数が所定数以上であるか否かを判別し、所定数以上である場合には、前記端末表示部に表示される古い履歴の警戒人物の情報の表示を消去し、新たに送信される警戒人物の情報を前記端末表示部へ表示する請求項1から8のいずれか一項に記載の温度監視システム。
【請求項10】
温度監視システムは、温度監視端末装置を制御する端末制御部を更に備え、
前記端末制御部は、前記端末記憶部に記憶される複数の警戒人物の情報の数が所定数以上であるか否かを判別し、所定数以上である場合には、前記端末記憶部に記憶される古い履歴の警戒人物の情報を消去し、新たに送信される警戒人物の情報を前記端末記憶部に記憶する請求項1から9のいずれか一項に記載の温度監視システム。
【請求項11】
被測定者の映像と赤外線像を取得するためのカメラ装置と、
前記カメラ装置が撮像した被測定者の映像のうち複数の被測定者を1人ずつの領域に識別する人物識別部と、
前記人物識別部が識別した領域に該当する被測定者の体表温度に関する情報である推定体表温度を、前記カメラ装置が撮像した被測定者の赤外線像から推定する温度推定部と、
前記被測定者に関する映像と前記被測定者の推定体表温度に関する情報を表示するための表示装置と、
前記推定体表温度が、予め定められた条件を満たすか否かを判別する本体制御部と、
前記本体制御部が、前記被測定者の推定体表温度が予め定められた条件を満たすと判別した場合、前記本体制御部が、前記被測定者の映像及び前記推定体表温度に関する情報を警戒人物の情報として生成し、温度監視端末装置の端末表示部に前記警戒人物の情報を表示するために前記温度監視端末装置の端末通信部に前記警戒人物の情報を送信する制御装置通信部と、
を備える温度監視制御装置。
【請求項12】
被測定者の映像と赤外線像を取得するためのカメラ装置と、前記カメラ装置が撮像した被測定者の映像のうち複数の被測定者を1人ずつの領域に識別する人物識別部と、前記人物識別部が識別した領域に該当する被測定者の体表温度に関する情報である推定体表温度を、前記カメラ装置が撮像した被測定者の赤外線像から推定する温度推定部と、前記被測定者に関する映像と前記被測定者の推定体表温度に関する情報を表示するための表示装置と、前記推定体表温度が、予め定められた条件を満たすか否かを判別する本体制御部と、前記本体制御部が、前記被測定者の推定体表温度が予め定められた条件を満たすと判別した場合、前記本体制御部が、前記被測定者の映像及び前記推定体表温度に関する情報を警戒人物の情報として生成し、生成された警戒人物の情報を送信する制御装置通信部と、を備える温度監視制御装置から送信される前記警戒人物の情報を受信する端末通信部と、
前記端末通信部で受信した前記警戒人物の情報を記憶する端末記憶部と、
前記端末記憶部に記憶される前記警戒人物の情報を表示する端末表示部と、
を備える温度監視端末装置。
【請求項13】
カメラ装置から、被測定者の映像と赤外線像を取得するための像取得ステップと、
人物識別部が、前記像取得ステップで取得した被測定者の映像のうち複数の被測定者を1人ずつの領域に識別する識別ステップと、
温度推定部が、前記識別ステップで識別した領域に該当する被測定者の体表温度に関する情報である推定体表温度を、前記カメラ装置が撮像した被測定者の赤外線像から推定する温度推定ステップと、
表示装置が、前記被測定者に関する映像と前記被測定者の推定体表温度に関する情報を表示する表示ステップと、
本体制御部が、前記推定体表温度が、予め定められた条件を満たすか否かを判別する判別ステップと、
前記判別ステップにおいて、前記被測定者の推定体表温度が予め定められた条件を満たすと判別した場合、本体制御部が、前記被測定者の映像及び前記推定体表温度に関する情報を警戒人物の情報として生成する警戒人物情報生成ステップと、
制御装置通信部が、前記警戒人物情報生成ステップで生成された前記警戒人物の情報を送信する情報送信ステップと、
端末通信部が、前記情報送信ステップで送信された前記警戒人物の情報を受信する受信ステップと、
端末記憶部が、前記受信ステップで受信した前記警戒人物の情報を記憶する記憶ステップと、
端末表示部が、前記記憶ステップで記憶される前記警戒人物の情報を表示する端末表示ステップと、
を備える温度監視方法。
【請求項14】
カメラ装置から、被測定者の映像と赤外線像を取得するための像取得ステップと、
人物識別部が、前記像取得ステップで取得した被測定者の映像のうち複数の被測定者を1人ずつの領域に識別する識別ステップと、
温度推定部が、前記識別ステップで識別した領域に該当する被測定者の体表温度に関する情報である推定体表温度を、前記カメラ装置が撮像した被測定者の赤外線像から推定する温度推定ステップと、
表示装置が、前記被測定者に関する映像と前記被測定者の推定体表温度に関する情報を表示する表示ステップと、
本体制御部が、前記推定体表温度が、予め定められた条件を満たすか否かを判別する判別ステップと、
前記判別ステップにおいて、前記被測定者の推定体表温度が予め定められた条件を満たすと判別した場合、本体制御部が、前記被測定者の映像及び前記推定体表温度に関する情報を警戒人物の情報として生成する警戒人物情報生成ステップと、
制御装置通信部が、前記警戒人物の情報生成ステップで生成された前記警戒人物の情報を温度監視端末装置の端末通信部に送信する情報送信ステップと、
を備える温度監視方法。
【請求項15】
端末通信部が、被測定者の映像と赤外線像を取得するためのカメラ装置と、前記カメラ装置が撮像した被測定者の映像のうち複数の被測定者を1人ずつの領域に識別する人物識別部と、前記人物識別部が識別した領域に該当する被測定者の体表温度に関する情報である推定体表温度を、前記カメラ装置が撮像した被測定者の赤外線像から推定する温度推定部と、前記被測定者に関する映像と前記被測定者の推定体表温度に関する情報を表示するための表示装置と、前記推定体表温度が、予め定められた条件を満たすか否かを判別する本体制御部と、前記本体制御部が、前記被測定者の推定体表温度が予め定められた条件を満たすと判別した場合、前記本体制御部が、前記被測定者の映像及び前記推定体表温度に関する情報を警戒人物の情報として生成し、生成された警戒人物の情報を送信する制御装置通信部と、を備える温度監視制御装置から送信される前記警戒人物の情報を受信する受信ステップと、
端末記憶部が、前記受信ステップで受信した前記警戒人物の情報を記憶する記憶ステップと、
端末表示部に、前記記憶ステップで記憶される前記警戒人物の情報を表示する端末表示ステップと、
を備える温度監視方法。
【請求項16】
被測定者の映像と赤外線像を取得するための像取得ステップと、
前記像取得ステップで取得した被測定者の映像のうち複数の被測定者を1人ずつの領域に識別する識別ステップと、
前記識別ステップで識別した領域に該当する被測定者の体表温度に関する情報である推定体表温度を、前記像取得ステップで取得した被測定者の赤外線像から推定する温度推定ステップと、
前記被測定者に関する映像と前記被測定者の推定体表温度に関する情報を表示する表示ステップと、
本体制御部が、前記推定体表温度が、予め定められた条件を満たすか否かを判別する判別ステップと、
前記判別ステップにおいて、前記被測定者の推定体表温度が予め定められた条件を満たすと判別した場合、前記被測定者の映像及び前記推定体表温度に関する情報を警戒人物の情報として生成する警戒人物情報生成ステップと、
前記警戒人物情報生成ステップで生成された前記警戒人物の情報を送信する情報送信ステップと、
をコンピュータに実行させる温度監視プログラム。
【請求項17】
被測定者の映像と赤外線像を取得するためのカメラ装置と、前記カメラ装置が撮像した被測定者の映像のうち複数の被測定者を1人ずつの領域に識別する人物識別部と、前記人物識別部が識別した領域に該当する被測定者の体表温度に関する情報である推定体表温度を、前記カメラ装置が撮像した被測定者の赤外線像から推定する温度推定部と、前記被測定者に関する映像と前記被測定者の推定体表温度に関する情報を表示するための表示装置と、前記推定体表温度が、予め定められた条件を満たすか否かを判別する本体制御部と、前記本体制御部が、前記被測定者の推定体表温度が予め定められた条件を満たすと判別した場合、前記本体制御部が、前記被測定者の映像及び前記推定体表温度に関する情報を警戒人物の情報として生成し、生成された警戒人物の情報を送信する制御装置通信部と、を備える温度監視制御装置、から送信される前記警戒人物の情報を受信する受信ステップと、
前記受信ステップで受信した前記警戒人物の情報を記憶する記憶ステップと、
前記記憶ステップで記憶される前記警戒人物の情報を表示する端末表示ステップと、
をコンピュータに実行させる温度監視プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、温度監視システム、温度監視制御装置、温度監視端末装置、温度監視方法、及び温度監視プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
人の移動に伴う人同士の接近又は接触により、伝染病に罹患している人から伝染病が蔓延するリスクがある。伝染病が発熱性である場合には、人の体温を測定することにより、測定された人物が伝染病に罹患しているか否を推定する指標とすることができる。
【0003】
例えば特許文献1には、被測定者の温度の正常・異常を判定し、熱異常のある被測定者に対して、入場や出社を拒否する等の処置をとるための体温検査装置を提供する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されている技術は、体温検査装置によって熱異常の報知を行うため、熱異常のある被測定者に対して体温検査装置の近くに常駐する管理者等が対応の指示を行う必要があり、体温検査装置の近傍に常駐する人員を確保する必要があるという、人的、コスト的な問題がある。
【0006】
本開示はこのような問題点を解決するためになされたもので、その目的とするところは、被測定者の推定体表温度が予め定められた条件を満たすと判別した場合、その被測定者を警戒人物として情報を端末装置に送信することができる温度監視システム、温度監視制御装置、温度監視端末装置、温度監視方法、及び温度監視プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した目的を達成するために本開示に係る温度監視システムは、被測定者の映像と赤外線像を取得するためのカメラ装置と、前記カメラ装置が撮像した被測定者の映像のうち複数の被測定者を1人ずつの領域に識別する人物識別部と、前記人物識別部が識別した領域に該当する被測定者の体表温度に関する情報である推定体表温度を、前記カメラ装置が撮像した被測定者の赤外線像から推定する温度推定部と、前記被測定者に関する映像と前記被測定者の推定体表温度に関する情報を表示するための表示装置と、前記推定体表温度が、予め定められた条件を満たすか否かを判別する本体制御部と、前記本体制御部が、前記被測定者の推定体表温度が予め定められた条件を満たすと判別した場合、前記本体制御部が、前記被測定者の映像及び前記推定体表温度に関する情報を警戒人物の情報として生成し、生成された警戒人物の情報を送信する制御装置通信部と、前記制御装置通信部から送信された前記警戒人物の情報を受信する端末通信部と、前記端末通信部で受信した前記警戒人物の情報を記憶する端末記憶部と、前記端末記憶部に記憶される前記警戒人物の情報を表示する端末表示部と、を備える。
【0008】
また、上記した目的を達成するために本開示に係る温度監視制御装置は、被測定者の映像と赤外線像を取得するためのカメラ装置と、前記カメラ装置が撮像した被測定者の映像のうち複数の被測定者を1人ずつの領域に識別する人物識別部と、前記人物識別部が識別した領域に該当する被測定者の体表温度に関する情報である推定体表温度を、前記カメラ装置が撮像した被測定者の赤外線像から推定する温度推定部と、前記被測定者に関する映像と前記被測定者の推定体表温度に関する情報を表示するための表示装置と、前記推定体表温度が、予め定められた条件を満たすか否かを判別する本体制御部と、前記本体制御部が、前記被測定者の推定体表温度が予め定められた条件を満たすと判別した場合、前記本体制御部が、前記被測定者の映像及び前記推定体表温度に関する情報を警戒人物の情報として生成し、温度監視端末装置の端末表示部に前記警戒人物の情報を表示するために前記温度監視端末装置の端末通信部に前記警戒人物の情報を送信する制御装置通信部と、を備える。
【0009】
また、上記した目的を達成するために本開示に係る温度監視端末装置は、被測定者の映像と赤外線像を取得するためのカメラ装置と、前記カメラ装置が撮像した被測定者の映像のうち複数の被測定者を1人ずつの領域に識別する人物識別部と、前記人物識別部が識別した領域に該当する被測定者の体表温度に関する情報である推定体表温度を、前記カメラ装置が撮像した被測定者の赤外線像から推定する温度推定部と、前記被測定者に関する映像と前記被測定者の推定体表温度に関する情報を表示するための表示装置と、前記推定体表温度が、予め定められた条件を満たすか否かを判別する本体制御部と、前記本体制御部が、前記被測定者の推定体表温度が予め定められた条件を満たすと判別した場合、前記本体制御部が、前記被測定者の映像及び前記推定体表温度に関する情報を警戒人物の情報として生成し、生成された警戒人物の情報を送信する制御装置通信部と、を備える温度監視制御装置から送信される前記警戒人物の情報を受信する端末通信部と、前記端末通信部で受信した前記警戒人物の情報を記憶する端末記憶部と、前記端末記憶部に記憶される前記警戒人物の情報を表示する端末表示部と、を備える。
【0010】
また、上記した目的を達成するために本開示に係る温度監視方法は、カメラ装置から、被測定者の映像と赤外線像を取得するための像取得ステップ、人物識別部が、前記像取得ステップで取得した被測定者の映像のうち複数の被測定者を1人ずつの領域に識別する識別ステップと、温度推定部が、前記識別ステップで識別した領域に該当する被測定者の体表温度に関する情報である推定体表温度を、前記カメラ装置が撮像した被測定者の赤外線像から推定する温度推定ステップと、表示装置が、前記被測定者に関する映像と前記被測定者の推定体表温度に関する情報を表示する表示ステップと、本体制御部が、前記推定体表温度が、予め定められた条件を満たすか否かを判別する判別ステップと、前記判別ステップにおいて、前記被測定者の推定体表温度が予め定められた条件を満たすと判別した場合、本体制御部が、前記被測定者の映像及び前記推定体表温度に関する情報を警戒人物の情報として生成する警戒人物情報生成ステップと、制御装置通信部が、前記警戒人物情報生成ステップで生成された前記警戒人物の情報を送信する情報送信ステップと、端末通信部が、前記情報送信ステップで送信された前記警戒人物の情報を受信する受信ステップと、端末記憶部が、前記受信ステップで受信した前記警戒人物の情報を記憶する記憶ステップと、端末表示部が、前記記憶ステップで記憶される前記警戒人物の情報を表示する端末表示ステップと、を備える。
【0011】
また、上記した目的を達成するために本開示に係る温度監視方法は、カメラ装置から、被測定者の映像と赤外線像を取得するための像取得ステップ、人物識別部が、前記像取得ステップで取得した被測定者の映像のうち複数の被測定者を1人ずつの領域に識別する識別ステップと、温度推定部が、前記識別ステップで識別した領域に該当する被測定者の体表温度に関する情報である推定体表温度を、前記カメラ装置が撮像した被測定者の赤外線像から推定する温度推定ステップと、表示装置が、前記被測定者に関する映像と前記被測定者の推定体表温度に関する情報を表示する表示ステップと、本体制御部が、前記推定体表温度が、予め定められた条件を満たすか否かを判別する判別ステップと、前記判別ステップにおいて、前記被測定者の推定体表温度が予め定められた条件を満たすと判別した場合、本体制御部が、前記被測定者の映像及び前記推定体表温度に関する情報を警戒人物の情報として生成する警戒人物情報生成ステップと、制御装置通信部が、前記警戒人物情報生成ステップで生成された前記警戒人物の情報を温度監視端末装置の端末通信部に送信する情報送信ステップと、を備える。
【0012】
また、上記した目的を達成するために本開示に係る温度監視方法は、端末通信部が、被測定者の映像と赤外線像を取得するためのカメラ装置と、前記カメラ装置が撮像した被測定者の映像のうち複数の被測定者を1人ずつの領域に識別する人物識別部と、前記人物識別部が識別した領域に該当する被測定者の体表温度に関する情報である推定体表温度を、前記カメラ装置が撮像した被測定者の赤外線像から推定する温度推定部と、前記被測定者に関する映像と前記被測定者の推定体表温度に関する情報を表示するための表示装置と、前記推定体表温度が、予め定められた条件を満たすか否かを判別する本体制御部と、前記本体制御部が、前記被測定者の推定体表温度が予め定められた条件を満たすと判別した場合、前記本体制御部が、前記被測定者の映像及び前記推定体表温度に関する情報を警戒人物の情報として生成し、生成された警戒人物の情報を送信する制御装置通信部と、を備える温度監視制御装置から送信される前記警戒人物の情報を受信する受信ステップと、端末記憶部が、前記受信ステップで受信した前記警戒人物の情報を記憶する記憶ステップと、端末表示部に、前記記憶ステップで記憶される前記警戒人物の情報を表示する端末表示ステップと、を備える。
【0013】
また、上記した目的を達成するために本開示に係る温度監視プログラムは、被測定者の映像と赤外線像を取得するための像取得ステップと、前記像取得ステップで取得した被測定者の映像のうち複数の被測定者を1人ずつの領域に識別する識別ステップと、前記識別ステップで識別した領域に該当する被測定者の体表温度に関する情報である推定体表温度を、前記像取得ステップで取得した被測定者の赤外線像から推定する温度推定ステップと、前記被測定者に関する映像と前記被測定者の推定体表温度に関する情報を表示する表示ステップと、本体制御部が、前記推定体表温度が、予め定められた条件を満たすか否かを判別する判別ステップと、前記判別ステップにおいて、前記被測定者の推定体表温度が予め定められた条件を満たすと判別した場合、前記被測定者の映像及び前記推定体表温度に関する情報を警戒人物の情報として生成する警戒人物情報生成ステップと、前記警戒人物情報生成ステップで生成された前記警戒人物の情報を送信する情報送信ステップと、をコンピュータに実行させる。
【0014】
また、上記した目的を達成するために本開示に係る温度監視プログラムは、被測定者の映像と赤外線像を取得するためのカメラ装置と、前記カメラ装置が撮像した被測定者の映像のうち複数の被測定者を1人ずつの領域に識別する人物識別部と、前記人物識別部が識別した領域に該当する被測定者の体表温度に関する情報である推定体表温度を、前記カメラ装置が撮像した被測定者の赤外線像から推定する温度推定部と、前記被測定者に関する映像と前記被測定者の推定体表温度に関する情報を表示するための表示装置と、前記推定体表温度が、予め定められた条件を満たすか否かを判別する本体制御部と、前記本体制御部が、前記被測定者の推定体表温度が予め定められた条件を満たすと判別した場合、前記本体制御部が、前記被測定者の映像及び前記推定体表温度に関する情報を警戒人物の情報として生成し、生成された警戒人物の情報を送信する制御装置通信部と、を備える温度監視制御装置、から送信される前記警戒人物の情報を受信する受信ステップと、前記受信ステップで受信した前記警戒人物の情報を記憶する記憶ステップと、前記記憶ステップで記憶される前記警戒人物の情報を表示する端末表示ステップと、をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0015】
上記手段を用いる本開示の温度監視システム、温度監視制御装置、温度監視端末装置、温度監視方法、及び温度監視プログラムによれば、被測定者の推定体表温度が予め定められた条件を満たすと判別した場合、その被測定者を警戒人物として情報を端末装置に送信することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本開示の実施形態に係る温度監視システムを示すシステム構成図である。
【
図2】本開示の実施形態に係る温度監視システムの処理を示すフロー図である。
【
図3】本開示の実施形態に係る表示装置の表示状態を示す図である。
【
図4】本開示の実施形態に係る表示装置の表示状態を示す図である。
【
図5】本開示の実施形態に係る表示装置の表示状態を示す図である。
【
図6】本開示の実施形態に係る温度監視端末装置の端末表示部の表示状態を示す図である。
【
図7】本開示の実施形態に係る温度監視端末装置の端末表示部の表示状態を示す図である。
【
図8】本開示の実施形態に係る温度監視端末装置の端末表示部の表示状態を示す図である。
【
図9】コンピュータの構成を示す概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本開示の実施形態について以下に説明する。なお、本開示において、「映像」とは動画、静止画を含むものである。また「赤外線像」も動画、静止画を含むものである。
【0018】
本開示に係る温度監視システム1は、建物等の入り口等において、発熱の疑いがある人物を識別し、的確に他の人物と隔離するためのシステムである。
【0019】
一般的な、体温を計測するシステムでは、当該システムが据え付けられる入り口等に、担当者や警備員が常駐しており、当該システムが発する発熱の疑いのアラートにより、担当者等が発熱者の入場を認識し、適切な位置に誘導することで、発熱の疑いのある人物と他の人物を隔離する。しかしながら、担当者等がシステムの近くに常駐する必要があり、その運用コスト等が増大する問題がある。
【0020】
<構成>
図1は、本開示の実施形態に係る温度監視制御装置101を含む温度監視システム1を示すシステム構成図である。
図1で示すように、本開示の実施形態に係る温度監視システム1は、温度監視制御装置101と、カメラ装置201と、表示装置301とが接続されている。また、温度監視端末装置401と温度監視制御装置101とは、無線10によって接続されている。
図1では、1つの温度監視制御装置101と、1つの温度監視端末装置401をセットにして使用することを想定しているが、1つの温度監視制御装置101に複数の温度監視端末装置401を接続しても構わないし、複数の温度監視制御装置101に1つの温度監視端末装置401を接続しても構わない。さらに、複数の温度監視制御装置101に複数の温度監視端末装置401を接続しても構わない。また、温度監視制御装置101とカメラ装置201、表示装置301は物理的に分離していても良いし、物理的に一体に構成されていても構わない。また、後述する制御装置記憶部121は、温度監視制御装置101と、物理的に分離して構成しても構わない。
【0021】
温度監視制御装置101、カメラ装置201と、表示装置301は、主に建物の入り口等に設置される。
【0022】
温度監視制御装置101は、本体制御部111と、人物識別部112と、温度推定部113、制御装置通信部114、制御装置記憶部121と、を備える。温度監視制御装置101は、例えば、パーソナルコンピュータ、又は専用のコンピュータ、シーケンサ等である。
【0023】
本体制御部111は、温度監視制御装置101全体の機能の制御や、接続されるカメラ装置201や表示装置301の制御を行う機能を有する。また、後述する温度推定部113が推定する推定体表温度が、予め定められた条件を満たすか否かを判別する機能を有する。そして、被測定者(人物)の推定体表温度が予め定められた条件を満たすと判別した場合、後述するカメラ装置201が撮像する被測定者の映像及び後述する温度推定部113が推定する推定体表温度に関する情報を警戒人物の情報として生成する機能を有する。推定体表温度とは、被測定者の体温のうち、皮膚、詳しくは皮膚表面に対応する位置の温度を表す。すなわち、体温とある程度の相関を持ち、体温を推定するための指標となる。そのため、体表温度に基づいて被測定者の発熱状態を知ることができる。
【0024】
人物識別部112は、後述するカメラ装置201が撮像する被測定者の映像のうち複数の被測定者を1人ずつの領域に識別する機能を有する。人物識別部112は、マスクや帽子を被った人物であっても識別できるように、それらの人物の複数の映像を教師データとして機械学習により生成した学習モデルを用いて人物の識別を行うことができる。
【0025】
温度推定部113は、人物識別部112が識別した領域に該当する被測定者の体表温度に関する情報である推定体表温度を、後述するカメラ装置201が撮像する被測定者の赤外線像(サーモグラフィー)から推定する機能を有する。
【0026】
制御装置通信部114は、本体制御部111で生成された警戒人物の情報を外部へ送信する機能を有する。制御装置通信部114は、主に、後述する温度監視端末装置401の端末通信部411と、無線10により通信を行う機能を有する。
【0027】
制御装置記憶部121は、本体制御部111が生成する警戒人物の情報を記憶する機能を有する。また、警戒条件である温度の情報を記憶する機能や、警戒人物を誘導するための誘導情報を記憶する機能を有する。警戒条件は、後述する温度監視端末装置401の端末入力部415から入力することができる。また、予め設定したデータをメモリカード等から入力しても構わない。警戒条件は、温度条件であり、人物の推定体表温度が警戒条件を超えている場合に伝染病に罹患している可能性があると判断する指標である。また誘導情報は、例えば建物内の地図であり、伝染病の罹患が疑われる警戒人物を適切に隔離するための導線や待機場所を示す情報である。
【0028】
カメラ装置201は、被測定者を撮像する機能を有するCCD(Charge Coupled Device)素子(冷却CCD)や、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)素子により構成されるカメラである。カメラ装置201は、被測定者の、可視光による実像と、赤外線による赤外線像の双方を撮像する機能を有し、撮像された実像と赤外線像の映像は、温度監視制御装置101に送信される。このように被検査者から放射される赤外線をカメラ装置201が撮像し、温度推定部113で体表温度を推定することにより、被測定者と装置類は非接触で体表温度を推定することができる。
【0029】
表示装置301は、カメラ装置201が撮像した被測定者に関する映像や、温度推定部113が推定する被測定者の推定体表温度に関する情報を表示する機能を有するモニタである。モニタとして、液晶ディスプレイでも、有機ELディスプレイでも、プラズマディスプレイを用いてもよく、CRTを用いても構わない。表示装置301は、デジタルサイネージとして併用しても構わない。
【0030】
温度監視端末装置401は、端末通信部411と、端末制御部412と、端末記憶部413と、端末表示部414と、端末入力部415と、を備える。温度監視端末装置401は、例えばパーソナルコンピュータや、スマートフォン、タブレットPC、又は携帯電話のような装置である。
【0031】
端末通信部411は、制御装置通信部114から送信される警戒人物の情報を受信する機能を有する。端末通信部411は、主に制御装置通信部114と、無線10により通信を行う機能を有する。
【0032】
端末制御部412は、温度監視端末装置401全体の機能を制御する機能を有する。また、端末制御部412は、後述する端末表示部414に表示される警戒人物の人数(警戒人物の情報の数)が所定数以上であるか否かを判別し、所定数以上である場合には、端末記憶部413に記憶される情報に基づいて端末表示部414に表示される、古い履歴の警戒人物の情報の表示を削除する機能を有する。更に、端末制御部412は、後述する端末記憶部413に記憶される複数の警戒人物の情報の数が所定数以上であるか否かを判別し、所定数以上である場合には、端末記憶部413に記憶される古い履歴の警戒人物の情報を削除し、新たに送信される警戒人物の情報を端末記憶部413に記憶する機能を有しても構わない。
【0033】
端末記憶部413は、端末通信部411で受信した警戒人物の情報を記憶する機能を有する。
【0034】
端末表示部414は、情報等を表示するディスプレイ装置である。温度監視端末装置401と独立したディスプレイ装置であっても構わないし、スマートフォンやタブレットにおける液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等の表示装置であっても構わない。
【0035】
端末入力部415は、例えば、キーボードや、マウス、トラックボール、タッチパッド等のユーザが操作することにより情報の入力や選択が可能な装置である。また、スマートフォンやタブレット、PCにおける液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等の端末表示部414と一体であるタッチパネルでもよい。
【0036】
<処理の流れ>
次に、本開示の実施形態に係る温度監視システム1の一般的な動作について、
図2に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0037】
図2のフローチャートは、温度監視制御装置101(本フローチャートにおいてはカメラ装置201と表示装置301を含むものとする)と温度監視端末装置401の各動作の関連状態を示している。なお、このフローチャートは1つの温度監視端末装置401を対象として動作を説明しているが、温度監視端末装置401が複数存在する場合には、それぞれの温度監視端末装置401毎に同じ動作を行うものとする。なお、表示装置301に表示される画面は
図3から
図5で、温度監視端末装置401の端末表示部414に表示される画面は
図6から
図8で必要に応じて説明を行う。
【0038】
ステップS101において、カメラ装置201は、被測定者を撮像する。カメラ装置201は、可視光領域で撮影された被測定者の実像と、赤外線領域で撮影された被測定者の赤外線像を撮像することができる。カメラ装置201で撮像された被測定者の実像と、被測定者の赤外線像は、制御装置記憶部121に記憶される。なお記憶される実像及び赤外線像は、静止画であっても、動画であっても構わない。本体制御部111は、カメラ装置201が撮像した実像を表示装置301に表示する。なお、本体制御部111は、カメラ装置201が撮像した実像と赤外線像のいずれか、又は両方を表示装置301に表示させても構わない。
【0039】
ステップS102において、人物識別部112は、制御装置記憶部121に記憶される被測定者の実像のデータを用いて、被測定者を1人1人識別するために、各個人を別個の領域に識別する。また、例えばマスク等により顔の一部が隠れていても顔のある程度の範囲の実像が撮像されていれば、その範囲を領域として識別する。
図3は、表示装置301の表示画面311を示している。被測定者Aが撮像されている状態であり、領域321が、識別された領域である。また、カメラ装置201が撮像した画像に複数の被測定者が写っている場合には、それぞれの被測定者毎に領域を識別することができる。例えば、
図4は、被測定者Aと被測定者Cが撮像されている状態であり、被測定者Aは領域321が識別され、被測定者Cは領域321’が識別されている状態である。なお、本実施形態に係る温度監視システム1では、同時に20人の被測定者を領域として識別することができる。なお、当該識別可能な人数は、システムの構成により任意に変更することができる。また、識別された複数の領域は、それぞれシリアル番号や、ID等のコードを割り当てて管理しても構わない。
【0040】
ステップS103において、温度推定部113は、ステップS102で識別された1人1人の領域に該当するカメラ装置201で撮像された実像と同じ画角で撮像された赤外線像から、被測定者の体表温度を推定し、推定体表温度を生成する。なお、領域が顔である場合、被測定者の顔の領域の中で最も体表温度が高く推定された温度を推定体表温度とする。また、複数の被測定者の領域が識別されている場合には、温度推定部113は、それぞれの領域に応じた体表温度に関する推定体表温度を生成する。それにより、複数の被測定者に対して同時に体表温度を推定することができる。本体制御部111は、被測定者の温度であることがわかる程度に、表示装置301の表示画面上の被測定者近傍に推定体表温度を表示する。更に、温度推定部113は、推定された推定体表温度を、使用環境等に応じた補正値により適宜補正を行っても構わない。なお、推定された体表温度は、推定された領域に対応する被測定者の実像と紐づけられて制御装置記憶部121に記憶しても構わない。
【0041】
ステップS104において、本体制御部111は、人物識別部112が識別した被測定者と、温度推定部113が推定したその被測定者の推定体表温度を表示する。例えば、
図3では、領域321に被測定者Aの識別された領域が表示され、領域322に被測定者Aの推定体表温度が35.8℃であるものとして表示されている。また、
図4では、領域321に被測定者Aの識別された領域が表示され、領域322に被測定者Aの推定体表温度が35.8℃であるものとして表示される。さらに、領域321’に被測定者Cの識別された領域が表示され、領域322’に被測定者Cの推定体表温度が38.2℃であるものとして表示される。
図3、
図4の表示領域312は、被測定者に告知する情報として、例えば「検温中です」、「発熱の疑いがあります」のような情報を表示することができる。また
図3の領域322、及び
図4、
図5の領域322、領域322’は、推定が完了した時点での体表温度を表示してもよいし、推定途中の体表温度を表示しても構わない。
【0042】
ステップS105において、本体制御部111は、温度推定部113で推定した推定体表温度が、制御装置記憶部121に記憶される警戒条件(所定条件)を満たすか否かを判別する。具体的には、警戒条件として37.5℃以上を設定した場合、温度推定部113で推定された体表温度が37.5℃以上である被測定者がいると、警戒条件を満たす(Y)ものとして、ステップS107へ処理を進める。本体制御部111が、温度推定部113で推定した推定体表温度が、制御装置記憶部121に記憶される警戒条件を満たさない(N)と判別した場合、ステップS101へ処理を戻し、次の被測定者についての処理を行う。
【0043】
ステップS106において、本体制御部111は、その被測定者の実像(映像)と推定体表温度の情報を紐づけて警戒人物の情報として生成する。なお、警戒人物の情報には、推定体表温度が推定された時間に関する情報が紐づけられていても構わないし、生成された順にシリアル番号が付されても構わない。
【0044】
ステップS107において、本体制御部111は、ステップS104で警戒人物として情報が生成された被測定者の存在を警報情報として表示装置301に表示する。
図4で示すように本体制御部111は、表示装置301の表示領域312に「発熱の疑いがあります」等の警報の表示を行う。例えば、被測定者Cの推定体表温度が38.2℃である場合、ステップS104で被測定者Cは、警戒人物として情報が紐づけられている。表示装置301の警報の表示により、被測定者Cは自らの発熱を認識することができ、また他の人物も、被測定者Cが発熱状態であると知ることができる。なお、
図4で示すように、被測定者Cの上に表示される推定体表温度情報の領域322’を太字や赤字等の目立つ表示とすることで、被測定者Cが警戒人物であることを速やかに認識することができる。
【0045】
ステップS108において、本体制御部111は、制御装置記憶部121に記憶されている誘導情報を表示装置301に表示する。
図5で示すように表示装置301の領域313に、温度監視システム1が設置されている場所に応じて予め制御装置記憶部121に記憶されている警戒人物を誘導するための誘導情報を表示することができる。これにより、温度監視システム1の近くに、担当者や警備員を常設することなく、警戒人物を誘導情報に従って誘導先に誘導することができる。これにより、速やかに警戒人物と他の被測定者の距離(ソーシャルディスタンス)を確保することができる。また、担当者や警備員の感染リスクも減らすことができる。
【0046】
ステップS109において、制御装置通信部114は、ステップS106で生成された警戒人物の情報を、温度監視端末装置401の端末通信部411へ送信する。制御装置通信部114と端末通信部411は、ピアツーピア(P2P)の通信を行う通信手段により通信を行う。ピアツーピアの通信が可能なプロトコルとしては、例えばWiFi(IEEE802.11x)、Bluetooth(登録商標)、IrDA、ISO/IEC 18092などの近接無線通信(NFC)プロトコル等を用いることができる。また、当該通信手段は、無線10に変えて、通信ケーブル等の優先によって直接接続しても構わない。すなわち、制御装置通信部114と端末通信部411の間にプロキシサーバ等の中間装置を介することなく、WWW等のインターネットや、本温度監視システム1が設置される施設に敷設されるLAN(Local Area Network)を介さないで通信を行う。それにより、個人情報である被測定者の実像や体表温度情報が、ネットワーク上に漏洩する可能性を低くすることができる。
【0047】
温度監視制御装置101は、ステップS101から必要に応じてS109までの処理を繰り返し、被測定者の監視を定常的に行うことができる。
【0048】
なお、ステップS107とステップS108は同時に行っても構わない。また、ステップS109は、ステップS107、ステップS108の処理の前や、ステップS107とステップS108の間に行っても構わない。
【0049】
次に、温度監視端末装置401の処理について説明する。温度監視端末装置401は、温度監視制御装置101から送信された警戒人物の情報を表示する装置である。
図5
、温度監視端末装置401の表示状態を示す例であり、領域421aでは送信された警戒人物の情報が被測定者Cの情報であること、領域422では被測定者Cの推定体表温度は38.2℃であることを示している。画面の右上に表示されている表示「クリア」ボタン423は、表示情報を消す際に押すためのボタンである。また、表示「クリア」ボタン423を押すことで、
【0050】
ステップS107で、制御装置通信部114から送信された警戒人物の情報は、温度監視端末装置401の端末通信部411で受信する。そして受信した警戒人物の情報は、端末記憶部413に記憶される。
【0051】
ステップS110において、端末制御部412は、端末表示部414に表示される警戒人物の人数(警戒人物の情報の数)所定数以上であるか否かを判別し、所定数以上である場合には、ステップS111へ処理を進める。具体的には、例えば、端末表示部414に表示可能な警戒人物の人数が4人(所定人数が4人)であるとする。
図7は、領域421aに被測定者C、領域421bに被測定者F、領域421cに被測定者J、領域421dに被測定者Mの4人が、警戒人物として表示されており、既に所定人数の4人以上が表示されている状態である。この場合、端末制御部412は、端末表示部414に表示される警戒人物の情報の数が所定数である4人以上(Y)であると判別し、ステップS111へ処理を進める。端末制御部412が、端末表示部414に表示される複数の警戒人物の情報の数が所定人数に満たない(N)と判別すると、ステップS112へ処理を進める。
【0052】
ステップS111において、端末制御部412は、端末表示部414に表示される古い履歴の警戒人物の情報の表示を削除する。ここで、
図7では、被測定者C、F、J、Mの順に体表温度の推定が行われているため、最も履歴の古い警戒人物は被測定者Cである。そのため、端末制御部412は、被測定者Cを古い履歴の警戒人物の情報として端末表示部414から削除する。これにより、古い警戒人物の情報が端末表示部414に表示され続けることが無く、個人情報の漏洩の可能性を低減することができる。なお、警戒人物の情報の履歴の判断は、警戒人物の情報に紐づけられた推定体表温度が推定された時間に関する情報を用いても良いし、警戒人物の情報の生成された順に付されるシリアル番号を用いても構わない。
【0053】
ステップS112において、端末制御部412は、端末表示部414に、警戒人物の情報を表示する。
図6は、警戒人物が被測定者Cの1人である状態を示している。
図8は、ステップS111で
図7の被測定者Cについての警戒人物の情報が削除され、他の被測定者F、J、Mの表示が繰り上がり、新たにステップS107で送信された被測定者Vが警戒人物の情報として表示されている状況である。担当者や警備員は、端末表示部414に表示されている被測定者の実像と推定体表温度の情報に基づいて、ステップS108において表示される誘導情報に応じて誘導された場所で待機している警戒人物を特定し、必要に応じて体温測定などの対応を行うことができる。
【0054】
温度監視端末装置401は、ステップS110から必要に応じてS112までの処理を繰り返し、監視人物の情報の監視を定常的に行うことができる。
【0055】
このように、温度監視システム1は、被測定者の映像と赤外線像を取得するためのカメラ装置201と、カメラ装置201が撮像した被測定者の映像のうち複数の被測定者を1人ずつの領域に識別する人物識別部112と、人物識別部112が識別した領域に該当する被測定者の体表温度に関する情報である推定体表温度を、カメラ装置201が撮像した被測定者の赤外線像から推定する温度推定部113と、被測定者に関する映像と被測定者の推定体表温度に関する情報を表示するための表示装置301と、推定体表温度が、予め定められた条件を満たすか否かを判別する本体制御部111と、本体制御部111が、被測定者の推定体表温度が予め定められた条件を満たすと判別した場合、本体制御部111が、被測定者の映像及び前記推定体表温度に関する情報を警戒人物の情報として生成し、生成された警戒人物の情報を送信する制御装置通信部114と、制御装置通信部114から送信された警戒人物の情報を受信する端末通信部411と、端末通信部411で受信した警戒人物の情報を記憶する端末記憶部413と、端末記憶部413に記憶される警戒人物の情報を表示する端末表示部414と、を備えることによって、警戒人物の情報が、温度監視制御装置101から、温度監視端末装置401に送信されることで、端末表示部414に表示される。そのため、担当者や警備員は温度監視制御装置101の近くに常駐する必要がなく、警戒人物の情報が発生した時点で現場に向かうことで、人員の削減などの運用コストを削減することができる。
【0056】
なお、ステップS109において、本体制御部111は、制御装置通信部114が、端末通信部411へ警戒人物の情報を送信した後に、制御装置記憶部121に記憶されている警戒人物の情報を消去しても構わない。制御装置記憶部121から、警戒人物の情報を消去することにより、個人情報の漏洩の可能性をより低くすることができる。
【0057】
また、温度監視制御装置101のボタン又はスイッチ(不図示)を操作することにより、本体制御部111は、制御装置記憶部121に記憶されている警戒人物の情報を消去しても構わない。また、表示装置301に備えられるタッチパネル等により、表示装置301に表示される「クリア」ボタン(不図示)が押されることにより、本体制御部111は、制御装置記憶部121に記憶されている警戒人物の情報を消去しても構わない。制御装置記憶部121から、警戒人物の情報を消去することにより、個人情報の漏洩の可能性をより低くすることができる。
【0058】
さらに、温度監視制御装置101が異常終了等によりシャットダウンした後に再起動した場合に、本体制御部111は、制御装置記憶部121に記憶されている警戒人物の情報を消去しても構わない。同様に、温度監視端末装置401が異常終了等によりシャットダウンした後に再起動した場合に、端末制御部412は、端末記憶部4131に記憶されている警戒人物の情報を消去しても構わない。一般に、異常終了等が生じた際には一時ファイル(テンポラリファイル)として、警戒人物の情報が制御装置記憶部121に残留する場合があるが、警戒人物の情報は個人情報であり、本システムでは、温度監視制御装置101の再起動時に当該個人情報が消去されるため、個人情報の漏洩の可能性をより低くすることができる。
【0059】
また、ステップS111において、端末制御部412は、端末記憶部413に記憶される複数の警戒人物の情報の数が所定数以上であるか否かを判別し、所定数以上である場合には、ステップS112において、端末記憶部413に記憶される古い履歴の警戒人物の情報を消去し、新たに送信される警戒人物の情報を端末記憶部413に記憶しても構わない。これにより、古い警戒人物の情報が端末記憶部413に記憶され続けることが無く、個人情報の漏洩の可能性を低減することができる。
【0060】
(プログラム)
図9は、コンピュータ801の構成を示す概略ブロック図である。コンピュータ801は、CPU802、主記憶装置803、補助記憶装置804、インタフェース805を備える。CPU802はGPUであっても構わない。
【0061】
ここで、実施形態に係る温度監視制御装置101を構成する各機能を実現するためのプログラムの詳細について説明する。
【0062】
温度監視制御装置101は、コンピュータ801に実装される。そして、温度監視制御装置101の各構成要素の動作は、プログラムの形式で補助記憶装置804に記憶される。CPU802は、プログラムを補助記憶装置804から読みだして主記憶装置803に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。また、CPU802は、プログラムに従って、上記した記憶部に対応する記憶領域を主記憶装置803に確保する。
【0063】
当該プログラムは、具体的には、コンピュータ801において、被測定者の映像と赤外線像を取得するための像取得ステップ、前記像取得ステップで取得した被測定者の映像のうち複数の被測定者を1人ずつの領域に識別する識別ステップと、前記識別ステップで識別した領域に該当する被測定者の体表温度に関する情報である推定体表温度を、前記像取得ステップで取得した被測定者の赤外線像から推定する温度推定ステップと、前記被測定者に関する映像と前記被測定者の推定体表温度に関する情報を表示する表示ステップと、本体制御部が、前記推定体表温度が、予め定められた条件を満たすか否かを判別する判別ステップと、前記判別ステップにおいて、前記被測定者の推定体表温度が予め定められた条件を満たすと判別した場合、前記被測定者の映像及び前記推定体表温度に関する情報を警戒人物の情報として生成する警戒人物の情報生成ステップと、前記警戒人物情報生成ステップで生成された前記警戒人物の情報を送信する情報送信ステップと、を実現するプログラムである。
【0064】
また、実施形態に係る温度監視端末装置401を構成する各機能を実現するためのプログラムの詳細について説明する。
【0065】
温度監視端末装置401は、コンピュータ801に実装される。そして、温度監視端末装置401の各構成要素の動作は、プログラムの形式で補助記憶装置804に記憶される。CPU802は、プログラムを補助記憶装置804から読みだして主記憶装置803に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。また、CPU802は、プログラムに従って、上記した記憶部に対応する記憶領域を主記憶装置803に確保する。
【0066】
当該プログラムは、具体的には、コンピュータ801において、被測定者の映像と赤外線像を取得するためのカメラ装置と、前記カメラ装置が撮像した被測定者の映像のうち複数の被測定者を1人ずつの領域に識別する人物識別部と、前記人物識別部が識別した領域に該当する被測定者の体表温度に関する情報である推定体表温度を、前記カメラ装置が撮像した被測定者の赤外線像から推定する温度推定部と、前記被測定者に関する映像と前記被測定者の推定体表温度に関する情報を表示するための表示装置と、前記推定体表温度が、予め定められた条件を満たすか否かを判別する本体制御部と、前記本体制御部が、前記被測定者の推定体表温度が予め定められた条件を満たすと判別した場合、前記本体制御部が、前記被測定者の映像及び前記推定体表温度に関する情報を警戒人物の情報として生成し、生成された警戒人物の情報を送信する制御装置通信部と、を備える温度監視制御装置、から送信される前記警戒人物の情報を受信する受信ステップと、前記受信ステップで受信した前記警戒人物の情報を記憶する記憶ステップと、前記記憶ステップで記憶される前記警戒人物の情報を表示する端末表示ステップと、を実現するプログラムである。
【0067】
なお、補助記憶装置804は、一時的でない有形の媒体の一例である。一時的でない有形の媒体の他の例としては、インタフェース805を介して接続される磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等が挙げられる。
【0068】
また、当該プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。更に、当該プログラムは、前述した機能を補助記憶装置804に既に記憶される他のプログラムとの組み合わせで実現するもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0069】
以上、本開示のいくつかの実施形態を説明したが、これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものとする。
【符号の説明】
【0070】
1…温度監視システム
10…無線
101…温度監視制御装置
111…本体制御部
112…人物識別部
113…温度推定部
114…制御装置通信部
121…制御装置記憶部
201…カメラ装置
301…表示装置
401…温度監視端末装置
411…端末通信部
412…端末制御部
413…端末記憶部
414…端末表示部
415…端末入力部
801…コンピュータ
802…CPU
803…主記憶装置
804…補助記憶装置
805…インタフェース