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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-05
(45)【発行日】2024-03-13
(54)【発明の名称】繊維用親水剤及び不織布
(51)【国際特許分類】
   D06M 13/224 20060101AFI20240306BHJP
   D06M 13/256 20060101ALI20240306BHJP
   D06M 13/17 20060101ALI20240306BHJP
   D06M 15/53 20060101ALI20240306BHJP
【FI】
D06M13/224
D06M13/256
D06M13/17
D06M15/53
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022578449
(86)(22)【出願日】2022-01-26
(86)【国際出願番号】 JP2022002924
(87)【国際公開番号】W WO2022163716
(87)【国際公開日】2022-08-04
【審査請求日】2023-04-13
(31)【優先権主張番号】P 2021011272
(32)【優先日】2021-01-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】523419521
【氏名又は名称】エム・エーライフマテリアルズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100108903
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 和広
(74)【代理人】
【識別番号】100142387
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 都子
(74)【代理人】
【識別番号】100135895
【弁理士】
【氏名又は名称】三間 俊介
(72)【発明者】
【氏名】田中 早織
(72)【発明者】
【氏名】江口 大樹
(72)【発明者】
【氏名】猪熊 宣広
(72)【発明者】
【氏名】塩田 英治
(72)【発明者】
【氏名】坂部 輝御
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 秀己
【審査官】伊藤 寿美
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-143411(JP,A)
【文献】特開2010-261115(JP,A)
【文献】国際公開第2017/179405(WO,A1)
【文献】特開2019-000645(JP,A)
【文献】国際公開第2020/184335(WO,A1)
【文献】特開2012-153736(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06M 13/00-15/715
D04H 1/00-18/04
A61F 13/15-13/84
A61L 15/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソルビタン脂肪酸エステル及びショ糖脂肪酸エステルからなる群から選ばれる、炭素数5以上のアルコールと脂肪酸とが縮合したエステル化合物と、アニオン系界面活性剤とを含有する繊維用親水剤であって、該エステル化合物は、該繊維用親水剤を100質量%としたとき、50質量%~95質量%で含有され、かつ、該アニオン系界面活性剤は、ジアルキルスルホコハク酸塩を含み、かつ、該ジアルキルスルホコハク酸塩は、該繊維用親水剤を100質量%としたとき、1質量%~30質量%で含有され、かつ、下記一般式(1):
HO-(AO) p -H (1)
{式中、Aは、炭素数2~4のアルキレン基又は炭素数2~4の第2級アルコールであり、そしてpは、1~15の整数である。}で表される化合物をさらに含有することを特徴とする繊維用親水剤。
【請求項2】
請求項1に記載の繊維用親水剤を含む、不織布。
【請求項3】
不織布重量に対する前記繊維用親水剤の付着率が0.1~2.0重量%である、請求項に記載の不織布。
【請求項4】
5個/インチ以上の捲縮を有する繊維によって構成される、請求項又はに記載の不織布。
【請求項5】
70℃で1週間保管した時の前記繊維用親水剤の減少率が30%以下である、請求項のいずれか1項に記載の不織布。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維用親水剤及び該繊維用親水剤を含む不織布に関する。
【背景技術】
【0002】
使い捨ておむつや生理用ナプキンのトップシートに使用される不織布には親水性が必須である。トップシートに使用される不織布はポリオレフィンやポリエステル等の疎水性の不織布が使用され、界面活性剤などの親水剤を付与することにより、親水性を付与している。不織布の親水性は巾方向、流れ方向で均一にすることが重要であり、例えば、以下の特許文献1や2には特定の製造方法を使用することで親水性を均一に付与することが提案されている。しかし、使用する親水剤の種類に関わらず、連続塗工において剤の付着率の経時変化を少なくする技術の開示はない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2013/065794号
【文献】特開2015-134979号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記した従来技術の水準に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、柔軟性と親水性(液流れ性及び繰り返し親水性)を両立し、付着率の変化が低い繊維用親水剤、及び該繊維用親水剤を含む不織布を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討し実験を重ねた結果、炭素数5以上のアルコールと脂肪酸とが縮合したエステル化合物と、アニオン系界面活性剤とを併用することで、繊維基材加工中の親水剤の付着率が安定し、十分な親水性能と柔軟性を有する繊維製品が得られることを予想外に見出し、本発明を完成するに至ったものである。
【0006】
すなわち、本発明は以下の通りのものである。
[1]炭素数5以上のアルコールと脂肪酸とが縮合したエステル化合物と、アニオン系界面活性剤とを含有することを特徴とする、繊維用親水剤。
[2]前記炭素数5以上のアルコールが多価アルコールである、前記[1]に記載の繊維用親水剤。
[3]前記炭素数5以上のアルコールが環状構造を有する、前記[1]又は[2]に記載の繊維用親水剤。
[4]前記炭素数5以上のアルコールが、ソルビタン構造又はショ糖構造を有する、前記[1]~[3]のいずれかに記載の繊維用親水剤。
[5]前記脂肪酸の炭素数が6以上である、前記[1]~[4]のいずれかに記載の繊維用親水剤。
[6]前記エステル化合物は、ソルビタン、ソルビトール及びショ糖からなる群から選ばれるアルコールと、
オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、テトラデカン酸、ヘキサデカン酸、オクタデカン酸、cis-9-オクタデセン酸、エイコサン酸、ドコサン酸、テトラコサン酸、ヘキサコサン酸、オクタコサン酸、2-エチルヘキシル酸、イソステアリン酸、ヤシ油脂肪酸、及び牛脂脂肪酸からなる群から選ばれる脂肪酸とが縮合したエステル化合物であり、かつ、
該エステル化合物は、前記繊維用親水剤を100質量%としたとき、50質量%~95質量%で含有される、前記[1]~[5]のいずれかに記載の繊維用親水剤。
[7]前記アニオン系界面活性剤が、スルフォン酸塩型界面活性剤である、前記[1]~[6]のいずれかに記載の繊維用親水剤。
[8]前記スルフォン酸塩型界面活性剤が、ジアルキルスルホコハク酸塩を含み、かつ、該ジアルキルスルホコハク酸塩は、前記繊維用親水剤を100質量%としたとき、1質量%~30質量%で含有される、前記[7]に記載の繊維用親水剤。
[9]下記一般式(1):
HO-(AO)p-H (1)
{式中、Aは、炭素数2~4のアルキレン基又は炭素数2~4の第2級アルコールであり、そしてpは、1~15の整数である。}で表される化合物をさらに含有する、前記[1]~[8]のいずれかに記載の繊維用親水剤。

[10]前記[1]~[9]のいずれかに記載の繊維用親水剤を含む、不織布。
[11]不織布重量に対する前記繊維用親水剤の付着率が0.1~2.0重量%である、前記[10]に記載の不織布。
[12]5個/インチ以上の捲縮を有する繊維によって構成される、前記[10]又は[11]に記載の不織布。
[13]70℃で1週間保管した時の前記繊維用親水剤の減少率が30%以下である、前記[10]~[12]のいずれか記載の不織布。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、柔軟性と親水性(液流れ性及び繰り返し親水性)を両立し、付着率の変化が低い繊維用親水剤、及び該繊維用親水剤を含む不織布である。本発明の繊維親水剤で処理して得た親水性不織布は優れた親水性を有するため、衛生材料、例えば、生理用ナプキン、失禁パット、使い捨ておむつ等のトップシート又はセカンドシートとして好適に利用可能であり、さらには、例えば、マスク、カイロ、テープ基材、貼布薬基材、緊急絆創膏、包装材、ワイプ製品、医療用ガウン、包帯、衣料、スキンケア用シートなどにも利用可能である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。
本実施形態の繊維用親水剤(以下、単に「親水剤」ともいう。)は、炭素数5以上のアルコールと脂肪酸とが縮合したエステル化合物を含有することを特徴とする。
前記炭素数5以上のアルコールとしては、ソルビタン、ソルビトール、ポリグリセリン、ひまし油、ペンタエリスリトール、ショ糖、ポリグルコシド、キシロースエステル、ネオペンチルグリコール、ヘキサンジオール、ブタンジオール、デカンジオール、オクタンジオール、トリメチロールプロパンなどが挙げられる。前記炭素数5以上のアルコールとしては、液流れ性の観点から、ソルビタン、ソルビトール又はショ糖であることが好ましい。
前記炭素数5以上のアルコールとしては、環状構造を持つものが好ましい。環状構造としては、ショ糖構造、ソルビタン構造、ポリグルコシド構造等が挙げられるが、不織布の親水性発現、経時変化抑制の観点から、ソルビタン構造をもつものが好ましい。
【0009】
前記脂肪酸としては、炭素数6以上のものが好ましい。脂肪酸の炭素数は6以上とすることで、不織布との親和性が向上し、耐久性が高い親水性能を有する不織布を得ることができる。例えば、炭素数6~22の飽和又は不飽和の脂肪酸、これらを主成分とする混合脂肪酸、あるいは炭素数8~36の分岐鎖脂肪酸が挙げられる。また、前記脂肪酸は、部分的に水酸基を含んでいてもよい。前記脂肪酸の具体的な例としては、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、テトラデカン酸、ヘキサデカン酸、オクタデカン酸、cis-9-オクタデセン酸、エイコサン酸、ドコサン酸、テトラコサン酸、ヘキサコサン酸、オクタコサン酸、2-エチルヘキシル酸、イソステアリン酸等が挙げられ、天然由来の混合脂肪酸であるヤシ油脂肪酸、牛脂脂肪酸を用いてもよい。
【0010】
前記エステル化合物は、前記炭素数5以上のアルコールと前記脂肪酸とのエステル構造を有するものであるが、モノエステルであってもよく、アルコールが有するヒドロキシル基の価数と同価までのエステルを有するものであってもよい。不織布の親水性発現、経時変化抑制の観点から、前記エステル化合物は、モノエステル体であることが好ましい。
【0011】
前記エステル化合物の具体的な例としては、グリセリン脂肪酸エステル、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ソルビトール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルが挙げられ、不織布の親水性発現の点からソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルが好ましい。
前記エステル化合物は、前記繊維用親水剤を100質量%としたとき、50質量%以上95質量%以下で含有されることが好ましい。前記エステル化合物の含有量は、繰返し親水性の観点から、60質量%以上であることが好ましく、70%質量以上であることが更に好ましく、また、親水剤の付着率の安定性の観点から、90質量%以下が好ましく、85質量%以下が更に好ましい。
【0012】
一般的に、繊維親水(化)剤に用いられるエステル化合物は、基材となる不織布等の繊維素材との親和性が高いため、ディップニップやキスやグラビア等による塗工方式では、塗工開始時に剤が過剰に付着し、塗工開始と塗工終了後で剤の塗工時の安定性が確保できないことがある。また、スプレー法やローターダンプニング等の方式を用いれば、キスやグラビア等の塗工開始前後の親水剤の付着率の差を少なくすることができるものの、エステル化合物の水への希釈安定性が悪く、親水性能がばらついてしまう。
尚、本明細書において「(繊維)基材」とは繊維用処理剤が塗工される前のシート状繊維素材を指し、該基材は織物や編物、不織布であることができる。
【0013】
前記した問題を解決すべく本発明らが鋭意検討し実験を重ねた結果、前記エステル化合物と共に、基材との親和性が低い剤として、アニオン系界面活性剤を一定量配合して繊維親水剤を構成することにより、塗工中の剤の付着状態が安定することが予想外に判明した。かかるアニオン系界面活性の例としては、カルボン酸塩、硫酸エステル塩、スルフォン酸塩型、リン酸エステル型が挙げられるが、中でもスルフォン酸塩型の界面活性剤は、添加することで水の硬度に依存せず、前記エステル化合物の塗工時の付着率を安定させることができるため、好ましい。スルフォン酸塩型の界面活性剤の例としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、α-オレフィンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、αスルホ脂肪酸エステル塩、N-メチル-Nアルキルタウリン塩等が挙げられるが、中でもジアルキルスルホコハク酸塩が好ましい。
ジアルキルスルホコハク酸塩のアルキル基は直鎖でも分岐であってもよく、炭素数6~18が好ましく、8~14がより好ましい。ジアルキルスルホコハク酸において、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウムが特に好ましい。
【0014】
アニオン系界面活性剤の配合比率(繊維用親水剤を100質量%としたときの質量%)は、親水性と付着率の安定性の観点から、0.5質量%~50質量%以下が好ましく、より好ましくは1質量%~30質量%、さらに好ましくは1質量%~15質量%である。アニオン系界面活性剤の配合比率が0.5質量%以上であると、塗工時の親水剤の付着率が安定し、配合比率が50質量%以下であると、耐久性が向上する傾向がある。
【0015】
本実施形態の繊維用親水剤は、エステル化合物とアニオン系界面活性剤に加え、触感を良好にするため、下記一般式(1):
HO-(AO)p-H (1)
{式中、Aは、炭素数2~4のアルキレン基又は炭素数2~4の第2級アルコールであり、そしてpは、1~15の整数である。}で表される化合物をさらに含有することもできる。
親水性能と風合いの両立の観点から、一般式(1)の化合物の含有率は、親水剤に対して、0重量%超5重量%以下が好ましい。
【0016】
本実施形態の親水剤は、エステル化合物及びアニオン系界面活性剤に加え、一般式(1)で表される成分の他にも、所望の効果を損なわない限り、所望の目的に応じて他の化合物を含有してもよい。例えば、乳化剤、柔軟剤、平滑剤、帯電防止剤、消泡剤としての各種界面活性剤を適宜含有することができる。
【0017】
基材に対する本実施形態の親水剤の付着量(純分付着量)は、目的・用途によって異なるが、例えば、衛生材料用としては、通常、基材に対して0.20重量%~2.00重量%の範囲が好ましく、より好ましくは0.25重量%~1.50重量%である。0.20重量%以上であれば、高温で長期間保管した後でも満足する親水性能が得られやすく、他方、2.00重量%以下であれば、濡れ戻りが少なく、着用者に湿った感触を与えにくく、肌へのかぶれやしっしんが発生しにくくなる。
【0018】
本実施形態の繊維用親水剤の基材への付与方法としては、浸漬法、噴霧法、コーティング法等の公知の方法が採用でき、繊維用親水剤付与後、熱風、熱ロールなどの乾燥手段を用いて乾燥してもよい。また、繊維用親水剤付与前にコロナ放電処理、常圧プラズマ放電処理などの処理を必要に応じて採用してもよい。
【0019】
設備の高速化に伴う乾燥工程での乾燥不足などを発生させないためには、本実施形態の繊維用親水剤溶液の基材への塗工量は少ない方が好ましい。基材に対する塗工量は、65重量%以下が好ましく、より好ましくは60重量%以下であり、さらに好ましくは50重量%以下である。
本実施形態の繊維用親水剤の塗工後の乾燥には、対流伝熱、伝導伝熱、放射伝熱等を利用した公知の方法が採用でき、熱風循環型、熱風貫通型、赤外線ヒーター型、基材の両面に熱風を吹き付ける方法、加熱気体中に導入する方法等、各種の乾燥方法を用いることができる。
【0020】
本実施形態の繊維用親水剤を含有する不織布も、本発明の一実施態様である。
本実施形態の不織布は、例えば、熱可塑性樹脂を原料としたスパンボンド法により製造された長繊維不織布であっても、カード法、湿式抄造法などで製造された短繊維不織布であってもよい。強度、生産性の観点や、不織布表面構造に特徴を持たせやすいこと、肌への刺激低減などの観点から、スパンボンド法により製造された長繊維不織布が好ましい。本願明細書中、長繊維とは、繊維長が100mm以上のものという。また、本実施形態の不織布を構成する繊維の形態は、一般的な丸形のみでなく断面が扁平やY型などの異型断面繊維、中空糸や捲縮糸、多成分糸などの特殊な形態のものを用いることができ、特に限定されるものではない。本実施形態の不織布が捲縮糸で構成される場合、嵩高な触感を得るため、5個/インチ以上の捲縮を有する繊維によって構成されることが好ましい。
【0021】
本実施形態の不織布を構成するウェブは1層単体でもよいが、スパンボンド法により形成されたウェブ(S)と、メルトブロウン法により溶融紡糸されるウェブ(M)との積層でもよい。積層の状態は、生産性の観点からSS、SSS、SSSSと積層したり、SM、SMS、SMMS、SMSMSのように積層したりしてもよい。また、層毎に異なる繊維径や形態にしてもよい。
【0022】
これらの積層されたウェブの接合には、接着剤を用いて接合する方法、低融点繊維や複合繊維により接着する方法、ホットメルトバインダーをウェブ形成中に散布して溶融接合する方法、ニードルパンチや水流等で交絡する等の機械交絡などの方法が可能である。嵩高な不織布を得られること、風合い維持の点からは、熱風による接合方法が好ましい。また、高速生産性の観点からは、部分熱圧着により接合する方法が好ましい。部分熱圧着による接合方法は、例えば、ピンポイント状、楕円形状、ダイヤ形状、矩形状などの接合点を付与できる加熱したエンボス/フラットロール間にウェブを通して接合することができる。部分熱圧着における熱圧着面積率は、強度保持及び柔軟性の点から、5~40%が好ましく、より好ましくは5~25%である。
【0023】
本実施形態の不織布が熱可塑性繊維で構成される場合、該熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、共重合ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、共重合ポリエステルなどのポリエステル系樹脂、ナイロン-6、ナイロン-66、共重合ナイロンなどのポリアミド系樹脂、及び、ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネートなどの生分解性樹脂が挙げられ、特に限定はされない。また、前記熱可塑性樹脂は石油系由来のものでも、バイオマス由来のものでもよく、例えば、バイオポリエチレン、バイオポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂や、バイオポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂であることができる。また、不織布の風合いの観点、及び使い捨て材料用途における汎用性、回収の利便性の観点から、ポリオレフィン系樹脂が好ましい。また、熱可塑性樹脂からなる繊維は、1種類の樹脂から構成されるものでも、サイドバイサイドや鞘芯など、2種類以上の樹脂を組み合わせたものでもよく、特に限定はされない。
【0024】
本実施形態の不織布を構成する繊維の平均繊維径は、8.0~40.0μmであることが好ましく、より好ましくは9.0~33.5μm、更に好ましくは11.0μm~26.5である。紡糸安定性の観点から、平均繊維径は8μm以上であることが好ましく、衛生材料用途においては、不織布の風合いの観点から、40μm以下であることが好ましい。
【0025】
本実施形態の不織布の目付は、8g/m2~80g/m2が好ましく、より好ましくは10g/m2~40g/m2以下、更に好ましくは10g/m2~30g/m2である。衛生材料用途においては、目付が8g/m2以上であれば強力を満足し、80g/m2以下であれば風合いを満足し、外観的に厚ぼったい印象を与えにくい傾向がある。
【0026】
本実施形態の不織布は、気温が高い場所で保管した際に一定の親水性能が保つことが好ましい。しかし、高温の雰囲気下で保管すると、繊維用親水剤が繊維内部へ潜り込み、繊維表面の繊維用親水剤の濃度が低くなることによって、親水性が低下することがある。本実施形態の不織布は、70℃で1週間保管した後の親水剤の減少率が、保管前の付着率と比較し、30%以下であることが好ましく、より好ましくは25%以下である。
【実施例
【0027】
以下、実施例、比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。尚、下記のとおりの各特性の評価方法を使用した。特に規定がない場合、室温で評価している。得られた物性を以下の表1~4に示す。以下、不織布製造における流れ方向をMD方向、その方向と直角方向で幅方向をCD方向という。
【0028】
1.平均繊維径(μm)
不織布のCD方向に5等分して1cm角の試験片を採取し、キーエンス社製マイクロスコープVHX-700Fで繊維の直径を各20点ずつ測定し、その平均値を求めた。
【0029】
2.不織布の目付(g/m2
JIS-L1906に準じ、MD方向20cm×CD方向5cmの試験片を不織布のCD方向に採取位置が均等になるように5枚採取して質量を測定し、その平均値を単位面積あたりの重量に換算して目付(g/m2)として求めた。
【0030】
3.付着率の変化率(不織布ロール内外親水剤付着率変化率)
繊維用親水剤を連続塗工した後に紙管に巻き取り製造した不織布ロールにおいて、不織布ロール半径から紙管半径を差し引いた距離を巻厚とした時、紙管側10%の巻厚を内層(巻内)とし、不織布ロール最外側10%の巻厚を外層(巻外)とする。尚、巻中は巻始めから巻き終わりまでの全巻長の45%~55%の位置とする。不織布ロールを切り開き、上記各々範囲内の位置において下記記載の親水剤付着率の測定を行ない、下記の計算式:
(付着率の変化率(R/X))={(巻内、巻中、巻外から選ばれる最大付着率)-(巻内、巻中、巻外から選ばれる最小付着率)}/(巻内、巻中、巻外の平均付着率)×100により付着率の変化率を求めた。
【0031】
4.親水剤付着率(wt%)
繊維表面への親水剤の付着率は、インテック社 迅速残脂抽出装置(OC-1型)を用い、迅速抽出法によりN=3で測定し、平均値を付着率とした。付着率の測定方法の詳細は以下の通りである。
(1)親水剤で処理された不織布を2g±0.5gとなる様にサンプリングし、重量(A)を測定する。
(2)抽出液を受けるアルミニウム皿の重量(B)を量り、抽出機の150℃に設定されたヒーターの上にセットする。
(3)サンプリングした不織布を金属製の筒に充填する。
(4)金属製の筒内にメタノールを10cc添加し、不織布を濡らす。
(5)筒の上部に蓋をし、3分間静置する。これを抽出時間とする。
(6)3分経過後、付属のハンドルを用いて筒内のメタノールを含有させた不織布から、メタノールを搾り取り、アルミトレイ内に滴下する。
(7)アルミトレイ内に滴下されたメタノールが蒸発したことを目視で確認後、(2)~(7)の操作をもう一度行う。
(8)メタノールが完全に蒸発したことを目視で確認後、ヒーターからアルミニウム皿を取り外し、2分間空冷する。
(9)アルミニウム皿の重量(C)を測定する。
(10)不織布に付着している処理剤の量を下記式:
親水剤付着率[wt%]={(アルミ皿の重量C)-(アルミ皿の重量B)}/不織布重量(A)×100
から算出する。
【0032】
5.70℃で1週間保管した時の前記繊維用親水剤の減少率
ロールの巻外から2g±0.5gとなる様に親水不織布を採取し、70℃に設定した熱風オーブンに投入する。投入の際は熱風オーブン中の棚板の上に乗せ、親水不織布が熱風で飛ばない様に両端5cmを、錘で抑える。尚、オーブンの棚板からはみ出さない様に親水不織布を適当なサイズに折りたたんでも構わない。1週間経過した後、オーブンから親水不織布を取り出し、錘を乗せていた布の両端5cmを鋏で切断し取り除いた後、親水剤付着率を測定した。
オーブン保管前後での付着率から、下記式:
(繊維用親水剤の減少率)={(70℃保管前の親水剤付着率)-(70℃保管後の親水剤付着率)}/(70℃保管前の親水剤付着率)×100
以下繊維用親水剤の減少率(%)を算出した。
【0033】
6.液流れ性(mm)
45度に傾斜した板上に吸収体としてトイレットペーパー(イトマン株式会社製ハードシングル1R55m)を10枚重ねて、その上に試験布(20cm角)を置いてセットし、布の上方10mmの高さから0.05gの生理食塩水を滴下した。滴下位置から吸収終了までの生理食塩水が流れ落ちた距離を読み取った。この測定を試験布内で任意に20点行い、その平均値を液流れ性(mm)とした。液流れ性の値は小さいほど好ましい。
【0034】
7.繰返し親水性(点/10点)
吸収体としてトイレットペーパー(イトマン株式会社製ハードシングル1R55m)を10枚重ねて、その上に試験布(20cm×30cm)を置く。さらにその上に直径1.5cmの穴を等間隔に10ヶ所開けたステンレス製の板を置き、それぞれの穴に位置する布の上方10mmの高さから生理食塩水0.05gを滴下し、3分経過後、再度同様に滴下する。3回目の滴下後、10秒以内に吸収される穴の数を数える。4回目と5回目も同様に行い、これらを繰り返し親水性とした。
【0035】
8.肌ざわり
評価者10名が不織布の両面を、手でなぞって触ったときの滑らかさに基づき、以下の評価基準で判定した。
◎:非常に良い
〇:良い(基準:エルタスP03018 旭化成(株)製を使用)
×:悪い。
【0036】
<基材不織布の製造(1)>
メルトフローレート(MFR)が55g/10分(JIS-K7210に準じ、温度230℃、荷重2.16kgで測定)のポリプロピレン(PP)樹脂を、吐出量0.88g/分・hоleとなるようにスパンボンド法で、紡糸温度220℃で押出し、このフィラメント群をエアジェットによる高速牽引装置を使用して、移動捕集面に向けて押出し、平均繊維径17μmの長繊維ウェブを調製した。
次いで、得られた長繊維ウェブを上下温度135℃、圧力60kg/cm2でのフラットロールとエンボスロール(パターン仕様:直径0.425mm円形、千鳥配列、横ピッチ2.1mm、縦ピッチ1.1mm、圧着面積率6.3%)の間に通して繊維同士を部分圧着して、目的とする目付が13g/m2となるようにライン速度を調整し、長繊維不織布(1)を得た。
【0037】
<基材不織布の製造(2)>
エチレン成分含有量が4.3モル%、MFRが24のエチレン・プロピレンランダム共重合体樹脂(r-PP)を、吐出量0.84g/分・hоleとなるようにスパンボンド法で、紡糸温度230℃で押出し、このフィラメント群をエアジェットによる高速牽引装置を使用して、移動捕集面に向けて押出し、平均繊維径17μmの長繊維ウェブを作製した。次いで、得られた長繊維ウェブを不織布の製造(1)で使用したものと同じフラットロール/エンボスロールを用いて上下温度135℃、圧力60kg/cm2の条件で、繊維同士を部分圧着して、目的とする目付が18g/m2となるようにライン速度を調整し、長繊維不織布(2)を得た。
【0038】
<基材不織布の製造(3)>
MFRが55g/10分(JIS-K7210に準じ、温度230℃、荷重2.16kgで測定)のポリプロピレン(PP)樹脂を、第1成分とし、MFRが26g/10分(JIS-K7210に準じ、温度190℃、荷重2.16kgで測定)の高密度ポリエチレン(HDPE)樹脂を、第2成分とし、第1成分の吐出量が0.4g/分・hоle、第2成分の吐出量が0.4g/分・hоleで全吐出量が0.8g/分・hоleであり、第1成分と第2成分の比が1/1となるようにスパンボンド法により紡糸温度220℃で押出し、このフィラメント群をエアジェットによる高速気流牽引装置を使用して、移動捕集面に向けて押出し平均繊維径18μの偏芯鞘芯型複合長繊維ウェブを調製した。
次いで、得られた偏芯鞘芯型複合長繊維不織ウェブを100℃のフラットロールとエンボスロール(パターン仕様:直径1.00mm円形、千鳥配列、横ピッチ4.4mm、縦ピッチ4.4mm、圧着面積率7.9%)の間に通して繊維同士を仮接着し、次いで、熱風温度140℃、熱風風速1.0m/sの熱風により繊維同士を接着し、目付18g/m2、捲縮数17個/インチの複合長繊維不織布(3)を得た。
【0039】
[実施例1]
ソルビタンモノラウレート(花王製「レオドールSP-L10」、以下同様)とジオクチルスルホコハク酸ナトリウム(東京化成工業製、以下同様)を、以下の表1に示す比率で、25℃で均一に混合したもの親水剤とし、長繊維不織布(1)に、5wt%に調整した該親水剤の水溶液を液温25℃でキスコーターにて、塗工量が10wt%となるように、ステンレス製アプリケーターロールへの抱角を調整しながら塗工した。次いで、120℃のシリンダードライヤーに通して乾燥させ、巻長10010mで巻き取った。得られたロールは巻き返し、巻外から10000m分を製品ロールとした。得られた不織布の各種測定結果を以下の表1に示す。
【0040】
[実施例2]
ソルビタンモノカプレート(東邦化学工業製「ソルボンS-10E」、以下同様)とジオクチルスルホコハク酸ナトリウムを、以下の表1に示す比率で、25℃で均一に混合したものを長繊維不織布(1)に、実施例1と同様の方式で塗工し、巻き返した10000m分を製品ロールとして得た。得られた不織布の各種測定結果を以下の表1に示す。
【0041】
[実施例3]
ソルビタンモノラウレートとジオクチルスルホコハク酸ナトリウムを、以下の表1に示す比率で、25℃で均一に混合したものの5重量%水溶液を、長繊維不織布(1)に塗布量が10重量%になるようにローターダンプニング(RD)方式にて塗布し、125℃のエアスルードライヤーに通して乾燥させ、巻長10010mで巻き取った。得られたロールは巻き返し、巻外から10000m分を製品ロールとした。使用したローターダンプニング装置のローターの直径は80mmであり、各ローターは、CD方向に115mm間隔、塗布する不織布とのローター中心の距離を180mmとなるように配置した。また、ローター回転数を調整し、噴霧される繊維加工剤の噴霧粒子径が35μmとなるようにした。得られた不織布の各種測定結果を以下の表1に示す。
【0042】
[実施例4]
分子量400のポリエチレングリコール(関東化学製、以下同様)とソルビタンモノラウレートとジオクチルスルホコハク酸ナトリウムを、以下の表1に示す比率で、25℃で均一に混合したものの1.66重量%水溶液を、液温20℃に調整し、塗布量が30重量%となるように、斜線柄120メッシュ、セル容積22cm3/m2のグラビアロールを用いて、長繊維不織布(1)に塗布し、次いで、120℃のシリンダードライヤーに通して乾燥させ巻長10010mで巻き取った。得られたロールは巻き返し、巻外から10000m分を製品ロールとした。得られた不織布の各種測定結果を以下の表1に示す。
【0043】
[実施例5]
分子量300のポリエチレングリコール(関東化学製、以下同様)とソルビタンモノラウレートとアルキルベンゼンスルホン酸塩(ライオン製「ライポンLS-250」)を、以下の表1に示す比率で、25℃で均一に混合したものを、長繊維不織布(1)に実施例1と同様の方式で塗工し巻長10010mで巻き取った。得られたロールは巻き返し、巻外から10000m分を製品ロールとした。得られた不織布の各種測定結果を以下の表1に示す。
【0044】
[実施例6]
分子量300のポリエチレングリコールとソルビタンモノラウレートとαオレフィンスルホン酸塩(ライオン製「KリポランPJ-400CJ」)を、以下の表1に示す比率で、25℃で均一に混合したものを、長繊維不織布(1)に実施例1と同様の方式で塗工し巻長10010mで巻き取った。得られたロールは巻き返し、巻外から10000m分を製品ロールとした。得られた不織布の各種測定結果を以下の表1に示す。
【0045】
[実施例7]
ソルビタンモノパルミテート(花王製「レオドールSP-P10」)とジオクチルスルホコハク酸塩を、以下の表1に示す比率で、25℃で均一に混合したものを、長繊維不織布(1)に実施例4と同様の方式で塗工し巻長10010mで巻き取った。得られたロールは巻き返し、巻外から10000m分を製品ロールとした。得られた不織布の各種測定結果を以下の表1に示す。
【0046】
[実施例8]
ソルビタンモノオレエート(花王製「レオドールSP-P10V」)とジオクチルスルホコハク酸塩を、以下の表2に示す比率で、25℃で均一に混合したものを、長繊維不織布(1)に実施例1と同様の方式で塗工し巻長10010mで巻き取った。得られたロールは巻き返し、巻外から10000m分を製品ロールとした。得られた不織布の各種測定結果を以下の表2に示す。
【0047】
[実施例9]
ソルビタンモノラウレートとジオクチルスルホコハク酸ナトリウムを、以下の表2に記載の比率で、25℃で均一に混合したものを、長繊維不織布(1)に実施例1と同様の方式で塗工し巻長10010mで巻き取った。得られたロールは巻き返し、巻外から10000m分を製品ロールとした。得られた不織布の各種測定結果を以下の表2に示す。
【0048】
[実施例10]
分子量300のポリエチレングリコールとソルビタンモノラウレートとジオクチルスルホコハク酸ナトリウムを、以下の表2に示す比率で、25℃で均一に混合したものを、長繊維不織布(1)に実施例1と同様の方式で塗工し巻長10010mで巻き取った。得られたロールは巻き返し、巻外から10000m分を製品ロールとした。得られた不織布の各種測定結果を以下の表2に示す。
【0049】
[実施例11]
分子量300のポリエチレングリコールとソルビタンモノカプレートとジオクチルスルホコハク酸ナトリウムを、以下の表2に示す比率で、25℃で均一に混合したものを長繊維不織布(1)に実施例1と同様の方式で塗工し巻長10010mで巻き取った。得られたロールは巻き返し、巻外から10000m分を製品ロールとした。得られた不織布の各種測定結果を以下の表2に示す。
【0050】
[実施例12]
分子量400のポリエチレングリコールとソルビタンモノラウレートとジオクチルスルホコハク酸ナトリウムを、以下の表2に示す比率で、25℃で均一に混合したものを長繊維不織布(1)に実施例4と同様の方式で塗工し巻長10010mで巻き取った。得られたロールは巻き返し、巻外から10000m分を製品ロールとした。得られた不織布の各種測定結果を以下の表2に示す。
【0051】
[実施例13]
分子量400のポリエチレングリコールとソルビタンモノラウレートとジオクチルスルホコハク酸ナトリウムを、以下の表2に示す比率で、25℃で均一に混合したものを長繊維不織布(1)に純分付着率が0.84wt%となる様に透水剤濃度を調整し塗工した以外は、実施例6と同様の方法でサンプルを得た。得られた不織布の各種測定結果を以下の表2に示す。
【0052】
[実施例14]
ソルビタンモノラウレートとジオクチルスルホコハク酸を、以下の表2に示す比率で、25℃で均一に混合したものを長繊維不織布(1)に実施例1と同様の方式で塗工し巻長10010mで巻き取った。得られたロールは巻き返し、巻外から10000m分を製品ロールとした。得られた不織布の各種測定結果を以下の表2に示す。
【0053】
[実施例15]
ソルビタンモノラウレートとジオクチルスルホコハク酸を、以下の表3に示す比率で、25℃で均一に混合したものを長繊維不織布(1)に実施例1と同様の方式で塗工し巻長10010mで巻き取った。得られたロールは巻き返し、巻外から10000m分を製品ロールとした。得られた不織布の各種測定結果を以下の表3に示す。
【0054】
[実施例16]
プロピレングリコール(関東化学製、鹿1級)とソルビタンモノラウレートとジオクチルスルホコハク酸ナトリウムを、以下の表3に示す比率で、25℃で均一に混合したものを長繊維不織布(1)に実施例4と同様の方式で塗工し巻長10010mで巻き取った。得られたロールは巻き返し、巻外から10000m分を製品ロールとした。得られた不織布の各種測定結果を以下の表3に示す。
【0055】
[実施例17]
グリセリン(関東化学製、鹿1級)とソルビタンモノラウレートとジオクチルスルホコハク酸ナトリウムを、以下の表3に示す比率で、25℃で均一に混合したものを長繊維不織布(1)に実施例1と同様の方式で塗工し巻長10010mで巻き取った。得られたロールは巻き返し、巻外から10000m分を製品ロールとした。得られた不織布の各種測定結果を以下の表3に示す。
【0056】
[実施例18]
分子量400のポリエチレングリコールとソルビタンモノラウレートとジオクチルスルホコハク酸ナトリウムを、以下の表3に示す比率で、25℃で均一に混合したものを長繊維不織布(2)に実施例1と同様の方式で塗工し巻長10010mで巻き取った。得られたロールは巻き返し、巻外から10000m分を製品ロールとした。得られた不織布の各種測定結果を以下の表3に示す。
【0057】
[実施例19]
分子量300のポリエチレングリコールとソルビタンモノラウレートとジオクチルスルホコハク酸ナトリウムを、以下の表3に示す比率で、25℃で均一に混合したものを複合長繊維不織布(3)に実施例1と同様の方式で塗工し巻長10010mで巻き取った。得られたロールは巻き返し、巻外から10000m分を製品ロールとした。得られた不織布の各種測定結果を以下の表3に示す。
【0058】
[実施例20]
分子量300のポリエチレングリコールとポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(花王製「レオドールTW-O106V」)とジオクチルスルホコハク酸ナトリウムを、以下の表3に示す比率で、25℃で均一に混合したものを長繊維不織布(2)に実施例1と同様の方式で塗工し巻長10010mで巻き取った。得られたロールは巻き返し、巻外から10000m分を製品ロールとした。得られた不織布の各種測定結果を以下の表3に示す。
【0059】
[実施例21]
分子量300のポリエチレングリコールとポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート(花王製「レオドールTW-S106V」)とジオクチルスルホコハク酸ナトリウムを、以下の表3に示す比率で、25℃で均一に混合したものを長繊維不織布(2)に実施例3と同様の方式で塗工し巻長10010mで巻き取った。得られたロールは巻き返し、巻外から10000m分を製品ロールとした。得られた不織布の各種測定結果を以下の表3に示す。
【0060】
[実施例22]
分子量400のポリエチレングリコールとポリオキシエチレンソルビタントリステアレート(花王製「レオドールTW-S320V」)とジオクチルスルホコハク酸ナトリウムを、以下の表4に示す比率で、25℃で均一に混合したものを複合長繊維不織布(3)に実施例1と同様の方式で塗工し巻長10010mで巻き取った。得られたロールは巻き返し、巻外から10000m分を製品ロールとした。得られた不織布の各種測定結果を以下の表4に示す。
【0061】
[実施例23]
分子量400のポリエチレングリコールとショ糖ステアリン酸エステル(三菱ケミカルフーズ製「リョート シュガーエステルS-570」)とジオクチルスルホコハク酸ナトリウムを、以下の表4に示す比率で、25℃で均一に混合したものを長繊維不織布(1)に実施例3と同様の方式で塗工し巻長10010mで巻き取った。得られたロールは巻き返し、巻外から10000m分を製品ロールとした。得られた不織布の各種測定結果を以下の表4に示す。
【0062】
[実施例24]
分子量300のポリエチレングリコールとショ糖ステアリン酸エステル(三菱ケミカルフーズ製「リョート シュガーエステルS-770」)とジオクチルスルホコハク酸ナトリウムを、以下の表4に示す比率で、25℃で均一に混合したものを長繊維不織布(1)に実施例1と同様の方式で塗工し巻長10010mで巻き取った。得られたロールは巻き返し、巻外から10000m分を製品ロールとした。得られた不織布の各種測定結果を以下の表4に示す。
【0063】
[実施例25]
分子量300のポリエチレングリコールとショ糖ステアリン酸エステル(三菱ケミカルフーズ製「リョート シュガーエステルS-970」)とジオクチルスルホコハク酸ナトリウムを、以下の表4に示す比率で、25℃で均一に混合したものを長繊維不織布(1)に実施例1と同様の方式で塗工し巻長10010mで巻き取った。得られたロールは巻き返し、巻外から10000m分を製品ロールとした。得られた不織布の各種測定結果を以下の表4に示す。
【0064】
[比較例1]
長繊維不織布(1)に、ソルビタンモノラウレートのみを含有する親水剤溶液を実施例1と同様の方式で塗工し巻長10010mで巻き取った。得られたロールは巻き返し、巻外から10000m分を製品ロールとした。得られた結果を以下の表4に示す。
【0065】
[比較例2]
長繊維不織布(1)、ソルビタンモノラウレートのみを含有する親水剤溶液を実施例3と同様の方式で塗工し巻長10010mで巻き取った。得られたロールは巻き返し、巻外から10000m分を製品ロールとした。得られた結果を以下の表4に示す。
【0066】
[比較例3]
長繊維不織布(1)に、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウムのみを含有する親水剤溶液を実施例1と同様の方式で塗工し巻長10010mで巻き取った。得られたロールは巻き返し、巻外から10000m分を製品ロールとした。得られた結果を以下の表4に示す。
【0067】
【表1】
【0068】
【表2】
【0069】
【表3】
【0070】
【表4】
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明の繊維親水剤で処理して得た親水性不織布は優れた親水性を有するため、衛生材料、例えば、生理用ナプキン、失禁パット、使い捨ておむつ等のトップシート又はセカンドシートとして好適に利用可能であり、さらには、例えば、マスク、カイロ、テープ基材、貼布薬基材、緊急絆創膏、包装材、ワイプ製品、医療用ガウン、包帯、衣料、スキンケア用シートなどにも利用可能である。