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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-05
(45)【発行日】2024-03-13
(54)【発明の名称】導電性部材の搭載装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/60 20060101AFI20240306BHJP
   B23K 3/06 20060101ALI20240306BHJP
   H05K 3/34 20060101ALI20240306BHJP
【FI】
H01L21/92 604H
B23K3/06 G
H01L21/92 602G
H01L21/92 604Z
H05K3/34 505A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019186893
(22)【出願日】2019-10-10
(65)【公開番号】P2021064638
(43)【公開日】2021-04-22
【審査請求日】2022-09-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000253019
【氏名又は名称】澁谷工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100156199
【弁理士】
【氏名又は名称】神崎 真
(72)【発明者】
【氏名】英 貴善
(72)【発明者】
【氏名】谷内 彰
【審査官】安田 雅彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-124076(JP,A)
【文献】特開2019-029647(JP,A)
【文献】特開2002-231746(JP,A)
【文献】特開2016-048728(JP,A)
【文献】特開2005-047124(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/60-21/607
H05K 3/32- 3/34
H05K 13/00-13/08
B23K 3/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被搭載物に形成された複数の搭載箇所に合わせて複数のガイド用の貫通孔が設けられた配列マスクと、上記配列マスクに上方側から複数の導電性部材を供給する供給手段と、上記供給手段の作動を制御する制御装置と、を備え、
上記供給手段によって複数の導電性部材を上記配列マスク上に供給し、導電性部材を該配列マスクの貫通孔内に落とし込んで上記被搭載物の搭載箇所に搭載するようにした導電性部材の搭載装置において、
上記配列マスクの内部に、上記複数の貫通孔と連通する空間部を形成するとともに、該空間部に負圧を導入する負圧供給源を設けて、
上記各貫通孔は、上記配列マスクの上側から上記空間部と連通する上側貫通孔と、当該上側貫通孔と対応して設けられ、上記配列マスクの下側から上記空間部と連通する下側貫通孔と、から構成されており、
上記制御装置は、上記負圧供給源の作動を制御して上記空間部に負圧を導入した状態で、上記供給手段の作動を制御して複数の導電性部材を上記配列マスク上に供給させ、上記貫通孔に落とし込まれて上記被搭載物の搭載箇所に搭載された状態の上記導電性部材が、上記空間部の負圧によって上側貫通孔および下側貫通孔に保持されることを特徴とする導電性部材の搭載装置。
【請求項2】
上記導電性部材は、柱状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の導電性部材の搭載装置。
【請求項3】
上記配列マスクは、それぞれに上記複数の貫通孔を形成した複数の板状部材を積層して構成されており、
複数の板状部材のうちの少なくとも一つの板状部材に上記複数の貫通孔と連通するとともに上記負圧供給源に接続される溝を形成し、
当該溝が形成された板状部材の面を他の板状部材に重合させて積層することにより、上記溝の内部を上記空間部として構成したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の導電性部材の搭載装置
【請求項4】
上記配列マスクは、上記複数の貫通孔が形成された第1板状部材と、上記第1板状部材の貫通孔に対応する貫通孔が形成された第2板状部材と、上記第1板状部材と第2板状部材との間に配置されて、それらを所定距離だけ離隔させるとともに、上記第1板状部材の貫通孔と上記第2板状部材の貫通孔のそれぞれに連通する上記空間部が形成されたスペーサ部材とを備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の導電性部材の搭載装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は導電性部材の搭載装置に関し、より詳しくは、導電性部材を配列マスクの貫通孔に落とし込んで被搭載物の搭載箇所に搭載するように構成された導電性部材の搭載装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、多数のガイド用の貫通孔を備えた配列マスクを用いて、被搭載物(例えば半導体基板)上の搭載箇所に導電性部材を搭載する搭載装置が知られている(特許文献1、特許文献2)。これらの特許文献1,2の搭載装置は、導電性ボール(導電性部材)を配列マスク上に供給して、該配列マスクに穿設された多数の貫通孔に導電性ボールを落とし込むことで、導電性ボールを被搭載物における所定の搭載箇所に搭載するようになっている。
ところで、近年、被搭載物における搭載箇所の配列ピッチの狭小化が要求されており、それに対応するために導電性ボールおよび配列マスクの貫通孔の小径化が進んでおり、配列マスクの貫通孔に導電性ボールが入りにくいという問題が生じている。この問題をさらに深刻化させている要因として、これまでの球状の導電性ボールから柱状をした導電性部材(円柱状のピラー、ピン、コラム)への置き換えが進んでいることが考えられる。なお、柱状の導電性部材を配列マスクを用いて被搭載物に搭載する搭載装置も既に公知である(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-299836号公報
【文献】特開2008-153336号公報
【文献】特開2018-18985号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、球状をした導電性ボールを被搭載物に搭載する場合には、従来の装置における配列マスクの貫通孔の直径は、導電性ボールの径の1.2~1.3倍程度の寸法に設定されている。そして、配列マスクの貫通孔内を通過した球状の導電性ボールは、多少、搭載箇所からずれた位置に落下しても、リフロー炉で加熱され溶融した状態で、被搭載物の端子部分の金属と合金化反応を起こし、その結果、溶融した導電性ボールは表面張力に従った丸い形状を保とうとして被搭載物の端子部分の上で凝固する。結果的に合金化反応と溶融金属の表面張力により、搭載時のずれた位置から被搭載物の端子位置にアライメントされる。
しかしながら、球状ではなく、溶融しない柱状金属をコアに持つ導電性部材を被搭載物に搭載する場合には、溶融金属量が少ないため溶融しない柱状金属を表面張力により移動させることができないので、溶融しない柱状金属はほとんど落下位置から動かない。したがって、搭載位置精度を高めるためには、配列マスクの貫通孔の内径を柱状の導電性部材の外径の1.1倍程度まで小さくする必要がある。そのため、柱状の導電性部材を被搭載物に搭載する場合には、柱状の導電性部材が配列マスクの貫通孔に入りづらくなるという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した事情に鑑み、本発明は、被搭載物に形成された複数の搭載箇所に合わせて複数のガイド用の貫通孔が設けられた配列マスクと、上記配列マスクに上方側から複数の導電性部材を供給する供給手段と、上記供給手段の作動を制御する制御装置と、を備え、
上記供給手段によって複数の導電性部材を上記配列マスク上に供給し、導電性部材を該配列マスクの貫通孔内に落とし込んで上記被搭載物の搭載箇所に搭載するようにした導電性部材の搭載装置において、
上記配列マスクの内部に、上記複数の貫通孔と連通する空間部を形成するとともに、該空間部に負圧を導入する負圧供給源を設けて、
上記各貫通孔は、上記配列マスクの上側から上記空間部と連通する上側貫通孔と、当該上側貫通孔と対応して設けられ、上記配列マスクの下側から上記空間部と連通する下側貫通孔と、から構成されており、
上記制御装置は、上記負圧供給源の作動を制御して上記空間部に負圧を導入した状態で、上記供給手段の作動を制御して複数の導電性部材を上記配列マスク上に供給させ、上記貫通孔に落とし込まれて上記被搭載物の搭載箇所に搭載された状態の上記導電性部材が、上記空間部の負圧によって上側貫通孔および下側貫通孔に保持されることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0006】
このような構成によれば、処理対象となる導電性部材が柱状であっても、負圧によって導電性部材が配列マスクの貫通孔内に円滑に入り込んで、被搭載物における所定の搭載箇所に確実に搭載される。換言すると、球状ではない柱状の導電性部材を速やかに被搭載物に搭載できるという顕著な効果を得ることができ、球状の導電性部材であっても同様の顕著な効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の一実施例を示す正面図。
図2図1の要部の平面図。
図3図1の要部の平面図。
図4図1の要部の平面図。
図5図2のV―V線に沿う要部の断面図。
図6】本発明の第2実施例を示す平面図。
図7図6の要部の平面図。
図8図6の要部の平面図。
図9図6のIX-IX線に沿う要部の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図示実施例について本発明を説明すると、図1ないし図2において、1は導電性部材の搭載装置であり、この搭載装置1は、粒状をした多数の導電性部材2を配列マスク3の貫通孔3Aに落とし込むことで、基板4における所定の搭載箇所に搭載するようになっている。
搭載装置1の処理対象となる導電性部材2は、銅製で円柱状に形成されており、全て略同一寸法となっている。他方、被搭載物としての基板4は、プリント基板等の電子基板であり、その上面には縦横に等ピッチで多数の電極パッド4Aが設けられている。これら各電極パッド4Aが、導電性部材2が搭載される搭載箇所となっており、各電極パッド4Aの上面(被搭載面)には予めフラックス(接着剤)が塗布されている。
配列マスク3の各貫通孔3Aに落とし込まれた導電性部材2は、基板4における電極パッド4A上に落下して、該電極パッド4Aにフラックスによって接着されるようになっている。
なお、搭載装置1の処理対象となる導電性部材2としては、銅以外にも金や銀等の導電性素材でも良い。また、上記フラックス(接着剤)の代わりに、半田ペースト、銅ペースト、その他の接合補助剤を用いても良い。
【0009】
搭載装置1は、被搭載物としての基板4を水平状態で支持する平板状のステージ6と、ステージ6の上方側に配置されて、基板4の各電極パッド4Aの位置に合わせて縦横等ピッチで多数の貫通孔3Aが設けられた配列マスク3と、多数の導電性部材2を保持して上方側から配列マスク3上に供給して、該配列マスク3の貫通孔3Aに導電性部材2を落とし込むためのカップ7と、このカップ7を水平方向及び上下方向に移動させる移動装置8を備えている。
【0010】
基板4を支持するステージ6は、図示しない移動機構によって昇降可能、かつ水平面のX方向とY方向に可動できるようになっている。
このステージ6は、基板4が供給される前の段階においては、図1に示す搭載位置Aから外れた図示しない給排位置に停止しており、そこで、ステージ6上に基板4が載置されるようになっている。給排位置においてステージ6上に基板4が載置されると、図示しない移動機構によってステージ6は、図1に示した搭載位置Aまで移動されて配列マスク3の近接下方側で停止されるようになっている。
このようにステージ6によって基板4が搭載位置Aに停止されると、該基板4の電極パッド4Aは、配列マスク3の貫通孔3Aの近接下方側に位置するようになっている。その状態において、供給手段としてのカップ7から導電性部材2が配列マスク3上に供給されて貫通孔3Aに落とし込まれるようになっている。
前述したように、基板4の電極パッド4Aにはフラックスが塗布されているので、カップ7から供給されて配列マスク3の貫通孔3Aに落とし込まれた導電性部材2は、電極パッド4A上に落下してフラックスによって接着されるようになっている。
【0011】
配列マスク3は全体として正方形の板状に形成されており、基板4の電極パッド4Aの位置に対応させて、縦横に等ピッチで多数の貫通孔3Aが形成されている。つまり、各貫通孔3Aは、導電性部材2を搭載箇所となる電極パッド4A上に搭載するためのガイド孔となっている。
配列マスク3は固定フレーム11上に水平に支持されるとともに、配列マスク3の上面には、その輪郭に沿って上方側から枠状の抑え部材12を重合させあり、その状態で図示しない連結ボルトによって配列マスク3は固定フレーム11上に水平に固定されている。
【0012】
導電性部材2を配列マスク3上に供給するカップ7は、下端面が開口部7Aとなっており、カップ7の内部はステンレスメッシュ14によって上部空間7Bと下部空間7Cとに区分されている。下部空間7Cの内部は多数の導電性部材2が収容される収容部となっており、上部空間7Bは負圧が導入される負圧導入室となっている。ステンレスメッシュ14の隙間を介して上部空間7Bと下部空間7Cは常に連通しており、上部空間7Bに負圧が導入されると下部空間7Cにも負圧が作用するようになっている。ステンレスメッシュ14は、導電性部材2を吸着する吸着体となっている。
負圧導入室としての上部空間7Bは、導管15を介して負圧供給源16に接続されており、導管15の途中には電磁開閉弁17が設けられるとともに、気体の圧力と流量を調節するレギュレータ18が設けられている。負圧供給源16、電磁開閉弁17及びレギュレータ18の作動は、図示しない制御装置によって制御されるようになっている。
制御装置によって電磁開閉弁17が開放されると、負圧供給源16から導管15を介してカップ7の上部空間7B及び下部空間7Cに負圧が導入されるので、収容部としての下部空間7C内の導電性部材2は上方側に向けて吸引されてステンレスメッシュ14に保持されるようになっている。他方、その保持状態から電磁開閉弁17が閉鎖されると、上部空間7B、下部空間7Cへの負圧の導入が停止されるので、下部空間7C内の導電性部材2はステンレスメッシュ14による保持状態から解放される。したがって、導電性部材2は、自重によって開口部2Aから下方側の配列マスク3上に落下するようになっている。そのようにして、供給手段としてのカップ7から粒状をした多数の導電性部材2が配列マスク3上に供給されるようになっている。
【0013】
供給手段としてのカップ7は、移動装置8によって水平面のX方向及びそれと直交するY方向に移動可能となっており、また、Z方向(上下方向)に昇降可能となっている。
移動装置8は、カップ7を水平面のX方向とY方向に移動させる水平移動機構8Aと、水平移動機構8Aに設けられて、カップ7を昇降させる昇降機構8Bとから構成されている。これら水平移動機構8A及び昇降機構8Bの作動は制御装置により制御されるようになっている。なお、このような水平移動機構と昇降機構を備えた移動装置の構成は上記特許文献2等により公知であるため、ここでの詳細な説明は省略する。
以上の構成において、基板4を支持したステージ6が配列マスク3の下方側まで移動して停止されると、以下のようにして基板4への導電性部材2の搭載作業が行われる。
すなわち、先ず、負圧が導入されてステンレスメッシュ14に多数の導電性部材2を保持した状態のカップ7が、配列マスク3の上方側において水平移動機構8Aにより水平方向の所要位置まで移動されて停止する。その後、昇降機構8Bによりカップ7が所要量下降されるので、カップ7の開口部7Aが配列マスク3の上面の近接上方位置に停止し、かつ、開口部7Aが配列マスク3側の所定数の貫通孔3Aを覆った状態となる(図1の状態)。
すると、カップ7への負圧の導入が停止されるので、ステンレスメッシュ14による導電性部材2の保持状態が解放されて、導電性部材2が開口部7A内となる配列マスク3上に落下する。この後、カップ7に設けられた図示しないバイブレータによってカップ7が水平方向に小さく振動されるので、ステンレスメッシュ14に保持された導電性部材2が確実に配列マスク3上に落下するようになっており、配列マスク3上に落下した導電性部材2が開口部7A内の配列マスク3の貫通孔3Aに落とし込まれるようになっている。そして、貫通孔3Aに落とし込まれた導電性部材2は、基板4の電極パッド4A上に落下して図示しないフラックスにより電極パッド4Aに接着される。このようにして、供給手段としてのカップ7により導電性部材2を配列マスク3上に供給して配列マスク3の貫通孔3Aに落とし込むことで、基板4の搭載箇所である電極パッド4Aに導電性部材2を搭載するようになっている。
この後、カップ7内に負圧が導入されると、配列マスク3上に残存した多数の導電性部材2はステンレスメッシュ14に吸引されて保持され、その後、昇降機構8Bによりカップ7が所要量上昇されるとともに、水平移動機構8Aによりカップ7が次に導電性部材2を搭載すべき隣接位置へ水平移動されるようになっている。
その後、上述したようにしてカップ7による導電性部材2の配列マスク3上への供給と搭載作業が繰り返され、さらにその後も配列マスク3における全域にわたって水平移動機構8Aによるカップ7の水平方向の移動と昇降機構8Bによる昇降作動及び、カップ7内への負圧の導入と停止の作動が繰り返されることで、基板4における全ての電極パッド4A上に導電性部材2が搭載されるようになっている。
以上のようにしてステージ6上の基板4の全ての電極パッド4Aに対する導電性部材2の搭載が終わったら、図示しない移動機構によってステージ6が所要量下降されてから水平方向に平行移動されて所定の給排位置でステージ6が停止されるようになっている。そして、そこで導電性部材2を搭載済みの基板4がステージ6から取り外される一方、導電性部材2を搭載すべき新たな基板4がステージ6上に載置されると、ステージ6は移動機構によって上記配列マスク3の下方まで移動されて停止されるようになっている。その後は、前述したようにして、供給手段としてのカップ7から導電性部材2が配列マスク3上に供給されてから貫通孔3Aに落とし込まれて基板4の電極パッド4Aに搭載されるようになっている。
【0014】
しかして、本実施例は、以上の構成と作動を前提として、配列マスク3を以下のように改良することにより、導電性部材2が球状の導電性ボールである場合のみならず、円柱状である場合であっても配列マスク3の貫通孔3Aに円滑に入り込みやすくしたことが特徴となっている。
すなわち、図2ないし図5に示すように、本実施例の配列マスク3は、正方形をした4枚の板状部材21~24を順次積層して構成されている。
これらの縦横の長さは4枚とも同じ寸法であり、第1層の板状部材21と第4層の板状部材24の板厚は同じである。これに対して、第2層の板状部材22と第3層の板状部材23の板厚は同じであり、それらは上記第1層と第4層の板状部材の約2倍の厚さとなっている。
4枚の板状部材21~24には、それらの対応する同じ位置に縦横等ピッチで同じ内径の貫通孔21A~24Aが穿設されている。貫通孔21A~24Aの内径は、円柱状となった導電性部材2の外径の約1.1倍程度の寸法に設定されている。そして、それら4枚の板状部材21~24の対応位置となる4つの貫通孔21A~24Aにより上記ガイド孔としての各貫通孔3Aが構成されている。
これら4枚の板状部材21~24からなる配列マスク3は、上述したように枠状の抑え部材12によって固定フレーム11上に水平な状態で連結されている。
【0015】
第1層の板状部材21と第4層の板状部材24は、貫通孔21A、24Aが穿設されただけの構成となっているのに対して、第2層と第3層の板状部材22,23には、水平方向の複数の直線状溝22B、23Bが形成されている(図3図4参照)。
第2層の板状部材22には、X方向と平行な複数の直線状溝22BがY方向において等ピッチで形成されており、隣り合う直線状溝22Bの間にX方向と平行な直線状リブ22Cが形成されている。直線状溝22Bの深さは、本来の板状部材22の厚さの半分の深さとなっており、直線状溝22Bの底部に前述した貫通孔22Aが穿設されている(図4図5参照)。
各直線状溝22BのX方向の両端部は、枠状となった抑え部材12の下方側に位置する2本の連通溝22Dに接続されている。各直線状溝22B及び連通溝22Dは、上層となる第3層の板状部材23の下面によって気密を維持して覆われており、各直線状溝22B及び連通溝22Dの内部空間が負圧供給通路26として構成されている。
上記2つの連通溝22Dの中央部の位置に合わせて、第3層の板状部材23、第4層の板状部材24及び抑え部材12には、上下方向の貫通孔からなる接続口27A、27Aが形成されており、これらの接続口27A、27Aは図示しない導管を介して負圧供給源28に接続されている。この負圧供給源28の作動は制御装置によって制御されるようになっている。
次に第3層の板状部材23は、第2層の板状部材22と同様の構成であるが、板状部材22を水平面で90°回転させた配置となっている。つまり、第3層の板状部材23には、Y方向と平行な複数の直線状溝23BがX方向において等ピッチで形成されており、隣り合う直線状溝23Bの間にX方向と平行な直線状リブ23Cが形成されている。直線状溝23Bの深さは、本来の板状部材23の厚さの半分の深さとなっており、直線状溝23Bの底部に前述した貫通孔23Aが穿設されている(図3図5参照)。
各直線状溝23BのY方向の両端部は、枠状となった抑え部材12の下方側に位置する2本の連通溝23Dに接続されている。各直線状溝23B及び連通溝23Dは、上層となる第4層の板状部材24の下面によって気密を維持して覆われており、各直線状溝23B及び連通溝23Dの内部空間が負圧供給通路29として構成されている。
上記2つの連通溝23Dの中央部の位置に合わせて、第4層の板状部材24及び抑え部材12にわたって、上下方向の貫通孔からなる接続口27B、27Bが形成されており、これらの接続口27B、27Bは導管31を介して負圧供給源28に接続されている。
第2層の板状部材22、及び第3層の板状部材23は、以上のように構成されており、第2層の板状部材22に形成される負圧供給通路26は、上層となる第3層の板状部材23の各貫通孔23Aと連通している。第3層の板状部材23に形成される負圧供給通路29は、上層となる第4層の板状部材24の各貫通孔24Aと連通している。
本実施例の配列マスク3は以上のように構成されており、前述したカップ7から配列マスク3上に導電性部材2を落下させる際には、負圧供給源28から配列マスク3の負圧供給通路26、29内に負圧が導入されるようになっている。
その際には、図5に示すように、第3層の板状部材23の負圧供給通路29内の負圧が第4層の貫通孔24Aに作用しているので、該貫通孔24A内を上方から下方に向けて空気が急速に流れ込むことになる。また、これと同様に、第2層の板状部材22の負圧供給通路26内の負圧が第3層の貫通孔23Aに作用しているので、該貫通孔23A内を上方から下方に向けて空気が急速に流れ込むことになる。
そのため、配列マスク3の上面、すなわち第4層の板状部材24の上面に落下して供給された円柱状の導電性部材2は、円滑に、かつ、速やかに第4層の板状部材24の貫通孔24A内に落とし込まれてから、下層となる貫通孔23A、22A、21A内にも落とし込まれて、下方側の基板4の電極パッド4A上に搭載されるようになっている。
なお、理解を容易にするために、図1に粒状として表現した円柱状の導電性部材2を、図5においては上下方向の長さ(軸方向長さ)を図1のものの数倍程度に長く誇張して表現している。
【0016】
以上のように、本実施例の配列マスク3は、4層の板状部材21~24を重合させて構成されるとともに、第2層の板状部材22、第3層の板状部材23に内部空間からなる負圧供給通路26、29が形成されている。そのため、配列マスク3上に、つまり第4層の板状部材24にカップ7から導電性部材2を落下させて供給した際に、円柱状をした導電性部材2でありながら、円滑、かつ速やかに貫通孔3A(21A~24A)内に落とし込んで基板4の電極パッド4Aに搭載することができる。
そのため、円柱状の導電性部材2でありながら、それを基板4に搭載するための作業時間を可及的に短縮することができる。また、負圧を作用させることで、円柱状をした導電性部材2を貫通孔3A(21A~24A)に確実に落とし込んで基板4に搭載することができる。
【0017】
次に、図6図9は、配列マスク3に関する第2実施例を示したものである。この第2実施例は、第2層の板状部材22及び第3層の板状部材23の厚さを、第1層、第4層の板状部材21,24と同じ厚さとするとともに、図8図9に示すように、第2層の板状部材22には、水平方向のX方向と平行にY方向に等ピッチで直線状のスリット22Eが形成されている。これにより、隣り合うスリット22Eの間に直線状のリブ22Cが形成されている。
第2層の板状部材22の下面は、第1層の板状部材21の上面によって気密を保持して覆われており、第2層の板状部材22の上面は、第3層の板状部材23の下面によって気密を保持して覆われている。そして、直線状の各スリット22Eの内部空間が負圧供給通路26となっている。
板状部材22の上層となる板状部材23には、図6図7に示すように、板状部材22の直線状のスリット22Eと直交する位置に、一対の長孔23F(貫通孔)が形成されている。これらの長孔23Fは、板状部材23の下面側で板状部材22の各スリット22Eと連通しており、板状部材23の上面側で板状部材24に穿設された接続口27Aと連通している。これにより、負圧供給源28からの負圧を負圧供給通路26(各スリット22E)に供給できるようになっている。
図7図9に示すように、第3層の板状部材23には、水平方向のY方向と平行にX方向に等ピッチで直線状のスリット23Eが形成されている。これにより、隣り合うスリット23Eの間に直線状のリブ23Cが形成されている。
第3層の板状部材23の下面は、第2層の板状部材22の上面によって気密を保持して覆われており、第3層の板状部材23の上面は、第4層の板状部材24の下面によって気密を保持して覆われている。そして、直線状のスリット23Eの内部空間が負圧供給通路29となっている。
板状部材23の上層となる板状部材24の下面には、図6に示すように、板状部材23の直線状のスリット23Eと直交する位置に、一対の長孔24F(有底溝)が形成されている。これらの長孔24Fは、板状部材24の下面側でスリット23Eと連通している。また、板状部材24の長孔24Fは、接続口27Bを介して負圧供給源28と連通している(図6図9)。これにより、負圧供給源28からの負圧を負圧供給通路29(各スリット23E)に供給できるようになっている。
その他の構成は、前述した第1の実施例の配列マスク3と同じであり、それと対応する各部には同じ部材番号を付している。このような構成の第2実施例の配列マスク3を用いた搭載装置1であっても、前述した第1の実施例と同様の作用・効果を得ることができる。
【0018】
なお、上記実施例においては、導電性部材2として円柱状をした導電性部材を想定しているが、従来周知の球状をした導電性部材(導電性ボール)であっても本実施例の搭載装置1によって基板4に円滑、かつ速やかに搭載することができる。
また、上記実施例で述べた『柱状』とは、円柱だけでなく角柱(三角柱、四角柱等の断面多角形の柱)を含むものである。
また、上記各実施例においては、内部空間としての負圧供給通路26、29を第2層の板状部材22、第3層の板状部材23に形成しているが、第2層の板状部材22のみに負圧供給通路を形成しても良い。
また、上記実施例においては、粒体をした導電性部材2を配列マスク3上に供給する供給手段としてカップ7を用いているが、このようなカップ7と移動装置8を有する供給手段の他に、特許文献1、3に記載される方式の供給手段を用いても良く、配列マスク3上に粒状の導電性部材2を供給できればどのような構成であっても良い。
さらに、被搭載物としての基板4は、プリント基板等の電子基板のみならず、ウエハであっても良い。
【符号の説明】
【0019】
1‥導電性部材の搭載装置 2‥導電性部材
3‥配列マスク 3A‥貫通孔
4‥基板(被搭載物) 4A‥電極パッド(搭載箇所)
7‥カップ 8‥移動装置
21‥板状部材 22‥板状部材
23‥板状部材 24‥板状部材
26‥負圧供給通路(内部空間) 28‥負圧供給源
29‥負圧供給通路(内部空間) A‥搭載位置
図1
図2
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図5
図6
図7
図8
図9