(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-05
(45)【発行日】2024-03-13
(54)【発明の名称】情報処理システム、記憶装置、ホスト装置、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 13/38 20060101AFI20240306BHJP
G06F 11/07 20060101ALI20240306BHJP
【FI】
G06F13/38 350
G06F11/07 140Q
G06F11/07 172
G06F13/38 340Z
(21)【出願番号】P 2020101789
(22)【出願日】2020-06-11
【審査請求日】2023-02-16
(73)【特許権者】
【識別番号】390040187
【氏名又は名称】株式会社バッファロー
(74)【代理人】
【識別番号】100122275
【氏名又は名称】竹居 信利
(72)【発明者】
【氏名】大野 崇仁
(72)【発明者】
【氏名】石井 俊
(72)【発明者】
【氏名】堀部 雅彦
(72)【発明者】
【氏名】日下部 純一
【審査官】北村 学
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-197254(JP,A)
【文献】特開2020-013621(JP,A)
【文献】特開2009-009237(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0041689(US,A1)
【文献】Universal Serial Bus Specification,Revision 2.0,USB Implementers Forum,2000年04月27日,pp. 38-44,https://usb.org/sites/default/files/usb_20_20230224.zip
【文献】窪田 悌二,何でも接続! USB活用術 Part 1 USBの通信とデバイス定義,UNIX USER,日本,ソフトバンククリエイティブ株式会社,2005年11月01日,第14巻 第11号,pp. 40-49
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC G06F 13/38 - 13/42
G06F 8/60 - 8/77
G06F 11/07
G06F 11/28 - 11/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
USBを介して接続されるホスト装置と記憶装置とを含む情報処理システムであって、
前記ホスト装置が、当該記憶装置の障害に関連する障害関連情報を、USBのデータ転送方式のうち
コントロール転送方式により提供する
べき旨の要求
を、前記記憶装置に対して行う要求手段と、
前記記憶装置から、
コントロール転送方式により
提供された、前記障害関連情報を受け入れて、当該受け入れた障害関連情報を用いた所定の処理を実行する処理手段と、
を含み、
前記記憶装置が、記憶メディアを備え、
前記ホスト装置から、予め定めた種類の障害関連情報
をコントロール転送方式により提供するべき旨の要求を受け入れる受入手段と、
前記受け入れた要求に係る障害関連情報を前記記憶メディアに対して要求する情報要求手段と、
前記記憶メディアから受け入れた障害関連情報を、前記ホスト装置へ、
コントロール転送方式により送出する送出手段と、
を含
み、
前記障害関連情報の要求は、USBのコントロール転送方式にて送出可能なデータサイズの指示情報であり、
前記記憶装置の情報要求手段は、当該指示情報に基づいて、障害関連情報を前記記憶メディアに対して要求するためのコマンドデータを生成し、当該生成したコマンドデータを、前記記憶メディアに出力して、障害関連情報を前記記憶メディアに対して要求する情報処理システム。
【請求項2】
USBを介してホスト装置に接続される記憶装置であって、
記憶メディアを具備し、
前記ホスト装置から、予め定めた種類の障害関連情報を、USBのデータ転送方式のうち
コントロール転送方式により提供する
べき旨の要求を受け入れる受入手段と、
前記受け入れた要求に係る障害関連情報を前記記憶メディアに対して要求する情報要求手段と、
前記記憶メディアから受け入れた障害関連情報を、前記ホスト装置へ、
コントロール転送方式により送出する送出手段と、
を含み、
前記障害関連情報の要求は、USBのコントロール転送方式にて送出可能なデータサイズの指示情報であり、
前記情報要求手段は、当該指示情報に基づいて、障害関連情報を前記記憶メディアに対して要求するためのコマンドデータを生成し、当該生成したコマンドデータを、前記記憶メディアに出力して、障害関連情報を前記記憶メディアに対して要求する記憶装置。
【請求項3】
請求項
2に記載の記憶装置であって、
前記送出手段は、前記障害関連情報を、USBのコントロール転送にて送出可能なデータサイズに分割して送出する記憶装置。
【請求項4】
請求項2
または3に記載の記憶装置であって、前記障害関連情報は、S.M.A.R.T.情報である記憶装置。
【請求項5】
記憶メディアを備え、ホスト装置との間でUSBを介して接続される記憶装置を、
前記ホスト装置から、予め定めた種類の障害関連情報を、USBのデータ転送方式のうち
コントロール転送方式により提供する
べき旨の要求を受け入れる受入手段と、
前記受け入れた要求に係る障害関連情報を前記記憶メディアに対して要求する情報要求手段と、
前記記憶メディアから受け入れた障害関連情報を、前記ホスト装置へ、
コントロール転送方式により送出する送出手段と、
として機能させ
、
前記障害関連情報の要求は、USBのコントロール転送方式にて送出可能なデータサイズの指示情報であり、
前記情報要求手段として機能させる際には、当該指示情報に基づいて、障害関連情報を前記記憶メディアに対して要求するためのコマンドデータを生成し、当該生成したコマンドデータを、前記記憶メディアに出力して、障害関連情報を前記記憶メディアに対して要求させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム、記憶装置、ホスト装置、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、家庭用テレビなどの家電製品においても、アンドロイド(登録商標)OSなどのオペレーティングシステムのもとでアプリケーションプログラムを実行するものがある。また、こうした装置には、USBのホスト装置として動作し、USB接続されたハードディスクなどの機器を制御可能なものもある。
【0003】
なお、特許文献1には、SCSIコマンドにより、USB経由でS.M.A.R.T.(Self-Monitoring, Analysis and Reporting Technology)情報を送受する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、オペレーティングシステムで制御される機器において、USB接続された機器との間でのバルク転送要求が複数のアプリケーションで発生すると、転送するデータが輻輳してアプリケーションの実行に支障を起こす可能性があることがわかった。
【0006】
本発明は上記実情に鑑みて為されたもので、ホスト装置が、そのアプリケーションの実行に支障を生じさせることなく、USBを介して接続された機器から障害関連情報等を収集することができる情報処理システム、記憶装置、ホスト装置、及びプログラムを提供することを、その目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記従来例の問題点を解決する本発明の一態様は、USBを介して接続されるホスト装置と記憶装置とを含む情報処理システムであって、前記ホスト装置が、当該記憶装置の障害に関連する障害関連情報を、USBのデータ転送方式のうち、バルク転送とは異なる所定のデータ転送方式により提供するよう前記記憶装置に対して要求する要求手段と、前記記憶装置から、前記所定のデータ転送方式により、前記障害関連情報を受け入れて、当該受け入れた障害関連情報を用いた所定の処理を実行する処理手段と、を含み、前記記憶装置が、記憶メディアを備え、前記ホスト装置から、前記所定のデータ転送方式による、前記予め定めた種類の障害関連情報の提供の要求を受け入れる受入手段と、前記受け入れた要求に係る障害関連情報を前記記憶メディアに対して要求する情報要求手段と、前記記憶メディアから受け入れた障害関連情報を、前記所定のデータ転送方式により、前記ホスト装置へ送出する送出手段と、を含むこととしたものである。
【0008】
このように本発明の一態様では、バルク転送とは異なる所定のデータ転送方式により障害関連情報を取得するので、ホスト装置は、アプリケーションの実行に支障を生じさせることなく、USBを介して接続された記憶装置から、障害関連情報を収集できる。
【0009】
また本発明の一態様は、USBを介してホスト装置に接続される記憶装置であって、記憶メディアを具備し、前記ホスト装置から、予め定めた種類の障害関連情報を、USBのデータ転送方式のうち、バルク転送とは異なる所定のデータ転送方式により提供するよう要求を受け入れる受入手段と、前記受け入れた要求に係る障害関連情報を前記記憶メディアに対して要求する情報要求手段と、前記記憶メディアから受け入れた障害関連情報を、前記所定のデータ転送方式により、前記ホスト装置へ送出する送出手段と、を含むこととしたものである。
【0010】
このように本発明の一態様では、バルク転送とは異なる所定のデータ転送方式により障害関連情報を転送するので、ホスト装置では、アプリケーションの実行に支障を生じさせることなく、USBを介して接続された記憶装置等から、障害関連情報を収集できる。
【0011】
またここで前記所定のデータ転送方式は、USBのコントロール転送であってもよい。さらに前記送出手段は、前記障害関連情報を、USBのコントロール転送にて送出可能なデータサイズに分割して送出することとしてもよい。
【0012】
これらの態様では、バルク転送とは異なるコントロール転送により障害関連情報を転送するので、ホスト装置では、アプリケーションの実行に支障を生じさせることなく、USBを介して接続された記憶装置等から、障害関連情報を収集できる。
【0013】
またこれらの態様において、前記障害関連情報の要求は、USBのコントロール転送にて送出可能なデータサイズの指示情報であり、前記情報要求手段は、当該指示情報に基づいて、障害関連情報を前記記憶メディアに対して要求するためのコマンドデータを生成し、当該生成したコマンドデータを、前記記憶メディアに出力して、障害関連情報を前記記憶メディアに対して要求するものであってもよい。
【0014】
この例によっても、バルク転送とは異なるコントロール転送により障害関連情報を転送するので、ホスト装置では、アプリケーションの実行に支障を生じさせることなく、USBを介して接続された記憶装置等から、障害関連情報を収集できる。
【0015】
また前記障害関連情報は、S.M.A.R.T.情報であってもよい。
【0016】
さらに本発明の別の態様に係るホスト装置は、記憶メディアを備えた記憶装置に対し、USBを介して接続されるホスト装置であって、前記記憶装置に対して、USBのデータ転送方式のうち、バルク転送とは異なる所定のデータ転送方式により、予め定めた種類の障害関連情報を提供するよう要求する要求手段と、前記記憶装置から、前記所定のデータ転送方式により、前記障害関連情報を受け入れて、当該受け入れた障害関連情報を用いた所定の処理を実行する処理手段と、を含み、所定のタイミングで、前記記憶装置に対して、当該記憶装置を、前記ホスト装置から、予め定めた種類の障害関連情報を、USBのデータ転送方式のうち、バルク転送とは異なる所定のデータ転送方式により提供するよう要求を受け入れる受入手段と、前記受け入れた要求に係る障害関連情報を前記記憶メディアに対して要求する情報要求手段と、前記記憶メディアから受け入れた障害関連情報を、前記所定のデータ転送方式により、前記ホスト装置へ送出する送出手段と、として機能させるためのプログラムを転送する。
【0017】
これにより、記憶装置に対し、バルク転送とは異なる所定のデータ転送方式により障害関連情報を転送させることとし、ホスト装置では、アプリケーションの実行に支障を生じさせることなく、USBを介して接続された記憶装置等から、障害関連情報を収集できる。
【0018】
また本発明のもう一つの態様は、プログラムであって、記憶メディアを備え、ホスト装置との間でUSBを介して接続される記憶装置を、前記ホスト装置から、予め定めた種類の障害関連情報を、USBのデータ転送方式のうち、バルク転送とは異なる所定のデータ転送方式により提供するよう要求を受け入れる受入手段と、前記受け入れた要求に係る障害関連情報を前記記憶メディアに対して要求する情報要求手段と、前記記憶メディアから受け入れた障害関連情報を、前記所定のデータ転送方式により、前記ホスト装置へ送出する送出手段と、として機能させることとしたものである。
【0019】
これにより、記憶装置に対し、バルク転送とは異なる所定のデータ転送方式により障害関連情報を転送させ、ホスト装置が、アプリケーションの実行に支障を生じさせることなく、USBを介して接続された記憶装置等から、障害関連情報を収集できる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によると、記憶装置に、バルク転送とは異なる所定のデータ転送方式により障害関連情報を転送させ、ホスト装置は、アプリケーションの実行に支障を生じさせることなく、USBを介して接続された記憶装置から、障害関連情報を収集できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の実施の形態に係る情報処理システムの構成例を表すブロック図である。
【
図2】本発明の実施の形態に係る記憶装置の例を表す機能ブロック図である。
【
図3】本発明の実施の形態に係る情報処理システムの動作例を表すフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。本発明の実施の形態に係る情報処理システム1は、
図1に例示するように、ホスト装置10と、記憶装置20とを含んで構成されている。
【0023】
ホスト装置10は、例えばアンドロイドOSで動作するテレビジョン装置であり、USBを介して記憶装置20に接続されている。このホスト装置10は、制御部11、記憶部12、操作部13、表示制御部14、記憶メディア15、通信部16、及びUSBインタフェース部17を含む。このホスト装置10は、USBインタフェース部17を介してUSBにて記憶装置20に接続されている。
【0024】
制御部11は、CPU等のプログラム制御デバイスであり、記憶メディア15や記憶部12に格納されたプログラムに従って動作する。本実施の形態の一例では、この制御部11は、テレビジョン装置としての動作を行う。この動作において制御部11は、記憶装置20に動画像データを格納し、また、当該格納した動画像データを記憶装置20からUSBのバルク転送により読み出し、当該動画像データを再生する処理などを実行する。
【0025】
またこの制御部11は、記憶メディア15等にインストールされたプログラムに従い、所定のタイミングで記憶装置20に対して、障害関連情報の提供を要求する。この動作については後に述べる。なお、ここで障害関連情報は、例えばS.M.A.R.T.情報でもよいし、S.M.A.R.T.情報に基づいて得られる情報等、S.M.A.R.T.情報そのものとは異なる種類の情報であって、記憶装置20の障害に関わる情報であってもよい。
【0026】
記憶部12は、メモリ等であり、制御部11によって実行されるプログラムを保持するほか、制御部11のワークメモリとしても動作する。操作部13は、タッチパネルやボタン等のインタフェースを備え、ユーザの操作を受け入れて制御部11に出力する。
【0027】
表示制御部14は、GPU(Graphic Processing Unit)等を備える。この表示制御部14は、制御部11から入力される指示に従って、ディスプレイ等に出力する映像信号を生成する。記憶メディア15は、SSD(Solid State Drive)等であり、制御部11によって実行されるプログラム等を保持する。
【0028】
通信部16は、ネットワークインタフェース等であり、制御部11から入力される指示に従い、ネットワークを介して所定のサーバ等にデータを送出する。またこの通信部16は、ネットワークを介して受信したデータを制御部11に出力する。
【0029】
記憶装置20は、例えばハードディスクやSSD等であり、本実施の形態の例では、コントローラ部21と、記憶メディア22とを含む。またコントローラ部21は、制御部31と、記憶部32と、ホスト側インタフェース部33と、ドライブ側インタフェース部34とを含んで構成される。
【0030】
記憶装置20の制御部31は、CPU等のプログラム制御デバイスであり、記憶部32に格納されたプログラムに従って動作する。本実施の形態の一例では、この制御部31は、記憶メディア22内のデータを読み出すべき旨の指示を、ホスト装置10から受け入れると、記憶メディア22からデータを読み出して、ホスト装置10へと送出する。このデータの送出は、USBのバルク転送方式により行われる。
【0031】
またこの制御部31は、記憶部32に格納された、障害関連情報転送プログラムに従って動作する。この障害関連情報転送プログラムの処理において制御部31は、予め定めた種類の障害関連情報を、USBのデータ転送方式のうち、バルク転送とは異なる所定のデータ転送方式により提供するべき旨の要求を受け入れる。そしてこの要求を受けた制御部31は、当該受け入れた要求に係る障害関連情報を、記憶メディア22に対して要求する。制御部31は、記憶メディア22から受け入れた障害関連情報を、上記所定のデータ転送方式により、ホスト装置10へ送出する。この制御部31のより詳しい動作については後に述べる。
【0032】
記憶部32は、例えばメモリデバイスであり、制御部31によって実行される、ファームウェア等のプログラム(障害関連情報転送プログラムを含む)を保持する。この記憶部32は、また、制御部31のワークメモリとしても動作する。
【0033】
またホスト側インタフェース部33は、USBインタフェースであり、ドライブ側インタフェース部34は、本実施の形態の一例では、SATA(Serial ATA)インタフェースである。
【0034】
記憶メディア22は、ハード記憶メディアやSSD(Solid State Drive)ドライブなどのディスクデバイスであり、ホスト装置10によって利用されるデータが格納されている。このデータは例えば、ホスト装置10であるテレビジョン装置で再生される動画像データ等である。
【0035】
次に、ホスト装置10の制御部11と、記憶装置20の制御部31の動作例について説明する。
【0036】
ホスト装置10の制御部11は、記憶装置20の監視用アプリケーション(別途インストールされるものとする)の処理として、所定のタイミングごとに、次の処理を繰り返して実行する。すなわち、この制御部11は、USBインタフェース部17を介して接続された機器のうちから障害関連情報の要求先となる装置(ここでは記憶装置20)を検出する。
【0037】
制御部11は、記憶装置20が検出されると、予め定めた種類の障害関連情報を、USBのデータ転送方式のうち、バルク転送とは異なる所定のデータ転送方式により提供するべき旨の要求を生成する。
【0038】
本実施の形態の例ではホスト装置10は、この記憶装置20に対する要求も、バルク転送とは異なる所定のデータ転送方式により送出することとする。本実施の形態において、バルク転送とは異なる所定のデータ転送方式(バルク転送以外の論理プロトコル)は、コントロール転送方式、インタラプト転送方式、アイソクロナス転送方式のいずれであってもよいが、以下の説明ではコントロール転送方式を用いるものとする。
【0039】
コントロール転送方式を用いる場合、ホスト装置10は、記憶装置20に対する要求を、コントロール転送方式にて送出可能なデータサイズの指示情報とする。具体的には、ホスト装置10は、この要求として、予め定められた、要求の内容を特定する情報(要求コード)を送出することとなる。本実施の形態の例では、予め、記憶装置20に対する障害関連情報の要求を表す要求コードを定めておく。
【0040】
つまり、制御部11は、予め定めた種類の障害関連情報を、USBのデータ転送方式のうち、バルク転送とは異なる所定のデータ転送方式により提供するべき旨の要求として、この要求コードを含んだ要求コマンドを生成する。
【0041】
そして制御部11は、コントロール転送方式により、記憶装置20に対して、生成した要求コマンドを送出する。
【0042】
制御部11は、さらに、この要求コマンドに対する応答として記憶装置20から上記予め定めた種類の障害関連情報を受け入れる。後に説明する記憶装置20の動作により、この応答は、コントロール転送方式により転送される。制御部11は、受け入れた障害関連情報を参照して、ユーザに報知するべき障害が生じている(あるいは障害が生じる可能性がある)か否かを判断する。
【0043】
そして制御部11は、ユーザに報知するべき障害が生じている(あるいは障害が生じる可能性がある)と判断すると、例えば表示制御部14を制御して、記憶装置20に障害が生じている(あるいはその可能性がある)旨の表示を行う。
【0044】
ホスト装置10の制御部11は、上記の処理を行っている間も、バルク転送方式により、記憶装置20の記憶メディア22に格納されている動画像データを読み出し、当該読み出した動画像データを再生する処理を並列して行っていてもよい。
【0045】
この例によると、動画像データはバルク転送方式で読み出され、障害関連情報の要求と受け入れとはコントロール転送方式で行われるので、バルク転送方式での転送が輻輳することがない。
【0046】
次に、記憶装置20の制御部31の動作について説明する。本実施の形態では、この制御部31は、記憶メディア22に格納されている動画像データの要求をホスト装置10から受け入れる。そして制御部31は、当該要求に応答して、記憶メディア22に格納されている動画像データを読み出し、ホスト側インタフェース部34を介して、USBのバルク転送方式にて、当該読み出した動画像データを、ホスト装置10へ送出する。
【0047】
またこの制御部31は、記憶部32に格納された障害関連情報転送プログラムを実行することで、受入部41と、情報要求部42と、情報取得部43と、送出部44とを含む構成を機能的に実現する。
【0048】
受入部41は、障害関連情報の要求を表す要求コードを含む要求コマンドを、USBのコントロール転送方式にてホスト装置10から受け入れる。この要求コマンドは、既に述べたように、予め定めた種類の障害関連情報を、USBのデータ転送方式のうち、バルク転送とは異なる所定のデータ転送方式により提供するよう要求するものである。
【0049】
情報要求部42は、当該受入部41が受け入れた要求に係る障害関連情報を、記憶メディア22に対して要求する。本実施の形態では、この情報要求部42は、ホスト装置10から受け入れた要求コマンドに基づいて、障害関連情報を記憶メディア22に対して要求する標準的な要求コマンド(標準要求コマンドと呼ぶ)を生成する。そして情報要求部42は、当該生成した標準要求コマンドを、記憶メディア22に出力する。
【0050】
情報取得部43は、標準要求コマンドに応答して記憶メディア22が出力する障害関連情報を取得し、送出部44に出力する。
【0051】
送出部44は、記憶メディア22から取得した障害関連情報を、上記受入部41受け入れた要求コマンドが表す、所定のデータ転送方式により、ホスト装置10へ送出する。本実施の形態において、所定のデータ転送方式は、既に述べたように、例えばコントロール転送方式である。つまりこの例では、送出部44は、記憶メディア22から取得した障害関連情報を、コントロール転送方式にて、ホスト装置10へ送出する。
【0052】
[動作]
本実施の形態の情報処理システム1は以上の例のように構成されており、次のように動作する。以下の例では、バルク転送とは異なるデータ転送方式として、コントロール転送方式を用いるものとする。
【0053】
ホスト装置10は、バルク転送方式により、記憶装置20の記憶メディア22に格納されている動画像データを読み出し、当該読み出した動画像データを再生する処理を行いつつ、次の
図3に例示する処理を行う。
【0054】
ホスト装置10は、USBインタフェース部17を介して接続された機器のうちから障害関連情報の要求先となる記憶装置20を検出する(S11)。
【0055】
ホスト装置10は、検出した記憶装置20に対する要求を生成する(S12)。ここでの要求は、予め定めた種類の障害関連情報を、USBのデータ転送方式のうち、バルク転送とは異なる所定のデータ転送方式により提供するべき旨の要求コードを含む要求コマンドである。
【0056】
ホスト装置10は、コントロール転送方式により、記憶装置20に対して、生成した要求コマンドを送出する(S13)。この要求コマンドは、例えばコントロール転送方式の規格で定められるセットアップステージのデータパケットに含めて送出される。
【0057】
記憶装置20の制御部31は、障害関連情報の要求を表す要求コードを含む要求コマンドを、USBのコントロール転送方式にてホスト装置10から受け入れると、当該受け入れた要求コマンドに基づいて、障害関連情報を記憶メディア22に対して要求する標準的な標準要求コマンドを生成する(S14)。
【0058】
制御部31は、当該生成した標準要求コマンドを、記憶メディア22に出力する(S15)。記憶メディア22は、この標準要求コマンドに応答して、記憶メディア22内の障害関連情報を生成する(S16)。この記憶メディア22の動作は、広く知られたS.M.A.R.T.情報を生成する処理であるので、ここでの詳細な説明は省略する。
【0059】
記憶メディア22は、生成した障害関連情報を制御部31に出力する(S17)。制御部31は、記憶メディア22から取得した障害関連情報を、コントロール転送方式によりホスト装置10へ送出する(S18)。この障害関連情報の送出は、コントロール転送方式の規格で定められるデータステージのデータパケットに含めて送出される。なお、データステージのパケットの送受が終了した後に、ステータスステージのパケットの送受が行われるのが全体の通信の流れであるが、ステータスステージのパケットについては通常の通信と同様であるので、ここでの詳しい説明は省略する。
【0060】
ホスト装置10は、記憶装置20から障害関連情報を受信し、当該受信した障害関連情報に基づいて、ユーザに報知するべき障害が生じている(あるいは障害が生じる可能性がある)か否かを判断する(S19:情報分析)。
【0061】
そしてホスト装置10は、当該判断の結果に応じて、記憶装置20に障害が生じている(あるいはその可能性がある)か否かなどを表す情報の表示を行う(S20)。本実施の形態のこの
図3に例示した処理は、所定のタイミングごとに繰り返して行われる。
【0062】
本実施の形態のこの例によると、動画像データはバルク転送方式で読み出され、障害関連情報の要求と受け入れとはコントロール転送方式で行われるので、バルク転送方式での転送が輻輳することがない。
【0063】
[情報の分割]
なお、例えばUSBの規格では、データ転送方式によってパケットサイズに相違がある。このため、記憶装置20の制御部31は、送出部44としての動作において、次のような処理を行う。
【0064】
すなわち送出部44は、選択されたデータ転送方式のパケットサイズに応じて、障害関連情報を複数のパケットに分割して送出する。例えば送出部44は、コントロール転送方式を採用する場合、障害関連情報の一例としてのS.M.A.R.T.情報を、コントロール転送方式のパケットサイズである64バイトずつのデータ要素に分割する。
【0065】
そして送出部44は、コントロール転送方式の規格で定められるデータステージにおいて、各データ要素をそれぞれ含むデータパケットを生成して、当該生成したデータパケットを順次送出する。
【0066】
このように分割された複数のデータ要素を受信したホスト装置10では、当該複数のデータ要素を連結して分割前の障害関連情報を得て、情報分析(
図3のステップS19)以降の処理を実行する。なお、データ要素の連結処理については、オペレーティングシステムが標準的に用意している処理を用いて行うこととすればよい。
【0067】
[データのフィルタリング等]
またここで制御部31は、記憶メディア22が生成した障害関連情報を、そのままホスト装置10へ送出することとしていたが、本実施の形態はこれに限られない。
【0068】
例えば制御部31は、障害関連情報に対して、他の情報を付加してホスト装置10へ送出してもよい。また別の態様では制御部31は、得られた障害関連情報の一部を取り出してホスト装置10へ送出してもよい。あるいは制御部31は、得られた障害関連情報に基づいて生成した情報を含めてホスト装置10へ送出してもよい。
【0069】
一例として制御部31は、障害関連情報であるS.M.A.R.T.情報のうち、障害発生の判断に必要な属性情報として予め定められた、リードエラーレートや、リロケートされたセクタの数などを選択してホスト装置10へ送出することとする。この例では制御部31は、選択されていない、例えば、現在の温度の属性情報等はホスト装置10へ送出しないよう制御する(いわゆるフィルタリング)。
【0070】
また制御部31は、S.M.A.R.T.情報をそのまま送出する代わりに、例えばその属性情報ごとに定められたしきい値を超えるか否かを表す情報を生成するなど、S.M.A.R.T.情報に基づいて別の種類の障害関連情報を生成して、ホスト装置10へ送出してもよい。
【0071】
この例では、制御部31は、リロケート先として定められた全セクタの数のうち、リロケート先として未使用のセクタの数の比に基づいて、その比が90%以上であればランクA、90%未満で60%以上であればランクB…などと複数のしきい値に基づいてランク情報を生成し、このランク情報を、(記憶メディア22が生成した障害関連情報とは別の)障害関連情報として、ホスト装置10へ送出することとしてもよい。
【0072】
このようにすれば、ホスト装置10へ送出するべきデータ量が、もともとの障害関連情報に対して低減でき、またホスト装置10での分析処理を簡易化できる。
【0073】
[ファームウェアの導入]
さらに本実施の形態のホスト装置10は、本実施の形態の処理を行うためのファームウェアプログラムを、記憶装置20に対してインストールする処理を行ってもよい。
【0074】
具体的にホスト装置10は、バルク転送とは異なる所定のデータ転送方式により障害関連情報を提供するべき旨の要求コマンドを、記憶装置20に対して送出した後(
図3のステップS13の後)、予め定めた時間の間に記憶装置20から応答がない場合、あるいは記憶装置20から要求コマンドが解釈できない旨のエラーの応答があった場合に、記憶装置20用のファームウェアプログラムを、記憶装置20へ転送することとしてもよい。
【0075】
ホスト装置10は、このファームウェアプログラムを、ネットワークを介して記憶装置20のメーカーのサーバ等からダウンロードして、記憶装置20宛に転送することとすればよい。
【0076】
本実施の形態において、このファームウェアプログラムは、予め定めた種類の障害関連情報を、USBのデータ転送方式のうち、バルク転送とは異なる所定のデータ転送方式により提供するよう要求を受け入れる受入部としての処理と、当該受け入れた要求に係る障害関連情報を記憶メディア22に対して要求する処理と、記憶メディア22から受け入れた障害関連情報を、要求に係る所定のデータ転送方式により、ホスト装置10へ送出する送出部としての処理と、を実行させるためのプログラムを含む。
【0077】
記憶装置20では、ホスト装置10が転送したファームウェアプログラムを受け入れ、当該ファームウェアプログラムをインストールする処理を実行する。このようなファームウェアのインストールの処理については広く知られた方法が採用できるので、ここでの詳しい説明は省略する。
【0078】
記憶装置20の制御部31は、ファームウェアのインストール後、当該インストールされたファームウェアを実行し、本実施の形態の
図2に例示した機能的構成を実現する。これにより記憶装置20が、
図3に例示した動作を行うこととなる。
【0079】
[情報分析サーバの利用]
またホスト装置10は、記憶装置20から受け入れた障害関連情報についての分析処理を実行する際に、ホスト装置10自身が分析を行うのではなく、外部のサーバ装置に障害関連情報を送出して、分析を行わせることとしてもよい。
【0080】
この例では、予め記憶装置20のメーカー等が障害関連情報であるS.M.A.R.T.情報を受信して、当該S.M.A.R.T.情報に基づいて(例えば機械学習結果を利用して)記憶装置20に障害が発生しているか、あるいは発生する可能性があるかを分析し、当該分析の結果を、当該S.M.A.R.T.情報の送信元であるホスト装置10へ送出することとする。
【0081】
[変形例]
また本実施の形態のここまでの例では、記憶メディア22が提供し、記憶装置20が送信する障害関連情報は例えばS.M.A.R.T.情報であるものとしたが、この障害関連情報はS.M.A.R.T.情報に限られるものではなく、記憶装置20のメーカーが独自に設定した情報であってもよいし、その他、記憶装置20の障害の発生を検知、あるいは予測するために利用可能な種類のどのような情報であってもよい。
【符号の説明】
【0082】
1 情報処理システム、10 ホスト装置、11,31 制御部、12,32 記憶部、13 操作部、14 表示制御部、15 記憶メディア、16 通信部、17 USBインタフェース部、20 記憶装置、21 コントローラ部、22 記憶メディア、33 ホスト側インタフェース部、34 ドライブ側インタフェース部、41 受入部、42 情報要求部、43 情報取得部、44 送出部。