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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-05
(45)【発行日】2024-03-13
(54)【発明の名称】冷凍装置の室外ユニット
(51)【国際特許分類】
   F24F 1/24 20110101AFI20240306BHJP
   F25B 1/00 20060101ALI20240306BHJP
   F25B 49/02 20060101ALI20240306BHJP
【FI】
F24F1/24
F25B1/00 321H
F25B49/02 560
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021047401
(22)【出願日】2021-03-22
(65)【公開番号】P2022146443
(43)【公開日】2022-10-05
【審査請求日】2022-09-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】平和 大樹
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 克敏
【審査官】安島 智也
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-133561(JP,A)
【文献】特開2010-175228(JP,A)
【文献】特開2013-194959(JP,A)
【文献】特開2019-203627(JP,A)
【文献】特開2020-109344(JP,A)
【文献】特許第7125638(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 1/24
F25B 1/00
F25B 49/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒が流れる冷媒配管(35、38、39a、39b)と、
メンテナンス部品(50)と、
前記冷媒配管と前記メンテナンス部品を収容しており、前記メンテナンス部品にアクセスするための開口(16a)を有するケーシング(11)と、
を備え、
前記冷媒配管は、第1位置と、前記開口を介した前記メンテナンス部品へのアクセスを第1位置よりも阻害しない第2位置と、に変更可能であり、
前記メンテナンス部品に対する前記開口(16a)の位置を前側とした場合において、前記前側から見た場合に、前記第2位置に位置する前記冷媒配管は、前記メンテナンス部品と重複しない、
冷凍装置(1)の室外ユニット(2)。
【請求項2】
前記冷媒配管は、
第1部分(84b、89b)と、
前記第1位置で前記メンテナンス部品と前記開口の間に配置される第2部分(38)と、
前記第1部分と前記第2部分を繋ぐ連結部分(81a、81b、81c、82、83a、83b、83c、84a、85a、85b、85c、86、87a、87b、87c、88、89a)と、
を有し、
前記第1部分の長手方向視において、前記第1部分と前記第2部分とは重ならない、
請求項1に記載の冷凍装置の室外ユニット。
【請求項3】
前記第1部分は、前記冷媒配管を前記第1位置から前記第2位置に変更する際にねじれる、
請求項2に記載の冷凍装置の室外ユニット。
【請求項4】
前記連結部分は、前記第1部分(84b、89b)と連結しており、前記第1部分の長手方向に対して湾曲した湾曲部分(84a、89a)を有し、
前記湾曲部分の剛性は、前記第1部分の剛性よりも高い、
請求項2または3に記載の冷凍装置の室外ユニット。
【請求項5】
前記湾曲部分の外径は、前記第1部分の外径よりも大きい、
請求項4に記載の冷凍装置の室外ユニット。
【請求項6】
前記湾曲部分の材質は、前記第1部分の材質よりも曲げ強さが高い、
請求項4または5に記載の冷凍装置の室外ユニット。
【請求項7】
前記メンテナンス部品は、電装品を有する電装品ユニット(50)である、
請求項1から6のいずれか1項に記載の冷凍装置の室外ユニット。
【請求項8】
前記冷媒配管が前記第1位置に位置している状態では、前記冷媒配管は、前記電装品ユニットと熱的に接触する部分を有している、
請求項7に記載の冷凍装置の室外ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
冷凍装置の室外ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、電装品が収容された電装品箱と、冷媒が流れる冷媒配管が設けられた冷凍装置の室外ユニットがある。
【0003】
例えば、特許文献1(特開2011-99578号公報)に記載の装置には、発熱量の多い電装品に対して、冷媒が流れる冷媒配管を熱的に接触させることにより、電装品を冷却させる構造を採用しつつ、電装品箱の着脱を容易にした構造が提案されている。具体的には、この装置では、電装品箱を着脱する際に、電装品箱と冷媒配管との干渉が抑制されるように、電装品箱の側方に冷媒配管を配置させている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載の装置では、冷媒配管によって冷却される電装品を電装品箱の側方に配置する必要があるため、電装品の配置が、冷媒配管の位置によって制約されてしまう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1観点に係る冷凍装置の室外ユニットは、冷媒が流れる冷媒配管と、メンテナンス部品と、ケーシングと、を備える。ケーシングは、冷媒配管とメンテナンス部品を収容している。ケーシングは、メンテナンス部品にアクセスするための開口を有する。冷媒配管は、第1位置と、第2位置と、に変更可能である。第2位置は、開口を介したメンテナンス部品へのアクセスを第1位置よりも阻害しない。
【0006】
この冷凍装置の室外ユニットでは、冷媒配管を第1位置から第2位置に変更させることにより、開口を介したメンテナンス部品へのアクセスが容易になる。このため、メンテナンス部品のメンテナンス作業が容易になる。
【0007】
第2観点に係る冷凍装置の室外ユニットは、第1観点に係る冷凍装置の室外ユニットにおいて、冷媒配管は、第1部分と、第2部分と、連結部分と、を有している。第2部分は、第1位置で、メンテナンス部品と開口の間に配置される。連結部分は、第1部分と第2部分を繋ぐ。第1部分の長手方向視において、第1部分と第2部分とは重ならない。
【0008】
この冷凍装置の室外ユニットでは、メンテナンス部品へのアクセスが十分に容易になる位置まで、冷媒配管の第2部分を移動させやすい。
【0009】
第3観点に係る冷凍装置の室外ユニットは、第2観点に係る冷凍装置の室外ユニットにおいて、第1部分は、冷媒配管を第1位置から第2位置に変更する際にねじれる。
【0010】
この冷凍装置の室外ユニットでは、第1部分をねじることで冷媒配管を第1位置から第2位置に変更させるため、第2部分の位置を大きく変えやすい。
【0011】
第4観点に係る冷凍装置の室外ユニットは、第2観点または第3観点に係る冷凍装置の室外ユニットにおいて、連結部分は、第1部分と連結しており、第1部分の長手方向に対して湾曲した湾曲部分を有する。湾曲部分の剛性は、第1部分の剛性よりも高い。
【0012】
なお、湾曲部分は、第1部分とは異なる種類の金属等のように異なる材質で構成されていてもよいし、第1部分よりも厚みが大きい等異のように異なる厚みで構成されていてもよいし、第1部分より配管径が大きい等のように異なる配管径で構成されていてもよいし、これらの組合せによって構成されていてもよい。
【0013】
この冷凍装置の室外ユニットでは、冷媒配管を第1位置から第2位置に変更させる場合に連結部分が破損することを抑制できる。
【0014】
第5観点に係る冷凍装置の室外ユニットは、第4観点に係る冷凍装置の室外ユニットにおいて、湾曲部分の外径は、第1部分の外径よりも大きい。
【0015】
第6観点に係る冷凍装置の室外ユニットは、第4観点または第5観点に係る冷凍装置の室外ユニットにおいて、湾曲部分の材質は、第1部分の材質よりも曲げ強さが高い。
【0016】
第7観点に係る冷凍装置の室外ユニットは、第1観点から第6観点のいずれかに係る冷凍装置の室外ユニットにおいて、メンテナンス部品は、電装品を有する電装品ユニットである。
【0017】
この冷凍装置の室外ユニットでは、電装品ユニットのメンテナンスが容易になる。
【0018】
第8観点に係る冷凍装置の室外ユニットは、第7観点に係る冷凍装置の室外ユニットにおいて、冷媒配管が第1位置に位置している状態では、冷媒配管は、電装品ユニットと熱的に接触する部分を有している。
【0019】
この冷凍装置の室外ユニットでは、冷媒配管が第1位置に位置している場合に電装品ユニットを冷媒配管と熱的に接触させて温調する場合であっても、冷媒配管を第2位置に変更することにより電装品ユニットのメンテナンスが容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】一実施形態に係る冷凍装置の全体構成図である。
図2】室外ユニットの外観斜視図である。
図3】室外ユニットにおける室外制御部の配置等を示す概略外観斜視図である。
図4】第2冷却部分を移動させた状態を示す概略外観斜視図である。
図5】室外制御部の内部の平面視概略構成図である。
図6】室外制御部の内部の前面側部分についての正面視概略構成図である。
図7】室外制御部の内部の背面側部分についての背面視概略構成図である。
図8】室外制御部の内部の右側面視概略構成図である。
図9】配線用シール材の概略外観斜視図である。
図10】第2冷却部分を前側に回し出した状態における室外制御部周辺の平面視概略構成図である。
図11】室外制御部が前側に取り外される様子を示す平面視概略構成図である。
図12】疲労限界に関する試験の概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(1)冷凍装置の構成
図1に、冷凍装置1の概略構成図を示す。
【0022】
冷凍装置1は、蒸気圧縮式の冷凍サイクル運転を行うことによって、ビル等の室内の冷房および暖房に使用される装置である。冷凍装置1は、主として、室外ユニット2と、室内ユニット4と、室外ユニット2と室内ユニット4とを連絡する液側冷媒連絡配管6およびガス側冷媒連絡配管5とを備えている。冷凍装置1が有する冷媒回路10は、室外ユニット2と、室内ユニット4と、液側冷媒連絡配管6およびガス側冷媒連絡配管5とが接続されることによって構成されている。
【0023】
なお、本実施形態の冷媒回路10には、例えば、R410AまたはR32等の任意の冷媒が充填される。
【0024】
(1-1)室内ユニット
室内ユニット4は、ビル等の室内の天井に埋め込みや吊り下げ等により、又は、室内の壁面に壁掛け等により設置されている。室内ユニット4は、液側冷媒連絡配管6およびガス側冷媒連絡配管5を介して室外ユニット2に接続されており、冷媒回路10の一部を構成している。
【0025】
なお、本実施形態の冷凍装置1では、冷媒回路10において互いに並列接続された複数の室内ユニット4を有している。各室内ユニット4の構成は同様であるため、以下では1の室内ユニット4について説明する。
【0026】
室内ユニット4は、主として、室内膨張弁44と、室内熱交換器41と、室内ファン42と、室内制御部46と、を有している。
【0027】
室内熱交換器41は、例えば、伝熱管と多数のフィンとにより構成されたクロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器である。室内熱交換器41は、冷房運転時は冷媒の蒸発器として機能して室内空気の冷却を行い、暖房運転時は冷媒の放熱器又は凝縮器として機能して室内空気を暖める。室内熱交換器41のガス側には、ガス側冷媒連絡配管5が接続されている。
【0028】
室内膨張弁44は、弁開度を調節可能な電子膨張弁によって構成されている。室内膨張弁44は、室内熱交換器41と液側冷媒連絡配管6との間の冷媒流路に設けられている。
【0029】
室内ユニット4は、ユニット内に室内空気を吸入して、室内熱交換器41において冷媒と熱交換させた後に、供給空気として室内に供給するための室内ファン42を有している。室内ファン42は、遠心ファンや多翼ファン等である。室内ファン42は、室内ファンモータ43を有している。
【0030】
室内制御部46は、室内ユニット4を構成する各部の動作を制御する。室内制御部46は、室内ユニット4の制御を行うために設けられたマイクロコンピュータやメモリ等を有している。室内制御部46は、室外ユニット2の室外制御部50またはリモコン3との間で伝送線7aを介して制御信号等のやりとりが可能である。
【0031】
(1-2)室外ユニット
室外ユニット2は、ビル等の室外に設置されており、液側冷媒連絡配管6およびガス側冷媒連絡配管5を介して各室内ユニット4に接続されている。
【0032】
図2に、室外ユニット2の外観斜視図を示す。図2においては、室外ユニット2の一部の内部構成を省略して示している。なお、以下の説明において、「上」、「下」、「左」、「右」、「前」、「後」は、特にことわりのない限り、図2に示される室外ユニット2を前方(図面の左斜前側)から見た場合の方向を意味する。ここで、本実施形態では、室外ユニット2の平面視における中心から見て、室外熱交換器23が存在しない面又は存在部分が最も小さい面が位置する方向を「前」としている。なお、図2では、主として、室外ユニット2の内部の主要機器と室外制御部50を図示し、室外熱交換器23や他の配管等を省略している。また、図3に、室外ユニット2における室外制御部50の配置等を示す概略外観斜視図を示す。図3では、主として、室外制御部50、その周辺の第1冷却部分34および第2冷却部分38、室外熱交換器23、室外ファン26等を図示し、他の機器や配管等を省略している。
【0033】
室外ユニット2は、主として、室外機ケーシング11、圧縮機21、四路切換弁22、室外熱交換器23、室外膨張弁24、アキュムレータ25、液側閉鎖弁29、ガス側閉鎖弁28、冷却回路30、室外ファン26、室外制御部50等を有している。
【0034】
本実施形態において、室外ユニット2は、室外機ケーシング11の左右の側面及び背面から空気を吸い込んで室外機ケーシング11の上端面から上方に向けて空気を吹き出す上吹き型の熱交換ユニットである。
【0035】
室外機ケーシング11は、主として、主要部13と、主要部13の上に設けられるファンモジュール12と、を有している。
【0036】
主要部13は、一対の据付脚18と、底フレーム15と、4本の支柱14と、前面パネル13aと、網部13b、13c、13dと、を有している。据付脚18は、前側に設けられたものと、後側に設けられたものを有しており、それぞれ左右方向に延びている。底フレーム15は、各据付脚18上に架け渡される。各支柱14は、底フレーム15の角部から鉛直方向に延びている。前面パネル13aは、前側の2本の支柱14の間に広がっている。網部13bは、左側の支柱14間において前後に広がるように設けられている。網部13cは、後側の支柱14間において左右に広がるように設けられている。網部13dは、右側の支柱14間において前後に広がるように設けられている。
【0037】
底フレーム15は、室外機ケーシング11の底面を形成しており、底フレーム15上には、室外熱交換器23が設けられている。ここで、室外熱交換器23は、室外機ケーシング11の背面および左右両側面に面する平面視略U字形状の熱交換器である。
【0038】
なお、上記各網部13b、13c、13dは、室外熱交換器23の外側表面に沿って広がるように設けられている。これらの各網部13b、13c、13dは、室外機ケーシング11における右側面、左側面、背面の3つの吸込口を実質的に形成している。
【0039】
前面パネル13aは、室外機ケーシング11の前面のうちの上部を構成する上前面パネル16と、室外機ケーシング11の前面のうちの下部を構成する下前面パネル17と、を有している。
【0040】
ファンモジュール12は、各支柱14の上端に取り付けられる。ファンモジュール12は、前側板12a、左側板12b、背側板12c、右側板12dを有する略直方体形状の箱体であり、上下方向に貫通している。ファンモジュール12は、内部に室外ファン26が収容されることで、上方向に流れる空気流れの流路を形成している。
【0041】
圧縮機21は、例えば、圧縮機用モータ21aによって駆動される容積式圧縮機である。本実施形態では、2台の圧縮機21が互いに並列に接続されている。圧縮機用モータ21aは、インバータ装置を介して電力の供給を受けて駆動される。圧縮機21は、圧縮機用モータ21aにおける駆動周波数を変えて回転数を変化させることで、運転容量が可変である。圧縮機21の吐出側は、四路切換弁22における複数の接続ポートのうちの1つに接続される。本実施形態において圧縮機21は、底フレーム15上に載置されている。
【0042】
アキュムレータ25は、圧縮機21の吸入側と四路切換弁22の複数の接続ポートのうちの1つとの間に設けられている冷媒容器である。本実施形態においてアキュムレータ25は、底フレーム15上に載置されている。
【0043】
室外熱交換器23は、例えば、伝熱管と多数のフィンとにより構成されたクロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器である。室外熱交換器23は、冷房運転時に冷媒の放熱器又は凝縮器として機能し、暖房運転時に冷媒の蒸発器として機能する。室外熱交換器23のガス側には、冷媒配管を介して、四路切換弁22の複数の接続ポートのうちの1つが接続されている。室外熱交換器23の液側には、冷媒配管を介して、室外膨張弁24が接続されている。
【0044】
室外ファン26は、ファンモジュール12内に収容されている。室外ファン26は、室外機ケーシング11の下部周囲から内部に室外空気を吸入することで、室外熱交換器23において冷媒と熱交換させた後に、ファンモジュール12の上端面に設けられた吹出口から上方に向けて排出する空気流れを形成する。この室外ファン26は、DCファンモータからなる室外ファンモータ26aによって駆動されるプロペラファン等であり、風量可変である。本実施形態において、室外ファンモータ26aは、インバータ装置を介して電力の供給を受けて駆動する。
【0045】
室外膨張弁24は、冷媒回路10内を流れる冷媒の流量の調節等を行うために弁開度を調節可能な電動膨張弁である。室外膨張弁24は、室外熱交換器23の液側出口と液側閉鎖弁29との間に設けられている。
【0046】
四路切換弁22は、複数の接続ポートを有している。四路切換弁22は、複数の接続ポートの接続状態を切り換えることで、冷媒回路10を冷房運転接続状態と暖房運転接続状態とに切り換える。冷房運転接続状態では、圧縮機21の吐出側と室外熱交換器23とが接続され、圧縮機21の吸入側とガス側閉鎖弁28とが接続される。暖房運転接続状態では、圧縮機21の吐出側とガス側閉鎖弁28とが接続され、圧縮機21の吸入側と室外熱交換器23とが接続される。
【0047】
液側閉鎖弁29は、液側冷媒連絡配管6との接続口に設けられた弁である。液側閉鎖弁29は、室外膨張弁24の室外熱交換器23側とは反対側に対して冷媒配管を介して接続されている。ガス側閉鎖弁28は、ガス側冷媒連絡配管5との接続口に設けられた弁である。ガス側閉鎖弁28は、四路切換弁22の複数の接続ポートのうちの1つに対して冷媒配管を介して接続されている。
【0048】
冷却回路30は、室外制御部50が有している後述する発熱部品等の電装品を冷却させるための回路であって、第1冷却回路31と、第2冷却回路35と、を有している。
【0049】
第1冷却回路31は、圧縮機21の吐出側と四路切換弁22の複数の接続ポートのうちの1つとの間から分岐し、四路切換弁22の複数の接続ポートの1つとアキュムレータ25との間に合流するように冷媒を流す回路である。第1冷却回路31は、第1熱交換器32と、第1膨張弁33と、第1冷却部分34と、を有している。第1熱交換器32、第1膨張弁33、第1冷却部分34は、第1冷却回路31においてこの順に冷媒が流れるように設けられている。なお、本実施形態において、第1熱交換器32は、伝熱フィンを共有することにより、室外熱交換器23及び後述の第2熱交換器36と一体化されている。第1膨張弁33は、第1冷却回路31内を流れる冷媒の流量の調節等を行うために弁開度を調節可能な電動膨張弁である。第1冷却部分34は、後述の第1熱伝達部材34aを介して室外制御部50の発熱部品等の電装品が収容されている空間を、室外制御部50の背面側から冷却するように設けられている。
【0050】
第2冷却回路35は、圧縮機21の吐出側と四路切換弁22の複数の接続ポートのうちの1つとの間から分岐し、四路切換弁22の複数の接続ポートの1つとアキュムレータ25との間に合流するように冷媒を流す回路である。第2冷却回路35は、第2熱交換器36と、第2冷却部分38と、第2膨張弁37と、を有している。第2熱交換器36、第2冷却部分38、第2膨張弁37は、第2冷却回路35においてこの順に冷媒が流れるように設けられている。なお、本実施形態において、第2熱交換器36は、伝熱フィンを共有することにより、室外熱交換器23及び第1熱交換器32と一体化されている。第2膨張弁37は、第2冷却回路35内を流れる冷媒の流量の調節等を行うために弁開度を調節可能な電動膨張弁である。第2冷却部分38は、後述の第2熱伝達部材38aを介して、室外制御部50の発熱部品等の電装品に対して前側から熱的に接触し、冷却させるように設けられている。
【0051】
なお、詳細は後述するが、室外ユニット2の施工時または室外ユニット2の室外制御部50等のメンテナンスを行う際には、図4に示すように、第2冷却回路35における第2冷却部分38を前側に移動させる。具体的には、第2冷却部分38の両端から延びる第1接続配管39a、第2接続配管39bをねじるように回転させることで、第2冷却部分38を前側に回し出した状態として、室外制御部50等の施工およびメンテナンスを行う。
【0052】
また、室外ユニット2には、図示しない各種のセンサが設けられている。
【0053】
室外制御部50は、室外機ケーシング11のうち、ファンモジュール12の下方であって、前側寄りであって、上前面パネル16の背面側に対向するように設けられている。より具体的には、室外制御部50は、圧縮機21とアキュムレータ25よりも前側に位置している。室外制御部50には、室外機ケーシング11の上前面パネル16を取ることで登場する開口16aを介して、現地作業員がアクセスすることができる。なお、開口16aは、左前に位置する支柱14と、右前に位置する支柱14と、ファンモジュール12の前側板12aの下縁と、下前面パネル17の上縁と、によって縁取られており、前後方向に開口している。室外制御部50は、室外ユニット2を構成する各部の動作を制御する。室外制御部50は、室外ユニット2の制御を行うために設けられたマイクロコンピュータやメモリを有しており、圧縮機用モータ21a、室外ファンモータ26a、室外膨張弁24、四路切換弁22、第1膨張弁33、第2膨張弁37等の状態を制御する。室外制御部50は、各室内ユニット4の室内制御部46やリモコン3との間で伝送線7aを介して制御信号等のやりとりを行うこと可能である。以上の各室内制御部46と室外制御部50とリモコン3とは、伝送線7aによって互いに接続されることで、冷凍装置1全体の運転制御を行う制御部7を構成している。
【0054】
制御部7は、図示しない各種センサの検出信号を受けることができるように接続されるとともに、これらの検出信号等に基づいて各種機器の制御を行う。なお、制御部7は、上述の各種制御を実行するCPUと、各種制御の実行等に用いられる情報が格納されたメモリ等を有している。
【0055】
(1-3)冷媒連絡配管
液側冷媒連絡配管6およびガス側冷媒連絡配管5は、冷凍装置1をビル等の設置場所に設置する際に、現地にて施工される冷媒管である。
【0056】
なお、複数の室内ユニット4を有する本実施形態の冷凍装置1では、液側冷媒連絡配管6は各室内ユニットに対応するようにして分岐した部分を有しており、ガス側冷媒連絡配管5は各室内ユニットに対応するようにして分岐した部分を有している。
【0057】
(2)冷媒回路における冷凍サイクル
冷凍装置1の冷媒回路10では、四路切換弁22の接続状態を切り換えることで、主として、冷房運転と暖房運転を行う。ここでは、冷媒回路10のうち冷却回路30以外の部分についての運転について説明する。
【0058】
(2-1)冷房運転
冷房運転は、圧縮機21の吐出側が室外熱交換器23側に、圧縮機21の吸入側が各室内熱交換器41側となるように、四路切換弁22の接続状態が切り換えられた状態で行われる。
【0059】
圧縮機21は、例えば、各室内ユニット4における冷房負荷を処理するように周波数が制御される。これにより、圧縮機21に吸入された低圧圧力の冷媒は、圧縮機21から吐出されて高圧圧力の冷媒となり、四路切換弁22を経て室外熱交換器23に流入する。
【0060】
室外熱交換器23に流入した冷媒は、冷媒の熱を放熱し、凝縮する。室外熱交換器23を流出した冷媒は、冷房運転時において制御部7によって全開状態に制御された室外膨張弁24を通過する。
【0061】
室外膨張弁24を通過した冷媒は、液側閉鎖弁29を通過して、液側冷媒連絡配管6に送られる。
【0062】
液側冷媒連絡配管6を流れる冷媒は、分岐した後に、各室内ユニット4に送られる。
【0063】
各室内ユニット4に流入した冷媒は、室内膨張弁44において冷凍サイクルの低圧圧力となるまで減圧される。なお、室内膨張弁44の弁開度は、制御部7によって、例えば、室内熱交換器41の出口側の冷媒の過熱度が所定の目標過熱度となるように制御される。
【0064】
各室内ユニット4の各室内膨張弁44で減圧された冷媒は、各室内熱交換器41において蒸発する。各室内熱交換器41において蒸発した冷媒は、合流してガス側冷媒連絡配管5を流れる。
【0065】
ガス側冷媒連絡配管5を流れた冷媒は、室外ユニット2のガス側閉鎖弁28、四路切換弁22、アキュムレータ25を介して圧縮機21に再び吸入される。
【0066】
(2-2)暖房運転
暖房運転は、圧縮機21の吐出側が各室内熱交換器41側に、圧縮機21の吸入側が室外熱交換器23側となるように、四路切換弁22の接続状態が切り換えられた状態で行われる。
【0067】
圧縮機21は、例えば、各室内ユニットにおける暖房負荷を処理できるように周波数が制御される。これにより、圧縮機21から吐出された高圧圧力の冷媒は、四路切換弁22、ガス側冷媒連絡配管5を介して各室内ユニット4に向けて流れる。
【0068】
ここで、ガス側冷媒連絡配管5を通過した冷媒は、分岐して、各室内ユニット4に流入する。
【0069】
各室内ユニット4に流入した冷媒は、各室内熱交換器41において放熱し、凝縮する。なお、各室内膨張弁44の弁開度は、暖房運転時は、例えば、室内熱交換器41の出口を流れる冷媒の過冷却度が所定の値となるように制御される。
【0070】
このようにして、各室内熱交換器41において凝縮し、各室内膨張弁44を通過した冷媒は、合流して液側冷媒連絡配管6を流れる。
【0071】
液側冷媒連絡配管6を流れた冷媒は、液側閉鎖弁29を通じて室外ユニット2に供給される。液側閉鎖弁29を通過した冷媒は、室外膨張弁24において冷凍サイクルの低圧圧力まで減圧される。具体的には、例えば、圧縮機21の吸入側を流れる冷媒の過熱度が目標過熱度となるように、室外膨張弁24の弁開度が制御される。
【0072】
室外熱交換器23に送られた冷媒は、蒸発し、四路切換弁22、アキュムレータ25を介して圧縮機21に再び吸入される。
【0073】
(3)冷却回路における冷媒流れ
ここでは、冷媒回路10のうち冷却回路30における運転について説明する。
【0074】
冷却回路30の第1冷却回路31および第2冷却回路35には、冷房運転時および暖房運転時のいずれにおいても冷媒を流すことができる。冷房運転時および暖房運転時のいずれにおいても、より具体的には圧縮機21が駆動している際は常時、第1冷却回路31および第2冷却回路35に冷媒を流すように、室外制御部50が第1膨張弁33および第2膨張弁37の弁開度を制御するようにしてもよい。
【0075】
ここで、第1冷却回路31の第1冷却部分34には、圧縮機21から吐出され、第1熱交換器32で放熱した後に、第1膨張弁33で減圧された冷媒が導かれる。第1冷却部分34を流れる冷媒は、室外制御部50の発熱部品からの熱を受けて少なくとも一部が蒸発し、アキュムレータ25に向けて流れる。
【0076】
また、第2冷却回路35の第2冷却部分38には、圧縮機21から吐出され、第2熱交換器36で放熱した後の冷媒が導かれる。第2冷却部分38を流れる冷媒は、室外制御部50の発熱部品からの熱を受けて少なくとも一部が蒸発し、第2膨張弁37を通過する際に減圧され、アキュムレータ25に向けて流れる。
【0077】
このため、第1冷却部分34を流れる冷媒の温度と、第2冷却部分38を流れる冷媒の温度と、は異なっており、第1冷却部分34を流れる冷媒の温度の方が低い。
【0078】
なお、本実施形態では、第1冷却回路31および第2冷却回路35を構成する配管部分は、銅配管で構成されている。この第1冷却回路31および第2冷却回路35を構成する配管部分の材質および配管径は、本実施形態においては一様である。第1冷却回路31および第2冷却回路35を構成する配管部分の配管径は、冷媒回路10における主管部分の配管径よりも細く、例えば、称呼配管径が1/2インチ以下(外径が12.7mm以下)であってよく、称呼配管径が3/8インチ以下(外径が9.52mm以下)であることが好ましく、称呼配管径が1/4インチ以下(外径が6.35mm以下)であることがさらに好ましい。ここで、冷媒回路10の主管部分とは、例えば、室外熱交換器23に接続されている配管とすることができる。
【0079】
(4)室外制御部の詳細構成
図5に、室外制御部50の内部の平面視概略構成図を示す。図6に、室外制御部50の内部の前面側部分について正面視概略構成図を示す。図7に、室外制御部50の内部の背面側部分についての背面視概略構成図を示す。図8に、室外制御部50の内部の右側面視概略構成図を示す。
【0080】
室外制御部50は、電装品ケーシング50aと、第1基板61と、第2基板62と、第3基板63と、第4基板64と、第5基板65と、を有している。
【0081】
電装品ケーシング50aは、背面57と、天面55と、下面56と、右側面54と、左側面53と、上前蓋51と、下前蓋52と、第2仕切板58と、第1仕切板59と、を有している。電装品ケーシング50aの外観は、背面57、天面55、下面56、右側面54、左側面53、上前蓋51、および、下前蓋52によって構成されており、略箱状である。このうち、背面57、天面55、下面56、右側面54、左側面53、第2仕切板58、第1仕切板59、上前蓋51および下前蓋52は、後述する蓋用シール材50bの部分を除き、金属製である。なお、背面57、天面55、下面56、右側面54、および、左側面53は、一体的に構成されている。なお、複数の金属板部材を用いて一体的に構成する場合には、各金属板部材同士は、シーミング加工により隙間が生じないように連結されることが好ましい。上前蓋51および下前蓋52は、いずれも前面視略矩形の板金であり、電装品ケーシング50aの前面を構成している。上前蓋51は、下前蓋52の上に位置している。本実施形態においては、上前蓋51は、前面視において、下前蓋52よりも大きい。
【0082】
なお、上前蓋51は、板厚方向に貫通した点検口51aを有している。この点検口51aは、点検蓋51bによって開閉可能に塞がれる。
【0083】
第2仕切板58は、電装品ケーシング50aの内部を、前側と後側に仕切るように上下左右に広がっている。第2仕切板58は、電装品ケーシング50aの内部における前後方向の中心近傍に設けられている。第1仕切板59は、電装品ケーシング50aの内部の第2仕切板58よりも前側の空間を上下に仕切るように水平に広がっている。第1仕切板59は、電装品ケーシング50aの内部における上下方向の中心近傍に設けられている。これにより、電装品ケーシング50a内部は、第2仕切板58に対して背面側である第1空間S1と、第2仕切板58に対して前面側であって第1仕切板59よりも上方の第2空間S2と、第2仕切板58に対して前面側であって第1仕切板59よりも下方の第3空間S3と、に仕切られている。
【0084】
なお、第1仕切板59は、第2空間S2と第3空間S3とを連通させるように上下方向に貫通した第1開口59aを有している。また、第2仕切板58は、第1空間S1と第2空間S2とを連通させるように前後方向に貫通した第2開口58aを有している。なお、第2仕切板58には、第1空間S1と第3空間S3とを直接連通させる開口は設けられていない。第1仕切板59の第1開口59aには、図9に示す配線用シール材90が取り付けられる。
【0085】
下面56は、第2仕切板58よりも後側において、第1空間S1と電装品ケーシング50aの下側の外部空間とを連通する開口56bを有している。開口56bは、後述する第3基板63に設けられたIPMから延びる電気配線63bが通過する。下面56の開口56bには、図9に示す配線用シール材90が取り付けられる。なお、下面56に設けられた開口56bの開口面積は、第2仕切板58に設けられた第2開口58aの開口面積と同程度であり、第1仕切板59に設けられた第1開口59aの開口面積よりも小さい。
【0086】
なお、配線用シール材90は、仕切部91と、第1円筒部92と、第2円筒部93と、連通部94と、を有しており、ゴム等の柔軟性のある素材で構成されている。仕切部91は、略矩形の板状を有している。第1円筒部92は、仕切部91の平面部分から延び出すように設けられた円筒形状部分である。第2円筒部93は、仕切部91の平面部分から、第1円筒部92側とは反対側に延び出すように設けられた円筒形状部分である。連通部94は、仕切部91のうち、第1円筒部92の内側と第2円筒部93の内側とを繋ぐ位置に設けられており、仕切部91の板厚方向に貫通するように放射状に設けられた複数の切り込みを有している。この配線用シール材90は、第1円筒部92と第2円筒部93のいずれかを第1開口59aの内側に嵌めることにより、第1仕切板59に取り付けられる。第1仕切板59の厚み方向から見た場合に、配線用シール材90の連通部94は、第1仕切板59の第1開口59aの内側に位置する。
【0087】
なお、第2仕切板58の第2開口58aにおいても、同様に、図9に示す配線用シール材90が取り付けられる。配線用シール材90は、第1円筒部92と第2円筒部93のいずれかを第2開口58aの内側に嵌めることにより、第2仕切板58に取り付けられる。第2仕切板58の厚み方向から見た場合に、配線用シール材90の連通部94は、第2仕切板58の第2開口58aの内側に位置する。
【0088】
上前蓋51は、天面55、右側面54、左側面53、第1仕切板59の前側縁部に対して嵌め込まれる。なお、天面55、下面56、右側面54、左側面53、第1仕切板59は、各前側縁部を縁取るように蓋用シール材50bが設けられている。蓋用シール材50bは、例えば、各前側縁部に沿うように設けられたゴム等により形成されたパッキンであってよい。当該パッキンとしては、縁部を挟み込むU字パッキンであることが好ましい。このように蓋用シール材50bが設けられていることにより、上前蓋51が取り付けられた状態では、上前蓋51と、天面55、右側面54、左側面53、第1仕切板59の前側縁部との間の隙間が埋められ、第2空間S2の密閉性を高めることが可能になっている。
【0089】
下前蓋52は、下面56、右側面54、左側面53、第1仕切板59の前側縁部に対して嵌め込まれる。下前蓋52についても同様に、上述の蓋用シール材50bが設けられていることにより、下前蓋52が取り付けられた状態では、下前蓋52と、下面56、右側面54、左側面53、第1仕切板59の前側縁部との間の隙間が埋められ、第3空間S3の密閉性を高めることが可能になっている。
【0090】
なお、下面56は、第2仕切板58よりも前側であって、左端部近傍において、可動面56xを有している。この可動面56xは、第2冷却回路35のうちの第2冷却部分38の各端部に接続された後述の第1接続配管39aおよび第2接続配管39bを上下方向に貫通させるための開口が形成されている。可動面56xは、第1接続配管39aおよび第2接続配管39bと共に、前側に向けてスライド移動することで、下面56から分離させることが可能である。
【0091】
なお、電装品ケーシング50aの外周を構成する面のうち、背面57が最も広い面である。背面57の左右方向の長さは、左側面53の前後方向の長さよりも長く、右側面54の前後方向の長さよりも長い。このため、第1冷却回路31の第1冷却部分34は、電装品ケーシング50aの背面57に対して熱的に接触する箇所を、左右方向に十分に長く確保することが可能になっている。
【0092】
第1基板61、第2基板62、第3基板63、第4基板64、および、第5基板65は、いずれも、上下左右に広がった板状部材であり、正面視において略矩形状を有しており、第2仕切板58に対して固定されている。具体的には、第1基板61は、本実施形態では2つ設けられており、第1空間S1の上方において左右に分かれて位置している。第3基板63は、本実施形態では2つ設けられており、第1空間S1の下方において左右に分かれて位置している。第2基板62は、第1空間S1の左右方向中心の下方において、2つの第3基板63の間に位置している。第4基板64は、第2空間S2の右側上方に位置している。第5基板65は、第2空間S2の左側上方に位置している。
【0093】
第1基板61には、電装品であり、発熱部品であるノイズフィルタ61aが設けられている。第2基板62には、室外ファン26に用いられる電装品であり、発熱部品であるIPM(Intelligent Power Module)62aが設けられている。第3基板63には、圧縮機21のインバータ用の電装品であり、発熱部品であるIPM(Intelligent Power Module)63aが設けられている。なお、ノイズフィルタ61a、IPM62a、IPM63aは、いずれも第1空間S1に収容されているが、電装品ケーシング50aの背面57からは前側に離れて位置している。これにより、第1空間S1の背面57が第1冷却部分34によって冷却されることで背面57に結露が生じることがあっても、結露水がノイズフィルタ61a、IPM62a、IPM63aに至ることが抑制される。なお、第1基板61、第2基板62、第3基板63は、いずれも、室外ユニット2を施工する際に現地作業員による設定等の作業は発生せず、室外ユニット2が工場から出荷された状態のままで用いられる。
【0094】
第4基板64には、補助制御基板であり、各種電装品64aが設けられている。第5基板65は、主制御基板であり、各種電装品65aが設けられている。本実施形態の冷凍装置1は、ユーザの希望等により任意に選択可能または追加可能なオプション機能を有している。オプション機能としては、特に限定されないが、オンデマンド制御等が挙げられる。当該オプション機能は、室外制御部50における第2空間S2に配置された第4基板64と第5基板65において設定可能である。オプション機能の室外制御部50における設定は、室外ユニット2の施工時において、現地作業員が、第4基板64および第5基板65にアクセスし、これらについて手動で操作することで行われる。具体的には、第4基板64と第5基板65には、それぞれ設定を行うためのスイッチ等が設けられている。電装品65aを有する第5基板65および電装品64aを有する第4基板64へのアクセスは、上前蓋51を取り外してアクセスすることができる。なお、第2空間S2を前側から覆う上前蓋51には、上述の通り、点検蓋51bで塞がっている点検口51aが設けられている。このため、第5基板655については、上前蓋51の全体を取り外すこと無く、点検蓋51bを取り外すだけで、点検口51aを介して施工時やメンテナンス等の作業を行うことも可能である。なお、施工時における初期設定が行われた場合には、第2空間S2は、上前蓋51または点検蓋51bにより封止される。
【0095】
なお、第1基板61からは、電気配線61bが延び出している。第2基板62からは、電気配線62bが延び出している。第3基板63からは、電気配線63bが延び出している。第4基板64からは、電気配線64bが延び出している。第5基板65からは、電気配線65bが延び出している。なお、これらの電気配線61b、62b、63b、64b、65bは、図6図7においてのみ図示している。電気配線61b、62b、64b、65bは、第3空間S3の右下方に設けられた端子台69の接続端子に接続される。電気配線63bは、第1空間S1の下方の下面56に取り付けられた配線用シール材90の連通部94を通ることで開口56bを通過した後、圧縮機21に接続される。
【0096】
ここで、第2空間S2に設けられた第4基板64から延びる電気配線64bと、第5基板65から延びる電気配線65bは、第1仕切板59の中央近傍において上下に貫通するように設けられた第1開口59aを介して第3空間S3に引き込まれて、端子台69の接続端子に接続される。より具体的には、電気配線64bと電気配線65bは、第1仕切板59に取り付けられた配線用シール材90の連通部94を通ることで、第1開口59aを通過している。
【0097】
また、第1空間S1に設けられた第1基板61から延びる電気配線61bと、第2基板62から延びる電気配線62bは、第2仕切板58の中央近傍において前後に貫通するように設けられた第2開口58aを介して第2空間S2に引き込まれた後、第1仕切板59に設けられた第1開口59aを介して第3空間S3に引き込まれて、端子台69の接続端子に接続される。より具体的には、電気配線61bと電気配線62bは、第2仕切板58に取り付けられた配線用シール材90の連通部94を通ることで第2開口58aを通過した後、第1仕切板59に取り付けられた配線用シール材90の連通部94を通ることで第1開口59aを通過している。
【0098】
なお、端子台69の接続端子には、圧縮機21以外の接続対象となる機器から延びた電気配線が接続される。電装品ケーシング50aの下面56のうち第3空間S3の端子台69の下方に位置する部分には、圧縮機21以外の他の機器から延びた電気配線を通すための開口56aが設けられている。本実施形態では、下面56のうち第1空間S1の下方に位置する開口56bを通過する電気配線63bについては室外ユニット2の工場出荷時に既に圧縮機21と接続済みであるが、他の機器から延びた電気配線と端子台69の接続端子とは、室外ユニット2の工場出荷時は接続されておらず、施工時に現地作業員によって接続される。具体的には、作業員は、下前蓋52を取り外すことで第3空間S3を解放させ、圧縮機21以外の機器から延びた電気配線を、下面56の開口56aを通して、端子台69の接続端子に接続し、下前蓋52により第3空間S3を封止する。なお、当該開口56aには上述した配線用シール材90が取り付けられており、比較的大きな粉塵の第3空間S3への侵入を抑制している。また、第3空間S3は、下前蓋52が取り付けられた状態では、蓋用シール材50bが設けられていることにより、下前蓋52と、下面56、右側面54、左側面53、第1仕切板59の前側縁部との間の隙間が埋められ、密閉性を確保した空間となっている。この第3空間S3は、配線用シール材90が取り付けられた開口56aを介してはいるものの、電装品ケーシング50aの外側の空間と僅かに繋がっている。また、第3空間S3には、上述の通り端子台69が設けられており、施工時に配線接続作業を行うために下前蓋52が取り外され、外部に暴露される。このため、電装品ケーシング50aの空間のうち第3空間S3の密閉度は最も低くなっている。この第3空間S3は、JIS C 0920に定められた保護等級のIP55またはIP55以上を満たすことが好ましい。
【0099】
また、第2空間S2は、上前蓋51が取り付けられた状態では、蓋用シール材50bが設けられていることにより、上前蓋51が、天面55、右側面54、左側面53、第1仕切板59の前側縁部と密着しており、密閉性が確保された空間となっている。第2空間S2は、上前蓋51における点検口51aと点検蓋51bとの間に存在しうる僅かな隙間を介するか、または、第1仕切板59において配線用シール材90が取り付けられた第1開口59aと、第3空間S3と、配線用シール材90が取り付けられた開口56aと、を介してのみ、電装品ケーシング50aの外側の空間と繋がる。また、第2空間S2に配置された第4基板64および電装品65aは、ユーザの要望に応じ、必要に応じて設定作業が行われる。したがって、第2空間S2の外部への露出は、このような必要な場合に点検蓋51bの取り外しによる露出または上前蓋51の取り外しによる露出に限られる。したがって、第2空間S2の密閉度合いは、第3空間S3の密閉度合いよりも高い。具体的には、第2空間S2の密閉度合いは、JIS C 0920に定められた保護等級のIP55またはIP55以上を満たすことが好ましく、IP66を満たすことがより好ましい。
【0100】
さらに、第1空間S1は、一体的に構成された背面57、天面55、下面56、右側面54、および、左側面53と、これらに螺子留め固定された第2仕切板58と、によって覆われることで密閉性が確保されている。しかも、第1空間S1は、下面56において配線用シール材90が取り付けられた開口56bを介するか、または、第2仕切板58において配線用シール材90が取り付けられた第2開口58aと、第2空間S2と、第1仕切板59において配線用シール材90が取り付けられた第1開口59aと、第3空間S3と、配線用シール材90が取り付けられた開口56aと、を介してのみ、電装品ケーシング50aの外側の空間と繋がる。このうち、下面56の開口56bを通過する電気配線63bについては、室外ユニット2の工場出荷時に既に圧縮機21と接続済みである。このように、電気配線63bについては現地での作業が予定されていないため、下面56の開口56bの縁部と電気配線63bとの間は、配線用シール材90を用いた工場での作業によって十分に封止されている。そして、室外ユニット2の現地施工時に、下面56の開口56bを介して第1空間S1に粉塵が入ることは無い。このため、電装品ケーシング50aの外部空間の粉塵が開口56bを介して第1空間S1に入ることは、十分に抑制されている。したがって、第1空間S1の密閉度合いは、第2空間S2の密閉度合いよりも高い。具体的には、第1空間S1の密閉度合いは、JIS C 0920に定められた保護等級のIP55またはIP55以上を満たすことが好ましく、IP66を満たすことがより好ましい。
【0101】
(5)第1冷却部分34による冷却
室外制御部50の第1空間S1は、第1冷却回路31の第1冷却部分34によって冷却される。具体的には、第1冷却回路31の第1冷却部分34は、電装品ケーシング50aの背面側上端近傍において、電装品ケーシング50aの背面側から複数の第1熱伝達部材34aを介して熱的に接触するように設けられている。第1熱伝達部材34aは、電装品ケーシング50aの背面57に平行に広がった平面を有しており、当該平面が背面57に面接触するようにして用いられる。第1冷却部分34は、電装品ケーシング50aの背面において左側端部から右側端部へ延びた後、U字形状部分を介して折り返し、左側端部へと延びており、往きと返りで上下に並ぶように設けられている。
【0102】
このように、室外制御部50の第1空間S1では、背面側上方の空間が第1冷却回路31の第1冷却部分34によって冷やされることで、第1空間S1において、図8中に点線で示すような自然対流を生じさせることが可能になり、第1空間S1の冷却効率を高めることができる。具体的には、第1空間S1の背面側上方で生じた冷気は、背面側において下降した後、発熱部品であるIPM62aおよびIPM63aを冷却することで暖められ、前側において上昇気流となって上昇し、発熱部品であるノイズフィルタ61aについても冷却し、循環する。本実施形態では、IPM62aやIPM63aの方がノイズフィルタ61aよりも発熱度合いが高いため、IPM62aやIPM63aを優先的に冷却することが可能になっている。
【0103】
複数の第1熱伝達部材34aは、以下に述べる固定部70とスペーサ72を用いて、電装品ケーシング50aの背面57に向けて押し付けられた状態で固定されている。
【0104】
固定部70は、背面側固定部材71と、左側固定部材73と、右側固定部材74と、左側被固定部材75と、右側被固定部材76と、螺子77と、螺子78とを有している。
【0105】
背面側固定部材71は、電装品ケーシング50aの背面57の上端部近傍において、第1冷却部分34の長手方向である左右方向に沿って延びた棒状部材である。背面側固定部材71の右端部は、電装品ケーシング50aの右側面54よりもさらに右側に位置している。背面側固定部材71の左端部は、電装品ケーシング50aの左側面53よりもさらに左側に位置している。
【0106】
左側固定部材73は、電装品ケーシング50aの左側面53の上端部近傍において、前後方向に沿って延びた棒状部材である。左側固定部材73の後端部は、背面側固定部材71の左端部と連結されている。左側被固定部材75は、電装品ケーシング50aの左側面53の外側に対してロウ付けまたは螺子等により固定されている。左側被固定部材75は、電装品ケーシング50aの前後方向の中心よりも前側において、左側面53からさらに左側に突出した被固定部分を有している。螺子77は、左側固定部材73の前側端部と、左側被固定部材75のうちの被固定部分と、を締結する。具体的には、左側固定部材73の前側端部に対して、左側被固定部材75の被固定部分を前側から接するように配置させた状態で、左側被固定部材75の被固定部分の前側から後方に向けて螺子77をねじ込むようにして両者を締結する。左側固定部材73は、螺子77によって左側被固定部材75と連結することにより、前側に引っ張られた状態となる。これにより、左側固定部材73と連結されている背面側固定部材71の左側端部が前側に向けて付勢される。
【0107】
右側固定部材74は、電装品ケーシング50aの右側面54の上端部近傍において、前後方向に沿って延びた棒状部材である。右側固定部材74の後端部は、背面側固定部材71の右端部と連結されている。右側被固定部材76は、電装品ケーシング50aの右側面54の外側に対してロウ付けまたは螺子等により固定されている。右側被固定部材76は、電装品ケーシング50aの前後方向の中心よりも前側において、右側面54からさらに右側に突出した被固定部分を有している。螺子78は、右側固定部材74の前側端部と、右側被固定部材76のうちの被固定部分と、を締結する。具体的には、右側固定部材74の前側端部に対して、右側被固定部材76の被固定部分を前側から接するように配置させた状態で、右側被固定部材76の被固定部分の前側から後方に向けて螺子78をねじ込むようにして両者を締結する。右側固定部材74は、螺子78によって右側被固定部材76と連結することにより、前側に引っ張られた状態となる。これにより、右側固定部材74と連結されている背面側固定部材71の左側端部が前側に向けて付勢される。
【0108】
なお、スペーサ72は、複数の第1熱伝達部材34aの背面側に接するように設けられており、第1冷却部分34の長手方向である左右方向に沿って延びた棒状部材である。このスペーサ72の背面側には、背面側固定部材71が接している。スペーサ72の左端部は背面側固定部材71の左端部よりも右側に位置し、スペーサ72の右端部は背面側固定部材71の右端部よりも左側に位置している。スペーサ72の下方には、第1冷却部分34のうちU字形状の部分の下端部分から左に伸びた部分が位置しており、スペーサ72の上方には、第1冷却部分34のうちU字形状の部分の上端部分から左に伸びた部分が位置している。スペーサ72の右側端部よりもさらに右側には、第1冷却部分34のU字形状の部分が位置している。これにより、背面側固定部材71が前側に付勢された状態でも、背面側固定部材71が第1冷却部分34のU字形状の部分を押しつぶすことがない。
【0109】
なお、第1冷却回路31の第1冷却部分34は、上面視において、電装品ケーシング50aの背面57と、背面側固定部材71と、の間に位置している。これにより、前側から、背面57、第1冷却部分34、背面側固定部材71の順に並んでいる。
【0110】
以上の配置構成により、左側固定部材73と右側固定部材74とが前側に付勢されることで、背面側固定部材71はスペーサ72を介して複数の第1熱伝達部材34aを電装品ケーシング50aの背面57に押し付けることができる。第1冷却回路31の第1冷却部分34が固定されている複数の第1熱伝達部材34aは、電装品ケーシング50aの背面57に対する良好な接触状態を維持している。これにより、第1冷却回路31の第1冷却部分34は、電装品ケーシング50aの背面57に対して熱的に接触することができる。
【0111】
(6)第2冷却部分38による冷却
室外制御部50の第2仕切板58のうち第3空間S3に面する部分の上方近傍には、第2冷却回路35の第2冷却部分38が、複数の第2熱伝達部材38aを介して熱的に接触するように設けられている。第2熱伝達部材38aは、第2仕切板58に平行に広がった平面を有しており、当該平面が第2仕切板58に面接触するようにして用いられる。
【0112】
第2冷却部分38の各端部に接続された第1接続配管39aおよび第2接続配管39bは、電装品ケーシング50aの下面56のうち第3空間S3の左下に位置する部分に設けられた可動面56xの開口を上下方向に通過している。これにより、第2冷却回路35が第3空間S3内に引き込まれ、第2冷却部分38が第3空間S3内に位置している。第3空間S3内では、第2冷却部分38は、第1接続配管39aの端部と接続された箇所から右側端部へ延びた後、U字形状部分を介して折り返し、第2接続配管39bの端部と接続された箇所に至るまで左側に戻るように延びている。第2接続配管39bと第2冷却部分38との接続部分は、第1接続配管39aと第2冷却部分38との接続部分の上に並ぶように設けられている。
【0113】
このように、室外制御部50の第2仕切板58のうち第3空間S3に面する部分の上方近傍部分が第2冷却回路35の第2冷却部分38によって冷やされることで、第2仕切板58のうち第3空間S3側とは反対側の面が面する第1空間S1に設けられた発熱部品であるIPM62aおよびIPM63aを冷却することが可能になる。
【0114】
なお、各第2熱伝達部材38aは、前後方向に延びた螺子38bによって、第2仕切板58の前側から固定されている。
【0115】
(7)第2冷却部分38の移動
第2冷却回路35は、第2冷却部分38の下側の一端から延びた第1接続配管39aと、第2冷却部分38の上側の他端から延びた第2接続配管39bと、を有している。
【0116】
第1接続配管39aは、第1湾曲部81a、第1直線部81b、第2湾曲部81c、第2直線部82、第3湾曲部83a、第3直線部83b、第4湾曲部83c、第5湾曲部84a、第4直線部84b、第6湾曲部84cの各配管部分を有している。これら第1湾曲部81a、第1直線部81b、第2湾曲部81c、第2直線部82、第3湾曲部83a、第3直線部83b、第4湾曲部83c、第5湾曲部84a、第4直線部84b、第6湾曲部84cは、第2冷却部分38の下側の一端から、この順となるように互いに繋がっている。なお、第1直線部81b、第3直線部83b、第4直線部84bは、いずれも上下方向に延びている。本実施形態では、第4直線部84bは、第1直線部81bよりも長く、第3直線部83bよりも長い。第2直線部82は、左右方向に延びている。第1湾曲部81a、第2湾曲部81c、第3湾曲部83a、第4湾曲部83c、第5湾曲部84a、第6湾曲部84cは、いずれも90度の湾曲形状を有している。
【0117】
第2接続配管39bは、第7湾曲部85a、第5直線部85b、第8湾曲部85c、第6直線部86、第9湾曲部87a、第7直線部87b、第10湾曲部87c、第8直線部88、第11湾曲部89a、第9直線部89b、第12湾曲部89cの各配管部分を有している。これら第7湾曲部85a、第5直線部85b、第8湾曲部85c、第6直線部86、第9湾曲部87a、第7直線部87b、第10湾曲部87c、第8直線部88、第11湾曲部89a、第9直線部89b、第12湾曲部89cは、第2冷却部分38の上側の他端から、この順となるように互いに繋がっている。なお、第5直線部85b、第7直線部87b、第9直線部89b、いずれも上下方向に延びている。本実施形態では、第9直線部89bは、第5直線部85bよりも長く、第7直線部87bよりも長い。第6直線部86、第8直線部88は、左右方向に延びている。第7湾曲部85a、第8湾曲部85c、第9湾曲部87a、第10湾曲部87c、第11湾曲部89a、第12湾曲部89cは、いずれも90度の湾曲形状を有している。
【0118】
以上の構成により、第1接続配管39aは、第2冷却部分38の下側の端部から、第1湾曲部81aにおいて下方に曲がり、第1直線部81bにおいて下方に延びることで可動面56xを上下方向に貫通して、電装品ケーシング50aの外側下方に伸び出している。そして、第1接続配管39aは、第2湾曲部81cにおいて左側に曲がり、第2直線部82において左側に延びた後、第3湾曲部83aにおいて上方に曲がっている。さらに、第1接続配管39aは、第3直線部83bにおいて上方に延びた後、第4湾曲部83cにおいて左側に曲がり、第5湾曲部84aにおいて下方に曲がった後、第4直線部84bにおいて下方に延びて、第6湾曲部84cにおいて右側に曲がっている。
【0119】
また、第2接続配管39bは、第2冷却部分38の上側の端部から、第7湾曲部85aにおいて下方に曲がり、第5直線部85bにおいて下方に延びることで可動面56xを上下方向に貫通して、電装品ケーシング50aの外側下方に伸び出している。そして、第2接続配管39bは、第8湾曲部85cにおいて左側に曲がり、第6直線部86において左側に延びた後、第9湾曲部87aにおいて上方に曲がっている。さらに、第2接続配管39bは、第7直線部87bにおいて上方に延びた後、第10湾曲部87cにおいて左側に曲がっている。そして、第2接続配管39bは、第8直線部88において左側に延びた後、第11湾曲部89aにおいて下方に曲がり、第9直線部89bにおいて下方に延びた後、第12湾曲部89cにおいて右側に曲がっている。
【0120】
ここで、第1接続配管39aと第2接続配管39bとは、互いに沿うようにして延びており、第1接続配管39aの第4直線部84bと、第2接続配管39bの第9直線部89bとは、最短距離が配管径の10倍以下であることが好ましく、最短距離が配管径の5倍以下であることがより好ましい。これにより、第1接続配管39aの第4直線部84bと第2接続配管39bの第9直線部89bをそれぞれ回転軸としてねじるように、または、第4直線部84bと第9直線部89bの間を回転軸としてねじるようにして、第2冷却回路35を移動させる場合に、第1接続配管39aおよび第2接続配管39bに生じるひずみを小さく抑えやすい。
【0121】
ここで、図12に示すように、長手方向に延びる円筒形状の直管98と、その両端に設けられた2つの湾曲配管99と、を互いに溶接接合したものを用いて、直管98を90度ねじる場合について疲労限界に関する試験を行った。ここで、直管がねじれる時のせん断応力τは、τ=Gγ=Grθで表される。なお、τはせん断応力であり、Gは横弾性係数であり、γは直管の外周のせん断ひずみであり、rは直管の半径である。θは、比ねじれ角度であり、φ/Lに等しい。φはねじれ角度であり、Lは直管の長手方向の長さである。なお、γ=rθの関係にある。また、直管98の長手方向の長さLxは450mm、2つの湾曲配管99を含めた長さLyは600mmであった。直管98は、外径6.35mmの銅配管であり、湾曲配管99は、配管径は9.52mmのSUS配管であった。なお、湾曲配管99の曲げRは40mmであった。そして、メンテナンスが行われる頻度、室外ユニット2の使用期間、安全率を考慮し、90度のねじりを100回行った場合でも披露限界を超えないように設計することを目標とした。以上の試験によれば、γ<1.1×10-2を満たすように設計することが望ましいことが分かった。以上を踏まえると、第1接続配管39aおよび第2接続配管39bは、以下の条件を満たすものが好ましい。
【0122】
第1接続配管39aについては、称呼配管径が1/4インチ以下(外径が6.35mm以下)の配管が用いられている場合には、第4直線部84bの下端から上端までの長さL3と第3直線部83bの下端から上端までの長さL2と第1直線部81bの下端から上端までの長さL1との合計長さが450mm以上であることが好ましく、第4直線部84bの下端から上端までの長さL3が450mm以上であることがより好ましい。また、第1接続配管39aについて、称呼配管径が3/8インチ以下(外径が9.52mm以下)の配管が用いられている場合には、第4直線部84bの下端から上端までの長さL3と第3直線部83bの下端から上端までの長さL2と第1直線部81bの下端から上端までの長さL1との合計長さが700mm以上であることが好ましく、第4直線部84bの下端から上端までの長さL3が700mm以上であることがより好ましい。
【0123】
また、第2接続配管39bについては、称呼配管径が1/4インチ以下(外径が6.35mm以下)の配管が用いられている場合には、第9直線部89bの下端から上端までの長さL6と第7直線部87bの下端から上端までの長さL5と第5直線部85bの下端から上端までの長さL4との合計長さが450mm以上であることが好ましく、第9直線部89bの下端から上端までの長さL6が450mm以上であることがより好ましい。また、第2接続配管39bについて、称呼配管径が3/8インチ以下(外径が9.52mm以下)の配管が用いられている場合には、第9直線部89bの下端から上端までの長さL6と第7直線部87bの下端から上端までの長さL5と第5直線部85bの下端から上端までの長さL4との合計長さが700mm以上であることが好ましく、第9直線部89bの下端から上端までの長さL6が700mm以上であることがより好ましい。
【0124】
以上の第2冷却回路35は、室外制御部50の施工時および施工後のメンテナンス時において、図10に示すように、前側に移動した状態にすることができる。
【0125】
ここで、第2冷却回路35を移動させる際には、まず、作業員は、室外機ケーシング11の上前面パネル16を取り外すことで開口16aを生じさせる。そして、作業員は、室外機ケーシング11の開口16aを介して室外制御部50にアクセスし、室外制御部50の下前蓋52を取り外す。次に、作業員は、各螺子38bを取り外すことで、各第2熱伝達部材38aを第2仕切板58から外す。この状態で、作業員は、第1接続配管39aの第4直線部84bと、第2接続配管39bの第9直線部89bと、をそれぞれ回転軸としてねじるように、または、第4直線部84bと第9直線部89bの間を回転軸としてねじるようにして、第2冷却回路35を90度回転させる。これにより、電装品ケーシング50aの下面56のうちの可動面56xを第1接続配管39aおよび第2接続配管39bと一体としつつ、第2冷却回路35の第2冷却部分38を前側に移動させることができる。ここでは、第2冷却回路35における第2冷却部分38と第1接続配管39aと第2接続配管39bを、室外制御部50の残りの部分と、前面視において重複しない配置にすることができる。
【0126】
引き続き、図11に示すように、作業員は、第1冷却部分34を電装品ケーシング50aの背面57に押し付けて固定させるために左側固定部材73に固定された螺子77と右側固定部材74に固定された螺子78を外す。これにより、作業員は、室外制御部50のうち電装品ケーシング50aの下前蓋52以外の部分および第1基板61、第2基板62、第3基板63、第4基板64および第5基板65からなる取り外しの対象物を一体として、前側に取り外すことが可能になる。
【0127】
(8)実施形態の特徴
本実施形態の冷凍装置1の室外ユニット2では、室外制御部50が有する発熱部品を、第1冷却回路31の第1冷却部分34と第2冷却回路35の第2冷却部分38を用いて冷却することが可能になっている。このため、室外制御部50の発熱部品の温度が過度に上昇することを防いで、室外制御部50の信頼性を高めることができている。
【0128】
ここで、本実施形態の室外ユニット2では、室外機ケーシング11における上前面パネル16を取り外して開口16aを登場させた状態では、開口16aを介して、室外制御部50に容易にアクセスすることができる。ここで、室外制御部50の前側に第2冷却回路35の第2冷却部分38が位置しているが、第2冷却部分38は、前側に回転移動させることができる。このため、室外制御部50における取り外してメンテナンスを行う対象物を容易に取り外すことができる。
【0129】
また、室外ユニット2の施工時には、上記メンテナンス時の作業とは逆の作業をすることで、容易に施工できる。
【0130】
また、この第2冷却部分38の移動は、第2冷却回路35における第1接続配管39aおよび第2接続配管39bをねじるようにして行われる。ここで、本実施形態では、ねじられる第4直線部84bと第9直線部89bが十分に長く確保されている。このため、ねじりの際に第1接続配管39aおよび第2接続配管39bに係る応力を十分に小さく抑えることができ、第2冷却回路35の配管部分の破損を抑制することが可能になっている。ここで、特に、ねじりの回転軸の方向である第1接続配管39aおよび第2接続配管39bの長手方向から見た場合に、第2冷却部分38は、第1接続配管39aとは重ならないように遠く離れており、第2接続配管39bとも重ならないように遠く離れている。これにより、第1接続配管39aおよび第2接続配管39bをねじるようにして第2冷却部分38を移動させる際に、第2冷却部分38の移動距離を大きくすることができる。これにより、メンテナンスを行う対象物の取り外しを阻害しない位置まで、第2冷却部分38を十分に移動させることが可能になる。
【0131】
さらに、ねじられる第4直線部84bと第9直線部89bとは、配管径が小さいものが採用されているため、人間が工具を用いずに第2冷却部分38を移動させるために必要な力を小さく抑えることが可能になっている。
【0132】
(9)他の実施形態
(9-1)他の実施形態A
上記実施形態では、第2冷却回路35を構成する配管部分の材質および配管径が一様である場合を例として挙げて説明した。
【0133】
これに対して、第2冷却回路35を構成する配管部分は、例えば、ねじられる直線部よりも、湾曲部の方が剛性が高くなるように構成されていてもよい。剛性を違えるには、例えば、同じ素材で構成されている場合には、湾曲部の方がねじられる直線部よりも配管径が大きくなるようにすることまたは厚みを増すことで達成される。また、ねじられる直線部と湾曲部の配管径が同じである場合には、湾曲部の材質をねじられる直線部の材質よりも曲げ強さが強い材質で構成することで達成される。さらには、湾曲部の方がねじられる直線部よりも配管径が大きくなるようにまたは厚みを増しつつ、湾曲部の材質をねじられる直線部の材質よりも曲げ強さが強い材質で構成することで、湾曲部の強度を高めることもできる。
【0134】
これらにより、第2冷却部分35を回転させる際に湾曲部が破損してしまうことを抑制できる。
【0135】
(9-2)他の実施形態B
上記実施形態では、第2冷却回路35の回転角度が90度である場合を例として挙げて説明した。
【0136】
これに対して、取り外そうとする対象物の位置や大きさに応じて取り出しを可能とすればよく、例えば、回転角度を60度以下としてもよいし、30度以下としてもよい。
【0137】
(9-3)他の実施形態C
上記実施形態では、メンテナンス対象の部品として室外制御部50を例に挙げて説明した。
【0138】
しかし、メンテナンス対象の部品としては、特に限定されず、冷媒が流れる配管を移動させることでアクセスが容易になるものであればよい。
【0139】
(付記)
以上、本開示の実施形態を説明したが、特許請求の範囲に記載された本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
【符号の説明】
【0140】
1 :冷凍装置
2 :室外ユニット
4 :室内ユニット
5 :ガス冷媒連絡配管
6 :液冷媒連絡配管
10 :冷媒回路
11 :室外機ケーシング(ケーシング)
16 :上前面パネル
16a :開口
21 :圧縮機
23 :室外熱交換器
26 :室外ファン
30 :冷却回路
31 :第1冷却回路
34 :第1冷却部分
35 :第2冷却回路(冷媒配管)
38 :第2冷却部分(冷媒配管、第2部分)
39a :第1接続配管(冷媒配管)
39b :第2接続配管(冷媒配管)
50 :室外制御部(メンテナンス部品、電装品ユニット)
81a :第1湾曲部(連結部分)
81b :第1直線部(連結部分)
81c :第2湾曲部(連結部分)
82 :第2直線部(連結部分)
83a :第3湾曲部(連結部分)
83b :第3直線部(連結部分)
83c :第4湾曲部(連結部分)
84a :第5湾曲部(連結部分、湾曲部分)
84b :第4直線部(第1部分)
85a :第7湾曲部(連結部分)
85b :第5直線部(連結部分)
85c :第8湾曲部(連結部分)
86 :第6直線部(連結部分)
87a :第9湾曲部(連結部分)
87b :第7直線部(連結部分)
87c :第10湾曲部(連結部分)
88 :第8直線部(連結部分)
89a :第11湾曲部(連結部分、湾曲部分)
89b :第9直線部(第1部分)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0141】
【文献】特開2011-99578号公報
図1
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図10
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図12