(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-05
(45)【発行日】2024-03-13
(54)【発明の名称】冷媒流路モジュール、及び、空気調和機
(51)【国際特許分類】
F25B 41/40 20210101AFI20240306BHJP
B23K 1/14 20060101ALI20240306BHJP
B23K 1/00 20060101ALI20240306BHJP
F25B 41/42 20210101ALI20240306BHJP
【FI】
F25B41/40 Z
B23K1/14 B
B23K1/00 330K
F25B41/42
(21)【出願番号】P 2023019827
(22)【出願日】2023-02-13
【審査請求日】2023-02-13
(31)【優先権主張番号】P 2022020283
(32)【優先日】2022-02-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000280
【氏名又は名称】弁理士法人サンクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】濱舘 潤一
(72)【発明者】
【氏名】小池 史朗
(72)【発明者】
【氏名】木下 厚志
(72)【発明者】
【氏名】矢倉 周隆
(72)【発明者】
【氏名】小牧 あゆみ
(72)【発明者】
【氏名】大野 旭
【審査官】五十嵐 公輔
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-351765(JP,A)
【文献】特開平11-063880(JP,A)
【文献】特開2016-044896(JP,A)
【文献】国際公開第2020/100897(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 41/40
B23K 1/00
F24F 1/30
F28F 3/04
F28D 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に冷媒の流路(15)が形成された冷媒流路モジュールであって、
第1プレート(21)と、
前記第1プレート(21)に重ね合わされる第2プレート(22)と、
前記第1プレート(21)に取り付けられる、銅を含む冷媒管(12)と、
前記第1プレート(21)と前記第2プレート(22)との対向面同士を接合する、銅を含むろう材(17)と、
余剰の前記ろう材(17)を貯留する貯留部(40)と、を備え、
前記冷媒管(12)が、前記第1プレート(21)に形成された孔(26)に挿入されており、
前記冷媒管(12)に連通しかつ前記流路(15)を構成する開口(24)が、前記第2プレート(22)に形成され、
前記第1プレート(21)及び前記第2プレート(22)の積層方向からみて、前記孔(26)が前記開口(24)の内側に配置され、
前記貯留部(40)が、前記開口(24)の内周面と、前記第1プレート(21)における前記第2プレート(22)側の板面であって第2プレート(22)に接合されている板面との境界部分に形成される、冷媒流路モジュール。
【請求項2】
内部に冷媒の流路(15)が形成された冷媒流路モジュールであって、
第1プレート(21)と、
前記第1プレート(21)に重ね合わされる第2プレート(22)と、
前記第1プレート(21)に取り付けられる、銅を含む冷媒管(12)と、
前記第1プレート(21)と前記第2プレート(22)との対向面同士を接合する、銅を含むろう材(17)と、
余剰の前記ろう材(17)を貯留する貯留部(43)と、を備え、
前記冷媒管(12)が、前記第1プレート(21)に形成された孔(26)に挿入されており、
前記冷媒管(12)に連通しかつ前記流路(15)を構成する開口(24)が、前記第2プレート(22)に形成され、
前記第1プレート(21)及び前記第2プレート(22)の積層方向からみて、前記孔(26)が前記開口(24)の内側に配置され、
前記貯留部(43)が、前記孔(26)から径方向外側に離れて配置されかつ前記第1プレート(21)における前記第2プレート(22)側の板面の前記流路(15)に面する部分に形成された溝(27)により構成される、冷媒流路モジュール。
【請求項3】
内部に冷媒の流路(15)が形成された冷媒流路モジュールであって、
第1プレート(21)と、
前記第1プレート(21)に重ね合わされる第2プレート(22)と、
前記第1プレート(21)に取り付けられる、銅を含む冷媒管(12)と、
前記第1プレート(21)と前記第2プレート(22)との対向面同士を接合する、銅を含むろう材(17)と、
余剰の前記ろう材(17)を貯留する貯留部(40)と、を備え、
前記冷媒管(12)が、前記第1プレート(21)に形成された孔(26)に挿入されており、
前記冷媒管(12)に連通しかつ前記流路(15)を構成する開口(24)が、前記第2プレート(22)に形成され、
前記第1プレート(21)及び前記第2プレート(22)の積層方向からみて、前記孔(26)が前記開口(24)の内側に配置され、
前記貯留部(40)が、前記開口(24)の内周面と、前記第1プレート(21)における前記第2プレート(22)側の板面との境界部分に形成され、
前記第2プレート(22)の前記第1プレート(21)とは反対側に重ね合わされる第3プレート(23)と、前記第2プレート(22)と前記第3プレート(23)の対向面同士を接合する、銅を含むろう材(17)と、を備え、
前記冷媒管(12)に連通しかつ前記流路(15)を構成する第2開口(25)が、前記第3プレート(23)に形成され、
前記第1プレート(21)及び前記第2プレート(22)の積層方向からみて、前記開口(24)が前記第2開口(25)の内側に配置され、
前記貯留部(40)が、さらに、前記第2開口(25)の内周面と、前記第2プレート(22)における前記第3プレート(23)側の板面との境界部分に形成される、冷媒流路モジュール。
【請求項4】
内部に冷媒の流路(15)が形成された冷媒流路モジュールであって、
第1プレート(21)と、
前記第1プレート(21)に重ね合わされる第2プレート(22)と、
前記第1プレート(21)に取り付けられる、銅を含む冷媒管(12)と、
前記第1プレート(21)と前記第2プレート(22)との対向面同士を接合する、銅を含むろう材(17)と、
余剰の前記ろう材(17)を貯留する貯留部(40)と、を備え、
前記冷媒管(12)が、前記第1プレート(21)に形成された孔(26)に挿入されており、
前記冷媒管(12)に連通しかつ前記流路(15)を構成する開口(24)が、前記第2プレート(22)に形成され、
前記第1プレート(21)及び前記第2プレート(22)の積層方向からみて、前記孔(26)が前記開口(24)の内側に配置され、
前記貯留部(40)が、前記開口(24)の内周面と、前記第1プレート(21)における前記第2プレート(22)側の板面との境界部分に形成され、
前記第2プレート(22)の前記第1プレート(21)とは反対側に重ね合わされる第3プレート(23)と、前記第2プレート(22)と前記第3プレート(23)の対向面同士を接合する、銅を含むろう材(17)と、をさらに備え、
前記冷媒管(12)に連通しかつ前記流路(15)を構成する第2開口(25)が、前記第3プレート(23)に形成され、
前記第1プレート(21)及び前記第2プレート(22)の積層方向からみて、前記第2開口(25)が前記開口(24)の内側に配置され、
前記貯留部(40)が、さらに、前記開口(24)の内周面と、前記第3プレート(23)における前記第2プレート(22)側の板面との境界部分に形成される、冷媒流路モジュール。
【請求項5】
内部に冷媒の流路(15)が形成された冷媒流路モジュールであって、
第1プレート(21)と、
前記第1プレート(21)に重ね合わされる第2プレート(22)と、
前記第1プレート(21)に取り付けられる、銅を含む冷媒管(12)と、
前記第1プレート(21)と前記第2プレート(22)との対向面同士を接合する、銅を含むろう材(17)と、
余剰の前記ろう材(17)を貯留する貯留部(41)と、を備え、
前記貯留部(41)は、前記第1プレート(21)に形成されかつ前記第1プレート(21)における前記第2プレート(22)側の板面で開口する挿入孔(18,19)と、この挿入孔(18,19)に隙間をあけて挿入された挿入部材(14)とを含む、冷媒流路モジュール。
【請求項6】
前記第1プレート(21)と前記第2プレート(22)との積層方向において、前記第1プレート(21)が前記冷媒流路モジュール(10)の端部に配置されており、
前記挿入孔(18)が、前記第1プレート(21)における前記第2プレート(22)とは反対側の板面で開口している、請求項5に記載の冷媒流路モジュール。
【請求項7】
内部に冷媒の流路(15)が形成された冷媒流路モジュールであって、
第1プレート(21)と、
前記第1プレート(21)に重ね合わされる第2プレート(22)と、
前記第1プレート(21)に取り付けられる、銅を含む冷媒管(12)と、
前記第1プレート(21)と前記第2プレート(22)との対向面同士を接合する、銅を含むろう材(17)と、
余剰の前記ろう材(17)を貯留する貯留部(72)と、を備え、
前記冷媒管(12)が、前記第1プレート(21)に形成された孔(26)に挿入されており、
前記冷媒管(12)に連通しかつ前記流路(15)を構成する開口(24)が前記第2プレート(22)に形成され、
前記第2プレート(22)における前記開口(24)の内周面と、前記第2プレート(22)における前記第1プレート(21)側の板面であって前記第1プレート(21)に接合されている板面との境界に面取り部(22c)が形成され、
前記貯留部(72)が、前記面取り部(22c)を含む、冷媒流路モジュール。
【請求項8】
前記第2プレート(22)の前記第1プレート(21)とは反対側に重ね合わされる第3プレート(23)と、前記第2プレート(22)と前記第3プレート(23)の対向面同士を接合する、銅を含むろう材(17)と、を備え、
前記冷媒管(12)に連通しかつ前記流路(15)を構成する第2開口(25)が前記第3プレート(23)に形成され、
前記第3プレート(23)における前記第2開口(25)の内周面と前記第3プレート(23)における前記第2プレート(22)側の板面との境界、又は、前記第2プレート(22)における前
記開口(24)の内周面と前記第2プレート(22)における前記第3プレート(23)側の板面との境界に第2面取り部(22e,23c)が形成され、
前記貯留部(72)が、さらに、前記第2面取り部(22e,23c)を含む、請求項7に記載の冷媒流路モジュール。
【請求項9】
内部に冷媒の流路(15)が形成された冷媒流路モジュールであって、
第1プレート(21)と、
前記第1プレート(21)に重ね合わされる第2プレート(22)と、
前記第1プレート(21)に取り付けられる、銅を含む冷媒管(12)と、
前記第1プレート(21)と前記第2プレート(22)との対向面同士を接合する、銅を含むろう材(17)と、
余剰の前記ろう材(17)を貯留する貯留部(74)と、を備え、
前記第2プレート(22)の外周面と、前記第2プレート(22)における前記第1プレート(21)側の板面であって第1プレート(21)に接合されている板面との境界、又は、前記第1プレート(21)の外周面と、前記第1プレート(21)における前記第2プレート(22)側の板面であって第2プレート(22)に接合されている板面との境界に第3面取り部(22g,21h)が形成され、
前記貯留部(74)が、第3面取り部(22g,21h)を含む、冷媒流路モジュール。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載の冷媒流路モジュールを備えている、空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、冷媒流路モジュール、及び、空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
蒸気圧縮式の冷凍サイクル運転を行う冷媒回路を備えた冷凍装置では、冷媒が流れる複数の冷媒配管を1つのユニットにまとめ、冷媒回路の小型化を図ることが知られている。例えば、特許文献1には、第1プレートと、この第1プレートに接合され第1プレートとともに冷媒流路を形成する第2プレートと、第1プレート及び第2プレートに取り付けられ他の冷媒配管がろう付けによって接続される継手管と、を備えたプレート型冷媒配管が開示されている。
【0003】
このプレート型冷媒配管の第1プレート及び第2プレートは、ステンレスにより形成されている。継手管は、他の冷媒配管とのろう付け性を考慮して他の冷媒配管と同一の材料、例えば銅により形成されている。このプレート型冷媒配管は、第1プレートと第2プレートとの間にろう材をセットし、かつ、第1プレート及び第2プレートと継手管との間にろう材をセットした状態で炉内に投入され、加熱されることで、炉中ろう付けされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ステンレス製の第1プレートと第2プレートとのろう付けには、例えば、青銅ろう等の銅を含むろう材が用いられる。このろう材は、継手管の材料である銅よりも融点が低い。しかし、炉中ろう付けの際に、このろう材が溶融し銅製の継手管に接触すると、継手管の融点が低下する現象が生じることがある。この現象が生じると、炉中ろう付けによって継手管が溶融してしまう可能性がある。
【0006】
本開示は、プレートに取り付けられる冷媒管の溶融を抑制することができる冷媒流路モジュール、及び、空気調和機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本開示は、
内部に冷媒の流路が形成された冷媒流路モジュールであって、
第1プレートと、
前記第1プレートに重ね合わされる第2プレートと、
前記第1プレートに取り付けられる、銅を含む冷媒管と、
前記第1プレートと前記第2プレートとの対向面同士を接合する、銅を含むろう材と、
余剰の前記ろう材を貯留する貯留部と、を備えている。
【0008】
この構成によれば、冷媒流路モジュールが余剰のろう材を貯留する貯留部を備えているので、余剰のろう材が冷媒管に到達し、冷媒管を溶融させてしまうことを抑制することができる。
【0009】
(2)上記(1)の冷媒流路モジュールにおいて、好ましくは、前記冷媒管が、前記第1プレートに形成された孔に挿入されており、
前記冷媒管に連通しかつ前記流路を構成する開口が、前記第2プレートに形成され、
前記第1プレート及び前記第2プレートの積層方向からみて、前記孔が前記開口の内側に配置され、
前記貯留部が、前記開口の内周面と、前記第1プレートにおける前記第2プレート側の板面との境界部分に形成される。
この構成によれば、開口の内周面と第1プレートの板面との境界部分を利用して余剰のろう材を貯留し、当該ろう材が冷媒管に到達するのを抑制することができる。
【0010】
(3)上記(1)の冷媒流路モジュールにおいて、好ましくは、前記冷媒管が、前記第1プレートに形成された孔に挿入されており、
前記冷媒管に連通しかつ前記流路を構成する開口が、前記第2プレートに形成され、
前記第1プレート及び前記第2プレートの積層方向からみて、前記孔が前記開口の内側に配置され、
前記貯留部が、前記孔から径方向外側に離れて配置されかつ前記第1プレートにおける前記第2プレート側の板面の前記流路に面する部分に形成された溝により構成される。
この構成によれば、余剰のろう材を溝内に貯留させることで、当該ろう材が冷媒管に到達するのを抑制することができる。
【0011】
(4)上記(2)又は(3)の冷媒流路モジュールは、好ましくは、前記第2プレートの前記第1プレートとは反対側に重ね合わされる第3プレートと、前記第2プレートと前記第3プレートの対向面同士を接合する、銅を含むろう材と、を備え、
前記冷媒管に連通しかつ前記流路を構成する第2開口が、前記第3プレートに形成され、
前記第1プレート及び前記第2プレートの積層方向からみて、前記開口が前記第2開口の内側に配置され、
前記貯留部が、前記第2開口の内周面と、前記第2プレートにおける前記第3プレート側の板面との境界部分に形成される。
この構成によれば、第2開口の内周面と第2プレートの板面との境界部分を利用して余剰のろう材を貯留し、当該ろう材が冷媒管に到達するのを抑制することができる。
【0012】
(5)上記(2)又は(3)の冷媒流路モジュールは、好ましくは、前記第2プレートの前記第1プレートとは反対側に重ね合わされる第3プレートと、前記第2プレートと前記第3プレートの対向面同士を接合する、銅を含むろう材と、をさらに備え、
前記冷媒管に連通しかつ前記流路を構成する第2開口が、前記第3プレートに形成され、
前記第1プレート及び前記第2プレートの積層方向からみて、前記第2開口が前記開口の内側に配置され、
前記貯留部が、前記開口の内周面と、前記第3プレートにおける前記第2プレート側の板面との境界部分に形成される。
この構成によれば、開口の内周面と第3プレートの板面との境界部分を利用して余剰のろう材を貯留し、当該ろう材が冷媒管に到達するのを抑制することができる。
【0013】
(6)上記(1)の冷媒流路モジュールにおいて、好ましくは、前記貯留部は、前記第1プレートに形成されかつ前記第1プレートにおける前記第2プレート側の板面で開口する挿入孔と、この挿入孔に隙間をあけて挿入された挿入部材とを含む。
この構成によれば、挿入孔と挿入部材との間の隙間を利用して余剰のろう材を貯留し、当該ろう材が冷媒管に到達するのを抑制することができる。
【0014】
(7)上記(6)の冷媒流路モジュールにおいて、好ましくは、前記第1プレートと前記第2プレートとの積層方向において、前記第1プレートが前記冷媒流路モジュールの端部に配置されており、
前記挿入孔が、前記第1プレートにおける前記第2プレートとは反対側の板面で開口している。
この構成によれば、挿入孔と挿入部材との隙間から冷媒流路モジュールの外部に余剰のろう材を排出することができる。
【0015】
(8)上記(1)の冷媒流路モジュールにおいて、好ましくは、前記冷媒管が、前記第1プレートに形成された孔に挿入されており、
前記冷媒管に連通しかつ前記流路を構成する開口が前記第2プレートに形成され、
前記第2プレートにおける前記開口の内周面と、前記第2プレートにおける前記第1プレート側の板面との境界に面取り部が形成され、
前記貯留部が、前記面取り部を含む。
この構成によれば、面取り部により形成される空間を利用して余剰のろう材を貯留し、当該ろう材が冷媒管に到達するのを抑制することができる。
【0016】
(9)上記(8)の冷媒流路モジュールは、好ましくは、前記第2プレートの前記第1プレートとは反対側に重ね合わされる第3プレートと、前記第2プレートと前記第3プレートの対向面同士を接合する、銅を含むろう材と、を備え、
前記冷媒管に連通しかつ前記流路を構成する第2開口が前記第3プレートに形成され、
前記第3プレートにおける前記第2開口の内周面と前記第3プレートにおける前記第2プレート側の板面との境界、又は、前記第2プレートにおける前記第1開口の内周面と前記第2プレートにおける前記第3プレート側の板面との境界に第2面取り部が形成され、
前記貯留部が、前記第2面取り部を含む。
この構成によれば、第2面取り部により形成される空間を利用して余剰のろう材を貯留し、当該ろう材が冷媒管に到達するのを抑制することができる。
【0017】
(10)上記(1)~(9)のいずれか1つの冷媒流路モジュールにおいて、好ましくは、前記第2プレートの外周面と、前記第2プレートにおける前記第1プレート側の板面との境界、又は、前記第1プレートの外周面と、前記第1プレートにおける前記第2プレート側の板面との境界に第3面取り部が形成され、前記貯留部が、前記第3面取り部を含む。
この構成によれば、第3面取り部により形成される空間を利用して余剰のろう材を貯留し、当該ろう材が冷媒管に到達するのを抑制することができる。
【0018】
(11)本開示の空気調和機は、上記(1)~(10)のいずれか1つの冷媒流路モジュールを備えている。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本開示の第1の実施形態に係る冷媒流路モジュールの斜視図である。
【
図4】冷媒流路モジュールを分解して示す正面図である。
【
図5】冷媒流路モジュールの一部の拡大断面図である。
【
図6】挿入部材が挿入された部分を拡大して示す冷媒流路モジュールの断面図である。
【
図7】締結部材によるプレートの締結部分を拡大して示す冷媒流路モジュールの断面図である。
【
図8】第2の実施形態に係る冷媒流路モジュールの一部の拡大断面図である。
【
図9】第3の実施形態に係る冷媒流路モジュールの一部の拡大断面図である。
【
図10】第4の実施形態に係る冷媒流路モジュールの一部の拡大断面図である。
【
図11】第5の実施形態に係る冷媒流路モジュールにおいて挿入部材が挿入された部分を拡大して示す断面図である。
【
図12】第6の実施形態に係る冷媒流路モジュールにおいて挿入部材が挿入された部分を拡大して示す断面図である。
【
図13】第7の実施形態に係る冷媒流路モジュールの一部の拡大断面図である。
【
図14】第8の実施形態に係る冷媒流路モジュールの一部の拡大断面図である。
【
図15】第9の実施形態に係る冷媒流路モジュールの一部の拡大断面図である。
【
図16】第10の実施形態に係る冷媒流路モジュールの一部の拡大断面図である。
【
図17】本開示の実施形態に係る空気調和機の内部を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面を参照しつつ、本開示の実施形態を詳細に説明する。
[第1の実施形態]
図1は、本開示の第1の実施形態に係る冷媒流路モジュールの斜視図である。
図2は、冷媒流路モジュールの平面図である。
図3は、冷媒流路モジュールの正面図である。
【0021】
本実施形態の冷媒流路モジュール10は、例えば、蒸気圧縮式の冷凍サイクル運転を行う冷媒回路を備えた空気調和機に適用される。冷媒流路モジュール10には、冷凍回路を構成する四路切換弁、電磁弁、圧縮機、アキュムレータ、オイルセパレータ等の機器が接続される。
【0022】
冷媒流路モジュール10は、モジュール本体11と、継手管(冷媒管)12と、締結部材13と、挿入部材14とを有している。モジュール本体11の内部には冷媒が流れる流路15(
図2、
図3参照)が形成されている。モジュール本体11は、複数のプレート21,22,23を有している。複数のプレート21,22,23は、互いに積層され、接合されている。互い隣接するプレート21,22,23同士は、ろう付けによって接合されている。本実施形態におけるモジュール本体11は、例えば、プレート21,22,23の板面を水平方向にした姿勢で空気調和機のケーシング内に支持される。
【0023】
本実施形態のプレート21,22,23は、ステンレス製である。本実施形態のプレート21,22,23は、例えば、SUS304Lにより形成されている。プレート21,22,23は、長方形の板面を有する。以下の説明では、プレート21,22,23の板面に垂直な方向(プレート21,22,23の法線方向)、言い換えると、複数のプレート21,22,23が積層される方向を第1方向Zともいう。プレート21,22,23の板面に沿った方向(第1方向Zに直交する方向)であって、互いに直交する2つの方向を第2方向X及び第3方向Yともいう。本実施形態では、各プレート21,22,23の長辺が第2方向Xに沿って配置され、短辺が第3方向Yに沿って配置されるものとする。プレート21,22,23の板面の形状は、長方形に限定されず、正方形、四角形以外の多角形、又は、楕円形及び長円形を含む円形等に形成されていてもよい。
【0024】
複数のプレート21,22,23は、互いに同一形状の長方形の板面を有している。複数のプレート21,22,23は、同一の厚さ(第1方向Zの長さ)を有している。ただし、複数のプレート21,22,23は、互いに異なる長方形状、例えば長辺の長さ又は短辺の長さが互いに異なっていてもよく、異なる厚さを有していてもよい。
【0025】
複数のプレート21,22,23は、第1方向Zの両端に配置される2枚の端部プレート21と、2枚の端部プレート21の間に配置される中間プレート22,23とを含む。本実施形態の冷媒流路モジュール10は、3枚の中間プレート22,23を有している。3枚の中間プレート22,23は、両端の端部プレート21の間で積層されている。
【0026】
図2及び
図3に示すように、各端部プレート21には、継手管12を取り付けるための取付孔26が形成されている。取付孔26は、端部プレート21を第1方向Zに貫通している。取付孔26は、円形状である。
【0027】
各中間プレート22,23には、冷媒の流路15を形成する開口24,25が形成されている。開口24,25は、中間プレート22,23を第1方向Zに貫通している。開口24,25は、第2方向X又は第3方向Yに長く形成されるか、円形状に形成される。開口24,25の形状は特に限定されるものではなく、必要となる流路15の形態に応じて適宜形状が設定される。
【0028】
端部プレート21に形成された取付孔26は、
図2に示すように、第1方向Z(
図2の紙面貫通方向)からみて、中間プレート22,23に形成された開口24,25の内側に配置されている。
【0029】
継手管12は、略円筒形状に形成されている。継手管12は、銅を含む材料、例えば、銅(純銅)又は銅合金により形成されている。継手管12は、その軸心が第1方向Zと平行に配置されている。したがって、継手管12の軸心と端部プレート21の板面とは垂直である。
【0030】
継手管12は、
図3に示すように、軸心方向の一端側に大径部12a、他端側に小径部12b、中間に段差部12cを有している。大径部12a及び小径部12bは円筒形状である。大径部12aの径は小径部12bの径よりも大きい。段差部12cは、大径部12aから小径部12bに向けて徐々に径が小さくなるように円錐状に形成されている。継手管12の小径部12bは、端部プレート21に形成された取付孔26に挿入されている。小径部12bの外周面と取付孔26の内周面とはろう付けによって接合されている。
【0031】
継手管12の大径部12aには、例えば空気調和機の冷媒回路を構成する冷媒配管が接続される。継手管12の大径部12aには、冷媒回路を構成する弁等の部品のポートが直接接続されていてもよい。
【0032】
締結部材13は、複数のプレート21,22,23を締結する。締結部材13は、例えばステンレス製である。締結部材13は、
図1及び
図3に示すように、ボルト31とナット32とを含む。ボルト31は、複数のプレート21,22,23を第1方向Zに貫通し、ナット32は、プレート21,22,23を貫通したボルト31の先端部に取り付けられる。本実施形態の冷媒流路モジュール10は、複数(本実施形態では5本)の締結部材13を備えている。複数の締結部材13は、第1方向Zからみて、モジュール本体11の4隅と略中央に設けられている。締結部材13の数や配置は特に限定されるものではない。この締結部材13の詳細は後述する。
【0033】
挿入部材14は、円柱形状のピンにより構成されている。挿入部材14は、例えばステンレス製である。挿入部材14は、
図3に示すように、複数のプレート21,22,23を第1方向Zに貫通している。挿入部材14は、複数のプレート21,22,23にろう付けによって取り付けられている。冷媒流路モジュール10は、複数(本実施形態では2本)の挿入部材14を備えている。複数の挿入部材14は、モジュール本体11の長手方向の両側に振り分けて配置されている。ただし、挿入部材14の数や配置は特に限定されるものではない。この挿入部材14の詳細についても後述する。
【0034】
図4は、冷媒流路モジュールを分解して示す正面図である。
冷媒流路モジュール10のモジュール本体11を構成する複数のプレート21,22,23は加熱炉内におけるろう付け(以下、炉中ろう付けともいう)によって接合される。冷媒流路モジュール10を製造するには、まず、隣接するプレート21,22,23の間にシート状のろう材17が配置され、プレート21,22,23及びろう材17が積層される。複数のプレート21,22,23には、締結部材13のボルト31を挿入させる挿入孔16と、挿入部材14を挿入させる挿入孔18とが第1方向Zに貫通して形成される。シート状のろう材17にも、挿入孔16に対応する挿入孔17aと、挿入孔18に対応する挿入孔17bとが第1方向Zに貫通して形成される。
【0035】
積層されたプレート21,22,23の挿入孔16と、ろう材17の挿入孔17aとには、下方からボルト31の軸部31aが挿入され、軸部31aの上端部のねじ溝31a1にナット32が取り付けられ、複数のプレート21,22,23がボルト31及びナット32で締結される。積層されたプレート21,22,23の挿入孔18と、ろう材17の挿入孔17bとには、下方又は上方から挿入部材14が挿入される。
【0036】
締結部材13で締結されたプレート21,22,23は、ろう付け用の炉に投入され加熱される。これにより、ろう材17が溶融され、複数のプレート21,22,23が接合される。挿入部材14は、プレート21,22,23間からはみ出した余剰のろう材によってプレート21,22,23にろう付けされる。
【0037】
図5は、冷媒流路モジュールの一部の拡大断面図である。
図5及び後述する
図6~
図16は、いずれもろう付け時の姿勢で示されている。
ステンレス製の端部プレート21と中間プレート22,23とのろう付けには、例えば、青銅ろう等の銅を含むろう材17が用いられる。このろう材17は、継手管12の材料である銅よりも融点が低い。炉中ろう付けでは、継手管12の融点よりも低く、ろう材17の融点よりも高い温度で加熱されるため、通常はろう材17のみが溶融する。しかし、溶融したろう材17の余剰分がプレート21,22,23間からはみ出し、銅製の継手管12に流れて接触すると、当該継手管12の融点が低下する現象が生じることがある。継手管12の融点が低下すると、炉中ろう付けによって継手管12が溶融してしまい、製造不良となる。
【0038】
本実施形態の冷媒流路モジュール10は、プレート21,22,23間からはみ出した余剰のろう材17を貯留する貯留部40,41,42を備えている。この貯留部40,41,42にろう材17を貯めることで、継手管12にろう材17が到達するのを抑制し、継手管12の溶融を抑制する。
【0039】
本実施形態の貯留部40は、端部プレート(第1プレート)21とこれに隣接する中間プレート(第2プレート)22との境界部分に設けられている。具体的には、端部プレート21に形成され継手管12が挿入される取付孔26は、第1方向Zからみて、中間プレート22に形成され流路15を形成する開口24の内側に配置されている。そのため、継手管12の周囲において、端部プレート21の中間プレート22側の板面(上面)は流路15内に露出している。貯留部40は、開口24の内周面と、端部プレート21の中間プレート22側の板面との境界部分に形成される。貯留部40には、プレート21,22,23間からはみ出した余剰のろう材17が、符号17cで示すようにフィレット状に溜まり、固まった状態で存在する。
【0040】
図5に示す下側の端部プレート21には継手管12が接続されているが、上側の端部プレート21には流路15に連通する継手管12が接続されていない。この端部プレート21の中間プレート22側の板面(下面)と、この中間プレート22の開口24の内周面との境界部分も、貯留部40を構成する。この貯留部40にもプレート21,22間からはみ出した余剰のろう材17が、符号17cで示すようにフィレット状に溜まり固まった状態で存在する。
【0041】
図6は、挿入部材が挿入された部分を拡大して示す冷媒流路モジュールの断面図である。
挿入部材14は、複数のプレート21,22,23に形成された挿入孔18に挿入されている。挿入部材14は、モジュール本体11の第1方向Zにおける長さよりも若干長く形成され、両側の端部プレート21からわずかに突出している。挿入部材14と挿入孔18との間には、わずかな隙間が形成されている。
【0042】
上述したように、炉中ろう付けによってろう材17が溶融すると、プレート21,22,23間からはみ出した余剰のろう材17は、符号17dで示すように挿入部材14と挿入孔18との間の隙間に流入する。これにより、挿入部材14とプレート21,22,23とが接合されるとともに、挿入部材14と挿入孔18との隙間に余剰のろう材17dが貯留される。したがって、挿入部材14と挿入孔18との隙間は、余剰のろう材17dを貯留する貯留部41として機能する。この貯留部41にろう材17dが貯留されることによって、流路15側にはみ出す余剰のろう材17の量が減少し、継手管12に到達するのを抑制することができる。下側の端部プレート21に形成された挿入孔18は下方に開放しているので、貯留部41内に貯まりきらないろう材17は、挿入孔18の下端から外部へ排出される。
【0043】
図7は、締結部材によるプレートの締結部分を拡大して示す冷媒流路モジュールの断面図である。
締結部材13は、複数のプレート21,22,23同士を締結する。締結部材13を構成するボルト31は、例えば六角ボルトであり、軸部31aと頭部31bとを有する。軸部31aは円柱状に形成されている。頭部31bは軸部31aの長手方向の一端に形成されている。頭部31bの外周面は六角形状に形成されている。頭部31bとは反対側の軸部31aの端部の外周面には、ねじ溝31a1が形成されている。
【0044】
ナット32は、例えば、六角ナットである。ナット32は筒状に形成されている。ナット32の内周面には、ねじ溝32a1が形成されている。ナット32のねじ溝32a1は、ボルト31のねじ溝31a1に係合可能である。
【0045】
ボルト31の軸部31aは、複数のプレート21,22,23に形成された挿入孔16に挿入される。ボルト31(軸部31a)と挿入孔16との間にはわずかな隙間が形成されている。上述したように、炉中ろう付けによってろう材17が溶融すると、プレート21,22,23間からはみ出した余剰のろう材は、符号17eで示すようにボルト31と挿入孔16との間の隙間に流入する。これにより、ボルト31と挿入孔16との隙間に余剰のろう材17eが貯留される。したがって、締結部材13と挿入孔16との隙間は、余剰のろう材17eを貯め込む貯留部42として機能する。この貯留部42にろう材17eが貯留されることによって、流路15側にはみ出す余剰のろう材17の量が減少し、継手管12にろう材17が到達するのを抑制することができる。
【0046】
[第2の実施形態]
図8は、第2の実施形態に係る冷媒流路モジュールの一部の拡大断面図である。
第2の実施形態の冷媒流路モジュール10は、中間プレート22,23に形成された開口24,25の大きさが互いに異なっている。本実施形態では、複数の中間プレート22のうち、下側に配置されたものに符号22aを付し、上側に配置されたものに符号22bを付している。本実施形態では、中間プレート22aの開口には符号24aを付し、中間プレート22bの開口には符号24bを付している。
【0047】
本実施形態において、継手管12が取り付けられた下側の端部プレート(第1プレート)21に隣接する中間プレート(第2プレート)22aには、第1の実施形態と同様の開口(第1開口)24aが形成されている。継手管12が取り付けられる取付孔26は、第1方向Zからみて第1開口24aの内側に配置されている。
【0048】
当該中間プレート22aの上側に隣接する他の中間プレート(第3プレート)23には、開口(第2開口)25が形成されている。第1開口24aは、第1方向Zからみて第2開口25の内側に配置されている。さらに、当該他の中間プレート23の上側に隣接する他の中間プレート(第4プレート)22bには、開口24b(第3開口)が形成されている。第2開口25は、第1方向Zからみて第3開口24bの内側に配置されている。したがって、本実施形態では、継手管12が設けられた端部プレート21から離れるにしたがって、中間プレート22a,23,22bに形成される開口24a,25,24bが徐々に大きくなっている。
【0049】
本実施形態では、第1の実施形態と同様に、継手管12が取り付けられた端部プレート(第1プレート)21とこれに隣接する中間プレート(第2プレート)22aとの境界部分に貯留部40が設けられている。具体的には、継手管12が挿入される取付孔26は、第1方向Zからみて、中間プレート22に形成され流路15を形成する開口24の内側に配置されている。そのため、継手管12の周囲において、端部プレート21の中間プレート22側の板面は流路15内に露出している。貯留部40は、第1開口24aの内周面と、端部プレート21の中間プレート22側の板面との境界部分に形成される。貯留部40には、プレート21,22aから流出した余剰のろう材17は、符号17cで示すようにフィレット状に溜まり、固まった状態で存在する。
【0050】
中間プレート(第2プレート)22aの中間プレート(第3プレート)23側の板面(上面)は流路15内に露出している。そのため、貯留部40は、第2開口25の内周面と、中間プレート22aの中間プレート23側の板面との境界部分にも形成される。この貯留部40には、中間プレート22a,23間からはみ出した余剰のろう材17が、符号17cで示すようにフィレット状に溜まり固まった状態で存在する。
【0051】
同様に、中間プレート(第3プレート)23の中間プレート(第4プレート)22b側の板面(上面)は流路15内に露出している。そのため、貯留部40は、第3開口24bの内周面と、中間プレート23の中間プレート22b側の板面との間に形成される。この貯留部40には、中間プレート22b,23間からはみ出した余剰のろう材17が符号17cで示すようにフィレット状に溜まり固まった状態で存在する。
【0052】
図8において、上側の端部プレート21には、流路15に連通する継手管12が接続されていない。この端部プレート21の中間プレート22b側の板面(下面)と、この中間プレート22bの開口24bの内周面との境界部分も、貯留部40を構成する。この貯留部40にも、プレート21,22b間からはみ出した余剰のろう材17が、符号17cで示すようにフィレット状に溜まり、固まった状態で存在する。
【0053】
[第3の実施形態]
図9は、第3の実施形態に係る冷媒流路モジュールの一部の拡大断面図である。
第3の実施形態では、第1の実施形態と同様に、複数の中間プレート22,23には、それぞれ開口24,25が形成されている。中間プレート22,23のうち、真中の中間プレート(第3プレート)23に形成された開口25は、その上下の中間プレート22に形成された開口24よりも小さい。具体的には、中間プレート23に形成された開口25は、第1方向Zからみて中間プレート22の開口24の内側に配置されている。そのため、中間プレート23の中間プレート22側の板面(上下面)が流路15内に露出している。したがって、本実施形態では、開口24の内周面と、中間プレート23の中間プレート22側の板面との境界部分が貯留部40を構成している。その他の構成は、第1の実施形態と同様である。
【0054】
[第4の実施形態]
図10は、第4の実施形態に係る冷媒流路モジュールの一部の拡大断面図である。
本実施形態では、継手管12が取り付けられた端部プレート21の取付孔26の周囲には、溝27が形成されている。この溝27は、流路15内に露出する端部プレート21の板面(上面)に形成されている。言い換えると、溝27は、取付孔26から径方向外側に離れて配置されかつ端部プレート21における中間プレート22側の板面の流路15に面する部分に形成されている。
【0055】
各プレート21,22,23間からはみ出した余剰のろう材17は、符号17fで示すように継手管12に到達する前に溝27内に入り込み、貯留される。したがって、溝27は、貯留部43を構成する。そのため、ろう材17が接触することで継手管12の融点が低下するのを抑制することができる。なお、溝27は、取付孔26の全周を囲うように形成されていてもよいし、余剰のろう材17が流入する可能性が高い領域に部分的に形成されていてもよい。
【0056】
[第5の実施形態]
図11は、第5の実施形態に係る冷媒流路モジュールにおいて挿入部材が挿入された部分を拡大して示す断面図である。
本実施形態では、第1の実施形態とは異なり、挿入部材14がモジュール本体11を貫通していない。具体的に、モジュール本体11を構成するプレート21,22,23のうち、下側の端部プレート21と中間プレート22,23とには挿入孔18が形成されているが、上側の端部プレート21には挿入孔が形成されていない。したがって、挿入部材14は、
図11におけるモジュール本体11の下側から挿入孔18に挿入され、上側には突出していない。
【0057】
本実施形態では、各ろう材17が、いずれも挿入部材14と挿入孔18との隙間(貯留部41)に連なるので、余剰のろう材17は、貯留部41に流入し貯留されることになる。下側の端部プレート21に形成された挿入孔18は下方に開放しているので、貯留部41に貯め切れないろう材17dは外部に排出される。
【0058】
[第6の実施形態]
図12は、第6の実施形態に係る冷媒流路モジュールにおいて挿入部材が挿入された部分を拡大して示す断面図である。
本実施形態では、第1の実施形態とは異なり、挿入部材14がモジュール本体11を貫通していない。具体的には、モジュール本体11を構成するプレート21,22,23のうち、上側の端部プレート21と中間プレート22,23とには第1方向Zに貫通する挿入孔18が形成されているが、下側の端部プレート21には第1方向Zに貫通する挿入孔が形成されていない。下側の端部プレート21には、上方に開放し下方に閉じた挿入孔19が形成されている。
【0059】
本実施形態では、各ろう材17が挿入部材14と挿入孔18,19との間の隙間(貯留部41)に連なるため、余剰のろう材17は貯留部41に貯留される。ただし、本実施形態では、貯留部41の下端は外部に開放されていないので、余剰のろう材17は排出されない。
【0060】
[第7の実施形態]
図13は、第7の実施形態に係る冷媒流路モジュールの一部の拡大断面図である。
第7の実施形態では、第1の実施形態と同様に、複数の中間プレート22,23にそれぞれ開口24,25が形成されている。複数の中間プレート22,23に形成された開口24,25は、互いに同じ大きさに形成されている。各中間プレート22,23において、開口24,25の内周面と下側の板面(下面)との境界には、面取り部22c,22d,23cが形成されている。本実施形態の面取り部22c,22d,23cは、いずれもC面取りであり、開口24,25の内周面と下側の板面との間で傾斜したテーパー面によって構成されている。ただし、面取り部22c,22d,23cは、R面取り(ラウンド型の面取り)であってもよい。
【0061】
具体的に、継手管12が取り付けられた端部プレート(第1プレート)21に隣接する中間プレート(第2プレート)22においては、開口(第1開口)24の内周面と当該端部プレート21側(下側)の板面との境界に面取り部(第1面取り部)22cが形成されている。この面取り部22cによって、端部プレート21と中間プレート22との間には、断面略三角形状の空間が形成され、この空間に、プレート21,22間からはみ出した余剰のろう材17gが溜まり、固まった状態で存在する。したがって、この面取り部22cが、余剰のろう材17gの貯留部72として機能している。
【0062】
同様に、中間プレート(第2プレート)22の上側に隣接する他の中間プレート(第3プレート)23においては、開口(第2開口)25の内周面と中間プレート(第2プレート)22側(下側)の板面との境界に、面取り部(第2面取り部)23cが形成されている。さらに、当該他の中間プレート(第3プレート)23の上側に隣接する、さらに他の中間プレート(第4プレート)22においては、開口(第3開口)24の内周面と当該他の中間プレート(第3プレート)23側(下側)の板面との境界に、面取り部(第2面取り部)22dが形成されている。これらの面取り部23c,22dによって、中間プレート22と中間プレート23との間には、断面略三角形状の空間が形成され、この空間に、各プレート21,22間からはみ出した余剰のろう材17gが溜まり、固まった状態で存在する。したがって、これらの面取り部23c,22dも、余剰のろう材17gの貯留部72として機能している。
【0063】
なお、本実施形態では、第1の実施形態(
図5参照)と同様に、上側の端部プレート21における中間プレート22側の板面(下面)と、この中間プレート22の開口24の内周面との境界部分が貯留部40として機能し、余剰のろう材17cがフィレット状に溜まり固まった状態で存在している。
【0064】
本実施形態の冷媒流路モジュール10は、面取り部22c,23c,22dで構成される貯留部72を備えているので、余剰のろう材17gが、開口24,25の内側に入り込むことを抑制することができる。
【0065】
本実施形態では、複数の中間プレート22,23の開口24,25が、互いに同じ大きさであっても貯留部72を形成することができる。ただし、本実施形態においても、例えば
図8又は
図9に示す実施形態と同様に、中間プレート22,23の開口24,25が互いに異なる大きさであってもよい。
【0066】
[第8の実施形態]
図14は、第8の実施形態に係る冷媒流路モジュールの一部の拡大断面図である。
第8の実施形態では、第7の実施形態と同様に、各中間プレート22,23には面取り部22c,22d,23c,22e,22f,23dが形成されている。ただし、本実施形態では、各中間プレート22,23の開口24,25の内周面と上下両側の板面との境界に、それぞれ面取り部22c,22d,23c,22e,22f,23dが形成されている。本実施形態の面取り部22c,22d,23c,22e,22f,23dは、いずれもC面取りであり、開口24,25の内周面と上下両側の板面との間で傾斜したテーパー面によって構成されている。ただし、面取り部22c,22d,23c,22e,22f,23dは、R面取り(ラウンド型の面取り)であってもよい。
【0067】
具体的に、第8の実施形態では、第7の実施形態で説明した面取り部22c,23c,22dに加えて、各中間プレート(第2プレート、第3プレート,第4プレート)22,23,22に形成された開口24,25の内周面と、中間プレート22,23,22の上側の板面との境界にも、面取り部(第2面取り部)22e,22f,23dが形成されている。
【0068】
したがって、本実施形態では、互いに隣接する中間プレート22,23の間に位置する貯留部72を大きく形成することができ、余剰のろう材17gの貯留量を増やすことができる。さらに、本実施形態では、上側の端部プレート21とこれに隣接する中間プレート22との間にも、面取り部22fで構成された貯留部72を設けることができる。
【0069】
第8の実施形態において、第2面取り部は、中間プレート(第2プレート22、第3プレート23,第4プレート22)に形成された開口24,25の内周面と、中間プレート22,23,22の上側の板面との境界に形成されたもの22e,22f,23c,23dのみで構成されていてもよい。
【0070】
[第9の実施形態]
図15は、第9の実施形態に係る冷媒流路モジュールの一部の拡大断面図である。
第9の実施形態では、モジュール本体11の上側の端部プレート21及び中間プレート22,23の外周面と、これらのプレート21,22,23の下側の板面との境界に面取り部21g,22g,23gが形成されている。この面取り部21g,22g,23gは、いずれもC面取りであり、これらのプレート21,22,23の外周面と、下側の板面との間で傾斜したテーパー面によって構成されている。ただし、面取り部21g,22g,23gは、R面取り(ラウンド型の面取り)であってもよい。
【0071】
具体的に、下側の端部プレート(第1プレート)21に隣接する中間プレート(第2プレート)22においては、その外周面と当該端部プレート21側(下側)の板面との境界に面取り部(第3面取り部)22gが形成されている。この面取り部22gによって、端部プレート21と中間プレート22との間には、断面略三角形状の空間が形成され、この空間に、各プレート21,22間からはみ出した余剰のろう材17hが溜まり、固まった状態で存在する。したがって、この面取り部22gが、余剰のろう材17hの貯留部74として機能している。
【0072】
同様に、中間プレート(第2プレート)22の上側に隣接する他の中間プレート(第3プレート)23においては、その外周面と中間プレート(第2プレート)22側(下側)の板面との境界に、面取り部23gが形成されている。さらに、当該他の中間プレート(第3プレート)23の上側に隣接する、さらに他の中間プレート(第4プレート)22においては、その外周面と当該他の中間プレート(第3プレート)23側(下側)の板面との境界に、面取り部22gが形成されている。さらに他の中間プレート(第4プレート)22に隣接する上側の端部プレート21においては、その外周面とさらに他の中間プレート(第4プレート)22側(下側)の板面との境界に、面取り部21gが形成されている。
【0073】
これらの面取り部21g,22g,23gによって、中間プレート22と中間プレート23との間、及び、中間プレート22と端部プレート21との間には、断面略三角形状の空間が形成され、この空間に、各プレート21,22,23間からはみ出した余剰のろう材17hが溜まり、固まった状態で存在する。したがって、これらの面取り部21g,22g,23gも、余剰のろう材17hの貯留部74として機能している。
【0074】
本実施形態では、炉中ろう付けによって溶融し、端部プレート21及び中間プレート22,23の間から外周面側にはみ出したろう材17hが貯留部74において貯留される。そのため、流路15側にはみ出す余剰のろう材17の量が減少し、銅製の継手管12にろう材17が到達するのを抑制することができる。
【0075】
[第10の実施形態]
図16は、第10の実施形態に係る冷媒流路モジュールの一部の拡大断面図である。
第10の実施形態では、第9の実施形態と同様に、各中間プレート22,23と、上側の端部プレート21とに面取り部21g,22g,23gが形成されている。ただし、本実施形態では、各中間プレート22,23の外周面と上側の板面との境界にも、それぞれ面取り部22h,23hが形成されている。さらに、本実施形態では、下側の端部プレート(第1プレート)21の外周面と上側の板面との境界にも面取り部(第3面取り部)21hが形成されている。
【0076】
これらの面取り部21g,21h,22g,22h,23g,23hは、いずれもC面取りであり、各プレート21,22,23の外周面と、上側又は下側の板面との間で傾斜したテーパー面によって構成されている。ただし、面取り部21g,21h,22g,22h,23g,23hは、R面取り(ラウンド型の面取り)であってもよい。
【0077】
本実施形態では、互いに隣接する端部プレート21と中間プレート22との間、及び、互いに隣接する中間プレート22,23の間に位置する貯留部74を大きく形成することができ、余剰のろう材17gの貯留量を増やすことができる。
【0078】
第10の実施形態において、第3面取り部は、下側の端部プレート(第1プレート)21の外周面と上側の板面との境界のみに形成されていてもよい。
【0079】
以上、説明した第1~第10の実施形態は、その一部又は全部を相互に組み合わせて実施することが可能である。
【0080】
[空気調和機の構成]
図17は、本開示の実施形態に係る空気調和機の内部を示す平面図である。
図17は、室外機と室内機とに分離されたセパレートタイプの空気調和機1における室外機51を示しており、この室外機51に、上述した冷媒流路モジュール10が設けられている。
【0081】
図17に示すように、室外機51は、ケーシング60を有し、このケーシング60内に、圧縮機44、アキュムレータ45、室外熱交換器47、オイルセパレータ46等の冷媒回路を構成する部品と、電装品ユニット61等とが収容されている。ケーシング60は、略直方体形状に形成されている。ケーシング60は、底板63、支柱64、天板(図示略)、前板66等を有している。底板63及び天板は、上面視で四角形状に形成されている。支柱64は、断面形状が略L字状で上下方向に長い長尺部材からなり、底板63及び天板の4隅に取り付けられている。
【0082】
ケーシング60の前面には、メンテナンス用の開口60aが形成されている。開口60aは、前板(前側の側板)66によって塞がれている。この前板66をケーシング60から取り外すことによって、開口60aを介してケーシング60内の部品のメンテナンスや交換等を行うことができる。
【0083】
ケーシング60の底板63上には、圧縮機44、アキュムレータ45、室外熱交換器47、オイルセパレータ46等の部品が搭載されている。室外熱交換器47は、ケーシング60の3つの側面、具体的には、ケーシング60の左側面、右側面、及び後側面に対応(対向)して配置されている。室外熱交換器47の一方側の端部にはガスヘッダ47eが設けられ、他方側の端部には液ヘッダ47fが設けられている。ケーシング60の左側面、右側面、及び後側面には、それぞれ外気を取り入れるための取入口60bが形成されている。
【0084】
室外機51は、図示しないファンの駆動によってケーシング60の取入口60bから空気を取り入れ、当該空気と室外熱交換器47との間で熱交換を行った後にケーシング60の上部から上方へ空気を吹き出すように構成されている。
【0085】
圧縮機44は、ケーシング60の前面付近の左右方向Yの略中央に配置されている。電装品ユニット61は、ケーシング60の前面付近であって、圧縮機44の右側に隣接して配置されている。圧縮機44の後方には、アキュムレータ45が配置されている。アキュムレータ45の左側にはオイルセパレータ46が配置されている。電装品ユニット61は、圧縮機44及び弁、ファン等の動作を制御するコントローラ61aを備えている。
【0086】
室外機51には、前述したような冷媒流路モジュール10が設けられている。この冷媒流路モジュール10は、圧縮機44、アキュムレータ45、流路切換弁、室外熱交換器47、膨張弁、オイルセパレータ46、閉鎖弁49a,49b等の冷媒回路の構成部品を接続する冷媒配管の流路の一部を構成する。
【0087】
上述した第1~第10の実施形態に係る冷媒流路モジュール10は、圧縮機44及びアキュムレータ45よりも左側(第3方向Yの一方側)に配置されている。冷媒流路モジュール10は、オイルセパレータ46の前側(第2方向Xの一方側)に配置されている。本実施形態の冷媒流路モジュール10は、モジュール本体11を構成するプレート21,22,23(
図1参照)の板面を水平にした姿勢でケーシング60内に支持されている。例えば、冷媒流路モジュール10は、ケーシング60内に固定された冷媒回路の構成部品49a,44,45等を介して冷媒配管52~55により支持されている。
【0088】
[実施形態の作用効果]
上記実施形態の冷媒流路モジュール10は、
図5~
図16に示すように、第1プレート(例えば、端部プレート21)と、第1プレート21に重ね合わされる第2プレート(例えば中間プレート22)と、第1プレート21に取り付けられる、銅を含む冷媒管(例えば継手管12)と、第1プレート21と第2プレート22との対向面同士を接合する、銅を含むろう材17と、余剰のろう材17を貯留する貯留部40,41,42,43,72,74と、を備えている。そのため、余剰のろう材17が冷媒管12に到達し、冷媒管12を溶融させてしまうのを抑制することができる。
【0089】
上記実施形態では、
図5、
図8、及び
図9に示すように、冷媒管12が、第1プレート21に形成された取付孔26に取り付けられており、冷媒管12に連通しかつ流路15を構成する開口24が、前記第2プレート22に形成され、第1プレート21及び第2プレート22の積層方向(第1方向Z)からみて、取付孔26が開口24の内側に配置され、貯留部40が、開口24の内周面と、第1プレート21における第2プレート22側の板面との境界部分に形成される。そのため、開口24の内周面と第1プレート21の板面との境界部分を利用して余剰のろう材17を貯留し、当該ろう材17が冷媒管12に到達するのを抑制することができる。
【0090】
上記実施形態では、
図10に示すように、冷媒管12が、第1プレート21に形成された取付孔26に取り付けられており、冷媒管12に連通しかつ流路15を構成する開口24が、第2プレート22に形成され、第1プレート21及び第2プレート22の積層方向(第1方向Z)からみて、取付孔26が開口24の内側に配置され、貯留部43が、取付孔26から径方向外側に離れて配置されかつ第1プレート21における第2プレート22側の板面の流路15に面する部分に形成された溝27により構成される。これにより、余剰のろう材17を溝27内に貯留させることで、当該ろう材17が冷媒管12に到達するのを抑制することができる。
【0091】
上記実施形態では、
図8に示すように、第2プレート22の第1プレート21とは反対側に重ね合わされる第3プレート(例えば、中間プレート23)と、第2プレート22と第3プレート23の対向面同士を接合する、銅を含むろう材17と、を備え、冷媒管12に連通しかつ流路15を構成する第2開口(例えば、開口25)が、第3プレート23に形成され、第1プレート21及び第2プレート22の積層方向(第1方向Z)からみて、開口24が第2開口25の内側に配置され、貯留部40が、第2開口25の内周面と、第2プレート22における第3プレート23側の板面との境界部分に形成される。これにより、第2開口25の内周面と第2プレート22の板面との境界部分を利用して余剰のろう材17を貯留し、当該ろう材17が冷媒管12に到達するのを抑制することができる。
【0092】
上記実施形態では、
図9に示すように、第2プレート22の第1プレート21とは反対側に重ね合わされる第3プレート(例えば、中間プレート23)と、第2プレート22と第3プレート23の対向面同士を接合する、銅を含むろう材17と、を備え、冷媒管12に連通しかつ流路15を構成する第2開口(例えば、開口25)が、第3プレート23に形成され、第1プレート21及び第2プレート22の積層方向からみて、第2開口25が開口24の内側に配置され、貯留部40が、開口24の内周面と、第3プレート23における第2プレート22側の板面との境界部分に形成される。これにより、開口24の内周面と第3プレート23の板面との境界部分を利用して余剰のろう材17を貯留し、当該ろう材17が冷媒管12に到達するのを抑制することができる。
【0093】
上記実施形態では、
図6,
図11,及び
図12に示すように、貯留部41は、第1プレート21に形成されかつ第1プレート21における第2プレート22側の板面で開口する挿入孔18,19と、この挿入孔18,19に隙間をあけて挿入された挿入部材14とを含む。これにより、挿入孔18,19と挿入部材14との間の隙間を利用して余剰のろう材17を貯留し、当該ろう材17が冷媒管12に到達するのを抑制することができる。
【0094】
上記実施形態では、
図6及び
図11に示すように、第1プレート21と第2プレート22との積層方向において、第1プレート21が冷媒流路モジュール10の端部に配置されており、挿入孔18が、第1プレート21における第2プレート22とは反対側の板面で開口している。これにより挿入孔18と挿入部材14との隙間(貯留部41)から冷媒流路モジュール10の外部に余剰のろう材17を排出することができる。
【0095】
上記実施形態では、
図13及び
図14に示すように、冷媒管12が、第1プレート21に形成された孔26に挿入されており、冷媒管12に連通しかつ流路15を構成する開口24が第2プレート22に形成され、第2プレート22における開口24の内周面と、第2プレート22における第1プレート21側の板面との境界に面取り部22cが形成され、貯留部72が、面取り部22cを含む。これにより、面取り部22cにより形成される空間を利用して余剰のろう材17を貯留し、当該ろう材17が冷媒管12に到達するのを抑制することができる。
【0096】
上記実施形態では、
図13及び
図14に示すように、第2プレート22の第1プレート21とは反対側に重ね合わされる第3プレート23と、第2プレート22と第3プレート23の対向面同士を接合する、銅を含むろう材17と、を備え、冷媒管12に連通しかつ流路15を構成する第2開口25が第3プレート23に形成され、第3プレート23における第2開口25の内周面と第3プレート23における第2プレート22側の板面との境界、又は、第2プレート22における第1開口24の内周面と第2プレート22における第3プレート23側の板面との境界に第2面取り部23c,22eが形成され、貯留部72が、第2面取り部23c,22eを含む。これにより、第2プレート22と第3プレート23との間からはみ出した余剰のろう材17を、第2面取り部23c,22eにより形成される空間を利用して貯留し、当該ろう材17が冷媒管12に到達するのを抑制することができる。
【0097】
上記実施形態では、
図15及び
図16に示すように、第2プレート22の外周面と第2プレート22における第1プレート21側の板面との境界、又は、第1プレート21の外周面と第1プレート21における第2プレート22側の板面との境界に第3面取り部22g,21hが形成され、貯留部74が、第3面取り部22g,21hを含む。これにより、第1プレート21と第2プレート22との間からはみ出した余剰のろう材17を、第3面取り部22g,21hにより形成される空間を利用して貯留し、当該ろう材17が第1開口24から冷媒管12に到達するのを抑制することができる。
【0098】
以上、実施形態を説明したが、特許請求の範囲の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
例えば、モジュール本体を構成するプレートの枚数は、上記実施形態に限定されるものではなく、少なくとも2枚のプレート(第1プレート及び第2プレート)を含んでいればよい。
【符号の説明】
【0099】
12 :継手管(冷媒管)
14 :挿入部材
15 :流路
17 :ろう材
18 :挿入孔
19 :挿入孔
21 :端部プレート(第1プレート)
21h :面取り部(第3面取り部)
22 :中間プレート(第2プレート)
22c :面取り部(第1面取り部)
22e :面取り部(第2面取り部)
22g :面取り部(第3面取り部)
23 :中間プレート(第3プレート)
23c :面取り部(第2面取り部)
24 :開口
25 :第2開口
26 :取付孔
27 :溝
40 :貯留部
41 :貯留部
42 :貯留部
43 :貯留部
72 :貯留部
74 :貯留部