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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-05
(45)【発行日】2024-03-13
(54)【発明の名称】含フッ素ポリマーの分子量の測定方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 30/88 20060101AFI20240306BHJP
   G01N 30/26 20060101ALI20240306BHJP
   C08F 12/20 20060101ALI20240306BHJP
【FI】
G01N30/88 P
G01N30/26 A
C08F12/20
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2023114839
(22)【出願日】2023-07-13
(65)【公開番号】P2024019030
(43)【公開日】2024-02-08
【審査請求日】2023-07-13
(31)【優先権主張番号】P 2022122155
(32)【優先日】2022-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129791
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 真由美
(74)【代理人】
【識別番号】100132252
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 環
(74)【代理人】
【識別番号】100221501
【弁理士】
【氏名又は名称】式見 真行
(74)【代理人】
【識別番号】100206324
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 明子
(72)【発明者】
【氏名】勝川 健一
(72)【発明者】
【氏名】高野 真由子
(72)【発明者】
【氏名】中井 康裕
(72)【発明者】
【氏名】三橋 尚志
【審査官】高田 亜希
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-194352(JP,A)
【文献】特開2009-283106(JP,A)
【文献】特開2020-079758(JP,A)
【文献】特開2021-067479(JP,A)
【文献】特開2021-009038(JP,A)
【文献】特開平11-174034(JP,A)
【文献】特開2001-208736(JP,A)
【文献】特開2000-074892(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 30/00 -30/96
B01J 20/281-20/292
C08F 12/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サイズ排除クロマトグラフ法による含フッ素ポリマーの分子量の測定方法であって、
前記含フッ素ポリマーを移動相溶剤に溶解させた溶液を、分離担体に通液することを含み、
前記移動相溶剤は、含フッ素溶剤を含み、
前記含フッ素溶剤は、塩素原子を含まず、
前記含フッ素溶剤の沸点は58℃以上であり、
前記含フッ素溶剤は、含フッ素エーテルを含む、含フッ素ポリマーの分子量の測定方法。
【請求項2】
測定温度は25℃以上40℃以下である、請求項1に記載の含フッ素ポリマーの分子量の測定方法。
【請求項3】
前記含フッ素溶剤は、含フッ素アルコールおよびフルオロカーボンからなる群より選ばれる少なくとも1種を含む、請求項1に記載の含フッ素ポリマーの分子量の測定方法。
【請求項4】
前記移動相溶剤における含塩素溶剤の体積割合は、50体積%以下である請求項1に記載の含フッ素ポリマーの分子量の測定方法。
【請求項5】
前記含フッ素溶剤の沸点は、120℃以下である、請求項1に記載の含フッ素ポリマーの分子量の測定方法。
【請求項6】
前記含フッ素ポリマーは、フルオロポリエーテル基含有化合物、フルオロカーボン含有化合物または含フッ素ビニル重合体である、請求項1~5のいずれか1項に記載の含フッ素ポリマーの分子量の測定方法。
【請求項7】
前記フルオロポリエーテル基含有化合物は、式(A1)、(A2)、(B1)、(B2)、(C1)、(C2)、(D1)、(D2)、(E1)または(E2)で表される化合物である、請求項6に記載の含フッ素ポリマーの分子量の測定方法。
【化1】
[式(A1)および(A2)中、
Rfは、それぞれ独立して1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよい炭素数1~16のアルキル基を表し;
PFPEは、それぞれ独立して、2価のフルオロポリエーテル基であり;
Qは、それぞれ独立して、-SiR 3-nまたは-Y-Aを表し、
は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1~22のアルキル基を表し、
は、それぞれ独立して、水酸基または加水分解可能な基を表し、
nは、(-SiR 3-n)毎に独立して0~3の整数であり、
Yは、それぞれ独立して、単結合、-O-、-CO-、-O-CO-、-CO-O-、-NR-CO-、-CO-NR-または炭素数1~22の2価の炭化水素基を表し、
は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1~22のアルキル基を表し、
Aは、それぞれ独立して、-CR=CHまたは-C≡CHを表し、
は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1~22のアルキル基を表し;
11は、それぞれ独立して、水素原子またはハロゲン原子を表し;
12は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1~22のアルキル基を表し;
は、それぞれ独立して、単結合または2~10価の有機基を表し;
は、それぞれ独立して、単結合または2価の有機基を表し;
tは、それぞれ独立して、2~10の整数であり;
αは、それぞれ独立して、1~9の整数であり;
α’は、1~9の整数であり、
少なくとも1つのQが-SiR 3-nである場合、式(A1)または(A2)において、少なくとも1つのRが存在する。
式(B1)および(B2)中、
は、それぞれ独立して、単結合または2~10価の有機基を表し;
βは、それぞれ独立して、1~9の整数であり;
β’は、1~9の整数であり;
少なくとも1つのQが-SiR 3-nである場合、式(B1)または(B2)において、少なくとも1つのRが存在し:
Rf、PFPE、Q、RおよびRは、上記と同意義である。
式(C1)および(C2)中、
は、それぞれ独立して、単結合または2~10価の有機基を表し;
γは、それぞれ独立して、1~9の整数であり;
γ’は、1~9の整数であり;
a1は、それぞれ独立して、-Z-SiR31 p132 q133 r134 s1を表し、
Zは、それぞれ独立して、酸素原子または2価の有機基を表し、
31は、それぞれ独立して、Ra’を表し、
a’は、Rと同意義であり、
32は、それぞれ独立して、-X-Qを表し、
は、それぞれ独立して、単結合または2価の有機基を表し、
33は、それぞれ独立して、水酸基または加水分解可能な基を表し、
34は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1~22のアルキル基を表し、
-Z-SiR31 p132 q133 r134 s1毎に、
p1、q1、r1およびs1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
p1、q1、r1およびs1の和は3であり、
a1中、-Z-基を介して直鎖状に連結されるSiは最大で5個であり;
b1は、-X-Qを表し、
c1は、それぞれ独立して、水酸基または加水分解可能な基を表し;
d1は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1~22のアルキル基を表し、
-SiRa1 k1b1 l1c1 m1d1 n1毎に、
k1、l1、m1およびn1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
k1、l1、m1およびn1の和は3であり;
Rf、PFPEおよびQは、上記と同意義である。
式(C1)、(C2)において、少なくとも1つの-Q基が存在する。
式(D1)および(D2)中、
は、それぞれ独立して、単結合または2~10価の有機基を表し;
δは、それぞれ独立して、1~9の整数であり;
δ’は、1~9の整数であり;
a2は、それぞれ独立して、-Z-CR41 p242 q243 r244 s2を表し、
は、それぞれ独立して、酸素原子または2価の有機基を表し、
41は、それぞれ独立して、Ra2’を表し、
a2’は、Ra2と同意義であり、
42は、それぞれ独立して、-X-Qを表し、
は、それぞれ独立して、単結合または2価の有機基を表し、
43は、それぞれ独立して、水酸基または加水分解可能な基を表し、
44は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1~22のアルキル基を表し、
-Z-CR41 p242 q243 r244 s2毎に、
p2、q2、r2およびs2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
p2、q2、r2およびs2の和は3であり、
a2中、-Z-基を介して直鎖状に連結されるCは最大で5個であり;
b2は、それぞれ独立して、-X-Qを表し;
c2は、それぞれ独立して、水酸基または加水分解可能な基を表し;
d2は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1~22のアルキル基を表し;
-CRa2 k2b2 l2c2 m2d2 n2毎に、
k2、l2、m2およびn2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
k2、l2、m2およびn2の和は3であり;
-(CRa2 k2b2 l2c2 m2d2 n2δにおいて、少なくとも1つのQが存在し;
Rf、PFPEおよびQは、上記と同意義である。
式(E1)および(E2)中、
は、それぞれ独立して、単結合または2~10価の有機基を表し;
εは、それぞれ独立して、1~9の整数であり;
ε’は、1~9の整数であり;
50は、それぞれ独立して、-OR51、-SR51、-NR51 、-COOR51、-SO51または-(Si52 O)n3-SiR52 を表し、
51は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1~22のアルキル基を表し、
52は、それぞれ独立して、炭素数1~6の脂肪族炭化水素基または炭素数6~10の芳香族炭化水素基を表し、
n3は、それぞれ独立して、0~100の整数であり;
RfおよびPFPEは、上記と同意義である。]
【請求項8】
前記フルオロカーボン含有化合物は、式(F1)または(F2)で表される化合物である、請求項6に記載の含フッ素ポリマーの分子量の測定方法。
【化2】
[式(F1)および(F2)中、
は、それぞれ独立して、単結合または2~10価の有機基を表し;
φは、それぞれ独立して、1~9の整数であり;
φ’は、1~9の整数であり;
61は、それぞれ独立して、フッ素原子、-CHFまたは-CFを表し;
Rf’は、それぞれ独立して、炭素数1~30のパーフルオロアルキレン基を表し;
Qは、それぞれ独立して、-SiR 3-nまたは-Y-Aを表し、
は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1~22のアルキル基を表し、
は、それぞれ独立して、水酸基または加水分解可能な基を表し、
nは、(-SiR 3-n)毎に独立して0~3の整数であり、
Yは、それぞれ独立して、単結合、-O-、-CO-、-O-CO-、-CO-O-、-NR-CO-、-CO-NR-または炭素数1~22の2価の炭化水素基を表し、
は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1~22のアルキル基を表し、
Aは、それぞれ独立して、-CR=CHまたは-C≡CHを表し、
は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1~22のアルキル基を表し、
少なくとも1つのQが-SiR 3-nである場合、式(F1)または式(F2)において、少なくとも1つのRが存在する。]
【請求項9】
前記含フッ素ビニル重合体は、式(G1)、(G2)または(G3)で表される単位の1種または2種以上を有する重合体である、請求項6に記載の含フッ素ポリマーの分子量の測定方法。
【化3】
[式(G1)、(G2)、(G3)中、
a3は、水素原子、フッ素原子、炭素数1~22のアルキル基または炭素数1~22のフルオロアルキル基を表し;
b3は、水素原子、フッ素原子、炭素数1~22のアルキル基または炭素数1~22のフルオロアルキル基を表し;
c3は、炭素数1~22のアルキル基、炭素数3~22の脂環式炭化水素基、炭素数6~22の芳香族炭化水素基またはアルキレン基に脂環式炭化水素基もしくは芳香族炭化水素基が結合した炭素数4~22の基を表し、これらの基に含まれる-CH-は酸素原子に置き換わっていてもよく、これらの基に含まれる水素原子はフッ素原子に置換されていてもよく;
は、-O-、-CO-、-O-CO-、-CO-O-、-NR-CO-または-CO-NR-を表し、
は、水素原子または炭素数1~22のアルキル基を表し;
は、単結合または酸素原子を表し;
d3は、炭素数1~22のアルキル基を表し、前記アルキル基に含まれる-CH-は酸素原子に置き換わっていてもよく、前記アルキル基に含まれる水素原子はフッ素原子に置換されていてもよく;
e3は、炭素数3~22のアルキレン基を表し、前記アルキレン基に含まれる-CH-は酸素原子に置き換わっていてもよく、前記アルキレン基に含まれる水素原子はフッ素原子に置換されていてもよく;
10は、単結合、炭素数1~22のアルキレン基または炭素数1~22のフルオロアルキレン基を表す。]
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、含フッ素ポリマーの分子量の測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
サイズ排除クロマトグラフ法は、試料の分子量により分離担体における保持時間が異なることを利用して、分子量を測定する方法である。測定の際、試料は移動相溶剤に溶解させ、均一溶液としたうえで、分離担体に導入される。フッ素系ポリマーの分子量の測定において、移動相溶剤に用いられる溶剤としては、例えば、ジクロロペンタフルオロプロパンを用いること(特許文献1~3)、ハイドロクロロフルオロオレフィンを用いること(特許文献4~5)が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2001-208736号公報
【文献】特開平11-174034号公報
【文献】特開2000-74892号公報
【文献】特開2021-67479号公報
【文献】特開2021-9038号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、サイズ排除クロマトグラフ法(SEC法)による測定の際は、まず分離担体中に移動相溶剤を連続的に通液し、気泡の発生等がなくなり安定した通液が可能となった後に、試料を移動相溶剤に溶解させた溶液を通液する。測定精度の観点から、試料は移動相溶剤に完全に溶解されている必要があるが、試料の溶解性を維持するため測定温度を高めると、通液状態が不安定となる。特に含フッ素ポリマーは、通常の(ハロゲン原子を含まない)溶剤への溶解性が良好でない場合が多く、試料の溶解性と通液状態の安定性との両立は、いっそう困難となり得る。
【0005】
本開示は、通液状態の安定性と、試料である含フッ素ポリマーの移動相溶剤への溶解性が両立され、安定した測定が可能な含フッ素ポリマーの分子量の測定方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち開示は、以下を含む。
[1]
サイズ排除クロマトグラフ法による含フッ素ポリマーの分子量の測定方法であって、
前記含フッ素ポリマーを移動相溶剤に溶解させた溶液を、分離担体に通液することを含み、
前記移動相溶剤は、含フッ素溶剤を含み、
前記含フッ素溶剤は、塩素原子を含まず、
前記含フッ素溶剤の沸点は58℃以上である、含フッ素ポリマーの分子量の測定方法。
[2]
測定温度は25℃以上40℃以下である、[1]に記載の含フッ素ポリマーの分子量の測定方法。
[3]
前記含フッ素溶剤は、含フッ素エーテル、含フッ素アルコールおよびフルオロカーボンからなる群より選ばれる少なくとも1種を含む、[1]または[2]に記載の含フッ素ポリマーの分子量の測定方法。
[4]
前記移動相溶剤における含塩素溶剤の体積割合は、50体積%以下である。[1]~[3]のいずれか1つに記載の含フッ素ポリマーの分子量の測定方法。
[5]
前記含フッ素溶剤の沸点は、120℃以下である、[1]~[4]のいずれか1つに記載の含フッ素ポリマーの分子量の測定方法。
[6]
前記含フッ素ポリマーは、フルオロポリエーテル基含有化合物、フルオロカーボン含有化合物または含フッ素ビニル重合体である、[1]~[5]のいずれか1つに記載の含フッ素ポリマーの分子量の測定方法。
[7] 前記フルオロポリエーテル基含有化合物は、式(A1)、(A2)、(B1)、(B2)、(C1)、(C2)、(D1)、(D2)、(E1)または(E2)で表される化合物である、[6]に記載の含フッ素ポリマーの分子量の測定方法。
【化1】
[式(A1)および(A2)中、
Rfは、それぞれ独立して1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよい炭素数1~16のアルキル基を表し;
PFPEは、それぞれ独立して、2価のフルオロポリエーテル基であり;
Qは、それぞれ独立して、-SiR 3-nまたは-Y-Aを表し、
は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1~22のアルキル基を表し、
は、それぞれ独立して、水酸基または加水分解可能な基を表し、
nは、(-SiR 3-n)毎に独立して0~3の整数であり、
Yは、それぞれ独立して、単結合、-O-、-CO-、-O-CO-、-CO-O-、-NR-CO-、-CO-NR-または炭素数1~22の2価の炭化水素基を表し、
は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1~22のアルキル基を表し、
Aは、それぞれ独立して、-CR=CHまたは-C≡CHを表し、
は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1~22のアルキル基を表し;
11は、それぞれ独立して、水素原子またはハロゲン原子を表し;
12は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1~22のアルキル基を表し;
は、それぞれ独立して、単結合または2~10価の有機基を表し;
は、それぞれ独立して、単結合または2価の有機基を表し;
tは、それぞれ独立して、2~10の整数であり;
αは、それぞれ独立して、1~9の整数であり;
α’は、1~9の整数であり、
少なくとも1つのQが-SiR 3-nである場合、式(A1)または(A2)において、少なくとも1つのRが存在する。
式(B1)および(B2)中、
は、それぞれ独立して、単結合または2~10価の有機基を表し;
βは、それぞれ独立して、1~9の整数であり;
β’は、1~9の整数であり;
少なくとも1つのQが-SiR 3-nである場合、式(B1)または(B2)において、少なくとも1つのRが存在し:
Rf、PFPE、Q、RおよびRは、上記と同意義である。
式(C1)および(C2)中、
は、それぞれ独立して、単結合または2~10価の有機基を表し;
γは、それぞれ独立して、1~9の整数であり;
γ’は、1~9の整数であり;
a1は、それぞれ独立して、-Z-SiR31 p132 q133 r134 s1を表し、
Zは、それぞれ独立して、酸素原子または2価の有機基を表し、
31は、それぞれ独立して、Ra’を表し、
a’は、Rと同意義であり、
32は、それぞれ独立して、-X-Qを表し、
は、それぞれ独立して、単結合または2価の有機基を表し、
33は、それぞれ独立して、水酸基または加水分解可能な基を表し、
34は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1~22のアルキル基を表し、
-Z-SiR31 p132 q133 r134 s1毎に、
p1、q1、r1およびs1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
p1、q1、r1およびs1の和は3であり、
a1中、-Z-基を介して直鎖状に連結されるSiは最大で5個であり;
b1は、-X-Qを表し、
c1は、それぞれ独立して、水酸基または加水分解可能な基を表し;
d1は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1~22のアルキル基を表し、
-SiRa1 k1b1 l1c1 m1d1 n1毎に、
k1、l1、m1およびn1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
k1、l1、m1およびn1の和は3であり;
Rf、PFPEおよびQは、上記と同意義である。
式(C1)、(C2)において、少なくとも1つの-Q基が存在する。
式(D1)および(D2)中、
は、それぞれ独立して、単結合または2~10価の有機基を表し;
δは、それぞれ独立して、1~9の整数であり;
δ’は、1~9の整数であり;
a2は、それぞれ独立して、-Z-CR41 p242 q243 r244 s2を表し、
は、それぞれ独立して、酸素原子または2価の有機基を表し、
41は、それぞれ独立して、Ra2’を表し、
a2’は、Ra2と同意義であり、
42は、それぞれ独立して、-X-Qを表し、
は、それぞれ独立して、単結合または2価の有機基を表し、
43は、それぞれ独立して、水酸基または加水分解可能な基を表し、
44は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1~22のアルキル基を表し、
-Z-CR41 p242 q243 r244 s2毎に、
p2、q2、r2およびs2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
p2、q2、r2およびs2の和は3であり、
a2中、-Z-基を介して直鎖状に連結されるCは最大で5個であり;
b2は、それぞれ独立して、-X-Qを表し;
c2は、それぞれ独立して、水酸基または加水分解可能な基を表し;
d2は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1~22のアルキル基を表し;
-CRa2 k2b2 l2c2 m2d2 n2毎に、
k2、l2、m2およびn2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
k2、l2、m2およびn2の和は3であり;
-(CRa2 k2b2 l2c2 m2d2 n2δにおいて、少なくとも1つのQが存在し;
Rf、PFPEおよびQは、上記と同意義である。
式(E1)および(E2)中、
は、それぞれ独立して、単結合または2~10価の有機基を表し;
εは、それぞれ独立して、1~9の整数であり;
ε’は、1~9の整数であり;
50は、それぞれ独立して、-OR51、-SR51、-NR51 、-COOR51、-SO51または-(Si52 O)n3-SiR52 を表し、
51は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1~22のアルキル基を表し、
52は、それぞれ独立して、炭素数1~6の脂肪族炭化水素基または炭素数6~10の芳香族炭化水素基を表し、
n3は、それぞれ独立して、0~100の整数であり;
RfおよびPFPEは、上記と同意義である。]
[8]
前記フルオロカーボン含有化合物は、式(F1)または(F2)で表される化合物である、[6]に記載の含フッ素ポリマーの分子量の測定方法。
【化2】
[式(F1)および(F2)中、
は、それぞれ独立して、単結合または2~10価の有機基を表し;
φは、それぞれ独立して、1~9の整数であり;
φ’は、1~9の整数であり;
61は、それぞれ独立して、フッ素原子、-CHFまたは-CFを表し;
Rf’は、それぞれ独立して、炭素数1~30のパーフルオロアルキレン基を表し;
Qは、それぞれ独立して、-SiR 3-nまたは-Y-Aを表し、
は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1~22のアルキル基を表し、
は、それぞれ独立して、水酸基または加水分解可能な基を表し、
nは、(-SiR 3-n)毎に独立して0~3の整数であり、
Yは、それぞれ独立して、単結合、-O-、-CO-、-O-CO-、-CO-O-、-NR-CO-、-CO-NR-または炭素数1~22の2価の炭化水素基を表し、
は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1~22のアルキル基を表し、
Aは、それぞれ独立して、-CR=CHまたは-C≡CHを表し、
は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1~22のアルキル基を表し、
少なくとも1つのQが-SiR 3-nである場合、式(F1)または式(F2)において、少なくとも1つのRが存在する。]
[9]
前記含フッ素ビニル重合体は、式(G1)、(G2)または(G3)で表される単位の1種または2種以上を有する重合体である、[6]に記載の含フッ素ポリマーの分子量の測定方法。
【化3】
[式(G1)、(G2)、(G3)中、
a3は、水素原子、フッ素原子、炭素数1~22のアルキル基または炭素数1~22のフルオロアルキル基を表し;
b3は、水素原子、フッ素原子、炭素数1~22のアルキル基または炭素数1~22のフルオロアルキル基を表し;
c3は、炭素数1~22のアルキル基、炭素数3~22の脂環式炭化水素基、炭素数6~22の芳香族炭化水素基またはアルキレン基に脂環式炭化水素基もしくは芳香族炭化水素基が結合した炭素数4~22の基を表し、これらの基に含まれる-CH-は酸素原子に置き換わっていてもよく、これらの基に含まれる水素原子はフッ素原子に置換されていてもよく;
は、-O-、-CO-、-O-CO-、-CO-O-、-NR-CO-または-CO-NR-を表し、
は、水素原子または炭素数1~22のアルキル基を表し;
は、単結合または酸素原子を表し;
d3は、炭素数1~22のアルキル基を表し、前記アルキル基に含まれる-CH-は酸素原子に置き換わっていてもよく、前記アルキル基に含まれる水素原子はフッ素原子に置換されていてもよく;
e3は、炭素数3~22のアルキレン基を表し、前記アルキレン基に含まれる-CH-は酸素原子に置き換わっていてもよく、前記アルキレン基に含まれる水素原子はフッ素原子に置換されていてもよく;
10は、単結合、炭素数1~22のアルキレン基または炭素数1~22のフルオロアルキレン基を表す。]
【発明の効果】
【0007】
本開示の含フッ素ポリマーの分子量の測定方法によれば、通液状態の安定性と、試料である含フッ素ポリマーの移動相溶剤への溶解性が両立され、安定した測定が可能である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本開示の含フッ素ポリマーの分子量の測定方法は、サイズ排除クロマトグラフ法による測定方法であり、含フッ素ポリマーを移動相溶剤に溶解させた溶液を、分離単体に通液することを含む。
【0009】
前記移動相溶剤は、含フッ素溶剤を含む。前記含フッ素溶剤は、塩素原子を含まず、分子中にフッ素原子を少なくとも含む溶剤である。
【0010】
前記移動相溶剤は、1種であってもよく、2種以上を含んでいてもよい。
【0011】
前記移動相溶剤の沸点は、58℃以上であり、59℃以上であってよく、好ましくは120℃以下であってよく、さらに118℃以下であってよい。前記移動相溶剤の沸点が前記範囲にあることで、通液状態の安定性と、試料である含フッ素ポリマーの移動相溶剤への溶解性とを両立することができる。
【0012】
前記移動相溶剤が、2種以上の溶剤を含む場合、移動相溶剤の沸点は、各溶剤の沸点および体積割合に基づく荷重平均値とする。
【0013】
前記含フッ素溶剤は、含フッ素エーテル、含フッ素アルコールおよびハイドロフルオロカーボンからなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましく、含フッ素エーテルおよびハイドロフルオロカーボンからなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことがより好ましい。
【0014】
前記含フッ素エーテルは、分子中にフッ素原子とエーテル結合(-O-)とを少なくとも含む。前記含フッ素エーテルとしては、フルオロアルキル基とフルオロアルキル基とが、エーテル結合を介して結合している化合物、フルオロアルキル基とアルキル基とが、エーテル結合を介して結合している化合物等が挙げられる。
【0015】
特定の態様に限定されないが、前記含フッ素エーテルとしては、式(1)で表される化合物が挙げられる。
s1-O-Rs2 ・・・(1)
[式(1)中、
s1は、炭素数1~6のフルオロアルキル基を表す。
s2は、炭素数1~6のフルオロアルキル基または炭素数1~6のアルキル基を表す。]
【0016】
s1で表されるフルオロアルキル基は、直鎖または分岐鎖であってよく、パーフルオロアルキル基または完全にフッ素化されていないフルオロアルキル基でもよい。Rs1で表されるフルオロアルキル基の炭素数は、好ましくは2~6である。
【0017】
s2で表されるフルオロアルキル基は、直鎖または分岐鎖であってよく、パーフルオロアルキル基または完全にフッ素化されていないフルオロアルキル基でもよい。Rs2で表されるフルオロアルキル基の炭素数は、好ましくは1~4である。
【0018】
s1の炭素数とRs2の炭素数との合計は、3~7が好ましく、4~7がより好ましい。
【0019】
s1およびRs2の組合せとしては、Rs1が炭素数1~6のパーフルオロアルキル基であり、Rs2が炭素数1~6のアルキル基である組合せ;Rs1が完全にフッ素化されていない炭素数1~6のフルオロアルキル基であり、Rs2が完全にフッ素化されていない炭素数1~6のフルオロアルキル基である組合せ等が挙げられる。
【0020】
前記含フッ素エーテルにおいて、フッ素原子の合計数は、水素原子とフッ素原子の合計数において、好ましくは50%以上、より好ましくは60%以上、更に好ましくは70%以上である。
【0021】
前記含フッ素エーテルとしては、(CF)CH-O-CFCFH、CFCFCFCF-O-CH、(CFCF-O-CH、CHFCFCH-O-CFCHF、CFCHFCF-O-CH、CFCHFCF-O-CHCH、CFCF-CF(OCH)CFCFCFからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
【0022】
前記含フッ素エーテルの沸点は、好ましくは58~120℃、より好ましくは59~118℃である。
【0023】
前記含フッ素エーテルの体積割合は、前記含フッ素溶剤中、好ましくは50体積%以上、より好ましくは60体積%以上、さらに好ましくは70体積%以上であり、好ましくは99体積%以下、より好ましくは95体積%以下、さらに好ましくは90体積%以下である。
本開示において、2以上の溶剤を混合して混合溶剤とした場合において、前記混合溶剤における溶剤の体積割合は、前記2以上の溶剤を混合する前の体積割合を意味する。
【0024】
前記含フッ素アルコールは、分子中にフッ素原子と水酸基とを少なくとも含む。前記含フッ素アルコールとしては、フルオロアルキル基に水酸基が結合した化合物等が挙げられる。
【0025】
特定の態様に限定されないが、含フッ素アルコールとしては、式(3)で表される化合物が挙げられる。
C(Rs53-w-OH ・・・(3)
[式(3)中、Rs5は、炭素数1~18のフルオロアルキル基または炭素数6~18のフルオロアリール基を表す。wは、1~2の整数を表す。]
【0026】
s5で表されるフルオロアルキル基は、直鎖または分岐鎖であってよく、パーフルオロアルキル基または完全にフッ素化されていないフルオロアルキル基であってよい。Rs5で表されるフルオロアルキル基の炭素数は、好ましくは1~10である。
【0027】
s5で表されるフルオロアリール基は、単環または多環であってよく、パーフルオロアリール基または完全にフッ素化されていないフルオロアリール基であってよい。
【0028】
前記含フッ素アルコールにおいて、フッ素原子の合計数は、水素原子とフッ素原子の合計数において、好ましくは50%以上、より好ましくは60%以上である。
【0029】
前記含フッ素アルコールとしては、例えば、2,2,2-トリフルオロエタノール、2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロパノール、2,2,3,3-テトラフルオロプロパノール、2,2,3,3,4,4,4-ヘプタフルオロブタノール、2,2,3,4,4,4-ヘキサフルオロブタノール、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-プロパノール、3,3,4,4,4-ペンタフルオロブタノール、3,3,4,4-テトラフルオロブタノール等が挙げられる。
【0030】
前記含フッ素アルコールの沸点は、好ましくは58~120℃、より好ましくは59~118℃である。
【0031】
前記含フッ素アルコールの体積割合は、前記含フッ素溶剤中、好ましくは5体積%以下、より好ましくは20体積%以下、さらに好ましくは30体積%以下である。
【0032】
前記含フッ素エーテルおよび含フッ素アルコールの合計の体積割合は、前記含フッ素溶剤中、好ましくは50体積%以上、より好ましくは70体積%以上、さらに好ましくは80体積%以上であり、100体積%以下である。
【0033】
前記フルオロカーボンは、炭化水素化合物に含まれる水素原子の少なくとも1つがフッ素原子に置換された化合物である。前記炭化水素化合物は、脂肪族炭化水素化合物、脂環式炭化水素化合物、芳香族炭化水素化合物およびこれらを組み合わせた化合物であってよい。前記炭化水素化合物の炭素数は、例えば4~20、好ましくは4~15、より好ましくは4~10である。
【0034】
特定の態様に限定されないが、前記フルオロカーボンとしては、式(2)で表される化合物が挙げられる。
(Rs3x1-Rs4 ・・・(2)
[式(2)中、
s3は、炭素数1~12のフルオロアルキル基または炭素数3~12のフルオロシクロアルキル基を表す。
s4は、水素原子、炭素数1~6の1~6価の脂肪族炭化水素基または炭素数6~20の1~6価の芳香族炭化水素基を表す。
xは、1~6の整数を表す。]
【0035】
s3で表されるフルオロアルキル基は、直鎖または分岐鎖であってよく、パーフルオロアルキル基または完全にフッ素化されていないフルオロアルキル基であってよい。Rs3で表されるフルオロアルキル基の炭素数は、好ましくは1~8、より好ましくは1~6である。
【0036】
s3で表されるフルオロシクロアルキル基は、パーフルオロシクロアルキル基または完全にフッ素化されていないフルオロシクロアルキル基であってよい。Rs3で表されるフルオロシクロアルキル基の炭素数は、好ましくは3~8、より好ましくは3~6である。
【0037】
s4で表される脂肪族炭化水素基は、直鎖または分岐鎖であってよく、アルキル基または不飽和脂肪族炭化水素基であってよい。前記不飽和脂肪族炭化水素基の二重結合または三重結合は、式(2)で表される化合物において、分子鎖の末端に存在することが好ましい。前記脂肪族炭化水素基は、1価の基または2価以上の基であってよく、好ましくは1価の基である。前記脂肪族炭化水素基の炭素数は、好ましくは2~6である。
【0038】
s4で表される芳香族炭化水素基は、単環または多環であってよい。前記芳香族炭化水素基は、1価の基または2価以上の基であってよく、好ましくは2~6価の基であり、より好ましくは2~4価の基である。前記芳香族炭化水素基の炭素数は、好ましくは6~10である。
【0039】
xは、好ましくは1~4である。
【0040】
s3、Rs4およびxの組合せとしては、Rs3が炭素数1~6のパーフルオロアルキル基であり、Rs4が水素原子であり、xが1である組合せ;Rs3が、完全にフッ素化されていない炭素数3~6のフルオロシクロアルキル基であり、Rs4が水素原子であり、xが1である組合せ;Rs3が炭素数1~6のパーフルオロアルキル基であり、Rs4が炭素数6~10の芳香族炭化水素基であり、xが2~4である組合せ等が挙げられる。
【0041】
前記フルオロカーボンにおいて、フッ素原子の合計数は、水素原子とフッ素原子の合計数において、好ましくは50%以上、より好ましくは60%以上である。
【0042】
前記フルオロカーボンとしては、n-C13-H、c-C、CF-C-CFからなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
【0043】
前記フルオロカーボンの沸点は、好ましくは58~120℃、より好ましくは59~118℃である。
【0044】
前記フルオロカーボンを含む場合、フルオロカーボンの体積割合は、前記含フッ素溶剤中、例えば10体積%以上、さらに30体積%以上であってよく、例えば90体積%以下、さらに70体積%以下であってよい。
【0045】
前記含フッ素エーテル、含フッ素アルコールおよびフルオロカーボンの合計の体積割合は、前記含フッ素溶剤中、好ましくは50体積%以上、より好ましくは70体積%以上、さらに好ましくは90体積%以上であり、好ましくは100体積%以下である。
【0046】
前記含フッ素溶剤は、前記含フッ素エーテル、含フッ素アルコールおよびフルオロカーボン以外の含フッ素溶剤を含んでいてもよい。具体的には、例えば、沸点が58℃未満の含フッ素溶剤を含んでいてもよい。該沸点が58℃未満の含フッ素溶剤の体積割合は、前記含フッ素溶剤中、好ましくは50体積%以下、より好ましくは30体積%以下、さらに好ましくは10体積%以下である。
【0047】
前記含フッ素溶剤は、塩素原子を含まない。塩素原子を含まないことで、通液状態の安定性と試料の溶解性とを両立しやすくなる。
【0048】
前記移動相溶剤において、前記含フッ素溶剤の体積割合は、好ましくは50体積%以上、より好ましくは70体積%以上、さらに好ましくは90体積%以上であり、特に好ましくは100体積%である。
【0049】
前記移動相溶剤において、分子中に塩素原子を含む溶剤、すなわち含塩素溶剤の体積割合は、好ましくは50体積%以下、より好ましくは30体積%以下、さらに好ましくは10体積%以下であり、特に好ましくは0体積%である。すなわち、含塩素溶剤を含まないことが特に好ましい。上記含塩素溶剤は、分子中に塩素原子を含むものであればよく、例えば、フッ素原子と塩素原子とを含む溶剤も上記含塩素溶剤の技術的範囲に含まれる。
【0050】
前記含フッ素ポリマーを前記移動相溶剤に溶解させた溶液(以下、「試料溶液」という場合がある。)において、含フッ素ポリマーの濃度は、好ましくは1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、さらに好ましくは0.1質量%以上である。
【0051】
前記試料溶液を分離担体に通液する際の測定温度は、好ましくは25℃以上40℃以下である。前記測定温度は、分離担体及び検出器の温度を意味し、分離担体及び検出器の温度を同一として測定を行う。
【0052】
前記試料溶液を分離担体に通液する際の流量は、例えば0.3mL/分以上、好ましくは0.5mL/分以上、より好ましくは1mL/分以上であり、例えば20mL/分以下であってよい。
【0053】
前記分離担体としては、SEC法において用いられる分離担体を適宜使用でき、高分子多孔質ゲルが好ましい。前記高分子としては、シリカ、ポリビニルアルコール、スチレン/ジビニルベンゼン共重合体等が挙げられる。前記分離担体は、測定対象である含フッ素ポリマーの分子量に基づき、適宜選択できる。
【0054】
前記分離担体からの試料(含フッ素ポリマー)の流出量は、SEC法において通常用いられる検出器を用いて検出できる。前記検出器としては、例えば、示差屈折率計、紫外吸光検出器、可視光吸光検出器、赤外分光光度計、光散乱検出器、蒸発型赤外分光光度計、蒸発型光散乱検出器、質量分析装置等が挙げられる。
【0055】
前記試料溶液を前記分離担体に通液した際、試料である含フッ素ポリマーが分離担体を通過するのに要した時間(保持時間)に基づいて、分子量を求めることができる。分子量を求める際、分子量が既知の標準試料を用い、保持時間(試料が分離担体を通過するのに要する時間)に対して分子量をプロットした検量線を作成し、当該検量線に基づいて試料の相対分子量を算出してもよい。
【0056】
前記標準試料としては、含フッ素ポリマーまたはポリメチルメタクリレート(PMMA)が好ましく、パーフルオロポリエーテルまたはポリメチルメタクリレート(PMMA)がより好ましく、直鎖のパーフルオロポリエーテルまたはポリメチルメタクリレート(PMMA)がさらに好ましい。
【0057】
前記試料溶液を前記分離担体に通液する前に、通液状態が安定するまで、移動相溶剤のみを前記分離担体に連続的に通液してもよい。連続的に通液する際の温度(分離担体の温度)および流量は、測定温度(分離担体の温度)および流量と同じであることが好ましい。移動相溶剤のみを通液している際の通液状態の安定性は、検出器からの信号強度変化がないことにより確認できる。
【0058】
本開示における測定方法において、測定対象となる含フッ素ポリマーは、フッ素原子を含むポリマーであればよい。前記含フッ素ポリマーとしては、フルオロポリエーテル基含有化合物、フルオロカーボン含有化合物および含フッ素アクリル樹脂が挙げられる。
【0059】
前記フルオロポリエーテル基含有化合物は、ポリエーテル基に含まれる水素原子の1つ以上がフッ素原子に置換された基(フルオロポリエーテル基)を有する化合物であり、好ましくは、パーフルオロポリエーテル基含有化合物である。
【0060】
前記フルオロポリエーテル基含有化合物は、好ましくは、式(A1)、(A2)、(B1)、(B2)、(C1)、(C2)、(D1)、(D2)、(E1)および(E2)のいずれかで表される。
【0061】
【化4】
【0062】
[式(A1)および(A2)中、
Rfは、それぞれ独立して1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよい炭素数1~16のアルキル基を表し;
PFPEは、それぞれ独立して、2価のフルオロポリエーテル基であり;
Qは、それぞれ独立して、-SiR 3-nまたは-Y-Aを表し、
は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1~22のアルキル基を表し、
は、それぞれ独立して、水酸基または加水分解可能な基を表し、
nは、(-SiR 3-n)毎に独立して0~3の整数であり、
Yは、それぞれ独立して、単結合、-O-、-CO-、-O-CO-、-CO-O-、-NR-CO-、-CO-NR-または炭素数1~22の2価の炭化水素基を表し、
は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1~22のアルキル基を表し、
Aは、それぞれ独立して、-CR=CHまたは-C≡CHを表し、
は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1~22のアルキル基を表し;
11は、それぞれ独立して、水素原子またはハロゲン原子を表し;
12は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1~22のアルキル基を表し;
は、それぞれ独立して、単結合または2~10価の有機基を表し;
は、それぞれ独立して、単結合または2価の有機基を表し;
tは、それぞれ独立して、2~10の整数であり;
αは、それぞれ独立して、1~9の整数であり;
α’は、1~9の整数であり、
少なくとも1つのQが-SiR 3-nである場合、式(A1)または(A2)において、少なくとも1つのRが存在する。
式(B1)および(B2)中、
は、それぞれ独立して、単結合または2~10価の有機基を表し;
βは、それぞれ独立して、1~9の整数であり;
β’は、1~9の整数であり;
少なくとも1つのQが-SiR 3-nである場合、式(B1)または(B2)において、少なくとも1つのRが存在する。
Rf、PFPE、Q、RおよびRは、上記と同意義である。
式(C1)および(C2)中、
は、それぞれ独立して、単結合または2~10価の有機基を表し;
γは、それぞれ独立して、1~9の整数であり;
γ’は、1~9の整数であり;
a1は、それぞれ独立して、-Z-SiR31 p132 q133 r134 s1を表し、
Zは、それぞれ独立して、酸素原子または2価の有機基を表し、
31は、それぞれ独立して、Ra’を表し、
a’は、Rと同意義であり、
32は、それぞれ独立して、-X-Qを表し、
は、それぞれ独立して、単結合または2価の有機基を表し、
33は、それぞれ独立して、水酸基または加水分解可能な基を表し、
34は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1~22のアルキル基を表し、
-Z-SiR31 p132 q133 r134 s1毎に、
p1、q1、r1およびs1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
p1、q1、r1およびs1の和は3であり、
a1中、-Z-基を介して直鎖状に連結されるSiは最大で5個であり;
b1は、-X-Qを表し、
c1は、それぞれ独立して、水酸基または加水分解可能な基を表し;
d1は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1~22のアルキル基を表し、
-SiRa1 k1b1 l1c1 m1d1 n1毎に、
k1、l1、m1およびn1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
k1、l1、m1およびn1の和は3であり;
Rf、PFPEおよびQは、上記と同意義であり:
式(C1)、(C2)において、少なくとも1つの-Q基が存在する。
式(D1)および(D2)中、
は、それぞれ独立して、単結合または2~10価の有機基を表し;
δは、それぞれ独立して、1~9の整数であり;
δ’は、1~9の整数であり;
a2は、それぞれ独立して、-Z-CR41 p242 q243 r244 s2を表し、
は、それぞれ独立して、酸素原子または2価の有機基を表し、
41は、それぞれ独立して、Ra2’を表し、
a2’は、Ra2と同意義であり、
42は、それぞれ独立して、-X-Qを表し、
は、それぞれ独立して、単結合または2価の有機基を表し、
43は、それぞれ独立して、水酸基または加水分解可能な基を表し、
44は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1~22のアルキル基を表し、
-Z-CR41 p242 q243 r244 s2毎に、
p2、q2、r2およびs2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
p2、q2、r2およびs2の和は3であり、
a2中、-Z-基を介して直鎖状に連結されるCは最大で5個であり;
b2は、それぞれ独立して、-X-Qを表し;
c2は、それぞれ独立して、水酸基または加水分解可能な基を表し;
d2は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1~22のアルキル基を表し;
-CRa2 k2b2 l2c2 m2d2 n2毎に、
k2、l2、m2およびn2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
k2、l2、m2およびn2の和は3であり;
-(CRa2 k2b2 l2c2 m2d2 n2δにおいて、少なくとも1つのQが存在し;
Rf、PFPEおよびQは、上記と同意義である。
式(E1)および(E2)中、
は、それぞれ独立して、単結合または2~10価の有機基を表し;
εは、それぞれ独立して、1~9の整数であり;
ε’は、1~9の整数であり;
50は、それぞれ独立して、-OR51、-SR51、-NR51 、-COOR51、-SO51または-(Si52 O)n3-SiR52 を表し、
51は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1~22のアルキル基を表し、
52は、それぞれ独立して、炭素数1~6の脂肪族炭化水素基または炭素数6~10の芳香族炭化水素基を表し、
n3は、それぞれ独立して、0~100の整数であり;
RfおよびPFPEは、上記と同意義である。]
【0063】
式(A1)および(A2):
【0064】
【化5】
【0065】
Rfにおける「アルキル基」は、直鎖または分岐鎖であってよい。前記アルキル基の炭素数は、好ましくは1~6、より好ましくは1~5である。Rfにおける「アルキル基」は、好ましくは直鎖または分岐鎖の炭素数1~6のアルキル基であり、より好ましくは直鎖または分岐鎖の炭素数1~3のアルキル基であり、より好ましくは直鎖の炭素数1~3のアルキル基である。
【0066】
Rfは、好ましくは1個またはそれ以上のフッ素原子により置換された炭素数1~16のアルキル基であり、より好ましくはCFH-C1-15フルオロアルキレン基であり、さらに好ましくは炭素数1~16のパーフルオロアルキル基である。
【0067】
Rfで表されるパーフルオロアルキル基は、直鎖または分岐鎖であってよい。Rfで表されるパーフルオロアルキル基の炭素数は、好ましくは1~6、より好ましくは1~3である。Rfで表されるパーフルオロアルキル基は、好ましくは、直鎖または分岐鎖の炭素数1~6のパーフルオロアルキル基、より好ましくは、直鎖または分岐鎖の炭素数1~3のパーフルオロアルキル基、さらに好ましくは、直鎖の炭素数1~3のパーフルオロアルキル基であり、具体的には、-CF、-CFCFまたは-CFCFCFである。
【0068】
PFPEは、各出現においてそれぞれ独立して、2価のフルオロポリエーテル基を表し、好ましくは、パーフルオロ(ポリ)エーテル基に該当する。
【0069】
PFPEは、好ましくは、式:
-(OC12-(OC10-(OC-(OCFa -(OC-(OCF
[式中:
Faは、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、フッ素原子又は塩素原子であり、
a、b、c、d、e及びfは、それぞれ独立して、0~200の整数であって、a、b、c、d、e及びfの和は1以上である。a、b、c、d、e又はfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である。ただし、すべてのRFaが水素原子又は塩素原子である場合、a、b、c、e及びfの少なくとも1つは、1以上である。]
で表される基である。
【0070】
a、b、c、d、e、fは、それぞれ独立して0または1以上の整数であり、a、b、c、d、eおよびfの和は、少なくとも1である。a、b、c、d、e、fは、それぞれ独立して0以上200以下の整数、例えば1以上200以下の整数であり、より好ましくは、それぞれ独立して0以上100以下の整数、例えば1以上100以下の整数である。さらに好ましくは、a、b、c、d、eおよびfの和は、10以上、好ましくは20以上であり、200以下、好ましくは100以下である。また、a、b、c、d、eおよびfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である。各出現において、PFPEは、好ましくは、-(OC12-(OC10-(OC-(OC-(OC-(OCF-の左末端の酸素原子がRf基に結合する。
【0071】
各繰り返し単位は、直鎖状であっても、分枝鎖状であってもよく、環構造を含んでいてもよい。例えば、-(OC12)-としては、-(OCFCFCFCFCFCF)-、-(OCF(CF)CFCFCFCF)-、-(OCFCF(CF)CFCFCF)-、-(OCFCFCF(CF)CFCF)-、-(OCFCFCFCF(CF)CF)-、-(OCFCFCFCFCF(CF))-等を挙げることができる。
-(OC10)-としては、-(OCFCFCFCFCF)-、-(OCF(CF)CFCFCF)-、-(OCFCF(CF)CFCF)-、-(OCFCFCF(CF)CF)-、-(OCFCFCFCF(CF))-等を挙げることができる。
-(OC)-としては、-(OCFCFCFCF)-、-(OCF(CF)CFCF)-、-(OCFCF(CF)CF)-、-(OCFCFCF(CF))-、-(OC(CFCF)-、-(OCFC(CF)-、-(OCF(CF)CF(CF))-、-(OCF(C)CF)-および-(OCFCF(C))-を挙げることができる。
-(OC)-としては、-(OCFCFCF)-、-(OCF(CF)CF)-および-(OCFCF(CF))-を挙げることができる。
-(OC)-としては、-(OCFCF)-、-(OCF(CF))-を挙げることができる。
【0072】
上記環構造は、下記三員環、四員環、五員環、又は六員環であり得る。
【0073】
【化6】
[式中、*は、結合位置を示す。]
【0074】
上記環構造は、好ましくは四員環、五員環、又は六員環、より好ましくは四員環、又は六員環であり得る。
【0075】
環構造を有する繰り返し単位は、好ましくは、下記の単位であり得る。
【0076】
【化7】
[式中、*は、結合位置を示す。]
【0077】
一の態様において、上記繰り返し単位は直鎖状である。
【0078】
一の態様において、上記繰り返し単位は分枝鎖状である。
【0079】
一の態様において、PFPEは、
-(OC-(OC- (f1)
(式中、dは1以上200以下、好ましくは10以上100以下の整数であり、eは0または1である)であり、好ましくは-(OCFCFCF-(式中、dは上記と同意義である)
である。
【0080】
上記式(f1)におけるOCは、好ましくは、(OCFCFCF)、(OCF(CF)CF)または(OCFCF(CF))であり、より好ましくは、(OCFCFCF)である。上記式(f1)における(OC)は、好ましくは、(OCFCF)または(OCF(CF))であり、より好ましくは、(OCFCF)である。一の態様において、eは0である。別の態様において、eは1である。
【0081】
別の態様において、PFPEは、
-(OC-(OC-(OC-(OCF- (f2)
(式中、cおよびdは、それぞれ独立して0以上または1以上30以下、好ましくは0以上10以下の整数であり、eおよびfは、それぞれ独立して1以上200以下、好ましくは10以上100以下の整数である。c、d、eおよびfの和は、10以上、好ましくは20以上であり、200以下、好ましくは100以下である。添字c、d、eまたはfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は、式中において任意である)である。一の態様において、上記式(f2)は、好ましくは-(OCFCFCFCF-(OCFCFCF-(OCFCF-(OCF-(式中、c、d、eおよびfは上記と同意義である)である。別の態様において、上記式(f2)は、-(OCFCF-(OCF-(式中、eおよびfは上記と同意義である)
であってもよい。
【0082】
さらに別の態様において、PFPEは、
-(R-R- (f3)
[式中、Rは、OCFまたはOCであり、
は、OC、OC、OC、OC10およびOC12から選択される基であるか、あるいは、これらの基から独立して選択される2または3つの基の組み合わせであり、
gは、2~100の整数である。]
である。
【0083】
式中、Rは、好ましくは、OCである。上記(f3)において、Rは、好ましくは、OC、OCおよびOCから選択される基であるか、あるいは、これらの基から独立して選択される2または3つの基の組み合わせであり、より好ましくは、OCおよびOCから選択される基である。OC、OCおよびOCから独立して選択される2または3つの基の組み合わせとしては、特に限定されないが、例えば-OCOC-、-OCOC-、-OCOC-、-OCOC-、-OCOC-、-OCOC-、-OCOC-、-OCOC-、-OCOCOC-、-OCOCOC-、-OCOCOC-、-OCOCOC-、-OCOCOC-、-OCOCOC-、-OCOCOC-、-OCOCOC-および-OCOCOC-等が挙げられる。上記式(f3)において、gは、好ましくは3以上、より好ましくは5以上の整数である。上記gは、好ましくは50以下の整数である。上記式(f3)において、OC、OC、OC、OC10およびOC12は、直鎖または分枝鎖のいずれであってもよく、好ましくは直鎖である。この態様において、上記式(f3)は、好ましくは、-(OC-OC-または-(OC-OC-である。
【0084】
さらに別の態様において、PFPEは、
-(R-R-R-(R7’-R6’g’- (f4)
[式中、Rは、OCF又はOCであり、
は、OC、OC、OC、OC10及びOC12から選択される基であるか、あるいは、これらの基から独立して選択される2又は3つの基の組み合わせであり、
6’は、OCF又はOCであり、
7’は、OC、OC、OC、OC10及びOC12から選択される基であるか、あるいは、これらの基から独立して選択される2又は3つの基の組み合わせであり、
gは、2~100の整数であり、
g’は、2~100の整数であり、
は、
【0085】
【化8】
(式中、*は、結合位置を示す。)
である。]
で表される。
【0086】
かかる態様において、R、R及びgは、上記式(f3)の記載と同意義であり、同様の態様を有する。R6’、R7’及びg’は、それぞれ、上記式(f3)に記載のR、R及びgと同意義であり、同様の態様を有する。Rは、好ましくは、
【0087】
【化9】
[式中、*は、結合位置を示す。]
であり、より好ましくは
【0088】
【化10】
[式中、*は、結合位置を示す。]
である。
【0089】
さらに別の態様において、PFPEは、
-(OC12-(OC10-(OC-(OC-(OC-(OCF- (f5)
[式中、eは、1以上200以下の整数であり、a、b、c、dおよびfは、それぞれ独立して0以上200以下の整数であって、また、a、b、c、d、eまたはfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である。]
で表される。
【0090】
かかる態様において、eは、好ましくは、1以上100以下、より好ましくは5以上100以下の整数である。a、b、c、d、eおよびfの和は、好ましくは5以上であり、より好ましくは10以上、例えば10以上100以下である。
【0091】
さらに別の態様において、PFPEは、
-(OC12-(OC10-(OC-(OC-(OC-(OCF- (f6)
[式中、fは、1以上200以下の整数であり、a、b、c、dおよびeは、それぞれ独立して0以上200以下の整数であって、また、a、b、c、d、eまたはfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である。]
で表される。
【0092】
かかる態様において、fは、好ましくは、1以上100以下、より好ましくは5以上100以下の整数である。a、b、c、d、eおよびfの和は、好ましくは5以上であり、より好ましくは10以上、例えば10以上100以下である。
【0093】
一の態様において、Qは、-SiR 3-nであり得る。
【0094】
別の態様において、Qは、-Y-Aであり得る。
【0095】
で表されるアルキル基は、直鎖または分岐鎖であってよい。Rで表されるアルキル基の炭素数は、好ましくは1~20、より好ましくは1~6、さらに好ましくは1~4である。Rとしては、炭素数1~22のアルキル基が好ましく、炭素数1~6のアルキル基がより好ましく、炭素数1~4のアルキル基がさらに好ましい。
【0096】
で表される加水分解可能な基とは、加水分解反応により、化合物の主骨格から脱離し得る基を意味する。加水分解可能な基の例としては、-OR、-OCOR、-O-N=CR 、-NR 、-NHR、-NCO、ハロゲン(これら式中、Rは、置換または非置換の炭素数1~4のアルキル基を示す)などが挙げられ、好ましくは-OR(即ち、アルコキシ基)である。Rの例には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基などの非置換アルキル基;クロロメチル基などの置換アルキル基が含まれる。それらの中でも、アルキル基、特に非置換アルキル基が好ましく、メチル基またはエチル基がより好ましい。水酸基は、特に限定されないが、加水分解可能な基が加水分解して生じたものであってよい。
【0097】
nは、好ましくは0~3の整数であり、より好ましくは1~3の整数であり、さらに好ましくは2~3の整数であり、特に好ましくは3である。
【0098】
一の態様において、少なくとも1つのQが-SiR 3-nである場合、式(A1)、(A2)において、少なくとも1つのRが存在する。
【0099】
Yにおける-O-、-CO-、-O-CO-、-CO-O-、-NR-CO-、-CO-NR-は、それぞれ、右側の結合手でAに結合するものとする。
【0100】
Yで表される2価の炭化水素基としては、2価の脂肪族炭化水素基、2価の脂環式炭化水素基、2価の芳香族炭化水素基およびこれらを組み合わせた2価の基が挙げられる。前記2価の脂肪族炭化水素基としては、アルキレン基および2価の不飽和脂肪族炭化水素基が挙げられる。Yで表される2価の炭化水素基の炭素数は、好ましくは1~20、より好ましくは1~6、さらに好ましくは1~4である。
【0101】
で表されるアルキル基は、直鎖または分岐鎖であってよい。Rで表されるアルキル基の炭素数は、好ましくは1~20、より好ましくは1~6、さらに好ましくは1~4である。
Yとしては、-O-、-CO-、-O-CO-、-CO-O-、-NR-CO-、-CO-NR-または炭素数1~22のアルキレン基が好ましく、-CO-、-O-CO-、-NR-CO-または炭素数1~6のアルキレン基がより好ましい。
【0102】
Aとしては、-CR=CHが好ましい。
【0103】
で表されるアルキル基は、直鎖または分岐鎖であってよい。Rで表されるアルキル基の炭素数は、好ましくは1~20、より好ましくは1~6、さらに好ましくは1~4である。Rとしては、水素原子または炭素数1~6のアルキル基が好ましく、水素原子またはメチル基が特に好ましい。
【0104】
11で表されるハロゲン原子は、好ましくはヨウ素原子、塩素原子、フッ素原子である。
【0105】
12で表されるアルキル基は、直鎖または分岐鎖であってよい。R12で表されるアルキル基の炭素数は、好ましくは1~20、より好ましくは炭素数1~6である。
【0106】
αおよびα’は、Xの価数に応じて決定され、式(A1)において、αおよびα’の和は、Xの価数の値である。例えば、Xが10価の有機基である場合、αおよびα’の和は10であり、例えばαが9かつα’が1、αが5かつα’が5、またはαが1かつα’が9となり得る。また、Xが2価の有機基である場合、αおよびα’は1である。式(A2)において、αはXの価数の値から1を引いた値である。
【0107】
は、式(A1)および(A2)で表される化合物において、主に撥水性や表面滑り性等を提供するパーフルオロポリエーテル部(Rf-PFPE部または-PFPE-部)と、基材との結合能等を提供するシラン部や炭素-炭素不飽和結合を有する基(具体的には、Q基またはQ基を含む基)とを連結するリンカーと解される。従って、Xは、式(A1)および(A2)で表される化合物が安定に存在し得るものであれば、いずれの有機基であってもよい。
【0108】
は、好ましくは2~7価、より好ましくは2~4価、さらに好ましくは2価の有機基である。
【0109】
ならびに後述するX、X、X、XおよびXとしては、特に限定されないが、例えば、下記式で表される2価の基が挙げられる。
-(R13p’-(Xq’-R14
[式中:
13は、単結合、-(CHs’-またはo-、m-もしくはp-フェニレン基を表し、好ましくは-(CHs’-であり、
14は、単結合、-(CHt’-またはo-、m-もしくはp-フェニレン基を表し、好ましくは-(CHt’-であり、
s’は、1~20の整数、好ましくは1~6の整数、より好ましくは1~3の整数、さらにより好ましくは1または2であり、
t’は、1~20の整数、好ましくは2~6の整数、より好ましくは2~3の整数であり、
は、-(Xr’-を表し、
は、各出現においてそれぞれ独立して、-O-、-S-、o-、m-もしくはp-フェニレン基、-C(O)O-、-CONR16-、-O-CONR16-、-NR16-、-Si(R15-、-(Si(R15O)m’-Si(R15-、および-(CHn’-からなる群から選択される基を表し、
15は、各出現においてそれぞれ独立して、フェニル基、C1-6アルキル基またはC1-6アルコキシ基を表し、好ましくはC1-6アルキル基、より好ましくはメチル基であり、
16は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、フェニル基またはC1-6アルキル基(好ましくはメチル基)を表し、
m’は、各出現において、それぞれ独立して、1~100の整数、好ましくは1~20の整数であり、
n’は、各出現において、それぞれ独立して、1~20の整数、好ましくは1~6の整数、より好ましくは1~3の整数であり、
r’は、1~10の整数、好ましくは1~5の整数、より好ましくは1~3の整数であり、
p’は、0または1であり、
q’は、0または1であり、
ここに、p’およびq’の少なくとも一方は1であり、p’またはq’を付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は任意である。]
【0110】
好ましくは、Xは、
1-20アルキレン基、
-R13-X-R14-、または
-X-R14
[式中、R13およびR14は、上記と同意義である。]
であり得る。
【0111】
より好ましくは、Xは、
1-20アルキレン基、
-(CHs’-X-、
-(CHs’-X-(CHt’
-X-、または
-X-(CHt’
[式中、s’およびt’は、上記と同意義である。]
である。
【0112】
上記式中、Xは、
-O-、
-S-、
-C(O)O-、
-CONR16-、
-O-CONR16-、
-Si(R15-、
-(Si(R15O)m’-Si(R15-、
-O-(CHu’-(Si(R15O)m’-Si(R15-、
-CONR16-(CHu’-(Si(R15O)m’-Si(R15-、
-CONR16-(CHu’-N(R16)-、または
-CONR16-(o-、m-またはp-フェニレン)-Si(R15
[式中、R15、R16およびm’は、上記と同意義であり、
u’は1~20の整数、好ましくは2~6の整数、より好ましくは2~3の整数である。]を表す。Xは、好ましくは-O-である。
【0113】
上記式中、Xは、
-S-、
-C(O)O-、
-CONR16-、
-CONR16-(CHu’-(Si(R15O)m’-Si(R15-、
-CONR16-(CHu’-N(R16)-、または
-CONR16-(o-、m-またはp-フェニレン)-Si(R15
を表す。
【0114】
より好ましくは、Xは、
1-20アルキレン基、
-(CHs’-X-(CHt’-、または
-X-(CHt’
[式中、各記号は、上記と同意義である。]
であり得る。
【0115】
さらにより好ましくは、Xは、
1-20アルキレン基、
-(CHs’-O-(CHt’-、
-(CHs’-Si(R15-(CHt’-、
-(CHs’-(Si(R15O)m’-Si(R15-(CHt’-、
-(CHs’-O-(CHu’-(Si(R15O)m’-Si(R15-(CHt’-、または
-(CHs’-O-(CHt’-Si(R15-(CHu’-Si(R15-(C2v)-
[式中、各記号は、上記と同意義であり、vは1~20の整数、好ましくは2~6の整数、より好ましくは2~3の整数である。]
である。
【0116】
上記式中、-(C2v)-は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよく、例えば、-CHCH-、-CHCHCH-、-CH(CH)-、-CH(CH)CH-であり得る。
【0117】
は、フッ素原子、C1-3アルキル基およびC1-3フルオロアルキル基(好ましくは、C1-3パーフルオロアルキル基)から選択される1個またはそれ以上の置換基により置換されていてもよい。
【0118】
の具体的な例としては、例えば:
-CHO(CH-、
-CHO(CH-、
-CHO(CH-、
-CHO(CHSi(CHOSi(CH(CH-、
-CHO(CHSi(CHOSi(CHOSi(CH(CH-、
-CHO(CHSi(CHO(Si(CHO)Si(CH(CH-、
-CHO(CHSi(CHO(Si(CHO)Si(CH(CH-、
-CHO(CHSi(CHO(Si(CHO)10Si(CH(CH-、
-CHO(CHSi(CHO(Si(CHO)20Si(CH(CH-、
-CHOCFCHFOCF-、
-CHOCFCHFOCFCF-、
-CHOCFCHFOCFCFCF-、
-CHOCHCFCFOCF-、
-CHOCHCFCFOCFCF-、
-CHOCHCFCFOCFCFCF-、
-CHOCHCFCFOCF(CF)CFOCF-、
-CHOCHCFCFOCF(CF)CFOCFCF-、
-CHOCHCFCFOCF(CF)CFOCFCFCF-、
-CHOCHCHFCFOCF-、
-CHOCHCHFCFOCFCF-、
-CHOCHCHFCFOCFCFCF-、
-CHOCHCHFCFOCF(CF)CFOCF-、
-CHOCHCHFCFOCF(CF)CFOCFCF-、
-CHOCHCHFCFOCF(CF)CFOCFCFCF
-CHOCH(CHCHSi(OCHOSi(OCH(CHSi(OCHOSi(OCH(CH-、
-CHOCHCHCHSi(OCHOSi(OCH(CH-、
-CHOCHCHCHSi(OCHCHOSi(OCHCH(CH-、
-CHOCHCHCHSi(OCHOSi(OCH(CH-、
-CHOCHCHCHSi(OCHCHOSi(OCHCH(CH-、
-(CH-、
-(CH-、
-(CH4-、
-(CH-、
-(CH-、
-(CH-Si(CH-(CH
-CONH-(CH-、
-CON(CH)-(CH-、
-CON(Ph)-(CH-(式中、Phはフェニルを意味する)、
-CONH-(CH-、
-CON(CH)-(CH-、
-CON(Ph)-(CH-(式中、Phはフェニルを意味する)、
-CONH-(CHNH(CH-、
-CONH-(CHNH(CH-、
-CHO-CONH-(CH-、
-CHO-CONH-(CH-、
-S-(CH-、
-(CHS(CH-、
-CONH-(CHSi(CHOSi(CH(CH-、
-CONH-(CHSi(CHOSi(CHOSi(CH(CH-、
-CONH-(CHSi(CHO(Si(CHO)Si(CH(CH-、
-CONH-(CHSi(CHO(Si(CHO)Si(CH(CH-、
-CONH-(CHSi(CHO(Si(CHO)10Si(CH(CH-、
-CONH-(CHSi(CHO(Si(CHO)20Si(CH(CH
-C(O)O-(CH-、
-C(O)O-(CH-、
-CH-O-(CH-Si(CH -(CH-Si(CH-(CH-、
-CH-O-(CH-Si(CH -(CH-Si(CH-CH(CH)-、
-CH-O-(CH-Si(CH -(CH-Si(CH-(CH-、
-CH-O-(CH-Si(CH -(CH-Si(CH-CH(CH)-CH-、
-OCH-、
-O(CH-、
-OCFHCF-、
【0119】
【化11】
【0120】
などが挙げられる。
【0121】
また、別のX基の例としては、例えば下記の基が挙げられる:
【0122】
【化12】
【0123】
【化13】
【0124】
[式中、R17は、それぞれ独立して、水素原子、フェニル基、炭素数1~6のアルキル基、またはC1-6アルコキシ基、好ましくはメチル基であり;
Dは、
-CHO(CH-、
-CHO(CH-、
-CFO(CH-、
-(CH-、
-(CH-、
-(CH-、
-CONH-(CH-、
-CON(CH)-(CH-、
-CON(Ph)-(CH-(式中、Phはフェニルを意味する)、および
【0125】
【化14】
【0126】
[式中、R18は、それぞれ独立して、水素原子、C1-6のアルキル基またはC1-6のアルコキシ基、好ましくはメチル基またはメトキシ基、より好ましくはメチル基を表す。)
から選択される基であり、
Eは、-(CHn4-(n4は2~6の整数)であり、
Dは、分子主鎖のPFPEに結合し、Eは、PFPEと反対の基に結合する。]
【0127】
さらに別のX基の例として、下記の基が挙げられる:
【0128】
【化15】
【0129】
[式中、R17は、それぞれ独立して、水素原子、フェニル基、炭素数1~6のアルキル基、またはC1-6アルコキシ基好ましくはメチル基であり;
各X基において、Tのうち任意のいくつかは、分子主鎖のPFPEに結合する以下の基:
-CHO(CH-、
-CHO(CH-、
-CFO(CH-、
-(CH-、
-(CH-、
-(CH-、
-CONH-(CH-、
-CON(CH)-(CH-、
-CON(Ph)-(CH-(式中、Phはフェニルを意味する)、または
【0130】
【化16】
【0131】
[式中、R18は、それぞれ独立して、水素原子、C1-6のアルキル基またはC1-6のアルコキシ基、好ましくはメチル基またはメトキシ基、より好ましくはメチル基を表す。]
であり、別のTのいくつかは、分子主鎖のPFPEと反対の基に結合する-(CHn”-(n”は2~6の整数)であり、存在する場合、残りは、それぞれ独立して、メチル基またはフェニル基である。
【0132】
別の態様において、Xは、式:-(R19-(CFR20-(CH-で表される基である。式中、x、yおよびzは、それぞれ独立して、0~10の整数であり、x、yおよびzの和は1以上であり、括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である。
【0133】
上記式中、R19は、各出現においてそれぞれ独立して、酸素原子、フェニレン、カルバゾリレン、-NR21-(式中、R21は、水素原子または有機基を表す)または2価の有機基である。好ましくは、R19は、酸素原子または2価の極性基である。
【0134】
上記R19における「2価の極性基」としては、特に限定されないが、-C(O)-、-C(=NR22)-、および-C(O)NR22-(これらの式中、R22は、水素原子または低級アルキル基を表す)が挙げられる。当該「低級アルキル基」は、例えば、炭素数1~6のアルキル基、例えばメチル、エチル、n-プロピルであり、これらは、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよい。
【0135】
上記式中、R20は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、フッ素原子または低級フルオロアルキル基であり、好ましくはフッ素原子である。当該「低級フルオロアルキル基」は、例えば、炭素数1~6、好ましくは炭素数1~3のフルオロアルキル基、好ましくは炭素数1~3のパーフルオロアルキル基、より好ましくはトリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、さらに好ましくはトリフルオロメチル基である。
【0136】
この態様において、Xは、好ましくは、式:-(O)-(CF-(CH-(式中、x、yおよびzは、上記と同意義であり、括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である)で表される基である。
【0137】
上記式:-(O)-(CF-(CH-で表される基としては、例えば、-(O)x’-(CHz”-O-[(CHz’’’-O-]z’’’’、および-(O)x’-(CFy”-(CHz”-O-[(CHz’’’-O-]z’’’’(式中、x’は0または1であり、y”、z”およびz’’’は、それぞれ独立して、1~10の整数であり、z’’’’は、0または1である)で表される基が挙げられる。なお、これらの基は左端がPFPE側に結合する。
【0138】
別の態様において、Xは、-O-CFR23-(CF-である。
【0139】
上記R23は、それぞれ独立して、フッ素原子または低級フルオロアルキル基を表す。低級フルオロアルキル基は、例えば炭素数1~3のフルオロアルキル基、好ましくは炭素数1~3のパーフルオロアルキル基、より好ましくはトリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、更に好ましくはトリフルオロメチル基である。
【0140】
上記eは、それぞれ独立して、0または1である。
【0141】
一の具体例において、R23はフッ素原子であり、eは1である。
【0142】
上記式中、tは、それぞれ独立して2~10の整数であり、好ましくは2~6の整数である。
【0143】
上記式中、Xは、各出現においてそれぞれ独立して、単結合または2価の有機基を表す。Xは、好ましくは、炭素数1~20のアルキレン基であり、より好ましくは、-(CH-(式中、uは、0~2の整数である)である。
【0144】
式(B1)および(B2):
【0145】
【化17】
【0146】
式(B1)および(B2)中、Rf、PFPE、Qは、式(A1)および(A2)に関する記載と同意義である。
【0147】
は、式(B1)および(B2)で表される化合物において、主に撥水性や表面滑り性等を提供するパーフルオロポリエーテル部(Rf-PFPE部または-PFPE-部)と、基材との結合能等を提供するシラン部や炭素-炭素不飽和結合を有する基(具体的には、Q基またはQ基を含む基)とを連結するリンカーと解される。従って、Xは、式(B1)および(B2)で表される化合物が安定に存在し得るものであれば、いずれの有機基であってもよい。
【0148】
βおよびβ’は、Xの価数に応じて決定され、式(B1)において、βおよびβ’の和は、Xの価数の値である。例えば、Xが10価の有機基である場合、βおよびβ’の和は10であり、例えばβが9かつβ’が1、βが5かつβ’が5、またはβが1かつβ’が9となり得る。また、Xが2価の有機基である場合、βおよびβ’は1である。式(B2)において、βはXの価数の値から1を引いた値である。
【0149】
は、好ましくは2~7価、より好ましくは2~4価、さらに好ましくは2価の有機基である。
【0150】
としては、特に限定されないが、例えば、Xに関して記載したものと同様のものが挙げられる。
【0151】
一の態様において、少なくとも1つのQが-SiR 3-nである場合、式(B1)または(B2)において、少なくとも1つのRが存在する。
【0152】
式(C1)および(C2):
【0153】
【化18】
【0154】
式(C1)および(C2)中、RfおよびPFPEは、式(A1)および(A2)に関する記載と同意義である。
【0155】
は、式(C1)および(C2)で表される化合物において、主に撥水性表面滑り性等を提供するパーフルオロポリエーテル部(Rf-PFPE部または-PFPE-部)と、基材との結合能等を提供するシラン部や炭素-炭素不飽和結合を有する基(具体的には、Q基またはQ基を含む基(γを付して括弧でくくられた基))とを連結するリンカーと解される。従って、当該Xは、式(C1)および(C2)で表される化合物が安定に存在し得るものであれば、いずれの有機基であってもよい。
【0156】
γおよびγ’は、Xの価数に応じて決定され、式(C1)において、γおよびγ’の和は、Xの価数の値である。例えば、Xが10価の有機基である場合、γおよびγ’の和は10であり、例えばγが9かつγ’が1、γが5かつβ’が5、またはγが1かつγ’が9となり得る。また、Xが2価の有機基である場合、γおよびγ’は1である。式(C2)において、γはXの価数の値から1を引いた値である。
【0157】
は、好ましくは2~7価、より好ましくは2~4価、さらに好ましくは2価の有機基である。
【0158】
の例としては、特に限定されないが、例えば、Xに関して記載したものと同様のものが挙げられる。
【0159】
a1は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z-SiR31 p132 q133 r134 s1を表す。
【0160】
Zは、各出現においてそれぞれ独立して、酸素原子または2価の有機基を表す。
【0161】
Zは、好ましくは、2価の有機基であり、式(C1)または式(C2)における分子主鎖の末端のSi原子(Ra1が結合しているSi原子)とシロキサン結合を形成するものを含まない。
【0162】
Zは、好ましくは、C1-6アルキレン基、-(CH-O-(CH-(式中、gは、1~6の整数であり、hは、1~6の整数である)または、-フェニレン-(CH-(式中、iは、0~6の整数である)であり、より好ましくはC1-3アルキレン基である。これらの基は、例えば、フッ素原子、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、およびC2-6アルキニル基から選択される1個またはそれ以上の置換基により置換されていてもよい。
【0163】
31は、各出現においてそれぞれ独立して、Ra’を表す。Ra’は、Ra1と同意義である。
【0164】
a1中、Z基を介して直鎖状に連結されるSiは最大で5個である。即ち、Ra1において、R31が少なくとも1つ存在する場合、Ra1中にZ基を介して直鎖状に連結されるSi原子が2個以上存在するが、かかるZ基を介して直鎖状に連結されるSi原子の数は最大で5個である。なお、「Ra1中のZ基を介して直鎖状に連結されるSi原子の数」とは、Ra1中において直鎖状に連結される-Z-Si-の繰り返し数と等しくなる。
【0165】
例えば、下記にRa1中においてZ基を介してSi原子が連結された一例を示す。
【0166】
【化19】
【0167】
上記式において、*は、主鎖のSiに結合する部位を意味し、…は、ZSi以外の所定の基が結合していること、即ち、Si原子の3本の結合手がすべて…である場合、ZSiの繰り返しの終了箇所を意味する。また、Siの右肩の数字は、*から数えたZ基を介して直鎖状に連結されたSiの出現数を意味する。即ち、SiでZSi繰り返しが終了している鎖は「Ra1中のZ基を介して直鎖状に連結されるSi原子の数」が2個であり、同様に、Si、SiおよびSiでZSi繰り返しが終了している鎖は、それぞれ、「Ra1中のZ基を介して直鎖状に連結されるSi原子の数」が3、4および5個である。なお、上記の式から明らかなように、Ra1中には、ZSi鎖が複数存在するが、これらはすべて同じ長さである必要はなく、それぞれ任意の長さであってもよい。
【0168】
好ましい態様において、下記に示すように、「Ra1中のZ基を介して直鎖状に連結されるSi原子の数」は、すべての鎖において、1個(左式)または2個(右式)である。
【0169】
【化20】
【0170】
一の態様において、Ra1中のZ基を介して直鎖状に連結されるSi原子の数は1個または2個、好ましくは1個である。
【0171】
式中、R32は、各出現においてそれぞれ独立して、-X-Qを表す。Qは、上記と同意義である。
【0172】
は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合または2価の有機基である。Xは、好ましくは、単結合、C1-6アルキレン基、-(CH-O-(CH-(式中、gは、1~6の整数であり、hは、1~6の整数である)または、-フェニレン-(CH-(式中、iは、0~6の整数である)であり、より好ましくは単結合またはC1-3アルキレン基である。これらの基は、例えば、フッ素原子、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、およびC2-6アルキニル基から選択される1個またはそれ以上の置換基により置換されていてもよい。
【0173】
32は、好ましくは、-CH-CH=CHである。
【0174】
33は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基または加水分解可能な基を表す。
【0175】
上記「加水分解可能な基」とは、本明細書において用いられる場合、加水分解反応を受け得る基を意味する。加水分解可能な基の例としては、-OR35、-OCOR35、-O-N=C(R35、-N(R35、-NHR35、-NCO、ハロゲン(これら式中、R35は、置換または非置換の炭素数1~4のアルキル基を示す)などが挙げられ、好ましくは-OR35(アルコキシ基)である。R35の例には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基などの非置換アルキル基;クロロメチル基などの置換アルキル基が含まれる。それらの中でも、アルキル基、特に非置換アルキル基が好ましく、メチル基またはエチル基がより好ましい。水酸基は、特に限定されないが、加水分解可能な基が加水分解して生じたものであってよい。
【0176】
好ましくは、R33は、-OR36(式中、R36は、置換または非置換のC1-3アルキル基、より好ましくはメチル基を表す)である。
【0177】
34は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または炭素数1~22のアルキル基を表す。該炭素数1~22のアルキル基は、好ましくは炭素数1~20のアルキル基、より好ましくは炭素数1~6のアルキル基、さらに好ましくはメチル基である。
【0178】
p1は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;q1は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;r1は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;s1は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数である。ただし、p1+q1+r1+s1(p1、q1、r1およびs1の合計)は、3である。
【0179】
好ましい態様において、Ra1中の末端のR’(R’が存在しない場合、Ra1)において、上記q1は、好ましくは2以上、例えば2または3であり、より好ましくは3である。
【0180】
b1は、各出現においてそれぞれ独立して、-X-Qを表す。XおよびQは、上記と同意義である。Rb1は、好ましくは、-CH-CH=CHである。
【0181】
c1は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基または加水分解可能な基を表す。
【0182】
c1は、好ましくは、水酸基、-OR37、-OCOR37、-O-N=C(R37、-N(R37、-NHR37、-NCO、ハロゲン(式中、R37は、置換または非置換の炭素数1~4のアルキル基を示す)であり、好ましくは-OR37である。R37は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基などの非置換アルキル基;クロロメチル基などの置換アルキル基が含まれる。それらの中でも、アルキル基、特に非置換アルキル基が好ましく、メチル基またはエチル基がより好ましい。水酸基は、特に限定されないが、加水分解可能な基が加水分解して生じたものであってよい。より好ましくは、Rc1は、-OR38(式中、R38は、置換または非置換のC1-3アルキル基、より好ましくはメチル基を表す)である。
【0183】
d1は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または炭素数1~22のアルキル基を表す。該炭素数1~22のアルキル基は、好ましくは炭素数1~20のアルキル基、より好ましくは炭素数1~6のアルキル基、さらに好ましくはメチル基である。
【0184】
k1は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;l1は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;m1は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;n1は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数である。ただし、k1+l1+m1+n1(k、l、mおよびnの合計)は、3である。
【0185】
式(C1)および(C2)において、-(SiRa1 k1b1 l1c1 m1d1 n1には、少なくとも2つのQ基が存在する。
【0186】
式(D1)および(D2):
【0187】
【化21】
【0188】
式(D1)および(D2)中、RfおよびPFPEは、式(A1)および(A2)に関する記載と同意義である。
【0189】
は、式(D1)および(D2)で表される化合物において、主に撥水性や表面滑り性等を提供するパーフルオロポリエーテル部(即ち、Rf-PFPE部または-PFPE-部)と、基材との結合能等を提供するシラン部や炭素-炭素不飽和結合を有する基(具体的には、Q基またはQ基を含む基(δを付して括弧でくくられた基))とを連結するリンカーと解される。従って、当該Xは、式(D1)および(D2)で表される化合物が安定に存在し得るものであれば、いずれの有機基であってもよい。
【0190】
δおよびδ’は、Xの価数に応じて決定され、式(D1)において、δおよびδ’の和は、Xの価数と同じである。例えば、Xが10価の有機基である場合、δおよびδ’の和は10であり、例えばδが9かつδ’が1、δが5かつδ’が5、またはδが1かつδ’が9となり得る。また、Xが2価の有機基である場合、δおよびδ’は1である。式(D2)においては、δはXの価数から1を引いた値である。
【0191】
は、好ましくは2~7価であり、より好ましくは2~4価であり、さらに好ましくは2価の有機基である。
【0192】
一の態様において、Xは2~4価の有機基であり、δは1~3であり、δ’は1である。
【0193】
上記Xの例としては、特に限定されないが、例えば、Xに関して記載したものと同様のものが挙げられる。
【0194】
a2は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z-CR41 p242 q243 r244 s2を表す。
【0195】
は、各出現においてそれぞれ独立して、酸素原子または2価の有機基を表す。
【0196】
は、好ましくは、C1-6アルキレン基、-(CHg2-O-(CHh2-(式中、g2は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、h2は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)または、-フェニレン-(CHi2-(式中、i2は、0~6の整数である)であり、より好ましくはC1-3アルキレン基である。これらの基は、例えば、フッ素原子、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、およびC2-6アルキニル基から選択される1個またはそれ以上の置換基により置換されていてもよい。
【0197】
41は、各出現においてそれぞれ独立して、Ra2’を表す。Ra2’は、Ra2と同意義である。
【0198】
a2中、Z基を介して直鎖状に連結されるCは最大で5個である。即ち、上記Ra2において、R41が少なくとも1つ存在する場合、Ra2中にZ基を介して直鎖状に連結されるC原子が2個以上存在するが、かかるZ基を介して直鎖状に連結されるC原子の数は最大で5個である。なお、「Ra2中のZ基を介して直鎖状に連結されるC原子の数」とは、Ra2中において直鎖状に連結される-Z-C-の繰り返し数と等しくなる。
【0199】
好ましい態様において、「Ra2中のZ基を介して直鎖状に連結されるC原子の数」は、すべての鎖において、1個(左式)または2個(右式)である。
【0200】
一の態様において、Ra2中のZ基を介して直鎖状に連結されるC原子の数は1個または2個、好ましくは1個である。
【0201】
42は、-X-Qを表す。
【0202】
は、各出現においてそれぞれ独立して、2価の有機基を表す。
【0203】
好ましい態様において、Xは、C1-6アルキレン基、-(CHg’-O-(CHh’-(式中、g’は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、h’は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)、または-フェニレン-(CHi’-(式中、i’は、0~6の整数である)である。これらの基は、例えば、フッ素原子、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、およびC2-6アルキニル基から選択される1個またはそれ以上の置換基により置換されていてもよい。
【0204】
一の態様において、Xは、C1-6アルキレン基、-O-(CHh’-または-フェニレン-(CHi’-であり得る。
【0205】
Qは、式(A1)および(A2)におけるQと同意義である。
【0206】
43は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基または加水分解可能な基を表す。
【0207】
上記「加水分解可能な基」とは、本明細書において用いられる場合、加水分解反応を受け得る基を意味する。加水分解可能な基の例としては、-OR45、-OCOR45、-O-N=C(R45、-N(R45、-NHR45、-NCO、ハロゲン(これら式中、R45は、置換または非置換の炭素数1~4のアルキル基を示す)などが挙げられ、好ましくは-OR(アルコキシ基)である。Rの例には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基などの非置換アルキル基;クロロメチル基などの置換アルキル基が含まれる。それらの中でも、アルキル基、特に非置換アルキル基が好ましく、メチル基またはエチル基がより好ましい。水酸基は、特に限定されないが、加水分解可能な基が加水分解して生じたものであってよい。
【0208】
好ましくは、R43は、-OR46(式中、R46は、置換または非置換のC1-3アルキル基、より好ましくはエチル基またはメチル基、特にメチル基を表す)である。
【0209】
44は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または炭素数1~22のアルキル基を表す。該炭素数1~22のアルキル基は、好ましくは炭素数1~20のアルキル基、より好ましくは炭素数1~6のアルキル基、さらに好ましくはメチル基である。
【0210】
p2は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;q2は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;r2は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり、s2は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数である。ただし、p2、q2、r2およびs2の和は3である。
【0211】
好ましい態様において、Ra2中の末端のRa2’(Ra2’が存在しない場合、Ra2)において、上記q2は、好ましくは2以上、例えば2または3であり、より好ましくは3である。
【0212】
好ましい態様において、Ra2の末端部の少なくとも1つは、-C(-X-Q)41 q243 r244 s2(式中、q2、r2およびs2の合計は1である)または-C(-X-Q)、好ましくは-C(-X-Q)であり得る。
【0213】
b2は、各出現においてそれぞれ独立して、-X-Qを表す。ここに、QおよびXは、上記R42における記載と同意義である。
【0214】
c2は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基または加水分解可能な基を表す。「水酸基または加水分解可能な基」は、R43における記載と同意義である。
【0215】
d2は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または炭素数1~22のアルキル基を表す。該炭素数1~22のアルキル基は、好ましくは炭素数1~20のアルキル基、より好ましくは炭素数1~6のアルキル基、さらに好ましくはメチル基である。
【0216】
k2は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;l2は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;m2は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;n2は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数である。ただし、k2、l2、m2およびn2の和は3である。
【0217】
一の態様において、少なくとも1つのk2は2または3であり、好ましくは3である。
【0218】
一の態様において、k2は2または3であり、好ましくは3である。
【0219】
一の態様において、l2は2または3であり、好ましくは3である。
【0220】
式(D1)および(D2)中、少なくとも1つのq2は2または3であるか、あるいは、少なくとも1つのlは2または3である。即ち、式中、少なくとも2つの-X-Q基が存在する。
【0221】
式(E1)および(E2):
【0222】
【化22】
【0223】
式(E1)および(E2)中、RfおよびPFPEは、式(A1)および(A2)に関する記載と同意義である。
【0224】
は、式(E1)および(E2)で表される化合物において、主に撥水性や表面滑り性等を提供するパーフルオロポリエーテル部(即ち、Rf-PFPE部または-PFPE-部)と、基材との結合能等を提供する官能基(具体的には、R50基)とを連結するリンカーと解される。従って、当該Xは、式(E1)および(E2)で表される化合物が安定に存在し得るものであれば、いずれの有機基であってもよい。
【0225】
εおよびε’は、Xの価数に応じて決定され、式(D1)においては、εおよびε’の和は、Xの価数と同じである。例えば、Xが10価の有機基である場合、εおよびε’の和は10であり、例えばεが9かつε’が1、εが5かつε’が5、またはεが1かつε’が9となり得る。また、Xが2価の有機基である場合、εおよびε’は1である。式(E2)においては、εはXの価数から1を引いた値である。
【0226】
は、好ましくは2~7価であり、より好ましくは2~4価であり、さらに好ましくは2価の有機基である。
【0227】
一の態様において、Xは2~4価の有機基であり、εは1~3であり、ε’は1である。
【0228】
の例としては、特に限定されないが、例えば、Xに関して記載したものと同様のものが挙げられる。
【0229】
50は、各出現においてそれぞれ独立して、-OR51、-SR51、-NR51 、-COOR51、-SOHまたは-(SiR52 O)n3-SiR52 を表す(式中、R51は、水素原子または炭素数1~22のアルキル基を表し、R52は、水素原子または炭素数1~22のアルキル基を表し、R53は、炭素数1~22の炭化水素基を表す)。
【0230】
51で表される炭素数1~22のアルキル基は、好ましくは炭素数1~20のアルキル基、より好ましくは炭素数1~6のアルキル基、さらに好ましくはメチル基である。R51としては、水素原子またはメチル基が好ましい。
【0231】
52で表される炭素数1~22のアルキル基としては、炭素数1~22の脂肪族炭化水素基、炭素数6~22の芳香族炭化水素基が挙げられる。R52における脂肪族炭化水素基は、アルキル基でもよく、不飽和脂肪族炭化水素基でもよく、好ましくはアルキル基である。R52における脂肪族炭化水素基の炭素数は、好ましくは1~20、より好ましくは1~6、さらに好ましくは1~2である。R52における芳香族炭化水素基は、単環でも多環でもよい。R52における芳香族炭化水素基の炭素数は、好ましくは6~20、より好ましくは6~10である。
【0232】
52としては、炭素数1~20の脂肪族炭化水素基または炭素数6~20の芳香族炭化水素基が好ましく、炭素数1~6の脂肪族炭化水素基または炭素数6~10の芳香族炭化水素基がより好ましく、炭素数1~2のアルキル基または炭素数6~10の単環の芳香族炭化水素基がさらに好ましく、メチル基またはフェニル基が特に好ましい。
【0233】
前記フルオロカーボン含有化合物は、水素原子の1つ以上がフッ素原子に置換された炭化水素基を含む化合物である。
【0234】
前記フルオロカーボン含有化合物は、好ましくは、式(F1)または(F2)で表される。
【0235】
【化23】
【0236】
[式(F1)および(F2)中、
は、それぞれ独立して、単結合または2~10価の有機基を表し;
φは、それぞれ独立して、1~9の整数であり;
φ’は、1~9の整数であり;
61は、それぞれ独立して、フッ素原子、-CHFまたは-CFを表し;
Rf’は、それぞれ独立して、炭素数1~30のパーフルオロアルキレン基を表し;
Qは、それぞれ独立して、-SiR 3-nまたは-Y-Aを表し、
は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1~22のアルキル基を表し、
は、それぞれ独立して、水酸基または加水分解可能な基を表し、
nは、(-SiR 3-n)毎に独立して0~3の整数であり、
Yは、それぞれ独立して、単結合、-O-、-CO-、-O-CO-、-CO-O-、-CO-NR-、-NR-CO-または炭素数1~22の2価の炭化水素基を表し、
は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1~22のアルキル基を表し、
Aは、それぞれ独立して、-CR=CHまたは-C≡CHを表し、
は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1~22のアルキル基を表し;
少なくとも1つのQが-SiR 3-nである場合、式(F1)または式(F2)において、少なくとも1つのRが存在する。]
【0237】
式(F1)および(F2)中、Qは、式(A1)および(A2)に関する記載と同意義である。
【0238】
は、式(F1)および(F2)で表される化合物において、主に撥水性等を提供するフルオロアルキル部(R61-Rf’-または-Rf’-部)と、基材との結合能を提供する炭素-炭素不飽和結合を有する基(具体的には、A基またはA基を含む基)とを連結するリンカーと解される。従って、Xは、式(F1)および(F2)で表される化合物が安定に存在し得るものであれば、いずれの有機基であってもよい。
【0239】
φは、Xの価数に応じて決定される。例えば、Xが10価の有機基である場合、φは9であり、Xが2価の有機基である場合、φは1である。
【0240】
φおよびφ’は、Xの価数に応じて決定され、式(F1)において、φおよびφ’の和は、Xの価数の値である。例えば、Xが10価の有機基である場合、φおよびφ’の和は10であり、例えばφが9かつφ’が1、φが5かつφ’が5、またはφが1かつφ’が9となり得る。また、Xが2価の有機基である場合、φおよびφ’は1である。式(F2)において、φはXの価数の値から1を引いた値である。
【0241】
は、好ましくは2~7価、より好ましくは2~4価、さらに好ましくは2価の有機基である。
【0242】
の例としては、特に限定するものされないが、例えば、Xに関して記載したものと同様のものが挙げられる。
【0243】
61は、フッ素原子、-CHFまたは-CFを表し、好ましくはフッ素原子または-CFである。
【0244】
Rf’は、炭素数1~20のパーフルオロアルキレン基を表す。Rf’は、好ましくは炭素数1~12、より好ましくは炭素数1~6、さらに好ましくは炭素数3~6であることが好ましい。具体的なRf’の例としては、-CF-、-CFCF-、-CFCFCF-、-CF(CF)-、-CFCFCFCF-、-CFCF(CF)-、-C(CF)-、-(CFCF-、-(CFCF(CF)-、-CFC(CF)-、-CF(CF)CFCFCF-、-(CFCF-、-(CFCF(CF、-(CFCF(CF、-C17が挙げられ、中でも、直鎖の炭素数3~6のパーフルオロアルキレン、例えば、-CFCFCFCF-、-CFCFCF-等が好ましい。
【0245】
一の態様において、少なくとも1つのQが-SiR 3-nである場合、式(F1)または(F2)において、少なくとも1つのRが存在する。
【0246】
前記含フッ素ビニル重合体は、含フッ素ビニル単量体に由来する単位を有する。前記含フッ素ビニル単量体に由来する単位は、好ましくは式(G1)、(G2)または(G3)で表される。
【0247】
【化24】
【0248】
[式(G1)、(G2)および(G3)中、
a3は、水素原子、フッ素原子、炭素数1~22のアルキル基または炭素数1~22のフルオロアルキル基を表し;
b3は、水素原子、フッ素原子、炭素数1~22のアルキル基または炭素数1~22のフルオロアルキル基を表し;
c3は、炭素数1~22のアルキル基、炭素数3~22の脂環式炭化水素基、炭素数6~22の芳香族炭化水素基またはアルキレン基に脂環式炭化水素基もしくは芳香族炭化水素基が結合した炭素数4~22の基を表し、これらの基に含まれる-CH-は酸素原子に置き換わっていてもよく、これらの基に含まれる水素原子はフッ素原子に置換されていてもよく;
は、-O-、-CO-、-O-CO-、-CO-O-、-NR-CO-または-CO-NR-を表し、
は、水素原子または炭素数1~22のアルキル基を表し;
は、単結合または酸素原子を表し;
d3は、炭素数1~22のアルキル基を表し、前記アルキル基に含まれる-CH-は酸素原子に置き換わっていてもよく、前記アルキル基に含まれる水素原子はフッ素原子に置換されていてもよく;
e3は、炭素数3~22のアルキレン基を表し、前記アルキレン基に含まれる-CH-は酸素原子に置き換わっていてもよく、前記アルキレン基に含まれる水素原子はフッ素原子に置換されていてもよく;
10は、単結合、炭素数1~22のアルキレン基または炭素数1~22のフルオロアルキレン基を表す。]
【0249】
a3、Rb3、Rc3、Rd3またはRで表されるアルキル基は、直鎖または分岐鎖であってよい。Ra3、Rb3、Rc3、Rd3またはRで表されるアルキル基の炭素数は、好ましくは1~20、より好ましくは1~6、さらに好ましくは1~4である。
【0250】
a3、Rb3で表されるフルオロアルキル基およびRc3、Rd3で表されるアルキル基の水素原子がフッ素原子に置換された基(以下、アルキル基の水素原子がフッ素原子に置換された基を「フルオロアルキル基」といい、Ra3、Rb3で表されるフルオロアルキル基およびRc3、Rd3で表されるアルキル基の水素原子がフッ素原子に置換された基を合わせて「Ra3、Rb3、Rc3、Rd3で表されるフルオロアルキル基」等という場合がある)は、直鎖または分岐鎖であってよい。Ra3、Rb3、Rc3、Rd3で表されるフルオロアルキル基の炭素数は、好ましくは1~20、より好ましくは1~6、さらに好ましくは1~4である。Ra3、Rb3、Rc3、Rd3で表されるフルオロアルキル基は、パーフルオロアルキル基であってよく、完全にフッ素化されていないフルオロアルキル基であってもよい。
【0251】
c3における脂環式炭化水素基は、飽和または不飽和であってよく、単環または多環(橋かけ環)であってよい。前記脂環式炭化水素基は、炭素数1~22のアルキル基、-OR、-COOR、-COR、-CONR 、-SO等の置換基を有していてもよい。前記置換基としてのアルキル基は、直鎖または分岐鎖であってよく、前記置換基としてのアルキル基の炭素数は、好ましくは1~20、より好ましくは1~6、さらに好ましくは1~4である。
【0252】
c3における脂環式炭化水素基に含まれる水素原子がフッ素原子に置換された基(以下、単に「含フッ素脂環式炭化水素基」という場合がある)は、一部または全部の水素原子がフッ素原子に置換されていてよい。
【0253】
c3における芳香族炭化水素基は、単環または多環であってよい。前記芳香族炭化水素基は、炭素数1~22のアルキル基、-OR、-COOR、-COR、-CONR 、-SO等の置換基を有していてもよい。前記置換基としてのアルキル基は、直鎖または分岐鎖であってよく、前記置換基としてのアルキル基の炭素数は、好ましくは1~20、より好ましくは1~6、さらに好ましくは1~4である。
【0254】
c3における芳香族炭化水素基に含まれる水素原子がフッ素原子に置換された基(以下、単に「フルオロアリール基」という場合がある)は、パーフルオロアリール基であってもよく、一部の水素原子がフッ素原子に置換されているフルオロアリール基であってもよい。
【0255】
c3におけるアルキレン基は、直鎖または分岐鎖であってよい。Rc3におけるアルキレン基の炭素数は、好ましくは1~20、より好ましくは1~6、さらに好ましくは1~4である。
【0256】
d3で表されるアルキル基に含まれる-CH-が酸素原子に置き換わる場合、隣り合う-CH-は、同時に酸素原子に置き換わらず、Yに結合する-CH-は酸素原子に置き換わらない。Rd3で表されるアルキル基に含まれる-CH-が酸素原子に置き換わった基において、酸素原子と酸素原子の間に、1以上4以下の-CH-が存在することが好ましい。Rd3で表されるアルキル基に含まれる-CH-が酸素原子に置き換わった基(以下、「ポリエーテル基」という場合がある)は、直鎖でも分岐鎖でもよく、前記ポリエーテル基の炭素数は、好ましくは1~15、より好ましくは1~12である。
【0257】
d3で表されるアルキル基に含まれる-CH-が酸素原子に置き換わった基に含まれる水素原子がさらにフッ素原子に置換された基(以下、単に「フルオロポリエーテル基」という場合がる)において、隣り合う-CH-は、同時に酸素原子に置き換わらず、Yに結合する-CH-は酸素原子に置き換わらない。前記フルオロポリエーテル基において、酸素原子と酸素原子の間に、1以上4以下の-CH-が存在することが好ましい。は、直鎖でも分岐鎖でもよく、前記フルオロポリエーテル基の炭素数は、好ましくは1~15、より好ましくは1~12である。
【0258】
e3で表されるアルキレン基は、直鎖または分岐鎖であってよい。Re3で表されるアルキレン基の炭素数は、好ましくは1~10、より好ましくは1~6、さらに好ましくは1~4である。
【0259】
e3で表されるアルキレン基に含まれる-CH-が酸素原子に置き換わる場合、隣り合う-CH-は、同時に酸素原子に置き換わらず、Yに結合する-CH-は酸素原子に置き換わらない。Re3で表されるアルキレン基に含まれる-CH-が酸素原子に置き換わった基において、酸素原子と酸素原子の間に、1以上4以下の-CH-が存在することが好ましい。Re3で表されるアルキレン基に含まれる-CH-が酸素原子に置き換わった基(以下、「(2価の)ポリエーテル基」という場合がある)の炭素数は、好ましくは1~15、より好ましくは1~12である。
【0260】
e3で表されるアルキレン基の水素原子がフッ素原子に置換された基(以下、単に「フルオロアルキレン基」という場合がある)は、直鎖または分岐鎖であってよい。X10、Re3で表されるフルオロアルキレン基の炭素数は、好ましくは1~20、より好ましくは1~6、さらに好ましくは1~4である。Re3で表されるフルオロアルキレン基は、パーフルオロアルキレン基であってよく、完全にフッ素化されていないフルオロアルキレン基であってもよい。
【0261】
e3で表されるアルキレン基に含まれる-CH-が酸素原子に置き換わった基に含まれる水素原子がさらにフッ素原子に置換された基(以下、単に「(2価の)フルオロポリエーテル基」という場合がある)において、隣り合う-CH-は、同時に酸素原子に置き換わらず、Yに結合する-CH-は酸素原子に置き換わらない。前記フルオロポリエーテル基において、酸素原子と酸素原子の間に、1以上4以下の-CH-が存在することが好ましい。前記フルオロポリエーテル基は、直鎖でも分岐鎖でもよく、前記フルオロポリエーテル基の炭素数は、好ましくは1~15、より好ましくは1~12である。
【0262】
10で表されるアルキレン基は、直鎖または分岐鎖であってよい。X10で表されるアルキレン基の炭素数は、好ましくは1~20、より好ましくは1~6、さらに好ましくは1~4である。
【0263】
10で表されるアルキレン基は、炭素数1~22のアルキル基、-OR、-COOR、-COR、-CONR 、-SO等の置換基を有していてよく、複数の置換基同士が互いに結合して、環を形成していてもよい。前記置換基としてのアルキル基は、直鎖または分岐鎖であってよく、前記置換基としてのアルキル基の炭素数は、好ましくは1~20、より好ましくは1~6、さらに好ましくは1~4である。また、前記置換基としてのアルキル基に含まれる-CH-は、酸素原子に置き換わっていてもよく、前記置換基としてのアルキル基に含まれる水素原子は、フッ素原子に置換されていてもよい。
【0264】
10で表されるフルオロアルキレン基は、直鎖または分岐鎖であってよい。X10で表されるフルオロアルキレン基の炭素数は、好ましくは1~20、より好ましくは1~6、さらに好ましくは1~4である。X10で表されるフルオロアルキレン基は、パーフルオロアルキレン基であってよく、完全にフッ素化されていないフルオロアルキレン基であってもよい。
【0265】
a3としては、水素原子、フッ素原子、炭素数1~22のアルキル基または炭素数1~22のフルオロアルキル基が好ましく、水素原子、フッ素原子、炭素数1~4のアルキル基または炭素数1~4のフルオロアルキル基がさらに好ましく、水素原子またはフッ素原子がとりわけ好ましい。
【0266】
b3としては、水素原子、フッ素原子、炭素数1~22のアルキル基または炭素数1~22のフルオロアルキル基が好ましく、水素原子、フッ素原子、炭素数1~6のアルキル基または炭素数1~6のフルオロアルキル基がより好ましく、水素原子、フッ素原子、炭素数1~4のアルキル基または炭素数1~4のフルオロアルキル基がさらに好ましく、水素原子、フッ素原子、メチル基またはトリフルオロメチル基がとりわけ好ましい。
【0267】
c3としては、炭素数1~22のアルキル基、炭素数1~15のポリエーテル基、炭素数1~22のフルオロアルキル基、炭素数1~15のフルオロポリエーテル基、炭素数3~22の脂環式炭化水素基に含まれる水素原子がフッ素原子に置換された基(以下、「含フッ素脂環式炭化水素基」という場合がある)、炭素数6~22のフルオロアリール基、炭素数1~10のアルキレン基または炭素数1~10のフルオロアルキレン基に炭素数3~21の脂環式炭化水素基、炭素数3~21の含フッ素脂環式炭化水素基、炭素数6~21の芳香族炭化水素基もしくは炭素数6~21のフルオロアリール基が結合した基が好ましい。
【0268】
d3としては、炭素数1~22のアルキル基、炭素数1~15のポリエーテル基、炭素数1~22のフルオロアルキル基または炭素数1~15のフルオロポリエーテル基が好ましく、炭素数1~20のアルキル基、炭素数1~15のポリエーテル基、炭素数1~20のフルオロアルキル基または炭素数1~15のフルオロポリエーテル基がより好ましく、炭素数1~20のフルオロアルキル基または炭素数1~15のフルオロポリエーテル基がさらに好ましい。
【0269】
e3としては、炭素数1~22のアルキレン基、炭素数1~15のポリエーテル基、炭素数1~22のフルオロアルキレン基または炭素数1~15のフルオロポリエーテル基が好ましく、炭素数1~20のアルキレン基、炭素数1~15のポリエーテル基、炭素数1~20のフルオロアルキレン基または炭素数1~15のフルオロポリエーテル基がより好ましく、炭素数1~20のフルオロアルキレン基または炭素数1~15のフルオロポリエーテル基がさらに好ましい。
【0270】
としては、水素原子または炭素数1~4のアルキル基が好ましい。
【0271】
10としては、単結合または炭素数1~22のフルオロアルキレン基が好ましく、単結合または炭素数1~4のフルオロアルキレン基がより好ましい。
【0272】
式(G3)において、Re3を含む環に結合するX10の2つの結合手が結合する2つ炭素原子は、互いに隣接していてもよく、該2つの炭素原子の間に、炭素数1~4のアルキレン基または炭素数1~4のフルオロアルキレン基が存在していてもよい。
【0273】
本開示において、前記含フッ素ポリマーの分子量は、例えば200以上、好ましくは400以上、より好ましくは1,000以上であり得、例えば100,000以下、好ましくは50,000以下、さらに好ましくは30,000以下であり得る。
【0274】
前記含フッ素ポリマーの分散度(重量平均分子量/数平均分子量(Mw/Mn))は、例えば1.0以上であり、好ましくは3.0以下、より好ましくは2.0以下、さらに好ましくは1.5以下であり得る。
【0275】
本開示の含フッ素ポリマーの分子量の測定方法によれば、通液状態の安定性と、試料である含フッ素ポリマーの移動相溶剤への溶解性が両立され、安定した測定が可能である。本開示の分子量の測定方法は、広範囲の含フッ素ポリマーに適用可能である。
【実施例
【0276】
以下の実施例により本開示を更に具体的に説明するが、本開示はこれらに限定されない。
【0277】
(実施例1)
移動相溶剤として3M TM 製 Novec TM 7200と、ヘキサフルオロ-2-プロパノール(HFIP)を体積比80/20の割合で調製した混合液(移動相溶剤1)を用いた。測定の前に、分離担体や検出器の温度を30℃に保ったまま、流量0.75mL/分で移動相溶剤を通液し、ベースラインを安定させた。その後、移動相溶剤1に以下の式:
【0278】
【化25】
(式中、mは1~6の整数である。)
で表される含フッ素ポリマー1を1質量%の固形分濃度で溶解させた溶液を100μL通液し、含フッ素ポリマー1の分子量のSEC法による測定を行った。
この際、検量線は、分子量が既知のパーフルオロポリエーテルオイル ダイキン工業(株)製 デムナム TMを用いて作成したものを用いた。
【0279】
SEC法による測定の際の測定条件は、以下の通りとした。
分離担体:昭和電工(株) Shodex TM GPC KF-806L (8.0mmI.D. x 300mm) x 3
流量:0.75mL/分
測定温度(分離担体および検出器の温度):30℃ または 40℃
検出器:RI(示差屈折率検出器)
クロマトグラフ(装置):スペクトリス(株)Viscotek TDA 305
【0280】
(実施例2)
分離担体や検出器の温度を40℃に保つことを除いては、実施例1と同じ条件で分子量測定を行った。
この際、検量線は、分子量が既知のパーフルオロポリエーテルオイル ダイキン工業(株)製 デムナム TMを用いて作成したものを用いた。
【0281】
(実施例3)
移動相溶剤として3M TM 製 Novec TM 7100と、ヘキサフルオロ-2-プロパノール(HFIP)を体積比80/20の割合で調製した混合液(移動相溶剤2)を用いること、測定試料として、以下の式:
【0282】
【化26】
で表される含フッ素ポリマー2を用いることを除いては、実施例1と同じ条件で分子量測定を行った。
この際、検量線は、分子量がポリメチルメタクリレート(PMMA)を用いて作成したものを用いた。
【0283】
(比較例1)
移動相溶剤としてジクロロペンタフルオロプロパンとHFIPを体積比90/10で調製した混合液を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、分子量の測定を行った。
この際、検量線は、分子量が既知のパーフルオロポリエーテルオイル ダイキン工業(株)製 デムナム TMを用いて作成したものを用いた。
【0284】
各移動相溶剤を用いた場合の検量線は、以下の分子量既知のパーフルオロポリエーテルオイルまたは、市販の標準PMMAを標準試料とし、実施例1と同様の条件に基づいて、各標準試料を分離担体にインジェクションした時間から、検出器において流出が検出されるまでの時間(保持時間)を測定した。各標準試料について測定した保持時間に対して、各標準試料の数平均分子量をプロットし、検量線を作成した。

[分子量既知のパーフルオロポリエーテルオイル]
標準試料1:デムナム TM S-200、数平均分子量 7,250、重量平均分子量 7,902
標準試料2:デムナム TM S-65、数平均分子量 4,180、重量平均分子量 4,598
標準試料3:デムナム TM S-20、数平均分子量 2,725、重量平均分子量 2,998

[PMMA]
ジーエルサイエンス(株) ポリマーキット M-M-10 PMMA (ポリメチルメタクリラート)
標準試料4:数平均分子量 659,000、重量平均分子量 685,400
標準試料5:数平均分子量 254,100、重量平均分子量 264,300
標準試料6:数平均分子量 55,600、重量平均分子量 56,710
標準試料7:数平均分子量 24,830、重量平均分子量 25,330
標準試料8:数平均分子量 5,200、重量平均分子量 5,510
標準試料9:数平均分子量 1,140、重量平均分子量 1,322
【0285】
(評価)
含フッ素ポリマーの移動相溶剤に対する溶解性を確認し、ベースライン安定に要する時間を測定することにより、通液状態の安定性を評価した。
【0286】
結果を表1に示す。
【0287】
【表1】
【0288】
実施例1、2、および3は、本開示の実施例であり、通液状態が安定し、含フッ素ポリマーの移動相溶剤への溶解性が良好であった結果、安定した測定が可能であった。
【0289】
比較例1は、移動相溶剤として、塩素原子を含む含フッ素溶剤を用いた例であり、ベースラインが安定せず、安定した測定ができなかった。
【産業上の利用可能性】
【0290】
本開示の含フッ素ポリマーの分子量の測定方法によれば、通液状態の安定性と、試料である含フッ素ポリマーの移動相溶剤への溶解性が両立され、安定した測定が可能である。本開示の分子量の測定方法は、広範囲の含フッ素ポリマーに適用可能である。