(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-05
(45)【発行日】2024-03-13
(54)【発明の名称】検診管理システム
(51)【国際特許分類】
G16H 40/20 20180101AFI20240306BHJP
【FI】
G16H40/20
(21)【出願番号】P 2020106633
(22)【出願日】2020-06-20
【審査請求日】2023-06-20
(73)【特許権者】
【識別番号】520225576
【氏名又は名称】株式会社High-Field
(73)【特許権者】
【識別番号】524045574
【氏名又は名称】株式会社Bit
(74)【代理人】
【識別番号】100185476
【氏名又は名称】宮下 桂輔
(72)【発明者】
【氏名】山下 忠義
【審査官】鹿谷 真紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-022836(JP,A)
【文献】特開2018-142128(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
受付端末と診療科端末とサーバと受診者端末とが相互に通信可能に接続された検診管理システムであって、
前記受付端末は、
受診者の移動速度と受診者の検診項目を含む受付情報を受け付ける受付情報受付手段と、
前記受付情報を前記サーバに送信する受付送信手段を備え、
前記診療科端末は、
当該診療科における受診者の検診登録情報と検診開始情報と検診終了情報を含む診療科情報を受け付ける診療科情報受付手段と、
前記診療科情報を前記サーバに送信する診療科送信手段を備え、
前記サーバは、
前記受付情報と前記診療科情報を受信する管理情報受信手段と、
受付と各診療科間及び各診療科間の距離である科間経路距離を記憶する管理情報記憶手段と、
前記検診登録情報と前記検診開始情報から各診療科における待ち人数を算出する待ち人数算出手段と、
前記検診開始情報と前記検診終了情報から各診療科の平均検診所要時間を算出する平均時間算出手段と、
前記科間経路距離と前記移動速度から各受診者の各診療科への移動時間を算出する移動時間算出手段と、
前記平均検診所要時間と前記待ち人数と前記移動時間から次に受診すべき診療科を判定する判定手段と、
前記判定手段が判定した次に受診すべき診療科の名称を含む次診療科情報を前記受診者端末に送信する管理情報送信手段を備え、
前記受診者端末は、
前記次診療科情報を受信する受診者受信手段と、
前記次診療科情報を表示する受診者表示手段を備えることを特徴とする検診管理システム。
【請求項2】
受付端末と診療科端末とサーバと受診者端末とが相互に通信可能に接続された検診管理システムであって、
前記受付端末は、
受診者の移動速度と受診者の検診項目を含む受付情報を受け付ける受付情報受付手段と、
前記受付情報を前記サーバに送信する受付送信手段を備え、
前記診療科端末は、
当該診療科における受診者の検診登録情報と検診開始情報と検診終了情報と待ち人数を含む診療科情報を受け付ける診療科情報受付手段と、
前記診療科情報を前記サーバに送信する診療科送信手段を備え、
前記サーバは、
前記受付情報と前記診療科情報を受信する管理情報受信手段と、
受付と各診療科間及び各診療科間の距離である科間経路距離を記憶する管理情報記憶手段と、
前記検診開始情報と前記検診終了情報から各診療科の平均検診所要時間を算出する平均時間算出手段と、
前記科間経路距離と前記移動速度から各受診者の各診療科への移動時間を算出する移動時間算出手段と、
前記平均検診所要時間と前記待ち人数と前記移動時間から次に受診すべき診療科を判定する判定手段と、
前記判定手段が判定した次に受診すべき診療科の名称を含む次診療科情報を前記受診者端末に送信する管理情報送信手段を備え、
前記受診者端末は、
前記次診療科情報を受信する受診者受信手段と、
前記次診療科情報を表示する受診者表示手段を備えることを特徴とする検診管理システム。
【請求項3】
前記受付情報には、検診順序制約情報が含まれることを特徴とする請求項1又は2に記載の検診管理システム。
【請求項4】
前記受付情報には、受診者の階段利用の可否、杖・車椅子利用の有無、介助者の要否を含む歩行状態情報が含まれることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の検診管理システム。
【請求項5】
前記移動時間算出手段は、前記歩行状態情報を参照し、前記移動時間を修正して算出することを特徴とする請求項4に記載の検診管理システム。
【請求項6】
前記管理情報記憶手段は、受付と各診療科間及び各診療科間の科間経路情報を記憶していることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の検診管理システム。
【請求項7】
前記受診者端末は、
受診者の現在位置情報を取得する位置情報取得手段と、
前記現在位置情報を前記サーバに送信する受診者送信手段を備え、
前記管理情報受信手段は、前記現在位置情報を受信し、
前記サーバは、
現在時刻を取得する時計手段と、
前記現在位置情報と前記科間経路情報から、当該現在位置と各診療科間の距離である経路途中距離を取得する経路途中距離取得手段を備え、
受診者が前記現在位置から所定時間移動しない場合には、
前記移動時間算出手段が、前記経路途中距離と前記移動速度から各診療科への補正移動時間を算出し、
前記判定手段が、前記平均検診所要時間と前記待ち人数と前記補正移動時間から次に受診すべき診療科を判定することを特徴とする請求項6に記載の検診管理システム。
【請求項8】
前記管理情報記憶手段は、検診施設のレイアウト情報を記憶し、
前記判定手段は、
前記平均検診所要時間と前記待ち人数と前記移動時間と各診療科への科間経路途中に所在する他の診療科における待ち人数の合計値から密集回避科間経路及び密集回避診療科を判定し、
前記管理情報送信手段は、前記判定手段が判定した前記密集回避科間経路に関する科間経路情報、前記密集回避診療科の名称及び前記レイアウト情報を含む密集回避情報を前記受診者端末に送信し、
前記受診者受信手段は、前記密集回避情報を受信し、
前記受診者表示手段は、前記密集回避診療科の名称及び前記密集回避科間経路が示された前記レイアウト情報を表示することを特徴とする請求項6に記載の検診管理システム。
【請求項9】
前記判定手段は、
前記次に受診すべき診療科を判定するに際して利用した前記平均検診所要時間と前記待ち人数と前記移動時間に加えて、
前記次に受診すべき診療科における平均検診所要時間と、既に検診が終了した診療科を除く各診療科に係る前記平均検診所要時間と前記待ち人数と前記移動時間から、次の次に受診すべき診療科を判定することを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の検診管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受診者が複数の検診項目を受診する人間ドックや健康診断等の際に用いられる検診管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
人間ドックや健康診断においては、受診者は複数の検診項目を受診することが一般的である。しかも、人間ドックや健康診断には複数種類のコースが用意されていることがあり、また、各受診者の希望や所属組織の要請等により、各受診者によって検診項目が異なっている場合もある。
【0003】
このように、人間ドックや健康診断においては、複数の受診者が複数の検診項目を受診することから、人間ドック等を実施する検診施設の従業者が各受診者に対して次に受診すべき検診項目を案内することが行われている。このような従来の従業者による案内は、次の診療科の状況把握に時間を要したり、瞬時に正確な判断ができないため、受診者がある診療科で集中してしまい長時間の受診待ちを強いられるという非効率な事態が生じている。
【0004】
そこで、特許文献1は、検診項目の異なる複数の検査設備と、検査種目ごとに複数の受診者の待ち順を管理して順次受診者を割り当てる制御用コンピュータを備える人間ドック管理システムにおいて、受診者とシステム側とで送受信可能であり、受診者の固有ID等を登録した受診者携帯用RFIDと、前記検査設備毎に付帯され、検診の開始情報と終了情報を受診者携帯用RFIDから読み取るRFID読取装置と、前記制御用コンピュータから前記施設の利用指示情報をアンテナを介して前記受診者携帯用RFIDに送信する通信手段を設け、前記制御用コンピュータは前記RFID読取装置を介して前記開始情報と終了情報を受け取ると、各検査設備の最適な利用順を計算して該当する利用者携帯用RFIDへ受診指示情報を伝達することを特徴とする人間ドック管理システムを開示している。
【0005】
また、特許文献2は、近距離無線通信をする第1通信装置を通じて他の装置との間でデータを送受信する第1機能と前記近距離無線通信と異なる無線通信をする第2通信装置を通じて他の装置との間でデータを送受信する第2機能とを有する情報サーバと、前記近距離無線通信あるいは前記無線通信を通じて前記情報サーバとデータを送受信する表示端末とを有する健康診断案内システムであって、前記情報サーバは、前記第1機能により診察券から受診者に固有の識別情報を受信する受信手段と、受診者の識別情報と対応づけて、前記受診者が受診する受診科目を含む受診者情報を記憶する記憶手段と、受診者が使用する前記表示端末に、前記第1機能を利用して前記識別情報を書き込む書込み手段と、前記識別情報を書き込んだ前記表示端末に対して、前記識別情報に対応する前記受診者情報を前記第2機能により送信する第1送信手段とを有し、前記表示端末は、前記第1送信手段により送信される前記受診者情報をもとに、前記受診者が診察を受ける受診科目を案内する案内情報を表示する表示手段を有する健康診断案内システムを開示している。
【0006】
特許文献1は、検診の開始情報と終了情報、検査項目標準処理時間及び待ち行列数といった項目を利用して多人数の待順番を効率的に管理するものであり、受診者の待ち時間を減少するのに資するものであるが、特許文献1は、各診療科間の移動距離や各受診者の移動速度(歩行速度)を考慮したものではないので精緻な管理ができるものではない。
【0007】
特許文献2は、待ち人数と平均診察時間から待ち予想時間を取得するとともに、受診者が診察を受ける受診科目を案内する案内情報を表示するため、受診者に対してより親切ではあるものの、やはり各診療科間の移動距離や各受診者の移動速度を考慮したものではないので精緻な管理を行うには十分ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【0009】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上述した事情に鑑み、受診者が複数の検診項目を受診する人間ドックや健康診断等において、受診者の受診待ち時間を減少させるように効率的に且つより精緻に受診者に対して次の検診項目の診療科を案内することができる検診管理システムを提供し、人間ドックや健康診断等を行っている病院等の検診施設とその従業者の作業効率の改善を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1の態様は、受付端末と診療科端末とサーバと受診者端末とが相互に通信可能に接続された検診管理システムであって、前記受付端末は、受診者の移動速度と受診者の検診項目を含む受付情報を受け付ける受付情報受付手段と、前記受付情報を前記サーバに送信する受付送信手段を備え、前記診療科端末は、当該診療科における受診者の検診登録情報と検診開始情報と検診終了情報を含む診療科情報を受け付ける診療科情報受付手段と、前記診療科情報を前記サーバに送信する診療科送信手段を備え、前記サーバは、前記受付情報と前記診療科情報を受信する管理情報受信手段と、受付と各診療科間及び各診療科間の距離である科間経路距離を記憶する管理情報記憶手段と、前記検診登録情報と前記検診開始情報から各診療科における待ち人数を算出する待ち人数算出手段と、前記検診開始情報と前記検診終了情報から各診療科の平均検診所要時間を算出する平均時間算出手段と、前記科間経路距離と前記移動速度から各受診者の各診療科への移動時間を算出する移動時間算出手段と、前記平均検診所要時間と前記待ち人数と前記移動時間から次に受診すべき診療科を判定する判定手段と、前記判定手段が判定した次に受診すべき診療科の名称を含む次診療科情報を前記受診者端末に送信する管理情報送信手段を備え、前記受診者端末は、前記次診療科情報を受信する受診者受信手段と、前記次診療科情報を表示する受診者表示手段を備えることを特徴とする。
【0012】
本発明の第2の態様は、受付端末と診療科端末とサーバと受診者端末とが相互に通信可能に接続された検診管理システムであって、前記受付端末は、受診者の移動速度と受診者の検診項目を含む受付情報を受け付ける受付情報受付手段と、前記受付情報を前記サーバに送信する受付送信手段を備え、前記診療科端末は、当該診療科における受診者の検診登録情報と検診開始情報と検診終了情報と待ち人数を含む診療科情報を受け付ける診療科情報受付手段と、前記診療科情報を前記サーバに送信する診療科送信手段を備え、前記サーバは、前記受付情報と前記診療科情報を受信する管理情報受信手段と、受付と各診療科間及び各診療科間の距離である科間経路距離を記憶する管理情報記憶手段と、前記検診開始情報と前記検診終了情報から各診療科の平均検診所要時間を算出する平均時間算出手段と、前記科間経路距離と前記移動速度から各受診者の各診療科への移動時間を算出する移動時間算出手段と、前記平均検診所要時間と前記待ち人数と前記移動時間から次に受診すべき診療科を判定する判定手段と、前記判定手段が判定した次に受診すべき診療科の名称を含む次診療科情報を前記受診者端末に送信する管理情報送信手段を備え、前記受診者端末は、前記次診療科情報を受信する受診者受信手段と、前記次診療科情報を表示する受診者表示手段を備えることを特徴とする。
【0013】
本発明の第3の態様は、前記受付情報には、検診順序制約情報が含まれることを特徴とする。
【0014】
本発明の第4の態様は、前記受付情報には、受診者の階段利用の可否、杖・車椅子利用の有無、介助者の要否を含む歩行状態情報が含まれることを特徴とする。
【0015】
本発明の第5の態様は、前記移動時間算出手段は、前記歩行状態情報を参照し、前記移動時間を修正して算出することを特徴とする。
【0016】
本発明の第6の態様は、前記管理情報記憶手段は、受付と各診療科間及び各診療科間の科間経路情報を記憶していることを特徴とする。
【0017】
本発明の第7の態様は、前記受診者端末は、受診者の現在位置情報を取得する位置情報取得手段と、前記現在位置情報を前記サーバに送信する受診者送信手段を備え、前記管理情報受信手段は、前記現在位置情報を受信し、前記サーバは、現在時刻を取得する時計手段と、前記現在位置情報と前記科間経路情報から、当該現在位置と各診療科間の距離である経路途中距離を取得する経路途中距離取得手段を備え、受診者が前記現在位置から所定時間移動しない場合には、前記移動時間算出手段が、前記経路途中距離と前記移動速度から各診療科への補正移動時間を算出し、前記判定手段が、前記平均検診所要時間と前記待ち人数と前記補正移動時間から次に受診すべき診療科を判定することを特徴とする。
【0018】
本発明の第8の態様は、前記管理情報記憶手段は、検診施設のレイアウト情報を記憶し、前記判定手段は、前記平均検診所要時間と前記待ち人数と前記移動時間と各診療科への科間経路途中に所在する他の診療科における待ち人数の合計値から密集回避科間経路及び密集回避診療科を判定し、前記管理情報送信手段は、前記判定手段が判定した前記密集回避科間経路に関する科間経路情報、前記密集回避診療科の名称及び前記レイアウト情報を含む密集回避情報を前記受診者端末に送信し、前記受診者受信手段は、前記密集回避情報を受信し、前記受診者表示手段は、前記密集回避診療科の名称及び前記密集回避科間経路が示された前記レイアウト情報を表示することを特徴とする。
【0019】
本発明の第9の態様は、前記判定手段は、前記次に受診すべき診療科を判定するに際して利用した前記平均検診所要時間と前記待ち人数と前記移動時間に加えて、前記次に受診すべき診療科における平均検診所要時間と、既に検診が終了した診療科を除く各診療科に係る前記平均検診所要時間と前記待ち人数と前記移動時間から、次の次に受診すべき診療科を判定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明の第1の態様によれば、各診療科における待ち人数を算出する待ち人数算出手段と、各診療科の平均検診所要時間を算出する平均時間算出手段と、各診療科への移動時間を算出する移動時間算出手段と、次に受診すべき診療科を判定する判定手段を設けたことから、受診者の受診待ち時間を減少させるように効率的に且つより精緻に受診者に対して次の検診項目の診療科を案内することが可能となる。また、診療科端末において、受診者の検診登録情報、検診開始情報及び検診終了情報を受け付けることから、検診施設において、各受診者の最新の受診状況を把握することができる。
【0021】
本発明の第2の態様によれば、診療科における待ち人数を受け付ける診療科情報受付手段と、各診療科の平均検診所要時間を算出する平均時間算出手段と、各診療科への移動時間を算出する移動時間算出手段と、次に受診すべき診療科を判定する判定手段を設けたことから、受診者の受診待ち時間を減少させるように効率的に且つより精緻に受診者に対して次の検診項目の診療科を案内することが可能となる。また、診療科端末において、受診者の検診登録情報、検診開始情報及び検診終了情報を受け付けることから、検診施設において、各受診者の最新の受診状況を把握することができる。
【0022】
本発明の第3の態様によれば、受付情報に検診順序制約情報が含まれることから、他の特定の検診項目を受診した後でなければ検診することができないような制約のある検診項目が存在する場合でも適切な順序で次の検診項目を実施する診療科を受診者に案内することが可能となる。
【0023】
本発明の第4の態様によれば、受付情報に受診者の階段利用の可否、杖・車椅子利用の有無、介助者の要否を含む歩行状態情報が含まれることから、受診者の歩行状態に応じて適切に次の検診項目を実施する診療科を案内することが可能となる。
【0024】
本発明の第5の態様によれば、移動時間算出手段が、歩行状態情報を参照し、移動時間を修正して算出することから、受診者の歩行状態に応じて、より正確な移動時間を算出することが可能となり、したがって、より効率的で正確な次の検診項目を実施する診療科を案内することが可能となる。
【0025】
本発明の第6の態様によれば、管理情報記憶手段が、受付と各診療科間及び各診療科間の科間経路情報を記憶していることから、次の検診項目を実施する診療科を案内するにあたり、受診者により適切な経路を案内することが可能となる。
【0026】
本発明の第7の態様によれば、受診者が現在位置から所定時間移動しない場合には、移動時間算出手段が経路途中距離と移動速度から受診者の各診療科への補正移動時間を算出し、判定手段が平均検診所要時間と待ち人数と補正移動時間から受診者が次に受診すべき診療科を判定することから、例えば、受診者が次の診療科への経路途中で休憩をしたり、トイレに行ったような場合に、改めて次に受診すべき診療科を判定し直して受診者に案内するので、より効率的で精緻な次の検診項目の案内が可能となる。
【0027】
本発明の第8の態様によれば、管理情報記憶手段がレイアウト情報を記憶し、判定手段が平均検診所要時間と待ち人数と科間経路途中に所在する診療科の待ち人数の合計値と移動時間から密集回避診療科及び密集回避科間経路を判定し、受診者表示手段が密集回避診療科の名称及び密集回避科間経路が示されたレイアウト情報を表示することから、例えば、インフルエンザ等の感染症等が流行している時期には、各診療科への経路の混雑状況(すなわち、科間経路途中に所在する診療科の待ち人数の合計)を考慮して、次に受診すべき診療科を密集回避診療科として当該診療科へのレイアウトとともに案内することで、効率的且つ比較的安全な経路を案内することが可能となる。
【0028】
本発明の第9の態様によれば、判定手段が、平均検診所要時間、待ち人数及び移動時間に加えて、次に受診すべき診療科における平均検診所要時間と、既に検診が終了した診療科を除く各診療科に係る平均検診所要時間と待ち人数と移動時間から、次の次に受診すべき診療科を判定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明の検診管理システムの構成の一例を示す概略図である。
【
図5】本発明の管理情報記憶部が記憶する情報の一例を示す図である。
【
図6】本発明の基本的な態様における検診管理の処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面を参照しながら本発明を実施するための形態について説明する。
【0031】
図1は、本発明の検診管理システムの構成の一例である。
図1に示すように、本発明の検診管理システムは、受診者端末110と診療科端末120と受付端末130とサーバ140とが相互に通信可能に接続されている。したがって、例えば、診療科端末120及び受付端末130がサーバ140の管理情報記憶部149に格納されている情報を参照することができるように構成することができる。
【0032】
受付端末130は、例えば、コンピュータであり、CPU(Central Processing Unit)とRAM(Random Access Memory)等で構成されるメモリと、HDD(Hard Disk Drive)等で構成される記憶装置と、キーボードやタッチパネル等で構成される入力装置と、ディスプレイやプリンター等で構成される出力装置を備える。
【0033】
受付端末130は、受付情報受付部131と受付送信部132を備えている。
【0034】
受付情報受付部131は、
図2及び
図3に示すように、各受診者の移動速度と各受診者の検診項目を含む受付情報を受け付けて記憶する。検診項目は、
図3に示す検診コース対応テーブルのように記憶することができる。受付情報には、受診日、受診者ID、受診者氏名、受診者端末ID、検診開始予定時間、検診コース、診療科ID、診療科の名称等を含むことができる。
図3に示すように、受付情報には、好ましくは検診順序制約情報を含むことができる。
図3では検診項目である眼底検査HHHについて検診順序制約として視力検査DDDが設定されている。これは、眼底検査は、視力検査を終了した後でなければ実施することができないことを意味している。また、受付情報には、好ましくは、受診者の階段利用の可否、すなわち、受診者が検診施設内の階段を利用できるか否か、杖・車椅子利用の有無、すなわち、歩行の際に杖又は車椅子を必要とするか否か及び介助者の要否、すなわち、歩行にあたり介助者を必要とするか否かといった歩行状態情報を含むことができる。
【0035】
移動速度は、事前に受診者にGPS受信機能及び時計機能等を備えた機器を持って所定距離歩行してもらうことにより計測する。受診者端末110がこれらの機能を備えている場合には、移動速度の測定は受診者端末110により行うことも可能であり望ましい。
【0036】
受付情報受付部131は、例えば、上述した受付情報を受付端末130の入力装置からの入力により受け付けることができる。また、受付情報受付部131は、受付情報の一部又は全部を受診者端末110との間での送受信により受け付けることもできる。
【0037】
受付送信部132は、上述した受付情報をサーバ140に送信する。
【0038】
診療科端末120は、例えば、コンピュータであり、CPU(Central Processing Unit)とRAM(Random Access Memory)等で構成されるメモリと、HDD(Hard Disk Drive)等で構成される記憶装置と、キーボードやタッチパネル等で構成される入力装置と、ディスプレイやプリンター等で構成される出力装置を備える。なお、診療科端末120は、
図1では1つのみ図示しているが、検診項目を実施する診療科毎に設けることができるため、通常は、診療科端末120は、複数個存在する。また、診療科端末120は、各診療科に1個とは限らず、複数個の診療科端末120を1つの診療科に設けることも可能である。
【0039】
診療科端末120は、診療科情報受付部121と診療科送信部122を備える。診療科端末120は、各診療科の受付担当者、看護師、医師等により操作される。
【0040】
診療科情報受付部121は、
図4に示すように、各診療科における受診者の検診登録情報と検診開始情報と検診終了情報を含む診療科情報を受け付ける。診療科情報には、さらに診療科ID、受診日、受診者ID、受診者氏名及び受診者端末IDを含むことができる。
図4に図示していないが、診療科情報には、例えば、検診結果情報等の情報を含むこともできる。そして、診療科情報には情報の内容に応じてアクセス権限を設定することも可能であり、これにより、例えば、診療科情報のうち検診結果情報は医師及び看護師しかアクセスできないというように設定することも可能である。
【0041】
検診登録情報は、受診者が当該診療科にて検診の受け付けを行った時刻である。検診開始情報は、当該診療科にて受診者の検診が開始された時刻である。検診終了情報は、当該診療科にて受診者の検診が終了した時刻である。このように、各診療科端末120が、各受診者の検診登録情報、検診開始情報及び検診終了情報を受け付けることから、各受診者の既に受診した検診項目、現在受診中の検診項目、案内している次の診療科等の最新の状況を把握することが可能となる。
【0042】
診療科情報受付部121は、例えば、診療科情報を診療科端末120の入力装置からの入力により受け付けることができる。また、診療科情報受付部121は、診療科情報の一部又は全部を受診者端末110との間での送受信により受け付けることもできる。さらに、各診療科における検診を実施するための検診機器と本発明の検診管理システムが相互に通信可能に接続されている場合には、検診開始情報と検診終了情報は、各検診機器からの検診開始通知と検診終了通知により受け付けることも可能である。
【0043】
診療科送信部122は、診療科情報をサーバ140に送信する。診療科送信部122は、診療科情報を受診者端末110に送信することができるように構成することも可能である。例えば、診療科送信部122が診療科情報のうち検診結果情報を受診者端末110に送信することにより、受診者が自己の検診結果を直ぐに把握することが可能となる。
【0044】
サーバ140は、例えば、コンピュータであり、CPU(Central Processing Unit)とRAM(Random Access Memory)等で構成されるメモリと、HDD(Hard Disk Drive)等で構成される記憶装置と、キーボードやタッチパネル等で構成される入力装置と、ディスプレイやプリンター等で構成される出力装置を備える。HDDは、本発明の検診管理プログラム等を記憶している。CPUがHDDからメモリに検診管理プログラムを読み出して実行することにより、サーバ140の機能が実現される。
【0045】
サーバ140は、管理情報受信部141と、平均時間算出部143と、移動時間算出部144と、判定部145と、管理情報送信部146と、管理情報記憶部149を備えている。
【0046】
サーバ140は、待ち人数算出部142を備えることができる。また、サーバ140は、好ましくは、時計部147と経路途中距離取得部148を備えることができる。
【0047】
管理情報受信部141は、受付端末130から送信された受付情報と診療科端末120から送信された診療科情報を受信する。
【0048】
管理情報記憶部149は、受付と各診療科間及び各診療科間の距離である科間経路距離を記憶する。本発明において、科間経路とは、受付と各診療科間の経路及び各診療科間の経路を意味し、科間経路距離とは、科間経路の距離を意味する。ここで、例えば、診療科AAAと診療科BBBの科間経路は、必ずしも1つの経路とは限らず、検診施設内を左回りする経路及び右回りする経路、並びに診療科AAAと診療科BBBが別々の階に所在する場合には階段を利用する経路及びエレベーターを利用する経路等、複数の経路が存在することがある。管理情報記憶部149は、好ましくは、受付と各診療科間及び各診療科間の科間経路を特定する科間経路情報を記憶することができ、上述のように、ある診療科への科間経路が複数存在する場合には、複数の全ての科間経路情報を記憶することができる。管理情報記憶部149は、このように複数の科間経路が存在する場合には、これら複数の科間経路距離を含むものとして記憶することができる。管理情報記憶部149は、さらに、
図5に示すように、受付情報及び診療科情報を記憶することができる。また、管理情報記憶部149は、好ましくは、検診施設内のレイアウト情報を記憶することができる。レイアウト情報は、検診施設内の各診療科や通路等の配置を示す地図情報である。管理情報記憶部149は、検診施設がエレベーターを有する場合は、エレベーターの平均的な待ち時間と、エレベーターが上下移動する階数毎に要する平均的な時間を記憶することができる。
【0049】
平均時間算出部143は、診療科端末120から送信された診療科情報に含まれる検診開始情報と検診終了情報から各診療科における平均検診所要時間を算出する。具体的には、平均検診時間算出部143は、各検診項目を実施する診療科毎に、所定時間又は所定数の受診者の検診終了を1つの単位として、各受診者の検診終了時間から検診開始時間を減ずることにより各受診者の検診所要時間を算出し、前記1単位内の受診者の検診所要時間を合計して前記1単位の総検診所要時間を算出し、これを前記1単位内の受診者数で除することにより各診療科の平均検診所要時間を算出する。平均時間算出部143は、例えば、10分間を1単位として平均検診所要時間を更新したり、受診者10人の検診が終了することを1単位として平均検診所要時間を更新することができる。
【0050】
移動時間算出部144は、科間経路距離と移動速度から各受診者の各診療科への移動時間を算出する。移動時間算出部144は、基本的には、科間経路距離を移動速度で除することにより移動時間を算出する。科間経路によっては、階を跨ぐ場合があり、この場合は科間経路中に階段又はエレベーターの区間が含まれる。移動時間算出部144は、階段の区間については、移動速度に補正係数として、例えば0.8を乗じて、すなわち平坦な区間よりも歩行速度が遅いものとして移動時間を算出する。また、エレベーターを利用する場合は、平面的な移動をしていないため、移動時間算出部144は、エレベーターの平均的な待ち時間と必要な階数の上下移動に要する平均的な時間を加算して移動時間を算出する。移動時間算出部144は、各診療科への科間経路が複数存在する場合には、各科間経路について移動時間を算出することができる。
【0051】
本発明の好ましい態様において、受付情報に受診者の階段利用の可否、杖・車椅子利用の有無、介助者の要否といった受診者の歩行状態情報が含まれる場合には、移動時間算出部144は、移動時間の算出にあたり所定の補正係数を利用して移動時間を算出する。具体的には、移動時間算出部144は、階段利用の可否が可(OK)の場合は、科間経路において階段及びエレベーターが存在するときには、上述の通り、階段及びエレベーターの区間について移動時間を算出する。階段利用が否(NG)の場合、移動時間算出部144は、科間経路において階段及びエレベーターが存在するときは、エレベーターの区間については上述の通り移動時間を算出するが、階段を利用する経路については計算を行わない。杖・車椅子利用の有無について無(NO)の場合は、移動時間算出部144は、通常の場合と同様に移動時間を算出する。杖・車椅子利用が有(YES)の場合、移動時間算出部144は、移動速度に補正係数として、例えば0.8を乗じて、移動時間を補正して算出する。介助者の要否については、移動時間算出部144は、杖・車椅子利用の有無の場合と略同様にして移動時間を算出する。また、杖・車椅子利用が有の場合及び介助者の要否が要の場合には、エレベーターのドアの開閉スピードが遅く、及び開状態が長いため、エレベーター区間の移動時間についても適宜、所定の補正係数により補正を行うことができる。
【0052】
サーバ140が待ち人数算出部142を備える場合には各診療科の検診登録情報と検診開始情報から各診療科における待ち人数を算出する。具体的には、ある時点における検診登録情報の数から検診開始情報の数を減ずることにより算出する。これは、検診登録の受け付けを行った受診者の数から検診が開始された受診者の数を減ずることにより検診の登録を行った受診者のうち検診が開始されていない受診者の数、すなわち受診待ちの人数を算出することを意味している。なお、ここで検診登録情報及び検診開始情報には、人間ドックや健康診断等の受診者のみならず、一般外来患者の検診登録情報及び検診開始情報を含むことができ、これにより、より正確な待ち人数を把握できるため望ましい。
【0053】
本発明においては、サーバ140が待ち人数算出部142を備えない構成を採用することも可能である。この場合は、例えば、各診療科において検診施設の従業者が目視にて当該診療科における待ち人数、すなわち人間ドックや健康診断等の検診待ちの受診者及び診察待ちの一般外来患者を把握し、診療科端末120の入力装置により目視した待ち人数を入力して診療科端末120が当該待ち人数を診療科情報として受け付け、後述する判定部145は、これを待ち人数として利用することも可能である。
【0054】
判定部145は、平均時間算出部143が算出した各診療科の平均検診所要時間と、待ち人数算出部142が算出した各診療科の待ち人数又は各診療科端末120が受け付けた各診療科の待ち人数と、移動時間算出部144が算出した各診療科への移動時間から、各受診者が次に受診すべき検診項目を実施する診療科を判定する。具体的には、判定部145は、受診者毎に各診療科の平均検診所要時間に各診療科の待ち人数を乗じて得られた値に各診療科への移動時間(各診療科への科間経路が複数ある場合は、各科間経路を利用した際の移動時間)を加算して、受診者毎に診療科毎且つ科間経路毎に当該受診者が次に各診療科にて検診を開始するまでの予測時間である次検診開始予測時間を得て、各診療科及び対応する各科間経路についての次検診開始予測時間の値を比較し、最も小さい値、すなわち最も早く検診が開始される診療科及び科間経路を次診療科及び推奨科間経路として判定する。ここで、判定部145は、次検診開始予測時間の算出にあたり、受診者が既に検診を終了した検診項目を実施する診療科を除外する。
【0055】
本発明の好ましい態様において、受付情報に検診順序制約情報が含まれる場合には、判定部145は、受付情報に含まれる検査項目を参照し、各検査項目に検診順序制約が設定されているか否かを判定する。検診順序制約が設定されていない検診項目については、判定部145は、上述の通り、当該検診項目を実施する診療科について次検診開始予測時間を算出する。一方、検診順序制約が設定されている検診項目がある場合には、判定部145は、診療科情報に含まれる検診終了情報を参照し、検診順序制約として先に受診しておくべき検診項目の検診が終了しているか否かを判定する。先に受診しておくべき検査項目の検診が終了していると、判定部145は、当該検診順序制約が設定されている検査項目を実施する診療科について、上述の通り、当該検診項目を実施する診療科について次検診開始予測時間を算出する。他方、先に受診しておくべき検査項目の検診が終了していないと、判定部145は、次検診開始予測時間の算出にあたり、当該検診順序制約が設定されている検査項目を実施する診療科を除外する。
【0056】
管理情報送信部146は、判定部145が判定した、各受診者が次に受診すべき診療科の名称を含む次診療科情報を受診者端末110に送信する。
【0057】
受診者端末110は、例えば、タブレット型携帯情報端末やスマートフォン等であるが、視認性及び操作性の観点から、適度な大きさのディスプレイを有するタブレット型情報端末が望ましい。受診者端末110は、受診者受信部111と受診者表示部112を備える。受診者端末110は、好ましくは、位置情報取得部113と受診者送信部114を備える。さらに、受診者端末110は図示しない受診者時計部を備えることができる。なお、受診者端末110は、
図1では1つのみ図示しているが、検診を受ける各受診者に配付するため、通常、受診者端末110は複数個存在する。
【0058】
受診者受信部111は、サーバ140から送信された次診療科情報を受信する。
【0059】
受診者表示部112は、受診者受信部111が受診した次診療科情報、すなわち、次に受診すべき診療科の名称等を表示する。受診者表示部112は、好ましくは、当該次に受診すべき診療科への推奨科間経路を示すレイアウト情報を表示する。
【0060】
本発明の好ましい態様において、受診者が次に受診すべき診療科への経路途中で休憩やトイレに立ち寄った場合等、次の診療科を判定した際の移動時間よりも大幅に移動時間がかかる場合に移動時間を補正して、改めて次に受診すべき診療科を判定する構成について説明する。本好ましい態様により、受診者が科間経路の途中で休憩やトイレに立ち寄った場合、当初の予定よりも余計に移動時間がかかることから、当初判定された次の診療科における待ち人数が当初の予測よりも増えている可能性があり、当該休憩等を行った受診者が当初判定された診療科で非効率に待たされる事態を回避することが可能となる。
【0061】
本好ましい態様においては、受診者端末110は、受診者の現在位置情報を取得する位置情報取得部113と現在位置情報をサーバ140に送信する受診者送信部114を備え、サーバ140は、現在時刻を取得する時計部147と現在位置情報及び科間経路情報から当該現在位置と各診療科間の距離である経路途中距離を算出又は取得する経路途中距離取得部148を備える。
【0062】
管理情報記憶部149は、科間経路距離を記憶し、好ましい態様においては、科間経路情報を記憶している。経路途中距離取得部148は、科間経路距離と科間経路情報を参照するとともに、受診者端末110から受診者の現在位置情報を受信することにより、当該受診者が科間経路のどの地点に存在しているかを把握し、当該科間経路途中の地点から各診療科までの距離、すなわち経路途中距離を算出する。
【0063】
位置情報取得部113から受信した受診者の現在位置情報と時計部147の現在時刻を参照し、受診者が現在位置から所定時間、例えば、5分間移動しない場合、すなわち受診者が休憩やトイレに立ち寄ったと想定されるため、経路途中距離取得部148は、上述の通り、経路途中距離を算出し、移動時間算出部144は、経路途中距離と移動速度から当該受診者が現在位置から各診療科へ移動する時間である補正移動時間を算出し、判定手段145は、平均所要時間と待ち人数と補正移動時間から当該受診者が次に受診すべき診療科を改めて判定し直す。ここでの移動時間算出部144による補正移動時間の算出は、上述した移動時間算出部144による移動時間の算出方法と略同様であり、判定部145による判定は、上述した判定部145による受診者が次に受診すべき診療科の判定方法と略同様である。
【0064】
次に、本発明の好ましい態様において、インフルエンザ等の感染症が流行する時期に、受診者が次に受診すべき診療科を判定するにあたり、科間経路の途中に所在する診療科の待ち人数、すなわち人の密集度を考慮し、人の密集度の低い科間経路を判定する構成について説明する。
【0065】
本好ましい態様において、管理情報記憶部149は、検診施設のレイアウト情報を記憶する。
【0066】
判定部145は、本発明の基本的な態様において、各診療科の平均検診所要時間と各診療科の待ち人数と各診療科への移動時間に基づいて、受診者が次に受診すべき診療科を判定するが、本好ましい態様においては、判定部145は、これに代えて、次の方法により、受診者が次に受診すべきである密集回避診療科を判定する。
【0067】
本好ましい態様において判定部145は、各診療科の平均検診所要時間と各診療科における待ち人数と各診療科への移動時間を利用する点では、本発明の基本的な態様における場合と同様である。しかし、本好ましい態様において判定部145は、これらに加えて、各診療科と当該各診療科への科間経路途中に所在する他の診療科における待ち人数の合計を利用する。すなわち、本好ましい態様において判定部145は、各診療科の平均検診所要時間と各診療科における待ち人数と各診療科への移動時間と当該各診療科への科間経路途中に所在する他の診療科における待ち人数の合計を利用して受診者が次に受診すべきである密集回避診療科を判定する。具体的には、例えば、判定部145は、各診療科の平均検診所要時間に各診療科における待ち人数を乗じ、これに各診療科への各科間経路の移動時間を加算し、さらに、診療科毎及び科間経路毎に、各診療科と当該各診療科への科間経路途中に所在する他の診療科における待ち人数の合計を加算して得られた値を比較して、最も少ない値の診療科に対応する科間経路を人の密集度の低い感染症流行時には比較的に安全な経路と想定し、当該診療科を密集回避診療科として次に受診すべき診療科と判定するとともに、当該対応する科間経路を利用すべき密集回避科間経路と判定する。当該値が同じである診療科及び科間経路が存在する場合には、それらの診療科及び科間経路について判定部145は、本発明の基本的な態様と同様に、各診療科の平均検診所要時間と各診療科における待ち人数と各診療科への移動時間を利用して次に受診すべき診療科を判定する。
【0068】
本好ましい態様において管理情報送信部146は、判定部145が判定した密集回避診療科の名称、密集回避科間経路に関する科間経路情報及びレイアウト情報を含む密集回避情報を受診者端末110に送信する。
【0069】
本好ましい態様において受診者受信部111は、サーバ140から送信された密集回避情報を受信する。
【0070】
本好ましい態様において受診者表示部112は、密集回避診療科の名称及び密集回避科間経路を示すレイアウト情報を受診者端末110のディスプレイに表示する。
【0071】
次に、本発明において、受診者が次の次に受診すべき診療科を予測する態様について説明する。
【0072】
本好ましい態様において判定部145は、次に受診すべき診療科を判定するに際して利用した平均検診所要時間と待ち人数と移動時間に加えて、当該次に受診すべき診療科における平均検診所要時間と、既に検診が終了した診療科を除く各診療科に係る平均検診所要時間と待ち人数と移動時間から、次の次に受診すべき診療科を予測して判定することができる。具体的には、判定部145は、まず、各診療科における平均検診所要時間に当該診療科における待ち人数を乗じ、これに当該診療科への各科間経路についての移動時間を加算して次検診開始予測時間を算出する。次に、判定部145は、当該診療科における平均検診所要時間に、当該診療科及び受診済みの診療科を除く各診療科の平均検診所要時間に各診療科における待ち人数を乗じ、これに各診療科への各科間経路についての移動時間を加算して得られた値を、前記次検診開始予測時間に加算して、診療科毎の科間経路毎の次々検診開始予測時間を得る。次々検診開始予測時間は、次の次に受診すべき診療科において各受診者について検診が開始されると予測される時間である。次に受診すべき診療科についての次検診開始予測時間の値が同じ診療科が複数存在する場合、判定部145は、同じ値の次検診開始予測時間の診療科の次々検診開始予測時間を比較し、最も小さい次々検診開始予測時間の診療科を次に受診すべき診療科と判定する。
【0073】
次に、本発明の基本的な態様における検診管理の処理を
図6のフローチャートを用いて説明する。
【0074】
受診者が検診施設の受付にて、検診施設受付担当者に受診者の氏名、階段利用の可否、杖・車椅子利用の有無及び介助者の要否を伝える。受付端末130の受付情報受付部131は、これらの情報を受付担当者による入力を契機として受け付けるとともに、受診者氏名にて当該受診者の検診開始予定時間と検診コースを検索して受け付け、受診者毎に付与される受診者IDと受診日を受け付ける。受診者は受付担当者から配付された受診者端末110を持ちながら、例えば5m歩行して移動速度を測定し、測定した移動速度を受診者端末110から受付端末130に送信する(ステップ1)。
【0075】
受付端末130の受付送信部132から受付情報がサーバ140に送信される(ステップ2)。
【0076】
診療科端末120の診療科情報受付部121は、既に当該診療科に到着して受付を済ませた受診者に関する検診登録情報と当該診療科における検診機器からの検診開始通知を受信した検診開始情報と検診機器からの検診終了通知を受信した検診終了情報を受け付け、診療科送信部122は、これらの診療科情報をサーバ140に送信する(ステップ3)。
【0077】
サーバ140の管理情報受信部141は、受付端末130及び診療科端末120から送信された情報を受信する(ステップ4)。
【0078】
待ち人数算出部142は、検診登録情報と検診開始情報から各診療科における待ち人数を算出する(ステップ5)。例えば、ある診療科における検診登録情報が10個あり、検診開始情報が6個ある場合、当該診療科における待ち人数は4人であると算出される。
【0079】
平均時間算出部143は、検診開始情報と検診終了情報から各診療科における平均検診所要時間を算出する(ステップ6)。例えば、ある診療科における過去1時間内に受け付けた検診開始情報と検診終了情報を受診者毎に抽出する。受診者Aの検診開始時間が9時で、検診終了時間が9時10分の場合は受診者Aについての検診所要時間は10分間となる。同様に他の受診者毎の検診所要時間を算出するとともに、これらの検診所要時間の平均値を算出して、当該診療科における平均検診所要時間とする。平均検診所要時間は、所定時間毎又は所定人数の検診終了毎に平均時間算出部143により更新される。
【0080】
移動時間算出部144は、管理情報記憶部149が記憶している科間経路距離と受付端末130から受信した移動速度を参照して、受診者毎に科間経路毎に移動時間を算出する(ステップ7)。最初に受診する診療科への出発地点は、通常、受付になるので、ここでは受付から各診療科間の科間経路距離が用いられる。例えば、移動時間算出部144は、受付から身長・体重の検査項目を実施する診療科への科間経路Aの科間経路距離が20mで、受診者の移動速度が秒速1.25mである場合、受付から身長・体重検査の診療科までの科間経路Aを利用した場合には移動時間は16秒と算出する。移動時間算出部144は、同様に受診者の検査項目に含まれる各診療科への各科間経路距離と移動速度を利用して移動時間を算出する。同じ診療科への科間経路が複数ある場合には、それぞれの科間経路に対して移動時間が算出される。
【0081】
判定部145は、算出された各診療科の平均検診所要時間に、対応する各診療科の待ち人数を乗じた値に、各受診者の各診療科への各科間経路の移動時間を加算して、各診療科及び各科間経路の次検診開始予測時間を得て、各診療科及び各科間経路の次検診開始予測時間を比較して次検診開始予測時間の値が最も小さい診療科及び科間経路を受診者が次に受診すべき診療科及び当該診療科への移動の際に利用すべき推奨科間経路として判定する(ステップ8)。例えば、身長・体重検査を行う診療科の平均検診所要時間が1分間、待ち人数が5人、移動時間が16秒である場合、身長・体重検査の診療科の次検診開始予測時間は5分16秒となる。判定部145は、同様にして他の診療科毎及び複数の科間経路が存在する場合は科間経路毎に次検診開始予測時間を算出し、各次検診開始予測時間を比較し最も小さい値の次検診開始予測時間の診療科を次に受診すべき診療科と判定する。
【0082】
管理情報送信部146は、判定部145が判定した次に受診すべき診療科の名称を含む次診療科情報を受診者端末110に送信する(ステップ9)。ここで、管理情報送信部146は、好ましくは、当該診療科への科間経路情報及びレイアウト情報を受診者端末110に送信する。
【0083】
受診者端末110の受診者受信部111は、サーバ140から送信された次診療科情報を受信する(ステップ10)。
【0084】
受診者表示部112は、受診者受信部111が受診した次に受診すべき診療科の名称を受信者端末110のディスプレイに表示する(ステップ11)。受診者表示部112は、好ましくは、さらに、当該診療科への科間経路情報をレイアウト情報(当該診療科への推奨科間経路が示された地図情報)とともに表示する。
【0085】
上述のように案内された次の診療科における検診項目の検診が終了すると、当該検診が終了した検診項目を実施する診療科を除外して、上述のステップと略同様のステップにて、さらに次に受診すべき診療科が判定され受診者に通知され、当該受診者の検診項目の検診が全て終了するまで上述のステップと略同様のステップが繰り返される。
【符号の説明】
【0086】
110 受診者端末
111 受診者受信部
112 受診者表示部
113 位置情報取得部
114 受診者送信部
120 診療科端末
121 診療科情報受付部
122 診療科送信部
130 受付端末
131 受付情報受付部
132 受付送信部
140 サーバ
141 管理情報受信部
142 待ち人数算出部
143 平均時間算出部
144 移動時間算出部
145 判定部
146 管理情報送信部
147 時計部
148 経路途中距離取得部
149 管理情報記憶部