(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-05
(45)【発行日】2024-03-13
(54)【発明の名称】作動装置及び配管システム
(51)【国際特許分類】
F16K 31/04 20060101AFI20240306BHJP
E02B 13/02 20060101ALI20240306BHJP
A01G 25/00 20060101ALI20240306BHJP
【FI】
F16K31/04 Z
E02B13/02 G
A01G25/00 501B
A01G25/00 501F
(21)【出願番号】P 2019067422
(22)【出願日】2019-03-29
【審査請求日】2022-03-22
(73)【特許権者】
【識別番号】300072462
【氏名又は名称】株式会社ほくつう
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100134359
【氏名又は名称】勝俣 智夫
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】谷口 輝行
【審査官】橋本 敏行
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-192366(JP,A)
【文献】特開2017-158503(JP,A)
【文献】特開平11-294514(JP,A)
【文献】特開2009-013973(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 25/00-29/00
E02B 9/00-13/02
F16K 31/00-31/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基準方向に沿って配置された軸体
を備えた配管構造に設けられる作動装置であって、
前記基準方向に沿う自身の軸線回りに回転可能に支持さ
れた筒体と、
前記筒体を回転させるモータと、
前記軸体および前記筒体のそれぞれと供回りし、前記軸体と一体となって前記筒体に対して前記基準方向に相対的に移動可能な第1伝達部材と、
を備
え、
前記筒体は、内部に前記軸体又は前記第1伝達部材の少なくとも一部が配置され、
前記軸体は、
前記第1伝達部材と係合する係合部と、
前記係合部の上部に設けられ、前記第1伝達部材が前記係合部から上下方向に移動するのを規制する規制部材と、を備える作動装置。
【請求項2】
基準方向に沿って配置された軸体
を備えた配管構造に設けられる作動装置であって、
前記基準方向に沿う自身の軸線回りに回転可能に支持され、内部に前記軸体の少なくとも一部が配置された筒体と、
前記筒体を回転させるモータと、
前記軸体および前記筒体のそれぞれと供回り
し、前記筒体に対して前記基準方向に相対的に移動可能な第1伝達部材と、
を備
え、
前記軸体は、
前記第1伝達部材と係合する係合部と、
前記係合部の上部に設けられ、前記第1伝達部材が前記係合部から上下方向に移動するのを規制する規制部材と、を備え、
前記軸体と前記第1伝達部材とが、前記規制部材により連結されて一体とされている作動装置。
【請求項3】
前記軸体は、
前記係合部の下部に配置された第1ねじ部と、
前記係合部の上部に配置され、前記規制部材が配置される第2ねじ部と、を備え、
前記規制部材がナットである請求項1又は2に記載の作動装置。
【請求項4】
前記モータの駆動力により回転する第2伝達部材を備え、
前記第2伝達部材は前記筒体と供回りする請求項1
又は2に記載の作動装置。
【請求項5】
前記第2伝達部材に設けられ、前記筒体に接触することで前記筒体の前記基準方向における移動範囲を規制する規制部を備える
請求項4に記載の作動装置。
【請求項6】
前記筒体の回転を検出する検出部を備える請求項1
から5のいずれか一項に記載の作動装置。
【請求項7】
請求項1
から6のいずれか1項に記載の作動装置と、
管と、
前記管内に配置されて、前記
配管構造の前記軸体に接続され、前記軸体が前記基準方向に移動することで前記管を開閉させる弁体と、
前記弁体より下流側に位置し、前記弁体の外周面が接触する座面を形成する弁開口と、を備え
た配管構造と、
を有し、
前記弁体が前記弁開口から離間しているとき、前記軸体の端部は、前記弁開口よりも上流側に位置する配管システム。
【請求項8】
請求項1
から6のいずれか1項に記載の作動装置と、
管と、
前記管内に配置されて、前記
配管構造の前記軸体に接続され、前記軸体が前記基準方向に移動することで前記管を開閉させる弁体と、
前記軸体と係合する雌ねじと、を備えた配管構造と、
を有し、
前記作動装置は、
前記筒体と前記モータとを収納するケース本体と、
前記軸体が貫通する貫通孔が形成され、前記ケース本体の底部に取り付けられた底板と、を備え、
前記雌ねじは、前記底板に取り付けられている配管システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作動装置及び配管システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、配管(管)と、配管を開閉させる作動装置と、を備える給水システム(配管システム)が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1の作動装置は、モータと、モータにより回転する第2の軸(筒体)と、第2の軸の下端部に結合されたおねじ(軸体)とを備えている。おねじは、筐体の低部に設けられためねじと係合している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の作動装置では、第2の軸が軸線周りに回転すると、第2の軸がおねじと一体となって上下方向(基準方向)に移動する。このため、作動装置が大型化する問題がある。
【0005】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであって、モータにより回転する筒体及び軸体を備えていても小型化が可能な作動装置、及びこの作動装置を備える配管システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明の作動装置は、基準方向に沿って配置された軸体を備えた配管構造に設けられる作動装置であって、前記基準方向に沿う自身の軸線回りに回転可能に支持された筒体と、前記筒体を回転させるモータと、前記軸体および前記筒体のそれぞれと供回りし、前記軸体と一体となって前記筒体に対して前記基準方向に相対的に移動可能な第1伝達部材と、を備え、前記筒体は、内部に前記軸体又は前記第1伝達部材の少なくとも一部が配置され、前記軸体は、前記第1伝達部材と係合する係合部と、前記係合部の上部に設けられ、前記第1伝達部材が前記係合部から上下方向に移動するのを規制する規制部材と、を備えることを特徴としている。
この発明によれば、モータが筒体を回転させると、筒体の回転力が第1伝達部材を介して軸体に伝達され、軸体が軸線回りに回転する。この際に、軸体は第1伝達部材と一体となって筒体に対して基準方向に相対的に移動可能である。このため、筒体の内部に配置される軸体及び第1伝達部材の基準方向の大きさを長くすることにより、筒体及び軸体の全体としての基準方向の大きさが短くなる。従って、作動装置がモータにより回転する筒体及び軸体を備える場合であっても、筒体及び軸体が互いに固定されている場合に比べて、作動装置を基準方向に小型化することができる。
【0007】
また、本発明の他の作動装置は、基準方向に沿って配置された軸体を備えた配管構造に設けられる作動装置であって、前記基準方向に沿う自身の軸線回りに回転可能に支持され、内部に前記軸体の少なくとも一部が配置された筒体と、前記筒体を回転させるモータと、前記軸体および前記筒体のそれぞれと供回りし、前記筒体に対して前記基準方向に相対的に移動可能な第1伝達部材と、を備え、前記軸体は、前記第1伝達部材と係合する係合部と、前記係合部の上部に設けられ、前記第1伝達部材が前記係合部から上下方向に移動するのを規制する規制部材と、を備え、前記軸体と前記第1伝達部材とが、前記規制部材により連結されて一体とされていることを特徴としている。
この発明によれば、モータが筒体を回転させると、筒体の回転力が第1伝達部材を介して軸体に伝達され、軸体が軸線回りに回転する。この際に、軸体は第1伝達部材と一体となって筒体に対して基準方向に相対的に移動可能である。このため、筒体の内部に配置される軸体及び第1伝達部材の基準方向の大きさを長くすることにより、筒体及び軸体の全体としての基準方向の大きさが短くなる。従って、作動装置がモータにより回転する筒体及び軸体を備える場合であっても、筒体及び軸体が互いに固定されている場合に比べて、作動装置を基準方向に小型化することができる。
【0008】
また、上記の作動装置において、前記軸体は、前記係合部の下部に配置された第1ねじ部と、前記係合部の上部に配置され、前記規制部材が配置される第2ねじ部と、を備え、前記規制部材がナットであってもよい。
【0009】
また、上記の作動装置において、前記モータの駆動力により回転する第2伝達部材を備え、前記第2伝達部材は前記筒体と供回りしてもよい。
この発明によれば、モータの駆動力を第2伝達部材を介して筒体に伝達させ、筒体を第2伝達部材とともに供回りさせることができる。
【0010】
また、上記の作動装置において、前記第2伝達部材に設けられ、前記筒体に接触することで前記筒体の前記基準方向における移動範囲を規制する規制部を備えてもよい。
この発明によれば、規制部が筒体に接触することで、筒体の基準方向における移動範囲を規制することができる。
【0011】
また、上記の作動装置において、前記筒体の回転を検出する検出部を備えてもよい。
この発明によれば、検出部により筒体の回転を検出することができる。そして、例えば筒体の回転と筒体に対する軸体の基準方向の位置との間に所定の関係がある場合等には、検出した筒体の回転に基づいて、筒体に対する軸体の基準方向の位置を求めることができる。
【0012】
また、本発明の配管システムは、上記のいずれかに記載の作動装置と、管と、前記管内に配置されて、前記配管構造の前記軸体に接続され、前記軸体が前記基準方向に移動することで前記管を開閉させる弁体と、前記弁体より下流側に位置し、前記弁体の外周面が接触する座面を形成する弁開口と、を備えた配管構造と、を有し、前記弁体が前記弁開口から離間しているとき、前記軸体の端部は、前記弁開口よりも上流側に位置することを特徴としている。
この発明によれば、小型化が可能な作動装置を用いて、この配管構造の軸体が基準方向に移動することで、弁体により配管構造の管を開閉させることができる。
【0013】
また、本発明の他の配管システムは、上記のいずれかに記載の作動装置と、管と、前記管内に配置されて、前記配管構造の前記軸体に接続され、前記軸体が前記基準方向に移動することで前記管を開閉させる弁体と、前記軸体と係合する雌ねじと、を備えた配管構造と、を有し、前記作動装置は、前記筒体と前記モータとを収納するケース本体と、前記軸体が貫通する貫通孔が形成され、前記ケース本体の底部に取り付けられた底板と、を備え、前記雌ねじは、前記底板に取り付けられていることを特徴としている。
この発明によれば、小型化が可能な作動装置を用いて、この配管構造の軸体が基準方向に移動することで、弁体により配管構造の管を開閉させることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の作動装置及び配管システムによれば、モータにより回転する筒体及び軸体を備えていても作動装置を小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態の給水システムの、スピンドルが第1の位置に配置されたときの一部を破断した正面図である。
【
図2】同給水システムのスピンドル及び第1コマを分解した状態の斜視図である。
【
図3】同給水システムのスピンドル、筒体、第1コマ、及び第2コマの斜視図である。
【
図4】同給水システムの、スピンドルが第2の位置に配置されたときの一部を破断した正面図である。
【
図5】本発明の一実施形態の変形例における給水システムの要部の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る配管システムの一実施形態を、配管システムが給水システムである場合を例にとって、
図1から
図5を参照しながら説明する。
図1に示すように、給水システム1は、給水栓(配管構造)10と、本実施形態の作動装置(開閉装置)25と、を備えている。
例えば、給水栓10は、浮上式の止水栓ボールを用いた開閉弁である。給水栓10は、給水管(管)11と、弁開口12aを有する吐出管(支持部材)12と、吐出管12の上方を覆うカバー13と、給水管11内で上下方向(基準方向)に移動自在に収容された止水栓ボール(弁体)14と、を備えている。
【0017】
給水管11は、図示はしないが、ファームポンド(用水供給源)からパイプラインを経由して送られた用水(水)を、圃場に供給する。給水管11は、地面に対して略垂直に立ち上げられている。
吐出管12は、有頂筒状をなしている。吐出管12は、給水管11の上端部に取付けられている。吐出管12内と給水管11内とは連通している。吐出管12の内径は、給水管11の内径よりも小径である。
【0018】
弁開口12aは、吐出管12の側壁の下端の内縁部に全周にわたって設けられている。弁開口12aは、止水栓ボール14の外周面が液密に接触可能な座面を形成している。
吐出管12の天面の中心は、天面から下方に向けて突出している。この突出した部分には、貫通孔12bが形成されている。貫通孔12bの内周面には、不図示の雌ねじが形成されている。雌ねじの軸線は、上下方向に沿って延びている。
【0019】
吐出管12の天面には、吐出孔12cが複数設けられている。弁開口12aが開いたときに、給水管11内の用水が吐出管12内に流入するとともに、吐出孔12cを通して給水栓10の外部に吐出される。
カバー13は、吐出管12の上部を覆う有頂筒状の部材である。カバー13の天板は、吐出管12の上端部に固定されている。カバー13は、天板から側壁にかけて傘形状をなすように拡径している。
【0020】
止水栓ボール14は、いわゆるボール弁である。止水栓ボール14は、給水管11を開閉させる。止水栓ボール14は、弁開口12aよりも用水が流れる上流側で、給水管11内において給水管11内の用水により作用する浮力により浮上可能、且つ上下方向に移動可能に配置されている。
給水管11の内周面には、径方向内側に向かって突出するガイド部18が設けられている。ガイド部18は、周方向に沿って互いに間隔をあけて複数配置されている。止水栓ボール14は、複数のガイド部18に沿って上下方向に移動する。
【0021】
止水栓ボール14の直径は、弁開口12aの内径より大きく、且つ、給水管11の内径より小さい。止水栓ボール14の密度は、用水の密度よりも小さい。止水栓ボール14は、用水内で浮く。
なお、止水栓ボール14は、上方に弁開口12aの直径より大きな直径を有する球面が配置されるように形成されていれば、必ずしも球状に形成されていなくてもよい。例えば、止水栓ボール14に、止水栓ボール14の下方に向けて先細りした脚部が設けられていてもよい。止水栓ボール14が、その他に公知の構成を備えていてもよい。
【0022】
作動装置25は、給水管11を開閉させる。作動装置25は、ケース26と、スピンドル(軸体)27と、筒体28と、モータ29と、第1コマ(第1伝達部材)30と、第2コマ(第2伝達部材)31と、検出部32と、制御部33と、を備えている。
ケース26は、底板35と、ケース本体36と、を備えている。底板35は、上下方向が厚さ方向となる円板状に形成されている。底板35の中心には、貫通孔35aが形成されている。貫通孔35aは、吐出管12の貫通孔12bと連通している。底板35は、カバー13の天板上に固定されている。
ケース本体36は、有頂筒状に形成されている。ケース本体36の周壁部は、円筒状に形成されている。
なお、ケース本体36は外部からの浸水を防ぐため、貫通孔や切断面等を備えていないことが好ましく、射出成型等で頂面と側面とが一体的に形成されたものとすることができる。
【0023】
図1及び
図2に示すように、スピンドル27は、棒状に形成され、上下方向に沿って配置されている。なお、本実施形態では、スピンドル27が配置される基準方向が上下方向であるとして説明するが、基準方向は上下方向に限定されず、上下方向に交差する方向であってもよい。
スピンドル27は、上下方向の中央部及び下端部に配置された第1ねじ部39と、上端部に配置された第2ねじ部40と、第1ねじ部39と第2ねじ部40との間に配置された係合部41と、を備えている。
図2に示すように、第1ねじ部39の外周面には、吐出管12の雌ねじに嵌り合う第1雄ねじ(雄ねじ)39aが形成されている。スピンドル27の第1ねじ部39は、吐出管12の雌ねじにより、上下方向に沿う軸線C回りに回転可能に支持されている。
第2ねじ部40の外周面には、第2雄ねじ40aが形成されている。第2雄ねじ40aは、第1雄ねじ39aとはねじの螺線の向きが反対の逆ねじである。第2ねじ部40の外径は、第1ねじ部39の外径よりも小さい。
【0024】
係合部41は、角柱状(この例では四角柱状)に形成されている。係合部41の外形の上下方向に直交する断面形状は、例えば非円形の正方形状である。係合部41の外径は、第2ねじ部40の外径よりも大きい。
スピンドル27を構成する第1ねじ部39、第2ねじ部40、及び係合部41は、鋼材等で形成されている。
図1に示すように、スピンドル27の第1ねじ部39は、ケース26の貫通孔35a内に配置され、吐出管12の雌ねじに嵌め合って、吐出管12の弁開口12aよりも下方まで延びている。第1ねじ部39の下端部は、止水栓ボール14の上端部に止水栓ボール14の上方(基準方向の第1の側)から接触している。止水栓ボール14に作用する浮力により、スピンドル27と止水栓ボール14とが接続されている。
なお、
図1に示すスピンドル27の位置は、止水栓ボール14が上方に移動するのを規制する第1の位置P1である。スピンドル27が第1の位置P1に配置されているときには、止水栓ボール14は吐出管12の弁開口12aから下方(基準方向の第2の側)に離間している。給水システム1は、開いた状態にある。
【0025】
スピンドル27の第2雄ねじ40aは、例えば手動でスピンドル27を軸線C回りに回転させるための雄ねじである。スピンドル27を手動で操作する場合、作動装置25からケース26のケース本体36、第2コマ31等を取外した後で、手動ハンドルの雌ねじを第2雄ねじ40aに嵌め合わせ、スピンドル27を操作する。
【0026】
図1及び
図3に示すように、筒体28は角筒状(この例では四角筒状)に形成されている。筒体28の内部空間の上下方向に直交する断面形状は、例えば非円形の正方形状である。筒体28は、鋼管等で形成されている。
筒体28の内径は、スピンドル27の外径よりも大きい。筒体28は、ケース26の底板35よりも上方で、軸線C上に配置されている。軸線Cは、筒体28の中心軸線に一致する。
【0027】
図1に示すように、筒体28の内部には、スピンドル27の上端部(一部)が配置されている。スピンドル27は、筒体28の内部を上下方向に相対的に移動可能である。筒体28、モータ29、吐出管12の雌ねじが、ケース26の底板35に取付けられているため、、筒体28とスピンドル27とが上下方向に相対的に移動可能である。
なお、筒体28の内部に、スピンドル27の全体が配置されるように構成してもよい。
モータ29は、印加される電圧の向きを変化させることで、出力軸(不図示)を正転、及び逆転させることができる。モータ29は、ケース26に固定されたフレーム44に固定されている。フレーム44は、ケース26の底板35から上方に向かって延びる第1フレーム44aと、第1フレーム44aから水平面に沿って延びる第2フレーム44bと、を備えている。
この例では、第2フレーム44b上にギアボックス45が固定されている。モータ29は、ギアボックス45に連結されている。モータ29の出力軸は、ギアボックス45内のギアに噛み合っている。
【0028】
図2及び
図3に示すように、第1コマ30は、角筒状(この例では四角筒状)に形成されている。
第1コマ30の内部空間の上下方向に直交する断面形状は、例えば非円形の正方形状であり、係合部41の外形の断面形状と互いに同等な形状である。第1コマ30の外形の上下方向に直交する断面形状は、例えば非円形の正方形状であり、筒体28の内部空間の断面形状と互いに同等な形状である。第1コマ30は、鋼材等で形成されている。
第1コマ30は、スピンドル27の係合部41に嵌め合った状態で、筒体28の内部に配置されている。
なお、第1コマ30及びスピンドル27を一体に構成してもよい。第2雄ねじ40a等にナット等を嵌め合わせてこのナットを第1コマ30に上下方向に接触させることで、第1コマ30が係合部41から上下方向に移動するのを規制してもよい。
【0029】
図1及び
図3に示すように、第2コマ31は、本体48と、フランジ(規制部)49と、連結部材50と、を備えている。本体48は、角柱状(この例では四角柱状)に形成されている。本体48の上下方向に直交する断面形状は、例えば非円形の正方形状である。本体48のこの断面形状は、筒体28の内部空間の上下方向に直交する断面形状と互いに同等な形状である。
フランジ49は、本体48の上端部に固定されている。フランジ49は、本体48の上端部から水平面に沿って突出している。この例では、第2コマ31はフランジ49を一対備え、一対のフランジ49は本体48を挟むように配置されている。なお、フランジは、本体48の上端部に、平面視で本体48の全周にわたって環状に配置されてもよい。
【0030】
連結部材50は、例えば円柱状に形成され、本体48の上面に固定されている。
第2コマ31を構成する本体48、フランジ49、及び連結部材50は、鋼材等で一体に形成されている。
第2コマ31の連結部材50は、ギアボックス45の図示しない出力軸に固定されている。出力軸は、軸線C上に配置されている。本体48の下端部は、筒体28の内部に配置されている。フランジ49の下面は、筒体28の上端部に筒体28の上方から接触している。フランジ49は、筒体28の上方(上下方向)の移動範囲を規制している。
【0031】
図1に示すように、検出部32は、筒体28の外周面に固定された磁性体53と、磁性体53の位置を検出するセンサ54と、を備えている。
磁性体53は、永久磁石等であり、筒体28の外周面の周方向の一部に配置されている。
センサ54は、例えばリードスイッチ(不図示)を備えている。リードスイッチでは、2本の強磁性体リードがある接点間隔を持って相対している。リードスイッチに磁性体53が近づいてリードスイッチの周囲の磁界の強さが所定の値以上になると、2本の強磁性体リードが互いに接触して閉回路となり、Onの信号を出力する。一方で、リードスイッチは、磁性体53が離間してリードスイッチの周囲の磁界の強さが所定の値未満になると、Offの信号を出力する。
センサ54は、フレーム55を介してケース26の底板35に固定されている。センサ54は、筒体28の外周面(磁性体53)に対向するように配置されている。
センサ54は、モータ29の出力軸が正転しているときにリードスイッチがOnの信号を出力した数、及び、モータ29の出力軸が逆転しているときにリードスイッチがOnの信号を出力した数をそれぞれ検出する。
【0032】
なお、センサ54としては、リードスイッチに変えて電磁式回転検出器や磁気抵抗素子を用いてもよい。この場合、磁性体53として鉄やステンレス等の強磁性体製の歯車を、筒体28や第2コマ31の回転軸である軸線Cと同軸になるよう、筒体28や第2コマ31の外面に設け、歯車の山から所定の間隔を空けて電磁式回転検出器や磁気抵抗素子の検出部を設置する。歯車の回転に伴い電磁式回転検出器の誘導起電力や、磁気抵抗素子の抵抗値が変化し、これらを検出することで回転数を計測することができる。
【0033】
モータ29の出力軸が正転すると、モータ29の駆動力がギアボックス45を介して伝達され、第2コマ31及び筒体28が供回りして軸線C回りに回転する。筒体28が軸線C回りに回転すると、筒体28に係合する第1コマ30、第1コマ30に係合するスピンドル27がそれぞれ供回りする(筒体28、第1コマ30、及びスピンドル27が一体となって回転する)。スピンドル27の第1雄ねじ39aが吐出管12の雌ねじに嵌め合っているため、スピンドル27及び第1コマ30が一体となって筒体28に対して上下方向に移動する。モータ29の出力軸が正転した状態で、磁性体53が1度近づいたことをセンサ54が検出すると、筒体28が軸線C回りの所定の向きに1回回転していて、スピンドル27及び第1コマ30が第1雄ねじ39aの1ピッチ分、上方(又は下方)に移動したことが分かる。こうして、検出部32は、筒体28の回転を検出する。
同様に、モータ29の出力軸が逆転した状態で、磁性体53が1度近づいたことをセンサ54が検出すると、筒体28が軸線C回りの所定の向きとは反対の向きに1回回転していて、スピンドル27及び第1コマ30が第1雄ねじ39aの1ピッチ分、下方(又は上方)に移動したことが分かる。
【0034】
こうして、制御部33は、検出部32が検出したモータ29の出力軸の正転/逆転に応じた筒体28の回転数に基づいて、筒体28に対するスピンドル27の上下方向の位置を検出する。
なお、磁性体53を取り付ける位置は筒体28でなくともよく、磁性体53を第2コマ31の外周面に設け、センサ54は磁性体53の磁界が検出可能な位置に適宜設けてもよい。
【0035】
制御部33は、図示しないCPU(Central Processing Unit)、蓄電池等を備えている。例えば、制御部33はフレーム55に固定されている。制御部33は、モータ29及びセンサ54に接続されている。制御部33は、モータ29に電圧を印加して、モータ29の出力軸を正転、及び逆転させることができる。
制御部33は、センサ54の検出結果に基づいて、モータ29を制御する。
【0036】
次に、以上のように構成された給水システム1の動作について説明する。
図1に示すように、スピンドル27が第1の位置P1に配置されているときには、給水システム1が開いた状態にあり、給水管11内を用水が流れる。用水は、吐出管12の弁開口12a、吐出孔12cを通して給水栓10の外部に吐出され、圃場に供給される。
【0037】
一方で、モータ29の出力軸を所定の向きに回転させると、第2コマ31、筒体28、第1コマ30、及びスピンドル27が軸線C回りに回転する。
図4に示すように、吐出管12の雌ねじに嵌め合うスピンドル27が第1コマ30と一体となって上方に移動し、スピンドル27が第2の位置P2に配置される。第2の位置P2は、第1の位置P1よりも上方に位置する。
スピンドル27が第2の位置P2に配置されているときには、止水栓ボール14は、スピンドル27が第1の位置P1に配置されているときの止水栓ボール14の位置よりも上方に移動するのを許容される。止水栓ボール14は、吐出管12の弁開口12aに下方から接触する。給水システム1は、閉じた状態にある。このように、スピンドル27が上下方向に移動することで止水栓ボール14を作動させる。スピンドル27は、第1の位置P1と第2の位置P2との間を上下方向に移動する。作動装置25は、筒体28に対してスピンドル27が上下方向に移動することで、給水管11を開閉させる。
スピンドル27が第2の位置P2に配置されているときには、給水管11内を用水が流れず、用水は圃場に供給されない。
【0038】
以上説明したように、本実施形態の作動装置25によれば、モータ29が筒体28を軸線C回りに回転させると、筒体28の回転力が第1コマ30を介してスピンドル27に伝達され、スピンドル27が軸線C回りに回転する。この際に、スピンドル27は第1コマ30と一体となって筒体28に対して上下方向に相対的に移動可能である。このため、筒体28の内部に配置されるスピンドル27及び第1コマ30の上下方向の大きさを長くすることにより、筒体28及びスピンドル27の全体としての上下方向の大きさが短くなる。従って、作動装置25がモータ29により回転する筒体28及びスピンドル27を備える場合であっても、筒体及びスピンドルが互いに固定されている場合に比べて、作動装置25を上下方向に小型化することができる。
【0039】
作動装置25は、第2コマ31を備えている。これにより、モータ29の駆動力を第2コマ31を介して筒体28に伝達させ、筒体28を第2コマ31とともに供回りさせることができる。
作動装置25は、フランジ49を備えている。フランジ49が筒体28に接触することで、筒体28の上下方向における移動範囲を規制することができる。
作動装置25は検出部32を備えているため、筒体28の回転を検出することができる。そして、制御部33は、検出した筒体28の回転に基づいて、筒体28に対するスピンドル27の上下方向の位置を求めることができる。
【0040】
なお、検出部32としては、筒体28の回転数を計測可能な手段であればよく、筒体28や第1コマ30の回転を伝達する回転伝達手段と、回転伝達手段から伝達される回転を計測する回転計測手段と、を備えていればよい。回転伝達手段から回転計測手段へと回転を伝達する方法としては、回転伝達手段が回転計測手段と接触して回転を伝達する接触式でもよいが、本実施形態のように回転伝達手段が非接触で回転計測手段へと回転を伝達する非接触式が好ましい。
特に、本実施形態では圃場など屋外で使用する場合、ケース本体36内に埃や植物、虫等が侵入する恐れがあるため、検出部32としてはこれらの影響を受けにくい磁気を用いた回転伝達手段および回転計測手段とすることが好ましい。
【0041】
また、本実施形態の給水システム1によれば、小型化が可能な作動装置25を用いて、給水栓10の給水管11を開閉させることができる。
給水システム1は、雌ねじが形成された吐出管12を備えている。モータ29が筒体28を軸線C回りに回転させたときに、吐出管12の雌ねじとスピンドル27の第1雄ねじ39aとの嵌め合わせにより、筒体28と供回りするスピンドル27を上下方向に移動させることができる。
【0042】
給水栓10は、止水栓ボール14を備えている。作動装置25がスピンドル27を上下方向に移動させることで、止水栓ボール14を作動させて給水管11を開閉させることができる。
スピンドル27は、第1の位置P1と第2の位置P2との間を上下方向に移動する。スピンドル27が第1の位置P1に配置されることで止水栓ボール14が上方に移動するのを規制するとともに、スピンドル27が第2の位置P2に配置されることで止水栓ボール14が上方に移動するのを許容することができる。
【0043】
以上、本発明の一実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の構成の変更、組み合わせ、削除等も含まれる。
例えば、前記実施形態では、
図5に示す給水システム1Aのように、第2コマ61の本体62が有頂筒状に形成されてもよい。本体62の天壁部は、筒体28の上端部に筒体28の上方から接触している。本体62の周壁部は、角筒状(この例では四角筒状)に形成されている。本体62の周壁部は、筒体28の上端部を筒体28の外側から囲い、筒体28に係合している。
【0044】
検出部32が筒体28に対するスピンドル27の上下方向の位置を検出する方式は、本実施形態の方式に限定されない。
例えば、回転計測手段として赤外線などの計測光の照射部・受光部を備えたものとし、筒体28の外面に回転伝達手段として光反射部または光透過部を設け、任意の位置に設けた回転計測手段から光反射部または光透過部へ計測光を照射し、回転計測手段が反射光または透過光を検出することで回転数を計測してもよい。
また、直接的にスピンドル27の位置を検出してもよく、例えば、スピンドル27に磁性体を固定し、スピンドル27が第1の位置P1に配置されたときにこの磁性体による磁界を検出する位置に第1リードスイッチを配置するとともに、スピンドル27が第2の位置P2に配置されたときにこの磁性体による磁界を検出する位置に第2リードスイッチを配置してもよい。
さらに、回転計測手段が、回転する筒体28や第2コマ31と直接接触し、機械的に回転数を計測してもよい。
【0045】
第2コマ31は、フランジ49及び連結部材50を備えなくてもよい。この場合、本体48の全体が筒体28の内部に配置されていてもよい。
スピンドル27の係合部41の上下方向に直交する断面形状は、非円形であれば、楕円形状や、六角形状等の多角形状でもよい。第1コマ30等についても同様である。
作動装置25は、ケース26、第2コマ31、検出部32、制御部33を備えなくてもよい。
配管システムが給水システムであるとしたが、配管システムはこれに限定されず、排水を流す排水システム等であるとしてもよい。
【符号の説明】
【0046】
1,1A 給水システム(配管システム)
11 給水管(管)
12 吐出管(支持部材)
14 止水栓ボール(弁体)
25 作動装置
27 スピンドル(軸体)
28 筒体
29 モータ
30 第1コマ(第1伝達部材)
31,61 第2コマ(第2伝達部材)
32 検出部
39a 第1雄ねじ(雄ねじ)
P1 第1の位置
P2 第2の位置