(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-05
(45)【発行日】2024-03-13
(54)【発明の名称】医薬品製造システム、及び医薬品製造方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/04 20120101AFI20240306BHJP
G05B 19/418 20060101ALI20240306BHJP
G06F 21/62 20130101ALI20240306BHJP
【FI】
G06Q50/04
G05B19/418 Z
G06F21/62 309
(21)【出願番号】P 2020024956
(22)【出願日】2020-02-18
【審査請求日】2022-10-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000112912
【氏名又は名称】フロイント産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100195752
【氏名又は名称】奥村 一正
(72)【発明者】
【氏名】林 輝彦
【審査官】牧 裕子
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-117478(JP,A)
【文献】特開平11-306207(JP,A)
【文献】特開2004-028583(JP,A)
【文献】特開2003-065808(JP,A)
【文献】特開2003-058427(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0037255(US,A1)
【文献】竹之内 永光,FDA Part11対応システムのセキュリティをどう考えるか,オートメーション,第48巻,第4号,日本,日刊工業出版プロダクション,2003年04月01日,p.33-37
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
G05B 19/418
G06F 21/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医薬品製造のための医薬品製造システムであって、
医薬品製造装置に対して操作入力を行う操作部と、
前記医薬品製造装置のプロセスデータを収集するプロセスデータ収集部と、
前記操作部において
前記医薬品製造装置に対して操作入力された操作履歴データ、及び前記プロセスデータ収集部が収集したプロセスデータを保存するデータ保存部と、を備え、
前記データ保存部は、前記操作履歴データ及び前記プロセスデータを改ざん防止形式で保存
し、
前記医薬品製造装置は、混合装置、造粒装置、コーティング装置、打錠装置、又は印刷装置のいずれかであることを特徴とする医薬品製造システム。
【請求項2】
前記操作部は、
前記医薬品製造装置に対して操作入力された操作データの履歴を改ざん防止形式に変換して、前記データ保存部に改ざん防止形式の操作履歴データとして保存可能であり、
前記プロセスデータ収集部は、前記医薬品製造装置における前記プロセスデータを改ざん防止形式に変換して、前記データ保存部に改ざん防止形式のプロセスデータとして保存可能であることを特徴とする請求項1に記載の医薬品製造システム。
【請求項3】
前記改ざん防止形式は、バイナリ形式であることを特徴とする請求項1~
2のいずれかに記載の医薬品製造システム。
【請求項4】
前記操作履歴データにはロット番号を含み、
前記データ保存部では、前記プロセスデータを前記ロット番号に紐づけして保存されることを特徴とする請求項1~
3のいずれかに記載の医薬品製造システム。
【請求項5】
少なくともデータ保存部に接続された無停電電源装置を備えたことを特徴とする請求項1~
4のいずれかに記載の医薬品製造システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、信頼性の高い医薬品製造システム、及び医薬品製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
1997年にアメリカのFDAは、21 CFR PART11という電子データに紙媒体と同等の法的権威を与えるために電子データ取扱現場で守らせる取扱の要件を制定した。我が国においても2000年以降に取り組みが始まっており、システムへのアクセスを制限しセキュリティーを確保したり、データの変更履歴が分かるように自動的にコンピュータが監査証跡を作成したりする取り組みが行われ始めた。
【0003】
特許文献1には、操作履歴情報を生成することが記載されている。また、特許文献2には、21 CFR PART11を満たすように電子署名の必要性、及び製造履歴を示すデータを出力することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特許文献1:特開2018-097524号公報
特許文献2:特開2004-152058号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1及び特許文献2に記載のものは、それぞれ履歴情報を生成することは記載されているが、履歴情報の改ざんを防ぐ手段については記載がなく、履歴情報の改ざんを防止することが困難であるという問題があった。
【0006】
本発明は、上記問題点を解決して、操作履歴データ、及び製造におけるプロセスデータの改ざんを防止して保存し信頼性の高い医薬品製造システムを構築することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明は、医薬品製造のための医薬品製造システムであって、
医薬品製造装置に対して操作入力を行う操作部と、
前記医薬品製造装置のプロセスデータを収集するプロセスデータ収集部と、
前記操作部において前記医薬品製造装置に対して操作入力された操作履歴データ、及び前記プロセスデータ収集部が収集したプロセスデータを保存するデータ保存部と、を備え、
前記データ保存部は、前記操作履歴データ及び前記プロセスデータを改ざん防止形式で保存し、
前記医薬品製造装置は、混合装置、造粒装置、コーティング装置、打錠装置、又は印刷装置のいずれかであることを特徴とする医薬品製造システムを提供するものである。
【0008】
この構成により、混合装置、造粒装置、コーティング装置、打錠装置、又は印刷装置に対しての操作履歴データ、及び製造におけるプロセスデータの改ざんを防止して保存し信頼性の高い医薬品製造システムを構築することができる。
【0009】
前記操作部は、前記医薬品製造装置に対して操作入力された操作データの履歴を改ざん防止形式に変換して、前記データ保存部に改ざん防止形式の操作履歴データとして保存可能であり、
前記プロセスデータ収集部は、前記医薬品製造装置における前記プロセスデータを改ざん防止形式に変換して、前記データ保存部に改ざん防止形式のプロセスデータとして保存可能である構成としてもよい。
【0010】
この構成により、高価なソフトをプログラムすることなく安価に信頼性の高い医薬品製造システムを構築できる。
【0013】
前記改ざん防止形式は、バイナリ形式である構成としてもよい。
【0014】
この構成により、安価にしかも簡単に信頼性の高い医薬品製造システムを構築できる。
【0015】
前記改ざん防止形式の操作履歴データにはロット番号を含み、
前記データ保存部では、前記改ざん防止形式のプロセスデータを前記ロット番号に紐づけして保存される構成としてもよい。
【0016】
この構成により、製造ロットごとに、改ざん防止形式の操作履歴、及び改ざん防止形式のプロセスデータを保存することができ、市場で問題が発生した時などに履歴情報を把握しやすくできる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の医薬品製造システム、及び医薬品製造方法により、操作履歴データ、及び製造におけるプロセスデータの改ざんを防止して保存し信頼性の高い医薬品製造システムを構築することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の実施例1における医薬品製造システムを説明する図である。
【
図2】本発明の実施例1における操作履歴データのイメージを説明する図である。
【
図3】本発明の実施例1におけるデータ保存のイメージを説明する図である。
【
図4】本発明の実施例2における医薬品製造システムを説明する図である。
【
図5】本発明の実施例3における医薬品製造システムを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0021】
本発明の実施例1について、
図1~
図3を参照して説明する。
図1は、本発明の実施例1における医薬品製造システムを説明する図である。
図2は、本発明の実施例1における操作履歴データのイメージを説明する図である。
図3は、本発明の実施例1におけるデータ保存のイメージを説明する図である。
【0022】
(医薬品製造システム)
実施例1における医薬品製造システム100は、操作部10、プロセスデータ収集部20、データ保存部30、及び長期保存部40を備えている。そして、医薬品製造システム100は、オペレータが操作部10からロット番号、製造品目、日付(自動入力される)、原料重量、個数、操作種別、変更値等を入力し、医薬品製造装置Pに対して指示して製造を開始させる。また、医薬品製造装置Pが製造を行っている期間の給気風量、給気温度、時間等のプロセスデータをプロセスデータ収集部20が収集し記憶する。
【0023】
ここで、医薬品製造装置Pとは造粒装置、コーティング装置、混合装置、打錠装置、印刷装置等の医薬品を製造する装置を指す。
【0024】
操作部10はタッチパネル等のユーザーインターフェースで、CPUを有しており、ソフトウエアにより操作入力されたデータを医薬品製造装置Pに指示するとともに、操作入力されたデータを、操作履歴データとして操作部10にて記憶する。そして、改ざんができない改ざん防止形式の操作履歴データ15に変換して、1日に一回定期的にデータ保存部30に送られる。これにより、医薬品の製造において、操作履歴データに不正が行われることを防止でき、品質に関して信頼性を向上させることができる。
【0025】
操作部10に記憶される操作履歴データのイメージ11を
図2に示す。オペレータが操作部10を操作した内容をその日付、時刻とともに操作種別及び変更値が記憶される。操作部10を操作できるオペレータは、操作レベルとともに記憶され、パスワード認証を行って許可された操作レベルにおいて操作が可能となる。つまり、いつ、だれが、どのような許可を得て、何を入力したのかを全て操作履歴データとして記憶される。したがって、不正な操作があったかどうかや、どのような不正があったかを、この操作履歴データにより明らかにすることができる。
【0026】
プロセスデータ収集部20は記録計で、CPUを有しており、ソフトウエアにより医薬品製造装置Pの稼働中の様々なプロセス中のデータを読み取り、プロセスデータ収集部20内に記憶するとともに、記憶されたプロセスデータを改ざんができない改ざん防止形式のプロセスデータ25に変換して、1日に一回定期的にデータ保存部30に送る。これにより、医薬品の製造において、プロセスデータに不正が行われることを防止でき、品質に関して信頼性を向上させることができる。
【0027】
つまり、実施例1においては、操作部10におけるソフトウエアにて操作履歴データを改ざん防止形式の操作履歴データ15に変換し、プロセスデータ収集部20におけるソフトウエアにてプロセスデータを改ざん防止形式のプロセスデータ25に変換する。パソコン等で変換する特別なプログラムを組む必要がなく、またOSの更新等でその特別なプログラムを検証する必要が無いため、安価にシステムを構築することができる。
【0028】
実施例1においては、改ざん防止形式とは画像形式(BMP,JPEG,TIFE,GIF等)である。しかしながら、これに限定されず適宜変更が可能である。例えば、解読が困難なバイナリ形式であればよく、暗号化されたものであればなおよい。暗号化されているバイナリ形式は、専用ビューワーでログインして閲覧できるが、データの修正や削除は行えない。編集が可能なテキスト形式と違い、画像形成も同様にデータの修正や削除が行えないため、システムの信頼性が向上する。
【0029】
なお、実施例1においては、改ざん防止形式の操作履歴データ15及びプロセスデータ25を1日に一回定期的にデータ保存部30に送られるように構成したが、必ずしもこれに限定されず適宜変更が可能である。例えば、1週間に一回定期的にデータ保存部30に送られるように構成してもよいし、ロット毎にデータ保存部30に送られるように構成してもよい。また、操作部10が改ざん防止形式の操作履歴15を送信するタイミングと、プロセスデータ収集部20が改ざん防止形式のプロセスデータ25を送信するタイミングとは、同期していてもよいし、同期せずにばらばらに送信するようにしてもよい。
【0030】
データ保存部30は、パソコンで構成され、2TBの記憶容量を備えているが、いずれ記憶容量が不足することが考えられる。そのため、1ヶ月に一回、データ保存部30に保存されている改ざん防止形式の操作履歴データ及びプロセスデータ35を外部記憶媒体である長期保存部40に転送して長期保存する。長期保存部40は8TBの記憶容量を有しており、より多くのデータを保存することができる。
【0031】
改ざん防止形式の操作履歴データ及びプロセスデータ35は、
図3に示すように、ロット番号で紐づけされた形式で保存される。これにより、製造ロットごとに、改ざん防止形式の操作履歴、及び改ざん防止形式の製造プロセスデータを保存することができ、市場で問題が発生した時などに履歴情報を把握しやすくできる。
【0032】
データ保存部30及び長期保存部40は、鍵付きのラックに収納され、容易にアクセスできないように管理されている。これにより、さらに改ざん防止形式の操作履歴、及び改ざん防止形式の製造プロセスデータが改ざんされる危険が減少する。
【0033】
(医薬品製造方法)
オペレータが操作部10を操作して、医薬品製造装置Pを動作させるためのロット番号、製造品目、日付(自動入力される)、原料重量、個数、操作種別、変更値等を入力する。操作入力されたデータは医薬品製造装置Pに送られて、製造を開始する。操作された内容は、操作履歴データとして操作部10に記憶される。
【0034】
医薬品製造装置Pが製造を開始すると、プロセスデータ収集部20が給気風量、給気温度、時間等のプロセスデータ21を収集して記憶する。このプロセスデータ21の収集、及び記憶は、医薬品製造装置Pの製造期間中継続して行われる。
【0035】
そして、操作部10に記憶されている操作履歴データは、改ざん防止形式の操作履歴データ15に変換される。そして、定期的に、又はロット毎に、改ざん防止形式の操作履歴データ15を保存装置30に保存する。また、プロセスデータ収集部20に記憶されているプロセスデータは、改ざん防止形式のプロセスデータ25に変換される。そして、定期的に又はロット毎に、改ざん防止形式のプロセスデータ25を保存装置30に保存する。このとき、改ざん防止形式の操作履歴データ及びプロセスデータ35は、
図3に示すように、ロット番号で紐づけされた形式で保存される。これにより、製造ロットごとに、操作履歴及び製造プロセスデータを保存することができ、市場で問題が発生した時などに履歴情報を把握しやすくできる。
【0036】
さらに、1ヶ月程度の所定期間毎に、保存装置30に保存されている改ざん防止形式の操作履歴データ及びプロセスデータ35を長期保存装置40に転送して保存する。これにより、保存装置30の記憶容量を比較的少なくしてコンパクトに構成することができる
【0037】
このように、実施例1においては、医薬品製造のための医薬品製造システムであって、
医薬品製造装置に対して操作入力を行う操作部と、
前記医薬品製造装置のプロセスデータを収集するプロセスデータ収集部と、
前記操作部において操作入力された操作履歴データ、及び前記プロセスデータ収集部が収集したプロセスデータを保存するデータ保存部と、を備え、
前記データ保存部は、前記操作履歴データ及び前記プロセスデータを改ざん防止形式で保存することを特徴とする医薬品製造システムにより、操作履歴データ、及び製造におけるプロセスデータの改ざんを防止して保存し信頼性の高い医薬品製造システムを構築することができる。
【0038】
また、医薬品製造のための医薬品製造方法であって、
医薬品製造装置に対して操作入力された操作履歴データを改ざん防止形式で保存するとともに、前記医薬品製造装置から収集したプロセスデータを改ざん防止形式で保存することを特徴とする医薬品製造方法により、操作履歴データ、及び製造におけるプロセスデータの改ざんを防止して保存し信頼性の高い医薬品製造システムを構築することができる。
【実施例2】
【0039】
本発明の実施例2は、操作履歴データ及びプロセスデータを保存装置が、改ざん防止形式のデータに変換する点で実施例1と異なっている。実施例2について、
図4を参照して説明する。
図4は、本発明の実施例2における医薬品製造システムを説明する図である。
【0040】
(医薬品製造装置)
実施例2における医薬品製造システム200は、操作部210、プロセスデータ収集部220、データ保存部230、及び長期保存部40を備えている。そして、医薬品製造システム200は、オペレータが操作部210からロット番号、製造品目、日付(自動入力される)、原料重量、個数、操作種別、変更値等を医薬品製造装置Pに対して指示して製造を開始させる。また、医薬品製造装置Pが製造を行っている期間の給気風量、給気温度、時間等のプロセスデータ21をプロセスデータ収集部220が逐次収集して記憶する。
【0041】
ここで、医薬品製造装置Pとは造粒装置、コーティング装置、混合装置、打錠装置、印刷装置等の医薬品を製造する装置を指す。
【0042】
操作部210で操作入力されたデータは、操作履歴データ212(改ざん防止形式ではない)として操作部210にて記憶される。そして、随時、データ保存部230に送られる。また、プロセスデータ収集部220が収集、記憶したプロセスデータは、プロセスデータ収集部220において、プロセスデータ222(改ざん防止形式ではない)として随時、データ保存部230に送られる。
【0043】
データ保存部230は、パソコンで構成され、送られた操作履歴データ212及びプロセスデータ222は、データ保存部230において、改ざん防止形式の操作履歴データ及びプロセスデータ35に変換されて保存される。この変換には、専用の変換ソフトを使用して実現することができ、装置に最適化されたシステムを構築できる。
【0044】
改ざん防止形式の操作履歴データ及びプロセスデータ35は、
図3に示すように、ロット番号で紐づけされた形式で保存される。これにより、製造ロットごとに、操作履歴及び製造プロセスデータを保存することができ、市場で問題が発生した時などに履歴情報を把握しやすくできる。
【0045】
データ保存部230は、パソコンで構成され、2TBの記憶容量を備えているが、いずれ記憶容量が不足することが考えられる。そのため、1ヶ月に一回、データ保存部230に保存されている改ざん防止形式の操作履歴データ及びプロセスデータ35を外部記憶媒体である長期保存部40に転送して長期保存する。長期保存部40は8TBの記憶容量を有しており、より多くのデータを保存することができる。
【0046】
(医薬品製造方法)
医薬品製造装置Pに対してオペレータが操作部210を操作して、医薬品製造装置Pを動作させるためのロット番号、製造品目、日付(自動入力される)、原料重量、個数、操作種別、変更値等を入力する。入力された操作データは医薬品製造装置Pに送られて、製造を開始する。操作された内容は、操作履歴データとして操作部210に記憶される。
【0047】
医薬品製造装置Pが製造を開始すると、プロセスデータ収集部220が給気風量、給気温度、時間等のプロセスデータ21を逐次収集して記憶する。このプロセスデータ21の収集、及び記憶は、医薬品製造装置Pの製造期間中行われる。
【0048】
そして、操作部210に記憶されている操作履歴データ212を定期的に又はロット毎に、保存装置230に保存する。また、プロセスデータ収集部220に記憶されているプロセスデータ222を定期的に又はロット毎に、保存装置230に保存する。保存装置230では、送られてきた操作履歴データ212及びプロセスデータ222を改ざん防止形式に変換する。このとき、改ざん防止形式の操作履歴データ及びプロセスデータ35は、
図3に示すように、ロット番号で紐づけされた形式で保存される。これにより、製造ロットごとに、操作履歴及び製造プロセスデータを保存することができ、市場で問題が発生した時などに履歴情報を把握しやすくできる。
【0049】
さらに、1ヶ月程度の所定期間毎に、保存装置230に保存されている改ざん防止形式の操作履歴データ及びプロセスデータ35を長期保存装置40に転送して保存する。これにより、保存装置30の記憶容量を比較的少なくしてコンパクトに構成することができる
【0050】
このように、実施例2においては、操作履歴データ及びプロセスデータを保存装置で、改ざん防止形式のデータに変換することにより、専用の変換ソフトを使用して実現することができ、装置に最適化されたシステムを構築できる。
【実施例3】
【0051】
本発明の実施例3は、無停電電源装置を備えたことで実施例1及び2と異なって
いる。実施例3について、
図5を参照して説明する。
図5は、本発明の実施例3における医薬品製造システムを説明する図である。
【0052】
実施例3における医薬品製造システム300は、無停電電源装置350を備えている。無停電電源装置350は、操作部10、プロセスデータ収集部20、データ保存部30、及び長期保存部40に接続され、停電時に電力を供給することができる。そして、無停電電源装置350は、保存されているデータが消えることを防止するとともに、操作部10、プロセスデータ収集部20、データ保存部30、及び長期保存部40を自動的にシャットダウンすることができる。これにより、さらに信頼性の高い医薬品製造システムを構築することができる。
【0053】
なお、実施例3においては、無停電電源装置350は、操作部10、プロセスデータ収集部20、データ保存部30、及び長期保存部40に接続される構成としたが、必ずしもこれに限定されず適宜変更が可能である。例えば、データ保存部30のみに接続される構成としてもよいし、長期保存部40にのみに接続される構成としてもよいし、データ保存部30及び長期保存部40に接続される構成としてもよい。接続される対象を絞ることによって、無停電電源装置350の容量を小さくすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明における医薬品製造システム、及び医薬品製造方法は、医薬品製造の分野に広く用いることができる。
【符号の説明】
【0055】
10:操作部 11:操作履歴データのイメージ
15:改ざん防止形式の操作履歴データ
20:プロセスデータ収集部 21:プロセスデータ
25:改ざん防止形式のプロセスデータ
30:データ保存部
35:改ざん防止形式の操作履歴データ及びプロセスデータ
40:長期保存部
100:医薬品製造システム 200:医薬品製造システム
210:操作部 212:操作履歴データ
220:プロセスデータ収集部
222:プロセスデータ
230:データ保存部
300:医薬品製造システム 350:無停電電源装置
P:医薬品製造装置