(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-05
(45)【発行日】2024-03-13
(54)【発明の名称】管内走行装置
(51)【国際特許分類】
B61B 13/10 20060101AFI20240306BHJP
【FI】
B61B13/10
(21)【出願番号】P 2020130377
(22)【出願日】2020-07-31
【審査請求日】2023-07-18
(73)【特許権者】
【識別番号】593006630
【氏名又は名称】学校法人立命館
(74)【代理人】
【識別番号】100080182
【氏名又は名称】渡辺 三彦
(72)【発明者】
【氏名】馬 書根
(72)【発明者】
【氏名】加古川 篤
(72)【発明者】
【氏名】岡 義倫
【審査官】長谷井 雅昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-006290(JP,A)
【文献】特開2017-007520(JP,A)
【文献】再公表特許第2014/076806(JP,A1)
【文献】特開2015-024748(JP,A)
【文献】米国特許第04862808(US,A)
【文献】中国特許出願公開第101531217(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61B 13/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
管の内部を走行する管内走行装置であって、
同一平面上に直列に連結される複数のリンクと、
前記複数のリンクの各隣り合うリンク同士をそれぞれ前記平面上で揺動可能に連結する連結部と、
各前記連結部と前記複数のリンクの両端に位置する前記リンクである2つの端リンクの自由端部とにそれぞれ設けられる前記管の内壁面を走行可能な転動体と、
前記複数のリンクが2つの場合には2つの前記リンクが前記連結部で屈曲して略山形となるように付勢し、前記複数のリンクが3つ以上の場合には前記複数のリンクが各前記連結部で互い違いに屈曲してジグザグ状となるように付勢して前記管の対向する内壁面にそれぞれ前記転動体を当接させる付勢手段と、
少なくとも1つの前記転動体を駆動する駆動手段と、
を備え、
各前記転動体は、前記駆動手段によって駆動されて前記管の内壁面を走行する第1転動体と、前記第1転動体の走行に伴って従動的に前記管の内壁面を走行する第2転動体とのいずれかであって、
前記第1転動体は、前記2つの端リンクのうちの少なくとも一方の自由端部に設けられ、当該端リンクのリンク軸に対して垂直な第1回転軸を有し、前記第1回転軸周りに回転可能かつ前記リンク軸周りに回転可能に前記端リンクに接続され、
前記駆動手段は、
前記第1転動体が設けられる前記端リンクのリンク軸に沿って当該リンク軸上で回転可能に設けられる出力軸と、
前記出力軸を前記出力軸周りに回転させて前記出力軸を介して双方向の回転駆動力を切り替え可能に出力するアクチュエータと、
前記出力軸の前記出力軸周りの回転方向と前記第1転動体の前記第1回転軸周りの回転方向とを一対一で対応させて前記出力軸から前記第1転動体に回転駆動力を伝達する伝達手段と、
前記第1転動体の前記第1回転軸周りの双方向の回転のうちの一方への回転を許容して他方への回転を回転不能に制限する回転方向制限手段と、
を備える
ことを特徴とする管内走行装置。
【請求項2】
前記第1転動体が、前記第1回転軸として第1車軸と、前記第1車軸の両端に固定される一対の第1車輪とを備え、
前記伝達手段が、前記出力軸と前記第1車軸とにそれぞれ取り付けられる一対の傘歯車であることを特徴とする請求項1に記載の管内走行装置。
【請求項3】
前記一対の第1車輪が、一対の半球状車輪であることを特徴とする請求項2に記載の管内走行装置。
【請求項4】
前記第1転動体の前記リンク軸周りの回転を抑制するための回転抑制手段をさらに備えることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の管内走行装置。
【請求項5】
前記第1転動体の前記リンク軸周りの回転角度を検出する回転角度検出手段をさらに備えることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の管内走行装置。
【請求項6】
前記第2転動体が、前記複数のリンクによって規定される前記平面に垂直な第2車軸と、前記第2車軸の両端に固定される一対のオムニホイールとを備え、前記第2車軸が当該第2車軸周りに回転可能に設けられることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の管内走行装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管の内部を走行可能な管内走行装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インフラ設備の耐用年数超過が問題視され始めており、中でも流体の輸送に使用される配管設備の老朽化が深刻化している。未然に漏洩事故を防ぐためには定期的な配管検査が必要になるが、人間は小さな配管内に入ることができないため、埋設された配管を掘り起こしたり、配管そのものを分解する必要がある。しかし、人手によるこれらの作業は時間や労力が掛かり、危険も伴う。そのため、近年は、カメラや肉厚測定センサ等の各種センサを搭載した管内検査ロボットによる配管検査が注目されており、様々な管内検査ロボットが開発されている。
【0003】
このような管内検査ロボットとして、配管内を走行可能な自走式の管内走行装置を用いたものが多く提案されている。その中で、本発明者らも、これまでにいくつかの自走式の管内走行装置についての発明を開示している(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。特許文献1及び特許文献2に記載の発明は、複数のリンクがジグザグ状に連結されて、各隣り合うリンク同士の連結部と連結された複数のリンクの両端の自由端部とにそれぞれ車輪が設けられ、管の内壁面に接地させた車輪によって管内を走行可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-007520号公報
【文献】特開2019-006290号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1及び特許文献2に記載のような複数の車輪がリンクで連結されたような構成の管内走行装置においては、曲管部を有する管の内部を走行させる際に、装置の先端のリンクの方向を曲管部の曲がる方向に合わせる必要があるので、管軸方向に沿った前後移動だけでなく、管軸周りにロール回転させることが必要となる。
【0006】
特許文献1では、前後移動用の第1駆動手段と、ロール回転用の第2駆動手段とが別々に設けられ、第1駆動手段によって駆動される前後移動用の車輪と、第2駆動手段によって駆動されるロール回転用の車輪もまた別々に設けられた構成となっていた。そのため、少なくとも2つの駆動手段と4つのリンクが必要であり、装置の小型化や軽量化の点で改善の余地があった。
【0007】
特許文献2では、管内での直進走行と螺旋走行とを共通の駆動手段の駆動によりなすことができ、装置を構成するリンクの数についても最小の場合は2つのリンクで構成可能であることが記載されているが、螺旋走行を行う際には、装置が備える複数の車輪のうちの一部の車輪の回転数と残りの車輪の回転数とに差を生じさせて、各車輪の速度バランスを崩すように制御することで、装置全体がねじれて管内を螺旋走行するという構成になっていた。従って、直進走行と螺旋走行とを共通の駆動手段で行えるものの、少なくとも2つの駆動手段が必要であった。また、螺旋走行のためには各駆動手段によって駆動される車輪の速度バランスを適切に制御する必要があるので、制御が複雑になってしまっていると共に、装置が管内で静止した状態からその場でロール回転させることは難しく螺旋走行させる必要があったので、それらの点で改善の余地があった。
【0008】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、複雑な制御を必要とせずに管内で管軸方向への移動と管軸周りのロール回転とが可能で、小型化を図ることができる管内走行装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明に係る管内走行装置は、管の内部を走行する管内走行装置であって、同一平面上に直列に連結される複数のリンクと、前記複数のリンクの各隣り合うリンク同士をそれぞれ前記平面上で揺動可能に連結する連結部と、各前記連結部と前記複数のリンクの両端に位置する前記リンクである2つの端リンクの自由端部とにそれぞれ設けられる前記管の内壁面を走行可能な転動体と、前記複数のリンクが2つの場合には2つの前記リンクが前記連結部で屈曲して略山形となるように付勢し、前記複数のリンクが3つ以上の場合には前記複数のリンクが各前記連結部で互い違いに屈曲してジグザグ状となるように付勢して前記管の対向する内壁面にそれぞれ前記転動体を当接させる付勢手段と、少なくとも1つの前記転動体を駆動する駆動手段と、を備え、各前記転動体は、前記駆動手段によって駆動されて前記管の内壁面を走行する第1転動体と、前記第1転動体の走行に伴って従動的に前記管の内壁面を走行する第2転動体とのいずれかであって、前記第1転動体は、前記2つの端リンクのうちの少なくとも一方の自由端部に設けられ、当該端リンクのリンク軸に対して垂直な第1回転軸を有し、前記第1回転軸周りに回転可能かつ前記リンク軸周りに回転可能に前記端リンクに接続され、前記駆動手段は、前記第1転動体が設けられる前記端リンクのリンク軸に沿って当該リンク軸上で回転可能に設けられる出力軸と、前記出力軸を前記出力軸周りに回転させて前記出力軸を介して双方向の回転駆動力を切り替え可能に出力するアクチュエータと、前記出力軸の前記出力軸周りの回転方向と前記第1転動体の前記第1回転軸周りの回転方向とを一対一で対応させて前記出力軸から前記第1転動体に回転駆動力を伝達する伝達手段と、前記第1転動体の前記第1回転軸周りの双方向の回転のうちの一方への回転を許容して他方への回転を回転不能に制限する回転方向制限手段と、を備えることを特徴とする。
【0010】
好ましくは、本発明に係る管内走行装置は、前記第1転動体が、前記第1回転軸として第1車軸と、前記第1車軸の両端に固定される一対の第1車輪とを備え、前記伝達手段が、前記出力軸と前記第1車軸とにそれぞれ取り付けられる一対の傘歯車であることを特徴とする。
【0011】
好ましくは、本発明に係る管内走行装置は、前記一対の第1車輪が、一対の半球状車輪であることを特徴とする。
【0012】
好ましくは、本発明に係る管内走行装置は、前記第1転動体の前記リンク軸周りの回転を抑制するための回転抑制手段をさらに備えることを特徴とする。
【0013】
好ましくは、本発明に係る管内走行装置は、前記第1転動体の前記リンク軸周りの回転角度を検出する回転角度検出手段をさらに備えることを特徴とする。
【0014】
好ましくは、本発明に係る管内走行装置は、前記第2転動体が、前記複数のリンクによって規定される前記平面に垂直な第2車軸と、前記第2車軸の両端に固定される一対のオムニホイールとを備え、前記第2車軸が当該第2車軸周りに回転可能に設けられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る管内走行装置によると、連結された複数のリンクの端に位置する端リンクの自由端部に、駆動手段によって駆動される第1転動体が、端リンクのリンク軸に対して垂直な第1回転軸周りに回転可能かつ端リンクのリンク軸周りに回転可能に設けられており、駆動手段は、アクチュエータからの双方向に切り替え可能な回転駆動力を出力する出力軸が端リンクのリンク軸に沿って当該リンク軸周りに回転可能に設けられ、伝達手段によって出力軸の回転によって出力される回転駆動力が第1転動体に伝達されて、その回転駆動力によって第1転動体は第1回転軸周りに回転しようとする。このとき、管内走行装置1には第1転動体の第1回転軸周りの回転方向を一方向に制限する回転方向制限手段が備えられており、出力軸の回転方向と、第1転動体が第1回転軸周りに回転しようとする回転方向とが対応するようになっているが、第1転動体が第1回転軸周りに回転しようとする方向が回転方向制限手段で許容される場合は、第1転動体は第1回転軸周りに回転駆動されるが、その逆方向に第1転動体が第1回転軸周りに回転しようとする場合は、回転方向制限手段によって第1転動体の第1回転軸周りの回転が回転不能に制限される。この回転方向制限手段によって第1転動体の第1回転軸周りの回転が回転不能に制限される場合は、第1転動体が第1回転軸周りに回転しないので、第1転動体から伝達手段を介して出力軸までがロックされた状態となっている。しかし、この場合でもアクチュエータから出力軸には回転駆動力が出力されており、出力軸は端リンクのリンク軸に沿ってリンク軸周りに回転可能で、第1転動体はリンク軸周りに回転可能に設けられていることから、アクチュエータの回転駆動力によって、出力軸から伝達手段を介して第1転動体までがロックされた状態のまま一体的に出力軸がリンク軸周りに回転することで、第1転動体がリンク軸周りに回転駆動される。このように、本発明に係る管内走行装置は、駆動手段のアクチュエータから出力軸を介して出力する回転駆動力の方向を切り替えることで、端リンクの自由端部に設けられた第1転動体の第1回転軸周りの回転とリンク軸周りの回転とを任意に切り替え可能となっている。管内において、本発明に係る管内走行装置が備える複数の転動体は、付勢手段によってそれぞれ管の内壁面に当接するようになっており、2つの端リンクの自由端部の少なくとも一方に設けられる第1転動体を除いて、残りの転動体は第1転動体の走行に伴って従動的に走行する第2転動体となっている。第1転動体が当接する管の内壁面に対して第1回転軸が略平行となっているときに、駆動手段によって第1転動体を第1回転軸周りに回転駆動すると、第1転動体が管の内壁面を転動して管内を管軸方向に走行し、それに伴って第2転動体も従動的に管の内壁面を管軸方向に走行し、管内走行装置全体が管軸方向に移動する。それに対して、駆動手段によって第1転動体をリンク軸周りに回転駆動すると、第1転動体が管の内壁面を転動して管内を周方向に走行し、それに伴って第2転動体も従動的に管の内壁面を周方向に走行し、管内走行装置全体が管軸周りにロール回転する。
【0016】
このように、本発明に係る管内走行装置は、駆動手段のアクチュエータから出力軸を介して出力する回転駆動力の方向を切り替えることで、管内での管軸方向への移動走行と管軸周りのロール回転走行との2種類の動作を任意に切り替えることができるようになっているので、駆動手段によって曲管部を有する管であっても自在に走行させることができ、動作の制御も簡単である。また、本発明に係る管内走行装置は、端リンクの自由端部に設けられる第1転動体が駆動手段によって駆動されるため、リンク2同士が連結される連結部に設けられる転動体には駆動手段を設ける必要が無く、装置を構成するリンクの数は最小で2つのみで構成可能であり、アクチュエータの数は最小で1つのみで構成可能となっている。そのため、本発明に係る管内走行装置は、従来よりも装置の小型化、軽量化、低コスト化等を図ることができる。
【0017】
好ましくは、本発明に係る管内走行装置は、前記第1転動体が、前記第1回転軸として第1車軸と、前記第1車軸の両端に固定される一対の第1車輪とを備え、前記伝達手段が、前記出力軸と前記第1車軸とにそれぞれ取り付けられる一対の傘歯車であることを特徴とするので、簡素な構成で、複雑な機構を必要としないため、低コスト化が図れるとともに故障しにくく堅牢性も向上できる。
【0018】
好ましくは、本発明に係る管内走行装置は、前記一対の第1車輪が、一対の半球状車輪であることを特徴とするので、第1転動体をリンク軸周りに回転させると、リンク軸上に設けられている出力軸から一対の傘歯車を介して出力軸に垂直な第1車軸及び第1車軸の両端に固定された一対の半球状車輪までが一体的にリンク軸周りに回転するが、一対の半球状車輪は外面がそれぞれ凸状の湾曲面となっているため、管の内壁面を周方向に転動しやすくなっており、スムーズに装置をロール回転走行させることができる。
【0019】
好ましくは、本発明に係る管内走行装置は、前記第1転動体の前記リンク軸周りの回転を抑制するための回転抑制手段をさらに備えることを特徴とするので、管の内壁面に錆等の何らかの付着物等によって段差が存在しているような場合には、装置をその段差を乗り越えさせて管軸方向に移動走行させるために駆動手段によって第1転動体を第1回転軸周りに回転駆動している際、管の内壁面の段差によって第1転動体の第1回転軸周りの回転に抵抗力が働くことになる。このとき第1転動体のリンク軸周りの回転の抵抗力が小さいと、第1転動体を第1回転軸周りに回転させて装置を移動走行させたいにもかかわらず、第1転動体がリンク軸周りに回転してロール回転することになるが、本発明に係る管内走行装置は、リンク軸周りの回転を抑制するための回転抑制手段を備えているので、管の内壁面に段差等が存在する場合でも、より確実に任意に移動走行とロール回転走行とを切り替え可能に行うことができる。
【0020】
好ましくは、本発明に係る管内走行装置は、前記第1転動体の前記リンク軸周りの回転角度を検出する回転角度検出手段をさらに備えることを特徴とするので、回転角度検出手段によって、第1転動体が接地している管の内壁面に対して第1回転軸がどのような角度になっているか、装置全体が管軸周りにどのようなロール回転姿勢となっているか等が分かり、回転角度検出手段の検出データに基づいて装置を走行させることができる。
【0021】
好ましくは、本発明に係る管内走行装置は、前記第2転動体が、前記複数のリンクによって規定される前記平面に垂直な第2車軸と、前記第2車軸の両端に固定される一対のオムニホイールとを備え、前記第2車軸が当該第2車軸周りに回転可能に設けられることを特徴とするので、第2転動体は、第2車軸の両端に固定された一対のオムニホイールが管の内壁面に当接するようになっている。装置が管軸方向に移動走行する際は、従動的に一対のオムニホイールが第2車軸と一体となって第2車軸周りに回転することで、第2転動体が管の内壁面を管軸方向に走行するようになっている。装置が管軸周りにロール回転走行する際は、オムニホイールには円周上に複数の樽型ローラが設けられているので、従動的に管の内壁面に当接しているオムニホイールの樽型ローラが回転することで、第2転動体が管の内壁面を周方向に走行するようになっている。このように、第2転動体を、第2車軸と第2車軸に固定される一対のオムニホイールとを備えた簡素な構成としながら、装置の管軸方向の移動走行と管軸周りのロール回転走行とに従動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の一実施形態に係る管内走行装置の外観斜視図で、管内走行装置が備えるリンクの数が2つで駆動手段によって駆動される第1転動体が2つ設けられる場合を例示した図。
【
図2】本発明の一実施形態に係る管内走行装置の側面図で、(a)は
図1の管内走行装置が配管内に位置しているときの様子を示す図、(b)はリンクが2つで第1転動体が1つの場合の装置の例を示す図、(c)はリンクが3つで第1転動体が2つの場合の装置の例を示す図、(d)はリンクが4つで第1転動体が2つの場合の装置の例を示す図。
【
図3】
図1の管内走行装置の2つのリンク同士のなす角が略180度のときの概略断面平面図で、
図2(a)のX-Y-Z矢視図。
【
図4】小径部と大径部と小径部及び大径部を接続する異径接続部とを有する内径の異なる配管内を
図1の管内走行装置1が走行するときの様子を示す側面図で、(a)は異径接続部の手前の小径部に装置が位置しているときの様子を示す図、(b)は異径接続部を通過するときの装置の様子を示す図、(c)は異径接続部を通過した後の大径部に装置が位置しているときの様子を示す図。
【
図5】
図1の管内走行装置が配管内に位置しているときの配管の管軸方向から見た装置の正面図で、(a)は第1転動体の第1回転軸が第1転動体の当接する配管の内壁面に略平行で装置が管軸方向に移動走行するのに適した状態を示す図、(b)は第1転動体がリンク軸周りに回転することで配管の内壁面を周方向に転動して装置が
図5(a)の状態からロール回転走行したときの様子を示す図。
【
図6】
図1の管内走行装置が曲管部を有する配管内を走行するときの様子を示す概略図で、(a)は配管内を移動走行する装置の進行方向の前方に位置する曲管部が装置をそのままの姿勢で進入させると通過できない方向に曲がっている場合の様子を示す図、(b)は
図6(a)の状態から装置を曲管部に進入させる前にロール回転走行させて曲管部の曲がる方向に装置の姿勢を合わせた様子を示す図、(c)は
図6(b)から装置を移動走行させて装置が曲管部を通過するときの様子を示す図、(d)は装置が曲管部を通過した後の様子を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。ただし、以下はあくまで本発明の一実施形態を例示的に示すものであり、本発明の範囲は以下の実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0024】
本実施形態に係る管内走行装置1は、例えば、カメラや各種センサ等を搭載して配管9内を走行させることで、配管9の内部の点検等を行う際に好適に用いることができるものである。
図1から
図6に示すように、管内走行装置1は、複数のリンク2を備え、各隣り合う2つのリンク2同士はそれぞれ連結部3で揺動可能に連結されており、複数のリンク2がそのリンク2の数よりも1つ少ない連結部3で直列に連結された構成となっている。各リンク2は同一平面上に位置しており、当該平面上で、各隣り合う2つのリンク2が当該隣り合う2つのリンク2を連結する連結部3を中心に揺動可能となっている。管内走行装置1が備えるリンク2の数は2つ以上であればよく、
図1、
図2(a)及び
図2(b)に示すようにリンク2の数が2つだけでも構成可能であるし、
図2(c)及び
図2(d)に示すように、3つ以上のリンク2を備えていてもよい。
【0025】
本実施形態では、
図1及び
図3に示すように、リンク2として略中空円筒形の剛体を用いた例を示している。連結部3は、リンク2の端部に当該リンク2を挟むように固定されて当該リンク2の端部から外側に向かって突出するように設けられる一対の係止片からなる第1連結部31と、略中空円筒形に形成されてその側面にリンク2の端部が固定されてその2つの底面が第1連結部31の一対の係止片にそれぞれ面するように第1連結部31の一対の係止片の間に遊嵌される第2連結部32とを備える。連結部3で連結される2つのリンク2には、一方のリンク2の連結部3側の端部に第1連結部31が、他方のリンク2の連結部3側の端部に第2連結部32がそれぞれ設けられており、一方のリンク2の第1連結部31に他方のリンク2の第2連結部32を遊嵌させて、第1連結部31の一対の係止片と第2連結部32の2つの底面とに共通の軸が通されて、当該共通の軸によって当該共通の軸周りにそれぞれ回転可能に第1連結部31と第2連結部32とが連結されることで連結部3が構成されている。ここで、第1連結部31と第2連結部32とに通される共通の軸というのは、後述するように、本実施形態では各連結部3に設けられる第2転動体46の第2車軸47となっている。このように、本実施形態では、連結部3で連結される2つのリンク2は、連結部3の第2車軸47周りに揺動可能となっている。管内走行装置1が備えるリンク2の数が3つ以上で連結部3の数が2つ以上となる場合においても、同様に、各隣り合うリンク2の端部にそれぞれ第1連結部31と第2連結部32とを設けて各連結部3を構成するようにすればよい。ただし、管内走行装置1が備える複数のリンク2の全体が同一平面上に位置して、当該平面上で各隣り合うリンク2同士が連結部3を中心に揺動可能となるように、各連結部3に設けられる第2車軸47は互いに平行となるよう設けるようにする。管内走行装置1が備えるリンク2の数が3つ以上の場合、その連結された複数のリンク2のうち両端に位置する2つの端リンク21を除いて、2つの端リンク21の間に位置するリンク2にはそれぞれ両端部に第1連結部31または第2連結部32が設けられることになる。端リンク21には、一方の端部には別のリンク2と連結するための第1連結部31または第2連結部32が設けられるが、他方の端部は別のリンク2と連結されない自由端部となっている。
図1に示すように管内走行装置1が備えるリンク2の数が2つの場合、その2つのリンク2は共に端リンク21である。
【0026】
図2に示すように、各連結部3と、連結された複数のリンク2の両端に位置している2つの端リンク21の自由端部とには、それぞれ配管9の内壁面を走行可能な転動体4が設けられる。管内走行装置1が備えるリンク2の数が2つの場合は、どちらのリンク2も端リンク21であり、2つの端リンク21の自由端部と、端リンク21同士を連結する連結部3とにそれぞれ転動体4が設けられ、合計3つの転動体4が設けられる。リンク2の数が3つ以上の場合は、リンク2が1つ増える毎に連結部3の数が1つずつ増えていき、各連結部3にそれぞれ転動体4が設けられるので、全体としてリンク2の数より1つ多い転動体4が設けられる。
【0027】
管内走行装置1には付勢手段5が備えられ、
図2及び
図3に示すように、付勢手段5によって、連結された複数のリンク2が各連結部3で屈曲するように付勢される。管内走行装置1が備えるリンク2の数が2つの場合、2つのリンク2が1つの連結部3で連結されて、連結部3の第2車軸47周りに揺動可能となっており、付勢手段5は、この2つのリンク2の第2車軸47周りの揺動を一方側へ回転させるように付勢することで、2つのリンク2が連結部3で屈曲して略山形となるようになっている。付勢手段5としては、例えば、ねじりコイルばねを用いることができる。本実施形態では、連結部3は、第1連結部31の一対の係止片の間に略中空円筒形の第2連結部32が遊嵌されて第1連結部31の一対の係止片と第2連結部32の2つの底面とに第2車軸47が通されて第2車軸47周りに揺動可能となっており、
図3に示すように、第2連結部32の中空部に付勢手段5としてのねじりコイルばねが設けられ、ねじりコイルばねは、そのコイルに第2車軸47が挿通され、連結部3で連結される2つのリンク2が屈曲した状態が中立位置となるようにして、一方の端部が第1連結部31に、他方の端部が第2連結部32にそれぞれ固定されている。2つのリンクが屈曲した状態でねじりコイルばねが中立位置にある状態から、2つのリンクが伸長して2つのリンクの連結部3でのなす角が大きくなった状態になると、ねじりコイルばねにコイル中心軸周りにねじりモーメントが生じ、それが付勢力となって2つのリンクが第2車軸47周りに回転して元の屈曲した状態に戻ろうとする。付勢手段5は、ねじりコイルばねに限らず、それ以外のばねや弾性体等を用いて構成するようにしてもよいし、電動モータ等のアクチュエータを用いて付勢力を任意に調整可能に構成してもよい。管内走行装置1が備えるリンク2の数が3つ以上で連結部3が2つ以上の場合についても、同様に、各連結部3における第2車軸47周りの隣り合うリンク2同士の揺動が一定方向に回転する付勢力を受けるように付勢手段5を設ければよく、本実施形態で示したように付勢手段5としてねじりコイルばねを用いるような場合、各連結部3にそれぞれねじりコイルばねを設けるようにすればよい。ただし、このようなリンク2の数が3つ以上の場合には、各隣り合う連結部3でリンク2が屈曲するように付勢される方向が逆向きになるように付勢手段5を設け、
図2(c)及び
図2(d)に示すように、付勢手段5によって管内走行装置1が備える複数のリンク2が全体として各連結部3で互い違いに屈曲してジグザグ状となるように付勢されるようにする。
【0028】
転動体4は、各連結部3と各端リンク21の自由端部とにそれぞれ設けられ、複数のリンク2は付勢手段5によってリンク2の数が2つの場合には略山形に、リンク2の数が3つ以上の場合にはジグザグ状になっており、その複数のリンク2の各端部と各頂点部分とにそれぞれ転動体4が位置するようになっている。管内走行装置1が配管9へ挿入される際は、配管9の入口から、複数のリンク2の一方の端に位置している端リンク21の自由端部に設けられている転動体4を先頭として、最後尾の他方の端リンク21の自由端部に設けられている転動体4までを順に配管9内に収めるようにして、管内走行装置1全体が配管9内に挿入される。配管9の内部において、管内走行装置1は、配管9の長手方向に複数のリンク2が並んで、複数のリンク2の各隣り合うリンク2同士が揺動可能となっている平面上に、配管9の中心軸である管軸91が略位置するようになっている。このとき、付勢手段5によって各隣り合うリンク2同士が屈曲する方向へ付勢されており、管内走行装置1が備える複数のリンク2は全体として、管軸91方向の長さが縮んで、管軸91に垂直な配管9の径方向の幅が大きくなる方向へ付勢手段5で付勢されたようになっている。そのため、付勢手段5の付勢力によって、複数のリンク2の各端部及び各頂点部分に位置している各転動体4が、それぞれ配管9の対向する内壁面のいずれかに当接するようになっている。
【0029】
このように管内走行装置1は、配管9の内部において、全体として管軸91方向に伸縮可能で、それに伴って全体としての配管9の径方向の幅の大きさが変化するようになっており、付勢手段5によって管軸91方向の長さが縮んで配管9の径方向の幅が大きくなるように付勢されていることで、付勢手段5の付勢力によって各転動体4が配管9の内壁面に当接するようになっているので、様々な内径の配管9に対応することができる。そして、
図4に示すように、小径部と大径部と小径部及び大径部を接続する異径接続部とを有する内径の異なる配管9内で管内走行装置1を走行させる場合でも、管内走行装置1を管軸91方向に移動走行させるだけで、付勢手段5によって配管9の内径の大きさに合わせて管内走行装置1の配管9の径方向の幅が調節されて、各転動体4が配管9の内壁面に当接するようになっている。
【0030】
管内走行装置1には、少なくとも1つの転動体4を駆動する駆動手段6が備えられている。配管9の内部で、管内走行装置1が備える各転動体4は付勢手段5の付勢力によって配管9の内壁面に当接させられているので、駆動手段6によって転動体4が駆動されると、各転動体4が配管9の内壁面を走行し、それによって管内走行装置1が配管9内を走行するようになっている。
【0031】
管内走行装置1の各転動体4は、駆動手段6によって駆動されて配管9の内壁面を走行する第1転動体41と、駆動手段6によって駆動される第1転動体41が配管9の内壁面を走行するのに伴って従動的に配管9の内壁面を走行する第2転動体46とのいずれかとなっている。第1転動体41は、連結された複数のリンク2の両端に位置する2つの端リンク21のうちの少なくとも一方の自由端部に設けられる。第1転動体41が2つの端リンク21のうちのどちらか一方の自由端部にのみ設けられる場合は、他方の端リンク21の自由端部には第2転動体46が設けられ、各連結部3には第2転動体46が設けられる。第1転動体41が2つの端リンク21の両方の自由端部に設けられる場合は、各連結部3に第2転動体46が設けられる。いずれにしても各連結部3に設けられる転動体4は第2転動体46となっている。管内走行装置1の端部のいずれか一方または両方に設けられた第1転動体41が駆動手段6によって駆動されて配管9の内壁面を走行し、それに伴って各第2転動体46が従動的に配管9の内壁面を走行することで、管内走行装置1は配管9内を走行するようになっている。
【0032】
第1転動体41は、第1転動体41が設けられる端リンク21の中心軸であるリンク軸22に対して垂直な第1回転軸42を有し、第1回転軸42周りに回転可能かつリンク軸22周りに回転可能に端リンク21に接続されている。そして、第1転動体41を駆動する駆動手段6は、第1転動体41が設けられる端リンク21のリンク軸22に沿って当該リンク軸22上で回転可能に設けられる出力軸61と、出力軸61を出力軸61周りに回転させて出力軸61を介して双方向の回転駆動力を切り替え可能に出力するアクチュエータ62と、出力軸61の出力軸61周りの回転方向と第1転動体41の第1回転軸42周りの回転方向とを一対一で対応させて出力軸61から第1転動体41に回転駆動力を伝達する伝達手段65と、第1転動体41の第1回転軸42周りの双方向の回転のうちの一方への回転を許容して他方への回転を回転不能に制限する回転方向制限手段68と、を備えている。
【0033】
アクチュエータ62によって出力軸61を介して回転駆動力が出力されると、出力軸61から伝達手段65を介して第1転動体41に回転駆動力が伝達されて、出力軸61の出力軸61周りの正転及び逆転の回転方向に応じて、第1転動体41は第1回転軸42周りの双方向のいずれかに回転しようとする。このとき、第1転動体41の第1回転軸42周りに回転しようとする回転方向が、回転方向制限手段68によって回転が許容される方向である場合は、第1転動体41は第1回転軸42周りに回転可能に端リンク21に接続されているので、第1転動体41は第1回転軸42周りに回転する。その反対に、第1転動体41の第1回転軸42周りに回転しようとする回転方向が、回転方向制限手段68によって回転が制限される方向である場合は、回転方向制限手段68によって第1転動体41の第1回転軸42周りの回転が制限されて、第1転動体41から伝達手段65を介して出力軸61までがロックされたような状態となる。しかし、このときもアクチュエータ62からは端リンク21のリンク軸22に沿って設けられた出力軸61を回転させる回転駆動力が出力されており、また、第1転動体41は端リンク21のリンク軸22周りに回転可能に端リンク21に接続されていることから、アクチュエータ62から出力軸61を介して出力される回転駆動力によって、出力軸61から伝達手段65を介して第1転動体41までが一体となって、リンク軸22周りに回転する。
【0034】
このように、アクチュエータ62から出力する回転駆動力の方向を切り替えることによって、第1転動体41の第1回転軸42周りの回転と、第1転動体41のリンク軸22周りの回転とで、第1転動体41の2種類の回転が切り替えられるようになっている。第1転動体41は、第1回転軸42がリンク軸22に対して垂直になるように端リンク22に接続されており、第1転動体41がリンク軸22周りに回転するときは、第1回転軸42がリンク軸22に対して垂直な状態を保ちながら第1回転軸42もリンク軸22周りに回転する。第1転動体41が当接する配管9の内壁面に第1回転軸42が略平行となっている状態で、第1転動体41を第1回転軸42周りに回転させると、第1転動体41が配管9の内壁面を管軸91方向へ転動して走行し、それに伴って各第2転動体46も配管9の内壁面を管軸91方向へ従動的に走行することで、管内走行装置1が管軸91方向へ移動走行するようになっている。一方、第1転動体41をリンク軸22周りに回転させると、第1転動体41が配管9の内壁面を周方向へ転動して走行し、それに伴って各第2転動体46も配管9の内壁面を周方向へ従動的に走行することで、管内走行装置1が管軸91周りにロール回転走行するようになっている。従って、アクチュエータ62から出力する回転駆動力の方向を切り替えるだけで、管内走行装置1の配管9内での管軸91方向への移動走行と、管軸91周りのロール回転走行とを切り替えることができる。
【0035】
本実施形態では、
図1及び
図3に示すように、第1転動体41は、第1車軸43と、第1車軸43の両端に固定された一対の第1車輪44と、第1車軸43を第1車軸43周りに回転可能に保持する第1ケーシング45とを備えた構成となっている。そして、駆動手段6は、アクチュエータ62として減速機付きの電動モータを用いており、出力軸61はその減速機付き電動モータの出力軸となっている。端リンク21は略中空円筒形の剛体で、第1転動体41が取り付けられる自由端部側が開口しており、アクチュエータ62はそのハウジングが端リンク21の内部の中空部に固定されて、出力軸61が端リンク21の自由端部側の開口から外部に突出するようにして端リンク21のリンク軸22上に略位置してリンク軸22周りに回転可能に設けられている。第1転動体41の第1ケーシング45は、端リンク21の自由端部側に取り付けられており、端リンク21に対してリンク軸22周りに相対的に回転可能となっている。第1ケーシング45は内部が中空で、端リンク21との取付口側が開口しており、端リンク21の自由端部側の開口から突出している出力軸61が第1ケーシング45の内部の中空部に収められるようになっている。第1車軸43は、第1ケーシング45の内部の中空部を貫くようにしてベアリング等を介して第1車軸43の中心軸周りに回転可能に第1ケーシング45に取り付けられている。第1車軸43の中心は、第1ケーシングの中空部に位置し、第1車軸43の両端部は、それぞれ第1ケーシング45から外部に突出している。一対の第1車輪44は、第1ケーシング45から突出した第1車軸43の両端部に固定され、第1ケーシング45を挟んだような配置となっている。第1ケーシング45が端リンク21に取り付けられた状態で、第1車軸43は端リンク21のリンク軸22に対して垂直で、第1車軸43の中心がリンク軸22上に略位置するようになっている。
【0036】
本実施形態では、伝達手段65として一対の傘歯車を用いており、
図3に示すように、一方の傘歯車が出力軸61の先端に、他方の傘歯車が第1車軸43にそれぞれ互いに噛合するように取り付けられて、第1ケーシング45の内部の中空部に収められるようになっている。出力軸61と第1車軸43とは互いに垂直となる配置となっているが、それぞれに取り付けられた一対の傘歯車によって、出力軸61の出力軸61周りの回転と、第1車軸43の第1車軸43周りの回転とが対応付けられている。ここで伝達手段65として用いる一対の傘歯車は、互いに歯数が等しいマイタギアを用いてもよいし、歯数の異なるベベルギアを用いてもよい。本実施形態ではアクチュエータ62として減速機付き電動モータを用いているが、このアクチュエータ62の減速機で十分な減速比が得られる場合は、マイタギアを用いればよいし、アクチュエータ62の減速機では減速比が足りないような場合は、歯数の異なるベベルギアを用いて伝達手段65で減速比を稼ぐようにしてもよい。
【0037】
本実施形態では、回転方向制限手段68としてワンウェイクラッチを用いている。ワンウェイクラッチは、同軸上に設けられた内輪と外輪との間にスプラグやカム等の輪留め部材を備え、内輪が外輪に対して一方へ相対的に回転すると輪留め部材が噛み合って内輪と外輪との間で回転力が伝達され、逆回転する場合には輪留め部材の噛み合いが外れて内輪と外輪との間で回転力が伝達されずに内輪と外輪とが相対的に空転するような機構となっている。回転方向制限手段68としてのワンウェイクラッチは、
図3に示すように、内輪が第1車軸43に取り付けられて、外輪が第1ケーシング45に固定されるようにして、第1ケーシング45の内部に設けられている。第1車軸43が第1車軸43周りに回転しようとすると、それに伴って第1車軸43に取り付けられたワンウェイクラッチの内輪が、第1ケーシング45に固定された外輪に対して相対的に回転しようとする。このときの第1車軸43の回転しようとする方向が、ワンウェイクラッチの内輪から外輪に回転力が伝達される方向である場合、第1車軸43からワンウェイクラッチを介して第1ケーシング45に第1車軸43周りの回転力が伝達されることになる。しかし、第1ケーシング45は、端リンク21にリンク軸22周りに回転可能に取り付けられており、リンク軸22と垂直な第1車軸43周りには回転できないようになっている。そのため、第1車軸43からワンウェイクラッチを介して第1ケーシング45までがロックされた状態となって、ワンウェイクラッチによって第1車軸43の第1車軸43周りの回転が回転不能に制限される。それとは逆に、第1車軸43の第1車軸43周りに回転しようとする方向が、ワンウェイクラッチの内輪から外輪へ回転力が伝達されずに内輪と外輪とが相対的に空転する方向である場合は、第1車軸43から第1ケーシング45に回転力は伝達されず、第1車軸43は第1ケーシング45に対して第1車軸43周りに回転可能に保持されているため、第1車軸43は第1車軸43周りに回転する。このように、本実施形態では、第1転動体41の第1車軸43と第1ケーシング45との間に回転方向制限手段68としてワンウェイクラッチを設けて、第1車軸43の第1車軸43周りの回転において、ワンウェイクラッチが空転する回転方向が、回転方向制限手段68によって回転が許容される方向で、ワンウェイクラッチが回転力を伝達する回転方向が、回転方向制限手段68によって回転が回転不能に制限される方向となるようになっている。
【0038】
本実施形態では、第1転動体41と駆動手段6とは以上のような構成となっている。端リンク21の内部にアクチュエータ62として設けられた減速機付き電動モータを駆動することで端リンク21のリンク軸22に沿って設けられた出力軸61が回転駆動され、出力軸61の先端と第1転動体41の第1車軸43とに伝達手段65として設けられた互いに噛合する一対の傘歯車を介して、第1車軸43に回転駆動力が伝達されて、第1車軸43は第1車軸43周りに回転しようとする。この第1車軸43の第1車軸43周りの回転方向が回転方向制限手段68として設けられたワンウェイクラッチによって回転が許容される場合、第1車軸43が第1車軸43周りに回転し、それに伴って第1車軸43の両端部に固定された一対の第1車輪44が第1車軸43と一体となって第1車軸43周りに回転する。第1車軸43の第1車軸43周りの回転方向がそれとは逆回転となってワンウェイクラッチによって回転が制限される場合、第1車軸43が第1ケーシング45に対してロックされた状態となり、第1車軸43と出力軸61とに互いに噛合するように取り付けられた伝達手段65である一対の傘歯車もロックされるので、出力軸61から伝達手段65を介して第1車軸43、第1車軸43の両端部に固定された一対の第1車輪44及び第1ケーシング45までが一体にロックされたような状態となるが、第1ケーシング45は端リンク21に対してリンク軸22周りに相対的に回転可能に取り付けられており、出力軸61はリンク軸22上に設けられて、アクチュエータ62からは出力軸61をリンク軸22周りに回転させる回転駆動力が出力されているので、出力軸61のリンク軸22周りの回転に伴って、出力軸61から伝達手段65を介して第1車軸43、第1車軸43の両端部に固定された一対の第1車輪44及び第1ケーシング45までがロックされて一体となった状態でリンク軸22周りに回転する。従って、この場合、端リンク21に対して第1転動体41が全体として端リンク21のリンク軸22周りに回転する。
【0039】
図5に示すように、配管9内で、管内走行装置1の複数のリンク2は管軸91を含む平面上に略位置して、第1転動体41の第1車軸43は、当該平面上に位置する端リンク21のリンク軸22に対して垂直でその中心がリンク軸22上に略位置してリンク軸22周りに回転可能となっている。
図5(a)に示すように、第1車軸43が複数のリンク2が位置する平面に対して略垂直となっているとき、第1車軸43の両端部に固定された一対の第1車輪44が当該平面に対して略対称となるような配置となって配管9の内壁面に当接し、当該内壁面に対して第1車軸43は略平行となっている。このとき、アクチュエータ62を駆動して第1車軸43を第1車軸43周りに回転させることによって、一対の第1車輪44が当接する配管9の内壁面を転動して、管軸91方向へ走行する。その反対に、アクチュエータ62を逆方向に駆動して第1車軸43をリンク軸22周りに回転させると、
図5(b)に示すように、第1車軸43のリンク軸22周りの回転に伴って一対の第1車輪44もリンク軸22周りに回転し、それによって配管9の内壁面に当接する第1車輪44が配管9の内壁面を転動して、管軸91周りの周方向へ走行する。一対の第1車輪44としては、円盤状のホイールの外周部に円環状のタイヤが設けられたような一般的な車輪を用いることができるが、特に、一対の半球状車輪が好適に用いられる。一対の半球状車輪は、それぞれ凸状の湾曲面が外面となるように第1車軸43の端部に取り付けられる。それによって半球状車輪の凸状の湾曲面が配管9の内壁面に当接して第1車輪44を配管9の周方向に転動しやすくすることができる。このように、本実施形態では、アクチュエータ62の電動モータの回転方向を正転及び逆転で切り替えることによって、第1転動体41の第1車軸43が一対の第1車輪44と一体となって第1車軸43周りに回転して配管9の内壁面を一対の第1車輪44が管軸91方向へ転動することによる第1転動体41の管軸91方向への走行と、第1転動体41の第1車軸43が一対の第1車輪44及び第1ケーシング45と一体となってリンク軸22周りに回転して配管9の内壁面を第1車輪44が周方向へ転動することによる第1転動体41の管軸91周りの周方向への走行とが切り替えられるようになっている。本実施形態のように、第1転動体41を、第1車軸43、一対の第1車輪44及び第1ケーシング45を備えるような構成とした場合、第1車軸43が第1回転軸42となっている。
【0040】
本実施形態では、回転方向制限手段68によって第1転動体41の第1回転軸42周りの回転方向が一方向に制限されるようになっており、回転方向制限手段68によって回転が許容される方向の場合は、第1転動体41はその方向に第1回転軸42周りに回転し、その逆方向の回転方向制限手段68によって回転が制限される方向の場合は、第1転動体41はその方向に第1回転軸42周りに回転できずに出力軸61から伝達手段65を介して第1転動体41までがロックされて一体となった状態で出力軸61周りに回転することで、第1転動体41がリンク軸22周りに回転するようになっている。従って、配管9の内壁面に錆や堆積物等が付着している等によって段差が存在するような場合に、管内走行装置1をその段差を通過させるために管軸91方向へ移動走行させたい場合でも、回転方向制限手段68によって回転が許容されている方向にもかかわらず、第1転動体41が段差に引っ掛かる等によって第1回転軸42周りの回転に抵抗を受けて、第1転動体41がリンク軸22周りに回転してしまって、管内走行装置1が段差を乗り越えられずにロール回転してしまうことも考えられる。この意図しない管内走行装置1のロール回転を防ぐために、本実施形態では、
図1及び
図3に示すように、第1転動体41のリンク軸22周りの回転を抑制するための回転抑制手段71が設けられている。本実施形態では、第1転動体41は、第1回転軸42として第1車軸43と、第1車軸43の両端部に固定された一対の第1車輪44と、第1車軸43を第1車軸43周りに回転可能に保持する第1ケーシング45とを備え、第1ケーシング45が端リンク21にリンク軸22周りに回転可能に接続された構成となっているので、回転抑制手段71としてO-リングを第1ケーシング45と端リンク21との接続部に設けている。この場合、第1ケーシング45と端リンク21との間に回転抑制手段71であるO-リングの摩擦力が抵抗力として作用して、第1ケーシング45と端リンク21との相対的な回転が抑制される。本実施形態では、回転抑制手段71としてO-リングを用いた例を示したが、それだけではなく、回転抑制手段71は、第1転動体41の第1回転軸42周りの回転に対して一定の抵抗力が発揮されるようになっていればよい。例えば、回転抑制手段71としてアクチュエータを用いて、当該アクチュエータによって端リンク21と当該端リンク21に隣り合うリンク2との連結部3周りの回転の付勢力を調整可能とすることで、第1転動体41の配管9の内壁面に対して押し付けられる力を調節して、それが第1転動体41の第1回転軸42周りの回転に対する抵抗力となって回転を抑制できる。このように、回転抑制手段71によって、管内9の内壁面に段差等が存在する場合でも、管内走行装置1の移動走行とロール回転走行との2種類の任意な動作をより確実なものとすることができる。
【0041】
また、
図3に示すように、第1転動体41のリンク軸22周りの回転角度を検出する回転角度検出手段75を設けてもよい。回転角度検出手段75としては、例えば、磁気エンコーダを用いることができる。回転角度検出手段75によって、第1転動体41が接地している配管9の内壁面に対しての第1回転軸42の角度や、管内走行装置1の全体が管軸91周りにどのようなロール回転姿勢となっているか等が分かるので、回転角度検出手段75の検出データに基づいて管内走行装置1を配管9内で走行させることができる。
【0042】
管内走行装置1が配管9の管軸91方向の一方に移動走行している場合に、その反対方向へ移動走行させたい場合は、アクチュエータ62を逆回転させても第1転動体41は第1回転軸42周りに逆回転せずにリンク軸22周りに回転して管内走行装置1はロール回転するが、そのままアクチュエータ62を逆回転させて第1転動体41を端リンク21に対してリンク軸22周りに相対的に略180度回転させて、第1転動体41と配管9の内壁面との接地部に対しての第1転動体41の第1回転軸42の向きを略180度回転させた後で、アクチュエータ62を再度逆回転させて第1転動体41を第1回転軸42周りに回転させることで、管内走行装置1を反対方向へ移動走行させることができる。
【0043】
本実施形態では、
図1及び
図3に示すように、第2転動体46は、第2車軸47と、第2車軸47の両端に固定される一対のオムニホイール48とを備えた構成となっている。本実施形態の連結部3は、一方のリンク2の端部に設けられた第1連結部31の一対の係止片の間に、他方のリンク2の端部に設けられた第2連結部32が遊嵌されて、第1連結部31と第2連結部32とに通された共通の軸周りに回転可能に第1連結部31と第2連結部32とが連結された構成となっているが、この第1連結部31と第2連結部32とに通された共通の軸というのが、第2転動体46の第2車軸47となっている。連結部3で連結される2つのリンク2は第2車軸47周りに揺動可能となっているため、第2車軸47は、連結部3で連結される2つのリンク2が揺動可能となっている平面に対して垂直である。第2車軸47は、第1連結部31及び第2連結部32にそれぞれベアリング等を介して第2車軸47周りに回転可能に取り付けられており、第1連結部31及び第2連結部32はそれぞれ第2車軸47周りに揺動可能で、第2車軸47も連結部3に対して第2車軸47周りに回転可能となっている。第2車軸47は両端部が連結部3から外部に突出しており、その第2車軸47の両端部に一対のオムニホイール48が固定され、一対のオムニホイール48の間に連結部3が挟まれたような配置となっている。
【0044】
オムニホイール48は、第2車軸47に固定されて第2車軸47の第2車軸47周りの回転に伴って第2車軸47を回転中心として回転する本体部と、当該本体部の外周部に設けられた複数のローラユニットとを備える略円盤状の車輪となっている。各ローラユニットは、本体部の外周の接線方向に延びるローラ軸と、当該ローラ軸に当該ローラ軸周りに回転可能に取り付けられた樽型のローラとを備え、ローラ軸は第2車軸47に対して垂直でねじれの位置にある軸となっており、ローラのローラ軸周りの回転方向は、本体部の第2車軸47周りの回転方向と90度異なっている。このようなローラユニットが、互いに等間隔となるように本体部の外周部に複数設けられており、全体として第2車軸47を回転中心とした回転対称となるように配置されている。
図1に示した例では、オムニホイール48は5つのローラユニットを備え、第2車軸47を中心とした5回回転対称形となっている。このようなオムニホイール48が一対、第2車軸47の両端部に固定されて、第2車軸47の第2車軸47周りの回転に伴って、第2車軸47と一体となって回転するようになっている。配管9内で、管内走行装置1の複数のリンク2は管軸91を含む平面上に略位置するようになっており、当該平面に対して第2車軸47は垂直で一対のオムニホイール48は略対称となる位置に配置されており、一対のオムニホイール48が配管9の内壁面に当接するようになっている。従って、管内走行装置1が管軸91方向に移動走行する場合は、それに伴って配管9の内壁面に当接している一対のオムニホイール48が第2車軸47周りに従動的に回転することで、第2転動体46は配管9の内壁面を管軸91方向に走行する。管内走行装置1が管軸91周りにロール回転走行する場合は、配管9の内壁面に当接しているオムニホイール48の外周部に備えられたローラユニットのローラが、当該ローラが回転可能に取り付けられているローラ軸周りに従動的に回転することで、第2転動体46が配管9の内壁面を周方向へ走行する。ここで、一対のオムニホイール48が第2車軸47に対してn回回転対称形となっている場合、一方のオムニホイール48に対して、他方のオムニホイール48を第2車軸47周りに(180/n)度偏位させて取り付けるようにすることが好ましい。それによって第2車軸47の軸方向から見たときに、一方のオムニホイール48の各隣り合うローラユニット間に、他方のオムニホイール48の各ローラユニットが位置するようになるので、一対のオムニホイール48が備える複数のローラのうち少なくとも1つのローラが常に配管9の内壁面に当接するような状態にできる。本実施形態では第2転動体46を第2車軸47と一対のオムニホイール48とよって構成したが、第2転動体46は、配管9の内壁面を少なくとも管軸91方向と管軸91周りの周方向とに従動的に走行できるようになっていればよく、駆動手段6によって駆動される第1転動体41が走行する方向に従動的に走行できるようになっていればよい。
【0045】
以上では、一方の端リンク21の自由端部に設けられた第1転動体41と当該第1転動体41を駆動する駆動手段6について説明したが、
図1に示すように、管内走行装置1が備える2つの端リンク21の両方の自由端部に第1転動体41が設けられる場合、各第1転動体41に対してそれぞれ駆動手段6を設けて、どちらも上記と同様の構成とすればよい。管内走行装置1に第1転動体41と当該第1転動体41を駆動する駆動手段6とが2組設けられる場合、管内走行装置1を配管9内で走行させるために必要な駆動力を2つの駆動手段6に分散できるので、個々の駆動手段6で用いるアクチュエータ62の小型化を図ることで、端リンク21のひいては管内走行装置1の小型化及び軽量化を図ることができる。一方、2つの端リンク21のうち一方の端リンク21の自由端部にのみ第1転動体41を設けるような場合は、
図2(b)に示すように、他方の端リンク21の自由端部には、従動的に配管9の内壁面を走行する第2転動体46が設けられる。端リンク21の自由端部に第2転動体46を設ける場合、当該第2転動体46は、第1転動体41のように端リンク21に対してリンク軸22周りに回転可能に設けられる必要はなく、連結部3に設けられる第2転動体46と同様に、第2車軸47と第2車軸47の両端部に固定される一対のオムニホイール48とを用いて、第2車軸47を第2車軸47周りに回転可能にリンク軸22を含む平面に対して垂直になるように端リンク21の自由端部に設けるようにすればよい。この場合、用いる駆動手段6の数は1つだけでよいので、構成に必要な部品点数を減らすことができ、第1転動体41を2つ設ける場合よりも安価に製造できる。
【0046】
管内走行装置1に2つの第1転動体41が設けられる場合、2つの第1転動体41のそれぞれに駆動手段6が設けられるが、この2つの駆動手段6のアクチュエータ62は起動及び停止並びに正転及び逆転が連動して動作するように設けてよい。それによって2つのアクチュエータ62を個別に制御する必要がなく、簡単に管内走行装置1の移動走行とロール回転走行とを制御できる。ただし、このとき、管内走行装置1が全体として配管9内で管軸91方向への移動走行と、管軸91周りのロール回転走行とが行えるように、2つの第1転動体41の第1車軸43に取り付けられる伝達手段65としての傘歯車と、回転方向制限手段68としてのワンウェイクラッチとの向きに気を付けるようにする。
【0047】
以上のように、本実施形態に係る管内走行装置1によると、連結された複数のリンク2の端に位置する端リンク21の自由端部に駆動手段6によって駆動される第1転動体41が設けられており、第1転動体41が駆動されて配管9の内壁面を走行することで、それに伴って各第2転動体46が従動的に配管9の内壁面を走行し、管内走行装置1が配管9内を走行する。第1転動体41は、当該第1転動体41を駆動する駆動手段6のアクチュエータ62から出力軸61を介して出力する回転駆動力の方向を切り替えるだけで、第1回転軸42周りの回転とリンク軸22周りの回転とで回転方向を任意に切り替えられるようになっており、それによって管内走行装置1を配管9の管軸91方向へ移動させる移動走行と、配管9内で管軸91周りにロール回転させるロール回転走行との2種類の動作が任意に切り替え可能となっている。このように、本実施形態に係る管内走行装置1では、管内走行装置1の走行を駆動するための第1転動体41は端リンク21の自由端部に設けられ、リンク2同士を連結する連結部3に設けられる転動体4は、駆動するためのアクチュエータを用いる必要が無く、従動的に配管9内を走行するための第2転動体46となっている。従って、本実施形態に係る管内走行装置1は、リンク2の数は最小の場合は2つのみで構成可能となっている。管内走行装置1のリンク2の数が2つの場合でも、
図6(a)に示すように、管内走行装置1が走行する配管9の進行方向前方にそのまま移動走行させただけでは通過できないような曲管部が存在する場合でも、駆動手段6によって任意に第1転動体41をリンク軸22周りに回転駆動することで管内走行装置1をロール回転走行させて、配管9内での管内走行装置1の管軸91周りの姿勢を任意に変化させることができるので、
図6(b)に示すように、管内走行装置1の姿勢を曲管部の曲がる方向に合わせて、その後、駆動手段6の出力軸61を逆回転させて管内走行装置1を管軸91方向へ移動走行させることで、
図6(c)及び
図6(d)に示すように、曲管部を通過させることができる。このように、管内走行装置1は、リンク2の数が2つでも構成可能となっており、従来よりも小型化することができる。そして、1つのアクチュエータ62が出力する回転駆動力の方向を切り換えることによって、当該アクチュエータ62が駆動する第1転動体41の回転方向が切り替わって、管内走行装置1の配管9内での移動走行とロール回転走行との2種類の動作が任意に切り替えられるので、
図2(b)に示すように、管内走行装置1に設ける駆動手段6及び第1転動体41の数は最小の場合1組でも構成可能であり、従来よりも用いるアクチュエータの数を少なくすることができ、コストも低減できる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明に係る管内走行装置は、配管の内部を検査するロボット等に好適に用いられる。また、配管だけではなく、様々な管状体の内部の走行に適用の可能性がある。
【符号の説明】
【0049】
1 管内走行装置
2 リンク
21 端リンク
22 (端リンクの)リンク軸
3 連結部
4 転動体
41 第1転動体
42 第1回転軸
43 第1車軸
44 第1車輪(半球状車輪)
45 第1ケーシング
46 第2転動体
47 第2車軸
48 オムニホイール
5 付勢手段
6 駆動手段
61 出力軸
62 アクチュエータ
65 伝達手段(一対の傘歯車)
68 回転方向制限手段(ワンウェイクラッチ)
71 回転抑制手段(O-リング)
75 回転角度検出手段(磁気エンコーダ)
9 配管
91 管軸