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特許7448954ジアリールトレハロース化合物及びその使用
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-05
(45)【発行日】2024-03-13
(54)【発明の名称】ジアリールトレハロース化合物及びその使用
(51)【国際特許分類】
   C07H 13/08 20060101AFI20240306BHJP
   A61K 39/00 20060101ALI20240306BHJP
   A61K 39/39 20060101ALI20240306BHJP
   A61P 31/00 20060101ALI20240306BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240306BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20240306BHJP
   A61P 37/04 20060101ALI20240306BHJP
【FI】
C07H13/08
A61K39/00 G
A61K39/39
A61P31/00
A61P35/00
A61P37/02
A61P37/04
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020544485
(86)(22)【出願日】2019-02-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-06-03
(86)【国際出願番号】 US2019019012
(87)【国際公開番号】W WO2019165114
(87)【国際公開日】2019-08-29
【審査請求日】2022-02-21
(31)【優先権主張番号】62/633,375
(32)【優先日】2018-02-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】500212295
【氏名又は名称】ザ ユニバーシティー オブ モンタナ
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100188374
【弁理士】
【氏名又は名称】一宮 維幸
(72)【発明者】
【氏名】バークハート,デービッド
(72)【発明者】
【氏名】エッテンガー,ジョージ
(72)【発明者】
【氏名】エバンス,ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ライター,ケンダル・ティー
(72)【発明者】
【氏名】スミス,アリソン
【審査官】安藤 倫世
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0331346(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第102260297(CN,A)
【文献】国際公開第2010/050178(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0112979(US,A1)
【文献】特表2021-501791(JP,A)
【文献】The Journal of Antibiotics,2013年,66,531-537
【文献】Biomedicine & Pharmacotherapy,2017年,96,982-992
【文献】J. Med. Chem.,2017年12月30日,2018, 61,1045-1060
【文献】Cancer Immnol. Immunother.,1980年,9,101-109
【文献】J. Nat. Prod. ,2009年,72,980-982
【文献】Carbohydrare Research,1980年,81,Cl-C3
【文献】Carbohydrate Research,1981年,94,230-235
【文献】Ind. Eng. Chem. Res.,2006年,45(26),9107-9114
【文献】Carbohydrare Research,2011年,346,1005-1012
【文献】Carbohydrate Research,2011年,346,2960-2964
【文献】Phytochemistry Letters,2014年,7,26-29
【文献】Inorganic Chemistry , ,2015年,54,2591-2602
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07H
A61K
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(Ib)の化合物:
【化1】
又はその薬学的に許容可能な塩[式中、
X及びYは、各々、-OC(O)-であり;
2a、R2b、R4a、R4b、R6a、及びR6bは、各々、水素であり
3a、R3b、R5a、及びR5bは、各々、C~Cアルコキシである]
【請求項2】
式(Ib)の化合物:
【化2】
又はその薬学的に許容可能な塩[式中、
X及びYは、各々、-OC(O)-であり;
2a、R2b、R6a、及びR6bは、各々、水素であり;
3a、R3b、R4a、R4b、R5a、及びR5bは、各々独立に、水素、C~C12アルキル、ヒドロキシ、C~C12アルコキシ、C~Cハロアルキル、Ar及び、-NH-Arから選択されるか、又はそれらが結合する原子と共に、任意選択で一緒になってアリール環を形成し;
Ar及びArは、各々独立に、C~Cアルキル、ヒドロキシ、C~Cアルコキシ、ハロ、C~Cハロアルキル、及びC~Cヒドロキシアルキルから独立に選択される1、2、3、又は4個の置換基で独立に置換されていないか又は置換されているアリール又はヘテロアリールから選択され;
ここで、R3a、R4a、及びR5aのうちの少なくとも2つがC~C12アルコキシであり、かつR3b、R4b、及びR5bのうちの少なくとも2つがC~C12アルコキシである
【請求項3】
3a、R3b、R5a、及びR5bが、各々、C~C12アルコキシである、請求項に記載の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩。
【請求項4】
4a及びR4bが、各々、C~C12アルコキシである、請求項に記載の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩。
【請求項5】
【化3】
6,6’-ビス(3,5-ジエトキシベンゾイル)-α,α-D-トレハロース、
6,6’-ビス(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ブチルベンゾイル)-α,α-D-トレハロース、
6,6’-ビス(3,5-ジペンチルオキシベンゾイル)-α,α-D-トレハロース、及び
6,6’-ビス(3,4,5-トリエトキシベンゾイル)-α,α-D-トレハロース
からなる群から選択される化合物、又はその薬学的に許容可能な塩。
【請求項6】
【化4】
である、請求項5に記載の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩。
【請求項7】
請求項1~のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩の有効量を含むアジュバント組成物。
【請求項8】
対象の免疫応答の亢進を誘導するための、請求項に記載のアジュバント組成物。
【請求項9】
(a)抗原と;(b)請求項1~のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩の有効量を含むアジュバント組成物とを含むワクチン組成物。
【請求項10】
対象の抗原の免疫原性を誘導し又は亢進させるための医薬組成物であって、請求項1~のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩の有効量を含む、医薬組成物。
【請求項11】
対象の免疫応答を調節するための医薬組成物であって、請求項1~のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩の有効量を含む、医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2018年2月21日に出願された米国仮特許出願第62/633,375号明細書に対する優先権を主張するものであり、この仮特許出願は本明細書によって全体として参照により援用される。
【0002】
政府の利益に関する記載事項
本発明は、国立衛生研究所(National Institutes of Health)によって授与された契約番号HHSN272201400050Cに基づく連邦政府の支援を受けて行われた。連邦政府は本発明に一定の権利を有する。
【0003】
本開示は、ジアリールトレハロース(DAT)化合物及び例えばワクチンアジュバントとしてのその使用方法に関する。
【背景技術】
【0004】
世界的に、利用可能な予防法が限られている乃至存在しない疾患原因病原体は幾つもある。それらの疾患の中でも、多くは、結核菌(Mycobacterium tuberculosis)(Mtb)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、肺炎レンサ球菌(Streptococcus pneumonia)、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、アスペルギルス・フミガーツス(Aspergillus fumigatus)などを含め、それについての疾患防御にTh17媒介性免疫が関わるとされる細菌性及び真菌性病原体クラスに区分される。これらの病原体の一部については抗原が利用可能であるが、Th17誘導アジュバントの開発は遅れている。現在ヒト向けに利用可能な承認済みのアジュバント系は、主にTh2型(アルミニウム塩)又はTh1型(MPL)のいずれかの応答を誘導する。
【0005】
現在、Th17媒介性免疫応答を促進するアジュバントでヒト使用向けに唯一利用可能なものは、CAF01である。このアジュバントは、ジメチルジオクタデシルアンモニウムと共に製剤化された合成のミンクル受容体リガンド(ジベヘン酸トレハロース)を含むカチオン性リポソームである。しかしながら、このアジュバントは第I相臨床試験より先に進んでいない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
感染性疾患、並びに自己免疫及び癌の分野における新規ワクチン及び療法薬を前進させるため、有効性及び安全性属性が向上した更なるアジュバントが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様において、式(I)の化合物:
【化1】
又はその薬学的に許容可能な塩[式中、
は-OH又は-X(CR1a1a’Arであり;
は-Y(CR2a2a’Arであり;
X及びYは、各々独立に、-OC(O)-、-NRC(O)-、-NRC(S)-、-NR-、-SONR-、-O-、及び-OC(O)CH=CH-から選択され;
、R、及びRは、各々独立に、水素及びC~Cアルキルから選択され;
mは、0、1又は2であり;
nは、0、1又は2であり;
1a、R1a’、R2a及びR2a’は、存在する場合、各々独立に、水素及びC~Cアルキルから選択され;
pは、0又は1であり;
qは、0又は1であり;
Ar及びArは、各々独立に、アリール又はヘテロアリールから選択され、ここで各アリール又はヘテロアリールは、独立に、水素、C~C12-アルキル、ヒドロキシ、C~C12-アルコキシ、ハロ、C~Cハロアルキル、Ar、C~C-アルコキシ-C~C-アルコキシ、C~C-アルコキシ-C~C-アルキル、ヒドロキシ-C~C-アルキル、アミノ、ニトロ、-NH-Ar、C~C-アルコキシ-Ar、C~C-アルキルスルホニル、及びC~C-アルコキシ-C~C-アルコキシ-C~C-アルコキシから独立に選択される1、2、3、4、又は5個の置換基で置換されていても、又は置換されていなくてもよく、又はこれらの置換基が、それらが結合する原子と共に、任意選択で一緒になってアリール環を形成し;ここで各ヘテロアリールは、O、S又はNから選択される1、2、3、4、又は5個のヘテロ原子を含んでもよく;
Ar、Ar及びArは、各々独立に、C~C-アルキル、ヒドロキシ、C~C-アルコキシ、ハロ、C~Cハロアルキル、及びC~Cヒドロキシアルキルから独立に選択される1、2、3、又は4個の置換基で独立に置換されていないか又は置換されているアリール又はヘテロアリールから選択される]が開示され;及び
ここで化合物は、
6,6’-ビス(2-メトキシベンゾイル)-α,α-D-トレハロース、
6,6’-ビス(ベンゾイルアミノ)-α,α-D-トレハロース、
6,6’-ビス(2-ヒドロキシベンゾイル)-α,α-D-トレハロース、
6,6’-ビス(2-ヒドロキシベンゾイルアミノ)-α,α-D-トレハロース、
6,6’-ビス(2-メチルベンゾイル)-α,α-D-トレハロース、
6,6’-ビス(2-メチルベンゾイルアミノ)-α,α-D-トレハロース、
6,6’-ビス(4-メトキシベンゾイル)-α,α-D-トレハロース、
6,6’-ビス(4-メトキシベンゾイルアミノ)-α,α-D-トレハロース、
6,6’-ビス(4-ヒドロキシベンゾイル)-α,α-D-トレハロース、
6,6’-ビス(4-ヒドロキシベンゾイルアミノ)-α,α-D-トレハロース、
6,6’-ビス(4-ベンジルオキシベンゾイル)-α,α-D-トレハロース、
6,6’-ビス(2,3-ジメトキシベンゾイル)-α,α-D-トレハロース、
6,6’-ビス(2,3-ジメトキシベンゾイルアミノ)-α,α-D-トレハロース、
6,6’-ビス(2,6-ジフルオロベンゾイル)-α,α-D-トレハロース、
6,6’-ビス(2,6-ジフルオロベンゾイルアミノ)-α,α-D-トレハロース、
6,6’-ビス(2,6-ジクロロベンゾイル)-α,α-D-トレハロース、
6,6’-ビス(2,3-ジヒドロキシベンゾイル)-α,α-D-トレハロース、
6,6’-ビス(2,4-ジヒドロキシベンゾイル)-α,α-D-トレハロース、
6,6’-ビス(2,4-ジヒドロキシベンゾイルアミノ)-α,α-D-トレハロース、
6,6’-ビス(2,3-ジベンジルオキシベンゾイル)-α,α-D-トレハロース、
6,6’-ビス(2-ヒドロキシ-3-メトキシベンゾイル)-α,α-D-トレハロース、
6,6’-ビス(2-ベンジルオキシ-3-メトキシベンゾイル)-α,α-D-トレハロース、
6,6’-ビス(2-メチル-6-アミノベンゾイル)-α,α-D-トレハロース、
6,6’-ビス(3-メトキシ-4-フルオロベンゾイル)-α,α-D-トレハロース、
6,6’-ビス(3,4,5-トリメトキシベンゾイル)-α,α-D-トレハロース、
6,6’-ビス(3,4,5-トリメトキシベンゾイルアミノ)-α,α-D-トレハロース、
6,6’-ビス(2,4-ジヒドロキシ-6-メチルベンゾイル)-α,α-D-トレハロース、
6,6’-ビス(2,4-ジメトキシ-6-メチルベンゾイル)-α,α-D-トレハロース、
6,6’-ビス(2-ヒドロキシ-4-n-ヘプチルオキシベンゾイル)-α,α-D-トレハロース、
6,6’-ビス(2-ヒドロキシ-4-n-ペンチルオキシベンゾイル)-α,α-D-トレハロース、
6,6’-ビス(2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾイル)-α,α-D-トレハロース、
6,6’-ビス(4-n-ペンチルオキシベンゾイル)-α,α-D-トレハロース、
6,6’-ビス(2,4-ジヒドロキシ-6-メチルベンゾイル)-α,α-D-トレハロース、
6,6’-ビス(シンナモイルアミノ)-α,α-D-トレハロース、
6,6’-ビス(3,4-ジメトキシシンナモイルアミノ)-α,α-D-トレハロース、
6,6’-ビス(イソニコチノイルアミノ)-α,α-D-トレハロース、又は
6,6’-ビス(ピラジン-2-カルボニルアミノ)-α,α-D-トレハロース
ではない。
【0008】
また、本明細書には、式(Ia)、(Ib)の化合物、式(II)の化合物及びその薬学的に許容可能な塩も、そうした化合物を含むアジュバント組成物、そうした化合物を含むワクチン組成物、そうした化合物及び組成物を使用して対象の免疫応答の亢進を誘導する方法、及びそうした化合物及び組成物を使用して抗原の免疫原性を誘導し又は亢進させる方法と共に開示される。
【0009】
以下の説明及び図面を踏まえれば、本開示の他の態様及び実施形態が明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1-1】選択肢となる一連のDAT化合物の様々な濃度における存在下で培養した新鮮末梢血単核球(PBMC)からのサイトカイン応答を示す。DAT化合物は、IPAへの溶解後に組織培養プレートの底に乾燥させることによるか、又はDMSOへの溶解後に培地に希釈することによって送達した。処理後18~24時間でTNFα(図1A)及びIL-6(図1B)を測定した。
図1-2】選択肢となる一連のDAT化合物の様々な濃度における存在下で培養した新鮮末梢血単核球(PBMC)からのサイトカイン応答を示す。DAT化合物は、IPAへの溶解後に組織培養プレートの底に乾燥させることによるか、又はDMSOへの溶解後に培地に希釈することによって送達した。処理後18~24時間でTNFα(図1A)及びIL-6(図1B)を測定した。
図2】DMSOに可溶化して培地中に希釈した様々な濃度の選択のDAT化合物で刺激した新鮮に調製したPBMCからの上清におけるサイトカイン応答を示す。
図3】DMSOに可溶化して培地中に希釈した様々な濃度の選択のDAT化合物で刺激した新鮮に調製したPBMCからの上清におけるIL-6応答を示す。
図4-1】様々な濃度の選択のDAT化合物で刺激したHEK-Blueミンクルマウス又はヒトレポーター細胞の上清におけるNF-κB分泌型胎児性アルカリホスファターゼ(SEAP)産生(図4A)及びマウスマクロファージ細胞株におけるTNFαサイトカイン産生(図4A)を示す。
図4-2】様々な濃度の選択のDAT化合物で刺激したHEK-Blueミンクルマウス又はヒトレポーター細胞の上清におけるNF-κB分泌型胎児性アルカリホスファターゼ(SEAP)産生(図4A)及びマウスマクロファージ細胞株におけるTNFαサイトカイン産生(図4A)を示す。
図5-1】2ラウンドの免疫(図5A)の後におけるマウス脾細胞の抗M72抗体応答(図5B)を示す。
図5-2】2ラウンドの免疫(図5A)の後におけるマウス脾細胞の抗M72抗体応答(図5B)を示す。
図6-1】選択のCLRアジュバント候補を含有するリポソーム製剤で免疫した後の再刺激されたマウス脾臓赤血球におけるIL-17A(図6A)、IL-5(図6B)又はIL-2(図6C)を産生するCD4及びCD8 T細胞の頻度を示す。
図6-2】選択のCLRアジュバント候補を含有するリポソーム製剤で免疫した後の再刺激されたマウス脾臓赤血球におけるIL-17A(図6A)、IL-5(図6B)又はIL-2(図6C)を産生するCD4及びCD8 T細胞の頻度を示す。
図6-3】選択のCLRアジュバント候補を含有するリポソーム製剤で免疫した後の再刺激されたマウス脾臓赤血球におけるIL-17A(図6A)、IL-5(図6B)又はIL-2(図6C)を産生するCD4及びCD8 T細胞の頻度を示す。
図7】式(I)の化合物又は式(II)の化合物の調製に使用されたことがある又はその調製における使用が企図される置換安息香酸を示す。
図8】式(I)の化合物又は式(II)の化合物の調製に使用されたことがある又はその調製における使用が企図される特定のジアリール置換安息香酸を示す。
図9】式(I)の化合物又は式(II)の化合物の調製に使用されたことがある又はその調製における使用が企図される特定のトリフルオロメチル置換安息香酸誘導体を示す。
図10】更なる式(I)の化合物又は式(II)の化合物の構造を示す。
図11】式(I)の化合物又は式(II)の化合物の調製に使用されたことがある又はその調製における使用が企図される他の酸を示す。
図12】更なる式(I)の化合物の構造を示す。
図13】更なる式(I)の化合物の構造を示す。
図14】更なる式(I)の化合物の構造を示す。
図15】更なる式(I)の化合物の構造を示す。
図16】更なる式(I)の化合物の構造を示す。
図17】更なる式(I)の化合物の構造を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書には、有効なワクチンが利用可能でない、医療上の負荷が大きい疾患のターゲティングに有用となり得るTh17誘導アジュバントとして働き得る一クラスの化合物が記載される。この化合物はまた、癌の治療においても有用となり得る。
【0012】
C型レクチン受容体(CLR)ファミリーには、基質、アダプタータンパク質、下流シグナル伝達経路、及び細胞型発現プロファイルが異なる多様なメンバーが数多く含まれる。このファミリーの一部のメンバーは純粋な食細胞受容体であるが、大多数は、転写調節、エンドサイトーシス/食作用、及び/又は細胞接着及び遊走などの細胞内での機能変化を誘導する細胞内シグナル伝達網を活性化させることが知られている。これらのシグナル伝達カスケード誘導受容体のうち最も良く特徴付けられている一つが、ミンクル(CLEC4e)である。
【0013】
ミンクルが下流シグナル伝達を惹起するにはITAM含有アダプター分子FcRγにカップリングしなければならず、リガンド結合はCa2+依存性である。しかしながら、ミンクル受容体のリガンドは、デクチン-1及びデクチン-2などの他のCLR受容体のリガンドとは異なるものであり、マイコバクテリア糖脂質トレハロース-6,6’-ジミコール酸塩(TDM)、その合成類似体であるジベヘン酸トレハロース(TDB)、並びに様々な真菌類及びカンジダ属(Candida)の株に見られる多くのα-マンノース含有脂質が含まれる。これらのリガンドはまた、結核菌(M.tuberculosis)、マンソン住血吸虫(S.mansoni)、及び紅色白癬菌(T.rubrum)を含め、多くの病原性生物にも見ることができる。加えて、一部の前臨床ワクチンモデルにおいて、Th1/Th17アジュバント作用特性にはTDBの使用及び続くミンクル誘導性シグナル伝達が必要であることが示された。
【0014】
特別に設計された分子を使用して骨髄系細胞の表面にある単一のCLRを問い合わせ、シグナル伝達経路及び続く下流でのサイトカイン/バイオマーカー誘導を通じたその効果を追い掛けることのできる、新規Th17誘導CLRアゴニストをワクチンアジュバントとして同定するための本明細書に記載される手法を用いて、新規クラスのTh-17誘導アジュバントの基礎として働き得る新規の生物学的に活性な化合物が同定された。更には、リードCLRアゴニスト/アンタゴニストをToll様受容体(TLR)アゴニストと組み合わせた作用機序(MOA)研究を用いると、(1)細胞内シグナル伝達経路、(2)バイオマーカー上方制御、及び(3)インビボサイトカイン/バイオマーカー誘導の判定を通じてCLRとTLRとの間のクロストークを判定することができる。
【0015】
本明細書に記載される化合物は、ヒト、ある種の癌、及び自己免疫疾患において多大な疾患負荷を引き起こす細菌性及び真菌性病原体を標的とするワクチン用の新規クラスのTh17誘導アジュバントに相当し得る。
【0016】
1.定義
特に定義しない限り、本明細書で使用される全ての科学技術用語は、当業者が一般に理解するのと同じ意味を有する。矛盾が生じる場合、定義を含め、本文書が優先するものとする。好ましい方法及び材料を以下に記載するが、しかし実施又は試験においては、本明細書に記載されるものと同様の又は等価な方法及び材料が用いられてもよい。本明細書において言及される全ての刊行物、特許出願、特許及び他の参考文献は、全体として参照により援用される。本明細書に開示される材料、方法、及び例は例示に過ぎず、限定することを意図するものではない。
【0017】
用語「~を含む(comprise(s))」、「~を包含する(include(s))」、「~を有している(having)」、「~を有する(has)」、「~することができる(can)」、「~を含有する(contain(s))」、及びこれらの変化形は、本明細書で使用されるとき、追加的な動作又は構造の可能性を除外しないオープンエンド形式の移行句、用語、又は語句であることが意図される。単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その(the)」は、文脈上特に明確に指示されない限り複数形への言及を含む。本開示はまた、明示的に示されるか否かに関わらず、本明細書に提供される実施形態又は要素「を含む(comprising)」、それ「からなる(consisting of)」及びそれ「から本質的になる(consisting essentially of)」他の実施形態も企図する。
【0018】
量に関連して使用される修飾語句「約」は、記載されている値を含むものであり、文脈によって決まる意味を有する(例えばこれは、特定の量の測定に伴う誤差の度合いを少なくとも含む)。修飾語句「約」はまた、2つの端点の絶対値によって定義される範囲を開示すると考えられなければならない。例えば、表現「約2~約4」はまた、範囲「2~4」も開示する。用語「約」は、指示される数の±10%を指し得る。例えば、「約10%」は9%~11%の範囲を指示してもよく、「約1」は0.9~1.1を意味してもよい。「約」の他の意味が、丸めなど、文脈から明らかであってもよく、そのため、例えば「約1」はまた0.5~1.4も意味し得る。
【0019】
用語「免疫応答」には、限定はされないが、サイトカイン発現、産生又は分泌(例えば、IL-1、IL-6、IL-17、TNFα発現、産生又は分泌)、細胞傷害性、免疫細胞遊走、抗体産生及び/又は免疫細胞応答の増加又は減少を含めた、免疫に関連する任意の応答が含まれる。
【0020】
用語「単剤療法」は、本明細書で使用されるとき、単一の薬物又は治療剤のみが投与されることを意味する。
【0021】
語句「免疫応答を調節している」又は「免疫応答の調節」又は「免疫応答を調節する」は、本明細書に定義するとおりの免疫応答を上方制御し、増強し、刺激し、亢進させ、又は増加させることを含む。
【0022】
具体的な官能基及び化学用語の定義について以下に更に詳細に記載する。本開示の目的上、化学元素は、CAS方式元素周期表(Periodic Table of the Elements,CAS version),Handbook of Chemistry and Physics,75th Ed.内表紙に従い特定され、及び具体的な官能基は概してそこに記載されるとおり定義される。加えて、有機化学の一般的原理、並びに具体的な官能部分及び反応性について、Organic Chemistry,Thomas Sorrell,University Science Books,Sausalito,1999;Smith and March March’s Advanced Organic Chemistry,5th Edition,John Wiley & Sons,Inc.,New York,2001;Larock,Comprehensive Organic Transformations,VCH Publishers,Inc.,New York,1989;Carruthers,Some Modern Methods of Organic Synthesis,3rd Edition,Cambridge University Press,Cambridge,1987に記載される;これらの各々の内容全体は参照により本明細書に援用される。
【0023】
用語「アルコキシ」は、本明細書で使用されるとき、酸素原子を介して親分子部分に付加した本明細書に定義するとおりのアルキル基を指す。アルコキシの代表的な例としては、限定はされないが、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、2-プロポキシ、ブトキシ及びtert-ブトキシが挙げられる。
【0024】
用語「アルキル」は、本明細書で使用されるとき、1~10個の炭素原子を含有する直鎖状又は分枝鎖状飽和炭化水素鎖を意味する。用語「低級アルキル」又は「C~C-アルキル」は、1~6個の炭素原子を含有する直鎖又は分枝鎖炭化水素を意味する。用語「C~C-アルキル」は、1~3個の炭素原子を含有する直鎖又は分枝鎖炭化水素を意味する。アルキルの代表的な例としては、限定はされないが、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、n-ヘキシル、3-メチルヘキシル、2,2-ジメチルペンチル、2,3-ジメチルペンチル、4,4-ジメチルペンタン-2-イル、n-ヘプチル、n-オクチル、n-ノニル、及びn-デシルが挙げられる。
【0025】
用語「アルケニル」は、本明細書で使用されるとき、少なくとも1個の炭素-炭素二重結合及び1~10個の炭素原子を含有する直鎖状又は分枝鎖状炭化水素鎖を意味する。
【0026】
用語「アルコキシアルキル」は、本明細書で使用されるとき、本明細書に定義するとおりのアルキル基を介して親分子部分に付加した本明細書に定義するとおりのアルコキシ基を指す。
【0027】
用語「アルコキシフルオロアルキル」は、本明細書で使用されるとき、本明細書に定義するとおりのフルオロアルキル基を介して親分子部分に付加した本明細書に定義するとおりのアルコキシ基を指す。
【0028】
用語「アルキレン」は、本明細書で使用されるとき、1~10個の炭素原子、例えば2~5個の炭素原子の直鎖又は分枝鎖炭化水素から誘導された二価の基を指す。アルキレンの代表的な例としては、限定はされないが、-CHCH-、-CHCHCH-、-CHCH(CH)CH-、-CHCHCHCH-、-CHCH(CH)CHCH-、及び-CHCHCHCHCH-が挙げられる。
【0029】
用語「アルキルアミノ」は、本明細書で使用されるとき、本明細書に定義するとおりの少なくとも1つのアルキル基が本明細書に定義するとおりのアミノ基を介して親分子部分に付加していることを意味する。
【0030】
用語「アルキルスルホニル」は、本明細書で使用されるとき、本明細書に定義するとおりの少なくとも1つのアルキル基が本明細書に定義するとおりのスルホニル基を介して親分子部分に付加していることを意味する。
【0031】
用語「アミド」は、本明細書で使用されるとき、-C(O)NR-又は-NRC(O)-(式中、Rは、水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロ環、アルケニル、又はヘテロアルキルであってもよい)を意味する。
【0032】
用語「アミノアルキル」は、本明細書で使用されるとき、本明細書に定義するとおりの少なくとも1つのアミノ基が本明細書に定義するとおりのアルキレン基を介して親分子部分に付加していることを意味する。
【0033】
用語「アミノ」は、本明細書で使用されるとき、-NR(式中、R及びRは、水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロ環、アルケニル、又はヘテロアルキルであってもよい)を意味する。アミノが2つの他の部分に共に付加しているアミノアルキル基又は任意の他の部分の場合、アミノは-NR-(式中、Rは、水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロ環、アルケニル、又はヘテロアルキルであってもよい)であってもよい。
【0034】
用語「アリール」は、本明細書で使用されるとき、フェニル基、又は二環式若しくは三環式縮合環系を指す。二環式縮合環系は、親分子部分に付加し、且つフェニル基、本明細書に定義するとおりのシクロアルキル基、本明細書に定義するとおりのヘテロアリール基、又は本明細書に定義するとおりのヘテロ環に縮合したフェニル基によって例示される。三環式縮合環系は、親分子部分に付加し、且つ本明細書に記載されるとおりの二環式縮合環系に縮合したフェニル基によって例示される。アリールの代表的な例としては、限定はされないが、フェニル、ナフチル、アントラセニル、インドリル(例えば、1H-インドール-4-イル、1H-インドール-5-イル、1H-インドール-6-イル、及び1H-インドール-7-イル)、ベンゾジオキソリル(例えば、ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-4-イル及びベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)、クロマニル(例えば、クロマン-5-イル、クロマン-6-イル、クロマン-7-イル、及びクロマン-8-イル)、及びテトラヒドロキノリニル(例えば、1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-5-イル、1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-6-イル、1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-7-イル、及び1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-8-イル)が挙げられる。
【0035】
用語「アリールアミノ」は、本明細書で使用されるとき、本明細書に定義するとおりの少なくとも1つのアリール基が本明細書に定義するとおりのアミノ基を介して親分子部分に付加していることを意味する。
【0036】
用語「シアノアルキル」は、本明細書で使用されるとき、少なくとも1つの-CN基が本明細書に定義するとおりのアルキレン基を介して親分子部分に付加していることを意味する。
【0037】
用語「シアノフルオロアルキル」は、本明細書で使用されるとき、少なくとも1つの-CN基が本明細書に定義するとおりのフルオロアルキル基を介して親分子部分に付加していることを意味する。
【0038】
用語「シクロアルコキシ」は、本明細書で使用されるとき、酸素原子を介して親分子部分に付加した本明細書に定義するとおりのシクロアルキル基を指す。
【0039】
用語「シクロアルキル」は、本明細書で使用されるとき、3~10個の炭素原子、0個のヘテロ原子及び0個の二重結合を含有する炭素環式環系を指す。シクロアルキルは、単環式、二環式、架橋、縮合、又はスピロ環式であってもよい。シクロアルキルの代表的な例としては、限定はされないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、アダマンチル、及びビシクロ[1.1.1]ペンタニルが挙げられる。「シクロアルキル」はまた、シクロアルキル基が親分子部分に付加し、且つ本明細書に定義するとおりのアリール基(例えば、フェニル基)、本明細書に定義するとおりのヘテロアリール基、又は本明細書に定義するとおりのヘテロ環に縮合している炭素環式環系も含む。かかるシクロアルキル基の代表的な例としては、限定はされないが、2,3-ジヒドロ-1H-インデニル(例えば、2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル及び2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)、6,7-ジヒドロ-5H-シクロペンタ[b]ピリジニル(例えば、6,7-ジヒドロ-5H-シクロペンタ[b]ピリジン-6-イル)、オキサスピロ[3.3]ヘプタニル(例えば、2-オキサスピロ[3.3]ヘプタン-6-イル)、及び5,6,7,8-テトラヒドロキノリニル(例えば、5,6,7,8-テトラヒドロキノリン-5-イル)が挙げられる。
【0040】
用語「シクロアルケニル」は、本明細書で使用されるとき、少なくとも1個の炭素-炭素二重結合を含有し、且つ好ましくは各環当たり5~10個の炭素原子を有する非芳香族単環式又は多環式環系を意味する。シクロアルケニルは、単環式、二環式、架橋、縮合、又はスピロ環式であってもよい。例示的単環式シクロアルケニル環としては、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニル、及びビシクロ[2.2.1]ヘプテニルが挙げられる。
【0041】
用語「フルオロアルキル」は、本明細書で使用されるとき、1、2、3、4、5、6、7又は8個の水素原子がフッ素に置き換えられている本明細書に定義するとおりのアルキル基を意味する。フルオロアルキルの代表的な例としては、限定はされないが、2-フルオロエチル、2,2,2-トリフルオロエチル、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、及び3,3,3-トリフルオロプロピルなどのトリフルオロプロピルが挙げられる。
【0042】
用語「フルオロアルコキシ」は、本明細書で使用されるとき、本明細書に定義するとおりの少なくとも1つのフルオロアルキル基が酸素原子を介して親分子部分に付加していることを意味する。フルオロアルコキシの代表的な例としては、限定はされないが、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ及び2,2,2-トリフルオロエトキシが挙げられる。
【0043】
用語「ハロゲン」又は「ハロ」は、本明細書で使用されるとき、Cl、Br、I、又はFを意味する。
【0044】
用語「ハロアルキル」は、本明細書で使用されるとき、1、2、3、4、5、6、7又は8個の水素原子がハロゲンに置き換えられている本明細書に定義するとおりのアルキル基を意味する。
【0045】
用語「ハロアルコキシ」は、本明細書で使用されるとき、本明細書に定義するとおりの少なくとも1つのハロアルキル基が酸素原子を介して親分子部分に付加していることを意味する。
【0046】
用語「ハロシクロアルキル」は、本明細書で使用されるとき、1個以上の水素原子がハロゲンに置き換えられている本明細書に定義するとおりのシクロアルキル基を意味する。
【0047】
用語「ヘテロアルキル」は、本明細書で使用されるとき、炭素原子のうちの1個以上が、S、O、P及びNから選択されるヘテロ原子に置き換えられている本明細書に定義するとおりのアルキル基を意味する。ヘテロアルキルの代表的な例としては、限定はされないが、アルキルエーテル類、第二級及び第三級アルキルアミン類、アミド類、及び硫化アルキル類が挙げられる。
【0048】
用語「ヘテロアリール」は、本明細書で使用されるとき、芳香族単環式環又は芳香族二環式環系を指す。芳香族単環式環は、N、O及びSからなる群から独立に選択される少なくとも1個のヘテロ原子(例えば、O、S、及びNから独立に選択される1、2、3、又は4個のヘテロ原子)を含有する5員環又は6員環である。5員環芳香族単環式環は2個の二重結合を有し、6員6員芳香族単環式環は3個の二重結合を有する。二環式ヘテロアリール基は、親分子部分に付加し、且つ本明細書に定義するとおりの単環式シクロアルキル基、本明細書に定義するとおりの単環式アリール基、本明細書に定義するとおりの単環式ヘテロアリール基、又は本明細書に定義するとおりの単環式ヘテロ環に縮合した単環式ヘテロアリール環によって例示される。ヘテロアリールの代表的な例としては、限定はされないが、インドリル、ピリジニル(ピリジン-2-イル、ピリジン-3-イル、ピリジン-4-イルを含む)、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、ピラゾリル、ピロリル、ベンゾピラゾリル、1,2,3-トリアゾリル、1,3,4-チアジアゾリル、1,2,4-チアジアゾリル、1,3,4-オキサジアゾリル、1,2,4-オキサジアゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、チエニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンズオキサゾリル、ベンズオキサジアゾリル、ベンゾチエニル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、フラニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、プリニル、イソインドリル、キノキサリニル、インダゾリル、キナゾリニル、1,2,4-トリアジニル、1,3,5-トリアジニル、イソキノリニル、キノリニル、6,7-ジヒドロ-1,3-ベンゾチアゾリル、イミダゾ[1,2-a]ピリジニル、ナフチリジニル、ピリドイミダゾリル、チアゾロ[5,4-b]ピリジン-2-イル、チアゾロ[5,4-d]ピリミジン-2-イルが挙げられる。
【0049】
用語「ヘテロ環」又は「ヘテロ環式」は、本明細書で使用されるとき、単環式ヘテロ環、二環式ヘテロ環、又は三環式ヘテロ環を意味する。単環式ヘテロ環は、O、N、及びSからなる群から独立に選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有する3員環、4員環、5員環、6員環、7員環、又は8員環である。3員環又は4員環は、0又は1個の二重結合と、O、N、及びSからなる群から選択される1個のヘテロ原子とを含有する。5員環は、0又は1個の二重結合と、O、N及びSからなる群から選択される1、2又は3個のヘテロ原子とを含有する。6員環は、0、1又は2個の二重結合と、O、N、及びSからなる群から選択される1、2、又は3個のヘテロ原子とを含有する。7員環及び8員環は、0、1、2、又は3個の二重結合と、O、N、及びSからなる群から選択される1、2、又は3個のヘテロ原子とを含有する。単環式ヘテロ環の代表的な例としては、限定はされないが、アゼチジニル、アゼパニル、アジリジニル、ジアゼパニル、1,3-ジオキサニル、1,3-ジオキソラニル、1,3-ジチオラニル、1,3-ジチアニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、イソチアゾリニル、イソチアゾリジニル、イソオキサゾリニル、イソオキサゾリジニル、モルホリニル、2-オキソ-3-ピペリジニル、2-オキソアゼパン-3-イル、オキサジアゾリニル、オキサジアゾリジニル、オキサゾリニル、オキサゾリジニル、オキセタニル、オキセパニル、オキソカニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピラニル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、ピロリニル、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロピリジニル、テトラヒドロチエニル、チアジアゾリニル、チアジアゾリジニル、1,2-チアジナニル、1,3-チアジナニル、チアゾリニル、チアゾリジニル、チオモルホリニル、1,1-ジオキシドチオモルホリニル(チオモルホリンスルホン)、チオピラニル、及びトリチアニルが挙げられる。二環式ヘテロ環は、フェニル基に縮合した単環式ヘテロ環、又は単環式シクロアルキルに縮合した単環式ヘテロ環、又は単環式シクロアルケニルに縮合した単環式ヘテロ環、又は単環式ヘテロ環に縮合した単環式ヘテロ環、又はスピロヘテロ環基、又は環の2個の非隣接原子が1、2、3、又は4個の炭素原子のアルキレン架橋、若しくは2、3、又は4個の炭素原子のアルケニレン架橋によってつながっている架橋単環式ヘテロ環系である。二環式ヘテロ環の代表的な例としては、限定はされないが、ベンゾピラニル、ベンゾチオピラニル、クロマニル、2,3-ジヒドロベンゾフラニル、2,3-ジヒドロベンゾチエニル、2,3-ジヒドロイソキノリン、2-アザスピロ[3.3]ヘプタン-2-イル、2-オキサ-6-アザスピロ[3.3]ヘプタン-6-イル、アザビシクロ[2.2.1]ヘプチル(2-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-イルを含む)、オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタニル(7-オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン-3-イルを含む)、アザビシクロ[3.1.0]ヘキサニル(3-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-3-イルを含む)、2,3-ジヒドロ-1H-インドリル、イソインドリニル、オクタヒドロシクロペンタ[c]ピロリル、オクタヒドロピロロピリジニル、及びテトラヒドロイソキノリニルが挙げられる。三環式ヘテロ環は、フェニル基に縮合した二環式ヘテロ環、又は単環式シクロアルキルに縮合した二環式ヘテロ環、又は単環式シクロアルケニルに縮合した二環式ヘテロ環、又は単環式ヘテロ環に縮合した二環式ヘテロ環、又は二環式環の2個の非隣接原子が1、2、3、又は4個の炭素原子のアルキレン架橋、若しくは2、3、又は4個の炭素原子のアルケニレン架橋によってつながっている二環式ヘテロ環によって例示される。三環式ヘテロ環の例としては、限定はされないが、オクタヒドロ-2,5-エポキシペンタレン、ヘキサヒドロ-2H-2,5-メタノシクロペンタ[b]フラン、ヘキサヒドロ-1H-1,4-メタノシクロペンタ[c]フラン、アザアダマンタン(1-アザトリシクロ[3.3.1.13,7]デカン)、及びオキサアダマンタン(2-オキサトリシクロ[3.3.1.13,7]デカン)が挙げられる。単環式、二環式、及び三環式ヘテロ環は、環に含まれる任意の炭素原子又は任意の窒素原子を介して親分子部分に結び付き、非置換又は置換であってよい。
【0050】
用語「ヒドロキシル」又は「ヒドロキシ」は、本明細書で使用されるとき、-OH基を意味する。
【0051】
用語「ヒドロキシアルキル」は、本明細書で使用されるとき、少なくとも1つの-OH基が本明細書に定義するとおりのアルキレン基を介して親分子部分に付加していることを意味する。
【0052】
用語「ヒドロキシフルオロアルキル」は、本明細書で使用されるとき、少なくとも1つの-OH基が本明細書に定義するとおりのフルオロアルキル基を介して親分子部分に付加していることを意味する。
【0053】
一部の例では、ヒドロカルビル置換基(例えば、アルキル又はシクロアルキル)中の炭素原子の数は接頭語「C~C-」によって指示され、式中、xは置換基中の炭素原子の最小数であり、yは最大数である。従って、例えば、「C~C-アルキル」は、1~3個の炭素原子を含有するアルキル置換基を指す。
【0054】
用語「スルホンアミド」は、本明細書で使用されるとき、-S(O)NR-又は-NRS(O)-(式中、Rは、水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロ環、アルケニル、又はヘテロアルキルであってもよい)を意味する。
【0055】
用語「スルホニル」は、-S(O)2R’基(式中、R’は、アルコキシ、アルキル、アリール、炭素環式、ヘテロ炭素環式;ヘテロアリール、C~Cアルキルアリール又はC~Cアルキルヘテロアリールである)を指す。
【0056】
用語「置換基」は、アリール、ヘテロアリール、フェニル又はピリジニル基上のその基の任意の原子において「置換されている」基を指す。任意の原子が置換されてよい。
【0057】
用語「置換されている」は、1つ以上の非水素置換基で更に置換されていてもよい基を指す。置換基としては、限定はされないが、ハロゲン、=O(オキソ)、=S(チオキソ)、シアノ、ニトロ、フルオロアルキル、アルコキシフルオロアルキル、フルオロアルコキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヘテロアルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロ環、シクロアルキルアルキル、ヘテロアリールアルキル、アリールアルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルキレン、アリールオキシ、フェノキシ、ベンジルオキシ、アミノ、アルキルアミノ、アシルアミノ、アミノアルキル、アリールアミノ、スルホニルアミノ、スルフィニルアミノ、スルホニル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アミノスルホニル、スルフィニル、-COOH、ケトン、アミド、カルバメート、及びアシルが挙げられる。例えば、ある基が「任意選択で置換されている」と記載される場合(アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロ環又はR基などの他の基など)、それは、ハロゲン、=O(オキソ)、=S(チオキソ)、シアノ、ニトロ、フルオロアルキル、アルコキシフルオロアルキル、フルオロアルコキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヘテロアルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロ環、シクロアルキルアルキル、ヘテロアリールアルキル、アリールアルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルキレン、アリールオキシ、フェノキシ、ベンジルオキシ、アミノ、アルキルアミノ、アシルアミノ、アミノアルキル、アリールアミノ、スルホニルアミノ、スルフィニルアミノ、スルホニル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アミノスルホニル、スルフィニル、-COOH、ケトン、アミド、カルバメート、及びアシルから独立に選択される0、1、2、3、4又は5個の置換基を有し得る。
【0058】
用語
【化2】
は、単結合(-)又は二重結合(=)を意味する。
【0059】
本明細書に記載される化合物について、基及びその置換基は、選択及び置換が安定な化合物を生じさせるような、例えば、転位、環化、脱離等によるなどの転換を自発的に起こさない原子及び置換基の許容される原子価に従い選択されてもよい。
【0060】
置換基が、左から右に書かれるその従来の化学式によって特定されるとき、かかる式はまた、構造を右から左に書くことによって生じ得る同じ置換基も包含する。例えば、-CHNH-はまた-NHCH-も包含することが意図される。
【0061】
本明細書における数値範囲の記載について、同じ精度でのそれらの間にある各介在する数が明示的に企図される。例えば、6~9の範囲について、6及び9に加えて数7及び8が企図され、及び6.0~7.0の範囲について、数6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、及び7.0が明示的に企図される。
【0062】
2.化合物
一態様において、式(I)の化合物:
【化3】
又はその薬学的に許容可能な塩[式中、
は-OH又は-X(CR1a1a’Arであり;
は-Y(CR2a2a’Arであり;
X及びYは、各々独立に、-OC(O)-、-NRC(O)-、-NRC(S)-、-NR-、-SONR-、-O-、及び-OC(O)CH=CH-から選択され;
、R、及びRは、各々独立に、水素及びC~Cアルキルから選択され;
mは、0、1又は2であり;
nは、0、1又は2であり;
1a、R1a’、R2a及びR2a’は、存在する場合、各々独立に、水素及びC~Cアルキルから選択され;
pは、0又は1であり;
qは、0又は1であり;
Ar及びArは、各々独立に、アリール又はヘテロアリールから選択され、ここで各アリール又はヘテロアリールは、独立に、水素、C~C12アルキル、ヒドロキシ、C~C12アルコキシ、ハロ、C~Cハロアルキル、Ar、C~Cアルコキシ-C~Cアルコキシ、C~Cアルコキシ-C~Cアルキル、ヒドロキシ-C~Cアルキル、アミノ、ニトロ、-NH-Ar、C~Cアルコキシ-Ar、C~Cアルキルスルホニル、及びC~Cアルコキシ-C~Cアルコキシ-C~Cアルコキシから独立に選択される1、2、3、4、又は5個の置換基で置換されていても、又は置換されていなくてもよく、又はこれらの置換基が、それらが結合する原子と共に、任意選択で一緒になってアリール環を形成し;ここで各ヘテロアリールは、O、S又はNから選択される1、2、3、4、又は5個のヘテロ原子を含んでもよく;
Ar、Ar及びArは、各々独立に、C~Cアルキル、ヒドロキシ、C~Cアルコキシ、ハロ、C~Cハロアルキル、及びC~Cヒドロキシアルキルから独立に選択される1、2、3、又は4個の置換基で独立に置換されていないか又は置換されているアリール又はヘテロアリールから選択される]が開示され;及び
ここで化合物は、
6,6’-ビス(2-メトキシベンゾイル)-α,α-D-トレハロース、
6,6’-ビス(ベンゾイルアミノ)-α,α-D-トレハロース、
6,6’-ビス(2-ヒドロキシベンゾイル)-α,α-D-トレハロース、
6,6’-ビス(2-ヒドロキシベンゾイルアミノ)-α,α-D-トレハロース、
6,6’-ビス(2-メチルベンゾイル)-α,α-D-トレハロース、
6,6’-ビス(2-メチルベンゾイルアミノ)-α,α-D-トレハロース、
6,6’-ビス(4-メトキシベンゾイル)-α,α-D-トレハロース、
6,6’-ビス(4-メトキシベンゾイルアミノ)-α,α-D-トレハロース、
6,6’-ビス(4-ヒドロキシベンゾイル)-α,α-D-トレハロース、
6,6’-ビス(4-ヒドロキシベンゾイルアミノ)-α,α-D-トレハロース、
6,6’-ビス(4-ベンジルオキシベンゾイル)-α,α-D-トレハロース、
6,6’-ビス(2,3-ジメトキシベンゾイル)-α,α-D-トレハロース、
6,6’-ビス(2,3-ジメトキシベンゾイルアミノ)-α,α-D-トレハロース、
6,6’-ビス(2,6-ジフルオロベンゾイル)-α,α-D-トレハロース、
6,6’-ビス(2,6-ジフルオロベンゾイルアミノ)-α,α-D-トレハロース、
6,6’-ビス(2,6-ジクロロベンゾイル)-α,α-D-トレハロース、
6,6’-ビス(2,3-ジヒドロキシベンゾイル)-α,α-D-トレハロース、
6,6’-ビス(2,4-ジヒドロキシベンゾイル)-α,α-D-トレハロース、
6,6’-ビス(2,4-ジヒドロキシベンゾイルアミノ)-α,α-D-トレハロース、
6,6’-ビス(2,3-ジベンジルオキシベンゾイル)-α,α-D-トレハロース、
6,6’-ビス(2-ヒドロキシ-3-メトキシベンゾイル)-α,α-D-トレハロース、
6,6’-ビス(2-ベンジルオキシ-3-メトキシベンゾイル)-α,α-D-トレハロース、
6,6’-ビス(2-メチル-6-アミノベンゾイル)-α,α-D-トレハロース、
6,6’-ビス(3-メトキシ-4-フルオロベンゾイル)-α,α-D-トレハロース、
6,6’-ビス(3,4,5-トリメトキシベンゾイル)-α,α-D-トレハロース、
6,6’-ビス(3,4,5-トリメトキシベンゾイルアミノ)-α,α-D-トレハロース、
6,6’-ビス(2,4-ジヒドロキシ-6-メチルベンゾイル)-α,α-D-トレハロース、
6,6’-ビス(2,4-ジメトキシ-6-メチルベンゾイル)-α,α-D-トレハロース、
6,6’-ビス(2-ヒドロキシ-4-n-ヘプチルオキシベンゾイル)-α,α-D-トレハロース、
6,6’-ビス(2-ヒドロキシ-4-n-ペンチルオキシベンゾイル)-α,α-D-トレハロース、
6,6’-ビス(2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾイル)-α,α-D-トレハロース、
6,6’-ビス(4-n-ペンチルオキシベンゾイル)-α,α-D-トレハロース、
6,6’-ビス(2,4-ジヒドロキシ-6-メチルベンゾイル)-α,α-D-トレハロース、
6,6’-ビス(シンナモイルアミノ)-α,α-D-トレハロース、
6,6’-ビス(3,4-ジメトキシシンナモイルアミノ)-α,α-D-トレハロース、
6,6’-ビス(イソニコチノイルアミノ)-α,α-D-トレハロース、又は
6,6’-ビス(ピラジン-2-カルボニルアミノ)-α,α-D-トレハロース
ではない。
【0063】
一部の実施形態において、p及びqは0である。
【0064】
一部の実施形態において、Lは、
【化4】
であり;
mは、0、1又は2であり;
1a及びR1a’は、存在する場合、各々独立に、水素及びC~Cアルキルから選択され;及び
2a、R3a、R4a、R5a、及びR6aは、各々独立に、水素、C~C12アルキル、ヒドロキシ、C~C12アルコキシ、ハロ、C~Cハロアルキル、アリール、C~Cアルコキシ-C~Cアルコキシ、C~Cアルコキシ-C~Cアルキル、ヒドロキシ-C~Cアルキル、アミノ、ニトロ、アリールアミノ、C~Cアルコキシ-アリール、C~Cアルキルスルホニル、及びC~Cアルコキシ-C~Cアルコキシ-C~Cアルコキシから選択されるか、又はそれらが結合する原子と共に、任意選択で一緒になってアリール環を形成する。
【0065】
一部の実施形態において、R1a’は、存在する場合、水素である。
【0066】
一部の実施形態において、R2a、R3a、R4a、R5a、及びR6aは、各々独立に、水素、C~C12アルキル、ヒドロキシ、C~C12アルコキシ、ハロ、C~Cハロアルキル、アリール、C~Cアルコキシ-C~Cアルコキシ、C~Cアルコキシ-C~Cアルキル、ヒドロキシ-C~Cアルキル、アミノ、ニトロ、アリールアミノ、C~Cアルコキシ-アリール、C~Cアルキルスルホニル、及びC~Cアルコキシ-C~Cアルコキシ-C~Cアルコキシから選択されるか、又はそれらが結合する原子と共に、任意選択で一緒になってアリール環を形成する。
【0067】
一部の実施形態において、Lは、
【化5】
であり;
nは、0、1又は2であり;
1b及びR1b’は、存在する場合、各々独立に、水素及びC~Cアルキルから選択され;及び
2b、R3b、R4b、R5b、及びR6bは、各々独立に、水素、C~C12アルキル、ヒドロキシ、C~C12アルコキシ、ハロ、C~Cハロアルキル、アリール、C~Cアルコキシ-C~Cアルコキシ、C~Cアルコキシ-C~Cアルキル、ヒドロキシ-C~Cアルキル、アミノ、ニトロ、アリールアミノ、C~Cアルコキシ-アリール、C~Cアルキルスルホニル、及びC~Cアルコキシ-C~Cアルコキシ-C~Cアルコキシから選択されるか、又はそれらが結合する原子と共に、任意選択で一緒になってアリール環を形成する。
【0068】
一部の実施形態において、R1b’は、存在する場合、水素である。
【0069】
一部の実施形態において、R2b、R3b、R4b、R5b、及びR6bは、各々独立に、水素、C~Cアルキル、ヒドロキシ、C~Cアルコキシ、ハロ、C~Cハロアルキル、アリール、C~Cアルコキシ-C~Cアルコキシ、C~Cアルコキシ-C~Cアルキル、及びヒドロキシ-C~Cアルキルから選択される。一部の実施形態において、R3b及びR4bは、それらが結合する炭素原子と共に、任意選択で一緒になってアリール環を形成する。
【0070】
別の態様において、式(Ia)の化合物:
【化6】
又はその薬学的に許容可能な塩[式中、
X及びYは、各々独立に、-OC(O)-及び-NRC(O)-から選択され;
は、独立に、水素及びC~Cアルキルから選択され;
mは、0、1又は2であり;
nは、0、1又は2であり;
1a、R1a’、R1b及びR1b’は、存在する場合、各々、水素であり;及び
2a、R2b、R3a、R3b、R4a、R4b、R5a、R5b、R6a、及びR6bは、各々独立に、水素、C~Cアルキル、及びヒドロキシから選択される]が開示される。
【0071】
一部の実施形態において、R2a、R3a、R4a、R5a、及びR6aのうちの少なくとも1つはC~Cアルキルであり、R2b、R3b、R4b、R5b、及びR6bのうちの少なくとも1つはC~Cアルキルである。一部の実施形態において、R3a、R3b、R5a、及びR5bの各々はC~Cアルキルである。一部の実施形態において、C~Cアルキルは、イソプロピル、tert-ブチル、メチル又はエチルである。例示的実施形態において、C~Cアルキルはtert-ブチルである。
【0072】
一部の実施形態において、R2a、R2b、R4a、R4b、R6a、Rは、各々独立に、ヒドロキシ又は水素である。一部の実施形態において、R2a及びR2bは、各々、ヒドロキシである。一部の実施形態において、R4a及びR4bは、各々、ヒドロキシである。
【0073】
一部の実施形態において、R2a、R2b、R6a、及びR6bはメチルである。一部の実施形態において、R3a、R3b、R4a、R4b、R5a、及びR5bは、各々独立に、水素又はC~Cアルキルである。一部の実施形態において、C~Cアルキルはメチル又はtert-ブチルである。
【0074】
一部の実施形態において、m及びnは0である。
【0075】
別の態様において、式(Ib)の化合物:
【化7】
又はその薬学的に許容可能な塩[式中、
X及びYは、各々独立に、-OC(O)-及び-NRC(O)-から選択され;
は、独立に、水素及びC~Cアルキルから選択され;
2a、R2b、R3a、R3b、R4a、R4b、R5a、R5b、R6a、及びR6bは、各々独立に、水素、C~C12アルキル、ヒドロキシ、C~C12アルコキシ、C~Cハロアルキル、Ar及び、-NH-Arから選択されるか、又はそれらが結合する原子と共に、任意選択で一緒になってアリール環を形成し;
Ar、Ar及びArは、各々独立に、C~Cアルキル、ヒドロキシ、C~Cアルコキシ、ハロ、C~Cハロアルキル、及びC~Cヒドロキシアルキルから独立に選択される1、2、3、又は4個の置換基で独立に置換されていないか又は置換されているアリール又はヘテロアリールから選択される]が開示される。
【0076】
一部の実施形態において、R3a、R3b、R5a、及びR5bは、各々、C~Cアルコキシである。一部の実施形態において、式中、R2a、R2b、R4a、R4b、R6a、及びR6bは、各々、水素である。一部の実施形態において、R4a及びR4bは、各々、C~Cアルコキシである。一部の実施形態において、R3a、R3b、R4a、R4b、R5a、及びR5bは、各々、エトキシである。一部の実施形態において、R2a、R2b、R6a及びR6bは、各々、水素である。
【0077】
一部の実施形態において、R2a及びR2bは、各々、C~Cアルコキシ又はヒドロキシである。一部の実施形態において、R3a、R4a、R5a、及びR6aのうちの少なくとも1つはC~Cアルキルであり、R3b、R4b、R5b、及びR6bのうちの少なくとも1つはC~Cアルキルである。一部の実施形態において、C~Cアルキルはtert-ブチルである。
【0078】
一部の実施形態において、R2a、R3a、R4a、R5a、及びR6aのうちの少なくとも1つはC~Cハロアルキルであり、R2b、R3b、R4b、R5b、及びR6bのうちの少なくとも1つはC~Cハロアルキルである。一部の実施形態において、R2a及びR2bは、各々、C~Cハロアルキルである。一部の実施形態において、R3a、R3b、R5a、及びR5bは、各々、水素である。一部の実施形態において、R6a及びR6bは、各々、水素又はC~Cハロアルキルである。一部の実施形態において、R4a及びR4bは、各々、水素又はC~Cアルコキシである。一部の実施形態において、C~Cアルコキシはメトキシである。
【0079】
一部の実施形態において、R3a及びR3bは、各々、C~Cハロアルキルである。一部の実施形態において、R5a及びR5bは、各々、水素又はC~Cハロアルキルである。一部の実施形態において、R2a及びR2bは、各々、水素又はヒドロキシである。一部の実施形態において、R4a、R4b、R6a、及びR6bは、各々、水素である。
【0080】
一部の実施形態において、R5a、及びR5bは、各々、C~Cアルコキシである。一部の実施形態において、C~Cアルコキシはメトキシである。一部の実施形態において、R3a、R3b、R4a、R4b、R6a、及びR6bは水素である。
【0081】
一部の実施形態において、C~Cハロアルキルはトリフルオロメチルである。
【0082】
一部の実施形態において、R6a及びR6bは、各々、水素であり、R2a、R2b、R3a、R3b、R4a、R4b、R5a、及びR5bは、各々独立に、水素、ヒドロキシ、Ar及び、-NH-Arから選択され、ここでR2a、R3a、R4a、及びR5aのうちの少なくとも1つはAr又は-NH-Arであり、R2b、R3b、R4b、及びR5bのうちの少なくとも1つはAr又は-NH-Arであり;及びAr及びArは、各々独立に、C~Cアルキル、ヒドロキシ、C~Cアルコキシ、ハロ、C~Cハロアルキル、及びC~Cヒドロキシアルキルから独立に選択される1、2、3、又は4個の置換基で独立に置換されていないか又は置換されているアリール又はヘテロアリールから選択される。
【0083】
一部の実施形態において、Ar及びArは、ヒドロキシ、アルコキシ、C~Cアルキル、及びヒドロキシ-C~Cアルキルからなる群から独立に選択される1、2、又は3個の置換基で置換されていないか又は置換されているフェニルである。一部の実施形態において、フェニルは、メチル、ヒドロキシ、及びヒドロキシメチルから選択される1個の置換基で置換されている。一部の実施形態において、R2a、R3a、R4a、及びR5aのうちの少なくとも1つはヒドロキシであり、R2b、R3b、R4b、及びR5bのうちの少なくとも1つはヒドロキシである。
【0084】
一部の実施形態において、R3a、R4a、及びR5aのうちの少なくとも2つはC~C12アルコキシであり、R3b、R4b、及びR5bのうちの少なくとも2つはC~C12アルコキシであり、R2a、R2b、R6a、及びR6bは、各々、水素である。一部の実施形態において、R3a、R3b、R5a、及びR5bは、各々、C~C12アルコキシである。一部の実施形態において、R4a及びR4bは、各々、C~C12アルコキシである。
【0085】
6,6’-ビス(3,5-ジメトキシベンゾイル)-α,α-D-トレハロース、6,6’-ビス(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ブチルベンゾイル)-α,α-D-トレハロース、6,6’-ビス(3,5-ジペンチルオキシベンゾイル)-α,α-D-トレハロース、6,6’-ビス(3,4,5-トリエトキシベンゾイル)-α,α-D-トレハロース、6,6’-ビス(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ブチルベンゾイルアミノ)-α,α-D-トレハロース、6,6’-ビス(2,6-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ブチルベンゾイルアミノ)-α,α-D-トレハロースからなる群から選択される化合物、又はその薬学的に許容可能な塩。
【0086】
一部の実施形態において、化合物は、6,6-ビス(3,5-ジメトキシベンゾイル)-α,α-D-トレハロース、又はその薬学的に許容可能な塩である。
【0087】
一部の実施形態において、化合物は、6,6-ビス(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ブチルベンゾイル)-α,α-D-トレハロース、又はその薬学的に許容可能な塩である。
【0088】
別の態様において、式(II)の化合物:
【化8】
又はその薬学的に許容可能な塩[式中、
mは、0、1又は2であり;
nは、0、1又は2であり;
X及びYは、各々独立に、-C(O)O-、-C(O)NR-、-C(S)NR-、-NR-、及び-O-から選択され;
、R、及びRは、各々独立に、水素及びC~Cアルキルから選択され;
1a及びR1bは、存在する場合、各々独立に、水素及びC~Cアルキルから選択され;
2a、R2b、R3a、R3b、R4a、R4b、R5a、R5b、R6a、及びR6bは、各々独立に、水素、C~C-アルキル、ヒドロキシ、C~C-アルコキシ、ハロ、C~Cハロアルキル、アリール、C~C-アルコキシ-C~C-アルコキシ、C~C-アルコキシ-C~C-アルキル、及びヒドロキシ-C~C-アルキルから選択され;
ここでR3a及びR4aは、それらが結合する炭素原子と共に、任意選択で一緒になってアリール環を形成し;
ここでR3b及びR4bは、それらが結合する炭素原子と共に、任意選択で一緒になってアリール環を形成し;
ここで各アリールは、独立に、非置換であるか、又はC~C-アルキル、ヒドロキシ、C~C-アルコキシ、ハロ、C~Cハロアルキル、及びC~Cヒドロキシアルキルから独立に選択される1、2、又は3個の置換基で置換されている]が開示され;及び
ここで化合物は、
6,6’-ビス(2-メトキシベンゾイル)-α,α-D-トレハロース、
6,6’-ビス(2-ヒドロキシベンゾイル)-α,α-D-トレハロース、
6,6’-ビス(2-メチルベンゾイル)-α,α-D-トレハロース、
6,6’-ビス(4-メトキシベンゾイル)-α,α-D-トレハロース、
6,6’-ビス(4-ヒドロキシベンゾイル)-α,α-D-トレハロース、
6,6’-ビス(4-ベンジルオキシベンゾイル)-α,α-D-トレハロース、
6,6’-ビス(2,3-ジメトキシベンゾイル)-α,α-D-トレハロース、
6,6’-ビス(2,6-ジフルオロベンゾイル)-α,α-D-トレハロース、
6,6’-ビス(2,6-ジクロロベンゾイル)-α,α-D-トレハロース、
6,6’-ビス(2,3-ジヒドロキシベンゾイル)-α,α-D-トレハロース、
6,6’-ビス(2,4-ジヒドロキシベンゾイル)-α,α-D-トレハロース、
6,6’-ビス(2,3-ジベンジルオキシベンゾイル)-α,α-D-トレハロース、
6,6’-ビス(2-ヒドロキシ-3-メトキシベンゾイル)-α,α-D-トレハロース、
6,6’-ビス(2-ベンジルオキシ-3-メトキシベンゾイル)-α,α-D-トレハロース、
6,6’-ビス(2-メチル-6-アミノベンゾイル)-α,α-D-トレハロース、
6,6’-ビス(3-メトキシ-4-フルオロベンゾイル)-α,α-D-トレハロース、
6,6’-ビス(3,4,5-トリメトキシベンゾイル)-α,α-D-トレハロース、
6,6’-ビス(2,4-ジヒドロキシ-6-メチルベンゾイル)-α,α-D-トレハロース、
6,6’-ビス(2,4-ジメトキシ-6-メチルベンゾイル)-α,α-D-トレハロース、
6,6’-ビス(2-ヒドロキシ-4-n-ヘプチルオキシベンゾイル)-α,α-D-トレハロース、
6,6’-ビス(2-ヒドロキシ-4-n-ペンチルオキシベンゾイル)-α,α-D-トレハロース、
6,6’-ビス(2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾイル)-α,α-D-トレハロース、
6,6’-ビス(4-n-ペンチルオキシベンゾイル)-α,α-D-トレハロース、又は
6,6’-ビス(2,4-ジヒドロキシ-6-メチルベンゾイル)-α,α-D-トレハロース
ではない。
【0089】
一部の実施形態において、R3a、R3b、R5a、及びR5bは、各々、C~Cアルコキシである。一部の実施形態において、R3a、R3b、R5a、及びR5bは、各々、エトキシである。
【0090】
一部の実施形態において、R2a、R2b、R4a、R4b、R6a、及びR6bは水素である。一部の実施形態において、R2a、R2b、R3a、R3b、R4a、R4b、R5a、R5b、及びR6aのうちの少なくとも1つ、及びR6bは、tert-ブチルである。一部の実施形態において、R3a、R3b、R5a、及びR5bは、各々、tert-ブチルである。一部の実施形態において、R2a及びR2bは、各々、ヒドロキシである。一部の実施形態において、R4a、R4b、R6a、及びR6bは、各々、水素である。
【0091】
一部の実施形態において、mは0であり、及びnは0である。
【0092】
一部の実施形態において、X及びYは、各々、-C(O)O-である。
【0093】
別の態様において、式(IIa)の化合物:
【化9】
又はその薬学的に許容可能な塩[式中、
mは、0又は1であり;
nは、0又は1であり;
X及びYは、各々独立に、-C(O)O-、-C(O)NR-、-C(S)NR-、-NR-、及び-O-から選択され;
、R、及びRは、各々独立に、水素及びC~Cアルキルから選択され;
1a及びR1bは、存在する場合、各々独立に、水素及びC~Cアルキルから選択され;
2a、R2b、R6a、及びR6bは、各々独立に、水素、C~Cアルキル、ヒドロキシ、及びC~Cアルコキシから選択され;
4a及びR4bは、水素であり;
3a、R3b、R5a、及びR5bは、各々独立に、C~Cアルキル、ヒドロキシ、C~Cアルコキシ、ハロ、C~Cハロアルキル、アリール、C~Cアルコキシ-C~Cアルコキシ、C~Cアルコキシ-C~Cアルキル、ヒドロキシ-C~Cアルキルから選択され;及び
ここで各アリールは、独立に、非置換であるか、又はC~Cアルキル、ヒドロキシ、C~Cアルコキシ、ハロ、C~Cハロアルキル、及びC~Cヒドロキシアルキルから独立に選択される1、2、又は3個の置換基で置換されている]が開示される。
【0094】
一部の実施形態において:各nは0であり;R2a及びR2bは、各々独立に、水素又はヒドロキシであり;R3a及びR3bは、各々独立に、C~Cアルキル、ヒドロキシ、C-Cアルコキシ、C~Cアルコキシ-C~Cアルコキシ、及びC~Cハロアルキルから選択され;R5a及びR5bは、各々独立に、C~Cアルキル、ヒドロキシ、C~Cアルコキシ、C~Cアルコキシ-C~Cアルコキシ、及びC~Cハロアルキルから選択され;並びにR6a及びR6bは、各々独立に、水素又はヒドロキシである。
【0095】
一部の実施形態において、R3a、R3b、R5a、及びR5bは、各々、C~Cアルコキシである。一部の実施形態において、R3a、R3b、R5a、及びR5bは、各々、エトキシである。
【0096】
一部の実施形態において、R2a、R2b、R6a、及びR6bは、各々、水素である。
【0097】
一部の実施形態において、R3a、R3b、R5a、及びR5bのうちの少なくとも1つはtert-ブチルである。一部の実施形態において、R3a、R3b、R5a、及びR5bは、各々、tert-ブチルである。
【0098】
一部の実施形態において、R2a及びR2bは、各々、ヒドロキシである。
【0099】
一部の実施形態において、R6a及びR6bは、各々、水素である。
【0100】
一部の実施形態において、mは0であり、及びnは0である。
【0101】
一部の実施形態において、X及びYは、各々、-C(O)O-である。
【0102】
別の態様において、式(IIb)の化合物:
【化10】
又はその薬学的に許容可能な塩[式中、
mは、0又は1であり;
nは、0又は1であり;
X及びYは、各々独立に、-C(O)O-、-C(O)NR-、-C(S)NR-、-NR-、及び-O-から選択され;
、R、及びRは、各々独立に、水素及びC~Cアルキルから選択され;
1a及びR1bは、存在する場合、各々独立に、水素及びC~Cアルキルから選択され;
6a及びR6bは、各々、水素であり;及び
2a、R2b、R3a、R3b、R4a、R4b、R5a、及びR5bは、各々独立に、水素、ヒドロキシ、及びアリールから選択され、ここでR2a、R2b、R3a、R3b、R4a、R4b、R5a、及びR5bのうちの少なくとも1つはアリールであり;又は
ここでR3a及びR4aは、それらが結合する炭素原子と共に、任意選択で一緒になってアリール環を形成し;又は
ここでR3b及びR4bは、それらが結合する炭素原子と共に、任意選択で一緒になってアリール環を形成し;
ここで各アリールは、独立に、非置換であるか、又はC~C-アルキル、ヒドロキシ、C~C-アルコキシ、ハロ、C~Cハロアルキル、及びC~Cヒドロキシアルキルから独立に選択される1、2、又は3個の置換基で置換されている]が開示される。
【0103】
一部の実施形態において、mは0であり、及びnは0である。
【0104】
一部の実施形態において、R2a、R2b、R3a、R3b、R4a、R4b、R5a、及びR5bのうちの1つはフェニルであり、及びフェニルは、非置換であるか、又はヒドロキシ、アルコキシ、C~Cアルキル、及びヒドロキシ-C~Cアルキルからなる群から独立に選択される1、2、又は3個の置換基で置換されている。一部の実施形態において、フェニルは、メチル、ヒドロキシ、及びヒドロキシメチルから選択される1個の置換基で置換されている。
【0105】
一部の実施形態において、X及びYは、各々、-C(O)O-である。
【0106】
別の態様において、式(IIc)の化合物:
【化11】
又はその薬学的に許容可能な塩[式中、
mは、0又は1であり;
nは、0又は1であり;
X及びYは、各々独立に、-C(O)O-、-C(O)NR-、-C(S)NR-、-NR-、及び-O-から選択され;
、R、及びRは、各々独立に、水素及びC~Cアルキルから選択され;
2a、R2b、R3a、R3b、R4a、R4b、R5a、R5b、R6a、及びR6bは、各々独立に、水素、ヒドロキシ、及びC~Cアルコキシ、及びC~Cハロアルキルから選択され、ここでR2a、R2b、R3a、R3b、R4a、R4b、R5a、R5b、R6a、及びR6bのうちの少なくとも1つはC~Cハロアルキルである]が開示される。
【0107】
一部の実施形態において:mは0であり;nは0であり;R2a及びR2bは、各々独立に、水素、ヒドロキシ、C~Cアルコキシ、及びC~Cハロアルキルから選択され;R3a、R3b、R5a、R5b、R6a及びR6bは、各々独立に、水素及びC~Cハロアルキルから選択され;並びにR4a及びR4bは、各々独立に、水素、ヒドロキシ、及びC~Cハロアルキルから選択される。
【0108】
一部の実施形態において、R2a、R2b、R3a、R3b、R4a、R4b、R5a、R5b、R6a、及びR6bのうちの少なくとも1つはトリフルオロメチルである。
【0109】
一部の実施形態において、X及びYは、各々、-C(O)O-である。
【0110】
別の態様において、式(IId)の化合物:
【化12】
又はその薬学的に許容可能な塩[式中、
mは1であり;
nは1であり;
X及びYは、各々独立に、-C(O)O-、-C(O)NR-、-C(S)NR-、-NR-、及び-O-から選択され;
、R、及びRは、各々独立に、水素及びC~Cアルキルから選択され;
1a及びR1bは、存在する場合、各々独立に、水素及びC~Cアルキルから選択され;及び
2a、R2b、R3a、R3b、R4a、R4b、R5a、R5b、R6a、及びR6bは、各々独立に、水素、C~Cアルキル、ヒドロキシ、C~Cアルコキシ、ハロ、C~Cハロアルキル、アリール、C~Cアルコキシ-C~Cアルコキシ、C~Cアルコキシ-C~Cアルキル、及びヒドロキシ-C~Cアルキルから選択され;
ここで各アリールは、独立に、非置換であるか、又はC~C-アルキル、ヒドロキシ、C~Cアルコキシ、ハロ、C~Cハロアルキル、及びC~Cヒドロキシアルキルから独立に選択される1、2、又は3個の置換基で置換されている]が開示される。
【0111】
一部の実施形態において、R1a及びR1bは、各々、水素である。
【0112】
一部の実施形態において:R2a、R2b、R4a、R4b、R6a、及びR6bは、各々独立に、水素、ヒドロキシ、及びC~Cアルコキシから選択され;並びにR3a、R3b、R5a、及びR5bは、各々独立に、水素及びC~Cアルコキシから選択される。
【0113】
一部の実施形態において、X及びYは、各々、-C(O)O-である。
【0114】
別の態様において、式(IIe)の化合物:
【化13】
又はその薬学的に許容可能な塩[式中、
mは、0又は1であり;
nは、0又は1であり;
X及びYは、各々独立に、-C(O)O-、-C(O)NR-、-C(S)NR-、-NR-、及び-O-から選択され;
、R、及びRは、各々独立に、水素及びC~Cアルキルから選択され;
1a及びR1bは、存在する場合、各々独立に、水素及びC~Cアルキルから選択され;
2a、R2b、R5a、R5b、R6a、及びR6bは、各々、水素であり;及び
3a、R3b、R4a、及びR4bは、各々独立に、C~Cアルキル、ヒドロキシ、C~Cアルコキシ、C~Cアルコキシ-C~Cアルコキシ、C~Cアルコキシ-C~Cアルキル、及びヒドロキシ-C~Cアルキルから選択される]が開示される。
【0115】
一部の実施形態において、R3a、R3b、R4a、及びR4bは、各々独立に、ヒドロキシ及びC~Cアルコキシから選択される。
【0116】
一部の実施形態において、mは0であり、及びnは0である。
【0117】
一部の実施形態において、X及びYは、各々、-C(O)O-である。
【0118】
別の態様において、
6,6’-ビス(3,5-ジメトキシベンゾイル)-α,α-D-トレハロース、及び
6,6’-ビス(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ブチルベンゾイル)-α,α-D-トレハロース、
からなる群から選択される化合物、
又はその薬学的に許容可能な塩
が開示される。
【0119】
別の態様において、6,6’-ビス(3,5-ジメトキシベンゾイル)-α,α-D-トレハロースである化合物、又はその薬学的に許容可能な塩が開示される。
【0120】
別の態様において、6,6’-ビス(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ブチルベンゾイル)-α,α-D-トレハロースである化合物、又はその薬学的に許容可能な塩が開示される。
【0121】
本開示にかかる他の化合物が図10に示される。
【0122】
本化合物は、不斉中心又はキラル中心が存在する立体異性体として存在してもよい。立体異性体は、キラル炭素原子の周りの置換基の立体配置に応じて「R」又は「S」である。本明細書において使用される用語「R」及び「S」は、IUPAC 1974 Recommendations for Section E,Fundamental Stereochemistry,in Pure Appl.Chem.,1976,45:13-30に定義されるとおりの立体配置である。本開示は様々な立体異性体及びそれらの混合物を企図し、それらは本開示の範囲内に具体的に包含される。立体異性体には、エナンチオマー及びジアステレオマー、及びエナンチオマー又はジアステレオマーの混合物が含まれる。本化合物の個々の立体異性体は、不斉中心又はキラル中心を含む市販の出発物質から合成して調製されてもよく、又はラセミ混合物の調製と、続く当業者に周知の分割法によって調製されてもよい。そうした分割法は、(1)Furniss,Hannaford,Smith,and Tatchell,“Vogel’s Textbook of Practical Organic Chemistry,”5th edition(1989),Longman Scientific & Technical,Essex CM20 2JE,England(又はその最新版)に記載されるとおりの、エナンチオマー混合物とキラル補助基との結合、得られたジアステレオマー混合物の再結晶又はクロマトグラフィーによる分離、及び任意選択の、補助基からの光学的に純粋な生成物の遊離、又は(2)キラルクロマトグラフィーカラムでの光学的エナンチオマー混合物の直接的な分離、又は(3)分別再結晶法によって例示される。
【0123】
本化合物は互変異性型、並びに幾何異性体を有してもよいこと、及びそれらもまた本開示の実施形態を成すことが理解されなければならない。
【0124】
本開示はまた、同位体で標識された化合物も含み、これは、通常天然に見られる原子質量又は質量数と異なる原子質量又は質量数を有する原子によって1個以上の原子が置き換えられている点を別にすれば、式(I)に記載されるものと同一である。本開示の化合物に含めるのに好適な同位体の例は、限定はされないが、それぞれ、H、H、13C、14C、15N、18O、17O、31P、32P、35S、18F、及び36Clなど、水素、炭素、窒素、酸素、リン、硫黄、フッ素、及び塩素である。重水素、即ちHなど、より重い同位体による置換は、より高い代謝安定性から得られる特定の治療上の利点、例えば生体内半減期の増加又は必要な投薬量の減少をもたらし得るため、従って状況によっては好ましいこともある。本化合物は、受容体の分布を決定するため、医用イメージング及び陽電子放出断層撮影法(PET)試験用の陽電子放出同位体を取り込んでもよい。式(I)の化合物に取り込み得る好適な陽電子放出同位体は、11C、13N、15O、及び18Fである。同位体で標識された式(I)の化合物は、概して、同位体で標識されていない試薬の代わりに適切な同位体で標識された試薬を使用して、当業者に公知の従来技法によるか、又は添付の実施例に記載されるものと同様の方法によって調製することができる。
【0125】
a.薬学的に許容可能な塩
開示される化合物は、薬学的に許容可能な塩として存在してもよい。用語「薬学的に許容可能な塩」は、水又は油に可溶性又は分散性で、障害の治療に好適であり、過度の毒性、刺激作用、及びアレルギー反応がなく、妥当なリスク対効果比に見合っており、且つその使用目的に有効な化合物の塩又は双性イオンを指す。塩は化合物の最終的な分離及び精製中に調製されてもよく、又は別途、化合物のアミノ基を好適な酸と反応させることにより調製されてもよい。例えば、限定はされないが、メタノール及び水などの好適な溶媒中に化合物を溶解させて、少なくとも1当量の酸、例えば塩酸などで処理してもよい。得られる塩を析出させて、ろ過によって分離し、減圧下で乾燥させてもよい。或いは、溶媒及び過剰量の酸を減圧下で除去して塩を提供してもよい。代表的な塩には、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、クエン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、酪酸塩、樟脳酸塩、カンファースルホン酸塩、ジグルコン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ギ酸塩、イセチオン酸塩、フマル酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、ナフチレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、シュウ酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、ピクリン酸塩、シュウ酸塩、マレイン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、トリクロロ酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、グルタミン酸塩、パラトルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、リン酸塩などが含まれる。化合物のアミノ基はまた、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ラウリル、ミリスチル、ステアリルなど、塩化アルキル、臭化物及びヨウ化物で四級化されてもよい。
【0126】
塩基性付加塩は、開示される化合物の最終的な分離及び精製中に、カルボキシル基と好適な塩基、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、若しくはアルミニウムなどの金属カチオンの水酸化物、炭酸塩、若しくは重炭酸塩、又は有機第一級、第二級、若しくは第三級アミンなどとの反応によって調製されてもよい。メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジエチルアミン、エチルアミン、トリブチルアミン、ピリジン、N,N-ジメチルアニリン、N-メチルピペリジン、N-メチルモルホリン、ジシクロヘキシルアミン、プロカイン、ジベンジルアミン、N,N-ジベンジルフェネチルアミン、1-エフェナミン及びN,N’-ジベンジルエチレンジアミン、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ピペリジン、ピペラジンなどから誘導されるものなど、第四級アミン塩を調製することができる。
【0127】
b.一般的な合成
式(I)の化合物は、合成的方法によるか、又は代謝的方法によって調製されてもよい。代謝的方法による化合物の調製には、ヒト又は動物の生体内で起こるもの(インビボ)、又はインビトロで行われる方法が含まれる。
【0128】
以下のスキーム及び説明に使用される略語には、以下が含まれる:DCCはN,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミドであり;EDCは1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドであり;TBTUはO-(ベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレートであり;及びTMSはテトラメチルシリルである。
【0129】
式(I)の化合物は、スキーム1に示されるとおり合成されてもよい。
【化14】
【0130】
スキーム1に示されるとおり、化合物2,3,4,2’,3’,4’-ヘキサキス-O-トリメチルシリル-α,α-トレハロース(Johnson et al.J.Carbohydr.Chem.17(6),969-974(1998)に記載されるとおり調製した)を適切なアリール酸とカップリングすることができる。これはカップリング剤(例えば、DCC、EDC、TBTUなど)を用いて達成されてもよい。或いは、アリール酸は、光延条件下で、又は対応する6,6’-トリフレート化合物のSN2置換によってカップリングされてもよい。より具体的な例示的合成については、実施例を参照することができる。
【0131】
安息香酸など、特定のアリール酸は、市販のものであってもよい。他のものは、公知の方法により合成されてもよい。例示的化合物の調製に使用された、又は将来の化合物の調製における使用が企図される安息香酸としては、図7図9に例示されるものが挙げられる。
【0132】
化合物及び中間体は、有機合成の当業者に周知の方法により分離及び精製されてもよい。化合物を分離及び精製するための従来の方法の例としては、例えば、“Vogel’s Textbook of Practical Organic Chemistry,”5th edition(1989),by Furniss,Hannaford,Smith,and Tatchell,pub.Longman Scientific & Technical,Essex CM20 2JE,Englandに記載されるとおり、限定はされないが、シリカゲル、アルミナ、又はアルキルシラン基で誘導体化されたシリカなどの固体支持体でのクロマトグラフィー、任意選択で活性炭による前処理を伴う高温又は低温での再結晶によるもの、薄層クロマトグラフィー、様々な圧力での蒸留、真空下での昇華、及び研和を挙げることができる。
【0133】
開示される化合物は少なくとも1つの塩基性窒素を有してもよく、従って化合物を酸で処理すると所望の塩を形成することができる。例えば、化合物を室温以上で酸と反応させて所望の塩を提供してもよく、この塩は冷却後に沈殿させて、ろ過によって収集する。この反応に好適な酸の例としては、限定はされないが、酒石酸、乳酸、コハク酸、並びにマンデル酸、アトロラクチン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、炭酸、フマル酸、マレイン酸、グルコン酸、酢酸、プロピオン酸、サリチル酸、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸、クエン酸、ヒドロキシ酪酸、カンファースルホン酸、リンゴ酸、フェニル酢酸、アスパラギン酸、又はグルタミン酸などが挙げられる。
【0134】
各個別のステップの反応条件及び反応時間は、用いられる詳細な反応物及び使用する反応物中に存在する置換基に応じて異なり得る。具体的な手順は実施例の節に提供される。反応は、従来の方法で、例えば残渣から溶媒を除去することによりワークアップし、限定はされないが、結晶化、蒸留、抽出、研和及びクロマトグラフィーなど、当該技術分野において概して公知の方法論に従い更に精製することができる。特に記載がない限り、出発物質及び試薬は市販のものであるか、或いは当業者が化学文献に記載される方法を用いて市販の材料から調製することもできる。出発物質は、市販のものでない場合、標準的な有機化学技法、公知の構造的に類似した化合物の合成と同様の技法、若しくは上述のスキームと同様の技法から選択される手順又は合成例の節に記載される手順により調製することができる。
【0135】
本開示の範囲には、反応条件、試薬及び一連の合成経路の適切な操作、反応条件と適合し得ない任意の化学官能基の保護、及び方法の反応順序における好適な時点での脱保護を含め、ルーチンの実験が含まれる。好適な保護基並びにかかる好適な保護基を使用する種々の置換基の保護及び脱保護方法は当業者に周知である;その例については、PGM Wuts and TW Greene,in Greene’s book titled Protective Groups in Organic Synthesis(4th ed.),John Wiley & Sons,NY(2006)(これは全体として参照により本明細書に援用される)を参照することができる。本開示の化合物の合成は、以上に記載される合成スキーム及び具体的な例に記載されるものと同様の方法によって達成することができる。
【0136】
開示される化合物の光学活性体が必要な場合、それは、光学活性出発材料(例えば好適な反応ステップの不斉誘導によって調製される)を用いて本明細書に記載される手順のうちの1つを実行することによるか、又は標準的手順(クロマトグラフ分離、再結晶又は酵素的分割など)を用いた化合物又は中間体の立体異性体混合物の分割によって入手されてもよい。
【0137】
同様に、化合物の純粋な幾何異性体が必要な場合、それは、純粋な幾何異性体を出発材料として用いて上記の手順のうちの1つを実行することによるか、又はクロマトグラフ分離などの標準的手順を用いた化合物又は中間体の幾何異性体混合物の分割によって入手されてもよい。
【0138】
記載されるとおりの合成スキーム及び具体的な例は例示であり、添付の特許請求の範囲に定義されるとおりの本開示の範囲を限定するものと読まれてはならないことが理解され得る。合成方法及び具体的な例の全ての代替例、変形例、及び均等物が、特許請求の範囲内に含まれる。
【0139】
c.生物学的活性
本明細書に開示される化合物は、式(I)の化合物(式(I)、(Ia)、及び(Ib)の化合物を含む)並びに式(II)の化合物(式(II)、(IIa)、(IIb)、(IIc)、(IId)、及び(IIe)の化合物を含む)を含め、それを免疫学的アジュバント又は免疫調節薬として有用なものにする生物学的活性を有し得る。例えば、本化合物は、共投与された抗原に対する免疫系の応答を刺激し得る。一部の実施形態において、本化合物は、単剤療法として投与されたとき免疫応答を調節し得る。一部の実施形態において、本化合物はTh-17刺激性アジュバントとしての活性を有し得る。
【0140】
一部の実施形態において、本化合物は、試料中で又は対象への投与時にサイトカインの産生を刺激し得る。本化合物はTh17型サイトカインの産生を刺激し得る。例示的サイトカインとしては、IL-6、IL-1β、IL-23、及びTNFαが挙げられる。かかる活性は、確立された方法により試験されてもよい。例えば、かかるサイトカインのレベルは、化合物への曝露後に末梢血単核球(PBMC)の試料中で測定されてもよい。
【0141】
本明細書に開示される化合物は、式(I)の化合物(式(I)、(Ia)、及び(Ib)の化合物を含む)並びに式(II)の化合物(式(II)、(IIa)、(IIb)、(IIc)、(IId)、及び(IIe)の化合物を含む)を含め、それを例えば癌の治療用の細胞傷害性化合物として有用なものにする生物学的活性もまた有し得る。一部の実施形態において、本化合物は癌細胞の成長又は増殖を阻害又は低減し得る。かかる活性は、確立された方法により決定することができる。
【0142】
3.組成物
開示される化合物は、対象(患者など、これはヒト又は非ヒトであってもよい)への投与に好適であり得る医薬組成物、アジュバント組成物、及びワクチン組成物に取り込まれてもよい。
【0143】
a.医薬組成物
開示される化合物は、医薬組成物に取り込まれてもよい。医薬組成物は、「治療有効量」又は「予防有効量」の薬剤を含み得る。「治療有効量」は、必要な投薬量及び期間で所望の治療結果を達成するのに有効な量を指す。組成物の治療有効量は当業者が決定してもよく、個体の疾患状態、年齢、性別、及び体重、並びに組成物が個体において所望の応答を引き出す能力などの要因に応じて異なり得る。治療有効量はまた、本発明の化合物(例えば、式(I)の化合物)の任意の毒性効果又は有害効果を治療上有益な効果が上回るものである。「予防有効量」は、必要な投薬量及び期間で所望の予防結果を達成するのに有効な量を指す。典型的には、予防用量は対象において疾患に先立って又は疾患の初期段階で使用されるため、予防有効量は治療有効量より少ないものとなる。
【0144】
例えば、式(I)の化合物の治療有効量は、約0.001mg/kg~約1000mg/kg、0.01mg/kg~約1000mg/kg、0.1mg/kg~約1000mg/kg、1mg/kg~約1000mg/kg、約5mg/kg~約950mg/kg、約10mg/kg~約900mg/kg、約15mg/kg~約850mg/kg、約20mg/kg~約800mg/kg、約25mg/kg~約750mg/kg、約30mg/kg~約700mg/kg、約35mg/kg~約650mg/kg、約40mg/kg~約600mg/kg、約45mg/kg~約550mg/kg、約50mg/kg~約500mg/kg、約55mg/kg~約450mg/kg、約60mg/kg~約400mg/kg、約65mg/kg~約350mg/kg、約70mg/kg~約300mg/kg、約75mg/kg~約250mg/kg、約80mg/kg~約200mg/kg、約85mg/kg~約150mg/kg、及び約90mg/kg~約100mg/kgであってもよい。
【0145】
医薬組成物及び製剤は薬学的に許容可能な担体を含み得る。用語「薬学的に許容可能な担体」は、本明細書で使用されるとき、任意の種類の非毒性の不活性な固体、半固体又は液体の充填剤、希釈剤、封入材料又は配合補助剤を意味する。薬学的に許容可能な担体として働き得る材料の一部の例は、限定はされないが、ラクトース、グルコース及びスクロースなどの糖類;限定はされないが、コーンスターチ及びジャガイモデンプンなどのデンプン;限定はされないが、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース及び酢酸セルロースなどのセルロース及びその誘導体;トラガント末;麦芽;ゼラチン;タルク;限定はされないが、カカオ脂及び坐薬ワックスなどの賦形剤;限定はされないが、ピーナッツ油、綿実油、ベニバナ油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油及びダイズ油などの油;グリコール類;プロピレングリコールなど;限定はされないが、オレイン酸エチル及びラウリン酸エチルなどのエステル類;寒天;限定はされないが、水酸化マグネシウム及び水酸化アルミニウムなどの緩衝剤;アルギン酸;パイロジェンフリー水;等張生理食塩水;リンゲル溶液;エチルアルコール、及びリン酸緩衝溶液であり、並びに限定はされないが、ラウリル硫酸ナトリウム及びステアリン酸マグネシウムなどの他の非毒性の適合性のある滑沢剤、並びに着色剤、離型剤、コーティング剤、甘味剤、香味剤及び芳香剤、保存剤及び抗酸化剤もまた、配合者の判断次第で組成物中に存在し得る。
【0146】
従って、化合物及びその生理学的に許容可能な塩は、例えば、固形物投与、点眼薬、局所油性製剤中、注射、吸入(口又は鼻のいずれかからの)、インプラント、又は経口、頬側、舌下、非経口、若しくは直腸投与による投与用に製剤化されてもよい。技法及び製剤については、概して、“Remington’s Pharmaceutical Sciences,”(Meade Publishing Co.,Easton,Pa.)を参照し得る。治療組成物は典型的には、製造及び保管条件下において無菌で安定していなければならない。
【0147】
開示される化合物の投与経路及び組成物の形態によって、使用する担体の種類が決まることになる。本組成物は、例えば、全身投与(例えば、経口、直腸、鼻腔、舌下、頬側、インプラント、若しくは非経口)又は局所投与(例えば、経皮、経肺、鼻腔、経耳、経眼、リポソーム送達系、若しくはイオントフォレシス)に好適な種々の形態であってもよい。
【0148】
全身投与用の担体は、典型的には、希釈剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤、着色料、香味料、甘味料、抗酸化剤、保存剤、滑剤、溶媒、懸濁剤、湿潤剤、界面活性剤、これらの組み合わせなどのうちの少なくとも1つを含む。全ての担体は、組成物中において任意選択である。
【0149】
好適な希釈剤としては、グルコース、ラクトース、デキストロース、及びスクロースなどの糖類;プロピレングリコールなどのジオール類;炭酸カルシウム;炭酸ナトリウム;グリセリンなどの糖アルコール類;マンニトール;及びソルビトールが挙げられる。全身又は局所組成物中の1つ又は複数の希釈剤の量は、典型的には約50~約90%である。
【0150】
好適な滑沢剤としては、シリカ、タルク、ステアリン酸並びにそのマグネシウム塩及びカルシウム塩、硫酸カルシウム;及びポリエチレングリコール及び植物油、例えば、ピーナッツ油、綿実油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油及びカカオ脂などの液体滑沢剤が挙げられる。全身又は局所組成物中の1つ又は複数の滑沢剤の量は、典型的には約5~約10%である。
【0151】
好適な結合剤としては、ポリビニルピロリドン;ケイ酸アルミウニムマグネシウム;コーンスターチ及びジャガイモデンプンなどのデンプン類;ゼラチン;トラガカント;及びセルロース及びその誘導体、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、メチルセルロース、微結晶性セルロース、及びカルボキシメチルセルロースナトリウムなどが挙げられる。全身組成物中の1つ又は複数の結合剤の量は、典型的には約5~約50%である。
【0152】
好適な崩壊剤としては、寒天、アルギン酸及びそのナトリウム塩、発泡性混合物、クロスカルメロース、クロスポビドン、ナトリウムカルボキシメチルデンプン、デンプングリコール酸ナトリウム、粘土、及びイオン交換樹脂が挙げられる。全身又は局所組成物中の1つ又は複数の崩壊剤の量は、典型的には約0.1~約10%である。
【0153】
好適な着色料としては、FD&C色素などの着色料が挙げられる。使用される場合、全身又は局所組成物中の着色料の量は、典型的には約0.005~約0.1%である。
【0154】
好適な香味料としては、メントール、ペパーミント、及び果実香味料が挙げられる。全身又は局所組成物中の1つ又は複数の香味料の量は、使用される場合、典型的には約0.1~約1.0%である。
【0155】
好適な甘味料としては、アスパルテーム及びサッカリンが挙げられる。全身又は局所組成物中の1つ又は複数の甘味料の量は、典型的には約0.001~約1%である。
【0156】
好適な抗酸化剤としては、ブチル化ヒドロキシアニソール(「BHA」)、ブチル化ヒドロキシトルエン(「BHT」)、及びビタミンEが挙げられる。全身又は局所組成物中の1つ又は複数の抗酸化剤の量は、典型的には約0.1~約5%である。
【0157】
好適な保存剤としては、塩化ベンザルコニウム、メチルパラベン及び安息香酸ナトリウムが挙げられる。全身又は局所組成物中の1つ又は複数の保存剤の量は、典型的には約0.01~約5%である。
【0158】
好適な滑剤としては、二酸化ケイ素が挙げられる。全身又は局所組成物中の1つ又は複数の滑剤の量は、典型的には約1~約5%である。
【0159】
好適な溶媒としては、水、等張生理食塩水、オレイン酸エチル、グリセリン、水酸化ヒマシ油(hydroxylated castor oil)、エタノールなどのアルコール類、及びリン酸緩衝溶液が挙げられる。全身又は局所組成物中の1つ又は複数の溶媒の量は、典型的には約0~約100%である。
【0160】
好適な懸濁剤としては、AVICEL RC-591(供給元FMC Corporation、Philadelphia,PA)及びアルギン酸ナトリウムが挙げられる。全身又は局所組成物中の1つ又は複数の懸濁剤の量は、典型的には約1~約8%である。
【0161】
好適な界面活性剤としては、レシチン、ポリソルベート80、及びラウリル硫酸ナトリウム、及びAtlas Powder Company、Wilmington,DelawareのTWEENSが挙げられる。好適な界面活性剤としては、C.T.F.A.Cosmetic Ingredient Handbook,1992,pp.587-592;Remington’s Pharmaceutical Sciences,15th Ed.1975,pp.335-337;及びMcCutcheon’s Volume 1,Emulsifiers & Detergents,1994,North American Edition,pp.236-239に開示されるものが挙げられる。全身又は局所組成物中の1つ又は複数の界面活性剤の量は、典型的には約0.1%~約5%である。
【0162】
全身組成物中の各成分の量は、調製される全身組成物の種類に応じて異なってもよく、一般に、全身組成物は、0.01%~50%の活性化合物(例えば、式(I)の化合物)と50%~99.99%の1つ以上の担体とを含む。非経口投与用の組成物は、典型的には0.1%~10%の活性分と90%~99.9%の希釈剤及び溶媒を含めた担体とを含む。
【0163】
経口投与用の組成物は、様々な投薬形態を有し得る。例えば、固体形態には、錠剤、カプセル、顆粒、及びバルク粉末が含まれる。これらの経口投薬形態は、安全且つ有効な量、通常は少なくとも約5%、及びより詳細には約25%~約50%の活性分を含む。経口投薬組成物は、約50%~約95%の担体、及びより詳細には、約50%~約75%を含む。
【0164】
錠剤は、圧縮錠、擦り込み錠剤、腸溶錠、糖衣錠、フィルムコート錠、又は多層錠であってもよい。錠剤は、典型的には、活性成分と、希釈剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤、着色料、香味料、甘味料、滑剤、及びこれらの組み合わせから選択される成分を含む担体とを含む。具体的な希釈剤としては、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、マンニトール、ラクトース及びセルロースが挙げられる。具体的な結合剤としては、デンプン、ゼラチン、及びスクロースが挙げられる。具体的な崩壊剤としては、アルギン酸及びクロスカルメロースが挙げられる。具体的な滑沢剤としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、及びタルクが挙げられる。具体的な着色料はFD&C色素であり、これは外観のために添加され得る。咀嚼錠は、好ましくは、アスパルテーム及びサッカリンなどの甘味料、又はメントール、ペパーミント、果実香味料などの香味料、又はこれらの組み合わせを含有する。
【0165】
カプセル(インプラント、時限放出及び持続放出製剤を含む)は、典型的には、ゼラチンを含有するカプセル中に活性化合物(例えば、式(I)の化合物)と、上記に開示される1つ以上の希釈剤を含む担体とを含む。顆粒は、典型的には、開示される化合物と、好ましくは流動特性を改善する二酸化ケイ素などの滑剤とを含む。インプラントは生分解性タイプ又は非生分解性タイプであってもよい。
【0166】
経口組成物用の担体中の成分の選択は、味、コスト、及び貯蔵安定性など、本発明の目的上決定的に重要なものではない二次的考慮事項に依存する。
【0167】
固体組成物は、従来の方法により、典型的にはpH又は時間依存的コーティングでコーティングされてもよく、開示される化合物は所望の適用の周辺にある胃腸管において、又は様々な箇所及び時点で放出されて、所望の作用を延長させることになる。コーティングは、典型的には、酢酸フタル酸セルロース、ポリビニルアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、エチルセルロース、EUDRAGIT(登録商標)コーティング(Evonik Industrie、Essen,Germanyから入手可能)、ワックス及びシェラックからなる群から選択される1つ以上の成分を含む。
【0168】
経口投与用の組成物は、液体形態を有し得る。例えば、好適な液体形態としては、水溶液、エマルション、懸濁液、非発泡顆粒剤から再構成される溶液、非発泡顆粒剤から再構成される懸濁液、発泡顆粒剤から再構成される発泡性調製物、エリキシル剤、チンキ剤、シロップ剤などが挙げられる。液体の経口投与組成物は、典型的には、開示される化合物と、担体、即ち、希釈剤、着色料、香味料、甘味料、保存剤、溶媒、懸濁剤、及び界面活性剤から選択される担体とを含む。経口液体組成物は、好ましくは、着色料、香味料、及び甘味料から選択される1つ以上の成分を含む。
【0169】
対象化合物の全身送達の達成に有用な他の組成物としては、舌下、頬側及び鼻腔投薬形態が挙げられる。かかる組成物は、典型的には、スクロース、ソルビトール及びマンニトールを含めた希釈剤;及びアカシア、微結晶性セルロース、カルボキシメチルセルロース、及びヒドロキシプロピルメチルセルロースなどの結合剤など、可溶性充填剤物質のうちの1つ以上を含む。かかる組成物は、滑沢剤、着色料、香味料、甘味料、抗酸化剤、及び滑剤を更に含み得る。
【0170】
開示される化合物は、局所投与することができる。皮膚に局所的に適用することのできる局所組成物は、固体、溶液、油、クリーム、軟膏、ゲル、ローション、シャンプー、洗い流さない及びすすぎ落とすヘアコンディショナー、乳液、クレンジング液、保湿剤、スプレー、皮膚パッチなどを含め、任意の形態であってよい。局所組成物は、開示される化合物(例えば、式(II)の式(I)の化合物)と、担体とを含む。局所組成物の担体は、好ましくは皮膚への化合物の浸透を助ける。担体は、1つ以上の任意選択の成分を更に含み得る。
【0171】
開示される化合物と併せて用いられる担体の量は、化合物の単位用量毎の投与に実際的な分量の組成物を提供するのに十分である。本発明の方法において有用な投薬形態を作り出すための技法及び組成については、以下の参考文献に記載されている:Modern Pharmaceutics,Chapters 9 and 10,Banker & Rhodes,eds.(1979);Lieberman et al.,Pharmaceutical Dosage Forms:Tablets(1981);及びAnsel,Introduction to Pharmaceutical Dosage Forms,2nd Ed.,(1976)。
【0172】
担体は、単一の成分又は2つ以上の成分の組み合わせを含み得る。局所組成物では、担体は局所担体を含む。好適な局所担体としては、リン酸緩衝生理食塩水、等張水、脱イオン水、単官能アルコール類、対称アルコール類、アロエベラゲル、アラントイン、グリセリン、ビタミンA及びE油、鉱油、プロピレングリコール、プロピオン酸PPG-2ミリスチル、ジメチルイソソルビド、ヒマシ油、これらの組み合わせなどから選択される1つ以上の成分が挙げられる。より詳細には、皮膚適用向けの担体としては、プロピレングリコール、ジメチルイソソルビド、及び水、及び更により詳細には、リン酸緩衝生理食塩水、等張水、脱イオン水、単官能アルコール類、及び対称アルコール類が挙げられる。
【0173】
局所組成物の担体としては、皮膚軟化剤、噴射剤、溶媒、保湿剤、増粘剤、粉末、芳香剤、色素、及び保存剤から選択される1つ以上の成分を更に挙げることができ、これらは全て、任意選択である。
【0174】
好適な皮膚軟化剤としては、ステアリルアルコール、グリセリルモノリシノラート、モノステアリン酸グリセリル、プロパン-1,2-ジオール、ブタン-1,3-ジオール、ミンク油、セチルアルコール、イソステアリン酸イソプロピル、ステアリン酸、パルミチン酸イソブチル、ステアリン酸イソセチル、オレイルアルコール、ラウリン酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、オレイン酸デシル、オクタデカン-2-オール、イソセチルアルコール、パルミチン酸セチル、セバシン酸ジ-n-ブチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ポリエチレングリコール、トリエチレングリコール、ラノリン、ゴマ油、ヤシ油、ラッカセイ油、ヒマシ油、アセチル化ラノリンアルコール類、石油、鉱油、ミリスチン酸ブチル、イソステアリン酸、パルミチン酸、リノール酸イソプロピル、乳酸ラウリル、乳酸ミリスチル、オレイン酸デシル、ミリスチン酸ミリスチル、及びこれらの組み合わせが挙げられる。皮膚用の具体的な皮膚軟化剤としては、ステアリルアルコール及びポリジメチルシロキサンが挙げられる。皮膚用基剤の局所組成物中の1つ又は複数の皮膚軟化剤の量は、典型的には約5%~約95%である。
【0175】
好適な噴射剤としては、プロパン、ブタン、イソブタン、ジメチルエーテル、二酸化炭素、亜酸化窒素、及びこれらの組み合わせが挙げられる。局所組成物中の1つ又は複数の噴射剤の量は、典型的には約0%~約95%である。
【0176】
好適な溶媒としては、水、エチルアルコール、塩化メチレン、イソプロパノール、ヒマシ油、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、及びこれらの組み合わせが挙げられる。具体的な溶媒としては、エチルアルコール及びホモトピックアルコール類(homotopic alcohols)が挙げられる。局所組成物中の1つ又は複数の溶媒の量は、典型的には約0%~約95%である。
【0177】
好適な保湿剤としては、グリセリン、ソルビトール、ナトリウム2-ピロリドン-5-カルボキシレート、可溶性コラーゲン、フタル酸ジブチル、ゼラチン、及びこれらの組み合わせが挙げられる。具体的な保湿剤としては、グリセリンが挙げられる。局所組成物中の1つ又は複数の保湿剤の量は、典型的には0%~95%である。
【0178】
局所組成物中の1つ又は複数の増粘剤の量は、典型的には約0%~約95%である。
【0179】
好適な粉末としては、β-シクロデキストリン類、ヒドロキシプロピルシクロデキストリン類、チョーク、タルク、フラー土、カオリン、デンプン、ガム、コロイド状二酸化ケイ素、ポリアクリル酸ナトリウム、テトラアルキルアンモニウムスメクタイト類、トリアルキルアリールアンモニウムスメクタイト類、化学修飾ケイ酸アルミウニムマグネシウム、有機修飾モンモリロナイト粘土、水和ケイ酸アルミニウム、ヒュームドシリカ、カルボキシビニルポリマー、カルボキシメチルセルロースナトリウム、モノステアリン酸エチレングリコール、及びこれらの組み合わせが挙げられる。局所組成物中の1つ又は複数の粉末の量は、典型的には0%~95%である。
【0180】
局所組成物中の芳香剤の量は、典型的には約0%~約0.5%、特に、約0.001%~約0.1%である。
【0181】
好適なpH調整添加剤としては、局所医薬組成物のpHを調整するのに十分な量のHCl又はNaOHが挙げられる。
【0182】
b.アジュバント組成物及びワクチン組成物
本化合物はまた、アジュバント組成物及びワクチン組成物に取り込まれてもよい。ワクチン組成物は抗原を更に含み得る。好適な抗原としては、微生物病原体、細菌、ウイルス、タンパク質、糖タンパク質、リポタンパク質、ペプチド、グリコペプチド、リポペプチド、トキソイド、炭水化物、及び腫瘍特異抗原が挙げられる。2つ以上の抗原の混合物が用いられてもよい。
【0183】
アジュバント及びワクチン組成物は、「有効量」の開示される化合物を含み得る。アジュバント又はワクチン組成物との関連において、「有効量」は、必要な投薬量及び期間で、所望の結果(例えば、1つ以上の抗原に対する免疫応答を増強すること)を達成するのに有効な量を指す。免疫応答は、例えば、抗原に対する抗体力価を測定すること、化合物を含有するワクチンが疾患又は抗原チャレンジに応答して宿主を免疫する能力を評価すること等により測定してもよい。例えば、「有効量」の化合物又は組成物を対象に投与すると、1つ以上の抗体力価が非免疫対照と比べて10%以上、非免疫対照と比べて20%以上、非免疫対照と比べて30%以上、非免疫対照と比べて40%以上、非免疫対照と比べて50%以上、非免疫対照と比べて50%以上、非免疫対照と比べて70%以上、非免疫対照と比べて80%以上、非免疫対照と比べて90%以上、又は非免疫対照と比べて100%以上増加する。
【0184】
ワクチン調製は十分に開発されている技術であり、ワクチンの調製及び製剤化についての一般的な指針は、種々の情報源の任意のものから容易に利用可能である。一つのかかる例は、New Trends and Developments in Vaccines,edited by Voller et al.,University Park Press,Baltimore,Md.,U.S.A.1978である。
【0185】
本開示のワクチン組成物はまた、生物学的に活性又は不活性であってよい他の化合物も含有し得る。例えば、他の腫瘍抗原の1つ以上の免疫原性部分が、融合ポリペプチドに取り込まれて、或いは別個の化合物として、ワクチン組成物内に存在してもよい。ポリペプチドは、必須ではないが、例えば米国特許第4,372,945号明細書及び同第4,474,757号明細書に記載されるとおり、他の巨大分子にコンジュゲートされてもよい。ワクチン組成物は、概して予防目的及び治療目的で使用されてもよい。
【0186】
一実施形態において、ワクチン組成物中の抗原は、ペプチド、ポリペプチド、又はその免疫原性部分である。「免疫原性部分」は、本明細書で使用されるとき、B細胞及び/又はT細胞表面抗原受容体によって認識される(即ち、それが特異的に結合する)タンパク質の一部分である。かかる免疫原性部分は、概して、抗原タンパク質又はその変異体の少なくとも5アミノ酸残基、より好ましくは少なくとも10、及び更により好ましくは少なくとも20アミノ酸残基を含む。
【0187】
抗原ポリペプチドの免疫原性部分は、概して、Paul,Fundamental Immunology,3rd ed.,243-247(Raven Press,1993)及びそこに引用される文献に要約されるものなど、周知の技法を用いて同定されてもよい。かかる技法は、抗原特異的抗体、抗血清及び/又はT細胞株又はクローンと反応する能力に関してポリペプチドをスクリーニングすることを含む。本明細書で使用されるとき、抗血清及び抗体は、それが抗原に特異的に結合する(即ち、それがELISA又は他のイムノアッセイでそのタンパク質と反応し、且つ無関係のタンパク質と検出可能な反応を示さない)ならば、「抗原特異的」である。かかる抗血清及び抗体は、本明細書に記載されるとおり、及び周知の技法を用いて調製されてもよい。タンパク質の免疫原性部分は、(例えば、ELISA及び/又はT細胞反応性アッセイにおいて)完全長ポリペプチドの反応性を実質的に下回らないレベルでかかる抗血清及び/又はT細胞と反応する一部分である。かかる免疫原性部分は、かかるアッセイ内において完全長ポリペプチドの反応性と同程度か又はそれより高いレベルで反応し得る。かかるスクリーニングは、概して、Harlow and Lane,Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,1988に記載されるものなど、当業者に周知の方法を用いて実施されてもよい。例えば、ポリペプチドを固体支持体上に固定化し、患者血清と接触させることにより、血清中の抗体を固定化されたポリペプチドに結合させてもよい。次に未結合の血清を除去し、結合した抗体を例えば125I標識プロテインAを使用して検出し得る。
【0188】
ペプチド及びポリペプチド抗原は、種々の周知の技法のいずれかを用いて調製されてもよい。DNA配列によってコードされる組換えポリペプチドは、単離されたDNA配列から、当業者に公知の種々の発現ベクターのいずれかを用いて容易に調製し得る。発現は、組換えポリペプチドをコードするDNA分子を含有する発現ベクターで形質転換された又はトランスフェクトされたいずれかの適切な宿主細胞において実現し得る。好適な宿主細胞としては、原核生物、酵母、並びに哺乳類細胞及び植物細胞などの高等真核細胞が挙げられる。好ましくは、用いられる宿主細胞は、大腸菌(E.coli)、酵母又はCOS若しくはCHOなどの哺乳類細胞株である。
【0189】
約100アミノ酸未満、及び概して約50アミノ酸未満を有するタンパク質抗原の一部分及び他の変異体はまた、当業者に周知の技法を用いて、合成手段によって作成されてもよい。例えば、かかるポリペプチドは、成長していくアミノ酸鎖にアミノ酸が順次付加されるメリフィールド固相合成法など、市販の固相技法のいずれかを用いて合成されてもよい。Merrifield,J.Am.Chem.Soc.85:2149-2146,1963を参照のこと。ポリペプチドの自動合成機器が、Perkin Elmer/Applied BioSystems Division(Foster City,Calif.)などの供給業者から市販されており、製造者の指示に従い操作されてもよい。
【0190】
融合タンパク質は、概して、化学的コンジュゲーションを含めた標準的な技法を用いて調製されてもよい。好ましくは、融合タンパク質は組換えタンパク質として発現させることにより、発現系において非融合タンパク質と比べて高いレベルの産生が可能となる。簡潔に言えば、ポリペプチド成分をコードするDNA配列が別個にアセンブルされ、適切な発現ベクターにライゲートされてもよい。1つのポリペプチド成分をコードするDNA配列の3’末端が、ペプチドリンカーあり又はなしで、第2のポリペプチド成分をコードするDNA配列の5’末端にライゲートされ、そのようにして配列のリーディングフレームがインフェーズとなる。これにより、両方の成分ポリペプチドの生物学的活性を保持する単一の融合タンパク質への翻訳が可能となる。
【0191】
ペプチドリンカー配列を用いて、各ポリペプチドのその二次及び三次構造への折り畳みを確実にするのに十分な距離だけ第1及び第2のポリペプチド成分を分離してもよい。かかるペプチドリンカー配列は、当該技術分野において周知の標準的な技法を用いて融合タンパク質に取り込まれる。好適なペプチドリンカー配列は、以下の要因:(1)可動性のある伸長したコンホメーションをとることが可能であること;(2)第1及び第2のポリペプチド上の機能性エピトープと相互作用する可能性のある二次構造をとることが不可能であること;及び(3)ポリペプチド機能性エピトープと反応する恐れのある疎水性又は荷電残基がないことに基づき選択されてもよい。好ましいペプチドリンカー配列は、Gly、Asn及びSer残基を含有する。Thr及びAlaなど、他の中性に近いアミノ酸もまた、リンカー配列に使用されてもよい。リンカーとして有用に用いられ得るアミノ酸配列としては、Maratea et al.,Gene 40:39-46,1985;Murphy et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 83:8258-8262,1986;米国特許第4,935,233号明細書及び米国特許第4,751,180号明細書に開示されるものが挙げられる。リンカー配列は、概して、1~約50アミノ酸長であってもよい。第1及び第2のポリペプチドが、機能ドメインを分離して立体的干渉を防止するために使用し得る非必須N末端アミノ酸領域を有する場合には、リンカー配列は不要である。
【0192】
別の実施形態において、本明細書に記載される化合物又はアジュバント組成物は、DNAベースのワクチン組成物の調製に使用されてもよい。この種の例示的なワクチンは、抗原がインサイチューで生成されるように、1つ以上のポリペプチド抗原をコードするDNAを含有する。DNAは、核酸発現系、細菌及びウイルス発現系を含め、当業者に公知の種々の送達系のいずれかの中に存在してもよい。数多くの遺伝子送達技法が、Rolland,Crit.Rev.Therap.Drug Carrier Systems 15:143-198,1998、及びそこに引用される文献によって記載されるものなど、当該技術分野において周知である。適切な核酸発現系は、患者において発現するのに必要なDNA配列(好適なプロモーター及び終結シグナルなど)を含有する。細菌送達系は、その細胞表面上にポリペプチドの免疫原性部分を発現するか又はかかるエピトープを分泌する細菌(カルメット・ゲラン桿菌(Bacillus-Calmette-Guerrin)など)の投与を伴う。好ましい一実施形態において、DNAは、ウイルス発現系(例えば、ワクシニア又は他のポックスウイルス、レトロウイルス、又はアデノウイルス)を使用して導入され、これは典型的には、非病原性(欠損)複製コンピテントウイルスの使用を伴う。例示的な系については、例えば、Fisher-Hoch et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:317-321,1989;Flexner et al.,Ann.N.Y.Acad.Sci.569:86-103,1989;Flexner et al.,Vaccine 8:17-21,1990;米国特許第4,603,112号明細書、同第4,769,330号明細書、及び同第5,017,487号明細書;国際公開第89/01973号パンフレット;米国特許第4,777,127号明細書;英国特許第2,200,651号明細書;欧州特許第0,345,242号明細書;国際公開第91/02805号パンフレット;Berkner,Biotechniques 6:616-627,1988;Rosenfeld et al.,Science 252:431-434,1991;Kolls et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:215-219,1994;Kass-Eisler et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:11498-11502,1993;Guzman et al.,Circulation 88:2838-2848,1993;及びGuzman et al.,Cir.Res.73:1202-1207,1993に開示されている。かかる発現系にDNAを取り込む技法は当業者に周知である。
【0193】
或いは、DNAは、例えばUlmer et al.,Science 259:1745-1749,1993に記載され、及びCohen,Science 259:1691-1692,1993によってレビューされるとおり、「ネイキッド」であってもよい。ネイキッドDNAの取り込みは、細胞内へと効率的に輸送される生分解性ビーズにDNAをコーティングすることにより増加し得る。ワクチンは、必要であれば、ポリヌクレオチド及びポリペプチドの両方の成分を含み得ることは明らかであろう。
【0194】
更に、ワクチンが、所望のポリヌクレオチド、ポリペプチド及び/又は糖鎖抗原の薬学的に許容可能な塩を含有し得ることは明らかであろう。例えば、かかる塩は、有機塩基(例えば、第一級、第二級及び第三級アミン並びに塩基性アミノ酸の塩)並びに無機塩基(例えば、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム、カルシウム及びマグネシウム塩)を含めた薬学的に許容可能な非毒性塩基から調製されてもよい。
【0195】
アジュバント系は、幅広い投薬量及び幅広い比率にわたって投与されるとき、強力なアジュバント効果を呈し得る。
【0196】
各ワクチン用量中の抗原の量は、概して、典型的なワクチンにある著しい有害副作用なく免疫防御反応を誘導する量として選択される。かかる量は、具体的にどの免疫原が用いられるか、及びそれがどのような体裁かに応じて異なる。概して、各用量が約1~1000μgのタンパク質、最も典型的には約2~100μg、好ましくは約5~50μgを含むことになるものと予想される。当然ながら、投与される投薬量は、年齢、体重、存在する場合には併用治療の種類、及び投与される抗原の性質に依存し得る。
【0197】
所与の量のワクチン組成物の免疫原活性は、例えばワクチン組成物中に使用される抗原に対する抗体の力価の増加をモニタすることにより容易に決定し得る(Dalsgaard,K.Acta Veterinia Scandinavica 69:1-40(1978))。別の一般的な方法は、CD-1マウスに様々な量のワクチン組成物を皮内注射し、後にマウスから血清を採取して、抗免疫原抗体に関して例えばELISAによって試験することを伴う。これらの及び他の同様の手法が当業者には明らかであろう。
【0198】
抗原は、所与のワクチン組成物で治療しようとする感染性疾患、自己免疫疾患、病態、癌、病原体、又は疾患に応じた本質的に任意の所望の供給源に由来し、及び/又はそれから単離することができる。例示として、抗原は、インフルエンザウイルス、ネコ白血病ウイルス、ネコ免疫不全ウイルス、ヒトHIV-1、HIV-2、単純ヘルペスウイルス2型、ヒトサイトメガロウイルス、A型、B型、C型又はE型肝炎、呼吸器合胞体ウイルス、ヒトパピローマウイルス、狂犬病、麻疹、又は口蹄疫ウイルスなどのウイルス供給源に由来することができる。例示的な抗原はまた、炭疽、ジフテリア、ライム病、マラリア、結核、リーシュマニア症、クルーズトリパノソーマ(T.cruzi)、エーリキア属(Ehrlichia)、カンジダ属(Candida)等の細菌供給源に由来するか、又はバベシア・ボビス(Babeosis bovis)又はプラスモジウム属(Plasmodium)などの原虫類に由来することもできる。1つ又は複数の抗原は、典型的には、例えば、ペプチド、ポリペプチド、又はタンパク質の形態で天然又は合成アミノ酸を含むことになり、多糖類を含んでもよく、又はこれらの混合物であってもよい。例示的な抗原は天然の供給源から単離されても、固相合成を用いて合成されてもよく、又は組換えDNA技法によって入手されてもよい。
【0199】
別の実施形態において、癌の予防及び/又は治療のため、ワクチン組成物中に腫瘍抗原が使用されてもよい。腫瘍抗原は、非腫瘍組織と比べて腫瘍細胞において差次的に発現する表面分子である。腫瘍抗原は、腫瘍細胞を正常細胞と免疫学的に区別可能にするものであり、ヒト癌の診断及び治療標的を提供する。腫瘍抗原は、膜タンパク質として特徴付けられているか、又は細胞表面上の糖タンパク質若しくは糖脂質の変化した炭水化物分子として特徴付けられているかのいずれかである。癌細胞は、多くの場合に、トランケート型上皮成長因子、葉酸結合タンパク質、上皮ムチン、メラノフェリン(melanoferrin)、癌胎児性抗原、前立腺特異的膜抗原、HER-neuなど(これらは治療用癌ワクチンにおける使用の候補である)、その表面上に特有の腫瘍抗原を有する。腫瘍抗原は正常である又は体の正常な成分に関連するため、免疫系は多くの場合に、そうした抗原に対する有効な免疫応答を生じて腫瘍細胞を破壊することができない。かかる応答を実現するため、本明細書に記載されるアジュバント系を利用することができる。結果として、外因性タンパク質は内因性抗原の処理経路に入ることができ、細胞溶解性又は細胞傷害性T細胞(CTL)の産生につながる。このアジュバント効果は抗原特異的CTLの産生を促進し、それが、免疫化に使用される1つ又は複数の腫瘍抗原をその表面に担持する腫瘍細胞を捜し出して破壊する。この手法を用い得る例示的な癌の種類としては、前立腺癌、結腸癌、乳癌、卵巣癌、膵癌、脳癌、頭頸部癌、黒色腫、白血病、リンパ腫等が挙げられる。
【0200】
一実施形態において、ワクチン組成物中に存在する抗原は、外来抗原でなく、自己抗原であり、即ち、このワクチン組成物は自己免疫疾患に向けられる。自己免疫疾患の例としては、1型糖尿病、通常型臓器特異的自己免疫、神経学的疾患、リウマチ性疾患/結合組織病、自己免疫性血球減少症、及び関連する自己免疫疾患が挙げられる。かかる通常型臓器特異的自己免疫には、甲状腺炎(グレーブス病+橋本病)、胃炎、副腎炎(アジソン病)、卵巣炎、原発性胆汁性肝硬変、重症筋無力症、性腺機能不全、副甲状腺機能低下症、脱毛症、吸収不良症候群、悪性貧血、肝炎、抗受容体抗体疾患及び白斑が含まれ得る。かかる神経学的疾患には、統合失調症、アルツハイマー病、抑欝、下垂体機能低下症、尿崩症、乾燥症候群及び多発性硬化症が含まれ得る。かかるリウマチ性疾患/結合組織病には、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematous)(SLE)又はループス、強皮症、多発筋炎、炎症性腸疾患、皮膚筋炎、潰瘍性大腸炎、クローン病、脈管炎、乾癬性関節炎、剥脱性乾癬性皮膚炎、尋常性天疱瘡、シェーグレン症候群が含まれ得る。他の自己免疫関連疾患には、自己免疫性網膜ぶどう膜炎(uvoretinitis)、糸球体腎炎、心筋梗塞心術後症候群、肺ヘモジデローシス、アミロイドーシス、サルコイドーシス、アフタ性口内炎、及び本明細書に提示され及び関連技術分野において公知のとおりの他の免疫関連疾患が含まれ得る。
【0201】
一実施形態において、抗原を式Iの化合物などのアジュバントに共有結合的に結合して、抗原に対するアジュバント効果の亢進を呈し得る別個の分子を作り出してもよく、このアジュバント効果は、成分の混合物(即ち、抗原と式(I)の化合物との混合物)にあるような、かかる共有結合がない場合に達成可能なアジュバント効果よりも高いものであり得る。共有結合は、官能基を介した反応;例えば式Iの化合物の場合、カルボン酸基、ヒドロキシル基又はアルデヒド官能基を介した反応によって実現し得る。かかる共有結合的に結合した抗原について、かかる化合物と共に無機塩アジュバントを取り込むことにより、更なるアジュバント効果の亢進を達成し得る。無機塩アジュバントは、好ましくは水酸化アルミニウム又はリン酸アルミニウムを含むが、リン酸カルシウム、水酸化亜鉛又は水酸化カルシウムなど、他の公知の無機塩アジュバントが使用されてもよい。
【0202】
アジュバントは、他のポリヌクレオチド及び/又はポリペプチドを含み得る。ワクチンが、本明細書に提供されるポリヌクレオチド及びポリペプチドの薬学的に許容可能な塩を含有し得ることは明らかであろう。かかる塩は、有機塩基(例えば、第一級、第二級及び第三級アミン並びに塩基性アミノ酸の塩)並びに無機塩基(例えば、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム、カルシウム及びマグネシウム塩)を含めた薬学的に許容可能な非毒性塩基から調製されてもよい。
【0203】
ワクチン組成物は、例えば、局所、経口、鼻腔、静脈内、腟内、皮膚上、舌下、頭蓋内、皮内、腹腔内、皮下、筋肉内投与、又は吸入によるものを含め、任意の適切な投与方法向けに製剤化されてもよく、及びそのように投与される。皮下注射など、非経口投与については、担体は好ましくは、水、生理食塩水、アルコール、脂肪、ワックス又は緩衝液を含む。経口投与については、上記の担体のいずれか又は固体担体、例えば、マンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、滑石、セルロース、グルコース、スクロース、及び炭酸マグネシウムなどが用いられてもよい。
【0204】
一例示的実施形態において、ワクチン製剤は、免疫応答を引き出すため、粘膜に、詳細には口腔に、及び好ましくは舌下部位に投与される。多くの場合に口腔投与は、非侵襲的投与技法によってもたらされる容易さ及び便利さのため、従来の非経口送達と比べて好ましいこともある。更に、この手法は、従来の非経口送達では実現が困難であり得ることの多い、且つ空中病原体及び/又はアレルゲンからの保護を付与し得る粘膜免疫を引き出す手段を更に提供する。口腔投与の更なる利点は、特に小児適用について、又はアレルギー脱感作療法によるなどの、従来長期にわたって多数の注射を必要とする適用について、舌下ワクチン送達で患者コンプライアンスが向上し得ることである。
【0205】
ワクチン組成物はまた、緩衝液(例えば、中性緩衝生理食塩水又はリン酸緩衝生理食塩水)、炭水化物(例えば、グルコース、マンノース、スクロース又はデキストラン)、マンニトール、タンパク質、ポリペプチド又はグリシンなどのアミノ酸、抗酸化剤、静菌剤、EDTA又はグルタチオンなどのキレート剤、アジュバント(例えば、水酸化アルミニウム)、製剤を被投与者の血液と等張、低張又は弱低張にする溶質、懸濁剤、増粘剤及び/又は保存剤も含み得る。或いは、ワクチン組成物は、凍結乾燥物として製剤化されてもよい。化合物はまた、周知の技術を用いてリポソーム内に封入されてもよい。
【0206】
ワクチン組成物はまた、他のアジュバント又はイムノエフェクターも含み得る。好適なアジュバントは、例えば、フロイント不完全アジュバント及び完全アジュバント(Difco Laboratories、Detroit,Mich.);Merck Adjuvant 65(Merck and Company,Inc.,Rahway,N.J.);AS-2(SmithKline Beecham);無機塩類(例えば、アルミニウム、シリカ、カオリン、及び炭素);水酸化アルミニウムゲル(ミョウバン)、AlK(SO、AlNa(SO、AlNH(SO)、及びAl(OH)などのアルミニウム塩;カルシウム塩(例えば、Ca(PO)、鉄又は亜鉛;アシル化チロシンの不溶性懸濁液;アシル化糖類;カチオン誘導体化又はアニオン誘導体化多糖類;ポリヌクレオチド(例えば、ポリIC及びポリAU酸);ポリホスファゼン類;シアノアクリレート類;ポリメラーゼ-(DL-ラクチド-co-グリコシド);生分解性マイクロスフェア;リポソーム;リピドA及びその誘導体;モノホスホリルリピドA;結核菌(Mycobacterium tuberculosis)由来のワックスD、並びにコリネバクテリウム・パルブム(Corynebacterium parvum)、百日咳菌(Bordetella pertussis)、及びブルセラ属(Brucella)のメンバーに見られる物質);ウシ血清アルブミン;ジフテリアトキソイド;破傷風トキソイド;エデスチン;キーホールリンペットヘモシアニン;緑膿菌毒素A;コレラゲノイド;コレラ毒素;百日咳毒素;ウイルスタンパク質;及びQuil Aとして市販されている。アミノアルキルグルコサミンリン酸化合物もまた使用することができる(例えば、国際公開第98/50399号パンフレット、米国特許第6,113,918号明細書(米国特許出願第08/853,826号明細書から付与される)、及び米国特許出願第09/074,720号明細書を参照のこと)。加えて、サイトカインなどのアジュバント(例えば、GM-CSF又はインターロイキン-2、-7、又は-12)、インターフェロン、又は腫瘍壊死因子もまた、アジュバントとして使用されてもよい。タンパク質及びポリペプチドアジュバントは、当業者に周知の方法により天然又は組換え供給源から入手されてもよい。組換え供給源から入手されるとき、アジュバントは、分子の少なくとも免疫刺激性部分を含むタンパク質断片を含み得る。使用することのできる他の公知の免疫刺激性巨大分子としては、限定はされないが、多糖類、tRNA、非代謝性合成高分子、例えば、ポリビニルアミン、ポリメタクリル酸、ポリビニルピロリドン、4’,4-ジアミノジフェニルメタン-3,3’-ジカルボン酸と4-ニトロ-2-アミノ安息香酸との混合重縮合物(比較的高分子量を有する)(Sela,M.,Science 166:1365-1374(1969)を参照)又は糖脂質、脂質又は炭水化物が挙げられる。
【0207】
本明細書に提供されるワクチン組成物の中で、アジュバント組成物は、好ましくは、主にTh17型の免疫応答を誘導するように設計される。高レベルのTh17型サイトカイン(例えば、IL-6、IL-1β、IL-23、及びTNFα)は、投与される抗原に対する細胞媒介性免疫応答の誘導に有利に働き得る。本明細書に提供されるとおりのワクチンの投与後、患者は、Th17型応答を含む免疫応答を支持し得る。応答が主にTh17型である一部の実施形態では、Th17型サイトカインのレベルが他のサイトカインのレベルよりも高く増加し得る。これらのサイトカインのレベルは標準アッセイを用いて容易に評価し得る。サイトカインファミリーのレビューについては、Mosmann and Coffman,Ann.Rev.Immunol.1989,7:145-173を参照のこと。
【0208】
本明細書に記載される組成物は、持続放出製剤(即ち、投与後に化合物の徐放を生じさせるカプセル、スポンジ又はゲルなどの(例えば多糖類でできている)製剤)の一部として投与されてもよい。かかる製剤は、概して周知の技術を用いて調製され(例えば、Coombes et al.,Vaccine 14:1429-1438,1996を参照のこと)、例えば、経口、直腸若しくは皮下植え込みによるか、又は所望の標的部位への植え込みによって投与されてもよい。持続放出製剤は、担体マトリックス中に分散した、及び/又は律速膜に囲まれたリザーバ内に入れられたポリペプチド、ポリヌクレオチド又は抗体を含有し得る。かかる製剤中に用いられる担体は生体適合性であり、また生分解性であってもよい;好ましくは製剤は比較的一定したレベルの活性成分放出を提供する。かかる担体には、ポリ(ラクチド-co-グリコリド)、ポリアクリレート、ラテックス、デンプン、セルロース、デキストランなどのマイクロパーティクルが含まれる。他の遅延放出担体には、超分子バイオベクター(biovector)が含まれ、これは非液体親水性コア(例えば、架橋多糖又はオリゴ糖)と、任意選択で、リン脂質などの両親媒性化合物を含む外層とを含むものである(例えば、米国特許第5,151,254号明細書及び国際公開第94/20078号パンフレット、同第94/23701号パンフレット及び同第96/06638号パンフレットを参照のこと)。持続放出製剤中に含まれる活性化合物の量は、植え込み部位、放出の速度及び予想される持続期間並びに治療又は予防しようとする病態の性質に応じて異なることになる。
【0209】
医薬組成物及びワクチン中には、細胞を標的とする抗原特異的免疫応答の発生を促進するため、種々の公知の送達媒体のいずれが用いられてもよい。送達媒体としては、抗原提示細胞(APC)、例えば、樹状細胞、マクロファージ、B細胞、単球及び効率的なAPCとなるように操作されてもよい他の細胞などが挙げられる。かかる細胞は、必須ではないが、抗原提示能が増加し、T細胞応答の活性化及び/又は維持が向上し、抗標的効果それ自体を有し、及び/又は被投与者と免疫学的に適合性がある(即ち、一致したHLAハプロタイプ)ように遺伝子修飾されてもよい。APCは、概して、腫瘍及び腫瘍周辺組織を含め、種々の生体液及び臓器の任意のものから単離されてもよく、自己細胞、同種異系細胞、同系細胞又は異種細胞であってもよい。
【0210】
特定の実施形態は、抗原提示細胞として樹状細胞又はその前駆体を使用し得る。樹状細胞は、極めて強力なAPCであり(Banchereau and Steinman,Nature 392:245-251,1998)、予防的又は治療的抗腫瘍免疫を引き出すための生理的アジュバントとして有効であることが示されている(Timmerman and Levy,Ann.Rev.Med.50:507-529,1999を参照)。一般に樹状細胞は、その典型的な形状(インサイチューで星状、インビトロで目に見える顕著な細胞質突起(樹状突起)を持つ)、抗原を高効率で取り込み、処理し及び提示するその能力、並びにナイーブT細胞応答を活性化するその能力に基づいて同定し得る。当然ながら、樹状細胞は、インビボ又はエキソビボで樹状細胞上に一般には見出されない特異的な細胞表面受容体又はリガンドを発現するように操作されてもよく、かかる修飾された樹状細胞が企図される。樹状細胞の代替例として、分泌型小胞、抗原が負荷された樹状細胞(エキソソームと呼ばれる)がワクチン中に使用されてもよい(Zitvogel et al.,Nature Med.4:594-600,1998を参照)。
【0211】
樹状細胞及び前駆体は、末梢血、骨髄、腫瘍浸潤細胞、腫瘍周辺組織浸潤細胞、リンパ節、脾臓、皮膚、臍帯血又は任意の他の好適な組織若しくは体液から入手されてもよい。例えば、末梢血から回収された単球の培養物に、GM-CSF、IL-4、IL-13及び/又はTNFαなどのサイトカインの組み合わせを添加することにより樹状細胞をエキソビボで分化させてもよい。或いは、末梢血、臍帯血又は骨髄から回収されたCD34陽性細胞について、GM-CSF、IL-3、TNFα、CD40リガンド、LPS、flt3リガンド及び/又は樹状細胞の分化、成熟及び増殖を誘導する他の1つ又は複数の化合物の組み合わせを培養培地に添加することにより、樹状細胞に分化させてもよい。
【0212】
樹状細胞は、好都合には「未熟」及び「成熟」細胞に分類され、これにより2つの十分に特徴付けられた表現型の間を区別する簡便な方法が可能となる。しかしながら、この命名法は、可能な全ての中間分化段階を除外するものと解釈されてはならない。未熟樹状細胞は、Fcγ受容体及びマンノース受容体の高発現と相関する高い抗原取り込み及び処理能力を持つAPCとして特徴付けられる。成熟表現型は、典型的には、これらのマーカーの発現が低いが、クラスI及びクラスII MHC、接着分子(例えば、CD54及びCD11)及び共刺激分子(例えば、CD40、CD80、CD86及び4-1BB)など、T細胞活性化に関与する細胞表面分子は高発現であることによって特徴付けられる。
【0213】
APCは、概して、細胞表面上に抗原ポリペプチド、又はその免疫原性部分を発現するように、抗原ポリペプチド(又はその一部分若しくは他の変異体)をコードするポリヌクレオチドがトランスフェクトされ得る。かかるトランスフェクションはエキソビボで行われてもよく、次にかかるトランスフェクト細胞を含む組成物又はワクチン、及び本明細書に記載されるアジュバントが治療目的で使用されてもよい。或いは、樹状細胞又は他の抗原提示細胞を標的とする遺伝子送達媒体が患者に投与されてもよく、結果としてトランスフェクションがインビボで起こることになる。例えば、樹状細胞のインビボ及びエキソビボトランスフェクションは、概して、国際公開第97/24447号パンフレットに記載されるもの、又はMahvi et al.,Immunology and Cell Biology 75:456-460,1997によって記載される遺伝子銃手法など、当該技術分野において公知の任意の方法を用いて実施されてもよい。樹状細胞の抗原負荷は、樹状細胞又は前駆細胞を抗原ポリペプチド、DNA(ネイキッド又はプラスミドベクター内にある)又はRNAと共に;又は抗原発現組換え細菌又はウイルス(例えば、ワクシニア、鶏痘、アデノウイルス又はレンチウイルスベクター)と共にインキュベートすることにより実現し得る。ポリペプチドは負荷前に、T細胞ヘルプを提供する免疫学的パートナー(例えば、担体分子)に共有結合的にコンジュゲートされてもよい。或いは、樹状細胞が非コンジュゲート型の免疫学的パートナーによって別々に、又はポリペプチドの存在下でパルスされてもよい。
【0214】
一実施形態において、ワクチン組成物は、式Iの化合物を含むリポソーム小胞を含み得る。リポソームは、概してリン脂質又は他の脂質物質で作製される。リポソームの調製手順は当業者に周知である。式Iの化合物を含む小胞を形成する能力のある任意の脂質を用いることができる。臨床応用には、脂質は非毒性で、生理学的に許容可能であり、且つ代謝可能であることが望ましい。臨床的可能性のある、よく使用される二重層形成脂質は、リン脂質、脂肪酸、スフィンゴ脂質、スフィンゴ糖脂質、及びステロイドである。グリセロール含有リン脂質が、臨床的有用性のあるリポソーム製剤の成分で最も多く使用されているものである。よく使用される一つの例は、ホスファチジルコリン又はレシチンである。ステロイドコレステロール及びその誘導体は、リポソーム膜の成分として含められることが多い。リポソームの凝集及び融合傾向は、製剤中に少量の酸性又は塩基性脂質を含めることによって制御し得る。リン脂質を含有するリポソームの特性は、リン脂質のケミストリーによって決まる。考慮すべき重要なことは、炭化水素鎖長、炭化水素鎖の不飽和度、炭化水素鎖の分岐度、及び系の温度である。
【0215】
多重膜リポソームは、減圧下での蒸発により脂質の混合物を薄膜として堆積させた後、続いて有機溶媒あり又はなしで抗原を含有する過剰量の水性緩衝液に分散させることにより作成し得る。別の方法は、抗原を含有する水相を小型単層リポソームと混合した後、続いて凍結乾燥することである。凍結乾燥生成物を、通常は少量の蒸留水で再水和させると、多重膜リポソームが形成される。この方法で使用される小型単層リポソームは、水性媒体中への脂質の分散と、それに続く音波処理などの機械的分散手段、高圧装置の使用、又は溶媒射出法によって作製される。大型及び中間サイズの単層リポソームもまた、デタージェント透析、小さい細孔径の膜を通じた高圧下での押出し、凍結融解と、それに続く緩徐な膨潤、脱水と、それに続く再水和及び希釈、又はカオトロピックイオンの存在下での脂質の透析を含め、従来技法によって作製することができる。リポソームのサイズは、遠心又はサイズ排除クロマトグラフィー、ホモジナイゼーション、又はキャピラリー細孔膜押出しなどの分別手順によって一層均一にすることができる。
【0216】
4.使用方法
開示される化合物及び組成物は、対象の免疫応答を調節する方法、対象の抗原の免疫原性を誘導し又は亢進させる方法、及び関連する方法を含め、様々な方法において使用されてもよい。開示される化合物及び組成物はまた、癌の治療方法及び関連する方法において使用されてもよい。開示される化合物及び組成物はまた、自己免疫障害又は感染性疾患の治療及び予防方法において使用されてもよい。
【0217】
a.免疫応答の調節
開示される化合物及び組成物は、対象の免疫応答を調節する方法において使用されてもよく、この方法は、本明細書に記載される化合物、本明細書に記載されるアジュバント組成物、又は本明細書に記載される免疫調節組成物の有効量を対象に投与することを含む。
【0218】
一部の実施形態において、開示される化合物及び組成物は、対象の免疫応答の亢進を誘導する方法において使用されてもよい。一部の実施形態において、亢進させる免疫応答は、Th17型の免疫応答である。一部の実施形態において、化合物又は組成物の投与により、Th1型又はTh2型免疫応答ではなく、Th17型免疫応答が誘導され得る。
【0219】
免疫応答の亢進は、化合物又は組成物を抗原と共投与することにより誘導されてもよい。好適な抗原としては、微生物病原体、細菌、ウイルス、タンパク質、糖タンパク質、リポタンパク質、ペプチド、グリコペプチド、リポペプチド、トキソイド、炭水化物、及び腫瘍特異抗原が挙げられる。2つ以上の抗原の混合物が用いられてもよい。
【0220】
一部の実施形態において、開示される化合物及び組成物は単剤療法として投与されてもよい。
【0221】
b.抗原の免疫原性を誘導し又は亢進させる
開示される化合物及び組成物は、対象の抗原の免疫原性を誘導し又は亢進させる方法において使用されてもよく、この方法は、抗原と、本明細書に記載される化合物又は組成物の有効量を含むアジュバント組成物とを含むワクチン組成物を対象に投与することを含む。
【0222】
好適な抗原としては、微生物病原体、細菌、ウイルス、タンパク質、糖タンパク質、リポタンパク質、ペプチド、グリコペプチド、リポペプチド、トキソイド、炭水化物、及び腫瘍特異抗原が挙げられる。2つ以上の抗原の混合物が用いられてもよい。
【0223】
c.癌の治療及び関連する方法
開示される化合物及び組成物は、癌の治療方法、又は癌細胞の増殖を低減し又は阻害する方法において使用されてもよく、この方法は、本明細書に記載される化合物又は組成物の治療有効量をそれを必要としている対象に投与することを含む。
【0224】
本方法は、任意の癌細胞で、又は任意の種類の癌、例えば国立癌研究所(National Cancer Institute)によって記載されるものを有する対象において使用することができる。例示的癌としては、以下を挙げることができる。
【0225】
消化器癌/胃腸癌、例えば、肛門癌;胆管癌;肝外胆管癌;虫垂癌;カルチノイド腫瘍、胃腸癌;結腸癌;小児結腸直腸癌を含む結腸直腸癌;小児食道癌を含む食道癌;胆嚢癌;小児胃癌(gastric cancer)(胃癌(stomach cancer))を含む胃癌(gastric cancer)(胃癌(stomach cancer));成人(原発性)肝細胞癌(肝癌)及び小児(原発性)肝細胞癌(肝癌)を含む肝細胞癌(肝癌);小児膵癌を含む膵癌;肉腫、横紋筋肉腫;膵島細胞膵癌;直腸癌;及び小腸癌など;
【0226】
内分泌癌、例えば、膵島細胞癌(膵内分泌部);小児副腎皮質癌を含む副腎皮質癌;消化管カルチノイド腫瘍;副甲状腺癌;褐色細胞腫;下垂体腫瘍;小児甲状腺癌を含む甲状腺癌;小児多発性内分泌腺腫症候群;及び小児カルチノイド腫瘍など;
【0227】
眼癌、例えば、眼球内黒色腫;及び網膜芽細胞腫など;
【0228】
筋骨格癌、例えば、ユーイングファミリー腫瘍;骨肉腫/骨の悪性線維性組織球腫;小児横紋筋肉腫;成人及び小児軟部組織肉腫を含む軟部組織肉腫;腱鞘の明細胞肉腫;及び子宮肉腫など;
【0229】
乳癌、例えば、小児及び男性乳癌を含む乳癌及び妊娠中の乳癌など;
【0230】
神経性癌、例えば、小児脳幹神経膠腫;脳腫瘍;小児小脳星細胞腫;小児大脳星細胞腫/悪性神経膠腫;小児上衣腫;小児髄芽腫;小児松果体及びテント上未分化神経外胚葉性腫瘍;小児視覚伝導路及び視床下部神経膠腫;他の小児脳癌;副腎皮質癌;中枢神経系リンパ腫、原発性;小児小脳星細胞腫;神経芽細胞腫;頭蓋咽頭腫;脊髄腫瘍;中枢神経系非定型奇形腫様/ラブドイド腫瘍;中枢神経系胎児性腫瘍;及び小児テント上未分化神経外胚葉性腫瘍及び下垂体腫瘍など;
【0231】
泌尿生殖器癌、例えば、小児膀胱癌を含む膀胱癌;腎細胞癌(腎癌);小児卵巣癌を含む卵巣癌;卵巣上皮癌;卵巣低悪性度腫瘍;陰茎癌;前立腺癌;小児腎細胞癌を含む腎細胞癌;腎盂及び尿管、移行上皮癌;精巣癌;尿道癌;腟癌;外陰癌;子宮頸癌;ウィルムス腫瘍及び他の小児腎腫瘍;子宮内膜癌;及び妊娠性絨毛性腫瘍など;生殖細胞癌、例えば、小児頭蓋外胚細胞腫瘍;性腺外胚細胞腫瘍;卵巣胚細胞腫瘍など;
【0232】
頭頸部癌、例えば、口唇・口腔癌;小児口腔癌を含む口腔癌;下咽頭癌;小児喉頭癌を含む喉頭癌;原発不明の頸部転移性扁平上皮癌;口腔癌;鼻腔・副鼻腔癌;小児鼻咽腔癌を含む鼻咽腔癌;中咽頭癌;副甲状腺癌;咽頭癌;小児唾液腺癌を含む唾液腺癌;咽喉癌;及び甲状腺癌など;
【0233】
血液癌/血液細胞癌、例えば、白血病(例えば、成人及び小児急性リンパ芽球性白血病を含む急性リンパ芽球性白血病;成人及び小児急性骨髄性白血病を含む急性骨髄性白血病;慢性リンパ球性白血病;慢性骨髄球性白血病;及びヘアリー細胞白血病);リンパ腫(例えば、AIDS関連リンパ腫;皮膚T細胞リンパ腫;成人及び小児ホジキンリンパ腫及び妊娠中のホジキンリンパ腫を含むホジキンリンパ腫;成人及び小児非ホジキンリンパ腫及び妊娠中の非ホジキンリンパ腫を含む非ホジキンリンパ腫;菌状息肉症;セザリー症候群;ワルデンシュトレームマクログロブリン血症;及び原発性中枢神経系リンパ腫);及び他の血液癌(例えば、慢性骨髄増殖性疾患;多発性骨髄腫/形質細胞腫瘍;骨髄異形成症候群;及び骨髄異形成/骨髄増殖性疾患)など;
【0234】
肺癌、例えば、非小細胞肺癌;及び小細胞肺癌など;
【0235】
呼吸器癌、例えば、成人悪性中皮腫;小児悪性中皮腫;悪性胸腺腫;小児胸腺腫;胸腺癌;小児気管支腺腫/カルチノイドを含む気管支腺腫/カルチノイド;胸膜肺芽腫;非小細胞肺癌;及び小細胞肺癌など;
【0236】
皮膚癌、例えば、カポジ肉腫;メルケル細胞癌;黒色腫;及び小児皮膚癌など;
【0237】
AIDS関連悪性腫瘍;
【0238】
他の小児癌、まれな小児癌及び原発部位不明の癌;及び
【0239】
前述の癌の転移。
【0240】
5.キット
一態様において、本開示は、少なくとも1つの開示される化合物又はその薬学的に許容可能な塩、又は化合物若しくはその薬学的に許容可能な塩を含む組成物と、
(a)少なくとも1つの抗原;及び
(b)化合物又は組成物の投与に関する説明書
のうちの1つ以上とを含むキットを提供する。
【0241】
一部の実施形態において、少なくとも1つの開示される化合物と少なくとも1つの抗原とは共に製剤化される。一部の実施形態において、少なくとも1つの開示される化合物と少なくとも1つの抗原とは共に包装される。本キットはまた、他の成分と共に包装される、共に製剤化される、及び/又は共に送達される化合物及び/又は生成物も含み得る。例えば、薬物製造者、薬物販売業者、医師、調剤店、又は薬剤師が、開示される化合物及び/又は生成物及び患者に送達するための別の成分を含むキットを提供することができる。
【0242】
開示されるキットは、開示される使用方法に関連して用いることができる。
【0243】
本キットは、キットの使用が哺乳類(特にヒト)において特定の病原体に対する免疫の増加をもたらすであろうという情報、説明書、又は両方を更に含み得る。情報及び説明書は、言葉、絵、又は両方などの形式であってもよい。加えて、又は代わりに、本キットは、化合物、組成物、又は両方;及び好ましくは哺乳類(例えば、ヒト)の医学的状態を治療又は予防する利益と共に、化合物の、又は組成物の投与方法に関する情報、説明書、又は両方を含み得る。
【0244】
本開示の化合物及び方法は、以下の実施例を参照することにより更に良く理解されてもよく、これらの実施例は、本開示の範囲の例示であって、それに対する限定ではないものと意図される。
【実施例
【0245】
6.実施例
以下のスキーム及び実施例で使用される略語は、以下である:Arはアリールである;Buはブチルである;DBUは1,8-ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデカ-7-エンである;DCCはN,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミドである;DIADはアゾジカルボン酸ジイソプロピルである;DMSOはジメチルスルホキシドである;EDCは1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドである;Etはエチルである;EtOHはエタノールである;IPAはイソプロピルアルコールである;i-Proはイソプロピルである;Meはメチルである;MeOHはメタノールである;MTBEはメチルtert-ブチルエーテルである;PPhはトリフェニルホスフィンである;PPTSはp-トルエンスルホン酸ピリジニウムである;TBAFはフッ化テトラ-n-ブチルアンモニウムである;TBSはtert-ブチルジメチルシリル又はtert-ブチルジメチルシランである;TBSClはtert-ブチルジメチルシリルクロリドである;TBTUはO-(ベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレートである;tBuはtert-ブチルである;tBuOHはtert-ブタノールである;THFはテトラヒドロフランである;TLCは薄層クロマトグラフィーである;及びTMSはテトラメチルシリル又はテトラメチルシランである。
【0246】
実施例1.例示的安息香酸合成
特定の安息香酸は市販されているが、他のものは、以下に示すとおりエステル化、エーテル化、及び脱保護手順を用いて合成されてもよい。
【化15】
【0247】
【表1】
【0248】
以下に示すとおりの2,6-ジヒドロキシ安息香酸によるt-ブタノールの酸触媒脱水アルキル化を通じて、別の高度に官能化された安息香酸を調製した。
【化16】
【0249】
実施例2.光延条件下での化合物UM1024の合成
【化17】
2,3,4,2’,3’,4’-ヘキサキス-O-トリメチルシリル-α,α-トレハロース(Johnson et al.J.Carbohydr.Chem.17(6),969-974(1998)に記載されるとおり調製した)(230mg、0.39mmol)及びトリフェニルホスフィン(276mg、1.05mmol)を窒素雰囲気下で磁気撹拌しながら塩化メチレン(10mL)に溶解し、この溶液を氷浴中で0~5℃に冷却した。アゾジカルボン酸ジイソプロピル(0.19mL、0.947mmol)を加え、反応物を10分間撹拌した。3,5-ジ-tert-ブチルサリチル酸(167mg、0.648mmol)を加え、反応物をTLCによってモニタした。2時間後、反応物を冷水でクエンチし、塩化メチレンで抽出した。合わせた有機分を硫酸ナトリウムで乾燥させて、ろ過し、濃縮し、及び生成物をヘプタンから酢酸エチルへの勾配によるシリカゲルクロマトグラフィーによって分離すると、33.9g(9%)の2,3,4,2’,3’,4’-ヘキサキス-O-トリメチルシリル-6,6’-ビス-(3,5-ジ-tert-ブチルサリセート(butylsalisate))-α,α-トレハロースが生じた。1H NMRスペクトルデータはAgilent 400MHz計測器で記録し、高分解能質量スペクトルは、Agilent 6220飛行時間型質量分析計(TOF-MS)又はAgilent 6520飛行時間型四重極質量分析計(QTOF-MS)のいずれかで入手した。
【0250】
2,3,4,2’,3’,4’-ヘキサキス-O-トリメチルシリル-6,6’-ビス-(3,5-ジ-tert-ブチルサリセート(butylsalisate))-α,α-トレハロースを塩化メチレン(10mL)及びメタノール(10mL)に溶解し、磁気撹拌しながらDowex 50w X8樹脂で20分間処理した。樹脂をろ過によって除去し、ろ液を濃縮し、生成物をクロロホルムからメタノールへの勾配によるシリカゲルクロマトグラフィーによって分離すると、146mg(48%)の6,6’-ビス-(3,5-ジ-tert-ブチルサリセート(butylsalisate))-α,α-トレハロース(UM1024)が生じた。
【0251】
化合物6,6’-ビス-(3,5-ジイソプロピルサリセート(di-iso-propylsalisate))-α,α-トレハロース(UM1023)を同様に調製した(カップリング収率74.3mg、16)。
【0252】
実施例3.SN2置換によるUM1024の合成
【化18】
2,3,4,2’,3’,4’-ヘキサキス-O-トリメチルシリル-α,α-トレハロース(Johnson et al.J.Carbohydr.Chem.17(6),969-974(1998)に記載されるとおり調製した)(385mg、0.50mmol)を塩化メチレン(10mL)に溶解した。ピリジン(0.25mL、3.1mmol)を窒素雰囲気下で磁気撹拌しながら加え、この溶液を氷浴中で0~5℃に冷却した。トリフルオロメタンスルホン酸無水物を加え、反応物を1.5時間撹拌した。この反応物を希塩酸、重炭酸ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させて、ろ過し、濃縮した。3,5-ジ-tert-ブチルサリチル酸(363mg、1.26mmol)をカリウムトリメチルシラノレートで処理し、カリウム塩をエーテルで沈殿させて、乾燥させた。粗トレハロース中間体をトルエン(15mL)に溶解し、アリールカリウム塩、18-クラウン-6(132mg、0.50mmol)と合わせ、この反応物を80℃に加熱し、出発トレハロース中間体の消費が確認されるまで反応物をTLCによってモニタした。反応物を重炭酸ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させて、濃縮し、生成物をヘプタンから酢酸エチルへの勾配によるシリカゲルクロマトグラフィーによって分離すると、524mg(85%)の2,3,4,2’,3’,4’-ヘキサキス-O-トリメチルシリル-6,6’-ビス-(3,5-ジ-t-ブチルサリセート(butylsalisate))-α,α-トレハロースが生じた。この生成物を実施例2に記載されるとおり脱保護すると、6,6’-ビス-(3,5-ジ-tert-ブチルサリセート(butylsalisate))-α,α-トレハロース(UM1024)が得られた。
【0253】
実施例4.カップリング反応によるUM1015の合成
【化19】
2,3,4,2’,3’,4’-ヘキサキス-O-トリメチルシリル-α,α-トレハロース(Johnson et al.J.Carbohydr.Chem.17(6),969-974(1998)に記載されるとおり調製した)(412mg、0.53mmol)、3,5-ジエトキシ安息香酸(276mg、1.31mmol)及び4-(ジメチルアミノ)ピリジニウム4-トルエンスルホネート(77mg、0.26mmol)を磁気撹拌しながらTHF(10mL)に溶解し、この溶液を氷浴中で0~5℃に冷却した。DCCを加え、反応物を周囲温度に温めて、TLCによって決定したとき出発トレハロース中間体が消費されるまで撹拌した。この粗反応混合物をヘプタンから酢酸エチルへの勾配によるシリカゲルクロマトグラフィーによって精製すると、366mg(60%)の2,3,4,2’,3’,4’-ヘキサキス-O-トリメチルシリル-6,6’-ビス-(3,5-ジメトキシベンゾエート)-α,α-トレハロースが生じた。この生成物を実施例2に記載される脱保護と同様に脱保護すると、6,6’-ビス-(3,5-ジメトキシベンゾエート)-α,α-トレハロース(化合物UM1015)が得られた。
【0254】
カップリング反応に適切なフェノールを使用して、表1の化合物をUM1015と同様に調製した。
【0255】
【表2】
【0256】
実施例5.脂質化安息香酸を含有する化合物の合成
実施例1の記載と同様に、以下に示すとおりのエステル化、エーテル化、及び脱保護手順を用いて脂質化安息香酸が合成されてもよい。
【化20】
【0257】
ジクロロメタン中のシリル化トレハロース(1mmol、1当量)の溶液に、酸(3mmol、3当量)、EDCI-MeI(4mmol、4当量)、及びDMAP(0.15mmol、0.15当量)を加えた。この反応物を室温で一晩撹拌し、ろ過した。ろ液を冷ジクロロメタンで洗浄した。次に合わせた層を水及び次にブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させて、真空中で濃縮した。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(溶離液:ヘプタン:EtOAc 2:8→3:7)で精製した。
【0258】
他のカップリング反応物もまたエステル化に使用した:DCC(3.5当量)/PPTS(0.4当量)及びDCC(3当量)/DMAP(0.4当量)。これらは最適化されたものであり、DMAPを増加させることにより反応収率が大幅に増加したことが分かった。実施例2に記載される脱保護と同様の方法で生成物を脱保護した。
【0259】
【表3】
【0260】
実施例6.アミド連結アリール及びアルキルトレハロース化合物の合成
【化21】
i)TrCl,Py,40℃,16hr;ii)PhCOCl,0℃~rt,10hr;iii)TsOH-HO,CHCl/MeOH(1:1),rt,12hr;iv)MsCl,EtN,CHCl,0℃,2hr;v)NaN,DMF,65℃,14hr;vi)H2,Pd-C,EtOH/AcOH(1/2),1 M HCl,rt,28hr;vii);酸,HATU,EtN,CHCl;0℃,4hr;viii)30% MeONa/MeOH,rt,5hr.
2,3,4,2’,3’,4’-ヘキサキス-O-ベンゾイル-α,α-トレハロース(Chem Biol Drug Des 2015,86(5),1017-29に記載されるとおり調製した)を0℃で酸(3当量)、無水ジクロロメタン中の1-[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]-1H-1,2,3-トリアゾロ[4,5-b]ピリジニウム3-オキシドヘキサフルオロホスフェート(HATU、3当量)及びトリエチルアミン(3当量)と合わせた。この反応物を0℃で2時間撹拌し、次にジクロロメタンで希釈した。有機層を水及び次にブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させた。この粗生成物をカラムクロマトグラフィー(ヘプタン:EtOAc 2:8→1:1)によって精製した。
【0261】
実施例7.アミド連結アリール及びアルキルトレハロース化合物の合成
【化22】
固体重炭酸ナトリウム(2当量)をメタノール中のトレハロースアミン二塩酸塩(1当量)の溶液に加えた。5分間撹拌した後、ジクロロメタンを加え、この混合物を室温で蒸発させた。ジクロロメタンを加えて蒸発させることにより、メタノールの完全な除去を助けた。乾燥ジクロロメタン中の残渣の溶液をトリエチルアミン(3.0当量)、続いて置換塩化スルホニル(2.4当量)で処理し、窒素下に室温で24時間撹拌した。この反応混合物をジクロロメタンで希釈し、水、飽和重炭酸ナトリウム、及び次に再び水で洗浄した。有機層を真空中で濃縮し、(99:1)ジクロロメタン-メタノールを溶離液としたクロマトグラフィーによって精製すると、所望の生成物が得られた。
【0262】
実施例8.生物学的活性
A.化合物で処理した末梢血単核球(PBMC)のサイトカイン応答
上記に示すとおり合成した様々な濃度のDAT化合物への曝露後に、末梢血単核球(PBMC)中における腫瘍壊死因子α(TNFα)及びIL-6産生を測定した。初期の研究は、PBMC培養物にDAT化合物を送達する2つの異なる方法に焦点を合わせた。第1の送達方法では、指示される誘導体化合物をイソプロパノールに溶解し、段階希釈し、次に組織培養プレートの底に乾燥させた。第2の送達方法では、指示される誘導体化合物をDMSOに溶解し、組織培養培地中に段階希釈した。それぞれの方法において、化合物にPBMCを加え、37℃でインキュベートした。処理後18~24時間でELISAアッセイによってTNFα(図1A)及びIL-6(図1B)を測定した。
【0263】
B.刺激後の新鮮に調製したPBMCの上清のサイトカイン分析
DMSOに可溶化したDAT化合物(実施例5A)で刺激した新鮮に調製したPBMCからの上清について、Th1細胞又はTh17細胞適応免疫応答をドライブする助けとなるサイトカイン;IFNγ、IL-12 p70、IL-6、IL-1β、及びIL-23を分析した。IL-6、IL-1β、IL-23、及びTNFαに関するイムノアッセイ結果を図2に示す。IL-12p70は最小限の量しか検出されず、IFNγは検出不能であった。従って、両方とも報告していない。より高い応答の化合物(UM1009、UM1015、UM1017、UM1019、UM1020、UM1021、UM1022、UM1023及びUM1024)について、実施例5AからのTNFα応答が確認された。
【0264】
C.新鮮ヒトPBMCにおけるIL-6誘導
最も活性の高い化合物について、図3に指示されるとおりの複数のドナーからの新鮮PBMC中のIL-6レベルをスクリーニングした。DMSO中に再懸濁して培地で段階希釈した漸増濃度の指示化合物に、単離したPBMCを曝露した。処理後18時間の上清からIL-6レベルを決定した(図3)。
【0265】
化合物UM1024が、ヒトPBMCからのサイトカインの誘導に関して最も効力の高い化合物であり、他の化合物と比べて1000倍を超える高さの効力(EC50)を実証した。イソプロピル基を有する化合物1023はそれより低い活性を呈したことから、大部分はアリール基のtert-ブチル側鎖がUM1024の効力に関与していることが示唆される。化合物UM1015は、5人中3人のドナー(1、20及び15)においてのみ効力の高いロバストな活性を実証したことから、この化合物による高いドナー間のばらつきが示唆される。1014ジメチルアリールエーテルなどの同様の構造は不活性であった。これらのデータは、炭素の長さ又は数及びその位置におけるアリール置換パターンが生物学的活性に重要であることを示している。
【0266】
化合物UM1022、ジメトキシ誘導体は、効力の高いロバストなIL-6産生を再現性よく誘導した。化合物UM1021はトレハロースとアリール基との間にリンカーを含有し、これは一部のサイトカイン産生を誘導したが、絶対レベルの点ではかなり減少した。これは、観察される活性にとって、提案される結合部位より近位の必須フェニルアラニンのπ-π相互作用が重要であり得ることを示唆している。
【0267】
D.化合物へのHEK-Blue(商標)ミンクルレポーター細胞のシグナル伝達応答
化合物はまた、市販のレポーターHek-Blue(商標)細胞株においても試験した。Hek-Blue(商標)細胞を漸増濃度の指示化合物で18~24時間処理した。分離した上清をNF-κB分泌型胎児性アルカリホスファターゼ(SEAP)産生に関してQUANTI-Blue(商標)試薬で測定した(図4A)。SEAP産生はマウス及びヒトの両方のレポーター株でロバストであったことから(図4A)、ヒト系及びマウス系の両方におけるミンクル受容体を通じた強力なシグナル伝達が指摘される。
【0268】
マウスレポーター細胞株では、UM1024は、低濃度の化合物で特徴的な極めて高いピークを示した(図4A)。PBMCで観察されたサイトカインプロファイルと異なり、UM1024は他の化合物と比較して大きい左方向への効力シフトを示さなかった。
【0269】
E.マウスマクロファージ細胞におけるTNFα誘導
化合物はまた、マウスマクロファージ細胞株においても試験した(図4B)。RAW264.7細胞を漸増濃度の化合物に供し、サイトカインTNFα産生に関して評価した。多くの化合物がマウス細胞からのサイトカイン産生を刺激可能であったことから、それらがこの種で活性であることが示唆されるが、全体的なレベル及び効力はヒト細胞と比べて大幅に減少した。
【0270】
【表4】
【0271】
【表5】
【0272】
【表6】
【0273】
【表7】
【0274】
F.製剤及び免疫応答
化合物のインビトロ及びインビボ判定のため、リポソーム製剤を作成した。これらの製剤では、脂質対アジュバントモル比はそれぞれ89:11で一定に保ち、ここで脂質濃度は11.174μmol/mLであった。脂質薄膜をpH=7.4の10mMトリス緩衝液中に再水和した。リポソーム製剤を1モルパーセントの蛍光脂質色素、(N-(7-ニトロベンズ-2-オキサ-1,3-ジアゾール-4-イル)-1,2-ジヘキサデカノイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(NBD-PE)と共に調製した。この色素はリポソームの脂質二重層に取り込まれ、フローセルサイトメトリーによる細胞型の可視化を可能にする。二段階0.8/0.2μm PESシリンジフィルタを使用して最終的な製剤を滅菌ろ過した。
【0275】
製剤を粒径分析のため動的光散乱(DLS)によって特徴付け、UM1024について紫外吸収によってアジュバント濃度を定量化した。DDAを含有するリポソーム製剤は、均一懸濁液を実現するために50℃で10~15分の短時間の音波処理が必要であった。アジュバントを含有する製剤において、中性pHのそのブランク製剤と比較したとき、粒径、ゼータ電位又はPDI値に対する大きい影響は認められなかった。
【0276】
22:67:11のDDA:DSPC:アジュバントのモル比のUM1024及びTDBを比較するため、第2の一組のリポソーム製剤を作製した。これらの製剤中における脂質濃度は8.38mg/mLであり、一方、アジュバント濃度はその分子量に比例して異なった。
【0277】
リポソーム製剤中の化合物UM1024をインビボで試験して、結核菌(Mycobacteria tuberculosis)(Mtb)ワクチン抗原M72に対する体液性及び細胞媒介性免疫応答を促進するその能力を決定した。M72は、BCG及び結核菌(M.tuberculosis)株で発現する2つのマイコバクテリアタンパク質Mtb32a及びMtb39aからの配列を組み合わせる組換えタンパク質であり、これらの配列はヒトCD4及びCD8T細胞エピトープを含有し、多剤耐性株及び超多剤耐性株を含む且つこれまでに試験されたあらゆる系統を網羅する45のマイコバクテリア(Mycobacteria)株にわたって高度に保存されている。
【0278】
Balb/cマウスに0.125μg M72及び様々な用量の異なるCLRアジュバント候補(表3)をリポソーム製剤で筋肉内に(i.m.)免疫した。ワクチン接種のタイムラインは図5Aに示されるとおりであった。19日目(二次免疫後5日)、各群3匹のマウスを安楽死させた。脾臓を使用したT細胞再刺激アッセイ及び細胞内サイトカイン染色により、IFNγ(Th1)、IL-5(Th2)又はIL-17(Th17)のその産生によって定義されるとおりの抗原特異的CD4及びCD8エフェクターT細胞を描出した。
【0279】
【表8】
【0280】
フォローアップマウス研究において、より高用量のM72抗原1μgを単一用量のアジュバント10nmolと組み合わせて2回、14日空けて動物に筋肉内注射した。2回目の注射の14日後、血液を採取し、血清を分離し、抗M72抗体(サブタイプIgG1及びIgG2a)のレベルを決定した(図5B)。応答をナイーブマウス、M72抗原単独、及びブランクリポソーム(CLR化合物を加えていない)でのM72抗原と比較した。
【0281】
採取された脾臓からの脾細胞をM72抗原で再刺激して、様々なワクチンに対するCD4+及びCD8+ T細胞応答を決定した。応答をナイーブマウス、M72抗原単独、及びエンプティリポソーム(CLR化合物を加えていない)でのM72抗原と比較した。リポソーム中のUM1024は、細胞内サイトカイン染色により高レベルの抗原特異的CD4+及びCD8+ IL17A産生細胞を誘導し、Th17応答を示した(図6A)。最も高い用量のTDBをワクチン接種したマウスからの脾臓細胞の再刺激は、何らかのIL-17Aを誘導した。Th17細胞はマウスにおいて免疫後にMtbに対する保護を付与するため、IL17A応答の増加によって示されるとおりの抗原特異的Th17細胞の誘導は重要であった。
【0282】
UM-1024をアジュバントとして加えたワクチンを受けたマウスからの再刺激した細胞において、Th2応答の指標であるIL-5産生が見られた(図6B)。しかしながら、Balb/cマウス系統はTh2に偏っていることが知られているため、これがUM-1024アジュバントに応答した更なるTh2分極化を反映したものであるのか、それともTh2に偏っているマウス系統において免疫活性化が増加した副産物であるのかを言うのは難しい。
【0283】
IFNγ産生は、ワクチン接種した群のいずれにおいてもナイーブマウスのレベルを上回って増加することはなかったことから、Th1応答が誘導されなかったことが示唆される。TNFα産生は、より高用量のUM-1024をアジュバントとして加えた群で対照と比較して増加し、IL-2産生は、アジュバントを加えたほとんどの群でやや増加したが、但しUM-1024 10nmol群は例外で、ここでは対照と比較してIL-2産生が実質的に増加した(図6C)。
【0284】
前述の詳細な説明及び添付の実施例は単に例示に過ぎないことが理解され、添付の特許請求の範囲及びその均等物によってのみ定義される本開示の範囲に対する限定と解釈されてはならない。
【0285】
完全性の理由から、本発明の様々な態様について、以下の番号を付したクローズ(clause)に説明する。
【0286】
クローズ1. 式(I)の化合物、
【化23】
又はその薬学的に許容可能な塩[式中、
は-OH又は-X(CR1a1a’Arであり;
は-Y(CR2a2a’Arであり;
X及びYは、各々独立に、-OC(O)-、-NRC(O)-、-NRC(S)-、-NR-、-SONR-、-O-、及び-OC(O)CH=CH-から選択され;
、R、及びRは、各々独立に、水素及びC~Cアルキルから選択され;
mは、0、1又は2であり;
nは、0、1又は2であり;
1a、R1a’、R2a及びR2a’は、存在する場合、各々独立に、水素及びC~Cアルキルから選択され;
pは、0又は1であり;
qは、0又は1であり;
Ar及びArは、各々独立に、アリール又はヘテロアリールから選択され、ここで各アリール又はヘテロアリールは、独立に、水素、C~C12アルキル、ヒドロキシ、C~C12アルコキシ、ハロ、C~Cハロアルキル、Ar、C~Cアルコキシ-C~Cアルコキシ、C~Cアルコキシ-C~Cアルキル、ヒドロキシ-C~Cアルキル、アミノ、ニトロ、-NH-Ar、C~Cアルコキシ-Ar、C~Cアルキルスルホニル、及びC~Cアルコキシ-C~Cアルコキシ-C~Cアルコキシから独立に選択される1、2、3、4、又は5個の置換基で置換されていても、又は置換されていなくてもよく、又はこれらの置換基が、それらが結合する原子と共に、任意選択で一緒になってアリール環を形成し;ここで各ヘテロアリールは、O、S又はNから選択される1、2、3、4、又は5個のヘテロ原子を含んでもよく;
Ar、Ar及びArは、各々独立に、C~Cアルキル、ヒドロキシ、C~Cアルコキシ、ハロ、C~Cハロアルキル、及びC~Cヒドロキシアルキルから独立に選択される1、2、3、又は4個の置換基で独立に置換されていないか又は置換されているアリール又はヘテロアリールから選択される]であって;及び
ここで
6,6’-ビス(2-メトキシベンゾイル)-α,α-D-トレハロース、
6,6’-ビス(ベンゾイルアミノ)-α,α-D-トレハロース、
6,6’-ビス(2-ヒドロキシベンゾイル)-α,α-D-トレハロース、
6,6’-ビス(2-ヒドロキシベンゾイルアミノ)-α,α-D-トレハロース、
6,6’-ビス(2-メチルベンゾイル)-α,α-D-トレハロース、
6,6’-ビス(2-メチルベンゾイルアミノ)-α,α-D-トレハロース、
6,6’-ビス(4-メトキシベンゾイル)-α,α-D-トレハロース、
6,6’-ビス(4-メトキシベンゾイルアミノ)-α,α-D-トレハロース、
6,6’-ビス(4-ヒドロキシベンゾイル)-α,α-D-トレハロース、
6,6’-ビス(4-ヒドロキシベンゾイルアミノ)-α,α-D-トレハロース、
6,6’-ビス(4-ベンジルオキシベンゾイル)-α,α-D-トレハロース、
6,6’-ビス(2,3-ジメトキシベンゾイル)-α,α-D-トレハロース、
6,6’-ビス(2,3-ジメトキシベンゾイルアミノ)-α,α-D-トレハロース、
6,6’-ビス(2,6-ジフルオロベンゾイル)-α,α-D-トレハロース、
6,6’-ビス(2,6-ジフルオロベンゾイルアミノ)-α,α-D-トレハロース、
6,6’-ビス(2,6-ジクロロベンゾイル)-α,α-D-トレハロース、
6,6’-ビス(2,3-ジヒドロキシベンゾイル)-α,α-D-トレハロース、
6,6’-ビス(2,4-ジヒドロキシベンゾイル)-α,α-D-トレハロース、
6,6’-ビス(2,4-ジヒドロキシベンゾイルアミノ)-α,α-D-トレハロース、
6,6’-ビス(2,3-ジベンジルオキシベンゾイル)-α,α-D-トレハロース、
6,6’-ビス(2-ヒドロキシ-3-メトキシベンゾイル)-α,α-D-トレハロース、
6,6’-ビス(2-ベンジルオキシ-3-メトキシベンゾイル)-α,α-D-トレハロース、
6,6’-ビス(2-メチル-6-アミノベンゾイル)-α,α-D-トレハロース、
6,6’-ビス(3-メトキシ-4-フルオロベンゾイル)-α,α-D-トレハロース、
6,6’-ビス(3,4,5-トリメトキシベンゾイル)-α,α-D-トレハロース、
6,6’-ビス(3,4,5-トリメトキシベンゾイルアミノ)-α,α-D-トレハロース、
6,6’-ビス(2,4-ジヒドロキシ-6-メチルベンゾイル)-α,α-D-トレハロース、
6,6’-ビス(2,4-ジメトキシ-6-メチルベンゾイル)-α,α-D-トレハロース、
6,6’-ビス(2-ヒドロキシ-4-n-ヘプチルオキシベンゾイル)-α,α-D-トレハロース、
6,6’-ビス(2-ヒドロキシ-4-n-ペンチルオキシベンゾイル)-α,α-D-トレハロース、
6,6’-ビス(2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾイル)-α,α-D-トレハロース、
6,6’-ビス(4-n-ペンチルオキシベンゾイル)-α,α-D-トレハロース、
6,6’-ビス(2,4-ジヒドロキシ-6-メチルベンゾイル)-α,α-D-トレハロース、
6,6’-ビス(シンナモイルアミノ)-α,α-D-トレハロース、
6,6’-ビス(3,4-ジメトキシシンナモイルアミノ)-α,α-D-トレハロース、
6,6’-ビス(イソニコチノイルアミノ)-α,α-D-トレハロース、又は
6,6’-ビス(ピラジン-2-カルボニルアミノ)-α,α-D-トレハロース
ではない化合物。
【0287】
クローズ2. p及びqが0である、クローズ1の化合物、又はその薬学的塩。
【0288】
クローズ3. Lが、
【化24】
であり;
mが、0、1又は2であり;
1a及びR1a’が、存在する場合、各々独立に、水素及びC~Cアルキルから選択され;及び
2a、R3a、R4a、R5a、及びR6aが、各々独立に、水素、C~C12アルキル、ヒドロキシ、C~C12アルコキシ、ハロ、C~Cハロアルキル、アリール、C~Cアルコキシ-C~Cアルコキシ、C~Cアルコキシ-C~Cアルキル、ヒドロキシ-C~Cアルキル、アミノ、ニトロ、アリールアミノ、C~Cアルコキシ-アリール、C~Cアルキルスルホニル、及びC~Cアルコキシ-C~Cアルコキシ-C~Cアルコキシから選択されるか、又はそれらが結合する原子と共に、任意選択で一緒になってアリール環を形成する、クローズ1又は2の化合物、又はその薬学的塩。
【0289】
クローズ4. R1a’が、存在する場合、水素である、クローズ1~3のいずれかの化合物、又はその薬学的塩。
【0290】
クローズ5. R2a、R3a、R4a、R5a、及びR6aが、各々独立に、水素、C~Cアルキル、ヒドロキシ、C~Cアルコキシ、ハロ、C~Cハロアルキル、アリール、C~Cアルコキシ-C~Cアルコキシ、C~Cアルコキシ-C~Cアルキル、及びヒドロキシ-C~Cアルキルから選択され;
ここでR3a及びR4aが、それらが結合する炭素原子と共に、任意選択で一緒になってアリール環を形成する、クローズ3~4のいずれかの化合物、又はその薬学的塩。
【0291】
クローズ6. Lが、
【化25】
であり;
nが、0、1又は2であり;
1b及びR1b’が、存在する場合、各々独立に、水素及びC~Cアルキルから選択され;及び
2b、R3b、R4b、R5b、及びR6bが、各々独立に、水素、C~C12アルキル、ヒドロキシ、C~C12アルコキシ、ハロ、C~Cハロアルキル、アリール、C~Cアルコキシ-C~Cアルコキシ、C~Cアルコキシ-C~Cアルキル、ヒドロキシ-C~Cアルキル、アミノ、ニトロ、アリールアミノ、C~Cアルコキシ-アリール、C~Cアルキルスルホニル、及びC~Cアルコキシ-C~Cアルコキシ-C~Cアルコキシから選択されるか、又はそれらが結合する原子と共に、任意選択で一緒になってアリール環を形成する、クローズ1~5のいずれかの化合物、又はその薬学的塩。
【0292】
クローズ7. R1b’が、存在する場合、水素である、クローズ1~6のいずれかの化合物、又はその薬学的塩。
【0293】
クローズ8. R2b、R3b、R4b、R5b、及びR6bが、各々独立に、水素、C~Cアルキル、ヒドロキシ、C~Cアルコキシ、ハロ、C~Cハロアルキル、アリール、C~Cアルコキシ-C~Cアルコキシ、C~Cアルコキシ-C~Cアルキル、及びヒドロキシ-C~Cアルキルから選択され;
ここでR3b及びR4bが、それらが結合する炭素原子と共に、任意選択で一緒になってアリール環を形成する、クローズ1~7のいずれかの化合物、又はその薬学的塩。
【0294】
クローズ9. 式(Ia)の化合物:
【化26】
又はその薬学的に許容可能な塩[式中、
X及びYは、各々独立に、-OC(O)-及び-NRC(O)-から選択され;
は、独立に、水素及びC~Cアルキルから選択され;
mは、0、1又は2であり;
nは、0、1又は2であり;
1a、R1a’、R1b及びR1b’は、存在する場合、各々、水素であり;及び
2a、R2b、R3a、R3b、R4a、R4b、R5a、R5b、R6a、及びR6bは、各々独立に、水素、C~Cアルキル、及びヒドロキシから選択される]である、クローズ1の化合物。
【0295】
クローズ10. R2a、R3a、R4a、R5a、及びR6aのうちの少なくとも1つがC~Cアルキルであり、R2b、R3b、R4b、R5b、及びR6bのうちの少なくとも1つがC~Cアルキルである、クローズ9の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩。
【0296】
クローズ11. R3a、R3b、R5a、及びR5bの各々がC~Cアルキルである、クローズ10の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩。
【0297】
クローズ12. C~Cアルキルが、イソプロピル、tert-ブチル、メチル又はエチルである、クローズ11の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩。
【0298】
クローズ13. C~Cアルキルがtert-ブチルである、クローズ12の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩。
【0299】
クローズ14. R2a、R2b、R4a、R4b、R6a、R6bが、各々独立に、ヒドロキシ又は水素である、クローズ11の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩。
【0300】
クローズ15. R2a及びR2bが、各々、ヒドロキシである、クローズ14の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩。
【0301】
クローズ16. R4a及びR4bが、各々、ヒドロキシである、クローズ14の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩。
【0302】
クローズ17. R2a、R2b、R6a、及びR6bがメチルである、クローズ10の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩。
【0303】
クローズ18. R3a、R3b、R4a、R4b、R5a、及びR5bが、各々独立に、水素又はC~Cアルキルである、クローズ17の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩。
【0304】
クローズ19. C~Cアルキルがメチル又はtert-ブチルである、クローズ18の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩。
【0305】
クローズ20. m及びnが0である、クローズ9~19のいずれか1つの化合物、又はその薬学的に許容可能な塩。
【0306】
クローズ21. 式(Ib)の化合物:
【化27】
又はその薬学的に許容可能な塩[式中、
X及びYは、各々独立に、-OC(O)-及び-NRC(O)-から選択され;
は、独立に、水素及びC~Cアルキルから選択され;
2a、R2b、R3a、R3b、R4a、R4b、R5a、R5b、R6a、及びR6bは、各々独立に、水素、C~C12アルキル、ヒドロキシ、C~C12アルコキシ、C~Cハロアルキル、Ar及び、-NH-Arから選択されるか、又はそれらが結合する原子と共に、任意選択で一緒になってアリール環を形成し;
Ar、Ar及びArは、各々独立に、C~Cアルキル、ヒドロキシ、C~Cアルコキシ、ハロ、C~Cハロアルキル、及びC~Cヒドロキシアルキルから独立に選択される1、2、3、又は4個の置換基で独立に置換されていないか又は置換されているアリール又はヘテロアリールから選択される]である、クローズ1の化合物。
【0307】
クローズ22. R3a、R3b、R5a、及びR5bが、各々、C~Cアルコキシである、クローズ21の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩。
【0308】
クローズ23. R2a、R2b、R4a、R4b、R6a、及びR6bが、各々、水素である、クローズ22の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩。
【0309】
クローズ24. R4a及びR4bが、各々、C~Cアルコキシである、クローズ22の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩。
【0310】
クローズ25. R3a、R3b、R4a、R4b、R5a、及びR5bが、各々、エトキシである、クローズ24の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩。
【0311】
クローズ26. R2a、R2b、R6a及びR6bが、各々、水素である、クローズ(claimuse)24の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩。
【0312】
クローズ27. R2a及びR2bが、各々、C~Cアルコキシ又はヒドロキシである、クローズ21の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩。
【0313】
クローズ28. R3a、R4a、R5a、及びR6aのうちの少なくとも1つがC~Cアルキルであり、R3b、R4b、R5b、及びR6bのうちの少なくとも1つがC~Cアルキルである、クローズ27の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩。
【0314】
クローズ29. C~Cアルキルがtert-ブチルである、クローズ28の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩。
【0315】
クローズ30. R2a、R3a、R4a、R5a、及びR6aのうちの少なくとも1つがC~Cハロアルキルであり、R2b、R3b、R4b、R5b、及びR6bのうちの少なくとも1つがC~Cハロアルキルである、クローズ21の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩。
【0316】
クローズ31. R2a及びR2bが、各々、C~Cハロアルキルである、クローズ30の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩。
【0317】
クローズ32. R3a、R3b、R5a、及びR5bが、各々、水素である、クローズ31の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩。
【0318】
クローズ33. R6a及びR6bが、各々、水素又はC~Cハロアルキルである、クローズ32の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩。
【0319】
クローズ34. R4a及びR4bが、各々、水素又はC~Cアルコキシである、クローズ33の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩。
【0320】
クローズ35. C~Cアルコキシがメトキシである、クローズ34の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩。
【0321】
クローズ(Clasue)36. R3a及びR3bが、各々、C~Cハロアルキルである、クローズ30の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩。
【0322】
クローズ37. R5a及びR5bが、各々、水素又はC~Cハロアルキルである、クローズ36の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩。
【0323】
クローズ38. R2a、及びR2bが、各々、水素又はヒドロキシである、クローズ37の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩。
【0324】
クローズ(Clasue)39. R4a、R4b、R6a、及びR6bが、各々、水素である、クローズ38の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩。
【0325】
クローズ40. R5a及びR5bが、各々、C~Cアルコキシである、クローズ31の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩。
【0326】
クローズ41. C~Cアルコキシがメトキシである、クローズ40の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩。
【0327】
クローズ42. R3a、R3b、R4a、R4b、R6a、及びR6bが水素である、クローズ41の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩。
【0328】
クローズ43. C~Cハロアルキルがトリフルオロメチルである、クローズ30~42の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩。
【0329】
クローズ44. R6a及びR6bが、各々、水素であり;
2a、R2b、R3a、R3b、R4a、R4b、R5a、及びR5bが、各々独立に、水素、ヒドロキシ、Ar及び、-NH-Arから選択され、ここでR2a、R3a、R4a、及びR5aのうちの少なくとも1つはAr又は-NH-Arであり、R2b、R3b、R4b、及びR5bのうちの少なくとも1つはAr又は-NH-Arであり;及び
Ar及びArが、各々独立に、C~Cアルキル、ヒドロキシ、C~Cアルコキシ、ハロ、C~Cハロアルキル、及びC~Cヒドロキシアルキルから独立に選択される1、2、3、又は4個の置換基で独立に置換されていないか又は置換されているアリール又はヘテロアリールから選択される、クローズ21の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩。
【0330】
クローズ45. Ar及びArが、ヒドロキシ、アルコキシ、C~Cアルキル、及びヒドロキシ-C~Cアルキルからなる群から独立に選択される1、2、又は3個の置換基で置換されていないか又は置換されているフェニルである、クローズ44の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩。
【0331】
クローズ46. フェニルが、メチル、ヒドロキシ、及びヒドロキシメチルから選択される1個の置換基で置換されている、クローズ45の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩。
【0332】
クローズ47. R2a、R3a、R4a、及びR5aのうちの少なくとも1つがヒドロキシであり、R2b、R3b、R4b、及びR5bのうちの少なくとも1つがヒドロキシである、クローズ44~46の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩。
【0333】
クローズ48. R3a、R4a、及びR5aのうちの少なくとも2つがC~C12アルコキシであり、R3b、R4b、及びR5bのうちの少なくとも2つがC~C12アルコキシであり、R2a、R2b、R6a、及びR6bが、各々、水素である、クローズ21の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩。
【0334】
クローズ49. R3a、R3b、R5a、及びR5bが、各々、C~C12アルコキシである、クローズ48の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩。
【0335】
クローズ50. R4a及びR4bが、各々、C~C12アルコキシである、クローズ49の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩。
【0336】
クローズ51. 6,6’-ビス(3,5-ジメトキシベンゾイル)-α,α-D-トレハロース、
6,6’-ビス(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ブチルベンゾイル)-α,α-D-トレハロース、
6,6’-ビス(3,5-ジペンチルオキシベンゾイル)-α,α-D-トレハロース、
6,6’-ビス(3,4,5-トリエトキシベンゾイル)-α,α-D-トレハロース、
6,6’-ビス(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ブチルベンゾイルアミノ)-α,α-D-トレハロース、
6,6’-ビス(2,6-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ブチルベンゾイルアミノ)-α,α-D-トレハロース、
からなる群から選択される化合物、
又はその薬学的に許容可能な塩。
【0337】
クローズ52. 6,6-ビス(3,5-ジメトキシベンゾイル)-α,α-D-トレハロースである化合物、又はその薬学的に許容可能な塩。
【0338】
クローズ53. 6,6-ビス(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ブチルベンゾイル)-α,α-D-トレハロースである化合物、又はその薬学的に許容可能な塩。
【0339】
クローズ54. クローズ1~53のいずれか1つの化合物、又はその薬学的に許容可能な塩の有効量を含むアジュバント組成物。
【0340】
クローズ55. 対象の免疫応答の亢進を誘導する方法であって、クローズ54のアジュバント組成物を対象に投与することを含む方法。
【0341】
クローズ56. (a)抗原と;(b)クローズ1~53のいずれか1つの化合物、又はその薬学的に許容可能な塩の有効量を含むアジュバント組成物とを含むワクチン組成物。
【0342】
クローズ57. 対象の抗原の免疫原性を誘導し又は亢進させる方法であって、抗原と、クローズ1~53のいずれか1つの化合物、又はその薬学的に許容可能な塩の有効量を含むアジュバント組成物とを含むワクチン組成物を対象に投与することを含む方法。
【0343】
クローズ58. クローズ1~53のいずれか1つの化合物、又はその薬学的に許容可能な塩の有効量を含む免疫調節組成物。
【0344】
クローズ59. 対象の免疫応答を調節する方法であって、クローズ58の免疫調節組成物を対象に投与することを含む方法。
【0345】
クローズ60. 免疫調節組成物が単剤療法として投与される、クローズ59の方法。
【0346】
クローズ61. 対象の免疫応答が増加する、クローズ59又はクローズ60の方法。
【0347】
クローズ62. 対象が癌、自己免疫障害、又は感染性疾患に罹患している、クローズ59~61のいずれか1つの方法。
【0348】
クローズ63. 式(II)の化合物
【化28】
又はその薬学的に許容可能な塩[式中、
mは、0、1又は2であり;
nは、0、1又は2であり;
X及びYは、各々独立に、-C(O)O-、-C(O)NR-、-C(S)NR-、-NR-、及び-O-から選択され;
、R、及びRは、各々独立に、水素及びC~Cアルキルから選択され;
1a及びR1bは、存在する場合、各々独立に、水素及びC~Cアルキルから選択され;
2a、R2b、R3a、R3b、R4a、R4b、R5a、R5b、R6a、及びR6bは、各々独立に、水素、C~Cアルキル、ヒドロキシ、C~Cアルコキシ、ハロ、C~Cハロアルキル、アリール、C~Cアルコキシ-C~Cアルコキシ、C~Cアルコキシ-C~Cアルキル、及びヒドロキシ-C~Cアルキルから選択され;
ここでR3a及びR4aは、それらが結合する炭素原子と共に、任意選択で一緒になってアリール環を形成し;
ここでR3b及びR4bは、それらが結合する炭素原子と共に、任意選択で一緒になってアリール環を形成し;
ここで各アリールは、独立に、非置換であるか、又はC~Cアルキル、ヒドロキシ、C~Cアルコキシ、ハロ、C~Cハロアルキル、及びC~Cヒドロキシアルキルから独立に選択される1、2、又は3個の置換基で置換されている]であって;及び
ここで
6,6’-ビス(2-メトキシベンゾイル)-α,α-D-トレハロース、
6,6’-ビス(2-ヒドロキシベンゾイル)-α,α-D-トレハロース、
6,6’-ビス(2-メチルベンゾイル)-α,α-D-トレハロース、
6,6’-ビス(4-メトキシベンゾイル)-α,α-D-トレハロース、
6,6’-ビス(4-ヒドロキシベンゾイル)-α,α-D-トレハロース、
6,6’-ビス(4-ベンジルオキシベンゾイル)-α,α-D-トレハロース、
6,6’-ビス(2,3-ジメトキシベンゾイル)-α,α-D-トレハロース、
6,6’-ビス(2,6-ジフルオロベンゾイル)-α,α-D-トレハロース、
6,6’-ビス(2,6-ジクロロベンゾイル)-α,α-D-トレハロース、
6,6’-ビス(2,3-ジヒドロキシベンゾイル)-α,α-D-トレハロース、
6,6’-ビス(2,4-ジヒドロキシベンゾイル)-α,α-D-トレハロース、
6,6’-ビス(2,3-ジベンジルオキシベンゾイル)-α,α-D-トレハロース、
6,6’-ビス(2-ヒドロキシ-3-メトキシベンゾイル)-α,α-D-トレハロース、
6,6’-ビス(2-ベンジルオキシ-3-メトキシベンゾイル)-α,α-D-トレハロース、
6,6’-ビス(2-メチル-6-アミノベンゾイル)-α,α-D-トレハロース、
6,6’-ビス(3-メトキシ-4-フルオロベンゾイル)-α,α-D-トレハロース、
6,6’-ビス(3,4,5-トリメトキシベンゾイル)-α,α-D-トレハロース、
6,6’-ビス(2,4-ジヒドロキシ-6-メチルベンゾイル)-α,α-D-トレハロース、
6,6’-ビス(2,4-ジメトキシ-6-メチルベンゾイル)-α,α-D-トレハロース、
6,6’-ビス(2-ヒドロキシ-4-n-ヘプチルオキシベンゾイル)-α,α-D-トレハロース、
6,6’-ビス(2-ヒドロキシ-4-n-ペンチルオキシベンゾイル)-α,α-D-トレハロース、
6,6’-ビス(2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾイル)-α,α-D-トレハロース、
6,6’-ビス(4-n-ペンチルオキシベンゾイル)-α,α-D-トレハロース、又は
6,6’-ビス(2,4-ジヒドロキシ-6-メチルベンゾイル)-α,α-D-トレハロース
ではない化合物。
【0349】
クローズ64. R3a、R3b、R5a、及びR5bが、各々、C~Cアルコキシである、クローズ63の化合物。
【0350】
クローズ65. C~Cアルコキシがエトキシである、クローズ64の化合物。
【0351】
クローズ66. R2a、R2b、R4a、R4b、R6a、及びR6bが水素である、クローズ63又はクローズ64の化合物。
【0352】
クローズ67. R2a、R2b、R3a、R3b、R4a、R4b、R5a、R5b、及びR6aのうちの少なくとも1つ、及びR6bが、tert-ブチルである、クローズ63の化合物。
【0353】
クローズ68. R3a、R3b、R5a、及びR5bが、各々、tert-ブチルである、クローズ67の化合物。
【0354】
クローズ69. R2a及びR2bが、各々、ヒドロキシである、クローズ68の化合物。
【0355】
クローズ70. R4a、R4b、R6a、及びR6bが、各々、水素である、クローズ67~69のいずれか1つの化合物。
【0356】
クローズ71. mが0であり、及びnが0である、クローズ63~70のいずれか1つの化合物。
【0357】
クローズ72. X及びYが、各々、-C(O)O-である、クローズ63~71のいずれか1つの化合物。
【0358】
クローズ73. 式(IIa)の化合物:
【化29】
又はその薬学的に許容可能な塩[式中、
mは、0、1又は2であり;
nは、0、1又は2であり;
X及びYは、各々独立に、-C(O)O-、-C(O)NR-、-C(S)NR-、-NR-、及び-O-から選択され;
、R、及びRは、各々独立に、水素及びC~Cアルキルから選択され;
1a及びR1bは、存在する場合、各々独立に、水素及びC~Cアルキルから選択され;
2a、R2b、R6a及びR6bは、各々独立に、水素、C~Cアルキル、ヒドロキシ、及びC~C-アルコキシから選択され;
4a及びR4bは、水素であり;及び
3a、R3b、R5a、及びR5bは、各々独立に、C~Cアルキル、ヒドロキシ、C~Cアルコキシ、ハロ、C~Cハロアルキル、アリール、C~Cアルコキシ-C~Cアルコキシ、C~Cアルコキシ-C~Cアルキル、ヒドロキシ-C~Cアルキルから選択され;
ここで各アリールは、独立に、非置換であるか、又はC~Cアルキル、ヒドロキシ、C~Cアルコキシ、ハロ、C~Cハロアルキル、及びC~Cヒドロキシアルキルから独立に選択される1、2、又は3個の置換基で置換されている]。
【0359】
クローズ74. 各nが0であり;R2a及びR2bが、各々独立に、水素又はヒドロキシであり;R3a及びR3bが、各々独立に、C~Cアルキル、ヒドロキシ、C-Cアルコキシ、C~Cアルコキシ-C~Cアルコキシ、及びC~Cハロアルキルから選択され;R5a及びR5bが、各々独立に、C~Cアルキル、ヒドロキシ、C~Cアルコキシ、C~Cアルコキシ-C~Cアルコキシ、及びC~Cハロアルキルから選択され;並びにR6a及びR6bが、各々独立に、水素又はヒドロキシである、クローズ73の化合物。
【0360】
クローズ75. R3a、R3b、R5a、及びR5bが、各々、C~Cアルコキシである、クローズ73又はクローズ74の化合物。
【0361】
クローズ76. C~Cアルコキシがエトキシである、クローズ75の化合物。
【0362】
クローズ77. R2a、R2b、R6a、及びR6bが、各々、水素である、クローズ75又はクローズ76の化合物。
【0363】
クローズ78. R3a、R3b、R5a、及びR5bのうちの少なくとも1つがtert-ブチルである、クローズ73又はクローズ74の化合物。
【0364】
クローズ79. R3a、R3b、R5a、及びR5bが、各々、tert-ブチルである、クローズ78の化合物。
【0365】
クローズ80. R2a及びR2bが、各々、ヒドロキシである、クローズ78又はクローズ79の化合物。
【0366】
クローズ81. R6a及びR6bが、各々、水素である、クローズ78~80のいずれか1つの化合物。
【0367】
クローズ82. mが0であり、及びnが0である、クローズ73~83のいずれか1つの化合物。
【0368】
クローズ83. X及びYが、各々、-C(O)O-である、クローズ73~82のいずれか1つの化合物。
【0369】
クローズ84. 式(IIb)の化合物:
【化30】
又はその薬学的に許容可能な塩[式中、
mは、0、1又は2であり;
nは、0、1又は2であり;
X及びYは、各々独立に、-C(O)O-、-C(O)NR-、-C(S)NR-、-NR-、及び-O-から選択され;
、R、及びRは、各々独立に、水素及びC~Cアルキルから選択され;
1a及びR1bは、存在する場合、各々独立に、水素及びC~Cアルキルから選択され;
6a及びR6bは、各々、水素であり;及び
2a、R2b、R3a、R3b、R4a、R4b、R5a、及びR5bは、各々独立に、水素、ヒドロキシ、及びアリールから選択され、ここでR2a、R2b、R3a、R3b、R4a、R4b、R5a、及びR5bのうちの少なくとも1つはアリールであり;又は
ここでR3a及びR4aは、それらが結合する炭素原子と共に、任意選択で一緒になってアリール環を形成し;又は
ここでR3b及びR4bは、それらが結合する炭素原子と共に、任意選択で一緒になってアリール環を形成し;
ここで各アリールは、独立に、非置換であるか、又はC~Cアルキル、ヒドロキシ、C~Cアルコキシ、ハロ、C~Cハロアルキル、及びC~Cヒドロキシアルキルから独立に選択される1、2、又は3個の置換基で置換されている]。
【0370】
クローズ85. mが0であり、及びnが0である、クローズ84の化合物。
【0371】
クローズ86. R2a、R2b、R3a、R3b、R4a、R4b、R5a、及びR5bのうちの1つがフェニルであり、及びフェニルが、非置換であるか、又はヒドロキシ、アルコキシ、C~Cアルキル、及びヒドロキシ-C~Cアルキルからなる群から独立に選択される1、2、又は3個の置換基で置換されている、クローズ84又はクローズ85の化合物。
【0372】
クローズ87. フェニルが、メチル、ヒドロキシ、及びヒドロキシメチルから選択される1個の置換基で置換されている、クローズ86の化合物。
【0373】
クローズ88. X及びYが、各々、-C(O)O-である、クローズ84~87のいずれか1つの化合物。
【0374】
クローズ89. 式(IIc)の化合物:
【化31】
又はその薬学的に許容可能な塩[式中、
mは、0、1又は2であり;
nは、0、1又は2であり;
X及びYは、各々独立に、-C(O)O-、-C(O)NR-、-C(S)NR-、-NR-、及び-O-から選択され;
、R、及びRは、各々独立に、水素及びC~Cアルキルから選択され;
2a、R2b、R3a、R3b、R4a、R4b、R5a、R5b、R6a、及びR6bは、各々独立に、水素、ヒドロキシ、及びC~Cアルコキシ、及びC~Cハロアルキルから選択され、ここでR2a、R2b、R3a、R3b、R4a、R4b、R5a、R5b、R6a、及びR6bのうちの少なくとも1つはC~Cハロアルキルである]。
【0375】
クローズ90. mが0であり;
nが0であり;
2a及びR2bが、各々独立に、水素、ヒドロキシ、C~Cアルコキシ、及びC~Cハロアルキルから選択され;
3a、R3b、R5a、R5b、R6a及びR6bが、各々独立に、水素及びC~Cハロアルキルから選択され;及び
4a及びR4bが、各々独立に、水素、ヒドロキシ、及びC~Cハロアルキルから選択される、クローズ89の化合物。
【0376】
クローズ91. R2a、R2b、R3a、R3b、R4a、R4b、R5a、R5b、R6a、及びR6bのうちの少なくとも1つがトリフルオロメチルである、クローズ89又はクローズ90の化合物。
【0377】
クローズ92. X及びYが、各々、-C(O)O-である、クローズ89~91のいずれか1つの化合物。
【0378】
クローズ93. 式(IId)の化合物:
【化32】
又はその薬学的に許容可能な塩[式中、
mは1であり;
nは1であり;
X及びYは、各々独立に、-C(O)O-、-C(O)NR-、-C(S)NR-、-NR-、及び-O-から選択され;
、R、及びRは、各々独立に、水素及びC~Cアルキルから選択され;
1a及びR1bは、存在する場合、各々独立に、水素及びC~Cアルキルから選択され;及び
2a、R2b、R3a、R3b、R4a、R4b、R5a、R5b、R6a、及びR6bは、各々独立に、水素、C~Cアルキル、ヒドロキシ、C~Cアルコキシ、ハロ、C~Cハロアルキル、アリール、C~Cアルコキシ-C~Cアルコキシ、C~Cアルコキシ-C~Cアルキル、及びヒドロキシ-C~Cアルキルから選択される]。
【0379】
クローズ94. R1a及びR1bが、各々、水素である、クローズ93の化合物。
【0380】
クローズ95. R2a、R2b、R4a、R4b、R6a、及びR6bが、各々独立に、水素、ヒドロキシ、及びC~Cアルコキシから選択され;及び
3a、R3b、R5a、及びR5bが、各々独立に、水素及びC~Cアルコキシから選択される、クローズ93又はクローズ94の化合物。
【0381】
クローズ96. X及びYが、各々、-C(O)O-である、クローズ93~95のいずれか1つの化合物。
【0382】
クローズ97. 式(IIe)の化合物:
【化33】
又はその薬学的に許容可能な塩[式中、
mは、0又は1であり;
nは、0又は1であり;
X及びYは、各々独立に、-C(O)O-、-C(O)NR-、-C(S)NR-、-NR-、及び-O-から選択され;
、R、及びRは、各々独立に、水素及びC~Cアルキルから選択され;
1a及びR1bは、存在する場合、各々独立に、水素及びC~Cアルキルから選択され;
2a、R2b、R5a、R5b、R6a、及びR6bは、各々、水素であり;及び
3a、R3b、R4a、及びR4bは、各々独立に、C~Cアルキル、ヒドロキシ、C~Cアルコキシ、C~Cアルコキシ-C~Cアルコキシ、C~Cアルコキシ-C~Cアルキル、及びヒドロキシ-C~Cアルキルから選択される]。
【0383】
クローズ98. R3a、R3b、R4a、及びR4bが、各々独立に、ヒドロキシ及びC~Cアルコキシから選択される、クローズ97の化合物。
【0384】
クローズ99. mが0であり、及びnが0である、クローズ97又はクローズ98の化合物。
【0385】
クローズ100. X及びYが、各々、-C(O)O-である、クローズ97~99のいずれか1つの化合物。
【0386】
クローズ101. 6,6’-ビス(3,5-ジメトキシベンゾイル)-α,α-D-トレハロース、及び
6,6’-ビス(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ブチルベンゾイル)-α,α-D-トレハロース
からなる群から選択される化合物、
又はその薬学的に許容可能な塩。
【0387】
クローズ102. 6,6’-ビス(3,5-ジメトキシベンゾイル)-α,α-D-トレハロースである化合物、又はその薬学的に許容可能な塩。
【0388】
クローズ103. 6,6’-ビス(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ブチルベンゾイル)-α,α-D-トレハロースである化合物、又はその薬学的に許容可能な塩。
【0389】
クローズ104. クローズ63~103のいずれか1つの化合物、又はその薬学的に許容可能な塩の有効量を含むアジュバント組成物。
【0390】
クローズ105. 対象の免疫応答の亢進を誘導する方法であって、クローズ104のアジュバント組成物を対象に投与することを含む方法。
【0391】
クローズ106. (a)抗原と;(b)クローズ63~103のいずれか1つの化合物、又はその薬学的に許容可能な塩の有効量を含むアジュバント組成物とを含むワクチン組成物。
【0392】
クローズ107. 対象の抗原の免疫原性を誘導し又は亢進させる方法であって、抗原と、クローズ63~103のいずれか1つの化合物、又はその薬学的に許容可能な塩の有効量を含むアジュバント組成物とを含むワクチン組成物を対象に投与することを含む方法。
【0393】
クローズ108. クローズ63~103のいずれか1つの化合物、又はその薬学的に許容可能な塩の有効量を含む免疫調節組成物。
【0394】
クローズ109. 対象の免疫応答を調節する方法であって、クローズ108の免疫調節組成物を対象に投与することを含む方法。
【0395】
クローズ110. 免疫調節組成物が単剤療法として投与される、クローズ109の方法。
【0396】
クローズ111. 対象の免疫応答が増加する、クローズ109又はクローズ110の方法。
【0397】
クローズ112. 対象が癌、自己免疫障害、又は感染性疾患に罹患している、クローズ109~111のいずれか1つの方法。
図1-1】
図1-2】
図2
図3
図4-1】
図4-2】
図5-1】
図5-2】
図6-1】
図6-2】
図6-3】
図7
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図10
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図13
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