(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-05
(45)【発行日】2024-03-13
(54)【発明の名称】申請支援システム、給付金申請システム、申請支援方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 40/08 20120101AFI20240306BHJP
【FI】
G06Q40/08
(21)【出願番号】P 2021137026
(22)【出願日】2021-08-25
【審査請求日】2022-10-06
(73)【特許権者】
【識別番号】390039240
【氏名又は名称】株式会社イセトー
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】田中 康夫
【審査官】阿部 潤
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-167804(JP,A)
【文献】特開2014-170510(JP,A)
【文献】特開2006-031447(JP,A)
【文献】特開2006-139724(JP,A)
【文献】特開2009-230380(JP,A)
【文献】特開2009-187182(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末装置から保険の給付金の申請に必要な申請情報を含むテキスト情報を取得する手段と、
前記端末装置から前記申請情報を含む画像を取得する手段と、
前記申請情報のうちの所定の項目について、前記テキスト情報と前記画像から読み取った情報とを照合する手段と、
前記項目のうち照合に失敗した項目について、前記端末装置へ確認を要求する情報を送信する手段と、
前記確認の要求に対して前記端末装置から送信された修正情報または修正不要を示す確認済み情報を取得する手段と、
前記確認の要求に対して前記確認済み情報のみが送信されるか、又は、全ての前記項目について前記照合に成功するまで、前記修正情報に対する前記照合と、前記確認を要求する情報の送信と、を繰り返すよう制御する手段と、
全ての前記項目の各々についての前記照合の結果および前記確認済み情報の取得の有無を含むチェック結果情報を記録する手段と、
前記確認の要求に対して前記確認済み情報のみが送信されるか、又は、全ての前記項目について前記照合に成功した後の最終的な前記申請情報と、前記チェック結果情報とを出力する手段と、
を備える申請支援システム。
【請求項2】
前記申請情報のうちの所定の項目には、医療機関を利用したことを示す証明書の種類、前記給付金の申請者の氏名、前記医療機関の名称、前記医療機関を利用した日、が含まれ、前記証明書は、前記医療機関が発行した領収書、診療明細書、退院証明書のうちの少なくとも1つである、
請求項1に記載の申請支援システム。
【請求項3】
前記照合する手段は、前記申請者の氏名について、前記給付金を支払う保険会社の顧客情報データベースから前記申請者の氏名の情報を取得して、取得した前記氏名と、前記テキスト情報に含まれる前記申請者の氏名と、前記画像から読み取った氏名とを互いに照合して、それらがすべて一致するかどうかを判定する、
請求項2に記載の申請支援システム。
【請求項4】
保険の給付金の申請者が前記給付金の申請に用いる端末装置と、
前記給付金の申請を受け付ける申請システムと、
請求項1から請求項3の何れか1項に記載の申請支援システムと、
を備え、
前記端末装置から前記申請システムへ前記給付金の支払いを申請すると、前記申請システムは前記端末装置に対して前記申請情報の送信を要求し、
前記要求に対して前記端末装置は、前記申請情報を前記申請支援システムへ送信し、 前記申請支援システムは、最終的な前記申請情報および前記チェック結果情報と、を前記申請システムへ出力する、
給付金申請システム。
【請求項5】
コンピュータによって実行される申請支援方法であって、
端末装置から保険の給付金の申請に必要な申請情報を含むテキスト情報を取得するステップと、
前記端末装置から前記申請情報を含む画像を取得するステップと、
前記申請情報のうちの所定の項目について、前記テキスト情報と前記画像から読み取った情報とを照合するステップと、
前記項目のうち照合に失敗した項目について、前記端末装置へ確認を要求する情報を送信するステップと、
前記確認の要求に対して前記端末装置から送信された修正情報または修正不要を示す確認済み情報を取得するステップと、
前記確認の要求に対して前記確認済み情報のみが送信されるか、又は、全ての前記項目について前記照合に成功するまで、前記修正情報に対する前記照合と、前記確認を要求する情報の送信と、を繰り返すよう制御するステップと、
全ての前記項目の各々についての前記照合の結果および前記確認済み情報の取得の有無を含むチェック結果情報を記録するステップと、
前記確認の要求に対して前記確認済み情報のみが送信されるか、又は、全ての前記項目について前記照合に成功した後の最終的な前記申請情報と、前記チェック結果情報とを出力するステップと、
を有する申請支援方法。
【請求項6】
コンピュータに、
端末装置から保険の給付金の申請に必要な申請情報を含むテキスト情報を取得するステップと、
前記端末装置から前記申請情報を含む画像を取得するステップと、
前記申請情報のうちの所定の項目について、前記テキスト情報と前記画像から読み取った情報とを照合するステップと、
前記項目のうち照合に失敗した項目について、前記端末装置へ確認を要求する情報を送信するステップと、
前記確認の要求に対して前記端末装置から送信された修正情報または修正不要を示す確認済み情報を取得するステップと、
前記確認の要求に対して前記確認済み情報のみが送信されるか、又は、全ての前記項目について前記照合に成功するまで、前記修正情報に対する前記照合と、前記確認を要求する情報の送信と、を繰り返すよう制御するステップと、
全ての前記項目の各々についての前記照合の結果および前記確認済み情報の取得の有無を含むチェック結果情報を記録するステップと、
前記確認の要求に対して前記確認済み情報のみが送信されるか、又は、全ての前記項目について前記照合に成功した後の最終的な前記申請情報と、前記チェック結果情報とを出力するステップと、
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、申請支援システム、給付金申請システム、申請支援方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
保険の契約者が、オンライン申請によって、保険の給付金の申請手続きを行う仕組みが提供されている。例えば、申請者は、保険会社が提供するWeb申請システムから、必要事項を入力し、証明書類(例えば、医療機関の領収証等)を撮影した画像をアップロードする。保険会社は、Web申請システムから入力された申請内容を確認し、問題が無ければ、給付金の支払いを行う。関連する技術として、特許文献1には、保険契約者からの添付書類を含む請求書の記載情報を含む画像データを得る工程と、画像データを文字データに変換する工程と、変換後の文字データを内容の査定のために表示装置に表示する工程とを有する請求情報の査定方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
Web申請システムで給付金申請を行う場合、次のようなミスが生じやすい。(1)医療機関名などの必要事項の入力ミス、(2)領収書や診療証明書などの証明書類の撮影ミス(撮影対象の証明書自体の間違い、申請者以外の書類を撮影する等)。このようなミスを含んだ状態でオンライン申請を行うと、申請内容の監査で間違いが判明し、後日改めて申請手続きを行う必要が生じる。これは、申請者および監査者の双方にとって手間である。
【0005】
そこでこの発明は、上述した解題を解決する申請支援システム、給付金申請システム、申請支援方法及びプログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、申請支援システムは、端末装置から保険の給付金の申請に必要な申請情報を含むテキスト情報を取得する手段と、前記端末装置から前記申請情報を含む画像を取得する手段と、前記申請情報のうちの所定の項目について、前記テキスト情報と前記画像から読み取った情報とを照合する手段と、前記項目のうち照合に失敗した項目について、前記端末装置へ確認を要求する情報を送信する手段と、前記確認の要求に対して前記端末装置から送信された修正情報または修正不要を示す確認済み情報を取得する手段と、前記確認の要求に対して前記確認済み情報のみが送信されるか、又は、全ての前記項目について前記照合に成功するまで、前記修正情報に対する前記照合と、前記確認を要求する情報の送信と、を繰り返すよう制御する手段と、全ての前記項目の各々についての前記照合の結果および前記確認済み情報の取得の有無を含むチェック結果情報を記録する手段と、前記確認の要求に対して前記確認済み情報のみが送信されるか、又は、全ての前記項目について前記照合に成功した後の最終的な前記申請情報と、前記チェック結果情報とを出力する手段と、を備える。
【0007】
本発明の一態様によれば、給付金申請システムは、保険の給付金の申請者が前記給付金の申請に用いる端末装置と、前記給付金の申請を受け付ける申請システムと、上記の申請支援システムと、を備え、前記端末装置から前記申請システムへ前記給付金の支払いを申請すると、前記申請システムは前記端末装置に対して前記申請情報の送信を要求し、前記要求に対して前記端末装置は、前記申請情報を前記申請支援システムへ送信し、前記申請支援システムは、最終的な前記申請情報および前記チェック結果情報とを前記申請システムへ出力する。
【0008】
本発明の一態様によれば、コンピュータによって実行される申請支援方法であって、申請支援方法は、端末装置から保険の給付金の申請に必要な申請情報を含むテキスト情報を取得するステップと、前記端末装置から前記申請情報を含む画像を取得するステップと、前記申請情報のうちの所定の項目について、前記テキスト情報と前記画像から読み取った情報とを照合するステップと、前記項目のうち照合に失敗した項目について、前記端末装置へ確認を要求する情報を送信するステップと、前記確認の要求に対して前記端末装置から送信された修正情報または修正不要を示す確認済み情報を取得するステップと、前記確認の要求に対して前記確認済み情報のみが送信されるか、又は、全ての前記項目について前記照合に成功するまで、前記修正情報に対する前記照合と、前記確認を要求する情報の送信と、を繰り返すよう制御するステップと、全ての前記項目の各々についての前記照合の結果および前記確認済み情報の取得の有無を含むチェック結果情報を記録するステップと、前記確認の要求に対して前記確認済み情報のみが送信されるか、又は、全ての前記項目について前記照合に成功した後の最終的な前記申請情報と、前記チェック結果情報とを出力するステップと、を有する。
【0009】
本発明の一態様によれば、プログラムは、コンピュータに端末装置から保険の給付金の申請に必要な申請情報を含むテキスト情報を取得するステップと、前記端末装置から前記申請情報を含む画像を取得するステップと、前記申請情報のうちの所定の項目について、前記テキスト情報と前記画像から読み取った情報とを照合するステップと、前記項目のうち照合に失敗した項目について、前記端末装置へ確認を要求する情報を送信するステップと、前記確認の要求に対して前記端末装置から送信された修正情報または修正不要を示す確認済み情報を取得するステップと、前記確認の要求に対して前記確認済み情報のみが送信されるか、又は、全ての前記項目について前記照合に成功するまで、前記修正情報に対する前記照合と、前記確認を要求する情報の送信と、を繰り返すよう制御するステップと、全ての前記項目の各々についての前記照合の結果および前記確認済み情報の取得の有無を含むチェック結果情報を記録するステップと、前記確認の要求に対して前記確認済み情報のみが送信されるか、又は、全ての前記項目について前記照合に成功した後の最終的な前記申請情報と、前記チェック結果情報とを出力するステップとを実行させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、保険給付金の申請手続きに要する時間や労力を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施形態に係る保険給付金申請システムの一例を示すブロック図である。
【
図2A】実施形態に係る保険給付金申請処理の一例を示す第1の図である。
【
図2B】実施形態に係る保険給付金申請処理の一例を示す第2の図である。
【
図3】実施形態に係る申請情報の判定処理について説明する図である。
【
図4】実施形態に係る判定結果に対する申請者の確認処理を説明する図である。
【
図5】実施形態に係る申請手続きの結果の一例を示す図である。
【
図6】実施形態に係る保険給付金申請システムのハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<実施形態>
以下、本発明の一実施形態による保険給付金申請システムについて
図1~
図6を参照して説明する。
(システム構成)
図1は実施形態に係る保険給付金申請システムの一例を示すブロック図である。
保険給付金申請システム100は、保険の給付金の申請を行う申請者50が使用する端末装置10と、保険給付金を支払う保険会社のWeb申請システム20と、申請支援システム30と、OCR(Optical Character Reader)システム40とを含む。端末装置10とWeb申請システム20、Web申請システム20と申請支援システム30、端末装置10と申請支援システム30、申請支援システム30とOCRシステム40、はそれぞれネットワークを介して通信可能に接続されている。
【0013】
端末装置10は、撮影手段を有するスマートフォンやPC(personal computer)等などの端末装置である。端末装置10は、カメラ11と、キーボード、マウス、タッチパネル、ボタン等の入力装置を用いて構成される入力部12と、液晶ディスプレイ等の表示装置を用いて構成される表示部13と、端末装置10の動作を制御する制御部14と、通信モジュールを用いて構成され、他装置との通信を行う通信部15と、HDD(hard disk drive)やフラッシュメモリ等の記憶装置を用いて構成され、種々のデータを記憶する記憶部16と、を備える。
【0014】
Web申請システム20は、1台又は複数台のコンピュータで構成される。近年、保険会社は、顧客からの保険給付金の申請をWeb上で受け付けることが多く、Web申請システム20は、そのようなインターネットを利用したオンライン申請を実現するシステムの一つである。例えば、Web申請システム20は、保険会社の顧客である申請者50が、端末装置10を用いてWeb申請システム20へアクセスし、事前に契約した保険に係る給付金の給付申請を行うと、申請に必要な情報(申請情報と呼ぶ。)を入力する入力画面を生成して、入力画面を端末装置10へ送信し、端末装置10にて入力画面から入力された申請情報を受信する機能を有している。申請者50が入力した申請情報は、誤りを含んでいることが多く、本実施形態では、申請支援システム30が、申請情報のチェックを行う。つまり、Web申請システム20は、申請者50が端末装置10を用いて入力した申請情報を、申請支援システム30を経由して受け取ることで、チェック済みの申請情報を受信する。申請者50が入力した申請情報を、申請支援システム30を経由して受信する構成を有する点で、Web申請システム20は、一般的な保険給付金のWeb申請システムと異なっている。また、Web申請システム20は、申請者50が入力した申請情報とともに申請支援システム30による申請情報のチェック結果を受け取る。Web申請システム20は、顧客情報DB(DBはデータベースの略。以下同じ)21と、申請情報DB22とを備えている。顧客情報DB21には、申請者50の氏名、住所、連絡先、振込先の口座情報、過去に提出された各種証明書の日付情報などが登録されている。申請情報DB22には、申請支援システム30によってチェックされた申請情報が顧客別に登録されている。なお、保険給付金が支払われるためには、申請支援システム30による申請情報のチェックだけでは不十分であり、監査者60による最終的な監査が必要である。監査者60は、端末23を用いて、顧客情報DB21、申請情報DB22へアクセスし、申請者50の申請内容を確認して、保険給付金の支払いが可能かどうかを判断する。支払いが可能と判断されると、申請者50に保険給付金が支払われる。
【0015】
申請支援システム30は、テキスト情報取得部31と、画像取得部32と、出力部33と、通信部34と、記憶部35と、申請情報確認部36と、を備えている。
テキスト情報取得部31は、申請情報のうちのテキスト情報を取得する。例えば、テキスト情報取得部31は、申請者50の氏名、住所、振込先口座情報、メールアドレス、入院歴、手術回数、病名、診療日(例えば、初診日)、入院日、医療機関名、医師名などの情報を取得する。これらは、Web申請システム20が提供する申請情報の入力画面から入力される情報である。また、テキスト情報取得部31は、医療機関が発行する保険給付金の申請に必要な証明書の種類を示す情報(領収書、診療明細書など)を取得する。証明書の種類を示す情報は、申請者が、入力画面から次に説明する画像をアップロードする際に属性情報として自動的に画像に付加される。
【0016】
画像取得部32は、申請情報のうちの画像を取得する。画像とは、保険給付金の申請に必要な各種の証明書を撮影した画像である。証明書とは、医療機関の領収書、診療明細書、申請者50が入院した場合には領収書、診療明細書に加えて退院証明書である。
出力部33は、申請情報のチェックの結果、誤りがあれば申請情報の修正を促す情報を端末装置10へ出力したり、チェック後の申請情報をWeb申請システム20へ出力したり、画像取得部32が取得した証明書の画像をOCRシステム40へ出力したりする。
【0017】
通信部34は、通信モジュールを用いて構成され、他装置との通信を行う。通信部34は、端末装置10、Web申請システム20、OCRシステム40と通信を行う。テキスト情報取得部31と画像取得部32は、通信部34を介して端末装置10から申請情報を取得する。出力部33は、通信部34を介して、端末装置10、Web申請システム20、OCRシステム40へ情報を出力する。
記憶部35は、HDD(hard disk drive)やフラッシュメモリ等の記憶装置を用いて構成され、種々のデータを記憶する。
【0018】
申請情報確認部36は、申請情報の内容をチェックする処理の実行、制御を行う。例えば、申請情報確認部36は、申請情報が適切かどうかをチェックし、不備を見つけると申請情報の修正を申請者50に求め、保険会社へ提供する申請情報を確定させる。申請情報確認部36は、照合部361と、登録部362と、を備える。
照合部361は、証明書の画像に付加された(A)証明書の種類を示す情報(証明書のタイトル)、入力画面から入力された(B)申請者50の氏名、(C)医療機関名、(D)日付の内容と、証明書の画像に含まれる(A)~(D)の内容とを照合して、入力されたテキスト情報や撮影された画像が適切かどうかを判定する。なお、証明書の画像に含まれる(A)~(D)の内容は、OCRシステム40によって、申請者50が撮影した画像から抽出される。
登録部362は、確定した申請情報を記憶部35に登録するとともに、確定した申請情報とチェック結果をWeb申請システム20へ提供する。
【0019】
OCRシステム40は、申請支援システム30から証明書の画像を受け取って、OCRによって証明書の画像から上記の(A)~(D)の事項を読み取り、読み取った結果のテキスト情報を申請支援システム30へ送信する。証明書の画像から必要事項を読み取る方法については特に限定しない。例えば、画像のどの位置に医療機関名や証明書のタイトルが印字されているかをパターン認識や証明書レイアウトのテンプレートに基づいて認識して(A)~(D)の事項を読み取ってもよいし、ディープラーニング等によってテキスト情報を抽出してもよい(AI-OCR)。
【0020】
申請支援システム30およびOCRシステム40は、保険会社自身が運営、管理等を行うシステムであってもよいし、申請書類のチェックを支援するサービスを提供するサービス事業者によって運営、管理等が行われるシステムであってもよい。また、申請支援システム30およびOCRシステム40が提供する各種機能は、所謂SaaS(Software as a Service)のようなクラウドサービスで提供されるものであってもよい。
【0021】
(動作)
次に
図2A~
図5を参照して保険給付金申請システム100の動作について説明する。
図2A、
図2Bは、それぞれ、実施形態に係る保険給付金申請処理の一例を示す第1の図、第2の図である。
まず、申請者50が保険給付金の申請を開始する(ステップS1)。例えば、申請者50は、端末装置10を操作して、Web申請システム20の顧客専用サイトへアクセスし、アカウント情報を入力してログインし、保険給付金申請の開始を要求する操作を行う。これに対し、Web申請システム20は、入力画面を生成し、端末装置10へ入力画面を送信する(ステップS2)。表示部13には、Web申請システム20が生成した入力画面が表示される。例えば、入力画面は、複数のページから構成され、最初のページでは保険給付金を受け取るための条件が表示され、申請者50がその条件を満たす場合に、次ページ以降で、申請情報を入力することができるように構成されている。そして、例えば、次ページでは、入院の有無、入院日数、手術の有無、病名、初診日の日付、入院期間、手術の実施日、手術名を入力し、その後、申請者50の氏名、住所、郵便番号、電話番号、医師名、振込先の口座情報、メールアドレス等を入力するように構成されている。なお、氏名、住所、振込先の口座情報などの一部の情報については、Web申請システム20が、ログイン時のアカウント情報に紐づく情報を顧客情報DB21から読み出して、読み出した情報を入力画面の対応する項目のデフォルト値として設定しておいてもよい。申請者50は、端末装置10を用いて、入力画面から申請情報のうちのテキスト情報を入力する(ステップS3)。
図3にテキスト情報を入力する入力画面200aを例示する。例えば、申請者50は、氏名、郵便番号、住所、医師名などのテキスト情報を入力する。また、別のページでは、申請者50は、医療機関名、初診日の日付、入院期間、病名、手術名などの情報を入力する。入力されたテキスト情報は、各項目と対応付けて記憶部16に保存される。
【0022】
次に申請者50は、端末装置10を用いて、証明書を撮影する(ステップS4)。入力画面200aなどでテキスト情報を入力すると、表示部13には、領収書、診療明細書、退院証明書の画像の撮影を促す入力画面200b(
図3)が表示される。例えば、入力画面200bには、「領収書を撮影」、「診療明細書を撮影」、「退院証明書を撮影」の各ボタンが設けられている。申請者50の操作により、これらのボタンが押下されると、端末装置10のカメラ11が起動する。申請者50は「領収書を撮影」ボタンを押下して、医療機関から発行された領収書17を撮影する。領収書17には、(A)証明書のタイトル、(B)申請者の氏名、(C)医療機関名、(D)日付の情報が印字されている。領収書17を撮影した画像には、その画像が領収書として撮影されたことを示す“領収書”の属性情報が付され、記憶部16に保存される。同様に、申請者50は「診療明細書を撮影」ボタンを押下して、医療機関から発行された診療明細書18を撮影する。診療明細書18にも、(A)~(D)の情報が印字されている。診療明細書18を撮影した画像には、その画像が診療明細書として撮影されたことを示す“診療明細書”の属性情報が付され、記憶部16に保存される。また、申請者50が、入院していた場合、申請者50は「退院証明書を撮影」ボタンを押下して、医療機関から発行された退院証明書19を撮影する。撮影された画像には、“退院証明書”の属性情報が付され、記憶部16に保存される。撮影されたこれらの画像は、申請情報のうちの画像である。また、“領収書”等の属性情報は申請情報のうちのテキスト情報である。
【0023】
なお、入力画面200bにて「領収書とは」を押下すると、領収書の説明と領収書のサンプル画像が表示され、「診療明細書とは」を押下すると、診療明細書の説明と診療明細書のサンプル画像が表示される。申請者50は、サンプル画像等を確認しながら、医療機関から発行された数々の書類の中から領収書や診療明細書を探し出すことができる。
【0024】
画像の撮影後、申請者50が、所定の操作を行うと、ステップS3、S4で入力等された申請情報が送信される。本実施形態では、通信部15が、申請支援システム30へ入力等された申請情報と申請者50のアカウント情報を送信する(ステップS5)。申請支援システム30では、通信部34を介して、テキスト情報取得部31が、申請情報のうちのテキスト情報および申請者50のアカウント情報を取得して記憶部35に保存し、画像取得部32が、申請情報のうちの画像を取得して記憶部35に保存する。次に申請情報確認部36が、記憶部35に保存された証明書の画像(領収書と診療明細書、又は、領収書と診療明細書と退院証明書)を読み出して、通信部34を介して読み出した画像をOCRシステム40へ送信し、画像から必要事項を抽出するよう要求する(ステップS6)。OCRシステム40は、領収書17を撮影した画像、診療明細書18を撮影した画像、退院証明書19を撮影した画像(入院時のみ)のそれぞれから、必要事項(上記の(A)~(D))をOCRによって抽出する(ステップS7)。例えば、OCRシステム40は、パターン認識やAI-OCRなどによってテキスト認識を行い、必要事項の抽出を行う。OCRによって抽出された情報の一例を
図3の抽出結果201b,202bに示す。OCRシステム40は、各画像から抽出した(A)~(D)の情報を、証明書類別に申請支援システム30へ送信する(ステップS8)。申請支援システム30では、申請情報確認部36が通信部34を介して抽出された情報を受け取り、記憶部35に保存する。
【0025】
次に申請情報確認部36は、申請者50のアカウント情報をWeb申請システム20へ送信し、申請者50のアカウント情報に紐づく顧客情報を要求する(ステップS9)。具体的には、申請情報確認部36は、アカウント情報に紐づく顧客の氏名や過去に提出された各種証明書の日付情報を要求する。Web申請システム20は、アカウント情報に対応する顧客の氏名および証明書の日付情報を顧客情報DB21から読み出して、顧客の氏名を申請支援システム30へ送信する(ステップS10)。申請情報確認部36は、通信部34を介して申請者50のアカウント情報に紐づく氏名と証明書の日付情報を受け取り、記憶部35に保存する。
【0026】
次に申請情報確認部36(照合部361)が、申請情報のチェックを行う(ステップS11)。
(A)証明書タイトル
照合部361は、画像からOCRで抽出された証明書のタイトルと、画像の属性情報とを照合して両者が一致するかチェックする。例えば、照合部361は、領収書17を撮影した画像から抽出された証明書のタイトルと、領収書17を撮影した画像について付された属性情報“領収書”とを照合する。
図3の抽出結果201bでは、OCR抽出の結果“領収書”のテキスト情報が抽出されているので、照合部361は、記憶部35に記録された属性情報“領収書”と抽出されたテキスト情報“領収書”とを比較して両者が一致することを確認し、領収書17に関する証明書タイトルは正しいと判定する。照合部361は、診療明細書18、退院証明書19(入院時のみ)を撮影した画像についても、同様にして、属性情報とOCRで抽出したタイトルとの照合を行う。なお、医療機関によっては領収書ではなく、“請求書”、“領収証”、”受領書”等のタイトルが印字された書類を発行する場合がある。このような証明書にも対応するために、例えば、記憶部35には、領収書の類似語を登録した辞書データが登録されていて、照合部361は、画像から読み取ったタイトルが辞書データに類義語として登録されている場合、タイトルは一致と判定する。この辞書データには、例えば、“領収書”と対応付けて“請求書”、“領収証”、”受領書”が登録されている。申請者50が、入力画面200bにて「領収書を撮影」ボタンを押下して、「受領書」を撮影した場合、OCRシステム40は、証明書タイトルとして“受領書”を抽出する。照合部361は、属性情報“領収書”と抽出されたテキスト情報“受領書”とを比較する際に辞書データを参照して“受領書”から“領収書”を逆引きし、属性情報“領収書”と比較する。これにより、証明書タイトルの表記ブレに関係なく、正確に照合することができる。照合部361は、各画像から抽出されたタイトルが正しいかどうかを判定し、さらに必要な書類が揃っているかどうかを判定する。例えば、申請者50が入院していない場合、照合部361は、“領収証”と“診療証明書”のタイトルが正しければ必要な書類が揃っていると判定し、申請者50が入院している場合、“領収証”、“診療証明書”、”退院証明書”のタイトルが正しければ必要な書類が揃っていると判定する。
【0027】
(B)申請者の氏名
照合部361は、各画像からOCR抽出された申請者50の氏名のそれぞれと、入力画面200aにて入力された氏名と、Web申請システム20から取得した氏名(顧客情報DB21に登録されているアカウント情報に紐づく氏名)とを照合する。例えば、照合部361は、Web申請システム20から取得した氏名を正として、この氏名と、入力画面200aにて入力された氏名、領収書17の画像からOCR抽出した氏名、診療明細書18の画像からOCR抽出した氏名、入院があった場合には退院証明書19の画像からOCR抽出した氏名、をそれぞれ照合する。このとき、照合部361は、例えば、新字と旧字の対応関係が登録された辞書データに基づいて、新字と旧字を区別せず照合を行ってもよい。これらがすべて一致すれば、照合部361は、申請された氏名の情報は正しいと判定する。何れか一つでも顧客情報DB21に登録された氏名と異なっているものがあれば、照合部361は、申請情報の氏名は正しくないと判定し、顧客情報DB21の氏名と異なる情報源を特定する。例えば、領収書17の画像からOCR抽出した氏名が「日本大郎」で他は全て「日本太郎」の場合、照合部361は、顧客情報DB21の氏名と異なる情報源は領収書17の画像であると特定する。OCR抽出の結果が「日本大郎」となることは、OCRの認識ミスであって領収書17には正確に「日本太郎」と記入されている可能性がある。そのため、特定された情報源(領収書17)は確認対象となり、申請支援システム30は、後の工程で申請者50へ氏名に関して確認を要求する。
【0028】
(C)医療機関名
照合部361は、各画像からOCR抽出された医療機関名のそれぞれと、入力画面200aにて入力された医療機関名と、を照合する。このとき、照合部361は、例えば、新字と旧字の対応関係が登録された辞書データに基づいて、新字と旧字を区別せず照合を行ってもよい。あるいは、1つの医療機関であっても、領収書17の医療機関名の表記と、診療明細書18の医療機関名の表記と、一般に公表している医療機関名の間に違いがある場合がある。そのような違いを吸収するために、一つの医療機関が有する様々な医療機関名を登録した辞書データを記憶部35に登録しておき、照合部361は、この辞書データに基づいて、医療機関名の表記ブレを考慮した照合を行ってもよい。申請情報に含まれる医療機関名がすべて一致すれば、照合部361は、申請された医療機関名の情報は正しいと判定する。何れか一つでも異なっているものがあれば、照合部361は、申請情報の医療機関名は正しくないと判定し、他と異なる情報源を特定する。例えば、領収書17、診療明細書18の画像からOCR抽出された医療機関名が共に「○○病院」で、入力画面200aで入力された医療機関名が「○○総合病院」の場合、照合部361は、他と異なる情報源は入力画面200aで入力された医療機関名であると特定する。また、3つの情報源から得られる医療機関名がすべて異なる場合、照合部361は、他と異なる情報源として3つの情報源(領収書17の画像、診療明細書18の画像、入力画面200aで入力された医療機関名)を特定する。医療機関名の照合結果が正しくないと判定されたとしても、それはOCRによる誤認識が原因であったり、医療機関が使用する医療機関名に原因があったりする可能性がある。そのため、特定された情報源は確認対象となり、申請支援システム30は、後の工程で申請者50へ医療機関名に関して確認を要求する。
【0029】
(D)日付
照合部361は、各画像から抽出された日付のそれぞれと、入力画面200aにて入力された診療日(初診日)、入院日(入院期間)とを照合する。(D-1)照合部361は、領収書17、診療明細書18および退院証明書19(入院時のみ)の画像からOCR抽出された日付と入力画面200aにて入力された診療日、入院日との間に所定の閾値以上の乖離が無いかどうかを判定する。閾値以上の乖離がある場合、照合部361は、申請情報に含まれる日付は正しくないと判定する。照合部361は、他と閾値以上乖離した日付が含まれる情報源を特定する。(D-2)また、照合部361は、申請情報に含まれる各日付と現在日付を比較して、保険給付金の申請可能期間を渡過していないかどうかを判定する。渡過している場合、照合部361は、申請情報に含まれる日付は正しくないと判定し、期限渡過した日付が含まれる情報源を特定する。なお、(D-1)の日付の判定に用いられる閾値、(D-2)の申請可能期間などの情報は予め設定され、記憶部35に登録されている。(D-3)また、照合部361は、申請情報に含まれる各日付をステップS10で取得した過去に提出された証明書の日付情報と比較して、両者が一致する場合、申請情報に含まれる日付は正しくないと判定する。このとき、照合部361は、例えば、領収書17の画像からOCR抽出された日付と過去に提出された領収書17の日付情報とだけを比較してもよいし、過去に提出された領収書17に加えて診療明細書18や退院証明書19の日付情報とを比較してもよい。照合部361は、過去に提出された証明書の日付と一致する情報源を特定する。
【0030】
照合部361は、(D-1)について全ての日付の差が閾値内に収まり、(D-2)について、保険給付金の申請可能期間を渡過せず、(D-3)について、過去に提出された証明書の日付情報と一致しない場合、申請情報に含まれる日付は正しいと判定する。日付の照合結果が正しくないと判定されたとしても、それはOCRによる誤認識等が原因である可能性がある。そのため、特定された情報源は確認対象となり、申請支援システム30は、後の工程で申請者50へ日付に関して確認を要求する。照合部361による(A)~(D)のチェックが完了すると、登録部362は、その結果を、アカウント情報と対応付けて記憶部35に登録する。例えば、(A)~(C)について正しいと判定し、(D)について正しくないと判定した場合、登録部362は、「(A)〇、(B)〇、(C)〇、(D)×」といった情報を記憶部35に登録する。
【0031】
照合部361による(A)~(D)についての申請情報のチェックが完了すると、申請情報確認部36は、申請内容が適切かどうかを判定する(ステップS12)。照合部361が(A)~(D)の全てについて正しいと判定した場合((A)については証明書が揃っていると判定されることを含む)、申請情報確認部36は、申請内容が適切であると判定し、そうでない場合、申請内容が適切であると判定する。申請内容が適切であると判定した場合(ステップS12;Yes)、ステップS17の処理へ進む。
【0032】
申請内容が適切ではないと判定した場合(ステップS12;No)、申請情報確認部36は、申請情報の確認と修正を申請者50へ要求する(ステップS13)。具体的には、申請情報確認部36は、(A)~(D)の各々について正しくないと判定した場合に特定した情報源およびそのデータと、照合に用いた他の情報源およびそのデータを対比可能に表示した確認用画面を生成して、生成した確認用画面を端末装置10へ送信する。端末装置10では、通信部15が確認用画面を受信し、制御部14が表示部13に確認用画面を表示する。確認用画面の一例を
図4に示す。
図4の確認用画面300aのチェック結果表示欄301aには、(A)~(D)の各々についての判定結果が一覧表示される。例えば、(A)の判定結果が正しくない場合、「(1)申請フォームから入力された医療機関名と領収書の医療機関名が一致しません」といった情報が表示される。申請者50が「確認」ボタンを押下すると、一覧表示された判定結果の一つ一つについて詳細な内容を表示した確認用画面300bが表示される。確認用画面300bの詳細表示欄301bには、最初のチェック結果(1)についての詳細が表示される。図示する例では、領域301cに入力画面200aで入力された医療機関名「○○総合病院」が表示され、領域301dに領収書17の画像が表示されており、テキスト情報の「○○総合病院」とOCR抽出された「○○病院」が異なる場合の確認用画面300bが記載されている。
【0033】
例えば、入力画面200aで入力された医療機関名についてはテキスト情報が表示され、領収書17については領収書17の画像が表示される。詳細表示欄301bには、さらに診療明細書18の画像が表示されてもよい。申請者50は、詳細表示欄301bに表示された内容を確認して、自分が撮影した領収書17が適切かどうか、自分が入力した医療機関名が適切かどうかを確認し、誤りがあれば修正する(ステップS14)。例えば、入力した医療機関名が適切ではなかった場合、申請者50は、「入力情報を修正する」ボタンを押下する。「入力情報を修正する」ボタンを押下すると、当該ボタンが押下されたことが申請支援システム30へ通知され、申請情報確認部36は、医療機関名を入力するための修正画面を生成し、端末装置10へ送信する。修正画面は表示部13に表示され、申請者50はその画面にて適切な医療機関名を入力する。入力された医療機関名は、申請支援システム30へ送信され(ステップS15)、テキスト情報取得部31が、修正された医療機関名を取得し、記憶部35に記録する。
【0034】
同様に、撮影した領収書17が適切ではなかった場合、申請者50は、「画像を撮り直す」ボタンを押下する。「画像を撮り直す」ボタンを押下すると、端末装置10のカメラ11が起動する。申請者50は、正しい領収書17を用意して、端末装置10を操作して正しい領収書17を撮影する。領収書17を撮影した画像は、申請支援システム30へ送信され(ステップS15)、画像取得部32が、領収書17の画像を取得し、記憶部35に記録する。
【0035】
また、申請者50が入力した「〇〇総合病院」にも領収書17に記載された「○○病院」にも誤りが無い場合、申請者50は、「確認済み(問題なし)」ボタンを押下する。「確認済み(問題なし)」ボタンを押下すると、当該ボタンが押下されたことが申請支援システム30へ通知され(ステップS15)、申請情報確認部36は、通信部34を介して“確認済み”の情報を受け取る。“確認済み”の情報を受け取ると、申請情報確認部36は、チェック項目の(A)について、確認が終了したと判断する。登録部362は、チェック項目の(A)は照合部361による判定では正しくないと判定されたが、申請者50は内容が正しいと判断したことを、申請者50のアカウント情報と対応付けて、記憶部35に登録する。例えば、登録部362は、「照合(A)×、申請者(A)〇」といった情報を記憶部35に登録する。
【0036】
申請者50が、「入力情報を修正する」、「画像を撮り直す」、「確認済み(問題なし)」の何れかのボタンを押下して申請情報を修正又は確認すると、詳細表示欄301bには、次のチェック結果に対する詳細な内容が表示される。例えば、
図4では(C)医療機関名についての確認用画面300bを例示したが、次のチェック結果が、(B)申請者の氏名であれば「患者氏名が正しいかご確認ください」といった表示と共に入力された申請者50の氏名のテキスト情報と領収書17等の画像、顧客情報DB21に登録された氏名などを並べて表示して申請者50に修正、確認を促してもよい。また、(A)証明書のタイトルの場合であれば、「必要書類の項目と撮影画像は正しいかご確認ください」といった表示と共に証明書の画像とその画像の属性情報を比較可能に表示して申請者50に修正、確認を促してもよい。また、必要な証明書が揃っていない場合には、不足する証明書を教示する表示等を行ってもよい。また、(D)日付の場合、「入力された診療日又は撮影した証明書情報が正しいか確認してください」といった表示と共に、証明書の画像と入力された診療日(テキスト情報)を比較可能に表示して申請者50に修正、確認を促してもよい。また、申請可能期間を渡過している場合には「申請可能期間を渡過しています」といった表示を行う。また、OCRシステム40からテキスト情報抽出が不可能とのエラーが出力され、そもそも照合ができなかったような場合であれば、画像のピントズレ、撮影範囲ミス(必要な情報が撮影されていない)の可能性があるため、詳細表示欄301bにおいて「撮影した証明書画像を認識できない為、再度撮影をお願いします」といった表示を行って、再撮影を促してもよい。申請者50は、これらのチェック結果に対して、申請情報を修正又は確認を行う。申請者50は、照合部361によって正しくないと判定された全項目について同様の作業を繰り返す。
【0037】
照合部361によって正しくないと判定された全項目について修正された申請情報又は“確認済み”の情報が送信されると、申請情報確認部36は、端末装置10から受信した情報が全て“確認済み”かどうかを判定する(ステップS16)。全てが“確認済み”の場合、照合部361の判定結果に関わらず、申請者50によって申請情報が正しいと確認されたことになる。この場合(ステップS16;Yes)、次のステップS17の処理へ進む。
【0038】
確認結果に“確認済み”ではないものが含まれている場合(ステップS16;No)、つまり、何らかの申請情報が修正された場合、照合部361による申請情報のチェックを繰り返し行う。例えば、画像が撮り直された場合、申請情報確認部36は、ステップS6以降の処理を再度実行する。例えば、テキスト情報を修正した場合、申請情報確認部36は、ステップS11以降の処理を再度実行する。
【0039】
申請情報の判定結果が全て正しいとなるか(ステップS12;Yes)、端末装置10から受信した確認結果が全て“確認済み”となると(ステップS16;Yes)、申請情報確認部36(登録部362)は、申請情報を確定させ、チェック結果を登録する(ステップS17)。例えば、登録部362は、記憶部35に記録された申請情報のうち、申請情報の判定結果が正しい又は“確認済み”となった状態における申請情報(テキスト情報と各証明書の画像)を選択し、これらを最終的な申請情報として確定させる。登録部362は、(A)~(D)の各項目に対する照合部361による最終的な判定結果および申請者50による最終的な確認結果を整理する。整理された判定結果および確認結果の一例を
図5に示す。
図5の表において、(A)証明書のタイトルは、照合部361では正しくないと判定されたが、申請者50によって“確認済み”と判断され、他の(B)申請者の氏名、(C)医療機関名、(D)日付、については、照合部361では正しいと判定されたことを示している。
【0040】
申請情報確認部36は、確定した申請情報と整理したチェック結果をWeb申請システム20へ送信する(ステップS18)。Web申請システム20は、申請情報とチェック結果を受信し、申請情報DB22に保存する。監査者60は、端末23を用いて申請情報DB22にアクセスして、申請情報とチェック結果とに基づいて監査を行い(ステップS19)、申請者50への保険給付金の支払いを検討する。申請支援システム30によって内容がチェックされ、必要に応じて申請者50によって修正された申請情報に基づいて検討を行うので、監査者60は、効率よく申請情報を監査することができる。また、チェック結果(
図5)を参照することで、監査者60は、一見、申請情報に誤りがあるように見えても、その内容が申請者50によって正しいと確認された内容であることを把握したうえで監査することができる。これにより、過剰に申請者50へ申請情報の再確認を要求することを防ぐことができる。監査者60は、申請者50へ申請に対する結果を連絡する(ステップS20)。例えば、Web申請システム20からステップS3で入力された申請者50のメールアドレス宛に保険給付金の支払いの可否などを記載した電子メールを送信する。
【0041】
(効果)
以上説明したように本実施形態によれば、医療機関の証明書類(領収書17等)の画像に含まれる情報(医療機関名、申請者50の氏名等)を抽出し、その情報と申請手続き時に入力したテキスト情報や保険会社の顧客情報DB21に登録されている個人情報等とを照合することで、申請情報の適切さを自動判定する。さらに自動判定の結果、正しくないと判定される情報については再入力、画像の再撮影などを申請者50に要求することで、正しい申請情報に更新することができる。また、自動判定が誤っている場合には、申請者50は、自動判定が誤っており、申請情報には誤りが無いことをシステム側へ通知することができる。そして、自動判定の結果や申請者50による確認結果を記録(
図5)しておくことで、どのような経緯で最終的に確定された申請情報であるかを把握することができ、申請情報の監査に役立てることができる。これらにより、本実施形態の保険給付金申請システム100によれば、申請者と保険会社の両者にとって、保険給付金の申請手続きおよび給付手続きを手戻りなくスムーズに実施することができる。
【0042】
図6は、実施形態に係る保険給付金申請システムのハードウェア構成の一例を示す図である。コンピュータ900は、CPU901、主記憶装置902、補助記憶装置903、入出力インタフェース904、通信インタフェース905を備える。上述の端末装置10、Web申請システム20、端末23、申請支援システム30、OCRシステム40の各々は、コンピュータ900に実装される。そして、上述した各処理は、プログラムの形式で補助記憶装置903に記憶されている。CPU901は、プログラムを補助記憶装置903から読み出して主記憶装置902に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。また、CPU901は、プログラムに従って、記憶領域を主記憶装置902に確保する。また、CPU901は、プログラムに従って、処理中のデータを記憶する記憶領域を補助記憶装置903に確保する。
【0043】
なお、少なくとも1つの実施形態において、補助記憶装置903は、一時的でない有形の媒体の一例である。一時的でない有形の媒体の他の例としては、入出力インタフェース904を介して接続される磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等が挙げられる。また、このプログラムが通信回線によってコンピュータ900に配信される場合、配信を受けたコンピュータ900が当該プログラムを主記憶装置902に展開し、上記処理を実行しても良い。また、当該プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、当該プログラムは、前述した機能を補助記憶装置903に既に記憶されている他のプログラムとの組み合わせで実現するもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【0044】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。また、この発明の技術範囲は上記の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【符号の説明】
【0045】
100・・・保険給付金申請システム、10・・・端末装置、11・・・カメラ、12・・・入力部、13・・・表示部、14・・・制御部、15・・・通信部、16・・・記憶部、20・・・Web申請システム、21・・・顧客情報DB、22・・・申請情報DB、23・・・端末、 30・・・申請支援システム、31・・・テキスト情報取得部、32・・・画像取得部、33・・・出力部、34・・・通信部、35・・・記憶部、36・・・申請情報確認部、361・・・照合部、362・・・登録部、40・・・OCRシステム、900・・・コンピュータ、901・・・CPU、902・・・主記憶装置、903・・・補助記憶装置、904・・・入出力インタフェース、905・・・通信インタフェース