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特許7448969N-シクロプロピルメチルアニリン系化合物の調製方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-05
(45)【発行日】2024-03-13
(54)【発明の名称】N-シクロプロピルメチルアニリン系化合物の調製方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 227/04 20060101AFI20240306BHJP
   C07C 229/60 20060101ALI20240306BHJP
   C07C 237/40 20060101ALI20240306BHJP
   C07C 231/12 20060101ALI20240306BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20240306BHJP
【FI】
C07C227/04
C07C229/60
C07C237/40
C07C231/12
C07B61/00 300
【請求項の数】 16
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021195992
(22)【出願日】2021-12-02
(65)【公開番号】P2022089786
(43)【公開日】2022-06-16
【審査請求日】2022-01-12
(31)【優先権主張番号】202011409042.2
(32)【優先日】2020-12-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521527624
【氏名又は名称】江西仰立新材料有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】黄 超群
(72)【発明者】
【氏名】朱 錦涛
(72)【発明者】
【氏名】呂 ▲亮▼
(72)【発明者】
【氏名】羅 ▲亮▼明
(72)【発明者】
【氏名】張 栄
(72)【発明者】
【氏名】劉 吉永
【審査官】中島 芳人
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第10844005(US,B1)
【文献】米国特許第03522309(US,A)
【文献】特表2020-535109(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0178525(US,A1)
【文献】特開2021-066723(JP,A)
【文献】国際公開第2021/073373(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式IIで示される化合物およびシクロプロパンカルボキシアルデヒドを原料として、酸および触媒の作用下で水素化反応を行い、式Iで示されるN-シクロプロピルメチルアニリン系化合物を取得するステップを含み、反応式は以下のとおりであり、
【化23】

(ただし、Rは、アルコキシ基、アルキルアミノ基、または式IIIで示される置換アニリノ基から選ばれる。)
【化24】

前記触媒は、パラジウム炭素、白金炭素、またはラネーニッケルのうちのいずれか1種を含むことを特徴とする、N-シクロプロピルメチルアニリン系化合物の調製方法。
【請求項2】
前記Rは、C1~C6アルコキシ基から選ばれるいずれか1種であることを特徴とする、請求項1に記載のN-シクロプロピルメチルアニリン系化合物の調製方法。
【請求項3】
前記Rは、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、またはイソプロポキシ基であることを特徴とする、請求項2に記載のN-シクロプロピルメチルアニリン系化合物の調製方法。
【請求項4】
前記Rは、C1~C6アルキルアミノ基から選ばれるいずれか1種であることを特徴とする、請求項1に記載のN-シクロプロピルメチルアニリン系化合物の調製方法。
【請求項5】
前記Rは、メチルアミノ基であることを特徴とする、請求項4に記載のN-シクロプロピルメチルアニリン系化合物の調製方法。
【請求項6】
前記Rは、式IIIで示される置換アニリノ基から選ばれる、
【化25】

【請求項7】
前記水素化反応は溶媒中に行われ、前記溶媒は、アルコール系溶媒、エステル系溶媒、エーテル系溶媒、ハロゲン化炭化水素系溶媒、またはベンゼン系溶媒のうちのいずれか1種または少なくとも2種の組み合わせを含むことを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載のN-シクロプロピルメチルアニリン系化合物の調製方法
【請求項8】
記溶媒は、メタノール、エタノール、酢酸エチル、またはトルエンのうちのいずれか1種または少なくとも2種の組み合わせであることを特徴とする、請求項7に記載のN-シクロプロピルメチルアニリン系化合物の調製方法。
【請求項9】
前記酸は、無機酸または有機酸を含むことを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載のN-シクロプロピルメチルアニリン系化合物の調製方法。
【請求項10】
前記酸は、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、塩酸、または硫酸のうちのいずれか1種または少なくとも2種の組み合わせであることを特徴とする、請求項に記載のN-シクロプロピルメチルアニリン系化合物の調製方法。
【請求項11】
前記酸は、酢酸および/またはプロピオン酸であることを特徴とする、請求項に記載のN-シクロプロピルメチルアニリン系化合物の調製方法。
【請求項12】
前記触媒は、白金炭素であることを特徴とする、請求項1~11のいずれか1項に記載のN-シクロプロピルメチルアニリン系化合物の調製方法。
【請求項13】
前記IIで示される化合物とシクロプロパンカルボキシアルデヒドとのモル比は1:(0.5~3)であり、
前記式IIで示される化合物と酸との質量比は1:(0.01~0.6)であり、
前記式IIで示される化合物と触媒との質量比は1:(0.001~0.05)であり、
前記式IIで示される化合物と溶媒との質量比は1:(2~10)であることを特徴とする、請求項1~12のいずれか1項に記載のN-シクロプロピルメチルアニリン系化合物の調製方法。
【請求項14】
前記水素化反応の温度は30~150℃であり、時間は8~20hであることを特徴とする、請求項1~13のいずれか1項に記載のN-シクロプロピルメチルアニリン系化合物の調製方法。
【請求項15】
前記水素化反応において、水素ガスが通気された後の圧力を0.2~5.0MPaに制御することを特徴とする請求項1~14のいずれか1項に記載のN-シクロプロピルメチルアニリン系化合物の調製方法。
【請求項16】
式IIで示される化合物およびシクロプロパンカルボキシアルデヒドを原料として、酸および触媒の作用下で30~150℃にて水素化反応を8~20h行い、圧力を0.2~5.0MPaに制御し、式Iで示される前記N-シクロプロピルメチルアニリン系化合物を取得するステップを含み、反応式は以下のとおりである、
【化26】

(ただし、Rの限定範囲は請求項1と一致し、式IIで示される化合物とシクロプロパンカルボキシアルデヒドとのモル比は1:(0.5~3)であり、式IIで示される化合物と酸との質量比は1:(0.01~0.6)であり、式IIで示される化合物と触媒との質量比は1:(0.001~0.05)であり、式IIで示される化合物と溶媒との質量比は1:(2~10)である。)
ことを特徴とする、請求項1~15のいずれか1項に記載のN-シクロプロピルメチルアニリン系化合物の調製方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農薬殺虫剤類化合物の合成の技術分野に属し、N-シクロプロピルメチルアニリン系化合物の調製方法に関し、具体的には、「ワンポット法」を用いてN-シクロプロピルメチルアニリン系化合物を調製する方法に関し、特に、コストが低く、生産が衛生的で、収率が高く、操作しやすいN-シクロプロピルメチルアニリン系化合物の調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
N-シクロプロピルメチルアニリンは、m-ジアミド系化合物を調製する重要な中間体であり、例えば、最近報告されたm-ジアミド系殺虫剤であるシプロフラニリド(CAS:2375110-88-4)の合成において、式Iで示される一般式の構造を有する化合物のような中間体を使用する必要がある。
【化1】

(ただし、Rは、アルコキシ基、アルキルアミノ基、または置換アニリノ基(
【化2】

)である。)
【0003】
従来技術は、N-シクロプロピルメチルアニリン系化合物の調製についての報告を開示しており、例えば、CN109497062Aは、ブロモメチルシクロプロパンと置換アニリンとを反応させてN-シクロプロピルメチルアニリン系化合物Aを取得することを開示しており、反応式は以下のとおりである。
【化3】
【0004】
該方法は、反応時間が長く(16h)、収率が低く(49%)、後処理が複雑であり、且つ、使用されるブロモメチルシクロプロパンが高価である。
【0005】
CN110028423Aは、ホウ素試薬とシクロプロパンカルボキシアルデヒドを用いてトリフルオロ酢酸系で置換アニリンと反応させてN-シクロプロピルメチルアニリン系化合物Bを調製し、反応式は以下のとおりである。
【化4】

このうち、ホウ素試薬(トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム)、トリフルオロ酢は高価であり、更に、反応中に大量の二置換化合物が生成され、収率が高くない。
【0006】
米国特許(US16/837419)は、亜鉛粉末-酢酸系でシクロプロパンカルボキシアルデヒドと置換アニリンとを反応させてN-シクロプロピルメチルアニリン系化合物Cを調製することを開示しており、反応式は以下のとおりである。
【化5】
【0007】
該方法は、収率が高いが、反応過程において金属亜鉛粉末を使用し、大量の固体スラグを生成し、後処理がしにくくなる。
【0008】
そのため、本分野において、コストが低く、生産が衛生的で、収率が高く、操作しやすいN-シクロプロピルメチルアニリン系化合物の調製方法の開発が期待されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来技術の不足に対し、本発明の目的は、N-シクロプロピルメチルアニリン系化合物の調製方法を提供し、具体的には、「ワンポット法」を用いてN-シクロプロピルメチルアニリン系化合物を調製する方法を提供し、特に、コストが低く、生産が衛生的で、収率が高く、操作しやすいN-シクロプロピルメチルアニリン系化合物の調製方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明目的を達成するために、本発明は、以下の技術案を採用する。
【0011】
本発明は、
式IIで示される化合物およびシクロプロパンカルボキシアルデヒドを原料として、酸および触媒の作用下で水素化反応を行い、式Iで示される前記N-シクロプロピルメチルアニリン系化合物を取得するステップを含み、反応式は以下のとおりである、
【化6】

(ただし、Rは、アルコキシ基、アルキルアミノ基、または式IIIで示される置換アニリノ基から選ばれる。)
【化7】

【0012】
本発明に係る調製方法は、原料である式IIの化合物およびシクロプロパンカルボキシアルデヒドを用い、接触水素化の方法により、ニトロ還元およびアミノアルキル化という二段階反応を「ワンポット法」で行い、後処理の操作を減少し、プロセスが簡便で、操作しやすく、コストが低く、生産が衛生的であるとともに、反応の収率を高め、工業化生産に適している。該調製方法で生成される不純物が少なく、生成物の収率が高く、生成物を簡単に後処理すれば、高い純度を得ることができ、複雑で冗長な後処理を行う必要がない。
【0013】
好ましくは、前記Rは、C1~C6アルコキシ基から選ばれるいずれか1種(例えば、C1アルコキシ基、C2アルコキシ基、C3アルコキシ基、C4アルコキシ基、C5アルコキシ基、C6アルコキシ基)であり、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、またはイソプロポキシ基であることが好ましい。
【0014】
好ましくは、前記Rは、C1~C6アルキルアミノ基から選ばれるいずれか1種(例えば、C1アルキルアミノ基、C2アルキルアミノ基、C3アルキルアミノ基、C4アルキルアミノ基、C5アルキルアミノ基、C6アルキルアミノ基)であり、メチルアミノ基であることが好ましい。
【0015】
好ましくは、前記Rは、式IIIで示される置換アニリノ基から選ばれる。
【化8】

【0016】
本発明において、前記水素化反応は溶媒中で行われ、前記溶媒は、アルコール系溶媒、エステル系溶媒、エーテル系溶媒、ハロゲン化炭化水素系溶媒、またはベンゼン系溶媒のうちのいずれか1種または少なくとも2種の組み合わせを含む。
【0017】
前記少なくとも2種の組み合わせは、例えば、アルコール系溶媒とエステル系溶媒との組み合わせ、エステル系溶媒とエーテル系溶媒との組み合わせ等であり、他の任意の組み合わせ方式も選択可能であるが、ここでは説明を省略する。
【0018】
好ましくは、前記アルコール系溶媒は、メタノール、エタノール、またはイソプロピルアルコールのうちのいずれか1種または少なくとも2種の組み合わせを含み、前記少なくとも2種の組み合わせは、例えば、メタノールとエタノールとの組み合わせ、エタノールとイソプロピルアルコールとの組み合わせ、メタノールとイソプロピルアルコールとの組み合わせ等であり、他の任意の組み合わせ方式も選択可能であるが、ここでは説明を省略する。
【0019】
好ましくは、前記エステル系溶媒は、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、または酢酸ブチルのうちのいずれか1種または少なくとも2種の組み合わせを含み、前記少なくとも2種の組み合わせは、例えば、酢酸メチルと酢酸エチルとの組み合わせ、酢酸エチルと酢酸プロピルとの組み合わせ等であり、他の任意の組み合わせ方式も選択可能であるが、ここでは説明を省略する。
【0020】
好ましくは、前記エーテル系溶媒は、ジエチルエーテル、メチルt-ブチルエーテル、またはテトラヒドロフランのうちのいずれか1種または少なくとも2種の組み合わせを含み、前記少なくとも2種の組み合わせは、例えば、ジエチルエーテルとメチルt-ブチルエーテルとの組み合わせ、メチルt-ブチルエーテルとテトラヒドロフランとの組み合わせ等であり、他の任意の組み合わせ方式も選択可能であるが、ここでは説明を省略する。
【0021】
好ましくは、前記ハロゲン化炭化水素系溶媒は、ジクロロメタンおよび/またはジクロロエタンを含む。
【0022】
好ましくは、前記ベンゼン系溶媒は、トルエンおよび/またはキシレンを含む。
【0023】
好ましくは、前記溶媒は、メタノール、エタノール、酢酸エチル、またはトルエンのうちのいずれか1種または少なくとも2種の組み合わせであり、前記少なくとも2種の組み合わせは、例えば、メタノールとエタノールとの組み合わせ、酢酸エチルとトルエンとの組み合わせ、エタノールと酢酸エチルとの組み合わせ等であり、他の任意の組み合わせ方式も選択可能であるが、ここでは説明を省略する。
【0024】
本発明に係る反応溶媒がメタノール、エタノール、酢酸エチル、またはトルエンのうちのいずれか1種または少なくとも2種の組み合わせであることが好ましい理由は、これらの溶媒では反応状況が良く、溶媒を回収処理しやすいからである。
【0025】
本発明において、前記酸は、無機酸または有機酸を含む。
【0026】
好ましくは、前記酸は、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、塩酸、または硫酸のうちのいずれか1種または少なくとも2種の組み合わせであり、前記少なくとも2種の組み合わせは、例えば、ギ酸と酢酸との組み合わせ、塩酸と硫酸との組み合わせ等であり、他の任意の組み合わせ方式も選択可能であるが、ここでは説明を省略する。
【0027】
好ましくは、前記酸は、酢酸および/またはプロピオン酸である。
【0028】
本発明に係る酸が酢酸および/またはプロピオン酸であることがより好ましい理由は、酢酸および/またはプロピオン酸による反応効果が最も良いからである。
【0029】
本発明において、前記触媒は、パラジウム炭素、白金炭素、またはラネーニッケルのうちのいずれか1種を含み、白金炭素であることが好ましい。
【0030】
本発明に係る反応触媒が白金炭素であることがより好ましい理由は、白金炭素による反応効果が最も良いからである。
【0031】
好ましくは、前記式IIで示される化合物とシクロプロパンカルボキシアルデヒドとのモル比は1:(0.5~3)であり、例えば、1:0.5、1:1、1:1.2、1:1.5、1:1.6、1:2、1:2.5、または1:3等であり、1:(1.2~1.6)であることが好ましく、上記数値範囲内の他の具体的なポイント値も選択可能であるが、ここでは説明を省略する。
【0032】
好ましくは、前記式IIで示される化合物と酸との質量比は1:(0.01~0.6)であり、例えば、1:0.01、1:0.05、1:0.1、1:0.2、1:0.3、1:0.4、または1:0.6等であり、1:(0.05~0.4)であることが好ましく、上記数値範囲内の他の具体的なポイント値も選択可能であるが、ここでは説明を省略する。
【0033】
前記式IIで示される化合物と酸との質量比を1:(0.01~0.6)の数値範囲に特定する理由は、酸の添加量を更に増加すると、資源が無駄となり、コストが増加し、酸の添加量を更に低減すると、原料の反応が不完全となるからである。
【0034】
好ましくは、前記式IIで示される化合物と触媒との質量比は1:(0.001~0.05)であり、例えば、1:0.001、1:0.002、1:0.005、1:0.01、1:0.02、1:0.03、1:0.04、または1:0.05等であり、1:(0.005~0.02)であることが好ましく、上記数値範囲内の他の具体的なポイント値も選択可能であるが、ここでは説明を省略する。
【0035】
前記式IIで示される化合物と触媒との質量比を1:(0.001~0.05)の数値範囲に特定する理由は、触媒の添加量を更に増加すると、資源が無駄となり、コストが増加し、触媒の添加量を更に低減すると、原料の反応が不完全となるからである。
【0036】
好ましくは、前記式IIで示される化合物と溶媒との質量比は1:(2~10)であり、例えば、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、または1:10等であり、1:(3~8)であることが好ましく、上記数値範囲内の他の具体的なポイント値も選択可能であるが、ここでは説明を省略する。
【0037】
本発明において、前記水素化反応の温度は30~150℃であり、例えば、30℃、40℃、50℃、60℃、80℃、100℃、120℃、または150℃等であり、40~100℃であることが好ましく、時間は8~20hであり、12~16hであることが好ましく、例えば、8h、10h、12h、14h、15h、16h、17h、18h、19h、または20h等であり、上記数値範囲内の他の具体的なポイント値も選択可能であるが、ここでは説明を省略する。
【0038】
好ましくは、前記水素化反応において、水素ガスが通気された後の圧力を0.2~5.0MPaに制御し、例えば、0.2MPa、0.5MPa、1.0MPa、2.0MPa、3.0MPa、4.0MPa、または5.0MPa等に制御し、1.0~3.0MPaに制御することが好ましく、上記数値範囲内の他の具体的なポイント値も選択可能であるが、ここでは説明を省略する。
【0039】
本発明の好ましい技術案として、前記N-シクロプロピルメチルアニリン系化合物の調製方法は、具体的には、以下のようなステップを含む。
【0040】
式IIで示される化合物およびシクロプロパンカルボキシアルデヒドを原料として、酸および触媒の作用下で30~150℃にて水素化反応を8~20h行い、圧力を0.2~5.0MPaに制御し、式Iで示される前記N-シクロプロピルメチルアニリン系化合物を取得し、反応式は以下のとおりである。
【化9】

(ただし、Rの限定範囲は請求項1と一致し、式IIで示される化合物とシクロプロパンカルボキシアルデヒドとのモル比は1:(0.5~3)であり、式IIで示される化合物と酸との質量比は1:(0.01~0.6)であり、式IIで示される化合物と触媒との質量比は1:(0.001~0.05)であり、式IIで示される化合物と溶媒との質量比は1:(2~10)である。)
【発明の効果】
【0041】
従来技術と比べ、本発明は、以下のような有益な効果を有する。
【0042】
本発明に係る調製方法は、原料である式IIの化合物およびシクロプロパンカルボキシアルデヒドを用い、接触水素化の方法により、ニトロ還元およびアミノアルキル化という二段階反応を「ワンポット法」で行い、後処理の操作を減少し、プロセスが簡便で、操作しやすく、コストが低く、生産が衛生的であるとともに、反応の収率を高め、工業化生産に適している。該調製方法では生成される不純物が少なく、生成物の収率が高く、生成物を簡単に後処理すれば、高い純度を得ることができ、複雑で冗長な後処理を行う必要がない。
【発明を実施するための形態】
【0043】
本発明で使用される技術手段およびその効果を更に説明するために、以下、本発明の好ましい実施例を参照しながら本発明の技術案について更に説明するが、本発明は、実施例の範囲内に限定されるものではない。
【0044】
(実施例1)
本実施例において、3-[(シクロプロピルメチル)アミノ]-2-フルオロ安息香酸メチルを調製し、反応式は以下のとおりである。
【化10】
【0045】
500mLのオートクレーブ内に、3-ニトロ-2-フルオロ-安息香酸メチル40.2g(0.2mol、純度99%)、5%の白金炭素触媒0.2g、酢酸7.96g(0.13mol、純度99%)、シクロプロパンカルボキシアルデヒド16.8g(0.24mol、純度99%)、およびメタノール119.4gを順次投入し、1.0MPaの圧力まで水素化し、40℃で12h反応させた。反応終了後に濾過し、20gのメタノールで濾残を洗浄し、濾液を混合して減圧下で溶媒を除去し、乾燥して3-[(シクロプロピルメチル)アミノ]-2-フルオロ安息香酸メチルを43.2g取得し、含有量が98.5%(外部標準法、以下は同様である)であり、収率が95.4%(質量収率、以下は同様である)であった。
【0046】
キャラクタリゼーションデータは以下のとおりである。
LC/MS [M+1]:m/z=224。
1H NMR(400 MHz, CDCl3)データは以下のとおりである(δ[ppm])。7.18-7.15 (m, 1H), 7.05-7.01(m, 1H), 6.85-6.82 (m, 1H), 4.21 (br s, 1H), 3.93 (s, 3H), 3.01 (d, J = 5.6 Hz, 2H), 1.15-1.12 (m, 1H), 0.62-0.58 (m, 2H), 0.30-0.25 (m, 2H)。
【0047】
(実施例2)
本実施例において、3-[(シクロプロピルメチル)アミノ]-2-フルオロ安息香酸エチルを調製し、反応式は以下のとおりである。
【化11】
【0048】
500mLのオートクレーブ内に、3-ニトロ-2-フルオロ-安息香酸エチル43.0g(0.2mol、純度99%)、5%の白金炭素触媒0.42g、酢酸8.52g(0.14mol、純度99%)、シクロプロパンカルボキシアルデヒド19.6g(0.28mol、純度99%)、およびエタノール213gを順次投入し、2.0MPaの圧力まで水素化し、60℃で14h反応させた。反応終了後に濾過し、20gのエタノールで濾残を洗浄し、濾液を混合して減圧下で溶媒を除去し、乾燥して3-[(シクロプロピルメチル)アミノ]-2-フルオロ安息香酸エチルを45.1g取得し、含有量が98.0%であり、収率が93.2%であった。
【0049】
キャラクタリゼーションデータは以下のとおりである。
LC/MS [M+1]:m/z=238。
【0050】
(実施例3)
本実施例において、3-[(シクロプロピルメチル)アミノ]-2-フルオロ安息香酸プロピルを調製し、反応式は以下のとおりである。
【化12】
【0051】
500mLのオートクレーブ内に、3-ニトロ-2-フルオロ-安息香酸プロピル45.9g(0.2mol、純度99%)、5%の白金炭素触媒0.91g、酢酸18.16g(0.30mol、純度99%)、シクロプロパンカルボキシアルデヒド22.4g(0.32mol、純度99%)、および酢酸エチル136.2gを順次投入し、3.0MPaの圧力まで水素化し、100℃で16h反応させた。反応終了後に濾過し、20gの酢酸エチルで濾残を洗浄し、濾液を混合して減圧下で溶媒を除去し、乾燥して3-[(シクロプロピルメチル)アミノ]-2-フルオロ安息香酸プロピルを48.5g取得し、含有量が97.5%であり、収率が94.2%であった。
【0052】
キャラクタリゼーションデータは以下のとおりである。
LC/MS [M+1]:m/z=252。
【0053】
(実施例4)
本実施例において、3-[(シクロプロピルメチル)アミノ]-2-フルオロ安息香酸イソプロピルを調製し、反応式は以下のとおりである。
【化13】
【0054】
500mLのオートクレーブ内に、3-ニトロ-2-フルオロ-安息香酸イソプロピル45.9g(0.2mol、純度99%)、5%の白金炭素触媒0.91g、酢酸9.08g(0.15mol、純度99%)、シクロプロパンカルボキシアルデヒド16.8g(0.24mol、純度99%)、および酢酸エチル227gを順次投入し、2.0MPaの圧力まで水素化し、60℃で12h反応させた。反応終了後に濾過し、20gの酢酸エチルで濾残を洗浄し、濾液を混合して減圧下で溶媒を除去し、乾燥して3-[(シクロプロピルメチル)アミノ]-2-フルオロ安息香酸イソプロピルを48.0g取得し、含有量が97.8%であり、収率が93.5%であった。
【0055】
(実施例5-1)
本実施例において、N-シクロプロピルメチルアニリン系化合物を調製し、反応式は以下のとおりである。
【化14】
【0056】
500mLのオートクレーブ内に、3-ニトロ-2-フルオロ-N-[4-[1,2,2,2-テトラフルオロ-1-(トリフルオロメチル)エチル]-2-(トリフルオロメチル)フェニル]ベンズアミド50.1g(0.1mol、純度99%)、5%の白金炭素触媒0.49g、プロピオン酸2.48g(0.03mol、純度99%)、シクロプロパンカルボキシアルデヒド9.8g(0.14mol、純度99%)、およびメタノール248gを順次投入し、3.0MPaの圧力まで水素化し、40℃で16h反応させた。反応終了後に熱いうちに濾過し、20gのメタノールで濾残を洗浄し、濾液を混合して減圧下で溶媒を除去し、乾燥して50.4gの固体を取得し、含有量が98.4%であり、収率が95.4%であった。
【0057】
キャラクタリゼーションデータは以下のとおりである。
LC/MS [M+1]:m/z=521。
1H NMR(400 MHz, DMSO-d6)データは以下のとおりである(δ[ppm])。10.18 (s, 1H), 8.12-8.07 (m, 1H), 8.04 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 7.92 (s, 1H), 7.10 (t, J = 7.9 Hz, 1H), 6.94 (t, J = 8.2 Hz, 1H), 6.90-6.82 (m, 1H), 5.82-5.72 (m, 1H), 3.03 (t, J = 6.2 Hz, 2H), 1.12-1.08 (m, 1H), 0.50-0.42 (m, 2H), 0.24 (q, J = 4.4 Hz, 2H)。
【0058】
(実施例5-2)
本実施例において、N-シクロプロピルメチルアニリン系化合物を調製し、反応式は以下のとおりである。
【化15】
【0059】
その調製方法と実施例5-1との区別は、5%の白金炭素触媒0.49gを、等質量で5%のパラジウム炭素触媒に置換することのみにあり、他の条件はいずれも変わらなかった。収率が81.2%であった。
【0060】
(実施例5-3)
本実施例において、N-シクロプロピルメチルアニリン系化合物を調製し、反応式は以下のとおりである。
【化16】
【0061】
その調製方法と実施例5-1との区別は、5%の白金炭素触媒0.49gを、等質量で5%のラネーニッケル触媒に置換することのみにあり、他の条件はいずれも変わらなかった。収率が73.5%であった。
【0062】
(実施例5-4)
本実施例において、N-シクロプロピルメチルアニリン系化合物を調製し、反応式は以下のとおりである。
【化17】
【0063】
その調製方法と実施例5-1との区別は、2.48gのプロピオン酸を、等質量でギ酸に置換することのみにあり、他の条件はいずれも変わらなかった。収率が83.6%であった。
【0064】
(実施例5-5)
本実施例において、N-シクロプロピルメチルアニリン系化合物を調製し、反応式は以下のとおりである。
【化18】
【0065】
その調製方法と実施例5-1との区別は、2.48gのプロピオン酸を、等質量で36%の塩酸に置換することのみにあり、他の条件はいずれも変わらなかった。収率が56.2%であった。
【0066】
(実施例6)
本実施例において、N-シクロプロピルメチルアニリン系化合物を調製し、反応式は以下のとおりである。
【化19】
【0067】
500mLのオートクレーブ内に、3-ニトロ-2-フルオロ-N-[2-ヨード-4-[1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン-2-イル]-6-(トリフルオロメチル)フェニル]ベンズアミド62.8g(0.1mol、純度99%)、5%の白金炭素触媒0.62g、酢酸12.44g(0.21mol、純度99%)、シクロプロパンカルボキシアルデヒド11.2g(0.16mol、純度99%)、およびトルエン311gを順次投入し、1.0MPaの圧力まで水素化し、60℃で14h反応させた。反応終了後に熱いうちに濾過し、20gのトルエンで濾残を洗浄し、濾液を混合して減圧下で溶媒を除去し、乾燥して62.6gの固体を取得し、含有量が97.6%であり、収率が94.6%であった。
【0068】
キャラクタリゼーションデータは以下のとおりである。
LC/MS [M+1]:m/z=647。
1H NMR(400 MHz, DMSO-d6)データは以下のとおりである(δ[ppm])。10.53 (s, 1H), 8.41 (s, 1H), 7.97 (s, 1H), 7.11 (m, 1H), 6.96-6.91 (m, 1H), 6.84-6.81 (m, 1H), 5.79-5.75 (m, 1H), 3.04 (t, J = 6.2 Hz, 2H), 1.15-1.07 (m, 1H), 0.49-0.44 (m, 2H), 0.28-0.24 (m, 2H)。
【0069】
(実施例7)
本実施例において、N-シクロプロピルメチルアニリン系化合物を調製し、反応式は以下のとおりである。
【化20】
【0070】
500mLのオートクレーブ内に、3-ニトロ-N-[2-クロロ-4-[1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン-2-イル]-6-(ジフルオロメトキシ)フェニル]-2-フルオロベンズアミド57.9g(0.1mol、純度99%)、5%の白金炭素触媒0.29g、プロピオン酸2.86g(0.038mol、純度99%)、シクロプロパンカルボキシアルデヒド9.8g(0.14mol、純度99%)、および酢酸エチル171.6gを順次投入し、2.0MPaの圧力まで水素化し、100℃で16h反応させた。反応終了後に熱いうちに濾過し、20gの酢酸エチルで濾残を洗浄し、濾液を混合して減圧下で溶媒を除去し、乾燥して57.8gの固体を取得し、含有量が98.0%であり、収率が94.9%であった。
【0071】
キャラクタリゼーションデータは以下のとおりである。
LC/MS [M+1]:m/z=598。
1H NMR(400 MHz, DMSO-d6)データは以下のとおりである(δ[ppm])。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) 10.01 (s, 1H), 7.66 (s, 1H), 7.30 (s, 1H), 7.09 (t, J = 72.0 Hz, 1H), 6.85 (t, J = 7.8 Hz, 1H), 6.69 (t, J = 7.7 Hz, 1H), 6.56 (t, J = 6.2 Hz, 1H), 5.47 (s, 1H), 2.79 (t, J = 5.7 Hz, 2H), 0.90-0.80 (m, 1H), 0.24-0.18 (m, 2H), 0.01 (q, J = 4.9 Hz, 2H)。
【0072】
(実施例8)
本実施例において、N-シクロプロピルメチルアニリン系化合物を調製し、反応式は以下のとおりである。
【化21】
【0073】
1Lのオートクレーブ内に、3-ニトロ-N-[2-ブロモ-4-[1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン-2-イル]-6-(トリフルオロメトキシ)フェニル]-2-フルオロベンズアミド59.7g(0.1mol、純度99%)、5%の白金炭素触媒1.18g、酢酸23.6g(0.39mol、純度99%)、シクロプロパンカルボキシアルデヒド9.8g(0.14mol、純度99%)、およびメタノール472gを順次投入し、3.0MPaの圧力まで水素化し、60℃で12h反応させた。反応終了後に熱いうちに濾過し、20gのメタノールで濾残を洗浄し、濾液を混合して減圧下で溶媒を除去し、乾燥して59.7gの固体を取得し、含有量が98.2%であり、収率が95.3%であった。
【0074】
キャラクタリゼーションデータは以下のとおりである。
LC/MS [M+1]:m/z=616。
1H NMR(400 MHz, DMSO-d6)データは以下のとおりである(δ[ppm])。10.53 (s, 1H), 8.10 (s, 1H), 7.78 (s, 1H), 7.13-7.07 (m, 1H), 6.96-6.91 (m, 1H), 6.78-6.75 (m, 1H),5.78-5.74 (m, 1H), 3.03 (t, J = 6.2 Hz, 2H), 0.98-0.90 (m, 1H), 0.26-0.22 (m, 2H), 0.16-0.12 (m, 2H)。
【0075】
(実施例9)
本実施例において、N-シクロプロピルメチルアニリン系化合物を調製し、反応式は以下のとおりである。
【化22】
【0076】
500mLのオートクレーブ内に、2-フルオロ-3-ニトロ-N-メチルベンズアミド40.0g(0.2mol、純度99%)、5%の白金炭素触媒0.2g、酢酸7.96g(0.13mol、純度99%)、シクロプロパンカルボキシアルデヒド16.8g(0.24mol、純度99%)、およびメタノール119.4gを順次投入し、1.0MPaの圧力まで水素化し、40℃で12h反応させた。反応終了後に熱いうちに濾過し、20gのメタノールで濾残を洗浄し、濾液を混合して減圧下で溶媒を除去し、乾燥して3-[(シクロプロピルメチル)アミノ]-2-フルオロ-Nメチルベンズアミドの固体を42.8g取得し、含有量が98.5%であり、収率が94.9%であった。
【0077】
本発明は、上記実施例により本発明のN-シクロプロピルメチルアニリン系化合物の調製方法を説明するが、本発明は上記実施例に限定するものではなく、すなわち、本発明は上記実施例に依存して実施しなければならないことを意味しないことを、出願人より声明する。当業者であれば、本発明に対するいかなる改良、本発明の製品の各原料に対する等価的な置換および補助成分の追加、具体的な形態の選択等は、全て本発明の保護範囲および開示範囲内に含まれることを理解すべきである。
【0078】
以上、本発明の好ましい実施形態を詳細に説明したが、本発明は上記実施形態における具体的な詳細内容に限定するものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で、本出願の技術案に対して様々な簡単な変形を行うことができ、これらの簡単な変形は全て本発明の保護範囲に属している。
【0079】
なお、上記具体的な実施形態において説明した各具体的な技術的特徴は、矛盾がない場合、任意の適切な形態で組み合わせることができ、不要な重複を回避するために、本発明では様々な可能な組み合わせの形態については特に説明しない。