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特許7448972材料成形および/または切削のための方法および装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-05
(45)【発行日】2024-03-13
(54)【発明の名称】材料成形および/または切削のための方法および装置
(51)【国際特許分類】
   B30B 1/32 20060101AFI20240306BHJP
   B23D 15/04 20060101ALI20240306BHJP
   B23P 9/04 20060101ALI20240306BHJP
【FI】
B30B1/32 Z
B23D15/04
B23P9/04
【請求項の数】 24
(21)【出願番号】P 2021515025
(86)(22)【出願日】2019-09-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-11
(86)【国際出願番号】 EP2019076037
(87)【国際公開番号】W WO2020064931
(87)【国際公開日】2020-04-02
【審査請求日】2022-08-08
(31)【優先権主張番号】1851166-7
(32)【優先日】2018-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(31)【優先権主張番号】1950181-6
(32)【優先日】2019-02-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(73)【特許権者】
【識別番号】521106290
【氏名又は名称】セル インパクト アクチエボラグ
【氏名又は名称原語表記】CELL IMPACT AB
【住所又は居所原語表記】Kallmossvagen 7A, Karlskoga, Sweden
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヘンリクソン エリーカ
(72)【発明者】
【氏名】ニエミネン ヨーン
【審査官】石川 健一
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第107570648(CN,A)
【文献】特表2017-509490(JP,A)
【文献】米国特許第04844661(US,A)
【文献】特表2006-513875(JP,A)
【文献】特開昭49-093984(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B30B 1/32
B23D 15/04
B23P 9/04
B26F 3/00
B30B 5/00
B21J 7/06-7/08
B21D 28/00-28/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
工具(4)および駆動ユニット(1)による材料成形および/または切削のための方法であって、前記工具(4)が加工材料(W)を打撃して前記加工材料(W)を成形および/または切削するように前記駆動ユニット(1)を動かして前記工具(4)に運動エネルギーを提供する工程を含む、前記方法において、
前記方法は、次の選択肢(i)および(ii)のいずれかを含み、(i)前記駆動ユニットを動かす工程は、前記駆動ユニットを加速する工程を含み、前記工具(4)は、前記駆動ユニット(1)の前記加速の少なくとも大部分の間、前記駆動ユニット(1)と接触しており、または、(ii)前記工具(4)は、前記駆動ユニット(1)の前記動きによって前記工具(4)に運動エネルギーを提供する前に、静止しており、前記駆動ユニット(1)を動かして前記工具(4)に運動エネルギーを提供する工程は、前記駆動ユニット(1)で前記静止している工具(4)を打撃する工程を含み、
前記方法は、前記工具(4)は、前記加工材料(W)を打撃する前に、前記駆動ユニット(1)から動作可能に切り離される工程をさらに含み、前記駆動ユニット(1)は、前記工具(4)が前記加工材料(W)を打撃する前に、前記工具(4)が前記駆動ユニット(1)から分離するように、減速される
ことを特徴とする前記方法。
【請求項2】
前記工具(4)が前記駆動ユニット(1)から分離した後、前記工具(4)を前記加工材料(W)に向かって案内する工程を含む、
請求項に記載の方法。
【請求項3】
前記駆動ユニット(1)は、前記工具(4)が前記加工材料(W)を打撃するまで、前記工具(4)が再度前記駆動ユニット(1)に接触しないように減速される、
請求項またはに記載の方法。
【請求項4】
前記駆動ユニットを動かす工程は、前記駆動ユニットを加速する工程を含み、前記駆動ユニットは、油圧システム(11、12、13、16、17、18)によって駆動されるように構成されたプランジャ(1)であり、前記油圧システムは、前記プランジャ(1)を前記加工材料(W)に向かって油圧で付勢する第1チャンバ(17)を有し、前記プランジャ(1)を加速するために、前記油圧システムは、前記第1チャンバ(17)に作動油が移動するように制御され、前記プランジャ(1)を減速するために、前記油圧システムは、前記第1チャンバ(17)に向かう作動油の移動が低減されるが、前記作動油のキャビテーションを回避するのには十分高いように制御される、
請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記駆動ユニットを動かす工程は、前記駆動ユニットを加速する工程を含み、前記駆動ユニットは、油圧システム(11、12、13、16、17、18)によって駆動されるように構成されたプランジャ(1)であり、
前記減速のために、前記プランジャの一部(14)が制動チャンバ(15)に入るようにする工程と、それによって前記制動チャンバに作動油を閉じ込めるようにする工程とを含み、それによって前記閉じ込められた作動油の圧力が上昇して前記プランジャ(1)を減速させる、
請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記工具(4)は、前記駆動ユニット(1)の動きによって前記工具(4)に運動エネルギーを提供する前に、前記加工材料(W)から少なくとも3mmの距離に、好ましくは前記加工材料(W)から少なくとも5mmの距離に、最も好ましくは前記加工材料(W)から少なくとも8mmの距離に配置される、
請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記駆動ユニットを動かす工程は、前記駆動ユニットを加速する工程を含み、前記駆動ユニットは、上方に加速されるプランジャ(1)である、
請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記工具(4)は、前記加速の少なくとも大部分の間、前記プランジャ(1)と接触しており、前記接触は、前記プランジャ(1)の上に載っている前記工具(4)によってもたらされる、
請求項に記載の方法。
【請求項9】
前記工具(4)による前記加工材料(W)の打撃後に、前記工具(4)を前記プランジャ(1)の上に戻すようにする工程を含む、
請求項またはに記載の方法。
【請求項10】
前記工具(4)が前記プランジャ(1)に近づくにつれて前記工具(4)の落下を減衰させる工程を含む、
請求項に記載の方法。
【請求項11】
前記駆動ユニットを動かす工程は、前記駆動ユニットを加速する工程を含み、前記駆動ユニットは、下方に移動するプランジャ(1)である、
請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記方法の各工程は、加工材料打撃プロセスの一部をなし、前記駆動ユニットは、油圧システム(11、12、13、16、17、18)によって駆動されるように構成されたプランジャ(1)であり、前記油圧システムは、前記プランジャ(1)を前記加工材料(W)に向かって油圧で付勢する第1チャンバ(17)と、前記第1チャンバ内の圧力を制御するバルブ装置(11、12)とを有し、
前記方法は、前記プランジャの位置、前記プランジャの速度、前記プランジャの加速度、前記工具の位置、前記工具の速度、前記工具の加速度、前記第1チャンバ(17)内の圧力(pA)、前記バルブ装置の1つ以上の応答時間、周囲温度、および前記油圧システムの作動油の温度のうちの1つ以上を示す信号を受信する工程を含み、
前記方法は、少なくとも1つの加工材料(W)打撃プロセスの間に受信された信号のうちの少なくともいくつかを記憶する工程、および/または、少なくとも1つの加工材料(W)打撃プロセスの間に受信された信号のうちの少なくともいくつかを処理した結果として提供されるデータを記憶する工程と、さらなる打撃プロセスのために、前記記憶した信号および/または前記記憶したデータに少なくとも部分的に基づいて、前記バルブ装置(11、12)の制御を調整する工程と、をさらに含む、
請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記駆動ユニットは、ロータに固定された突出部を有する回転ユニットであり、前記突出部は、前記ロータの回転によって回転して前記工具(4)に運動エネルギーを提供する、
請求項1に記載の方法。
【請求項14】
工具(4)および駆動ユニット(1)による材料成形および/または切削のための装置であって、前記工具(4)が加工材料(W)を打撃して前記加工材料(W)を成形または切削するように前記駆動ユニット(1)を動かして前記工具(4)に運動エネルギーを提供するように構成された前記装置において、
前記装置は、次の選択肢(i)および(ii)のいずれかに従って構成され、(i)前記駆動ユニットを動かすことは、前記駆動ユニットを加速させることを含み、前記装置は、前記工具(4)が、前記駆動ユニット(1)の前記加速の少なくとも大部分の間、前記駆動ユニット(1)と接触しており、または、(ii)前記工具(4)が、前記駆動ユニット(1)の前記動きによって前記工具(4)に運動エネルギーを提供する前に、静止しているように構成され、前記装置は、前記駆動ユニット(1)で前記静止している工具(4)を打撃することによって、前記駆動ユニット(1)を動かして前記工具(4)に運動エネルギーを提供するように構成され、
前記装置は、さらに、前記工具(4)が前記加工材料(W)を打撃する前に、前記工具(4)が前記駆動ユニット(1)から動作可能に切り離されるように構成され、前記工具(4)が前記加工材料(W)を打撃する前に、前記工具(4)が前記駆動ユニット(1)から分離するよう、前記駆動ユニット(1)を減速するように構成されている、
ことを特徴とする前記装置。
【請求項15】
案内装置(3)が、前記工具(4)が前記駆動ユニット(1)から分離した後、前記工具(4)を前記加工材料(W)に向かって案内するように構成されている、
請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記駆動ユニットを動かすことは、前記駆動ユニットを加速することを含み、前記駆動ユニット(1)は、油圧システム(11、12、13、16、17、18)によって駆動されるように構成されたプランジャであり、前記装置は、前記減速のために、前記プランジャの一部(14)が制動チャンバ(15)に入るようにし、それによって前記制動チャンバに作動油を閉じ込めるようにするように構成されている、
請求項14または15に記載の装置。
【請求項17】
前記駆動ユニットを動かすことは、前記駆動ユニットを加速することを含み、前記装置は、前記駆動ユニット(1)を上方に加速するように構成されている、
請求項1416のいずれか一項に記載の装置。
【請求項18】
前記駆動ユニット(1)に近づくにつれて前記工具(4)の落下を減衰させるように構成された減衰装置(8)を有する、
請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記工具(4)は、前記駆動ユニット(1)の前記動きによって前記工具(4)に運動エネルギーを提供する前に、静止しているように構成され、前記装置は、前記駆動ユニット(1)を動かして前記工具(4)に運動エネルギーを提供して、前記駆動ユニット(1)で前記静止している工具(4)を打撃するように構成されている、
請求項1418のいずれか一項に記載の装置。
【請求項20】
前記駆動ユニットは、ロータに固定された突出部を有する回転ユニットであり、前記突出部は、前記ロータの回転によって回転して前記工具(4)に運動エネルギーを提供するように構成されている、
請求項19に記載の装置。
【請求項21】
プログラムがコンピュータ上で実行されるときに、請求項1~13のいずれか一項に記載された工程を実行するためのプログラムコード手段を有するコンピュータプログラム。
【請求項22】
プログラム製品がコンピュータ上で実行されるときに、請求項1~13のいずれか一項に記載された工程を実行するためのプログラムコード手段を有するコンピュータプログラムを担持するコンピュータ可読媒体。
【請求項23】
請求項1~13のいずれか一項に記載の方法の前記工程を実行するように構成された制御ユニット。
【請求項24】
請求項23に記載の制御ユニットを有する、請求項1420のいずれか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、材料成形および/または切削のための方法に関する。また、本発明は、材料成形および/または切削のためのコンピュータプログラム、コンピュータ可読媒体、制御ユニット、および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、高速成形(HVF)および/または切削に有利に使用されるが、本発明の他の実施形態によれば、HVFに用いられる速度以外の速度を伴う材料成形および/または切削にも使用可能である。HVFは、本明細書では高速材料成形とも呼ばれる。金属のHVFも、高速金属成形として知られている。また、高速切削は、高速クロスカッティングとも呼ばれる。
【0003】
従来の金属成形オペレーションでは、単純なハンマーブローまたはパワープレスを使用することによって、加工する金属に力を加える。使用する重い工具は、比較的低速で動かす。従来の技術には、鍛造(Forging)や押出し(Extrusion)、延伸(Drawing)、打ち抜き(Punching)などの方法が含まれる。従来の金属切削オペレーションでは、旋削(turning)やフライス(milling)、穴あけ(drilling)、研削(grinding)、鋸引き(sawing)などの機械加工技術を含む、金属を切削するのに利用可能な多くの技術がある。他の技術の中には、レーザによる焼付け(burning)や、酸素燃料(oxy-fuel)焼付け、プラズマなどの、溶接(welding)/焼付け技術もある。
【0004】
特許文献1には、鍛造ハンマーをモータで持ち上げ、解放して金型に向かって落下させる鍛造機が記載されている。鍛造力を強化するとともに金型を鍛造切削ボードに固定するために、電磁力が加えられる。
【0005】
特許文献2は、自由落下ハンマーによる杭打ち(piling)に関する。
【0006】
HVFは、工具をワークピースに衝突させる前に、工具の速度を大きくすることによって、工具に高い運動エネルギーを与えることを伴う。HVFには、油圧成形や、爆発成形、電動油圧成形、例えば電動モータによる電磁成形などの方法が含まれる。これらの成形プロセスでは、大量のエネルギーが非常に短時間の間にワークピースに加えられる。HVFの速度は、一般的に、少なくとも1m/s、好ましくは少なくとも3m/s、好ましくは少なくとも5m/sであり得る。例えば、HVFの速度は、1~20m/s、好ましくは3~15m/s、好ましくは5~15m/sであり得る。HVFは、材料成形力が運動エネルギーから得られるプロセスとみなすことができるのに対して、従来の材料成形では、材料成形力が、圧力、例えば油圧から得られる。
【0007】
同様に、HVFの場合と同じく、高速切削は、切削工具をワークピースに衝突させて切削させる前に、切削工具の速度を大きくすることによって、切削工具に高い運動エネルギーを与えることを伴う。高速切削の速度は、一般的に、少なくとも1m/s、好ましくは少なくとも3m/s、好ましくは少なくとも5m/sであり得る。例えば、高速切削の速度は、1~20m/s、好ましくは3~15m/s、好ましくは5~15m/sであり得る。
【0008】
HVFの利点は、多くの金属が、荷重を非常に速く加えることで、より容易に変形する傾向があるという事実によって与えられる。歪み分布は、HVFの単一オペレーションにおいて、従来の成形技術と比較して、はるかに均一である。この結果、材料に不必要な歪みを誘発することなく、複雑な形状を容易に生成することができる。これにより、公差の近い複雑な部品を成形したり、従来の金属成形では成形できない可能性のある合金を成形したりすることが可能になる。例えば、HVFは、燃料電池に使用されるメタルフロープレートの製造に使用することができる。このような製造は、小さな公差を必要とする。
【0009】
高速切削による利点は、生産技術の面でより効率的で簡単な方法を使用して、高い測定精度を得ることができることである。また、切削工具のストローク間の時間をきわめて短くすることができ、高い生産率をもたらす。
【0010】
HVFおよび高速切削による別の利点は、工具の運動エネルギーが、工具の質量に直線的に比例する一方で、工具の速度の二乗に比例するため、従来の金属成形と比較して、かなり軽い工具をHVFで使用し得ることである。
【0011】
HVFおよび高速切削では、ストロークによって、高い運動エネルギーを工具に伝達して、これにより加工材料(例えば、ワークピース)を処理するために、プランジャを第1チャンバ内の油圧によって開始位置から駆動するようにすることが知られている。プランジャからの打撃で工具が過度に変形することを避けるために、工具は、比較的高い剛性を有し、そのため比較的大きな質量を有する必要がある。その結果、プランジャを駆動するシステムは、高い能力を示す必要がある。さらに、高い運動エネルギーのために、プランジャは、工具に複数回当たることがある。これは、工具による打撃での変形のために加工材料がリバウンドし、その結果、今度は加工材料が工具に打撃を与え、それによって工具がプランジャの方へと押しやられて再度プランジャと接触する場合に起こり得る。これは、望ましくない作用である。プランジャは、1回だけ工具に当たるようにすべきである。そうしないと、ワークピースの成形および/または切削によって、最終製品の特性が損なわれる、例えば、弱くなったり、むらが生じたり、または製造に失敗することさえある。
【0012】
特許文献3は、HVFにおいて、ピストンが工具に複数回当たることを回避することに関する。第1チャンバを加圧してピストンを工具に向かって駆動する。第2チャンバ内の圧力は、ピストンのリターン動作に対する力を提供する。ピストンは、第1チャンバにさらされた部分よりも第2チャンバにさらされた部分が小さくなっている。ピストンの打撃シーケンスの間中ずっと第2チャンバを加圧することが提案されている。これにより、第1チャンバを減圧するための遮断弁を打撃直後に作動させることは、後続の打撃を回避するための非常に迅速な対応となる。
【0013】
また、HVFおよび高速切削では、加工材料に提供されるエネルギーの制御を改善することが望まれている。改善されたエネルギー制御は、加工材料におけるプロセスの性質を改善し得る。これを行うことによって、HVFおよび高速切削の適用可能性を、例えば、現在のHVFおよび高速切削プロセスによって達成される公差よりもさらに小さな公差を有するタスクにまで、拡大し得る。さらなる要望は、プランジャが製品の成形および/または切削のたびに1回以上工具に当たる恐れをなくすことである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【文献】CN107570648
【文献】US4844661A
【文献】EP3122491A1
【発明の概要】
【0015】
本発明の目的は、材料成形および/または切削において、好ましくは高速成形および高速切削において、加工材料に提供されるエネルギーの制御を改善することである。本発明の他の目的は、材料成形および/または切削における、好ましくは高速成形および高速切削における、プランジャ駆動システム能力の必要性を低減することである。さらなる目的は、現在の材料成形および/または切削プロセス、好ましくは現在の高速成形および/または切削プロセスによって達成される公差よりも小さい公差を有する加工材料を提供できるようにすることである。さらに他の目的は、プランジャが製品の成形および/または切削のたびに2回以上工具に当たらないようにすることである。
【0016】
上記目的は、請求項1に記載の方法によって達成される。したがって、上記目的は、工具および駆動ユニットによる材料成形および/または切削のための方法であって、前記工具が加工材料を打撃して前記加工材料を成形および/または切削するように前記駆動ユニットを動かして前記工具に運動エネルギーを提供する工程を含み、前記工具が、前記加工材料を打撃する前に、前記駆動ユニットから動作可能に切り離される、前記方法によって達成される。リバウンドの恐れは、工具が駆動ユニットから動作可能に切り離されるため、低減または回避される。これにより、製造に失敗する危険性を低減するだけでなく、弱くなったりむらが生じたりするという問題も回避して、最終製品の特性が改善される。前記方法は、高速成形および/または切削に有利に使用される。なお、前記方法は、他のタイプの材料成形および/または切削にも使用され得る。
【0017】
前記工具が前記駆動ユニットから動作可能に切り離されることは、工具が駆動ユニットから分離されることを含み得る。
【0018】
前記駆動ユニットを動かす工程が、前記駆動ユニットを加速する工程を含む場合、前記工具は、前記駆動ユニットの前記加速の少なくとも大部分の間、前記駆動ユニットと接触しており、運動エネルギーは、工具に提供され得る。工具および駆動ユニットは、同時に加速を開始し得る。しかし、いくつかの実施形態では、駆動ユニットの加速の初期段階に工具が駆動ユニットと接触していないことがある。代わりに、駆動ユニットは、初期段階の後に工具と接触し、加速の残り期間の間中、工具は駆動ユニットと接触したままであるとしてもよい。例えば、工具は、駆動ユニットが最大速度の50%、好ましくは20%、より好ましくは10%に達する前に加速を開始し得る。駆動ユニットの加速開始後に駆動ユニットが工具と接触する実施形態では、駆動ユニットおよび/または工具に、駆動ユニットの工具への接触用ダンパを設けてもよい。
【0019】
前記駆動ユニットを動かす工程が、前記駆動ユニットを加速する工程を含む、いくつかの実施形態において、前記駆動ユニットは、油圧システムによって駆動されるように構成されたプランジャである。プランジャは、シリンダハウジング内に可動可能に配置され得る。シリンダハウジングは、フレームに取り付けられ得る。油圧システムは、プランジャをワークピースに向かって付勢する第1チャンバを有し得る。油圧システムは、プランジャをワークピースから離すように付勢する第2チャンバを有し得る。第1チャンバおよび第2チャンバは、シリンダハウジングおよびプランジャによって形成され得る。以下に詳述するように、第2チャンバには、全打撃プロセスの間中、油圧システムのシステム圧力が提供され得る。別の実施形態では、プランジャは、ある別の方法で、例えば、爆発物によって、電磁気力によって、または空気圧によって、駆動されるように構成され得る。
【0020】
工具のエネルギーは、工具の速度および/または質量を調節することによって調整され得る。加工材料の反対側には第2の工具が存在し得ることが理解されている。加工材料は、固体片の材料、例えば、シート(例えば、金属のシート)の形態をした材料、などのワークピースであってもよい。あるいは、加工材料は、ある別の形態(例えば、粉末の形態)の材料であってもよい。
【0021】
駆動ユニットの加速度および速度は、高い精度で制御することができる。工具が、駆動ユニットの加速の少なくとも大部分の間、駆動ユニットと接触することによって、本発明は、工具の加速および速度の制御を改善することができる。それによって、本発明は、工具の運動エネルギーと、したがって、加工材料に提供されるエネルギーとの制御を改善する。
【0022】
本発明の実施形態は、駆動ユニットおよび工具が同じ同時加速で加速される場合を提供する。したがって、本発明の実施形態は、上記のような工具打撃に対して駆動ユニットを用いるプロセスによって得られる動きと比較して、工具の加速がかなり遅い。これにより、駆動ユニットからの打撃による工具の過度の変形の危険性を考慮する必要がなくなる。したがって、工具は、剛性を低下させ、それによって質量を減少させ得る。さらに、駆動ユニットがプランジャの場合には、工具打撃に対してプランジャを用いるプロセスにおけるプランジャと比較して、質量を減少させ得る。その結果、プランジャを駆動するシステムの能力を低下させ得る。
【0023】
工具は、駆動ユニットから動作可能に切り離される。工具は、駆動ユニットの動きを伴う加工材料打撃プロセスの間、駆動ユニットから動作可能に切り離されるように構成されている。工具は、加工材料を打撃する前に、駆動ユニットから動作可能に切り離されるように構成されている。例えば、前記駆動ユニットを動かす工程が、前記駆動ユニットを加速する工程を含む場合、駆動ユニットは、上方に加速するプランジャであってもよい。工具は、プランジャに固定する締結要素なしに、プランジャの上に置かれるように構成され得る。これによって、以下に例示する実施形態が可能となる。
【0024】
好ましくは、前記駆動ユニットは、前記工具が前記加工材料を打撃する前に、前記工具が前記加工材料を打撃する前に前記工具が前記駆動ユニットから分離するように、減速される。これにより、駆動ユニットは、慣性によって、加工材料に向かって進み続け得る。
【0025】
好ましくは、前記方法は、前記工具が前記駆動ユニットから分離した後、前記工具を前記加工材料に向かって案内する工程を含む。いくつかの実施形態では、工具の経路は、案内装置によって制御され得る。いくつかの実施例では、案内装置は、工具に固定された複数のピンを有する。しかし、代替手段も可能である。例えば、工具を取り囲む、つまり工具の経路となるフレームを、工具を案内するように構成してもよい。これにより、工具に固定された1つ以上の案内装置は、工具がフレームに沿って動く間中フレームと係合するように構成され得る。工具を案内することによって、工具を加工材料に正確に位置決めすることができる。
【0026】
前記工具は、前記駆動ユニットの動きによって前記工具に運動エネルギーを提供する前に、前記加工材料から少なくとも3mmの距離に配置され得る。好ましくは、前記工具は、前記加工材料から少なくとも5mmの距離に配置される。最も好ましくは、前記工具は、前記加工材料から少なくとも8mmの距離に配置される。加工材料に対する工具の好適な位置決めは、工具が、プランジャの加速の少なくとも大部分の間、プランジャと接触している実施形態、および、以下に例示する、工具が、駆動ユニットの動きによって当該工具に運動エネルギーを提供する前に静止しており、駆動ユニットを動かして工具に運動エネルギーを提供する工程が、駆動ユニットで前記静止している工具を打撃する工程を含む実施形態において提供可能である。
【0027】
前記駆動ユニットは、好ましくは、前記工具が前記加工材料を打撃するまで、前記工具が再度前記駆動ユニットに接触しないように減速される。これにより、駆動ユニットは、工具が加工材料と接触しているときに、駆動ユニットが工具と接触する位置に到達しない。これにより、加工材料を成形するために加工材料に与えられるエネルギーは、駆動ユニットの関与なしに、工具によって提供される。したがって、動作可能な切り離しまたは分離によって、工具による加工材料の打撃時に駆動ユニットが存在しないようにすることができる。これにより、既知のシステムの問題、例えば、駆動ユニットによる1回以上繰り返されるストロークの恐れなど、が排除される。
【0028】
示唆したように、前記プランジャは、前記プランジャを前記加工材料に向かって油圧で付勢する第1チャンバを有する油圧システムによって駆動されるように構成され得る。前記方法は、前記プランジャを加速するために、前記第1チャンバに作動油が移動するように前記油圧システムを制御し、前記プランジャを減速するために、前記第1チャンバに向かう作動油の移動は低減されるが、前記作動油のキャビテーションを回避するのには十分高いように前記油圧システムを制御する工程を含み得る。これにより、プロセスに害を及ぼす可能性がある作動油のキャビテーションを効果的に回避し得る。
【0029】
好ましくは、前記プランジャが油圧システムによって駆動されるように構成されている場合、前記方法は、前記減速のために、前記プランジャの一部が制動チャンバに入るようにする工程と、それによって前記制動チャンバに作動油を閉じ込めるようにする工程とを含み、それによって前記閉じ込められた作動油の圧力が上昇して前記プランジャを減速させる。例えば、プランジャの前記一部は、腰部であってもよい。したがって、プランジャが油圧システムによって駆動されるように構成されている場合、プランジャに腰部を設けて、前記方法が、減速のために、腰部が制動チャンバに入るようにする工程と、それによって制動チャンバに作動油を閉じ込めるようにする工程とを含み、それによって、前記閉じ込められた作動油の圧力が上昇してプランジャを減速させるようにしてもよい。プランジャを加工材料から離すように付勢する第2チャンバが設けられる場合、示唆したように、制動チャンバを、加工材料に向かう方向に、第2チャンバの端部に形成してもよい。
【0030】
好ましくは、前記駆動ユニットを動かす工程は、前記駆動ユニットを加速する工程を含み、前記駆動ユニットは、上方に加速されるプランジャである。したがって、工具も上方に加速される。これにより、加速の少なくとも大部分の間における工具とプランジャとの前記接触は、プランジャの上に載っている工具によって提供され得る。これにより、工具は、重力および前記加速により、プランジャによって保持され得る。これにより、打撃プロセスの構成が簡単になる。しかし、代替方法として、プランジャおよび工具を、別の方向、例えば、下向きまたは横向きに、加速してもよいことに留意されたい。
【0031】
いくつかの実施形態では、前記工具は、静止しており、前記駆動ユニットを動かして前記工具に運動エネルギーを提供する工程は、前記駆動ユニットで前記静止している工具を打撃する工程を含む。工具は、プランジャが工具に当たる前に、プランジャの上方に離れて静止していてもよい。
【0032】
プランジャが上方に加速される場合、前記方法は、前記工具による前記加工材料の打撃後に、前記工具を前記プランジャの上に戻すようにする工程を含み得る。好ましくは、前記工具が前記プランジャに近づくにつれて前記工具の落下が減衰される。このために、以下に例示するように、減衰装置を設けてもよい。これにより、工具がプランジャと接触した時の衝撃が緩和され、摩耗が低減され得る。
【0033】
上記した前記方法の各工程は、加工材料打撃プロセスの一部をなし得る。前記プランジャが、前記プランジャを前記加工材料に向かって油圧で付勢する第1チャンバと、前記第1チャンバ内の圧力を制御するバルブ装置とを有する油圧システムによって駆動されるように構成されている場合、前記方法は、前記プランジャの位置、前記プランジャの速度、前記プランジャの加速度、前記工具の位置、前記工具の速度、前記工具の加速度、前記第1チャンバ内の圧力、前記バルブ装置の1つ以上の応答時間、周囲温度、および前記油圧システムの作動油の温度のうちの1つ以上を示す信号を受信する工程を含み得る。前記方法は、少なくとも1つの加工材料打撃プロセスの間に受信された信号のうちの少なくともいくつかを記憶する工程、および/または、少なくとも1つの加工材料打撃プロセスの間に受信された信号のうちの少なくともいくつかを処理した結果として提供されるデータを記憶する工程と、さらなる打撃プロセスのために、前記記憶した信号および/または前記記憶したデータに少なくとも部分的に基づいて、前記バルブ装置の制御を調整する工程と、をさらに含み得る。また、バルブ装置の制御も、さらなる打撃プロセスの間、電流センサ信号に部分的に基づいて調整されてもよい。これにより、打撃プロセス中のバルブ作動のタイミングが、本装置の温度や経年などの状況を考慮して、正確になり得る。
【0034】
本発明の一実施形態によれば、前記駆動ユニットは、ロータに固定された突出部を有する回転ユニットであり、前記突出部は、前記ロータの回転によって回転して前記工具に運動エネルギーを提供する。
【0035】
また、上記目的は、請求項1522のいずれか一項に記載の装置によっても達成される。したがって、本発明は、工具および駆動ユニットによる材料成形および/または切削のための装置であって、前記工具が加工材料を打撃して前記加工材料を成形または切削するように前記駆動ユニットを動かして前記工具に運動エネルギーを提供するように構成された前記装置において、前記装置が、前記工具が前記加工材料を打撃する前に、前記工具が前記駆動ユニットから動作可能に切り離されるように構成されている、前記装置も提供する。前記駆動ユニットを動かすことが、前記駆動ユニットを加速させることを含む場合、前記装置は、前記工具が、前記駆動ユニットの前記加速の少なくとも大部分の間、前記駆動ユニットと接触するように構成され得る。このような装置の利点は、本発明に係る方法の上記説明から理解される。いくつかの実施形態では、工具は、駆動ユニットから動作可能に切り離されまたは分離可能である。工具は、駆動ユニットの加速を伴う加工材料打撃プロセスの間、駆動ユニットから動作可能に切り離されまたは分離するように構成され得る。工具は、工具が加工材料を打撃する前に、駆動ユニットから動作可能に切り離されまたは分離するように構成されている。
【0036】
好ましくは、前記装置は、前記工具が前記加工材料を打撃する前に、前記工具が前記駆動ユニットから分離するよう、前記駆動ユニットを減速するように構成されている。好ましくは、案内装置が、前記工具が前記駆動ユニットから分離した後、前記工具を前記加工材料に向かって案内するように構成されている。好ましくは、工具は、駆動ユニットの動きによって工具に運動エネルギーを提供する前に固定されるように構成され、前記装置は、駆動ユニットを動かして工具に運動エネルギーを提供し、固定された工具を駆動ユニットで打撃するように構成されている。好ましくは、前記駆動ユニットを動かすことが、前記駆動ユニットを加速することを含む場合、前記駆動ユニットは、油圧システムによって駆動されるように構成されたプランジャであり、前記装置は、前記減速のために、前記プランジャの一部が制動チャンバに入るようにし、それによって前記制動チャンバに作動油を閉じ込めるようにするように構成されている。プランジャの前記一部は、腰部であってもよい。したがって、プランジャを油圧システムによって駆動されるように構成してもよい。この場合、プランジャには腰部が設けられ、前記装置は、減速のために、腰部が制動チャンバに入るようにし、それによって作動油が制動チャンバに閉じ込められるように構成される。
【0037】
また、上記目的は、工具および駆動ユニットによる高速成形および/または切削のための方法であって、前記工具が加工材料を打撃して前記加工材料を成形および/または切削するように前記駆動ユニットを加速する工程を含み、前記工具が、前記駆動ユニットの前記加速の少なくとも大部分の間、前記駆動ユニットと接触している、前記方法によって達成される。
【0038】
工具が、駆動ユニットの加速の少なくとも大部分の間、駆動ユニットと接触していることによって、運動エネルギーは、工具に提供され得る。好ましくは、工具は、駆動ユニットの加速の間中ずっと駆動ユニットと接触している。これにより、工具および駆動ユニットは、同時に加速を開始し得る。しかし、示唆したように、いくつかの実施形態では、駆動ユニットの加速の初期段階に工具が駆動ユニットと接触していないことがある。代わりに、駆動ユニットは、初期段階の後に工具と接触し、加速の残り期間の間中、工具は駆動ユニットと接触したままであるとしてもよい。示唆したように、例えば、工具は、駆動ユニットが最大速度の50%、好ましくは20%、より好ましくは10%に達する前に加速を開始し得る。駆動ユニットの加速開始後に駆動ユニットが工具と接触する実施形態では、駆動ユニットおよび/または工具に、駆動ユニットの工具への接触用ダンパを設けてもよい。
【0039】
駆動ユニットは、プランジャであってもよい。いくつかの実施形態では、駆動ユニットは、油圧システムによって駆動されるように構成されている。示唆したように、駆動ユニットは、シリンダハウジング内に可動可能に配置され得る。シリンダハウジングは、フレームに取り付けられ得る。油圧システムは、駆動ユニットをワークピースに向かって付勢する第1チャンバを有し得る。油圧システムは、駆動ユニットをワークピースから離すように付勢する第2チャンバを有し得る。第1チャンバおよび第2チャンバは、シリンダハウジングおよび駆動ユニットによって形成され得る。以下に詳述するように、第2チャンバには、全打撃プロセスの間中、油圧システムのシステム圧力が提供され得る。別の実施形態では、駆動ユニットは、ある別の方法で、例えば、爆発物によって、電磁気力によって、または空気圧によって、駆動されるように構成され得る。
【0040】
示唆したように、工具のエネルギーは、工具の速度および/または質量を調節することによって調整され得る。加工材料の反対側には第2の工具が存在し得ることが理解されている。加工材料は、固体片の材料、例えば、シート(例えば、金属のシート)の形態をした材料、などのワークピースであってもよい。あるいは、加工材料は、ある別の形態(例えば、粉末の形態)の材料であってもよい。
【0041】
示唆したように、駆動ユニットの加速度および速度は、高い精度で制御することができる。しかし、上記のように、駆動ユニットによる工具の打撃を伴うプロセスは、工具の速度と、したがって、その運動エネルギーとを完全に制御するものではない。工具が、駆動ユニットの加速の少なくとも大部分の間、駆動ユニットと接触することによって、本発明の実施形態は、工具の加速および速度の制御を改善することができる。それによって、本発明の実施形態は、工具の運動エネルギーと、したがって、加工材料に提供されるエネルギーとの制御を改善する。
【0042】
示唆したように、本発明の実施形態は、駆動ユニットおよび工具が同じ同時加速で加速される場合を提供する。したがって、本発明は、上記のような工具打撃に対して駆動ユニットを用いるプロセスによって得られる動きと比較して、工具の加速がかなり遅い。これにより、駆動ユニットからの打撃による工具の過度の変形の危険性を考慮する必要がなくなる。したがって、工具は、剛性を低下させ、それによって質量を減少させ得る。さらに、工具打撃に対して駆動ユニットを用いるプロセスにおける駆動ユニットと比較して、質量を減少させ得る。その結果、駆動ユニットを駆動するシステムの能力を低下させ得る。
【0043】
いくつかの実施形態では、工具は、駆動ユニットから分離可能である。工具は、駆動ユニットの加速を伴う加工材料打撃プロセスの間、駆動ユニットから分離するように構成されている。工具は、加工材料を打撃する前に、駆動ユニットから分離するように構成され得る。例えば、駆動ユニットが上方に加速する場合、工具は、駆動ユニットに固定する締結要素なしに、駆動ユニットの上に置かれるように構成され得る。これによって、以下に例示する実施形態が可能となる。しかし、いくつかの実施形態では、工具は、加工材料打撃プロセスの間、駆動ユニットに固定されてもよい。これにより、工具は、1つ以上の取り外し可能な締結要素(例えば、ボルトまたは類似物)によって駆動ユニットに固定され得る。このような実施形態では、工具は、加工材料を打撃する際に、駆動ユニットに固定され得る。
【0044】
示唆したように、好ましくは、前記駆動ユニットは、前記工具が前記加工材料を打撃する前に、前記工具が前記加工材料を打撃する前に前記工具が前記駆動ユニットから分離するように、減速される。これにより、駆動ユニットは、慣性によって、加工材料に向かって進み続け得る。
【0045】
示唆したように、好ましくは、前記方法は、前記工具が前記駆動ユニットから分離した後、前記工具を前記加工材料に向かって案内する工程を含む。いくつかの実施形態では、工具の経路は、案内装置によって制御され得る。いくつかの実施例では、案内装置は、工具に固定された複数のピンを有する。しかし、代替手段も可能である。例えば、工具を取り囲む、つまり工具の経路となるフレームを、工具を案内するように構成してもよい。これにより、工具に固定された1つ以上の案内装置は、工具がフレームに沿って動く間中フレームと係合するように構成され得る。工具を案内することによって、工具を加工材料に正確に位置決めすることができる。
【0046】
示唆したように、好ましくは、前記駆動ユニットは、前記工具が前記加工材料を打撃するまで、前記工具が再度前記駆動ユニットに接触しないように減速される。好ましくは、駆動ユニットは、工具が加工材料と接触しているときに、駆動ユニットが工具と接触する位置に到達しない。これにより、加工材料を成形するために加工材料に与えられるエネルギーは、駆動ユニットの関与なしに、工具によって提供される。したがって、分離によって、工具による加工材料の打撃時に駆動ユニットが存在しないようにすることができる。これにより、既知のシステムの問題、例えば、駆動ユニットによる1回以上繰り返されるストロークの恐れなど、が排除される。
【0047】
示唆したように、前記駆動ユニットは、前記駆動ユニットを前記加工材料に向かって油圧で付勢する第1チャンバを有する油圧システムによって駆動されるように構成され得る。前記方法は、前記駆動ユニットを加速するために、前記第1チャンバに作動油が移動するように前記油圧システムを制御し、前記駆動ユニットを減速するために、前記第1チャンバに向かう作動油の移動は低減されるが、前記作動油のキャビテーションを回避するのには十分高いように前記油圧システムを制御する工程を含み得る。これにより、プロセスに害を及ぼす可能性がある作動油のキャビテーションを効果的に回避し得る。
【0048】
示唆したように、好ましくは、前記駆動ユニットが油圧システムによって駆動されるように構成されている場合、前記方法は、前記減速のために、前記駆動ユニットの一部が制動チャンバに入るようにする工程と、それによって前記制動チャンバに作動油を閉じ込めるようにする工程とを含み、それによって前記閉じ込められた作動油の圧力が上昇して前記駆動ユニットを減速させる。示唆したように、例えば、駆動ユニットの前記一部は、腰部であってもよい。したがって、駆動ユニットが油圧システムによって駆動されるように構成されている場合、駆動ユニットに腰部を設けて、前記方法が、減速のために、腰部が制動チャンバに入るようにする工程と、それによって制動チャンバに作動油を閉じ込めるようにする工程とを含み、それによって、前記閉じ込められた作動油の圧力が上昇して駆動ユニットを減速させるようにしてもよい。駆動ユニットを加工材料から離すように付勢する第2チャンバが設けられる場合、上記に示唆したように、制動チャンバを、加工材料に向かう方向に、第2チャンバの端部に形成してもよい。
【0049】
好ましくは、前記駆動ユニットは、上方に加速される。したがって、示唆したように、工具も上方に加速される。これにより、前記加速の少なくとも大部分の間における前記工具の前記駆動ユニットとの前記接触は、前記駆動ユニットの上に載っている前記工具によってもたらされ得る。これにより、工具は、重力および前記加速により、駆動ユニットによって保持され得る。これにより、打撃プロセスの構成が簡単になる。しかし、代替方法として、駆動ユニットおよび工具を、別の方向、例えば、下向きまたは横向きに、加速してもよいことに留意されたい。
【0050】
示唆したように、駆動ユニットが上方に加速される場合、前記方法は、前記工具による前記加工材料の打撃後に、前記工具を前記駆動ユニットの上に戻すようにする工程を含み得る。好ましくは、前記工具が前記駆動ユニットに近づくにつれて前記工具の落下が減衰される。このために、以下に例示するように、減衰装置を設けてもよい。これにより、工具が駆動ユニットと接触した時の衝撃が緩和され、摩耗が低減され得る。
【0051】
示唆したように、上記した前記方法の各工程は、加工材料打撃プロセスの一部をなし得る。前記駆動ユニットが、前記駆動ユニットを前記加工材料に向かって油圧で付勢する第1チャンバと、前記第1チャンバ内の圧力を制御するバルブ装置とを有する油圧システムによって駆動されるように構成されている場合、前記方法は、前記駆動ユニットの位置、前記駆動ユニットの速度、前記駆動ユニットの加速度、前記工具の位置、前記工具の速度、前記工具の加速度、前記第1チャンバ内の圧力、前記バルブ装置の1つ以上の応答時間、周囲温度、および前記油圧システムの作動油の温度のうちの1つ以上を示す信号を受信する工程を含み得る。前記方法は、少なくとも1つの加工材料打撃プロセスの間に受信された信号のうちの少なくともいくつかを記憶する工程、および/または、少なくとも1つの加工材料打撃プロセスの間に受信された信号のうちの少なくともいくつかを処理した結果として提供されるデータを記憶する工程と、さらなる打撃プロセスのために、前記記憶した信号および/または前記記憶したデータに少なくとも部分的に基づいて、前記バルブ装置の制御を調整する工程と、をさらに含み得る。また、バルブ装置の制御も、さらなる打撃プロセスの間、電流センサ信号に部分的に基づいて調整されてもよい。これにより、打撃プロセス中のバルブ作動のタイミングが、本装置の温度や経年などの状況を考慮して、正確になり得る。
【0052】
また、上記目的は、請求項23に記載のコンピュータプログラム、請求項24に記載のコンピュータ可読媒体、または請求項25に記載の制御ユニットによっても達成される。制御ユニットは、単一の物理的ユニットとして、または、互いに通信するように構成された複数のユニットとして、提供され得る。
【0053】
いくつかの実施形態では、前記方法は、制御ユニットによって制御され得るものの、他の実施形態では、前記方法は、機械的に制御されてもよいことに留意されたい。例えば、前記方法は、駆動ユニットを加工材料に向かって付勢するように第1チャンバを油圧で加圧する工程を含み得る。前記方法は、工具が加工材料を打撃する前に駆動ユニットを減速するために、駆動ユニットの一部が制動チャンバに入るようにする工程と、それによって作動油を制動チャンバに閉じ込めるようにする工程と、をさらに含み、それによって、前記閉じ込められた作動油の圧力が上昇して駆動ユニットを減速させるようにしてもよい。このような実施形態では、第1チャンバに向かう作動油の移動が低減されるように油圧システムを制御する工程は、省略し得る。
【0054】
また、上記目的は、請求項40~46のいずれか一項に記載の装置によっても達成される。したがって、本発明の実施形態は、工具および駆動ユニットによる高速成形および/または切削のための装置であって、前記工具が加工材料を打撃して前記加工材料を成形または切削するように前記駆動ユニットを動かして前記工具に運動エネルギーを提供するように構成された前記装置において、前記装置が、前記工具が、前記駆動ユニットの前記加速の少なくとも大部分の間、前記駆動ユニットと接触するように構成されている、前記装置も提供する。このような装置の利点は、本発明に係る方法の上記説明から理解される。いくつかの実施形態では、工具は、駆動ユニットから分離可能である。工具は、駆動ユニットの加速を伴う加工材料打撃プロセスの間、駆動ユニットから分離するように構成され得る。工具は、工具が加工材料を打撃する前に、駆動ユニットから分離するように構成され得る。示唆したように、駆動ユニットは、プランジャであってもよい。
【0055】
示唆したように、好ましくは、前記装置は、前記工具が前記加工材料を打撃する前に、前記工具が前記駆動ユニットから分離するよう、前記駆動ユニットを減速するように構成されている。好ましくは、案内装置が、前記工具が前記駆動ユニットから分離した後、前記工具を前記加工材に向かって案内するように構成されている。好ましくは、前記駆動ユニットは、油圧システムによって駆動されるように構成され、前記装置は、前記減速のために、前記駆動ユニットの一部が制動チャンバ(15)に入るようにし、それによって前記制動チャンバに作動油を閉じ込めるようにするように構成されている。駆動ユニットの前記一部は、腰部であってもよい。したがって、駆動ユニットを油圧システムによって駆動されるように構成してもよい。この場合、駆動ユニットには腰部が設けられ、前記装置は、減速のために、腰部が制動チャンバに入るようにし、それによって作動油が制動チャンバに閉じ込められるように構成される。
【0056】
本発明の一態様は、工具および駆動ユニットによる材料成形および/または切削のための方法であって、前記工具が加工材料を打撃して前記加工材料を成形および/または切削するように前記駆動ユニットを作動させて前記工具に運動エネルギーを提供する工程を含み、前記工具は、前記加工材料を打撃する前に、前記駆動ユニットから動作可能に切り離される、前記方法を提供する。駆動ユニットは、工具を電磁気的に駆動するように構成することができる。駆動ユニットは、工具を駆動するための磁場を提供するように構成された電磁スプールを有することができる。工具を駆動ユニットから動作可能に切り離すことは、電磁場を取り除くように電磁スプールを制御する(例えば、解放する)ことを含むことができる。他の実施形態では、駆動ユニットを作動させることは、上記例示のように、駆動ユニットを動かすことを含むことができる。
【0057】
また、本発明は、工具およびプランジャによる材料成形および/または切削のための方法であって、前記工具が加工材料を打撃して前記加工材料を成形および/または切削するように前記プランジャを加速させて前記工具に運動エネルギーを提供する工程を含み、前記方法の各工程は、加工材料打撃プロセスの一部をなし、前記プランジャは、前記プランジャを前記加工材料に向かって油圧で付勢する第1チャンバと、前記第1チャンバ内の圧力を制御するバルブ装置とを有する油圧システムによって駆動されるように構成され、前記方法は、前記プランジャの位置、前記プランジャの速度、前記プランジャの加速度、前記工具の位置、前記工具の速度、前記工具の加速度、前記第1チャンバ内の圧力、前記バルブ装置の1つ以上の応答時間、周囲温度、および前記油圧システムの作動油の温度のうちの1つ以上を示す信号を受信する工程を含み、前記方法は、少なくとも1つの加工材料打撃プロセスの間に受信された信号のうちの少なくともいくつかを記憶する工程、および/または、少なくとも1つの加工材料打撃プロセスの間に受信された信号のうちの少なくともいくつかを処理した結果として提供されるデータを記憶する工程と、さらなる打撃プロセスのために、前記記憶した信号および/または前記記憶したデータに少なくとも部分的に基づいて、前記バルブ装置の制御を調整する工程と、をさらに含む、前記方法も提供する。
【0058】
本発明のさらなる利点および有益な特徴は、以下の説明および従属請求項に開示されている。
【図面の簡単な説明】
【0059】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。
【0060】
図1】本発明の一実施形態による高速材料成形および/または切削のための装置を示す図である。
図2図1の装置の打撃プロセスの工程を示すフロー図である。
図3】本発明の他の実施形態による高速材料成形および/または切削のための装置を示す図である。
図4】本発明のさらに他の実施形態による高速材料成形および/または切削のための装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0061】
図1は、本発明の一実施形態による高速材料成形および/または切削のための装置を示す。本装置は、フレーム7を有する。フレームは、複数の支持装置10によって支持されている。フレームには、アンビル6が固定されている。本実施形態では、アンビル6は、フレーム7の最上部に固定されている。
【0062】
アンビルには、工具(本明細書では固定工具5と呼ぶ)が取り付けられている。固定工具5は、アンビル6の下側に取り付けられている。後述する可動工具4は、固定工具5の下方に位置している。工具4、5は、互いに対向する相補的な表面を呈する。固定工具5には、ワークピースWが着脱自在に取り付けられる。ワークピースWは、任意の適切な方法で、例えば、クランプによって、または真空によって、固定工具5に取り付けられ得る。ワークピースWは、いろいろな種類のもの、例えば、金属シート片とすることができる。可動工具4は、本明細書では第1工具とも呼ばれる。固定工具5は、本明細書では第2工具とも呼ばれる。いくつかの実施形態では、第2工具5も可動とすることができることに留意されたい。
【0063】
図1に示す実施形態では、シリンダハウジング2を有する駆動アセンブリがフレーム7に取り付けられている。また、駆動アセンブリは、シリンダハウジング2内に配置された駆動ユニット(以下、プランジャ1と呼ぶ)を有する。プランジャ1は、細長く、以下の説明から理解されるように、その縦軸に沿って幅が変化している。好ましくは、プランジャのどの断面も円形である。プランジャ1は、以下に詳述するように、固定工具5に近づいたり離れたりするように構成されている。
【0064】
駆動ユニットを移動または加速して工具を加速することによって工具4に運動エネルギーを提供する前に、工具は、加工材料Wから少なくとも5mmの距離に配置され得る。好ましくは、工具は、加工材料Wから少なくとも8mmの距離にある。最も好ましくは、工具は、加工材料Wから少なくとも12mmの距離にある。
【0065】
プランジャ1は、油圧システムによって駆動されるように構成されている。油圧システムは、プランジャをワークピースに向かって付勢する第1チャンバ17と、プランジャをワークピースから離すように付勢する第2チャンバ18とを有する。第1チャンバおよび第2チャンバは、シリンダハウジング2およびプランジャ1によって形成されている。この例では、ワークピースは、プランジャの上方にある。したがって、この例では、第1チャンバ17は、第2チャンバ18の下にある。
【0066】
油圧システムは、当該システム内の作動油の圧力を、本明細書でシステム圧力pSと呼ぶ圧力まで増加させるための油圧ポンプ16を有する。油圧システムは、さらに、油圧ポンプ16の下流に逆止弁161を有する。第2チャンバ18は、システム圧力pSに常時接続されている。油圧アキュムレータ13は、作動油をシステム圧力で貯蔵するように構成されている。以下の説明から理解されるように、アキュムレータ13は、プランジャの加速時に第1チャンバ内の圧力を急激に上昇させるために設けられている。
【0067】
油圧システムは、さらに、バルブ装置を有する。バルブ装置は、第1バルブ11と、第2バルブ12を有する。第1バルブ11は、第1チャンバ17および第2チャンバ18に接続されている。また、第2バルブ12も、第1チャンバ17および第2チャンバ18に接続されている。バルブ装置は、電子制御ユニットCUによって制御可能である。バルブ11、12は、後述する工程を提供するために、複数の位置を取るように構成されている。ここで、バルブ装置11、12は、第1チャンバ17および第2チャンバ18と連通しない位置を取ることができることに留意されたい。バルブには、エンドブッシングの漏れに対するドレン装置を設けてもよい。
【0068】
両端で、シリンダハウジングおよびプランジャは、アキシャルスライドベアリング21、22を形成する。これにより、前記ベアリングの一方21は、第1チャンバ17の境界を定め、本明細書では第1チャンバベアリング21と呼ぶ。前記ベアリングの他方22は、第2チャンバ18の境界を定め、本明細書では第2チャンバベアリング22と呼ぶ。第1ベアリング21および第2ベアリング22には、それぞれ、ドレン管9が設けられている。第1チャンバ17と第2チャンバ18の間には、シリンダハウジングおよびプランジャによって、中間アキシャルスライドベアリング23が形成されている。ベアリング21、22、23によって、シリンダハウジング2に対するプランジャ1の軸方向移動が可能になる。
【0069】
3つのベアリング21、22、23は、プランジャの移動方向と平行な方向から見て、円形である。また、これらのベアリングは、互いに異なる直径を有する。より一般的に、これらのベアリングは、互いに異なる面積を有する。すなわち、これらのベアリングの円形形状がなす円は、互いに異なる面積を有する。その結果、第1チャンバおよび第2チャンバにおけるプランジャ1の実効面積は異なっている。この例では、中間ベアリング23の面積A23は、第2ベアリング22の面積A22よりも大きい。次に、第2ベアリング22の面積A22は、第1ベアリング21の面積21よりも大きい。これにより、プランジャ1を静止位置に保つために、第2チャンバ内のシステム圧力をpS、第1チャンバ内の調整圧力をpAとして、調整圧力pAは、
pA*(A23-A21)=pS*(A23-A22)+mp*g
となるようにしなければならない。ここで、mpは、プランジャの質量であり、gは、重力加速度である。
【0070】
図2にも言及すると、図2は、ワークピースWおよび固定工具5に対する可動工具4の打撃を伴う、図1の装置の打撃プロセスの工程を示している。
【0071】
打撃前に、可動工具4は、プランジャ1の上に載っているS1。また、打撃前に、可動工具4は、固定工具5から少し離れている。これにより、プランジャ1および可動工具4は、それぞれ、本明細書において開始位置と呼ばれる位置にあるS1。
【0072】
この例では、第1バルブ11は、4方3位置弁である。打撃前に、第1バルブ11は、閉じている。また、打撃前に、第2チャンバ18は、システム圧力pSを受けている。同時に、上記のように、プランジャ1を定位置に保つために、第2バルブ12を使用して第1チャンバ17内の調整圧力pAを制御する。好ましくは、第2バルブ12は、比例弁である。プランジャ1を静止状態に保つためには、第1チャンバ17の調整圧力pAをシステム圧力pSよりも低くすればよいと理解されている。これにより、プランジャは、その開始位置に保たれ得る。
【0073】
プランジャ1の加速は、プランジャ1の開始位置およびシステム圧力pSを調整することによって影響される。
【0074】
可動工具4による打撃が行われる前に、ワークピースWを固定工具5に固定するS2。開始位置において可動工具4はワークピースWから少し離れていると理解されている。
【0075】
打撃を開始するとき、第1バルブ11および第2バルブ12をそれぞれの位置に移動させる。この位置では、システム圧力pSを有する各ポートPが、第1チャンバ17に接続された各ポートAと接続する。また、第1バルブ11では、上記位置において、システム圧力pSを有するポートBが、第1チャンバ17に接続されたポートTに接続している。その結果、プランジャ1は、可動工具4と共に、ワークピースWに向かって加速することになるS3。これにより、作動油は、第2チャンバ18から、また、アキュムレータ13から、第1チャンバ17に流れることになる。一方、第2チャンバ18には、システム圧力pSが提供される。プランジャを移動させる力Fは、
F=pS*(A22-A21)-mp*g
として表すことができる。ここで、A21およびA22は、それぞれ、上記のように、第1ベアリング21および第2ベアリング22の面積である。
【0076】
加速中、可動工具4は、プランジャ1の上に静止したままである。これにより、プランジャおよび可動工具は、同じ同時加速で加速される。
【0077】
その後、プランジャ1を減速させるS4、つまり制動する。プランジャの減速は、可動工具4がワークピースWに到達する前に開始される。プランジャを減速させるために、第1バルブ11は、閉位置に移動させる。また、プランジャを減速させるために、第1チャンバ17に向かう作動油の移動が減少するように第2バルブ12を制御する。これにより、第2バルブ12は、第1チャンバ17に向かう作動液の移動が比較的少なくなるように制御される。しかし、第2バルブ12の当該制御は、第1チャンバ17に向かう作動油の移動が作動油のキャビテーションを回避するのには十分高いようなものである。
【0078】
減速中、第2チャンバ18は、システム圧力pSに接続されたままである。プランジャ1には腰部14が設けられている。この腰部14は、第2チャンバ18の端部にある制動チャンバ15に入るように構成されている。この例では、制動チャンバ15は、第2チャンバ18の上端部に形成されている。これにより、プランジャを減速させるために、腰部14が制動チャンバ15に入る。これによって作動油が制動チャンバ内に閉じ込められ、この閉じ込められた作動油の圧力が上昇してプランジャ1を制動する働きをすることになる。これにより、プランジャの速度がゼロに低減され得る。
【0079】
プランジャの減速が始まると、可動工具4をプランジャ1から分離するS5。可動工具は、その慣性によって、ワークピースWに向かって進み続けるS5。本発明の実施形態において、この段階での可動工具4の速度は、例えば、1~20m/sであってもよい。この段階での可動工具4の速度は、例えば、10m/sを超えていてもよく、または12m/sを超えていてさえもよい。可動工具4の速度は、選択され得る。可動工具4の速度は、打撃プロセスを最適化するように選択され得る。
【0080】
可動工具4の経路は、案内装置3によってコントロールされるS5。この例では、案内装置は、可動工具4に固定された複数のピンを有する。ピンは、可動工具から、フレーム7の各開口を通って伸張している。
【0081】
その後、可動工具がワークピースに衝突しS6、可動工具4の運動エネルギーによってワークピースWが可動工具4と固定工具5の間で成形される。
【0082】
ワークピースの成形が終了すると、可動工具4は跳ね返る。ワークピースの成形が終了すると、可動工具4は、プランジャ1に向かって落下するS7と理解されている。これにより、可動工具は、案内装置3によって案内されることになる。
【0083】
可動工具4がプランジャ1に近づくにつれて、可動工具4の戻り動作を制動するために、減衰装置8が設けられている。この例では、減衰装置は、プランジャ1に取り付けられたダンパ有する。ダンパは、プランジャの最上端に取り付けられている。ダンパは、任意の適切な種類、例えば、油圧式または空気圧式であってもよい。これに代えて、または、これに加えて、ダンパは、板ばねのような弾性要素を有してもよい。いくつかの実施形態では、減衰装置は、可動工具に取り付けられたダンパから成り得る。さらなる実施形態では、減衰装置は、フレーム7に取り付けられたダンパから成り得る。減衰装置は、可動工具の戻り動作を効果的に減衰させるS8。また、減衰装置は、可動工具の戻り動作の終わりにおける可動工具の跳ね返りを防止し得る。これにより、可動工具4は、制御された方法で、プランジャの上に戻され得る。
【0084】
プランジャ1が停止されると、第1バルブ11は閉じられる。これにより、第2チャンバは、まだシステム圧力pSを受けている。同時に、第2バルブ12を使用して第1チャンバ17内の調整圧力pAを制御して、プランジャ1を開始位置に戻すようにするS9。この開始位置から、プランジャの次の加速を開始させることができる。
【0085】
いくつかの実施形態では、工具は、ワークピースの成形後で、且つ、プランジャが開始位置に戻されるS9前に、プランジャと接触する。しかし、他の実施形態では、プランジャ1は、ワークピースの成形後に工具がプランジャと接触する前に、開始位置に戻されてもよいS9。さらなる実施形態では、プランジャ1は、ワークピースの成形後に工具がプランジャと接触する前に、開始位置に向かう途中まで戻されてもよい。
【0086】
制御ユニットCUは、1つ以上のセンサ(図示せず)から信号を受信するように構成されている。これにより、制御ユニットCUによって受信された信号は、プランジャの位置、プランジャの速度、プランジャの加速度、可動工具の位置、可動工具の速度、可動工具の加速度、調整圧力pA、バルブ装置11、12の応答時間、および周囲気温のうちの1つ以上を示し得る。
【0087】
制御ユニットCUは、少なくとも1つの打撃プロセスの間に受信された信号、好ましくは複数の打撃プロセスの間に受信された信号、より好ましくは全ての打撃プロセスの間に受信された信号を登録および/または処理するように構成されている。処理された信号または処理されていない信号は、打撃プロセスの履歴データを形成するために記憶される。
【0088】
また、制御ユニットCUは、打撃プロセスのために、または打撃プロセスの間、履歴データおよび電流センサ信号に基づいて、バルブ装置11、12の制御を調整するように構成されている。これにより、打撃プロセス中のバルブ作動のタイミングが、本装置の温度や経年などの状況を考慮して、正確になり得る。
【0089】
なお、本発明は、上述しまた図面に示した実施形態に限定されないと理解されたい。むしろ、当業者は、多くの変更および改変が添付の特許請求の範囲内でなされ得ることを認識するであろう。
【0090】
図3は、本発明の他の実施形態による高速材料成形および/または切削のための装置を示す。図1に示して説明した特徴に対応する特徴については、同じ参照番号を使用する。
【0091】
本明細書で固定工具(図示せず)と呼ぶ工具は、アンビル6に取り付けることができる。固定工具は、アンビル6の下側に取り付けることができる。以下に詳述する可動工具4は、固定工具の下方に配置されている。工具は、互いに対向する相補的な表面を呈する。ワークピースWは、固定工具に着脱自在に取り付けられる。ワークピースWは、任意の適切な方法で、例えば、クランプによって、または真空によって、固定工具に取り付け得る。ワークピースWは、いろいろな種類のもの、例えば、金属シート片とすることができる。可動工具4は、本明細書では第1工具とも呼ばれる。固定工具は、本明細書では第2工具とも呼ばれる。いくつかの実施形態では、第2工具も可動とすることができることに留意されたい。
【0092】
シリンダハウジング2を有する駆動アセンブリが、フレーム(図示せず)に取り付けられている。また、駆動アセンブリは、シリンダハウジング2内に配置された駆動ユニット(以下、プランジャ1と呼ぶ)を有する。プランジャ1は、細長く、以下の説明から理解されるように、その縦軸に沿って幅が変化している。好ましくは、プランジャのどの断面も円形である。プランジャ1は、以下に詳述するように、固定工具に近づいたり離れたりするように構成されている。
【0093】
駆動ユニットを移動または加速して工具を打撃することによって工具4に運動エネルギーを提供する前に、工具は、加工材料Wから少なくとも3mmの距離に配置され得る。好ましくは、工具は、加工材料Wから少なくとも5mmの距離にある。最も好ましくは、工具は、加工材料Wから少なくとも8mmの距離にある。
【0094】
プランジャ1は、油圧システムによって駆動されるように構成されている。図1を参照して説明した実施形態と同様に、油圧システムは、プランジャをワークピースに向かって付勢する第1チャンバと、プランジャをワークピースから離すように付勢する第2チャンバとを有する。第1チャンバおよび第2チャンバは、シリンダハウジング2およびプランジャ1によって形成されている。
【0095】
図3に示す駆動装置に対しては、図1に示す実施形態に関して上述した油圧システムを適用し得る。
【0096】
可動プランジャはワークピースWに向かって駆動されるため、プランジャは、工具4を打撃する。
【0097】
図1の実施形態と同様に、減速中、第2チャンバは、システム圧力に接続されたままである。プランジャ1には腰部14が設けられている。この腰部14は、第2チャンバの端部にある制動チャンバ15に入るように構成されている。これにより、プランジャを減速させるために、腰部14が制動チャンバ15に入る。これによって作動油が制動チャンバ内に閉じ込められ、この閉じ込められた作動油の圧力が上昇してプランジャ1を制動する働きをすることになる。これにより、プランジャの速度がゼロに低減され得る。
【0098】
プランジャ1が工具4を打撃すると、工具4は、プランジャ1から分離され得る。この打撃は、プランジャ1を減速させる働きをし得る。プランジャの減速が始まると、可動工具4は、プランジャ1から分離される。可動工具は、その慣性によって、ワークピースWに向かって進み続ける。
【0099】
図1の実施形態と同様に、可動工具4の経路は、案内装置によってコントロールされる。案内装置は、可動工具4に固定された複数のピンを有し得る。ピンは、可動工具から、フレームの各開口を通って伸張している。
【0100】
可動工具4の経路をコントロールするための案内装置は、図3に示す実施形態には示されていない。図3に示す実施形態では、工具4は、駆動ユニット1の移動によって工具4に運動エネルギーを提供する前に、好ましくは前記案内装置によってコントロールされて、静止しているように構成されている。本装置は、この静止している工具4を駆動ユニット1で打撃することによって工具4に運動エネルギーを提供するよう駆動ユニット1を移動させるように構成されている。
【0101】
図4は、本発明のさらに他の実施形態による高速材料成形および/または切削のための装置を示す。図1および図3に示して説明した特徴に対応する特徴については、同じ参照番号を使用する。
【0102】
本明細書では固定工具(図示せず)と呼ぶ工具は、アンビル6に取り付けることができる。固定工具は、アンビル6の下側に取り付けることができる。以下に詳述する可動工具4は、固定工具の下方に配置されている。工具は、互いに対向する相補的な表面を呈する。ワークピースWは、固定工具に着脱自在に取り付けられる。ワークピースWは、任意の適切な方法で、例えば、クランプによって、または真空によって、固定工具に取り付け得る。ワークピースWは、いろいろな種類のもの、例えば、金属シート片とすることができる。可動工具4は、本明細書では第1工具とも呼ばれる。固定工具は、本明細書では第2工具とも呼ばれる。いくつかの実施形態では、第2工具も可動とすることができることに留意されたい。
【0103】
図4の実施形態では、駆動ユニットは、ロータ102に固定された突出部101を有する回転ユニット1である。突出部101は、ロータの回転によって回転して工具4に運動エネルギーを提供する。このようにして、突出部は、回転毎に繰り返し工具4を打撃する。
【0104】
可動工具4の経路をコントロールするための案内装置は、図4に示す実施形態には示されていないが、図1に示すのと同様の案内装置を使用することができる。図4に示す実施形態では、工具4は、回転ユニット1の動作によって工具4に運動エネルギーを提供する前に、好ましくは前記案内装置によってコントロールされて、静止しているように構成されている。本装置は、回転ユニット1の周辺から突き出た突出部で工具4を打撃することによって工具4に運動エネルギーを提供するよう回転ユニット1を動作させるように構成されている。ロータに固定された突出部を有する回転ユニットが回転を続けると、可動工具4は、ロータの突出部から分離される。可動工具4は、その慣性によって、ワークピースWに向かって進み続ける。したがって、工具4は、ワークピースWを打撃する前に、回転ユニット1から動作可能に切り離される。工具4は、突出部がロータの次の回転において工具を再度打撃する状態にある位置にあるとき、好ましくは上記の案内装置によってコントロールされて、定位置に戻される。突出部は、回転ユニットが制御された方法で停止されるまで、回転毎に繰り返し工具4を打撃する。
図1
図2
図3
図4