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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-05
(45)【発行日】2024-03-13
(54)【発明の名称】太陽光発電パネル設置台
(51)【国際特許分類】
   E04D 13/18 20180101AFI20240306BHJP
   H02S 20/24 20140101ALI20240306BHJP
【FI】
E04D13/18 ETD
H02S20/24
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022144559
(22)【出願日】2022-09-12
(65)【公開番号】P2023058430
(43)【公開日】2023-04-25
【審査請求日】2022-11-11
(31)【優先権主張番号】P 2021168450
(32)【優先日】2021-10-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】521390914
【氏名又は名称】株式会社エールケンフォー
(74)【代理人】
【識別番号】100092598
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 伸一
(72)【発明者】
【氏名】中村 健治
【審査官】河内 悠
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-087560(JP,A)
【文献】特開2019-004545(JP,A)
【文献】特開2019-094613(JP,A)
【文献】特開2016-214063(JP,A)
【文献】特開2016-166527(JP,A)
【文献】特開2019-056276(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0074300(US,A1)
【文献】特開2001-152619(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第02498023(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04D 13/18
H02S 20/00-20/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
設置面に固定する底辺レールと、その底辺レールに対して前方に向けて下方傾斜状に取り付けられる斜辺レールと、前記底辺レールと前記斜辺レールを連結する連結金具を備える枠部材を左右に複数配置し、
その左右の前記枠部材は、棒状の連結部材で連結され、
前記複数の枠部材の左右両端に位置する枠部材の外側には側面パネル部材が取り付けられ、
前記複数の枠部材の前面側には前面パネル部材が取り付けられ、
前記複数の枠部材の後面側には背面パネル部材が取り付けられ、
それら各パネル部材により四方の周囲が閉塞されるようにし、その閉塞された周囲の下端縁は、前記設置面に隙間なく接することができるように構成し、
前記隣接する枠部材の前記斜辺レール間に太陽光発電パネルが取り付けられるように構成し、
前記背面パネル部材は、前記設置面に対して直交状態で起立配置して揚力が発生しないように構成した太陽光発電パネル設置台。
【請求項2】
前記連結部材は、前記底辺レールを接続するとともに、前後方向に複数本配置され、
後方側に配置される前記連結部材は、前記底辺レールの後端部位に接続されるようにし、
前記背面パネル部材の下端縁部位は、その後端部位に接続される前記連結部材に固定部材を介して固定される請求項1に記載の太陽光発電パネル設置台。
【請求項3】
前記背面パネル部材は、複数枚を左右に配置し、隣接する前記背面パネル部材の側縁同士を、重ね合わせるとともに固定部材で固定するようにした請求項1に記載の太陽光発電パネル設置台。
【請求項4】
前記連結金具は、高さ調整可能に構成し、前記底辺レールと前記斜辺レールのなす角を変更可能に構成する請求項1に記載の太陽光発電パネル設置台。
【請求項5】
前記枠部材の後方側に、拡張用枠部材を連結可能にし、
前記拡張用枠部材は、拡張用底辺レールと、その拡張用底辺レールに対して前方に向けて下方傾斜状に取り付けられる拡張用斜辺レールと、前記拡張用底辺レールと前記拡張用斜辺レールを連結する連結金具を備え、
前記底辺レールと前記拡張用底辺レールの端面同士を接近させた状態で連結する第1連結手段と、
前記斜辺レールと前記拡張用斜辺レールの端面同士を接近させた状態で連結する第2連結手段とを備える請求項1から4のいずれか1項に記載の太陽光発電パネル設置台。
【請求項6】
前記第1連結手段は、前記底辺レールと前記拡張用底辺レールが同一直線上の姿勢と、所定角度で傾斜した状態の姿勢のいずれも取り得るようにし、
前記第2連結手段は、前記斜辺レールと前記拡張用斜辺レールを同一直線上に配置する請求項5に記載の太陽光発電パネル設置台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光発電パネルを取り付ける太陽光発電パネル設置台に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ビル屋上に太陽光発電システムを設置する技術として、例えば特許文献1に開示された「太陽光発電パネル設置台」がある。この太陽光発電パネル設置台は、図1に示すように矩形棒状のベース部材1の上に組み立てた所定形状の骨組材の上面に太陽光発電パネル2を取り付けるとともに、骨組材の左右両側には側面カバー3を取り付け、骨組材の前側には前面傾斜カバー(特許文献では「下部傾斜カバー」と称されている)4を取り付け、骨組材の後側には後面傾斜カバー(特許文献1では、「上端傾斜カバー」と称されている)5を取り付け、骨組材の全体を覆う形状を有する。また、骨組材は、前側より後側が徐々に高くなるように構成され、これにより、太陽光発電パネル2は、後側から前側に向けて下方傾斜状に配置される。
【0003】
特許文献1に記載された発明に関連する製品では、例えば、後方から風が吹き付けると、後面傾斜カバー5に沿って一旦上方移動し、その後、太陽光発電パネル2に沿って斜め下方前方に向けて移動する。一方、前方からの風は、緩やかな傾斜状の太陽光発電パネル2に沿うように上方移動する。その結果、かかる風の流れに伴い、下向きの荷重が発生し、太陽光発電パネル設置台の浮き上がりが防止されると言われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第6219450号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、ベース部材1の上に骨組材を取付けており、図1に示す斜視図からも明らかなように、ベース部材1と非接触の前面傾斜カバー4の下端縁の下方には少なくともベース部材1の厚さ分の隙間が生じている。そして、特許文献1では図示されていないが、各図の記載から後面傾斜カバー5側から見た背面図は、図2(b)のようになり、後面傾斜カバー5の下端縁の下方も隣接するベース部材1間の区間で隙間が生じている。
【0006】
その結果、図2(c)に示すように、後方から太陽光発電パネル設置台に向かって風が吹き付けると、後面傾斜カバー5に沿って一旦上方移動し、その後、太陽光発電パネル2に沿って斜め下方前方に向けて移動して前方側に抜ける。また、風の一部は、後面傾斜カバー5の下方の隙間内を通り、太陽光発電パネル設置台の内部に進入し、前面パネル部材12の下方の隙間から前方外部に抜ける。
【0007】
このように太陽光発電パネル設置台が、その後方から風を受けると、上面側と下面側に分かれてそれぞれ移動し、前端側に至る。そして、太陽光発電パネル設置台は、図2(a),(c)に示すように、下面側は平坦で、上面側は風の流れの方向に沿って斜め上方に向けて傾斜する後面傾斜カバー5と、その後面傾斜カバー5の上端から前方に向けて下方傾斜する太陽光発電パネル2からなる上に凸の前後に傾斜する山型状の部分を有し、航空機に広く利用されていた翼型の一種である「クラークY」に類する形態となっている。これらのことから、隙間から太陽光発電パネル設置台の内部に風が流れ込むと、その上下両面側で風の流れが発生し、クラークY翼現象により例えば後面傾斜カバー5や太陽光発電パネル2には大きな揚力が働く。そして、風力が一定以上になると、揚力により太陽光発電パネル設置台の一部または全部が浮き上がり、設置面Gから離反してしまうおそれがある。
【0008】
特に、太陽光発電パネル設置台の全体が設置面Gから外れることはなくても、各部材の取付強度のばらつきや、形状のばらつきなどから、強度の弱い部分が破損・損傷し、例えば、後面傾斜カバー5が剥がれたり、一部の太陽光発電パネル2が骨組材から離脱して飛散したりするおそれがある。
【0009】
また、後面傾斜カバーの下端縁を延長して設置面に接するように配置するようにしたとしても、その下端縁と設置面との間に生じる隙間から太陽光発電パネル設置台内に風が入り込むと、上述した問題が生じる。
【0010】
また、特許文献1に開示された太陽光発電パネル設置台は、9枚の太陽光発電パネル2を3×3の配列で取り付けるようにしている。1枚の太陽光パネルの寸法サイズにもよるが、前後に配置する太陽光パネルの数が増えるほど、前後長が長くなる。すると、1本のベース部材1の全長も長くなる。一方、例えば太陽光発電パネル設置台を建物の屋上に設置する場合、設置面となる屋上は、例えば陸屋根であっても全面に亘り完全に水平とは限らず、1方のベース部材が長くなるほど、両端を屋上の設置面に接触させるとその中間地点で隙間が生じるおそれが出てくる。その結果、ベース部材の全面で荷重を支えることができなくなる。
【0011】
上述した課題はそれぞれ独立したものとして記載しているものであり、本発明は、必ずしも記載した課題の全てを解決できる必要はなく、少なくとも一つの課題が解決できればよい。またこの課題を解決するための構成についても単独で分割出願・補正等により権利取得する意思を有する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
従来の太陽光発電パネル設置台は、背面に設けるパネル部材を前方に向けて上昇するように傾斜させることとで、後方からの風があっても太陽光発電パネル設置台を下方に抑えつけることができるという考えに立って設計されていた。本発明は係る固定概念を捨てることで、安定して設置できる太陽光発電パネル設置台を創案したものである。
【0013】
そして上述した課題を解決するために、本発明の太陽光発電パネル設置台は、(1)設置面に固定する底辺レールと、その底辺レールに対して前方に向けて下方傾斜状に取り付けられる斜辺レールと、前記底辺レールと前記斜辺レールを連結する連結金具を備える枠部材を左右に複数配置し、その左右の前記枠部材は、棒状の連結部材で連結され、前記複数の枠部材の左右両端に位置する枠部材の外側には側面パネル部材が取り付けられ、前記複数の枠部材の前面側には前面パネル部材が取り付けられ、前記複数の枠部材の後面側には背面パネル部材が取り付けられ、それら各パネル部材により四方の周囲が閉塞されるようにし、その閉塞された周囲の下端縁は、前記設置面に隙間なく接することができるように構成し、前記隣接する枠部材の前記斜辺レール間に太陽光発電パネルが取り付けられるように構成し、前記背面パネル部材は、前記設置面に対して所定角度で起立配置して揚力が発生しないように構成した。
【0014】
このようにすると、設置した状態の太陽光発電パネル設置台は、設置面との間に隙間がないため、周囲の風が太陽光発電パネル設置台の下面側に進入することを抑制できる。その結果、例えば後方側から背面パネル部材に風が吹き付けても風の流れは上面側だけとなり太陽光発電パネル設置台に対して揚力が発生しない。また、仮にかかる風が太陽光発電パネル設置台の内部に進入するようなことがあっても、背面パネル部材は設置面に対して揚力が発生しない所定角度で起立配置しているため、背面パネル部材を前方に付勢する力が発生するだけで揚力が発生しない。よって、例えばパネルが剥がれるなど太陽光発電パネル設置台の一部が損傷したり、太陽光発電パネル設置台が設置面から外れたりしてしまう事態を抑制できる。連結部材は、実施形態ではクロス材14に対応する。(2)前記背面パネル部材は、前記設置面に対して直交状態で起立配置されるとよい。
【0015】
(3)前記前面パネル部材は、前記設置面に対して所定角度で起立配置して揚力が発生しないように構成するとよく、例えば直交状態で起立配置されるようにするとより好ましい。太陽光発電パネルを取り付ける斜辺レールは、前方に向けて下方傾斜状になっているため、背面パネル部材に比べて前面パネル部材の高さは低く、仮に斜めになっていて、何かしらの原因で太陽光発電パネル設置台の内部に風が進入しても太陽光発電パネル設置台を持ち上げるほどの揚力は発生しないが、所定角度で起立配置すると、背面パネル部材と同様により確実に揚力の発生を抑止できる。
【0016】
(4)前記連結部材は、前記底辺レールを接続するとともに、前後方向に複数本配置され、後方側に配置される前記連結部材は、前記底辺レールの後端部位に接続されるようにし、前記背面パネル部材の下端縁部位は、その後端部位に接続される前記連結部材に固定部材を介して固定されるように構成するとよい。このようにすると、背面パネル部材がよりしっかりと固定される。固定部材は、例えばリベットやタッピングビスなどを用いるとよい。
【0017】
(5)前記背面パネル部材は、複数枚を左右に配置し、隣接する前記背面パネル部材の側縁同士を、重ね合わせるとともに固定部材で固定するようにするとよい。このようにすると、太陽光発電パネルの配置枚数、レイアウトが異なる場合にも、背面パネル部材の共通化が図れるとともに、1枚の背面パネル部材の長さが短くなり、強度が増し、めくれたり剥がれたりするのが可及的に抑止できる。
【0018】
(6)前記連結金具は、高さ調整可能に構成し、前記底辺レールと前記斜辺レールのなす角を変更可能に構成するとよい。このようにすると、設置面が例えば地面に対して水平でないような場所に設置する場合にも、太陽光発電パネル11を所定の角度に取り付けることができる。また、複数の枠部材を固定する位置が、同一平面上にない場合にも、個々の枠部材における底辺レールと斜辺レールのなす角を調整することで、太陽光発電パネルは同一平面上に配置することができる。高さ調整は、例えば上下方向に昇降するような構成にしてもよいが、実施形態のように下側脚部と上側脚部のなす角を変更可能にすると、簡単な構成で実現でき、高さ調整も連続的に行えるのでよい。
【0019】
(7)前記枠部材の後方側に、拡張用枠部材を連結可能にし、前記拡張用枠部材は、拡張用底辺レールと、その拡張用底辺レールに対して前方に向けて下方傾斜状に取り付けられる拡張用斜辺レールと、前記拡張用底辺レールと前記拡張用斜辺レールを連結する連結金具を備え、前記底辺レールと前記拡張用底辺レールの端面同士を接近させた状態で連結する第1連結手段と、前記斜辺レールと前記拡張用斜辺レールの端面同士を接近させた状態で連結する第2連結手段とを備えるとよい。このようにすると、例えば前後方向に多数の太陽光発電パネルを設置するのに適する。
【0020】
(8)前記第1連結手段は、前記底辺レールと前記拡張用底辺レールが同一直線上の姿勢と、所定角度で傾斜した状態の姿勢のいずれも取り得るようにし、前記第2連結手段は、前記斜辺レールと前記拡張用斜辺レールを同一直線上に配置するとよい。このようにすると、例えば取り付け箇所で前後方向での平行度がとれないような場所でも底辺レールと拡張用底辺レールは、それぞれしっかりと設置面に取り付けるとともに、斜辺レールと拡張用斜辺レールは同一線上に配置することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、例えば以下に示すいずれか一つの効果或いは複数の効果を奏する。例えば、太陽光発電パネル設置台に揚力が加わるのを可及的に抑制でき、パネル部材が剥がれたり、外れたりするのを可及的に抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】従来例を示す図(その1)である。
図2】従来例を示す図(その2)である。
図3】本発明に係る太陽光発電パネル設置台の好適な第1実施形態の使用状態を示す斜視図である。
図4】(a)は枠部材13をクロス材14で連結した構造体を示す図であり、(b)はパネル部材の一部を取り外した状態の太陽光発電パネル設置台の一部を拡大して示す図である。
図5】枠部材の一例を示す図である。
図6】枠部材の後端側を示す図である。
図7】枠部材の前端側を示す図である。
図8】枠部材の後端縁部にクロス材を連結する構成を説明する図である。
図9】枠部材の前方側にクロス材を連結する構成を説明する図である。
図10】太陽光発電パネルを取り付ける構造を説明する図である。
図11】前面パネル部材を取り付ける構造を説明する図である。
図12】前面パネル部材を取り付ける構造を説明する図である。
図13】側面パネル部材を取り付ける構造を説明する図である。
図14】側面パネル部材を取り付ける構造を説明する図である。
図15】背面パネル部材を取り付ける構造を説明する図である。
図16】背面パネル部材を取り付ける構造を説明する図である。
図17】第2実施形態の要部を説明する図である。
図18】第2実施形態の要部を説明する図である。
図19】各実施形態の作用効果を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の好適な実施形態について図面に基づき、詳細に説明する。なお、本発明は、これに限定されて解釈されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々の変更、修正、改良を加え得るものである。
【0024】
[1.基本構成]
図3~図 は、本発明に係る太陽光発電パネルを取り付けた状態の太陽光発電パネル設置台の好適な一実施形態を示している。本実施形態の太陽光発電パネル設置台10は、所定形状の枠組状の構造体を有し、上面が後方から前方向けて下方傾斜面となる扁平な低重心構造となり、その上面に複数枚の太陽光発電パネル11を取り付けて支持するように構成する。
【0025】
太陽光発電パネル設置台10は、枠部材13を、左右方向に等間隔に所定数(本実施形態では6個)を起立配置し、隣接する枠部材13同士は、左右方向に延びる棒状のクロス材14で連結する(図4参照)。クロス材14は、例えば枠部材13の底面前方側および底面後方側に連結するとよい。前後に配置するクロス材14は、同じ長さのものを用いる。これにより、隣接する枠部材13は、平行に配置され前端から後端に向けて広がったり狭まったりすることなく全長にわたり等間隔となる。また本実施形態では、後方側に配置するクロス材14は、後端縁に取り付けるようにした。
【0026】
枠部材13は、図5に示すように、底辺レール15と、底辺レール15の上方側に斜めに配置される斜辺レール16と、それら底辺レール15と斜辺レール16を所定の相対位置関係になるように連結する複数(例えば3個)の連結金具20を備え、全体の外形状が略直角三角形状に構成される。以下、個々の連結金具20を分けて説明する場合には、第1連結金具20A、第2連結金具20B、第3連結金具20Cのように付記号を付して説明し、それらを一括して説明する場合には、代表して連結金具20とする。3個の連結金具20は、前側から順に第1連結金具20A、第2連結金具20B,第3連結金具20cを適宜の位置に取り付ける。その連結金具は第1連結金具20Aの全長(高さ)が最も短く、第3連結金具20Cの全長(高さ)が最も長くしている。各連結金具20の長さを適宜に設定することで、底辺レール15と、斜辺レール16のなす角が、所定角度、例えば5度になるように設定されるとよい。そして、底辺レール15を、例えば建物の陸屋根等の平坦な設置面に、貼り付け固定する。
【0027】
一方、複数の枠部材13をクロス材14で連結して構成される構造体の前端面に前面パネル部材21を取り付け、構造体の左右両側面にそれぞれ側面パネル部材22を取り付け、構造体の後端面に背面パネル部材23を取り付ける。各パネル部材の取り付けは、ボルト或いはリベット等の固定部材を用いて枠部材13或いはクロス材14に連結することで一体化する。また、前面パネル部材21、側面パネル部材22並びに背面パネル部材23は、複数の枠部材13をクロス材14で連結した構造体の全周囲を覆うとともに、それぞれの下端縁は、設置した状態で例えば建物の陸屋根等の設置面Gに接するように配置する(図19参照)。
【0028】
すなわち、枠部材13並びにクロス材14は、各パネル部材で囲まれる空間内に位置し、例えば枠部材13の底辺レール15の後端部位が、背面パネル部材23を超えて外側に突出配置することはない。これにより、例えば底辺レール15を設置面に密着させると、上述したように各パネル部材の下端も設置面に接するようになり、例えば後方側から太陽光発電パネル設置台10に向けて吹き付けられた風が、背面パネル部材23の下端と設置面Gの間から太陽光発電パネル設置台10の内部に進入することを可及的に抑制できる。このことは、他の方向からの風についても同様である。このように、周囲の風が太陽光発電パネル設置台10の内部に進入することを可及的に抑制できるため、太陽光発電パネル設置台10の下面側に風の流れが発生せず、上面側のみ空気の流れが発生するため、太陽光発電パネル設置台10に対する揚力は発生しない。
【0029】
より具体的には、図19(c)に示すように、例えば太陽光発電パネル設置台10の後方側から風が吹き付けてきた場合、背面パネル部材23が起立しているため、背面パネル部材23に当たった風は上述したように前方に付勢する作用が働くとともに、その進行方向が例えば上向きのように背面パネル部材23に沿って変更するが揚力は発生しない。また、太陽光発電パネル設置台10の上方を移動する風は、太陽光発電パネル設置台10に当たることなくそのまま直進するため、太陽光発電パネル設置台10に対して揚力は発生しない。一方、太陽光発電パネル設置台10の前方側から風が吹き付けてきた場合、太陽光発電パネル11にあたる風は、太陽光発電パネル11に沿って移動し、それに伴い下向き荷重が発生し太陽光発電パネル設置台10を抑えつける方向の力は発生するが揚力は発生しない。また、図示省略するが、太陽光発電パネル設置台10の左右から風が吹き付けてきた場合、側面パネル部材22が起立しているため、背面パネル部材23にあたる風と同様に揚力発生しない。
【0030】
また、複数の枠部材13をクロス材14で連結した構造体の上面を覆うように、複数の太陽光発電パネル11を取り付ける。より具体的には、隣接する枠部材13の斜辺レール16の上面同士に掛け渡すように配置する。本例では、対を構成する隣接する枠部材13の斜辺レール16に、前後に2枚ずつの太陽光発電パネル11を、隣接する端面同士を突き合わせた状態で取り付ける。
【0031】
これにより、太陽光発電パネル11が取り付けられた状態で陸屋根等に設置される太陽光発電パネル設置台10は、その下面外周縁は陸屋根等の設置面Gに密着し、周面全体と上面が覆われて閉塞された状態となる。
【0032】
[2.背面パネル部材23を垂直に起立配置]
さらに本実施形態では、背面パネル部材23を、設置面に対して垂直に起立するように取り付ける。すなわち、底辺レール15が、背面パネル部材23の面に対して直交するように配置した状態で、例えば後方側に配置するクロス材14に対してボルト等の固定部材を用いて固定する。
【0033】
このようにすることで、例えば太陽光発電パネル設置台10の後方側から風が吹き付けた場合、背面パネル部材23は垂直に起立しているため、かかる風が背面パネル部材23に当たっても、上方への揚力は発揮しない。また、上述したように背面パネル部材23の下端縁は、設置面に接するようにしており、風が太陽光発電パネル設置台10の内部に進入しにくい構造となっているが、仮に何らかの要因により、かかる風が太陽光発電パネル設置台10の内部に進入したとしても、背面パネル部材23が垂直方向に起立しているため、上方への揚力は生じない。また、左右の側方や前方からの風が来ても、同様に揚力は生じない。よって、太陽光発電パネル11を取り付けた太陽光発電パネル設置台10の設置後は、風が当たることにより太陽光発電パネル設置台10が浮き上がったり、一部が破損、損傷したりすることを可及的に抑制できる。
【0034】
[3.各部材の具体的な構造]
次に、背面パネル部材23を垂直に起立させたり、各パネル部材を組み付けたり、太陽光発電パネルの取り付け並びに枠部材13とクロス材14からなる構造物を構成したりするための具体的な構成を説明する。
【0035】
[3-1.枠部材13の構成]
上述したように、枠部材13は、底辺レール15と、斜辺レール16を3つの連結金具20(第1連結金具20A、第2連結金具20B,第3連結金具20C)で連結する。各連結金具20は、ともに垂直方向に延びるように底辺レール15に取り付けられる下側脚部201と、下側脚部201の上端に垂直平面内で所定角度範囲内で正客回転可能に取り付けられる上側脚部202を備える。そして、垂直方向に起立する下側脚部201に対し、前方に傾斜した姿勢の上側脚部202の上端が、斜辺レール16の下面所定位置に取り付けられる固定金具25にネジ止めされ固定される。
【0036】
このように、上側脚部202を回転可能にしたため、例えば下側脚部201と上側脚部202のなす角を変更すると、連結金具20の高さが変わる。上側脚部202の起立姿勢からの倒す角度が大きく(なす角が小さく)なるほど、上側脚部202の上端位置が低くなる。よって、上側脚部202の姿勢・角度を調整するとともに、固定金具25の斜辺レール16に対する取付位置を調整することで、底辺レール15と斜辺レール16の相対位置関係を適宜に設定できる。よって、例えば隣接する枠部材13の斜辺レール16が平行になり、同一平面上に位置するに設定することができる。これに伴い、個々の太陽光発電パネル11が同一平面上に位置するように設定することが可能となる。このように本実施形態では、固定金具25の高さ調整を、上側脚部202の傾き角度を変えることで下端に行える。よって、簡単な構成で高さ調整ができる。
【0037】
係る調整を行うため、底辺レール15と斜辺レール16と予め連結金具20で取り付けた構成にしてもよいが、図5(b)に示すように底辺レール15と斜辺レール16は分離した状態で現場に搬入し、そこで組み立てるようにするとよい。この場合に、連結金具20は、底辺レール15の所定位置に予め取り付けておくとよい。すると、底辺レール15が必ずしも水平に取れない現場条件下で底辺レール15を設置するとともに、上側脚部202の確度を調整し、該当箇所で高さを調整することができる。なお、予め組み立てられた状態の枠部材13を現場に搬入した場合に設置面の水平がとれていない場合には、例えば一旦斜辺レール16を取り外し、上側脚部202の角度を調整するとともに、固定金具25の取り付け位置も調整した後、上側脚部202を固定金具25に取り付けることで、水平でない設置面に対して、太陽光発電パネル11を所望の角度に配置することができる。
【0038】
また、底辺レール15は、例えば図6図7に示すように、前後端が開口した扁平な略角筒体からなり、その上面には、一段低くなった低段部151が、長手方向の全長にわたり形成され、その低段部151の横幅方向の中央部にガイド溝部152が長手方向の全長にわたり形成される。さらにそのガイド溝部152の左右両側面の上端には、それぞれ中央に向けて突出する庇部153が形成される。左右に庇部153を設けたため、ガイド溝部152の上方は開口するものの、ガイド溝部152の横幅よりも左右の庇部153の先端同士の間隔が狭くなるので、例えばガイド溝部152の横幅よりも短く、左右の庇部153の間隔よりも長い寸法形状を有する部材は、例えばガイド溝部152の手前或いは奥側から挿入することでガイド溝部152内に進入させ、ガイド溝部152に沿って移動が可能となるとともに、上方への離脱は抑制される。
【0039】
よって、例えばガイド溝部152内に、例えば手前側からボルト26の頭部を挿入するとともに、ボルト26のねじ部を上方に突出するようにして適宜位置に配置し、そのねじ部にナット27を装着して締結すると、ガイド溝部152からの上方へ離脱を抑止し、その位置に固定できる。具体的には、例えば連結金具20の固定に利用するとよい。
【0040】
すなわち、図6に示すように、断面が略コ字状を上向きにした形状からなる下側脚部201の底面を低段部151内の所定位置にセットするとともに、その底面に設けた孔部内に、頭部側をガイド溝部152内に位置させた状態で上方に突出するボルト26のねじ部を挿入する。そして、そのねじ部にナット27を装着して締め付ける。すると、下側脚部201の底面と底辺レール15の低段部151がボルト26の頭部とナット27により挟み込まれ、下側脚部201の底面が固定される。さらに、この底面は、低段部151の横幅に対応する長さを有しており、当該底面が低段部151内に入り込み、その場での回転も抑制され、安定した姿勢で底辺レール15に固定される。
【0041】
一方、上側脚部202は、両端が開放する角筒体を有する。また、固定金具25は、例えばL型プレート状からなり、その一辺側が斜辺レール16にネジ止めされ、下方に垂下される他辺側が、上側脚部202の上端開放部位から内部に挿入し、上側脚部202の所定の側壁にネジ止めする。これにより、連結金具20及び固定金具25を介して、底辺レール15と斜辺レール16が連結一体化される。
【0042】
また、斜辺レール16は、前後方向に延びる前後両端が開口される各筒状の本体161と、その本体161の上面の左右両端縁から外側に向かって延びる板状のサイドガイド部162と、本体161の上面に上方に向かって延びるように形成する左右一対の側壁部163を有する形状に形成される。また、左右一対の側壁部163の対向面の上端縁には、凸部164が全長に亘って形成される。
【0043】
なお、図6において符号31は、背面パネル部材23を取り付けるための固定金具であり、L型プレートとネジ等を備える。この固定金具31は、斜辺レール16の後端縁側の側壁部163間に装着される。また、図7において符号32は、前面パネル部材21を取り付けるための固定金具であり、L型プレートとネジ等を備える。この固定金具32は、斜辺レール16の前端縁側の側壁部163間に装着される。
【0044】
[3-2.クロス材14と枠部材13の接続構造]
上述したように、クロス材14は、枠部材13の前方及び後方の所定位置で連結され固定される。図8は、枠部材13ひいては底辺レール15の後端縁にクロス材14を取り付ける構造を示している。同図に示すように、クロス材14は、L字フレーム状からなり、取り付けた状態で上下方向に延びる垂直片部141と、水平方向に延びる水平片部142を備える。さらに、垂直片部141の端部は、切除された切欠き部143となり、クロス材14の端部は水平片部142のみが存在する形態となる。また、水平片部142の端部側には、長手方向に延びる長孔144が形成される。長孔144は、ボルト26のねじ部が貫通可能な寸法形状となる。
【0045】
切欠き部143が形成される区間の水平片部142の端部の長さは、底辺レール15の横幅の半分よりも長く、横幅よりも短い長さにし、水平片部142を底辺レール15の上面に左右いずれかから重ねた状態で、長孔144がガイド溝部152の上方で交差するようにしている。これにより、底辺レール15のガイド溝部152内にボルト26をセットし、底辺レール15の上面から上方に突出しているボルト26のねじ部に、長孔144を貫通させるように左右に配置されるクロス材14の水平片部142を重ねて配置する(図8(a)参照)。その状態で、ナット27をボルト26のねじ部に締結し、図8(b)に示すように、ボルト26の頭部とナット27との間で、底辺レール15の上面、左右2枚のクロス材14の水平片部142を積層した状態で上下から所定の圧力で挟み込む。よって、クロス材14と底辺レール15は、所定の位置関係で固定され、離脱が抑止される。また、クロス材14は、その垂直片部141が底辺レール15の端面と面一になるように配置される。また、図示省略するが、クロス材14の反対側の端部は、同様の構造を持って底辺レール15と連結される。
【0046】
図9は、枠部材13の前方側に取り付けるクロス材14と底辺レール15の関係を示している。図から明らかなように、上述した後端縁側における取り付け構造と同様に、L字フレーム上のクロス材14を用い、端部の垂直片部141をそれぞれ底辺レール15の上面の所定位置で重ねるように取り付け、ボルト26とナット27を用いて締め付け固定する。
【0047】
よって、同一長さのクロス材14を用い、隣接する枠部材13の底辺レール15同士を連結すると、隣接する底辺レール15は平行に配置される。これにともない、隣接する枠部材13も平行に配置される。さらに、左右に繋がるクロス材14は、同一直線上に位置する。そして例えば後端側に配置するクロス材14の垂直片部141は、各パネル部材等を取り付ける枠組状の構造体の後端縁で同一平面上に位置する。
【0048】
[3-3.太陽光発電パネル11と枠部材13の接続構造]
上述したようにして、左右に配置する複数の枠部材13をクロス材14で連結することで、図4(a)に示す枠組上の構造体が形成される。そして、図10に示すように、この構造体の上面に、太陽光発電パネル11を取り付ける。太陽光発電パネル11の横幅は、隣接する枠部材13の配置ピッチに対して若干短い設定としている。そして、太陽光発電パネル11の両端を、それぞれ例えば斜辺レール16のサイドガイド部162に掛け渡すととともに、前後の位置を揃える。
【0049】
すなわち、前側の太陽光発電パネル11は、その前端が固定金具32のL型プレートの起立する前壁部321に接し、また、その太陽光発電パネル11の前端側の上面は、固定金具32の天面部322に接するようにセットされる。これにより、その前側の太陽光発電パネル11は、前方への移動並びに前端縁が上方へ持ち上がるのが抑止される。同様に、後側の太陽光発電パネル11は、その後端が固定金具31のL型プレートの起立する後壁部311に接し、また、その太陽光発電パネル11の後端側の上面は、固定金具31の天面部312に接するようにセットされる。これにより、その後側の太陽光発電パネル11は、後方への移動並びに後端縁が上方へ持ち上がるのが抑止される。
【0050】
なお、前後に太陽光発電パネル11をセットすることにより、それぞれの対向面すなわち前側の太陽光発電パネル11の後端面と、後ろ側の太陽光発電パネル11の前端面は例えば接触或いは近接状態で配置され、前後方向の移動は互いに抑止し合う。
【0051】
さらに左右方向の一番端に配置される太陽光発電パネル11の当該一番端の側縁は、図10(b)に示すように、対応する斜辺レール16に取り付けられたエンドクランプ33によって上から抑えられる。また、左右に隣接する太陽光発電パネル11の側縁同士は、図10(c)に示すように対応する斜辺レール16に取り付けられた中間部固定金具34により左右が一緒に上から抑えられる。このようなエンドクランプ33と中間部固定金具34は、斜辺レール16の適宜位置に前後に所定数を取り付けることで、太陽光発電パネル11が上方へ持ち上がり離脱するのをより確実に抑制する。
【0052】
[3-4.前面パネル部材21と枠部材13の接続構造]
図11(a)は、前面パネル部材21の一例を示している。同図に示すように、前面パネル部材21は、垂直方向に起立する前壁部211と、その前壁部211の下端縁から前方に向けて突出する底面部212と、前壁部211の上端縁から後方に向けて突出する天面部213を備える。さらに、前壁部211の左右の一方の側縁から後方に向けて突出する側壁部214を備えるものもある。本実施形態の前面パネル部材21は、例えば1枚の金属プレートを所定形状に打ち抜くとともに、適宜折り曲げて形成すると良い。
【0053】
前面パネル部材21の長手方向の長さは、隣接する枠部材13の配置ピッチに対応する長さとし、前面パネル部材21の両端を、それぞれ枠部材13に取り付けることで固定する。よって、本実施形態のように、左右に6個の枠部材13を配置する太陽光発電パネル設置台10では、5枚の前面パネル部材21を用意し、横に連結していく。
【0054】
図11(b)は、左端に位置する前面パネル部材21の左側部分を示している。同図に示すように、前面パネル部材21は、前壁部211で枠部材13の前側を覆うように配置し、その両端を枠部材13に取り付ける。具体的には、前面パネル部材21の天面部213を左右に位置する枠部材13の斜辺レール16を覆い、斜辺レール16に取り付けた固定金具32の天面部322にボルト・ナット323を用いて連結する。さらに、側壁部214は、底辺レール15の上面の低段部151の内側面に接触させる。これにより、側壁部214が底辺レール15から離脱して外れることが抑止される。さらに、底面部212は、設置面に接触するため、接着剤、接着テープなどの接着手段を用いて固定するとよい。接着テープを用いる場合、例えばブチルテープを用いるとよい。
【0055】
さらに、隣接する前面パネル部材12同士は、図12(a)に示すようにその側縁同士を枠部材13の前方で重ね合わせる。そして天面部213は、図示するように重ね合わせた状態で、固定金具32にボルト・ナット323により固定する。また、前壁部211の側縁同士は、重ね合わせた状態でリベット36を用いて接続する。このようにすることで、左右に隣接する前面パネル部材12同士は、天面部213及び前壁部211の二面で接続され、相互に離脱・離反するのが抑止される。
【0056】
[3-5.側面パネル部材22と枠部材13の接続構造]
図13(a)は、側面パネル部材22の一例を示している。同図に示すように、側面パネル部材22は、垂直方向に起立する側壁部221と、その側壁部221の下端縁から手前側(枠部材13の取り付け面に対して反対側)に向けて突出する底面部222と、側壁部221の上端縁から奥側(枠部材13側)に向けて突出する天面部223を備える。さらに、枠部材13の後端側に位置する側面パネル部材22の側縁は、奥側に向けて突出する側面部224(図16(a)参照)を有する。
【0057】
側面パネル部材22の長手方向の長さは、枠部材13の底辺レール15の長さに合わせたものとし、側壁部221は、斜辺が上側に位置し上辺が短い略片台形状となる。本実施形態の側面パネル部材22は、例えば1枚の金属プレートを所定形状に打ち抜くとともに、適宜折り曲げて形成すると良い。
【0058】
係る構成の側面パネル部材22を枠部材13に取り付ける場合、図13(b)に示すように、外側に位置する枠部材13に対し外側から覆うようにセットする。これにより、側壁部221により枠部材13の側面が覆われ、底面部222は底辺レール15の上面の外側部位(低段部151の外側)に接触し、天面部223は斜辺レール16の上方を覆うように配置する。そして、底面部222は、例えばタッピングビス28等を用いて固定する。さらに、側面部224は、枠部材13の後端面側を覆うように配置される(図16(a)参照)。
【0059】
また、天面部223の固定は、例えば図14(a)に示すように、エンドクランプ33の上方に突出するボルト332のねじ部と、天面部223に設けた孔部225の位置を合わせ、次いでボルト332が孔部225を貫通するように天面部223を斜辺レール16の上に被せる。そして、天面部223の上方より、ボルト332に対してナット333を締結し、天面部223を固定する。
【0060】
[3-6.背面パネル部材23と枠部材13の接続構造]
図15(a)は、背面パネル部材23の一例を示している。同図に示すように、背面パネル部材23は、垂直方向に起立する後壁部231と、その後壁部231の上端縁から前方に向けて突出する天面部232を備える。本実施形態の背面パネル部材23は、例えば1枚の金属プレートを所定形状に打ち抜くとともに、適宜折り曲げて形成すると良い。
【0061】
背面パネル部材23の長手方向の長さは、隣接する枠部材13の配置ピッチに対応する長さとし、背面パネル部材23の両端を、それぞれ枠部材13に取り付けることで固定する。よって、本実施形態のように、左右に6個の枠部材13を配置する太陽光発電パネル設置台10では、5枚の背面パネル部材23を用意し、横に連結していく。
【0062】
図15(b)に示すように側面パネル部材22を取り付けるとともに太陽光発電パネル11を取り付け背面側が開口した状態では、下端にはクロス材14が一直線上に配置されるとともに、枠部材13が当ピッチで配置された状態となる。そして、個々の背面パネル部材23を、後壁部231で上記の後方側の開口部を覆うように配置し、その両端を枠部材13に取り付ける。そして全ての背面パネル部材23を取り付けると、背面側の開口部は閉塞され、このとき、左右に隣接する背面パネル部材23同士は、その端縁部位が重なった状態となり、2枚の背面パネル部材23が一体となって枠部材13等に固定される。
【0063】
具体的には、図16(a)に示すように背面パネル部材23の天面部232を左右に位置する枠部材13の斜辺レール16や太陽光発電パネル11の後端縁側を覆い、斜辺レール16に取り付けた固定金具31の天面部312の上方に突出するボルト313のねじ部と、天面部232に設けた孔部233の位置を合わせ、次いでボルト313が孔部233を貫通するように背面パネル部材23の天面部232を斜辺レール16の上に被せる。そして、天面部232の上方より、ボルト313に対してナット314を締結し、天面部232を固定する(図16(b)参照)。
【0064】
また、図15(c)、図16に示すように、左右方向のそれぞれの一番端に設けた背面パネル部材23の後壁部231の端縁部位は、側面パネル部材22の側面部224に重なり合う。その重なった部分を、例えばリベット37を用いて連結する。さらに、後壁部231の下端縁側部位は、クロス材14に対向するため、当該クロス材14に対して例えばタッピングビス38を用いて固定する。さらにまた、左右に隣接する背面パネル部材23の後壁部231の側縁同士は、枠部材13に対向する位置で重ね合わされ、その重ね合わされた部位でリベット39を用いて連結する。このようにリベットを用いて隣接するパネル部材同士を連結し、またタッピングビス38を用いて背面パネル部材23をクロス材14に連結することで、隙間なく強固に一体化され、一部が剥がれたり隙間が生じたりすることが可及的に抑制される。
【0065】
[4.別の実施形態(前後4段接続タイプ)]
図17図18は、太陽光発電パネル11を前後に3枚以上、本実施形態では4枚を支持するための太陽光発電パネル設置台の第2実施形態を示している。本実施形態では、上述した前後に2枚の太陽光発電パネル11を取り付ける枠部材13を利用し、その後端側に前後に2枚の太陽光発電パネル11を取り付けるための拡張用枠部材50を連結し、全体で前後4枚の太陽光発電パネル11を支持できるようにしている。
【0066】
拡張用枠部材50は、枠部材13と同様に所定長さながらの拡張用底辺レール15′と、拡張用斜辺レール16′と、それらを所定の相対位置関係になるように連結する連結金具20を備える。拡張用枠部材50を構成する拡張用底辺レール15′と拡張用斜辺レール16′の縦断面形状は、枠部材13の底辺レール15と斜辺レール16と同じにする。これにより、底辺レール15と拡張用底辺レール15′の端面同士、並びに斜辺レール16と拡張用斜辺レール16′の端面同士を付き合わせると付合し、1本の連続したレール状になる。さらに連結金具20の長さを、第3連結金具20Cよりも長くするとともに、後ろ側に行くに従ってさらに長くすることで、拡張用枠部材50の拡張用底辺レール15′と拡張用斜辺レール16′のなす角も、例えば5°のように前段側の枠部材13と同じにするととともに、枠部材13における後端側の底辺レール15と斜辺レール16の相対位置と、拡張用枠部材50における前端側の拡張用底辺レール15′と拡張用斜辺レール16′の相対位置を一致させる。
【0067】
このようにすることで、例えば、枠部材13と拡張用枠部材50を前後に連結することで、1つの大きな直角三角形状の枠体が構成でき、それを左右に等ピッチで配置するとともにクロス材14で連結することで、枠部材13の斜辺レール16のサイドガイド部162と、拡張用枠部材50の拡張用斜辺レール16′のサイドガイド部162′が前後に連続して配置される。よって、係る左右一対のサイドガイド部162,162′の上に掛け渡すように、太陽光発電パネル11を適宜配置し、所定の固定金具等を用いて固定する。これにより、前後に4枚、左右に5枚の太陽光発電パネル11が設置される。
【0068】
前後に配置する枠部材13と拡張用枠部材50の連結は、例えば図18に示す連結プレート用いて行うとよい。例えば底辺レール15と拡張用底辺レール15′は、平帯状の第1連結プレート51を用いて連結する。すなわち、第1連結プレート51の長手方向両端にボルト53を下から装着し、上方に突出するねじ部にナット54を取り付ける。そして、第1連結プレート51が前後の底辺レール15の低段部151と拡張用底辺レール15′の低段部151′を跨ぐとともに、第1連結プレート51に取り付けた一方のボルト53の頭部が、ガイド溝部152内に挿入されるように配置(図18(a)では枠部材13側の底辺レール15に後端側から挿入して第1連結プレート51を取り付けている)し、同様に第1連結プレート51に取り付けた他方のボルト53の頭部が、拡張用枠部材50の拡張用底辺レール15′のガイド溝部152′内に前側から挿入して配置する(図18(b)参照)。この状態で、ナット54をしっかりと締め付けると、前後の底辺レール15と拡張用底辺レール15′は第1連結プレート51を介して一体化する。
【0069】
なお、前後の底辺レール15と拡張用底辺レール15′は、平板状の第1連結プレート51により連結されている。よって、第1連結プレート51が平坦であれば、前後の底辺レール15と拡張用底辺レール15′は一直線上に配置される。また、第1連結プレート51を長手方向の中間部位で少し折り曲げることで、前後の底辺レール15と拡張用底辺レール15′が同一直線上に位置せず所定角度で傾斜配置されるように構成することもできる。
【0070】
一方、斜辺レール16と拡張用斜辺レール16′は、角筒状の第2連結プレート55を用いて連結する。すなわち、第2連結プレート55は、外形状が斜辺レール16の本体161並びに拡張用斜辺レール16′の内形状に略付合する寸法形状からなり、左右の側面に長手方向に沿って複数の孔部551を備える。そして、例えば第2連結プレート55を、その一方の端部から、枠部材13の斜辺レール16の本体161内に半分くらいまで挿入して、本体161の側面に設けた孔部と位置合わせをし、ボルト56とナット(図示省略)を用いて固定する(図18(c)参照)。次いで、第2連結プレート55の他方の半分を拡張用枠部材50の拡張用斜辺レール16′の本体161′内に挿入するとともにボルト56とナットを用いて固定する(図18(d)参照)。
【0071】
これにより、前後の斜辺レール16と拡張用斜辺レール16′は、角筒状の第2連結プレート55により連結され一直線上に配置される。しかも第2連結プレート55は第1連結プレート51と相違して角筒状のため曲がることがなく、一直線上が担保される。すなわち、上述したように前後の斜辺レール16のサイドガイド部162と拡張用斜辺レール16′のサイドガイド部162′は、一直線上に配置され、各太陽光発電パネル11を同一平面上に配置することが可能となる。
【0072】
また、具体的な図示は省略するが、前面パネル部材、側面パネル部材並び背面パネル部材は、上述した第1実施形態と同様にして取り付けることができる。例えば、前面パネル部材は、第1実施形態と同一のものを用い、取り付けが可能となる。背面パネル部材は、高さ方向が大きくなるものの、横幅は左右の拡張用枠部材50の配置ピッチに合わせた後壁部とその後壁部の上端縁から前方に折り曲げた天面部を備えたものを用意し、左右一対の拡張用枠部材50を跨ぎ、後方が閉塞するとともに隣接するパネルの一部が重なるように取り付け、リベットやタッピングビスなどを用いて固定する。
【0073】
また、側面パネル部材は、例えば連結された枠部材13と拡張用枠部材50の全体形状に付合する側面パネル部材を用意し、一括して取り付け固定するようにしてもよいが、本実施形態では、第1実施形態の側面パネル部材22を枠部材13に取り付け、拡張用枠部材50に付合する片台形状の側壁部を有する拡張側面パネル部を用意し、それを拡張用枠部材50に取り付けるようにした。
【0074】
枠部材13に拡張用枠部材50を連結する構造を採ることで、枠部材13は第1実施形態と第2実施形態のいずれにも使用でき、部品の共有化が図れる。さらに、例えば太陽光発電パネル設置台10の設置面が、必ずしも全面にわたり平面が確保されるとは限らず、特に前後長が長くなるほど、全長に渡っての平面度を確保するのが難しい場合がある。例えば、第1実施形態のように太陽光発電パネル11が前後に2枚設置するタイプでは、全体に平坦度が確保できても、第2実施形態のように2倍の長さとなると、前側の部分と後ろ側の部分で同一平面上に位置しないことがある。係る場合には、枠部材13の底辺レール15と、拡張用枠部材50の底辺レール15をそれぞれ設置面にあわせて貼り付けて固定し、両底辺レール15同士は所定角度で傾斜するように配置する。この場合に、それぞれの底辺レール15と斜辺レール16のなす角を適宜に調整し、前後の斜辺レール16は同一直線上に配置するように構成するとよい。これにより、全面が平坦ではない場所でも、太陽光発電パネル11は同一面上に位置するように安定して取り付け設置することができる。
【0075】
さらに、枠部材13と拡張用枠部材50を分けるとともに、それぞれに側面パネル部材を取り付けるようにすることで、例えば枠部材や側面パネル部材の全体形状が大きくなりすぎず、扱いが容易になるだけでなく、枠部材13や側面パネル部材22の部品の共有化を図ることができる。
【0076】
また、図示省略するが、拡張用枠部材として、1枚の太陽光発電パネル11を取り付ける長さのものを用意すると、前後に3枚の太陽光発電パネル11を取り付けるための設置台を構成することができる。
【0077】
また、本発明では、各パネル部材により閉塞された周囲の下端縁は、前記設置面に隙間なく接することができるように構成するようにしたが、係る構成要件を備えず、以下の(1)のように構成するようにし、太陽光発電パネル設置台に対する揚力の発生を抑制する構成も取り得る。(1)設置面に固定する底辺レールと、その底辺レールに対して前方に向けて下方傾斜状に取り付けられる斜辺レールと、前記底辺レールと前記斜辺レールを連結する連結金具を備える枠部材を左右に複数配置し、その左右の前記枠部材は、棒状の連結部材で連結され、前記複数の枠部材の左右両端に位置する枠部材の外側には側面パネル部材が取り付けられ、前記複数の枠部材の前面側には前面パネル部材が取り付けられ、前記複数の枠部材の後面側には背面パネル部材が取り付けられ、それら各パネル部材により四方の周囲が閉塞されるようにし、前記隣接する枠部材の前記斜辺レール間に太陽光発電パネルが取り付けられるように構成し、前記背面パネル部材は、設置面に対して直交状態で起立配置されるようにする。
【0078】
以上、本発明の様々な側面を実施形態を用いて説明してきたが、これらの実施形態や説明は、本発明の範囲を制限する目的でなされたものではなく、本発明の理解に資するために提供されたものであることを付言しておく。本発明の範囲は、明細書に明示的に説明された構成や製法に限定されるものではなく、本明細書に開示される本発明の様々な側面の組み合わせをも、その範囲に含むものである。本発明のうち、特許を受けようとする構成を、添付の特許請求の範囲に特定したが、現在の処は特許請求の範囲に特定されていない構成であっても、本明細書に開示される構成を、将来的に特許請求する可能性があることを、念のために申し述べる。
【符号の説明】
【0079】
10 :太陽光発電パネル設置台
11 :太陽光発電パネル
12 :前面パネル部材
13 :枠部材
14 :クロス材
15 :底辺レール
16 :斜辺レール
20 :連結金具
21 :前面パネル部材
22 :側面パネル部材
23 :背面パネル部材
36 :リベット
37 :リベット
38 :タッピングビス
39 :リベット
50 :拡張用枠部材
51 :第1連結プレート
55 :第2連結プレート
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19