(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-05
(45)【発行日】2024-03-13
(54)【発明の名称】眼内レンズの埋め込みに使用するための装置および使用のために装置を準備する方法
(51)【国際特許分類】
A61F 2/16 20060101AFI20240306BHJP
A61F 9/007 20060101ALI20240306BHJP
【FI】
A61F2/16
A61F9/007 200Z
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019083302
(22)【出願日】2019-04-24
【審査請求日】2022-04-05
(32)【優先日】2018-04-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518177043
【氏名又は名称】ヴィジョンケア、インコーポレイティッド
(74)【代理人】
【識別番号】100080791
【氏名又は名称】高島 一
(74)【代理人】
【識別番号】100136629
【氏名又は名称】鎌田 光宜
(74)【代理人】
【識別番号】100125070
【氏名又は名称】土井 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100121212
【氏名又は名称】田村 弥栄子
(74)【代理人】
【識別番号】100174296
【氏名又は名称】當麻 博文
(74)【代理人】
【識別番号】100137729
【氏名又は名称】赤井 厚子
(74)【代理人】
【識別番号】100151301
【氏名又は名称】戸崎 富哉
(74)【代理人】
【識別番号】100170184
【氏名又は名称】北脇 大
(72)【発明者】
【氏名】エリ アハロニ
【審査官】小林 睦
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-510825(JP,A)
【文献】特表2012-509154(JP,A)
【文献】特表2014-516273(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0024136(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/16
A61F 9/007
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼内レンズの埋め込みに使用するための装置であって、当該装置は:
軸方向の細長い中空導管を有し、該軸方向の細長い中空導管は、第1の端部および第2の端部を有し、かつ、長手方向軸に沿って延びる眼内レンズ注入通路を定め、前記の軸方向の細長い中空導管は、前記の第1の端部に取り外し可能なシリンジ取付位置を定めるシリンジコネクターを有して形成され、前記の軸方向の細長い中空導管が、前記シリンジコネクターを定める第1の相対的に剛性であるハウジング部と、前記の相対的に剛性であるハウジング部の上に取り付けられた相対的に可撓性であるスリーブ部とを含んでおり;かつ、
プッシャー要素を有し、該プッシャー要素は、前記シリンジコネクターと前記の第2の端部との間の前記の軸方向の中空導管内に配置され、
前記の軸方向の細長い中空導管および前記プッシャー要素のうちの少なくとも一方が、粘弾性材料が前記シリンジコネクターおよび前記プッシャー要素を通って前記プッシャー要素と前記の軸方向の細長い中空導管の前記の第2の端部との間の位置へと進むことを可能にする流体通路を含んでいる、
前記装置。
【請求項2】
前記プッシャー要素に固定された二重目的の細長い中空チューブもまた有し、前記の二重目的の細長い中空チューブは、前記シリンジコネクターに隣接した流体入口端部と、流体出口端部とを有し、前記の二重目的の細長い中空チューブは、中空プッシャーロッドを定め、かつ、前記の第2の端部に向けて前記の軸方向の細長い中空導管内を、かつ、前記の軸方向の細長い中空導管に対して前記長手方向軸に沿って変位可能であり、そのことによって、前記の第2の端部に向けて前記軸に沿って前記プッシャー要素を変位させる、請求項1に記載の眼内レンズの埋め込みに使用するための装置。
【請求項3】
前記
の相対的に可撓性
であるスリーブ部が、前記の軸方向の細長い中空導管の前記の第2の端部を定める角度のついた縁部を有して形成される、請求項1に記載の眼内レンズの埋め込みに使用するための装置。
【請求項4】
前記中空プッシャーロッドが、前記の軸方向の細長い中空導管内にスライド可能かつ密封可能に配置される、
請求項2に記載の眼内レンズの埋め込みに使用するための装置。
【請求項5】
前記中空プッシャーロッドが、Oリングとの係合によって前記の軸方向の細長い中空導管内にスライド可能かつ密封可能に配置される、請求項4に記載の眼内レンズの埋め込みに使用するための装置。
【請求項6】
前記中空プッシャーロッドが、先細りの開口部を有して形成され、該先細りの開口部は、それを通って軸方向に延びる貫通円筒内腔と連通する、請求項5に記載の眼内レンズの埋め込みに使用するための装置。
【請求項7】
前記プッシャー要素が、粘弾性材料が前記シリンジコネクターおよび前記プッシャー要素を通って前記プッシャー要素と前記の軸方向の細長い中空導管の前記の第2の端部との間の位置へと進むことを可能にする連通導管を有して形成され、かつ、
前記貫通円筒内腔が、前記プッシャー要素を通って延びる前記連通導管と連通する、
請求項6に記載の眼内レンズの埋め込みに使用するための装置。
【請求項8】
注入のために眼内レンズを準備する方法であって、当該方法は:
眼内レンズの埋め込みに使用するための装置を提供することを有し、該装置は:
軸方向の細長い中空導管を有し、該軸方向の細長い中空導管は、第1の端部および第2の端部を有し、かつ、長手方向軸に沿って延びる眼内レンズ注入通路を定め;
取り外し可能なシリンジ取付位置を定めるシリンジコネクターを有し、前記シリンジコネクターは、前記の軸方向の細長い中空導管の第1の端部に配置され;かつ、
プッシャー要素を有し、該プッシャー要素は、前記シリンジコネクターと前記の第2の端部との間の前記の軸方向の中空導管内に配置され、
前記の軸方向の細長い中空導管および前記プッシャー要素のうちの少なくとも一方が、粘弾性材料が前記シリンジコネクターおよび前記プッシャー要素を通って前記プッシャー要素と前記の軸方向の細長い中空導管の前記の第2の端部との間の位置へと進むことを可能にする流体通路を含んでおり、かつ、
前記の軸方向の細長い中空導管が、前記シリンジコネクターを定める第1の相対的に剛性であるハウジング部と、前記の相対的に剛性であるハウジング部の上に取り付けられた相対的に可撓性であるスリーブ部とを含んでおり、
前記流体通路を通して前記プッシャー要素と前記の軸方向の中空導管の前記の第2の端部との間の前記位置へと粘弾性材料を注入することを有し;かつ、その後で、
前記の軸方向の中空導管の前記の第2の端部を通して、前記プッシャー要素と前記の軸方向の中空導管の前記の第2の端部との間の前記位置において前記粘弾性材料の中へと眼内レンズを挿入することを有する、
前記方法。
【請求項9】
前記注入が前記の第1の端部における前記シリンジコネクターを通して起こる、請求項8に記載の注入のために眼内レンズを準備する方法。
【請求項10】
前記の軸方向の中空導管が、前記粘弾性材料の前記注入前および前記粘弾性材料の前記注入の最中に埋め込みアセンブリーの上に取り付けられる、請求項8に記載の注入のために眼内レンズを準備する方法。
【請求項11】
前記の軸方向の中空導管が、前記粘弾性材料の中への前記眼内レンズの前記挿入前および前記粘弾性材料の中への前記眼内レンズの前記挿入の最中に埋め込みアセンブリーの上に取り付けられる、請求項10に記載の注入のために眼内レンズを準備する方法。
【請求項12】
第1の作動ステージにおいて、注入されるべき眼内レンズのハプティクスが、前記埋め込みアセンブリーの一部を形成する方位角的に正確な取付要素に形成された凹部に配置され、かつ、前記眼内レンズの後方部が、前記の方位角的に正確な取付要素に形成された内腔に据え付けられる、請求項10に記載の注入のために眼内レンズを準備する方法。
【請求項13】
前記の相対的に可撓性であるスリーブ部が、前記の軸方向の細長い中空導管の前記の第2の端部を定める角度のついた縁部を有して形成されており;かつ、
前記の第1の作動ステージにおいて、前記の角度のついた縁部が前記眼内レンズに隣接して位置する、
請求項12に記載の注入のために眼内レンズを準備する方法。
【請求項14】
第2の作動ステージにおいて、粘弾性材料が、前記
の相対的に可撓性
であるスリーブ部の内側へと移される、請求項13に記載の注入のために眼内レンズを準備する方法。
【請求項15】
第3の作動ステージにおいて、前記眼内レンズが、前記
の相対的に可撓性
であるスリーブ
部の中へと軸方向に変位し、かつ、前記ハプティクスが、前記長手方向軸に対するその正確な所定の方位角的位置を維持しながら、後方に折り返された配向で位置決めされる、請求項13に記載の注入のために眼内レンズを準備する方法。
【請求項16】
さらなる作動ステージにおいて、前記の軸方向の細長い中空導管が、前記埋め込みアセンブリーから脱係合し、かつ、埋め込みシリンジに接続される、請求項13に記載の注入のために眼内レンズを準備する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
ここで、本願の譲受人の以下の特許および特許出願を参照し、それらの開示は引用することによって本明細書に組み込まれる:
【0002】
米国特許第5,354,335号明細書;米国特許第5,391,202号明細書;米国特許第5,814,103号明細書;米国特許第5,876,442号明細書;米国特許第5,928,283号明細書;米国特許第6,007,579号明細書;米国特許第6,066,171号明細書;米国特許第6,569,199号明細書;米国特許第6,596,026号明細書;米国特許第6,972,032号明細書;米国特許第7,001,427号明細書;米国特許第7,101,397号明細書;米国特許第7,736,390号明細書;米国特許第7,727,277号明細書;米国特許第7,776,087号明細書;米国特許第7,842,086号明細書;米国特許第7,918,886号明細書;米国特許第8,088,161号明細書;米国特許第8,133,273号明細書および米国特許第9,358,102号明細書;ならびに、
【0003】
米国特許出願公開第2005/0065602号明細書;米国特許出願公開第2005/0154457号明細書;米国特許出願公開第2006/0004446号明細書;米国特許出願公開第2007/0027541号明細書;米国特許出願公開第2010/0145445号明細書;米国特許出願公開第2011/0054599号明細書;米国特許出願公開第2012/0095554号明細書;米国特許出願公開第2014/0371851号明細書;米国特許出願公開第2014/0371852号明細書;米国特許出願公開第2016/0262877号明細書および米国特許出願公開第2016/0278913号明細書。
【0004】
発明の分野
本発明は、概して医療デバイスに関し、より具体的には眼内(intraocular)レンズの埋め込み(implanting;インプラント・移植)に使用するためのデバイスに関する。
【背景技術】
【0005】
発明の背景
種々のタイプの眼内レンズが知られており、それらの例は上記特許および特許出願に記載されている。眼内レンズの埋め込みに使用するための種々のツールもまた、知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、眼内レンズの埋め込みに使用するための改善された装置を提供することを求める。
【課題を解決するための手段】
【0007】
したがって、本発明の好ましい実施形態によれば、眼内レンズの埋め込みに使用するための装置が提供され、当該装置は、第1の端部および第2の端部を有し、かつ、長手方向軸に沿って延びる眼内レンズ注入通路を定める、軸方向の細長い中空導管(axial elongate hollow conduit)を含んでおり、該軸方向の細長い中空導管は、第1の端部に取り外し可能なシリンジ取付位置を定めるシリンジコネクターを有して形成され、かつ、当該装置は、シリンジコネクターと第2の端部との間の軸方向の細長い中空導管内に配置されたプッシャー要素を含んでおり、軸方向の細長い中空導管およびプッシャー要素のうちの少なくとも一方が、粘弾性材料がシリンジコネクターおよびプッシャー要素を通ってプッシャー要素と軸方向の細長い中空導管の第2の端部との間の位置へと進むことを可能にする相互連通導管(mutually communicating conduits)を有して形成される。
【0008】
本発明の好ましい実施形態によれば、眼内レンズの埋め込みに使用するための装置はまた、プッシャー要素に固定された二重目的の細長い中空チューブを含んでおり、該二重目的の細長い中空チューブは、シリンジコネクターに隣接する流体入口端部と、流体出口端部とを有し、該二重目的の細長い中空チューブは、中空プッシャーロッドを定め、かつ、第2の端部に向けて軸方向の細長い中空導管内を、かつ、軸方向の細長い中空導管に対して長手方向軸に沿って変位可能であり、そのことによって、第2の端部に向けて軸に沿ってプッシャー要素を変位させる。追加的または代替的には、軸方向の細長い中空導管は、シリンジコネクターを定める第1の相対的に剛性であるハウジング部と、該相対的に剛性であるハウジング部の上に取り付けられた相対的に可撓性であるスリーブ部とを含んでいる。追加的には、可撓性スリーブ部は、軸方向の細長い中空導管の第2の端部を定める角度のついた縁部(angled edge)を有して形成される。
【0009】
本発明の好ましい実施形態によれば、中空プッシャーロッドは、軸方向の細長い中空導管内にスライド可能かつ密封可能に配置される。追加的には、中空プッシャーロッドは、Oリングとの係合によって軸方向の細長い中空導管内にスライド可能かつ密封可能に配置される。
【0010】
好ましくは、中空プッシャーロッドは先細りの開口部を有して形成され、該先細りの開口部は、それを通って軸方向に延びる貫通円筒内腔(throughgoing cylindrical bore)と連通する。追加的には、貫通円筒内腔は、プッシャー要素を通って伸びる導管と連通し、そのことによって、粘弾性材料がシリンジコネクターおよびプッシャー要素を通ってプッシャー要素と軸方向の細長い中空導管の第2の端部との間の位置へと進むことを可能にする相互連通導管の一部を定める。
【0011】
また、本発明の別の好ましい実施形態によれば、注入のために眼内レンズを準備する方法が提供され、当該方法は、眼内レンズの埋め込みに使用するための装置を提供することを含んでおり、該装置は、第1の端部および第2の端部を有し、かつ、長手方向軸に沿って延びる眼内レンズ注入通路を定める、軸方向の細長い中空導管を含んでおり、該装置は、取り外し可能なシリンジ取付位置を定めるシリンジコネクターを含んでおり、該シリンジコネクターは、軸方向の細長い中空導管の第1の端部に配置され、かつ、該装置は、シリンジコネクターと第2の端部との間の軸方向の細長い中空導管内に配置されたプッシャー要素を含んでおり、軸方向の細長い中空導管およびプッシャー要素のうちの少なくとも一方が、粘弾性材料がシリンジコネクターおよびプッシャー要素を通ってプッシャー要素と軸方向の細長い中空導管の第2の端部との間の位置へと進むことを可能にする相互連通導管を有して形成され、当該方法は、プッシャー要素と軸方向の細長い中空導管の第2の端部との間の位置へと相互連通導管を通して粘弾性材料を注入することを含んでおり、かつ、当該方法は、その後で、軸方向の細長い中空導管の第2の端部を通して、プッシャー要素と軸方向の細長い中空導管の第2の端部との間の位置において粘弾性材料の中に眼内レンズを挿入することを含んでいる。
【0012】
本発明の好ましい実施形態によれば、注入は、第1の端部におけるシリンジコネクターを通して起こる。
【0013】
好ましくは、軸方向の細長い中空導管は、粘弾性材料の注入前および注入の最中に埋め込みアセンブリー(implantation assembly)の上に取り付けられる。追加的には、軸方向の細長い中空導管は、粘弾性材料の中への眼内レンズの挿入前および挿入の最中に埋め込みアセンブリーの上に取り付けられる。
【0014】
本発明の好ましい実施形態によれば、第1の作動ステージ(operative stage)において、埋め込みアセンブリーの一部を形成する方位角的に正確な取付要素(azimuthally precise mounting element)に形成された凹部には、注入されるべき眼内レンズのハプティクス(haptics)が配置され、かつ、方位角的に正確な取付要素に形成された内腔には、眼内レンズの後方部が据え付けられる。
【0015】
好ましくは、軸方向の細長い中空導管は、シリンジコネクターを定める第1の相対的に剛性であるハウジング部と、該相対的に剛性であるハウジング部の上に取り付けられ、かつ、軸方向の細長い中空導管の第2の端部を定める角度のついた縁部を有して形成された相対的に可撓性であるスリーブ部を含んでおり、かつ、第1の作動ステージにおいては、角度のついた縁部は、眼内レンズに隣接して位置する。追加的には、第2の作動ステージにおいて、粘弾性材料が可撓性スリーブ部の内側へと移される。
【0016】
本発明の好ましい実施形態によれば、第3の作動ステージにおいて、眼内レンズは、可撓性スリーブの中へと軸方向に変位し、ハプティクスは、長手方向軸に対するその正確な所定の方位角的位置を維持しながら、後方に折り返された配向で位置決めされる。
【0017】
本発明の好ましい実施形態によれば、第4の作動ステージにおいて、軸方向の細長い中空導管は、埋め込みアセンブリーから脱係合し、かつ、埋め込みシリンジに接続される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
本発明は、図面とともに考慮される以下の詳細な説明からいっそう完全に理解および把握されるであろう:
【0019】
【
図1】
図1は、本発明の好ましい実施形態によって構成され、かつ作動する眼内レンズの埋め込みに使用するための装置の簡略図である。
【
図2】
図2は、
図1の装置の一部を形成する埋め込みアセンブリーの簡略化された分解図である。
【
図3】
図3Aおよび
図3Bはそれぞれ、
図2の埋め込みアセンブリーの一部を形成する、手動で係合可能な軸方向ディスプレーサー(axial displacer)の簡略化された見取(pictorial;絵画的な)図および断面図であり、
図3Bは、
図3Aにおける線3B-3Bに沿ってとられている。
【
図4】
図4Aおよび
図4Bはそれぞれ、
図2の埋め込みアセンブリーの一部を形成する、内部円筒要素の簡略化された見取図および断面図であり、
図4Bは、
図4Aにおける線4B-4Bに沿ってとられている。
【
図5】
図5A、
図5B、
図5Cおよび
図5Dはそれぞれ、
図2の埋め込みアセンブリーの一部を形成する、軸方向ディスプレーサー案内要素の簡略化された後方を向いた(rearward-facing)見取図、前方を向いた(forward-facing)見取図、後方を向いた平面図および断面図であり、
図5Dは、
図5Aにおける線5D-5Dに沿ってとられている。
【
図6】
図6A、
図6B、
図6Cおよび
図6Dはそれぞれ、
図2の埋め込みアセンブリーの一部を形成する、眼内レンズおよびそのための方位角的に正確な取付部の簡略化された後方を向いた分解見取図、後方を向いた組立見取図、後方を向いた平面図および部分断面図であり、
図6Dは、
図6Aにおける線6D-6Dに沿ってとられている。
【
図7】
図7A、
図7Bおよび
図7Cはそれぞれ、
図2の埋め込みアセンブリーの一部を形成する、IOL埋め込み挿入アセンブリーハウジング要素の簡略化された後方を向いた見取図、前方を向いた見取図および断面図であり、
図7Cは、
図7Aにおける線7C-7Cに沿ってとられている。
【
図8】
図8Aおよび
図8Bはそれぞれ、
図2の埋め込みアセンブリーの一部を形成する、主たるハウジング要素の簡略化された見取図および断面図であり、
図8Bは、
図8Aにおける線8B-8Bに沿ってとられている。
【
図9A-B】
図9A、
図9Bおよび
図9Cはそれぞれ、
図1の装置の一部を形成する、IOL埋め込み挿入アセンブリーの簡略化された見取図、平面断面図および分解図であり、
図9Bは、
図9Aにおける線9B-9Bに沿ってとられている。
【
図9C】
図9A、
図9Bおよび
図9Cはそれぞれ、
図1の装置の一部を形成する、IOL埋め込み挿入アセンブリーの簡略化された見取図、平面断面図および分解図であり、
図9Bは、
図9Aにおける線9B-9Bに沿ってとられている。
【
図15】
図15Aおよび
図15Bはそれぞれ、粘弾性材料注入の完了の際の第2の作動配向における
図2の埋め込みアセンブリーの簡略化された見取図および平面断面図であり、
図15Bは、
図15Aにおける線15B-15Bに沿ってとられている。
【
図16】
図16Aおよび
図16Bはそれぞれ、
図2の埋め込みアセンブリーの、粘弾性材料注入の完了およびそれからの粘弾性材料シリンジの脱係合後の、
図15Aおよび
図15Bに示されている第2の作動配向における簡略化された断面見取図および平面断面図であり、
図16Aおよび
図16Bは、
図15Aにおける線15B-15Bに部分的に沿ってとられている。
【
図19】
図19Aおよび
図19Bはそれぞれ、
図2の埋め込みアセンブリーの、それからの安全装置(safety catch)除去後の第4の作動配向における簡略化された断面見取図および平面断面図であり、
図19Bは、
図19Aにおける線19B-19Bに部分的に沿ってとられている。
【
図20】
図20は、眼内レンズの埋め込みの準備ができた、第5の作動配向におけるIOL埋め込み挿入アセンブリーの一部の簡略化された見取図および部分的に拡大された断面見取図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
好ましい実施形態の詳細な説明
ここで
図1を参照すると、該図は、本発明の好ましい実施形態によって構成され、かつ作動する、眼内レンズの埋め込みに使用するための装置100の簡略図である。
【0021】
図1に見られるように、眼内レンズの埋め込みに使用するための装置100は、好ましくは、IOL埋め込み挿入アセンブリー120を部分的に包囲する埋め込みアセンブリー110と、粘弾性材料で充填されたシリンジ130と、埋め込みシリンジ140とを含んでいる。埋め込みアセンブリー110は、
図2~
図8Bを参照して以下で詳細に記載される。IOL埋め込み挿入アセンブリー120は、
図9A~
図12を参照して以下で詳細に記載される。市販の粘弾性材料で充填されたシリンジ130の例が、Johnson & Johnson社から市販されているHEALON(登録商標) 5である。
【0022】
ここで
図2を参照すると、該図は、
図1の装置の一部を形成する埋め込みアセンブリー110の簡略化された分解図である。
図2に見られるように、埋め込みアセンブリー110は、概して、長手方向軸148に沿って配置され、かつ、好ましくは、手動で係合可能な軸方向ディスプレーサー150を有し、該手動で係合可能な軸方向ディスプレーサー150の先端部は、好ましくはシリコーンで形成された変位要素151によって包囲される。手動で係合可能な軸方向ディスプレーサー150は、内部円筒要素152にしっかりと係合する。
【0023】
内部円筒要素152は、次に、主たるハウジング要素154内に配置され、該主たるハウジング要素154は、それと取り外し可能に関連付けられた安全装置155を有する。また、主たるハウジング要素154内には、コイルバネ156と軸方向ディスプレーサー案内要素158とが配置される。主たるハウジング要素154の後端にはカラー部材159が据え付けられ、該カラー部材159は、後方を向いた表面160を有する。軸方向ディスプレーサー案内要素158の前方には、眼内レンズ161と、好ましくはシリコーンで形成されたそのための方位角的に正確な取付要素162とが配置される。
【0024】
眼内レンズ161は、好ましくは、最初は方位角的に正確な取付要素162の上に取り付けられ、かつ、IOL埋め込み挿入アセンブリーハウジング要素164内に配置され、該IOL埋め込み挿入アセンブリーハウジング要素164は、IOL埋め込み挿入アセンブリー120を軸方向に取り外し可能に取り囲む。IOL埋め込み挿入アセンブリー120は、最初は、かつ、取り外し可能にIOL埋め込み挿入アセンブリーハウジング要素164の上に取り付けられる。
図9A~
図12を参照して詳細に以下で記載されるように、IOL埋め込み挿入アセンブリー120は、ハウジング要素170と、Oリング174によってハウジング要素170内にスライド可能かつ密封可能に配置された中空プッシャーロッド172の形態の二重目的の細長い中空チューブと、プッシャーロッド172の後端に固定されたプッシャー要素176と、ハウジング要素170の後方部に被せられた前方部を有する可撓性スリーブ178とを含んでいる。
【0025】
ハウジング要素170と可撓性スリーブ178とは、長手方向軸148に沿って延びる眼内レンズ注入通路を定める、軸方向の細長い中空導管を定める。
【0026】
ここで
図3Aおよび
図3Bを参照すると、該図はそれぞれ、
図2の埋め込みアセンブリー110の一部を形成する、手動で係合可能な軸方向ディスプレーサー150の簡略化された見取図および断面図であり、
図3Bは、
図3Aにおける線3B-3Bに沿ってとられている。
図3Aおよび
図3Bに見られるように、手動で係合可能な軸方向ディスプレーサー150は、好ましくは、軸対称単一要素(axially symmetric unitary element)であり、かつ、前方の概して円筒形のピン部202を有し、該前方の概して円筒形のピン部202は、前方中間円筒部206が後に続く先細り部204において後方に終端し、該前方中間円筒部206は、前方の概して円筒形のピン部202のものより大きい半径を有する。前方中間円筒部206は、後方中間円筒部210が後に続く先細り部208において後方に終端し、該後方中間円筒部210は、前方中間円筒部206のものより大きい半径を有する。後方中間円筒部210は、後方ノブ部214の前方を向いた環状表面(annular surface)212において終端する。
【0027】
ここで
図4Aおよび
図4Bを参照すると、該図はそれぞれ、
図2の埋め込みアセンブリーの一部を形成する、内部円筒要素152の簡略化された見取図および断面図であり、
図4Bは、
図4Aにおける線4B-4Bに沿ってとられている。
【0028】
図4Aおよび
図4Bに見られるように、内部円筒要素152は、好ましくは、軸対称単一要素であり、かつ、後方の概して円筒形の表面部222を有し、該後方の概して円筒形の表面部222は、後方を向いた環状表面224において前方に終端する。後方を向いた環状表面224は、後方中間の概して円筒形の表面部226へと半径方向外側に延び、該後方中間の概して円筒形の表面部226は、後方の概して円筒形の表面部222のものより大きい半径を有する。後方中間の概して円筒形の表面部226は、前方を向いた環状表面228へと前方に延び、該前方を向いた環状表面228は、前方中間の概して円筒形の表面部230へと半径方向内側に延び、該前方中間の概して円筒形の表面部230は、後方の概して円筒形の表面部222のものと概して同一の半径を有する。前方中間の概して円筒形の表面部230は、前方および内側に先細りした表面部232へと前方に延び、該前方および内側に先細りした表面部232は、前方の概して円筒形の表面部234において前方に終端し、該前方の概して円筒形の表面部234は、前方環状表面236において終端する。
【0029】
前方の概して円筒形の表面部234は、好ましくは、4つの、等しく方位角的に分布した軸方向スロット240を有して形成され、該4つの、等しく方位角的に分布した軸方向スロット240は、前方の概して円筒形の表面部234を通って延びる。
【0030】
内部円筒要素152は、好ましくは、均一な半径の内腔242を有して形成され、該均一な半径の内腔242は、後方の概して円筒形の表面部222の開口後方縁部244から、前方の概して円筒形の表面部234の前方端部に隣接した後方を向いた環状表面246へと延びる。後方を向いた環状表面246は、前方および外側に先細りした円形表面248へと内側に延び、該前方および外側に先細りした円形表面248は、前方環状表面236において終端する。
【0031】
ここで
図5A、
図5B、
図5Cおよび
図5Dを参照すると、該図はそれぞれ、
図2の埋め込みアセンブリーの一部を形成する、軸方向ディスプレーサー案内要素158の簡略化された後方を向いた見取図、前方を向いた見取図、後方を向いた平面図および断面図であり、
図5Dは、
図5Aにおける線5D-5Dに沿ってとられている。
【0032】
図5A~
図5Dに見られるように、軸方向ディスプレーサー案内要素158は、好ましくは、均一な軸方向内腔250を有する軸対称単一要素であり、かつ、後方を向いた環状表面260を有し、該後方を向いた環状表面260は、後方の概して前方および外側に先細りした周表面262へと外側に延びる。後方の概して前方および外側に先細りした周表面262は、前方を向いた環状表面264において前方に終端し、該前方を向いた環状表面264は、半径方向内側に延び、かつ、後方円筒表面266において終端する。後方円筒表面266は、後方を向いた環状表面268において終端し、該後方を向いた環状表面268は、半径方向外側に延び、かつ、後方中間円筒表面270において終端する。
【0033】
後方中間円筒表面270は、後方を向いた環状表面272において終端し、該後方を向いた環状表面272は、半径方向外側に延び、かつ、中間円筒表面274において終端する。中間円筒表面274は、周方向に段のある前方を向いた環状表面276において終端し、該周方向に段のある前方を向いた環状表面276は、半径方向内側に延び、かつ、前方および内側に先細りした表面278において終端する。先細りした表面278は、半径方向内側に延び、かつ、前方円筒表面280において終端する。前方円筒表面280は、前方を向いた環状表面282において終端する。
【0034】
中間円筒表面274は、好ましくは、3つの均一に方位角的に離間した凹部284を有して形成される。各凹部284は、第1の深さの後方部286と、第1の深さより小さい第2の深さの中間部288と、第1の深さより大きい第3の深さの前方部290とを含む、湾曲した外表面を有する。
【0035】
ここで
図6A、
図6B、
図6Cおよび
図6Dを参照すると、該図はそれぞれ、
図2の埋め込みアセンブリーの一部を形成する、眼内レンズ161と方位角的に正確な取付要素162との簡略化された後方を向いた分解見取図、後方を向いた組立見取図、後方を向いた平面図および部分断面図であり、
図6Dは、
図6Aにおける線6D-6Dに沿ってとられている。
【0036】
図6Aに見られるように、眼内レンズ161は、任意の適切な眼内レンズであってもよく、かつ、好ましくは、Visioncare Ophthalmic Technologies, Inc.社から市販されているPR00035-00 IOLである。
【0037】
図6A~
図6Dに見られるように、方位角的に正確な取付要素162は、好ましくは、軸対称単一要素であり、かつ、後方を向いた環状表面300を有し、該環状表面300は、後方を向いた中央凹部302を取り囲み、かつ、3つの均一に方位角的に離間した切欠き部304を有して形成される。中央凹部302は、後方を向いた環状表面306を有して形成され、該後方を向いた環状表面306は、軸方向内腔308を取り囲む。
【0038】
方位角的に正確な取付要素162は、半径方向外側を向いた円筒表面310を有して形成され、該半径方向外側を向いた円筒表面310は、前方を向いた環状表面312において終端し、該前方を向いた環状表面312は、後方および内側に先細りした表面314へと内側に延びる。3つの均一に方位角的に離間した凹部316は、表面310、表面312および表面314において形成され、各凹部316は、一対の相互に平行な側面318および後方および外側に先細りした平面状表面320によって定められ、該後方および外側に先細りした平面状表面320は、円筒表面310へと後方に延びる。先細りした平面状表面320はそれぞれ、半径方向外側および共通の前方を向いた表面322から後方に延びる。
【0039】
内腔308より幅の狭い中心軸方向内腔324が、前方を向いた表面322から後方を向いた表面326へと後方に延び、該後方を向いた表面326は表面322に対して平行であり、軸方向内腔308の前方終端ならびに内腔308および内腔324の接合点を定める。
【0040】
図6Aおよび
図6Bに見られるように、IOL161は、好ましくは、方位角的に正確な取付要素162内に据え付けられ、IOL161の後方部328は内腔324にしっかりと据え付けられ、かつ、そのハプティクス330は、各凹部316に配置されるが、据え付けられない。
【0041】
ここで
図7A、
図7Bおよび
図7Cを参照すると、該図はそれぞれ、
図2の埋め込みアセンブリーの一部を形成する、IOL埋め込み挿入アセンブリーハウジング要素164の簡略化された後方を向いた見取図、前方を向いた見取図および断面図であり、
図7Cは、
図7Aにおける線7C-7Cに沿ってとられている。
【0042】
図7A~
図7Cに見られるように、IOL埋め込み挿入アセンブリーハウジング要素164は、好ましくは、軸方向に左右対称な単一要素(axially side-to-side symmetric unitary element)であり、かつ、後方を向いた環状表面350を有し、該後方を向いた環状表面350は、中空後方円筒部352へと半径方向外側に延び、該中空後方円筒部352は、その中に3つの均一に方位角的に分布した軸方向スリット354を形成している。円筒部352は、前方を向いた環状表面355において前方に終端し、該前方を向いた環状表面355は、前方および内側に先細った表面356へと半径方向内側に延び、該前方および内側に先細った表面356は、次に、中間円筒部358において前方に終端し、該中間円筒部358は、半径方向外側に方向付けられた円筒表面360を定め、該半径方向外側に方向付けられた円筒表面360は、一対の軸方向スロット361を有して形成される。
【0043】
円筒表面360は、後方に方向付けられた環状表面362において前方に終端し、該後方に方向付けられた環状表面362は、前方円筒部364の外側に方向付けられた円筒表面363へと半径方向外側に延び、該前方円筒部364は、前方を向いた平面状表面366を有する。前方を向いた平面状表面366は、鍵穴タイプの開口部370を有して形成され、該鍵穴タイプの開口部370は、概して円形の中心部372と一対の概して長方形の側部374とを含んでいる。
【0044】
概して円形の中心部372において前方を向いた平面状表面366から後方に延びているのが軸方向内腔380であり、該軸方向内腔380は、中間円筒部358の内側の先細りした肩部384へと延びる第1の部分382と、第1の部分382よりわずかに幅が狭く、肩部384から、中空後方円筒部352内に配置された円筒部387(その後端には、滑らかに丸みを帯びた縁部388が形成される)へと後方に延びる第2の部分386とを含んでいる。縁部388の前方には、角度のついた内側肩部389が存在する。
【0045】
概して長方形の側部374において前方を向いた平面状表面366から後方に延びているのが、一対の概して平面状である四角形の凹部390であり、該一対の概して平面状である四角形の凹部390はそれぞれ、貫通内腔392によって横切られる。
【0046】
ここで
図8Aおよび
図8Bを参照すると、該図はそれぞれ、
図2の埋め込みアセンブリーの一部を形成する、主たるハウジング要素154の簡略化された見取図および断面図であり、
図8Bは、
図8Aにおける線8B-8Bに沿ってとられている。
図8Aおよび
図8Bに見られるように、主たるハウジング要素154は、好ましくは、軸方向に左右対称である単一要素であり、かつ、後方を向いた環状表面400を有し、該後方を向いた環状表面400は、円筒表面402へと半径方向外側に延び、該円筒表面402は、その中に一対の切欠き部404を形成している。円筒表面402は、前方および内側に先細りした表面406において前方に終端し、該前方および内側に先細りした表面406は、環状の前方を向いた表面408へと延びる。先細りした表面406の後方には、部分的に周方向のスロット410が配置される。主たるハウジング要素154は、軸方向内腔412を有して形成され、該軸方向内腔412は、内側の半径方向内側に延びる輪414によって遮られ、該内側の半径方向内側に延びる輪414は、前方を向いた環状表面416と後方を向いた環状表面418とを定める。
【0047】
ここで
図9A~
図9Cを参照すると、該図はそれぞれ、
図1の装置の一部を形成するIOL埋め込み挿入アセンブリー120の簡略化された見取図、平面断面図および分解図であり、
図10Aおよび
図10Bを参照すると、該図はそれぞれ、
図9A~
図9CのIOL埋め込み挿入アセンブリー120の一部の簡略化された見取図および断面図であり、
図11を参照すると、該図は、
図9A~
図9CのIOL埋め込み挿入アセンブリー120の別の一部の簡略化された見取図および断面図であり、
図12を参照すると、該図は、
図9A~
図9CのIOL埋め込み挿入アセンブリー120のさらなる一部の簡略化された平面側面図である。
【0048】
図2の説明において上記で注目されたように、IOL埋め込み挿入アセンブリー120は、相対的に剛性であるハウジング要素170と、Oリング174によってハウジング要素170内にスライド可能かつ密封可能に配置された中空プッシャーロッド172と、プッシャーロッド172の後端に固定されたプッシャー要素176と、ハウジング要素170の好ましくはリブ付きの後方部に被せられた前方部を有する相対的に可撓性であるスリーブ178とを含んでいる。
【0049】
図9A~
図12に見られるように、ハウジング要素170は、好ましくは、軸方向に左右対称である単一要素であり、かつ、後方を向いた環状表面500を有し、該後方を向いた環状表面500は、円筒表面502へと半径方向外側に延び、該円筒表面502は、リブ付きの後方部504と、概して滑らかな前方部506とを含んでいる。概して滑らかな前方部506から外側に延びているのが一対の概して平坦な翼部508であり、1つの表面510は、好ましくは、「UP」のようなユーザーが見ることのできる指示を有する。前方部506は、シリンジ130およびシリンジ140(
図1)のような、従来のルアーコネクターを有するシリンジとの係合に適した、従来のシリンジコネクター(好ましくは、ルアーロックコネクター512)におけるその前端において終端する。翼部508は、埋め込み機(implanter)が埋め込みの最中にIOL161のハプティクス330を容易に正確に固定させることを可能にするために重要である。
【0050】
ハウジング要素170は、その前端において、わずかに先細りした内腔520を有して形成され、該わずかに先細りした内腔520は、円筒内腔524に向かって先細りした位置522において後方に幅が狭くなり、該円筒内腔524は、相対的に幅の狭い円筒内腔525において終端する。
【0051】
中空プッシャーロッド172は、先細りした開口部526の形態の流体入口端部を有して形成され、該流体入口端部は、貫通円筒内腔528と連通する。中空プッシャーロッド172は、最初は、円筒内腔524に完全に据え付けられ、かつ、Oリング174によってそれに対して据え付けられる。中空プッシャーロッド172は、円筒内腔525を通ってスライドするように延び、かつ、プッシャー要素176に固定され、該プッシャー要素176は、次に、円筒内腔530を有して形成され、該円筒内腔530は、中空プッシャーロッド172の内腔528と連通する。
【0052】
リブ付きの後方部504に可撓性スリーブ178の前端がしっかりと被せられ、かつ、可撓性スリーブ178は、後方を向いた環状表面500を越えて後方に延び、かつ、先細りの後方を向いた縁部550において終端する。翼部508および角度のついた縁部550の相互配向は
図9Bに示されているようなものであり、IOL埋め込み挿入アセンブリー120がIOL埋め込み挿入アセンブリーハウジング要素164に対してその必要とされる方位角的配向において完全に据え付けられる時、角度のついた縁部550の角度配向がIOL埋め込み挿入アセンブリーハウジング要素164の先細りした肩部389の角度配向に一致するようになっていることが把握される。
【0053】
中空プッシャーロッド172は、ハウジング要素170に対して長手方向軸148(
図2)に沿って変位可能であり、かつ、後方に変位する時、先細りの後方を向いた縁部550に向けてプッシャー要素176を後方に変位させるように作動することが把握される。
【0054】
ここで
図13Aおよび
図13Bを参照すると、該図は、埋め込みシリンジ140を示している。任意の適切な埋め込みシリンジが代替的に採用されてもよいことが把握される。
図13Aおよび
図13Bに見られるように、埋め込みシリンジ140は、好ましくは、円筒胴部560を含んでおり、該円筒胴部560は、幅の狭い前方開口部562と、後方フランジ564とを有する。後方フランジ564の上には、保持部566が回転可能に取り付けられて、埋め込みの最中のIOL埋め込み挿入アセンブリー120の必要とされる適切な配向を補助する。
【0055】
胴部560の後方は、取り外し可能な停止要素568であり、該取り外し可能な停止要素568は、手動で軸方向に変位可能なプッシャー要素570の意図しない軸方向の変位を防止し、該手動で軸方向に変位可能なプッシャー要素570の前方にはプッシャーロッド572が取り付けられ、該プッシャーロッド572は、幅の狭い前方開口部562を通って選択的に軸方向に変位するように構成されている。ノッチ付きの位置決めリングキャッチ574が、プッシャー要素570およびハウジング部568Aに密封せずに係合して、胴部560を通るその軸方向の変位の最中にプッシャー要素570を案内する。
【0056】
ここで
図14A~
図14Dを参照すると、該図は、典型的には「箱から出したばかりの(out of the box)」作動配向である第1の作動配向における
図2の埋め込みアセンブリーを示している。IOL161の後方部328は、方位角的に正確な取付要素162の内腔324(
図6A~
図6D)に据え付けられることが見られる。IOL161のハプティクス330は、
図6Bに示されているように、方位角的に正確な取付要素162の凹部316(
図6A~
図6D)に配置されるが、据え付けられないこともまた見られる。この配向では、可撓性スリーブ178の先細りの後方を向いた縁部550は、IOL埋め込み挿入アセンブリーハウジング要素164の肩部389に隣接し、かつ、IOL161に隣接して位置する。この作動配向では、手動で係合可能な軸方向ディスプレーサー150は、コイルバネ156の促しの下で引き込まれた配向で維持され、手動で係合可能な軸方向ディスプレーサー150の前方を向いた環状表面212が、カラー部材159の後方を向いた表面160から後方に離間するようになっている。可撓性スリーブ178は、中空プッシャーロッド172と流体連通する。滑らかに丸みを帯びた縁部388は、好ましくは、IOL161のハプティクス330との接触した係合状態にはない。
【0057】
ここで
図15Aおよび
図15Bを参照すると、該図はそれぞれ、粘弾性材料で充填されたシリンジ130の取付およびスリーブ178の中への粘弾性材料の注入に続く第2の作動配向における
図2の埋め込みアセンブリーの簡略化された見取図および平面断面図である。
【0058】
図15Aおよび
図15Bに見られるように、粘弾性材料で充填されたシリンジ130は、ハウジング要素170の前方部506のルアーロックコネクター512に接続される。その中に含有された粘弾性材料900は、中空プッシャーロッド172を通して、可撓性スリーブ178の内側へと、かつ、方位角的に正確な取付要素162の前方の中空後方円筒部352の部分の中へと移され、そのことによってIOL161を取り囲む。滑らかに丸みを帯びた縁部388は、好ましくは、未だにIOL161のハプティクス330との接触した係合状態にはない。
【0059】
ここで
図16Aおよび
図16Bを参照すると、該図はそれぞれ、
図2の埋め込みアセンブリーの、粘弾性材料900の注入の完了およびそれからの粘弾性材料で充填されたシリンジ130の脱係合後の、
図15Aおよび
図15Bに示されているその第2の作動配向における簡略化された断面見取図および平面断面図である。
【0060】
ここで
図17Aおよび
図17Bを参照すると、該図はそれぞれ、
図2の埋め込みアセンブリーの、それへの埋め込みシリンジ140の係合後の、
図16Aおよび
図16Bに示されているその第2の作動配向における簡略化された断面見取図および平面断面図である。
【0061】
【0062】
図18Aおよび
図18Bに見られるように、埋め込みシリンジ140の取付に続いて、手動で係合可能な軸方向ディスプレーサー150の後方ノブ部214はユーザーによって押し下げられ、そのことによってコイルバネ156を圧縮する。手動で係合可能な軸方向ディスプレーサー150の前進運動は、変位要素151がIOL161の後方部328に係合し、かつ、方位角的に正確な取付要素162から可撓性スリーブ178の中へとIOL161を前方に変位させることを引き起こす。可撓性スリーブ178に向かうIOL161の前進運動は、ハプティクス330が滑らかに丸みを帯びた縁部388に係合することを引き起こし、該係合は、
図18Bの拡大
図Aに見られるような後方に折り返された配向へと後方にハプティクス330を徐々に折り返す。
【0063】
縁部388を通り越えたIOL161の継続する前進運動は、IOL161を、IOL埋め込み挿入アセンブリーハウジング要素164の肩部389を通り越え、かつ、可撓性スリーブ178の縁部550を通り越え、プッシャー要素176に向けて、IOL埋め込み挿入アセンブリー120内の最終的にローディングされる位置へと運ぶ。
【0064】
図18Bの拡大
図Bに見られるように、軸方向ディスプレーサー案内要素158の前方を向いた環状表面264は、内部円筒要素152の後方を向いた環状表面246にロックしながら係合して、可撓性スリーブ178内のIOL161の正確な位置決めを保証する。
【0065】
ここで
図19Aおよび
図19Bを参照すると、該図はそれぞれ、
図2の埋め込みアセンブリーの、それからの安全装置155の除去後の第4の作動配向における簡略化された断面見取図および平面断面図であり、
図20を参照すると、該図は、眼内レンズの埋め込みの準備ができた、第5の作動配向におけるIOL埋め込み挿入アセンブリー120の一部の簡略化された見取図および部分的に拡大された断面見取図である。
【0066】
図19Aおよび
図19Bに見られるように、可撓性スリーブ178内のIOL161の位置決めに続いて、安全装置155はユーザーによって手動で除去されて、埋め込みシリンジ140を、それに取り付けられたIOL埋め込み挿入アセンブリー120とともに主たるハウジング要素154から解放する。
図20に見られるように、IOL161およびハプティクス330は、埋め込み配向の準備のできたIOL埋め込み挿入アセンブリー120内に配置される。
【0067】
本発明は、具体的に図示され、かつ、上記されたものに限定されず、むしろ、本発明の範囲は、上記された種々の特徴の組み合わせおよび部分的組み合わせの両方、ならびに、上記の説明を読んだ当業者が想起する先行技術にはないその変形および修正を含んでいることが当業者によって把握されるであろう。