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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-05
(45)【発行日】2024-03-13
(54)【発明の名称】蓄電素子及び蓄電素子の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/184 20210101AFI20240306BHJP
   H01M 50/188 20210101ALI20240306BHJP
   H01M 50/176 20210101ALI20240306BHJP
   H01M 50/55 20210101ALI20240306BHJP
   H01M 50/557 20210101ALI20240306BHJP
   H01M 50/588 20210101ALI20240306BHJP
   H01M 50/593 20210101ALI20240306BHJP
   H01M 50/15 20210101ALI20240306BHJP
   H01G 11/78 20130101ALI20240306BHJP
   H01G 11/74 20130101ALI20240306BHJP
【FI】
H01M50/184 A
H01M50/188
H01M50/176
H01M50/55 101
H01M50/557
H01M50/588
H01M50/593
H01M50/15
H01G11/78
H01G11/74
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019117783
(22)【出願日】2019-06-25
(65)【公開番号】P2021005468
(43)【公開日】2021-01-14
【審査請求日】2022-03-23
(73)【特許権者】
【識別番号】507151526
【氏名又は名称】株式会社GSユアサ
(73)【特許権者】
【識別番号】513045127
【氏名又は名称】株式会社大北製作所
(73)【特許権者】
【識別番号】000206141
【氏名又は名称】大成プラス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100153224
【弁理士】
【氏名又は名称】中原 正樹
(72)【発明者】
【氏名】道畑 良太
(72)【発明者】
【氏名】中川 祐太
(72)【発明者】
【氏名】太田 直樹
(72)【発明者】
【氏名】大北 浩司
(72)【発明者】
【氏名】大北 幸史
(72)【発明者】
【氏名】濱本 匡也
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 新
(72)【発明者】
【氏名】松本 晃央
【審査官】佐溝 茂良
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-004443(JP,A)
【文献】特開2015-072904(JP,A)
【文献】特開2013-258039(JP,A)
【文献】実開平04-098268(JP,U)
【文献】特開2003-217564(JP,A)
【文献】国際公開第2017/159760(WO,A1)
【文献】特開平04-324242(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/10-50/198
H01M 50/50-50/598
H01G 11/00-11/86
H01M 10/04-10/0587
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極体と、
前記電極体を収容し且つ壁部を含む容器と、
前記電極体と電気的に接続される接続部材と、
前記接続部材の一部と前記壁部との間に配置される第一絶縁部材と、
前記接続部材と前記壁部との間であって前記第一絶縁部材の周辺領域に配置され、且つ前記接続部材と前記壁部とを一体化する第二絶縁部材と、を備え、
前記第一絶縁部材は、前記壁部の外側に配置されており、
前記第一絶縁部材は、前記壁部と前記接続部材との間に直接的に介在しており
前記第二絶縁部材は、前記壁部と前記接続部材との間において前記第一絶縁部材を囲み、かつ、前記壁部と前記接続部材との間を埋めるように配置されている、
蓄電素子。
【請求項2】
電極体と、
前記電極体を収容し且つ壁部を含む容器と、
前記電極体と電気的に接続される接続部材と、
前記接続部材の一部と前記壁部との間に配置される第一絶縁部材と、
前記接続部材と前記壁部との間であって前記第一絶縁部材の周辺領域に配置され、且つ前記接続部材と一体化された第二絶縁部材と、を備え、
前記第一絶縁部材は、前記壁部の外側に配置されており、
前記第一絶縁部材は、前記壁部と前記接続部材との間に直接的に介在しており
前記接続部材は、前記壁部に設けられた開口部を貫通した状態で前記電極体と接続される内部接続部と、前記容器の外部に配置される外部接続部とを含み、
前記第二絶縁部材は、
前記開口部の内部に充填されて前記開口部を塞ぐ部分と、
前記壁部よりも内部において、前記開口部の貫通方向からみて前記開口部よりも大きい領域に配置され、前記内部接続部の一部を埋設している部分と、
前記壁部よりも外部において、前記開口部の前記貫通方向からみて前記開口部よりも大きい領域に配置され、前記外部接続部の一部を埋設している部分と、を一体に備え、
前記第二絶縁部材は、前記壁部と前記接続部材との間において前記第一絶縁部材を囲み、かつ、前記壁部と前記接続部材との間を埋めるように配置されている、
蓄電素子。
【請求項3】
前記第一絶縁部材は、前記壁部と係合する第一係合部及び前記接続部材と係合する第二係合部の少なくとも一方を含む、
請求項1または2記載の蓄電素子。
【請求項4】
前記接続部材は、前記壁部に設けられた開口部を貫通した状態で前記電極体と接続される内部接続部と、前記容器の外部に配置される外部接続部とを含み、
前記外部接続部は、前記内部接続部と接続される端子部と、前記端子部に設けられた貫通孔を貫通した状態で配置される軸部材とを含み、
前記第一絶縁部材は、前記軸部材における前記第一絶縁部材側の端部と係合する前記第二係合部を含む、
請求項記載の蓄電素子。
【請求項5】
前記第一絶縁部材は、前記第一係合部及び前記第二係合部を含み、
前記第一係合部は、前記壁部に向けて突出する第一凸部を含み、
前記壁部は、前記第一凸部が係合する第一凹部を含み、
前記接続部材は、前記第一絶縁部材に向けて突出する第二凸部を含み、
前記第二係合部は、前記第二凸部と係合する第二凹部を含む、
請求項3または4に記載の蓄電素子。
【請求項6】
前記第一絶縁部材における前記第二絶縁部材との境界部分が、前記第二絶縁部材と溶け合って一体化されている、
請求項1~5のいずれか一項に記載の蓄電素子。
【請求項7】
電極体と、前記電極体を収容し且つ壁部を有する容器と、前記電極体と電気的に接続される接続部材とを備え、かつ、第一絶縁部材が前記壁部の外側に配置されている、蓄電素子の製造方法であって、
前記壁部と前記接続部材との間に前記第一絶縁部材を前記壁部に接した状態で配置することと、
前記壁部と前記接続部材との間であって前記第一絶縁部材の周辺領域に、樹脂を流し込むことと、
を含む蓄電素子の製造方法。
【請求項8】
前記接続部材は、前記電極体と接続される内部接続部及び前記容器の外部に配置される外部接続部を含み、
前記壁部と前記接続部材との間に前記第一絶縁部材を配置する際に、
前記壁部と前記第一絶縁部材とを係合させることと、
前記外部接続部と前記第一絶縁部材とを係合させることと、
をさらに含む請求項記載の蓄電素子の製造方法。
【請求項9】
前記第一絶縁部材の前記周辺領域に前記樹脂を流し込むことは、
前記第一絶縁部材と前記樹脂との境界部分において、前記第一絶縁部材が前記樹脂と溶け合って一体化されることを含む、
請求項7または8記載の蓄電素子の製造方法。
【請求項10】
前記第一絶縁部材の平均厚みは、1mm以上2mm以下である、
請求項1~6のいずれか一項に記載の蓄電素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電素子及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、容器の蓋体と,正極端子とが絶縁部材を介して一体に形成された電池が開示されている。この電池において、容器には捲回電極体が収容されており、捲回電極体には、正極端子における容器の内側の部分が接続されている。また、正極端子における容器の外側の部分には、ボルトが接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-169085号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の電池のように、容器の内部の電極体に接続された正極端子等の接続部材と、容器の蓋体とを絶縁部材によって一体化する場合、例えば蓋体及び接続部材等の一体化すべき構成要素を金型等に固定して、金型に樹脂を流し込み、流し込んだ樹脂を固化させる。このとき、接続部材と蓋体との間には、樹脂が充填されるための隙間を開けておく必要があり、そのため、接続部材は蓋体によって支持される状態ではない。その結果、接続部材の位置ずれが生じ、これにより、接続部材が容器と導通しやすい位置に配置されるなど、蓄電素子の信頼性を低下させる事態が生じる可能性がある。
【0005】
本発明は、上記従来の課題を考慮し、信頼性が向上した蓄電素子及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る蓄電素子は、電極体と、前記電極体を収容し且つ壁部を含む容器と、前記電極体と電気的に接続される接続部材と、前記接続部材の一部と前記壁部との間に配置される第一絶縁部材と、前記接続部材と前記壁部との間であって前記第一絶縁部材の周辺領域に配置され、且つ前記接続部材と一体化された第二絶縁部材と、を備える。
【0007】
この構成によれば、接続部材の一部と壁部との間に第一絶縁部材が配置されるため、例えば、製造時における接続部材の位置規制が容易である。具体的には、接続部材と壁部との間に介在する第一絶縁部材によって、接続部材の当該一部を壁部から適切な距離だけ離間した状態を維持しながら、接続部材と壁部とを絶縁する第二絶縁部材を形成することができる。つまり、本態様に係る蓄電素子は、容器の内外を接続する接続部材と容器とが第二絶縁部材によって一体化され、且つ、接続部材と容器との絶縁不良等が生じ難い蓄電素子である。従って、本態様に係る蓄電素子は、信頼性が向上した蓄電素子である。
【0008】
また、本発明の一態様に係る蓄電素子において、前記第一絶縁部材は、前記壁部と係合する第一係合部及び前記接続部材と係合する第二係合部の少なくとも一方を含む、としてもよい。
【0009】
このように、第一絶縁部材が壁部および接続部材の少なくとも一方と係合することで、壁部及び/または接続部材に対する第一絶縁部材の相対的な位置ずれが抑制されるため、製造時における接続部材の位置規制がより確実化される。つまり、蓄電素子において、接続部材を適切な位置に精度よく配置することができる。
【0010】
また、本発明の一態様に係る蓄電素子において、前記接続部材は、前記壁部に設けられた開口部を貫通した状態で前記電極体と接続される内部接続部と、前記容器の外部に配置される外部接続部とを含み、前記外部接続部は、前記内部接続部と接続される端子部と、前記端子部に設けられた貫通孔を貫通した状態で配置される軸部材とを含み、前記第一絶縁部材は、前記軸部材における前記第一絶縁部材側の端部と係合する前記第二係合部を含む、としてもよい。
【0011】
この構成によれば、例えば軸部材としてボルトを採用した場合、ボルトの軸部を端子部の貫通孔に貫通させ、ボルトの頭部を、第一絶縁部材の第二係合部に係合させることができる。この場合、第一絶縁部材は、製造時におけるボルトの位置を規制することができ、且つ、完成後にはボルトの回り止めとして機能する。つまり、蓄電素子において適切な位置に配置されたボルトに、外部の接続端子をしっかりと締結することができる。このことは、蓄電素子の信頼性の向上に寄与する。
【0012】
また、本発明の一態様に係る蓄電素子において、前記端子部は、平板状であり、前記第二絶縁部材は、前記端子部の、前記軸部材の軸方向と直交する方向の端面を覆う側壁部を含む、としてもよい。
【0013】
この構成によれば、平板状の端子部の端面が前記第二絶縁部材の側壁部に覆われるため、例えば、端子部の端面と、外部の物体との絶縁性が確保される。また、側壁部は、端子部についての回り止めとしても機能する。これらのことは、蓄電素子の信頼性の向上に寄与する。
【0014】
また、本発明の一態様に係る蓄電素子において、前記第一絶縁部材は、前記第一係合部及び前記第二係合部を含み、前記第一係合部は、前記壁部に向けて突出する第一凸部を含み、前記壁部は、前記第一凸部が係合する第一凹部を含み、前記接続部材は、前記第一絶縁部材に向けて突出する第二凸部を含み、前記第二係合部は、前記第二凸部と係合する第二凹部を含む、としてもよい。
【0015】
この構成によれば、第一絶縁部材は、接続部材及び壁部の両方に対して係合する部分を有するため、壁部及び接続部材の両方に対する第一絶縁部材の相対的な位置ずれが抑制される。これにより、製造時における接続部材の位置規制がさらに確実化される。
【0016】
また、本発明の一態様に係る蓄電素子の製造方法は、電極体と、前記電極体を収容し且つ壁部を有する容器と、前記電極体と電気的に接続される接続部材とを備える蓄電素子の製造方法であって、前記壁部と前記接続部材との間に第一絶縁部材を配置することと、前記壁部と前記接続部材との間であって前記第一絶縁部材の周辺領域に、樹脂を流し込むことと、を含む。
【0017】
この製造方法によれば、接続部材の一部と壁部との間に第一絶縁部材が配置されるため、例えば、製造時における接続部材の位置規制が容易である。具体的には、接続部材の当該一部を壁部から適切な距離だけ離間した状態を維持しながら、インサート成形によって、接続部材と容器の壁部とを一体化することができる。つまり、容器の内外を接続する接続部材と容器とが樹脂によって一体化され、且つ、接続部材と容器との絶縁不良等が生じ難い蓄電素子を製造することができる。従って、本態様に係る蓄電素子の製造方法によれば、信頼性が向上した蓄電素子を製造することができる。
【0018】
また、本発明の一態様に係る蓄電素子の製造方法において、前記接続部材は、前記電極体と接続される内部接続部及び前記容器の外部に配置される外部接続部を含み、前記壁部と前記接続部材との間に前記第一絶縁部材を配置する際に、前記容器の壁部と第一絶縁部材とを係合させることと、前記外部接続部と前記第一絶縁部材とを係合させることと、をさらに含む、としてもよい。
【0019】
この製造方法によれば、第一絶縁部材は、接続部材及び壁部の両方に対して係合するよう配置され、その状態で、樹脂の流し込みが行われる。つまり、接続部材の壁部に対する相対的な位置ずれの抑制が、第一絶縁部材を介してより確実に行われ、その状態で樹脂成形が行われる。これにより、接続部材を固定し、且つ容器の接続部材の周囲における気密を維持するための樹脂成形がより精度よく実行される。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、信頼性が向上した蓄電素子及びその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】実施の形態に係る蓄電素子の内部構造の概要を示す斜視図である。
図2】実施の形態に係る蓄電素子の接続部材及びその周辺の構造を示す第1の分解斜視図である。
図3】実施の形態に係る蓄電素子の接続部材及びその周辺の構造を示す第2の分解斜視図である。
図4図1におけるIV-IV断面の一部を示す図である。
図5図1におけるV-V断面を示す図である。
図6】蓋体と接続部材との間に第一絶縁部材を配置する工程を示す斜視図である。
図7A】蓋体と接続部材との間に第一絶縁部材が配置された状態を示す斜視図である。
図7B図7Aに対応する側面図である。
図8】第二絶縁部材が形成された状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態に係る蓄電素子について説明する。なお、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示したものではない。
【0023】
また、以下で説明する実施の形態は、本発明の一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、製造工程の順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0024】
また、以下の実施の形態及び特許請求の範囲において、平行及び直交などの、相対的な方向または姿勢を示す表現が用いられる場合があるが、これらの表現は、厳密には、その方向または姿勢ではない場合も含む。例えば、2つの方向が平行である、とは、当該2つの方向が完全に平行であることを意味するだけでなく、実質的に平行であること、すなわち、例えば数%程度の差異を含むことも意味する。また、以下の説明において、例えば、X軸方向プラス側とは、X軸の矢印が向く側を示し、X軸方向マイナス側とは、X軸方向プラス側とは反対側を示す。Y軸方向及びZ軸方向についても同様である。
【0025】
(実施の形態)
[1.蓄電素子の全般的な説明]
まず、図1を用いて、実施の形態に係る蓄電素子10の全般的な説明を行う。図1は、実施の形態に係る蓄電素子10の内部構造の概要を示す斜視図である。具体的には、図1は、蓄電素子10の内部構造を図示するために、容器本体118及び電極体500のそれぞれについては外形を点線で表している。
【0026】
蓄電素子10は、電気を充電し、また、電気を放電することのできる二次電池であり、より具体的には、リチウムイオン二次電池などの非水電解質二次電池である。例えば、蓄電素子10は、電気自動車(EV)、ハイブリッド電気自動車(HEV)またはプラグインハイブリッド電気自動車(PHEV)等の自動車用(または移動体用)電源、電子機器用電源、または電力貯蔵用電源などに適用される。また、蓄電素子10は、ガソリン車及びディーゼル車等の車両に、エンジンの始動用バッテリーとして搭載される場合もある。なお、蓄電素子10は、非水電解質二次電池には限定されず、非水電解質二次電池以外の二次電池であってもよいし、キャパシタであってもよい。また、蓄電素子10は、使用者が充電をしなくても蓄えられている電気を使用できる一次電池であってもよい。
【0027】
図1に示すように、蓄電素子10は、容器100と、容器100に収容された電極体500と、電極体500に接続された接続部材200及び300とを備えている。接続部材200及び300は、容器100の内部の電極体500と、容器100の外部の機器等とを電気的に接続するための導電部材である。
【0028】
具体的には、接続部材300は、容器100の内部に配置され、電極体500の正極と接続される内部接続部310と、容器100の外部に配置される外部接続部320とを有する。内部接続部310は、電極体500の正極側端部530に接合される部分であり、且つ、電極体500と外部接続部320とを電気的に接続する部分である。外部接続部320は、蓄電素子10における正極端子であり、本実施の形態では、外部の接続端子がナットによって締結されるボルト端子として機能する部分である。より詳細には、外部接続部320は、内部接続部310と接続される端子部321と、端子部321に設けられた貫通孔321aを貫通した状態で配置される軸部材325とを有している。なお、図1等では図示されていないが、ボルトである軸部材325の外周面には、ナットと螺合するネジ山(またはネジ溝)が形成されている。
【0029】
負極側の接続部材200も、正極側の接続部材300と共通する構造を有している。すなわち、接続部材200は、容器100の内部に配置され、電極体500の負極と接続される内部接続部210と、容器100の外部に配置される外部接続部220とを有する。内部接続部210は、電極体500の負極側端部520に接合される部分であり、外部接続部220は、蓄電素子10における負極端子である。本実施の形態では、外部接続部220は、ボルト端子として機能する部分であり、内部接続部210と接続される端子部221と、端子部221に設けられた貫通孔221aを貫通した状態で配置される軸部材225とを有している。ボルトである軸部材225の外周面には、ナットと螺合するネジ山(またはネジ溝)が形成されている。
【0030】
また、図1に示すように、接続部材200の外部接続部220は、第二絶縁部材420に埋設されており、接続部材300の外部接続部320は、第二絶縁部材430に埋設されている。接続部材の周辺の構造については、図2図5を用いて後述する。
【0031】
電極体500は、正極板と負極板とセパレータとを備え、電気を蓄えることができる蓄電要素(発電要素)である。本実施の形態では、電極体500として巻回型の電極体が採用されている。つまり、電極体500は、長尺帯状の正極板及び負極板が、間にセパレータを挟んだ状態で巻回されることで形成されている。正極板は、アルミニウムまたはアルミニウム合金などからなる長尺帯状の金属箔の表面に、正極活物質を含む正極合材層が形成されたものである。負極板は、銅または銅合金などからなる長尺帯状の金属箔の表面に、負極活物質を含む負極合材層が形成されたものである。
【0032】
図1において、電極体500のY軸方向マイナス側の端部には、正極板の金属箔(正極基材層)が積層された部分が形成されており、この部分(正極側端部530)に、接続部材300の内部接続部310が、超音波接合またはかしめ接合等によって接合されている。電極体500のY軸方向プラス側の端部には、負極板の金属箔(負極基材層)が積層された部分が形成されており、この部分(負極側端部520)に、接続部材200の内部接続部210が、超音波接合またはかしめ接合等によって接合されている。
【0033】
なお、接続部材300は、電極体500の正極板と同じく、アルミニウムまたはアルミニウム合金等の金属で形成されており、接続部材200は、電極体500の負極板と同じく、銅または銅合金等の金属で形成されている。
【0034】
また、蓄電素子10の容器100の内部には電解液(非水電解質)などの液体が封入されているが、当該液体の図示は省略する。
【0035】
容器100は、矩形筒状で底を備える容器本体118と、容器本体118の開口を閉塞する板状部材である蓋体110とで構成されている。また、容器100は、電極体500等を内部に収容後、蓋体110と容器本体118とが溶接等されることにより、内部を密封する構造を有している。
【0036】
[2.接続部材及びその周辺の構造]
以上説明した基本構成を有する蓄電素子10では、接続部材200及び300のそれぞれは、容器100と電気的に絶縁された状態で、容器100に固定されている。なお、本実施の形態では、接続部材200及び300は、上述のように共通する構造を有しているため、以下では、主として、正極側の接続部材300及びその周辺の構造について説明し、負極側の接続部材200に関する説明は省略する。
【0037】
図2は、蓄電素子10の接続部材300及びその周辺の構造を示す第1の分解斜視図である。なお、図2図5では、容器本体118及び電極体500の図示は省略されている。図3は、蓄電素子10の接続部材300及びその周辺の構造を示す第2の分解斜視図である。具体的には、図3では、接続部材300等の構成要素を斜め下方(Y軸方向マイナス側且つZ軸方向マイナス側)から見た場合の分解斜視図が示されている。図4は、図1におけるIV-IV断面の一部を示す図であり、図5は、図1におけるV-V断面を示す図である。
【0038】
図2図5に示すように、接続部材300は、容器100の蓋体110を貫通して配置されており、且つ、接続部材300と蓋体110との間には、第一絶縁部材450及び第二絶縁部材430が配置されている。なお、蓋体110は、容器100が有する壁部の一例である。
【0039】
具体的には、接続部材300の外部接続部320及び蓋体110は、樹脂製の第二絶縁部材430によって一体化されている。つまり、本実施の形態では、インサート成形によって、蓋体110、接続部材300及び第二絶縁部材430が一体化されている。
【0040】
より詳細には、図2図5に示されるように、接続部材300と蓋体110との間には、第一絶縁部材450が配置されている。第一絶縁部材450は、蓋体110の外側にのみ配置される部材であるため、第二絶縁部材430を形成する工程(インサート成形工程)の際に、接続部材300を支持する部材として配置しておくことができる。つまり、インサート成形工程後には、第一絶縁部材450の周辺領域には第二絶縁部材430が配置されており、その結果、第一絶縁部材450は、接続部材300及び第二絶縁部材430によって覆われた状態となる。また、第二絶縁部材430は、蓋体110における接続部材300が貫通する部分である開口部110aの内部にも充填される。つまり、第二絶縁部材430は、接続部材300と蓋体110とを電気的に絶縁する機能に加え、蓋体110の開口部110aを塞ぐガスケットとしての機能も有している。
【0041】
なお、第一絶縁部材450及び第二絶縁部材430のそれぞれの素材としては、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリアミド6(PA6)、ポリアミド66(PA66)、ポリフタルアミド(PPA)、ポリアセタール(POM)、液晶ポリパー(LCP)などの樹脂が例示される。
【0042】
第一絶縁部材450と第二絶縁部材430の素材は、同じであってもよく、また異なっていてもよい。第一絶縁部材450と第二絶縁部材430の素材が同じであっても、断面を観察する等により、接続部材300と蓋体110との間に第一絶縁部材450が配置されていたことは判別可能である。
【0043】
このように、本実施の形態に係る蓄電素子10は、電極体500と、電極体500を収容し且つ蓋体110を含む容器100と、電極体500と電気的に接続される接続部材300と、第一絶縁部材450と、第二絶縁部材430とを備える。第一絶縁部材450は、接続部材300の一部と蓋体110との間に配置される。第二絶縁部材430は、接続部材300と蓋体110との間であって第一絶縁部材450の周辺領域に配置され、且つ接続部材300と一体化されている。
【0044】
このように、本実施の形態では、接続部材300の一部と蓋体110との間に第一絶縁部材450が配置されるため、例えば、製造時における接続部材300の位置規制が容易である。具体的には、接続部材300の当該一部を蓋体110から適切な距離だけ離間した状態を維持しながら、接続部材300と蓋体110(容器100)とを絶縁する第二絶縁部材430を形成することができる。つまり、第二絶縁部材430を形成するインサート成形工程において、直接的に蓋体110と接続部材300と間に介在する第一絶縁部材450が用いられていることで、接続部材300の位置精度が向上されている。すなわち、本実施の形態に係る蓄電素子10は、容器100の内外を接続する接続部材300と容器100とが第二絶縁部材430によって一体化され、且つ、接続部材300と容器100との絶縁不良等が生じ難い蓄電素子である。従って、本実施の形態に係る蓄電素子10は、信頼性が向上した蓄電素子である。
【0045】
また、本実施の形態では、第一絶縁部材450は、図3に示すように、蓋体110と係合する第一係合部456を有している。この構成によれば、第一絶縁部材450が蓋体110と係合するため、蓋体110に対する第一絶縁部材450の相対的な位置ずれが抑制される。より詳細には、第一絶縁部材450の、横方向(XY平面に平行な方向)のずれが抑制される。その結果、製造時における接続部材300の位置規制がより確実化される。つまり、蓄電素子10において、接続部材300は、適切な位置に精度よく配置されている。
【0046】
また、本実施の形態では、第一絶縁部材450は、図2に示すように、接続部材300と係合する第二係合部455を有している。この構成によれば、第一絶縁部材450が接続部材300と係合するため、接続部材300に対する第一絶縁部材450の相対的な位置ずれが抑制される。より詳細には、第一絶縁部材450の、横方向(XY平面に平行な方向)のずれが抑制される。その結果、製造時における接続部材300の位置規制がより確実化される。つまり、蓄電素子10において、接続部材300を適切な位置に精度よく配置することができる。
【0047】
より詳細には、本実施の形態において、接続部材300は、図1及び図2に示すように、蓋体110に設けられた開口部110aを貫通した状態で電極体500と接続される内部接続部310と、容器100の外部に配置される外部接続部320とを含む。外部接続部320は、内部接続部310と接続される端子部321と、端子部321に設けられた貫通孔321aを貫通した状態で配置される軸部材325とを含む。第一絶縁部材450は、軸部材325における第一絶縁部材450側の端部と係合する第二係合部455を含む。なお、軸部材325は、貫通孔321aより大きな鍔部326を有しており、鍔部326を含む端部は、端子部321と第一絶縁部材450との間に位置する。
【0048】
このように、第一絶縁部材450の第二係合部455は、接続部材300が有する軸部材325の端部と係合する。つまり、ボルトである軸部材325の頭部が、第一絶縁部材450に係合する。これにより、第一絶縁部材450は、製造時における軸部材325の位置を規制することができ、且つ、完成後には軸部材325の回り止めとして機能する。すなわち、蓄電素子10において適切な位置に配置された軸部材325に、外部の接続端子をしっかりと固定することができる。このように、本実施の形態に係る蓄電素子10によれば、外部接続部320の、他の導電部材との接続の信頼性を向上させることができる。
【0049】
また、本実施の形態において、外部接続部320が有する端子部321は平板状であり、第二絶縁部材430は、端子部321の、軸部材325の軸方向(本実施の形態ではZ軸方向)と直交する方向の端面を覆う側壁部431を含む。具体的には、本実施の形態では、端子部321のX軸方向の両端面及びY軸方向の両端面が、第二絶縁部材430の側壁部431に覆われる。
【0050】
このように、平板状の端子部321の端面が第二絶縁部材430の側壁部431に覆われるため、例えば、端子部321の端面と、蓄電素子10に近い位置に配置された外部の物体との絶縁性が確保される。また、側壁部431は、端子部321についての回り止めとしても機能する。これらのことは、蓄電素子10の信頼性の向上に寄与する。
【0051】
また、本実施の形態では、第一絶縁部材450は、図2及び図3に示すように、第一係合部456及び第二係合部455を含む。第一係合部456は、蓋体110に向けて突出する第一凸部456aを含み、蓋体110は、第一凸部456aが係合する第一凹部113(図2参照)を含む。接続部材300は、第一絶縁部材450に向けて突出する第二凸部327(図3参照)を含み、第一絶縁部材450の第二係合部455は、第二凸部327と係合する第二凹部455aを含む。
【0052】
この構成によれば、第一絶縁部材450は、接続部材300及び蓋体110の両方に対して係合する部分を有するため、蓋体110及び接続部材300の両方に対する第一絶縁部材450の相対的な位置ずれが抑制される。つまり、蓋体110に対する接続部材300の位置ずれが、第一絶縁部材450を介して、より確実に抑制される。これにより、製造時における接続部材300の位置規制がさらに確実化されるため、蓄電素子10の信頼性がさらに向上される。
【0053】
また、例えば図4及び図5に示されるように、第一絶縁部材450において、第一凸部456aの裏側に第二凹部455aを形成することができる。この場合、第一絶縁部材450の肉厚が略均一な状態で第二凹部455aを形成することができる。そのため、第一絶縁部材450は、例えば全体の厚みを大きくすることなく、接続部材300の第二凸部327を係合させることができる。従って、接続部材300の位置規制のために、第一絶縁部材450を接続部材300と蓋体110との間に介在させて場合であっても、蓄電素子10の高さが大きくなることが抑制される。
【0054】
[3.第二絶縁部材の形成の手順]
以上説明したように、本実施の形態に係る蓄電素子10では、蓋体110及び接続部材300を一体化するように第二絶縁部材430が形成されている。この第二絶縁部材430を形成するための手順(蓄電素子10の製造方法の一部)について、図6図8を参照しながら簡単に説明する。
【0055】
図6は、蓋体110と接続部材300との間に第一絶縁部材450を配置する工程を示す斜視図である。図7Aは、蓋体110と接続部材300との間に第一絶縁部材450が配置された状態を示す斜視図である。図7Bは、図7Aに対応する側面図である。図8は、第二絶縁部材430が形成された状態を示す斜視図である。
【0056】
接続部材300を蓋体110に対して配置する場合、まず、図6に示すように、蓋体110と接続部材300との間に第一絶縁部材450を配置する(配置工程)。これにより、接続部材300及び第一絶縁部材450は、蓋体110に対して、図7A及び図7Bに示す状態に配置される。このとき、図7Bに示すように、接続部材300の外部接続部320は、第一絶縁部材450によって蓋体110から所定の距離だけ離隔した状態に維持される。また、蓋体110の開口部110aの内周面と、接続部材300との間にも隙間が形成されている。この状態において、蓋体110の第一凹部113と第一絶縁部材450の第一係合部456(第一凸部456a、図3参照)とが係合し、且つ、軸部材325の第二凸部327(図3参照)と、第一絶縁部材450の第二係合部455(第二凹部455a)とが係合している。
【0057】
このように、接続部材300の蓋体110に対する位置及び姿勢が第一絶縁部材450によって規制された状態で、接続部材300の外部接続部320を覆うように配置された金型(図示せず)に、樹脂が流し込まれる(樹脂流込工程)。これにより、図8に示すように、外部接続部320を蓋体110に固定する第二絶縁部材430が形成される。また、外部接続部320及びその周辺の構造は、図4及び図5に示した通りであり、接続部材300と蓋体110との間には第二絶縁部材430が介在し、且つ、蓋体110に設けられた開口部110aは第二絶縁部材430によって塞がれる。つまり、第一絶縁部材450は、第二絶縁部材430の形成前及び形成中においては、接続部材300の蓋体110に対する位置規制のための部材として機能する。また、第一絶縁部材450は、第二絶縁部材430の形成後においては、第二絶縁部材430の内部に留置されており、接続部材300と容器100との絶縁のための部材として機能する。
【0058】
以上説明したように、本実施の形態に係る蓄電素子10の製造方法は、電極体500と、電極体500を収容し且つ蓋体110を有する容器100と、電極体500と電気的に接続される接続部材300とを備える蓄電素子10の製造方法であって、蓋体110と接続部材300との間に第一絶縁部材450を配置することと、蓋体110と接続部材300との間であって第一絶縁部材450の周辺領域に、樹脂を流し込むことと、を含む。
【0059】
この製造方法によれば、接続部材300の一部(本実施の形態では外部接続部320)と蓋体110との間に第一絶縁部材450が配置されるため、例えば、製造時における接続部材300の位置規制が容易である。具体的には、接続部材300の当該一部を蓋体110から適切な距離だけ離間した状態を維持しながら、インサート成形によって、接続部材300と容器100の蓋体110とを一体化することができる。つまり、容器100の内外を接続する接続部材300と容器100とが樹脂によって一体化され、且つ、接続部材300と容器100との絶縁不良等が生じ難い蓄電素子10を製造することができる。従って、本態様に係る蓄電素子10の製造方法によれば、信頼性が向上した蓄電素子10を製造することができる。
【0060】
より具体的には、本実施の形態に係る蓄電素子10の製造方法において、接続部材300は、電極体500と接続される内部接続部310及び容器100の外部に配置される外部接続部320を含み、蓋体110と接続部材300との間に第一絶縁部材450を配置する際に、蓋体110と第一絶縁部材450とを係合させることと、外部接続部320と第一絶縁部材450とを係合させることと、をさらに含む。
【0061】
この製造方法によれば、第一絶縁部材450は、接続部材300及び蓋体110の両方に対して係合するよう配置され、その状態で、樹脂の流し込みが行われる。つまり、接続部材300の蓋体110に対する相対的な位置ずれの抑制が、第一絶縁部材450を介してより確実に行われ、その状態で樹脂成形が行われる。これにより、接続部材300を固定し、且つ容器100の接続部材300の周囲における気密を維持するための樹脂成形がより精度よく実行される。
【0062】
(他の実施の形態)
以上、本発明に係る蓄電素子について、実施の形態及に基づいて説明した。しかしながら、本発明は、上記実施の形態及び変形例に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を上記実施の形態または変形例に施したものも、あるいは、上記説明された複数の構成要素を組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。
【0063】
例えば、上記実施の形態では、接続部材300の一部である外部接続部320と、容器100の蓋体110の外面との間に第一絶縁部材450が配置されている。しかし、接続部材が外部接続部を有するか否かにかかわらず、接続部材の一部と、蓋体110等の、容器100の壁部の内面との間に、第一絶縁部材が配置されてもよい。
【0064】
つまり、第一絶縁部材は、電極体500に接続された接続部材を容器100の壁部から離隔した状態に維持し、その状態で、接続部材を当該壁部に固定する第二絶縁部材を形成できればよい。この条件を満たすのであれば、第一絶縁部材は、接続部材の容器100の内部に位置する部分と、当該壁部の内面との間に配置されてもよい。
【0065】
また、第一絶縁部材450と、容器100の蓋体110及び接続部材300それぞれとの間の係合における凹凸関係は、上記実施の形態と異なっていてもよい。例えば、蓋体110に設けられた凸部に、第一絶縁部材450の第一係合部456が有する凹部が係合してもよい。また、例えば、第一絶縁部材450の第二係合部455が有する凸部が、接続部材300の軸部材325の端部に設けられた凹部に係合してもよい。
【0066】
また、第一絶縁部材450は、絶縁性を有し、且つ、接続部材300及び蓋体110の少なくとも一方と係合できる形状を有するのであれば、セラミクスなどの樹脂とは異なる材料で形成されていてもよい。
【0067】
外部接続部320と蓋体110との間隔は特に限定されないが、絶縁性を担保する観点から1mm以上であることが好ましい。また、外部接続部320と蓋体110との間隔は、2mm以下であってもよい。ここで、外部接続部320と蓋体110との間隔は、第一絶縁部材450によって外部接続部320と蓋体110との間隔が規制されている部分の、蓋体110の法線方向(本実施形態においてはZ軸方向)における外部接続部320と蓋体110との平均間隔である。換言すれば、外部接続部320と蓋体110との間隔は、第一絶縁部材450の平均厚みである。外部接続部320と蓋体110との間隔が2mm以下の場合、外部接続部320と蓋体110の組み付けに関し、より高い精度がより求められるため、本実施形態が好適に用いられる。
【0068】
また、本実施の形態では、負極側の接続部材200は、正極側の接続部材300と共通する構造を有しているとした。しかし、上記実施の形態で示した第一絶縁部材及び第二絶縁部材の構造は、蓄電素子10の正極側及び負極側の少なくとも一方に備えられていればよい。
【0069】
また、蓄電素子10が備える電極体の種類は巻回型に限定されない。例えば、平板状極板を積層した積層型の電極体、または、長尺帯状の極板を山折りと谷折りとの繰り返しによって蛇腹状に積層した構造を有する電極体が、蓄電素子10に備えられてもよい。
【0070】
また、接続部材300の内部接続部310は、例えば図1及び図2に示すように、電極体500の正極側端部530を挟む一対の脚部を含み、この一対の脚部が正極側端部530に接合されている。しかし、内部接続部の形状等に限定はない。
【0071】
例えば、蓄電素子10が備える電極体が、電極体の本体から蓋体110側に突出して形成された電極タブを有する場合、接続部材は、その電極タブに接合される1枚の平板状の部分が内部接続部として有してもよい。つまり、接続部材の形状、サイズ、電極体との接合の態様等は、蓄電素子10が備える電極体の種類または大きさ等に応じて適宜決定されてもよい。
【0072】
また、図4及び図5では、第一絶縁部材450と第二絶縁部材430との構造上の関係がわかりやすいように、第一絶縁部材450と第二絶縁部材430との境界を明示している。しかし、例えば、第二絶縁部材430の形成のために金型に樹脂を流し込んだ際に、当該樹脂と第一絶縁部材450とが溶け合うことで、第二絶縁部材430と第一絶縁部材450との境界の少なくとも一部が不明確となってもよい。この場合であっても、第二絶縁部材430の形成中における、第一絶縁部材450による接続部材300の位置規制機能は失われない。また、第二絶縁部材430の形成後における、第一絶縁部材450及び第二絶縁部材430による接続部材300と蓋体110との絶縁機能は失われない。
【0073】
また、本実施の形態では、蓄電素子10は、電極体500を1つのみ備えているが、蓄電素子10が備える電極体500の数は2以上であってもよい。例えば、蓄電素子10が電極体500を2つ備える場合、接続部材300は、2つの電極体500のそれぞれの正極側端部に接合するための形状及びサイズに形成されていればよい。
【0074】
なお、上記の接続部材300についての各種の補足事項を、負極側の接続部材200について適用してもよい。また、上記実施の形態に記載された構成を任意に組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。
【0075】
また、本発明は、上記説明された蓄電素子として実現することができるだけでなく、当該蓄電素子を複数備える蓄電装置としても実現することができる。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明は、リチウムイオン二次電池などの蓄電素子等に適用できる。
【符号の説明】
【0077】
10 蓄電素子
100 容器
110 蓋体
110a 開口部
113 第一凹部
200、300 接続部材
210、310 内部接続部
220、320 外部接続部
221、321 端子部
221a、321a 貫通孔
225、325 軸部材
327 第二凸部
420、430 第二絶縁部材
431 側壁部
450 第一絶縁部材
455 第二係合部
455a 第二凹部
456 第一係合部
456a 第一凸部
500 電極体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8