(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-05
(45)【発行日】2024-03-13
(54)【発明の名称】建物
(51)【国際特許分類】
E04B 1/342 20060101AFI20240306BHJP
E04H 3/14 20060101ALI20240306BHJP
E04B 1/34 20060101ALI20240306BHJP
【FI】
E04B1/342 A
E04H3/14 C
E04B1/34 F
(21)【出願番号】P 2019216313
(22)【出願日】2019-11-29
【審査請求日】2022-10-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000003621
【氏名又は名称】株式会社竹中工務店
(74)【代理人】
【識別番号】100154726
【氏名又は名称】宮地 正浩
(72)【発明者】
【氏名】渋谷 朋典
(72)【発明者】
【氏名】奥出 久人
(72)【発明者】
【氏名】田中 秀人
(72)【発明者】
【氏名】田垣 欣也
【審査官】土屋 保光
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-246556(JP,A)
【文献】特開2000-045526(JP,A)
【文献】特開2015-203258(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第00375080(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/00 - 1/36
E04H 3/14
E04B 7/14,7/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに直交する長辺部と短辺部とを有するフィールドの少なくとも一つの長辺部の外側に当該長辺部に沿って配置される長辺側スタンド部と、
前記長辺側スタンド部の後部側から前方の前記フィールド側に片持ち状に延びて前記長辺側スタンド部の上部を覆う長辺側屋根部と、
前記長辺側スタンド部の左右両端側に柱を有して構成される一対の端部側支持構造部の間に水平に架け渡されて前記長辺側屋根部の先端側を支持する直線状の長辺側の屋根大梁と、
前記端部側支持構造部と同等の荷重を負担するように構成されて一対の前記端部側支持構造部の間で前記長辺側の屋根大梁の中間部を支持する中間支持構造部と、が備えられ、
前記長辺側の屋根大梁に対して前記端部
側支持構造部と同等の荷重を負担する支持スパンが、前記長辺側の屋根大梁における前記端部
側支持構造部と前記中間支持構造部の間の長さであり、
前記中間支持構造部が、前記長辺側スタンド部の後部側に支持される状態で、平面視で前記長辺側の屋根大梁に直交する方向に延びる中間支持梁を備えて構成される建物。
【請求項2】
前記長辺側スタンド部が、前記フィールドを挟んで対向する状態で一対備えられ、
一対の前記長辺側スタンド部の夫々に前記長辺側屋根部と前記長辺側の屋根大梁が備えられ、
前記長辺側の屋根大梁は、屋根の上方側に配置されて屋根を上方側から支持する逆梁として構成され、
前記中間支持梁が、一対の前記長辺側スタンド部の間にアーチ状に架け渡され、長辺側屋根部よりも上方に配置される部分において一対の前記長辺側スタンド部の両方の前記長辺側の屋根大梁の中間部を上方側から支持するように構成される請求項1記載の建物。
【請求項3】
前記中間支持梁が、前記長辺側スタンド部の後部側で前後方向に離れて配置される複数本の柱で支持される請求項1又は2記載の建物。
【請求項4】
互いに直交する長辺部と短辺部とを有するフィールドの少なくとも一つの長辺部の外側に当該長辺部に沿って配置される長辺側スタンド部と、
前記長辺側スタンド部の後部側から前方の前記フィールド側に片持ち状に延びて前記長辺側スタンド部の上部を覆う長辺側屋根部と、
前記長辺側スタンド部の左右両端側に構成される一対の端部側支持構造部の間に架け渡されて前記長辺側屋根部の先端側を支持する長辺側の屋根大梁と、
前記端部側支持構造部と同等の荷重を負担するように構成されて一対の前記端部側支持構造部の間で前記長辺側の屋根大梁の中間部を支持する中間支持構造部と、が備えられ、
前記中間支持構造部が、前記長辺側スタンド部の後部側に支持される状態で、平面視で前記長辺側の屋根大梁に直交する方向に延びる中間支持梁を備えて構成され、
前記中間支持梁が、前記長辺側スタンド部の後部側で前後方向に離れて配置される複数本の柱で支持され、
前記中間支持梁を支持する前記柱が、前記長辺側スタンド部において室空間を形成するためのものである建物。
【請求項5】
前記フィールドの短辺部の外側に配置される短辺側スタンド部と、
前記短辺側スタンド部の後部側から前方の前記フィールド側に片持ち状に延びて前記短辺側スタンド部の上部を覆う短辺側屋根部と、
前記短辺側スタンド部の左右両端側に構成される一対の端部側支持構造部の間に架け渡されて前記短辺側屋根部の先端側を支持する短辺側の屋根大梁と、が備えられ、
前記中間支持構造部は、前記短辺側の屋根大梁の中間部を支持せずに前記長辺側の屋根大梁の中間部を支持している請求項1~4のいずれか1項に記載の建物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サッカーや陸上競技等の屋外競技を観戦する建物に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、互いに直交する長辺部と短辺部とを有するフィールドの少なくとも一つの長辺部の外側に当該長辺部に沿って配置される長辺側スタンド部と、長辺側スタンド部の後部側から前方のフィールド側に片持ち状に延びて長辺側スタンド部の上部を覆う長辺側屋根部と、長辺側スタンド部の左右両端側に構成される一対の端部側支持構造部の間に架け渡されて長辺側屋根部の先端側を支持する長辺側の屋根大梁と、端部側支持構造部と同等の荷重を負担するように構成されて一対の端部側支持構造部の間で長辺側の屋根大梁の中間部を支持する中間支持構造部と、が備えられる建物が記載されている。
【0003】
この特許文献1記載の建物では、
図4、5等に示されるように、フィールドの一対の長辺部と一対の短辺部の外側に配置される四つのスタンド部の屋根大梁(屋根支持梁4)が略四角形状の井桁状に配置され、中間支持構造部が、長辺側及び短辺側の両スタンド部の後部側に亘って上記略四角形状の角部を隅切りするように斜めに架け渡され、長辺側及び短辺側の両スタンド部の屋根大梁の中間部を支持する中間支持梁(主梁5)を備えて構成される。長辺側及び短辺側の両スタンド部の後部側に支持される中間支持梁にて長辺側及び短辺側の屋根大梁の中間部を支持することで、両スタンド部からフィールドへの視界を遮ることなく、長辺側及び短辺側の両スタンド部の屋根大梁の中間部を支持することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、長辺側のスタンド部の屋根大梁は支持スパンが長くなって支持スパンを短くするための中間支持を必要とするものの、短辺側のスタンド部の屋根大梁は支持スパンがさほど長くならずに中間支持を必要としない場合も多いと考えられる。
しかしながら、上記従来の技術では、中間支持梁が、長辺側及び短辺側の両スタンド部に亘って上記略四角形状の角部を隅切りするように斜めに架け渡されて長辺側及び短辺側の両スタンド部の屋根大梁の中間部を支持するものであるので、上記のように短辺側のスタンド部の屋根大梁に中間支持を必要としない場合等に過剰な設計となり、建築コストが割高になることが懸念される。
【0006】
本発明は上述の実情に鑑みてなされたものであって、その主たる課題は、フィールドの外側に長辺側スタンド部と短辺側スタンド部とを有する場合に、長辺側及び短辺側の両スタンド部の屋根大梁を中間支持する過剰な設計となって建築コストが割高になるのを確実に回避することができる建物を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1特徴構成は、互いに直交する長辺部と短辺部とを有するフィールドの少なくとも一つの長辺部の外側に当該長辺部に沿って配置される長辺側スタンド部と、
前記長辺側スタンド部の後部側から前方の前記フィールド側に片持ち状に延びて前記長辺側スタンド部の上部を覆う長辺側屋根部と、
前記長辺側スタンド部の左右両端側に柱を有して構成される一対の端部側支持構造部の間に水平に架け渡されて前記長辺側屋根部の先端側を支持する直線状の長辺側の屋根大梁と、
前記端部側支持構造部と同等の荷重を負担するように構成されて一対の前記端部側支持構造部の間で前記長辺側の屋根大梁の中間部を支持する中間支持構造部と、が備えられ、
前記長辺側の屋根大梁に対して前記端部側支持構造部と同等の荷重を負担する支持スパンが、前記長辺側の屋根大梁における前記端部側支持構造部と前記中間支持構造部の間の長さであり、
前記中間支持構造部が、前記長辺側スタンド部の後部側に支持される状態で、平面視で前記長辺側の屋根大梁に直交する方向に延びる中間支持梁を備えて構成される点にある。
【0008】
本発明によれば、中間支持構造部を構成する中間支持梁が、長辺側スタンド部の後部側に支持される状態で、平面視で長辺側の屋根大梁に直交する方向に延びるものであるので、たとえフィールドの外側に長辺側スタンド部と短辺側スタンド部とを有する場合でも、中間支持を必要とする長辺側スタンド部だけに設置して長辺側スタンド部の屋根大梁だけを中間支持することができる。
よって、フィールドの外側に長辺側スタンド部と短辺側スタンド部とを有する場合に、長辺側及び短辺側の両スタンド部の屋根大梁を中間支持する過剰な設計となって建築コストが割高になるのを確実に回避することができる。
【0009】
本発明の第2特徴構成は、前記長辺側スタンド部が、前記フィールドを挟んで対向する状態で一対備えられ、
一対の前記長辺側スタンド部の夫々に前記長辺側屋根部と前記長辺側の屋根大梁が備えられ、
前記長辺側の屋根大梁は、屋根の上方側に配置されて屋根を上方側から支持する逆梁として構成され、
前記中間支持梁が、一対の前記長辺側スタンド部の間にアーチ状に架け渡され、長辺側屋根部よりも上方に配置される部分において一対の前記長辺側スタンド部の両方の前記長辺側の屋根大梁の中間部を上方側から支持するように構成される点にある。
【0010】
本発明によれば、中間支持梁が、フィールドを挟んで対向する一対の長辺側スタンド部の間にアーチ状に架け渡されるので、片持ち梁等に比べて支持力を得るための有利な構造とすることができ、高い支持力を合理的に得ることができる。そして、このアーチ状の中間支持梁にて一対の長辺側スタンド部の両方の長辺側の屋根大梁の中間部をまとめて効率良く適切に支持することができる。
【0011】
本発明の第3特徴構成は、前記中間支持梁が、前記長辺側スタンド部の後部側で前後方向に離れて配置される複数本の柱で支持される点にある。
【0012】
本発明によれば、長辺側スタンド部の後部側で前後方向に離れて配置される複数本の柱にて、中間支持梁を梁の長さ方向の複数箇所で支持することができ、片持ち梁等に比べて支持力を得るための有利な構造とすることができる。よって、長辺側の屋根梁の中間部を適切に支持することができる。
【0013】
本発明の第4特徴構成は、互いに直交する長辺部と短辺部とを有するフィールドの少なくとも一つの長辺部の外側に当該長辺部に沿って配置される長辺側スタンド部と、
前記長辺側スタンド部の後部側から前方の前記フィールド側に片持ち状に延びて前記長辺側スタンド部の上部を覆う長辺側屋根部と、
前記長辺側スタンド部の左右両端側に構成される一対の端部側支持構造部の間に架け渡されて前記長辺側屋根部の先端側を支持する長辺側の屋根大梁と、
前記端部側支持構造部と同等の荷重を負担するように構成されて一対の前記端部側支持構造部の間で前記長辺側の屋根大梁の中間部を支持する中間支持構造部と、が備えられ、
前記中間支持構造部が、前記長辺側スタンド部の後部側に支持される状態で、平面視で前記長辺側の屋根大梁に直交する方向に延びる中間支持梁を備えて構成され、
前記中間支持梁が、前記長辺側スタンド部の後部側で前後方向に離れて配置される複数本の柱で支持され、
前記中間支持梁を支持する前記柱が、前記長辺側スタンド部において室空間を形成するためのものである点にある。
【0014】
本発明によれば、中間支持構造部を構成する中間支持梁が、長辺側スタンド部の後部側に支持される状態で、平面視で長辺側の屋根大梁に直交する方向に延びるものであるので、たとえフィールドの外側に長辺側スタンド部と短辺側スタンド部とを有する場合でも、中間支持を必要とする長辺側スタンド部だけに設置して長辺側スタンド部の屋根大梁だけを中間支持することができる。
よって、フィールドの外側に長辺側スタンド部と短辺側スタンド部とを有する場合に、長辺側及び短辺側の両スタンド部の屋根大梁を中間支持する過剰な設計となって建築コストが割高になるのを確実に回避することができる。
更に、本発明によれば、長辺側スタンド部において放送室等の室空間を形成するための柱を利用して、中間支持梁を梁の長さ方向の複数箇所で合理的に支持することができる。
本発明の第5特徴構成は、前記フィールドの短辺部の外側に配置される短辺側スタンド部と、
前記短辺側スタンド部の後部側から前方の前記フィールド側に片持ち状に延びて前記短辺側スタンド部の上部を覆う短辺側屋根部と、
前記短辺側スタンド部の左右両端側に構成される一対の端部側支持構造部の間に架け渡されて前記短辺側屋根部の先端側を支持する短辺側の屋根大梁と、が備えられ、
前記中間支持構造部は、前記短辺側の屋根大梁の中間部を支持せずに前記長辺側の屋根大梁の中間部を支持している点にある。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】第1実施形態の建物を示す平面図(屋根伏図)
【
図2】第1実施形態の建物の要部の模式断面図(II-II線断面図)
【
図3】第2実施形態の建物を示す平面図(屋根伏図)
【
図4】第2実施形態の建物の要部の模式断面図(IV-IV線断面図)
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明に係る建物の実施形態を図面に基づいて説明する。
〔第1実施形態〕
図1、
図2に示すように、この建物は、平面視で中央側のフィールド1を囲む環状に配置されるスタンド2と、フィールド1の上方に開口Aを有する状態でスタンド2の上部を覆う屋根3とが備えられる。スタンド2には、例えば、後方ほど上方に位置する傾斜姿勢の屋外の観覧席(観戦スペース)2aが備えられており、観客は、雨天時でも雨に濡れることなく、フィールド1で行われる屋外競技を観覧席2aから観戦することができる。
【0017】
フィールド1は、互いに直交する長辺部と短辺部とを一対ずつ有する平面視で長方形状に形成されている。スタンド2は、フィールド1の一対の短辺部の夫々の外側に当該短辺部に沿って配置される一対の短辺側スタンド部2Aと、フィールド1の一対の長辺部の夫々の外側に当該長辺部に沿って配置される一対の長辺側スタンド部2Bとを備えて構成される。
【0018】
屋根3は、一対の短辺側スタンド部2Aと一対の長辺側スタンド部2Bの夫々に対応して、各短辺側スタンド部2Aの夫々の後部側から前方のフィールド1側に片持ち状に延びて短辺側スタンド部2Aの上部を覆う一対の短辺側屋根部3Aと、各長辺側スタンド部2Bの夫々の後部側から前方のフィールド1側に片持ち状に延びて長辺側スタンド部2Bの上部を覆う一対の長辺側屋根部3Bとを備えて構成される。
【0019】
各短辺側スタンド部2A及び各長辺側スタンド部2Bには、各スタンド部2A,2Bの左右両端側に構成される一対の端部側支持構造部5の間に架け渡されて屋根3の先端側を支持する短辺側の屋根大梁4A及び長辺側の屋根大梁4Bが夫々備えられる。各屋根大梁は、屋根3の上方側に配置されて屋根3を上方側から支持する逆梁として構成される。また、各屋根大梁4A,4Bは、上弦材と下弦材と斜材や束材等で連結したトラス構造にて構成される。
【0020】
端部側支持構造部5は、スタンド2の四隅において短辺側スタンド部2Aの柱と長辺側スタンド部2Bの柱とに亘って斜めに架け渡される端部支持梁5Aを備えて構成される。端部支持梁5Aは、短辺側の屋根大梁4Aの一端部と長辺側の屋根大梁4Bの一端部の両方に接続されて、両屋根大梁4A,4Bの両方の一端部を支持している。各端部支持梁5Aも、屋根3の上方側に配置されて屋根3を上方側から支持する逆梁として構成される。端部支持梁5Aは、上弦材と下弦材と斜材や束材等で連結したトラス構造にて構成され、各屋根大梁4A,4Bと同一レベルに配置される。
【0021】
また、端部支持梁5Aは、スタンド2の四隅の後部側の夫々からスタンド2の対角方向に沿って前方のフィールド1側に延び、屋根3の四隅(短辺側屋根部3Aと長辺側屋根部3Bの接続領域)の夫々の荷重を支持する隅部支持梁12の先端側が接続され、当該隅部支持梁12も支持している。
【0022】
そして、各長辺側スタンド部2Bには、端部側支持構造部5と同等の荷重を負担するように構成されて一対の端部側支持構造部5の間で長辺側の屋根大梁4Bの長さ方向の中間部を支持する中間支持構造部6が備えられる。これにより、長辺側の屋根大梁4Bの支持スパンは、端部側支持構造部5と中間支持構造部6の間の長さとなり、この支持スパンにて長辺側の屋根大梁4Bが設計される。
【0023】
中間支持構造部6は、長辺側スタンド部2Bの後部側に支持される状態で、平面視で長辺側の屋根大梁4Bに直交する方向(長辺側スタンド部2Bの前後方向)に延びる中間支持梁7を備えて構成される。そのため、中間支持を必要とする長辺側スタンド部2Bの屋根大梁4Bだけを中間支持することができ、長辺側及び短辺側の両スタンド部2A,2Bの屋根大梁4A,4Bの両方を中間支持する過剰な設計となって建築コストが割高になるのを確実に回避することができる。以下、中間支持梁7について詳細に説明する。
【0024】
本実施形態では、
図2に示すように、中間支持梁7が、フィールド1を挟んで相対向する一対の長辺側スタンド部2Bの間にアーチ状に架け渡され、一対の長辺側スタンド部2Bの両方の長辺側の屋根大梁4Bの中間部を支持するように構成される。そのため、一対の長辺側スタンド部2Bの両方の長辺側の屋根大梁4Bの中間部をまとめて効率良く適切に支持することができる。
【0025】
アーチ状の中間支持梁7は、例えば、上弦材と下弦材とを斜材や束材等で連結したトラス構造にて構成される。中間支持梁7は、側面視で長さ方向の中央側ほど徐々に上方に位置する形状とされ、一対の長辺側スタンド部2Bの後部に立設された一対の基礎部8の頂部間に亘らせて構成される。図示例では、アーチ状の中間支持梁7の中央側の下部に、各スタンド部2A,2Bの夫々に対面する部位に画像表示面9aを備えた電光掲示盤9が吊設される。
【0026】
アーチ状の中間支持梁7は、その両端部から中央側に向かって、一対の基礎部8の頂部から長辺側スタンド部2Bの後部上端及び長辺側屋根部3Bの後部を貫通して前方上方に延びるように構成され、その長さ方向の大部分が長辺側屋根部3Bよりも上方に配置される。なお、長辺側屋根部3Bにおける中間支持梁7の貫通箇所はシート防水や塗布防水等の防水方法にて防水処置が施される。
【0027】
そして、長辺側屋根部3Bの上方において、中間支持梁7に長辺側の屋根大梁4Bが剛接合等により接合され、長辺側の屋根大梁4Bの中間部が中間支持梁7に支持される。また、
図1に示すように、中間支持梁7と長辺側の屋根大梁4Bの各交差接合箇所(仕口部)には、接合強度を高めるための複数本(本例では4本)の火打梁10が備えられる。
なお、アーチ状の中間支持梁7の両端部間に引張材等を亘らせることで一対の基礎部8を簡略化するようにしてもよい。
【0028】
〔第2実施形態〕
この第2実施形態では、
図3に示すように、中間支持梁7が、各長辺側スタンド部2Bの夫々の中間部に間隔を空けて複数本備えられ、長辺側の屋根大梁4Bの中間部の長さ方向に間隔を空けた複数箇所を支持するように構成される。
【0029】
図4に示すように、中間支持梁7は、長辺側スタンド部2Bを構成する建物躯体Kのうち、長辺側スタンド部2Bの後部側で前後方向に離れて配置される複数本の柱Pで支持される。中間支持梁7を支持する柱Pは、長辺側スタンド部2Bの室空間Rを形成するためのものであり、本例では長辺側スタンド部2Bの後部側(観覧席2aよりも後部側)で室空間Rとして放送室等を形成するための柱としている。また、中間支持梁7を支持する柱Pは、長辺側スタンド部2Bの基礎部10から延びる通し柱としている。
【0030】
中間支持梁7は、例えば、トラス構造にて構成することができる。本実施形態では、各中間支持梁7は、長辺側スタンド部2Bの後部側から前方のフィールド1側に片持ち状に延びて長辺側屋根部3Bの屋根材3aを支持する片持ち状屋根梁3bの一部を利用してトラス構造が構成される。なお、図示は省略するが、片持ち状屋根梁3bは、各スタンド部2A,2Bの夫々において、各屋根大梁4A,4Bの長さ方向に所定ピッチで配置され、その先端側を各屋根大梁4A,4Bに支持される。
【0031】
図4に示す例では、中間支持梁7の後方側部位は、片持ち状屋根梁3bをトラス構造の上弦材として利用し、下弦材7aや束材7b、斜材7c等を付加し、屋根3の下方側に構成される。他方、中間支持梁7の前方側部位は、片持ち状屋根梁3bをトラス構造の斜材として利用し、屋根3の上方側で長辺側の屋根大梁4Bの上端部に接続される斜め姿勢の上弦材7d、及び、屋根3の下方側で長辺側の屋根大梁4Bの下端部に接続される斜め姿勢の下弦材7eを付加し、屋根3の上下に跨って構成される。
【0032】
なお、その他の構成は第1実施形態と同様であるので、第1実施形態と同一の構成箇所には同一の番号を付記して説明は省略する
【0033】
〔別実施形態〕
本発明の他の実施形態について説明する。なお、以下に説明する各実施形態の構成は、それぞれ単独で適用することに限らず、他の実施形態の構成と組み合わせて適用することも可能である。
【0034】
(1)前述の第1、第2実施形態では、中間支持梁7が、トラス構造にて構成される場合を例に示したが、勿論、トラス構造以外の構造で構成されてもよい。
【0035】
(2)前述の第2実施形態では、中間支持梁7が、その後方側部位が屋根3の下方側に構成され、その前方側部位が屋根3の上下に跨って構成される場合を例に示したが、例えば、全体が屋根3の下方側又は上方側に構成されてもよい。
【符号の説明】
【0036】
1 フィールド
2 スタンド
2B 長辺側スタンド部
3B 長辺側屋根部
4B 長辺側の屋根大梁
5 端部側支持構造部
6 中間支持構造部
7 中間支持梁
32 長辺側屋根部
P 柱
R 室空間