(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-05
(45)【発行日】2024-03-13
(54)【発明の名称】部分酸化を使用した電力生産のためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
C10J 3/46 20060101AFI20240306BHJP
B01D 53/04 20060101ALI20240306BHJP
C10K 1/32 20060101ALI20240306BHJP
C10K 1/34 20060101ALI20240306BHJP
C10K 3/00 20060101ALI20240306BHJP
C10K 3/04 20060101ALI20240306BHJP
F02C 3/34 20060101ALI20240306BHJP
F02C 6/00 20060101ALI20240306BHJP
F02C 7/10 20060101ALI20240306BHJP
F02C 7/22 20060101ALI20240306BHJP
【FI】
C10J3/46 J
B01D53/04
C10K1/32
C10K1/34
C10K3/00
C10K3/04
F02C3/34
F02C6/00 E
F02C7/10
F02C7/22 D
(21)【出願番号】P 2019513994
(86)(22)【出願日】2017-09-13
(86)【国際出願番号】 IB2017055538
(87)【国際公開番号】W WO2018051251
(87)【国際公開日】2018-03-22
【審査請求日】2020-08-20
【審判番号】
【審判請求日】2022-04-12
(32)【優先日】2016-09-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】312000387
【氏名又は名称】8 リバーズ キャピタル,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】フォレスト,ブロック アラン
(72)【発明者】
【氏名】ル,シージア
(72)【発明者】
【氏名】アラム,ロドニー ジョン
(72)【発明者】
【氏名】フェトヴェデト,ジェレミー エロン
(72)【発明者】
【氏名】パルマー,マイルス アール.
【合議体】
【審判長】塩見 篤史
【審判官】門前 浩一
【審判官】関根 裕
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-513028(JP,A)
【文献】特表2008-542481(JP,A)
【文献】特開2013-173099(JP,A)
【文献】特開2010-24448(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C10J 3/00
C10L 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
部分酸化(POX)システムおよび電力生産システム(PPS)の組み合わせを使用した電力の生産のためのプロセスであって、前記プロセスが、
固体または液体の燃料を部分酸化し、第1の温度で燃料ガスを含むPOX流を形成するために十分な条件下で、POX反応器で固体または液体の燃料および酸素を組み合わせるステップと、
前記燃料ガスの一部を形成しないすべての固体の成分または気体の成分のうちの少なくとも一部を、前記燃料ガスを含む前記POX流から除去するステップ
であって、前記除去するステップはスクラバー部で実行する、ステップと、
前記スクラバー部からの前記燃料ガスを含む前記POX流の少なくとも一部を、硫化カルボニル(COS)からH
2
Sに転換するように適合された硫化カルボニル(COS)加水分解反応器で処理するステップと、
POX熱交換器で、
前記COS加水分解反応器からの前記燃料を含む前記POX
流を、第2のより低い温度に冷却するステップと、
前記POX流に由来する液体の水および酸性ガ
スを除去し、それにより前記燃料ガスの流れを形成することにより、
前記POX熱交換器からの前記燃料ガスを含む前記POX流を精製するステップと、
前記燃料ガスの流れを約12MPa以上の圧力に圧縮するステップと、
PPS燃焼器で前記燃料ガスの流れを燃焼させて、少なくとも約10MPaの圧力および少なくとも約800℃の温度の燃焼生成物流を形成するステップと、
PPSタービンを通して前記燃焼生成物流を膨張させて発電させ、膨張したPPS燃焼生成物流を形成するステップと、
前記膨張したPPS燃焼生成物流をPPS復熱型熱交換器に通し、これにより前記PPS燃焼生成物流から熱を回収し、冷却したPPS燃焼生成物流を形成するステップと、
前記冷却したPPS燃焼生成物流から1つ以上の不純物のうちの少なくとも一部を除去して、リサイクルCO
2流を形成するステップと、
PPS圧縮機で前記リサイクルCO
2流を加圧して圧縮したリサイクルCO
2流を形成するステップと
を含む、プロセス。
【請求項2】
前記POX反応器がガス化器である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記POX反応器が、流動床反応器である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項4】
前記POX反応器が、触媒型反応器である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項5】
前記POX熱交換器で前記燃料ガスを含む前記POX流を冷却する前に、前記燃料ガスを含む前記POX流の温度を、前記第1の温度未満かつ前記第2の温度を超える温度に低下させるステップをさらに含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項6】
前記燃料ガスを含む前記POX流の温度を低下させるステップが、前記POX反応器に急冷流体を添加するステップを含む、請求項5に記載のプロセス。
【請求項7】
前記急冷流体が、水およびCO
2のうちの1つまたは両方を含む、請求項6に記載のプロセス。
【請求項8】
前記圧縮の後および前記燃焼の前に、前記燃料ガスの流れを加熱するステップをさらに含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項9】
前記燃料ガスの流れを加熱するステップが、前記燃料ガスの流れを前記PPS復熱型熱交換器に通すステップを含む、請求項8に記載のプロセス。
【請求項10】
蒸気およびCO
2のうちの1つまたは両方を前記POX反応器に提供するステップをさらに含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項11】
前記POX熱交換器が、以下:前記圧縮したリサイクルCO
2流の一部;加圧した水の流れ;窒素流;加圧したO
2およびCO
2の流れ;前記燃料ガスの流れのうちの1つ以上と接触させて前記燃料ガスを含む前記POX流から熱を回収するように構成されている、請求項1に記載のプロセス。
【請求項12】
H
2およびCO
2の混合物をCOおよびH
2Oの混合物に転換するように構成された、またはCOおよびH
2Oの混合物をH
2およびCO
2の混合物に転換するように構成されたシフト反応器に、前記燃料ガスを含む前記POX流の一部を通すステップをさらに含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項13】
前記リサイクルCO
2流の一部と前記燃料ガスを含む前記POX流の一部を混合して混合物を形成し、前記混合物を前記シフト反応器で処理するステップをさらに含む、請求項
12に記載のプロセス。
【請求項14】
前記シフト反応器が、逆水性ガスシフト(WGS)反応器である、請求項
13に記載のプロセス。
【請求項15】
H
2S、COS、および重金属のうちの1つ以上を、前記燃料ガ
スを含む前記POX流から除去するように構成された温性脱硫部(warm desulfurization unit)に、前記燃料ガスを含む前記POX流の一部を通すステップをさらに含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項16】
前記燃料ガスを含む前記POX流の少なくとも一部を、前記燃料ガスを含む前記POX流から水銀を除去するように構成された活性化吸着システムに通すステップをさらに含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項17】
前記燃料ガスの流れの少なくとも一部を、前記燃料ガスの流れに存在するすべてのH
2Sの少なくとも一部およびすべてのCO
2の少なくとも一部のうちの1つまたは両方を分離するように構成された酸性ガス除去部に通すステップをさらに含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項18】
前記燃料ガスの流れの少なくとも一部を、COおよびH
2をCH
4およびH
2Oに転換するように構成された触媒型メタン生成システムに通すステップをさらに含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項19】
前記圧縮したリサイクルCO
2流の少なくとも一部を、前記PPS復熱型熱交換器で加熱し、前記PPS燃焼器に通す、請求項1に記載のプロセス。
【請求項20】
前記圧縮したリサイクルCO
2流の一部を、前記POX熱交換器に通す、請求項1に記載のプロセス。
【請求項21】
前記圧縮したリサイクルCO
2流が、前記POX熱交換器を出て、前記PPS復熱型熱交換器に通される、請求項
20に記載のプロセス。
【請求項22】
前記圧縮したリサイクルCO
2流の一部を、前記POX反応器に通す、請求項1に記載のプロセス。
【請求項23】
前記POX反応器で前記固体または液体の燃料を酸素と組み合わせる前に、前記圧縮したリサイクルCO
2流の一部を前記固体または液体の燃料と組み合わせる、請求項1に記載のプロセス。
【請求項24】
前記固体または液体の燃料が、液体または超臨界のCO
2と組み合わせた固体の燃料の形状の燃料スラリーを含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項25】
部分酸化(POX)システムおよび電力生産システム(PPS)を含む電力生産部であって、前記電力生産部が、
POX反応器と、
前記POX反応器の出口と流体連通した入口を備えるPOXスクラバー部と、
前記POXスクラバー部の出口と流体連通した入口を備える硫化カルボニル(COS)加水分解反応器と、
前記
COS加水分解反応器の出口と流体連通した入口を備えるPOX熱交換器と、
前記POX熱交換器の出口と流体連通した入口を備えるPOX水分離器と、
前記
POX水分離器の出口と流体連通した入口を備えるPOX酸性ガス除去システムと、
前記
POX酸性ガス除去システムの出口と流体連通した入口を備えるPOX圧縮機と、
前記POX圧縮機の出口と流体連通した入口を備え、それから燃料ガスを受領するように構成されたPPS燃焼器と、
前記PPS燃焼器の出口と流体連通した入口を備え、それから燃焼生成物流を受領するように構成されたPPSタービンと、
前記PPSタービンの出口と流体連通した入口を備えるPPS復熱型熱交換器と、
前記PPS復熱型熱交換器の出口と流体連通した入口を備えるPPS分離器と、
前記PPS分離器の出口と流体連通した入口を備えるPPS圧縮機と
を含む、電力生産部。
【請求項26】
固体燃料供給システムと、
シフト反応器と
、
脱硫部と、
活性化吸着部と、
触媒型メタン生成システムと
のうちの1つ以上をさらに含む、請求項
25に記載の電力生産部。
【請求項27】
前記POX熱交換器と前記PPS復熱型熱交換器との間に閉鎖式熱伝達ループをさらに含む、請求項
25に記載の電力生産部。
【請求項28】
以下の条件:
前記POX水分離器が、前記POX反応器の入口と流体連通した出口を備え、
前記PPS圧縮機が、前記POX熱交換器の入口と流体連通した出口を備え、
前記PPS圧縮機が、前記PPS復熱型熱交換器の入口と流体連通した出口を備える
のうちの1つ以上が当てはまる、請求項
25に記載の電力生産部。
【請求項29】
以下:
前記PPS圧縮機と前記POX熱交換器との間の流体連通のための1つ以上の流れラインと、
前記PPS圧縮機と前記PPS復熱型熱交換器との間の流体連通のための1つ以上の流れラインと、
前記PPS圧縮機と前記POX反応器との間の流体連通のための1つ以上の流れラインと
のうちの1つ以上をさらに含む、請求項
25に記載の電力生産部。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料の燃焼における部分酸化を利用する、電力、たとえば電気などの生産のためのシステムおよび方法を目的とする。
【背景技術】
【0002】
従来の、燃料の燃焼からの電力生産の手段は、概して、高効率の電力生産と炭素の捕捉との両方を同時に達成する特性を欠いている。この欠点は、燃焼生成物流に残存している固体および不活性の窒素ガス含有物のため、燃焼反応において固体の燃料を使用する場合に悪化する。よって、CO2排出の低減および/または生産された二酸化炭素の隔離の容易さの改善を可能にする高効率の電力生産のためのシステムおよび方法の必要性が、当該分野でますます高まっている。
【0003】
炭素の捕捉を伴う高効率の電力生産の分野における刊行物の1つである、Allamらに対する米国特許第8,596,075号は、石炭、褐炭、ペットコーク、またはバイオマスなどの固体の燃料を、H2S、CS2、硫化カルボニル(COS)、HCN、およびNH3などの燃焼由来の不純物を伴う可燃性の成分として主に一酸化炭素および水素を含む気体の燃料へと固体の燃料を実質的に完全に転換できるように十分に高い圧力および温度で作動する部分酸化反応器での酸素および任意に蒸気との反応により、気化させる1つの解決策を提供している。部分酸化した正味の生成ガスは、電力生成システムの燃焼チャンバーに燃料として導入できるように、冷却され、灰が分離され、任意に圧縮される。部分酸化システムおよび電力生成システムの作動圧力は、燃料ガスの圧縮を必要としないようにすることができる。電力生成システムの燃焼器は、燃焼後に存在する過剰のO2と共に作動し、これにより燃料および燃焼由来の不純物を、還元型から、主にSO2およびNOを含む酸化型に転換させることを確保している。部分酸化反応器は、約800℃の温度レベルで灰を除去する前に、高圧のリサイクルCO2流によって部分酸化生成ガスを冷却するトランスピレーション冷却壁を備えることができる。さらに約400℃に部分酸化ガスを冷却することが、固化した揮発性の無機成分を伴うすべての微細な灰の粒子を凝縮およびろ過して下流の器具での固体の析出、腐食、および詰まりを防止することを確保するために、必要である。800℃から400℃への部分酸化ガスの冷却は、部分酸化ガスにおけるブードア炭素形成反応および高いCOの分圧によるメタルダスティング腐食に耐性がある高圧の部分酸化ガス用のチューブを備えた熱交換器で行わなければならない。これを、式(1)で以下に示す。
CO+CO=C+CO2(1)
【0004】
このチューブは、周期的な水洗浄により、固体の燃料、特に石炭および褐炭に存在する揮発性の無機成分の凝縮に由来する固体の付着物を除去できるように設計されていなければならない。
【0005】
上述の刊行物の進展にも関わらず、この中に記載されているシステムおよび方法は、電力生産燃焼燃料として固体の燃料を使用する場合に生じる問題に対して最も好都合な解決策を、未だ提供していない。よって、炭素の捕捉を伴う固体の燃料の高効率な燃焼のためのさらなるシステムおよび方法が、依然として必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
本開示は、同時に炭素の捕捉を達成しつつ、燃料の燃焼を用いた高効率な電力生産のためのシステムおよび方法を提供する。特に、開示したシステムおよび方法は、部分酸化(POX)反応器を利用することができ、ここで燃料が燃焼され、部分酸化生成物を含むPOX流が生成される。POX流は、部分酸化生成物の少なくとも一部を実質的に完全に酸化して燃焼生成物流を生成する燃焼器に向かうことができる。
【0007】
部分酸化を利用する電力生産のためのシステムおよび方法は、たとえばAllamらに対する米国特許第8,776,532号に開示されており、この開示は、参照によりその全体が本明細書に援用されている。本開示は、Allamら由来の1つ以上の構成部分を組み込み得るが、燃料の部分酸化、次いで部分酸化生成物の少なくとも一部の燃焼を組み込んだ高効率の電力生産に関するさらなる利点を提供するさらなるシステムおよび方法を提供する。
【0008】
1つ以上の実施形態では、本開示は、部分酸化(POX)システムおよび電力生産システム(PPS)の組み合わせを使用した、電力の生産のためのプロセスに関し得る。非限定的な例では、このようなプロセスは、少なくとも以下のステップ:
固体または液体の燃料を部分酸化し、第1の温度で燃料ガスを含むPOX流を形成するために十分な条件下で、POX反応器で固体または液体の燃料および酸素を組み合わせるステップと、
燃料ガスの一部を形成しないすべての固体の成分または気体の成分のうちの少なくとも一部を、燃料ガスを含むPOX流から除去するステップと、
POX熱交換器で燃料ガスを含むPOX流を、第2のより低い温度に冷却するステップと、
燃料ガスを含むPOX流からすべての液体の水および酸性ガスのうちの少なくとも一部を除去し、よって燃料ガスの流れを形成することにより、燃料ガスを含むPOX流を精製するステップと、
燃料ガスの流れを約12MPa以上の圧力に圧縮するステップと、
PPS燃焼器で燃料ガスの流れを燃焼して、少なくとも約10MPaの圧力および少なくとも約800℃の温度の燃焼生成物流を形成するステップと、
PPSタービンを通して燃焼生成物流を膨張させて発電し、膨張したPPS燃焼生成物流を形成するステップと、
膨張したPPS燃焼生成物流をPPS復熱型熱交換器に通し、これによりPPS燃焼生成物流から熱を回収し、冷却したPPS燃焼生成物流を形成するステップと、
冷却したPPS燃焼生成物流から1つ以上の不純物のうちの少なくとも一部を除去してリサイクルCO2流を形成するステップと、
PPS圧縮機でリサイクルCO2流を加圧して圧縮したリサイクルCO2流を形成するステップと
を含み得る。
【0009】
さらなる実施形態では、上述のプロセスは、以下の陳述のうちのいずれか1つ以上と関連してさらに定義されてもよく、これらは任意の数または順序で組み合わせてもよい。
【0010】
POX反応器は、ガス化器であり得る。
【0011】
POX反応器は、流動床反応器であり得る。
【0012】
POX反応器は、触媒型反応器であり得る。
【0013】
本プロセスは、POX熱交換器で燃料ガスを含むPOX流を冷却する前に、燃料ガスを含むPOX流の温度を第1の温度未満かつ第2の温度を超える温度に低下させるステップを含み得る。
【0014】
燃料ガスを含むPOX流の温度を低下させるステップは、POX反応器に急冷流体を添加するステップを含み得る。
【0015】
急冷流体は、水およびCO2のうちの1つまたは両方を含み得る。
【0016】
本プロセスは、上記圧縮の後および上記燃焼の前に、燃料ガスの流れを加熱するステップをさらに含み得る。
【0017】
燃料ガスの流れを加熱するステップは、PPS復熱型熱交換器に燃料ガスの流れを通すステップを含み得る。
【0018】
本プロセスは、COSをH2Sに転換するように適合した硫化カルボニル(COS)加水分解反応器で、燃料ガスを含むPOX流の一部を処理するステップをさらに含み得る。
【0019】
本プロセスは、蒸気およびCO2のうちの1つまたは両方をPOX反応器に提供するステップをさらに含み得る。
【0020】
POX熱交換器は、以下:圧縮したリサイクルCO2流の一部;加圧した水の流れ;窒素流;加圧したO2およびCO2の流れ;燃料ガスの流れのうちの1つ以上と接触させて、燃料ガスを含むPOX流から熱を回収するように構成され得る。
【0021】
本プロセスは、H2およびCO2の混合物をCOおよびH2Oの混合物に転換するように構成された、またはCOおよびH2Oの混合物をH2およびCO2の混合物に転換するように構成されたシフト反応器に、燃料ガスを含むPOX流の一部を通すステップをさらに含み得る。
【0022】
本プロセスは、リサイクルCO2流の一部と燃料ガスを含むPOX流の一部を混合して混合物を形成し、シフト反応器で上記混合物を処理するステップとをさらに含み得る。
【0023】
シフト反応器は、逆水性ガスシフト(WGS)反応器であり得る。
【0024】
本プロセスは、燃料ガス流を含むPOX流から、H2S、COS、および重金属のうちの1つ以上を除去するように構成された温性脱硫部(warm desulfurization unit)に、燃料ガスを含むPOX流の一部を通すステップをさらに含み得る。
【0025】
本プロセスは、燃料ガスを含むPOX流から水銀を除去するように構成された活性化吸着システムに、燃料ガスを含むPOX流の少なくとも一部を通すステップをさらに含み得る。
【0026】
本プロセスは、燃料ガスの流れに存在する、すべてのH2Sの少なくとも一部およびすべてのCO2の少なくとも一部のうちの1つまたは両方を分離するように構成された酸性ガス除去部に、燃料ガスの流れの少なくとも一部を通すステップをさらに含み得る。
【0027】
本プロセスは、COおよびH2をCH4およびH2Oに転換するように構成された触媒型メタン生成システムに、燃料ガスの流れの少なくとも一部を通すステップをさらに含み得る。
【0028】
圧縮したリサイクルCO2流の少なくとも一部は、PPS復熱型熱交換器で加熱し、PPS燃焼器に通すことができる。
【0029】
圧縮したリサイクルCO2流の一部は、POX熱交換器に通すことができる。
【0030】
圧縮したリサイクルCO2流は、POX熱交換器を出て、PPS復熱型熱交換器に通すことができる。
【0031】
圧縮したリサイクルCO2流の一部は、POX反応器に通すことができる。
【0032】
圧縮したリサイクルCO2流の一部は、POX反応器で酸素と固体または液体の燃料を組み合わせる前に、固体または液体の燃料と組み合わせることができる。
【0033】
固体または液体の燃料は、液体または超臨界のCO2と組み合わせた固体の燃料の形状の燃料スラリーを含み得る。
【0034】
1つ以上の実施形態では、本開示は、電力生産のために構成されたシステムに関連し得る。本システムは、特に、部分酸化(POX)システムおよび電力生産システム(PPS)の組み合わせを含む。組み合わせたシステムは、多くの構成要素の組み合わせを含み得る。最小限には、組み合わせたシステムは、
酸素(および任意に蒸気、CO2、および/または触媒)の存在下で液体または固体の燃料を部分酸化して燃料ガスを含むPOX流を形成するように適合した触媒型または非触媒型のPOX反応器;
急冷流体とPOX流を接触させるように適合した1つ以上の構成要素;
圧縮したリサイクルCO2流の一部、高圧の水流、ASUから回収された窒素流、高圧のO2/CO2流、および清浄にして冷却した燃料ガスのうちの1つ以上と接触させて、POX流から熱を回収し、冷却したPOX流をPOX熱交換器から出力するように適合したPOX熱交換器;
冷却したPOX流(またはPOX流由来の燃料ガス)を約10MPa以上の圧力に圧縮するように適合した圧縮機;
酸素および圧縮したリサイクルCO2流の一部の存在下でPOX流由来の燃料ガスを燃焼し、約10MPa以上の圧力のPPS燃焼生成物流を形成するように適合したPPS燃焼器;
PPS燃焼生成物流を膨張させ、接続した発電機で発電させるように適合したタービン;
膨張したPPS燃焼生成物流から熱を回収し、この熱を圧縮したリサイクルCO2流に加えるように適合した復熱型熱交換器;
リサイクルCO2流を約10MPa以上の圧力に圧縮し、圧縮したリサイクルCO2流を形成するように適合したPPS圧縮機;ならびに
組み合わせたシステムのうちの1つ以上の異なる構成要素に1つ以上の流れを伝達するように適合した流れの構成要素(たとえば流れライン)
を含み得る。
【0035】
特定の実施形態では、組み合わせたシステムは、1つ以上のさらなる構成要素を含むことができる。たとえば、本開示は、任意の順序および任意の数で組み合わせることのできる、上述の構成要素と、以下の構成要素のうちの1つ以上とを備える組み合わせたシステムを包有するように意図されている。よって、組み合わせたシステムは、
部分的に急冷したPOX流(たとえばPOX流は約900℃以下の温度である)に高位の熱を戻すように構成された、放射冷却器(radiant cooler)または対流冷却器(convective cooler)などの高温熱交換器;
急冷したPOX流に存在する固体および/または可溶性の酸性ガスの少なくとも一部を分離するように適合したPOXスクラバー;
1つの相の急冷したPOX流から固化した灰の粒子を分離するように適合したろ過装置;
H2およびCO2の混合物をCOおよびH2Oの混合物に転換、またはCOおよびH2Oの混合物をH2およびCO2の混合物に転換するように適合した触媒型シフト反応器;
COSをH2Sに転換するように適合したCOS加水分解反応器;
再生可能な固体の吸着剤を使用することにより、POX流からH2S、COS、および重金属を除去するように適合した温性脱硫部;
POX流からすべての液体の水を分離するように適合した分離器;
POX流から水銀を除去するように適合した活性化吸着システム;
POX流に存在するすべてのH2Sおよび/またはCO2の少なくとも一部を分離するように適合した予燃焼酸性ガス除去部;
POX流における(またはPOX流由来の燃料ガスの流れにおける)COおよびH2をCH4およびH2Oに転換するように適合した触媒型メタン生成システム;
膨張したPPS燃焼生成物流からH2SO4、HNO3、および水に溶解したHg塩のうちの1つ以上を分離し、リサイクルCO2流を出力するように適合したPPS洗浄塔;
圧縮したリサイクルCO2流の一部をPOX熱交換器に向けるように適合した流れの構成要素;
圧縮したリサイクルCO2流の一部をPPS復熱型熱交換器に向けるように適合した流れの構成要素;
圧縮したリサイクルCO2流をPOX熱交換器からPPS復熱型熱交換器に向けるように適合した流れの構成要素;
たとえばPOX反応器の作動温度を制御するために、圧縮したリサイクルCO2流の一部をPOX反応器に向けるように適合した流れの構成要素;ならびに
圧縮したリサイクルCO2流の一部を、粉状にした固体の燃料をPOX反応器に運ぶために固体燃料供給システムに向けるように適合した流れの構成要素
のうちのいずれか1つ、2つ、3つまたはそれ以上を含んでもよい。
【0036】
1つ以上の実施形態では、本開示は、特に、部分酸化(POX)システムおよび電力生産システム(PPS)を含む電力生産部であって、
POX反応器と、
POX反応器の出口と流体連通した入口を備えるPOXスクラバー部と、
スクラバー部の出口と流体連通した入口を備えるPOX熱交換器と、
POX熱交換器の出口と流体連通した入口を備えるPOX水分離器と、
水分離器の出口と流体連通した入口を備えるPOX酸性ガス除去システムと、
酸性ガス除去システムの出口と流体連通した入口を備えるPOX圧縮機と、
POX圧縮機の出口と流体連通した入口を備え、それから燃料ガスを受領するように構成されたPPS燃焼器と、
PPS燃焼器の出口と流体連通した入口を備え、それから燃焼生成物流を受領するように構成されたPPSタービンと、
PPSタービンの出口と流体連通した入口を備えるPPS復熱型熱交換器と、
PPS復熱型熱交換器の出口と流体連通した入口を備えるPPS分離器と、
PPS分離器の出口と流体連通した入口を備えるPPS圧縮機と
を含む、電力生産部に関し得る。
【0037】
さらなる実施形態では、電力生産部は、以下の陳述のうちの1つ以上と関連させて特徴づけることができ、これらは任意の数または順序で組み合わせることができる。
【0038】
電力生産部は、固体燃料供給システム;シフト反応器;硫化カルボニル(COS)加水分解反応器;脱硫部;活性化吸着部;および触媒型メタン生成システムのうちの1つ以上をさらに含み得る。
【0039】
電力生産部は、POX熱交換器とPPS復熱型熱交換器との間に閉鎖式熱伝達ループをさらに含み得る。
【0040】
電力生産部は、以下の条件のうちの1つ以上を包有し得る:POX水分離器は、POX反応器の入口と流体連通した出口を備える;PPS圧縮機は、POX熱交換器の入口と流体連通した出口を備える;PPS圧縮機は、PPS復熱型熱交換器の入口と流体連通した出口を備える。
【0041】
電力生産部は、以下:PPS圧縮機とPOX熱交換器との間の流体連通のための1つ以上の流れライン;PPS圧縮機とPPS復熱型熱交換器との間の流体連通のための1つ以上の流れライン;PPS圧縮機とPOX反応器との間の流体連通のための1つ以上の流れラインのうちの1つ以上をさらに含み得る。
【0042】
1つ以上の実施形態では、異なる燃料を、電力生産部の起動のために利用することができる。たとえば気体の燃料流を、POXシステムおよび/またはPPSが定常状態で稼働するまで、POX反応器およびPPS燃焼器のうちの1つまたは両方で使用してもよい。
【0043】
このように、本発明を一般的な用語で説明してきたが、次に添付の図面を説明する。これは必ずしも尺度通りに描かれてはいない。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【
図1】本開示に係る組み合わせたPOXシステムおよびPPSの例となる実施形態を例示した流れ図であり、ここでPPSは、POXシステムにおける液体または固体の炭化水素または炭素質の燃料の部分酸化に由来する燃料ガスを使用して発電を行う。
【
図2】
図1の組み合わせたシステムの一部を例示した流れ図であり、例示した部分は、特に、輸送する(export)H
2またはH
2+COの混合物の生成に有用な組み合わせたシステムの構成部分を示している。
【
図3】本開示の実施形態に係る冷却装置の配置を例示した流れ図である。
【
図4】本開示の実施形態に係るシフト反応器、COS加水分解反応器、および脱硫部の配置を例示した流れ図である。
【
図5】本開示の実施形態に係る酸性ガス除去システム、活性化吸着システム、および触媒型メタン生成システムの配置を例示した流れ図である。
【
図6】本開示の実施形態に係る、POX熱交換器とPPS復熱型熱交換器との間の熱の伝達のために構成された閉鎖式熱伝達ループを例示した流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
ここから本発明を、様々な実施形態への言及を介して以下でより完全に説明する。これら実施形態は、本開示が徹底的かつ完全であるように提供されており、当業者に本発明の範囲を完全に伝えるものであろう。実際に、本発明は、多くの異なる形態で具現化されてもよく、本明細書中記載の実施形態に限定されると解釈すべきではなく、むしろこれら実施形態は、本開示が適切な法的必要条件を満たすように提供されている。本明細書および添付の特許請求の範囲で用いる場合、単数形「a」、「an」、「the」は、文脈で特段他の意味が明示されていない限り、複数形を含む。
【0046】
本開示のシステムおよび方法は、炭素質の燃料、特に固体の燃料および/または液体の燃料の部分酸化(POX)を達成するために適合されている。本開示で使用できる燃料の非限定的な例として、石炭、褐炭、石油コークス、歴青、バイオマス、藻類、木材、等級化された可燃性の固形廃棄物、アスファルト、使用済みタイヤ、原油、他の灰含有液体燃料などが挙げられる。燃料は、粉状の固体として、高粘性の流体として、およびブリケット化した固体として、POX反応器に提供することができる。
【0047】
POX反応器での炭素質の燃料の部分酸化は、POX流を形成する。この流れはこの構成要素の観点から定義できる。特にPOX流は、燃料ガスと、任意に1つ以上の不純物(酸化可能な不純物および酸化不能な不純物)とを含み得る。POX反応器を出た流れから取られた燃料ガスは、電力生産システムの燃焼器に投入することができる。たとえば、本開示のシステムおよび方法と組み合わせることができる燃焼器および関連する電力生産サイクルが、Allamらに対する米国特許第8,596,075号に記載されており、この開示は参照により本明細書に援用されている。このような燃焼器および関連する電力生産サイクルは、本明細書中で「Allam Cycle」として援用されてもよい。Allam Cycleのプロセスは、作業流体として主にCO2を使用して電力生産を達成する。特に、このプロセスは、高圧のリサイクルCO2流と燃料の燃焼から生じる燃焼生成物との混合物を膨張させるタービンを使用する。燃焼プロセスでの酸化剤として純酸素を使用することができる。高温のタービン排気を、高圧のリサイクルCO2流を部分的に予熱するために使用する。Allam CycleのリサイクルCO2流はまた、高温のタービン排気に由来しない追加された熱を使用して加熱される。たとえば、O2生産プラントのエアフィードの圧縮エネルギーを使用してもよい。すべての燃料、および硫黄化合物、NO、NO2、CO2、H2O、Hgなどの燃焼由来の不純物を、大気に排出せずに廃棄するために分離することができる。
【0048】
本開示のシステムおよび方法は、POXシステムおよび電力生産システム(PPS)の組み合わせを特徴とすることができる。Allam Cycleは、本開示で使用できるPPSの例である。特に、POX流由来の燃料ガスは、燃焼器用の燃料流の一部またはすべてとして、PPS燃焼器に導入することができる。高圧の燃焼サイクルでは、POX流由来の燃料ガスは、一般に、電力生産システムの燃焼器で必要とされる高い圧力に圧縮しなければならない。たとえば、POX流由来の燃料ガスは、圧縮機で、約10MPa以上、約15MPa以上、約20MPa以上、または約25MPa以上の圧力に圧縮され得る。他の実施形態では、この圧力は、約8MPa~約50MPa、約15MPa~約45MPa、または約20MPa~約40MPaとすることができる。
【0049】
POXシステムおよびPPSシステムの組み合わせは、Allamらに対する米国特許第8,776,532号に記載されており、この開示は参照により本明細書に援用されている。本開示のシステムおよび方法は、この中に記載されているシステムおよび方法の様々な態様を組み込むことができる。
【0050】
固体または液体の燃料と酸素の反応は、燃焼ガスを含むPOX流を提供することができ、上記流れは、利用するPOX反応器の種類に基づき、さまざまな量の固体および融解した固体を含むことができ、このような固体は、燃料ガスをPPS燃焼器に導入する前に除去され得る。具体的には、燃料ガスを含むPOX流は、灰および他の固体の物質を除去できる温度まで、必要に応じて冷却することができる。一部の実施形態では、しかしながら、固体は冷却前に除去されてもよい。このような除去は、POXシステムおよびPPSの器具の下流での異物混入の予防に有益であり得る。POX流の冷却の間に遊離した熱は、電力生産システムの全体の効率を最大限にするために、電力生産システムに移すことができる。特に、この熱は、燃焼生成物流の冷却の後および電力生産システムの燃焼器に戻すリサイクルCO2流体の投入の前に、電力生産で循環しているリサイクルCO2流体の少なくとも一部を部分的に加熱するために使用することができる。特にこの熱を、リサイクルCO2流体の圧縮の後に、リサイクルCO2流体に添加することができる。任意選択で、POX反応器および/または電力生産システムの燃焼器に必要な酸素を、同じまたは異なる熱交換器の冷却POX流と接触させて加熱することもできる。
【0051】
本開示で利用されるPOX反応器は、部分的な燃焼ガスの形成に有用と知られている任意の反応器を備えることができる。たとえば、合成ガスの形成に有用なガス化器を使用してもよい。同様に、流動床反応器を使用してもよい。さらに、この反応器は、触媒型反応器であってもよく、または非触媒型反応器であってもよい。POX反応器を出たPOX流は、本明細書中さらに記載されるように燃料ガスを含むことができる。用語「POX流」の本明細書中での使用は、燃料ガスと任意に1つ以上の混入物質または非燃料ガス物質とを含む、POX反応器を出た流れを表すことが理解されている。POX流由来の燃料ガスは、たとえば混入物質―たとえば固体、硫黄、金属、水、酸性ガスなどの除去を介して、POX流から単離することができる。よってPOX流は、十分に処理(たとえば精製および/または転換)されることにより、実質的に純粋であり得る―すなわち、本明細書中記載されるPPS燃焼器で可燃性である燃料ガスである成分のみを実質的に含み得る燃料ガスを結果として提供してもよい。しかしながら、必要に応じて、燃料ガス流は、PPS燃焼器で燃焼できる、ある含有量の可燃性の固体および/または可燃性の液体を含むように構成されていてもよい。
【0052】
POX反応器は、第1の温度を有する出力POX流を提供するように適合することができ、このPOX流は、第2のより低い温度の流れに冷却することができる。使用するPOX反応器に応じて、POX反応器を出た燃料ガスを含むPOX流は、約1200℃以上、約1300℃以上、または約1400℃以上の温度とすることができる。より具体的には、この温度は、約1000℃~約2000℃、約1200℃~約1800℃、または約1300℃~約1600℃とすることができる。他の実施形態では、POX反応器は、著しくより低い温度で作動するように構成することができる。このような実施形態では、POX反応器を出た燃料ガスを含むPOX流は、約300℃以上、約400℃以上、または約500℃以上の温度とすることができる。より具体的には、この温度は、約300℃~約1000℃、約350℃~約900℃、または約400℃~約800℃とすることができる。様々な実施形態では、POX流(よって、さらなる燃焼器に投入するための燃料ガス)を、好ましくはおおよそ大気温度に冷却するために、1つ以上のステップを利用することができる。
【0053】
1つ以上の実施形態では、上述の温度でPOX反応器を出たばかりのPOX流は、より低い温度に冷却することができる。冷却は、1つ以上の熱交換器の使用を含むことができる。あるいはまたはさらに、燃料ガスを含むPOX流は、急冷流体をPOX反応器に導入することにより急冷することができる。急冷および/または冷却は、POX流から固体を分離する前、POX流から固体を分離した後、または当該分離の前後に、実行することができる。好ましくは、急冷および/または冷却は、POX燃料ガス流の温度を、約100℃以上、約200℃以上、約300℃、約400℃以上、または約500℃以上低下させる。一部の実施形態では、急冷は、POX流を第2のより低い温度に冷却することとみなすことができる。しかしながら、本明細書中さらに記載されているように、急冷は中間にある冷却ステップとみなすことができ、POX流は、後に第2のより低い温度に冷却される。
【0054】
急冷は、1つ以上の急冷流体とPOX流の混合により、実行することができる。本開示で使用できる急冷流体の非限定的な例として、リサイクルしたPOX流(すなわち燃料ガス、または燃料ガスと1つ以上の不純物とを備えるPOX流)、急冷流体温度の水、液体のCO2、それらの混合物などの流れが挙げられる。一部の実施形態では、たとえば、ドライフィードガス化器を、フィードガスとして提供されるCO2またはロックホッパーと共に使用してもよい。さらなる例では、N2などの他の実質的に不活性な気体を使用してもよい。有用な急冷流体の温度は、約150℃以下、約100℃以下、約75℃以下、または約60℃以下とすることができる。急冷流体の温度は、特に、約10℃~約150℃、約15℃~約100℃、または約20℃~約75℃とすることができる。水での急冷を使用する実施形態では、水の一部を蒸発させることによって、燃料ガス、蒸気、および液体の水分の混合物を提供することができ、この液体の水分により灰の粒子のバルクを洗浄する。液体および蒸気の総計の温度は、POX反応器で使用する圧力および急冷で使用される液体の水の量により、決定される。
【0055】
POX燃焼器を出たPOX流は、燃料ガスの一部を形成しないすべての固体の成分または気体の成分のうちの少なくとも一部を除去するために処理することができる。このような処理は、様々な精製ステップおよび/または転換ステップを含むことができる。
【0056】
一部の実施形態では、(急冷していない、またはすでに急冷もしくは冷却されている)POX反応器を出たPOX流を、COS加水分解反応器で処理することができる。これは、COSをH2Sに転換することに有用であり得る。さらに、POX流を、温性脱硫部で処理することができる。これは、たとえば酸化亜鉛などの再生可能な固体の吸着剤を使用して、POX流からH2S、COS、および重金属を除去することに有用であり得る。COSの加水分解および脱硫は、順次(任意の順序で)実行することができ、またはこれら処理のうちの1つのみを実行してもよい。
【0057】
1つ以上の実施形態では、本システムおよび本方法は、冷却したPOX流の蒸気からすべての液体の水およびすべての灰粒子のバルクまたはさらなる固体を分離するように構成することができる。これら固体の除去は、任意の従来の分離またはろ過器の手段を使用して実行することができる。適切な固体除去の構成要素の非限定的な例として、サイクロンフィルター、沈降タンク、キャンドルフィルター、バグフィルター、液体洗浄塔などが挙げられる。このような構成要素は、固体および/または可溶性の気体を除去するために構成されてもよい。たとえばウォータースクラバーを利用することができる。
【0058】
POX流の冷却は、複数の段階を含むことができる。この流れは、最初に冷却されてもよく、POX流から固体を分離させてもよく、次いで、1つ以上の熱交換器を使用して、たとえば大気温度近くまでさらに冷却されてもよい。特に、POX熱交換器は、POX流(任意選択で、すでに急冷されている、かつ/またはPOX反応器の温度未満の温度に冷却されている)から電力生産システムで利用される高圧のCO2リサイクル流の1つ以上の部分に熱を伝達するように適合することができる。たとえば、この熱を、CO2リサイクル圧縮機の放出物から取られた高圧のCO2リサイクル流に、および/または電力生産サイクルで使用される復熱型熱交換器における1つ以上の適切なポイントに、伝達することができる。PPS復熱型熱交換器への熱の注入に関する温度の選択、ならびに急冷した燃料ガス冷却器で加熱されるPPS復熱型熱交換器から取られた流れの数および入口の温度は、熱の回収が実用的な熱交換器の大きさと調和する最大温度レベルであることを確保するように熱回収プロセスを変更することにより、決定することができる。
【0059】
一部の実施形態では、本開示に係るプロセスは、POX反応器で固体または液体の燃料を部分酸化して第1の温度の燃料ガスを含むPOX流を形成するステップを含むことができる。このPOX流は、任意選択で、POX反応器の中、POX反応器の別のセクションの中、または別の急冷容器の中で、より低い温度に急冷することができる。燃料ガスを含むPOX流は、燃料ガスの一部を形成しないすべての固体の成分または気体の成分の少なくとも一部を除去するために処理することができる。たとえば、POX流は、スクラバーを介して処理することができる。その後、POX流は、任意選択で、シフト反応器、COS加水分解反応器、および温性脱硫部のうちの1つ以上を介して処理することができる。次に、POX流を、POX熱交換器で、第2のより低い温度に冷却することができる。次に、冷却したPOX流を、POX流からすべての水を除去し、POX流からすべての酸性ガスを除去することにより、精製することができる。この時点では、実質的に精製した流れは、POX流由来の燃料ガス流とみなすことができる。しかしながら同様に、この流れは、燃料ガスが当該流れの大部分(mol%にて)を含む、燃料ガスを含むPOX流を表し得ることが理解されている。燃料ガス流は、任意選択で、活性化吸着システムおよび触媒型メタン生成システムのうちの1つまたは両方を介して処理することができる。その後、燃料ガスを、PPS燃焼器への投入に適した圧力に圧縮することができる。
【0060】
POX反応器で使用される燃料は、様々な形態で提供することができる。上述の実施形態では、固体の燃料は、特定の形態、好ましくは微細に粉末状にした状態で提供することができ、スラリー媒体でスラリー形成することができる。一部の実施形態では、スラリー媒体は、たとえば水、液体のCO2、およびそれらの組み合わせを含むことができる。液体のCO2は、少なくとも部分的に、電力生産システムからリサイクルしたCO2から形成することができる。POX反応器で使用される炭素質の燃料は、加熱した歴青などの液体とすることができ、この場合、スラリー形成する流体は必要とされなくてもよい。一部の実施形態では、粉末状にした固体の燃料は、CO2(および/またはN2)と混合することができ、POX反応器、たとえばロックホッパー用のフィードガスとしてCO2を使用するドライフィード式のガス化器に提供することができる。
【0061】
灰の除去の後に熱交換器で急冷したPOX流を冷却することにより遊離した熱は、電力生産システムから取られた高圧のCO2リサイクル流の1つ以上の部分に伝達することができる。急冷流体は、液体の水の分離の後のPOX熱交換器の冷却端を出たリサイクルされるPOX流とすることができ、または凝縮し分離した水とすることができる。これはまた、燃料ガスおよび水の組み合わせとすることもできる。さらに、これは、リサイクルされるCO2、またはCO2と燃料ガスもしくは水、もしくはその両方の組み合わせとすることができる。他の実施形態では、(たとえば空気分離部から回収された)窒素流を、急冷流体として使用してもよい。さらに、高圧のO2およびCO2の流れを使用してもよい。
【0062】
一部の実施形態では、急冷流体の供給源は、特に関連性があり得る。CO2スラリー形成媒体を利用する実施形態は、固体の燃料フィード(たとえば石炭)に存在する水素および水に由来する水の純生産をもたらし得る。よって、分離した液体は、水に溶解した可燃性の成分を分離するように処理することができる。これらの分離した可燃性物質を圧縮し、電力生産システムの燃焼器に戻すことができる。次に、清浄にした水流を、固体の燃料のスラリー形成システムまたはPOX急冷システムのいずれかに対してリサイクルすることができ、何等かの余剰な水を、電力生産システムに送ることができ、ここで、これを、Allamらに対する米国特許第8,596,075号に記載されているように電力生産システムの水分離段階で生成されるすべてのH2SO4/HNO3の酸を希釈するように使用することができる。固体の燃料を水でスラリー形成する実施形態では、高温のPOX流に存在する水を、固体燃料中の炭素の部分酸化により生成されるCOと反応させて水素ガスおよび一酸化炭素を生成することができる。これらはおよそ1:1の体積比のH2およびCOで存在することができる。
【0063】
このシフト反応における水の消費は水の不足を表し得、そのため、電力生産システムで生成された水は、固体の燃料の石炭のスラリーを生成し、よってこの消費を補うようにPOXシステムに戻すことができる。次に、正味の冷却したPOX流(すなわち燃料ガス流)を、電力生産の燃焼器での燃焼に必要とされる圧力に圧縮することができる。様々な実施形態では、本開示のシステムおよび方法は、POX反応器を出た高温のPOX流と共に使用するための内部の急冷流体を生産するように適合することができる。これは、POX反応、固体の除去、熱交換冷却、および水の分離の一連のステップから生じ得る。POX流由来の正味の量の燃料ガスを圧縮し、比較的高濃度の可燃性の気体(たとえばH2およびCO)および電力生産システムの燃焼器での有用な燃焼条件を確保する発熱量を備える電力生産システムの燃焼器に送達することができる。
【0064】
1つ以上の実施形態では、逆水性ガスシフト(WGS)反応器を利用してもよい。たとえば一部の実施形態では、PPS由来のリサイクルCO2流の一部を、POX流(またはPOX流由来の燃料ガス)の少なくとも一部と組み合わせることができ、この組み合わせを、逆WGS反応器に向けることができる。これは、CO2およびH2のCOおよびH2Oへの転換に有用であり得る。
【0065】
一部の実施形態では、本開示に係るPOX反応器は、電力生産システムの燃焼器の圧力より高い圧力で作動するように適合することができる。電力生産システムの燃焼器は、特に、本システムで継続してリサイクルされている作業流体としてのCO2を使用することができる。好ましくは、POX流は、急冷媒体としての冷却したPOX流または水のいずれかを使用した本明細書中記載されるような熱交換を介して急冷および冷却することができ、冷却したPOX流(すなわち燃料ガス)を、さらに圧縮することを必要とせずに、電力生産システムで使用することができる。POX反応器は、炭素質の燃料を燃焼するように適合した任意の反応器を含むことができ、特にこの燃料は、部分的にのみ酸化されており、特に反応器は、本明細書中記載の電力生産システムの燃焼器の作動圧力より大きな圧力で機能するように適合している。例示的な非限定的な実施形態では、POX燃焼器は、トランスピレーション冷却を利用することができ、ここでCO2などの冷却流体を、POX燃焼チャンバーの周りの多孔性のトランスピレーション層に通す。このことは、灰の衝突および凝集の予防に特に有用であり得る。本開示に係るPOX反応器で使用できるトランスピレーション冷却の例示的な実施形態は、Palmerらに対する米国特許出願公開公報第2010/0300063号、Palmerらに対する米国特許出願公開公報第2011/0083435号、およびPalmerらに対する米国特許出願公開公報第2012/0073261号に記載されており、これら開示は参照により本明細書に援用される。POX燃焼器は特に、燃料流、および燃料流の燃焼のための酸素供給源を受領するように適合することができる。任意選択で、触媒を、POX反応器に含めてもよく、かつ/または触媒を、燃料と混合するなどしてPOX反応器に導入してもよい。任意選択で、蒸気流をPOX反応器に導入してもよい。
【0066】
さらなる実施形態では、本開示に係るPOX反応器は、電力生産システムの燃焼器の圧力未満の圧力で作動するように適合することができる。このような実施形態では、電力生産システムの燃焼器で使用するためのPOX流に由来する燃料ガス流は、電力生産システムの燃焼器に通す前に圧縮することができる。必要に応じて、燃料ガス流を、たとえば、本明細書中他で記載されている1つ以上の熱交換器を通過させることを介してあらかじめ加熱することができる。POX反応器は、任意の市販のシステムを含むことができる。本開示で有用な市販のシステムの非限定的な例として、Shellの乾燥粉末状の石炭フィードを取り込んだフロー反応器、GE/Texacoの急冷反応器、Siemensの冷却スクリーン急冷反応器、または類似のシステムが挙げられる。有用なPOX反応器は、POXバーナーからの放射熱を吸収する内部の熱伝達部を含むことができる。さらなる例では、内部の熱伝達部は、伝導性および/または対流性の加熱のために構成することができる。このような実施形態では、電力生産システム由来の高圧のリサイクルされるCO2流の一部を加熱し、より高い温度でPPSシステムに戻すことができる。上述の加熱のためにPPSシステムから取られたリサイクル流は、任意の圧力、たとえば約10バール~約400バールの圧力で採取されてもよく、よってリサイクル流は、上述の加熱の前に任意の温度、たとえば約50℃以上(たとえば約50℃~約500℃、または約100℃~約400℃)の温度であってもよい。たとえば、約400℃の温度のリサイクルされるCO2流を、POX反応器の中で約450℃~約600℃の温度に加熱し、類似の温度の高圧のリサイクルCO2流のさらなる一部と再度混合することができる電力生産システムの復熱型熱交換器に戻すことができる。一部の実施形態では、熱を、高圧の水流に移して、飽和蒸気または過熱蒸気を生成することができる。
【0067】
本開示に係る電力生産システムとPOX反応器の組み合わせは、様々な有用な態様を提供することができる。例として、電力生産システムの燃焼器に入る冷却した高圧のPOX流に不純物(石炭または他の固体由来の不純物および燃料の部分酸化由来の不純物など)を保持し得る点で、この組み合わせを定義することができる。このような不純物は、H2S、COS、CS2、HCN、NH3、Hgを含み得る。これらおよび他の不純物を、電力生産システムの燃焼器で酸化させて、たとえばSO2、CO2、N2、NO、およびHgを形成し、次に、これらを電力生産システムから除去することができる。たとえば、電力生産システムを出た流れ由来の凝縮した水流は、たとえばAllamらに対する米国特許第8,596,075号に記載されているように、酸性であり、HNO3、H2SO4、および溶解した無機塩のうちの1つ以上を含むことができる。1つ以上の実施形態では、不純物の少なくとも一部は、POXシステムに戻してリサイクルすることができる。たとえば、NH3およびHCNを搭載しているウォータースクラバーを出た水は、石炭―水のスラリー系のための補給水として使用されてもよく、よってNH3およびHCNは、POX反応器で追加的な発熱量を提供する機能を供給する。さらなる例として、NH3は、硫黄除去システムの一部として使用されてもよく、これによりアンモニアが燃焼されてNOXが生成される。
【0068】
電力生産システムの燃焼器を直接介するよりも、POX反応器を介した固体燃料の処理は、汚染する可能性のある反応生成物を除去する特性の観点から特に有用であり得る。たとえば、POX反応器を出たPOX流は、約400℃以下の温度、または石炭に由来する灰(もしくは石炭もしくは他の固体燃料から生じる他の融解した不純物)が除去できる固体の形態であることを確保するために有用なさらなる温度に、急冷することができる。好ましくは、固体の不純物を、たとえば熱交換器、タービン、圧縮機などの電力生産システムの構成要素の詰まりおよび/または腐食を実質的に防止するために、非常に低い濃度および十分に小さな粒径にまで除去することができる。
【0069】
上記に加えて、POX反応器由来のPOX流の急冷は、本明細書定義されている温度未満の急冷したPOX流を提供するように適合することができ、固体の燃料中のすべての無機成分の気相の濃度が、同様に、電力生産システムの1つ以上の構成要素での析出を実質的に予防するために十分に低いことを確保するように、十分に低いものである。たとえば、石炭の部分酸化は、NaCl、CaSO4、およびKClを含む1つ以上のアルカリ金属塩を生成することができ、本明細書中論述されるように除去することができる。同様に、不純物をPOX流に通し、PPS燃焼器で燃焼することが可能であるが、実質的に純粋である―すなわち、mol%で大部分を占める燃料ガス(たとえば水、非可燃性の固体、金属、および酸性ガスを排除した)を含む、少なくとも75mol%の燃料ガスを含む、少なくとも90mol%の燃料ガスを含む、少なくとも95mol%の燃料ガスを含む、または少なくとも99mol%の燃料ガスを含むPPS燃焼器用の燃料ガスを提供するために、本明細書中他で記載されている1つ以上の精製ステップおよび/または転換ステップを実行することが好ましいとすることができる。
【0070】
本開示のシステムおよび方法は、POX流を冷却する間、好ましくは大気温度近くまで冷却する間に放出される実質的に全ての熱の回収、および電力生産システムにおけるリサイクルされた高圧のCO2流への熱の回収を提供するために適合することができる。この追加的な加熱は、特に、電力生産システムの復熱型熱交換器においてより低い温度で提供することができる。この方法での追加的な熱の投入は、電力生産システムの全体的な効率に有意な正の効果を提供することができる。この効果は、400℃~800℃の高い温度と比較して50℃~400℃のより低い温度の高圧のリサイクルCO2流のはるかに高い比熱、および電力生産システムの復熱型熱交換器において冷却するタービン排気流の低い比熱によるものである。この顕著な差は、リサイクルCO2流を加熱するために温度範囲50℃~400℃にわたる有意な追加の余分な熱が、復熱型熱交換器で必要であることを意味している。POX流熱交換器で急冷したPOX流から得た追加的な熱は、燃料ガス自体を燃焼する際に放出される熱量と実質的に等しい、電力生産システムの燃焼器に有効な量の追加的な熱を提供する。
【0071】
POX反応器を、リサイクル水流を使用して飽和状態となるまで急冷する様々な実施形態では、大気温度近くに冷却した急冷したPOX流の温度―熱の放出曲線は、急冷水の蒸発に由来する水蒸気が凝縮し始める際の大きな初期の放熱を示している。この、単位温度低下あたりの放熱は、POX流が冷却されると次第に減少する。この効果は、冷却急冷したPOX流から熱を回収するために使用される電力生産システムの高圧のリサイクル流から取られた2つの別々の高圧のリサイクルCO2流を必要とする。一部の実施形態では、第1の高圧のリサイクルCO2流は、約45℃~約70℃の温度でCO2リサイクル圧縮機での放出から取ることができる。第2の高圧のリサイクルCO2流は、タービン排気冷却流の露点への小さな温度アプローチが存在する復熱型熱交換器におけるポイントで、高圧のリサイクル流から取ることができる。これら2つの流れはまとめて、最も可能性のある温度レベルで高圧のCO2リサイクル流に戻すように効率的に伝達できる、水含有物が凝縮し始める際に、冷却急冷したPOX流からの大きな初期の放熱を提供することができる。一部の実施形態では、POX流を、部分的に、約900℃、約700℃、約500℃、または約400℃の温度などの第1の温度に急冷することができる。部分的な急冷を用いる場合、部分的な急冷温度と急冷したPOX流の水の露点との間に冷却範囲が存在し、この範囲は、POX流の水の露点未満の温度範囲と比較して、急冷したPOX流から入手可能なこの熱の一部を効率的に除去するために、低流量の高圧のリサイクルCO2を必要とし得る。このことは、急冷温度近くおよび/または急冷温度未満の温度で残りの部分を除去しつつ、急冷したPOX流の露点温度近くおよび/または露点温度未満で加熱する高圧のリサイクルCO2流の一部を除去することにより、達成することができる。次に、加熱した高圧のリサイクルCO2流を、復熱型熱交換器における高圧のリサイクルCO2流のバルクの流れに対応する温度点で復熱型熱交換器に戻すことができる。様々な実施形態では、POX冷却熱交換器で単一の戻る流れと組み合わせるための2つの流れに関する選択肢を提供することができる。一部の実施形態では、2超の高圧のリサイクル流体の流れを使用することができる。
【0072】
一部の実施形態では、急冷および灰の除去の後にPOX反応器から取られた燃料ガスは、約250℃~約400℃の温度で、H2、CO、CO2、およびH2Oを主に含むことができる。この燃料ガス流の一部は、純粋なH2、CO、またはそれらの様々なH2:COでの組み合わせの生成物と解釈することができる。大規模なH2生成のための典型的な使用は、たとえば、精製所で、可能性としては車両燃料としての、水素化脱硫および水素化分解とすることができる。H2およびCOの混合物の典型的な使用は、フィッシャー・トロプシュ法による炭化水素の液体生成(たとえばCOに対するH2比が約2.2)およびメタノール生成(たとえばCOに対するH2比が約2.0)とすることができる。各場合で、H2:CO比は、POX流(POX流由来の燃料ガスの流れ)において約1以下の比から増加しなければならず、この比は、固体燃料用のスラリー形成媒体としてのCO2または水の使用に依存している。POX生成ガス中により多くの水を伴う水をベースとするスラリーは、ちょうど1未満のH2:CO比を提供する、H2およびCO2に転換されるCOの有意な比率をもたらす。CO2ベースのスラリーは、これより低いH2:CO比を有する。以下の式(2)に示される、蒸気との反応によりCOをH2に転換する触媒型シフト反応器に急冷したPOX流から分離した燃料ガスの少なくとも一部を通すことが、有用であり得る。
CO+H2O=H2+CO2(2)
【0073】
このことは、灰の除去の後に約250℃~約400℃の温度で取られた燃料ガスの一部を使用して、かつ、シフト反応器においてコバルトベースなどの硫黄に耐性のあるCOシフト触媒を使用することにより、達成することができる。次に、H2を多く含んでいる燃料ガスの一部を、POX熱交換器を介する別の経路で冷却することができる。発熱シフト反応で放出された熱は、上述のようにPPSに移すことができる。次に、排出されたシフトガスを、残りの冷却したPOX流の一部と混合することができ、組み合わせた流れを、単一の吸着しない成分として必要とされるH2:CO比のH2およびCOを分離するように設計されている複床圧力変動吸着器に通すことができ、吸着した成分は、すべての硫黄化合物、HCN、NH3、Hg、CO2、H2O、およびほとんどのCH4を含み得る。この吸着されない画分はまた、石炭(または他の固体もしくは液体の燃料)由来のいくらかのN2およびAr、ならびにPOXで使用される酸素を含んでもよい。これらの不活性の成分は、好ましくは、フィッシャー・トロプシュおよびメタノールの反応器の両方に供給される気体にとって認容可能である5%未満の総濃度である。純H2の生産を必要とする場合、シフトした冷却ガスのみをPSAに供給する。石炭および還元型のPOX由来の不純物の全てを含むPSA由来のほぼ大気圧の排ガスは、圧縮され、PPS燃焼器での燃焼のためPOX流由来の残りの燃料ガスに戻される。
【0074】
一部の実施形態では、水急冷したPOX流の少なくとも一部を、逆WGS反応器に通すことができる。たとえば、約900℃以上の温度の水急冷した燃料ガスを含むPOX流を、H2およびCO2の混合物を、COおよびH2Oの混合物を含むシフト反応器を出たガスに転換するように逆WGS反応器で処理することができる。
【0075】
POX流(またはPOX流由来の燃料ガス)は、一部の実施形態では、たとえばその中に存在するすべてのH2Sおよび/またはCO2のうち少なくとも一部を分離するように酸性ガス除去部を介して処理することができる。特に、酸性ガス除去は、POX熱交換器でのPOX流の冷却の後、およびPOX流からの水の除去の後に実行することができる。酸性ガス除去は、好ましくは、PPS燃焼器に導入するための圧力に燃料ガスを圧縮する前に実行する。酸性ガス除去プロセスは、一般的な3つのタイプ:化学試薬、物理溶媒、およびハイブリッドな溶媒に分けることができる。酸性ガス除去プロセスの非限定的な例として、レクチゾール法、Sulfinol、MDEA、セレクソール法、含水ジイソプロパノール(aqueous di-isoproponal)(ADIP)アミン、およびFLEXSORBがある。1つの方法として、2つの段階のセレクソールプロセス(UOP LLC, USA)の使用を挙げることができ、ここでは第1段階でH2Sを除去し、第2段階でCO2を除去する。酸性ガス除去由来のH2Sは、クラウスプロセスを含む当業者に知られている任意の方法により液体の硫黄元素に転換することができ、または湿式硫酸プロセス(WSAプロセス)を含む当業者に知られている任意の方法により、商業的な品質の硫酸に転換することができる。酸性ガス除去を介してPOX流から除去したCO2を圧縮し、PPS燃焼器に通すために圧縮したリサイクルCO2流に混合することができる。一部の実施形態では、POX燃料流を活性化吸着システムに通してそれから水銀を除去することができる。
【0076】
1つ以上の実施形態では、POX流(またはPOX流由来の燃料ガス)を、メタン生成システムを介して処理することができる。特に、メタン生成は、POX熱交換器でPOX流を冷却した後およびPOX流から水を除去した後に、実行することができる。メタン生成は、好ましくは、PPS燃焼器に導入するための圧力に燃料ガスを圧縮する前に行われる。触媒型POX反応器で生成された燃料ガスは、一部の実施形態では、水性ガスシフト反応器に通した後に約3:1のH2:CO比を有する。H2SおよびCO2を、酸性ガス除去プロセスで除去することができ、酸性ガス除去プロセスを出た、高いメタン含有量を伴うPOX燃料ガスは、CO、H2、およびCH4を主に含むことができる。メタン生成システムを出た燃料ガスは、約50容量%以上、約75容量%以上、約85容量%以上、約90容量%以上、または約95容量%以上の含有量のメタンを有することができる。メタン生成プロセスで放出した熱は、1つまたは複数の熱交換器に熱を戻すことができる。これら熱交換器中の冷却流は、PPSから回収され、PPSに戻される高圧のリサイクル流体流、高圧の水流、固体燃料乾燥プロセスでASUから回収された窒素流、高圧のO2/CO2流、および/また清浄にして冷却した燃料ガス流を含み得る。例示的なメタン生成プロセスとして、Haldor Topsoeによる高温のTREMP(商標)の使用を挙げることができる。例えば、米国特許第8,530,529号を参照されたい。この開示は参照により本明細書に援用される。
【0077】
固体燃料の部分酸化を伴う電力生産システムの一実施形態を、
図1に準拠して説明する。ここで固体燃料は、POX反応器4で部分酸化される石炭供給流21の形態で提供されている。石炭流21は、吸気流62から酸素流32および60と窒素流23とを生成する空気分離部6から取られた、約82℃(華氏180°)の温度のN
2を含む乾燥窒素流23が同様に供給される大粒子砕粉器1で、粉砕および部分的に乾燥される。好ましくは、乾燥窒素流23は、より高温の流れであるPPSにおける復熱型熱交換器を出たCO
2を多く含むタービン排気と接触させて加熱することができる。過剰の窒素流22は、大粒子粉砕機1を出る。流れ24における部分的に粉砕された石炭は、小粒子粉砕機2で好ましくは約250ミクロン以下の粒径にさらに粉砕されて粒子化した(particularized)石炭流25を提供し、スラリー混合器3に向かう。スラリー混合器3で、粒子化した石炭は、CO
2スラリー媒体流29と混合され、これは好ましくは約8.5MPa以上の圧力を有する。この実施形態におけるCO
2を含むCO
2スラリー媒体流29は、約17℃の温度である。CO
2を含むCO
2スラリー媒体流29は、約865kg/m
3の密度を有する。粉状の石炭を、CO
2と混合する前に、ロックホッパーシステムまたは他の手段により、8.5MPaの圧力に、圧力を上げる。石炭/CO
2スラリー流26は、スラリー混合器3を出て、好ましくは、約45重量%の石炭を含む。あるいはスラリー媒体は水流とすることができる。粉状の石炭注入システムはまた、粉状の加圧した石炭を窒素流に取り込み、POXバーナーに供給するドライフィードシステムとして構成することもできる。次に、スラリー流26は、好ましくは95モル%以上の酸素濃度を含む酸素流56と組み合わせるPOX反応器4にくみ上げられる。POX反応器4は、好ましくは、約8.5MPaの圧力および約1400℃の温度で作動する;しかしながら、この温度および圧力は、POX反応器を出たPOX流の性質に関連して本明細書中他で開示されている温度および圧力の範囲のいずれかの組み合わせとすることができる。よって、石炭スラリーの調製に関する条件を調節することができる。
【0078】
POX反応器4は、石炭を部分酸化し、POX流を形成するように適合されており、POX流は、POX反応器を出て、急冷チャンバー(不図示)に入ってもよく、または
図1に例示されているように、POX反応器自体の中で急冷されてもよい。POX流は、限定するものではないが、H
2、CO、CH
4、H
2S、COS、CS
2、HCN、NH
3を含む1つ以上の可燃性の(すなわち酸化可能な)物質を含み得る燃料ガスを含むことができる。さらに、POX流は、石炭(または他の固形燃料)由来のHgおよび他の不純物、ならびに不活性の物質(たとえばN
2およびAr)、たとえば酸素流56由来の不純物+他の微量成分を含み得る。またPOX流は、チャー、灰、またはスラグなどの1つ以上の非可燃性の物質を含むこともでき、これらは必要に応じてPOX流からろ過することができる。
【0079】
POX流(POX反応器の内部または別の構成要素におけるPOX流)は、急冷流体(本実施形態では液体の水流57)と混合することにより急冷される。例示されているように、液体の水流57は、制限ノズルの基部近くでPOX反応器に入る。急冷流の添加は、POX流の構成要素を、好ましくは約304℃の水飽和温度未満まで冷却する(しかしながらこれより高い温度も包有されている)。また、急冷温度は、好ましくは、灰およびスラグなどの非可燃性物質が固体の形態である温度とすることもできる。過度の急冷水は、POX反応容器(または別の急冷容器)の汚水の中のスラグおよび微細な灰のバルクと共に回収され、これらはさらなる処理のために除去される。急冷したPOX流58は、スクラバー部5を通り、これは、ウォータースクラブタワー、次いでダスト負荷を約4mg/m3以下の燃料ガス、約3mg/m3以下の燃料ガス、または約2mg/m3以下の燃料ガスに減少させるように適合した微細なカートリッジフィルターを含む。スクラバー部5はまた、スクラブ水をリサイクルするため、また廃棄用の灰流66を処理するために必要とされるすべての器具およびポンプを備えることができる。POX反応器の灰の処理およびガス清浄化に有用なシステムの例示的な実施形態は、石炭/水のスラリーバーナーを備えたGE/Texaco POXシステムであり、これは、あるいは石炭/CO2スラリーを認容するように改変され得る。よって、1つ以上の固体除去の構成要素を介して、燃料ガスを含むPOX流から固体を除去することができる。
【0080】
図3に例示されているように、追加的な冷却部を、必要に応じて利用してもよい。特に、
図3に示されるように、POX反応器4を出たPOX流58aは、冷却器101(たとえば放射冷却器または対流冷却器)を通り、冷却したPOX流58bとして出た後に、スクラバー部5に入ってもよい。1つ以上の実施形態では、さらなる処理部を、スクラバー部5とPOX熱交換器7との間を通るPOX流55の処理のために利用してもよい。
図4に例示されているように、スクラバー部5を出たPOX流55aは、シフト反応器102、COS加水分解反応器103、および温性脱硫部04のうちの1つ以上を通った後に、POX熱交換器7に通されてもよい(中間の流れ55b、55c、および55dを伴う)。上記構成部分は任意であり、記載の構成部分のうちの1つまたは2つのみを利用してもよいことが理解されている。さらに、シフト反応器102、COS加水分解反応器103、および温性脱硫部104は、上記構成部分のうちの2つ以上が存在する場合に任意の順で提供されてもよい。
【0081】
清浄にした燃料ガス+蒸気流55は、POX熱交換器7で冷却される。排出された流れ59は、さらに、熱交換器9中の冷却水と接触してさらに冷却される。液体の水46が、入口の流れ61から分離容器8で分離され、POX反応器の急冷および流れ38からのいくらかの追加の補給水に戻すようにポンプ11でくみ上げられて、急冷水流57を生成する。一部の実施形態では、この結果得られる流れは、正味の燃料ガス流47であり、次に、多段式遠心圧縮機10で、電力生産システムの燃焼器14への流れ48としての投入に適した圧力に圧縮することができる。例として、燃料ガス流47は、約30.5MPaの圧力に圧縮することができる。
【0082】
1つ以上の実施形態では、分離容器8を出た流れは、中間の燃料ガス流47aとすることができ、これは、除去に関するさらなる物質を含んでおり、かつ/またはさらなるアップグレーディングの処理に供することができる。たとえば、
図5に示されているように、中間の燃料ガス流47aは、酸性ガス除去部105、活性化吸着システム106、および触媒型メタン生成システム107のうちの1つ以上に通した後、圧縮機10に通すことができる(中間の流れ47b、47c、および47dを伴う)。上記構成部分は任意であり、記載の構成部分のうちの1つまたは2つのみを利用してもよいことが理解されている。さらに、酸性ガス除去部105、活性化吸着システム106、および触媒型メタン生成システム107は、上記構成部分のうちの2つ以上が存在する場合に任意の順で提供されてもよい。
【0083】
特定の実施形態では、酸性ガス除去部105が存在することが好ましいとすることができる。よって硫化水素、ハロゲン化水素、二酸化炭素、硫黄酸化物、および窒素酸化物などの酸性ガスは、燃料ガスを圧縮する前に除去することができる。一部の実施形態では、同様に活性化吸着部106が存在することが好ましいとすることができる。
【0084】
圧縮した燃料ガス流48は、復熱型熱交換器12で電力生産システムの燃焼器14への投入に適した温度に加熱される。例として、圧縮した燃料ガス流48は、約746℃の温度に加熱することができる。加熱した燃料ガス流64は、これを酸素およびCO2と組み合わせる電力生産システムの燃焼器14で燃焼される。例示した実施形態では、組み合わせたO2/CO2流51は、モルベースで25%のO2および75%のCO2を含む。組み合わせたO2/CO2流51は、好ましくは、電力生産システムの燃焼器14への投入に適した温度に加熱されている。例として、組み合わせたO2/CO2流51は、復熱型熱交換器12で約746℃の温度に加熱することができる。熱いリサイクルCO2流52は、復熱型熱交換器12から向かっており、電力生産システムの燃焼器14への投入に適した温度である。例として、熱いリサイクルCO2流52は、約746℃の温度に加熱され得る。
【0085】
電力生産システムの燃焼器では、燃料ガスの燃焼由来の燃焼ガスは、例示した実施形態において、熱いリサイクルCO2流52で冷却され、約1150℃の温度および約30MPaの圧力の組み合わせた燃焼生成物流50を生成する。これを、発電機65に接続したタービン13で約3MPaの圧力に膨張させ、出力電力63を生成する。タービン出力流49は、例示した実施形態において、復熱型熱交換器12で冷却され、約64℃の温度の冷却した生成流53として出る。この流れ53は、ウォータークーラー16で約17℃の温度に冷却される。さらに冷却されたタービン出力流54は、スクラブタワー17に入り、これは、さらに冷却したタービン出力流54を受領するタワーの充填セクション(packed section)上方にあるスクラブタワーの液体の入口41に、循環ポンプ18を介して大部分がリサイクルされる出力流40を有する。流れ40の一部は、さらなる処理のため流れ39として分割される。タービン排気ガスが、復熱型熱交換器12で水の露点未満に冷却すると、以下の反応が起こる。
NO+1/2O2=NO(3)
NO2+SO2=SO3+NO(4)
SO3+H2O=H2SO4(5)
【0086】
上記の反応は、液体の水、窒素酸化物、SO2/SO3、および過剰な酸素の存在下で進行する。SO2/SO3の濃度は、式(3)に示されている制限反応が3MPaで迅速に進行し、式(4)および式(5)の反応が非常に速いため、非常に低いレベルに低下する。全ての硫黄酸化物が硫酸に転換されている場合、窒素酸化物は、以下の反応の順序で、通過あたり約95%の転換率で硝酸に転換される。
2NO2+H2O=HNO2+HNO3(6)
3HNO2=HNO3+2NO+H2O(7)
NO+1/2O2=NO2(8)
【0087】
図1に戻ると、正味の液体の酸生成流39に存在する硝酸は、すべての存在する水銀を塩化水銀に転換する。スクラブタワー17は、好ましくは、追加的な水洗浄および酸のミスト除去セクションを備えている。この主な機能は、実質的に全ての上記の反応がスクラブタワー17の上流で行われるため、効率的な希酸除去装置として作用することである。混合される酸は、混合器15において石灰石スラリー流36(または他の適切な塩基)で処理され、石こうおよび硝酸カルシウム流37を生成する。他のいずれかの微小な金属塩も同様に分離することができる。硝酸カルシウムおよび溶解した塩の除去の後の残りの水流38は、冷却タワーまたはPOX急冷システムに対する補填として、またはスクラブタワー17に再利用されるスクラブ水として、使用することができる。
【0088】
主に、約2.9MPaの圧力のスクラブタワー17を出たCO2流42は、約30.5MPaなどの、電力生産システムの燃焼器への投入に適切な圧力に、多段式のインタークーラー付きの圧縮機(multi stage intercooled compressor)/濃厚流体多段式ポンプ19で圧縮する。圧縮したCO2放出流35は、約54℃の温度でポンプ19の最後の段階を出て、この流れの一部の、流れ70は、復熱型熱交換器12で約746℃の温度に加熱され、CO2流52として出る。
【0089】
この実施形態における空気分離プラント6は、2つの別々の流れに分かれる約8.6MPaの圧力の99.5モル%の酸素純度の生成物流を生成する。酸素流60は、熱交換器7で約294℃の温度に加熱され、石炭の部分酸化のためPOX反応器4で使用するためにガス流56として出る。残りの酸素流32は、約8.6MPaの圧力でCO2と混合される。具体的には、CO2は、流れ30として圧縮機19の中間の段階から取られ、一部分の流れ31は、酸素流32と混合されて、25モル%のO2および75モル%のCO2の組成を提供する。この希釈したO2流33は、多段式のインタークーラーを備えた圧縮機20で約30.5MPaの圧力に圧縮され、放出流34は、復熱型熱交換器12で約746℃の温度に加熱され、流れ51として電力生産システムの燃焼器14に入る。純粋なO2流32の希釈は、電力生産システムの燃焼器14の燃焼に必要な酸素を、酸化に耐性のある物質を必要とすることなく高温に加熱させるために有用である。これは、電力生産システムの安全な作動を確約している。この30%のO2流は、電力生産システムの断熱燃焼温度を約2400℃の値に抑えるために有用である。CO2流30の残りの部分はCO2流29であり、粉状にした石炭のスラリー形成を行うためのCO2を提供し、スラリー混合器3に向かう。
【0090】
熱交換器7において急冷したPOXガスの冷却は、電力生産システムに最大熱量を伝達して全体の効率を最大限にするために有用である。電力生産システムは、大気温度近くから最大約400℃までの温度範囲の外部供給源由来の有意な量の熱を必要とする。これは、空気分離プラント6の断熱性空気圧縮機を使用し、高圧のリサイクルCO2流の一部に圧縮熱を伝達することにより、提供することができる。本実施形態では、必要とされる外部加熱負荷は、POX熱交換器7で急冷したPOXガスを冷却し、2つの高圧のリサイクル流を加熱することにより提供される。約54℃の温度の高圧のリサイクルCO2流28および復熱型熱交換器12において中間の温度点で取られた約120℃の温度の高圧のリサイクルCO2流43を加熱し、約294℃の温度の組み合わせた加熱出力流44を提供する。これは、復熱型熱交換器12において対応する温度点の主要なリサイクルCO2流と混合するために戻される。任意選択で、出力流67もまた、同様に主要なリサイクルCO2流と混合するために対応する温度点で復熱型熱交換器に戻されてもよい。
【0091】
1つ以上の実施形態では、専用の熱伝達ループを介して、POX熱交換器7とPPS復熱型熱交換器12との間に熱伝達を提供することが有用であり得る。たとえば、
図6に例示されているように、熱伝達流体流109は、ポンプ108を介して、POX熱交換器7とPPS復熱型熱交換器12との間を循環する。熱伝達流体流109は、最大約30MPa、最大約20MPa、または最大約10MPaなどの大気圧より大きな圧力とすることができる。特定の実施形態では、熱伝達流体流109は、POX熱交換器7からPPS復熱型熱交換器12まで熱を伝達することができる。
【0092】
例示的な実施形態では、熱交換器7は、高圧の、ロウ付けまたは拡散接合した複数のチャネル部とすることができる。この構築材料は、好ましくは、POXガス+液体の水に存在する不純物の存在に耐腐食性である。復熱型熱交換器12は、好ましくは、拡散接合した複数のチャネル部である。この部は、好ましくは、最大約800℃の温度での作動に適合しており、約200℃未満の温度での酸による腐食に耐性があるように適合している。例示的な適切な材料は、Specialty Metals alloy 740である。一部の実施形態では、熱交換器12の熱い端部の温度平均は、750℃未満に低下させることができ、このような場合、alloy 617が適切であり得る。任意選択で、約200℃~540℃の間の中間のセクションは、ステンレス鋼から作製することができる。200℃未満での潜在的な酸による腐食に供されるセクションは、定期的に交換可能なように構築することができる。
【0093】
さらなる実施形態では、POX流を処理するための別の構成部分の配置を使用することができる。例示的な実施形態では、
図2は、POX生成物を、電力生産システム用の燃料ガスの生産のため、ならびにH
2およびCOの分離し精製した混合物の生産のための両方に使用する、任意選択の配置を示している。副流90は、灰の除去の後の急冷したPOXガス流55から取られており、硫黄耐性のコバルトベースのシフト触媒(または他の適切な物質)を有する触媒型シフト転換器91に通される。より高温の出力ガス流92が、熱交換器7で約60℃の温度に冷却され、流れ73として出て、熱交換器74で水を約20℃の温度に冷却することにより、流れ75としてさらに冷却される。凝縮した水78は分離器77で分離されており、冷却したガス流76は、複床式の圧力変動吸着部79に入る。分離器77で分離した水78は、液体の水流46に加えられる。圧力変動吸着部(PSA)79は、注入ガス流76を、約8MPaの圧力でこの部を出る純H
2または純粋なH
2およびCO
2流80と、すべての不純物(たとえばH
2S、COS、CS
2、HCN、NH
3、Hg、および他の微量な成分)、ならびにH
2、CO、CO
2、CH
4、およびH
2Oの一部の組み合わせを含む排ガス流93とに分離するように設計されている。この不純物の分離により、H
2またはH
2およびCOの生成物流80中のこれら成分の濃度が1ppm未満となる。この配置は、高濃度のCOを含む冷却したPOXガスの流れ83を使用してシフト反応した冷却済みのガス流76と混合し、PSA部79を通過する際に8MPaの生成流80で必要とされる流れおよび必要とされるH
2:CO比を提供する流れ72を生成する。純H
2が必要とされる場合、流れ83はゼロである。0.12MPaの圧力のPSA79由来の排ガス流93は、多段式のインタークーラーを備えた圧縮機81で約8MPaの圧力に圧縮され、放出流82は、燃料ガス流47に添加されて圧縮され、電力生産システムの燃焼器14に通される(
図1参照)。燃料ガス流全体は、圧縮機10で約30.5MPaの圧力に圧縮され、この結果得られる高圧の燃料ガス流48は、復熱型熱交換器12を介して電力生産システムの燃焼器14に送られる(
図1参照)。この配置は、電力生産システムへのすべての石炭およびPOX由来の不純物の移送を確保しており、これらは電力生産システムの燃焼器14で酸化される。様々な実施形態では、シフト反応における追加の水の消費は、式(9)にしたがって進行することができ、少量の追加的な補填の流れを必要とし得る。
H
2O+CO=CO
2+H
2(9)
【0094】
上記からわかるように、本開示は、特に、部分酸化(POX)システムおよび電力生産システム(PPS)の組み合わせを使用した電力生産のためのプロセスを提供することができる。このプロセスは、本明細書中記載のプロセスのステップの任意の組み合わせを介した実施により、定義することができる。
【0095】
本開示はさらに、部分酸化(POX)システムおよび電力生産システム(PPS)を含む電力生産部を提供することができる。上記部は、以下の構成要素:POX反応器;POXスクラバー(または他のろ過部);POX熱交換器;POX水分離器;POX酸性ガス除去システム;POX圧縮機;PPS燃焼器;PPSタービン、PPS復熱型熱交換器;PPS分離器;PPS圧縮機;固体燃料供給システム;シフト反応器;硫化カルボニル(COS)加水分解反応器;脱硫部;活性化吸着部;触媒型メタン生成システム;ならびにPOX熱交換器とPPS熱交換器との間の閉鎖式熱伝達ループのうちのいずれかを含むことができる。上記に加えて、電力生産部は、上記構成要素の間に流体の流れを提供するための、記載の構成要素のいずれかを相互連結する流れラインを含むことができ、電力生産部は、各構成要素の間の流体の流れを容易にするために、必要に応じて、バルブ、コネクタ、および制御器を含むことができる。さらに、上記の構成要素が、本明細書中記載の電力生産部の作動の間に、それらの中の流体の流れおよびそれらからの流体の流れのための入口および出口を含むことが理解されている。同様に、様々な構成要素(またはその入口および/または出口)が流体連通して記載されている限り、上記流体連通が、上記構成要素(またはその入口および/または出口)の間に置かれている流れラインの存在、ならびに、上記構成要素の間に置かれている1つ以上のさらなる構成要素の存在を含み得ることが理解されている。さらに、流れている流体を処理する複数の構成要素を含む電力生産部で、特定の構成要素が、他の各構成要素の上流、および/または他の各構成要素の下流にあると解釈され得ることが理解されている。別の各構成要素の上流および/または下流にある構成要素の配置は、少なくとも添付の図面から明らかである。よって、添付の図面で第1の構成要素が第2の構成要素から流体の流れを受領する限り、第1の構成要素が、第2の構成要素より上流にあり、第2の構成要素が第1の構成要素より下流にあることが理解されている。同様に、第2の構成要素より下流にある第3の構成要素は、同様に第1の構成要素より下流にあると解釈され、このような関係は添付の図面および本明細書中のさらなる記載から明らかである。
【0096】
本明細書中記載のシステムおよび方法の構成部分を組み込んだ様々な実施形態では、開示のシステムおよび方法の全体的な効率は、50%超である(代表的なタービンおよび圧縮機の効率、ならびに熱交換器の温度差および圧力低下を伴う、低位発熱量(LHV)に基づく)。さらに、CCSが、他のすべての燃料、POX、および燃焼由来の不純物の実質的に完全な除去と共に同時に提供されている。燃料流21中の炭素に由来する過剰なCO
2は、30.5MPaの流れ71としての循環するCO
2システムから除去される(
図1参照)。これは、本システムおよび方法が、約15MPa以上、約20MPa以上、約25MPa以上、または約30MPa以上の圧力の燃料由来のCO
2の実質的に全てを提供するように適合されていることから、容易に行うことができる。この高い効率は、好ましくは、たとえばAllamらに対する米国特許第8,596,075号に記載されているように、市販のPOX反応器システムおよび高圧のCO
2作業流体電力サイクルを使用するなどして、低コストのシステムで達成することができる。比較の例として、現存の、CO
2の捕捉およびパイプラインの圧力への圧縮を伴う商業的な石炭ベースのガス化複合発電(integrated gasification combined cycle(IGCC)の発電システムは、比較可能な原理でたったの34%~39%の効率を有することが示されており、資本コストが本システムよりも著しく高い。
【0097】
上記の説明および関連の図面に提示されている技術の有益性を有することを含む、本開示の主題の多くの修正および他の実施形態は、当業者に明らかである。よって、本開示は本明細書中記載の特定の実施形態に限定されるものではなく、修正および他の実施形態が、添付の特許請求の範囲内に含まれることが意図されていることを理解すべきである。特定の用語が本明細書中で使用されているが、これらは単に一般的および説明上の意味で使用されており、限定を目的とするものではない。