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特許7449116評価方法、プログラム、評価システム、及び、仕様提示方法
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  • 特許-評価方法、プログラム、評価システム、及び、仕様提示方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-05
(45)【発行日】2024-03-13
(54)【発明の名称】評価方法、プログラム、評価システム、及び、仕様提示方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/16 20240101AFI20240306BHJP
【FI】
G06Q50/16
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020032359
(22)【出願日】2020-02-27
(65)【公開番号】P2021135823
(43)【公開日】2021-09-13
【審査請求日】2022-12-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000004673
【氏名又は名称】パナソニックホームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 寛
(72)【発明者】
【氏名】高原 梨沙子
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 曜
(72)【発明者】
【氏名】今井 哲也
(72)【発明者】
【氏名】四方 彰人
(72)【発明者】
【氏名】吉迫 昭浩
【審査官】深津 始
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-057171(JP,A)
【文献】特開2012-108571(JP,A)
【文献】特開2017-215704(JP,A)
【文献】特開2019-196844(JP,A)
【文献】特開2017-117378(JP,A)
【文献】伊香賀俊治, ほか,健康維持がもたらす間接的便益(NEB)を考慮した住宅断熱の投資評価,日本建築学会環境系論文集,2011年08月,第76巻, 第666号,第735-740ページ
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 -G06Q 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
集合住宅の複数の住戸のうちの対象住戸の断熱性能に関する断熱性能情報を取得する取得ステップと、
前記断熱性能情報に基づいて、前記対象住戸に居住した場合の推定医療費に関する医療費情報を含む、前記対象住戸に居住した場合の費用に関する評価情報を生成する生成ステップと、を含み、
前記生成ステップは、前記断熱性能情報に基づく前記対象住戸での温度情報に基づいて前記推定医療費を求め、前記推定医療費に基づいて前記医療費情報を決定し、
1以上のプロセッサに実行される
評価方法。
【請求項2】
前記温度情報は、前記対象住戸の作用温度を含み、
前記作用温度をT、前記推定医療費をMとすると、Mは次式で表され、
【数1】

ここで、A,Bは人の年齢に関する係数である、
請求項1の評価方法。
【請求項3】
前記温度情報は、前記対象住戸の空調設備に関する空調条件を含む付加条件と、前記断熱性能情報とに基づいて、求められる、
請求項2の評価方法。
【請求項4】
前記付加条件は、前記集合住宅の場所に関する地域条件を更に含む、
請求項3の評価方法。
【請求項5】
前記評価情報は、前記対象住戸に居住した場合の推定光熱費に関する光熱費情報を含み、
前記光熱費情報は、前記付加条件と前記断熱性能情報とに基づいて、求められる、
請求項3又は4の評価方法。
【請求項6】
前記取得ステップは、前記対象住戸の設計情報に基づいて前記断熱性能情報を取得する、
請求項1~5のいずれか一つの評価方法。
【請求項7】
前記1以上のプロセッサに、請求項1~6のいずれか一つの評価方法を実行させるための、
プログラム。
【請求項8】
集合住宅の複数の住戸のうちの対象住戸の断熱性能に関する断熱性能情報を取得する取得部と、
前記断熱性能に基づいて、前記対象住戸に居住した場合の推定医療費に関する医療費情報を含む、前記対象住戸に居住した場合の費用に関する評価情報を生成する生成部と、
を備え、
前記生成部は、前記断熱性能情報に基づく前記対象住戸での温度情報に基づいて前記推定医療費を求め、前記推定医療費に基づいて前記医療費情報を決定する
評価システム。
【請求項9】
請求項1~6のいずれか一つの評価方法によって評価情報を生成する生成ステップと、
前記評価情報に基づいて、前記集合住宅の前記対象住戸の断熱性能の設計の提示をする提示ステップと、
を含み、
1以上のプロセッサに実行される
仕様提示方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、評価方法、プログラム、評価システム、及び、仕様提示方法に関する。本開示は、特に、集合住宅を対象とする評価方法、プログラム、評価システム、及び、仕様提示方法を提供することである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、物件評価装置を開示する。特許文献1の物件評価装置は、集合住宅内の個々の住宅又は戸建住宅などの複数の住宅それぞれの居住環境に関する環境情報を収集する収集部を備える。環境情報は、居住環境に関する情報であり、どの程度快適に住むことができるかを判定する際の基礎となる情報である。環境情報は、例えば、各住宅それぞれの空調稼働時間、空調消費電力、室内温度、室内湿度を含む。物件評価装置は、さらに、収集部で収集した環境情報に基づいて居住の快適性を示す評価指標を算出する指標算出部を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-110278号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1によれば、集合住宅の住戸(対象住戸)に居住した場合の快適性の評価は可能である。しかしながら、対象住戸に居住した場合の費用に関する評価については何ら考慮されていない。
【0005】
課題は、集合住宅の対象住戸に居住した場合の費用に関する評価を行える、評価方法、プログラム、評価システム、及び、仕様提示方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様の評価方法は、1以上のプロセッサに実行される。前記評価方法は、取得ステップと、生成ステップとを含む。前記取得ステップは、集合住宅の複数の住戸のうちの対象住戸の断熱性能に関する断熱性能情報を取得する。前記生成ステップは、前記断熱性能情報に基づいて、前記対象住戸に居住した場合の推定医療費に関する医療費情報を含む、前記対象住戸に居住した場合の費用に関する評価情報を生成するステップである。前記生成ステップは、前記断熱性能情報に基づく前記対象住戸での温度情報に基づいて前記推定医療費を求め、前記推定医療費に基づいて前記医療費情報を決定する。
【0007】
本開示の一態様のプログラムは、前記1以上のプロセッサに、前記評価方法を実行させるための、プログラムである。
【0008】
本開示の一態様の評価システムは、取得部と、生成部とを備える。前記取得部は、集合住宅の複数の住戸のうちの対象住戸の断熱性能に関する断熱性能情報を取得する。前記生成部は、前記断熱性能に基づいて、前記対象住戸に居住した場合の推定医療費に関する医療費情報を含む、前記対象住戸に居住した場合の費用に関する評価情報を生成する。前記生成部は、前記断熱性能情報に基づく前記対象住戸での温度情報に基づいて前記推定医療費を求め、前記推定医療費に基づいて前記医療費情報を決定する。
【0009】
本開示の一態様の仕様提示方法は、1以上のプロセッサに実行される。前記仕様提示方法は、生成ステップと、提示ステップとを含む。前記生成ステップは、前記評価方法によって評価情報を生成するステップである。前記提示ステップは、前記評価情報に基づいて、前記集合住宅の前記対象住戸の断熱性能の設計の提示をするステップである。
【発明の効果】
【0010】
本開示の態様によれば、集合住宅の対象住戸に居住した場合の費用に関する評価を行える、という利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、一実施形態の評価方法の適用の対象となる集合住宅の概略説明である。
図2図2は、集合住宅の経営に関するサービスの一部のフローチャートである。
図3図3は、上記評価方法のフローチャートである。
図4図4は、上記評価方法を実施する評価システムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(1)実施形態
(1-1)概要
一実施形態の評価方法は、図1に示すような集合住宅200の住戸210の評価のために利用され得る。集合住宅200の例としては、マンション(分譲マンション、賃貸マンション)、アパート、タウンハウスが挙げられる。本実施形態では、集合住宅200は、分譲マンションを想定している。図1に示すように、集合住宅200は、複数の住戸210を含む。本実施形態では複数の住戸210は、複数の中住戸211と、複数の角住戸212とを含む。中住戸211は、同じ階において両側に別の住戸210がある住戸をいう。角住戸212は、同じ階において片側にだけ別の住戸210がある住戸をいう。なお、図1では、集合住宅200は、複数の階を有しているが、必ずしも複数の階を有していなくてもよい。つまり、集合住宅200は、一階建てであってよい。なお、集合住宅200の複数の住戸210は、中住戸211を含んでいない場合もあり得る。
【0013】
図2は、本実施形態において、集合住宅の経営に関する事業を行う事業者により提供される、集合住宅の経営に関するサービスの一部の流れを示す。以下では、家賃収入を得る目的で集合住宅の建築を希望するオーナからの注文を想定している。オーナから集合住宅の建築の注文があった場合、事業者は、オーナの要望等に応じて、集合住宅の仕様の案を決定する(S100)。事業者は、オーナが集合住宅の仕様を決定するための情報として、仕様の案について集合住宅の全住戸の評価情報の生成をし(S110)、更に、集合住宅の全住戸の評価情報を基に、集合住宅の全住戸の比較情報を生成する(S120)。事業者は、集合住宅の仕様の案とともに、集合住宅の全住戸の評価情報及び比較情報をオーナに提示する(S130)。オーナは、集合住宅の仕様を確定するかどうかの判断を行う(S140)。この際、オーナは、集合住宅の全住戸の評価情報及び比較情報を参照することができる。オーナが集合住宅の仕様に納得しない場合には(S140:No)、事業者は、更にオーナとヒアリングを行い、集合住宅の仕様の案を再度決定する(S100)。一方、オーナが集合住宅の仕様に合意する場合には(S140:Yes)、事業者は、集合住宅の発注を行う(S150)。また、事業者は、集合住宅の入居者用資料の作成を行う(S160)。入居者用資料は、集合住宅の全住戸の評価情報及び比較情報を含み得る。そして、集合住宅の工事が完了すると(S170)、集合住宅がオーナに引き渡される(S180)。その後、事業者は、集合住宅の住戸の販売の申し出を開始する(S190)。ここでいう、住戸の販売の申し出は、住戸の賃貸の申し出であり、いわゆる入居者の募集であり得る。入居希望者は、入居者用資料を参照して、集合住宅の住戸を購入するかどうか(ここでは、入居するかどうか)の判断を行う(S200)。入居者用資料は、集合住宅の全住戸の評価情報及び比較情報を含むから、入居希望者は、評価情報及び比較情報を参照することができる。入居希望者が住戸の購入(入居)を希望する場合には(S200:Yes)、事業者は、集合住宅の住戸の引き渡しのための手続きを開始し、問題なければ、集合住宅の住戸が入居希望者に引き渡される(S210)。なお、上記の例は、家賃収入を得る目的で集合住宅の建築を希望するオーナからの注文を想定しているが、住戸販売の目的で集合住宅の建築を希望するオーナからの注文にも必要な変更を加えて適用可能である。
【0014】
本実施形態の評価方法は、このような事業者が提供する一連のサービスの中で実行され得る。上記の例では、事業者は、ステップS110での、集合住宅の全住戸の評価情報の生成において、本実施形態の評価方法を実行することが可能である。本実施形態の評価方法は、図3に示すように、取得ステップS10と、生成ステップS20とを含む。取得ステップS10は、集合住宅200の複数の住戸210のうちの対象住戸210の断熱性能に関する断熱性能情報を取得するステップである。生成ステップS20は、断熱性能情報に基づいて、対象住戸210に居住した場合の推定医療費に関する医療費情報を含む、対象住戸210に居住した場合の費用に関する評価情報を生成するステップである。
【0015】
本実施形態の評価方法では、対象住戸210に居住した場合の費用に関する評価情報が生成される。そして、この評価情報は、対象住戸に居住した場合の推定医療費に関する医療費情報を含む。したがって、本実施形態の評価方法によれば、集合住宅200の対象住戸210に居住した場合の費用に関する評価を行える。そして、評価情報によれば、対象住戸210を、対象住戸210に居住した場合の費用の観点から評価することが可能となる。事業者は、評価情報をオーナに提供することができる。特に、事業者は、集合住宅200の対象住戸210の断熱性能の設計については、断熱性能を異ならせた場合の評価情報を提示することが可能となる。これによって、評価情報に基づいた、集合住宅200の対象住戸210の断熱性能の設計の提示が可能となる。そして、オーナにしてみれば、評価情報に基づいて、集合住宅200の仕様に関する判断を行うことができる。特に、評価情報は対象住戸210の断熱性能情報に基づくから、オーナは、評価情報を、集合住宅200の住戸210の断熱性能の設計についての検討に利用することが可能となる。集合住宅200の住戸210の推定医療費が全体的に低いことは、入居希望者の住戸210の入居のインセンティブになる。よって、評価情報は、集合住宅200の住戸210の断熱性能の設計の決定に有用である。集合住宅200の住戸210の推定医療費が全体的に低いことは、入居者の生活の安定につながり、これによって、安定した家賃収入が得られることが期待できる。よって、評価情報に含まれる医療費情報と、集合住宅200の住戸210の断熱性能の実現にかかる費用とを比較衡量した、集合住宅200の住戸210の断熱性能の設計の提示が可能となる。一方で、入居希望者にしてみれば、評価情報に基づいて、対象住戸210への入居に関する判断を行うことができる。例えば、評価情報に含まれる医療費情報と、入居費用(対象住戸210の賃料や販売価格)とを比較衡量した、対象住戸210への入居に関する判断が可能となる。例えば、評価情報によって、中住戸が角住戸に比べて断熱性能が良く、これによって推定医療費が低下する傾向が認められれば、希望入居者に避けられる傾向がある中住戸の価値が上がり、中住戸への入居の促進が図られることが期待できる。このように、本実施形態の評価方法により得られる評価情報は、集合住宅のオーナにとっても、集合住宅の入居希望者にとっても、それぞれの意思決定において有益な情報となる。
【0016】
(1-2)詳細
以下、本実施形態の評価方法について、図3及び図4を参照して更に詳細に説明する。本実施形態の評価方法は、図4に示す評価システム10により実行され得る。
【0017】
評価システム10は、端末装置20と通信ネットワークを介して接続可能である。なお、通信ネットワークは、インターネットを含み得る。通信ネットワークは、単一の通信プロトコルに準拠したネットワークだけではなく、異なる通信プロトコルに準拠した複数のネットワークで構成され得る。通信プロトコルは、周知の様々な有線及び無線通信規格から選択され得る。通信ネットワークは、リピータハブ、スイッチングハブ、ブリッジ、ゲートウェイ、ルータ等のデータ通信機器を含み得る。
【0018】
端末装置20は、評価システム10への情報の入力、及び、評価システム10からの情報の表示に利用される。端末装置20は、図4に示すように、入出力部21と、通信部22と、処理部23とを備える。端末装置20は、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、又は、携帯端末(スマートフォン、タブレット端末、ウェアラブル端末等)により実現され得る。
【0019】
入出力部21は、端末装置20を操作するための入力装置を備える。入力装置は、例えば、キーボード、マウス、トラックボール、タッチパッド、音声を取得するためのマイクロフォン、撮像装置(カメラ等)等を含み得る。撮像装置は、ユーザのジェスチャや2次元コードの画像を取得するために利用され得る。また、入出力部21は、情報を表示するための画像表示装置を備える。画像表示装置は、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等の薄型のディスプレイ装置を含み得る。
【0020】
通信部22は、通信インターフェースである。通信部22は、通信ネットワークに接続可能であり、通信ネットワークを通じた通信を行う機能を有する。通信部22は、例えば、トランスミッタとレシーバを含む。通信部22は、所定の通信プロトコルに準拠している。所定の通信プロトコルは、周知の様々な有線及び無線通信規格から選択され得る。
【0021】
処理部23は、端末装置20の全体的な制御、すなわち、入出力部21及び通信部22を制御するように構成される。処理部23は、入出力部21の操作に応じて入力された情報を、通信部22から通信ネットワークを通じて評価システム10に送信する機能を有している。また、処理部23は、通信ネットワークを通じて通信部22で受信した評価システム10からの情報を、入出力部21により提示する機能を有している。処理部23は、例えば、1以上のプロセッサ(マイクロプロセッサ)と1以上のメモリとを含むコンピュータシステムにより実現され得る。
【0022】
評価システム10は、上述したように、本実施形態の評価方法を実行するためのシステムである。評価システム10は、図4に示すように、通信部11と、記憶部12と、処理部13とを備える。評価システム10は、1以上のサーバにより実現され得る。
【0023】
通信部11は、通信インターフェースである。通信部11は、通信ネットワークに接続可能であり、通信ネットワークを通じた通信を行う機能を有する。通信部11は、例えば、トランスミッタとレシーバを含む。通信部11は、所定の通信プロトコルに準拠している。所定の通信プロトコルは、周知の様々な有線及び無線通信規格から選択され得る。
【0024】
記憶部12は、処理部13が利用する情報を記憶するために用いられる。記憶部12は、1以上の記憶装置を含む。記憶装置は、例えば、RAM(Random Access Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)である。
【0025】
処理部13は、評価システム10の動作を制御する制御回路である。処理部13は、例えば、1以上のプロセッサ(マイクロプロセッサ)と1以上のメモリとを含むコンピュータシステムにより実現され得る。つまり、1以上のプロセッサが1以上のメモリに記憶された1以上の(コンピュータ)プログラム(アプリケーション)を実行することで、処理部13として機能する。プログラムは、ここでは処理部13のメモリに予め記録されているが、インターネット等の電気通信回線を通じて、又はメモリカード等の非一時的な記録媒体に記録されて提供されてもよい。
【0026】
処理部13は、図4に示すように、取得部131と、生成部132と、提示部133とを備える。図4において、取得部131と、生成部132と、提示部133とは実体のある構成を示しているわけではなく、処理部13によって実現される機能を示している。
【0027】
取得部131は、集合住宅200の複数の住戸210のうちの対象住戸210の断熱性能に関する断熱性能情報を取得する。断熱性能情報は、断熱性能を示す指標を含み得る。断熱性能を示す指標の例としては、断熱性能の評価値、及び断熱性能の評価値に基づく分類が挙げられる。断熱性能の評価値の例としては、Q値(熱損失係数)及びUA値(外皮平均熱貫流率)が挙げられる。断熱性能の評価値に基づく分類の例としては、Q値に基づく分類、及び、UA値に基づく分類が挙げられる。そして、Q値に基づく分類は、「断熱グレード3」、「断熱グレード4」、及び「断熱グレード5」を含み得る。また、UA値に基づく分類は、「HEAT20 G1」及び「HEAT20 G2」を含み得る。本実施形態では、断熱性能情報は、Q値に基づく分類を含み得る。
【0028】
本実施形態では、取得部131は、対象住戸210の設計情報に基づいて断熱性能情報を取得する。より詳細には、取得部131は、対象住戸210の設計情報から対象住戸210の断熱性能の評価値を求め、評価値に基づいて断熱性能情報を生成してよい。対象住戸210の設計情報は、少なくとも、断熱性能の評価値(例えば、Q値、U値)の演算に必要な情報を含み得る。設計情報は、対象住戸210の対象箇所の構成情報を含み得る。対象箇所の例としては、「天井」、「床」、「壁」、「窓・扉」の4項目が挙げられる。構成情報は、対象箇所での断熱材の評価値に影響を与える設計値(厚さ、熱伝導率等)を含み得る。また、設計情報は、対象住戸210の集合住宅200内での場所に関する場所情報を含み得る。場所情報は、例えば、対象住戸210が中住戸か角住戸かを特定できる情報であってよい。このような集合住宅200での対象住戸210の場所は、対象住戸210の対象箇所の設計値とともに、対象住戸210の断熱性能に影響を与え得る。なお、場所情報は、構成情報とは独立している必要はなく、構成情報に含まれ得る。つまり、対象住戸210が中住戸か角住戸であることによる断熱性能への影響は、構成情報の一部として設計情報に含まれてもよいし、場所情報として設計情報に含まれてもよい。
【0029】
対象住戸210の設計情報は、端末装置20より入力することが可能である。よって、取得部131は、端末装置20から対象住戸210の設計情報を取得する。
【0030】
本実施形態では、集合住宅200の複数の住戸210が順番に対象住戸210として選択されることで、集合住宅200の複数の住戸210の全てについて、断熱性情報が取得される。
【0031】
生成部132は、断熱性能情報(取得部131で取得された断熱性能情報)に基づいて、対象住戸210に居住した場合の費用に関する評価情報を生成する。本実施形態では、評価情報は、医療費情報を含む。更に、評価情報は、光熱費情報を含む。
【0032】
医療費情報は、対象住戸210に居住した場合の推定医療費に関する情報である。医療費情報は、推定医療費を示す指標を含み得る。推定医療費を示す指標の例としては、推定医療費それ自体、及び推定医療費に基づく分類が挙げられる。ここで、推定医療費は、年単位の医療費であってもよいが、月単位の医療費であってもよく、特に限定されない。推定医療費に基づく分類の例としては、推定医療費のレベルや、病気のかかりにくさの度合い等の種々の分類が利用可能である。本実施形態では、医療費情報は、推定医療費それ自体を含み得る。
【0033】
推定医療費の算出の対象となる疾患の例としては、心疾患、脳血管疾患、高血圧、糖尿病、気管支喘息、アトピー性皮膚炎、肺炎、関節炎、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎が挙げられる。推定医療費は、一つの疾患の医療費であってもよいし、複数の疾患の医療費の合計であってもよい。いくつかの疾患の医療費には、住戸内の温度(作用温度)との間に相関がみられる。例えば、心疾患及び脳血管疾患による医療費は、住戸内の作用温度、特に、特定期間の日最低作用温度との間に相関がみられる。日最低作用温度に関する特定期間は、寒気の期間である。一例として、特定期間は、日本の2月の一週間の期間である。一方で、高血圧、糖尿病、気管支喘息、アトピー性皮膚炎、肺炎、関節炎、アレルギー性鼻炎、及びアレルギー性結膜炎の医療費は、住戸内の作用温度、特に、特定期間の滞在室作用温度の平均値との間に相関がみられる。ここで、滞在室作用温度の平均値に関する特定期間は、寒気の期間である。一例として、特定期間は、日本の1月~2月の期間である。
【0034】
本実施形態では、生成部132は、対象住戸210での温度情報に基づいて推定医療費を求め、推定医療費に基づいて医療費情報を決定する。対象住戸210での温度情報は、対象住戸の作用温度を含む。作用温度は、上述したように、日最低作用温度と、滞在室作用温度の平均値とを含み得る。このような温度情報は、断熱性能情報に基づいて求められる。本実施形態では、温度情報を求める際に、付加条件が利用される。付加条件は、空調条件を含む。また、付加条件は、地域条件を更に含む。空調条件は、対象住戸210の空調設備に関する条件である。空調条件の例としては、「部分間欠空調・非熱交換換気」、「部分間欠空調・熱交換換気」、「ベース暖房+部分間欠空調・熱交換換気」等が挙げられる。地域条件は、集合住宅200の場所に関する条件である。日本の場合、地域の例としては、北海道地方、東北地方、関東地方、中部地方、近畿地方、中国地方、四国地方、及び、九州沖縄地方が挙げられる。地域は、日本に限らず、世界各国の種々の地域が採用され得る。このような付加条件は、予め記憶部12に記憶されていてよい。
【0035】
具体的には、生成部132は、次式(1)を利用して、推定医療費の算出を行う。次式(1)において、Mは推定医療費、Tは作用温度、A,Bは人の年齢に関する係数を表す。
【0036】
【数1】
【0037】
本実施形態では、推定医療費の算出の対象となる疾患の例としては、心疾患、脳血管疾患、高血圧、糖尿病、気管支喘息、アトピー性皮膚炎、肺炎、関節炎、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎が挙げられる。心疾患、脳血管疾患が関係する作用温度は、日最低作用温度である。高血圧、糖尿病、気管支喘息、アトピー性皮膚炎、肺炎、関節炎、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎が関係する作用温度は、滞在室作用温度の平均値である。よって、日最低作用温度に関する推定医療費をM1とすれば、M1は、次式(2)で表される。次式(2)において、T1は日最低作用温度、A1,B1は人の年齢に関する係数を表す。また、滞在室作用温度の平均値に関する推定医療費をM2とすれば、M2は、次式(3)で表される。次式(3)において、T2は滞在室作用温度の平均値、A2,B2は人の年齢に関する係数を表す。なお、係数A1,A2,B1,B2等は、予め記憶部12に記憶され得る。
【0038】
【数2】
【0039】
よって、心疾患、脳血管疾患、高血圧、糖尿病、気管支喘息、アトピー性皮膚炎、肺炎、関節炎、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎に関する推定医療費は、M1+M2で与えられる。
【0040】
光熱費情報は、対象住戸210に居住した場合の推定光熱費に関する情報である。光熱費情報は、推定光熱費を示す指標を含み得る。推定光熱費を示す指標の例としては、推定光熱費それ自体、推定光熱費に対応する電気使用量やガス使用量、及び推定光熱費に基づく分類が挙げられる。ここで、推定光熱費は、年単位の光熱費であってもよいが、月単位の光熱費であってもよく、特に限定されない。推定光熱費に基づく分類の例としては、推定光熱費のレベル等が利用可能である。本実施形態では、光熱費情報は、推定光熱費それ自体を含み得る。特に、本実施形態では、光熱費情報は、付加条件と断熱性能情報とに基づいて、求められる。つまり、光熱費情報を、医療費情報と同じ条件で求めることで、医療費情報と光熱費情報との関係性が強まり、より精度の高い結果が得られ得る。なお、光熱費の算出方法としては、従来周知の方法を採用できるから、ここでは詳細な説明は省略する。
【0041】
このように、生成部132は、断熱性能情報(取得部131で取得された断熱性能情報)に基づいて、対象住戸210に居住した場合の費用に関する評価情報を生成する。そして、評価情報は、医療費情報と光熱費情報とを含んでいるから、対象住戸210に居住した場合の費用の評価を高精度に行うことが可能となる。
【0042】
上述したように、集合住宅200の複数の住戸210の全てについて、断熱性情報が取得されるから、評価情報は、集合住宅200の複数の住戸210の全てについて、生成される。この場合、生成部132は、集合住宅200の全住戸210の比較情報を生成する。比較情報は、集合住宅200の複数の住戸210の全ての評価情報を含む。比較情報は、集合住宅200の複数の住戸210の全ての断熱性情報を含んでよい。下記の表1は、生成部132により生成される比較情報の一例を示す。表1において、比較情報は、集合住宅200の住戸210の評価情報の一覧である。表1において、集合住宅200は、101号室、102号室、103号室、201号室、202号室、203号室、301号室、302号室、及び303号室の9つの住戸210を含む。101号室、201号室、301号室は、集合住宅200の同じ側にある角住戸である。103号室、203号室、303号室は、集合住宅200において101号室、201号室、301号室とは反対側の角住戸である。102号室、202号室、302号室は、101号室、201号室、301号室と、103号室、203号室、303号室との間にある中住戸である。表1において、「UA値」は、断熱性情報に対応する。「医療費」は、医療費情報に対応する。「医療費」は30年間の推定医療費(単位は万円)を示す。「光熱費」は、光熱費情報に対応する。「光熱費」は30年間の推定光熱費(単位は万円)である。「合計」は、推定医療費と推定光熱費との合計である。
【0043】
【表1】
【0044】
表1から明らかなように、中住戸である102号室は、同じ階の角住戸である101号室103号室よりもUA値が低く医療費及び光熱費も安い。中住戸である202号室は、同じ階の角住戸である201号室及び203号室よりもUA値が低く医療費及び光熱費も安い。中住戸である302号室は、同じ階の角住戸である301号室及び303号室よりもUA値が低く医療費及び光熱費も安い。
【0045】
提示部133は、生成部132で生成された評価情報の提示を行う。本実施形態では、提示部133は、生成部132で生成された評価情報を、通信ネットワークを通じて端末装置20に送ることで、端末装置20の入出力部21にて評価情報を提示させる。本実施形態では、生成部132は評価情報に基づいて比較情報を生成するため、提示部133は評価情報とともに比較情報の提示を行う。比較情報は、評価情報と同様に、通信ネットワークを通じて端末装置20に送信されて、端末装置20の入出力部21にて提示される。これによって、評価システム10による評価(評価情報、比較情報)を、端末装置20で確認することが可能となる。
【0046】
(1-3)動作
以下、図3を参照して、本実施形態の評価システム10の動作(つまり、評価方法)について説明する。
【0047】
評価システム10の動作は、大きく、取得ステップS10、生成ステップS20、及び提示ステップS30に分類される。
【0048】
取得ステップS10では、まず、取得部131が、端末装置20から、対象住戸210の設計情報を取得する(S11)。次に、取得部131が、取得した対象住戸210の設計情報に基づいて断熱性能情報を求める(S12)。このようにして、取得ステップS10では、対象住戸210の断熱性能情報が得られる。
【0049】
次の生成ステップS20では、生成部132が、対象住戸210での温度情報に基づいて推定医療費を求め(S21)、推定医療費に基づいて医療費情報を決定する(S22)。ここで、対象住戸210での温度情報は、断熱性能情報に基づいて求められる。温度情報を求める際に、付加条件が利用される。付加条件は、空調条件と地域条件と含む。更に、生成部132は、付加条件と断熱性能情報とに基づいて推定光熱費を求め(S23)、推定光熱費に基づいて光熱費情報を決定する(S24)。そして、生成部132は、このようにして得られた医療費情報と、光熱費情報とから、対象住戸210の評価情報を決定する(S25)。
【0050】
最後の提示ステップS30では、提示部133が、生成部132で生成された評価情報を、端末装置20を通じて、提示する。
【0051】
(1-4)まとめ
以上述べたように、評価システム10は、取得部131と、生成部132とを備える。取得部131は、集合住宅200の複数の住戸210のうちの対象住戸210の断熱性能に関する断熱性能情報を取得する。生成部132は、断熱性能情報に基づいて、対象住戸210に居住した場合の推定医療費に関する医療費情報を含む、対象住戸210に居住した場合の費用に関する評価情報を生成する。このような評価システム10によれば、集合住宅200の対象住戸210に居住した場合の費用に関する評価を行える。
【0052】
換言すれば、評価システム10は、図3に示すような方法(評価方法)を実行しているといえる。評価方法は、取得ステップS10と、生成ステップS20とを備える。取得ステップS10は、集合住宅200の複数の住戸210のうちの対象住戸210の断熱性能に関する断熱性能情報を取得するステップである。生成ステップS20は、断熱性能情報に基づいて、対象住戸210に居住した場合の推定医療費に関する医療費情報を含む、対象住戸210に居住した場合の費用に関する評価情報を生成するステップである。このような評価方法によれば、評価システム10と同様に、集合住宅200の対象住戸210に居住した場合の費用に関する評価を行える。
【0053】
評価システム10は、コンピュータシステムを利用して実現されている。つまり、評価システム10が実行する方法(評価方法)は、コンピュータシステムがプログラムを実行することにより実現され得る。このプログラムは、1以上のプロセッサに、評価方法を実行させるためのコンピュータプログラムである。このようなプログラムによれば、評価システム10と同様に、集合住宅200の対象住戸210に居住した場合の費用に関する評価を行える。
【0054】
また、以上述べた評価方法は、集合住宅(200)の仕様を決定するための方法(仕様提示方法)に利用可能である。この仕様提示方法は、生成ステップS110と、提示ステップS130とを含む。生成ステップS110は、評価方法によって評価情報を生成するステップである。提示ステップS130は、評価情報に基づいて、集合住宅200の対象住戸210の断熱性能の設計の提示をするステップである。この態様によれば、評価方法と同様に、集合住宅200の対象住戸210に居住した場合の費用に関する評価を行える。
【0055】
仕様提示方法は、コンピュータシステムがプログラムを実行することにより実現され得る。このプログラムは、1以上のプロセッサに、仕様提示方法を実行させるためのコンピュータプログラムである。
【0056】
(2)変形例
本開示の実施形態は、上記実施形態に限定されない。上記実施形態は、本開示の課題を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。以下に、上記実施形態の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
【0057】
上記実施形態では、評価システム10は、集合住宅200の複数の住戸210の全てに関して評価情報を生成しているが、集合住宅200の複数の住戸210の少なくとも一つについて評価情報を生成してもよい。つまり、集合住宅200の複数の住戸210の全てに関して評価情報を生成することは必須ではない。
【0058】
上記実施形態では、取得部131は、対象住戸210の設計情報に基づいて断熱性能情報を取得する。しかしながら、一変形例では、取得部131は、断熱性能情報そのものを取得してもよい。例えば、取得部131は、端末装置20から、断熱性能情報そのものを取得してもよい。
【0059】
一変形例では、生成部132は、必ずしも、断熱性能情報に基づく対象住戸210での温度情報に基づいて推定医療費を求める必要はない。例えば、生成部132は、上記の式(1)~(3)を用いずに、推定医療費を求めてよい。一例として、断熱性能情報と推定医療費情報とが予め対応付けられたルックアップテーブル等を利用して、断熱性能情報から推定医療費情報を決定してよい。つまり、生成部132は温度情報とは異なる情報に基づき、断熱性能情報から医療費情報を決定してよい。
【0060】
一変形例では、生成部132で生成される比較情報は、集合住宅200の複数の住戸210のうちの2以上の評価情報を含んでいればよく、集合住宅200の複数の住戸210の全ての評価情報を含んでいる必要はない。例えば、比較情報は、中住戸211と角住戸212の評価情報、階の異なる中住戸211の評価情報、又は階の異なる角住戸211の評価情報を含んでよい。また、生成部132は、必ずしも、比較情報を生成する必要はない。
【0061】
一変形例では、付加条件は、地域条件を含んでいなくてもよい。つまり、付加条件は、空調条件だけを含んでいてもよい。また、付加条件は必須ではない。よって、温度情報は、付加条件を用いずに、断熱性能情報に基づいて、求められてよい。
【0062】
一変形例では、生成部132は、学習済みモデルを利用して、推定医療費を求め、この推定医療費を利用して医療費情報を生成してよい。上述したように、対象住戸210の作用温度と、特定の疾患の医療費との間には、相関関係が認められることから、作用温度と医療費との関係を学習した学習済みモデルを利用することで、作用温度から医療費を算出することが可能となる。
【0063】
一変形例では、評価情報や比較情報の提示には、必ずしも、端末装置20を利用する必要はない。評価情報や比較情報は、評価システム10の専用の提示装置にて行われてよい。提示の態様としては、視覚的な提示、聴覚的な提示に加えて、電子的な提示(電子メールによる送信)等が挙げられる。
【0064】
一変形例では、光熱費情報は、必ずしも、付加条件と断熱性能情報とに基づいて、求められなくてもよい。光熱費情報は、従来周知の種々の方法により算出可能である。また、生成部132は、医療費情報と同様に、学習済みモデルを利用して推定光熱費を求め、この推定光熱費を利用して光熱費情報を生成してよい。また、一変形例では、評価情報は、必ずしも、光熱費情報を含んでいなくてもよい。
【0065】
本開示における評価システム10は、例えば、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、本開示における評価システム10としての機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1ないし複数の電子回路で構成される。ここでいうIC又はLSI等の集積回路は、集積の度合いによって呼び方が異なっており、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、又はULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれる集積回路を含む。さらに、LSIの製造後にプログラムされる、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又はLSI内部の接合関係の再構成若しくはLSI内部の回路区画の再構成が可能な論理デバイスについても、プロセッサとして採用することができる。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。ここでいうコンピュータシステムは、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するマイクロコントローラを含む。したがって、マイクロコントローラについても、半導体集積回路又は大規模集積回路を含む1ないし複数の電子回路で構成される。
【0066】
また、評価システム10における複数の機能が、1つの筐体内に集約されていることは評価システム10に必須の構成ではなく、評価システム10の構成要素は、複数の筐体に分散して設けられていてもよい。さらに、評価システム10の少なくとも一部の機能、例えば、処理部13の一部の機能がクラウド(クラウドコンピューティング)等によって実現されてもよい。
【0067】
(3)態様
上記実施形態及び変形例から明らかなように、本開示は、下記の態様を含む。以下では、実施形態との対応関係を明示するためだけに、符号を括弧付きで付している。
【0068】
第1の態様は、評価方法であって、取得ステップ(S10)と、生成ステップ(S20)とを含む。前記取得ステップ(S10)は、集合住宅(200)の複数の住戸(210)のうちの対象住戸(210)の断熱性能に関する断熱性能情報を取得するステップである。前記生成ステップ(S20)は、前記断熱性能情報に基づいて、前記対象住戸(210)に居住した場合の推定医療費に関する医療費情報を含む、前記対象住戸(210)に居住した場合の費用に関する評価情報を生成するステップである。この態様によれば、集合住宅(200)の対象住戸(210)に居住した場合の費用に関する評価を行える。
【0069】
第2の態様は、第1の態様に基づく評価方法である。第2の態様では、前記評価情報は、前記対象住戸(210)に居住した場合の推定光熱費に関する光熱費情報を含む。この態様によれば、集合住宅(200)の対象住戸(210)に居住した場合の費用に関する評価の有用度を向上できる。
【0070】
第3の態様は、第1の態様に基づく評価方法である。第3の態様では、前記生成ステップ(S20)は、前記断熱性能情報に基づく前記対象住戸(210)での温度情報に基づいて前記推定医療費を求め、前記推定医療費に基づいて前記医療費情報を決定する。この態様によれば、推定医療費の推定の精度の向上が図れる。
【0071】
第4の態様は、第3の態様に基づく評価方法である。第4の態様では、前記温度情報は、前記対象住戸(210)の作用温度を含む。前記作用温度をT、前記推定医療費をMとすると、Mは次式で表される。
【0072】
【数3】
【0073】
ここで、A,Bは人の年齢に関する係数である。この態様によれば、推定医療費の推定の精度の向上が図れる。
【0074】
第5の態様は、第4の態様に基づく評価方法である。第5の態様では、前記温度情報は、前記対象住戸(210)の空調設備に関する空調条件を含む付加条件と、前記断熱性能情報とに基づいて、求められる。この態様によれば、推定医療費の推定の精度の向上が図れる。
【0075】
第6の態様は、第5の態様に基づく評価方法である。第6の態様では、前記付加条件は、前記集合住宅(200)の場所に関する地域条件を更に含む。この態様によれば、推定医療費の推定の精度の向上が図れる。
【0076】
第7の態様は、第5又は第6の態様に基づく評価方法である。第7の態様では、前記評価情報は、前記対象住戸(210)に居住した場合の推定光熱費に関する光熱費情報を含む。前記光熱費情報は、前記付加条件と前記断熱性能情報とに基づいて、求められる。この態様によれば、光熱費の推定の精度の向上が図れる。
【0077】
第8の態様は、第1~第7の態様のいずれか一つに基づく評価方法である。第8の態様では、前記取得ステップ(S10)は、前記対象住戸(210)の設計情報に基づいて前記断熱性能情報を取得する。この態様によれば、集合住宅(200)の対象住戸(210)に居住した場合の費用に関する評価を行える。
【0078】
第9の態様は、プログラムであって、1以上のプロセッサに、第1~第8の態様のいずれか一つの評価方法を実行させるための、プログラムである。この態様によれば、集合住宅(200)の対象住戸(210)に居住した場合の費用に関する評価を行える。
【0079】
第10の態様は、評価システム(10)であって、取得部(131)と、生成部(132)とを備える。前記取得部(131)は、集合住宅(200)の複数の住戸(210)のうちの対象住戸(210)の断熱性能に関する断熱性能情報を取得する。前記生成部(132)は、前記断熱性能に基づいて、前記対象住戸(210)に居住した場合の推定医療費に関する医療費情報を含む、前記対象住戸(210)に居住した場合の費用に関する評価情報を生成する。この態様によれば、集合住宅(200)の対象住戸(210)に居住した場合の費用に関する評価を行える。
【0080】
第11の態様は、集合住宅(200)の仕様提示方法であって、生成ステップ(S110)と、提示ステップ(S130)とを含む。前記生成ステップ(S110)は、第1~第8の態様のいずれか一つの評価方法によって評価情報を生成するステップである。前記提示ステップ(S130)は、前記評価情報に基づいて、前記集合住宅(200)の前記対象住戸(210)の断熱性能の設計の提示をするステップである。この態様によれば、集合住宅(200)の対象住戸(210)に居住した場合の費用に関する評価を行える。
【0081】
なお、第2~第8の態様は、第10の態様にも適宜変更して適用することが可能である。
【符号の説明】
【0082】
10 評価システム
131 取得部
132 生成部
200 集合住宅
210 住戸
S10 取得ステップ
S20 生成ステップ
S110 生成ステップ
S130 提示ステップ
図1
図2
図3
図4