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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-05
(45)【発行日】2024-03-13
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/00 20060101AFI20240306BHJP
   G03G 21/14 20060101ALI20240306BHJP
   G03G 15/20 20060101ALI20240306BHJP
【FI】
G03G15/00 303
G03G21/14
G03G15/20 555
G03G15/20 510
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020038118
(22)【出願日】2020-03-05
(65)【公開番号】P2021140045
(43)【公開日】2021-09-16
【審査請求日】2023-02-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 真人
(72)【発明者】
【氏名】下村 正樹
(72)【発明者】
【氏名】稲葉 健太
(72)【発明者】
【氏名】春日 邦章
【審査官】稲荷 宗良
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-122560(JP,A)
【文献】特開2016-177095(JP,A)
【文献】特開2005-173293(JP,A)
【文献】特開2017-040739(JP,A)
【文献】特開2010-072238(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0004193(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/00
G03G 21/14
G03G 15/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1画像データに基づき記録材に画像を形成する画像形成手段であって、前記記録材に画像を転写する転写手段と、前記記録材に転写された画像を前記記録材に定着させる定着手段と、を有する前記画像形成手段と、
前記画像形成手段による画像形成動作を制御する制御手段と、
前記記録材の特性に関する特性情報を取得する取得手段と、
前記画像形成動作で使用する制御値を設定する設定手段と、
前記画像形成手段により前記記録材に形成された画像を読み取って第2画像データを出力する読取手段と、
前記第1画像データと前記第2画像データとを比較する比較手段と、
を備え、
前記制御値は前記定着手段の加熱部材の目標温度を含み、前記特性情報は前記記録材の坪量を含み、
前記設定手段は、前記特性情報に基づき基本値を求め、前記比較手段による比較結果に基づき補正値を求め前記基本値と前記補正値とに基づき前記制御値を設定し、
前記補正値には、前記坪量に応じた上限値が設定され、
前記設定手段が前記基本値に前記補正値を加えることで前記基本値より大きい値に前記目標温度を設定する場合、前記上限値は、前記坪量が小さい程、小さくなり、前記設定手段が前記基本値から前記補正値を減ずることで前記基本値より小さい値に前記目標温度を設定する場合、前記上限値は、前記坪量が小さい程、大きくなることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記画像形成手段が画像を形成した記録材の累積枚数と、当該記録材の前記坪量と、前記補正値との関係を示す履歴データを格納する格納手段と、
前記格納手段が格納する前記履歴データを、ネットワークを介して接続する他の画像形成装置に提供する提供手段と、
をさらに備えていることを特徴とする請求項に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記画像形成手段が画像を形成した記録材の累積枚数と、当該記録材の前記坪量と、前記補正値との関係を示す履歴データを、ネットワークを介して接続する外部装置に格納する格納手段をさらに備えていることを特徴とする請求項に記載の画像形成装置。
【請求項4】
記比較結果に基づき求めた前記補正値が前記坪量に応じた前記上限値を超えている場合、前記比較結果に関する情報をユーザに通知する通知手段をさらに備えていることを特徴とする請求項からのいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記設定手段は、前記画像形成動作で使用する複数の種別の前記制御値を設定し、
前記設定手段は、前記第1画像データと前記第2画像データとを比較した比較結果と、前記特性情報と、に基づき設定を更新する種別を前記複数の種別から選択し、選択した種別の前記制御値を設定することを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記比較手段は、前記第1画像データと前記第2画像データとを比較することで前記画像形成手段により前記記録材に形成された画像に画像不良が生じているか否かを判定することを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
第1画像データに基づき記録材に画像を形成する画像形成手段と、
前記画像形成手段による画像形成動作を制御する制御手段と、
前記記録材の特性に関する特性情報を取得する取得手段と、
前記画像形成動作で使用する制御値を設定する設定手段と、
前記画像形成手段により前記記録材に形成された画像を読み取って第2画像データを出力する読取手段と、
前記第1画像データと前記第2画像データとを比較する比較手段と、
前記特性情報が第1特性である前記記録材に画像を形成した際の前記比較手段による第1比較結果を格納する格納手段と、
を備え、
前記設定手段は、前記特性情報が前記第1特性とは異なる第2特性である前記記録材に画像を形成した際の前記比較手段による第2比較結果と、前記格納手段に格納されている前記第1比較結果とに基づき、前記制御値を設定することを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
前記設定手段は、前記特性情報に基づき基本値を求め、前記特性情報が前記第1特性である場合、前記基本値を前記制御値に設定し、前記特性情報が前記第2特性である場合、前記第1比較結果と前記第2比較結果とに基づき補正値を求め、前記基本値と前記補正値とに基づき前記制御値を設定することを特徴とする請求項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記補正値には、上限値が設定され、
前記第1比較結果と前記第2比較結果とに基づき求めた前記補正値が前記上限値を超えている場合、前記第2比較結果に関する情報をユーザに通知する通知手段をさらに備えていることを特徴とする請求項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記画像形成手段は、前記記録材に画像を転写する転写手段と、前記記録材に転写された画像を前記記録材に定着させるためのローラを有する定着手段と、を有し、
前記制御値は、前記ローラの目標回転速度であり、前記補正値は、前記目標回転速度の増加量を示す値であることを特徴とする請求項又はに記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記特性情報は、前記記録材の坪量であり、
前記比較手段は、前記第1画像データと前記第2画像データとを比較することで前記画像形成手段により前記記録材に形成された画像に画像不良が生じているか否かを判定し、
前記設定手段は、前記特性情報が前記第2特性である場合において、前記第2比較結果及び前記第1比較結果の両方が画像不良の発生を示している場合、前記補正値を第1増加量だけ増加させ、前記特性情報が前記第2特性である場合において、前記第2比較結果が画像不良の発生を示しているが、前記第1比較結果が画像不良の発生を示していない場合、前記補正値を前記第1増加量より小さい第2増加量だけ増加させることを特徴とする請求項から10のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記設定手段は、前記特性情報が前記第2特性である場合において、前記第2比較結果が画像不良の発生を示していない場合、前記補正値を更新しないことを特徴とする請求項11に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、形成した画像を読み取って画像形成動作を制御する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像不良が生じているか否かを判定するため、記録材に形成した画像を光学的に読み取る画像形成装置が提案されている。特許文献1は、複数の記録材に形成した画像を読み取ることで画像不良の周期性を判定し、判定した周期性に基づき画像不良を生じさせている回転体を特定する構成を開示している。特許文献2は、画像データに基づき記録材に形成した画像を読み取り、当該画像データが示す画像と、記録材に形成した画像とを比較することで消耗品等の状態を把握する構成を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許5164458号公報
【文献】特開2016-153855号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、記録材に形成された画像を読み取って画像不良の種別を判定し、判定した種別の画像不良を抑制する様に画像形成動作を変更すると、他の画像不良を引き起こす場合がある。
【0005】
本発明は、記録材に形成した画像を読み取った結果に基づき適切に画像形成動作を制御できる画像形成装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によると、画像形成装置は、第1画像データに基づき記録材に画像を形成する画像形成手段であって、前記記録材に画像を転写する転写手段と、前記記録材に転写された画像を前記記録材に定着させる定着手段と、を有する前記画像形成手段と、前記画像形成手段による画像形成動作を制御する制御手段と、前記記録材の特性に関する特性情報を取得する取得手段と、前記画像形成動作で使用する制御値を設定する設定手段と、前記画像形成手段により前記記録材に形成された画像を読み取って第2画像データを出力する読取手段と、前記第1画像データと前記第2画像データとを比較する比較手段と、備え、前記制御値は前記定着手段の加熱部材の目標温度を含み、前記特性情報は前記記録材の坪量を含み、前記設定手段は、前記特性情報に基づき基本値を求め、前記比較手段による比較結果に基づき補正値を求め前記基本値と前記補正値とに基づき前記制御値を設定し、前記補正値には、前記坪量に応じた上限値が設定され、前記設定手段が前記基本値に前記補正値を加えることで前記基本値より大きい値に前記目標温度を設定する場合、前記上限値は、前記坪量が小さい程、小さくなり、前記設定手段が前記基本値から前記補正値を減ずることで前記基本値より小さい値に前記目標温度を設定する場合、前記上限値は、前記坪量が小さい程、大きくなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によると、記録材に形成した画像を読み取った結果に基づき適切に画像形成動作を制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態による画像形成装置の構成図。
図2】一実施形態による画像形成装置の制御ブロック図。
図3】一実施形態による目標温度設定処理のフローチャート。
図4】ホットオフセットの説明図。
図5】坪量と基本温度との関係例と、坪量と補正温度の上限との関係例を示す図。
図6】補正温度の決定方法の説明図。
図7】画像不良種別と坪量の組み合わせに対する制御内容の例を示す図。
図8】一実施形態による画像形成システムの構成図。
図9】各画像形成装置の構成の違いの説明図。
図10】ループ制御の説明図。
図11】転写ブレの説明図。
図12】記録材種別と転写ブレ及び制御内容の関係を示す図。
図13】一実施形態による加圧ローラの回転速度設定処理のフローチャート。
図14】一実施形態による画像不良の検知用画像を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一若しくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0010】
<第一実施形態>
図1は、本実施形態による画像形成装置の構成図である。なお、図1の参照符号の末尾の文字Y、M、C及びKは、それぞれ、参照符号により示される部材が形成に関わるトナー像の色がイエロー、マゼンタ、シアン及びブラックであることを示している。しかしながら、以下の説明において色を区別する必要が無い場合には、末尾の文字を省略した参照符号を使用する。感光体1は、画像形成時、図の時計回り方向に回転駆動される。帯電ローラ2は、帯電バイアス電圧を出力することにより、対応する感光体1の表面を一様な電位に帯電させる。露光装置7は、画像データに基づき対応する感光体1を露光することで、感光体1に静電潜像を形成する。現像ローラ3は、現像バイアス電圧を出力することで、対応する感光体1の静電潜像にトナーを付着させ、これにより、感光体1にトナー像を形成する。一次転写ローラ6は、一次転写バイアス電圧を出力することにより、対応する感光体1に形成されたトナー像を中間転写ベルト8に転写する。なお、各感光体1のトナー像を重ねて中間転写ベルト8に転写することで、中間転写ベルト8にフルカラーのトナー像を形成することができる。
【0011】
中間転写ベルト8は、画像形成時、図の反時計回り方向に回転駆動される。よって、中間転写ベルト8に転写されたトナー像は、二次転写ローラ11の対向位置に搬送される。一方、カセット13内の記録材Pは、搬送路12に給送され、その後、レジストレーションローラ(以下、レジローラ)16を含む複数のローラにより二次転写ローラ11の対向位置に搬送される。二次転写ローラ11は、二次転写バイアス電圧を出力することにより、中間転写ベルト8のトナー像を記録材Pに転写する。トナー像の転写後、記録材Pは、定着器30に搬送される。定着器30は、定着フィルム31と、定着フィルム31に圧接する加圧ローラ32と、を備えている。また、定着フィルム31内には、定着器30を加熱するための加熱部材である定着ヒータ33と、定着ヒータ33の温度を測定するサーミスタ331が設けられる。定着器30は、定着フィルム31と加圧ローラ32とにより記録材Pを加圧し、かつ、定着ヒータ33により記録材Pを加熱することで、トナー像を記録材Pに定着させる。トナー像の定着後、記録材Pは、排出ローラ20により画像形成装置の外部に排出される。
【0012】
また、画像形成装置は、定着器30と排出ローラ20との間で記録材Pの表面を光学的に読み取る読取部2050を有する。読取部2050は、例えば、不図示の発光素子と密着イメージセンサ(CIS)を有する。読取部2050は、読み取った記録材Pの表面の画像データをエンジン制御部2010(図2)に出力する。また、画像形成装置は、メディアセンサ40を備えている。メディアセンサ40は、搬送路12に対して互いに逆側に設けられるLED40aとCMOSエリアセンサ40bとを有する。本実施形態において、メディアセンサ40は、記録材の搬送方向においてレジローラ16より上流側に設けられる。CMOSエリアセンサ40bは、LED40aが射出する光を、搬送路12を搬送されている記録材Pを介して受光し、受光量を示す信号をエンジン制御部2010(図2)に出力する。記録材Pの坪量に応じて透過光量は異なるため、エンジン制御部2010は、受光量に基づき記録材の坪量を判定することができる。
【0013】
なお、定着器30の定着フィルム31は、基層の外周面上に弾性層と表層が設けられたエンドレスのフィルム状部材である。弾性層は、定着性の向上や光沢度の均一化を目的として、シリコンゴム等の耐熱性を有する弾性材料で構成される。表層は、記録材との分離性向上や、トナーのオフセット抑制を目的として、フッ素樹脂等の耐熱性を有する離型性の良い材料で構成される。定着フィルム31の表層の厚みは利用により減少する。加圧ローラ32は、芯軸部と、少なくとも1層以上の弾性層と、表層とを有する。弾性層は、シリコンゴム或いはフッ素ゴム等の耐熱性を有する弾性材料で構成される。表層は、トナーや紙粉による汚れを防止するために、フッ素樹脂等の耐熱性を有する離型性の良い材料で構成される。
【0014】
図2は、本実施形態による画像形成装置の制御ブロック図である。なお、図2においては本実施形態の説明に必要な機能ブロックのみを表示している。コントローラ1000は、ローカルエリアネットワーク(LAN)を介してホストコンピュータから画像情報を受信する。画像処理部1030は、ホストコンピュータから受信した画像情報を、画像形成装置で使用する形式の画像データに変換してエンジン部2000に出力する。コントローラ1000は、画像形成装置の状態等をユーザに通知するための通知部1020を有する。
【0015】
エンジン部のエンジン制御部2010は、コントローラ1000から受信した画像データに基づき図1で説明した様に記録材Pへの画像の形成制御を行う。エンジン制御部2010は、読取部2050、メディアセンサ40及び定着器30を制御する。ハードディスクドライブ(HDD)2245は、情報を格納する格納部である。例えば、コントローラ1000から受信した画像データや、読取部2050が読み取った画像データはHDD2245に格納される。なお、以下の説明において、読取部2050が読み取った画像データを読取画像データと表記して、コントローラ1000から受信した画像データと区別する。HDD2245には、本実施形態で使用する各種情報も格納される。比較部2042は、画像データと読取画像データとを比較することで、記録材Pに形成した画像に画像不良が生じているか否かを判定する。設定部2043は、画像形成動作に関する各種制御値(設定値)を設定・更新する。例えば、設定部2043は、定着ヒータ33の目標温度を設定する。エンジン制御部2010は、サーミスタ331の検出結果に基づき、定着ヒータ33の温度が設定部2043により設定された目標温度となる様に定着ヒータ33の温度を制御する。
【0016】
図3は、目標温度の設定制御に関するフローチャートである。なお、図3は、検出する画像不良をホットオフセットとした場合の処理を示している。ホットオフセットとは、定着フィルム31に記録材Pのトナーが付着し、このトナーが記録材Pに、再度、転写さてしまうことにより生じる画像不良である。図4(A)は、画像データが示す画像であり、図4(B)は、当該画像データに基づき形成した画像にホットオフセットが生じた状態を示している。図4(B)の参照符号551で示すトナーは、参照符号550で示すトナーが定着フィルム31を介して記録材Pに付着したもの、つまり、ホットオフセットにより記録材Pに付着したものである。なお、L1は、定着フィルム31の周長に対応する。ホットオフセットは、定着フィルム31の表層の薄膜化により定着フィルム31の温度が高くなることで生じる。エンジン制御部2010は、定着ヒータ33の温度が目標温度となる様に制御するが、定着フィルム31の表層の薄膜化が生じると、定着ヒータ33を目標温度にした際の定着フィルム31の温度が適切な範囲より高くなり得る。この場合、ホットオフセットが生じる。
【0017】
エンジン制御部2010は、プリントジョブを受け取ると、1つの記録材に形成する画像の画像データをコントローラ1000から受信する毎に図3の処理を行う。まず、エンジン制御部2010は、S100で、コントローラ1000から受信した画像データをHDD2245に格納する。エンジン制御部2010は、S101で、記録材Pがメディアセンサ40の検出領域に到達すると、メディアセンサ40による記録材Pの検出結果に基づき記録材Pの坪量を判定する。判定した記録材Pの坪量は、HDD2245に格納される。
【0018】
設定部2043は、S102において、まず、S101で判定した坪量に対応する基本温度Tb(基本値)を判定する。図5(A)は、坪量と基本温度Tbとの対応関係を示している。本例では、坪量を2つの閾値により3段階で評価する。本例において2つの閾値は、それぞれ、"65"及び"100"である。例えば、図5(A)において、"80"の坪量に対応する基本温度Tbは180である。また、設定部2043は、坪量の段階(本例では3つ)毎に補正温度ΔT(補正値)を管理している。各段階の補正温度ΔTの初期値は0である。なお、各段階の補正温度ΔTについては、1つのプリントジョブが終了すると初期値の0に更新する構成であっても、プリントジョブの終了時の補正温度ΔTを次のプリントジョブにおいて使用する構成であっても良い。設定部2043は、は、定着ヒータ33の目標温度Tgを、S101で判定した坪量に対応する基本温度Tbから、当該坪量が属する段階の補正温度ΔTを減じた値に設定する。
【0019】
その後、エンジン制御部2010は、S103で、定着ヒータ33の温度が目標温度Tgとなる様に制御しながら、画像データに基づき記録材に画像を形成する。その後、エンジン制御部2010は、S104で、読取部2050に記録材Pの画像を読み取らせ、読取画像データを取得してHDD2245に格納する。比較部2042は、S105において、HDD2245に格納された画像データと読取画像データとを比較し、比較結果に基づきホットオフセットが生じているか否かを判定する。
【0020】
ホットオフセットが生じていないと判定すると、エンジン制御部2010は、図3の処理を終了する。この場合、画像を形成した記録材Pの坪量の段階に属する補正温度ΔTは変更されない。一方、ホットオフセットが生じていると判定すると、エンジン制御部2010は、画像を形成した記録材Pの坪量の段階に属する補正温度ΔTをS106において仮に決定する。以下、更新後の補正温度ΔTの決定方法について図6を用いて説明する。図6に示す様に、定着フィルム31の表面温度とホットオフセットの濃度は比例関係にある。また、ホットオフセットは、定着フィルム31の表面温度が閾値温度Ts以下の場合には生じない。エンジン制御部2010は、ホットオフセットにより記録材Pに付着したトナーの濃度d1を判定し、図6に示す関係から定着フィルム31の表面温度T1を推定する。そして、エンジン制御部2010は、S106において、推定した表面温度T1と閾値温度Tsとの差を更新後の補正温度ΔTに仮決定する。なお、推定した表面温度T1と閾値温度Tsとの差に所定のマージンを加えた値を補正温度ΔTに仮決定する構成であっても良い。また、本例では、ホットオフセットにより記録材Pに付着したトナーの濃度に基づき補正温度ΔTを判定したが、ホットオフセットにより記録材Pに付着したトナーの面積を使用することもできる。
【0021】
本実施形態では、各段階の補正温度ΔTの絶対値に上限を設ける。図5(B)は、各段階の上限値の例を示している。図5(B)に示す様に、坪量が小さい程、上限値を大きく設定する。坪量が小さい程、上限値を大きく設定する理由は、補正温度ΔTによる弊害の発生状況が記録材Pの坪量によって異なるからである。具体的には、坪量の小さい比較的薄い記録材Pの場合、定着温度に対する定着性マージンが広いため、補正温度ΔTを大きくしても弊害は少ない。一方、坪量の大きい比較的厚い記録材Pの場合、定着温度に対する定着性マージンは狭く、補正温度ΔTを大きくすると弊害が生じ得る。
【0022】
エンジン制御部2010は、S107で、仮決定した補正温度ΔTが、上限値内であるかを判定する。上限値内であると、エンジン制御部2010は、S108において、S106で決定した補正温度ΔTに更新する。一方、仮決定した補正温度ΔTが上限値を超えていると、エンジン制御部2010は、コントローラ1000の通知部1020を介してユーザに、画像不良の発生や、定着器30の交換を通知する。なお、この場合、補正温度ΔTを更新することなく図3の処理を終了する。
【0023】
なお、図3は、定着温度が高くなることにより生じるホットオフセットを抑制するものであったが、定着温度が低くなることにより生じる画像不良に対しても本発明を同様に適用することができる。例えば、定着温度が低くなりすぎると、トナーが付着すべき高濃度領域にトナーが付着しない画像不良(白抜け)が生じ得る。この場合、図3のS102において、目標温度Tgは基本温度Tbに補正温度ΔTを加算することにより求める。また、各段階の補正温度ΔTには、図5(C)に示す様な上限値を設ける。図5(C)では、坪量が大きい程、補正温度ΔTの上限値を大きくしている。なお、坪量が大きい程、補正温度ΔTの上限値を大きくする理由は、坪量が小さい程、熱ストレスに対する耐性が劣るため、補正温度ΔTを大きくすると、カールや定着器30への巻付き等の弊害が生じる可能性が高くなるからである。
【0024】
以上、本実施形態では、記録材Pの坪量に応じた基本温度Tbを補正温度ΔTで補正し、これを定着ヒータ33の目標温度Tgに設定する。なお、補正温度ΔTは、記録材Pに形成した画像に画像不良が発生していた場合、画像不良の程度に基づき設定する。画像不良は、記録材Pに形成した画像を読み取ることで判定される。なお、補正温度ΔTの上限値を坪量に応じて設ける。坪量に応じた補正温度ΔTの上限値を設けることで、定着温度の変更による弊害を抑えることができる。
【0025】
なお、補正温度ΔTの決定及び更新は、所定枚数の記録材Pに画像を形成する毎に行う構成であっても良い。また、記録材Pに画像形成を行う度に画像不良の発生を判定し、補正温度ΔTを求めるが、連続する所定枚数の記録材Pに画像を形成する度に、各回で求めた補正温度ΔTの平均値に補正温度ΔTを更新する構成であっても良い。これにより、画像形成条件の変更頻度を緩やかにすることができる。
【0026】
また、本実施形態では、記録材Pの坪量を記録材Pの特性に関する特性情報としていたが、記録材Pの表面の粗さや光沢度を特性情報とする形態であっても良い。また、本実施形態では、定着ヒータ33の目標温度を制御していたが、本発明は、二次転写バイアス電圧等、他の制御値の設定にも適用できる。つまり、画像形成動作に関する制御値は、本実施形態で説明した定着ヒータ33の目標温度に限定されず、例えば、二次転写バイアス電圧の目標値とすることができる。また、本発明は、図1に記載のカラーの画像形成装置のみならず、モノクロの画像形成装置にも適用することができる。さらに、本発明は、電子写真方式の画像形成装置のみならず、インクジェット方式の画像形成装置のインク吐出制御等にも適用可能である。
【0027】
<第二実施形態>
続いて、第二実施形態について第一実施形態との相違点を中心に説明する。第一実施形態においては、画像不良としてホットオフセットが生じている場合の定着温度の制御を中心に説明を行った。本実施形態では、画像データと読取画像データとの比較により画像不良の種別を判定し、判定した画像不良種別と坪量とに基づき制御対象を選択する。図7に一例を示す。図7に示す様に、例えば、トナーが付着しない領域にトナーが付着する画像不良(非正規なトナー付着)が生じている場合において、記録材Pの坪量が80未満であると定着温度を制御する。つまり、第一実施形態と同様である。一方、非正規なトナー付着が生じている場合において、記録材Pの坪量が80以上であると現像バイアス電圧、つまり、ホットオフセットではなく、所謂、現像かぶりが発生していると推定した制御を行う。第一実施形態で述べた様に、坪量が大きい程、定着温度を低くすることによる弊害が生じ易くなる。したがって、坪量が大きい場合には、現像バイアス電圧を先に制御することで原因の特定と制御補正を速やかに行うことができる。
【0028】
また、図7に示す様に、例えば、トナーが付着すべき高濃度領域にトナーが付着しない画像不良(白抜け)が生じている場合において、記録材Pの坪量が80以上であると、定着温度を制御する。つまり、第一実施形態と同様に定着不良が生じていると判定する。一方、白抜けが生じている場合において、記録材Pの坪量が80未満であると二次転写バイアス電圧、つまり、定着不良ではなく、所謂、二次転写不良が発生していると推定した制御を行う。第一実施形態で述べた様に、坪量が小さい程、定着温度を高くすることによる弊害が生じ易くなる。したがって、坪量が小さい場合には、二次転写バイアス電圧を先に制御することで原因の特定と制御補正を速やかに行うことができる。
【0029】
なお、例えば、記録材Pの表面の粗さが大きいときには、二次転写不良の発生リスクが大きくなるので、記録材Pの表面性を検出して、二次転写バイアスを高くする制御を優先するなど、検知する記録材Pの特性に合わせて、制御変更を行う項目を設定できる。
【0030】
以上、画像不良の種別、つまり、比較部2042による比較結果と記録材の特性情報との組み合わせに基づき制御対象を変更する。この構成により、画像不良の原因特定と修正制御を速やかに行うことができる。
【0031】
<第三実施形態>
続いて、第三実施形態について第一実施形態及び第二実施形態との相違点を中心に説明する。図8に示す様に、本実施形態では、LAN1013に複数の画像形成装置101及び111~114と、HDD装置120と、を接続する。なお、本実施形態において、画像形成装置101は、第一実施形態や第二実施形態で説明した画像形成装置と同様である。これに対して、画像形成装置111~114は、画像形成装置101とは相違点を有する。
【0032】
図9は、画像形成装置111~114の画像形成装置101に対する相違点を示している。図9に示す様に、画像形成装置111は、読取部2050を有していない点で、画像形成装置101と異なる。また、画像形成装置112は、読取部2050及びメディアセンサ40を有していない点で、画像形成装置101と異なる。さらに、画像形成装置113は、画像形成構成が画像形成装置101とは異なり、かつ、読取部2050を有していない点で、画像形成装置101と異なる。さらに、画像形成装置114は、画像形成構成が画像形成装置101とは異なり、かつ、読取部2050及びメディアセンサ40を有していない点で、画像形成装置101と異なる。なお、画像形成構成が異なるとは、例えば、中間転写ベルト8を使用せず、各感光体1から、直接、記録材Pにトナー像を転写する等、画像形成に関する構成そのものが異なることを含む。また、画像形成構成が異なるとは、構成そのものは図1と基本的に同様であるが、各部材の構成や材質が異なることも含む。
【0033】
画像形成装置101は、LAN1013を介して、坪量の段階に関連付けられた補正温度ΔTと、画像形成を行った記録材Pの枚数(以下、累積枚数)との関係を示す履歴データをHDD装置120に格納する。各画像形成装置111~114は、LAN1013を介して、HDD装置120に格納された累積枚数と補正温度ΔTとの関係を示す履歴データを取得することができる。なお、補正温度ΔTは、第一実施形態で述べた様に、坪量の段階に応じて異なる。
【0034】
画像形成装置111は、読取部2050を有さないため読取画像データを使用して画像不良を判定することはできない。しかしながら、画像形成装置111は、メディアセンサ40を有するため記録材Pの坪量を取得することができる。したがって、画像形成装置111は、HDD装置120から取得した履歴データに基づき、坪量に応じた補正温度ΔTを判定することができる。なお、使用する補正温度ΔTは、画像形成装置111での累積枚数に対応する値とする。
【0035】
画像形成装置112は、メディアセンサ40を有さないため、記録材Pの坪量を検出できない。しかしながら、オフィスに配置される複数の画像形成装置を集中管理するマネージド・プリント・サービス(以下、MPSと略す)が、近年、提供されている。MPS環境においては、サービスを提供する「管理ユーザ」が記録媒体を含めて管理する場合もある。したがって、オフィス内で使用される記録材Pの種別が同一とみなせる場合、画像形成装置112は、HDD装置120に格納された履歴データに基づき補正温度ΔTを判定することができる。また、ユーザが記録材Pの種別を設定する場合には、HDD装置120に格納された履歴データと、種別に対応する坪量に基づき、補正温度ΔTを判定することができる。
【0036】
画像形成装置113は、メディアセンサ40を有するため記録材Pの坪量を取得することができる。しかしながら、画像形成装置113の画像形成構成は、画像形成装置101と異なるため、画像形成装置101が使用した補正温度ΔTをそのまま使用することはできない。しかしながら、画像形成装置101と画像形成装置113の画像形成構成の違いを考慮した画像形成装置101での補正温度ΔTから画像形成装置113の補正温度ΔTへの変換方法を予め求めておくことで、画像形成装置113は補正温度ΔTを判定することができる。
【0037】
画像形成装置114は、メディアセンサ40を有さないため、記録材Pの坪量を検出できず、かつ、画像形成装置113と同様に、画像形成構成が画像形成装置101とは異なる。しかしながら、画像形成装置112と同様に、オフィス内で使用される記録材Pの種別が同一とみなせる場合、画像形成装置112は、坪量を判定することができる。そして、画像形成装置113と同様に、HDD装置120に格納された補正温度ΔTを変換して使用することができる。
【0038】
以上、本実施形態によると、第1画像形成装置は、累積枚数と補正温度ΔTと記録材の坪量(特性)との関係を示す履歴データをHDD装置120に格納する。この構成により、読取部2050を有さない第2画像形成装置であっても、画像形成する記録材の坪量と累積枚数とに基づき補正温度ΔTを判定することができる。さらに、読取部2050を有さず、かつ、第1画像形成装置とは画像形成が異なる第3画像形成装置であっても、画像形成する記録材の坪量と累積枚数とに基づき補正温度ΔTを判定することができる。なお、第3画像形成装置は、HDD装置120に記憶されている補正温度ΔTを所定の変換方法に従い変換する。なお、この変換方法は、第1画像形成装置と第3画像形成装置の画像形成構成の違いに基づき予め決定しておく。さらに、メディアセンサ40を有さない第4画像形成装置であっても、同様の特性の記録材を使用していると想定できる場合には、累積枚数とに基づき補正温度ΔTを判定することができる。
【0039】
なお、HDD装置120を設ける代わりに、履歴データを画像形成装置101に格納する構成であっても良い。この場合、画像形成装置111~114は、画像形成装置101にアクセスして補正温度ΔTを取得する。言い換えると、画像形成装置101は、画像形成装置111~114に履歴データを提供する。
【0040】
<第四実施形態>
続いて、第四実施形態について第一実施形態から第三実施形態との相違点を中心に説明する。図10は、レジローラ16から定着器30までの部分を示している。画像形成装置においては、記録材Pの搬送を安定化させるため、二次転写ローラ11と定着器30との間において図10の参照符号P1(ループ状態P1)で示す様に記録材Pを撓ませる(以下、ループ制御と呼ぶ。)。ループ制御は、加圧ローラ32の回転速度を調整することにより行われる。しかしながら、想定寿命を超えた加圧ローラ32は、ゴム硬度が低下して外径が縮小し得る。これにより、加圧ローラ32による記録材の搬送速度が低下し、所望のループ量を維持できなくなる。その結果、図10の参照符号P2(ループ状態P2)や参照符号P3(ループ状態P3)で示す様に、所望のループ量以上のループが形成され得る。
【0041】
画像形成装置の構成上、二次転写ローラ11と中間転写ベルト8とによる記録材の挟持搬送力は、レジローラ16や定着器30より小さい。よって、記録材Pの後端がレジローラ16を抜けた瞬間に、ループ状態の記録材Pに蓄えられた応力が解放される。ループ状態P2やP3の様に、ループ量が大きいと、解放される応力も大きくなり、記録材Pの後端がレジローラ16を抜けた瞬間に、記録材の搬送速度が変化し得る。その際、転写ブレが生じ得る。図11(A)は、画像データが示す画像であり、図11(B)は、図11(A)に示す画像データで形成した画像に転写ブレが生じた状態を示している。図11(B)においては、記録材Pの後端から距離L2の位置に画像の伸縮が発生している。なお、距離L2は、レジローラ16と二次転写ローラ11との距離である。結果、記録材の搬送方向とは直行する方向にスジ状の濃淡差650が発生する。
【0042】
図12(A)は、坪量w=80である普通紙と転写ブレとの関係を示し、図12(B)は、坪量w=220である厚紙と転写ブレとの関係を示している。図12(A)に示す様に、普通紙では、ループ状態P1及びP2において転写ブレは発生しない。しかしながら、ループ状態P3の場合には、ごく軽微な転写ブレが稀に発生し得る。ただし、ループ状態P3で稀に転写ブレが生じるのは、想定寿命を超えて画像形成装置を使い続けるなど、想定外の使われ方をされた場合である。つまり、想定外の使われ方がない限り、坪量wが80以下において転写ブレは生じない。一方、図12(B)に示す様に、厚紙の場合、ループ状態P1では転写ブレは生じないが、ループ状態P2やP3の場合には転写ブレが生じる。この様に、転写ブレが生じるか否かは、ループ状態の程度に加えて記録材の坪量にも依存する。これは、坪量が大きくなる程、ループ状態の記録材に蓄えられる応力が大きくなるからである。
【0043】
本実施形態では、加圧ローラ32の回転速度を基準回転速度より速くする補正制御を行って転写ブレを抑える。まず、図12(B)に示す様に、厚紙の場合においてループ状態P2やP3であると、加圧ローラ32の回転速度を補正する。なお、ループ状態P2の場合には、加圧ローラ32の回転速度を基準回転速度より5%だけ速くする。一方、ループ状態P3の場合には、加圧ローラ32の回転速度を基準回転速度より10%だけ速くする。なお、ループ状態P1の場合、転写ブレは生じないため補正は行わない。
【0044】
一方、図12(A)に示す様に、普通紙の場合には、ループ状態に拘わらず加圧ローラ32の回転速度の補正制御を行わない。上述した様に、ループ状態P3においては稀に転写ブレが生じるが、これは想定外に使われた場合のみである。また、この様な想定外の使われ方の場合に生じる転写ブレを抑えるために補正制御を行うと他の弊害が生じ得るからである。具体的には、ループ量を小さくするために補正制御を実施すると、記録材を引っ張りすぎることによる画像擦れ等の弊害が発生し易くなるからである。
【0045】
図13は、加圧ローラ32の回転速度の設定制御に関するフローチャートである。エンジン制御部2010は、コントローラ1000から画像データを受信する毎に図13の処理を行う。まず、エンジン制御部2010は、S200で、コントローラ1000から受信した画像データをHDD2245に格納する。エンジン制御部2010は、S201で、記録材Pがメディアセンサ40の検出領域に到達すると、メディアセンサ40による記録材Pの検出結果に基づき記録材Pの坪量を判定し、S202で普通紙であるか厚紙であるかを判定する。普通紙であると、設定部2043は、S211において、基本回転速度Sb(基本値)を目標回転速度Sgに設定する。一方、厚紙であると、設定部2043は、S203において、基本回転速度Sbに補正値ΔSを加算した速度を目標回転速度Sgに設定する。補正値ΔSは、基本回転速度Sbの増加量を示す値であり、その初期値は0である。
【0046】
その後、エンジン制御部2010は、S204で、加圧ローラ32の回転速度が目標回転速度Sgとなる様に制御しながら、画像データに基づき記録材に画像を形成する。その後、エンジン制御部2010は、S205で、読取部2050に記録材Pの画像を読み取らせ、読取画像データを取得してHDD2245に格納する。比較部2042は、S206において、HDD2245に格納された画像データと読取画像データとを比較することで、転写ブレが生じているか否かを判定する。例えば、比較部2042は、搬送方向とは直交する幅方向に本来の画像データによる画像には無い濃淡差が読取画像データによる画像に生じていると、転写ブレが生じていると判定できる。なお、幅方向の濃淡差は、記録材の後端から距離L2付近に生じるため、比較部2042は、記録材の後端から距離L2の近傍に濃淡差が生じているか否かを判定することで転写ブレが生じているか否かを判定することができる。
【0047】
転写ブレが生じていないと判定すると、エンジン制御部2010は、図13の処理を終了する。この場合、補正値ΔSは変更されない。一方、転写ブレが生じていると判定すると、エンジン制御部2010は、S207で搬送している記録材が厚紙であるか普通紙であるかを判定する。補正値ΔSは、厚紙に対するものであるため、記録材が普通紙であると、エンジン制御部2010は、図13の処理を終了する。なお、この際、エンジン制御部2010は、普通紙において転写ブレが生じたことをHDD2245に格納する。
【0048】
一方、S207において記録材が厚紙であると判定されると、エンジン制御部2010は、S208において補正値ΔSを仮決定する。なお、S206で判定できるのは転写ブレが生じたか否かのみであり、ループ状態がP2であるのかP3であるのかをエンジン制御部2010は判定できない。このため、本実施形態では、普通紙において転写ブレが生じているか否かによりループ状態がP2であるかP3であるかを判定する。具体的には、普通紙において転写ブレが生じたとの情報がHDD2245に格納されていると、エンジン制御部2010は、ループ状態P3であると判定する。つまり、エンジン制御部2010は、普通紙と厚紙の両方において転写ブレが生じているとループ状態P3であると判定する。したがって、図12(B)に示す様に補正値ΔSを10%だけ増加させる。一方、普通紙において転写ブレが生じたとの情報がHDD2245に格納されていないと、エンジン制御部2010は、ループ状態P2であると判定する。したがって、図12(B)に示す様に補正値ΔSを5%だけ増加させる。
【0049】
第一実施形態と同様に、本実施形態でも補正値ΔSの上限値を設ける。これは、加圧ローラ32の回転速度を高くし過ぎると、記録材を引っ張りすぎることによる画像擦れ等の弊害が発生し易くなるからである。エンジン制御部2010は、S209で、仮決定した補正値ΔSが、上限値内であるかを判定する。上限値内であると、エンジン制御部2010は、S210において、S208で決定した補正値ΔSに更新する。一方、仮決定した補正値ΔSが上限値を超えていると、コントローラ1000の通知部1020を介してユーザに、画像不良の発生や、定着器30及び/又は各搬送ローラの交換を通知する。なお、この場合、補正値ΔSを更新することなく図13の処理を終了する。
【0050】
以上、画像不良を判定すると、記録材の坪量に基づき画像形成に関する制御値の補正値を決定する。この構成により、判定した画像不良とは異なる画像不良の発生を抑制することができる。
【0051】
なお、本実施形態では、普通紙と厚紙の2つの坪量での加圧ローラ32の回転速度設定について説明したが、坪量の段階は2つ以上の任意の段階とすることができる。また、本実施形態では、記録材の坪量を特性情報としたが、記録材の厚みや剛度を特性情報とすることもできる。例えば、坪量が同一でも材質や製法によって剛度の異なる記録材が存在するため、記録材の坪量、厚み及び剛度の内の任意の数の組み合わせを特性情報とすることもできる。
【0052】
さらに、ユーザが記録材に形成する画像ではなく、画像不良を検知するための検知画像を用いる構成とすることもできる。図14(A)は、検知画像の例を示している。検知画像は、ホットオフセットを検知するための画像C1と、転写ブレを検知するためのハーフトーン画像C2と、を有する。図14(B)において、参照符号551は、ホットオフセットにより記録材に付着したトナーを示し、参照符号650は、転写ブレで濃淡差が生じる領域を示している。図14(A)に示す様な検知用画像を使用することで、複数の画像不良の発生を検出することができる。
【0053】
[その他の実施形態]
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0054】
発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、発明の範囲を公にするために請求項を添付する。
【符号の説明】
【0055】
2010:エンジン制御部、40:メディアセンサ、2043:設定部、2050:読取部、2042:比較部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14