(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-05
(45)【発行日】2024-03-13
(54)【発明の名称】電力変換装置
(51)【国際特許分類】
H02P 21/16 20160101AFI20240306BHJP
H02P 21/08 20160101ALI20240306BHJP
【FI】
H02P21/16
H02P21/08
(21)【出願番号】P 2020151558
(22)【出願日】2020-09-09
【審査請求日】2023-02-08
(73)【特許権者】
【識別番号】502129933
【氏名又は名称】株式会社日立産機システム
(74)【代理人】
【識別番号】110001689
【氏名又は名称】青稜弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】戸張 和明
(72)【発明者】
【氏名】小沼 雄作
(72)【発明者】
【氏名】杉本 卓也
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 弘
(72)【発明者】
【氏名】渡嘉敷 睦男
【審査官】安池 一貴
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-235100(JP,A)
【文献】特開2015-177600(JP,A)
【文献】特開2010-098911(JP,A)
【文献】特開2006-087263(JP,A)
【文献】特開2007-159212(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02P 21/16
H02P 21/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁石モータを制御する電力変換装置であって、
該磁石モータの出力電圧と出力電流を基に第1の電力を算出し、
該磁石モータの電気回路定数、電流指令、出力周波数および誘起電圧係数を基に第2の電力を算出し、
前記第1の電力が前記第2の電力を追従するように前記誘起電圧係数を推定し、
前記誘起電圧係数に従って前記磁石モータの駆動を制御し、
前記第1の電力は、前記磁石モータの出力電圧と出力電流を基に算出した第1の有効電力であり、
前記第2の電力は、前記磁石モータの電気回路定数、電流指令、出力周波数および誘起電圧係数を基に算出した第2の有効電力であり、
前記第1の電力は、前記磁石モータの出力電圧と出力電流を基に算出した第1の無効電力であり、
前記第2の電力は、前記磁石モータの電気回路定数、電流指令、出力周波数および誘起電圧係数を基に算出した第2の無効電力であり、
前記第1の有効電力と前記第2の有効電力の偏差を零とするように、または前記第1の無効電力と前記第2の無効電力の偏差を零とするように、前記誘起電圧係数を演算し、
前記磁石モータの電気回路定数と周波数推定値の関係を基準にして、
前記磁石モータが低速域の場合には前記第1の有効電力と前記第2の有効電力の偏差を零とするように、比例制御および積分制御し、
前記磁石モータが中高域の場合には前記第1の無効電力と前記第2の無効電力の偏差を零とするように、比例制御および積分制御する
ことを特徴とする電力変換装置。
【請求項2】
前記磁石モータの磁束軸であるd軸およびトルク軸であるq軸の電流指令値と電流検出値および出力周波数を用いて、d軸およびq軸の電圧指令値を出力するベクトル制御演算部を有し、
前記第1の有効電力は、前記d軸およびq軸の同成分の電圧指令値と電流検出値を乗算して、それらを加算して求め、
前記第2の有効電力は、前記磁石モータの電気回路定数、d軸およびq軸の電流指令値、出力周波数および誘起電圧係数から演算して求め、
前記第1の有効電力が前記第2の有効電力に追従するように、前記誘起電圧係数を制御する
請求項
1の電力変換装置。
【請求項3】
前記磁石モータの磁束軸であるd軸およびトルク軸であるq軸の電流指令値と電流検出値および出力周波数を用いて、d軸およびq軸の電圧指令値を出力するベクトル制御演算部を有し、
前記第1の有効電力は、電力変換器の直流電圧検出値と直流電流検出値を乗算して求め、
前記第2の有効電力は、前記磁石モータの電気回路定数、d軸およびq軸の電流指令値、出力周波数および誘起電圧係数から演算して求め、
前記第1の有効電力が前記第2の有効電力に追従するように、前記誘起電圧係数を制御する
請求項
1の電力変換装置。
【請求項4】
前記磁石モータの三相交流の電流指令値と電流検出値および出力周波数を用いて、三相交流の電圧指令値を出力するベクトル制御演算部を有し、
前記第1の有効電力は、三相交流の1相分の電圧振幅値と電流振幅値および電圧指令値と電流検出値の位相差の余弦信号を乗算して求め、
前記第2の有効電力は、前記磁石モータの電気回路定数、d軸およびq軸の電流指令値、出力周波数および誘起電圧係数から演算して求め、
前記第1の有効電力が前記第2の有効電力に追従するように、前記誘起電圧係数を制御する
請求項
1の電力変換装置。
【請求項5】
前記磁石モータの磁束軸であるd軸およびトルク軸であるq軸の電流指令値と電流検出値および出力周波数を用いて、d軸およびq軸の電圧指令値を出力するベクトル制御演算部を有し、
前記第1の無効電力は、d軸およびq軸の異成分の電圧指令値と電流検出値を乗算し、それらを減算して求め、
前記第2の無効電力は、前記磁石モータの電気回路定数、d軸およびq軸の電流指令値、出力周波数および誘起電圧係数から演算して求め、
前記第1の無効電力が前記第2の無効電力に追従するように、前記誘起電圧係数を制御する
請求項
1の電力変換装置。
【請求項6】
前記磁石モータの三相交流の電流指令値と電流検出値および出力周波数を用いて、三相交流の電圧指令値を出力するベクトル制御演算部を有し、
前記第1の無効電力は、三相交流の1相分の電圧振幅値と電流振幅値および電圧指令値と電流検出値の位相差の正弦信号を乗算して求め、
前記第2の無効電力は、前記磁石モータの電気回路定数、d軸およびq軸の電流指令値、出力周波数および誘起電圧係数から演算して求め、
前記第1の無効電力が前記第2の無効電力に追従するように、前記誘起電圧係数を制御する
請求項
1の電力変換装置。
【請求項7】
前記磁石モータの出力周波数あるいはq軸の電流指令値の少なくともいずれか一方に基づいて、前記比例制御と前記積分制御の制御ゲインを自動修正する
請求項
1の電力変換装置。
【請求項8】
前記比例制御あるいは前記積分制御に設定する制御の応答周波数あるいは制御ゲインは、該電力変換装置に接続される端末または該電力変換装置のデジタル・オペレータからの指示により設定、変更可能である
請求項
1の電力変換装置。
【請求項9】
前記誘起電圧係数を用いて、磁石モータ内部のロータ温度を推定するロータ温度推定演算部を有する
請求項1の電力変換装置。
【請求項10】
前記誘起電圧係数をコントローラにフィードバックして、該コントローラがトルク電流指令と励磁電流指令の最適パターンを決定する
請求項
9の電力変換装置。
【請求項11】
前記誘起電圧係数または前記ロータ温度の推定値をコントローラにフィードバックして、該コントローラが磁石モータの状態を管理する請求項
9の電力変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力変換装置に係り、特に、磁石モータの駆動を制御する誘起電圧係数の推定に関する。
【背景技術】
【0002】
永久磁石を用いたモータを高効率にセンサレス制御する電力変換装置が知られている。例えば、特許文献1には、磁石モータの高精度な制御に関して、電力変換器への電圧指令値、電流検出値、電気回路定数および周波数推定値に基づいて、磁石モータの誘起電圧係数を推定する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された制御方法は、磁束軸のγ軸成分と、トルク軸のδ軸成分の直流量の電圧指令値(vγ,vδ)と、電流検出(iγ,iδ)と、磁石モータの電気回路定数(抵抗R、d軸インダクタンスLd、q軸インダクタンスLq)とを用いて、式(1)に基づき、誘起電圧係数Φを推定する。
【0005】
【0006】
ここで、式(1)にはインダクタンスの電圧降下分(w1Lqiδおよびw1Ldiγ)の影響が入り、インダクタンスLd、Lqの設定誤差による誘起電圧係数の推定精度が劣化することが考えられる。
【0007】
この推定精度の劣化を防ぐために、磁石モータを無負荷状態で回転させて、誘起電圧係数の調整を行なう必要がある。この調整を回転型オートチューニング(A.T)という。この調整作業は、顧客の機械装置に磁石モータを据付ける前に実施しなければならず、結果的に作業時間が増加することになる。
【0008】
本発明の目的は、回転型オートチューニング無しに、磁石モータを制御する誘起電圧係数を推定することで、高精度な制御特性を実現する電力変換装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の好ましい一側面は、磁石モータの実運転中に、有効電力または無効電力を用いて、磁石モータの誘起電圧係数を推定することを可能にする。
本発明の好ましい実施例は、磁石モータを制御する電力変換装置であって、
該磁石モータの出力電圧と出力電流を基に第1の電力を算出し、
該磁石モータの電気回路定数、電流指令、出力周波数および誘起電圧係数を基に第2の電力を算出し、
前記第1の電力が前記第2の電力を追従するように前記誘起電圧係数を推定し、
前記誘起電圧係数に従って前記磁石モータの駆動を制御する電力変換装置、が開示される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、実運転中に磁石モータの誘起電圧係数を推定することで、磁石モータの電気回路定数の調整無しに、高精度な制御特性を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施例1に係る電力変換装置の構成例を示す図。
【
図2】誘起電圧係数の推定演算部7の一例を示す図。
【
図3】比較例による電力変換装置を用いた場合の制御特性を示す図。
【
図4】実施例1による電力変換装置を用いた場合の制御特性を示す図。
【
図5】実施例1による電力変換装置の制御特性の確認に供する磁石モータ駆動システムの構成例を示す図。
【
図6】実施例2に係る誘起電圧係数の推定演算部の一例を示す図。
【
図7】実施例3に係る誘起電圧係数の推定演算部の一例を示す図。
【
図8】実施例4に係る誘起電圧係数の推定演算部の一例を示す図。
【
図9】実施例5に係る誘起電圧係数の推定演算部の一例を示す図。
【
図10】実施例6に係る誘起電圧係数の推定演算部の一例を示す図。
【
図11】実施例7に係る誘起電圧係数の推定演算部の一例を示す図。
【
図12】実施例8に係る電力変換装置の構成例を示す図。
【
図13】実施例9に係る磁石モータ駆動システムの構成例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を用いて、幾つかの好ましい実施例を詳細に説明する。なお、各図における共通の構成については同一の参照番号を付してある。また、以下に説明する各実施例は例示であって、これらの実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0013】
図1は、実施例1に係る電力変換装置の構成例を示す。
電力変換装置1は、磁石モータ10、電力変換器2、直流電源3、電流検出器4、座標変換部5、速度制御演算部6、推定誘起電圧係数の推定演算部7、ベクトル制御演算部8、周波数・位相推定演算部9、座標変換部11を有して構成される。好ましい例では、磁石モータ1、電力変換装器2、直流電源3、電流検出器4はハードウェアで構成され、他の構成部位5~11は、1または複数の処理装置(CPU)においてプログラムの実行により実現される機能(ソフトウェア機能)である。構成部位5~11を、単に制御部またはコントローラと言うことがある。
【0014】
ここで、磁石モータ10は、永久磁石の磁束によるトルク成分と電機子巻線のインダクタンスによるトルク成分を合成したモータトルクを出力する。
電力変換器2は、3相交流の電圧指令値vu
*、vv
*、vw
*を入力し、電圧指令値vu
*、vv
*、vw
*に比例した電圧値を出力し、磁石モータ10の出力電圧値と出力周波数値を可変制御する。直流電源3は、電力変換器2に直流電圧を供給する。
【0015】
電流検出器4は、磁石モータ10の3相の交流電流iu、iv、iwを検出し、検出値であるiuc、ivc、iwcを出力する。なお、電流検出器4は、誘導モータ1の3相の内の2相、例えばu相とw相の交流電流を検出し、交流条件(iu+iv+iw=0)から、v相の交流電流を、iv=-(iu+iw)として求めてもよい。
【0016】
座標変換部5は、3相の交流電流iu、iv、iwの検出値iuc、ivc、iwcと、位相推定値θdcからd軸およびq軸の電流検出値idc、iqcを出力する。
速度制御演算部6は、周波数指令値ωr
*と周波数推定値ωr
^に基づいてトルク指令値τ*を演算し、トルク係数で除算することよりq軸の電流指令値iq
*を出力する。
【0017】
誘起電圧係数の推定演算部7は、d軸およびq軸の電圧指令値vdc
**、vqc
**、電流検出値idc、iqc、電流指令値idc
*、iqc
*、周波数推定値ωr
^に基づいて、誘起電圧係数の推定値Ke
**を演算して、出力する。
【0018】
ベクトル制御演算部8は、誘起電圧係数の推定値Ke
**、d軸およびq軸の電流指令値id
*、iq
*、電流指令値idc、iqc、出力周波数となる周波数推定値ωr
^に基づいて、演算したd軸およびq軸の電圧指令値vdc
**、vqc
**を出力する。
【0019】
周波数・位相推定演算部9は、制御軸であるdc軸およびqc軸の電圧指令値vdc
**、vqc
**、q軸インダクタンス値Lq
*、周波数推定値ωr
^、電流検出値idc、iqcおよび永久磁石モータ10の電気回路定数を用いて、電力変換器2の回転位相推定値θdcと実際の回転位相θdとの偏差である位相誤差Δθの推定値を演算して、この推定値に基づいて周波数推定値ωr
^と位相推定値θdcを出力する。
座標変換部11は、d軸とq軸の電圧指令値vdc
*、vqc
**と、位相推定値θdcから3相交流の電圧指令値vu
*、vv
*、vw
*を出力する。
【0020】
最初に、本実施例の特徴である誘起電圧係数の推定演算部7を用いた場合のセンサレスベクトル制御方式の基本動作について説明する。
速度制御演算部6は、周波数指令値ωr
*に周波数推定値ωr
^が追従するように、比例制御と積分制御により、式(2)に従い、トルク指令τ*とq軸の電流指令値iq
*を演算する。
【0021】
【数2】
ここで、K
sp:速度制御の比例ゲイン、K
si:速度制御の積分ゲイン、P
m:極対数
【0022】
ベクトル制御演算部8は、第1に、磁石モータ10の電気回路定数である抵抗の設定値R*、d軸インダクタンスの設定値Ld
*、q軸のインダクタンスの設定値Lq
*、誘起電圧係数の値Ke
*、d軸およびq軸の電流指令値id
*、iq
*と周波数推定値ωr
^を用いて、式(3)に従い、d軸およびq軸の電圧基準値vdc
*、vqc
*を出力する。
【0023】
【0024】
第2に、d軸およびq軸の電流指令値id
*、iq
*に各成分の電流検出値idc、iqcが追従するように、比例制御と積分制御により、式(4)に従い、d軸およびq軸の電圧補正値Δvdc、Δvqcを演算する。
【0025】
【0026】
ここで、
Kpd:d軸の電流制御の比例ゲイン、Kid:d軸の電流制御の積分ゲイン
Kpq:q軸の電流制御の比例ゲイン、Kiq:q軸の電流制御の積分ゲイン
【0027】
さらに、式(5)に従い、d軸およびq軸の電圧指令値vdc
**、vqc
**を演算する。
【0028】
【0029】
周波数・位相演算部9では、d軸およびq軸の電圧指令値vdc
**、vqc
**、電流検出値idc、iqcと磁石モータ10の電気回路定数に基づいて、式(6)に従い位相誤差推定値Δθcを演算し、式(7)に従い周波数推定値ωr
^を演算し、式(8)に従い位相推定値θdcを演算する。
【0030】
【0031】
【0032】
【数8】
ここで、Kp
pll:PLL制御の比例ゲイン、Ki
pll:PLL制御の積分ゲイン
【0033】
図2は、実施例1における誘起電圧係数の推定演算部7の構成例を示す。
【0034】
誘起電圧の係数の初期値71は、Ke
*である。第1の有効電力演算部72は、d軸およびq軸の電圧指令値vdc
**、vqc
**と、d軸およびq軸の電流検出値idc、iqcを用いて、式(9)に従い、第1の有効電力Pcを演算する。
【0035】
【0036】
力行/回生の両方の運転モードに対応するため、第1の電力演算部72の出力を絶対値演算部73に通して、第1の有効電力Pcの絶対値|Pc|を演算する。
【0037】
第2の有効電力演算部74は、d軸およびq軸の電流指令値id
*、iq
*、周波数推定値ωr
^、磁石モータ10の電気回路定数であるR、Ld、Lqと、誘起電圧係数の推定値Ke
**を用いて、式(10)に従い、第2の有効電力Pc
^を演算する。
【0038】
【0039】
力行/回生の両方の運転モードに対応するため、第2の電力演算部74の出力を絶対値演算部75に通して、第2の有効電力Pc
^の絶対値|Pc
^|を演算する。
【0040】
PI制御部76は、第1の有効電力Pcの絶対値|Pc|が第2の有効電力Pc
^の絶対値|Pc
^|に追従するように、P(比例)+I(積分)制御を行い、誘起電圧係数の補正値ΔKe0
*を演算する。
【0041】
ローパスフィルタ(L.P.F)77は、時定数がTのゲインを持ち、誘起電圧係数の補正値ΔKe0
*が入力され、補正値ΔKe
*を出力する。補正値ΔKe
*と誘起電圧係数の初期値Ke
*を用いて、式(11)に従い、誘起電圧係数の推定値Ke
**を演算する。
【0042】
【0043】
次に、本実施例により実現される高精度な制御特性(
図4)について、比較例(
図3)を用いて説明する。
図3は、本実施例による誘起電圧係数の推定演算部7を用いない比較例(すなわちΔK
e
*=0)場合の制御特性を示す。
【0044】
式(2)に示すトルク指令値τ*とq軸の電流指令値iq
*、式(5)に示すd軸およびq軸の電圧指令値vdc
**、vqc
**の演算式に含まれる設定値Ke
*に誤差がある場合のシミュレーション結果を示す。
上段はトルク指令値τ*、中段は周波数指令ωr
*と磁石モータの周波数ωr、下段は誘起電圧係数Keとその設定値Ke
*を表わしている。
【0045】
図3において、時刻A点からランプ状の負荷トルクを与え始め、時刻B点まで変化させ、電流による発熱によりC点から誘起電圧係数K
eがゆっくりと減少する場合を想定した。B点経過後(右側)はトルクを与えたままの状態である。図中のD領域において磁石モータの周波数ω
r/2pと指令値ω
r
*/2πの偏差が発生していることがわかる。
【0046】
一方、本実施例では、d軸およびq軸の電圧指令値vdc
*、vqc
*と電流検出値idc、iqcを用いて、式(9)により誘起電圧係数の設定値Ke
*の情報を含まない第1の有効電力Pcを演算する。さらに、d軸およびq軸の電流指令値id
*、iq
*、周波数推定値ωr
^、磁石モータの電気回路定数R、Ld、Lqと誘起電圧係数の推定値Ke
**を用いて、式(10)により第2の有効電力Pc
^を演算する。
【0047】
第2の有効電力Pc
^の絶対値|Pc
^|が、第1の有効電力Pcの絶対値|Pc|に追従するように、誘起電圧係数の推定値Ke
**を自動調整し、推定値Ke
**を速度制御演算部6、ベクトル制御演算部8に用いることで、制御特性を高精度に改善することができる。
【0048】
図4に、本実施例による制御特性を示す。
本実施例では、誘起電圧係数の推定演算部7を動作させ、
図3の比較例と同様な負荷トルクを与えている。誘起電圧係数K
eを高精度に推定する(K
e≒K
e
**)ため、図中のD領域においても周波数の偏差(ω
r/2p- ω
r
^/2p)が少なく、高精度な制御特性があることがわかる。
【0049】
<制御特性の確認>
次に、
図5を用いて、本実施例による制御特性の確認について説明する。
磁石モータ10を駆動する電力変換装置1に、電圧検出器21、電流検出器22を接続し、磁石モータ10のシャフトにエンコーダ23を取り付ける。さらに、電圧検出器21、電流検出器22、エンコーダ23に、例えばパーソナルコンピュータ(PC)を接続して、これらの各検出値を取得して、プログラムを実行させて処理する。この処理は主に、ベクトル電圧・電流成分の計算部24の処理と、式12による計算部25の処理を実行する。
【0050】
すなわち、ベクトル電圧・電流成分の計算部24は、電圧検出器21の出力である三相交流の電圧検出値(vuc、vvc、vwc)、三相交流の電流検出値(iuc、ivc、iwc)、エンコーダの出力である位置θを受け入れて、ベクトル電圧成分のvdc、vqc、ベクトル電流成分のidc、iqcと、位置θを微分した検出値ωrcを演算する。
計算部25は、式(12)を用いて、誘起電圧係数の推定値Ke
^を演算する。
【0051】
【0052】
電力変換器2のコントローラに設定される誘起電圧係数Ke
*がずれても(変更しても)、誘起電圧係数Ke
^の大きさは変わらずに正しく検出されることがわかる。誘起電圧係数Ke
*に対する誘起電圧係数Ke
^の値、またはそれら係数の経過を示すグラフをPCの画面に表示することで、本実施例による制御特性の効果を確認できる。
【0053】
なお、本実施例では周波数推定値ωr
^を演算しているが、磁石モータ10にエンコーダを取り付けて、周波数ωrcを検出するようにしてもよい。
【0054】
本実施例によれば、d軸およびq軸のインダクタンス設定値Ld
*、Lq
*に誤差があっても、d軸の電流指令値id
*をゼロ付近に設定すれば、式(10)の第2成分が低感度化されるため、力行/回生の運転モードに係わらず、高精度な制御特性を実現することができる。
【実施例2】
【0055】
図6を参照して、実施例2に係る電力変換装置について説明する。
図6は誘起電圧係数の推定演算部7の一例を示す。
実施例1では、誘起電圧係数の推定演算部7において、比例制御と積分制御のゲイン(K
p、K
i)を固定値としている。一方、実施例2では、周波数推定値ω
r
^やq軸の電流指令値i
q
*に応じて、ゲイン(K
p、K
i)を変化させる。
【0056】
図6に示す、誘起電圧係数の推定演算部7は、実施例1(
図2)の誘起電圧係数の推定演算部7と同様の構成である。PI制御762の入力値と出力値が実施例1と相違するが、他の構成部位は、
図2と同じである。
【0057】
実施例2では、PI制御762において、周波数推定値ωr
^やq軸の電流指令値iq
*に略比例して、比例制御と積分制御のゲイン(Kp、Ki)を変化させることで、第1の有効電力Pcの絶対値|Pc|が、第2の有効電力Pc
^の絶対値|Pc
^|に、周波数や電流値に応じて変化する。これにより、低速域から高速域、軽負荷から重負荷においても、より短時間で高精度な制御特性を実現できる。
【実施例3】
【0058】
図7を参照して、実施例3に係る電力変換装置について説明する。
図7は誘起電圧係数の推定演算部7の一例を示す。
実施例1では、d軸およびq軸の電圧指令値v
dc
**、v
qc
**と電流検出値i
dc、i
qcから、第1の有効電力P
cを演算する構成とした。一方、実施例3では、三相交流の電圧指令の振幅値V
1
*と電流検出の振幅値i
1および位相θ
viの余弦信号を用いて、有効電力P
cを演算する。
【0059】
図7に示す、誘起電圧係数の推定演算部7は、実施例1(
図2)の誘起電圧係数の推定演算部7と同様の構成である。第1の有効電力演算部723における演算が実施例1と相違するが、他の構成部位は、
図2と同じである。すなわち、
図7の、第1の有効電力演算部723では、三相交流の電圧指令の振幅値V
1
*を式(13)、電流検出値の振幅値i
1を式(14)、および位相θ
viを式(15)より求め、式(16)を用いて有効電力P
cを演算する。
【0060】
【0061】
【0062】
【0063】
【0064】
実施例3によれば、実施例1と同様に高精度な制御特性を実現することができる。
【実施例4】
【0065】
図8を参照して、実施例4に係る電力変換装置について説明する。
図8は誘起電圧係数の推定演算部7の一例を示す。
実施例1では、d軸およびq軸の電圧指令値v
dc
**、v
qc
**と電流検出値i
dc、i
qcから、第1の有効電力P
cを演算するが、実施例4では電力変換器3の直流電圧値E
DCと直流電流値I
DCを用いて有効電力P
cを演算する。
【0066】
図8に示す、誘起電圧係数の推定演算部7は、実施例1(
図2)の誘起電圧係数の推定演算部7と同様の構成である。第1の有効電力演算部724における演算が実施例1と相違するが、他の構成部位は、
図2と同じである。すなわち、
図8の、第1の有効電力演算部724では、電力変換器2の直流電圧検出値E
DC、直流電流検出値I
DCを用いて、式(17)に基づいて第1の有効電力P
cを演算する。
【0067】
【0068】
実施例4によれば、実施例1と同様に、高精度な制御特性を実現することができる。
【実施例5】
【0069】
図9を参照して、実施例5に係る電力変換装置について説明する。
図9は誘起電圧係数の推定演算部7の一例を示す。
実施例1では、第1および第2の2つの有効電力を用いたが、実施例5では、2つの無効電力を用いる。
【0070】
図9に示す、誘起電圧係数の推定演算部7は、実施例1(
図2)の誘起電圧係数の推定演算部7と同様の構成である。第1の無効電力演算部725および第2の無効電力演算部745における演算が、実施例1における第1の有効電力演算部72および第2の有効電力演算部74のものと相違するが、他の構成部位は、
図2と同じである。すなわち、第1の無効電力演算部725は、d軸およびq軸の電圧指令値v
dc
*、v
qc
*と電流検出値i
dc、i
qcを用いて、第1の無効電力Q
cを式(18)に従い、演算する。
【0071】
【0072】
力行/回生の両方の運転モードに対応するため、第1の無効電力演算部725の出力を絶対値演算部73に通して、第1の無効電力Qcの絶対値|Qc|を演算する。
【0073】
第2の無効電力演算部745は、d軸およびq軸の電流指令値idc
*、iqc
*、周波数推定値ωr
^、磁石モータ10の電気回路定数であるR、Ld、Lqと、誘起電圧係数の推定値Ke
**を用いて、第2の無効電力Qc
^を式(19)に従い、演算する。
【0074】
【0075】
力行/回生の両方の運転モードに対応するため、第2の無効電力演算部745の出力を絶対値演算部75に通して、第2の無効電力Qc
^の絶対値| Qc
^|を演算する。PI制御部76は、第1の無効電力Qcの絶対値|Qc|が、第2の無効電力Qc
^の絶対値|Qc
^|に追従するように、P(比例)+I(積分)制御を行い、誘起電圧係数の補正値ΔKe0
*を演算する。
【0076】
L.P.F77は、時定数がTのゲインを持ち、誘起電圧係数の補正値ΔKe0
*が入力され、補正値ΔKe
*を演算する。補正値ΔKe
*と誘起電圧係数の設定値Ke
*を用いて、誘起電圧係数の推定値Ke
**を、式(11)に従い演算する。
【0077】
実施例5によれば、第1の無効電力Qcの絶対値|Qc|に、第2の無効電力Qc
^の絶対値|Qc
^|が追従するように、誘起電圧係数の設定値Ke
*を修正する。これにより、抵抗の設定値R*に誤差があっても、力行/回生の運転モードに係わらず高精度な制御特性を実現することができる。
【実施例6】
【0078】
図10を参照して、実施例6に係る電力変換装置について説明する。
図10は誘起電圧係数の推定演算部7の一例を示す。
実施例6も実施例5と同様に、無効電力の演算を行う。実施例5では、d軸およびq軸の電圧指令値v
dc
**、v
qc
**と電流検出値i
dc、i
qcから、第1の無効電力Q
cを演算するが、実施例6では三相交流の電圧指令の振幅値V
1
*と電流検出の振幅値i
1、および位相θ
viを用いて、無効電力Q
cを演算する。
【0079】
図10に示す、誘起電圧係数の推定演算部7は、実施例5(
図9)の誘起電圧係数の推定演算部7と同様の構成である。第1の無効電力演算部726における演算が、実施例5における第1の無効電力演算部725のものと相違するが、他の構成部位は、
図9と同じである。
【0080】
図10において、第1の無効電力演算部726では、三相交流の電圧指令の振幅値V
1
*を式(13)により演算し、電流検出値の振幅値i
1を式(14)により演算し、および位相θ
viを正弦信号を用いて、無効電力Q
cを式(20)により演算する。
【0081】
【0082】
実施例6によれば、実施例5と同様に、力行/回生の両方のトルクモードに係わらず、高精度な制御特性を実現することができる。
【実施例7】
【0083】
図11を参照して、実施例7に係る電力変換装置について説明する。
図11は誘起電圧係数の推定演算部7の一例を示す。
実施例1~3は有効電力を演算する方式、実施例4~5は無効効電力を演算する方式を用いるとしたが、実施例7は、低速域は無効電力方式、高速域は有効電力方式を用いて、両者を切り替える構成である。
【0084】
図11において、起電圧係数の推定演算部7112は、実施例1(
図2)における誘起電圧係数の推定演算部7に相当し、起電圧係数の推定演算部7114は、実施例5(
図9)における誘起電圧係数の推定演算部7に相当する。なお、
図11は、誘起電圧係数の推定演算部7における、第1の有効電力演算部72および第2の有効電力演算部74、および第1の無効電力演算部725および第2の無効電力演算部745を主眼に図示して、他の構成部位の図示は省略されている。
【0085】
切替スイッチ716は、低速域では起電圧係数の推定演算部7114の出力信号を選択し、中高速域では起電圧係数の推定演算部7112の出力信号を選択するように、それぞれ誘起電圧係数の推定値Ke
**として出力する。この切替え動作は例えば、磁石モータ10の電気回路定数と周波数推定値ωr
^を用いて、式(21)を満たしていれば中高速域と判断し、満たしていなければ低速域と判断することで行える。
【0086】
【0087】
実施例7によれば、低速域は抵抗の設定誤差に低感度化することができる(すなわち、式(19)に抵抗を含まないため)。中高速域はインダクタンスの設定誤差に低感度化することができる(すなわち、式(10)のインダクタンスの差分(Ld
*-Lq
*)が小さくなるため)。これにより、全速度域において高精度な制御特性を実現することができる。
【実施例8】
【0088】
図12は、実施例8に係る電力変換装置の構成図である。
実施例1乃至7は電力を演算して誘起電圧係数を推定する例である。これに対して、実施例8は磁石モータ1の温度を推定する例である。
図12に示す、電力変換装置1に、ロータ温度推定演算部121と、磁石モータの状態を管理するPLC(プログラマブル・ロジック・コントローラ)やIOT等の上位のコントローラ122が追加される。他の構成は
図1と同一である。
【0089】
ロータ温度推定演算部121は、誘起電圧係数の推定値Ke**を用いて、磁石モータ1のロータ温度推定値Temp(°C)を、式(27)を用いて演算する。ここで、温度100°Cの変化で誘起電圧係数が10%低減すると想定し、温度20°Cでの誘起電圧係数をKe0とした。
【0090】
【0091】
更に、温度推定値Tempがコントローラ122にフィードバックされて、コントローラ122が、式(28)を用いて、トルク電流指令id*と励磁電流指令の最適パターンを決定する。
【0092】
【0093】
実施例8によれば、実施例1と同様に、高精度な制御特性を実現することができる。
【実施例9】
【0094】
図13を参照して、実施例9に係る磁石モータ駆動システムについて説明する。実施例9は、実施例1乃至8による電力変換装置を磁石モータ駆動システムに適用した例を示す。
【0095】
この磁石モータ駆動システムは、電力変換装置1と、それにより駆動される誘導モータ1を有する。更に、一例では、電力変換装置1に、パーソナルコンピュータ(PC)311、タブレット312、スマートフォン313などの端末31が接続される。また、電力変換装置1に搭載される電力変換器2または他の構成部位を含むマイクロコンピュータの内部メモリには、比例制御または積分制御に設定する制御の応答周波数あるいは制御ゲイン(比例ゲイン26、積分ゲイン27)が設定される。端末31は電力変換装置1を制御する関係上、上位装置と言ってもよい。
【0096】
一例では、端末31からの指示により、電力変換装置1の比例ゲイン26、積分ゲイン27を設定し、変更することができる。また他の例では、電力変換装置1が有するデジタル・オペレータ112の指示により、電力変換装置1の比例ゲイン26、積分ゲイン27を設定し、変更することができる。
【0097】
なお、上記の比例ゲイン26および積分ゲイン27は、PLC、コンピュータと接続するローカル・エリア・ネットワーク、IOTコントローラなどのフィールドバス上に設定することもできる。
なお、
図13は、実施例1による電力変換装置1(
図1)が示しているが、実施例2乃至6によるものでもよい。
【0098】
実施例9の誘導モータ駆動システムによれば、位置センサレスベクトル制御において高精度な制御特性を実現することができる。
【実施例10】
【0099】
その他の変形例
上記した実施例1乃至8は、更に種々変形して実施することができる。以下、幾つかの変形例について述べる。 例えば、実施例1乃至2においては、第1の有効電力Pcである式(9)と第1の無効電力Qcである式(18)には電流検出値idc、iqcを用いたが、電流指令値id*、iq*を用いてもよい。また、第2の有効電力Pc^である式(10)と第2の無効電力Qc^である式(19)には電流指令値id
*、iq
*を用いたが、電流検出値idc、iqcを用いてもよい。
【0100】
また、実施例1乃至7においては、電流指令値id
*、iq
*と電流検出値idc、iqcから電圧修正値Δvdc、Δvqcを作成し、この電圧修正値とベクトル制御の電圧基準値を加算する式(3)に示す演算を行っているが、電流指令値id
*、iq
*と電流検出値idc、iqcからベクトル制御演算に使用する式(22)に示す中間的な電流指令値id
**、iq
**を作成し、周波数推定値ωr
^および磁石モータ10の電気回路定数を用いて式(23)に示すベクトル制御演算を行ってもよい。
【0101】
【0102】
【0103】
ここで、
Kpd1:d軸の電流制御の比例ゲイン、Kid1:d軸の電流制御の積分ゲイン
Kpq1:q軸の電流制御の比例ゲイン、Kiq1:q軸の電流制御の積分ゲイン
Td:d軸の電気時定数(Ld/R)、Tq:q軸の電気時定数(Lq/R)
【0104】
また、他の例として、電流指令値id
**、iq
*と電流検出値idc、iqcから、ベクトル制御演算に使用するd軸の比例演算成分の電圧修正値Δvd_p
*、d軸の積分演算成分の電圧修正値Δvd_i
*、q軸の比例演算成分の電圧修正値Δvq_p
*、q軸の積分演算成分の電圧修正値Δvq_i
* を式(24)により作成し、周波数値推定ωr
^および磁石モータ10の電気回路定数を用いた式(25)によりベクトル制御演算を行ってもよい。
【0105】
【0106】
【0107】
ここで、
Kpd2:d軸の電流制御の比例ゲイン、Kid2:d軸の電流制御の積分ゲイン
Kpq2:q軸の電流制御の比例ゲイン、Kiq2:q軸の電流制御の積分ゲイン
【0108】
また、d軸の電流指令値id
*およびq軸の電流検出値iqcの一次遅れ信号iqctd、周波数推定値ωr
^と、誘導モータ1の電気回路定数を用いて、式(26)によりベクトル制御演算を行ってもよい。
【0109】
【0110】
さらに他の例として、上記実施例では周波数・位相推定演算部9において、式(7)により周波数推定値を演算したが、磁石モータ10にエンコーダを取りつけ、エンコーダ信号から周波数検出値を演算しても良い。
【0111】
また、電力変換装置1は、好ましい例(
図1参照)では、磁石モータ10、電力変換装器2、直流電源3、電流検出器4はハードウェアで構成され、他の構成部位5~10は処理装置(CPU)におけるプログラムの実行により実現されるとしたが、他の例によれば、他の構成部位5~10の一部または全てをハードウェアで構成してもよい。
【0112】
なお、上記した全ての実施例において、電力変換器2を構成するスイッチング素子としては、Si(シリコン)半導体素子であっても、SiC(シリコンカーバイト)やGaN(ガリュームナイトライド)などのワイドバンドギャップ半導体素子であってもよい。
【0113】
以上説明したように、幾つかの実施例によれば、有効電力や無効電力を利用することで、コントローラに設定する磁石モータの電気回路定数の調整なしに、高精度な制御特性を有する電力変換装置を実現できる。
【符号の説明】
【0114】
1…電力変換装置、10…磁石モータ、2…電力変換器、3…直流電源、4…電流検出器、5…座標変換部、6…速度制御演算部、7…推定誘起電圧係数の推定演算部、8…ベクトル制御演算部、9…周波数・位相推定演算部、11…座標変換部、
121…ロータ温度推定演算部、122…コントローラ、
112…電力変換装置のデジタル・オペレータ、21…電圧検出器、22…電流検出器、23…エンコーダ、24…ベクトル電流成分の計算部、25…各部電流波形の観測部、26…比例ゲイン、27…積分ゲイン、31…端末
id
*…d軸の電流指令値、iq
*…q軸電流の指令値、ωr
^…周波数推定値、ωr…磁石モータ10の周波数、vdc
*、 vdc
**、vdc
**、vdc
***、vdc
****、vdc
*****…d軸の電圧指令値、
vqc
*、 vqc
**、vqc
***、vqc
****、vqc
*****…q軸の電圧指令値、PC…第1の有効電力、PC
^…第2の有効電力、QC…第1の無効電力、QC
^…第2の無効電力、Ke
*…誘起電圧係数の設定値、ΔKe
*…誘起電圧係数の補正値、Ke
**…誘起電圧係数の推定値