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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-05
(45)【発行日】2024-03-13
(54)【発明の名称】液晶表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1343 20060101AFI20240306BHJP
   G02F 1/1335 20060101ALI20240306BHJP
   G02F 1/1368 20060101ALI20240306BHJP
【FI】
G02F1/1343
G02F1/1335 520
G02F1/1368
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2020156311
(22)【出願日】2020-09-17
(65)【公開番号】P2021096461
(43)【公開日】2021-06-24
【審査請求日】2023-06-16
(31)【優先権主張番号】P 2019225483
(32)【優先日】2019-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101683
【弁理士】
【氏名又は名称】奥田 誠司
(74)【代理人】
【識別番号】100155000
【弁理士】
【氏名又は名称】喜多 修市
(74)【代理人】
【識別番号】100139930
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 亮司
(74)【代理人】
【識別番号】100125922
【弁理士】
【氏名又は名称】三宅 章子
(74)【代理人】
【識別番号】100184985
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 悠
(74)【代理人】
【識別番号】100202197
【弁理士】
【氏名又は名称】村瀬 成康
(74)【代理人】
【識別番号】100202142
【弁理士】
【氏名又は名称】北 倫子
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 貴啓
(72)【発明者】
【氏名】倪 明
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 孝
(72)【発明者】
【氏名】伊奈 恵一
(72)【発明者】
【氏名】西 修司
【審査官】鈴木 俊光
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/034786(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/069484(WO,A1)
【文献】特開2004-012631(JP,A)
【文献】特開2000-137243(JP,A)
【文献】特開平10-068931(JP,A)
【文献】特開2005-062688(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0016322(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/1343
G02F 1/136 - 1/1368
G02F 1/1335
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基板と、
前記第1基板に対向する第2基板と、
前記第1基板と前記第2基板との間に設けられた液晶層と、
を備え、
複数の行および複数の列を含むマトリクス状に配列された複数の画素を有する液晶表示装置であって、
前記複数の画素のそれぞれは、反射モードで表示を行う反射領域を含み、
前記第1基板は、前記複数の画素のそれぞれに設けられた画素電極と、前記画素電極に対して前記液晶層とは反対側に位置する反射層と、を有し、
前記反射層は、前記複数の画素のそれぞれ内に位置する第1領域と、前記複数の画素のうちの互いに隣接する任意の2つの画素間に位置する第2領域とを含み、
前記複数の画素のうちの行方向に沿って互いに隣接する任意の2つの画素、前記複数の画素のうちの列方向に沿って互いに隣接する任意の2つの画素、または、前記複数の画素のすべての画素、の前記液晶層に同極性の電圧が印加され
前記第1基板は、前記反射層を覆うように設けられた透明絶縁層をさらに有し、
前記画素電極は、透明導電材料から形成されており、前記透明絶縁層上に配置されており、
前記複数の画素のそれぞれは、透過モードで表示を行う透過領域をさらに含み、
前記画素電極の一部が前記透過領域内に位置している、液晶表示装置。
【請求項2】
前記透過領域における前記液晶層の厚さは、前記反射領域における前記液晶層の厚さよりも大きい、請求項に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記第1基板は、前記画素電極に電気的に接続されたバックプレーン回路と、前記バックプレーン回路を覆うように設けられたさらなる透明絶縁層とを有し、
前記反射層は、前記さらなる透明絶縁層上に配置されており、
前記さらなる透明絶縁層は、前記透過領域内に形成された第1コンタクトホールを有し、
前記透明絶縁層は、前記透過領域内に形成された第2コンタクトホールを有し、
前記第1基板は、前記第1コンタクトホールおよび前記第2コンタクトホールにおいて前記画素電極と前記バックプレーン回路とを電気的に接続するコンタクト部をさらに有し、
前記コンタクト部は、透明導電材料から形成されている、請求項またはに記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記第1基板は、前記液晶層に接するように設けられた第1配向膜を有し、
前記第2基板は、前記液晶層に接するように設けられた第2配向膜を有し、
前記第1配向膜および前記第2配向膜の少なくとも一方は、前記透過領域と前記反射領域とで異なるプレチルト方位を規定する、請求項からのいずれかに記載の液晶表示装置。
【請求項5】
前記第1配向膜および前記第2配向膜の前記少なくとも一方には光配向処理が施されている、請求項に記載の液晶表示装置。
【請求項6】
前記第2基板は、前記画素電極に対向するように設けられた対向電極を有し、
前記対向電極は、透明導電材料から形成されている、請求項からのいずれかに記載の液晶表示装置。
【請求項7】
前記第2基板は、第1の色の光を透過する第1カラーフィルタ、第2の色の光を透過する第2カラーフィルタおよび第3の色の光を透過する第3カラーフィルタを含むカラーフィルタ層を有し、
前記第2基板は、前記第1カラーフィルタ、前記第2カラーフィルタおよび前記第3カラーフィルタのいずれもが設けられていない無色領域を含み、
表示面法線方向から見たとき、前記無色領域は、前記反射層の前記第2領域の少なくとも一部に重なる、請求項1から6のいずれかに記載の液晶表示装置。
【請求項8】
表示面法線方向から見たとき、前記無色領域は、前記画素電極に重ならない、請求項7に記載の液晶表示装置。
【請求項9】
第1基板と、
前記第1基板に対向する第2基板と、
前記第1基板と前記第2基板との間に設けられた液晶層と、
を備え、
複数の行および複数の列を含むマトリクス状に配列された複数の画素を有する液晶表示装置であって、
前記複数の画素のそれぞれは、反射モードで表示を行う反射領域を含み、
前記第1基板は、前記複数の画素のそれぞれに設けられた画素電極と、前記画素電極に対して前記液晶層とは反対側に位置する反射層と、を有し、
前記反射層は、前記複数の画素のそれぞれ内に位置する第1領域と、前記複数の画素のうちの互いに隣接する任意の2つの画素間に位置する第2領域とを含み、
前記複数の画素のうちの行方向に沿って互いに隣接する任意の2つの画素、前記複数の画素のうちの列方向に沿って互いに隣接する任意の2つの画素、または、前記複数の画素のすべての画素、の前記液晶層に同極性の電圧が印加され、
前記第2基板は、第1の色の光を透過する第1カラーフィルタ、第2の色の光を透過する第2カラーフィルタおよび第3の色の光を透過する第3カラーフィルタを含むカラーフィルタ層を有し、
前記第2基板は、前記第1カラーフィルタ、前記第2カラーフィルタおよび前記第3カラーフィルタのいずれもが設けられていない無色領域を含み、
表示面法線方向から見たとき、前記無色領域は、前記反射層の前記第2領域の少なくとも一部に重なる、液晶表示装置。
【請求項10】
表示面法線方向から見たとき、前記無色領域は、前記画素電極に重ならない、請求項に記載の液晶表示装置。
【請求項11】
前記第2基板は、前記複数の画素のうちの互いに隣接する任意の2つの画素間にはブラックマトリクスを有しない、請求項1から10のいずれかに記載の液晶表示装置。
【請求項12】
前記複数の画素のそれぞれに接続されたメモリ回路をさらに備える、請求項1から11のいずれかに記載の液晶表示装置。
【請求項13】
前記複数の画素のすべての画素の前記液晶層に同極性の電圧が印加される、請求項1から12のいずれかに記載の液晶表示装置。
【請求項14】
前記反射層の前記第1領域および前記第2領域のそれぞれは、凹凸表面構造を有する、請求項1から13のいずれかに記載の液晶表示装置。
【請求項15】
前記液晶層よりも観察者側に配置された光散乱層をさらに備える、請求項1から13のいずれかに記載の液晶表示装置。
【請求項16】
前記液晶層は、液晶分子および二色性色素を含む、請求項1から15のいずれかに記載の液晶表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置に関し、特に、各画素が反射領域を含む液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置は、一般に、透過型液晶表示装置と、反射型液晶表示装置とに大別される。透過型液晶表示装置は、バックライトから出射された光を用いた透過モードの表示を行う。反射型液晶表示装置は、周囲光を用いた反射モードの表示を行う。また、各画素が反射モードで表示を行う反射領域と透過モードで表示を行う透過領域とを含む液晶表示装置が提案されている。このような液晶表示装置は、半透過型(Transflective)または透過反射両用型液晶表示装置と呼ばれる。
【0003】
反射型および半透過型液晶表示装置は、例えば、屋外で利用されるモバイル用途の中小型の表示装置として好適に用いられている。反射型液晶表示装置は、例えば特許文献1に開示されている。半透過型液晶表示装置は、例えば特許文献2に開示されている。
【0004】
特許文献1に開示されている反射型液晶表示装置では、TFT基板に設けられた反射電極が凹凸形状を有している。また、特許文献2に開示されている半透過型液晶表示装置では、反射領域に設けられた反射電極が凹凸形状を有している。反射電極が凹凸形状を有していることにより、周囲光を拡散反射してペーパーホワイトに近い表示を実現することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2000-122094号公報
【文献】特開2003-131268号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
反射型および半透過型液晶表示装置、つまり、各画素が反射モードで表示を行う領域(反射領域)を含む液晶表示装置において、反射モードの表示における光の利用効率(反射率)のいっそうの向上(つまり反射モードでいっそう明るい表示を行い得ること)が要望されている。
【0007】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、各画素が反射モードで表示を行う反射領域を含む液晶表示装置において、従来よりも反射率を向上させ、従来よりも明るい表示を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の実施形態によると、以下の項目に記載の液晶表示装置が提供される。
【0009】
[項目1]
第1基板と、
前記第1基板に対向する第2基板と、
前記第1基板と前記第2基板との間に設けられた液晶層と、
を備え、
複数の行および複数の列を含むマトリクス状に配列された複数の画素を有する液晶表示
装置であって、
前記複数の画素のそれぞれは、反射モードで表示を行う反射領域を含み、
前記第1基板は、前記複数の画素のそれぞれに設けられた画素電極と、前記画素電極に対して前記液晶層とは反対側に位置する反射層と、を有し、
前記反射層は、前記複数の画素のそれぞれ内に位置する第1領域と、前記複数の画素のうちの互いに隣接する任意の2つの画素間に位置する第2領域とを含み、
前記複数の画素のうちの行方向に沿って互いに隣接する任意の2つの画素、前記複数の画素のうちの列方向に沿って互いに隣接する任意の2つの画素、または、前記複数の画素のすべての画素、の前記液晶層に同極性の電圧が印加される、液晶表示装置。
【0010】
[項目2]
前記第2基板は、前記複数の画素のうちの互いに隣接する任意の2つの画素間にはブラックマトリクスを有しない、項目1に記載の液晶表示装置。
【0011】
[項目3]
前記第1基板は、前記反射層を覆うように設けられた透明絶縁層をさらに有し、
前記画素電極は、透明導電材料から形成されており、前記透明絶縁層上に配置されている、項目1または2に記載の液晶表示装置。
【0012】
[項目4]
前記複数の画素のそれぞれは、透過モードで表示を行う透過領域をさらに含み、
前記画素電極の一部が前記透過領域内に位置している、項目3に記載の液晶表示装置。
【0013】
[項目5]
前記透過領域における前記液晶層の厚さは、前記反射領域における前記液晶層の厚さよりも大きい、項目4に記載の液晶表示装置。
【0014】
[項目6]
前記第1基板は、前記画素電極に電気的に接続されたバックプレーン回路と、前記バックプレーン回路を覆うように設けられたさらなる透明絶縁層とを有し、
前記反射層は、前記さらなる透明絶縁層上に配置されており、
前記さらなる透明絶縁層は、前記透過領域内に形成された第1コンタクトホールを有し、
前記透明絶縁層は、前記透過領域内に形成された第2コンタクトホールを有し、
前記第1基板は、前記第1コンタクトホールおよび前記第2コンタクトホールにおいて前記画素電極と前記バックプレーン回路とを電気的に接続するコンタクト部をさらに有し、
前記コンタクト部は、透明導電材料から形成されている、項目4または5に記載の液晶表示装置。
【0015】
[項目7]
前記第1基板は、前記液晶層に接するように設けられた第1配向膜を有し、
前記第2基板は、前記液晶層に接するように設けられた第2配向膜を有し、
前記第1配向膜および前記第2配向膜の少なくとも一方は、前記透過領域と前記反射領域とで異なるプレチルト方位を規定する、項目4から6のいずれかに記載の液晶表示装置。
【0016】
[項目8]
前記第1配向膜および前記第2配向膜の前記少なくとも一方には光配向処理が施されて
いる、項目7に記載の液晶表示装置。
【0017】
[項目9]
前記第2基板は、前記画素電極に対向するように設けられた対向電極を有し、
前記対向電極は、透明導電材料から形成されている、項目3から8のいずれかに記載の液晶表示装置。
【0018】
[項目10]
前記複数の画素のそれぞれに接続されたメモリ回路をさらに備える、項目1から9のいずれかに記載の液晶表示装置。
【0019】
[項目11]
前記複数の画素のすべての画素の前記液晶層に同極性の電圧が印加される、項目1から10のいずれかに記載の液晶表示装置。
【0020】
[項目12]
前記第2基板は、第1の色の光を透過する第1カラーフィルタ、第2の色の光を透過する第2カラーフィルタおよび第3の色の光を透過する第3カラーフィルタを含むカラーフィルタ層を有し、
前記第2基板は、前記第1カラーフィルタ、前記第2カラーフィルタおよび前記第3カラーフィルタのいずれもが設けられていない無色領域を含み、
表示面法線方向から見たとき、前記無色領域は、前記反射層の前記第2領域の少なくとも一部に重なる、項目1から11のいずれかに記載の液晶表示装置。
【0021】
[項目13]
表示面法線方向から見たとき、前記無色領域は、前記画素電極に重ならない、項目12に記載の液晶表示装置。
【0022】
[項目14]
前記反射層の前記第1領域および前記第2領域のそれぞれは、凹凸表面構造を有する、項目1から13のいずれかに記載の液晶表示装置。
【0023】
[項目15]
前記液晶層よりも観察者側に配置された光散乱層をさらに備える、項目1から13のいずれかに記載の液晶表示装置。
【0024】
[項目16]
前記液晶層は、液晶分子および二色性色素を含む、項目1から15のいずれかに記載の液晶表示装置。
【発明の効果】
【0025】
本発明の実施形態によると、各画素が反射モードで表示を行う反射領域を含む液晶表示装置において、従来よりも反射率を向上させ、従来よりも明るい表示を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の実施形態による液晶表示装置100を模式的に示す平面図であり、液晶表示装置100の3つの画素Pに対応した領域を示している。
図2A】液晶表示装置100を模式的に示す断面図であり、図1中の2A-2A’線に沿った断面構造を示している。
図2B】液晶表示装置100を模式的に示す断面図であり、図1中の2B-2B’線に沿った断面構造を示している。
図3】液晶表示装置100の各画素Pが複数のサブ画素Spに分割された構成の例を示す平面図である。
図4図3に示した構成を用いた階調表示の例を示す図である。
図5】比較例の液晶表示装置900を示す平面図であり、液晶表示装置900の3つの画素Pに対応した領域を示している。
図6A】液晶表示装置900を示す断面図であり、図5中の6A-6A’線に沿った断面構造を示している。
図6B】液晶表示装置900を示す断面図であり、図5中の6B-6B’線に沿った断面構造を示している。
図7】本発明の実施形態による他の液晶表示装置200を模式的に示す平面図であり、液晶表示装置200の3つの画素Pに対応した領域を示している。
図8A】液晶表示装置200を模式的に示す断面図であり、図7中の8A-8A’線に沿った断面構造を示している。
図8B】液晶表示装置200を模式的に示す断面図であり、図7中の8B-8B’線に沿った断面構造を示している。
図9】本発明の実施形態によるさらに他の液晶表示装置300を模式的に示す平面図であり、液晶表示装置300の3つの画素Pに対応した領域を示している。
図10A】液晶表示装置300を模式的に示す断面図であり、図9中の10A-10A’線に沿った断面構造を示している。
図10B】液晶表示装置300を模式的に示す断面図であり、図9中の10B-10B’線に沿った断面構造を示している。
図11】本発明の実施形態によるさらに他の液晶表示装置400を模式的に示す平面図であり、液晶表示装置400の3つの画素Pに対応した領域を示している。
図12A】液晶表示装置400を模式的に示す断面図であり、図11中の12A-12A’線に沿った断面構造を示している。
図12B】液晶表示装置400を模式的に示す断面図であり、図11中の12B-12B’線に沿った断面構造を示している。
図13】本発明の実施形態によるさらに他の液晶表示装置500を模式的に示す平面図であり、液晶表示装置500の3つの画素Pに対応した領域を示している。
図14A】液晶表示装置500を模式的に示す断面図であり、図13中の14A-14A’線に沿った断面構造を示している。
図14B】液晶表示装置500を模式的に示す断面図であり、図13中の14B-14B’線に沿った断面構造を示している。
図15】本発明の実施形態によるさらに他の液晶表示装置600を模式的に示す平面図であり、液晶表示装置600の3つの画素Pに対応した領域を示している。
図16A】液晶表示装置600を模式的に示す断面図であり、図15中の16A-16A’線に沿った断面構造を示している。
図16B】液晶表示装置600を模式的に示す断面図であり、図15中の16B-16B’線に沿った断面構造を示している。
図17】実施例7の液晶表示装置700を示す断面図である。
図18】本発明の実施形態によるさらに他の液晶表示装置800を模式的に示す平面図であり、液晶表示装置800の3つの画素Pに対応した領域を示している。
図19A】液晶表示装置800を模式的に示す断面図であり、図18中の19A-19A’線に沿った断面構造を示している。
図19B】液晶表示装置800を模式的に示す断面図であり、図18中の19B-19B’線に沿った断面構造を示している。
図20】本発明の実施形態によるさらに他の液晶表示装置1000を模式的に示す平面図であり、液晶表示装置1000の3つの画素Pに対応した領域を示している。
図21A】液晶表示装置1000を模式的に示す断面図であり、図20中の21A-21A’線に沿った断面構造を示している。
図21B】液晶表示装置1000を模式的に示す断面図であり、図20中の21B-21B’線に沿った断面構造を示している。
図22A】光散乱層41の配置の他の例を示す図である。
図22B】光散乱層41の配置のさらに他の例を示す図である。
図22C】光散乱層41の配置のさらに他の例を示す図である。
図23】本発明の実施形態によるさらに他の液晶表示装置1100を模式的に示す平面図であり、液晶表示装置1100の3つの画素Pに対応した領域を示している。
図24A】液晶表示装置1100を模式的に示す断面図であり、図23中の24A-24A’線に沿った断面構造を示している。
図24B】液晶表示装置1100を模式的に示す断面図であり、図23中の24B-24B’線に沿った断面構造を示している。
図25】本発明の実施形態によるさらに他の液晶表示装置1200を模式的に示す平面図であり、液晶表示装置1200の3つの画素Pに対応した領域を示している。
図26A】液晶表示装置1200を模式的に示す断面図であり、図25中の26A-26A’線に沿った断面構造を示している。
図26B】液晶表示装置1200を模式的に示す断面図であり、図25中の26B-26B’線に沿った断面構造を示している。
図27】本発明の実施形態によるさらに他の液晶表示装置1300を模式的に示す平面図であり、液晶表示装置1300の3つの画素Pに対応した領域を示している。
図28A】液晶表示装置1300を模式的に示す断面図であり、図27中の28A-28A’線に沿った断面構造を示している。
図28B】液晶表示装置1300を模式的に示す断面図であり、図27中の28B-28B’線に沿った断面構造を示している。
図29】本発明の実施形態によるさらに他の液晶表示装置1400を模式的に示す平面図であり、液晶表示装置1400の3つの画素Pに対応した領域を示している。
図30A】液晶表示装置1400を模式的に示す断面図であり、図29中の30A-30A’線に沿った断面構造を示している。
図30B】液晶表示装置1400を模式的に示す断面図であり、図29中の30B-30B’線に沿った断面構造を示している。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0028】
(実施形態1)
図1図2Aおよび図2Bを参照しながら、本実施形態における液晶表示装置100を説明する。本実施形態の液晶表示装置100は、反射型の液晶表示装置である。図1は、液晶表示装置100を模式的に示す平面図であり、液晶表示装置100の3つの画素Pに対応した領域を示している。図2Aおよび図2Bは、液晶表示装置100を模式的に示す断面図であり、それぞれ図1中の2A-2A’線および2B-2B’線に沿った断面構造を示している。
【0029】
液晶表示装置100は、図1に示すように、複数の画素Pを有する。複数の画素Pは、複数の行および複数の列を含むマトリクス状に配列されている。複数の画素Pは、典型的には、赤を表示する赤画素P、緑を表示する緑画素Pおよび青を表示する青画素Pを含む。
【0030】
また、液晶表示装置100は、図2に示すように、TFT基板(第1基板)10と、TFT基板10に対向する対向基板(第2基板)20と、TFT基板10と対向基板20との間に設けられた液晶層30とを備える。各画素Pは、反射モードで表示を行う反射領域Rfを含んでおり、透過モードで表示を行う領域(つまり透過領域)を含んでいない。
【0031】
TFT基板10は、複数の画素Pのそれぞれに設けられた画素電極11と、画素電極11に対して液晶層30とは反対側(つまり画素電極11よりも背面側)に位置する反射層12とを有する。TFT基板10は、さらに、第1層間絶縁層13、第2層間絶縁層14、コンタクト部CPおよび第1配向膜15を有する。
【0032】
TFT基板10の構成要素(上述した画素電極11等)は、基板10aによって支持されている。基板10aは、例えばガラス基板またはプラスチック基板である。
【0033】
基板10a上には、画素Pを駆動するための回路(バックプレーン回路)が形成されている(不図示)。ここでは、バックプレーン回路は、複数の画素Pのそれぞれに接続されたメモリ回路(例えばSRAM)を有する。画素Pごとにメモリ回路が設けられた液晶表示装置は、「メモリ液晶」と呼ばれることもある。メモリ液晶の具体的な構成は、例えば、特許第5036864号公報(米国特許第8692758号明細書に対応)に開示されている。特許第5036864号公報および米国特許第8692758号明細書のすべての開示内容を参考のために本明細書に援用する。
【0034】
第1層間絶縁層13は、バックプレーン回路を覆うように設けられている。第1層間絶縁層13の表面は、凹凸形状を有する。つまり、第1層間絶縁層13は、凹凸表面構造を有する。凹凸表面構造を有する第1層間絶縁層13は、例えば、特許第3394926号公報に記載されているように感光性樹脂を用いて形成され得る。
【0035】
反射層12は、第1層間絶縁層13上に設けられている。反射層12は、反射率の高い金属材料から形成されている。ここでは、反射層12を形成するための金属材料として銀合金を用いるが、これに限定されず、例えばアルミニウムまたはアルミニウム合金を用いてもよい。反射層12の表面は、第1層間絶縁層13の凹凸表面構造が反映された凹凸形状を有する。つまり、反射層12も凹凸表面構造を有する。反射層12の凹凸表面構造は、周囲光を拡散反射してペーパーホワイトに近い表示を実現するために設けられている。凹凸表面構造は、例えば、隣り合う凸部pの中心間隔が5μm以上50μm以下、好ましくは10μm以上20μm以下となるようにランダムに配置された複数の凸部pで構成され得る。基板10aの法線方向からみたとき、凸部pの形状は略円形または略多角形である。画素Pに占める凸部pの面積は、例えば約20%から40%である。凸部pの高さは、例えば1μm以上5μm以下である。
【0036】
第2層間絶縁層14は、反射層12を覆うように設けられた透明絶縁層である。
【0037】
画素電極11は、第2層間絶縁層14上に配置されている。つまり、画素電極11は、透明絶縁層14を介して反射層12上に設けられている。画素電極11は、透明導電材料から形成されている。透明導電材料としては、例えば、インジウム錫酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO(登録商標))、またはこれらの混合物を用いることができる。画素電極11は、メモリ回路を含むバックプレーン回路に電気的に接続されている。
【0038】
コンタクト部CPは、第1層間絶縁層13に形成された第1コンタクトホールCH1および第2層間絶縁層14に形成された第2コンタクトホールCH2において、画素電極11とバックプレーン回路とを電気的に接続する。図示している例では、コンタクト部CPは、第1コンタクト電極16、第2コンタクト電極17および第3コンタクト電極18から構成されている。
【0039】
第1コンタクト電極16は、第1コンタクトホールCH1内に露出した電極(または配線の一部)である。第2コンタクト電極17は、第1層間絶縁層13上および第1コンタクトホールCH1内に形成されており、第1コンタクトホールCH1内で第1コンタクト電極16に接続されている。また、第2コンタクト電極17の一部は、第2コンタクトホールCH2内に露出している。第3コンタクト電極18は、第2コンタクトホールCH2内において、第2コンタクト電極17と画素電極11とに接続されている。言い換えると、第3コンタクト電極18は、第2コンタクト電極17と画素電極11との間に介在している。なお、図示している例では、第2コンタクト電極17と同じ導電膜から(つまり第2コンタクト電極17と同層に)形成された導電層19が反射層12と第1層間絶縁層13との間に介在している。また、第3コンタクト電極18は、反射層12と同じ金属膜から(つまり反射層12と同層に)形成されている。導電層19および第3コンタクト電極18は、省略されてもよい。
【0040】
対向基板20は、対向電極21および第2配向膜25を有する。また、対向基板20は、カラーフィルタ層および複数の柱状スペーサ(いずれも不図示)をさらに有する。対向基板20の構成要素(上述した対向電極21等)は、基板20aによって支持されている。基板20aは、例えばガラス基板またはプラスチック基板である。なお、対向基板20は、互いに隣接する任意の2つの画素P間にはブラックマトリクス(遮光層)を有しない。
【0041】
対向電極21は、画素電極11に対向するように設けられている。対向電極21は、透明導電材料から形成されている。対向電極21を形成するための透明導電材料としては、画素電極11と同様の材料を用いることができる。ここでは、対向電極21に与えられる電位(共通電位)と同じ電位が反射層12に与えられ、画素電極11と反射層12とこれらの間に位置する第2層間絶縁層14とによって補助容量が形成される。
【0042】
カラーフィルタ層は、典型的には、赤画素Pに対応する領域に設けられた赤カラーフィルタ、緑画素Pに対応する領域に設けられた緑カラーフィルタ、および、青画素PBに対応する領域に設けられた青カラーフィルタを含む。カラーフィルタ層の、異なる色の画素P間に対応する領域は、例えば、異なる色のカラーフィルタで略等分されている。
【0043】
柱状スペーサは、液晶層30の厚さ(セルギャップ)を規定する。柱状スペーサは、感光性樹脂から形成することができる。
【0044】
液晶層30は、ここでは、誘電異方性が負の(つまりネガ型の)ネマチック液晶材料と、カイラル剤とを含む。液晶層30は、例えば滴下法により形成することができる。
【0045】
第1配向膜15および第2配向膜25は、それぞれ液晶層30に接するように設けられている。ここでは、第1配向膜15および第2配向膜25のそれぞれは、垂直配向膜である。第1配向膜15および第2配向膜25の少なくとも一方は、配向処理を施されており、プレチルト方位を規定する。液晶層30の液晶分子は、液晶層30に電圧が印加されていない状態では垂直配向し、液晶層30に所定の電圧が印加された状態ではツイスト配向する。
【0046】
また、ここでは図示していないが、液晶表示装置100は、液晶層30の観察者側に配置された偏光板をさらに備える。また、偏光板と液晶層30との間に、位相差板が設けられていてもよい。偏光板(および位相差板)は、例えば、ノーマリブラックモードで表示が行われるように配置される。
【0047】
反射層12は、複数の画素Pのそれぞれ内に位置する第1領域12aと、互いに隣接する任意の2つの画素P間に位置する第2領域12bとを含んでいる。反射層12の凹凸表面構造は、第1領域12aおよび第2領域12bのそれぞれに形成されている。つまり、第1領域12aだけでなく第2領域12bも凹凸表面構造を有している。
【0048】
液晶表示装置100では、以下の駆動方式のいずれかが用いられる。
【0049】
方式(A):複数の画素Pのうちの行方向に沿って互いに隣接する任意の2つの画素Pの液晶層30に同極性の電圧が印加される。行ライン反転駆動(Hライン反転駆動)と呼ばれる駆動方式であり、複数行ごとに極性が反転する態様(2Hライン反転駆動等)も含む。
【0050】
方式(B):複数の画素Pのうちの列方向に沿って互いに隣接する任意の2つの画素Pの液晶層30に同極性の電圧が印加される。列ライン反転駆動(Vライン反転駆動)と呼ばれる駆動方式であり、複数列ごとに極性が反転する態様(2Vライン反転駆動等)も含む。
【0051】
方式(C):複数の画素Pのすべての画素Pの液晶層30に同極性の電圧が印加される。フィールド反転駆動(フレーム反転駆動)と呼ばれる駆動方式である。
【0052】
上述したように、本実施形態の液晶表示装置100では、反射層12が、画素P内に位置する第1領域12aだけでなく、隣接する2つの画素P間に位置する第2領域12bを含んでいる。従って、画素P間の領域も反射表示に寄与させることができるので、反射開口率(表示領域内で反射モードの表示に寄与する領域が占める割合)が向上し、反射率のいっそうの向上を図ることができる。そのため、反射モードでいっそう明るい表示を行うことができる。
【0053】
また、本実施形態の液晶表示装置100では、上述した方式(A)、(B)、(C)のいずれかで駆動が行われる。これにより、反射率を向上する(表示を明るくする)効果が高くなる。以下、この理由を説明する。
【0054】
液晶表示装置の駆動方式として、ドット反転駆動と呼ばれる方式がよく知られており、広く用いられている。ドット反転駆動では、複数の画素のうちの互いに隣接する任意の2つの画素の液晶層に、異なる極性の電圧が印加される。つまり、行方向に沿って1画素ごとに印加電圧の極性が反転し、列方向に沿っても1画素ごとに印加電圧の極性が反転する。ドット反転駆動のように、隣接画素同士で液晶層への印加電圧の極性が逆である場合、画素間に発生する斜め電界の影響により、画素間に位置する液晶分子が、明るさに寄与するように配向しないおそれがある。
【0055】
これに対し、本実施形態では、行方向および列方向の少なくとも一方に沿っては、隣接する画素P同士で印加電圧の極性が同じである(反転しない)ので、同極性の電圧が印加される画素P同士の間に位置する液晶分子を、明るさに寄与するように配向させることができる。そのため、反射率を向上する効果が高くなる。なお、反射率のいっそうの向上を図る観点からは、方式(A)および(B)よりも、方式(C)が好ましい。つまり、複数の画素Pのすべての画素Pの液晶層30に同極性の電圧が印加される、フィールド反転駆動が好ましい。
【0056】
なお、本実施形態の液晶表示装置100では、画素P間の領域を反射モードの表示に寄与させるので、対向基板20は、複数の画素Pのうちの互いに隣接する任意の2つの画素P間にブラックマトリクスを有しないことが好ましい。
【0057】
また、本実施形態では、反射層12を覆うように透明絶縁層14が設けられており、透明導電材料から形成された画素電極11が透明絶縁層14上に配置されている。そのため、透明導電材料から形成された画素電極11と、透明導電材料から形成された対向電極21とが液晶層30を介して対向している。これに対し、一般的な反射型液晶表示装置では、画素電極が反射層を兼ねた反射電極であるので、金属材料から形成された画素電極(反射電極)と、透明導電材料から形成された対向電極とが、液晶層を介して対向している。そのため、金属材料と透明導電材料との仕事関数の差に起因したフリッカが発生することがある。本実施形態では、画素電極11と、対向電極21とが同種の電極材料(いずれも透明導電材料)から形成されていることにより、このようなフリッカの発生が抑制される。
【0058】
なお、上述したように、従来の一般的な反射型液晶表示装置では画素電極が反射層を兼ねているので、反射層を画素間に配置することはできない。
【0059】
[階調表示の例]
メモリ液晶の場合に階調表示を行うための構成の例を説明する。
【0060】
各画素Pは、図3に示すように、複数のサブ画素Spに分割されていてもよい。図3には、1つの画素Pが3つのサブ画素Spに分割された例を示している。この例では、画素電極11は、3つのサブ画素電極11aに分割されている。3つのサブ画素電極11aのうち、図中の上側および下側に配置されている2つのサブ画素電極11aは、共通の1つのメモリ回路に電気的に接続されており、図中の中央に配置されている1つのサブ画素電極11aは、別の1つのメモリ回路に電気的に接続されている。つまり、各画素Pに対して2つのメモリ回路が設けられている。
【0061】
図3に示したように画素Pが分割されていることにより、図4に示すように、面積階調法による4階調表示を行うことができる。具体的には、図4のもっとも左側に示しているように、3つのサブ画素Spをすべて黒表示状態にすることにより、1画素P全体として黒表示を行うことができ、図4の左側から2番目に示しているように、2つのサブ画素Spを黒表示状態とし、1つのサブ画素Spを白表示状態とすることにより、1画素P全体として暗い中間調表示を行うことができる。また、図4の左側から3番目に示しているように、2つのサブ画素Spを白表示状態とし、1つのサブ画素Spを黒表示状態とすることにより、1画素P全体として明るい中間調表示を行うことができ、図4のもっとも右側に示しているように、3つのサブ画素Spをすべて白表示状態にすることにより、1画素P全体として白表示を行うことができる。
【0062】
なお、3つのサブ画素電極11aが、それぞれ別のメモリ回路に電気的に接続されていても(つまり各画素Pに3つのメモリ回路が設けられていても)よい。
【0063】
[反射開口率および反射率の改善効果の検証結果]
本実施形態の液晶表示装置100を作製し(実施例1)、反射開口率および反射率の改善効果を検証した結果を説明する。作製した液晶表示装置100の画面サイズは1.2型であり、1つの画素Pのサイズは、縦126μm×横42μmであった。TFT基板10の第1配向膜15および対向基板20の第2配向膜25のうち、第2配向膜25にのみラビング処理を行った。従って、第1配向膜15および第2配向膜25のうち、第2配向膜25のみがプレチルト方位を規定する。液晶層30の厚さ(セルギャップ)は3μmであり、液晶層30の液晶材料には、白電圧印加時(つまり液晶分子が水平配向した状態)においてツイスト角が70°となるようにカイラル剤を添加した。駆動方式は、フィールド反転駆動(方式(C))である。
【0064】
実施例1に加え、比較例1および比較例2の液晶表示装置も作製し、実施例1との比較を行った。図5図6Aおよび図6Bに、比較例1の液晶表示装置900を示す。図5は、液晶表示装置900を示す平面図であり、液晶表示装置900の3つの画素Pに対応した領域を示している。図6Aおよび図6Bは、液晶表示装置900を示す断面図であり、それぞれ図5中の6A-6A’線および6B-6B’線に沿った断面構造を示している。
【0065】
比較例1の液晶表示装置900は、図5図6Aおよび図6Bに示すように、画素電極を兼ねた反射層(反射電極)912が、第2層間絶縁層14上に設けられている点において、本実施形態の液晶表示装置100と異なっている。反射電極912は、各画素P内に位置する領域912aを含んでいるが、隣接する画素P間に位置する領域を含んでいない。ここでは、液晶表示装置900を、反射型の液晶表示装置として用いた。また、液晶表示装置900の駆動方式は、フィールド反転駆動である。
【0066】
比較例2の液晶表示装置は、実施例1の液晶表示装置100と同様の画素構造(電極構造)を有しているが、ドット反転駆動が行われる点において、実施例1と異なっている。
【0067】
表1に、比較例1、比較例2および実施例1について、得られた反射開口率および反射率を示す。
【0068】
【表1】
【0069】
表1からわかるように、実施例1では、比較例1よりも反射開口率および反射率が向上しており、反射開口率および反射率の両方が改善されていることがわかる。また、比較例2では、比較例1よりも反射開口率が向上しているものの、反射率の向上はわずかであった。このことから、隣接する2つの画素Pに異なる極性の電圧が印加される場合、画素P間に反射層12が位置していても、画素P間の液晶分子が明るさの向上にあまり寄与しないことが確認された。
【0070】
[他の態様]
ここでは、画素Pごとにメモリ回路を有するバックプレーン回路を例示したが、バックプレーン回路はこの例に限定されない。バックプレーン回路は、一般的なアクティブマトリクス基板のように、画素電極11に接続されたTFTおよびTFTに接続されたゲートバスライン、ソースバスラインなどを含んでいてもよい。TFTは、例えば、活性層として、アモルファスシリコン層、ポリシリコン層、またはIn-Ga-Zn-O系半導体を含む酸化物半導体層を有するTFT(特開2014-007399号公報参照)である。特開2014-007399号公報を参考のために本明細書に援用する。
【0071】
なお、実施例1として、一方の垂直配向膜だけがプレチルト方位を規定するVA-HANモードを例示したが、両方の垂直配向膜がプレチルト方位を規制するVA-TNモードであってもよい。また、第1配向膜15および第2配向膜25として、垂直配向膜に代えて、水平配向膜を用いてもよい。また、液晶層30は、誘電異方性が負のネマチック液晶材料に代えて、誘電異方性が正の(つまりポジ型の)ネマチック液晶材料を含んでもよいし、カイラル剤を含んでいなくてもよい。
【0072】
(実施形態2)
図7図8Aおよび図8Bを参照しながら、本実施形態における液晶表示装置200を説明する。本実施形態の液晶表示装置200は、半透過型の液晶表示装置である。図7は、液晶表示装置200を模式的に示す平面図であり、液晶表示装置200の3つの画素Pに対応した領域を示している。図8Aおよび図8Bは、液晶表示装置200を模式的に示す断面図であり、それぞれ図7中の8A-8A’線および8B-8B’線に沿った断面構造を示している。以下では、本実施形態の液晶表示装置200が、実施形態1における液晶表示装置100と異なる点を中心に説明を行う。
【0073】
本実施形態の液晶表示装置200は、複数の画素Pのそれぞれが、反射領域Rfに加え、透過モードで表示を行う透過領域Trを含む点において、実施形態1の液晶表示装置100と異なっている。透過領域Tr内には、画素電極11の一部が位置している。図示している例では、画素Pの中央に透過領域Trが位置している。ここでは、透過領域Trにおける液晶層30の厚さdtと、反射領域Rfにおける液晶層30の厚さdrとは同じである(つまりdt=dr)。
【0074】
画素P内に占める透過領域Trの面積の割合は、用途等に応じて適宜設定され得るが、例えば20%以上90%以下である。また、画素P内における透過領域Trの位置や形状も用途等に応じて適宜設定され得る。
【0075】
本実施形態の液晶表示装置200においても、反射層12が、隣接する2つの画素P間に位置する第2領域12bを含んでいることにより、画素P間の領域も反射表示に寄与させることができる。そのため、反射開口率が向上し、反射率のいっそうの向上を図ることができる。
【0076】
また、本実施形態の液晶表示装置200は、従来の半透過型液晶表示装置における以下のような問題を解決し得る。
【0077】
半透過型の液晶表示装置として、隣接する画素間の領域を透過モードの表示に用いる構成が知られている。しかしながら、画素間には画素電極が存在していないので、画素間に位置する液晶分子を所望の方向に十分に配向させることはできず、透過率が低いという問題があった。また、画素間は、画素電極のエッジ近傍に生成される斜め電界による配向とラビング処理による配向との整合性が良くない領域を含んでおり、液晶分子の配向が不安定である。このように画素間の配向が不安定な領域を透過モードの表示に用いるので、透過モードの表示において配向不良に起因する表示不良(残像等)が発生していた。さらに、反射電極の凹凸表面構造による配向変化が画素間の領域(透過表示に用いられる領域)にまで及ぶことも、表示不良の一因となっていた。
【0078】
これに対し、本実施形態の液晶表示装置200では、透過領域Tr内に画素電極11が存在しているので、透過領域Tr内の液晶分子を所望の方向に十分に配向させることができる。そのため、透過率が向上する。
【0079】
また、配向が安定な領域を透過モードの表示に用いることと、画素電極11が凹凸表面構造を有している必要がない(画素電極11と分離した反射層12が凹凸表面構造を有していればよい)ことから、透過モードの表示における配向不良に起因した表示不良を改善することができる。
【0080】
ここで、本実施形態の効果を検証した結果を説明する。効果の検証は、本実施形態の液晶表示装置200を作製し(実施例2)、比較例3と比較して行った。比較例3は、図5などに示した液晶表示装置900を、半透過型の液晶表示装置として用いた例であり、画素電極912間の隙間を透過モードの表示に用いた。
【0081】
表2に、比較例3および実施例2について、反射率および透過率と、残像の発生度合を検証した結果を示す。反射率および透過率は、比較例3の反射率および透過率を1.0とした相対値を示している。残像の発生度合の検証は、目視による観察により行い、残像の発生が十分に抑制された場合を「〇」とし、十分には抑制されなかった場合を「×」とした。
【0082】
【表2】
【0083】
表2からわかるように、実施例2では、反射率および透過率を比較例3と同等に維持しつつ、配向不良に起因する残像の発生を十分に抑制することができた。そのため、本実施形態によれば、半透過型の液晶表示装置の表示品位の改善および歩留まりの改善を図るこ
とができる。
【0084】
(実施形態3)
図9図10Aおよび図10Bを参照しながら、本実施形態における液晶表示装置300を説明する。本実施形態の液晶表示装置300は、半透過型の液晶表示装置である。図9は、液晶表示装置300を模式的に示す平面図であり、液晶表示装置300の3つの画素Pに対応した領域を示している。図10Aおよび図10Bは、液晶表示装置300を模式的に示す断面図であり、それぞれ図9中の10A-10A’線および10B-10B’線に沿った断面構造を示している。以下では、本実施形態の液晶表示装置300が、実施形態2における液晶表示装置200と異なる点を中心に説明を行う。
【0085】
本実施形態の液晶表示装置300は、図9図10Aおよび図10Bに示すように、透過領域Trにおける液晶層30の厚さdtが、反射領域Rfにおける液晶層30の厚さdrよりも大きい(つまりdt>dr)点において、実施形態2の液晶表示装置200と異なっている。具体的には、第2層間絶縁層14の第2コンタクトホールCH2を、実施形態2の液晶表示装置200における第2コンタクトホールCH2よりも大きく形成することによって、透過領域Trのセルギャップdtが、反射領域Rfのセルギャップdrよりも大きくなっている。
【0086】
透過モードの表示に用いられる光が液晶層30を1回だけ通過するのに対し、反射モードの表示に用いられる光は液晶層30を2回通過する。そのため、本実施形態のように、透過領域Trのセルギャップdtが反射領域Rfのセルギャップdrよりも大きいと、透過モードの表示に用いられる光と反射モードの表示に用いられる光に対する液晶層30のリタデーションを近くすることができ、透過領域Trと反射領域Rfの両方にとって好ましい(より明るい表示を実現できる)電圧-輝度特性が得られる。
【0087】
透過領域Trと反射領域Rfの両方でより明るい表示を行う観点からは、透過領域Trのセルギャップdtと、反射領域Rfのセルギャップdrとは、dt=2drの関係を実質的に満足することが好ましい。
【0088】
なお、実施形態1で説明したように、第1配向膜15および第2配向膜16のうちの一方にのみ配向処理(例えばラビング処理)を施して電圧印加時に液晶分子がツイスト配向するような配向規制を本実施形態で行うと、透過領域Trと反射領域Rfとでのセルギャップの差に起因して、両領域に最適な(具体的にはより明るい)配向状態を同時に実現できない場合がある。そのため、本実施形態では、液晶層30の液晶材料にカイラル剤を添加せず、電圧印加時のツイスト角を0°としてもよい。
【0089】
あるいは、透過領域Trと反射領域Rfとで電圧印加時のツイスト角を異ならせてもよい。第1配向膜15および第2配向膜25の少なくとも一方が、透過領域Trと反射領域Rfとで異なるプレチルト方位を規定することにより、透過領域Trと反射領域Rfとで電圧印加時のツイスト角を異ならせることができる。この場合、配向膜(第1配向膜15および第2配向膜25の少なくとも一方)への配向処理は、光配向処理により行うことが好ましい。
【0090】
ここで、本実施形態の効果を検証した結果を説明する。効果の検証は、本実施形態の液晶表示装置300を作製し(実施例3)、実施例2と比較して行った。実施例3では、液晶材料にカイラル剤を添加せず、電圧印加時のツイスト角を0°とした。反射領域Rfのセルギャップdrを2.0μmとし、透過領域Trのセルギャップdtを4.0μmとした。
【0091】
表3に、実施例2および実施例3について、反射率および透過率を示す。反射率および透過率は、実施例2の反射率および透過率を1.0とした相対値を示している。また、表3には、実施例3の反射率が実施例2の反射率と同じになるように実施例3を作製した場合の結果を示している。
【0092】
【表3】
【0093】
表3から、実施例3では、実施例2と同じ反射率を維持したまま、実施例2よりも透過率が向上していることがわかる。これは、透過領域Trのセルギャップdtが反射領域Rfのセルギャップdrよりも大きくなったことによる効果である。
【0094】
表4に、実施例3の透過率が実施例2の透過率と同じになるように実施例3を作製した場合の結果を示す。
【0095】
【表4】
【0096】
表4から、実施例3では、実施例2と同じ透過率を維持したまま、実施例2よりも反射率が向上していることがわかる。これは、実施例3では、透過領域Trが実施例2よりも狭くても実施例2と同等の透過率が得られるので、反射領域Rfを実施例2よりも広くすることができたからである。
【0097】
(実施形態4)
図11図12Aおよび図12Bを参照しながら、本実施形態における液晶表示装置400を説明する。本実施形態の液晶表示装置400は、半透過型の液晶表示装置である。図11は、液晶表示装置400を模式的に示す平面図であり、液晶表示装置400の3つの画素Pに対応した領域を示している。図12Aおよび図12Bは、液晶表示装置400を模式的に示す断面図であり、それぞれ図11中の12A-12A’線および12B-12B’線に沿った断面構造を示している。以下では、本実施形態の液晶表示装置400が、実施形態2における液晶表示装置200と異なる点を中心に説明を行う。
【0098】
図11図12Aおよび図12Bに示す本実施形態の液晶表示装置400は、透過領域Tr内に形成された第1コンタクトホールCH1および第2コンタクトホールCH2において画素電極11とバックプレーン回路とを電気的に接続するコンタクト部CPが、透明導電材料から形成されている(つまり透明である)点において、実施形態2の液晶表示装置200と異なっている。
【0099】
本実施形態では、コンタクト部CPは、第1コンタクト電極16および第2コンタクト電極17から構成されている。つまり、液晶表示装置400のコンタクト部CPは、実施形態2の液晶表示装置200のコンタクト部CPとは異なり、反射層12と同じ金属膜から形成された第3コンタクト電極18を含んでいない。また、液晶表示装置400のコンタクト部CPに含まれる第1コンタクト電極16および第2コンタクト電極17は、いずれも透明導電材料から形成されている。そのため、液晶表示装置400のコンタクト部CPは、全体として透明である。なお、第1コンタクト電極16および第2コンタクト電極17を形成するための透明導電材料としては、画素電極11等と同様の材料を用いることができる。
【0100】
このように、本実施形態の液晶表示装置400では、コンタクト部CPが透明導電材料から形成されているので、コンタクト部CPが設けられている領域を透過モードの表示に用いることができる(つまり透過領域Trとして好適に機能させ得る)。そのため、実施形態2の液晶表示装置200よりもさらに透過率の向上を図ることができる。
【0101】
ここで、本実施形態の効果を検証した結果を説明する。効果の検証は、本実施形態の液晶表示装置400を作製し(実施例4)、実施例2と比較して行った。
【0102】
表5に、実施例2および実施例4について、反射率および透過率を示す。反射率および透過率は、実施例2の反射率および透過率を1.0とした相対値を示している。また、表5には、実施例4の反射率が実施例2の反射率と同じになるように実施例4を作製した場合の結果を示している。
【0103】
【表5】
【0104】
表5から、実施例4では、実施例2と同じ反射率を維持したまま、実施例2よりも透過率が向上していることがわかる。これは、コンタクト部CPが設けられている領域が透過領域Trとして機能することによる効果である。
【0105】
表6に、実施例4の透過率が実施例2の透過率と同じになるように実施例4を作製した場合の結果を示す。
【0106】
【表6】
【0107】
表6から、実施例4では、実施例2と同じ透過率を維持したまま、実施例2よりも反射率が向上していることがわかる。これは、実施例4では、透過領域Trが実施例2よりも狭くても実施例2と同等の透過率が得られるので、反射領域Rfを実施例2よりも広くすることができたからである。
【0108】
(実施形態5)
図13図14Aおよび図14Bを参照しながら、本実施形態における液晶表示装置500を説明する。本実施形態の液晶表示装置500は、半透過型の液晶表示装置である。図13は、液晶表示装置500を模式的に示す平面図であり、液晶表示装置500の3つの画素Pに対応した領域を示している。図14Aおよび図14Bは、液晶表示装置500を模式的に示す断面図であり、それぞれ図13中の14A-14A’線および14B-14B’線に沿った断面構造を示している。以下では、本実施形態の液晶表示装置500が、実施形態2における液晶表示装置200と異なる点を中心に説明を行う。
【0109】
図13図14Aおよび図14Bに示す本実施形態の液晶表示装置500は、コンタクト部CPが、透明導電材料から形成されている(つまり透明である)点において、実施形態2の液晶表示装置200と異なっている。
【0110】
本実施形態では、コンタクト部CPは、反射層12と同じ金属膜から形成された第3コンタクト電極18を含んでいない。また、コンタクト部CPに含まれる第1コンタクト電極16および第2コンタクト電極17は、いずれも透明導電材料から形成されている。そのため、液晶表示装置500のコンタクト部CPは、全体として透明である。
【0111】
また、本実施形態の液晶表示装置500は、透過領域Trにおける液晶層30の厚さdtが、反射領域Rfにおける液晶層30の厚さdrよりも大きい(つまりdt>dr)点において、実施形態2の液晶表示装置200と異なっている。具体的には、第2層間絶縁層14の第2コンタクトホールCH2を、実施形態2の液晶表示装置200における第2コンタクトホールCH2よりも大きく形成することによって、透過領域Trのセルギャップdtが、反射領域Rfのセルギャップdrよりも大きくなっている。
【0112】
このように、本実施形態の液晶表示装置500では、コンタクト部CPが透明導電材料から形成されているので、コンタクト部CPが設けられている領域を透過モードの表示に用いることができる(つまり透過領域Trとして好適に機能させ得る)。そのため、実施形態2の液晶表示装置200よりもさらに透過率の向上を図ることができる。
【0113】
また、本実施形態では、透過領域Trのセルギャップdtが反射領域Rfのセルギャップdrよりも大きいので、透過モードの表示に用いられる光と反射モードの表示に用いられる光に対する液晶層30のリタデーションを近くすることができ、透過領域Trと反射領域Rfの両方にとって好ましい(より明るい表示を実現できる)電圧-輝度特性が得られる。
【0114】
ここで、本実施形態の効果を検証した結果を説明する。効果の検証は、本実施形態の液晶表示装置500を作製し(実施例5)、実施例2と比較して行った。
【0115】
表7に、実施例2および実施例5について、反射率および透過率を示す。反射率および透過率は、実施例2の反射率および透過率を1.0とした相対値を示している。また、表7には、実施例5の反射率が実施例2の反射率と同じになるように実施例5を作製した場合の結果を示している。
【0116】
【表7】
【0117】
表7から、実施例5では、実施例2と同じ反射率を維持したまま、実施例2よりも透過率が大きく向上していることがわかる。これは、コンタクト部CPが設けられている領域が透過領域Trとして機能することと、透過領域Trのセルギャップdtが反射領域Rfのセルギャップdrよりも大きくなったこととによる効果である。
【0118】
表8に、実施例5の透過領域Trの面積を最小(コンタクト部CPの面積にほぼ一致)として、反射率が最大となるように実施例5を作製した場合の結果を示す。
【0119】
【表8】
【0120】
表8から、実施例5では、透過領域Trの面積が最小であっても透過率を実施例2よりも高くできることがわかる。また、その上で反射領域Rfの面積を大きくできるので、反射率が向上している。
【0121】
(実施形態6)
図15図16Aおよび図16Bを参照しながら、本実施形態における液晶表示装置600を説明する。本実施形態の液晶表示装置600は、反射型の液晶表示装置である。図15は、液晶表示装置600を模式的に示す平面図であり、液晶表示装置600の3つの画素Pに対応した領域を示している。図16Aおよび図16Bは、液晶表示装置600を模式的に示す断面図であり、それぞれ図15中の16A-16A’線および16B-16B’線に沿った断面構造を示している。なお、図16Aおよび図16Bでは、基板20aの図示を省略している。以下では、本実施形態の液晶表示装置600が、実施形態1における液晶表示装置100と異なる点を中心に説明を行う。
【0122】
液晶表示装置600の対向基板20は、第1の色の光(ここでは赤色の光)を透過する赤カラーフィルタ(第1カラーフィルタ)22R、第2の色の光(ここでは緑色の光)を透過する緑カラーフィルタ(第2カラーフィルタ)22Gおよび第3の色の光(ここでは青色の光)を透過する青カラーフィルタ(第3カラーフィルタ)22Bを含むカラーフィルタ層22を有する。本実施形態では、対向基板20は、図16Aに示すように、赤カラーフィルタ22R、緑カラーフィルタ22Gおよび青カラーフィルタ22Bのいずれもが設けられていない無色領域Clrを含んでいる。表示面法線方向から見たとき、無色領域Clrは、反射層12の第2領域12bの少なくとも一部に重なる。図示している例では、赤カラーフィルタ22R、緑カラーフィルタ22Gおよび青カラーフィルタ22Bは、列方向に沿って延びるストライプ状であり、無色領域Clrは、複数の画素のうちの行方向に沿って互いに隣接する任意の2つの画素間に位置している。また、表示面法線方向から見たとき、無色領域Clrは、画素電極11に重ならない。
【0123】
反射層12の第2領域12bに重なるように配置されたカラーフィルタやブラックマトリクスは、反射率を低下させる要因となる。本実施形態のように、対向基板20が、反射層12の第2領域12bの少なくとも一部に重なる無色領域Clrを含むことにより、反射率を向上させることができる。また、無色領域Clrを画素電極11に重ならないように配置することにより、単色表示時の色純度の低下を抑制することができる。
【0124】
本実施形態の液晶表示装置600を作製し(実施例6)、反射率の改善効果および色再現範囲(NTSC比)を検証した結果を説明する。作製した液晶表示装置600の画面サイズは1.2型であり、1つの画素Pのサイズは、縦126μm×横42μmであった。TFT基板10の第1配向膜15および対向基板20の第2配向膜25のうち、第2配向膜25にのみラビング処理を行った。従って、第1配向膜15および第2配向膜25のうち、第2配向膜25のみがプレチルト方位を規定する。液晶層30の厚さ(セルギャップ)は3μmであり、液晶層30の液晶材料には、白電圧印加時(つまり液晶分子が水平配向した状態)においてツイスト角が70°となるようにカイラル剤を添加した。駆動方式は、フィールド反転駆動(方式(C))である。行方向に沿った無色領域Clrの幅w1は2.0μmであり、行方向に沿って隣接する画素電極11の間隔w2は2.5μmであった。
【0125】
実施例6に加え、図17に示す実施例7の液晶表示装置700も作製し、実施例6との比較を行った。実施例7の液晶表示装置700は、対向基板20が無色領域Clrを有していない点以外は、実施例6と同じ構成を有している。
【0126】
表9に、実施例6および7について、得られた反射率およびNTSC比(相対比)を示す。
【0127】
【表9】
【0128】
表9から、実施例6では、実施例7よりも反射率が向上していることがわかる。また、表9から、実施例6では、実施例7と同等の色再現範囲が得られていることもわかる。このように、無色領域Clrを設けることによって反射率を向上できることと、無色領域Clrを画素電極11には重ねないことによって単色表示時の色純度の低下を抑制できることが確認された。なお、ここでは、反射型の液晶表示装置を例として説明を行ったが、半透過型の液晶表示装置においても同様の効果を得ることができる。
【0129】
(実施形態7)
図18図19Aおよび図19Bを参照しながら、本実施形態における液晶表示装置800を説明する。本実施形態の液晶表示装置800は、反射型の液晶表示装置である。図18は、液晶表示装置800を模式的に示す平面図であり、液晶表示装置800の3つの画素Pに対応した領域を示している。図19Aおよび図19Bは、液晶表示装置800を模式的に示す断面図であり、それぞれ図18中の19A-19A’線および19B-19B’線に沿った断面構造を示している。以下では、本実施形態の液晶表示装置800が、実施形態1における液晶表示装置100と異なる点を中心に説明を行う。
【0130】
液晶表示装置800の反射層12は、凹凸形状を有しない(つまり平坦な)第1層間絶縁層13上に形成されている。そのため、反射層12は、凹凸表面構造を有しておらず、鏡面反射層として機能する。
【0131】
液晶表示装置800は、対向基板20の観察者側に配置された円偏光板40と、液晶層30よりも観察者側に配置された光散乱層41をさらに備える。光散乱層41は、例えば異方性光散乱フィルムである。図示している例では、光散乱層41は、基板20aと円偏光板40との間に配置されている。
【0132】
本実施形態では、光散乱層41によって光が散乱されることにより、ペーパーホワイトに近い表示を実現することができる。
【0133】
(実施形態8)
図20図21Aおよび図22Bを参照しながら、本実施形態における液晶表示装置1000を説明する。本実施形態の液晶表示装置1000は、半透過型の液晶表示装置である。図20は、液晶表示装置1000を模式的に示す平面図であり、液晶表示装置1000の3つの画素Pに対応した領域を示している。図21Aおよび図21Bは、液晶表示装置1000を模式的に示す断面図であり、それぞれ図20中の21A-21A’線および21B-21B’線に沿った断面構造を示している。以下では、本実施形態の液晶表示装置1000が、実施形態7における液晶表示装置800と異なる点を中心に説明を行う。
【0134】
本実施形態の液晶表示装置1000は、複数の画素Pのそれぞれが、反射領域Rfに加え、透過モードで表示を行う透過領域Trを含む点において、実施形態7の液晶表示装置800と異なっている。透過領域Tr内には、画素電極11の一部が位置している。図示している例では、画素Pの中央に透過領域Trが位置している。また、液晶表示装置1000は、TFT基板10の背面側に配置されたさらなる円偏光板42を備える。
【0135】
本実施形態の液晶表示装置1000においても、反射層12は凹凸表面構造を有していないが、光散乱層41によって光が散乱されることにより、ペーパーホワイトに近い表示を実現することができる。
【0136】
(光散乱層の配置)
図19A図19B図21Aおよび図21Bには、光散乱層(異方性光散乱フィルム)41が基板20aと円偏光板40との間に位置する配置を例示したが、光散乱層41の配置はこの例に限定されない。
【0137】
図22Aに、光散乱層41の配置の他の例を示す。図22Aに示す例では、光散乱層41は、円偏光板40の観察者側に配置されている。
【0138】
図22Bに、光散乱層41の配置のさらに他の例を示す。図22Bに示す例では、円偏光板40は、直線偏光板40aと、直線偏光板40aの背面側に設けられた位相差層40bとから構成されており、光散乱層41は、直線偏光板40aと位相差層40bとの間に配置されている。なお、位相差層40bが2層以上設けられてもよい。
【0139】
図22Cに、光散乱層41の配置のさらに他の例を示す。図22Cに示す例では、円偏光板40は、直線偏光板40aと、直線偏光板40aの背面側に設けられたλ/2板40b1と、λ/2板40b1の背面側に設けられたλ/4板40b2とを含む広帯域円偏光板であり、光散乱層41は、λ/2板40b1とλ/4板40b2との間に配置されている。なお、λ/2板40b1が2枚設けられてもよい。
【0140】
(実施形態9)
図23図24Aおよび図24Bを参照しながら、本実施形態における液晶表示装置1100を説明する。本実施形態の液晶表示装置1100は、反射型の液晶表示装置である。図23は、液晶表示装置1100を模式的に示す平面図であり、液晶表示装置1100の3つの画素Pに対応した領域を示している。図24Aおよび図24Bは、液晶表示装置1100を模式的に示す断面図であり、それぞれ図23中の24A-24A’線および24B-24B’線に沿った断面構造を示している。以下では、本実施形態の液晶表示装置1100が、実施形態1における液晶表示装置100と異なる点を中心に説明を行う。
【0141】
液晶表示装置1100の液晶層30は、液晶分子31および二色性色素32を含む。つまり、液晶表示装置1100は、いわゆるゲストホスト型である。二色性色素の色は、例えば黒色である。液晶材料への二色性色素の添加量は、例えば3重量%である。液晶層30に電圧が印加されていないとき、液晶分子31および二色性色素32は水平配向しており、この状態において黒表示が行われる。液晶層30に所定の電圧が印加されると、液晶分子31および二色性色素32は垂直配向し、この状態において白表示が行われる。ゲストホスト型の液晶表示装置1100では、偏光板は不要である。従って、表示の明るさが向上する。なお、第2層間絶縁層14は、実質的に位相差を有していない。
【0142】
(実施形態10)
図25図26Aおよび図26Bを参照しながら、本実施形態における液晶表示装置1200を説明する。本実施形態の液晶表示装置1200は、反射型の液晶表示装置である。図25は、液晶表示装置1200を模式的に示す平面図であり、液晶表示装置1200の3つの画素Pに対応した領域を示している。図26Aおよび図26Bは、液晶表示装置1200を模式的に示す断面図であり、それぞれ図25中の26A-26A’線および26B-26B’線に沿った断面構造を示している。以下では、本実施形態の液晶表示装置1200が、実施形態9における液晶表示装置1100と異なる点を中心に説明を行う。
【0143】
本実施形態の液晶表示装置1200は、反射層12を覆う第2層間絶縁層14Aとして、位相差層(インセル位相差膜)を備えている。位相差層14Aは、具体的には、λ/4板として機能する。λ/4板として機能する位相差層14Aの遅相軸は、例えば、電圧無印加状態における二色性色素の吸光軸と略45°の角をなすように配置される。位相差層14Aが設けられていることにより、コントラスト比が向上する。
【0144】
(実施形態11)
図27図28Aおよび図28Bを参照しながら、本実施形態における液晶表示装置1300を説明する。本実施形態の液晶表示装置1300は、半透過型の液晶表示装置である。図27は、液晶表示装置1300を模式的に示す平面図であり、液晶表示装置1300の3つの画素Pに対応した領域を示している。図28Aおよび図28Bは、液晶表示装置1300を模式的に示す断面図であり、それぞれ図27中の28A-28A’線および28B-28B’線に沿った断面構造を示している。以下では、本実施形態の液晶表示装置1300が、実施形態10における液晶表示装置1200と異なる点を中心に説明を行う。
【0145】
本実施形態の液晶表示装置1300は、複数の画素Pのそれぞれが、反射領域Rfに加え、透過モードで表示を行う透過領域Trを含む点において、実施形態10の液晶表示装置1200と異なっている。透過領域Tr内には、画素電極11の一部が位置している。図示している例では、画素Pの中央に透過領域Trが位置している。なお、第2層間絶縁膜14は、実質的に位相差を有していない。
【0146】
本実施形態の液晶表示装置1300も、ゲストホスト型である。対向基板20の観察者側(表側)に偏光板は不要である。TFT基板10の背面側(裏側)に偏光板が設けられていなくもよいし、設けられていてもよい。
【0147】
(実施形態12)
図29図30Aおよび図30Bを参照しながら、本実施形態における液晶表示装置1400を説明する。本実施形態の液晶表示装置1400は、半透過型の液晶表示装置である。図29は、液晶表示装置1400を模式的に示す平面図であり、液晶表示装置1400の3つの画素Pに対応した領域を示している。図30Aおよび図30Bは、液晶表示装置1400を模式的に示す断面図であり、それぞれ図29中の30A-30A’線および30B-30B’線に沿った断面構造を示している。以下では、本実施形態の液晶表示装置1400が、実施形態11における液晶表示装置1300と異なる点を中心に説明を行う。
【0148】
本実施形態の液晶表示装置1400は、反射層12を覆う第2層間絶縁層14Aとして、位相差層(インセル位相差膜)を備えている。また、液晶表示装置1400は、TFT基板10の背面側に設けられた円偏光板42を備えている。位相差層14Aは、具体的には、λ/4板として機能する。位相差層14Aが設けられていることにより、コントラスト比が向上する。
【産業上の利用可能性】
【0149】
本発明の実施形態は、各画素が反射モードで表示を行う反射領域を含む液晶表示装置(つまり反射型液晶表示装置および半透過型液晶表示装置)に広く適用することができる。
【符号の説明】
【0150】
10 TFT基板
11 画素電極
11a サブ画素電極
12 反射層
12a 第1領域
12b 第2領域
13 第1層間絶縁層
14、14A 第2層間絶縁層
15 第1配向膜
20 対向基板
21 対向電極
22 カラーフィルタ層
22R 赤カラーフィルタ
22G 緑カラーフィルタ
22B 青カラーフィルタ
25 第2配向膜
30 液晶層
31 液晶分子
32 二色性色素
40 円偏光板
41 光散乱層
42 円偏光板
100、200、300、400、500、600、700、800 液晶表示装置
1000、1100、1200、1300、1400 液晶表示装置
P 画素
Sp サブ画素
Rf 反射領域
Tr 透過領域
CP コンタクト部
Clr 無色領域
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8A
図8B
図9
図10A
図10B
図11
図12A
図12B
図13
図14A
図14B
図15
図16A
図16B
図17
図18
図19A
図19B
図20
図21A
図21B
図22A
図22B
図22C
図23
図24A
図24B
図25
図26A
図26B
図27
図28A
図28B
図29
図30A
図30B