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特許7449216収穫情報管理システム、収穫情報管理プログラム、及び収穫情報管理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-05
(45)【発行日】2024-03-13
(54)【発明の名称】収穫情報管理システム、収穫情報管理プログラム、及び収穫情報管理方法
(51)【国際特許分類】
   A01D 41/127 20060101AFI20240306BHJP
   A01D 41/12 20060101ALI20240306BHJP
   A01D 69/00 20060101ALI20240306BHJP
   G06Q 50/02 20240101ALI20240306BHJP
【FI】
A01D41/127 140
A01D41/12 Z
A01D41/127
A01D41/12 B
A01D69/00 301
G06Q50/02
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020189073
(22)【出願日】2020-11-13
(65)【公開番号】P2022078408
(43)【公開日】2022-05-25
【審査請求日】2023-02-20
(73)【特許権者】
【識別番号】720001060
【氏名又は名称】ヤンマーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100205350
【弁理士】
【氏名又は名称】狩野 芳正
(74)【代理人】
【識別番号】100117617
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 圭策
(72)【発明者】
【氏名】澤本 和徳
【審査官】小島 洋志
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-135953(JP,A)
【文献】特許第4057196(JP,B2)
【文献】特開2013-233117(JP,A)
【文献】特開2017-077204(JP,A)
【文献】特開2019-195269(JP,A)
【文献】丸山幸夫,“作物の形態研究法:マクロからミクロまで、収量および終了構成要素”,日本作物学会紀事,日本,日本作物学会,2007年,第76巻,第4号,p.601-603
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01D 41/127
A01D 41/12
A01D 69/00
G06Q 50/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圃場を分割した複数の分割領域の各々において収穫される作物の穂数を表す穂数データと、前記分割領域の各々における作物の籾収量を表す籾収量データとを保持する収穫情報保持部と、
前記籾収量データと、1籾の基準重量を表す基準重量データとに基づき前記分割領域の各々における籾数を表す籾数データを算出して、前記籾収量データと前記穂数データと前記基準重量データとに基づき前記分割領域の各々における1穂当たりの籾数を表す穂単位籾数データを算出する籾数算出部と、
前記穂単位籾数データを、対応する前記分割領域の位置に応じた位置に表した第1表示画像を生成する画像生成部と、
前記穂数データに基づき、前記圃場における単位面積当たりの穂数を表す圃場穂数データを算出する穂数算出部と、
前記籾収量データに基づき、前記圃場における単位面積当たりの籾収量を表す圃場籾収量データを算出する籾収量算出部と、
を備え、
前記籾数算出部は、
前記籾収量データと、前記基準重量データとに基づき、前記圃場における単位面積当たりの籾数を表す圃場籾数データを算出し、
前記籾収量データと、前記穂数データと、前記基準重量データとに基づき、前記圃場における1穂当たりの籾数を表す圃場穂単位籾数データを算出し、
前記画像生成部は、前記圃場穂数データと、前記圃場籾収量データと、前記圃場籾数データと、前記圃場穂単位籾数データとのうちの複数を、前記圃場と関連付けて表した第3表示画像を生成する
穫情報管理システム。
【請求項2】
圃場を分割した複数の分割領域の各々において収穫される作物の穂数を表す穂数データと、前記分割領域の各々における作物の籾収量を表す籾収量データとを保持する収穫情報保持部と、
前記籾収量データと、1籾の基準重量を表す基準重量データとに基づき前記分割領域の各々における籾数を表す籾数データを算出して、前記籾収量データと前記穂数データと前記基準重量データとに基づき前記分割領域の各々における1穂当たりの籾数を表す穂単位籾数データを算出する籾数算出部と、
前記穂単位籾数データを、対応する前記分割領域の位置に応じた位置に表した第1表示画像を生成する画像生成部と、
前記圃場で作物を収穫するときに移動する収穫機の各時刻における位置を測定する測位装置と、
前記収穫機が所定時間ごとに収穫する穀粒の重量を測定する収量センサと、
前記収穫機が各時刻において刈り取った穀稈の数を測定する穂数測定部と、
前記測位装置が測定した前記収穫機の位置と、前記収量センサが測定した前記穀粒の重量と、前記穂数測定部が測定した前記穀稈の数とを関連付ける演算装置と、
前記収穫機の位置と、前記穀稈の数とに基づき、前記穂数データを算出する穂数算出部と、
前記収穫機の位置と、前記穀粒の重量とに基づき、前記籾収量データを算出する籾収量算出部と、
を備える
穫情報管理システム。
【請求項3】
前記収穫情報保持部は、前記分割領域の各々において収穫された穀粒の水分値を表す水分データを保持し、
前記籾数算出部は、
前記水分データと前記籾収量データとに基づき、籾の水分値が所定の水分値を有するときの換算籾収量を表す換算籾収量データを算出し、
算出した前記換算籾収量データと、前記穂数データとに基づき、前記籾数データを算出する
請求項1または2に記載の収穫情報管理システム。
【請求項4】
前記画像生成部は、前記籾収量データと、前記籾数データと、前記穂数データとのうち、少なくとも1つを、対応する前記分割領域の位置に応じた位置に表した第2表示画像を生成する
請求項1から3のいずれか1項に記載の収穫情報管理システム。
【請求項5】
圃場を分割した複数の分割領域の各々における作物の籾収量を表す籾収量データと、1籾の基準重量を表す基準重量データとに基づき、前記分割領域の各々における籾数を表す籾数データを算出することと、
前記分割領域の各々における作物の穂数を表す穂数データと、前記籾収量データと、前記基準重量データとに基づき、前記分割領域の各々における1穂当たりの籾数を表す穂単位籾数データを算出することと、
前記穂単位籾数データを、対応する前記分割領域の位置に応じた位置に表した第1表示画像を生成することと、
前記穂数データに基づき、前記圃場における単位面積当たりの穂数を表す圃場穂数データを算出することと、
前記籾収量データに基づき、前記圃場における単位面積当たりの籾収量を表す圃場籾収量データを算出することと、
を演算装置に実行させ
前記穂単位籾数データを算出することは、
前記籾収量データと、前記基準重量データとに基づき、前記圃場における単位面積当たりの籾数を表す圃場籾数データを算出することと、
前記籾収量データと、前記穂数データと、前記基準重量データとに基づき、前記圃場における1穂当たりの籾数を表す圃場穂単位籾数データを算出することと、
を含み、
前記圃場穂数データと、前記圃場籾収量データと、前記圃場籾数データと、前記圃場穂単位籾数データとのうちの複数を、前記圃場と関連付けて表した第3表示画像を生成すること
を演算装置に実行させることをさらに含む収穫情報管理プログラム。
【請求項6】
圃場を分割した複数の分割領域の各々における作物の籾収量を表す籾収量データと、1籾の基準重量を表す基準重量データとに基づき、前記分割領域の各々における籾数を表す籾数データを算出することと、
前記分割領域の各々における作物の穂数データと、前記籾収量データと、前記基準重量データとに基づき、前記分割領域の各々における1穂当たりの籾数を表す穂単位籾数データを算出することと、
前記穂単位籾数データを、対応する前記分割領域の位置に応じた位置に表した第1表示画像を生成することと、
前記穂数データに基づき、前記圃場における単位面積当たりの穂数を表す圃場穂数データを算出することと、
前記籾収量データに基づき、前記圃場における単位面積当たりの籾収量を表す圃場籾収量データを算出することと、
を含み、
前記穂単位籾数データを算出することは、
前記籾収量データと、前記基準重量データとに基づき、前記圃場における単位面積当たりの籾数を表す圃場籾数データを算出することと、
前記籾収量データと、前記穂数データと、前記基準重量データとに基づき、前記圃場における1穂当たりの籾数を表す圃場穂単位籾数データを算出することと、
を含み、
前記圃場穂数データと、前記圃場籾収量データと、前記圃場籾数データと、前記圃場穂単位籾数データとのうちの複数を、前記圃場と関連付けて表した第3表示画像を生成すること
をさらに含む収穫情報管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収穫情報管理システム、収穫情報管理プログラム、及び収穫情報管理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、栽培管理の分析に圃場における農作業に関する情報を用いることが研究されている。
【0003】
特許文献1には、収穫される穀粒量を検出する穀粒センサと、藁の搬送量を検出する藁センサと、車速を検出する車速センサとが設けられたコンバインが開示されている。このコンバインが、穀粒量と藁量とのそれぞれを表す収穫地図を作成することが開示されている。
【0004】
特許文献2には、作物束が搬送される過程で作物束の量を検出する束検出部と、検出された作物束の量と作物の種別情報とに基づいて作物束を構成する作物の茎数を算出する茎数算出部とを備える収穫機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2000-354416号公報
【文献】特開2019-135953号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1、2に記載の技術では、穀粒、例えばコメの収量構成要素のうちの一部である籾数量と穂数とを提供するだけである。しかし、圃場の所有者や生産者にとって、籾数量と穂数だけでなく、その他の収量構成要素に関する情報は栽培管理を行う上で重要な情報である。このため、圃場の所有者や生産者は、1つでも多くの収穫構成要素に関する情報を確認することで、より詳細な作物の育成評価を行うことができる。
【0007】
上記の状況に鑑み、本開示は、籾数量と穂数以外の収穫構成要素についてユーザに提供することで、効率的な栽培管理を支援する収穫情報管理システムを提供することを目的の1つとする。他の目的については、以下の記載及び実施の形態の説明から理解することができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下に、発明を実施するための形態で使用される番号・符号を用いて、課題を解決するための手段を説明する。これらの番号・符号は、特許請求の範囲の記載と発明を実施するための形態との対応関係の一例を示すために、参考として、括弧付きで付加されたものである。よって、括弧付きの記載により、特許請求の範囲は、限定的に解釈されるべきではない。
【0009】
上記目的を達成するための一実施の形態による収穫情報管理システム(1)は、収穫情報保持部(250)と、籾数算出部(280)と、画像生成部(290)とを備える。収穫情報保持部(250)は、圃場(800)を分割した複数の分割領域(810)の各々において収穫される穂数を表す穂数データと、分割領域(810)の各々における籾収量を表す籾収量データとを保持する。籾数算出部(280)は、籾収量データと、1籾の基準重量を表す基準重量データとに基づき分割領域(810)の各々における籾数を表す籾数データを算出して、籾収量データと穂数データと基準重量データとに基づき分割領域(810)の各々における1穂当たりの籾数を表す穂単位籾数データを算出する。画像生成部(290)は、穂単位籾数データを、対応する前記分割領域(810)の位置に応じた位置に表した第1表示画像を生成する。
【0010】
上記目的を達成するための一実施の形態による収穫情報管理プログラム(500)は、圃場(800)を分割した複数の分割領域(810)の各々における籾収量を表す籾収量データと、1籾の基準重量を表す基準重量データとに基づき、分割領域(810)の各々における籾数を表す籾数データを算出することを演算装置(230)に実行させる。また、収穫情報管理プログラム(500)は、分割領域(810)の各々における穂数を表す穂数データと、籾収量データと、基準重量データとに基づき、分割領域(810)の各々における1穂当たりの籾数を表す穂単位籾数データを算出することを演算装置(230)に実行させる。さらに、収穫情報管理プログラム(500)は、穂単位籾数データを、対応する前記分割領域(810)の位置に応じた位置に表した第1表示画像を生成することを演算装置(230)に実行させる。
【0011】
上記目的を達成するための一実施の形態による収穫情報管理方法は、圃場(800)を分割した複数の分割領域(810)の各々における籾収量を表す籾収量データと、1籾の基準重量を表す基準重量データとに基づき、分割領域(810)の各々における籾数を表す籾数データを算出することを含む。また、収穫情報管理方法は、分割領域(810)の各々における穂数データと、籾収量データと、基準重量データとに基づき、分割領域(810)の各々における1穂当たりの籾数を表す穂単位籾数データを算出することを含む。さらに、収穫情報管理方法は、穂単位籾数データを、対応する前記分割領域(810)の位置に応じた位置に表した第1表示画像を生成することを含む。
【発明の効果】
【0012】
上記の形態によれば、ユーザは、籾数量と穂数以外の収穫構成要素を効率的に確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】一実施の形態における収穫情報管理システムの概略図である。
図2】一実施の形態における収穫機の構成を表す図である。
図3】一実施の形態における貯留部の構成を表す図である。
図4】一実施の形態における搬送部の構成を表す図である。
図5】一実施の形態における収穫機の構成を表す図である。
図6】一実施の形態におけるサーバの構成を表す図である。
図7】一実施の形態における収穫情報管理システムが実行する機能ブロックを表す図である。
図8】一実施の形態における分割領域を説明するための図である。
図9】一実施の形態における端末の構成を表す図である。
図10】一実施の形態における収穫情報管理プログラムによる処理を表すフローチャートである。
図11】一実施の形態における収穫情報管理プログラムと表示プログラムとによる処理を表すフローチャートである。
図12】一実施の形態において、端末が表示する表示画像を表す図である。
図13】一実施の形態において、端末が表示する表示画像を表す図である。
図14】一実施の形態において、端末が表示する表示画像を表す図である。
図15】一実施の形態における収穫情報管理プログラムによる処理を表すフローチャートである。
図16】一実施の形態における収穫情報管理システムの構成を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(実施の形態1)
本発明の本実施の形態による収穫情報管理システム1を、図面を参照して説明する。本実施の形態において、図1に示すように、収穫情報管理システム1は、収穫機100と、サーバ200と、端末300とを備える。サーバ200は、ネットワーク2、例えばインターネットを介して、収穫機100と、端末300と通信可能に接続されている。
【0015】
収穫機100は、圃場で収穫を行うときの位置情報に関連付けて、その位置において収穫される籾収量と、その位置において収穫される穂数とを表す情報をサーバ200に送信する。サーバ200は、収穫機100から受け取る籾収量と穂数とに基づき、圃場を分割した複数の分割領域、例えば単位面積の領域における収穫情報、例えば籾収量、籾数、穂数、1穂当たりの籾数などを算出する。端末300は、算出された収穫情報を表示する。ユーザ、例えば圃場の所有者は、収穫情報の詳細を端末300で確認して、効率よく栽培管理を行うことができる。
【0016】
(収穫機の構成)
収穫機100の構成を説明する。収穫機100は、図2に示すように、米、麦などの穀粒を収穫するために用いられ、例えばコンバインである。収穫機100は、刈取部110と、脱穀部120と、貯留部130と、搬送部140と、排藁処理部150と、測位装置160とを備える。刈取部110は、圃場の穀稈を刈り取りながら後方の脱穀部120に搬送する。脱穀部120は、搬送された穀稈の穂先にある穀粒を脱穀選別する。脱穀選別された穀粒は、貯留部130に搬送され、貯留される。搬送部140は、穂先が脱穀された穀稈を後方の排藁処理部150に搬送する。搬送された穀稈は、排藁として細断処理される。
【0017】
貯留部130は、図3に示すように、グレンタンク131と、揚穀筒132と、水分センサ133と、放出羽根134と、収量センサ135とを備える。揚穀筒132は、脱穀部120により脱穀選別された穀粒をグレンタンク131に搬送する。グレンタンク131は、揚穀筒132から搬送された穀粒を貯留する。水分センサ133は、揚穀筒132で搬送される穀粒の水分値を測定する。水分センサ133は、所定時間での平均値を算出することで、所定時間ごとの水分値を測定する。例えば、水分値は、穀粒に含まれる水分の重量パーセントで表される。放出羽根134は、揚穀筒132で搬送された穀粒を収量センサ135に向けて跳ね飛ばす。収量センサ135は、跳ね飛ばされた穀粒が衝突した際の衝撃力を検出することで、グレンタンク131に貯留される穀粒の穀粒量を測定する。収量センサ135は、検出した穀粒量を所定時間で積算することで、所定時間ごとに貯留される籾収量を測定する。籾収量は、例えば所定時間に貯留される籾の重量を表す。
【0018】
搬送部140は、図4に示すように、排藁チェーン装置141と、穂数測定部142とを備える。排藁チェーン装置141は、穂先が脱穀された穀稈5を、矢印で示すように、後方に搬送する。穂数測定部142は、排藁チェーン装置141により搬送される穀稈5の数量を測定する。
【0019】
穂数測定部142は、押圧部145と、支持軸146と、付勢部147と、藁量センサ148とを備える。押圧部145は、排藁チェーン装置141に対向して設けられ、穀稈5を挟むように配置されている。支持軸146は、押圧部145を排藁チェーン装置141の逆側、例えば下方から支持する。付勢部147は、支持軸146を介して、押圧部145を排藁チェーン装置141に近づく方向、例えば上方に付勢する。押圧部145と支持軸146とは、付勢部147により付勢されることで、搬送される穀稈5の束の厚さに応じて、支持軸146の軸方向に移動する。藁量センサ148は、支持軸146が移動する距離を検出することで、各時刻において搬送される穀稈5の束の厚さを測定する。藁量センサ148は、測定した穀稈5の束の厚さと、収穫されている作物の種別情報とに基づき、各時刻における穀稈5の数を穂数として測定する。藁量センサ148は、例えば、穀稈5の束の厚さを、作物の種別ごとの茎1本当たりの厚さで割ることで、搬送されている穀稈5の数を測定する。
【0020】
測位装置160は、収穫機100の位置を測定する。測位装置160は、例えば、GNSS(Global Navigation Satellite System)の受信機であり、人口衛星などからの電波を受信して、圃場を移動する各時刻における収穫機100の位置を測定する。
【0021】
収穫機100は、さらに、演算装置101と、記憶装置102と、通信装置103とを備える。演算装置101は、図5に示すように、測位装置160と、収量センサ135と、水分センサ133と、穂数測定部142とで測定された各情報を受け取り、記憶装置102に格納する。各情報は、測位装置160に測定された収穫機100の位置と時刻とを表す位置情報に関連付けて格納される。演算装置101は、刈取部110で刈り取られてから、収量センサ135と、水分センサ133と、穂数測定部142とにより各情報が測定されるまでの時間に応じて、位置情報に関連付けて格納される。収量センサ135で測定された籾収量を表す情報と、水分センサ133で測定された水分値を表す情報とは、測定対象の穀粒が付いていた穀稈が刈取部110で刈り取られた位置と時刻とを表す位置情報に関連付けて格納される。穂数測定部142で測定された穂数を表す情報は、測定対象の穀稈が刈取部110で刈り取られた位置と時刻とを表す位置情報に関連付けて格納される。
【0022】
また、演算装置101は、収穫機100が停止したとき、例えばエンジンが切られたとき、記憶装置102に格納された各情報を表す信号を生成する。通信装置103は、ネットワーク2を介して、演算装置101が生成した信号をサーバ200に送信する。通信装置103は、例えば、ネットワーク2と無線で接続されている。
【0023】
このように、収穫機100は、測定した籾収量を表す情報と、水分値を表す情報と、穂数を表す情報とを位置情報に関連づけて、サーバ200に伝達する。
【0024】
(サーバの構成)
サーバ200の構成を説明する。サーバ200は、図6に示すように、通信装置210と、記憶装置220と、演算装置230とを備える。サーバ200は、例えばコンピュータである。通信装置210は、ネットワーク2に電気的に接続され、ネットワーク2を介して各々の装置との通信を行う。通信装置210は、収穫機100から取得する各情報を演算装置230に転送する。また、演算装置230が生成した信号を端末300に転送する。通信装置210は、例えば、NIC(Network Interface Card)、USB(Universal Serial Bus)などの種々のインタフェースを含む。
【0025】
記憶装置220は、収穫情報を算出し表示するための様々なデータ、例えば収穫情報データ400と、収穫情報管理プログラム500とを格納する。記憶装置220は、収穫情報管理プログラム500を記憶する非一時的記憶媒体(non-transitory tangible storage medium)として用いられる。収穫情報管理プログラム500は、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体3に記録されたコンピュータプログラム製品(computer program product)として提供されてもよく、または、サーバからダウンロード可能なコンピュータプログラム製品として提供されてもよい。収穫情報データ400は、収穫機100から取得する籾収量と、籾数と、穂数と、位置情報とを互いに関連付けて登録されている。
【0026】
演算装置230は、収穫情報管理プログラム500を記憶装置220から読み出し実行して、収穫情報を算出する。演算装置230は、収穫情報管理プログラム500を実行することで、図7に示すように、収穫情報保持部250と、籾収量算出部260と、穂数算出部270と、籾数算出部280と、画像生成部290とを実現する。例えば、演算装置230は、中央演算処理装置(CPU;Central Processing Unit)などを含む。
【0027】
収穫情報保持部250は、収穫機100から取得する各情報と、演算装置230が実現する各部が算出する各情報とを表す収穫情報データ400を記憶装置220に格納して保持する。記憶装置220は、図8に示すように、収穫機100により収穫された圃場800を分割した複数の分割領域810を表す領域情報を格納する。図7に示す籾収量算出部260は、収穫機100から取得する籾収量に基づき、領域情報に表される各分割領域810における籾収量を算出する。穂数算出部270は、収穫機100から取得する穂数に基づき、各分割領域810における穂数を算出する。籾数算出部280は、籾収量算出部260により算出された各分割領域810における籾収量に基づき、各分割領域810における籾数を算出する。また、籾数算出部280は、各分割領域810における1穂当たりの籾数を算出する。画像生成部290は、算出した各情報を対応する分割領域810の情報と関連付けて、地図上に表した表示画像を生成する。
【0028】
なお、分割領域810は、図8に示すように、圃場800をメッシュ状に分割するように構成されている。例えば、分割領域810は、矩形に形成され、互いの辺が重なるように圃場800内に並べられている。分割領域810の面積は、互いに同じある。
【0029】
(端末の構成)
端末300は、図9に示すように、入出力装置310と、通信装置320と、記憶装置330と、演算装置340とを備える。端末300は、例えば、コンピュータ、タブレット、携帯電話などを含む。入出力装置310には、演算装置340が処理を実行するための情報が入力される。また、入出力装置310は、演算装置340が処理を実行した結果を出力する。入出力装置310は、様々な入力装置と出力装置とを含み、例えば、キーボード、マウス、マイク、ディスプレイ、スピーカー、タッチパネルなどを含む。
【0030】
通信装置320は、ネットワーク2を介して各々の装置との通信を行う。通信装置320は、サーバ200から取得する各情報を演算装置340に転送する。また、演算装置340が生成した信号をサーバ200に転送する。通信装置320は、例えば、NIC(Network Interface Card)、USB(Universal Serial Bus)などの種々のインタフェースを含む。
【0031】
記憶装置330は、サーバ200から取得する各情報を表示するための様々なデータ、例えば表示プログラム600を格納する。記憶装置330は、表示プログラム600を記憶する非一時的記憶媒体(non-transitory tangible storage medium)として用いられる。表示プログラム600は、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体4に記録されたコンピュータプログラム製品(computer program product)として提供されてもよく、または、サーバからダウンロード可能なコンピュータプログラム製品として提供されてもよい。表示プログラム600は、記憶媒体3に記録されて提供されてもよい。
【0032】
演算装置340は、表示プログラム600を読み出し実行することで、図7に示すように、サーバ200から取得する各情報を表示する表示部350を実現する。また、表示部350は、ユーザの操作により、各情報の表示を更新する。例えば、演算装置340は、中央演算処理装置(CPU;Central Processing Unit)などを含む。
【0033】
(収穫情報管理システムの動作)
収穫情報管理システム1が収穫情報を算出する動作を説明する。ユーザは、圃場800で作物を収穫するために、収穫機100のエンジンを起動する。収穫機100のエンジンが起動されると、測位装置160は収穫機100の位置を測定する。収穫機100の演算装置101は、測位装置160により測定された位置と、位置が測定された時刻とを関連付けて位置情報として記憶装置102に格納する。
【0034】
収穫機100が収穫する作物の位置に移動すると、収穫機100の刈取部110が作物を刈り取る。脱穀部120は刈り取られた作物を脱穀選別する。脱穀選別された穀粒は貯留部130に搬送される。水分センサ133は搬送される穀粒の水分値を測定し、収量センサ135は搬送される穀粒の籾収量を測定する。穂先が脱穀された穂数は搬送部140により測定される。演算装置101は、測定された各情報を位置情報と関連付けて記憶装置102に格納する。
【0035】
収穫機100のエンジンが停止されると、演算装置101は、通信装置103とネットワーク2とを介して、記憶装置102に格納した各情報をサーバ200に送信する。
【0036】
サーバ200の演算装置230は、収穫機100の演算装置101から各情報を受信すると、収穫情報管理プログラム500を実行して、図10に示す処理を実行する。演算装置230により実現される収穫情報保持部250は、ステップS110において、収穫機100から取得した各情報を記憶装置220に格納して保持する。
【0037】
ステップS120において、籾収量算出部260は、収穫機100から取得した籾収量と位置情報とに基づき、分割領域810における籾収量を算出する。具体的には、籾収量算出部260は、収穫機100から取得した複数の位置情報のうち、各分割領域810に含まれる位置情報を抽出する。籾収量算出部260は、抽出された位置情報に関連付けられた籾収量を取得して、取得した籾収量を加算して、分割領域810において収穫された総籾収量を算出する。さらに、籾収量算出部260は、算出した分割領域810における総籾収量を分割領域810の面積で割ることで、単位面積、例えば10a当たりの籾収量を籾収量データとして算出する。算出された籾収量データは、対応する分割領域810の情報と関連付けて、記憶装置220に収穫情報データ400の一部として格納される。
【0038】
また、籾収量算出部260は、収穫作業が行われた圃場800における単位面積当たりの籾収量を算出する。具体的には、籾収量算出部260は、収穫機100から取得した籾収量を加算して、圃場800における総籾収量を算出する。算出した圃場800における総籾収量を、圃場800の面積で割ることで、籾収量算出部260は、圃場800における単位面積、例えば10a当たりの籾収量を圃場籾収量データとして算出する。算出された圃場籾収量データは、圃場800の情報と関連付けて、記憶装置220に収穫情報データ400の一部として格納される。
【0039】
ステップS130において、籾数算出部280は、籾収量算出部260により算出された分割領域810における籾収量に基づき、分割領域810における籾数を算出する。初めに、籾数算出部280は、分割領域810で栽培されている作物の種類を記憶装置220から読み出して、読み出した作物の種類が固有に持つ1籾当たりの基準重量を記憶装置220から取得する。記憶装置220は、栽培されていた作物の種類を表す情報を圃場800内の領域を表す情報と関連付けて格納している。例えば、作物の種類を表す情報と、その作物が栽培されている領域を表す情報とが、ユーザにより端末300に予め入力されて、端末300からサーバ200に伝達され、サーバ200の記憶装置220に格納される。また、記憶装置220は、栽培されていた作物の種類が固有に持つ1籾当たりの基準重量を表す基準重量データを格納している。1籾当たりの基準重量は、所定の水分値、例えば15%の水分値を有する1籾の重量を表し、作物の種類に応じて固定の値を有する。1籾当たりの基準重量は、過去に収穫された1籾当たりの重量に基づき作物の種類ごとに決定されてもよい。
【0040】
次に、籾数算出部280は、記憶装置220から取得した1籾当たりの基準重量と、分割領域810における総籾収量とに基づき、分割領域810における籾数を算出する。具体的には、籾数算出部280は、分割領域810における総籾収量を1籾当たりの基準重量で割ることで、分割領域810における総籾数を算出する。さらに、籾数算出部280は、算出された分割領域810における総籾数を、分割領域810の面積で割ることで、単位面積、例えば1m当たりの籾数を籾数データとして算出する。算出された籾数データは、対応する分割領域810の情報と関連付けて、記憶装置220に収穫情報データ400の一部として格納される。
【0041】
また、籾数算出部280は、収穫作業が行われた圃場800における単位面積当たりの籾数を算出する。具体的には、籾数算出部280は、籾収量算出部260により算出された圃場800における総籾収量を、1籾当たりの基準重量で割ることで、圃場800における総籾数を算出する。さらに、籾数算出部280は、算出された圃場800における総籾数を、圃場800の面積で割ることで、圃場800における単位面積、例えば1m当たりの籾数を圃場籾数データとして算出する。算出された単圃場籾数データは、圃場800の情報と関連付けて、記憶装置220に収穫情報データ400の一部として格納される。
【0042】
ステップS140において、穂数算出部270は、収穫機100から取得する穂数に基づき、分割領域810における穂数を算出する。穂数算出部270は、ステップS120での籾収量算出部260と同様に、収穫機100から取得した複数の位置情報のうち、各分割領域810に含まれる位置情報を抽出する。穂数算出部270は、抽出した位置情報に関連付けられた穂数を取得して、取得した穂数を加算して、分割領域810において収穫された総穂数を算出する。さらに、穂数算出部270は、算出された分割領域810における総穂数を、分割領域810の面積で割ることで、単位面積、例えば1m当たりの穂数を穂数データとして算出する。算出された穂数データは、対応する分割領域810の情報と関連付けて、記憶装置220に収穫情報データ400の一部として格納される。
【0043】
また、穂数算出部270は、収穫作業が行われた圃場800における単位面積当たりの穂数を算出する。穂数算出部270は、収穫機100から取得した穂数を加算して、圃場800における総穂数を算出する。算出した圃場800における総穂数を、圃場800の面積で割ることで、穂数算出部270は、圃場800における単位面積、例えば1m当たりの穂数を圃場穂数データとして算出する。算出された圃場籾収量データは、圃場800の情報と関連付けて、記憶装置220に収穫情報データ400の一部として格納される。
【0044】
ステップS150において、籾数算出部280は、穂数算出部270により算出された分割領域810における総穂数と、籾数算出部280により算出された分割領域810における総籾数とに基づき、分割領域810における1穂当たりの籾数を算出する。具体的には、籾数算出部280は、分割領域810における総籾数を、分割領域810における総穂数で割ることで、分割領域810における1穂当たりの籾数を穂単位籾数データとして算出する。算出された穂単位籾数データは、対応する分割領域810の情報と関連付けて、記憶装置220に収穫情報データ400の一部として格納される。
【0045】
また、籾数算出部280は、穂数算出部270により算出された圃場800における総穂数と、籾数算出部280により算出された圃場800における総籾数とに基づき、圃場800における1穂当たりの籾数を算出する。具体的には、籾数算出部280は、圃場800における総籾数を、圃場800における総穂数で割ることで、圃場800における1穂当たりの籾数を圃場穂単位籾数データとして算出する。算出された圃場穂単位籾数データは、圃場800の情報と関連付けて、記憶装置220に収穫情報データ400の一部として格納される。
【0046】
このように、演算装置230は、各分割領域810において籾収量データと籾数データと穂数データと穂単位籾数データとを算出し、算出した各データを対応する分割領域810の情報と関連付けて収穫情報として記憶装置220に格納する。また、演算装置230は、圃場800において、単位面積当たりの籾収量と籾数と穂数と、1穂当たりの籾数とを収穫情報として記憶装置220に格納する。
【0047】
次に、ユーザが図9に示す端末300を操作して、算出された収穫情報を確認する方法を説明する。ユーザが収穫情報を表示するための操作を端末300の入出力装置310に入力すると、端末300の演算装置340とサーバ200の演算装置230とは、互いに通信を行い、図11に示す処理を実行する。端末300の演算装置340は、収穫情報の表示操作が入力されると、表示プログラム600を実行する。例として、初めにユーザが各圃場800における籾収量を表示する操作を入力した場合について説明する。
【0048】
ステップS210において、端末300の演算装置340で実現される表示部350は、収穫情報を入出力装置310に表示するために、収穫情報の表示画像を要求する画像要求信号を生成する。生成された画像要求信号は、サーバ200に送信される。
【0049】
ステップS220において、サーバ200の演算装置230は、端末300の入出力装置310に表示する表示画像を生成する。サーバ200の演算装置230は、端末300から画像要求信号を受信すると、収穫情報管理プログラム500を実行する。サーバ200の演算装置230により実現される画像生成部290は、画像要求信号に応じて、表示画像を生成する。生成される表示画像は、圃場800の領域と関連付けて収穫情報を地図上に表している。例えば、画像生成部290は、図12に示すように、複数の圃場800、例えば第1圃場800-1と、第2圃場800-2と、第3圃場800-3と、第4圃場800-4とを地図上に表す表示画像を生成する。
【0050】
各圃場800を表す領域は、各圃場800における収穫情報、例えば単位面積当たりの籾収量に応じて、色が付されている。例えば、各圃場800は、単位面積当たりの籾収量に応じて5つに分類され、分類された区分に応じて色が付される。画像生成部290は、圃場800における単位面積当たりの籾収量が第1閾値より大きいとき、第1圃場群に分類する。圃場800における単位面積当たりの籾収量が、第1閾値以下であり、かつ、第2閾値より大きいとき、第2圃場群に分類する。このように、単位面積当たりの籾収量に応じて、各圃場800は第1圃場群から第5圃場群に分類される。図12の例では、第1圃場800-1が第5圃場群に分類され、第2圃場800-2が第4圃場群に分類され、第3圃場800-3が第3圃場群に分類され、第4圃場800-4が第1圃場群に分類されている。生成される表示画像は、図12に示すように、表示画像に収穫情報の凡例850を表す領域を有する。
【0051】
画像生成部290は、表示画像を表す情報を端末300に送信する。
【0052】
ステップS230において、端末300の表示部350は、サーバ200の画像生成部290により生成された表示画像を取得し、入出力装置310に表示画像を表示する。ユーザは、入出力装置310に表示された表示画像を確認し、各圃場800における収穫情報、例えば籾収量を確認することができる。
【0053】
ステップS240において、表示部350は、表示画像の切り替え操作を受け付けたかを判定する。ユーザが確認したい収穫情報を表示するための操作を入出力装置310に入力すると、表示部350は、表示画像の切り替え操作を受け付けたと判定する。表示部350は、表示画像の切り替え操作を受け付けたと判定すると、ステップS210の処理に戻り、処理を繰り返す。表示部350は、表示画像の切り替え操作を受け付けていないと判定すると、ステップS250の処理を実行する。
【0054】
ステップS250において、表示部350は、表示画像の表示を終了する操作を受け付けたかを判定する。ユーザが表示画像の表示を終了するための操作を入出力装置310に入力すると、表示部350は、表示画像の表示を終了する操作を受け付けたと判定する。表示部350は、表示画像の表示を終了する操作を受け付けたと判定すると、表示画像の表示を終了する。表示部350は、表示画像の表示を終了する操作を受け付けていないと判定すると、ステップS240の処理に戻り、処理を繰り返す。
【0055】
画像生成部290は、圃場800における収穫情報を表す表示画像を生成するときに、図13に示すように、各圃場800の収穫情報を一覧で表す領域を表示画像に含めてもよい。表示画像には、各圃場800における様々な収穫情報が表されている。画像生成部290は、記憶装置220から様々な収穫情報を取得して、取得した収穫情報を表す表示画像を生成する。例えば、表示画像には、各圃場800で栽培された作物の種類を表す品種と、単位面積当たりの籾収量と、水分センサ133により測定された水分値の平均値と、単位面積当たりの籾数と、単位面積当たりの穂数と、1穂当たりの籾数とが表される。
【0056】
ここで、水分値の平均値は、籾収量算出部260により算出される。籾収量算出部260は、収穫機100から取得した水分値と籾収量とに基づき、水分値の平均値を算出する。具体的には、籾収量算出部260は、各位置情報に関連付けられた籾収量と水分値とを抽出し、籾収量に水分値を積算することで、各位置で収穫された籾収量に含まれる総水分量を算出する。籾収量算出部260は、圃場800内のすべての位置における総水分量を加算して、圃場800における総水分量を算出する。籾収量算出部260は、圃場800における総籾収量に対する総水分量の比を算出することで、圃場800における水分値の平均値を算出する。算出された水分値の平均値を表す情報は、水分データとして記憶装置220に格納される。
【0057】
画像生成部290は、ユーザの操作に応じて、図14に示すように、分割領域810に関連付けて分割領域810における収穫情報を地図上に表す表示画像を生成する。例えば、画像生成部290は、複数の分割領域810を地図上に表す表示画像を生成する。各分割領域810を表す領域は、各分割領域810における収穫情報、例えば単位面積当たりの籾収量に応じて、色が付されている。例えば、各圃場800は、単位面積当たりの籾収量に応じて5つに分類され、分類された区分に応じて色が付される。生成される表示画像は、表示画像に収穫情報の凡例860を表す領域を有する。
【0058】
このように、収穫情報管理システム1は、ユーザに圃場800における収穫情報の詳細を提供することができる。例えば、ユーザは、圃場800における1穂当たりの籾数や単位面積当たりの籾数などの様々な収穫情報の詳細を確認することで、圃場800の違いにより生産性の違いを分析することができる。また、ユーザは、分割領域810における収穫情報の詳細を確認することができ、同じ圃場800においても場所の違いによる生産性の違いを分析することができる。
【0059】
(実施の形態2)
収穫情報管理システム1は、各圃場800と、各分割領域810とにおいて、所定の水分値、例えば15%であるときの籾収量を算出してもよい。籾収量算出部260が、収穫機100から取得する籾収量に加えて、収穫機100から取得する水分値に基づき、圃場800における籾収量と、分割領域810における籾収量とを算出する。収穫情報管理システム1の構成は、実施の形態1と同様のため、説明を省略する。
【0060】
(収穫情報管理システムの動作)
収穫情報管理システム1が収穫情報を算出する動作を説明する。収穫機100は、実施の形態1と同様に、測定した各情報をサーバ200に送信する。収穫機100の詳細な動作は、実施の形態1と同様のため、説明を省略する。
【0061】
サーバ200の演算装置230は、収穫機100の演算装置101から各情報を受信すると、収穫情報管理プログラム500を実行して、図15に示す処理を実行する。ステップS110は、実施の形態1と同様のため、説明を省略する。
【0062】
ステップS120Bにおいて、籾収量算出部260は、収穫機100から取得した籾収量と位置情報と水分値とに基づき、分割領域810における籾収量を算出する。具体的には、籾収量算出部260は、各位置情報に関連付けられた籾収量と水分値とに基づき、所定の水分であるときに換算された換算籾収量を算出する。例えば、籾収量算出部260は、取得した籾収量に、取得した水分値から所定の水分値を減算した値を乗算して、収穫した籾を所定の水分値まで乾燥したときに減少する水分量を算出する。取得した籾収量から算出した水分量を減算することで、所定の水分値であるときに換算された換算籾収量が算出される。
【0063】
次に、籾収量算出部260は、算出された換算籾収量と位置情報とに基づき、分割領域810における籾収量を算出する。籾収量算出部260は、収穫機100から取得した複数の位置情報のうち、各分割領域810に含まれる位置情報を抽出する。籾収量算出部260は、抽出された位置情報に関連付けられた換算籾収量を取得して、取得した換算籾収量を加算して、分割領域810において収穫された総換算籾収量を算出する。さらに、籾収量算出部260は、算出した分割領域810における総換算籾収量を分割領域810の面積で割ることで、単位面積、例えば10a当たりの換算籾収量を籾収量データとして算出する。算出された籾収量データは、対応する分割領域810の情報と関連付けて、記憶装置220に収穫情報データ400の一部として格納される。
【0064】
ステップS130からステップS150において、籾収量の代わりに換算籾収量を用いて、実施の形態1と同様の処理を行う。
【0065】
このように、演算装置230は、所定の水分値に換算した収穫情報を算出し、算出した収穫情報を記憶装置220に格納する。
【0066】
ユーザが算出された収穫情報を確認する方法は、実施の形態1と同様のため、説明を省略する。
【0067】
このように、収穫情報管理システム1は、水分値で正規化された収穫情報をユーザに提供することができる。ユーザは、水分値で正規化された収穫情報を確認することで、より正確な生産性の分布を把握することができる。
【0068】
(変形例)
実施の形態において説明した構成は一例であり、機能を阻害しない範囲で構成を変更することができる。例えば、収穫機100は、各位置における籾収量と、水分値と、穂数とを測定できれば、任意の構成を選択することができる。例えば、穂数測定部142は、排藁をカメラで撮像し、撮像された排藁の画像に基づき穂数を測定してもよい。
【0069】
端末300は、サーバ200の処理を実行してもよい。例えば、端末300の記憶装置330は、図16に示すように、収穫情報データ400と、収穫情報管理プログラム500とを格納する。端末300の演算装置340は、収穫情報管理プログラム500を実行することで、図7に示す収穫情報保持部250と、籾収量算出部260と、穂数算出部270と、籾数算出部280と、画像生成部290とを実現する。この場合、端末300の通信装置320は、収穫機100の通信装置103とネットワーク2を介さずに直接通信可能に接続されてもよい。端末300の通信装置320と、収穫機100の通信装置103とは、無線通信または有線通信を行う。
【0070】
収穫機100の演算装置101は、測定された各情報と位置情報とを任意の方法でサーバ200に送信してもよい。例えば、収穫機100の演算装置101は、測定された各情報と位置情報とを関連付けて、各情報が測定されるごとに送信してもよい。また、収穫機100の演算装置101は、端末300を介して、各情報をサーバ200に送信してもよい。
【0071】
籾収量算出部260は、収穫機100から取得する各情報を用いる任意の方法で、圃場800における単位面積当たりの籾収量を算出してもよい。例えば、籾収量算出部260は、分割領域810における単位面積当たりの籾収量について平均値を算出することで、圃場800における単位面積当たりの籾収量を算出してもよい。
【0072】
籾数算出部280は、収穫機100から取得する各情報を用いる任意の方法で、圃場800における単位面積当たりの籾数を算出してもよい。例えば、籾数算出部280は、分割領域810における単位面積当たりの籾数について平均値を算出することで、圃場800における単位面積当たりの籾数を算出してもよい。
【0073】
穂数算出部270は、収穫機100から取得する各情報を用いる任意の方法で、圃場800における単位面積当たりの穂数を算出してもよい。例えば、穂数算出部270は、分割領域810における単位面積当たりの穂数について平均値を算出することで、圃場800における単位面積当たりの穂数を算出してもよい。
【0074】
籾数算出部280は、収穫機100から取得する各情報を用いる任意の方法で、圃場800における1穂当たりの籾数を算出してもよい。例えば、籾数算出部280は、分割領域810における1穂当たりの籾数について平均値を算出することで、圃場800における1穂当たりの籾数を算出してもよい。
【0075】
分割領域810は、圃場800における生産性を確認するために、任意の形状に設定されてもよい。例えば、分割領域810を表す情報は、ユーザにより端末300の入出力装置310に入力されてもよい。入力された分割領域810の情報は、端末300の演算装置340からサーバ200の演算装置230に送信される。サーバ200の演算装置230は、記憶装置220に分割領域810の情報を格納する。
【0076】
画像生成部290は、色を付すことで、各圃場800または各分割領域810の収穫情報を表す例を示したが、これに限定されず、任意の方法で収穫情報を表してもよい。例えば、各圃場800または各分割領域810の表示形態、例えば領域内を所定のテクスチャ、一定間隔に斜線を並べるなどの所定のパターンなどは収穫情報に応じて変更されてもよい。
【0077】
画像生成部290は、各圃場800または各分割領域810の収穫情報を地図上に表示する例を示したが、これに限定されず、位置に応じた収穫情報の傾向を把握できれば、任意の表示方法を選択してもよい。例えば、画像生成部290は、圃場800の形状を表した画像上に、各分割領域810の位置に応じた位置、例えば各分割領域810の位置を大まかに表すような位置に収穫情報を表示する画像を生成してもよい。また、圃場800の形状を表した画像における各分割領域810の収穫情報を表す位置は、圃場800における各分割領域810の正確な位置を表さなくともよい。
【0078】
以上において説明した実施の形態および変形例は一例であり、各実施の形態および変形例で説明した構成は、機能を阻害しない範囲で、任意に変更してもよく、または/および、任意に組み合わせてもよい。さらに、必要となる機能を実現できれば、実施の形態および変形例で説明した一部の機能を省略してもよい。例えば、画像生成部290は、端末300で実行されてもよい。この場合、表示部350は、表示画像に表示する情報をサーバ200から取得する。取得した情報を用いて、画像生成部290が表示画像を生成する。また、実施の形態1に示すように、所定の水分値で籾収量を換算しないとき、収穫機100の水分センサ133は省略されてもよい。
【符号の説明】
【0079】
1 :収穫情報管理システム
2 :ネットワーク
3、4 :記憶媒体
5 :穀稈
100 :収穫機
101 :演算装置
102 :記憶装置
103 :通信装置
110 :刈取部
120 :脱穀部
130 :貯留部
131 :グレンタンク
132 :揚穀筒
133 :水分センサ
134 :放出羽根
135 :収量センサ
140 :搬送部
141 :排藁チェーン装置
142 :穂数測定部
145 :押圧部
146 :支持軸
147 :付勢部
148 :藁量センサ
150 :排藁処理部
160 :測位装置
200 :サーバ
210 :通信装置
220 :記憶装置
230 :演算装置
250 :収穫情報保持部
260 :籾収量算出部
270 :穂数算出部
280 :籾数算出部
290 :画像生成部
300 :端末
310 :入出力装置
320 :通信装置
330 :記憶装置
340 :演算装置
350 ;表示部
400 :収穫情報データ
500 :収穫情報管理プログラム
600 :表示プログラム
800 :圃場
810 :分割領域
850、860:凡例
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16