(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-05
(45)【発行日】2024-03-13
(54)【発明の名称】音響ミキサー
(51)【国際特許分類】
B01F 31/60 20220101AFI20240306BHJP
B01F 31/86 20220101ALI20240306BHJP
B01F 23/50 20220101ALI20240306BHJP
C08J 3/20 20060101ALI20240306BHJP
B01J 19/24 20060101ALI20240306BHJP
B01F 35/93 20220101ALN20240306BHJP
【FI】
B01F31/60
B01F31/86
B01F23/50
C08J3/20 Z CER
C08J3/20 CEZ
B01J19/24 Z
B01F35/93
(21)【出願番号】P 2020540846
(86)(22)【出願日】2018-10-08
(86)【国際出願番号】 EP2018077300
(87)【国際公開番号】W WO2019076661
(87)【国際公開日】2019-04-25
【審査請求日】2021-10-08
(32)【優先日】2017-10-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】520124501
【氏名又は名称】ザ ファルコン プロジェクト リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(72)【発明者】
【氏名】ジュブ ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】プライス マーク
(72)【発明者】
【氏名】プライス ディヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】ルータス ケネス
【審査官】中村 泰三
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-527197(JP,A)
【文献】特表2015-525122(JP,A)
【文献】特開昭51-135875(JP,A)
【文献】特公昭48-001578(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 19/00-32
B01F 23/50-80、31/60-87、33/70-71、35/50
C08J 3/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
材料入口、および、処理材料出口を備えた処理容器を含む連続処理システムであって、材料は、前記処理容器を通って流れ、前記処理容器は、材料が通過する一連のゾーンに前記処理容器を分割する一連のディバイダを含み、作動中、前記一連のゾーンは、材料が前記一連のディバイダを流れて通過する速度を制御することによって互いから遮蔽されており、増大する真空レベルが、前記一連のゾーンの連続ゾーンに印加され、前記連続処理システムは、前記一連のディバイダと材料の接触によって処理材料にエネルギーを与える音響エネルギーを備える、連続処理システム。
【請求項2】
処理材料は、前記処理容器の頂部に導入され、重力下で前記処理
容器を下方に前記一連のゾーンを通って通過し、前記処理材料出口を通って前記処理容器の底部に向かって離脱される、請求項1に記載の連続処理システム。
【請求項3】
前記一連のディバイダは、前記処理材料を通過させるための穴を備える、請求項1または2に記載の連続処理システム。
【請求項4】
前記処理容器を下る処理材料の流れは、処理材料が、前記一連のディバイダに設けられた前記穴を通して流れると同時に、十分な処理材料が、前記処理容器の前記一連のゾーンの間に遮蔽があることを確保するように処理材料が前記穴を通って流れるときに、前記一連のディバイダに設けられた前記穴にあるように、前記一連のディバイダによって制御される、請求項3に記載の連続処理システム。
【請求項5】
前記処理容器に3つのゾーン、すなわち、第1のゾーン、第2のゾーン、および、第3のゾーンを含み、第1のゾーンは、処理材料が導入され、大気圧にあるゾーンであり、第2のゾーンは、第1のディバイダを越えた位置にあり、ゾーンの圧力が、大気圧の50%以下であるような印加された真空を有し、第3のゾーンは、第2のディバイダを越えた位置にあり、第2のゾーンに印加された真空よりも大きな印加された真空を有し、第2のゾーンの圧力は、大気圧の25%以下であり、材料は、増大された真空下で容器から離脱される、請求項1~4のいずれか1項に記載の連続処理システム。
【請求項6】
材料を処理するための方法であって、材料が、一連のディバイダによって一連のゾーンに分割されている処理容器に送られ、通過され、前記一連のゾーンは、処理中に互いから遮蔽され、徐々に増大する真空が、前記処理容器の前記一連のゾーンの連続ゾーンに印加され、音響エネルギーが、前記処理容器に印加され、前記一連のディバイダは、材料を通過させるための穴を備え、前記穴は、遮蔽を提供するために処理中に処理材料で覆われる、方法。
【請求項7】
前記処理容器は、鉛直であり、処理材料は、重力および真空下で前記処理容器を通して流れる、請求項6に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、材料の連続処理に関し、特に、材料の処理のために必要とされるエネルギーが少なくとも部分的に音響攪拌によって供給される材料の連続処理に関する。本発明が関心を有する処理は、重合化および架橋、並びに他の処理システムを含む、材料の混合、被覆、乾燥、研削/研摩、化学反応含み得、好ましくは、連続処理である。
【背景技術】
【0002】
米国特許出願第2013/0329514号は、材料の組み合わせを連続的に処理する機械的システムを記載している。このシステムは、連続処理容器に結合された音響攪拌器を使用しており、連続処理容器は、入口および出口、並びに、処理容器を通して処理材料の流れを差し向ける複数のプレートを含む。プレートは、音響攪拌器によって発生された音響エネルギーを処理材料内に伝達することができる。米国特許出願第2013/0329514号のシステムは、材料が、スプレイヤーによって処理容器内に導入されるときに牽引を減少させ、あるいはなくすために、処理装置内で真空を提供して処理容器に完全なまたは部分的な真空を創出することができる。
【0003】
かかるシステムは、Resodyn Corporationから商業的に入手可能であり、共振音響ミキサー(RAM)、および、連続音響ミキサー(CAM)として知られている。システムは。音響エネルギー技術を利用して、材料を、連続的に流動化させ、混合し、被覆し、乾燥させ、組み合わせ、化学的に反応させ、および/または、分離する。
【0004】
音響攪拌技術および材料の連続処理の適用は、材料を均一に組み合わせ、反応させ、混合し、乾燥させ、および/または、被覆するための方法を提供するとともに、これらの処理を実行するために機器に必要とされるスペースを減少させ、処理の効率を増大させ、かつ、エネルギー物質のような或る材料の製造に関連して、操作の安全を増大させる。さらに詳しくは、連続処理容器に結合されている音響攪拌器は、均一かつ一様な仕方で連続処理容器で材料を混合する低周波音響エネルギーを生成することができる。この連続処理システムはまた、温度センサ、真空圧力、加熱および冷却機構、フィルタ、混合の程度を検出し、かつ、材料を混合し、組み合わせ、乾燥させ、被覆し、分離し、反応させる連続処理容器の能力を最適化するのに役立つセンサのような付随的な特徴を備えるのがよい。
【0005】
これらのシステムは、効果的なミキサーであるけれども、より均質な材料をより効率的に生成し、特に、ボイドまたはバブルのない、或いは実質的にない材料を生じさせるシステムに対するニーズがなお存在し、本発明は、これらの問題に対処する。本発明はまた、容器内の真空が維持されること、および、異なる真空レベルが処理の異なる段階で印加されることができることを確保する。
【発明の概要】
【0006】
したがって、本発明は、材料入口、および、処理材料出口を備えた処理容器を含む連続処理システムであって、材料は、前記容器を通って流れ、前記容器は、材料が通過する一連のゾーンに前記処理容器を分割する一連のディバイダを含み、作動中、前記ゾーンは、材料が前記ディバイダを流れて通過する速度を制御することによって互いから遮蔽されており、増大する真空レベルが、連続ゾーンに印加され、前記システムは、前記ディバイダと材料の接触によって処理材料にエネルギーを与える音響エネルギーを備える、システムを提供する。
【0007】
用語「遮蔽」は、本願では、ゾーン間で差圧(測定真空)が維持されるゾーンの間に十分なディバイダを設けることを記載するのに使用されている。遮蔽は、材料が穴を通って連続して流れながら、穴の上に十分な処理材料が横たわることによって提供される。遮蔽は、気密封止、本質的に気密封止、或いは、断続的に気密封止に至ることができる。必要なことは、ほとんどまたは常時処理中に差圧が維持されることである。
【0008】
本発明のシステムは、処理材料が、前記処理容器の頂部に導入され、重力下で前記処理装置を下方に前記ゾーンを通って通過し、前記処理材料出口を通って前記容器の底部に向かって離脱されるように作られている。前記ディバイダは、1つのセクションからその下方のセクションに前記処理材料を通過させるための穴を備え、前記処理容器を下る処理材料の流れは、前記ディバイダによって制御され、処理材料は前記ディバイダに設けられた穴を通して流れ、それと同時にディバイダは、前記処理容器の前記ゾーンの間に遮蔽があることを確保し、その結果、ゾーンが、処理中にゾーンの間に差圧が維持されることを確保するように互いから遮蔽されるように処理材料が前記穴を通って流れるときに、十分な処理材料がディバイダに設けられた前記穴の上に横たわり、かつディバイダに設けられた前記穴にあるように、形状決めされている。したがって、前記ディバイダは、材料の流れを差し向けるように、(固定的に、或いは可変的に)形状決めされているのがよく、必要ならば、ディバイダの温度は、処理材料のプールが、前記ディバイダに設けられた前記穴の上に形成され、前記穴の上を流れる材料のプールを維持し、かくして、セクションの間にシールまたは部分的なシールを形成しながら、前記穴を通して前記材料が流れることを可能にするように前記処理材料が流れるように、制御されるのがよい。ディバイダに形成された穴の寸法は、10分の数インチから数インチの範囲にあるのがよく、かつ、可変的であるのがよく、或いは、可変的な数の多数の穴からなるのがよい。
【0009】
好ましい設計は、処理されている材料の性質、および、処理の性質に依存するようになる。例えば、処理が、処理材料が処理容器を通過するときに処理材料の粘度の変化を伴う2つの液体またはスラリーの間の化学反応を伴う場合には、処理が、2つまたはそれ以上の固形物の混合を伴う場合に比べて、異なる設計が必要となり得る。しかしながら、好ましいシステムでは、処理容器の幅全体を横切って延びるディバイダは、処理容器の内側面まで延びる下向きに延びるスカートを備える円錐形であり、ディバイダを通して材料を流すための穴は、スカート内に設けられている。このようにして、処理材料は、ディバイダの円錐形セクションを流れ下り、スカート上に達し、材料は、穴の上で材料のプールを形成し、また、穴を通して流れる。システムはまた、処理容器内に案内プレートまたはバッフルを備えるのがよく、案内プレートまたはバッフルは、ディバイダの円錐形面上に処理材料を差し向ける。
【0010】
前記処理容器は、円筒形であり、前記処理材料は、前記処理容器の頂部に位置する円周方向入口から連続的に導入される。
【0011】
前記ディバイダおよび前記ゾーンにある任意のプレートは、処理材料がプレートおよびディバイダ上を通過するときに処理材料の粘度を制御する手段を提供し、その結果、処理材料は、ディバイダに形成された穴を連続して通過しながらディバイダに形成された穴の上に材料のプールを形成するように、加熱流体または冷却流体が前記ディバイダおよびプレートを通過することを可能にするために中空であるのがよい。前記ディバイダおよび/または前記ゾーンにある任意のプレートは、例えば、処理材料の温度を制御することを必要とする場合には、温度を検出し、変えることを可能にするための温度センサを備えるのがよい。
【0012】
種々のゾーンに印加される真空の程度は、処理されている材料、および、材料が1つのゾーンから次のゾーンに通過する箇所での材料の粘度に依存するようになる。しかしながら、例としてだけ、処理容器には、3つのゾーンがあるのがよい。第1のゾーンは、処理材料が導入され、大気圧にあるのがよいゾーンである。第1のディバイダを越えた位置にある第2のゾーンは、ゾーンの圧力が、大気圧の50%以下であるような印加された真空を有するのがよい。第2のディバイダを越えた位置にある第3のゾーンは、ゾーンの圧力が大気圧の約25%以下であるような印加された真空を有するのがよく、材料は、増大された真空下で容器から充填されるべき物品内に離脱されるのがよい。
【0013】
1つの観点では、本発明は、材料の組み合わせを連続的に処理するためのシステムに関する。システムは、連続処理容器に連結された音響攪拌器を含む。連続処理容器は、少なくとも1つの処理材料を導入するための第1の入口と、処理容器を一連のゾーンに分割し、連続処理容器を通して前記少なくとも1つの処理材料を差し向けるように構成され、前記、少なくとも1つの処理材料内に音響攪拌器によって発生された音響エネルギーを伝達することができる複数のディバイダと、製品を排出するための出口と、を含み、前記ゾーンは、印加される真空のレベルを増加させ、前記ゾーン間の差圧が維持されることができるように互いから遮蔽されている。
【0014】
前記第1の入口は、処理容器の頂部に位置決めされており、処理容器には、3つのゾーンが構成されており、前記ゾーンの1つまたはそれ以上は、少なくとも1つ、または、複数のプレートを含む。プレートは、処理容器のゾーン内に異なる角度をなして配置されているのがよく、多数の角度または湾曲からなるのがよく、可変的であるのがよい。プレートの角度は、1°から75°の範囲にあるのがよい。前記複数のプレートの面は、ふるいとして役立つ複数の開口部を有するのがよい。システムは、前記複数のプレートの少なくとも1つに結合され、または、前記複数のプレートの少なくとも1つと一体的に形成されたバッフルをさらに含むのがよい。
【0015】
研削媒体が、1対のディバイダの間で処理容器内に配置されているのがよい。いくつかの実施形態では、ディバイダの温度を制御するための手段、および、選択的には、前記複数のプレートが、処理容器内に配置されているのがよい。システムは、ディバイダおよび/またはプレートを冷却するための冷却材を運ぶための流体通路を含むのがよい。他の実施形態では、ディバイダおよび/またはプレートを加熱するための加熱された流体を運ぶための流体通路を含むのがよい。さらに他の実施形態では、システムは、抵抗加熱要素を含むのがよい。処理容器は、内側壁と外側壁の間に位置決めされたキャビティを含むのがよい。キャビティは、さらに、処理容器の温度を制御するための冷却および/または加熱手段を収容しているのがよい。温度をモニタし、必要ならば変化させるための温度センサが設けられていてもよい。
【0016】
いくつかの実施形態では、システムは、材料を導入するための装置を含むのがよく、材料を導入するための装置は、例えば、ドリップフィーダ、固形物フィーダ、または、処理容器内に材料を導入するための他のかかる装置であるのがよい。システムは、挿入装置、例えば、スプレーノズル、および、処理容器から材料を抽出し、または、処理容器内に材料を注入するための複数のポートを含むのがよい。もう1つの実施形態では、処理材料は、ドリップフィードとして処理容器内に導入されるのがよい。
【0017】
さらに別の実施形態では、本発明は、材料を処理するための方法であって、材料が、ディバイダによって一連のゾーンに分割されている処理容器に送られ、通過され、ゾーンは、処理中に互いから遮蔽され、徐々に増大する真空が、前記処理容器の連続ゾーンに印加され、音響エネルギーが、前記処理容器に印加され、遮蔽が、穴を覆う材料によって提供され、それと同時に、処理中穴を通して材料を通過させる、方法を提供する。
【0018】
好ましい実施形態では、処理容器は、鉛直であり、処理材料は、重力および真空下で前記容器を通して流れる。
【0019】
少なくとも1つの処理材料が、固形物フィードまたはスプレーノズルから処理容器内に導入されるのがよい。方法は、多数のスプレーノズル、および、処理容器に結合された複数のポートから前記少なくとも1つの処理材料を注入することをさらに含むのがよい。他の実施形態では、方法は、処理容器に結合された複数のポートから前記少なくとも1つの処理材料を押し出すことを含むのがよい。本発明の方法は、ディバイダ上に処理材料を差し向けるゾーン内に位置する少なくとも1つまたは複数のプレートによって1つのゾーン内から次のゾーンへの前記少なくとも1つの処理材料の流れを制御することを含むのがよい。方法はまた、ディバイダに設けられた穴の寸法および/または形状を調節することによって、かつ/または、ゾーン内の1つまたは複数のプレートのプレート角度を変えることによって、流れを制御することを含むのがよい。穴の数はまた、増加させても、或いは、減少させてもよい。
【0020】
方法は、ディバイダ、および/または、使用することができる任意のプレートの温度を制御することによって処理材料の温度を制御することを含むのがよい。方法は、処理容器の温度を制御することを含むのがよい。ディバイダおよび/またはプレート上に、および/または、処理容器に、温度変化が必要とされる時を決定するための温度センサが設けられているのがよい。
【0021】
本発明の連続処理システムは、低周波、例えば、約30Hz~約1kHzの範囲で大きな振動振幅を可能にする機械的共振で作動する。好ましい実施形態では、システムは。約60Hzで作動する。これらの大きな振幅は、連続処理容器内で強い正弦波または振動場を創出し、強い正弦波または振動場は、処理材料に移行され、効率的かつ強烈な混合および/または反応を提供する。さらに、連続処理容器内に配置されたディバイダおよび任意のプレートの変位は、材料上に大きな加速力を課し、混合および反応の効率および強度を増大させる。低周波、高強度音響エネルギーを使用して、実質的に連続処理容器全体に亘って剪断場を創出し、材料の迅速流動化、反応、および/または、分散を生じさせる。かかる高加速作動は、処理容器の構成要素内に大きな機械的応力を入れるが、処理容器が共振およびその近くで振動するときに、装置の作動は効率的である。これらの特徴故に、極端な作動条件での装備の信頼性は、実質的に向上され、技術のスケールアップを可能にする。かかるシステムは、幅広い種々の反応および混合に適用可能である。
【0022】
低周波音響攪拌(LFAA)は、音響エネルギーの周波数が、より低い大きさオーダーである点で超音波混合とは異なっている。ほとんどの超音波(>20kHz)エネルギーは、超音波変換器の直ちに正面で材料によって完全に吸収される。LFAA混合は、いくつかの実施形態では、通常60Hzで(他の実施形態では、1kHzよりも大きい他の周波数で)行われ、処理容器の実質的内容物全体に完全に侵入する。LFAAによって生成される音響エネルギーは、数重力加速度~数百重力加速度の範囲にあることができる。インペラエッジによって発生される渦を伴うバルク流を誘導することよって混合するインペラ攪拌とは異なり、LFAA混合は、実質的に混合体積全体に亘って起こる。容器壁との追加の相互作用が、有利なバルク流を生じさせる。ディバイダ、および、選択的には、プレートから放散される音または圧力波は、音または圧力波が非均質材料を透過するときに、減衰され、散乱され、反射され、或いは、伝播される。減衰は、混合されている材料上に体積力(body force)に対応するエネルギー勾配を創出する。この力は、音響ストリーミングと呼ばれる材料中のマクロ流を誘導する。音響ストリーミングは、材料と混合容器の間の相互作用と共に、材料の混合を生じさせる。音響場が処理容器全体に亘って形成されるので、低い混合デッドゾーンがあり、多くの場合には、混合デッドゾーンがなく、(固形物の場合)一旦材料が流動化した後には、剪断は、反応容器全体に亘って分配されることができる。散乱および反射波はまた、異なる密度の体積を伴う材料の副要素上に体積力を創出する。密度比および材料粘度に依存して、これらの体積力は、混合を実行するに際して重大になったり、或いは、無視できるようになったりする。いくつかの実施形態では、処理容器内の各プレートの頂部および底部の両方は、材料が容器の各レベルを移動して通過するときに、材料上に音響エネルギーを与える。
【0023】
連続ゾーンに印加される真空の増大するレベルを伴いながら互いから遮蔽されたゾーンに処理容器を分割することは、最終製品でボイドまたはバブルの形成を減少させ、またはなくすことが見出された。
【0024】
本発明のシステムおよび方法は、種々の処理作動のために使用されることができる。例えば、本発明のシステムおよび方法は、流体および/または固形物を混合するために使用されることができ、互いに反応する材料を処理するために使用されることができ、処理容器の寸法形状、ディバイダおよび/またはプレートの寸法形状は、システムで実行されるべき処理にしたがって選択されることができる。本発明のシステムが特に有用であると我々が見出した1つの特別な処理は、ポリマー複合物として有用であるようなポリマー処方物、接着剤、コーティング、および、エネルギー物質の準備にある。
【0025】
システムは、分散で低レベルのバブルまたはボイドを確保しながら、高分子系に粒状材料のような材料の均質分散物を迅速エネルギー効率生成するのに特に有用であることが見出された。例は、ポリマーバインダ内での、選択的には可塑化剤の存在下での、酸化剤のような活性材料の分散を必要とするエネルギー物質または複合推進剤の生成である。代替的には、エネルギー物質は、PCT公開WO2017/064102に記載されているようなエネルギー物質のような炭化水素樹脂と一緒にバインダ材料に活性材料を分散させることを含むのがよい。
【0026】
処理容器で使用されるべき温度は、処理容器で実行されるべき作動に依存するようになるが、我々は、PCT公開WO2017/064102に記載されているようなエネルギー物質の開発において、25℃~75℃の範囲の温度が特に有用であることを見出した。
【0027】
本発明のさらに別の実施形態では、品質制御措置は、容器の最終ゾーンで、または、品質要求が満たされていない場合に製品収集から材料を逸らすことができる出口で提供されるのがよい。例えば、超音波分析、または、製品の近赤外線分析のような分光法が、製品の欠陥を検出し、品質製品収集から材料を逸らすのを始動させるために提供されるのがよい。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】処理材料のための入口を備えた鉛直処理容器を示す図である。
【
図2】いかにして遮蔽が穴の上にある処理材料によってディバイダと関連して達成されるかを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明は、処理材料のための入口(2)、(3)、(4)および(5)を備えた鉛直処理容器(1)を示す添付の
図1を参照することによって示されている。処理容器は、円錐形ディバイダ(9)および(10)によって3つのゾーン(6)、(7)および(8)に分割され、円錐形ディバイダ(9)および(10)の各々は、下向きに延びるスカート(11)、(12)、(13)および(14)を備える。ディバイダ(9)上に処理材料を差し向けるためのプレート(15)および(16)が、ゾーン(6)に設けられており、ディバイダ(9)を通過する材料をディバイダ(10)上に差し向けるためのプレート(17)および(18)が、ゾーン(7)に設けられている。ディバイダ(9)は、処理材料を通過させるためにスカート(11)、(12)に形成されている穴(19)および(20)を備え、ディバイダ(10)は、処理材料を通過させるためにスカート(13)、(14)に形成されている穴(21)および(22)を備える。
【0030】
真空が、排気装置(23)によってゾーン(7)に供給され、より大きな真空が、排気装置(24)によってゾーン(8)に供給される。処理材料は、出口(25)を通って容器(1)を出る。
【0031】
音響撹拌器(図示せず)が、処理容器の頂部または底部(26)に取り付けられている。図面中の矢印は、処理材料の処理容器の通過を概略的に示している。示されていないけれども、通過は、処理材料の連続的な流れがあるけれども、ゾーン(6)とゾーン(7)の間の遮蔽、および、ゾーン(7)とゾーン(8)の間の遮蔽を維持するために、穴(19)、(20)、(21)および(22)の上に十分な処理材料があり、その結果、ゾーン間の印加された真空の差が維持されるように、制御される。
【0032】
図2は、いかにして遮蔽が穴(19)および(20)の上にある処理材料によってゾーン(6)とゾーン(7)の間でディバイダ(9)と関連して達成されるかを示している。
【符号の説明】
【0033】
1 鉛直処理容器
2 処理材料のための入口
3 処理材料のための入口
4 処理材料のための入口
5 処理材料のための入口
6 ゾ-ン
7 ゾーン
8 ゾーン
9 ディバイダ
10 ディバイダ
11 スカート
12 スカート
13 スカート
14 スカート
15 プレート
16 プレート
17 プレート
18 プレート
19 穴
20 穴
21 穴
22 穴
23 排気装置
24 排気装置
25 出口
26 処理容器の底部