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特許7449239コンパクトな塗装ブースのためのロボット装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-05
(45)【発行日】2024-03-13
(54)【発明の名称】コンパクトな塗装ブースのためのロボット装置
(51)【国際特許分類】
   B05B 12/00 20180101AFI20240306BHJP
   B05B 15/55 20180101ALI20240306BHJP
   B25J 9/06 20060101ALI20240306BHJP
   B25J 19/06 20060101ALN20240306BHJP
【FI】
B05B12/00 A
B05B15/55
B25J9/06 B
B25J19/06
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2020561667
(86)(22)【出願日】2019-05-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-09-09
(86)【国際出願番号】 US2019030730
(87)【国際公開番号】W WO2019213616
(87)【国際公開日】2019-11-07
【審査請求日】2022-04-14
(31)【優先権主張番号】16/403,292
(32)【優先日】2019-05-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/666,134
(32)【優先日】2018-05-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514079114
【氏名又は名称】ファナック アメリカ コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100112357
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 繁樹
(72)【発明者】
【氏名】スコット ジェイ.クリフォード
(72)【発明者】
【氏名】スタン エイチ.マクロスキー
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド エー.カーベリー
【審査官】大塚 美咲
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-094856(JP,A)
【文献】国際公開第2017/029711(WO,A1)
【文献】特表2012-501820(JP,A)
【文献】特開2014-061589(JP,A)
【文献】特開2006-095614(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05B 12/00
B05B 15/55
B25J 9/06
B25J 19/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向する2つの側壁、床及び天井を備えた閉鎖空間を有する塗装キャビンであって、中心線を有しかつ前記塗装キャビンの長さ方向に沿った下流方向に車体を搬送するコンベヤと、前記中心線を含みかつ鉛直方向の中心面とを有する塗装キャビンと、
前記塗装キャビン内の複数の塗装ロボットであって、前記塗装ロボットの各々は、少なくとも6つの回転軸、取り付けスタンドに対して第1のジョイントにおいて回転可能なロボットベース、前記ロボットベースに対して第2のジョイントにおいて回転可能な内側アーム、第3のジョイントにおける冗長内側アーム回転軸、前記内側アームに対して第4のジョイントにおいて回転可能な外側アーム、第5のジョイントにおける前記外側アームの自由端に取り付けられたロボット手首、前記ロボット手首を回転可能にする第6のジョイント、及び前記ロボット手首に連結された塗装アプリケータを有する、複数の塗装ロボットと、を備え、
前記塗装ロボットの各々は、前記取り付けスタンドの近位に固定的に取り付けられた色変更装置及びポンプ装置と、前記ポンプ装置から前記塗装アプリケータまで前記内側アーム及び前記外側アームに沿って配設された単一の塗料供給ラインとを含み、前記塗料供給ラインは、前記第1のジョイントの中央の穴を通過し、前記冗長内側アーム回転軸に沿って前記第3のジョイントの中央の穴を通過する、自動塗装システム。
【請求項2】
前記第1のジョイントは、前記塗装キャビンの前記中心面に向かいかつ前記中心面に交差する回転軸を有する、請求項1に記載の自動塗装システム。
【請求項3】
前記塗装ロボットの各々は、前記コンベヤの動作方向に対して、上流側、下流側、及び真正面で塗装できるように構成される、請求項1に記載の自動塗装システム。
【請求項4】
前記塗装ロボットのいくつかの間に配置された複数のオープナーロボットをさらに有し、前記オープナーロボットは、車両のドア、ボンネット、トランクの蓋及びリフトゲートを開閉するように構成される、請求項1に記載の自動塗装システム。
【請求項5】
前記塗装ロボットの各々は7つの回転軸を有し、第7の回転軸は前記ロボット手首の付加軸である、請求項1に記載の自動塗装システム。
【請求項6】
前記塗装ロボットの各々は、前記ポンプ装置から前記塗装アプリケータの入口までの前記塗料供給ラインの長さが、前記内側アーム及び前記外側アームの長さの合計に1600ミリメートルを加えた長さより短くなるように構成される、請求項1に記載の自動塗装システム。
【請求項7】
前記色変更装置及び前記ポンプ装置は、前記取り付けスタンドの裏側のキャビネット内に配置され、前記キャビネットは前記ロボットベースの反対側にあり、それにより前記塗装キャビンの外の作業者通路からアクセス可能である、請求項1に記載の自動塗装システム。
【請求項8】
前記ジョイントの各々は、モータ導体を介して電力供給されるモータを有し、前記モータ導体は、前記内側アーム及び前記外側アームの外側でかつ、塗料及び溶剤に曝されても劣化しない材料で構成された柔軟なジャケットの内部に配設される、請求項1に記載の自動塗装システム。
【請求項9】
前記モータ導体は、共通の可撓性束の内部に配設される、請求項8に記載の自動塗装システム。
【請求項10】
前記モータ導体は2つの可撓性の束内に配設され、第1の束は前記第1及び第2のジョイントのモータに電力供給し、第2の束は前記第3、第4、第5及び第6のジョイントのモータに電力供給する、請求項8に記載の自動塗装システム。
【請求項11】
個々のモータ導体は、パージされた可撓性チューブの内部に収容される、請求項8に記載の自動塗装システム。
【請求項12】
前記第1のジョイントの回転軸は、水平でかつ、前記塗装キャビンの前記中心面に垂直である、請求項1に記載の自動塗装システム。
【請求項13】
前記ポンプ装置は、塗料を前記塗装アプリケータにポンプ輸送するように構成された第1のポンプと、溶剤を前記塗装アプリケータにポンプ輸送して前記塗料を前記第1のポンプから吐出するように構成された第2のポンプとを含む、請求項1に記載の自動塗装システム。
【請求項14】
塗装キャビンを通過するコンベヤ上の部品に対する塗装プロセスを実行するように構成された塗装ロボットであって、
水平でかつ前記コンベヤの動作方向に垂直な回転軸を有する第1のジョイントにおいて、固定された取り付けスタンドに対して回転可能なロボットベースと、
前記第1のジョイントの前記回転軸に垂直な回転軸を有する第2のジョイントにおいて、前記ロボットベースに対して回転可能な第1の内側アームと、
前記第2のジョイントの前記回転軸に垂直な回転軸を有する第3のジョイントにおいて、前記第1の内側アームに対して回転可能な第2の内側アームと、
前記第3のジョイントの前記回転軸に垂直な回転軸を有する第4のジョイントにおいて、前記第2の内側アームに対して回転可能な第1の外側アームと、
前記第4のジョイントの前記回転軸に垂直な回転軸を有する第5のジョイントにおいて、前記第1の外側アームに対して回転可能な第2の外側アームと、
前記第5のジョイントの前記回転軸に垂直な回転軸を有する第6のジョイントにおいて、前記第2の外側アームに対して回転可能な手首部と、
供給ラインを通して塗装アプリケータに塗装液を供給するポンプ装置を含む流体供給回路であって、前記塗装アプリケータは前記手首部に搭載され、前記ポンプ装置は前記取り付けスタンドの近位に固定的に取り付けられ、前記供給ラインは、前記第1のジョイントの中央の穴及び前記第3のジョイントの中央の穴を通過し、前記第1の内側アーム、前記第2の内側アーム、前記第1の外側アーム及び前記第2の外側アームに沿って前記塗装アプリケータまで配設される、流体供給回路と、
を備える塗装ロボット。
【請求項15】
前記コンベヤの動作方向に対して、上流側、下流側、及び真正面で塗装できるように構成される、請求項14に記載の塗装ロボット。
【請求項16】
前記ジョイントの各々は、前記塗装キャビンの外側の電源から電力供給するモータ導体を備えたモータを有し、前記モータ導体は、1つ又は複数の可撓性の束内に配設される、請求項14に記載の塗装ロボット。
【請求項17】
前記ジョイントの各々は、前記塗装キャビンの外側の電源から電力供給するモータ導体を備えたモータを有し、個々のモータ導体は、パージされた可撓性チューブの内部に収容される、請求項14に記載の塗装ロボット。
【請求項18】
色変更装置及び前記ポンプ装置が、前記取り付けスタンドの裏側のキャビネット内に配置され、前記キャビネットは前記ロボットベースの反対側にあり、それにより前記色変更装置及び前記ポンプ装置は、前記塗装キャビンの外の作業者通路から整備可能である、請求項14に記載の塗装ロボット。
【請求項19】
前記ポンプ装置は、塗料を前記塗装アプリケータにポンプ輸送するように構成された第1のポンプと、溶剤を前記供給ラインに押し込んで前記塗装アプリケータに送る第2のポンプとを含む、請求項14に記載の塗装ロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年3月3日に提出された、タイトルを「次世代塗装ロボット」とする米国特許仮出願第62/666134号の優先権の利益を請求するものである。
【0002】
本開示は、広くは、ロボット塗装装置の分野、より具体的には、自動車の車体又は構成部品を塗装するために使用される改良されたロボットシステムに関する。この改良は、機器のメンテナンスや洗浄のために塗装プロセスを中断することなく継続的に稼働する、塗装工場の現代のニーズを満たすために提供される。液体供給システムは、バルブ、ポンプ、及び液体ラインを含み、これらは、スプレーブースの外に取り付けられている間、塗装作業を停止せずに修理可能であり、色の変化時間と塗装の無駄を最小限に抑えるために提供される。柔軟性とリーチが改善された強化されたロボット運動学により、スプレーブースの設置面積が小さくなり、流体供給システムからアプリケータまでの塗装ラインが短くなる。ロボットアプリケーションコンポーネントの主要な要素へのアクセスは、塗装作業中に塗装蒸気を作業者の通路に放出することなく、アプリケーターエンドコンポーネントの修理とクリーニングを行うためのエアロックメンテナンスコンパートメントによって可能となる。
【背景技術】
【0003】
従来技術に係る塗装ロボット及びスプレーブースが周知である。連続搬送システム及び停止ステーションシステムの双方において車体の外表面を塗装するために使用される典型的な従来技術のスプレーブースは、スプレーブース、複数の塗装ロボット、及びその周囲に配置された開閉ロボットを含む。これらのロボットは、床、壁、天井、又はサイドレールに取り付け可能である。塗装ロボットは、霧状の塗料を車体に向かわせるためのスプレーガン又は回転式アプリケータのいずれかを搭載している。
【0004】
スプレーブースは、ペイントブース、スプレーキャビン、又はペインティングキャビン等としても知られており、スプレーブースからの蒸気を含む空気を処理して排出し、人間が存在する作業者通路に塗料の蒸気が入るのを防ぐ高度な環境・空気処理装置を有する。保守作業員と設備オペレータは、塗装作業が停止したときにのみスプレーブースに入ることができ、蒸気を含む空気が排出されて新鮮な空気に置き換わるまで待たなければならない場合がある。機器の清掃及び保守のために、塗装作業はその作業中に定期的に停止される。停止期間は4時間ごとに30分にもなる場合があり、これは非常にコストがかかる。
【0005】
上述の塗装ロボットシステムは、自動車業界によく貢献しており、高品質の車両塗装仕上げを実現するとともに、塗装蒸気への人間の曝露を最小限に抑え、塗料の無駄や環境への影響を抑制する。しかし、効率を改善し、コストと無駄を削減するという絶え間ない圧力の下では、現在の塗装ロボットのいくつかの態様は最適ではないと認識されている。
【0006】
現在の塗装システムの欠点の1つは、カラーチェンジャ及び流体ポンプ装置がスプレーブース内、典型的にはロボットアームの先端に配置されており、故にこれらの要素を保守するために自動化ゾーンをシャットダウンする必要があることである。上述のように、塗装ラインのダウンタイムはコストがかかり、可能な限り回避する必要がある。現在の塗装ロボットの液体ポンプ装置は、典型的には、アプリケータの近くのロボットの外側アーム上に配置されており、このことは、流体供給装置を保守するために技術者がスプレーブースに入る必要があることを意味する。さらに、外側アームに対する流体供給装置の従来の配置は、ロボットアームのサイズ及び重量を劇的に増加させる。この理由は、全ての色のホース及び継手をアームの全長に沿って引き回す必要があり、さらに流体供給装置自体によって外側アームが大型化しかつ重くなるからである。
【0007】
現在の塗装ロボットの別の制約は、移動するロボットアームに流体供給装置を配置し、多数の塗料制御ラインを色変更・流体ポンプ装置に向けて引き回すために、ロボットの到達範囲及び柔軟性が制限されることである。この構成では、特にロボットが設置点の近くで塗装を行いかつアームがきつく折り畳まれる近距離(ニアリーチ)において、柔軟性が大幅に制限される。ロボットに近距離の柔軟性がないために、ペイントスプレーブースは、車両とスプレーブースの壁との間のクリアランスが所望のものより大きく設計され、故にスプレーブースの容積が増加し、スプレーブースを環境面で制御するためのコストが増加する。また近距離の柔軟性がないことは、あるロボットから次のロボットまでのダウンライン距離が必要以上に長くなることを意味し、これにより、スプレーブースの長さ及び容積が増加する。さらに、柔軟性がないことは、個々のロボットが車両の片側の内面及び外面の全てを塗装できない場合があることを意味し、故により多くのロボットを塗装ラインに設置する必要がある。
【0008】
現在の塗装ロボットのさらなる別の制約は、ロボットの清掃及び保守を行うために、塗装作業を定期的に停止しなければならないことである。塗装ロボットアーム、特に、塗料のスプレーに最も近いアームの部分(塗装アプリケータ自体、及びアプリケータ近くの外側アーム)には、かけ過ぎた(オーバースプレー)塗料が蓄積することが避けられない。オーバースプレーがロボットの動作に悪影響を与えるのを防ぐために、定期的に清掃及びメンテナンスを行う必要がある。アプリケータのクリーニングや交換、ロボットアームのオーバースプレーカバーの交換、窓やクリーナーシステムの拭き取り等、これらのメンテナンス作業は、典型的には4時間ごとに実行される。スプレーブース内で発生するこれらの作業の全てを実行するには、クリーニング時間である約30分間、ブースゾーンを(車両の塗装をせずに)ロックアウトする必要がある。このクリーニング時間は、塗装ラインのダウンタイムを意味し、非常にコストがかかる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
車両の塗装作業の効率を改善し、コストと無駄を削減するために、上述の欠点に対処する新しい塗装ロボットの設計が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示の教示によれば、高度な流体供給システム構造、強化されたキネマティクス、及びサービスエアロックコンパートメントを備えた次世代塗装ロボットが開示される。開示される塗装ロボットは、ロボットの取り付け台座の裏側に色変更バルブ、洗浄バルブ、及びポンプハードウェアを配置した流体供給システムを含み、技術者がスプレーブースに入る必要なしに修理可能である。流体供給システムはまた、ロボットアームを非常に小型で軽量にすることを可能にし、色を変更しているときの塗料の無駄と待機時間を最小化するように構成される。開示されたロボットはまた、冗長な内側アームの回転を提供する関節を含み、これは、ロボットアームからの色変更・流体供給装置の排除と組み合わされて、近距離の柔軟性を劇的に改善でき、それによりスプレーブースを小型化できる。本開示に係る改良されたロボット塗装システムは、簡素化された外側アーム構造、遠隔取り付けされた流体供給装置、及び特別に構成されたエアロックブースにより、塗装作業を停止することなく、かつスプレーブースの作業領域に人が入ることなく、日常の清掃及び保守を実行する機能を提供する。エアロックブースは、ロボット台座に隣接し、ロボットの外側アーム全体、手首、及びアプリケータの完全な保守性を実現する。
【0011】
現在開示されているデバイスの追加の特徴は、添付の図面と併せて、以下の説明及び添付の特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1A】本開示の実施形態に係る、6軸の次世代塗装ロボットの図である。
図1B図1Aの次世代塗装ロボットの7軸バージョンのための、任意の手首関節構造の図である。
図2A図1Aの次世代塗装ロボットの6軸バージョンのための関節構造を示す模式図である。
図2B図1Bの次世代塗装ロボットの7軸バージョンのための関節構造を示す模式図である。
図3図1の次世代塗装ロボットを、スプレーブース外側の作業者通路側から見た図であり、取り付けスタンドの裏側が、流体供給、空気圧・電気制御機器のキャビネットとして機能する。
図4】本開示の実施形態に係る図1の次世代塗装ロボットの端面図であり、ロボット及び塗装中の車体がスプレーブース内にあり、作業者及び取り付けスタンドがスプレーブースの壁の外側に位置し、流体供給、空気圧・電気制御機器のキャビネットとして機能する。
図5】流体供給装置を備えた2台の次世代塗装ロボットの側面図であり、流体供給装置は、1台のロボットの取り付けスタンドの裏側のキャビネットの内側に示される。
図6】スプレーブース内の車体の異なる部分を同時に塗装している2台の次世代塗装ロボットの上面図であり、ロボット及びスプレーブース構造をさらに示す。
図7A】本開示の実施形態に係る、塗装、洗浄及び色変更に使用されるバルブ及びギヤポンプを含む流体供給システムの模式図である。
図7B】本開示の実施形態に係る、塗装、洗浄及び色変更に使用されるバルブ及びギヤポンプを含む他の流体供給システムの模式図である。
図8A】本開示の実施形態に係る、塗装、洗浄及び色変更に使用されるバルブ及びキャニスタポンプを含む流体供給システムの模式図である。
図8B】本開示の実施形態に係る、塗装、洗浄及び色変更に使用されるバルブ及びキャニスタポンプを含む他の流体供給システムの模式図である。
図9図7-8に示す流体供給システム、及び図1-6の次世代塗装ロボットを用いた、塗装とシステムメンテナンスの方法のフローチャートである。
図10】本開示の実施形態に係る、車体の乗員前部ドアの内側部分を塗装している次世代塗装ロボットの図である。
図11A】前世代の塗装ロボットを使用するように構成された塗装プロセスラインの図である。
図11B】本開示の次世代塗装ロボットを使用して、図11Aのラインと同じ単位時間当たりのジョブ数を処理するように構成された塗装プロセスラインの図である。
図12】本開示に係る1台の次世代塗装ロボットの上面図であり、このロボットは、エアロックブース内の作業者が塗装プロセスラインを停止したり、塗装プロセスラインを清浄空気で洗い流したりすることなく、外側アーム及びアプリケータの洗浄及び保守を実行できるサービス位置に配置されている。
図13図12に示すエアロックブース及びロボット構造を用いた、次世代塗装ロボットの外側アーム及びアプリケータを洗浄する方法のフローチャートである。
図14】本開示の実施形態に係る、密閉されたロボット関節の外部に配線されたモータ導体ケーブルを備えた次世代塗装ロボットの図である。
図15A】本開示の他の実施形態に係る、ロボットベースが非水平軸を中心に回転し、取り付けスタンドがスプレーブース内に突出する次世代塗装ロボットの構造を示す。
図15B】本開示の他の実施形態に係る、ロボットベースが非水平軸を中心に回転し、取り付けスタンドがスプレーブース内に突出する次世代塗装ロボットの構造を示す。
図15C】本開示の他の実施形態に係る、ロボットベースが非水平軸を中心に回転し、取り付けスタンドがスプレーブース内に突出する次世代塗装ロボットの構造を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次世代塗装ロボットに関する本開示の実施形態の以下の説明は、本質的に単なる例示であり、開示された装置又はそれらの用途若しくは使用を制限することを決して意図するものではない。例えば、塗装ロボットは、コンベアライン上で車両を塗装するという文脈で説明されているが、ロボットは、他の種類の対象を塗装又は処理するアプリケーションを見出すことが期待されている。開示された方法に関して、提示されたステップは本質的に例示的なものであり、故にステップは、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、追加し、削除し、又は並べ替えることができる。
【0014】
上述の既存の塗装ロボットの欠点に対処するために、以下の特徴、すなわち、向上した塗装効率、削減されたアーム当たりの設置コスト、ロボットのサービス及び清掃による、短縮されたスプレーブースのダウンタイム、向上したロボットの稼働時間/可用性、低減された色変更の無駄、内側及び外側のアームリンクの長さの異なる選択肢、向上した近距離(ニアリーチ)の柔軟性、2軸及び3軸手首の選択肢、並びに、向上した塗装ボディの移送効率を備えた全く新しいロボットが設計された。
【0015】
図1Aは、本開示の一実施形態に係る、6軸の次世代塗装ロボット100の図である。次世代塗装ロボット100は、上述の従来技術の塗装ロボットの制限を克服するために必要な柔軟性及び保守性を提供するように構成されている。次世代塗装ロボットにより、以前の構造よりも大幅に少ないスプレーブースの床面積を使用して車両塗装プロセスラインを実施でき、メンテナンス及びクリーニングに必要なダウンタイムが大幅に削減される。
【0016】
6軸ロボット100は、固定ベース取り付けスタンド110に取り付けられる。タレット又はロボットベース112は、ジョイントJ1(後の図で特定され番号付けされた関節)において、取り付けスタンド110に回転可能に取り付けられる。一実施形態では、ジョイントJ1は、実質的に水平であり、スプレーブースの側壁、スプレーブースの中心面、及びコンベヤ方向に垂直な軸を有する。他の実施形態では、ジョイントJ1は、概ねスプレーブースの中心面に向けられているが水平ではなく、代わりに水平から30°等の角度で傾斜した軸を有する。第1の内側アーム部114は、ジョイントJ2においてタレット112に結合される。ロボット100の全ての関節は、規定された軸回りの回転である単一の自由度を提供する回転関節であり、許容される回転運動は、図1Aの円弧矢印で示される。第2の内側アーム部116は、ジョイントJ3において第1の内側アーム部114に連結される。第1の外側アーム部118は、ジョイントJ4において、エルボーとしても知られる第2の内側アーム部116に結合される。第2の外側アーム部120は、ジョイントにおいて第1の外側アーム部118に結合される。手首部122は、ジョイントJ6において第2の外側アーム部120に結合される。アプリケータ130は、塗料の塗布に最適化された角度で、手首部122に固定的に取り付けられる。
【0017】
次世代塗装ロボット100は、外側アーム120上ではなく、取り付けスタンド110内又はその近くに流体供給装置(ポンプ、バルブ、カラーチェンジャ、洗浄回路等)を配置することにより、保守を容易にするように最適化されている。図1Aに示すように、単一のアプリケータ供給ライン140のみがロボットアームに沿って配設され、アプリケータ130に塗料を供給する。全てのアームから複数の塗料供給ラインを排除し、さらにポンプ、バルク塗料供給ライン、及び関連する色変更バルブを外側アームから排除することにより、ロボット100の全てのアームは、従来の塗装ロボットよりもはるかに嵩張らず、はるかに軽量である。冗長な内側アーム回転(ジョイントJ3)に連動する細いアームは、後述する他の特徴とともに、ロボット100が従来技術の塗装ロボットよりもはるかに優れた柔軟性、特に近距離の柔軟性を有する結果となる。塗装及び色変更に必要な追加のバルブは、ロボットアームの端部、及びロボットアプリケータ内にも配置可能であり、修理用メンテナンスブース内の作業者に容易に提供される。
【0018】
図1Bは、図1Aの次世代塗装ロボット100の7軸バージョンのための、任意的な手首関節構成の図である。手首ジョイント160は、図1Aの手首部122の代わりとなる第1の手首部162を含む。第2の手首部164は、第1の手首部162に回転可能に連結され、アプリケータ130は、塗料の塗布に最適化された角度で第2の手首部164に固定的に取り付けられる。図1Bの7軸構成は、アプリケータ130のための追加の自由度を提供し、これはいくつかの塗装用途で必要とされる場合がある。
【0019】
図2A/2Bは、図1A及び1Bの次世代塗装ロボット100の6軸及び7軸バージョンの関節構成を示す模式図である。当業者には理解されるように、そして図2A及び2Bに示すように、ジョイントJ1-J6は、本質的に、各々が前のジョイントと直交するように方向付けられた一連の回転ジョイントであり、ある部分の、他の部分に対する回転・曲げ運動を提供する。図2Aでは、ジョイントは次のように説明され得る。J1(166)は、取り付けスタンド110に対してタレットを回転させる。J2(168)は、タレット112に対する内側アームの曲げを提供する。J3(170)は、タレット112に対する内側アームの「冗長な」回転を提供する。J4(172)は、内側アームに対して外側アームを曲げる肘関節である。J5(174)は、外側アームを回転させる。J6(176)は、手首における曲げを提供する。スピン軸とも呼ばれる手首の最終的な回転は、図2BではJ7(178)として示される。
【0020】
6軸構成及び7軸構成の双方において、内側アームの長さ194は、J2(168)からj4(172)までの距離として定義され、外側アームの長さ196は、J4(172)からJ6(176)までの距離として定義される。アームの長さ194及び196はロボット100の到達範囲に影響するので、内側アームの長さ194及び外側アームの長さ196は、次世代塗装ロボット100の重要な設計パラメータである。組み合わせたアーム長さに対するアプリケータ供給ライン140の全長も、重要な設計要素である。
【0021】
上述のキネマティクスと、ロボットアームの上流側(取り付けスタンド110内又はその近く)への流体供給装置の配置とにより、次世代塗装ロボット100は、既存の塗装ロボットに比べて多くの改善点を有する。ロボット100は、ロボットアームの重量と、これに関連する設置コストとを大幅に削減する。ロボット100はまた、固定ベースロボットを備えた大きく有用な作業範囲を提供する。車体とブース壁の間の狭いスペース内にアームを留まらせるために、自由度と近距離の柔軟性とを備えた、上流から下流への継続的な処理が可能である。さらに、ロボット100は、ロボットの関節の移動範囲を制限しないように、関節を介してアプリケータに少なくとも1つの塗料供給ラインを配設する手段を提供する。またさらに、次世代塗装ロボット100は、ロボット100の必要な清掃及び保守による塗装ラインのダウンタイムを最小化するように構成されている。次世代塗装ロボット100のこれら全ての態様について、以下に詳細に説明する。
【0022】
図3-6についての以下の説明は、部品の交換及び修理を簡素化するように構成された新しい流体供給回路を含む、スプレーブースでのロボット100の使用を記載する。図7-8は、いくつかの液体供給回路の詳細を示し、スプレーブースの外側に配置された流体供給コンポーネントの大部分の利点を全て実現しつつ、色の変更時間と塗料の無駄をいかにして最小化するかを示す。
【0023】
図3は、スプレーブースの外側の作業者通路から見た次世代塗装ロボット100の図であり、作業者190が取り付けスタンド110の近くに立っている。
【0024】
図4は、スプレーブース端面図における次世代塗装ロボット100の図であり、ロボット100及び塗装されている車両300は、スプレーブース200の内側にあり、作業者190及び取り付けスタンド110は、スプレーブース200の側壁210の外側に位置している。コンベヤ220は、連続運動又は停止ステーション搬送のいずれによっても、ブース200を通して車体を運ぶ。コンベヤ220上の車両300の動きは、図4ではビューワに向かっている。スプレーブースの中心面222は端面図に示され、中心面222は壁210と、これに対向するスプレーブース200の壁(図示せず)との間の中心にある。図4の実施形態では、タレット112と取り付けスタンドの110との間のジョイントJ1は、水平な回転軸を有するが、この軸は、いくつかの用途のために水平から傾斜してもよい。
【0025】
理解すべき(後の図に示される)ことは、ロボット100の追加の実施例が側壁210及び対向する側壁に沿って配置され、それにより、コンベヤ220に沿って移動する車両又は他の部品の連続塗装が可能な塗装ブースが提供されることある。クリーニングスタンド230は、作業者の位置の真向かいで、スプレーブース200内で側壁210近くのロボット100に隣接配置される。ロボット100は、色変更洗浄及び清掃タスクのためにホーム又はサービス位置に戻り、この構成では、アプリケータ130は、クリーニングスタンド230の上部に配置される。これについては、以下でさらに説明する。
【0026】
図5は、2台の次世代塗装ロボット100を示す塗装プロセスラインの側面図であり、ロボット100のうちの1つの取り付けスタンド110の裏側のキャビネット内に流体供給装置が視認できる。図5では、1台のロボット100(右側)は、車両300のフードを塗装しており、他方のロボット100は、そのホーム又はサービス位置で清掃スタンド230に配置されている。右側の取り付けスタンド110は、所定位置にあるカバーを有し、該カバーはキャビネット内の流体供給・空気圧機器を隠す。図5では、ロボット100及び車両300の一部が窓を通して見えるが、側壁210の残りの部分は省略されている。
【0027】
前述のように、次世代塗装ロボット100は、ロボットアームの上流に流体供給装置を備えるように構成され、ロボットアームの小型化及び軽量化、ロボットの柔軟性、多くの塗装色のサポート、並びにコンポーネントの保守性に関して大きな利点をもたらす。好適な実施形態では、カラーチェンジャ180及びポンプ装置182は、取り付けスタンド110の裏側(スプレーブース200の内側ではなく、作業者通路側)のキャビネット184内に配置される。カラーチェンジャ180は、異なる色の塗料を運ぶ多数の供給ライン(典型的には48個以上、図示せず)を有し、さらに、塗装色の1つを、第1の供給ライン(図示せず)を介してポンプ装置182に供給するために選択する自動制御バルブを含む。ポンプ装置は、キャニスタ式の装置、ギヤポンプ装置、又は塗料をアプリケータ130にポンプ輸送するのに適した他の構造であり得る。アプリケータ供給ライン140(図1に示す)は、ポンプ装置182から塗料を受け取り、アプリケータ130に提供する。アプリケータ供給ライン140は、取り付けスタンド110の穴186を通り、ジョイントJ1においてタレット112の穴を通り、ロボットアームに沿ってアプリケータ130に達し、その過程で任意に他のジョイント(J3、J5等)も通過する。複数のポンプ及び複数の供給ライン(図示せず)が使用可能である。
【0028】
他の構造の実施形態では、カラーチェンジャ180及びポンプ装置182は、他の場所に、好ましくは、外側アーム上又はその近くではなく、ロボットベース上又はその近くに配置することができる。例えば、カラーチェンジャ180及びポンプ装置182は、いずれもタレット112に取り付け可能である。或いは、カラーチェンジャ180をキャビネット184内に取り付け、ポンプ装置182をタレット112又は第1の内側アーム部114に取り付けてもよい。いずれの場合でも、カラーチェンジャ180及びポンプ装置182は、それらを修理又は交換すべき場合に、作業者通路から(場合によっては壁210の小さなポート穴を通して)それらにアクセスできるように有利に配置される。スプレーブースの生産性は、次世代塗装ロボット100の構成により、流体供給装置の修理のためのダウンタイムを回避することで劇的に向上する。
【0029】
図5において、距離250は、隣接するロボット100間のピッチ又は間隔を表し、ロボット100の多く(2つ超)がスプレーブース200の各側に沿って設置されることが理解されるべきである。離隔距離250と、スプレーブース200のサイズに対する離隔距離250の影響については、以下でさらに説明する。安全インターロックされた侵入ゲート(又はバリア、又はガード)286は、作業者190が保護ゾーン内に到達することを可能にしつつ、作業者190がスプレーブース200に入るのを防ぐために提供される。これについては、以下でさらに説明する。
【0030】
図6は、スプレーブース200内の車両300の異なる部分を同時に塗装する2台の次世代塗装ロボット100を示す塗装プロセスラインの上面図である。図6では、ロボット100の1つが車両300の右前ドアを塗装し、他のロボット100が車両300のフードを塗装している。ブースの中心面222は、側壁210とこれに対向する側壁212との中間に位置する、図6の上端図に見ることができる。ロボット100の追加の実施例は、後述するように、反対側の側壁212に沿って設置される。
【0031】
また、図6には、各ロボット100の取り付けスタンド110に隣接するエアロックブース280も示される。各エアロックブース280は、通路側入口ドア282及びブース側入口ドア284を有する。以下でさらに説明する処理では、(自給式呼吸装置又は線条呼吸ホースを任意に着用できる)サービス要員は、全ての塗装作業を停止してスプレーブース200を新鮮な空気で洗い流す必要なく、エアロックブース280に入り、通路側入口ドア282を閉め、ブース側入口ドア284を開け、ロボット100に対して所定の清掃及び保守タスクを実行することができる。
【0032】
図4-6には、スプレーブース座標フレーム400が示される。スプレーブース座標フレーム400は、スプレーブース中心面222内の点であって、典型的にはコンベヤ220より下方の高さに原点を有する。座標フレーム400は、コンベヤ220の移動方向(図5及び6では左から右)に向けられたX軸と、上向きのZ軸とを有する。これにより、図4及び6に示すように、座標フレーム400のXZ平面がスプレーブースの中心面222に一致する。座標フレーム400は、反対側の側壁212に向けられた(側壁210から離れた)Y軸を有する。これにより、座標フレーム400のXY平面は、スプレーブース200の床と一致する平面等の水平面となる。
【0033】
図5及び6において、離隔距離250は、側壁210に沿ったロボット100間のピッチ又は間隔を示す。(アームのキネマティクス、取り付けスタンドでの流体供給装置の配置、細いアーム構造等による)次世代塗装ロボット100の近距離の柔軟性により、距離250は1.5-2.0メートル程度と小さくすることができる。距離252は、反対側の側壁212上のロボット100間の間隔であり、距離252は、距離250とは異なる場合がある。例えば、スプレーブース200の1つの設計構成では、側壁210に沿ったロボット100は、離隔距離250を最小にして配置することができ、これらのロボットは、車両300の手前側面及びクロスカーの全ての外面(フード、ルーフ、リフトゲート)の塗装を担当し、一方で、反対側の側壁212に沿ったロボット100は、距離250よりも大きい離隔距離252で配置され、これらのロボットは、車両300の手前側部分のみの塗装を担当する。
【0034】
図3-6は、ロボット100の詳細と、そのようなロボットが塗装プロセスラインで何台使用されるかを示す。高度なキネマティクス、及びロボットアームの上流に流体供給装置を配置することにより、次世代塗装ロボット100は、ロボットアームの重量と嵩を大幅に削減し、柔軟性と近距離を改善し、ロボット100に必要な洗浄及び保守による塗装ラインのダウンタイムを最小化するように構成されている。次世代塗装ロボット100はまた、上述の利点の全てを提供する一方で、後述する高度な流体供給回路を使用して、色変更操作中の廃塗料及びサイクル時間を最小限に抑える。
【0035】
図1-6に示す次世代塗装ロボット100の他の重要な利点は、アプリケータ供給ライン140の長さが最小化されることである。アプリケータ供給ライン140をいくつかのジョイントの中心に通して配設することで、ロボットアームの細い構成により、アプリケータ供給ライン140の長さは、内側アームと外側アームの合計長さ(図2の194及び196)に1.6メートルのサービス長を加えた長さよりも短い長さに維持することができる。この供給ラインの長さの最小化は、アプリケータ130で適切な塗料圧力を維持するという観点と、色変更塗料廃棄を最小化するという観点との双方から重要である。色の変更時間をさらに短縮する必要がある場合は、図7及び8に示す複数のポンプシステム及び流体供給ラインが使用可能である。
【0036】
図7Aは、本開示の一実施形態に係る、塗料塗布、洗浄及び色変更に使用される流体供給システム700の模式図である。流体供給システム700は、図5のカラーチェンジャ180を表すカラーチェンジャ780と、図5のポンプ装置182を表すポンプ装置782とを含む。カラーチェンジャ780及びポンプ装置782は、多種類の塗料のために特別に構成される。また図7には、前述のアプリケータ供給ライン140及びアプリケータ130も示される。カラーチェンジャ780及びポンプ装置782は、スプレーブース200の外側に配置され、アプリケータ供給ライン140は、側壁210を通って、ロボットアームに沿ってアプリケータ130の入口点まで配設される。図7及び8の全ての実施形態において、ポンプ装置からアプリケータ130までのアプリケータ供給ライン140の長さは4.4メートル未満である。
【0037】
溶剤ベースの流体供給システム700は、カラーチェンジャ780において多数の色をサポートし、15秒で色の変更を完了することができ、色変更のための無駄な塗料を制限し、色変更のための無駄な溶剤を制限する。流体供給システム700はこれらの機能を、2つのギヤポンプ(1つは塗料用、もう1つは溶剤用)と、空気、塗料及び溶剤用の一連のバルブとを使用して、最適化されたバルブ制御方式とともに提供する。
【0038】
流体供給システム700は、以下のように動作する。カラーチェンジャ780のバルブの1つが開かれ、第1の供給ライン710を介してポンプ装置782に特定の色の塗料を供給する。第1のギヤポンプ720は、アプリケータ供給ライン140を介して塗料をアプリケータ130にポンプ輸送する。トリガーバルブ740は、アプリケータ130からの塗料の実際の噴霧を制御する。圧力調整器742は、第1のギヤポンプ720の上流に設けられ、圧力センサ744は、第1のギヤポンプ720の下流に設けられる。ポンプ及びバルブは全て、プロセッサを備えた制御装置によって操作され、制御装置は、ロボットの動作、トリガーバルブ740を介した塗料の実際の噴霧、ここで説明する色変更シーケンスの開始等を制御する。
【0039】
現在の色の塗装が完了に近づくと、塗装バルブ(例えばC1)が閉じて、カラーチェンジャ780からの塗料の流れが止まる。アプリケータ130による塗装が続く間、溶剤バルブ746が開かれて、塗料は第1の供給ライン710に押し込まれ、第1のギヤポンプ720にほぼ到達するが、第1のギヤポンプ720内には入らない。このとき、第1のギヤポンプ720が停止し、バルブ748が閉じ、バルブ750が開き、第2のギヤポンプ730が作動して、溶剤を供給ライン140にポンプ輸送する。第2のギヤポンプ730は、低粘度の溶剤をポンプ輸送するために厳しい許容誤差で設計された高効率ポンプである。アプリケータ130による塗装が継続している間、第2のギヤポンプ730は、アプリケータ供給ライン140内の塗料をアプリケータ130に押し出し、塗料の大部分を車両塗装に使用できるようになる。溶剤の流れは、溶剤がアプリケータ130にほぼ到達したときを決定するためにポンプ730によって計量される。溶剤の押し出し機能が発生する塗装サイクルの終わりに向かって、カラーチェンジャ780、流体調整器742、ギヤポンプ720及び塗料圧力センサ744は、カラーチェンジャ溶剤バルブ及び空気バルブを順次操作し、最後に次の色バルブを開くことによって、放出バルブ752を通して、次の色で洗浄・プライミングされる。
【0040】
部品塗装が完了すると、ロボット100は、アプリケータ130がアプリケータクリーナ230に入るホーム位置に戻る。ここで、第2のギヤポンプ730からの溶剤が、塗料の残りをアプリケータ供給ライン140及びアプリケータ130から押し出す。同時に、ポンプ730からの溶剤はまた、第1のギヤポンプ720とバルブ748との間の短い通路を洗い流すために使用され、残留物はダンプバルブ752を通して洗い流される。次に、圧縮空気が空気バルブ756を通して供給されて、アプリケータ供給ライン140及びアプリケータ130からの溶剤を乾燥させる。次に、アプリケータ供給ライン140は、アプリケータ130に向かい、トリガーバルブ740を通ってアプリケータクリーナ230内に至る塗料を正確に計量するために、ポンプ720を使用して次の色でプライミングされる。次に、ロボット100は、アプリケータ130が次のジョブを塗装する準備ができているホーム又はサービス位置に戻る。
【0041】
図7Bは、本開示の他の実施形態に係る、溶剤ベースの塗料塗布、洗浄及び色変更に使用される流体供給システム770の模式図である。流体供給システム770は、主に溶剤ポンプの位置及び接続性において、図7Aのシステム700と異なる。システム770では、第2のギヤポンプ790(低粘度溶剤をポンプ輸送するために厳しい許容誤差で設計された高効率ポンプ)が、第1のギヤポンプ720の上流に配置される。色変更の時間になると、カラーチェンジャ780からの塗料の流れが遮断され、第2のギヤポンプ790は、ライン792を介して、作動し続ける第1のギヤポンプ720に直接、溶剤を供給する。このようにして供給された溶剤は、第1のギヤポンプ720の洗浄を開始するとともに、アプリケータ供給ライン140を通して塗料をアプリケータ130に押し出す。アプリケータ供給ライン140内の溶剤がアプリケータ130にほぼ到達すると、ロボット100がアプリケータ130をアプリケータクリーナ230に戻し、システム770は、システム700について説明したものと同様の方法で、バルブを使用して必要な溶剤の流れを生じさせ、次に圧縮空気を供給することにより、システムのクリーンアウトサイクルを完了する。
【0042】
さらなる他の択一的実施形態では、第2のギヤポンプ730又は790の代わりに圧力調整器及び流量計を使用して、塗料をアプリケータ供給ライン140から押し出すのに使用される溶剤の流れを計量することができる。
【0043】
先に概説したように、流体供給システム700及び770は、色変更時間及び無駄な塗料を最小限に抑えながら、ロボットの上流にカラーチェンジャ780及びポンプ装置782を配置することを可能にする。このスプレーブース外側でのロボット上流の配置、故にいくつかの実施形態では作業者通路からサービス可能であるこの配置は、塗装作業の稼働時間の増加を実現する重要な要素である。
【0044】
図8Aは、本開示の一実施形態に係る、塗料塗布、洗浄及び色変更に使用されるバルブ及びキャニスタポンプを含む流体供給システム800の模式図である。流体供給システム800は、図5のカラーチェンジャ180を表すカラーチェンジャ880と、図5のポンプ装置182を表すポンプ装置882とを含む。カラーチェンジャ880及びポンプ装置882は、水性塗料用に設計されている一方で、溶媒ベースの塗料を使用し、水性塗料に移行する(例えば、双方が単一の塗装アプリケーションで使用される)オプションも提供する。図8Aにはまた、前述のアプリケータ供給ライン140及びアプリケータ130が示され、アプリケータ130はスプレーブース200の内側に配置され、カラーチェンジャ880及びポンプ装置882はスプレーブース200の外側に配置され、アプリケータ供給ライン140は側壁210の穴を通過する。
【0045】
流体供給システム800は、カラーチェンジャ880において最大48の異なる色をサポートし、15秒未満で色変更を完了することができ、色変更のための無駄な塗料を10cc未満に制限し、色変更のための無駄な溶媒を150cc未満に制限する。流体供給システム800はこれらの機能を、2つのキャニスタポンプ(塗料用の大きなキャニスタ、及び溶剤用の小さなキャニスタ)と、空気、塗料及び溶剤用の一連のバルブとを使用して、最適化されたバルブ制御方式とともに提供する。より速い色変更が必要な場合は、2つの独立したポンプシステムと、アプリケータへの2つの流体供給ラインとを有するようにシステムを複製できる。一方のシステムが塗装している間、もう一方のシステムは次の車両の次の色を準備することができる。
【0046】
流体供給システム800は、以下のように動作する。カラーチェンジャ880のバルブC1-C4の1つが開かれ、第1の供給ライン810を介してポンプ装置882に特定の色の塗料を供給する。塗料キャニスタ820は、バルブ824が開いた状態でピストン822を引き戻し、故に塗料キャニスタ820には、塗装用途に必要な量の塗料チャージが充填される。次に、バルブ824が閉じ、バルブ826が開き、ピストン822が所定の速度で作動(移動)して所望の流量で塗料をアプリケータ130に供給し、塗料を車両に塗布すべくバルブ832が開く。
【0047】
現在の色の塗装が完了に近づき、塗料キャニスタ820が空になると、塗装バルブ826が閉じ、溶剤バルブ834が開く。次に、溶剤キャニスタ830が、制御された速度で作動(移動)し、溶剤のチャージが、アプリケータ供給ライン140内の塗料をアプリケータ130に押し出し、塗料の大部分を車両の塗装に使用することができる。
【0048】
次に、ロボット100は、アプリケータ130がアプリケータクリーナ230に入るホーム/サービス位置に戻る。同時に、バルブ844、824、842及び826が開き、溶剤バルブ840及び空気バルブ850が順次操作されて、塗料キャニスタ820を含む開回路を、放出バルブ844を通して洗浄・乾燥する。洗浄ステーションでは、溶媒キャニスタ830からの溶剤が、塗料の残りをアプリケータ供給ライン140及びアプリケータ130から押し出す。
【0049】
次に、キャニスタ820は、新しい塗装色の準備ができており、先ずシステム800が真空にさらされ、次にカラーチェンジャ880の塗装色バルブC1-C4の1つが開く。キャニスタ820は適切な量の塗料を吸引し、次に流体供給システム800は新しい塗料色で十分にプライムされる。キャニスタ820に次の色が装填されている間、溶剤キャニスタ830は、新しいチャージの溶媒を吸引し、次にアプリケータ供給ライン140は、次の充填の準備のために乾燥される。ピストン822は、アプリケータクリーナ230内にある間に、少量の新しい塗料色をアプリケータ130にロードするために前進する。次にロボット100は、アプリケータクリーナ230を離れ、ホームポジションに進み、その後、塗装を再開する。
【0050】
図8Bは、本開示の別の実施形態に係る、水性塗料の塗布、洗浄及び色変更に使用される流体供給システム870の模式図である。流体供給システム870は、主に溶剤ポンプの位置及び接続性において、図8Aのシステム800とは異なる。システム870において、溶剤キャニスタ830は、塗料キャニスタ820に隣接して配置される。これにより、塗料キャニスタ820に塗料を供給しかつ塗料キャニスタ820及び溶剤キャニスタ830の双方に溶剤を供給するために、ポンプ装置882で使用されるバルブが少なくとも1つ少なくなる。
【0051】
先に概説したように、流体供給システム800及び870は、ロボットの上流にカラーチェンジャ880及びポンプ装置882を配置することを可能にし、その場合、色変更時間及び無駄な塗料を最小限に抑えつつ、スプレーブース200での全ての塗装操作を停止することなく、カラーチェンジャ880及びポンプ装置882を整備することができる。
【0052】
図9は、図7-8に示される流体供給システム、及び図1-6に詳述される次世代塗装ロボット100を使用した、塗料塗布及びシステム保守のための方法のフローチャート図900である。ボックス902において、車体の一部に塗料又はプライマのコートを塗布することと、流体供給システムを自動的に洗い流すことと、異なる色の塗料(又はクリアコート)に切り替えることと、車体に別のコートを塗布することとを含む、通常の車両塗装操作が進行する。
【0053】
ボックス904において、色変更装置180及び/又はポンプ装置182(図5)を、整備又は交換する必要があるとの決定がされる。ボックス906において、ロボット100は、スタンバイモード又はバックアップモードにされ、特定のロボット100は、車両の塗装を中止し、そのホーム・サービス位置に戻る。しかしコンベヤは、スプレーブース200を通って車体を動かし続け、スタンバイモードにある特定のロボット100を除く他の全てのステーションで塗装が続行される。ロボット100の1つがスタンバイモードにあるとき、塗装処理ラインのマスタ制御装置は、他のロボット100に、スタンバイモードにあるロボット100によって実行されていない塗装作業を実行させる
【0054】
ボックス908において、サービス技術者は、色変更装置180及び/又はポンプ装置182をキャビネット184(図5)から取り外し、取り外したコンポーネントを交換するか、又はその整備を実行する。流体供給システム及びこれに適応するように構成された塗装プロセスライン全体を含むロボット100の主な利点は、サービス技術者スプレーブース200に入る必要なく、色変更装置180及び/又はポンプ装置182の修理又は交換が実行されることである。これにより、他の全てのステーションで塗装作業を継続でき、スプレーブース200を新鮮な空気で洗い流す必要がなくなる。このことは、自動車メーカーにとって生産性の大幅な向上とコスト削減のメリットがある。
【0055】
ボックス910において、技術者による構成要素の修理又は交換の後、ロボット100は、サービスへの復帰手順を実行し、ノーマルモードに戻され、通常の車両塗装作業を再開する。サービスへの復帰手順は、色変更装置180及びポンプ装置182のいくつかのバルブを用いて、システムを溶剤で洗い流し、必要とされる次の塗料色でシステムをプライミングすることを含み得る。
【0056】
上述の説明は、技術者がスプレーブース200に入る必要なく、色変更装置180及びポンプ装置182の整備を可能にする次世代塗装ロボット100の特徴を記載している。次世代塗装ロボット100の他の特徴は、従来よりも小さなスプレーブース構成を実現できる近距離の柔軟性の向上にある。これについては、以下に詳述する。
【0057】
図10は、車両300の助手席側ドアの内部を塗装する次世代塗装ロボット100の図である。図10には、図5及び6に示されかつ上述した、取り付けスタンド110に隣接するエアロックブース280、通路側入口ドア282、ブース側入口ドア284、及びガードバリア286も示される。
【0058】
次世代塗装ロボット100は、塗装プロセスラインの処理効率及びスプレーブース200のスペース効率を最適化するように設計される。これらの設計目標の主な実現要因は、内側アーム(ジョイントJ3)の冗長回転と、内側塗装及び外側塗装の双方に適応できるように2軸手首及び3軸手首の選択肢が利用できることである。さらに、ロボットアームから液体供給装置及び複数の塗料供給ラインを取り外すことで、ニアリーチが大幅に改善された柔軟性の高い塗装ロボットが提供される。
【0059】
高い柔軟性と改善されたニアリーチにより、J2軸(タレットから内側アームの最初の部分)は、スプレーブースの下部でかつ車両300の近くに取り付けることができる。これにより、アーム上に流体供給装置及び複数の塗料供給ラインを備えた塗装ロボットと比較して、アームの長さ、アームの質量及び支持構造が大幅に削減される。より高い柔軟性と改善されたニアリーチにより、ロボット100は、自らの上流、下流、及び真正面に塗装することができる。これにより、ロボット同士の間隔(図5に示した離隔距離250)が、従来の塗装ロボットシステムにおける約3メートルから、次世代塗装ロボット100を使用するシステムの1.5-2.0メートルの距離に短縮され、隣接するロボットの作業範囲を過密にすることなく、スプレーブースの長さ及び幅が縮小される。また、ガンオン効率(gun-on efficiency)も向上する。
【0060】
図5、6及び10に示すように、次世代塗装ロボット100は、クロスカー表面(cross-car surface)及び内面に加え、車両300の手前側の外面を塗装することができる。ロボット100の柔軟性及び近距離特性により、塗装プロセスラインの長さを最大30%短縮することができる。さらに、柔軟性のある作業範囲により、狭いブースでの作業が可能になるため、後述するように、ブースの面積が40%削減される。スプレーブースの設置面積及び画定容積が小さくなることは、自動車メーカーに大幅な資本コスト及び運用コストの節約をもたらす。
【0061】
図11Aは、前世代の塗装ロボットを使用するように構成された塗装プロセスライン1100の上面図である。図11Bは、図11Aのラインと同じ単位時間当たりのジョブ数を処理するように構成された塗装プロセスライン1140の上面図であり、図11Bのラインは、次世代塗装ロボット100を使用する。
【0062】
塗装プロセスライン1100及び1140は、前述のように、スプレーブース200の両側に沿って取り付けられた複数のロボットを有し、コンベア上の車両が中央を通過する。塗装ロボットの各々は、車両300の片側を塗装し、ボンネット及びルーフ等の上面及びクロスカー表面の塗装は、必要に応じてプロセスラインの両側で分担することができる。塗装ロボットに加えて、プロセスライン1100及び1140は、内部ゾーンにオープナーロボット(図示せず)も含み、オープナーロボットは、ドア、ボンネット及びトランク/リフトゲートを開閉するように構成されたロボットであり、同じプロセスラインで内面及び外面の双方が塗装されることを可能にする。
【0063】
塗装プロセスライン1100は、車両の内面が塗装される内部ゾーン1102と、車両の外面が塗装される外部ゾーン1104とを含む。塗装ロボット1110は、内部ゾーン1102及び外部ゾーン1104の双方で使用されるが、間隔はゾーン間で異なる。内部ゾーン1102では、ロボット1110は、外部ゾーン1104で使用される間隔1132よりも大きい間隔1130で配置される。この理由は、柔軟性が乏しいロボット1110で内面を塗装するために必要な操作のためであり、場合によってはアームの反転(フリップ)が必要になり、ロボット間の間隔を大きくする必要がある。塗装プロセスライン1100は、ブース長1120にブース幅1122を乗算することで求められる総面積を有する。
【0064】
塗装プロセスライン1140は、車両の内面が塗装される内部ゾーン1142と、車両の外面が塗装される外部ゾーン1144とを含む。次世代塗装ロボット100は、内部ゾーン1142及び外部ゾーン1144の双方で使用される。内部ゾーン1142及び外部ゾーン1144は、前述のロボット間の間隔250と同じものを使用することができ、これは、プロセスライン1100で使用される間隔1130及び1132より短い。この理由は、前に詳細に説明したように、次世代塗装ロボット100の近距離の柔軟性によるものである。塗装プロセスライン1140は、ブース長1150にブース幅1152を乗算することで求められる総面積を有する。
【0065】
プロセスライン1140が、プロセスライン1100よりもはるかに単純で小さいことは明白である。これは、次世代塗装ロボット100が、単純な取り付け構造及び短い配置間隔を利用して、車両300の内面及び外面の双方を塗装できるからである。ロボット1110等の従来の塗装ロボット構造は、特定のロボットが内部塗装又は外部塗装を実行するように割り当てられているか否かに応じて、互いに異なる方法で取り付けられ、及び/又は構成される必要があった。対照的に、プロセスライン1140上の全てのロボット100は、構成及び取り付け高さが同じである。これにより、スペース効率が向上するだけでなく、ロボットがスタンバイモードになった場合に、塗装作業をあるロボットから他のロボットに最適に再割り当てすることもできる。
【0066】
一例では、ロボット間の間隔は、プロセスライン1100の2.8メートル(離隔距離1130)から、プロセスライン1140の2.0メートル(離隔距離250)に減少する。また、前述のように、ロボット100の近距離の柔軟性は、スプレーブース幅1152をブース幅1122に比べて短くすることを可能にする。長さ及び幅が短くなった結果として、プロセスライン1140は、処理ライン1100よりも40%少ないスプレーブース床面積を必要とする一方で、単位時間当たりの車体塗装ジョブの数は同じである。
【0067】
次世代塗装ロボット100の他の構造的特徴は、サービス技術者がスプレーブース200に入ることなく、かつ塗装ラインの動作を停止することなく、整備及び洗浄を実行できることである。これらの機能は、(図6に関して既に簡単に説明した)エアロックブース280の使用によって可能になる。
【0068】
塗装ロボットは、必然的に塗料のオーバースプレーを蓄積するので、過度の蓄積を防ぐために定期的に洗浄する必要がある。現在の塗装ロボットを使用すると、生産プロセスが中断され、30分間のクリーニング「スキップ」がシフト毎に2回行われ、1週間当たり21時間の非塗装時間が生じる。クリーニングスキップは通常、シフト切替時及びシフト中間時に発生する。クリーニングスキップは、入ってくる車体を停止し、スプレーブース200の複数のロボットゾーンが、ロックアウトされて新鮮な空気で洗い流される。洗浄するロボットの数と割り当てられた時間に応じて、複数の作業者が、ベル(アプリケータ130の外側部分)を拭き、ベル及び外側アームのオーバースプレーカバーを交換し、アプリケータクリーナ230の上部を拭き、監視用の窓を清掃する必要がある。
【0069】
塗装ロボットシステムが、塗装プロセスライン又はスプレーブース200のゾーンすらもシャットダウンせずに整備及び洗浄できる場合、運転コストについて大幅な利点が実現できる。実際、シフト毎のクリーニング「スキップ」を回避することにより、ロボット100を使用する塗装ラインは、既存の塗装ロボットシステムが7日で塗装する車両と同数の車両を6日で塗装することができる。
【0070】
図12は、本開示の一実施形態に係る、ホーム位置にある次世代塗装ロボット100の1つの上面図である。ホーム位置では、エアロックブースの作業者は、塗装プロセスラインを停止したりスプレーブースを新鮮な空気で洗い流したりすることなく、外側アーム及びアプリケータの洗浄及び保守を行うことができる。
【0071】
ロボット100及び車両300はスプレーブース200の内側にあり、側壁210はスプレーブース200を作業者通路1210から分離する。前述しかつ一般に理解されているように、作業者通路1210は居住可能で新鮮な空気の環境であるが、スプレーブース200は塗装作業中に塗料の煙で満たされ、塗装が停止してブース200(又はそのゾーン)が新鮮な空気で洗い流されるまで、作業者190はブース200に入ることができない。
【0072】
図12では、ロボット100はホーム位置に戻り、該ホーム位置ではアプリケータ130は洗浄スタンド230(見えない)の上部に配置される。図6に示したように、エアロックブース280は取り付けスタンド110に隣接している。作業者190は、通路側入口ドア282を通ってエアロックブース280に入っており、通路側入口ドア282を閉じている。状況に応じて必要な自給式呼吸器又は線条呼吸ホースが使用される場合、作業者190はブース入口ドア284を開き、ガードバリア286を通り抜けて、ロボット100に対して所定の洗浄及び保守タスクを実行することができる。現在の塗装ロボットシステムのクリーニングスキップとは異なり、エアロックブース280からのロボット100の洗浄/整備は、全ての塗装作業を停止してスプレーブース200を新鮮な空気で洗い流すことなく、実行することができる。代わりに、特定のロボット100をスタンバイモード又はバックアップモードにし、その作業をプロセスライン上の他のロボットに一時的に割り当ててもよい。その理由は、作業者190が特定のロボット100の洗浄及び整備タスクを実行している間、車両は他のロボットによって塗装され続けるからである。
【0073】
セーフゾーン1220が、サービス位置にあるロボット100の周りに画定される。セーフゾーン1220は、作業者190の安全を確保するために、隣接する他のロボットの進入がプログラム的に禁止されている領域である。セーフゾーン1220は、作業者190がスプレーブース200のその部分に手を伸ばしている間、該作業者を保護するための追加のセンサ及びロックアウト制御装置を含み得る。物理的なガード又はバリア286は、ブース側入口ドア284の開口部(故に図12では見えない)等、入口ドア284の近位に配置可能である。ガードバリア286は、作業者190が自らの腕をセーフゾーン1220内に伸ばすことは許可するが、作業者の体がセーフゾーン1220に入ることは防止し、さらに作業者190のいかなる部分もセーフゾーン1220を超えてスプレーブース200に入ることを防止する。また、エアロックブース280には、環境制御プロトコルを実装する必要がある。ブース280は、(作業者の出入りのために)通路側入口ドア282を開く前に、新鮮な空気で洗い流す必要がある場合があり、作業者190は、ブース側入口ドア284が開かれる前に、独立した呼吸装置が適所にありかつ機能していることを確認する必要がある場合がある。
【0074】
エアロックブース280内での作業者190による呼吸装置の使用の必要性、及び通路側入口ドア282が開かれる前にエアロックブース280を新鮮な空気で洗い流す必要性は、スプレーブース200内で使用される塗料の種類に依存する。車両300が危険な煙を伴う溶剤ベースの塗料(例えばラッカー)で塗装されている場合、この煙は、作業者190に吸入されてはならず、作業者通路1210内に漏れてはならない。この状況では、作業者190はエアロックブース280にいる間、呼吸装置を使用する必要があり、エアロックブース280は、通路側入口ドア282が開かれる前に新鮮な空気で洗い流す必要がある。煙が危険ではない他の状況では、前述の予防措置は必要ないこともある。
【0075】
エアロックブース280から作業者190によって実行され得るタスクには、アプリケータ130のベルカップの交換又は整備、外側アーム120に取り付けられたあらゆるプロセスコンポーネントの交換又は整備、アプリケータクリーナ230の洗浄又は整備、並びに、アプリケータ130及び外側アーム部120のオーバースプレーカバーの交換が含まれる。これらのタスクは、日常のメンテナンスのために、また塗装ロボットがオーバースプレーを蓄積して塗装対象部品に欠陥を引き起こすことを防ぐために、必然的に実行されなければならない。塗装ラインのダウンタイムを必要とせずにこれらのタスクを実行することは、不要なシャットダウンを防止し、従来の塗装ロボットシステムに対する大幅な改善点である。
【0076】
他の保守タスクも同じスタンバイ期間中に実行可能であり、この保守タスクには、(上述のように)取り付けスタンド110のキャビネット184に取り付けられた流体供給機器を交換することと、各プロセスコンポーネントの診断テストを実行して、動作が正しいことを確認するか、問題のあるコンポーネントを診断することと、を含む。場合によっては、アプリケータホース織機の交換やロボットのマスタリング等、より時間のかかるタスクを完了し得る。これらの全ての場合において、1台の特定のロボット100のみがオフラインになる一方で、スプレーブース200内の他の全てのロボットは塗装を継続し、他のロボットは、整備又は清掃のためにオフラインになっているロボット100の塗装責任を負う。
【0077】
図13は、図12に示すエアロックブース280及びロボット構造を使用する次世代塗装ロボット100の洗浄及び整備の方法のフローチャート図1300である。ボックス1302において、特定のロボット100は、スタンバイモード又はバックアップモードにされ、このモードでは、ロボット100はそのホーム位置に戻り、その塗装タスクは、塗装プロセスライン上の他のロボットに割り当てられる。スプレーブース200内の他のロボットは、塗装を続行する。ボックス1304において、作業者190は、通路側入口ドア282を通ってエアロックブース280に入り、通路側入口ドア282を閉じる。ボックス1306において、作業者190は、呼吸装置の着用が特定の塗装用途において必要であり、かつ作業者190がエアロックブース280に入ったときにまだ呼吸装置を着けていない場合は、呼吸装置を着用する。次に作業者190は、ブース側入口ドア284を開けて、ロボット100にアクセスする。
【0078】
ボックス1308において、作業者190はロボット100の清掃及び整備を行うが、この作業には、ベルを拭くことや、アプリケータ130及び外側アーム120のオーバースプレーカバーを交換する等のタスクが含まれる。作業者は、エアロックブース280内に留まり、ガードバリア286を越えてセーフゾーン1220に到達し、清掃及び整備タスクを実行する。スプレーブース200内の他のロボットは塗装を継続し、ロボット100に隣接する他のロボットは、セーフゾーン1220に入ることをプログラムによって防止される。他の保守タスクは、作業者190がエアロックブース280にいる間に実行可能である。例えば、作業者通路1210内の別の保守担当者が、上述したようにキャビネット184内の流体供給装置を整備又は交換することができる。
【0079】
ボックス1310において、ロボットの清掃及び整備が終了したら、作業者190はブース側入口ドア284を閉じる。次に、エアロックブース280が必要に応じて新鮮な空気で洗い流され、作業者は通路側入口ドア282を通ってエアロックブース280を出る。ボックス1312において、ロボット100はノーマルモードに戻り、通常の塗装操作を継続する。フローチャート図1300の全プロセスを通して、スプレーブース200の塗装プロセスラインは塗装作業を継続するので、現世代の塗装ロボットの洗浄に必要とされる長いダウンタイム期間は回避される。
【0080】
ロボットの構造を簡素化し、コストを削減できる次世代塗装ロボット100の他の構成要素は、モータ制御ケーブルの新しい引き回しである。図14は、本開示の一実施形態に係る、密閉されたロボット関節の外部に配設されたモータ制御ケーブルを備えた次世代塗装ロボット100の図である。図14のロボット100は、エアパージされたキャビティやロボットアーム内の中空領域を通過するのではなく、ロボット関節の外部を、該関節を「横切る(across)」ように配設されたいくつかのモータ制御ケーブルを示す。第1のケーブルセット1410は、ジョイントJ1(166)及びJ2(168)においてモータに給電し、第2のケーブルセット1420は、ジョイントJ3-J6においてモータに給電する。危険な雰囲気に適した、特別に設計されたケーブルが使用される。他の導体ケーブルを配設することも可能である。
【0081】
図14のモータ導体ケーブルの引き回しは、他のオプションよりも有利である。第一に、中空の密封された関節の内側でのモータ導体の従来の引き回しでは、アプリケータ供給ライン140に最適な引き回しとすることができない。導体が外部に配設され、図14のように供給ライン140と同じ空間を共有することで、関節は、リーチ、柔軟性及びプロセスパフォーマンスのために最適化・構成できる。
【0082】
第1のケーブルセット1410及び第2のケーブルセット1420は、関節モータに電力を供給するために必要とされる個数の導体を含む、可撓性のあるケーブル束である。第1のケーブルセット1410は、2つのモータ(J1及びJ2)のみに給電するが、これらはロボット100の中で最大のモータであるため、導体はそれに応じて大電流を扱うようにサイズ設定されなければならない。第2のケーブルセット1420は、4つ又は5つの関節モータ(J3-J6又はJ3-J7)に給電する。
【0083】
第1のケーブルセット1410及び第2のケーブルセット1420は、柔軟でかつ溶剤適合性のあるジャケットで包むことができる。つまりジャケットは、劣化や分解をせずに塗料や溶剤に直接曝されることに耐え得る柔軟な材料で構成される。或いは、導体ケーブルは、塗料や溶剤の侵入を防ぐためにパージされた可撓性のチューブ内に収容されてもよく、それにより内部の個々の導体ケーブルが保護される。可撓性チューブの部分は、個々のモータに配線された単一の導体ケーブル(J2用に1つ、J3用に1つ、等)を含んでもよい。
【0084】
図14に示す外部導体の配設は、ロボットの上流への流体供給コンポーネントの配置、アーム及びジョイントの小さな寸法、並びに他の構造的考慮事項とともに、次世代塗装ロボット100の器用さ(近距離の柔軟性)に貢献する。この器用さ(dexterity)は、ロボットの取り付け、配置間隔及び保守性の他の可能性につながり、これらは全て、塗装効率及び塗装ライン稼働時間を大幅に改善する。
【0085】
図15A、15B及び15Cは、本開示の他の実施形態に係る、ロボットベースが非水平軸を中心に回転し、取り付けスタンドがスプレーブース内に突出する次世代塗装ロボット構成の図である。次世代塗装ロボット1500は、取り付けスタンド1510に対して非水平軸を中心に旋回可能に取り付けられることを除き、前述の次世代塗装ロボット100と同じである。また、取り付けスタンド1510はスプレーブース内に突出しているため、ロボットベース又はタレット112と取り付けスタンド1510との間のジョイントJ1(166)は、側壁210の平面内にない。この構成では、取り付けスタンド1510は、側壁210に密閉式に取り付けられ、スプレーブース200を作業者通路1210から分離する仕切りの一部として機能する。
【0086】
取り付けスタンド1510は、J1軸が水平に対して角度1514を規定するような傾斜面を有する面取りされた上部1512を有する。J1軸は、依然としてブース中心面222と交差している。角度1514は約30度とすることができるが、特定のスプレーブース用途のためにロボット1500の到達範囲及び柔軟性を最適化する必要に応じ、30度より大きく又は小さくしてもよい。好適な実施形態では、上方から見たJ1軸は、側壁210に垂直であり、すなわちJ1軸は、上流側又は下流側についての角度を有さない。取り付けスタンドの面取りされた上部1512の、スプレーブース200内への突出量もまた、特定の用途のためにロボット1500の到達範囲を最適化するように設定可能である。
【0087】
前述の内側アームの長さ194及び外側アームの長さ196は、図15Bに示される。アプリケータ供給ライン140は、図15A/15B/15Cの全てに示され、ここではアプリケータ供給ライン140は、取り付けスタンド1510の面取りされた上部1512の穴1516を通過するものとして示される。これにより、アプリケータ供給ライン140は、前述したように、ポンプ装置182からアプリケータ130まで最小の長さで配設することができる。
【0088】
図15A/15B/15Cには示されていないが、エアロックブース280をロボット1500及び取り付けスタンド1510と組み合わせて使用して、塗料製造ライン全体を停止してスプレーブース200から煙を排気することなく、アプリケータ130及び外側アーム部を洗浄することができる。
【0089】
次世代塗装ロボット100と全く同じロボットハードウェアを使用することで、ロボット1500及び取り付けスタンド1510は、特定のスプレー塗装アプリケーションのための柔軟性及び到達範囲を最適化する追加の設計パラメータを提供する。
【0090】
前述の説明全体を通して、個々のロボットの動作及びタスクを制御する制御装置や、塗装プロセスライン全体をマスタ制御する制御装置等、種々の制御装置が記載及び暗示されている。これらの制御装置のソフトウェアアプリケーション及びモジュールが、不揮発性メモリ内に構築されたアルゴリズムを含む、メモリモジュール及びプロセッサを備えた1つ又は複数の計算装置で実行されることを理解されたい。非限定的な一実施形態では、ロボット100の各々は、ローカル専用制御装置を有し、ロボット制御装置の各々は、塗装ラインのマスタ制御装置と通信する。ロボットと、ローカルロボット制御装置と、塗装ラインマスタ制御装置との間の通信は、有線ネットワークを介して行ってもよいし、携帯電話/データネットワーク、Wi-Fi、ブロードバンドインターネット等の適当なワイヤレステクノロジーを利用することもできる。
【0091】
先に概説したように、次世代塗装ロボットは、自動車メーカーに多くの実質的な生産性の利点を提供する。ロボットの構造により、スプレーブースの外側に流体供給コンポーネントが取り付けられ、スプレーブースのダウンタイムなしでコンポーネントの整備が可能になり、幅広い色の提供が可能になるとともに、色変更による無駄な時間及び材料が現在の基準を下回る。柔軟性の高い到達範囲により、コンパクトなスプレーゾーン内でロボット同士を近付けることができるため、塗装ブースの設置面積が削減され、その結果、資本コスト及びエネルギー需要が削減される。また次世代塗装ロボットの構成は、生産作業中に整備及び清掃を行う機能とともに、より高い信頼性も提供する。システムの稼働時間が劇的に改善され、その結果、車両の塗装ラインのスループットが向上する。
【0092】
次世代塗装ロボットのいくつかの例示的な態様及び実施形態が説明されたが、当業者は、それらの修正、並べ替え、追加、及びサブコンビネーションを認識するであろう。従って、添付の特許請求の範囲及び請求項は、それらの真の精神及び範囲内にあるそのような修正、並べ替え、追加、及びサブコンビネーションの全てを含むと解釈すべきである。
[構成1]
互いに対向する2つの側壁、床及び天井を備えた閉鎖空間を有する塗装キャビンであって、中心線を有しかつ前記塗装キャビンの長さ方向に沿った下流方向に車体を搬送するコンベヤと、前記中心線を含みかつ鉛直方向の中心面とを有する塗装キャビンと、
前記塗装キャビン内の複数の塗装ロボットであって、前記塗装ロボットの各々は、少なくとも6つの回転軸、取り付けスタンドに対して第1のジョイントにおいて回転可能なロボットベース、前記ロボットベースに対して第2のジョイントにおいて回転可能な内側アーム、第3のジョイントにおける冗長内側アーム回転軸、前記内側アームに対して第4のジョイントにおいて回転可能な外側アーム、第5のジョイントにおける前記外側アームの自由端に取り付けられたロボット手首、前記ロボット手首を回転可能にする第6のジョイント、及び前記ロボット手首に連結された塗装アプリケータを有する、複数の塗装ロボットと、を備え、
前記塗装ロボットの各々は、前記取り付けスタンドの近位に固定的に取り付けられた色変更装置及びポンプ装置と、前記ポンプ装置から前記塗装アプリケータまで前記アームに沿って配設された単一の塗料供給ラインとを含み、前記塗料供給ラインは、前記第1のジョイントの中央の穴及び前記第3のジョイントの中央の穴を通過する、自動塗装システム。
[構成2]
前記第1のジョイントは、前記塗装キャビンの前記中心面に向かいかつ前記中心面に交差する回転軸を有する、構成1に記載の自動塗装システム。
[構成3]
前記塗装ロボットの各々は、前記コンベヤの動作方向に対して、上流側、下流側、及び真正面で塗装できるように構成される、構成1に記載の自動塗装システム。
[構成4]
前記塗装ロボットのいくつかの間に配置された複数のオープナーロボットをさらに有し、前記オープナーロボットは、車両のドア、ボンネット、トランクの蓋及びリフトゲートを開閉するように構成される、構成1に記載の自動塗装システム。
[構成5]
前記塗装ロボットの各々は7つの回転軸を有し、第7の回転軸は前記ロボット手首の付加軸である、構成1に記載の自動塗装システム。
[構成6]
前記塗装ロボットの各々は、前記ポンプ装置から前記塗装アプリケータの入口までの前記塗料供給ラインの長さが、前記内側アーム及び前記外側アームの長さの合計に1600ミリメートルを加えた長さより短くなるように構成される、構成1に記載の自動塗装システム。
[構成7]
前記色変更装置及び前記ポンプ装置は、前記取り付けスタンドの裏側のキャビネット内に配置され、前記キャビネットは前記ロボットベースの反対側にあり、それにより前記塗装キャビンの外の作業者通路からアクセス可能である、構成1に記載の自動塗装システム。
[構成8]
前記ジョイントの各々は、モータ導体を介して電力供給されるモータを有し、前記モータ導体は、前記内側アーム及び前記外側アームの外側でかつ、塗料及び溶剤に曝されても劣化しない材料で構成された保護シースの内部に配設される、構成1に記載の自動塗装システム。
[構成9]
前記モータ導体は、前記塗料供給ラインを含む共通の可撓性束の内部に配設される、構成8に記載の自動塗装システム。
[構成10]
前記モータ導体は2つの可撓性の束内に配設され、第1の束は前記第1及び第2のジョイントのモータに電力供給し、第2の束は前記第3、第4、第5及び第6のジョイントのモータに電力供給するとともに前記塗料供給ラインを含む、構成8に記載の自動塗装システム。
[構成11]
個々のモータ導体は、パージされた可撓性チューブの内部に収容される、構成8に記載の自動塗装システム。
[構成12]
複数の前記取り付けスタンドは前記側壁の各々に沿って離隔配置され、前記第1のジョイントは、前記側壁及び前記中心面に略垂直な回転軸を有し、前記コンベヤ上の車体と前記側壁の各々との間隔は1.5メートル未満であり、前記側壁の各々に沿った取り付けスタンド間の水平方向の離隔距離は2.1メートル未満であり、前記塗装ロボットの各々は、該ロボットの近位の前記中心面の側で、車体の内表面及び外表面に塗装可能である、構成1に記載の自動塗装システム。
[構成13]
前記第1のジョイントの回転軸は、水平でかつ、前記塗装キャビンの前記中心面に垂直である、構成13に記載の自動塗装システム。
[構成14]
前記第1のジョイントの回転軸は、鉛直でかつ、前記塗装キャビンの前記中心面に平行である、構成1に記載の自動塗装システム。
[構成15]
前記ポンプ装置は、塗料を前記塗装アプリケータにポンプ輸送するように構成された第1のポンプと、溶剤を前記塗装アプリケータにポンプ輸送して前記塗料を前記第1のポンプから吐出するように構成された第2のポンプとを含む、構成1に記載の自動塗装システム。
[構成16]
塗装キャビンを通過するコンベヤ上の部品に対する塗装プロセスを実行するように構成された塗装ロボットであって、
実質水平でかつ前記コンベヤの動作方向に垂直な回転軸を有する第1のジョイントにおいて、固定された取り付けスタンドに対して回転可能なロボットベースと、
前記第1のジョイントの前記回転軸に垂直な回転軸を有する第2のジョイントにおいて、前記ロボットベースに対して回転可能な第1の内側アームと、
前記第2のジョイントの前記回転軸に垂直な回転軸を有する第3のジョイントにおいて、前記第1の内側アームに対して回転可能な第2の内側アームと、
前記第3のジョイントの前記回転軸に垂直な回転軸を有する第4のジョイントにおいて、前記第2の内側アームに対して回転可能な第1の外側アームと、
前記第4のジョイントの前記回転軸に垂直な回転軸を有する第5のジョイントにおいて、前記第1の外側アームに対して回転可能な第2の外側アームと、
前記第5のジョイントの前記回転軸に垂直な回転軸を有する第6のジョイントにおいて、前記第2の外側アームに対して回転可能な手首部と、
供給ラインを通して塗装アプリケータに塗装液を供給するポンプ装置を含む流体供給回路であって、前記塗装アプリケータは前記手首部に搭載され、前記ポンプ装置は前記取り付けスタンドの近位に固定的に取り付けられ、前記供給ラインは、前記第1のジョイントの中央の穴及び前記第3のジョイントの中央の穴を通過し、前記アームに沿って前記塗装アプリケータまで配設される、流体供給回路と、
を備える塗装ロボット。
[構成17]
前記コンベヤの動作方向に対して、上流側、下流側、及び真正面で塗装できるように構成される、構成16に記載の塗装ロボット。
[構成18]
前記ジョイントの各々は、前記塗装キャビンの外側の電源から電力供給するモータ導体を備えたモータを有し、前記モータ導体は、1つ又は複数の可撓性の束内に配設され、前記束の1つは前記供給ラインを含む、構成16に記載の塗装ロボット。
[構成19]
前記ジョイントの各々は、前記塗装キャビンの外側の電源から電力供給するモータ導体を備えたモータを有し、個々のモータ導体は、パージされた可撓性チューブの内部に収容される、構成16に記載の塗装ロボット。
[構成20]
色変更装置及び前記ポンプ装置が、前記取り付けスタンドの裏側のキャビネット内に配置され、前記キャビネットは前記ロボットベースの反対側にあり、それにより前記色変更装置及び前記ポンプ装置は、前記塗装キャビンの外の作業者通路から整備可能である、構成16に記載の塗装ロボット。
[構成21]
前記ポンプ装置は、塗料を前記塗装アプリケータにポンプ輸送するように構成された第1のポンプと、溶剤を前記供給ラインに押し込んで前記塗装アプリケータに送る第2のポンプとを含む、構成16に記載の塗装ロボット。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8A
図8B
図9
図10
図11A
図11B
図12
図13
図14
図15A
図15B
図15C