(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-05
(45)【発行日】2024-03-13
(54)【発明の名称】不一致FMCWレーダ信号
(51)【国際特許分類】
G01S 13/34 20060101AFI20240306BHJP
【FI】
G01S13/34
(21)【出願番号】P 2020565956
(86)(22)【出願日】2019-05-21
(86)【国際出願番号】 EP2019063129
(87)【国際公開番号】W WO2019224206
(87)【国際公開日】2019-11-28
【審査請求日】2022-05-13
(32)【優先日】2018-05-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】517323795
【氏名又は名称】エアバス ディフェンス アンド スペース ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】ルッセル ケ
(72)【発明者】
【氏名】クラウス キットマン
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル フォン フォイテンベルク
【審査官】藤脇 昌也
(56)【参考文献】
【文献】STELZER A; ET AL,PRECISE DISTANCE MEASUREMENT WITH COOPERATIVE FMCW RADAR UNITS,RADIO AND WIRELESS SYMPOSIUM,米国,IEEE,2008年01月22日,PAGE(S):771 - 774,https://doi.org/10.1109/RWS.2008.4463606
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/00 ー 7/42
13/00 ー 13/95
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対応する他のレーダシステム(301)までの距離を特定するためのレーダシステム(401)であって、
第1の三角形掃引プロファイルを備える第1の周波数変調連続波、FMCW、レーダ信号を送信するようにされる送受信装置(420)であって、前記送受信装置(420)は、更に、前記他のレーダシステム(301)において送信され、かつ、第2の三角形掃引プロファイルを備える第2のFMCWレーダ信号を受信するようにされており、前記第1のFMCWレーダ信号の前記第1の掃引プロファイルは、前記第2のFMCWレーダ信号の前記第2の掃引プロファイルとは異なる、送受信装置(420)と、
前記第1のFMCWレーダ信号を用いて前記第2のFMCWレーダ信号を復調することによってビート信号を生成するようにされるミキサ(430)と、
前記第1のFMCWレーダ信号の前記掃引プロファイルを前記第2のFMCWレーダ信号の前記掃引プロファイルと一致させることによって前記ビート信号のスキューを除去するようにされるデスキューユニット(460)であって、
前記第1のFMCWレーダ信号の前記掃引プロファイルに従って、前記ビート信号の周波数掃引を調整し、
前記第1のFMCWレーダ信号の前記掃引プロファイルに従って、前記ビート信号の周波数オフセットを調整し、
前記第1のFMCWレーダ信号の前記掃引プロファイルに従って、前記ビート信号のランププロファイルを調整し、
前記第1のFMCWレーダ信号の前記掃引プロファイルに従って、前記ビート信号の時間オフセットを調整する、
ことによって、前記ビート信号のスキューを除去するようにされている、デスキューユニット(460)と、
前記スキューを除去されたビート信号を処理することによって、前記他のレーダシステムまでの距離を特定するようにされている処理ユニット(470)であって、
前記レーダシステム(401)と前記他のレーダシステム(301)との間の範囲分離の有効ビート周波数が、
によって定義され、
は、アップスイープ(u)又はダウンスイープ(d)中に、前記レーダシステム(401)(m)又は前記他のレーダシステム(301)(c)において検出されたピークの前記対応するビート周波数であり、
前記レーダシステム(401)と前記他のレーダシステム(301)との間の前記距離は、
によって定義され、
cは光速、t
mは掃引時間、Bは無線周波数(RF)帯域幅である、
処理ユニットと、
を備える、レーダシステム(401)。
【請求項2】
更に、前記第1のFMCWレーダ信号を生成し、前記生成された第1のFMCWレーダ信号を前記送受信装置(420)及び前記ミキサ(430)に提供するようにされる信号発生器(410)を備える、請求項1に記載のレーダシステム(401)。
【請求項3】
前記ミキサ(430)は前記送受信装置(420)の下流に配置され、前記ミキサ(430)は前記信号発生器(410)の下流に配置される、請求項2に記載のレーダシステム(401)。
【請求項4】
更に、アナログデジタル変換器、ADC、(440)を備え、前記ADC(440)は、前記ミキサ(430)の下流に配置され、前記ビート信号をデジタル化するようにされており、前記スキューを除去するステップは、前記デジタル化されたビート信号に対して行われる、請求
項2に記載のレーダシステム(401)。
【請求項5】
更に、第1の制御信号を前記信号発生器(410)に提供するようにされるコントローラ(450)を備え、第1の制御信号は、前記第1のFMCWレーダ信号の掃引プロファイル、時間オフセット、及び/又は周波数オフセット等の前記第1のFMCWレーダ信号の特性に関する情報を備える、請求
項4に記載のレーダシステム(401)。
【請求項6】
前記コントローラ(450)は、更に、第2の制御信号を前記ADC(440)に提供するようにされ、第2の制御信号は、前記ADC(440)によって用いられるサンプリングレートの変化に関する情報を提供する、請求項5に記載のレーダシステム(401)。
【請求項7】
前記処理ユニット(470)は、前記デスキューユニット(460)の下流に配置され、前記コントローラ(450)は、第3の制御信号を前記コントローラ(450)と通信する前記処理ユニット(470)に提供するようにされ、
前記コントローラ(450)は、前記コントローラ(450)を介して前記処理ユニット(470)から前記特定された距離を提供するためのインターフェースとして機能するようにされる、請求項
5または6に記載のレーダシステム(401)。
【請求項8】
更に、前記特定された距離に関する情報を局所測位システムに提供するようにされる有線データインターフェース(480)を備える、請求項
5~7のいずれか一項に記載のレーダシステム(401)。
【請求項9】
前記有線データインターフェース(480)は、前記コントローラ(450)と通信しており、前記特定された距離を受信し、コマンド信号を前記コントローラ(450)に提供するようにされており、前記コマンド信号は、前記第1、第2、及び第3の制御信号のための基準を形成する、請求項8に記載のレーダシステム(401)。
【請求項10】
前記レーダシステム(401)はモノスタティックである、請求項1~9のいずれか一項に記載のレーダシステム(401)。
【請求項11】
前記第1のFMCWレーダ信号は、パルスによって及び/又は測定スロットによって異なる、請求項1~10のいずれか一項に記載のレーダシステム(401)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施例は、レーダシステムとその適用との間の距離を特定するための概念に関し、特に、別のレーダシステムまでの距離を特定するためのレーダシステム、レーダシステム間の距離を特定するための方法、第1のレーダシステムと第2のレーダシステムとの間の距離を特定するためのシステム、及び第1のレーダシステムと第2のレーダシステムとの間の距離を特定するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
レーダシステム等の距離測定システムは、スプーフィング回復力に関して最適化する必要があってもよい。それにもかかわらず、レーダシステム間の距離を特定するためのシステムを形成することが望ましい。
【0003】
レーダシステム間の距離を特定するための概念を提供することに対する需要が存在する可能性がある。
【0004】
かかる要求は、特許請求の範囲の主題によって満足させることができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の態様によれば、別のレーダシステムまでの距離を特定するためのレーダシステムが提供される。レーダシステムは、送受信装置を備える。送受信装置は、第1の周波数変調連続波、FMCW、レーダ信号を送信するようにされている。第1のFMCWレーダ信号は、第1の掃引プロファイルを備えている。送受信装置は、更に、第2のFMCWレーダ信号を受信するようにされている。第2のFMCWレーダ信号は、第2の掃引プロファイルを備えている。第1のFMCWレーダ信号の第1の掃引プロファイルは、第2のFMCWレーダ信号の第2の掃引プロファイルとは異なる。レーダシステムは、更に、ミキサを備える。ミキサは、第1のFMCWレーダ信号及び第2のFMCWレーダ信号に基づいてビート信号を生成するようにされている。レーダシステムは、更に、デスキューユニットを備える。デスキューユニットは、第1のFMCWレーダ信号の掃引プロファイルを第2のFMCWレーダ信号の掃引プロファイルと一致させることによってビート信号をスキュー除去するようにされている。
【0006】
従って、不一致FMCWレーダ信号は、レーダシステム間の距離を特定するための基準を提供してもよい。
【0007】
ビート信号は、第1のFMCWレーダ信号及び第2のFMCWレーダ信号によって生成されてもよい。ビート信号は、第1のFMCWレーダ信号を用いて第2のFMCWレーダ信号を復調することによって生成されてもよい。
【0008】
例えば、レーダシステムは、第1のFMCWレーダ信号を生成するようにされている信号発生器を備える。信号発生器は、生成された第1のFMCWレーダ信号を送受信装置及びミキサに提供するようにされてもよい。
【0009】
第1のFMCWレーダ信号の提供は同時に行われてもよい。FMCWレーダ信号の提供は、送受信装置及びミキサへの別々の信号線上で行われてもよい。
【0010】
例えば、第1のFMCWレーダ信号の掃引プロファイルは線形である。例えば、第2のFMCWレーダ信号の掃引プロファイルは線形である。更に、第1のFMCWレーダ信号の掃引プロファイルは、三角形状を有していてもよい。例えば、第2のFMCWレーダ信号の掃引プロファイルは、三角形状を有している。更に、第1のFMCWレーダ信号の掃引プロファイルは、第2のFMCWレーダ信号の掃引プロファイルとは異なる時間オフセットを有していてもよい。更に、第1のFMCWレーダ信号の掃引プロファイルは、第2のFMCWレーダ信号の掃引プロファイルとは異なる周波数オフセットを有していてもよい。
【0011】
第1のFMCWレーダ信号の掃引プロファイルは、パルスによって異なってもよい。第2のFMCWレーダ信号の掃引プロファイルは、パルスによって異なってもよい。
【0012】
第1のFMCWレーダ信号の掃引プロファイルは、測定スロットによって異なってもよい。第2のFMCWレーダ信号の掃引プロファイルは、測定スロットによって異なってもよい。
【0013】
ミキサは、送受信装置の下流に配置されてもよい。ミキサは、信号発生器の下流に配置されてもよい。
【0014】
信号発生器は、送受信装置の上流に配置されてもよい。信号発生器は、ミキサの上流に配置されてもよい。
【0015】
例えば、レーダシステムは、アナログデジタル変換器(ADC)を備えていてもよい。ADCは、ミキサの下流に配置されてもよい。ADCは、ビート信号をデジタル化するようにされていてもよい。デスキューのステップは、デジタル化されたビート信号に対して行われてもよい。
【0016】
レーダシステムは、更に、コントローラを備えていてもよい。コントローラは、第1の制御信号を信号発生器に提供するようにされていてもよい。第1の制御信号は、第1のFMCWレーダ信号の掃引プロファイル、時間オフセット、及び/又は周波数オフセット等の第1のFMCWレーダ信号の特性に関する情報を備えていてもよい。
【0017】
コントローラは、更に、第2の制御信号をADCに提供するようにされていてもよい。第2の制御信号は、ADCによって用いられるサンプリングレートの変化に関する情報を提供する。
【0018】
レーダシステムは、更に、処理ユニットを備えていてもよい。処理ユニットは、スキュー除去されたビート信号を処理することによって(他のレーダシステムまでの)距離を特定するようにされていてもよい。
【0019】
距離を特定するステップは、測定スロット毎に実行されてもよい。距離を特定するステップは、パルス毎に実行されてもよい。
【0020】
処理ユニットは、デスキューユニットの下流に配置されてもよい。コントローラは、第3の制御信号を処理ユニットに提供するようにされていてもよい。処理ユニットは、コントローラと通信していてもよい。コントローラは、コントローラを介して処理ユニットからの特定された距離を提供するためのインターフェースとして機能するようにされていてもよい。
【0021】
レーダシステムは、更に、有線データインターフェースを備えていてもよい。有線データインターフェースは、特定された距離に関する情報を局所測位システムに提供するようにされていてもよい。
【0022】
レーダシステムは、航空機、ヘリコプター、ドローン等の飛行物体に搭載可能であってもよい。レーダシステムは、離着陸プラットフォーム等のプラットフォームに搭載可能であってもよい。レーダシステムは、正確な位置を提供するために別のかかるレーダシステム又は複数のかかるレーダシステムと組み合わせて用いてもよい。
【0023】
有線データインターフェースは、コントローラと通信していてもよい。有線データインターフェースは、特定した距離を受信するようにされていてもよい。有線データインターフェースは、コマンド信号をコントローラに提供するようにされていてもよい。コマンド信号は、第1の制御信号のための基準を形成してもよい。コマンド信号は、第2の制御信号のための基準を形成してもよい。コマンド信号は、第3の制御信号のための基準を形成してもよい。
【0024】
レーダシステムはモノスタティックであってもよい。
【0025】
第1及び第2のFMCWレーダ信号は、異なる三角形掃引プロファイルを有していてもよい。
【0026】
第1のFMCWレーダ信号は、パルスによって異なってもよい。第1のFMCWレーダ信号は、測定スロットによって異なってもよい。
【0027】
第2の態様によれば、レーダシステム間の距離を特定するための方法が提供される。方法は、送受信装置によって、第1の周波数変調連続波、FMCW、レーダ信号を送信することを含む。FMCWレーダ信号は、第1の掃引プロファイルを備えている。方法は、更に、送受信装置によって、第2のFMCWレーダ信号を受信することを含む。第2のFMCWレーダ信号は、第2の掃引プロファイルを備えている。第1のFMCWレーダ信号の掃引プロファイルは、第2のFMCWレーダ信号の掃引プロファイルとは異なる。方法は、更に、ミキサによって、第1のFMCWレーダ信号及び第2のFMCWレーダ信号に基づいてビート信号を生成することを含む。方法は、更に、デスキューユニットによって、第1のFMCWレーダ信号の掃引プロファイルを第2のFMCWレーダ信号の掃引プロファイルと一致させることにより、ビート信号をスキュー除去することを含む。
【0028】
例えば、スキュー除去ステップは、更に、第1のFMCWレーダ信号の掃引プロファイルに従って、ビート信号の周波数ハブを調整することを含んでいてもよい。例えば、スキュー除去ステップは、更に、第1のFMCWレーダ信号の掃引プロファイルに従って、ビート信号の時間オフセットを調整することを含んでいてもよい。例えば、スキュー除去ステップは、更に、第1のFMCWレーダ信号の掃引プロファイルに従って、ビート信号の周波数オフセットを調整することを含んでいてもよい。例えば、スキュー除去ステップは、更に、第1のFMCWレーダ信号の掃引プロファイルに従って、ビート信号のランププロファイルを調整することを含んでいてもよい。
【0029】
第3の態様によれば、第1のレーダシステムと第2のレーダシステムとの間の距離を特定するためのシステムが提供される。システムは、第1のレーダシステム及び第2のレーダシステムを備える。第1のレーダシステムは、第1の送受信装置、第1のミキサ、及び第1のデスキューユニットを備える。システムは、第2のレーダシステムを備える。第2のレーダシステムは、第2の送受信装置、第2のミキサ、及び第2のデスキューユニットを備える。第1の送受信装置は、第1の周波数変調連続波、FMCW、レーダ信号を送信するようにされている。第1のFMCWレーダ信号は、第1の掃引プロファイルを備えている。第2の送受信装置は、第2のFMCWレーダ信号を送信するようにされている。第2のFMCWレーダ信号は、第2の掃引プロファイルを備えている。第1及び第2の掃引プロファイルは異なっている。第1の送受信装置は、第2のFMCWレーダ信号を受信するようにされている。第2の送受信装置は、第1のFMCWレーダ信号を受信するようにされている。第1のミキサは、第1のFMCWレーダ信号及び第2のFMCWレーダ信号に基づいて第1のビート信号を生成するようにされている。第2のミキサは、第2のFMCWレーダ信号を用いて第1のFMCWレーダ信号を復調することによって第2のビート信号を生成するようにされている。第1のデスキューユニットは、第2のFMCWレーダ信号の掃引プロファイルを第1のFMCWレーダ信号の掃引プロファイルと一致させることによって第1のビート信号をスキュー除去するようにされている。第2のデスキューユニットは、第1のFMCWレーダ信号の掃引プロファイルを第2のFMCWレーダ信号の掃引プロファイルと一致させることによって第2のビート信号をスキュー除去するようにされている。
【0030】
第1/第2のレーダシステムは、航空機、ヘリコプター、又はドローン等の飛行物体に搭載可能であってもよい。第2/第1のレーダシステムは、離着陸プラットフォーム等のプラットフォームに搭載可能であってもよい。第1のレーダシステムは、正確な位置を提供するために別の第1のレーダシステム又は複数の第1のレーダシステムと組み合わせて用いてもよい。第2のレーダシステムは、正確な位置を提供するために別の第2のレーダシステム又は複数の第2のレーダシステムと組み合わせて用いてもよい。
【0031】
第4の態様によれば、第1のレーダシステムと第2のレーダシステムとの間の距離を特定するための方法が提供される。方法は、第1のレーダシステムの第1の送受信装置によって、第1の周波数変調連続波、FMCW、レーダ信号を送信することを含む。第1のFMCWレーダ信号は、第1の掃引プロファイルを備えている。方法は、第2のレーダシステムの第2の送受信装置によって、第2のFMCWレーダ信号を送信することを含む。第2のFMCWレーダ信号は、第2の掃引プロファイルを備えている。第1及び第2の掃引プロファイルは異なっている。方法は、第1のレーダシステムの第1の送受信装置によって、第2のFMCWレーダ信号を受信することを含む。方法は、第2のレーダシステムの第2の送受信装置によって、第1のFMCWレーダ信号を受信することを含む。方法は、第1のレーダシステムの第1のミキサによって、第1のFMCWレーダ信号及び第2のFMCWレーダ信号に基づいて第1のビート信号を生成することを含む。方法は、第2のレーダシステムの第2のミキサによって、第2のFMCWレーダ信号を用いて第1のFMCWレーダ信号を復調することにより、第2のビート信号を生成することを含む。方法は、第1のレーダシステムの第1のデスキューユニットによって、第2のFMCWレーダ信号の掃引プロファイルを第1のFMCWレーダ信号の掃引プロファイルと一致させることにより、第1のビート信号をスキュー除去することを含む。方法は、第2のレーダシステムの第2のデスキューユニットによって、第1のFMCWレーダ信号の掃引プロファイルを第2のFMCWレーダ信号の掃引プロファイルと一致させることにより、第2のビート信号をスキュー除去することを含む。
【0032】
当業者にとって、ハードウェア回路、ソフトウェア手段、又はそれらの組み合わせの使用の下で本明細書中に記載する記述を実装してもよいことは明らかである。ソフトウェア手段は、プログラムされるマイクロプロセッサ又は汎用コンピュータ、ASIC(特定用途向け集積回路)、及び/又はDSP(デジタル信号プロセッサ)に関することができる。例えば、処理ユニット、ADC、コントローラ、有線インターフェース、デスキューユニット、信号発生器及び/又は送受信装置は、コンピュータ、論理回路、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)、プロセッサ(例えば、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ(μC)、又はアレイプロセッサ)/コア/CPU(中央処理装置)、FPU(浮動小数点ユニット)、NPU(数値処理装置)、ALU(算術論理装置)、コプロセッサ(メインプロセッサ(CPU)をサポートするための更なるマイクロプロセッサ)、GPGPU(グラフィックスプロセッシングユニット上での汎用計算)、マルチコアプロセッサ(多重メインプロセッサ及び/又はグラフィカルプロセッサ上での同時実行算術演算等の並列計算用)、又はDSPとして部分的に実装されてもよい。当業者にとって、本明細書中で説明される詳細が方法に関して説明される場合であっても、これらの詳細は、また、適切な装置、コンピュータプロセッサ、又はプロセッサに接続されるメモリにおいて実装又は実現されてもよいことは更に明らかであり、ここでメモリは、プロセッサによって実行される場合に、方法を実行する1つ以上のプログラムを備えることができる。従って、スワッピング及びページング等の方法を導入することができる。
【0033】
上で説明した態様の幾つかが方法を参照して説明されているとしても、これらの態様はレーダシステムにも適用されてもよい。同様に、レーダシステム及びシステムに関して上で説明した態様は、方法に対応する手法で適用可能であってもよい。
【0034】
また、本明細書中で用いる用語は、個々の実施形態を説明する目的のためのものであり、制限することを目的としていないことは言うまでもない。特に定義されない限り、本明細書中で用いる全ての技術的及び科学的用語は、本開示の関連する技術分野における当業者の一般的な理解に対応する意味を有し、それらは遠すぎず、狭すぎずに理解すべきである。技術用語が本開示において誤って用いられ、従って本開示の技術的概念を反映していない場合、これらは、本開示の関連技術分野における当業者に正しい理解を伝える技術的用語に置き換えられるべきである。本明細書中で用いる一般的な用語は、辞書における定義又は文脈に基づいて解釈すべきである。狭すぎる解釈は避けるべきである。
【0035】
例えば、「備える」、「含む」、又は「有する」等のような用語は、説明する特徴、数、操作、行為、構成部品、部品、又はそれらの組み合わせの存在を意味し、1つ以上の更なる特徴、数、操作、行為、構成部品、部品、又はそれらの組み合わせの存在又は可能性のある追加を排除するものではないことを理解されたい。
【0036】
「第1」又は「第2」、等のような用語は、異なる構成部品又は特徴を説明するために用いられてもよいが、これらの構成部品又は特徴は、これらの用語に制限されるものではない。上記の用語において、1つの構成部品のみが他と区別されるべきである。例えば、第1の構成部品を、本開示の適用範囲から逸脱することなく、第2の構成部品と称してもよく、第2の構成要素を、また、第1の構成要素と称してもよい。用語「及び/又は」は、複数の関連する特徴の組み合わせ、並びにその複数の説明した複数の特徴の任意の特徴の両方を含む。
【0037】
この場合において、構成部品が別の構成部品「に接続され」、「と通信し」、又は「にアクセスする」場合、これは、他の構成部品に直接接続されるか又は直接アクセスすることを意味するが、しかし、別の構成部品がその間にあってもよいことに留意されたい。一方、構成部品が別の構成部品に「直接接続」されるか、又は他の構成部品に「直接アクセス」する場合、更なる構成部品がそれらの間に存在しないことを理解されたい。
【0038】
以下において、本開示の好ましい実施形態を、添付図面を参照して説明し、同じ構成部品は常に同じ参照符号を備えている。
【0039】
本開示の説明において、公知の接続機能又は構造の詳細な説明は、それらが本開示から不必要に気を散らす限り、省略されるが、しかし、かかる機能及び構造は、本開示の技術分野における当業者にとって理解可能である。添付図面は、本開示を例示するものであり、制限するものとして解釈するべきではない。本開示の技術的思想は、添付図面に加えて、かかる全ての変更、変形、及び変種を備えるものとして解釈するべきである。
【0040】
他の目的、特徴、利点、及び用途は、添付図面に関する非限定的な実施形態の以下の説明から明らかとなるであろう。図面において、説明及び/又は図示する全ての特徴は、単独で又は任意の組み合わせで、特許請求の範囲におけるそれらのグループ化又はそれらの関係/参照とは関係なく、そこに開示される主題を形成する。図に示す構成部品又は部品の寸法及び比率は、必ずしも縮尺通りではなく、これらの寸法及び比率は、図面及び実装される実施形態における図とは異なる可能性がある。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【
図1】
図1は、レーダシステム間の距離を特定するためのレーダシステムを有するシステムを略図で示す。
【
図2】
図2は、レーダシステム間の距離を特定するための方法を略図で示す。
【
図3】
図3は、同期化のための複数レーダネットワークを略図で示す。
【
図4】
図4は、所定の時間周波数空間の割り当てを略図で示す。
【
図5】
図5は、一致しないFMCWレーダ信号を略図で示す。
【
図6】
図6は、互いの間の距離測定のための2つのレーダユニットのブロック図を略図で示す。
【発明を実施するための形態】
【0042】
本明細書中に説明する機能的及び操作的態様、並びにそれらの機能的及び操作的態様の変形例は、その構造、その機能及び特性をよりよく理解するためだけのものであり、それらは開示を実施形態に限定するものではない。図面は部分的に略図であり、前記本質的な特性及び効果は、機能、有効成分、実施形態、及び技術的特性を明確にするために、部分的に拡大又は縮小して明確に示している。図面又は本文中に開示される全ての操作、全ての原理、全ての技術的態様、及び全ての特徴は、全ての特許請求の範囲、本文及び他の図面における各特徴、この開示に含まれるか、又はそれ起因する操作、原理、技術的改良、及び特徴の他の形態と組み合わせることができ、その結果、可能性のある全ての組み合わせが、説明する装置及び方法に割り当てられる。それらは、また、本文、即ち、説明の各段落、特許請求の範囲内の個々のコメント全ての組み合わせ、及び、本文、特許請求の範囲、図面内の異なるバリエーション間の組み合わせを含み、更なる特許請求の範囲の主題に対して行うことができる。特許請求の範囲は、開示を制限するものではなく、従って、それらの間で識別される全ての特性の可能性のある組み合わせを制限するものではない。開示される全ての特徴は明示的、また、個別であり、且つ本明細書中に開示される他の全ての特徴と組み合わせている。
【0043】
従って、更なる実施例は様々な変更及び代替形態が可能である一方で、その幾つか特定の実施例を図に示し、その後詳細に説明する。しかし、この詳細な説明は、説明する特定の形態に更なる実施例を限定するものではない。更なる実施例は、開示の適用範囲内に含まれる全ての変更、均等物、及び代替物を網羅する可能性がある。同様の番号は、図の説明全体を通して同様又は類似の構成要素を指し、それらは、同じ又は類似の機能を備えながら、互いに比較する場合に、同一に又は修正された形で実装されてもよい。
【0044】
構成要素が別の構成要素に「接続される」か、若しくは「結合される」と称する場合、構成要素は直接接続若しくは結合されるか、又は1つ以上の介在要素を介していてもよいことは、理解されよう。2つの構成要素AとBとが「又は」を用いて結合される場合、これは、全ての可能性のある組み合わせ、即ち、Aのみ、Bのみ、並びに、A及びBを開示することを理解されたい。同じ組み合わせに対する代替語は、「A及びBのうちの少なくとも一方」である。同じことが2つを超える構成要素の組み合わせに適用される。
【0045】
特定の実施例を説明する目的のために本明細書中で用いる用語は、更なる実施例を制限することを目的としていない。「a」、「an」、及び「the」等の単数形が用いられ、単一の構成要素のみを用いることが明示的又は暗黙的にも必須であると定義されていない場合はいつでも、更なる実施例は複数の構成要素を用いて同じ機能を実施してもよい。同様に、機能がその後、複数の構成要素を用いて実施されると説明されている場合、更なる実施例は、単一の構成要素又は処理実体を用いて同じ機能を実施してもよい。用語「備える(comprises)」、「備えている(comprising)」、「含む(includes)」、及び/又は「含んでいる(including)」は、用いられる場合、記載された特徴、整数、ステップ、操作、プロセス、行為、構成要素、及び/又は構成部品の存在を明示しているが、1つ以上の他の特徴、整数、ステップ、操作、プロセス、行為、構成要素、構成部品、及び/又はそれらの任意の群の存在又は追加を排除するものではないことは、更に理解されよう。
【0046】
特に定義しない限り、全ての用語(技術及び科学用語を含む)は、本明細書中、実施例が属する技術のそれらの通常の意味で用いる。
【0047】
ここで、レーダシステム、システム及び方法を、実施形態に関して説明する。
【0048】
以下において、それらに制限されることなく、具体的な詳細を本開示の完全な理解を提供するよう説明する。しかし、本開示を以下に記載する詳細とは異なる可能性のある他の実施形態において用いてもよいことは、当業者にとって明らかである。
【0049】
図1は、別のレーダシステム(301)までの距離を特定するためのレーダシステム(401)を略図的に示している。レーダシステム(401)は、送受信装置(420)を備える。送受信装置(420)は、第1の周波数変調連続波、FMCW、レーダ信号を送信するようにされている。第1のFMCWレーダ信号は、第1の掃引プロファイルを備えている。送受信装置(420)は、更に、第2のFMCWレーダ信号を受信するようにされている。第2のFMCWレーダ信号は、第2の掃引プロファイルを備えている。第1のFMCWレーダ信号の第1の掃引プロファイルは、第2のFMCWレーダ信号の第2の掃引プロファイルとは異なる。レーダシステム(401)は、更に、ミキサ(430)を備える。ミキサ(430)は、第1のFMCWレーダ信号及び第2のFMCWレーダ信号に基づいてビート信号を生成するようにされている。レーダシステム(401)は、更に、デスキューユニット(460)を備える。デスキューユニット(460)は、第1のFMCWレーダ信号の掃引プロファイルを第2のFMCWレーダ信号の掃引プロファイルと一致させることによってビート信号をスキュー除去するようにされている。
【0050】
例えば、ミキサ(430)は、第1のFMCWレーダ信号と第2のFMCWレーダ信号との間にビート信号を生成することによって、第1のFMCWレーダ信号及び第2のFMCWレーダ信号に基づいてビート信号を生成するようにされている。ビート信号は、第1のFMCWレーダ信号を用いて第2のFMCWレーダ信号を復調することによって生成されてもよい。
【0051】
例えば、レーダシステム(401)は、第1のFMCWレーダ信号を生成するようにされている信号発生器(410)を備える。信号発生器(410)は、生成された第1のFMCWレーダ信号を送受信装置(420)及びミキサ(430)に提供するようにされてもよい。
【0052】
第1のFMCWレーダ信号の提供は同時に行われてもよい。FMCWレーダ信号の提供は、送受信装置(420)及びミキサ(430)への別々の信号線上で行われてもよい。
【0053】
例えば、第1のFMCWレーダ信号の掃引プロファイルは線形である。例えば、第2のFMCWレーダ信号の掃引プロファイルは線形である。更に、第1のFMCWレーダ信号の掃引プロファイルは、三角形状を有していてもよい。例えば、第2のFMCWレーダ信号の掃引プロファイルは、三角形状を有している。更に、第1のFMCWレーダ信号の掃引プロファイルは、第2のFMCWレーダ信号の掃引プロファイルとは異なる時間オフセットを有していてもよい。更に、第1のFMCWレーダ信号の掃引プロファイルは、第2のFMCWレーダ信号の掃引プロファイルとは異なる周波数オフセットを有していてもよい。
【0054】
三角形状は、差周波数をドップラー周波数と容易に区別できるという利点がある可能性がある。
【0055】
第1のFMCWレーダ信号の掃引プロファイルは、パルスによって異なってもよい。第2のFMCWレーダ信号の掃引プロファイルは、パルスによって異なってもよい。
【0056】
これにより、良好なスプーフィング回復力/ロバスト性が得られてもよい。
【0057】
第1のFMCWレーダ信号の掃引プロファイルは、測定スロットによって異なってもよい。第2のFMCWレーダ信号の掃引プロファイルは、測定スロットによって異なってもよい。
【0058】
ミキサ(430)は、送受信装置(420)の下流に配置されてもよい。ミキサ(430)は、信号発生器(410)の下流に配置されてもよい。
【0059】
信号発生器(410)は、送受信装置(420)の上流に配置されてもよい。信号発生器(410)は、ミキサ(430)の上流に配置されてもよい。
【0060】
例えば、レーダシステム(401)は、アナログデジタル変換器、ADC(440)を備えていてもよい。ADC(440)は、ミキサ(430)の下流に配置されてもよい。ADC(440)は、ビート信号をデジタル化するようにされていてもよい。デスキューのステップは、デジタル化されたビート信号に対して行われてもよい。
【0061】
レーダシステム(401)は、更に、コントローラ(450)を備えていてもよい。コントローラ(450)は、第1の制御信号を信号発生器(410)に提供するようにされていてもよい。第1の制御信号は、第1のFMCWレーダ信号の掃引プロファイル、時間オフセット、及び/又は周波数オフセット等の第1のFMCWレーダ信号の特性に関する情報を備えていてもよい。
【0062】
コントローラ(450)は、更に、第2の制御信号をADC(440)に提供するようにされていてもよい。第2の制御信号は、ADC(440)によって用いられるサンプリングレートの変化に関する情報を提供する。
【0063】
レーダシステム(401)は、更に、処理ユニット(470)を備えていてもよい。処理ユニット(470)は、スキュー除去されたビート信号を処理することによって距離を特定するようにされていてもよい。
【0064】
距離を特定するステップは、測定スロット毎に実行されてもよい。距離を特定するステップは、パルス毎に実行されてもよい。
【0065】
処理ユニット(470)は、デスキューユニット(460)の下流に配置されてもよい。コントローラ(450)は、第3の制御信号を処理ユニット(470)に提供するようにされていてもよい。処理ユニット(470)は、コントローラ(450)と通信していてもよい。コントローラ(450)は、コントローラ(450)を介して処理ユニット(470)からの特定された距離を提供するためのインターフェースとして機能するようにされていてもよい。
【0066】
レーダシステム(401)は、更に、有線データインターフェース(480)を備えていてもよい。有線データインターフェース(480)は、特定された距離に関する情報を局所測位システムに提供するようにされていてもよい。
【0067】
有線データインターフェース(480)は、コントローラ(450)と通信していてもよい。有線データインターフェース(480)は、特定した距離を受信するようにされていてもよい。有線データインターフェースは、コマンド信号をコントローラ(450)に提供するようにされていてもよい。コマンド信号は、第1の制御信号のための基準を形成してもよい。コマンド信号は、第2の制御信号のための基準を形成してもよい。コマンド信号は、第3の制御信号のための基準を形成してもよい。
【0068】
レーダシステム(401)はモノスタティックであってもよい。
【0069】
第1及び第2のFMCWレーダ信号は、異なる三角形掃引プロファイルを有していてもよい。
【0070】
第1のFMCWレーダ信号は、パルスによって異なってもよい。第1のFMCWレーダ信号は、測定スロットによって異なってもよい。
【0071】
図1は、第1のレーダシステム(401)と第2のレーダシステム(301)との間の距離を特定するためのシステム(100)を更に略図的に示している。システム(100)は、第1のレーダシステム(401)及び第2のレーダシステム(301)を備える。第1のレーダシステム(401)は、第1の送受信装置(420)、第1のミキサ(430)、及び第1のデスキューユニット(460)を備える。システム(100)は、第2のレーダシステム(301)を備える。第2のレーダシステム(301)は、第2の送受信装置(420)、第2のミキサ(430)、及び第2のデスキューユニット(460)を備える。第1の送受信装置(420)は、第1の周波数変調連続波、FMCW、レーダ信号を送信するようにされている。第1のFMCWレーダ信号は、第1の掃引プロファイルを備えている。第2の送受信装置(320)は、第2のFMCWレーダ信号を送信するようにされている。第2のFMCWレーダ信号は、第2の掃引プロファイルを備えている。第1及び第2の掃引プロファイルは異なっている。第1の送受信装置(420)は、第2のFMCWレーダ信号を受信するようにされている。第2の送受信装置(320)は、第1のFMCWレーダ信号を受信するようにされている。第1のミキサ(430)は、第1のFMCWレーダ信号及び第2のFMCWレーダ信号に基づいて第1のビート信号を生成するようにされている。第2のミキサ(330)は、第2のFMCWレーダ信号を用いて第1のFMCWレーダ信号を復調することによって第2のビート信号を生成するようにされている。第1のデスキューユニット(460)は、第2のFMCWレーダ信号の掃引プロファイルを第1のFMCWレーダ信号の掃引プロファイルと一致させることによって第1のビート信号をスキュー除去するようにされている。第2のデスキューユニット(360)は、第1のFMCWレーダ信号の掃引プロファイルを第2のFMCWレーダ信号の掃引プロファイルと一致させることによって第2のビート信号をスキュー除去するようにされている。
【0072】
更なる詳細及び態様を、上又は下で説明する実施形態に関連して述べる。
図1に示す実施形態は、提案する概念に関連して述べる1つ以上の態様又は以下に説明する1つ以上の実施形態(例えば、
図2~6)に対応する1つ以上の任意の追加的特徴を備えていてもよい。
【0073】
図2は、レーダシステム間の距離を特定するための方法を略図的に示している。方法は、送受信装置によって、第1の周波数変調連続波、FMCW、レーダ信号を送信すること(S210)を含む。FMCWレーダ信号は、第1の掃引プロファイルを備えている。方法は、更に、送受信装置によって、第2のFMCWレーダ信号を受信すること(S220)を含む。第2のFMCWレーダ信号は、第2の掃引プロファイルを備えている。第1のFMCWレーダ信号の掃引プロファイルは、第2のFMCWレーダ信号の掃引プロファイルとは異なる。方法は、更に、ミキサによって、第1のFMCWレーダ信号及び第2のFMCWレーダ信号に基づいてビート信号を生成すること(S230)を含む。方法は、更に、デスキューユニット(460)によって、第1のFMCWレーダ信号の掃引プロファイルを第2のFMCWレーダ信号の掃引プロファイルと一致させることにより、ビート信号をスキュー除去すること(S240)を含む。
【0074】
ビート信号は、第1のFMCWレーダ信号及び第2のFMCWレーダ信号を用いて生成されてもよい。
【0075】
例えば、スキュー除去ステップは、更に、第1のFMCWレーダ信号の掃引プロファイルに従って、ビート信号の周波数ハブを調整することを含んでいてもよい。例えば、スキュー除去ステップは、更に、第1のFMCWレーダ信号の掃引プロファイルに従って、ビート信号の時間オフセットを調整することを含んでいてもよい。例えば、スキュー除去ステップは、更に、第1のFMCWレーダ信号の掃引プロファイルに従って、ビート信号の周波数オフセットを調整することを含んでいてもよい。例えば、スキュー除去ステップは、更に、第1のFMCWレーダ信号の掃引プロファイルに従って、ビート信号のランププロファイルを調整することを含んでいてもよい。
【0076】
図2は、第1のレーダシステムと第2のレーダシステムとの間の距離を特定するための方法を更に略図的に示している。方法は、第1のレーダシステムの第1の送受信装置によって、第1の周波数変調連続波、FMCW、レーダ信号を送信すること(S210)を含む。第1のFMCWレーダ信号は、第1の掃引プロファイルを備えている。方法は、第2のレーダシステムの第2の送受信装置によって、第2のFMCWレーダ信号を送信すること(S215)を含む。第2のFMCWレーダ信号は、第2の掃引プロファイルを備えている。第1及び第2の掃引プロファイルは異なっている。方法は、第1のレーダシステムの第1の送受信装置によって、第2のFMCWレーダ信号を受信すること(S220)を含む。方法は、第2のレーダシステムの第2の送受信装置によって、第1のFMCWレーダ信号を受信すること(S225)を含む。方法は、第1のレーダシステムの第1のミキサによって、第1のFMCWレーダ信号及び第2のFMCWレーダ信号に基づいて第1のビート信号を生成すること(230)を含む。方法は、第2のレーダシステムの第2のミキサによって、第2のFMCWレーダ信号を用いて第1のFMCWレーダ信号を復調することにより、第2のビート信号を生成すること(S235)を含む。方法は、第1のレーダシステムの第1のデスキューユニット(460)によって、第2のFMCWレーダ信号の掃引プロファイルを第1のFMCWレーダ信号の掃引プロファイルと一致させることにより、第1のビート信号をスキュー除去すること(S240)を含む。方法は、第2のレーダシステムの第2のデスキューユニットによって、第1のFMCWレーダ信号の掃引プロファイルを第2のFMCWレーダ信号の掃引プロファイルと一致させることにより、第2のビート信号をスキュー除去すること(S245)を含む。
【0077】
更なる詳細及び態様を、上又は下で説明する実施形態に関連して述べる。
図2に示す実施形態は、提案する概念に関連して述べる1つ以上の態様又は上(例えば、
図1)若しくは下(例えば、
図3~6)で説明する1つ以上の実施形態に対応する1つ以上の任意の追加的特徴を備えていてもよい。
【0078】
図3は、同期化のための複数レーダネットワークを略図的に示している。第1のレーダネットワークはプラットフォームA上に位置決めされている。第2のレーダネットワークはプラットフォームB上に位置決めされている。更に、移動ユニット100、101、102、及び103が示されている。移動ユニット100はプラットフォームEに取り付けられている。移動ユニット101はプラットフォームDに取り付けられている。移動ユニット102及び103は互いに接続され、プラットフォームCに取り付けられている。第1のレーダネットワークは、移動プラットフォームAに取り付けられるか又は固定される第1の複数の無線ビーコン200、201、202、及び203を備えている(任意の数の無線ビーコンが考えられる)。無線ビーコンは、また、本明細書中でビーコン又はビーコンユニットと称される可能性もある。第2のレーダネットワークは、移動プラットフォームBに取り付けられるか又は固定される第2の複数の無線ビーコン210、211、212、及び213を備えている。
【0079】
図3のシナリオにおいて、本明細書中に示すように、更に多くのプラットフォームが存在していてもよい。各移動プラットフォームは、ネットワークに接続することができる任意の数のクライアントユニットを包含していてもよい。この図において、様々な信号が示されている。信号3及び5は、それぞれのプラットフォームA及びBから来るそれぞれのハートビート(データ)信号である。ハートビート(データ)信号は、それぞれの第1又は第2のレーダネットワークの1つ以上のビーコンユニットから一斉送信されてもよい。一斉送信は、順次及び/又は同時送信モードの任意の組み合わせで行われてもよい。更に、信号1a、1b、1c、及び1dは、クライアントとビーコンとの間(例えば、クライアント100を有するプラットフォームEとそれぞれのビーコン202との間)の測距信号である。更に、信号2a、2b、2c、及び2dは、プラットフォームD上の符号101のような任意の他のパッシブクライアントによってピックアップすることができる測距及びデータ信号である。測距及びデータ信号は、クライアントがその位置を計算することを可能にしてもよい。更に、信号6は、各レーダシステムを競合しない時間周波数スロット(部分)操作に対して調整するために、パッシブ又はハンドシェイクネゴシエーションのどちらか一方である。更に、有線インターフェースは、データ又は同期を交換するために、任意のトポロジーにおけるユニットを介して実行することができる(1つのプラットフォーム内の任意のユニットを接続してもよい)。例えば、各プラットフォームA及びBのビーコンユニット同士は、有線で接続されてもよい。レーダネットワークの任意のユニットは、従って、無線インターフェース又は有線インターフェースのどちらか一方を介して別のユニットとデータ又は測距/同期信号を交換してもよい。従って、ユニットが無線周波(RF)の観点で完全に不感であった場合でも、有線インターフェースを用いてそれぞれのレーダネットワークの時間周波数スロットに組み込むことができることを保証することができる。
【0080】
更なる詳細及び態様を、上又は下で説明する実施形態に関連して述べる。
図3に示す実施形態は、提案する概念に関連して述べる1つ以上の態様又は上(例えば、
図1~2)若しくは下(例えば、
図4~6)で説明する1つ以上の実施形態に対応する1つ以上の任意の追加的特徴を備えていてもよい。
【0081】
図4は、所定の時間周波数空間の割り当てを略図的に示している。異なる6種類の信号を
図4に示すが、しかし、異なる6種類の信号に限定されない。信号は、
図3のそれぞれのプラットフォームA又はBを参照する。従って、プラットフォームAに対応する3つの異なる信号(システムA通信、システムA測距信号、及びシステムAハートビート)と、プラットフォームBに対応する3つの異なる信号(システムBハートビート、システムB通信、及びシステムB測距)とが存在する。システムA通信(参照符号3)及びシステムB通信(参照符号7)は、それぞれのプラットフォームA/Bからの通信信号である。システムAハートビート(参照符号1)及びシステムBハートビート(参照符号4)は、それぞれのプラットフォームA/Bからのハートビート信号である。システムA測距信号(参照符号2、5、及び9)及びシステムB測距信号(参照符号6及び8)は、それぞれのプラットフォームからの測距信号である。それらの信号は、それぞれのレーダネットワークの同期フェーズ及び占有意図により割り当てられてもよい。
図4に示すような時間周波数空間の特定部分を占有するレーダネットワークの意図により、異なるレーダネットワークを同期させることができる。更に、優先度が、時間周波数空間の割り当て中のネゴシエーションフェーズにより処理されてもよい。
【0082】
更なる詳細及び態様を、上又は下で説明する実施形態に関連して述べる。
図4に示す実施形態は、提案する概念に関連して述べる1つ以上の態様又は上(例えば、
図1~3)若しくは下(例えば、
図5~6)で説明する1つ以上の実施形態に対応する1つ以上の任意の追加的特徴を備えていてもよい。
【0083】
図5は、一致しないFMCWレーダ信号を略図的に示している。一次方程式は、結果として補正式を生じる。それぞれのパラメータ及び変数は、標準のFMCWレーダと同様に示されている。以下、マスタとは、
図3のように、それぞれのレーダネットワークのビーコンユニットを指す場合もある。同じことが、
図3のように、プラットフォームA又はBのうちの一方とは別の移動ユニットであってもよい用語「クライアント」に対して適用される。以下の補正式は、作為的な遅延、送受信装置間のRF中心周波数オフセット、及びドップラーシフトを補正するため(及びクロック周波数オフセット補正)に用いられる。
【数1】
【0084】
更に、追加の補正が、デスキューステップにおいて範囲に依存する周波数オフセットを補正するよう実装されている(グラフfskewを参照)。
【0085】
更なる詳細及び態様を、上又は下で説明する実施形態に関連して述べる。
図5に示す実施形態は、提案する概念に関連して述べる1つ以上の態様又は上(例えば、
図1~4)若しくは下(例えば、
図6)で説明する1つ以上の実施形態に対応する1つ以上の任意の追加的特徴を備えていてもよい。
【0086】
図6は、互いの間の距離測定のための2つのレーダユニット401及び301のブロック図を略図的に示している。詳細には、両方の送受信装置は、測距信号だけでなく、データ及び測距信号を送信するようにされていてもよい。
図6は、第1のレーダユニット401を示している。第1のレーダユニットは、信号を送信し、第2のレーダユニットから信号を受信するようにされてもよい送受信装置420(TRx)を備えていてもよい。より詳細には、送受信装置420は、(データリンクを介して)データ及び測距信号を送信するようにされていてもよい。第1のレーダユニット401は、更に、信号発生器410を備える。信号発生器は、測距及びデータ信号の両方を生成するようにされることができる。更に、信号発生器410は、送受信装置420に(生成された)データ及び測距信号を供給するようにされていてもよい。第1のレーダユニット401は、更に、ミキサ430を備えていてもよい。ミキサ430は、信号発生器410によって送受信装置420に供給され、また、送受信装置420によってそれぞれの受信信号をダウンコンバートするためにミキサ430にも供給される信号を用いることによって受信信号を対象のベースバンド信号にダウンコンバートするようにされていてもよい。更に、第1のレーダユニット401は、デジタル領域で受信信号の変換を実行するようにされるアナログデジタル変換器440(ADC)を備えていてもよい。更に、第1のレーダユニットは、コントローラ450を備えていてもよい。コントローラ450は、それらそれぞれのタスクを実行するために、それぞれの制御信号をADC440及び信号発生器410に供給するようにされていてもよい。更に、第1のレーダユニット401は、デスキューユニット460(デスキュー)を備えていてもよい。デスキューユニット460は、範囲に依存する周波数オフセットを除去することができるように、デスキューの追加ステップを実行するようにされていてもよい。デスキューユニット460は、コントローラ450並びに信号発生器410及び送受信装置420の制御信号によって供給されてもよい。更に、第1のレーダユニット401は、処理ユニット470を備えていてもよい。処理ユニット470は、デスキューユニット460によって供給されてもよく、コントローラ450と通信してもよい。更に、第1のレーダユニット401は、有線データインターフェース480を備えていてもよい。有線データインターフェース480は、コントローラ450と通信していてもよい。コントローラ450は、それぞれのタスクを実行し、それぞれの制御信号をそれぞれのユニットに提供するために、有線データインターフェースを介してプログラム可能であってもよい。更に、有線データインターフェース480は、データを(任意のブロックユニットから)同じプラットフォーム(空中又は地上)内の他のユニットのネットワークに送信するために用いられてもよい。ブロックユニットは必ずしも個別の構成要素である必要はないが、単なる論理演算及び制御を示すものであってもよい。
【0087】
図6は、第2のレーダユニット301を示している。第2のレーダユニットは、信号を送信し、第2のレーダユニットから信号を受信するようにされてもよい送受信装置320(TRx)を備えていてもよい。より詳細には、送受信装置320は、(データリンクを介して)データ及び測距信号を送信するようにされていてもよい。第2のレーダユニット301は、更に、信号発生器310を備える。信号発生器は、測距及びデータ信号の両方を生成するようにされることができる。更に、信号発生器310は、送受信装置320に(生成された)データ及び測距信号を供給するようにされていてもよい。第2のレーダユニット301は、更に、ミキサ330を備えていてもよい。ミキサ330は、信号発生器310によって送受信装置320に供給され、また、送受信装置320によってそれぞれの受信信号をダウンコンバートするためにミキサ330にも供給される信号を用いることによって受信信号を対象のベースバンド信号にダウンコンバートするようにされていてもよい。更に、第2のレーダユニット301は、デジタル領域で受信信号の変換を実行するようにされるアナログデジタル変換器340(ADC)を備えていてもよい。更に、第2のレーダユニットは、コントローラ350を備えていてもよい。コントローラ350は、それらそれぞれのタスクを実行するために、それぞれの制御信号をADC340及び信号発生器310に供給するようにされていてもよい。更に、第2のレーダユニット301は、デスキューユニット360(デスキュー)を備えていてもよい。デスキューユニット360は、範囲に依存する周波数オフセットを除去することができるように、デスキューの追加ステップを実行するようにされていてもよい。デスキューユニット360は、コントローラ350並びに信号発生器310及び送受信装置320の制御信号によって供給されてもよい。更に、第2のレーダユニット301は、処理ユニット370を備えていてもよい。処理ユニット370は、デスキューユニット360によって供給されてもよく、コントローラ350と通信してもよい。更に、第2のレーダユニット301は、有線データインターフェース380を備えていてもよい。有線データインターフェース380は、コントローラ350と通信していてもよい。コントローラ350は、それぞれのタスクを実行し、それぞれの制御信号をそれぞれのユニットに提供するために、有線データインターフェースを介してプログラム可能であってもよい。更に、有線データインターフェース380は、データを(任意のブロックユニットから)同じプラットフォーム(空中又は地上)内の他のユニットのネットワークに送信するために用いられてもよい。ブロックユニットは必ずしも個別の構成要素である必要はないが、単なる論理演算及び制御を示すものであってもよい。
【0088】
更なる詳細及び態様を、上又は下で説明する実施形態に関連して述べる。
図6に示す実施形態は、提案する概念に関連して述べる1つ以上の態様又は上(例えば、
図1~5)若しくは下で説明する1つ以上の実施形態に対応する1つ以上の任意の追加的特徴を備えていてもよい。
【0089】
態様は、レーダ、協調レーダ、双方向測距、局所測位システム、及び距離測定装置に関していてもよい。
【0090】
更なる態様は、有人又は無人航空機着陸システム、ドローン船舶着艦システム、自動車又は航空機位置確認及びナビゲーション、屋内位置確認、ゲーム又は拡張現実用のジェスチャ及び動き追跡、ロボット制御、及び航空機編隊飛行に関していてもよい。
【0091】
態様は、同期化されたレーダネットワークに関していてもよい。例えば、レーダネットワークの1つ以上のアドホックシステムが設けられる。アドホックシステムは、カバレッジエリア内の任意の数の移動ユニットに空間/位置情報を提供してもよい。移動ユニットは、受信モードのみ又は協調モードのTx-Rx対応RFフロントエンドのどちらか一方を搭載していてもよい。例えば、各レーダネットワークは、そのビーコンの1つ以上から、有線又は無線インターフェースを介してデータ情報で符号化されたハートビート/同期信号を送信又は一斉送信する。更に、各レーダネットワークは、有線又は無線のどちらか一方で同じネットワーク内の任意のユニットと通信可能な1つ以上のユニットを包含することができる。更に、ハートビート信号の繰返し数及び時間オフセットは任意であり、時間又は周波数領域のどちらか一方における測定及び通信信号の衝突を回避するために、隣接システムからの他のハートビート信号に適合するよう調整することができる。更に、各レーダネットワークは、時間周波数空間が占有されている場合、周囲のハートビート信号及び全体的なRF環境を待ち受けてもよい。更に、各レーダネットワークは、時間周波数空間の少なくとも一部を占有するその意図を一斉送信してもよい。更に、各レーダネットワークは、相反する意図が検出されない場合、時間周波数空間の少なくとも一部を占有するよう進んでもよい。更に、各レーダネットワークは、そのネゴシエートした時間周波数空間を用いて、サービスのために測定及び通信信号を利用してもよい。詳細には、サービスのためにその移動クライアントに(サービスレーダネットワークの)空間及び移動情報、並びにユーザデータを提供する。更に、レーダネットワークは、そのハートビート信号をGPS訓練されるよう調整してもよい。更に、時間周波数割り当てのネゴシエーションフェーズにおける優先度をルールに入れることができ、例えば、沿岸警備隊のような緊急サービスは、より高い優先度コードを有効にすることができる。優先度が高いほど、(要求された少なくとも一部の)時間周波数空間及び高い更新速度が容易に提供される確率が高くなってもよい。最下位の優先度は、最低限の稼働運用条件で可能な最低更新速度において解決される確率が高くなる可能性がある。
【0092】
態様は、一致しないFMCWレーダ信号及びその使用に関していてもよい。例えば、少なくとも2つのノードは、時間オフセット、周波数オフセット、及び/又は掃引プロファイルにおける一致しない周波数変調レーダ信号を用いて、互いの距離を測定してもよい。ノードは、また、レーダセンサと称されてもよい。レーダセンサは、また、レーダユニットと称されてもよい。掃引プロファイルは、異なる勾配の線形ランプにすることができる。例えば、各ノードは、(それぞれ他のノードによって送信された)FMCWレーダ信号の、即ち、ミキサの後のビート信号を、入力ランププロファイルに一致させるためにスキュー除去してもよい。通常の距離計算に関する追加の補正が、幾つかの範囲に依存する周波数オフセットにより、追加されてもよい。ランプの不一致は、パルスごとに異なる可能性がある。ランプの不一致は、測定スロット毎に異なる可能性がある。これにより、ある程度のスプーフィング回復力が得られてもよい。
【0093】
態様は、別の装置までの距離測定を行い、1つの単一測定タイムスロットの下でレーダ後方散乱センサとしての装置に関していてもよい。例えば、2つ以上の送受信装置は、それらの広帯域信号(例えば、チャープ、ofdm、等)を、測定スロット内の別々の時間又は周波数オフセットで送信してもよい。用語、送受信装置とは、送受信ユニットを備えていてもよい信号を送受信するための装置デバイスを指してもよい。更に、各送受信装置は、(他の送受信装置の)入力信号に対するその送信信号の等価時間又は周波数偏差を処理してもよい。例えば、2つの送受信装置のうちの任意の対における少なくとも1つは、同じ送受信ユニットを用いて、データリンクを介して対応する偏差を他方に送信してもよい。送受信装置は、偏差データを受信してもよく、時間又は周波数偏差のそれ自体の対応する測定値を組み込むことにより、等価離間距離(2つの送受信装置間の)を計算してもよい。任意の送受信装置の後方散乱領域から十分に離れたオフセットで、ある特定の時間又は周波数領域にマッピングされている他の送受信装置からの時間又は周波数偏差の測定とは無関係に、任意の送受信装置は、通常のレーダ技術を用いて環境を感知することによって後方散乱領域を計算してもよい。例えば、送受信装置は、近接センサとして又は衝突回避センサとして用いられてもよい。
【0094】
レーダシステム等の位置確認に利用可能なシステムのほとんどは、並べて操作する場合、同じ種類の別のレーダシステムによる干渉に悩まされる可能性がある。これらを適切に連携させるには、事前に計画し、手動で構成してもよい。これは、レーダシステムがフィールド上で互いに遭遇し、混乱させる可能性がある船舶又は編隊飛行等の高移動性のシステムにおいて不利である可能性がある。従って、同じ種類のアドホックの局地測位システムを並べて操作するための概念を提供することが求められる場合がある。
【0095】
先の詳細な実施例及び図面のうちの1つ以上と共に記載及び説明した態様及び特徴は、他の実施例の同様の特徴を置き換えるため、又は特徴を他の実施例に追加として導入するために、他の実施例の1つ以上と同様に組み合わせられてもよい。
【0096】
実施例は、更に、コンピュータプログラムがコンピュータ又はプロセッサ上で実行される場合に、上記の方法の1つ以上を実行するためのプログラムコードを有するコンピュータプログラムであってもよいか、又はそれに関していてもよい。上で説明した様々な方法のステップ、操作、又はプロセスは、プログラムされたコンピュータ又はプロセッサによって実行されてもよい。実施例は、また、機械、プロセッサ、又はコンピュータ読取可能であり、命令の機械実行可能、プロセッサ実行可能、又はコンピュータ実行可能プログラムを符号化する、デジタルデータ記憶媒体等のプログラム記憶装置をカバーしていてもよい。命令は、上で説明した方法の行為の一部又は全てを実行するか又は実行させる。プログラム記憶装置は、例えば、デジタルメモリ、磁気ディスク及び磁気テープ等の磁気記憶媒体、ハードドライブ、又は光学的に読み取り可能なデジタルデータ記憶媒体を備えるか又はそれらであってもよい。更なる実施例は、また、上で説明した方法の行為を実行するようプログラムされたコンピュータ、プロセッサ、若しくは制御ユニット、又は上で説明した方法の行為を実行するようプログラムされた(フィールド)プログラマブル論理アレイ((F)PLA)若しくは(フィールド)プログラマブルゲートアレイ((F)PGA)をカバーしていてもよい。
【0097】
説明及び図面は、開示の原理を単に例示しているに過ぎない。更に、本明細書中に引用された全ての実施例は、主に、当該技術を促進するよう発明者らが寄与した開示の原理及び概念を読者が理解することを助けるための教育目的のみを明示的に意図するものである。開示の原理、態様、及び実施例、並びにその特定の実施例を引用する本明細書中の全ての記述は、その均等物を包含することを意図している。
【0098】
ブロック図は、例えば、開示の原理を実施する高レベルの回路図を例示してもよい。同様に、フローチャート、フロー図、状態遷移図、疑似コード、等は、例えば、コンピュータ読取可能媒体において実質的に表され、そのため、かかるコンピュータ又はプロセッサが明示的に示されているかどうかにかかわらず、コンピュータ又はプロセッサによって実行されてもよい様々なプロセス、操作、又はステップを表してもよい。明細書又は特許請求の範囲において開示される方法は、これらの方法のそれぞれの行為のそれぞれを実行するための手段を有する装置によって実装されてもよい。
【0099】
明細書又は特許請求の範囲に開示される複数の行為、プロセス、操作、ステップ、又は機能の開示は、例えば技術的な理由により、明示的又は黙示的に述べられていない限り、特定の順序内にあるものと解釈されなくてもよいことは、言うまでもない。従って、複数の行為又は機能の開示は、かかる行為又は機能が技術的な理由で交換可能でない場合を除き、これらを特定の順序に制限するものではない。更に、幾つかの実施例において、単一の行為、機能、プロセス、操作、又はステップは、複数の副次的な行為、機能、プロセス、操作、又はステップをそれぞれ含んでいてもよいか、又はそれらに分割されてもよい。かかる副次的行為は、明示的に除外されていない限り、含まれ、この単一行為の開示の一部であってもよい。
【0100】
更に、以下の特許請求の範囲はここで、詳細な説明に組み込まれ、各請求項は別々の実施例としてそれ自体で自立していてもよい。各請求項は別々の実施例としてそれ自体で自立してもよい一方で、従属クレームは特許請求の範囲において1つ以上の他の請求項との特定の組み合わせを参照してもよく、他の実施例はまた、互いの従属又は独立クレームの主題との従属クレームの組み合わせも含んでいてもよいことに留意されたい。かかる組み合わせは、特定の組み合わせが意図されていないことが明記されていない限り、本明細書中で明示的に提案される。更に、この特許請求の範囲が独立クレームに直接従属していなくても、任意の他の独立クレームに対する請求項の特徴も含むことを意図している。
【0101】
本開示は、上で説明した実施形態に何ら限定されるものではない。それどころか、添付特許請求の範囲において定義されるような本開示の根底にある考えから逸脱することなく、平均的な当業者にとって明らかであるそれらの変更に対して多くの可能性が存在している。
[構成1]
別のレーダシステム(301)までの距離を特定するためのレーダシステム(401)であって、
第1の掃引プロファイルを備える第1の周波数変調連続波、FMCW、レーダ信号を送信するようにされる送受信装置(420)であって、前記送受信装置(420)は、更に、第2の掃引プロファイルを備える第2のFMCWレーダ信号を受信するようにされており、前記第1のFMCWレーダ信号の前記第1の掃引プロファイルは、前記第2のFMCWレーダ信号の前記第2の掃引プロファイルとは異なる、送受信装置(420)と、
前記第1のFMCWレーダ信号及び前記第2のFMCWレーダ信号に基づいてビート信号を生成するようにされるミキサ(430)と、
前記第1のFMCWレーダ信号の前記掃引プロファイルを前記第2のFMCWレーダ信号の前記掃引プロファイルと一致させることによって前記ビート信号をスキュー除去するようにされるデスキューユニット(460)と、
を備える、レーダシステム(401)。
[構成2]
更に、前記第1のFMCWレーダ信号を生成し、前記生成された第1のFMCWレーダ信号を前記送受信装置(420)及び前記ミキサ(430)に提供するようにされる信号発生器(410)を備える、構成1に記載のレーダシステム(401)。
[構成3]
前記ミキサ(430)は前記送受信装置(420)の下流に配置され、前記ミキサ(430)は前記信号発生器(410)の下流に配置される、構成2に記載のレーダシステム(401)。
[構成4]
更に、アナログデジタル変換器、ADC、(440)を備え、前記ADC(440)は、前記ミキサ(430)の下流に配置され、前記ビート信号をデジタル化するようにされており、前記スキュー除去をするステップは、前記デジタル化されたビート信号に対して行われる、構成1~3のいずれか一項に記載のレーダシステム(401)。
[構成5]
更に、第1の制御信号を前記信号発生器(410)に提供するようにされるコントローラ(450)を備え、第1の制御信号は、前記第1のFMCWレーダ信号の掃引プロファイル、時間オフセット、及び/又は周波数オフセット等の前記第1のFMCWレーダ信号の特性に関する情報を備える、構成1~4のいずれか一項に記載のレーダシステム(401)。
[構成6]
前記コントローラ(450)は、更に、第2の制御信号を前記ADC(440)に提供するようにされ、第2の制御信号は、前記ADC(440)によって用いられるサンプリングレートの変化に関する情報を提供する、構成5に記載のレーダシステム(401)。
[構成7]
更に、前記スキュー除去されたビート信号を処理することによって(他のレーダシステムまでの)距離を特定するようにされている処理ユニット(470)を備える、構成1~6のいずれか一項に記載のレーダシステム(401)。
[構成8]
前記処理ユニット(470)は、前記デスキューユニット(460)の下流に配置され、前記コントローラ(450)は、第3の制御信号を前記コントローラ(450)と通信する前記処理ユニット(470)に提供するようにされ、前記コントローラ(450)は、前記コントローラ(450)を介して前記処理ユニット(470)から前記特定された距離を提供するためのインターフェースとして機能するようにされる、構成7に記載のレーダシステム(401)。
[構成9]
更に、前記特定された距離に関する情報を前記局所測位システムに提供するようにされる有線データインターフェース(480)を備える、構成1~8のいずれか一項に記載のレーダシステム(401)。
[構成10]
前記有線データインターフェース(480)は、前記コントローラ(450)と通信しており、前記特定された距離を受信し、コマンド信号を前記コントローラ(450)に提供するようにされており、前記コマンド信号は、前記第1、第2、及び第3の制御信号のための基準を形成する、構成9に記載のレーダシステム(401)。
[構成11]
前記レーダシステム(401)はモノスタティックである、構成1~10のいずれか一項に記載のレーダシステム(401)。
[構成12]
前記第1及び第2のFMCWレーダ信号は、異なる三角形掃引プロファイルを有する、構成1~11のいずれか一項に記載のレーダシステム(401)。
[構成13]
前記第1のFMCWレーダ信号は、パルスによって及び/又は測定スロットによって異なる、構成1~12のいずれか一項に記載のレーダシステム(401)。
[構成14]
レーダシステム間の距離を特定するための方法であって、
送受信装置によって、第1の掃引プロファイルを備える第1の周波数変調連続波、FMCW、レーダ信号を送信すること(S210)と、
前記送受信装置によって、第2の掃引プロファイルを備える第2のFMCWレーダ信号を受信すること(S220)であって、前記第1のFMCWレーダ信号の前記掃引プロファイルは、前記第2のFMCWレーダ信号の前記掃引プロファイルとは異なることと、
ミキサによって、前記第1のFMCWレーダ信号及び前記第2のFMCWレーダ信号に基づいてビート信号を生成すること(S230)と、
デスキューユニット(460)によって、前記第1のFMCWレーダ信号の前記掃引プロファイルを前記第2のFMCWレーダ信号の前記掃引プロファイルと一致させることにより、前記ビート信号をスキュー除去すること(S240)と、
を含む、方法。
[構成15]
前記スキュー除去ステップは、
前記第1のFMCWレーダ信号の前記掃引プロファイルに従って、前記ビート信号の周波数ハブを調整するステップと、
前記第1のFMCWレーダ信号の前記掃引プロファイルに従って、前記ビート信号の時間オフセットを調整するステップと、
前記第1のFMCWレーダ信号の前記掃引プロファイルに従って、前記ビート信号の周波数オフセットを調整するステップと、
前記第1のFMCWレーダ信号の前記掃引プロファイルに従って、前記ビート信号のランププロファイルを調整するステップと、
のうちの少なくとも1つを含む、構成14に記載の方法。
[構成16]
第1のレーダシステム(401)と第2のレーダシステム(301)との間の距離を特定するためのシステム(100)であって、
第1の送受信装置(420)、第1のミキサ(430)、及び第1のデスキューユニット(460)を備える前記第1のレーダシステム(401)と、
第2の送受信装置(420)、第2のミキサ(430)、及び第2のデスキューユニット(460)を備える前記第2のレーダシステム(301)と、
を備え、
前記第1の送受信装置(420)は、第1の掃引プロファイルを備える第1の周波数変調連続波、FMCW、レーダ信号を送信するようにされており、
前記第2の送受信装置(320)は、第2の掃引プロファイルを備える第2のFMCWレーダ信号を送信するようにされており、前記第1及び第2の掃引プロファイルは異なり、
前記第1の送受信装置(420)は、前記第2のFMCWレーダ信号を受信するようにされており、
前記第2の送受信装置(320)は、前記第1のFMCWレーダ信号を受信するようにされており、
前記第1のミキサ(430)は、前記第1のFMCWレーダ信号及び前記第2のFMCWレーダ信号に基づいて第1のビート信号を生成するようにされており、
前記第2のミキサ(330)は、前記第2のFMCWレーダ信号を用いて前記第1のFMCWレーダ信号を復調することによって第2のビート信号を生成するようにされており、
前記第1のデスキューユニット(460)は、前記第2のFMCWレーダ信号の前記掃引プロファイルを前記第1のFMCWレーダ信号の前記掃引プロファイルと一致させることによって前記第1のビート信号をスキュー除去するようにされており、且つ、
前記第2のデスキューユニット(360)は、前記第1のFMCWレーダ信号の前記掃引プロファイルを前記第2のFMCWレーダ信号の前記掃引プロファイルと一致させることによって前記第2のビート信号をスキュー除去するようにされている、
システム(100)。
[構成17]
第1のレーダシステムと第2のレーダシステムとの間の距離を特定するための方法であって、
前記第1のレーダシステムの第1の送受信装置によって、第1の掃引プロファイルを備える第1の周波数変調連続波、FMCW、レーダ信号を送信すること(S210)と、
前記第2のレーダシステムの第2の送受信装置によって、第2の掃引プロファイルを備える第2のFMCWレーダ信号を送信すること(S215)であって、前記第1及び第2の掃引プロファイルは異なることと、
前記第1のレーダシステムの前記第1の送受信装置によって、前記第2のFMCWレーダ信号を受信すること(S220)と、
前記第2のレーダシステムの前記第2の送受信装置によって、前記第1のFMCWレーダ信号を受信すること(S225)と、
前記第1のレーダシステムの第1のミキサによって、前記第1のFMCWレーダ信号及び前記第2のFMCWレーダ信号に基づいて第1のビート信号を生成すること(230)と、
前記第2のレーダシステムの第2のミキサによって、前記第2のFMCWレーダ信号を用いて前記第1のFMCWレーダ信号を復調することにより、第2のビート信号を生成すること(S235)と、
前記第1のレーダシステムの第1のデスキューユニット(460)によって、前記第2のFMCWレーダ信号の前記掃引プロファイルを前記第1のFMCWレーダ信号の前記掃引プロファイルと一致させることにより、前記第1のビート信号をスキュー除去すること(S240)と、
前記第2のレーダシステムの前記第2のデスキューユニットによって、前記第1のFMCWレーダ信号の前記掃引プロファイルを前記第2のFMCWレーダ信号の前記掃引プロファイルと一致させることにより、前記第2のビート信号をスキュー除去すること(S245)と、
を含む、方法。