(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-05
(45)【発行日】2024-03-13
(54)【発明の名称】エアロゾル発生システム用の起動可能かつ再閉鎖可能なカートリッジ組立品
(51)【国際特許分類】
A24F 40/42 20200101AFI20240306BHJP
A24F 40/20 20200101ALI20240306BHJP
【FI】
A24F40/42
A24F40/20
(21)【出願番号】P 2020568757
(86)(22)【出願日】2019-06-20
(86)【国際出願番号】 EP2019066407
(87)【国際公開番号】W WO2019243545
(87)【国際公開日】2019-12-26
【審査請求日】2022-06-17
(32)【優先日】2018-06-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100196612
【氏名又は名称】鎌田 慎也
(72)【発明者】
【氏名】ベルンハルト フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】ランチ アントニーノ
(72)【発明者】
【氏名】メルツ ハネス
(72)【発明者】
【氏名】シルヴェストリーニ パトリック シャルル
(72)【発明者】
【氏名】タウリーノ イレーヌ
(72)【発明者】
【氏名】ジノヴィク イハル ニコラエヴィッチ
【審査官】西村 賢
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/129617(WO,A1)
【文献】特表2016-523096(JP,A)
【文献】特開2004-041377(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0342256(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/00-47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル発生システムで使用する再閉鎖可能なカートリッジ組立品であって、
長軸方向軸に沿って延びる、かつカートリッジ上流端壁とカートリッジ下流端壁の間に備えられた少なくとも第一の区画を有するカートリッジと、
少なくとも一つの回転可能な部分を備えるハウジングであって、前記回転可能な部分が、少なくとも一つの開口を備える端壁を有し、前記回転可能な部分が、前記カートリッジに回転可能に嵌合されていて、かつ前記長軸方向軸を中心に前記カートリッジに対して回転するように構成された、ハウジングと、を備え、
前記回転可能な部分が、貯蔵位置と分与位置の間、および前記分与位置と前記貯蔵位置の間で前記カートリッジに対して回転するように適合されていて、
前記カートリッジ上流端壁および前記カートリッジ下流端壁の
両方が、
それぞれ少なくとも一つの破壊可能な部分を備え、
前記回転可能な部分が初めて前記貯蔵位置から前記分与位置に回転した時、前記回転可能な部分が、前記破壊可能な部分を破壊して前記カートリッジの前記端壁の開口を露出するように適合されていて、
前記回転可能な部分が前記分与位置にある時、前記回転可能な部分の前記端壁の前記開口が、前記カートリッジの前記端壁の前記開口と整列されていて、
前記回転可能な部分が前記分与位置から前記貯蔵位置に回転した時、前記カートリッジの前記端壁の前記開口が、前記回転可能な部分の前記端壁によって覆われている、再閉鎖可能なカートリッジ組立品。
【請求項2】
前記カートリッジが少なくとも一つの案内手段を備え、かつ前記少なくとも一つの回転可能な部分が、
上流ハウジング端壁を備える上流ハウジング部分であって、前記上流ハウジング端壁が少なくとも一つの開口を備える、上流ハウジング部分と、
下流ハウジング端壁を備える下流ハウジング部分であって、前記下流ハウジング端壁が少なくとも一つの開口を備える、下流ハウジング部分と、を備え、
前記上流ハウジング部分および前記下流ハウジング部分のうちの少なくとも一つが、前記カートリッジの上に回転可能に嵌合されていて、これによって前記上流ハウジング部分および前記下流ハウジング部分のうちの少なくとも一つが、前記少なくとも第一の案内手段を係合して、前記カートリッジに対して、および前記上流ハウジング部分および前記下流ハウジング部分のうちのもう一方に対して前記長軸方向軸を中心に回転し、
前記少なくとも一つの破壊可能な部分が、前記カートリッジ上流端壁および前記カートリッジ下流端壁のうちの少なくとも一つの残りの部分から分離可能であり、前記カートリッジ上流端壁および前記カートリッジ下流端壁のうちの少なくとも一つにある前記開口を露出し、
前記上流ハウジング部分および前記下流ハウジング部分のうちの少なくとも一つが、前記少なくとも一つの破壊可能な部分を係合するように適合されていて、これによって、前記上流ハウジング部分および前記下流ハウジング部分のうちの少なくとも一つが前記貯蔵位置から前記分与位置に回転するのに伴い、前記上流ハウジング部分および前記下流ハウジング部分のうちの少なくとも一つが、前記少なくとも一つの破壊可能な部分を前記カートリッジ上流端壁および前記カートリッジ下流端壁のうちの少なくとも一つの残りの部分から分離し、そして
前記カートリッジ上流端壁および前記カートリッジ下流端壁のうちの少なくとも一つにある前記
開口を露出し、
前記上流ハウジング部分および前記下流ハウジング部分のうちの少なくとも一つが前記分与位置にある時、前記上流ハウジング部分および前記下流ハウジング部分のうちの少なくとも一つにある前記少なくとも一つの開口が、前記カートリッジ上流端壁および前記カートリッジ下流端壁のうちの少なくとも一つにある前記露出した開口と流体連通していて、かつ
前記上流ハウジング部分および前記下流ハウジング部分のうちの少なくとも一つが、前記分与位置と閉位置の間で可逆的に回転可能であり、前記上流ハウジング部分および前記下流ハウジング部分のうちの少なくとも一つが閉位置にある時、前記上流ハウジング部分および前記下流ハウジング部分のうちの少なくとも一つの前記端壁が、前記カートリッジ上流端壁および前記カートリッジ下流端壁のうちの少なくとも一つにある前記露出した開口を塞ぐ、請求項1に記載の再閉鎖可能なカートリッジ組立品。
【請求項3】
前記閉位置が、
シールされた位置と実質的に一致する、請求項2に記載の再閉鎖可能なカートリッジ組立品。
【請求項4】
前記閉位置が、前記シールされた位置と前記分与位置の間である、請求項
3に記載の再閉鎖可能なカートリッジ組立品。
【請求項5】
マウスピースを備え、前記マウスピースが、上流マウスピース端壁と前記上流マウスピース端壁にあるマウスピース空気吸込み口とを備え、前記マウスピース空気吸込み口が、前記下流ハウジング端壁の前記開口と流体連通し、前記マウスピースが、前記下流ハウジング部分とともに前記カートリッジに対して回転可能である、請求項
2に記載の再閉鎖可能なカートリッジ組立品。
【請求項6】
前記少なくとも一つの案内手段が弓形状を有する表面を備える、請求項
2に記載の再閉鎖可能なカートリッジ組立品。
【請求項7】
前記上流ハウジング部分および前記下流ハウジング部分のうちの少なくとも一つが、前記少なくとも一つの案内手段を係合するためのリンク機構を備え、前記少なくとも一つの案内手段が第一の端面および第二の端面を備え、
前記上流ハウジング部分および前記下流ハウジング部分のうちの少なくとも一つが前記分与位置にある時、前記リンク機構が、前記少なくとも一つの案内手段の前記第一の端面を係合し、
前記上流ハウジング部分および前記下流ハウジング部分のうちの少なくとも一つが前記閉位置にある時、前記リンク機構が、前記少なくとも一つの案内手段の前記第二の端面を係合する、請求項2~6のいずれか一項に記載の再閉鎖可能なカートリッジ組立品。
【請求項8】
前記上流ハウジング部分および前記下流ハウジング部分の両方が、前記カートリッジの上に回転可能に嵌合していて、これによって、前記上流ハウジング部分および前記下流ハウジング部分の両方が、それぞれ少なくとも一つの案内手段のうちの一つを係合して、前記カートリッジに対して、および相互に対して長軸方向軸を中心に回転し、前記上流ハウジング部分および前記下流ハウジング部分のうちのもう一方も、分与位置と閉位置の間で可逆的に回転可能であり、前記上流ハウジング部分および前記下流ハウジング部分のうちのもう一方が閉位置にある時、前記上流ハウジング部分および前記下流ハウジング部分のうちのもう一方の前記端壁が、前記カートリッジ上流端壁と前記カートリッジ下流端壁とのうちのもう一方にある開口を塞ぎ、かつ前記上流ハウジング部分および前記下流ハウジング部分のうちのもう一方が閉位置にある時、前記カートリッジ上流端壁と前記カートリッジ下流端壁とのうちのもう一方にある前記開口が、前記上流ハウジング部分および前記下流ハウジング部分のうちのもう一方にある前記少なくとも一つの開口と流体連通している、請求項
7に記載の再閉鎖可能なカートリッジ組立品。
【請求項9】
前記上流ハウジング部分および前記下流ハウジング部分のうちのもう一方が、前記少なくとも一つの案内手段のうちの別の一つを係合するための別のリンク機構を備え、前記少なくとも一つの案内手段のうちのもう一方が、第一の端面および第二の端面を備え、
前記上流ハウジング部分および前記下流ハウジング部分のうちのもう一方が前記分与位置にある時、もう一方のリンク機構が前記少なくとも一つの案内手段のうちのもう一方の前記第一の端面を係合し、
前記上流ハウジング部分および前記下流ハウジング部分のうちのもう一方が前記閉位置にある時、もう一方のリンク機構が前記少なくとも一つの案内手段の前記第二の端面を係合する、請求項8に記載の再閉鎖可能なカートリッジ組立品。
【請求項10】
もう一方のリンク機構が前記少なくとも一つの案内手段のうちのもう一方の前記第二の端を係合するまで、前記下流ハウジング部分が前記閉位置から前記分与位置に移動する際、前記下流ハウジング部分が、前記長軸方向軸を中心に前記カートリッジおよび前記上流ハウジング部分の両方に対して回転するように適合されていて、かつ前記リンク機構が前記少なくとも一つの案内手段の前記第二の端面を係合するまで、前記下流ハウジング部分が前記カートリッジとともに前記上流ハウジング部分に対してさらに回転するように適合されている、請求項9に記載の再閉鎖可能なカートリッジ組立品。
【請求項11】
前記上流ハウジング部分および前記下流ハウジング部分のうちの前記少なくとも一つが前記閉位置と前記分与位置の間で前記長軸方向軸を中心に回転する
角回転が、前記カートリッジに対して160度~200度である、請求項2~10のいずれか一項に記載の再閉鎖可能なカートリッジ組立品。
【請求項12】
前記リンク機構が、それぞれのハウジング端壁と一体的に形成された、かつ前記ハウジング端壁から前記カートリッジに向かって延びるピンを備える、請求項
7に記載の再閉鎖可能なカートリッジ組立品。
【請求項13】
前記カートリッジが、第二の区画と、前記第一の区画内に位置付けられているニコチン供与源と、前記第二の区画内に位置付けられている酸供与源とをさらに備える、請求項
2に記載のカートリッジ組立品。
【請求項14】
前記カートリッジが、エアロゾル発生装置の発熱体を受容するための第三の区画を備え、前記第三の区画が前記第一の区画と前記第二の区画の間に位置付けられ、かつ前記上流ハウジング部分が前記分与位置にある時、前記上流ハウジング端壁が、前記第三の区画と整列された開口部を備える、請求項13に記載のカートリッジ組立品。
【請求項15】
前記カートリッジが、前記第一の区画と前記第二の区画の間に位置付けられたサセプタをさらに備える、請求項13に記載のカートリッジ組立品。
【請求項16】
エアロゾル発生システムであって、
請求項1~15のいずれかに記載の再閉鎖可能なカートリッジ組立品と、
前記カートリッジ組立品の上流端を受容するように、かつ前記カートリッジ組立品の前記カートリッジの
少なくとも一つの区画を加熱するためのヒーターを受容するように構成された装置空洞を備える、エアロゾル発生装置と、を含む、エアロゾル発生システム。
【請求項17】
前記カートリッジが、前記第一の区画と実質的に平行に延びる第二の区画を備え、かつ前記ヒーターが、前記装置空洞の少なくとも一部分を包囲する誘導ヒーターを備え、前記カートリッジが、前記第一の区画と前記第二の区画の間に位置付けられたサセプタをさらに備える、請求項16に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項18】
エアロゾル発生システムで使用する再閉鎖可能なカートリッジ組立品であって、
長軸方向軸に沿って延びる、かつカートリッジ上流端壁とカートリッジ下流端壁の間に備えられた少なくとも第一の区画を備えるカートリッジであって、少なくとも一つの案内手段を備える、カートリッジと、
前記カートリッジを封入するハウジングであって、
上流ハウジング端壁を備える上流ハウジング部分であって、前記上流ハウジング端壁が少なくとも一つの開口を備える、上流ハウジング部分と、
下流ハウジング端壁を備える下流ハウジング部分であって、前記下流ハウジング端壁が少なくとも一つの開口を備える、下流ハウジング部分と、を備えるハウジングとを備え、
前記上流ハウジング部分および前記下流ハウジング部分のうちの少なくとも一つが、前記カートリッジの上に回転可能に嵌合されていて、これによって前記上流ハウジング部分および前記下流ハウジング部分のうちの少なくとも一つが、前記少なくとも第一の案内手段を係合して、前記カートリッジに対して、および前記上流ハウジング部分および前記下流ハウジング部分のうちのもう一方に対して前記長軸方向軸を中心に回転し、
前記カートリッジ上流端壁および前記カートリッジ下流端壁の
両方が、
それぞれ少なくとも一つの破壊可能な部分を備え、前記少なくとも一つの破壊可能な部分が、前記カートリッジ上流端壁および前記カートリッジ下流端壁のうちの少なくとも一つの残りの部分から分離可能であり、前記カートリッジ上流端壁および前記カートリッジ下流端壁のうちの少なくとも一つにある開口を露出し、
前記上流ハウジング部分および前記下流ハウジング部分のうちの少なくとも一つが、前記少なくとも一つの破壊可能な部分を係合するように適合されていて、これによって、前記上流ハウジング部分および前記下流ハウジング部分のうちの少なくとも一つが貯蔵位置から分与位置に回転するのに伴い、前記上流ハウジング部分および前記下流ハウジング部分のうちの少なくとも一つが、前記少なくとも一つの破壊可能な部分を前記カートリッジ上流端壁および前記カートリッジ下流端壁のうちの少なくとも一つの残りの部分から分離し、そして
前記カートリッジ上流端壁および前記カートリッジ下流端壁のうちの少なくとも一つにある前記
開口を露出し、
前記上流ハウジング部分および前記下流ハウジング部分のうちの少なくとも一つが前記分与位置にある時、前記上流ハウジング部分および前記下流ハウジング部分のうちの少なくとも一つにある前記少なくとも一つの開口が、前記カートリッジ上流端壁および前記カートリッジ下流端壁のうちの少なくとも一つにある前記露出した開口と流体連通していて、かつ
前記上流ハウジング部分および前記下流ハウジング部分のうちの少なくとも一つが、前記分与位置と閉位置の間で可逆的に回転可能であり、前記上流ハウジング部分および前記下流ハウジング部分のうちの少なくとも一つが閉位置にある時、前記上流ハウジング部分および前記下流ハウジング部分のうちの少なくとも一つの前記端壁が、前記カートリッジ上流端壁および前記カートリッジ下流端壁のうちの少なくとも一つにある前記露出した開口を塞ぐ、再閉鎖可能なカートリッジ組立品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル発生システムで使用するカートリッジ組立品と、そのカートリッジ組立品を含むエアロゾル発生システムとに関する。本発明には、ニコチン塩粒子を含むエアロゾルを発生するための、ニコチン供与源および酸供与源を備えるカートリッジ組立品としての特定の用途がある。
【0002】
ニコチン供与源および送達促進化合物供与源を備える、ニコチンをユーザーに送達するための装置が周知である。例えば、国際特許公開公報第2008/121610 A1号は、ニコチンおよび揮発性酸(ピルビン酸など)が気相で相互に反応して、ユーザーによって吸入されうるニコチン塩粒子のエアロゾルを形成する装置を開示している。
【0003】
こうした装置の中のニコチンおよび揮発性送達促進化合物の蒸気濃度の差は不都合なことに、好ましくない反応化学量論、またはユーザーへの過剰な反応物(未反応のニコチン蒸気または未反応の揮発性送達促進化合物蒸気など)の送達につながりかねない。周囲温度でのピルビン酸の蒸気圧は、ニコチンの蒸気圧よりも実質的に大きい。その結果として、ピルビン酸蒸気とニコチン蒸気との濃度のバランスを取って効率的な反応化学量論を得るには、国際特許公開公報第2008/121610 A1号で開示されている装置のニコチン供与源およびピルビン酸供与源を異なる温度に加熱する必要がある場合がある。具体的には、ユーザーに送達するために十分なまたは一貫した量のピルビン酸ニコチン塩粒子を発生させるために、ニコチン供与源をピルビン酸供与源よりも高い温度に加熱する必要がある場合がある。このためには、ニコチン供与源およびピルビン酸供与源が物理的に別個のカートリッジの中で、または装置内のその他の構成要素の中で貯蔵されて加熱される必要がある。
【0004】
この問題の解決策は、国際特許公開公報第2015/197627 A1号に開示されていて、これは、単一のヒーターがニコチン供与源と揮発性送達促進化合物供与源(乳酸供与源など)の両方を実質的に同一の温度に加熱するエアロゾル発生システムおよび方法を提供する。ニコチン蒸気と乳酸蒸気との間の反応化学量論は、ニコチン供与源を含む第一の区画と乳酸供与源を含む第二の区画とを通した気流の体積流量の比を制御することによって制御される。ニコチン供与源および乳酸供与源が、単一のヒーターによって加熱される別個の区画に保持されているエアロゾル発生システムの別の例は、国際特許公開公報第2016/046362 A1号から周知である。
【0005】
国際特許公開公報第2015/197627 A1号同第2016/046362号の両方は、エアロゾル発生システムで使用するカートリッジ組立品の例を開示していて、こうした組立品は、ニコチン供与源および揮発性送達促進化合物源を収容するカートリッジ区画を密封するための密封材料の壊れやすいバリアを備える。適切な密封材料としては、例としてアルミ箔および高密度ポリエチレンが挙げられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、こうした壊れやすいバリアの提供は、カートリッジ組立品のコストだけでなく、製造プロセスの全体的な複雑さにも影響を有する場合がある。それ以外にも、サイズの制約に起因して、貫通部材によって壊れやすいバリアに形成された開口は時々、壊れやすいバリアの貫通に伴い変位されたシール材料の部分によって、使用中に遮断される場合がある。これは、カートリッジの区画中に収容された化合物が消費者に供給される比を不必要に変更しうる。さらに、これは不都合なことに、好ましくない反応化学量論につながる場合が時々あり、これによって一部の未反応のニコチン蒸気または未反応の揮発性送達促進化合物が不必要にユーザーに送達される。
【0007】
それ故に、エアロゾル発生システムで使用する、改善されたカートリッジ組立品を提供することが望ましいことになり、カートリッジは、使用前にカートリッジの区画をシールされた状態に維持するように構成されていて、これによって有利なことに、上述のタイプの壊れやすいバリアを使用することなく、カートリッジ組立品の貯蔵寿命が向上する場合がある。
【0008】
さらに、カートリッジが可逆的に起動されてもよい、一つのこうしたカートリッジ組立品、すなわちカートリッジの区画の中への気流、および区画から出る気流を使用中に可能にすることができ、またその後の使用と使用の間に中断されることができるカートリッジ組立品を提供することが望ましいことになる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の態様によると、エアロゾル発生システムで使用する、再閉鎖可能なカートリッジ組立品が提供されている。カートリッジ組立品は、長軸方向軸に沿って延びる、かつカートリッジ上流端壁とカートリッジ下流端壁の間に備えられた少なくとも第一の区画を有するカートリッジと、少なくとも一つの回転可能な部分を備えるハウジングであって、回転可能な部分が、少なくとも一つの開口を備える端壁を有し、回転可能な部分がカートリッジに回転可能に嵌合されていて、かつカートリッジに対して長軸方向軸を中心に回転するように構成された、ハウジングとを備える。回転可能な部分は、貯蔵位置と分与位置の間、および分与位置と貯蔵位置の間でカートリッジに対して回転するように適合されている。カートリッジ上流端壁およびカートリッジ下流端壁のうちの少なくとも一つは、少なくとも一つの破壊可能な部分を備える。回転可能な部分が初めて貯蔵位置から分与位置に回転した時、回転可能な部分は、破壊可能な部分を破壊してカートリッジの端壁の開口を露出するように適合されている。回転可能な部分が分与位置にある時、回転可能な部分の端壁の開口は、カートリッジの端壁の開口と整列されている。さらに、回転可能な部分が分与位置から貯蔵位置に回転した時、カートリッジの端壁の開口は、回転可能な部分の端壁によって覆われている。
【0010】
本発明の別の態様によると、上述のカートリッジ組立品と、カートリッジ組立品の上流端を受容するように構成された装置空洞を備え、カートリッジ組立品のカートリッジの少なくとも一つの区画を加熱するためのヒーターを備えるエアロゾル発生装置とを備えるエアロゾル発生システムが提供されている。
【0011】
本発明のさらなる態様によると、エアロゾル発生システムで使用するカートリッジ組立品が提供されていて、カートリッジ組立品は、長軸方向軸に沿って延びるカートリッジを備え、かつカートリッジ上流端壁とカートリッジ下流端壁の間に備えられた少なくとも第一の区画を備え、カートリッジは少なくとも一つの案内手段を備える。さらに、カートリッジ組立品は、カートリッジを封入するハウジングを備え、ハウジングは、上流ハウジング端壁を備える上流ハウジング部分と、少なくとも一つの開口を備える上流ハウジング端壁と、下流ハウジング端壁を備える下流ハウジング部分とを備え、下流ハウジング端壁は少なくとも一つの開口を備える。上流ハウジング部分および下流ハウジング部分のうちの少なくとも一つは、カートリッジの上に回転可能に嵌合されていて、これによって上流ハウジング部分および下流ハウジング部分の少なくとも一つは、少なくとも第一の案内手段を係合して、カートリッジに対しておよび上流ハウジング部分および下流ハウジング部分のうちのもう一方に対して長軸方向軸を中心に回転する。さらに、カートリッジ上流端壁およびカートリッジ下流端壁のうちの少なくとも一つは、少なくとも一つの破壊可能な部分を備え、少なくとも一つの破壊可能な部分は、カートリッジ上流端壁およびカートリッジ下流端壁のうちの少なくとも一つの残りの部分から分離可能であり、カートリッジ上流端壁およびカートリッジ下流端壁のうちの少なくとも一つにある開口を露出する。上流ハウジング部分および下流ハウジング部分のうちの少なくとも一つは、少なくとも一つの破壊可能な部分を係合するように適合されていて、これによって、上流ハウジング部分および下流ハウジング部分のうちの少なくとも一つが貯蔵位置から分与位置に回転するのに伴い、上流ハウジング部分および下流ハウジング部分のうちの少なくとも一つは、少なくとも一つの破壊可能な部分をカートリッジ上流端壁およびカートリッジ下流端壁のうちの少なくとも一つの残りの部分から分離し、そしてそれぞれの開口を露出する。上流ハウジング部分および下流ハウジング部分のうちの少なくとも一つが分与位置にある時、上流ハウジング部分および下流ハウジング部分のうちの少なくとも一つにある少なくとも一つの開口は、カートリッジ上流端壁およびカートリッジ下流端壁のうちの少なくとも一つにある露出した開口と流体連通している。加えて、上流ハウジング部分および下流ハウジング部分のうちの少なくとも一つは、分与位置と閉位置の間で可逆的に回転可能であり、上流ハウジング部分および下流ハウジング部分のうちの少なくとも一つが閉位置にある時、上流ハウジング部分および下流ハウジング部分のうちの少なくとも一つの端壁は、カートリッジ上流端壁およびカートリッジ下流端壁のうちの少なくとも一つにある露出した開口を塞ぐ。
【0012】
当然のことながら、本発明の一態様に関して説明した任意の特徴は、本発明の任意の他の態様にも等しく適用可能である。
【0013】
本明細書で使用される「エアロゾル発生装置」という用語は、エアロゾル発生基体と相互作用して、ユーザーの口を通してユーザーの肺の中に直接吸入可能なエアロゾルを発生する装置を指す。
【0014】
本発明の文脈において、「上流」および「下流」という用語は、エアロゾル発生システムで使用中に、エアロゾルまたはその前駆体がカートリッジ組立品を通して搬送される方向に対する、カートリッジ組立品の要素または要素の部分の相対的な位置を説明する。
【0015】
「長軸方向」という用語は、カートリッジ組立品の主長軸方向軸に対応する方向、または使用するカートリッジ組立品を受容するように適合されたエアロゾル発生装置の主長軸方向軸に対応する方向を指す。こうした長軸方向軸は、エアロゾル発生物品の上流端と下流端の間に延びる。使用中、空気はカートリッジ組立品を通して長軸方向に引き出される。「横断方向」という用語は、長軸方向軸に対して直角を成す方向を指す。カートリッジ組立品、またはエアロゾル発生装置、またはこれらのいずれかの構成要素の「断面」への任意の言及は、別途記載のない限り、横断断面を指す。
【0016】
上記に示した通り、本発明による再閉鎖可能なカートリッジ組立品は、端壁と端壁の間に長軸方向に延びるカートリッジを備え、カートリッジはハウジング内に封入されている。ハウジングは、少なくとも一つの開口を備える端壁を有する回転可能な部分を備える。回転可能な部分は、カートリッジに回転可能に嵌合されていて、かつカートリッジに対して長軸方向軸を中心に回転するように構成されている。
【0017】
ハウジングは、上流部分および下流部分を備えることが好ましい。上流部分と下流部分の両方は、各々少なくとも一つの開口を含む端壁をそれぞれ備え、かつカートリッジの上に回転可能に嵌合されている。
【0018】
回転可能な部分は、貯蔵位置と分与位置の間、および分与位置と貯蔵位置の間でカートリッジに対して回転するように適合されている。カートリッジ上流端壁およびカートリッジ下流端壁のうちの少なくとも一つは、破壊可能な部分を備える。回転可能な部分が初めて貯蔵位置から分与位置に回転した時、回転可能な部分は、破壊可能な部分を破壊してカートリッジの端壁の開口を露出するように適合されている。
【0019】
実際には、破壊可能な部分を含むカートリッジ端壁の同一の側上のカートリッジの上に嵌合されたハウジング部分は、破壊可能な部分を係合するように適合されていて、これによって、ハウジング部分が貯蔵位置と分与位置の間で回転するにつれて、破壊可能な部分は、カートリッジ端壁の残りの部分から破断されて、その中に形成された開口を露出する。
【0020】
さらに、ハウジング部分が貯蔵位置と分与位置の間で回転するにつれて、カートリッジ端壁の露出した開口とハウジング部分端壁の開口との間に、長軸方向の整列が確立され、また両方の端壁を通して気流経路が利用可能になる。それ故に、カートリッジの内側とハウジングの外側の間に流体連通が確立される。これは実質的にカートリッジを起動し、エアロゾル発生システムでの使用のためにカートリッジを設定し、これによって消費者は吸入可能なエアロゾルを受容することができる。
【0021】
加えて、ハウジング部分は分与位置から離れて閉位置に回転することができ、ハウジング部分の端壁はカートリッジ端壁の露出した開口を塞ぐ。本明細書で使用される「塞ぐ」という用語は、気流経路が遮断され、これによってカートリッジ端壁の一つ以上の露出した開口を通るカートリッジの中への(上流端の)気流、もしくはカートリッジの外へ出る(下流端の)気流、またはその両方が実質的に防止されることを示すために使用される。
【0022】
これに反して、分与位置において、カートリッジ端壁の開口を通るカートリッジの中への(上流端の)気流経路、またはカートリッジの外へ出る(下流端の)気流経路は塞がれていない。本明細書で使用される「塞がれていない」という用語は、気流が上流端壁の露出した開口を通してカートリッジの中に引き出されうること、または気流が下流端壁の露出した開口を通してカートリッジの外に引き出されうること、またはその両方であることを示すために使用される。
【0023】
本発明による再閉鎖可能なカートリッジ組立品において、カートリッジ端壁の破壊可能な部分が破断されてカートリッジ端壁の開口を露出するように、またカートリッジ内部の区画(複数可)とカートリッジハウジングの外側との間に塞がれていない気流経路を確立することができるように、回転可能なハウジング部分のうちの一方または両方を、カートリッジに対しておよび相互に対して長軸方向軸を中心に回転することによってカートリッジを起動することは簡単である。
【0024】
破壊可能な部分をカートリッジの端壁から分離する前に、カートリッジの内容物をカートリッジ内で完全にシールすることができる。これは有利なことに、本発明によるカートリッジ組立品の貯蔵寿命を増加させる場合がある。
【0025】
カートリッジの起動は可逆的ではなく、およびそのため所与のカートリッジが起動されたかどうかを消費者が知ることも簡単である。しかしながら、ハウジング部分のうちの一方または両方をカートリッジに対しておよび相互に対して長軸方向軸を中心に回転することによって、塞がれていない気流を可逆的に中断することができ、これによってハウジング部分の端壁の開口はもはや、カートリッジの端壁の露出した開口と整列しなくなる。
【0026】
それ故に、カートリッジ区画(複数可)と外部環境の間の流体連通を再び中断することができ、およびそのためエアロゾル形成化合物の損失が実質的に防止される。これは、連続的な使用と使用の間にカートリッジ組立品をこうした構成に簡単に戻すように設定して、カートリッジの内容物を保存することができるという点で有利である。同じように簡単に、カートリッジ組立品はその後、ハウジング部分のうちの一方または両方をカートリッジに対しておよび相互に対して長軸方向軸を中心に分与構成に回転することによって、使用のためにセットアップされることができる。
【0027】
これはすべて、製造プロセスをより複雑かつ高価にするであろう貫通部材の提供および操作を必要とするタイプのバリアを必要とすることなく、有利に達成される。
【0028】
簡単に上述した通り、本発明によるカートリッジ組立品において、上流ハウジング部分および下流ハウジング部分のうちの少なくとも一つは、分与位置と閉位置の間で可逆的に回転可能である。上流ハウジング部分および下流ハウジング部分のうちの少なくとも一つが閉位置にある時、上流ハウジング部分および下流ハウジング部分のうちの少なくとも一つの端壁は、カートリッジ上流端壁およびカートリッジ下流端壁のうちの少なくとも一つにある露出した開口を塞ぐ。
【0029】
一部の実施形態において、閉位置は第一の位置と実質的に一致する場合がある。言い換えれば、使用と使用の間、消費者は、上流ハウジング部分および下流ハウジング部分のうちの少なくとも一つを、元のシールされた位置から開位置に移動する時に及んだ同一の角変位だけ戻すように回転してもよい。
【0030】
代替的な実施形態において、これに反して、閉位置は、シールされた位置と分与位置の間など、第一の位置および第二の位置以外の場所にあってもよい。
【0031】
有利なことに、上流ハウジング部分および下流ハウジング部分のうちの少なくとも一つが長軸方向軸を中心に回転することは、破壊可能な部分が破断されてカートリッジ端壁の開口を露出するまで実質的に防止される場合がある。実際には、カートリッジ組立品は、回転可能なハウジング部分(複数可)がそれらのそれぞれのシールされた位置にある状態で、消費者に提供されている。これは、カートリッジが最初の使用前に依然として完全にシールされた状態にあることを消費者に非常に明確に示す場合がある。最初の使用の後、カートリッジの中への気流もしくはその外への気流またはその両方が、上流ハウジング部分および下流ハウジング部分のうちの少なくとも一つを閉位置に回転させることによって、可逆的に中断された可能性があることを消費者は再認識する。
【0032】
一部の実施形態において、カートリッジ組立品は、カートリッジの下流に配設されたマウスピースを備える。マウスピースは、上流マウスピース端壁と、上流マウスピース端壁にあるマウスピース空気吸込み口とを備え、マウスピース空気吸込み口は、下流ハウジング端壁の開口と流体連通している。さらに、マウスピースは下流ハウジング部分とともに、カートリッジに対して回転可能である。マウスピースを備えるこれらの実施形態において、マウスピースは、上流マウスピース端壁の下流に位置付けられた、かつマウスピース空気吸込み口と流体連通しているマウスピースチャンバーを備えることが好ましい。さらに、マウスピースは、マウスピースチャンバーの下流端にマウスピース空気出口をさらに備えることが好ましい。
【0033】
こうした実施形態において、マウスピースは、マウスピースの外部とマウスピースチャンバーの間の流体連通を提供する換気空気吸込み口をさらに備えることが好ましく、換気空気吸込み口は、上流マウスピース端壁とマウスピースチャンバーの下流端との間に位置付けられている。さらに、カートリッジ組立品がマウスピースを備える場合、マウスピースはフィルターを備えてもよい。フィルターは、低い微粒子濾過効率または非常に低い微粒子濾過効率を有してもよい。
【0034】
少なくとも一つの案内手段は、弓形状を有する表面を備えることが好ましい。少なくとも一つの案内手段は、カートリッジの周辺に延びることがより好ましく、またカートリッジの円筒状の壁に実質的に形成される。
【0035】
好ましい実施形態において、上流ハウジング部分および下流ハウジング部分のうちの少なくとも一つは、少なくとも一つの案内手段を係合するためのリンク機構を備え、また少なくとも一つの案内手段は、第一の端面および第二の端面を備える。上流ハウジング部分および下流ハウジング部分のうちの少なくとも一つが分与位置にある時、リンク機構は少なくとも一つの案内手段の第一の端面を係合し、また上流ハウジング部分および下流ハウジング部分のうちの少なくとも一つが閉位置にある時、リンク機構は少なくとも一つの案内手段の第二の端面を係合する。これは、案内手段の第一の端面と第二の端面との間の角距離が、長軸方向軸を中心とする、およびカートリッジに対する、上流ハウジング部分および下流ハウジング部分のうちの少なくとも一つの所定の角変位に実質的に対応するという点で有利である。
【0036】
本発明による再閉鎖可能なカートリッジ組立品において、カートリッジ上流端壁とカートリッジ下流端壁の両方は、それぞれ少なくとも一つの破壊可能な部分を備えることが好ましく、この破壊可能な部分は、それぞれのカートリッジ端壁の対応する開口を露出するために、カートリッジ上流端壁およびカートリッジ下流端壁のうちの一つのそれぞれの残りの部分から分離可能である。
【0037】
好ましい実施形態において、カートリッジは第一の区画および第二の区画を備え、ニコチン供与源は第一の区画内に位置付けられていて、また酸供与源は第二の区画内に位置付けられている。ニコチン供与源はニコチン、ニコチン塩基、ニコチン塩(ニコチン-HCl、ニコチン酒石酸塩、またはニコチン二酒石酸塩など)、またはニコチン誘導体のうちの一つ以上を含んでもよい。ニコチン供与源は天然ニコチンまたは合成ニコチンを含んでもよい。ニコチン供与源は純粋なニコチン、水性溶媒もしくは非水性溶媒中のニコチン溶液、または液体たばこ抽出物を含んでもよい。
【0038】
ニコチン供与源は電解質形成化合物をさらに含んでもよい。電解質形成化合物はアルカリ金属水酸化物、アルカリ金属酸化物、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、およびこれらの組み合わせから成る群から選択されてもよい。例えば、ニコチン供与源は、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、酸化リチウム、酸化バリウム、塩化カリウム、塩化ナトリウム、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、硫酸アンモニウムおよびこれらの組み合わせから成る群より選択された電解質形成化合物を含んでもよい。ある特定の実施形態において、ニコチン供与源はニコチン、ニコチン塩基、ニコチン塩、またはニコチン誘導体および電解質形成化合物の水溶液を含んでもよい。別の方法として、または追加的に、ニコチン供与源は、天然風味、人工風味、および酸化防止剤が挙げられるがこれに限定されない他の構成成分をさらに含んでもよい。
【0039】
ニコチン供与源は収着要素および収着要素上に収着されたニコチンを含んでもよい。収着要素は任意の適切な材料または材料の組み合わせで形成されてもよい。例えば、収着要素はガラス、セルロース、セラミック、ステンレス鋼、アルミニウム、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリ(シクロヘキサンジメチレンテレフタラート)(PCT)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)およびBAREX(登録商標)のうちの一つ以上を含んでもよい。
【0040】
収着要素は多孔性収着要素であってもよい。例えば、収着要素は多孔性プラスチック材料、多孔性高分子繊維、多孔性ガラス繊維から成る群から選択される一つ以上の材料を含む多孔性収着要素であってもよい。収着要素はニコチンに対して化学的に不活性であることが好ましい。収着要素は任意の適切なサイズおよび形状を有してもよい。
【0041】
酸供与源は乳酸供与源であることが好ましい。乳酸供与源は収着要素および収着要素上に収着された乳酸を含んでもよい。収着要素は任意の適切な材料または材料の組み合わせ(例えば上記に列挙した材料)から形成されてもよい。収着要素は乳酸に対して化学的に不活性であることが好ましい。収着要素は任意の適切なサイズおよび形状を有してもよい。
【0042】
ある特定の実施形態において、収着要素は実質的に円筒状のプラグであってもよい。例えば、収着要素は多孔性の実質的に円筒状のプラグであってもよい。他の実施形態において、収着要素は実質的に円筒状の中空管であってもよい。例えば、収着要素は多孔性の実質的に円筒状の中空管であってもよい。収着要素のサイズ、形状、および組成は、所望の量の乳酸が収着要素上に収着されることを可能にするように選ばれてもよい。収着要素は有利なことに、乳酸の貯蔵部としての機能を果たす。
【0043】
本発明による再閉鎖可能なカートリッジ組立品は、ニコチン蒸気と乳酸蒸気の間の反応化学量論が、第一の区画および第二の区画を通る体積空気流量の比によって均衡が取られ、制御されるように構成されていることが好ましい。より詳細には、第一の区画を通る体積空気流量と第二の区画を通る体積空気流量の比は、第二の区画と連通している空気吸込み口の数および寸法に対する第一の区画と連通している空気吸込み口の数および寸法のうちの一つまたは両方の変化を通して制御されることが好ましい。
【0044】
好ましい実施形態において、第一の区画を通る空気流量と第二の区画を通る空気流量の比は、それぞれ第一の区画および第二の区画と連通する異なる数の等しくサイズ設定された空気吸込み口を有することによって制御されている。一般に、本発明によるカートリッジ組立品において、第一の区画および第二の区画の中への空気吸込み口、およびその外への空気吸込み口は、カートリッジの上流端壁および下流端壁の開口(複数可)によって画定されていて、この開口は、カートリッジが起動された時(すなわち、カートリッジが初めて使用された時)、上述の通り、カートリッジの上流端壁および下流端壁の対応する破壊可能な部分がそれぞれのカートリッジ端壁の残りの部分から破断された時に露出されるようになる。
【0045】
それ故に、ニコチンと乳酸の間の望ましい1:1の化学量論を達成するために、本発明によるカートリッジ組立品の特に好ましい実施形態において、カートリッジの上流端壁と下流端壁の両方には、破断されて、ニコチン供与源を含有する区画に面する場所に開口を露出するように適合された単一の破壊可能な部分が提供されていて、また破断されて、乳酸供与源を含有する区画に面する場所に一対の対応する開口を露出するように適合された一対の破壊可能な部分が提供されている。各カートリッジ端壁において、ニコチン区画の単一の破壊可能部分および乳酸区画の二つの破壊可能な部分は、三角形の頂点にて配設されていることがなおより好ましい。特に好ましい実施形態において、各カートリッジ端壁において、ニコチン区画の単一の破壊可能な部分および乳酸区画の二つの破壊可能な部分は、二等辺三角形の頂点にて配設されていて、乳酸区画の二つの破壊可能な部分は、ニコチン供与源区画の単一の破壊可能な部分から等しく離れている。
【0046】
本発明による再閉鎖可能なカートリッジ組立品において、上流ハウジング部分と下流ハウジング部分の両方は、カートリッジの上に回転可能に嵌合されていて、これによって上流ハウジング部分と下流ハウジング部分の両方は、少なくとも一つの案内手段のうちのそれぞれの一つを係合して、カートリッジに対して、および相互に対して長軸方向軸を中心に回転することがより好ましい。
【0047】
より詳細には、上流ハウジング部分および下流ハウジング部分のうちのもう一方はまた、それぞれの分与位置と閉位置の間で可逆的に回転可能である。上流ハウジング部分および下流ハウジング部分のうちのもう一方が閉位置にある時、上流ハウジング部分および下流ハウジング部分のうちのもう一方の端壁は、カートリッジ上流端壁およびカートリッジ下流端壁のうちのもう一方の開口を塞ぎ、また上流ハウジング部分および下流ハウジング部分のうちのもう一方が閉位置にある時、カートリッジ上流端壁およびカートリッジ下流端壁のうちのもう一方にある開口は、上流ハウジング部分および下流ハウジング部分のうちのもう一方にある少なくとも一つの開口と流体連通している。
【0048】
原則として、ハウジング部分の端壁の開口の数および場所は、カートリッジ端壁の端壁の露出した開口の数および場所と一致し、これによって本発明の再閉鎖可能なカートリッジ組立品は、カートリッジ区画の中への気流、およびその外への気流を可能にするように適合されたすべての開口が塞がれていない構成(これは分与位置にあるハウジング部分を移動することによって達成される)に設定されることができ、およびすべての前記開口が塞がれている構成(これは閉位置にあるハウジング部分を移動することによって達成される)に設定されることができる。
【0049】
一部の実施形態において、上流ハウジング部分および下流ハウジング部分のうちのもう一方は、少なくとも一つの案内手段のうちの別の一つを係合するための別のリンク機構を備え、少なくとも一つの案内手段のうちのもう一方は、第一の端面および第二の端面を備える。上流ハウジング部分および下流ハウジング部分のうちのもう一方が分与位置にある時、もう一方のリンク機構は少なくとも一つの案内手段のうちのもう一方の第一の端面を係合する。さらに、上流ハウジング部分および下流ハウジング部分のうちのもう一方が閉位置にある時、もう一方のリンク機構は少なくとも一つの案内手段の第二の端面を係合する。
【0050】
実際には、カートリッジに対するおよび相互に対する長軸方向軸を中心とする二つのハウジング部分の回転は、ある程度、運動学的に結び付けられていて、これによって、下流ハウジング部分が閉位置と分与位置の間を分与位置に向かって移動されるにつれて、上流ハウジング部分はそのそれぞれの閉位置からそのそれぞれの分与位置に向かって同時に簡単に移動される場合がある。
【0051】
下流ハウジング部分は、もう一方のリンク機構が少なくとも一つの案内手段のうちのもう一方の第二の端面を係合するまで閉位置から分与位置に移動する際に、カートリッジと上流ハウジング部分の両方に対して長軸方向軸を中心に回転するように適合されていることがより好ましい。さらに、下流ハウジング部分は、リンク機構が少なくとも一つの案内手段の第二の端面を係合するまで、上流ハウジング部分に対してカートリッジとともにさらに回転するように適合されている。
【0052】
それ故に、二つのハウジング部分は、カートリッジおよびカートリッジ内の案内手段を介して相互に運動学的に結び付けられていて、これによってユーザーは、もう一方のハウジング部分を保持しながら同一のハウジング部分(例えば、下流ハウジング部分)に回転動作を実質的に加えて、下流ハウジング部分と上流ハウジング部分の両方を、それぞれの分与位置に移動させることができる。
【0053】
一部の実施形態において、閉位置と分与位置の間の、長軸方向軸を中心とした、上流ハウジング部分および下流ハウジング部分のうちの少なくとも一つの角回転は、カートリッジに対して160度~200度である。閉位置と分与位置の間の長軸方向軸を中心とした、上流ハウジング部分および下流ハウジング部分のうちの少なくとも一つの角回転は、約180度であることがより好ましい。上述の通りの、比較的広い範囲の約160度~約200度の角回転は、ハウジング部分の開口およびカートリッジ端壁の開口の直径がカートリッジ組立品の全体的な直径の約3分の1であるこれらの実施形態において特に効果的である。一例として、開口の直径は約1.1ミリメートルであってもよく、またカートリッジ組立品の全体的な直径は約3.4ミリメートルであってもよい。開口が、より小さい直径を有する実施形態において、約170度~190度などの、より狭い範囲の角回転が好ましく、約175度~約185度がなおより好ましい。
【0054】
リンク機構は、それぞれのハウジング端壁と一体的に形成された、かつハウジング端壁からカートリッジに向かって延びるピンを備えることが好ましい。
【0055】
一部の好ましい実施形態において、カートリッジ組立品は、エアロゾル発生装置の発熱体を受容するための第三の区画をさらに備え、第三の区画は第一の区画と第二の区画の間に位置付けられ、また上流ハウジング端壁は、上流ハウジング部分が分与位置にある時、第三の区画と整列された開口部を備える。このため、上流ハウジング部分が分与位置にある時、エアロゾル発生装置の発熱体は、上流ハウジング端壁の開口部を通して第三の区画の中に挿入されてもよく、発熱体は、カートリッジ区画の内容物に熱を供給するように適合されている。
【0056】
単一のヒーターを使用してニコチン供与源および乳酸供与源を周囲温度よりも高い温度に加熱することは、ニコチン供与源および乳酸供与源からそれぞれ放出されるニコチン蒸気および乳酸蒸気の量の制御を可能にする。これによって、有利なことに、ニコチンおよび乳酸の蒸気濃度を制御し、かつ比例的に均衡を取って効率的な反応化学量論を得ることができる。これは有利なことに、エアロゾルの形成の効率、およびユーザーへのニコチン送達の一貫性を改善する。さらに、有利なことに、過剰な反応物(すなわち未反応のニコチン蒸気または未反応の乳酸蒸気)の、ユーザーへの望ましくない送達のリスクを低減する。
【0057】
他の実施形態において、カートリッジは、第一の区画と第二の区画の間に位置付けられたサセプタの形態で提供された発熱体を備えることが好ましい。これは、カートリッジ組立品の中のエアロゾル形成構成要素の加熱が、誘導加熱によって非接触の方法で達成されることを可能にする。
【0058】
この目的で、本発明による一つのこうしたカートリッジ組立品は、熱を発生する渦電流をサセプタ材料中に誘起する交流電磁場を発生するように構成されている誘導源を備えるエアロゾル発生装置での使用が意図されている。
【0059】
サセプタは、カートリッジ組立品の区画中のエアロゾル形成構成要素と熱的に近接して配設されている。加熱されたサセプタは次に、エアロゾル形成構成要素を加熱して揮発性化合物を放出し、エアロゾルを形成する。
【0060】
サセプタは第一のサセプタ材料および第二のサセプタ材料を含んでもよく、第一のサセプタ材料は第二のサセプタ材料と物理的に密着して配置されている。第二のサセプタ材料は摂氏500度より低いキュリー温度を有することが好ましい。第一のサセプタ材料は、サセプタが変動する電磁場内に置かれた時に、サセプタを加熱するために主に使用されることが好ましい。任意の適切な材料が使用されてもよい。例えば、第一のサセプタ材料はアルミニウムであってもよく、またはステンレス鋼などの鉄系材料であってもよい。第二のサセプタ材料は、サセプタが特定の温度(第二のサセプタ材料のキュリー温度である温度)に達した時を示すために主に使用されることが好ましい。第二のサセプタ材料のキュリー温度を使用して、動作中にサセプタ全体の温度を調節することができる。それ故に、第二のサセプタ材料のキュリー温度はエアロゾル形成基体の発火点未満であるべきである。第二のサセプタ材料に適切な材料は、ニッケルおよびある特定のニッケル合金を含んでもよい。
【0061】
本発明による再閉鎖可能なカートリッジ組立品は、カートリッジ組立品の上流端を受容するように構成された装置空洞と、カートリッジ組立品のカートリッジの少なくとも一つの区画を加熱するための発熱体とを備えるエアロゾル発生装置を備えるエアロゾル発生システムの一部として使用および提供されることができる。
【0062】
好ましい実施形態において、カートリッジはサセプタを備え、またそのためエアロゾル発生装置の発熱体は実質的に間接的発熱体であり、また簡単に上述した通り、誘導源の形態で提供されてもよい。
【0063】
ここで以下の図面を参照しながら本発明をさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【
図1】
図1は、本発明による再閉鎖可能なカートリッジ組立品の分解組立斜視図である。
【
図2】
図2は、シールされた位置にある、
図1の再閉鎖可能なカートリッジ組立品の側面断面図である。
【
図3】
図3は、開位置にある、
図1および
図2の再閉鎖可能なカートリッジ組立品(起動されたカートリッジ)のさらなる側面断面図である。
【
図4】
図4は、閉位置と開位置の間でのカートリッジに対するハウジング部分の回転中の、
図3の平面A~Aにおける再閉鎖可能なカートリッジ組立品の概略断面図である。
【
図5】
図5は、閉位置と開位置の間でのカートリッジに対するハウジング部分の回転中の、
図3の平面A~Aにおける再閉鎖可能なカートリッジ組立品の概略断面図である。
【
図6】
図6は、閉位置と開位置の間でのカートリッジに対するハウジング部分の回転中の、
図3の平面A~Aにおける再閉鎖可能なカートリッジ組立品の概略断面図である。
【
図7】
図7は、本発明によるエアロゾル発生およびカートリッジ組立品を備えるエアロゾル発生システムの概略断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0065】
図1、
図2、および
図3のカートリッジ組立品10は、一対の収着要素14、16をそれぞれ第一の区画および第二の区画18、20の中に受容するように適合された実質的に円筒状のカートリッジ12を備える。第一の収着要素14にはニコチン供与源が装填されていて、一方で第二の収着要素16には乳酸供与源が装填されている。区画18、20の両方は、カートリッジ12の上流端24に提供された第一のカートリッジ端壁22、およびカートリッジ12の下流端28に提供された第二のカートリッジ端壁26によって、その端にて閉じられている。より詳細には、図中に図示した実施形態において、カートリッジ端壁22および26は、それぞれのエアロゾル形成供与源で装填された収着要素14および16が円筒状本体内に画定された区画内に収容されると、カートリッジ12の実質的に円筒状の本体に溶接されているカバー要素(
図1の分解組立図で明瞭に示される通り)として提供されている。
【0066】
さらに、カートリッジ組立品10は、上流ハウジング部分30および下流ハウジング部分32を備える。上流シェル部材30および下流ハウジング部分32は、カートリッジ12の上に嵌合されるように適合されている。ハウジング部分30、32のうちの各一つは、カートリッジ12を部分的に受容するように適合された管状本体を備える。より詳細には、
図1、
図2、および
図3に示す実施形態において、ハウジング部分30、32の管状本体のうちの各一つは、カートリッジ12の長さの約50パーセントを収容できるような長さを有する。
【0067】
ハウジング部分30、32は、カートリッジ12の横壁にある対応するスリットまたは溝にスナップ嵌めするように適合された保持要素(図示せず)を備える。より詳細には、カートリッジの横壁は、カートリッジ12の周囲に延びる二つの溝34、36を備え、これによってハウジング部分30、32のうちの各一つは、カートリッジ12の上にスナップ嵌めすることができ、かつカートリッジ12に対しておよび相互に対して、カートリッジ組立品の長軸方向軸を中心に回転可能である。
【0068】
さらに、カートリッジ上流端壁22と26の両方は、それぞれ破壊可能な部分38、40を備える。破壊可能な部分38、40は、それぞれの端壁22、26の残りの部分から分離可能であり、カートリッジ上流端壁およびカートリッジ下流端壁の対応する開口42、44を露出する(
図2および
図3を参照のこと)。
【0069】
図2に図示の通り、上流ハウジング部分30および下流ハウジング部分32は、破壊可能な部分38、40を係合するように適合されていて、これによって、ハウジング部分30、32が貯蔵位置(
図2)から分与位置(
図3)に回転するのに伴い、上流ハウジング部分および下流ハウジング部分は、破壊可能な部分38、40をそれぞれのカートリッジ端壁22、26の残りの部分から破断し、かつ分離して、それぞれの露出した開口42、44を露出する。
【0070】
上流ハウジング部分30および下流ハウジング部分32が分与位置(
図3)にある時、上流ハウジング部分30および下流ハウジング部分32の端壁50、52の開口46、48は、カートリッジ上流端壁22およびカートリッジ下流端壁26の露出した開口42、44と流体連通している。
【0071】
上流ハウジング部分30および下流ハウジング部分32は、分与位置(
図3に図示。さらに
図6を参照することができる)と閉位置(
図2に図示した位置に実質的に対応する。さらに
図4を参照することができる)との間で可逆的に回転可能である。図中に図示した実施形態において、閉位置はシールされた位置と実質的に一致する。
【0072】
上流ハウジング部分30および下流ハウジング部分32が閉位置にある時、の上流ハウジング部分30および下流ハウジング部分32の端壁50、52は、カートリッジ上流端壁22およびカートリッジ下流端壁26の露出した開口42、44を塞ぐ。
【0073】
閉位置と分与位置の間のハウジング部分の移動は、
図4、
図5、および
図6に下流ハウジング部分32への特定の参照を用いて図示されている。ハウジング部分30とハウジング部分32の両方は、カートリッジ中の対応する案内手段62を係合するためのそれぞれリンク機構60を備え、かつ案内手段62は第一の端面64および第二の端面66を備える。図中に示す実施形態において、案内手段62は、カートリッジ端壁を備えるカバー要素の中に提供されている。
【0074】
下流ハウジング部分32が分与位置にある時(
図6を参照のこと)、リンク機構60は案内手段62の第一の端面64を係合する。下流ハウジング部分32が閉位置にある時(
図4を参照のこと)、リンク機構60は案内手段62の第二の端面66を係合する。
【0075】
カートリッジ組立品10は、下流ハウジング部分32の下流端に取り外し可能なように取り付けられたマウスピース100をさらに備える。このように、マウスピース100は、下流ハウジング部分32を用いてカートリッジ12の長軸方向軸を中心に回転可能であるように構成されている。マウスピース100は、上流マウスピース端壁102、および上流マウスピース端壁102にあるマウスピース空気吸込み口104を備える。マウスピース空気吸込み口104は、上流ハウジング部分32の開口と流体連通している。
【0076】
さらに、マウスピース100は、上流マウスピース端壁102の下流に位置付けられた、かつマウスピース空気吸込み口104と流体連通しているマウスピースチャンバー106を備える。マウスピース100は、マウスピースチャンバー106の下流端110にてマウスピース空気出口108をさらに備える。
【0077】
図の実施形態において、マウスピース50は、マウスピース50の外部とマウスピースチャンバー56の間の流体連通を提供する換気空気吸込み口62をさらに備える。より詳細には、換気空気吸込み口62は、上流マウスピース端壁52とマウスピースチャンバー56の下流端60の間に位置付けられている。
【0078】
カートリッジ組立品10をエアロゾル発生装置で使用するために、消費者は、壊れやすいバリア22、26が破壊されて、区画18、20がマウスピースおよび外部環境と流体連通して定置されるように、貫通部材38、44を第一の位置から第二の位置に移動させることによってカートリッジを起動する。
【0079】
図7に概略的に示す通り、エアロゾル発生システム300は、カートリッジ組立品10が中に部分的に受容される実質的に円筒状の空洞204を備えるハウジング202を備えるエアロゾル発生装置200を備える。
図7に示す通り、カートリッジ組立品10がエアロゾル発生装置200の中に挿入されている時に、少なくともマウスピース100が空洞204から突出するように、空洞204の長さはカートリッジ組立品10の長さよりも短い。
【0080】
エアロゾル発生装置200は、カートリッジ組立品の区画18、20を加熱するように構成された加熱手段を備える。
図4に概略的に示された実施形態において、エアロゾル発生システム300は、カートリッジ12の主軸に沿って二つの区画16と区画18の間に延びるカートリッジ12のチャンバー210内にサセプタとして提供された発熱体206を備える。エアロゾル発生装置は、電池の形態の電源208と、電子回路を備えるコントローラ(図示せず)とをさらに備え、この電子回路は電源208および誘導源(図示せず)に接続されていて、この誘導源は熱を発生する渦電流をサセプタ材料中に誘起する交流電磁場を発生するように構成されている。
【0081】
カートリッジ組立品10がエアロゾル発生装置200の中に挿入され、上記に示した通りに起動されると、誘導源はサセプタ206中に渦電流を発生することによって熱を誘起し、そしてそれ故にカートリッジ12中のニコチン供与源および乳酸供与源を摂氏約100度の実質的に同一の温度に加熱する。
【0082】
使用中に、消費者はカートリッジ組立品10のマウスピース200を吸って、カートリッジ12を通して空気を引き出す。引き出された空気がカートリッジ12を通過すると、ニコチン蒸気が第一の区画18中のニコチン供与源から放出され、また乳酸蒸気が第二の区画20中の乳酸供与源から放出される。ニコチン蒸気は気相において乳酸蒸気と反応して、乳酸ニコチン塩粒子のエアロゾルを形成し、これはマウスピースチャンバー106およびマウスピース空気出口108を通して消費者に送達される。