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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-05
(45)【発行日】2024-03-13
(54)【発明の名称】ファンフィルタユニット
(51)【国際特許分類】
   F24F 7/06 20060101AFI20240306BHJP
   F24F 7/003 20210101ALI20240306BHJP
   B01D 46/48 20060101ALI20240306BHJP
   B01D 46/42 20060101ALI20240306BHJP
   B03C 3/155 20060101ALI20240306BHJP
   B03C 3/40 20060101ALI20240306BHJP
   B03C 3/47 20060101ALI20240306BHJP
【FI】
F24F7/06 C
F24F7/003
F24F7/06 101A
B01D46/48
B01D46/42 Z
B03C3/155 A
B03C3/40 A
B03C3/47
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021082832
(22)【出願日】2021-05-14
(65)【公開番号】P2022175991
(43)【公開日】2022-11-25
【審査請求日】2023-02-17
(73)【特許権者】
【識別番号】502129933
【氏名又は名称】株式会社日立産機システム
(74)【代理人】
【識別番号】110001689
【氏名又は名称】青稜弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 真人
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 朋行
(72)【発明者】
【氏名】安達 東彦
(72)【発明者】
【氏名】徳永 太一
【審査官】渡邉 聡
(56)【参考文献】
【文献】実開平06-019812(JP,U)
【文献】特開2008-032340(JP,A)
【文献】特開2011-069562(JP,A)
【文献】特開2013-071816(JP,A)
【文献】実開昭59-053855(JP,U)
【文献】特開昭55-157349(JP,A)
【文献】実開昭57-166027(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2005/0284114(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 7/06
F24F 7/003
B01D 46/48
B01D 46/42
B03C 3/155
B03C 3/40
B03C 3/47
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
天井部に取り付けられ、ファンとフィルタを備える排気用のファンフィルタユニットであって、
前記フィルタの下方に、運転停止時に、フィルタに付着した塵埃の落下を防止する塵埃落下防止手段を設け
前記塵埃落下防止手段は、
開口部を備える2枚のパンチング板を相対的に移動可能とし、
運転停止時は2枚のパンチング板の開口部を互い違いに配置し、吸込み口を閉鎖して塵埃の落下を防ぎ、
運転時は2枚のパンチング板の開口部が重なる位置に移動させ、吸込み口を開放して空気を通すことを特徴とするファンフィルタユニット。
【請求項2】
請求項に記載のファンフィルタユニットにおいて、
ファンから前記パンチング板に通じるダクトを設け、風圧により前記パンチング板を移動させて、前記吸込み口の閉鎖と開放を行うことを特徴とするファンフィルタユニット。
【請求項3】
請求項に記載のファンフィルタユニットにおいて、
前記ダクトの先端部にバルーンを配置し、前記パンチング板の押し出しに前記バルーンを用いることを特徴とするファンフィルタユニット。
【請求項4】
請求項に記載のファンフィルタユニットにおいて、
前記ダクトの先端部にシリンダとピストンを配置し、前記パンチング板の押し出しに前記ピストンを用いることを特徴とするファンフィルタユニット。
【請求項5】
請求項に記載のファンフィルタユニットおいて、
前記パンチング板に電動シリンダを取り付け、前記パンチング板の移動に電動シリンダを用いることを特徴とするファンフィルタユニット。
【請求項6】
請求項の何れか1項に記載のファンフィルタユニットにおいて、
前記パンチング板の移動機構にレールを設けたことを特徴とするファンフィルタユニット。
【請求項7】
請求項の何れか1項に記載のファンフィルタユニットおいて、
前記パンチング板の上部に防塵マットを取付け、前記防塵マットにより落下する塵埃を吸着することを特徴とするファンフィルタユニット。
【請求項8】
請求項の何れか1項に記載のファンフィルタユニットにおいて、
前記パンチング板の開口部の周縁に上方に向かう出っ張りを設けたことを特徴とするファンフィルタユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クリーンルームなどに設けるファンフィルタユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
クリーンルームにおいては、天井部に複数の給気用のファンフィルタユニット(以下、FFU:Fan Filter Unitともいう。)を配置し、クリーンルーム室内に清浄な空気を吹き出し、室内を清浄な状態に保っている。また、天井部に排気用のFFUを配置し、室内の空気を排気するために用いることがある。本発明は、排気用のFFUを対象とする。
【0003】
特許文献1には、「給気型および排気型として使用できるファンフィルタユニットを提供する。ファンフィルタユニットは、ファンフィルタユニット本体と、ファンフィルタユニットを設置場所に設置するための設置部と、を備える。ファンフィルタユニット本体は、筐体と、ファンと、フィルタと、空気を吸入する吸気部と、空気を排出する排気部と、を備える。ファンフィルタユニット本体は、吸気部および排気部の位置が変わる方向に回転可能に設置部と接続されている。」(要約参照)と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-161130号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
天井部に設置したFFUを室内の空気を排気するために使用する場合、運転停止時に吸い込み面に付着した塵埃が室内に落下することが懸念されている。
【0006】
特許文献1には、ファンとフィルタを備えるファンフィルタユニットを回転させることにより、給気型と排気型として使用できるファンフィルタユニットが開示されているが、吸い込み面に付着した塵埃の室内への落下を防止することは考慮されていない。
【0007】
本発明は、天井部に設置した排気用のFFUにおいて、吸い込み面に付着した塵埃を室内に落下させないファンフィルタユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための、本発明の「ファンフィルタユニット」の一例を挙げるならば、
天井部に取り付けられ、ファンとフィルタを備える排気用のファンフィルタユニットであって、
前記フィルタの下方に、運転停止時に、フィルタに付着した塵埃の落下を防止する塵埃落下防止手段を設け、前記塵埃落下防止手段は、開口部を備える2枚のパンチング板を相対的に移動可能とし、運転停止時は2枚のパンチング板の開口部を互い違いに配置し、吸込み口を閉鎖して塵埃の落下を防ぎ、運転時は2枚のパンチング板の開口部が重なる位置に移動させ、吸込み口を開放して空気を通すことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、塵埃落下防止構造を設けることで、フィルタの吸い込み面に付着した塵埃を室内に落下させないファンフィルタユニットを提供することができる。
【0010】
上記した以外の課題、構成および効果は以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】一般的なクリーンルームの概略図である。
図2】本発明のFFUが適用されるクリーンルームの概略図である。
図3】実施例1のFFUの概略構成図である。
図4A】FFUの運転停止時の、2枚のパンチング板の配置図である。
図4B】FFUの運転時の、2枚のパンチング板の配置図である。
図5】実施例2のFFUの概略構成図である。
図6】実施例3のFFUの概略構成図である。
図7】実施例4のFFUの概略構成図である。
図8】実施例5のFFUの概略構成図である。
図9】実施例6のFFUの概略構成図である。
図10】実施例7のFFUの概略構成図である。
図11】実施例8のFFUの概略構成図である。
図12】実施例9のFFUの概略構成図である。
図13】実施例10のFFUの概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施例の説明に先立って、クリーンルームについて説明する。図1は、一般的なクリーンルームの概略図である。図1において、クリーンルーム1の天井部には給気用のFFU2aが配置され、室外から空気を取り入れ、清浄な空気をクリーンルーム1の室内に吹き出す。図では、1つのFFU2aとして記載しているが、通常、クリーンルームの天井部には複数のFFU2aが配置されている。
【0013】
図2に、本発明のFFUが適用されるクリーンルームの概略図を示す。クリーンルーム1の天井部には給気用のFFU2aに加えて、排気用のFFU2bが配置され、排気時に、クリーンルーム室内の空気を取り入れ、塵埃などを除去して清浄化した空気を室外へ排出する。本発明のFFUは、図2のように天井部に配置され、室内の空気を室外へ排気する場合に適用される。
【0014】
以下、本発明の実施例を、図面を用いて説明する。ただし、本発明は以下に示す実施例の記載内容に限定して解釈されるものではない。本発明の思想ないし主旨から逸脱しない範囲で、その具体的構成を変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。
なお、実施例を説明するための各図において、同一の構成要素には同一の名称、符号を付して、その繰り返しの説明を省略する。
【実施例1】
【0015】
図3は、実施例1の排気用のFFU2bの概略図である。図は、FFU2bの運転停止時の状態を示している。ファン3には、クリーンルーム側にフィルタ4が取り付けられている。フィルタ4の下方であるクリーンルーム室内側には、本発明の特徴構成である塵埃落下防止手段が設けられている。本実施例の塵埃落下防止手段は、フィルタ4の下側にパンチング板を2枚取り付ける構造である。パンチング板には、例えば丸穴からなる開口部が多数設けられている。1次側パンチング板5に対して、2次側パンチング板6がスライドして移動可能に設けられている。2次側パンチング板6は、ばね8により図の左方向に引っ張られている。また、ファン3から2次側パンチング板6の側面に向かうダクト7が設けられている。
【0016】
FFUの停止時には、2次側パンチング板6がばね8により左方向に引っ張られ、図4Aに示すように、1次側パンチング板5の開口部21と2次側パンチング6の開口部21を互い違いに配置し、吸込み口を閉鎖している。
【0017】
FFUの運転時には、ファン3が回転しダクト7からの風圧により、2次側パンチング板6の側面を右方向に押圧する。そして、図4Bに示すように、2枚のパンチング板の開口部21が重なる位置に2次側パンチング板6を移動させ、吸込み口を開放する。この際、例えば1次側パンチング板5にストッパを設けて置き、2次側パンチング板6が1次側パンチング板5とぶつかる位置で穴位置が合うような構造とすればよい。FFUが運転すると、ファン3の回転によりクリーンルーム室内の空気が室外に排気される。この時、クリーンルーム室内の塵埃などがフィルタ4の下面に付着する。
【0018】
FFUの運転終了後は、バネ8により2次側パンチング板6を初期位置に戻し、図4Aに示すように、吸込み口を塞いで塵埃の室内への落下を防ぐ。
【0019】
FFUの使用を継続すると、パンチング板上に塵埃などが堆積するが、フィルタ4の交換時に清掃すればよい。
【0020】
本実施例によれば、排気用のFFUにおいて、フィルタの下側に移動可能な2枚のパンチング板を配置し、運転停止時にパンチング板の吸い込み口を塞ぐようにしたので、運転停止時に、フィルタへ付着した塵埃の室内への落下を防止することができる。
【実施例2】
【0021】
図5に、実施例2の排気用のFFU2bを示す。
【0022】
図に示すように、実施例1のFFUにおいて、ダクト7の空気の出口にバルーン9を配置する。その他の構造は、実施例1のFFUと同様である。バルーンを設けることにより、空気の漏れが少なくなり、2次側パンチング板6の側面を良好に押圧することができる。
【実施例3】
【0023】
図6に、実施例3の排気用のFFU2bを示す。
【0024】
図に示すように、実施例1のFFUにおいて、ダクト7の空気の出口側にシリンダおよびシリンダ内を移動するピストン10を設け、ピストン10により2次側パンチング板6を押圧するように構成する。その他の構造は、実施例1のFFUと同様である。シリンダ内を移動するピストン10を設けることにより、空気の漏れが少なくなり、2次側パンチング板6を良好に押圧することができる。
【実施例4】
【0025】
図7に、実施例4の排気用のFFU2bを示す。
【0026】
図に示すように、実施例1のFFUにおいて、1次側パンチング板5と2次側パンチング板6との間にレール11を設け、2次側パンチング板6がレール上を移動するように構成する。その他の構造は、実施例1のFFUと同様である。レール11を設けることにより、2次側パンチング板6の移動を容易にすることができる。
【実施例5】
【0027】
図8に、実施例5の排気用のFFU2bを示す。
【0028】
実施例1のように、ダクト7を設け風圧で2次側パンチング板6を移動するに代えて、電動シリンダ12を配置するものである。その他の構造は、実施例1のFFUと同様である。電動シリンダ12を用いることにより、2次側パンチング板6を高速で移動させることができ、電気的に制御することができる。
【実施例6】
【0029】
図9に、実施例6の排気用のFFU2bを示す。
【0030】
図に示すように、実施例1のFFUにおいて、2次側パンチング板6の上部に防塵マット13を取付け、塵埃を吸着するように構成する。その他の構造は、実施例1のFFUと同様である。図では2次側パンチング板6にのみ、防塵マット13を取付けているが、1次側パンチング板5にも防塵マット13を取付けてもよい。パンチング板に防塵マット13を取付け、塵埃を吸着することにより、塵埃の落下を確実に防止することができる。
【実施例7】
【0031】
図10に、実施例7の排気用のFFU2bを示す。
【0032】
図に示すように、実施例1のFFUにおいて、1次側パンチング板5および2次側パンチング板6の開口部21の周縁に上方に向かう出っ張りを設け、パンチング板上の塵埃が開口部21から落下しにくくする。その他の構造は、実施例1のFFUと同様である。
【0033】
本実施例によれば、パンチング板の開口部の周縁に上方に向かう出っ張りを設けることにより、パンチング板上の塵埃落下を確実に防止することができる。また、1次側パンチング板5と2次側パンチング板6との接触面積が小さくなり、抵抗が少なくなるため、2次側パンチング板の移動が容易になる。
【実施例8】
【0034】
図11に、実施例8の排気用のFFU2bを示す。
【0035】
図に示すように、実施例8は実施例1に対して、パンチング板の開閉移動をなくした構造である。1次側パンチング板5と2次側パンチング板6とをスペーサ23により上下方向に離して配置し、1次側パンチング板5の開口部と2次側パンチング板6の開口部とを互い違いに配置することで、FFU停止時に塵埃が直接落下しないようにする。
【0036】
本実施例によれば、FFUの運転停止時に、フィルタ4に付着した塵埃が重力により落下するが、2枚のパンチング板の開口部が互い違いに配置されているので、塵埃が室内に直接落下することがなく、簡単な構造で塵埃の落下を防止することができる。
【実施例9】
【0037】
図12に、実施例9の排気用のFFU2bを示す。
【0038】
図に示すように、実施例8のFFUにおいて、1次側パンチング板5および2次側パンチング板6の上部に防塵マット13を取付け、塵埃を吸着するように構成する。その他の構造は、実施例8のFFUと同様である。パンチング板5,6に防塵マット13を取付け、塵埃を吸着することにより、塵埃の落下を確実に防止することができる。
【実施例10】
【0039】
図13に、実施例10の排気用のFFU2bを示す。
【0040】
図に示すように、本実施例は、高電圧電源14と帯電電極15を配置し、塵埃を帯電させ、2次側パンチング板6に吸着する構造である。FFUの停止時に帯電電極15に高電圧を印加し放電することにより、イオンを発生させ、塵埃を帯電させる。帯電した塵埃が接地された金属体である2次側パンチング板6に近づくことで、静電誘導が発生し、塵埃が2次側パンチング板6に付着する。使用者が感電しないように1次側パンチング板5は絶縁する。絶縁の方法については、絶縁塗装、ゴムパッキンが挙げられる。
【0041】
本実施例によれば、実施例1のような、パンチング板の移動手段を用いることなく、簡単な構造で塵埃の落下を防止することができる。
【0042】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明したすべて構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0043】
1 クリーンルーム
2a 一般的なファンフィルタユニット
2b 本発明のファンフィルタユニット(FFU)
3 ファン
4 フィルタ
5 1次側パンチング板
6 2次側パンチング板
7 ダクト
8 バネ
9 バルーン
10 シリンダおよびピストン
11 レール
12 電動シリンダ
13 防塵マット
14 高電圧電源
15 帯電電極
21 開口部
22 上向きの出っ張り
23 スペーサ
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13