(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-05
(45)【発行日】2024-03-13
(54)【発明の名称】補助スプールロックシステムを備えるシートベルトリトラクタ
(51)【国際特許分類】
B60R 22/405 20060101AFI20240306BHJP
B60R 22/28 20060101ALI20240306BHJP
B60R 22/46 20060101ALI20240306BHJP
【FI】
B60R22/405
B60R22/28 107
B60R22/46 128
(21)【出願番号】P 2021553821
(86)(22)【出願日】2019-12-13
(86)【国際出願番号】 US2019066273
(87)【国際公開番号】W WO2020190345
(87)【国際公開日】2020-09-24
【審査請求日】2022-09-30
(32)【優先日】2019-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】598122843
【氏名又は名称】オートリブ エー・エス・ピー・インク
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100098143
【氏名又は名称】飯塚 雄二
(72)【発明者】
【氏名】コウニング、リチャード、ダブリュー.
(72)【発明者】
【氏名】ワン、ビン
(72)【発明者】
【氏名】ブロー、ジョン、イー.
(72)【発明者】
【氏名】ホール、クリストファー、ディー.
(72)【発明者】
【氏名】コンドルファ、ケネス、ハーバート
【審査官】久保田 信也
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-011913(JP,A)
【文献】特開平04-212655(JP,A)
【文献】特開2016-101794(JP,A)
【文献】特開2012-030636(JP,A)
【文献】特開昭56-163668(JP,A)
【文献】特開2013-237359(JP,A)
【文献】特表昭58-500930(JP,A)
【文献】特開2016-203918(JP,A)
【文献】特開昭59-105466(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0041579(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 22/405
B60R 22/28
B60R 22/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗り物用シートベルトリトラクタ(10)であって、
リトラクタフレーム(19)に対して回転可能であり、シートベルトウェビング(11)を巻き取って収納するスプール(14)と、
乗り物の乗員の拘束を提供するために、前記スプール(14)を前記リトラクタフレーム(19)に対して選択的にロックするための一次ロック機構(25)と、を備える、乗り物用シートベルトリトラクタ(10)において、
前記スプール(14)に所定の拘束負荷が作用したときに、前記スプール(14)を前記リトラクタフレーム(19)に対して選択的にロックするための補助ロック機構(50)を備え、
前記補助ロック機構(50)は、前記リトラクタフレーム(19)と前記スプール(14)との間の相対運動を拘束するために、少なくとも1つの補助ロック歯(52)と、補助ロック面(18)とを含み、
前記スプール(14)に前記所定の拘束負荷が作用するまで、前記少なくとも1つの補助ロック歯(52)と前記補助ロック面(18)との間の係合を実質的に防止するための、前記少なくとも1つの補助ロック歯(52)と前記補助ロック面(18)との間に少なくとも部分的に配置された変形可能な支持体(20)を更に備え、
前記少なくとも1つの補助ロック歯(52)は、複数の補助ロック歯を含み、前記変形可能な支持体(20)は、前記複数の補助ロック歯(52)の形状及びサイズにそれぞれ対応する複数の歯カバー(470)を含むことを特徴とする、乗り物用シートベルトリトラクタ(10)。
【請求項2】
前記少なくとも1つの補助ロック歯(52)は、前記リトラクタフレーム(19)の一部を画定しており、前記補助ロック面(18)は、前記スプール(14)の一部を画定していることを特徴とする、請求項1に記載の乗り物用シートベルトリトラクタ(10)。
【請求項3】
前記スプール(14)に前記所定の拘束負荷が作用したときに、前記スプール(14)が半径方向の変位を被ることにより、前記少なくとも1つの補助ロック歯(52)が前記補助ロック面(18)に係合し、これにより、前記スプール(14)が前記フレーム(19)に対してロックされることを特徴とする、請求項1又は2に記載の乗り物用シートベルトリトラクタ(10)。
【請求項4】
前記変形可能な支持体(20)は、前記少なくとも1つの補助ロック歯(52)と前記補助ロック面(18)との間に配置された、略ディスク状の支持面を含むことを特徴とする、請求項1、2又は3に記載の乗り物用シートベルトリトラクタ(10)。
【請求項5】
前記変形可能な支持体(20)は、支持体(20)の面に対して実質的に垂直であり前記リトラクタフレーム(19)の壁(19a)に当接するように構成された少なくとも1つの側壁(160)を更に含むことを特徴とする、請求項4に記載の乗り物用シートベルトリトラクタ(10)。
【請求項6】
前記少なくとも1つの補助ロック歯(52)と前記補助ロック面(18)との間に少なくとも部分的に配置された第2の変形可能な支持体(20)を更に備えたことを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の乗り物用シートベルトリトラクタ(10)。
【請求項7】
前記スプール(14)に連結された負荷制限要素(36)であって、前記一次ロック機構(25)が、少なくとも部分的に前記負荷制限要素(36)を介して前記スプール(14)を前記リトラクタフレーム(19)に対して選択的にロックする、負荷制限要素(36)を更に備えたこと特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の乗り物用シートベルトリトラクタ(10)。
【請求項8】
前記負荷制限要素(36)及び前記スプール(14)のうちの少なくとも一方に選択的に係合し、かつ前記負荷制限要素(36)と前記スプール(14)との間の相対回転を選択的に制限するように構成されたスプール(14)回転リミッタを更に備えたことを特徴とする、請求項7に記載の乗り物用シートベルトリトラクタ(10)。
【請求項9】
乗り物の乗員の拘束を提供するための、少なくとも部分的に前記負荷制限要素(36)を介して前記スプール(14)を前記リトラクタフレーム(19)に対して選択的にロックする一次ロック機構(25)を更に備えたこと特徴とする、請求項
7又は8に記載の乗り物用シートベルトリトラクタ(10)。
【請求項10】
前記乗り物用シートベルトリトラクタ(10)が乗り物用のシートベルトアセンブリ内に組み込まれており、かつ、
前記乗り物に接続された雌部分と、前記シートベルトウェビング(11)の一端に連結された雄部分とを有し
、前記雄部分及び前記雌部分を介して前記シートベルトウェビング(11)を前記乗り物に選択的に連結するように構成されたバックル(4)を備えたことを特徴とする、請求項1~
9のいずれか一項に記載の乗り物用シートベルトリトラクタ(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本PCT国際出願は、米国特許法第119条のもと、2019年3月15日に出願された米国特許出願第16/354,844号の優先権の利益を主張し、その内容全体を参照により本明細書に援用するものとする。
【0002】
本発明は、全般的には、乗り物の乗員を拘束するためのシートベルト拘束システムに関し、より具体的には、スプールと、一次ロックシステムと、補助ロックシステムとを有するかかるシステム用のシートベルトリトラクタに関する。
【背景技術】
【0003】
シートベルトリトラクタは、乗り物用ベルト拘束システムの標準的な構成要素であり、シートベルトウェビングを受け入れるためのスプール(スピンドル)を有する。スプールは、ウェビングを巻き上げて収納するために使用される。乗り物の減速又はシートベルトウェビングの引き出しにより示されるような事故が起こりそうな状況が検出されると、スプールが回転に対してロックされ、シートベルトにより乗員が拘束される。近年、リトラクタは、拘束事象中に乗員とシートベルトとの間のウェビング負荷が所定のレベルに達すると、スプールが回転してシートベルトウェビングを繰り出すことができるように構成された1つ以上の負荷制限要素を備えて設計されている。こうして、乗員に加えられる拘束力を、所望の負荷制限特性を提供するように制御して制限することができる。
【0004】
一般的には、負荷制限要素として、スプール内の1つ以上のトーションバーが使用される。衝撃状況では、トーションバーの一端がリトラクタフレームに対してロックされるのに対して、他端はリトラクタスプールに連結されている。取付け点間のバーの区分は、弾性的かつ塑性的なねじり歪みを被り、スプールとリトラクタフレームとの間のねじり制御された相対回転が可能となる。結果として生じる、拘束事象中のウェビングの制御された引き出しは、乗り物の乗員に作用するベルト負荷を制限するように機能する。
【0005】
多段式の負荷制限リトラクタの1つのタイプは、多段式のトーションバー又はトーションバーシステムを使用している。多段式のトーションバーは、本質的に2つのトーションバーであり、両トーションバーは軸線方向に整列されていて、各端部で接合されている。トーションバーの適切な段又は部分は、所望の際に二次的な負荷制限特性を提供するように、選択的に連結することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
現在使用可能なトーションバータイプの負荷制限リトラクタは、通常、満足のいく程度には動作する。しかしながら、更なる改良のために所望される追加的な設計目標及び目的が存在している。そのような設計目標の1つは、複雑さ、コスト及び/又はパッケージングサイズを低減することであってよい。そのような設計目標の別のものは、拘束事象中のリトラクタ強度を改良するための機構を提供することであってよい。
【0007】
本発明は、乗り物用シートベルトアセンブリであって、リトラクタフレームに対して回転可能であり、シートベルトウェビングを巻き取って収納するスプールを備えるシートベルトリトラクタを有する、乗り物用シートベルトアセンブリを提供する。リトラクタはまた、乗り物の乗員の拘束を提供するために、スプールをリトラクタフレームに対して選択的にロックするための一次ロック機構も含む。リトラクタは、スプールに所定の拘束負荷が作用したときに、スプールをリトラクタフレームに対して選択的にロックするための補助ロック機構を更に含む。
【0008】
本発明の更なる実施形態は、リトラクタフレームの一部を画定している複数のロック歯と、スプールの一部を画定している補助ロック面とを有する補助ロック機構を含む。
【0009】
更なる実施形態では、スプールに作用した所定の拘束負荷に応じて、スプールが半径方向の変位を被り、これにより、複数のロック歯と補助ロック面との間の係合が可能となる。
【0010】
本発明の更なる実施形態は、スプールに所定の拘束負荷が作用するまで、少なくとも1つの補助ロック歯と補助ロック面との間の係合を実質的に防止するために、少なくとも1つの補助ロック歯と補助ロック面との間に少なくとも部分的に配置された変形可能な支持体を含んでよい。変形可能な支持体はまた、支持面に対して実質的に垂直でありリトラクタフレームの1つ以上の壁に当接するように構成された1つ以上の側壁を含んでもよい。追加的には、リトラクタは、2つ以上の変形可能な支持体を含んでよい。
【0011】
本発明の更なる実施形態はまた、スプールに連結された負荷制限要素を含んでもよく、一次ロック機構は、少なくとも部分的に負荷制限要素を介してスプールをリトラクタフレームに対して選択的にロックする。本発明はまた、負荷制限要素及びスプールのうちの少なくとも一方に選択的に係合し、かつ負荷制限要素とスプールとの間の相対回転を選択的に制限するように構成されたスプール回転リミッタを含んでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、本発明の第1の実施形態によるリトラクタアセンブリの断面図である。
【0013】
【
図2】
図2は、
図1の2-2線に沿ったフレーム側壁の側面図であり、例示を目的として、変形可能な支持体及びスプールは示していない。
【0014】
【
図3】
図3は、
図1の3-3線に沿ったフレーム側壁の側面図であり、例示を目的として、フレーム端部キャップは示していない。
【0015】
【
図4】
図4は、フレーム側壁に関する変形可能な支持体の第2、第3、第4及び第5の実施形態の分解図である。
【0016】
【
図5A】
図5Aは、フレーム歯の様々な実施形態を示す図である。
【
図5B】
図5Bは、フレーム歯の様々な実施形態を示す図である。
【
図5C】
図5Cは、フレーム歯の様々な実施形態を示す図である。
【
図5D】
図5Dは、フレーム歯の様々な実施形態を示す図である。
【0017】
【
図6】
図6は、乗り物に使用される本発明の原理によるシートベルトアセンブリを概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1及び
図2を特に参照すると、本発明の第1の実施形態によるリトラクタアセンブリ10が示されている。リトラクタアセンブリは、通常、リトラクタフレーム19と、リトラクタフレーム19に対して回転可能なスプール要素14を備えるスプールアセンブリ12と、スプール要素14に連結されたトーションバー36のような負荷制限要素と、負荷制限要素14を介してスプール要素14をリトラクタフレーム19に対して選択的にロックするための一次ロック機構25と、スプール要素14をリトラクタフレーム19に対して選択的にロックするための補助ロック機構50とを含む。
【0019】
スプールアセンブリ12は、1本のシートベルトウェビング11の端部に係合するように適合された略円筒形の外側表面16を形成するスプール要素14を含み、シートベルトウェビング11の多重の巻成体がスプール要素14に巻き付けられて収納されることを可能にする。スプール要素14の一端は、リトラクタフレーム19により担持された適切なブッシュ又は支持要素内に保持される支持面18を形成している。例えば、リトラクタフレーム19は、第1のフレーム壁19a及び第2のフレーム壁19bを含み、第1のフレーム壁19aとスプール支持面18との間に、変形可能な支持体20が配置されている。シートベルトウェビング11の弛みを引き込むために、第1の側壁19aに連結されたねじりばねキャップ21が、スプールのスリット17に係合する引き込みばね23を格納している。
【0020】
スプール要素14の反対側の端部は、リトラクタフレーム19により直接又は間接的に支持された適切なブッシュ又は支持要素内に保持される、支持スタブ24を含むプロファイルヘッド22に連結されている。例えば、プロファイルヘッド22の支持スタブ24は、当該技術分野で十分に知られているトレッドヘッド(図示せず)に連結されていてよい。スプール要素14の表面14aは、プロファイルヘッド22の表面22aに十分な力で、かつスプール要素14とプロファイルヘッド22が特定の状況中、例えば非衝突状況動作の全期間又は大部分の期間の間、一緒に回転する十分なそれぞれの摩擦係数で当接している。
【0021】
プロファイルヘッド22は、プロファイルヘッド22とカプラ端部28とが一緒に回転するように、カプラ端部28を受け入れるための略円筒形の孔26を画定している。例えば、孔26及びカプラ端部28の一方又は両方は、それぞれ互いに係合しかつ各構成要素間の滑り又は別の相対回転運動を防止するスプラインを含んでよい。プロファイルヘッド22は、当該技術分野で知られているように、ロック事象の検出の際にスプール要素14の回転を拘束する一次ロック機構25に作用接続されている。例えば、ロック事象が検出されると、一次ロック機構25が、プロファイルヘッド22をリトラクタフレーム側壁19bに対してロックし、これにより、以下に説明するように、スプール要素14の回転を拘束する。
【0022】
リトラクタアセンブリ10はまた、ロトプリテンショナ装置のようなプリテンショナ装置31を含んでもよい。ロトプリテンショナ装置は知られていて、ガス発生器により供給されたガス圧下でスプロケットホイールに係合するように駆動されるボールマス又はポリマーロッド要素(図示せず)のような一連の要素を組み込んでよい。しかしながら、本明細書にて特許請求する本発明は、プリテンショナ装置31の有無にかかわらず動作することができる。
【0023】
図面に示したリトラクタアセンブリ10はまた、カプラ端部28を介してプロファイルヘッド22に連結された第1の端部38と、スプール要素14に連結された第2の端部40とを有するトーションバー36のような負荷制限要素も含む。プロファイルヘッド22と、カプラ端部28と、トーションバー36と、(端部40において)スプール要素14とは、互いの間の接続点での回転運動を完全に又は実質的に防止するように、回転に関して互いに固定されて連結されていてよい。例えば、トーションバー36の第1の端部38及びカプラ端部28内の孔42の一方又は両方は、それぞれ互いに係合して各構成要素間の滑り又は別の相対回転運動を防止するスプラインを含んでよい。同じく、トーションバー36の第2の端部40及びスプール要素14内の孔44の一方又は両方は、それぞれ互いに係合して各構成要素間の滑り又は別の相対回転運動を防止するスプラインを含んでよい。プロファイルヘッド22と、カプラ端部28と、トーションバー36と、スプール要素14の孔44とは、回転運動を制限するためのスプラインを含む必要はない。一方、これらの構成要素は、互いの間の接続点での上述した相対回転運動を制限又は防止するために、任意の適切な構成要素及び/又は構成を使用してもよい。スプール負荷制限要素は、本明細書に記載した本発明の動作のために必要ではない。
【0024】
通常動作中には、トーションバー36及びスプール要素14は、通常動作の中心軸線36aを中心として回転する。しかしながら、以下でより詳細に論じる特定の状況下では、スプール要素14及び/又はトーションバー36が、半径方向の変位を被ることがあり、これにより、変位された中心軸線36bを中心として回転する。言い換えると、拘束負荷が所定のレベルに達することにより、スプール要素14の長手方向軸線がその通常位置から変位する又は傾く。
【0025】
リトラクタアセンブリ10はまた、トーションバー36とスプール要素14との間の相対回転を選択的に防止するために、トーションバー36及び/又はスプール要素14に選択的に係合するように構成されたスプール回転リミッタ32を含んでもよい。例えば、トーションバー36の第1の端部38と第2の端部40との間に所定の回数の(完全な又は部分的な)回転があった後、スプール回転リミッタ32が、スプール要素14をプロファイルヘッド22に対してロックし、トーションバー36の更なる回転を防止する。より具体的な例として、
図1に示したスプール回転リミッタ32は、カプラ端部28のねじ山付き部分35に螺合されたねじ山付きナット33を含む。トーションバー36が回転変形すると(第2の端部40が第1の端部38に対して回転するとき)、スプール要素14が、カプラ端部28に対して回転し、ねじ山付きナット33が、カプラ端部のねじ山付き部分35に沿ってプロファイルヘッド壁34に向かって移動する。ねじ山ピッチとねじ山付き部分の長さとにより規定される特定の回数の回転後、ねじ山付きナット33がプロファイルヘッド壁34に係合し、スプール要素14とプロファイルヘッド22とをロックするか又は実質的にロックし、これにより、トーションバー36の更なる回転を防止する。スプール回転リミッタ32は、本明細書に記載した本発明の動作のために必要ではない。
【0026】
リトラクタアセンブリ10はまた、スプールに所定の拘束負荷が作用したとき、スプール要素14をリトラクタフレーム19に対して選択的にロックするための補助ロック機構50を含んでもよい。例えば、
図1~
図3に示した補助ロック機構50は、フレームとスプールとの間の相対運動を拘束するために、補助ロック面に選択的に係合するための少なくとも1つの補助ロック歯を含む。より具体的な例として、
図1~
図3に示した補助ロック機構50は、スプールに作用する所定の拘束負荷に達すると、スプール要素14の外側の円筒面、すなわち、補助ロック面18に選択的に係合する複数の補助ロック歯52を含む。
図1~
図3に示した補助ロック機構50はまた、スプール要素14の補助ロック面18と補助ロック歯52との間に配置された変形可能な支持体20も含み、変形可能な支持体20が変形していない間(つまり、所定の拘束負荷に達する前)、補助ロック面18と補助ロック歯52との間の係合は防止されている。言い換えると、変形可能な支持体20が変形せずに所定の位置にとどまっているときには、変形可能な支持体20は、通常、スプール要素14の補助ロック面18と補助ロック歯52と間の接触を防止しており、これにより、補助ロック歯52がスプール要素14に係合又は直接接触することなく、スプール要素14が支持面21a内で回転することが可能となる。
【0027】
スプールに作用する上述した所定の拘束負荷は、スプール要素14とプロファイルヘッド22とをロックするスプール回転リミッタ32の係合によって少なくとも部分的に促進されることがある。例えば、スプール回転リミッタ32が係合すると、スプール要素14に作用する拘束負荷が、所定の拘束負荷に達するまで増加することがある。更に、所定の拘束負荷に達すると、上述したように、スプール要素14が半径方向に変位されることがある。
【0028】
プロファイルヘッド22がロックされていない、乗り物の通常動作中には、スプールアセンブリ12は、支持体18と支持スタブ24とを中心としてリトラクタフレーム19に対して自由に回転することができる。例えば、ベルトウェビング11は、(典型的には乗り物の乗員によって)リトラクタから
図1に示した方向46に繰り出すことができるか又は(典型的にはリトラクタばね23によって)逆方向に引き込むことができる。この動作によって、通常動作状況中に乗り物の乗員の特定のタイプの運動が可能となり、快適で都合の良い所望の性能が提供される。
【0029】
ロック事象中には、スプールアセンブリ12が、通常、方向46へのシートベルト11の引き出しを制限又は防止する。例えば、プロファイルヘッド22が、シートベルトウェビング11の引き出しを制限するために、リトラクタフレーム19に対してロックされる。
【0030】
ロック事象の1つのタイプである定常のロック事象では、シートベルトウェビング11の引き出し速度又は引き出し加速度が規定の制限から外れることがあり、これにより、乗員がウェビングをシートに対して相対的に所定量よりも速く引き出していることが示されるか、又は乗り物の傾き、道路に起因する振動等により乗り物慣性感知ロック装置が作動されていることが示される。定常のロック事象では、リトラクタアセンブリ10がリセットされるまで、プロファイルヘッド22が、一次ロック機構25を介してリトラクタフレーム19に対してロックされている。例えば、一次ロック機構25は、ロック事象中にプロファイルヘッド22の受け面29に係合し、プロファイルヘッド22をフレーム19に対してロックするロック歯27を含んでよい。その結果、スプールアセンブリ12を2種類の主要な接続を介してフレーム19に対してロックすることができる。例えば、1つには、スプールアセンブリ12が、プロファイルヘッド22とカプラ端部28との固定接続と、カプラ端部28とトーションバーの第1の端部38との固定接続と、トーションバーの第2の端部40とスプール要素14との固定接続とを介してフレーム19に対してロックされる。また、もう1つには、スプールアセンブリ12が、スプール要素14及びプロファイルヘッド22それぞれの当接面14aと当接面22aとの間の、プレス嵌め係合又は別の当接係合のような摩擦力を介してもフレーム19に対してロックされる。スプールアセンブリ12がフレーム19に対してロックされていると、乗り物の乗員の勢い又は別の力によって方向46にシートベルト負荷力が生じることがある。しかしながら、定常のロック事象中、これらのシートベルト負荷力は、典型的には、当接面14a及び当接面22aが互いの間の相対的な回転滑りなしに係合したままであるほど十分に低い。
【0031】
定常のロック事象後、スプールアセンブリ12は、例えば、乗員がシートベルトウェビング11を所定の距離だけ引き込ませることにより、かつ/又は(乗り物状況が安全と認められるときに)バックルを外して、リトラクタばね23がシートベルトウェビング11をその引き込み位置に戻せるようにすることにより、リトラクタアセンブリ10がリセットされるまで、典型的には又はたいてい、フレーム19に対してロックされたままである。このようなタイプの定常のロック事象では、プリテンショナ装置31は作動されていない。
【0032】
別のタイプのロック事象である衝突状況でのロック事象では、関連する乗り物が、規定の制限から外れた慣性負荷又はウェビング引き出し速度を被ることがあり、これにより、乗り物の衝突又は乗り物が衝突する可能性が示される。関連する乗り物及び/又はリトラクタアセンブリ10の構成要素は、多数の機械的な、電気的な又は別の構成要素、センサ又はシステムを介して、定常のロック事象と衝突状況でのロック事象とを区別することができる。例えば、関連する乗り物及び/又はリトラクタアセンブリ10の構成要素は、乗り物及び/又はリトラクタアセンブリ10の構成要素に対する慣性変化を検出する慣性感知ロックシステムを含んでよい。より具体的な例として、関連する乗り物は、一般的に中程度ないし重度の衝突に相当する力のような所定量に等しい力で乗り物が減速するときを検出する車載衝突センサ9(
図6)を含んでよい。
【0033】
衝突状況でのロック事象中、リトラクタアセンブリ10は、典型的には、定常のロック事象中と概ね同様に動作するものの、次の5つの主要な潜在的な違いを伴う。つまり、(1)プリテンショナの作動、(2)スプール要素14及びプロファイルヘッド22の当接面14aと当接面22aとの間の回転滑り、(3)トーションバー36の変形、(4)スプール回転リミッタ32の係合、及び(5)補助ロック機構50の係合。
【0034】
衝突状況の第1の潜在的な特性に関して、衝突状況が検出された場合には、プリテンショナ装置31が、関連するガス発生器に着火信号を送信することにより作動され、これにより、1本のシートベルトウェビング11を引き込み、シートベルトを乗り物の乗員に対して締め付けることができる。ロトプリテンショナは、プリテンショニング回転を被った後にプロファイルヘッド22をロックするための機構を含んでよい。
【0035】
このようなプリテンショナロックに加えて又はそれとは独立して、プロファイルヘッド22は、乗り物に作用する慣性負荷に応じてロックされる。例えば、一次ロック機構25のロック歯27が、プロファイルヘッド22の受け面29に係合し、プロファイルヘッド22をフレーム19に対してロックする。その結果、スプールアセンブリ12が、プロファイルヘッド22とカプラ端部28との固定接続と、カプラ端部28とトーションバーの第1の端部38との固定接続と、トーションバーの第2の端部40とスプール要素14との固定接続とを介してフレーム19に対してロックされる。スプールアセンブリ12がフレーム19に対してロックされると、乗り物の乗員の勢い又は別の拘束力によって、方向46にシートベルト負荷力が生じることがある。一次ロック機構はまた、プロファイルヘッド22をリトラクタフレーム19に対してロックするために、トレッドヘッド(図示せず)及び/又は爪(図示せず)を使用してもよい。トレッドヘッド及び爪は、当該技術分野で十分に知られている。
【0036】
衝突状況の第2及び第3の潜在的な特性に関して、衝突状況でのロック事象に関連する力は、プロファイルヘッド22及びスプール要素14の当接面14aと当接面22aとの間の相対回転を可能にすることができる。その結果、方向46に作用する拘束力の大部分又は全てがトーションバー36に作用し、トーションバー36の歪み及び/又は変形を生じさせる可能性がある。上述したように、トーションバー36の一端38が(プロファイルヘッド22とカプラ端部28とを介して)リトラクタフレーム19に対してロックされるのに対して、他端40はスプール要素14に連結されている。取付け点(38、40)の間のトーションバー36の区分は、弾性的かつ塑性的なねじり歪みを被り、スプール要素14とリトラクタフレーム19との間のねじり制御された相対回転が可能となる。言い換えると、トーションバー36は、弾性的(初期)かつ塑性的なねじり変形を被ることができ、これにより、ベルト負荷を制限しつつ、ベルトウェビング11の制御された引き出し(繰出し)が可能となる。このような状況では、力が、シートベルトウェビング11から、スプール要素14、トーションバー36、カプラ端部28、プロファイルヘッド22、一次ロック機構25、フレーム19へと流れることができる。トーションバー36の特性は、所定の負荷制限特性を提供するように設計されている。トーションバーヘッド38と40との間で相対回転の複数回の(完全な又は部分的な)回転が生じることがある。負荷制限特性は、乗り物の乗員に作用するシートベルトウェビング11からの力を制限するために有利であり得る。
【0037】
衝突状況の第4の潜在的な特性に関して、
図1に示したスプール回転リミッタが、衝突状況中のスプールの回転を制限する。例えば、トーションバー36が負荷リミッタとして作用することが望ましい場合もあるが、シートベルトウェビング11の引き出しを制限することが望ましい場合もある。より具体的な例として、トーションバーヘッド38と40との間での所定の回数の相対回転の後にシートベルトウェビング11の引き出しを制限することが望ましい場合がある。例えば、
図1を参照すると、トーションバー36がねじり変形を被ると、ねじ山付きナット33が、カプラ端部28のねじ山付き部分35に沿ってプロファイルヘッド壁34に向かって移動する。ねじ山ピッチとねじ山付き部分の長さとにより規定される特定の回数の回転後、ねじ山付きナット33がプロファイルヘッド壁34に係合し、スプール要素14とプロファイルヘッド22とをロックするか又は実質的にロックし、これにより、トーションバー36の更なる回転を防止する。
【0038】
衝突状況の第5の潜在的な特性に関して、
図1~
図3に示した補助ロック機構50は、スプールに所定の拘束負荷が作用すると、スプール要素14をリトラクタフレーム19に対して選択的にロックする。例えば、
図1~
図3に示した補助ロック機構50は、スプール要素14の一部を画定する補助ロック面18に選択的に係合する、フレーム壁19aの一部を画定する複数の補助ロック歯52を含む。
図1~
図3に示した補助ロック機構50はまた、補助ロック面18と補助ロック歯52との間に配置された変形可能な支持体20も含み、変形可能な支持体20が変形していない間(つまり、所定の拘束負荷がかかる前)、係合は防止されている。言い換えると、変形可能な支持体20が変形せずに所定の位置にとどまっているときには、変形可能な支持体20は、スプール要素14の補助ロック面18と補助ロック歯52と間の接触を防止しており、これにより、補助ロック歯52がスプール要素14に係合又は直接接触することなく、スプール要素14が支持面21内で回転することが可能となる。しかしながら、所定の拘束負荷がかかると、補助ロック歯52が、変形可能な支持体20を破断、変形又は変位させ、補助ロック面18に直接係合する。
【0039】
補助ロック機構50は、様々な理由で有利であり得る。例えば、トーションバー36が負荷リミッタとして作用することが望ましい場合もあるが、衝突事象中に許容されるシートベルトウェビング11の引き出しの外側限界を規定することが望ましい場合もある。別の例として、補助ロック機構50は、スプール要素14とフレーム19との間に追加的な接触点を提供し、かつシートベルトウェビング11の一次ロック機構25と反対側にロック点を提供することにより、衝突状況中のリトラクタアセンブリ10の強度を高めることができる。
【0040】
所定の拘束負荷に達すると、方向46の力が、スプール要素14及び/又はトーションバー36を半径方向に変位させることがあり、それにより、変形可能な支持体20を破損、変位又は変形させてスプール要素14の補助ロック面18と補助ロック歯52と間の直接的な接触を可能にするのに十分な力でもって、スプール要素14の補助ロック面18が、変形可能な支持体20を上向きに補助ロック歯52へと押し付ける。補助ロック面18と補助ロック歯52と間に接触が生じると、スプール要素14が、フレーム壁19aに対して実質的に又は完全にロックされ、スプール要素14の回転が実質的に又は完全に防止される。例えば、比較的鋭い補助ロック歯52は、方向46への衝突力と相まって、補助ロック歯52を補助ロック面18に食い込ませ、シートベルトウェビング11の更なる引き出しを実質的に又は完全に防止する。
【0041】
図2は、
図1の2-2線に沿ったフレーム側壁19aの図を示しており、ねじりばねキャップ21及びリトラクタばね23の一部を、フレーム側壁19aに設けられた開口58を通して見ることができる。例示を目的として、変形可能な支持体20及びスプール要素14は
図2には示されていない。
【0042】
図3は、
図1の3-3線に沿ったフレーム側壁19aの図を示しており、スプール要素14の補助ロック面18が、フレーム側壁19aに設けられた開口58を通って延びており、変形可能な支持体20が、補助ロック面18と補助ロック歯52との間に配置されている。
図3は、シートベルトウェビング11の弛みを引き込むための引き込みばね23(
図1、
図2)に係合する引き込み歯17を示す。例えば、
図2に示したように、引き込みばね23は、引き込み歯17(
図3)のいずれか1つに選択的に係合するための曲げられた端部53を含む。
【0043】
異なる多数の設計パラメータによって、補助ロック機構50を係合させる条件に影響を与えることができる。例えば、変形可能な支持体20の厚さ、材料特性、表面平滑性及び研磨度、製造技術並びに別の設計パラメータが、補助ロック歯52を補助ロック面、つまり、支持体18に直接係合させることができる条件に影響を与えることができる。別の例として、補助ロック歯52のサイズ、形状、鋭さ及び材料特性が、(1)変形可能な支持体20を破断及び/又は変形させる衝突力及び他の条件、(2)補助ロック歯52と補助ロック面18との間の直接的な接触の瞬間と、補助ロック機構50を介してフレーム19とスプール要素14とを実質的に又は完全にロックする際の瞬間との間の経過時間及びシートベルトウェビング繰出し量、(3)補助ロック機構50が係合されたときに金属が補助ロック面18から除去されるか又は補助ロック面18において変形される程度、(4)補助ロック機構50の係合後にリトラクタアセンブリ10をロック解除又は解放するための機構に影響を与えることができる。更に別の例として、支持面に対する材料特性、表面平滑性及び研磨度、製造技術並びに別の設計パラメータが、少なくとも前述した性能変数(2)、(3)及び(4)に影響を与えることができる。
【0044】
図4は、補助ロック機構50に適した変形可能な支持体の4つの追加的な実施形態を示す。例えば、第2の変形可能な支持体156は、
図1~
図3に示した変形可能な支持体20に類似しているものの、変形可能な支持体156をフレーム19と補助ロック面18(
図4には示せず)との間の位置に保持するための側壁160を有する。補助ロック機構50の係合中、変形可能な支持体156の支持面158が変形又は破断したとしても、側壁160は無傷のままであり得る。
【0045】
図4に示した別の例として、第3の変形可能な支持体256は、変形可能な支持体256をフレーム19と補助ロック面18(
図4には示せず)との間の位置に保持するための2つの側壁260、262を含む。より具体的には、各側壁260、262は、フレーム壁19aの互いに反対側の壁に接して配置される。補助ロック機構50の係合中、変形可能な支持体156の支持面158が変形又は破断したとしても、側壁260、262は無傷のままであり得る。第3の変形可能な支持体256はまた、衝突状況下で補助ロック機構50の係合を促進するのに役立つスリット264を含んでもよい。より具体的には、特定の衝突状況下で、補助ロック歯52は、スリット264を突破して補助ロック歯52と補助ロック面18との間の係合を促すことができる。なぜならば、スリット264が、支持面258の変形又は破断に対する始点として作用することができるからである。スリット264は、非衝突状況中に補助ロック歯52が支持面258を貫通してしまう可能性を低減するために、典型的には、補助ロック歯52の厚さよりも薄い。
【0046】
図4に示した別の例として、第4の変形可能な支持体356は、変形可能な支持体356をフレーム19と補助ロック面18(
図4には示せず)との間の位置に保持するための2つの側壁360、362を含む。第4の変形可能な支持体356はまた、衝突状況下で補助ロック機構50の係合を促進するのに役立つ凹部364を含んでもよい。より具体的には、凹部364は、第3の変形可能な支持体256に設けられたスリット264と異なり、支持面358の厚さ全体を貫通していないものの、補助ロック歯52が支持面358を突破することができる条件に依然として影響を与える。
【0047】
図4に示した別の例として、第5の変形可能な支持体456は、変形可能な支持体456をフレーム19と補助ロック面18(
図4には示せず)との間の位置に保持するための側壁460を含む。第5の変形可能な支持体456はまた、補助ロック歯52の形状及びサイズに対応する歯カバー470を含んでもよい。例えば、8つの歯カバー470の各々が、8つの歯52のうちの1つを画定する表面に対応しており、これにより、第5の変形可能な支持体456が所定の位置にあるときに、歯52と歯カバー470とが協働して、開口58を取り囲む比較的平滑な表面を画定する。補助ロック機構50が係合すると、歯カバー470はそれぞれ側壁460から離れるように変形されるか又は破壊される可能性がある。
【0048】
付言しておくと、変形可能な支持体(56、156、256、356、456)のうちの1つ以上を互いに組み合わせて使用することができる。例えば、変形可能な支持体20が、第5の変形可能な支持体456と一緒に使用されてよく、これにより、変形可能な支持体20が、補助ロック面18に係合するための平滑で連続した表面を形成し、第5の変形可能な支持体456が、可動の構成要素間の圧力点を低減又は防止することができる。
【0049】
図5A、
図5B、
図5C及び
図5Dは、フレーム歯152、252、352、452、552、652、752、852、952、1052の様々な実施形態を示す。同図に示されたフレーム歯はそれぞれ、補助ロック機構50が係合されるまで、フレーム歯とスプール補助ロック面18との間の係合を最小限に抑えるように設計されている。上述したように、補助ロック歯52のサイズ、形状、鋭さ及び材料特性は、多数の性能変数に影響を与えることができる。例えば、フレーム歯152は、
図1~
図4に示した補助ロック歯52よりも小さなプロファイルを有し、これにより、フレーム歯152と補助ロック面18との間の直接的な接触の瞬間と、補助ロック機構50を介してフレーム19とスプール要素14とを実質的に又は完全にロックする際の瞬間との間の経過時間及びシートベルトウェビング繰出し量の増加が生じる可能性がある。別の例として、フレーム歯252は、補助ロック歯52と異なり、回転方向から離れる方向に所定の角度を有し、これにより、経過時間及びシートベルトウェビング繰出し量の増加が生じる可能性もあり、また、補助ロック機構50の係合後にリトラクタアセンブリ10をロック解除又は解放することがより容易になる可能性もある。なぜならば、フレーム歯252が補助ロック面18の材料に食い込むために、より長い時間がかかることがあるからである。更に別の例として、フレーム歯452はそれぞれ、フレーム側壁19aに対して垂直でない上縁部を有し、これにより、経過時間が短縮されシートベルトウェビング繰出し量が火を出す可能性があり、補助ロック機構50が係合されたときに金属が補助ロック面18から除去されるか又は補助ロック面18において変形される程度が増加する可能性がある。別の例として、フレーム歯752、852、952、1052は、不規則な又は異なる歯形を有してよい。
【0050】
図6は、自動車などの乗り物1に使用されるシートベルトアセンブリ8を概略的に示す。乗り物1は、乗員3を支持することができる、乗り物に取り付けられたシート2を含む。シートベルトアセンブリ8は、乗り物1に取り付けられたリトラクタアセンブリ10と、リトラクタアセンブリ10又は乗り物1に取り付けられたプリテンショナアセンブリ31と、リトラクタアセンブリ10のスプールに収納されたシートベルトウェビング11と、シート3又は乗り物1に取り付けられ、シートベルトウェビング11の一端に連結されたバックル雄部分を受け入れることができる雌部分を有するバックル4と、乗り物1に取り付けられ、乗員3の肩部付近でシートベルトウェビング11を支持するアンカ5とを含む。
図6に示した乗り物1はまた、乗り物1に対する慣性変化を検出する衝突センサ9も含む。
【0051】
本明細書に記載された本発明は、乗り物、例えば、自動車、他の地上輸送体、航空機、他の航空輸送体、又は好ましくは輸送中及び/又は衝突時に固定される人々や物体を輸送するのに適した任意の他の乗り物と共に使用することができる。
【0052】
本発明に相まって、リトラクタアセンブリ10の追加的な改良が実現されてよい。言い換えると、上記説明は、本発明の好ましい実施形態を構成しているものの、当然ながら、本発明は、添付の特許請求の適切な範囲及び公正な意味から逸脱することなく、修正、変形及び変更されてよい。