(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-05
(45)【発行日】2024-03-13
(54)【発明の名称】ウエハレベル弾性表面波フィルタ及びパッケージ方法
(51)【国際特許分類】
H03H 9/25 20060101AFI20240306BHJP
H03H 3/08 20060101ALI20240306BHJP
H03H 9/64 20060101ALI20240306BHJP
【FI】
H03H9/25 A
H03H3/08
H03H9/64 Z
(21)【出願番号】P 2021571562
(86)(22)【出願日】2021-06-04
(86)【国際出願番号】 CN2021098266
(87)【国際公開番号】W WO2022028080
(87)【国際公開日】2022-02-10
【審査請求日】2021-12-01
(31)【優先権主張番号】202010787875.6
(32)【優先日】2020-08-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】519364624
【氏名又は名称】展訊通信(上海)有限公司
【氏名又は名称原語表記】Spreadtrum Communications (Shanghai) Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】Spreadtrum Center, Building No. 1, Lane 2288 Zuchongzhi Road, China (Shanghai) Pilot Free Trade Zone, China
(74)【代理人】
【識別番号】100167689
【氏名又は名称】松本 征二
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼景
(72)【発明者】
【氏名】梁▲聰▼
【審査官】▲高▼橋 徳浩
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/034326(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/181932(WO,A1)
【文献】特開2007-060465(JP,A)
【文献】特開2011-130385(JP,A)
【文献】特開2017-157922(JP,A)
【文献】国際公開第2018/235433(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03H3/007-H03H3/10
H03H9/00-H03H9/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウエハレベル弾性表面波フィルタであって、前記ウエハレベル弾性表面波フィルタはウェハ、電極層、支持壁及びカバー板を含み、前記ウェハは基板層とピエゾフィルム層を含み、前記基板層と前記ピエゾフィルム層とは、ウェハボンディング形態で一体に結合され、
前記電極層は前記ピエゾフィルム層の表面に設けられ、前記支持壁は前記ピエゾフィルム層と前記カバー板との間に位置し、且つ前記ピエゾフィルム層と前記カバー板との間に前記支持壁で囲って密封キャビティを形成し、
前記カバー板は第1の材料層と第2の材料層を含み、前記第1の材料層と前記第2の材料層とは、ウェハボンディング形態で一体に結合され、前記第2の材料層は、前記第1の材料層よりも前記カバー板の前記密封キャビティに近い側に位置し、
前記第1の材料層で使用される材料は前記基板層で使用される材料と同じであり、前記第2の材料層で使用される材料は、前記ピエゾフィルム層で使用される材料と同じであ
り、
前記カバー板の各材料層の厚さは前記各材料層の温度膨張係数と相関しており、前記カバー板の温度膨張係数はウェハの温度膨張係数と同じであるようにされており、
前記ウエハレベル弾性表面波フィルタは少なくとも1つの溶接ボールをさらに含み、前記溶接ボールは、再分配層RDL形態で前記電極層と電気的に接続される
ことを特徴とするウエハレベル弾性表面波フィルタ。
【請求項2】
前記ピエゾフィルム層の厚さと前記ウェハの厚さとの比率は、予め設定された閾値より小さく、前記予め設定された閾値の大きさは0.1である
ことを特徴とする請求項1に記載のウエハレベル弾性表面波フィルタ。
【請求項3】
前記電極層はインターデジタル電極と厚い電極を含み、前記厚い電極は、前記インターデジタル電極の入力位置、出力位置、接地位置の少なくとも1つの位置に位置する
ことを特徴とする請求項1に記載のウエハレベル弾性表面波フィルタ。
【請求項4】
前記ピエゾフィルム層の材料は、タンタル酸リチウム(LiTaO
3)及びニオブ酸リチウム(LiNbO
3)の少なくとも1つの材料を含む
ことを特徴とする請求項1~
3のいずれか1項に記載のウエハレベル弾性表面波フィルタ。
【請求項5】
ウエハレベル弾性表面波フィルタであって、前記ウエハレベル弾性表面波フィルタはウェハ、電極層、支持壁及びカバー板を含み、前記ウェハは基板層とピエゾフィルム層を含み、前記基板層と前記ピエゾフィルム層とは、ウェハボンディング形態で一体に結合され、
前記電極層は前記ピエゾフィルム層の表面に設けられ、前記支持壁は前記ピエゾフィルム層と前記カバー板との間に位置し、且つ前記ピエゾフィルム層と前記カバー板との間に前記支持壁で囲って密封キャビティを形成し、
前記カバー板は、第1の材料層、第2の材料層及び第3の材料層を含み、前記第3の材料層は前記第1の材料層と前記第2の材料層との間に位置し、且つ前記第1の材料層と前記第2の材料層とは、前記第3の材料層を利用して一体に結合され、
前記第2の材料層は、前記第1の材料層よりも前記カバー板の前記密封キャビティに近い側に位置し、
前記第1の材料層で使用される材料は、前記基板層で使用される材料と同じであり、前記第2の材料層で使用される材料は、前記ピエゾフィルム層で使用される材料と同じであ
り、
前記カバー板の各材料層の厚さは前記各材料層の温度膨張係数と相関しており、前記カバー板の温度膨張係数はウェハの温度膨張係数と同じであるようにされており、
前記ウエハレベル弾性表面波フィルタは少なくとも1つの溶接ボールをさらに含み、前記溶接ボールは、再分配層RDL形態で前記電極層と電気的に接続される
ことを特徴とするウエハレベル弾性表面波フィルタ。
【請求項6】
前記第3の材料層で使用される材料は有機接着剤である
ことを特徴とする請求項
5に記載のウエハレベル弾性表面波フィルタ。
【請求項7】
前記電極層はインターデジタル電極と厚い電極を含み、前記厚い電極は、前記インターデジタル電極の入力位置、出力位置、接地位置の少なくとも1つの位置に位置する
ことを特徴とする請求項
5に記載のウエハレベル弾性表面波フィルタ。
【請求項8】
前記ピエゾフィルム層の材料は、タンタル酸リチウム(LiTaO
3)及びニオブ酸リチウム(LiNbO
3)の少なくとも1つの材料を含む
ことを特徴とする請求項
5~
7のいずれか1項に記載のウエハレベル弾性表面波フィルタ。
【請求項9】
前記基板層の材料は、シリコン(Si)及びサファイアの少なくとも1つの材料を含む
ことを特徴とする請求項
5~
7のいずれか1項に記載のウエハレベル弾性表面波フィルタ。
【請求項10】
ウエハレベル弾性表面波フィルタのパッケージ方法であって、前記
ウエハレベル弾性表面波フィルタのパッケージ方法は、
ウェハボンディング形態で一体に結合される基板層とピエゾフィルム層とを含むウェハを取得することと、
前記ピエゾフィルム層上に電極層を製造することと、
前記ピエゾフィルム層上に支持壁を製造することと、
カバー板を取得することであって、前記カバー板は第1の材料層と第2の材料層を含み、前記第1の材料層と前記第2の材料層とは、ウェハボンディング形態で一体に結合され、前記第1の材料層で使用される材料は、前記基板層で使用された材料と同じであり、前記第2の材料層で使用される材料は、前記ピエゾフィルム層で使用される材料と同じであ
り、前記カバー板の各材料層の厚さは前記各材料層の温度膨張係数と相関しており、前記カバー板の温度膨張係数はウェハの温度膨張係数と同じであるようにされていることと、
前記ピエゾフィルム層と前記カバー板との間に前記支持壁で囲って密封キャビティを形成するために、前記支持壁と前記カバー板を密封することと、
前記カバー板の予め設定された位置では再分配層RDL形態で前記カバー板と前記支持壁を貫通して、貫通穴を形成し、前記貫通穴には電気めっき形態を用いて溶接ボールを埋め込むことであって、前記溶接ボールは前記電極層と電気的に接触することと、を含む
ことを特徴とするウエハレベル弾性表面波フィルタのパッケージ方法。
【請求項11】
前記ピエゾフィルム層の厚さと前記ウェハの厚さとの比率は、予め設定された閾値より小さく、前記予め設定された閾値の大きさは0.1である
ことを特徴とする請求項
10に記載の
ウエハレベル弾性表面波フィルタのパッケージ方法。
【請求項12】
ウエハレベル弾性表面波フィルタのパッケージ方法であって、前記
ウエハレベル弾性表面波フィルタのパッケージ方法は、
ウェハボンディング形態で一体に結合される基板層とピエゾフィルム層とを含むウェハを取得することと、
前記ピエゾフィルム層上に電極層を製造することと、
前記ピエゾフィルム層上に支持壁を製造することと、
カバー板を取得することであって、前記カバー板は第1の材料層、第2の材料層及び第3の材料層を含み、前記第3の材料層は前記第1の材料層と前記第2の材料層との間に位置し、且つ前記第1の材料層と前記第2の材料層とは、前記第3の材料層を利用して一体に結合され、前記第1の材料層で使用される材料は、前記基板層で使用された材料と同じであり、前記第2の材料層で使用される材料は、前記ピエゾフィルム層で使用される材料と同じであ
り、前記カバー板の各材料層の厚さは前記各材料層の温度膨張係数と相関しており、前記カバー板の温度膨張係数はウェハの温度膨張係数と同じであるようにされていることと、
前記ピエゾフィルム層と前記カバー板との間に前記支持壁で囲って密封キャビティを形成するために、前記支持壁と前記カバー板を密封することと、
前記カバー板の予め設定された位置では再分配層RDL形態で前記カバー板と前記支持壁を貫通して、貫通穴を形成し、前記貫通穴には電気めっき形態を用いて溶接ボールを埋め込むことであって、前記溶接ボールは前記電極層と電気的に接触することと、を含む
ことを特徴とするウエハレベル弾性表面波フィルタのパッケージ方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願の実施例は、半導体の技術分野に関し、特にウエハレベル弾性表面波フィルタ及びパッケージ方法に関する。
【背景技術】
【0002】
弾性表面波フィルタは、高い作業周波数、広い伝送帯域、良い周波数選択特性、小さい体積及び軽量などの特徴があり、集積回路と同じ生産プロセスを使用することができ、製造が簡単で、コストが低く、周波数特性の整合性が良いので、様々な電子機器に広く応用されている。
【0003】
現在、キャリアアグリゲーション(Carrier Aggregation、CAと略称する)、大規模アンテナ技術(Massive MIMO)及び高次直交振幅変調(Quadrature Amplitude Modulation、QAMと略称する)などの5Gコア技術の応用に伴い、無線周波数フロントエンドデバイスの数は大幅に増加しただけでなく、フィルタ素子の性能に対しても、より厳格な技術的要求を提出し、例えば、無線周波数フロントエンドにおけるパワーアンプ、無線周波数スイッチなどのアクティブデバイスと高度に統合されるために、より良い温度安定性、及びより小さなパッケージサイズが要求される。従って、より小さいサイズとより安定性の高いフィルタ素子の設計は早急に解決される問題である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願の実施例は、弾性表面波フィルタの温度安定性を効果的に向上させ、弾性表面波フィルタのサイズを低減することができるウエハレベル弾性表面波フィルタ及びパッケージ方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の態様によれば、本願の実施例は、ウエハレベル弾性表面波フィルタを提供し、当該ウエハレベル弾性表面波フィルタは、ウェハ、電極層、支持壁及びカバー板を含み、前記ウェハは、基板層とピエゾフィルム層を含み、前記基板層と前記ピエゾフィルム層とは、ウェハボンディング形態で一体に結合される。
【0006】
前記電極層は、前記ピエゾフィルム層の表面に設けられ、前記支持壁は前記ピエゾフィルム層と前記カバー板との間に位置し、且つ前記ピエゾフィルム層と前記カバー板との間に前記支持壁で囲って密封キャビティを形成する。
【0007】
前記カバー板は少なくとも第1の材料層を含み、前記第1の材料層で使用される材料は、前記基板層で使用される材料と同じである。
【0008】
一実行可能な実施形態において、前記ピエゾフィルム層の厚さと前記ウェハの厚さとの比率は、予め設定された閾値より小さい。
【0009】
一実行可能な実施形態において、前記予め設定された閾値の大きさは0.1である。
【0010】
一実行可能な実施形態において、前記カバー板は、少なくとも2つの材料層を含み、前記少なくとも2つの材料層の各材料層の厚さは前記各材料層の温度膨張係数と相関している。
【0011】
一実行可能な実施形態において、前記カバー板は、第1の材料層と第2の材料層を含み、前記第1の材料層と前記第2の材料層とは、ウェハボンディング形態で一体に結合され、前記第2の材料層は、前記カバー板の前記密封キャビティに近い側に位置し、前記第2の材料層で使用される材料は、前記ピエゾフィルム層で使用される材料と同じである。
【0012】
一実行可能な実施形態において、前記カバー板は、第1の材料層、第2の材料層及び第3の材料層を含み、前記第3の材料層は、前記第1の材料層と前記第2の材料層との間に位置し、且つ前記第1の材料層と前記第2の材料層とは、前記第3の材料層を利用して一体に結合され、前記第2の材料層は、前記カバー板の前記密封キャビティに近い側に位置し、前記第2の材料層で使用される材料は、前記ピエゾフィルム層で使用される材料と同じである。
【0013】
一実行可能な実施形態において、前記第3の材料層で使用される材料は有機接着剤である。
【0014】
一実行可能な実施形態において、前記電極層は、インターデジタル電極と厚い電極を含み、前記厚い電極は、前記インターデジタル電極の入力位置、出力位置、接地位置の少なくとも1つの位置に分布する。
【0015】
一実行可能な実施形態において、少なくとも1つの溶接ボールをさらに含み、前記溶接ボールは、シリコン貫通(Through Silicon Via、TSVと略称する)形態で前記カバー板と前記支持壁を貫通した後に前記電極層と電気的に接触し、或いは、前記溶接ボールは、再分配層(Redistribution Layer、RDLと略称する)形態で前記電極層と電気的に接続される。
【0016】
一実行可能な実施形態において、前記ピエゾフィルム層は、タンタル酸リチウム(LiTaO3)及びニオブ酸リチウム(LiNbO3)の少なくとも1つの材料を用いて製造される。
【0017】
一実行可能な実施形態において、前記基板層は、シリコン(Si)及びサファイアの少なくとも1つの材料を用いて製造される。
【0018】
第2の態様によれば、本願の実施例は、弾性表面波フィルタのパッケージ方法を提供し、当該方法は、
ウェハボンディング形態で一体に結合されるウェハ基板層とピエゾフィルム層とを含むウェハを取得することと、
前記ピエゾフィルム層上に電極層を製造することと、
前記ピエゾフィルム層上に支持壁を製造することと、
使用される材料が前記基板層で使用された材料と同じである第1の材料層を少なくとも含むカバー板を取得することと、
前記ピエゾフィルム層と前記カバー板との間に前記支持壁で囲って密封キャビティを形成するために、前記支持壁と前記カバー板を密封することと、を含む。
【0019】
一実行可能な実施形態において、前記ピエゾフィルム層の厚さと前記ウェハの厚さの比率は予め設定された閾値より小さい。
【0020】
一実行可能な実施形態において、前記予め設定された閾値の大きさは0.1である。
【0021】
一実行可能な実施形態において、前記カバー板は、少なくとも2つの材料層を含み、前記少なくとも2つの材料層の各材料層の厚さは前記各材料層の温度膨張係数と相関している。
【0022】
一実行可能な実施形態において、前記カバー板は第1の材料層と第2の材料層を含み、前記第1の材料層と前記第2の材料層とは、ウェハボンディング形態で一体に結合され、前記第2の材料層で使用される材料は、前記ピエゾフィルム層で使用される材料と同じである。
【0023】
一実行可能な実施形態において、前記カバー板は、第1の材料層、第2の材料層及び第3の材料層を含み、前記第3の材料層は、前記第1の材料層と前記第2の材料層との間に位置し、且つ前記第1の材料層と前記第2の材料層とは、前記第3の材料層を利用して一体に結合され、前記第2の材料層で使用される材料は、前記ピエゾフィルム層で使用される材料と同じである。
【0024】
一実行可能な実施形態において、
前記カバー板の予め設定された位置には、シリコン貫通形態で前記カバー板と前記支持壁を貫通して、貫通穴を形成し、前記貫通穴内には、電気めっきによって溶接ボールを埋め込み、前記溶接ボールは前記電極層と電気的に接触することを更に含む。
【発明の効果】
【0025】
本願の実施例は、ウエハレベル弾性表面波フィルタとパッケージ方法を提供し、弾性表面波フィルタは、ウェハ、電極層、支持壁及びカバー板を含み、ここで、ウェハは、ウェハボンディング形態で一体に結合される基板層とピエゾフィルム層を含み、電極層はピエゾフィルム層の表面に設けられ、支持壁は、ピエゾフィルム層とカバー板との間に位置し、且つピエゾフィルム層とカバー板との間に支持壁で囲って密封キャビティを形成し、カバー板は少なくとも第1の材料層を含み、第1の材料層で使用される材料は、基板層で使用される材料と同じである。本願の実施例では、ウエハレベルパッケージ形態を用いて、弾性表面波フィルタのサイズを効果的に縮小することができ、基板層とピエゾフィルム層はウェハボンディング形態で一体に結合され、このようなウェハに基づく弾性表面波フィルタの性能は温度の温度による影響が少なく、カバー板はウェハと同じ又は類似の材料を使用し、デバイスの信頼性と温度安定性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
本願の実施例又は従来技術おける技術的解決策をより明確に説明するために、以下では、本願の実施例又は従来技術の説明において使用する図面を簡単に紹介し、明らかに、以下の説明における図面は、本願のいくつかの実施例であり、当業者にとっては、創造的な労働がない前提で、これらの図面に基づいて他の図面を得ることもできる。
【
図1】本願の実施例におけるウエハレベル弾性表面波フィルタのパッケージ構造の平面構造概略図である。
【
図2】
図1に示す弾性表面波フィルタのパッケージ構造の断面線ABに沿った断面構造概略
図1である。
【
図3】
図1に示す弾性表面波フィルタのパッケージ構造の断面線ABに沿った断面構造概略
図2である。
【
図4】
図1に示す弾性表面波フィルタのパッケージ構造の断面線ABに沿った断面構造概略
図3である。
【
図5】本願の実施例における弾性表面波フィルタ内の電極層の構造概略図である。
【
図6】
図1に示す弾性表面波フィルタのパッケージ構造の断面線ABに沿った断面構造概略
図4である。
【
図7】本願の実施例におけるウエハレベル弾性表面波フィルタの横方向断面概略図である。
【
図8】本願の実施例におけるウエハレベル弾性表面波フィルタのパッケージ方法のフローチャート1である。
【
図9】本願の実施例におけるウエハレベル弾性表面波フィルタのパッケージ方法のフローチャート2である。
【
図10】本願の実施例におけるウエハレベル弾性表面波フィルタのパッケージ方法のフローチャート3である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本願の目的、技術案及び利点をより明確にするために、以下に本願の実施例における図面を組み合わせて、本願の実施例に係る技術的解決策を明確に完全に説明し、もちろん、説明した実施例は、全ての実施例ではなく、本願の一部の実施例である。本願における実施例に基づいて、当業者は、創造的な労働をせずに取得される他のすべての実施例は、本願の保護の範囲に属する。
【0028】
既存の弾性表面波フィルタのパッケージは、ほとんどがチップベース材料のエッチング加工によって完成され、加工が困難であり、現在の弾性表面波フィルタのサイズ及び安定性に対する要求を満たすことが困難である。
【0029】
上記の技術的問題を解決するために、本願の実施例は、ウエハレベル弾性表面波フィルタを提供し、ウエハレベルパッケージの形態を使用して、弾性表面波フィルタのサイズを効果的に縮小することができ、無線周波数フロントエンドモジュールのパッケージに適用されることができ、また、基板層とピエゾフィルム層はウェハボンディング形態で一体に結合され、弾性表面波フィルタの温度安定性を向上させることができ、カバー板が基板層と同じ又は類似の材料を使用すると、弾性表面波フィルタの信頼性をさらに向上させ、温度変化が弾性表面波フィルタに及ぼす影響を低減することができる。本願は、以下の実施例により詳細に説明する。
【0030】
図1を参照して、
図1は、本願の実施例におけるウエハレベル弾性表面波フィルタのパッケージ構造の平面構造概略図であり、
図1において、上記の弾性表面波フィルタのパッケージ構造100は、いくつかの溶接ボール101を含む。当該パッケージ構造は、弾性表面波フィルタウエハレベルのパッケージに適用されて、弾性表面波フィルタの作業面への保護及び電極の引き出しを実現することができる。
【0031】
ここで、
図1に示すパッケージ構造は、パッケージが完了した後、分割によって複数の弾性表面波フィルタ素子を得ることができる。
【0032】
図2を参照して、
図2は、
図1に示す弾性表面波フィルタのパッケージ構造の断面線ABに沿った断面構造概略
図1である。ここで、
図2に示す部分は、弾性表面波フィルタの断面構造概略図であると考えられてもよい。
【0033】
図2では、弾性表面波フィルタはウェハ、電極層、支持壁205及びカバー板を含む。ここで、上記のウェハは基板層201とピエゾフィルム層202を含み、基板層201とピエゾフィルム層202とは、ウェハボンディング形態で一体に結合され、ピエゾフィルム層202の厚さは予め設定された閾値より小さいので、ボンディング後のウェハの温度膨張係数は、基板層201の温度膨張係数に近い。
【0034】
説明すべきものとして、
図2に示す弾性表面波フィルタの各材料層の厚さは単に説明のためのものであり、実際の厚さを表すものではない。
【0035】
ここで、ウェハボンディング形態とは、化学的及び物理的作用によって、鏡面研磨された同種又は異種の2枚のウェーハを緊密に結合すると意味し、ウェーハが接合された後、界面の原子は外力の作用を受けて反応して共有結合を形成して一体になり、接合界面を特定の結合強度に到達させる。本実施例では、ウェハボンディング形態を使用することで、低温ドリフトを実現して弾性表面波フィルタの電力許容性能を向上させることに有利である。
【0036】
上記の電極層はインターデジタル電極203と厚い電極204を含み、厚い電極204は、インターデジタル電極203の入力位置、出力位置、接地位置の少なくとも1つの位置に分布する。
【0037】
ここで、上記のインターデジタル電極203はピエゾフィルム層202の表面に設けられる。選択的に、ピエゾフィルム層202の表面には、フォトリソグラフィの方法によってインターデジタル電極203と厚い電極204を形成することができる。
【0038】
支持壁205はピエゾフィルム層202とカバー板との間に位置し、且つピエゾフィルム層202とカバー板との間に支持壁205で囲って密封キャビティ207を形成する。
【0039】
ここで、カバー板は、1層の材料のみ、即ち第1の材料層206を含んでもよく、当該第1の材料層206で使用される材料は、基板層201で使用される材料と同じである。
【0040】
選択的に、基板層201は、シリコンSiとサファイアなどを用いてもよく、厚さは30λ~150λであり、λは弾性表面波の波長である。
【0041】
選択的に、ピエゾフィルム層202は、タンタル酸リチウムLiTaO3及びニオブ酸リチウムLiNbO3などの圧電特性を有する薄膜材料を用いてもよく、厚さは0.05λ~15λであり、λは弾性表面波の波長である。
【0042】
例示的に、基板層201とピエゾフィルム層202は、以下の材料の組み合わせ、
LiTaO3とSi、LiNbO3とSi、LiTaO3とサファイア、LiNbO3とサファイアを用いてもよい。
【0043】
選択的に、電極層は、アルミニウム、銅、金及びアルミニウム銅合金などで製造されてもよく、厚さは6%λ~15%λであり、λは弾性表面波の波長である。
【0044】
選択的に、支持壁205は粘性のある材料を使用してもよく、上記の電極層を囲むことができる。
【0045】
ここで、ピエゾフィルム層202の厚さと前記ウェハの厚さとの比率は予め設定された閾値より小さい。例えば、ピエゾフィルム層の厚さとウェハの厚さのと比率は0.1より小さい。
【0046】
理解できるものとして、ピエゾフィルム層202で使用されるLiTaO3又はLiNbO3は比較的大きな温度膨張係数を備えるので、温度が変化すると、形成されたフィルタ部材は比較的大きな周波数ドリフトを有する。本願の実施例では、ピエゾフィルム層の厚さを減少させながら、温度膨張係数が比較的小さい基板層201を組み合わせることにより、フィルタ部材の周波数ドリフトを効果的に低減することができる。
【0047】
例示的に、ピエゾフィルム層202の厚さを20μm以下に設定することができ、基板層201の厚さを約230μmに設定することができる。
【0048】
理解できるものとして、本願の実施例では、ピエゾフィルム層202は薄く、ウェハ全体の温度膨張係数に対する寄与は小さいので、基板材料と同じ単層材料だけを使用してカバー板を製造することができ、カバー板の温度膨張係数をウェハの温度膨張係数に近づけ、これにより、温度が変化すると、バー板の温度膨張係数とウェハの温度膨張係数との差が大きいため、カバー板とウェハには異なる程度の変形が発生し、密封キャビティ207を損なうのを防ぎ、温度変化が弾性表面波フィルタに及ぼす影響を低減し、弾性表面波フィルタの信頼性を効果的に高めることができる。
【0049】
本願の実施例では、ウエハレベルパッケージ形態を使用することにより、弾性表面波フィルタのサイズを効果的に縮小することができ、無線周波数フロントエンドモジュールパッケージに適用されることができ、また、基板層とピエゾフィルム層はウェハボンディング形態で一体に結合され、このようなウェハに基づく弾性表面波フィルタの性能は温度の温度による影響が少なく、カバー板が基板層と同じ材料を使用することにより、弾性表面波フィルタ全体の信頼性を高め、温度変化が弾性表面波フィルタに及ぼす影響をさらに低減することができる。
【0050】
上記の実施例に説明する内容に基づいて、本願の別の実施例では、上記のカバー板は、少なくとも2つの材料層を含み、表面波フィルタ全体に対する外界温度変化の影響を低減するために、各材料層の厚さを各材料層の温度膨張係数に応じて柔軟に設定することができる。
【0051】
図3を参照して、
図3は、
図1に示す弾性表面波フィルタのパッケージ構造の断面線ABに沿った断面構造概略
図2である。ここで、
図3に示す部分は弾性表面波フィルタの断面構造概略図であると考えられてもよい。
【0052】
図3では、弾性表面波フィルタは、ウェハ、電極層、支持壁205及びカバー板を含む。ここで、上記のウェハは基板層201とピエゾフィルム層202を含み、且つ基板層201とピエゾフィルム層202との間にウェハボンディング形態で一体に結合される。
【0053】
説明すべきものとして、
図3に示す弾性表面波フィルタの各材料層の厚さは単に説明のためのものであり、実際の厚さを表すものではない。
【0054】
上記の電極層はインターデジタル電極203と厚い電極204を含み、厚い電極204は、インターデジタル電極203の入力位置、出力位置、接地位置の少なくとも1つの位置に分布する。ここで、インターデジタル電極203はピエゾフィルム層202の表面に設けられる。
【0055】
支持壁205は、ピエゾフィルム層202とカバー板との間に位置し、且つピエゾフィルム層202とカバー板との間に支持壁205で囲って密封キャビティ207を形成する。
【0056】
上記のカバー板は、2層の材料、即ち第1の材料層206と第2の材料層301を含み、当該第1の材料層206と第2の材料層301との間にウェハボンディング形態で一体に結合される。
【0057】
ここで、第2の材料層301はカバー板の密封キャビティ207に近い側に位置し、且つ第1の材料層206で使用される材料は基板層201で使用される材料と同じであり、第2の材料層301で使用される材料はピエゾフィルム層202で使用される材料と同じである。
【0058】
理解できるものとして、本願の実施例では、上記のカバー板で使用される材料はウェハで使用される材料と同じであり、即ち、カバー板の温度膨張係数はウェハの温度膨張係数に等しい又は非常に近いことができ、これにより、温度が変化すると、カバー板の温度膨張係数とウェハの温度膨張係数の差が大きいので、密封キャビティ207を損なうのを防止することができ、このようなパッケージ構造に及ぼす温度変化の影響を除去し、さらに弾性表面波フィルタの信頼性をより効果的に高めることができる。
【0059】
上記の実施例に記載の内容に基づいて、
図4を参照して、
図4は、
図1に示す弾性表面波フィルタのパッケージ構造の断面線ABに沿った断面構造概略
図3である。ここで、
図4に示す部分は弾性表面波フィルタの断面構造概略図であると考えられてもよい。
【0060】
図4では、弾性表面波フィルタは、ウェハ、電極層、支持壁205及びカバー板を含む。ここで、上記のウェハは基板層201とピエゾフィルム層202を含み、且つ基板層201とピエゾフィルム層202とは、ウェハボンディング形態で一体に結合される。
【0061】
説明すべきものとして、
図4に示す弾性表面波フィルタの各材料層の厚さは単に説明のためのものであり、実際の厚さを表すものではない。
【0062】
上記の電極層はインターデジタル電極203と厚い電極204を含み、厚い電極204は、インターデジタル電極203の入力位置、出力位置、接地位置の少なくとも1つの位置に分布する。ここで、上記のインターデジタル電極203はピエゾフィルム層202の表面に設けられる。
【0063】
支持壁205はピエゾフィルム層202とカバー板との間に位置し、且つピエゾフィルム層202とカバー板との間に支持壁205で囲って密封キャビティ207を形成する。
【0064】
カバー板は3層の材料、即ち第1の材料層206、第2の材料層301及び第3の材料層401を含む。ここで、第3の材料層401は第1の材料層206と第2の材料層301との間に位置し、且つ第1の材料層206と第2の材料層301とは第3の材料層401を利用して一体に結合される。
【0065】
ここで、第2の材料層301はカバー板の密封キャビティ207に近い側に位置し、且つ第1の材料層206で使用される材料は基板層201で使用される材料と同じであり、第2の材料層301で使用される材料はピエゾフィルム層202で使用される材料と同じである。
【0066】
選択的に、第3の材料層401で使用される材料は有機接着剤である。
【0067】
本願の実施例では、上記の3層の材料の厚さは、柔軟な調節と組み合わせにより、結合されたウェハに近い温度膨張係数を備えることができ、これにより、同様に温度が変化すると、カバー板の温度膨張係数とウェハの温度膨張係数との差が大きいので、密封キャビティ207を損なうのを防止することができ、このようなパッケージ構造に及ぼす温度変化の影響を低減し、これにより弾性表面波フィルタの信頼性をより効果的に高めることができる。
【0068】
上記の実施例に記載の内容に基づいて、
図5を参照して、
図5は、本願の実施例における弾性表面波フィルタ内の電極層の構造概略図である。
【0069】
図5では、電極層は、インターデジタル電極203と厚い電極204を含み、インターデジタル電極203の両側は反射ゲート501を含み、インターデジタル電極203のバスバーはバスバー502であり、反射ゲート501のバスバーはバスバー503である。厚い電極204はバスバー502の表面に分布する。
【0070】
上記の電極層は対称構造であるため、インターデジタル電極203のバスバー502はポートとしては交換可能である。
【0071】
さらに、本願の1つの実行可能な実施形態では、溶接ボール101はTSV形態でカバー板と支持壁205を貫通した後、上記の電極層と電気的に接触する。
【0072】
本願の別の実行可能な実施形態では、溶接ボール101はRDL形態で電極層と電気的に接続される。
【0073】
本願をよりよく理解するために、
図6を参照して、
図6は、
図1に示す弾性表面波フィルタのパッケージ構造の断面線ABに沿った断面構造概略
図4である。
【0074】
図6では、カバー板が1層の材料、即ち第1の材料層206のみを含むと仮定する。溶接ボール101がRDL形態で電極層と電気的に接続される時、上記の弾性表面波フィルタはさらに、第1の絶縁層601、金属配線層602及び第2の絶縁層603を含む。
【0075】
ここで、第1の絶縁層601は、第1の材料層206の表面にカバーされ、金属配線層602は第1の絶縁層601上に設けられ、且つ金属配線層602は上記の電極層と電気的に接触し、第2の絶縁層603は上記の金属配線層602と第1の絶縁層601をカバーし、且つ第2の絶縁層603は少なくとも1つの開口を有し、各開口には上記の金属配線層602が露出され、溶接ボール101は各開口に充填されて、上記の金属配線層602と電気的に接触する。
【0076】
理解できるものとして、
図2~
図4では、溶接ボール101は、
図6に示すRDL形態で電極層と電気的に接続されてもよい。
【0077】
さらに、
図7を参照して、
図7は、本願の実施例における弾性表面波フィルタの横方向断面概略図である。
【0078】
図7では、701は金属配線、702は共振器、202はピエゾフィルム層、203はインターデジタル電極、204は厚い電極、205は支持壁、101は溶接ボールである。インターデジタル電極203と厚い電極204は溶接ボール101を利用して外部デバイスとの電気的接続を実現する。
【0079】
理解できるものとして、
図7に示す配線形態は単なる例であり、本願の実施例をよりよく理解するためのものであり、実際の配線又は接続などの配線形態を表すものではない。
【0080】
さらに、上記の実施例に記載の内容に基づいて、本願の実施例はまた、ウエハレベル弾性表面波フィルタのパッケージ方法を提供し、
図8を参照して、
図8は、本願の実施例におけるウエハレベル弾性表面波フィルタのパッケージ方法のフローチャート1である。当該方法は、
ウェハボンディング形態で一体に結合される基板層とピエゾフィルム層とを含むウェハを取得するS801と、
ピエゾフィルム層上に電極層を製造するS802と、
ピエゾフィルム層上に支持壁を製造するS803と、
使用される材料が基板層で使用された材料と同じである第1の材料層を含むカバー板を取得するS804と、
ピエゾフィルム層とカバー板との間に支持壁で囲って密封キャビティを形成するために、支持壁とカバー板を密封するS805と、を含む。
【0081】
ここで、カバー板の予め設定された位置では、シリコン貫通TSV形態で前記カバー板と前記支持壁を貫通して、貫通穴を形成し、当該貫通穴には、電気めっき形態を用いて溶接ボールを埋め込み、当該溶接ボールは上記の電極層と電気的に接触する。
【0082】
一実行可能な実施形態において、上記のピエゾフィルム層の厚さとウェハの厚さとの比率は、予め設定された閾値より小さい。選択的に、上記の予め設定された閾値の大きさは0.1である。
【0083】
理解できるものとして、本願の実施例では、ピエゾフィルム層202は薄く、ウェハ全体の温度膨張係数に対する寄与は小さいので、基板材料と同じ単層材料だけを使用してカバー板を製造することができ、カバー板の温度膨張係数をウェハの温度膨張係数に近づけ、これにより、温度が変化すると、バー板の温度膨張係数とウェハの温度膨張係数との差が大きいため、カバー板とウェハが異なる程度の変形が発生し、密封キャビティ207を損なうのを防ぎ、温度変化が弾性表面波フィルタに及ぼす影響を低減することができ、弾性表面波フィルタの信頼性を効果的に高めることができる。
【0084】
本願の実施例で提供されたウエハレベル弾性表面波フィルタのパッケージ方法では、ウエハレベルパッケージ形態を用いて、弾性表面波フィルタのサイズを効果的に縮小することができ、また、基板層とピエゾフィルム層はウェハボンディング形態で一体に結合されるので、このようなウェハに基づく弾性表面波フィルタの性能は温度の影響を受けにくいとともに、基板材料と同じである材料を用いてカバー板を製造することで、カバー板の温度膨張係数をウェハの温度膨張係数と同じであるようにさせることができ、温度が変化すると、バー板の温度膨張係数とウェハの温度膨張係数との差が大きいため、密封キャビティを損なうのを防ぎ、温度変化が弾性表面波フィルタに及ぼす影響を低減することができ、弾性表面波フィルタの信頼性を効果的に高めることができる。
【0085】
上記の実施例に記載の内容に基づいて、本願の別の実施形態では、上記のカバー板は、少なくとも2つの材料層を含み、各材料層の厚さは各材料層の温度膨張係数と相関している。
【0086】
図9を参照して、
図9は、本願の実施例におけるウエハレベル弾性表面波フィルタのパッケージ方法のフローチャート2である。当該方法は、
ウェハボンディング形態で一体に結合される基板層とピエゾフィルム層とを含むウェハを取得するS901と、
ピエゾフィルム層上に電極層を製造するS902と、
ピエゾフィルム層上に支持壁を製造するS903と、
第1の材料層と第2の材料層とを含むカバー板を取得するS904であって、第1の材料層と第2の材料層とは、ウェハボンディング形態で一体に結合され、第1の材料層で使用される材料は基板層で使用される材料と同じであり、第2の材料層で使用される材料はピエゾフィルム層で使用される材料と同じであるS904と、
ピエゾフィルム層とカバー板との間に支持壁で囲って密封キャビティを形成するために、支持壁とカバー板を密封するS905と、を含む。
【0087】
本願の実施例で提供されたウエハレベル弾性表面波フィルタのパッケージ方法では、カバー板で使用される材料はウェハで使用される材料と同じであり、即ち、カバー板の温度膨張係数はウェハの温度膨張係数に等しい又は非常に近いことができ、これにより、温度が変化すると、カバー板の温度膨張係数とウェハの温度膨張係数の差が大きいので、密封キャビティ207を損なうのを防止することができ、このようなパッケージ構造に及ぼす温度変化の影響を除去し、これにより弾性表面波フィルタの温度安定性をより効果的に高めることができる。
【0088】
上記の実施例に記載の内容に基づいて、本願の他の実施形態では、
図10を参照して、
図10は、本願の実施例におけるウエハレベル弾性表面波フィルタのパッケージ方法のフローチャート3である。当該方法は、
ウェハボンディング形態で一体に結合される基板層とピエゾフィルム層とを含むウェハを取得するS1001と、
ピエゾフィルム層上に電極層を製造するS1002と、
ピエゾフィルム層上に支持壁を製造するS1003と、
第1の材料層、第2の材料層及び第3の材料層を含むカバー板を取得するS1004であって、第1の材料層と第2の材料層とは第3の材料層を利用して一体に結合され、第1の材料層で使用される材料は基板層で使用される材料と同じであり、第2の材料層で使用される材料はピエゾフィルム層で使用される材料と同じであるS1004と、
ピエゾフィルム層とカバー板との間に支持壁で囲って密封キャビティを形成するために、支持壁とカバー板を密封するS1005と、を含む。
【0089】
本願の実施例で提供されたウエハレベル弾性表面波フィルタのパッケージ方法では、上記の3層の材料の厚さは、柔軟な調節と組み合わせにより、結合されたウェハに近い温度膨張係数を備えることができ、これにより、温度が変化すると、カバー板の温度膨張係数とウェハの温度膨張係数の差が大きいので、密封キャビティ207を損なうのを防止することができ、このようなパッケージ構造に及ぼす温度変化の影響を低減し、これにより弾性表面波フィルタの温度安定性をより効果的に高めることができる。
【0090】
以上の各実施例は、本願の技術的解決策を説明するためにのみ使用され、これに限定されるものではない。上記の各実施例を参照して本願を詳細に説明したが、当業者は、依然として上記の各実施例に記載の技術的解決策を修正する又はその一部又は全ての技術的特徴を同等に切り替えることができることを理解すべきである。これらの修正又は切り替えは、対応する技術的解決策の本質を本願の各実施例の技術的解決策の範囲から逸脱させない。
【0091】
本願は、2020年08月07日に中国特許局に提出された、出願番号が202010787875.6であり、出願名称が「ウエハレベル弾性表面波フィルタ及びパッケージ方法」である中国特許出願の優先権を主張し、その全部内容は、すべて援用によって本願に組み込まれる。