IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アウトセンス ダイアグノスティクス リミテッドの特許一覧

<>
  • 特許-身体排出物の分析 図1
  • 特許-身体排出物の分析 図2
  • 特許-身体排出物の分析 図3A
  • 特許-身体排出物の分析 図3B
  • 特許-身体排出物の分析 図4
  • 特許-身体排出物の分析 図5
  • 特許-身体排出物の分析 図6
  • 特許-身体排出物の分析 図7
  • 特許-身体排出物の分析 図8
  • 特許-身体排出物の分析 図9
  • 特許-身体排出物の分析 図10
  • 特許-身体排出物の分析 図11
  • 特許-身体排出物の分析 図12
  • 特許-身体排出物の分析 図13
  • 特許-身体排出物の分析 図14
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-05
(45)【発行日】2024-03-13
(54)【発明の名称】身体排出物の分析
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/50 20060101AFI20240306BHJP
   G01N 33/483 20060101ALI20240306BHJP
   G01N 21/3577 20140101ALI20240306BHJP
   G01N 21/27 20060101ALI20240306BHJP
【FI】
G01N33/50 N
G01N33/483 C
G01N21/3577
G01N21/27 A
【請求項の数】 17
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022022279
(22)【出願日】2022-02-16
(62)【分割の表示】P 2019510400の分割
【原出願日】2017-08-30
(65)【公開番号】P2022070986
(43)【公開日】2022-05-13
【審査請求日】2022-02-18
(31)【優先権主張番号】62/381,288
(32)【優先日】2016-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517286331
【氏名又は名称】アウトセンス ダイアグノスティクス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】アッタール,イシェイ
(72)【発明者】
【氏名】カップ-バルネア,ヤアラ
【審査官】大瀧 真理
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-500471(JP,A)
【文献】国際公開第2015/194405(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/063547(WO,A1)
【文献】特開平11-014622(JP,A)
【文献】特開2016-004005(JP,A)
【文献】特表2012-532122(JP,A)
【文献】特開2006-189338(JP,A)
【文献】国際公開第2014/171018(WO,A1)
【文献】今井信介 ほか,大腸癌患者糞便の潜血検査陽性部位の分布からみた効果的な採便方法,消化器集団検診,1992年06月15日,1992巻、95号,pp.130-137
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/48 - 33/98
E03D 9/00 - 9/16
E03D 11/00 - 11/18
G01N 21/00 - 21/958
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
便器内に置かれた対象者の糞便及び出力デバイスと共に使用するための装置であって、
前記糞便が前記便器内に置かれている間に前記便器から光を受信するように構成された1つ以上の光センサと、
コンピュータプロセッサと、
を含み、
前記コンピュータプロセッサは、
受信した前記光を分析することによって、3つ以上のスペクトル成分のセットを検出することであって、前記3つ以上のスペクトル成分のセットの強度は、身体分泌物の光スペクトルにおいて互いに特徴的な関係を有する、3つ以上のスペクトル成分のセットを検出することと、
前記3つ以上のスペクトル成分のセットを検出することの検出結果に応じて、前記糞便内の前記身体分泌物の存在を検出することと、
前記糞便内の前記身体分泌物の存在を検出することの検出結果の少なくとも一部に応じて、前記対象者の少なくとも1つの炎症性腸疾患症状発現を検出することであって、前記少なくとも1つの炎症性腸疾患症状発現は、現在発症している炎症性腸疾患発現と、予測されたこれから発症する炎症性腸疾患発現とを含む群から選択されたものである、前記対象者の少なくとも1つの炎症性腸疾患症状発現を検出することと、
前記検出することの検出結果の少なくとも一部に応じて、前記出力デバイスで出力を生成することと、
を実行するように構成されている、
装置。
【請求項2】
前記コンピュータプロセッサは、前記糞便内の前記身体分泌物の存在を検出することの検出結果の少なくとも一部に応じて、現在発生している炎症性腸疾患症状発現を検出するように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記コンピュータプロセッサは、前記糞便内の前記身体分泌物の存在を検出することの検出結果の少なくとも一部に応じて、予測されたこれから発症する炎症性腸疾患症状発現を検出するように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記身体分泌物は、胆汁を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記身体分泌物は、ホルモンを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記ホルモンは、ヒト線毛性ゴナドトロピンを含む、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記コンピュータプロセッサは、
受信した前記光を分析することによって、3つ以上のスペクトル成分のセットを検出することであって、前記3つ以上のスペクトル成分のセットの強度は、微生物の光スペクトルにおいて互いに特徴的な関係を有する、3つ以上のスペクトル成分のセットを検出することと、
前記3つ以上のスペクトル成分のセットを検出することの検出結果に応じて、前記糞便内の前記微生物の存在を検出することと、
前記糞便内の前記微生物の存在を検出することの検出結果の少なくとも一部に応じて、予測されたこれから発症する炎症性腸疾患症状発現及び/又は現在発生している炎症性腸疾患症状発現を検出することと、
をさらに実行するように構成されている、
請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記コンピュータプロセッサは、前記微生物の蛍光による1つ以上のスペクトル成分を検出することによって、前記3つ以上のスペクトル成分のセットを検出するように構成されており、前記3つ以上のスペクトル成分のセットの強度は、微生物の光スペクトルにおいて互いに特徴的な関係を有する、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記コンピュータプロセッサは、
所定の微生物が発する蛍光に特徴的なスペクトル成分である1つ以上のスペクトル成分を検出することと、
前記1つ以上のスペクトル成分を検出することの検出結果に応じて、前記糞便内の前記微生物の存在を検出することと、
前記糞便内の前記微生物の存在を検出することの検出結果の少なくとも一部に応じて、予測されたこれから発症する炎症性腸疾患症状発現及び/又は現在発生している炎症性腸疾患症状発現を検出することと、
を実行するように構成されている、
請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記コンピュータプロセッサは、所定の微生物が発する蛍光に特徴的なスペクトル成分である3つ以上のスペクトル成分を検出するように構成されており、
前記3つ以上のスペクトル成分の強度は、前記微生物の蛍光スペクトルにおいて互いに特徴的な関係を有するものである、
請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記コンピュータプロセッサは、
白血球が発する蛍光に特徴的なスペクトル成分である1つ以上のスペクトル成分を検出することと、
前記1つ以上のスペクトル成分を検出することの検出結果に応じて、前記糞便内の前記白血球の存在を検出することと、
前記糞便内の前記白血球の存在を検出することの検出結果の少なくとも一部に応じて、予測されたこれから発症する炎症性腸疾患症状発現及び/又は現在発生している炎症性腸疾患症状発現を検出することと、
をさらに実行するように構成されている、
請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記コンピュータプロセッサは、前記白血球が発する蛍光に特徴的なスペクトル成分である3つ以上のスペクトル成分を検出するように構成されており、
前記3つ以上のスペクトル成分の強度は、前記白血球の蛍光スペクトルにおいて互いに特徴的な関係を有するものである、
請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記コンピュータプロセッサは、検出した前記白血球を所与のタイプの白血球として分類するように構成されている、請求項11に記載の装置。
【請求項14】
前記コンピュータプロセッサは、
前記糞便内の血液を検出することと、
前記対象者の胃腸管内から前記血液の源を決定することと、
前記対象者の胃腸管内から前記血液の源を決定することの決定結果の少なくとも一部に応じて、予測されたこれから発症する炎症性腸疾患症状発現及び/又は現在発生している炎症性腸疾患症状発現を検出することと、
を実行するように構成されている、
請求項1に記載の装置。
【請求項15】
前記コンピュータプロセッサは、前記血液が前記糞便に広がっている範囲を測定することによって、前記対象者の胃腸管内から前記血液の前記源を決定するように構成されている、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記コンピュータプロセッサは、前記糞便内の前記血液の位置を測定することによって、前記対象者の胃腸管内から前記血液の前記源を決定するように構成されている、請求項14に記載の装置。
【請求項17】
前記コンピュータプロセッサは、
受信した前記光内の第1スペクトル成分を測定することであって、前記第1スペクトル成分は、590nm~1000nmの波長範囲と、480nm~520nmの波長範囲とを含む群から選択された波長範囲内の波長を中心とするものである、第1スペクトル成分を測定することと、
受信した前記光内の第2スペクトル成分を測定することであって、前記第2スペクトル成分は、520nm~590nmの波長範囲内の波長を中心とするものである、第2スペクトル成分を測定することと、
前記第1スペクトル成分の測定強度を、前記第2スペクトル成分の測定強度に対して正規化することと、
を実行することによって、前記対象者の胃腸管内から前記血液の前記源を決定するように構成されている、
請求項14に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2016年8月30日に出願された、Kapp-Barneaの「身体排出物の分析(Bodily emission analysis)」という名称の米国仮特許出願第62/381,288号の優先権を主張する。
【0002】
本願は、2015年2月25日に出願されたAttarの「生体外生物学的試料内の血液のリモートセンシングのための装置及び方法(Apparatus and method for the remote sensing of blood in an ex-vivo biological sample)」という名称の米国仮特許出願第62/120,639号の優先権を主張する、2016年2月25日に出願された、Attarの「身体排出物の分析(Bodily emission analysis)」という名称の国際出願PCT/IL2016/050223号(国際公開第16/135735号として公開)に関連する。
【0003】
上述の出願は参照によって本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0004】
本発明のいくつかの用途は、全般的に、身体排出物の分析に関する。具体的には、本発明のいくつかの用途は、尿及び糞便などの身体排出物を分析するための装置及び方法に関連する。
【0005】
大腸癌は、結腸又は直腸などの大腸部分で発生した癌である。胃癌は胃の悪性腫瘍である。糞便内の血液の検出は、大腸癌及び胃癌のスクリーニングツールとして使用される。しかしながら、血液は潜血、すなわち、目に見えない血液であることが多い。便グアヤック試験は、血液が見えない場合であっても糞便内の血液の存在を検出するいくつかの方法のうちの1つである。特別に作製したグアヤック紙と呼ばれる種類の紙に糞便試料を置き、過酸化水素を適用する。血液が存在すると紙に青色が現れる。大腸癌又は胃癌に罹患していることが疑われる患者は、通常、結腸内視鏡検査、胃鏡検査、S状結腸鏡検査及び/又はCT、PET及び/又はMRIなどの外部撮像技術を用いて評価される。
【0006】
膀胱癌は、癌細胞が膀胱の上皮内層内で増殖している状態である。尿中の血液の検出は膀胱癌のスクリーニングに有用となり得る。血液を検出するための技法としては、特定の化学物質を含む試験片を尿の試料中に置き、試験片の色変化を検出することが挙げられる。
【発明の概要】
【0007】
本発明のいくつかの用途によれば、便器内に置かれた対象者の身体排出物(糞便又は尿など)は自動的に分析される。典型的には、身体排出物が便器内に置かれている間に、1つ以上の光センサ、例えば、1つ以上のカメラを用いて便器から光(便器の内容物から反射した)が受信される。コンピュータプロセッサを用い、受信した光を分析することによって(例えば、受信した光にスペクトル分析を実施することによって)赤血球の成分による光吸収を示す、受信した光内の1つ以上のスペクトル成分が検出される。検出に応じて、コンピュータプロセッサは、身体排出物内に血液の存在があると決定する。
【0008】
いくつかの用途においては、コンピュータプロセッサは、身体排出物内の血液の量を推定する。いくつかの用途においては、コンピュータプロセッサは、血液の源である胃腸管内の位置を特定する。例えば、コンピュータプロセッサは、血液の源である胃腸管内の位置を特定するために、受信した光内のスペクトル成分を分析することによって、嫌気的条件における血液のその(that)経過時間を決定してもよい。代替的に又は付加的に、コンピュータプロセッサは、血液の源である胃腸管内の位置を特定するために、血液が糞便に広がっている範囲及び/又は糞便内の血液の位置を分析してもよい。
【0009】
コンピュータプロセッサは、通常、出力デバイス(電話、タブレットデバイス、サーバ又はパーソナルコンピュータなど)上に出力を生成する。いくつかの用途においては、対象者が医療専門家にかかるべきであることを示す及び/又は炎症性腸疾患症状発現が近く予想されることを示す出力が生成される。いくつかの用途においては、出力デバイスは、デバイスに組み込まれた出力構成要素(照明(例えば、LED)又は画面など)を含む。通常、対象者が身体排出物を便器内に排出した後、上述の工程は人による行為の実施を全く必要とすることなく実施される。したがって、例えば、対象者は、排出物内に血液があるかどうかの決定を容易にするために便器に何も加える必要はない。
【0010】
いくつかの用途においては、装置は、長期間にわたる、例えば、1週間超又は1か月超にわたる対象者の複数の身体排出物の結果を分析し、記録する。通常、このようにして、装置は、断続的にしか特徴的に出血しない早期の癌及び/又はポリープの存在をスクリーニングするように構成されている。いくつかの用途においては、装置は、ある期間にわたる身体排出物(例えば、糞便)中に検出された血液の量を閾値量と比較する。
【0011】
いくつかの用途においては、本明細書中に記載される装置及び方法は、糞便内の微生物を検出するために及び/又はその経時的な変化を検出するために使用される。代替的に又は付加的に、本明細書中に記載される装置及び方法は、糞便内の白血球を検出し、分類するために、及び/又はその経時的な変化を検出するために使用される。
【0012】
したがって、本発明のいくつかの用途によれば、便器内に置かれた対象者の糞便及び出力デバイスと共に使用するための装置が設けられ、装置は、
糞便が便器内に置かれている間に便器から光を受信するように構成された1つ以上の光センサと、
コンピュータプロセッサであって、
受信した光を分析し、
分析に応じて、糞便内に血液の存在があることを決定し、対象者の胃腸管内から血液の源を決定し、
決定に少なくとも一部応じて、出力デバイスで出力を生成する
ように構成されている、コンピュータプロセッサと、を含む。
【0013】
いくつかの用途では、コンピュータプロセッサは、血液が糞便に広がっている範囲を測定することによって血液の源を決定するように構成されている。いくつかの用途では、コンピュータプロセッサは、糞便内の血液の位置を測定することによって血液の源を決定するように構成されている。
【0014】
いくつかの用途では、コンピュータプロセッサは、対象者が医療専門家にかかるべきであることを示す出力を生成することによって出力を生成するように構成されている。いくつかの用途では、コンピュータプロセッサは、炎症性腸疾患症状発現が近く予想されることを示す出力を生成することによって出力を生成するように構成されている。
【0015】
いくつかの用途では、コンピュータプロセッサは、受信した光内の少なくとも第1スペクトル成分及び第2スペクトル成分の強度を測定し、第1スペクトル成分の測定された強度を第2スペクトル成分の測定された強度に対して正規化することによって対象者の胃腸管内から血液の源を決定するように構成されている。
【0016】
いくつかの用途では、コンピュータプロセッサは、590nm~1000nmの波長を中心とする、受信した光内の第1スペクトル成分を測定することによって第1スペクトル成分の強度を測定するように構成されており、コンピュータプロセッサは、520~590nmの波長を中心とする、受信した光内の第2スペクトル成分を測定することによって第2スペクトル成分の強度を測定するように構成されている。
【0017】
いくつかの用途では、コンピュータプロセッサは、480nm~520nmの波長を中心とする、受信した光内の第1スペクトル成分を測定することによって第1スペクトル成分の強度を測定するように構成されており、コンピュータプロセッサは、520~590nmの波長を中心とする、受信した光内の第2スペクトル成分を測定することによって第2スペクトル成分の強度を測定するように構成されている。
【0018】
いくつかの用途では、コンピュータプロセッサは、第1スペクトル成分の測定された強度と第2スペクトル成分の測定された強度との間の比率を算出することによって、第1スペクトル成分の測定された強度を第2スペクトル成分の測定された強度に対して正規化するように構成されている。
【0019】
いくつかの用途では、コンピュータプロセッサは、480nm~520nmの波長を中心とする、受信した光内の第1スペクトル成分の測定された強度と、520~590nmの波長を中心とする、受信した光内の第2スペクトル成分の測定された強度との間の比率を算出することによって、第1スペクトル成分の測定された強度と第2スペクトル成分の測定された強度との間の比率を算出するように構成されている。
【0020】
いくつかの用途では、コンピュータプロセッサは、590nm~1000nmの波長を中心とする、受信した光内の第1スペクトル成分の測定された強度と、520~590nmの波長を中心とする、受信した光内の第2スペクトル成分の測定された強度との間の比率を算出することによって、第1スペクトル成分の測定された強度と第2スペクトル成分の測定された強度との間の比率を算出するように構成されている。
【0021】
本発明のいくつかの用途によれば、便器内に置かれた対象者の糞便と共に使用するための方法が更に提供され、方法は、
糞便が便器内に置かれている間に1つ以上の光センサを用いて便器から光を受信することと、
コンピュータプロセッサを用いて、
受信した光を分析することと、
分析に応じて、糞便内に血液の存在があると決定することと、対象者の胃腸管内から血液の源を決定することと、
少なくとも一部決定に応じて、出力デバイスで出力を生成することと、を含む。
【0022】
本発明のいくつかの用途によれば、便器内に置かれた対象者の身体排出物及び出力デバイスと共に使用するための装置が更に提供され、装置は、
身体排出物が便器内に置かれている間に便器から光を受信するように構成された1つ以上の光センサと、
コンピュータプロセッサであって、
受信した光を分析することによって、微生物の光スペクトル内において互いに特徴的な関係を有する一連の3つ以上のスペクトル成分を検出し、
検出に応じて、身体排出物内に微生物の存在があると決定し、
決定に少なくとも一部応じて、出力デバイスで出力を生成する
ように構成されている、コンピュータプロセッサと、を含む。
【0023】
いくつかの用途では、身体排出物は糞便を含み、コンピュータプロセッサは、糞便内に微生物の存在があると決定することによって身体排出物内に微生物の存在があることを決定するように構成されている。いくつかの用途では、身体排出物は尿を含み、コンピュータプロセッサは、尿内に微生物の存在があると決定することによって身体排出物内に微生物の存在があることを決定するように構成されている。
【0024】
いくつかの用途では、コンピュータプロセッサは、微生物の蛍光による1つ以上のスペクトル成分を検出することによって微生物の光スペクトル内において互いに特徴的な関係を有する一連の3つ以上のスペクトル成分を検出するように構成されている。
【0025】
いくつかの用途では、コンピュータプロセッサは、対象者が医療専門家にかかるべきであることを示す出力を生成することによって出力を生成するように構成されている。いくつかの用途では、コンピュータプロセッサは、炎症性腸疾患症状発現が近く予想されることを示す出力を生成することによって出力を生成するように構成されている。
【0026】
本発明のいくつかの用途によれば、便器内に置かれた対象者の身体排出物と共に使用するための方法が更に提供され、方法は、
身体排出物が便器内に置かれている間に1つ以上の光センサを用いて便器から光を受信することと、
コンピュータプロセッサを用いて、
受信した光を分析することによって、微生物の光スペクトル内において互いに特徴的な関係を有する一連の3つ以上のスペクトル成分を検出することと、
検出に応じて、身体排出物内に微生物の存在があると決定することと、
決定に少なくとも一部応じて、出力デバイスで出力を生成することと、を含む。
【0027】
本発明のいくつかの用途によれば、便器内に置かれた対象者の身体排出物及び出力デバイスと共に使用するための装置が更に提供され、装置は、
身体排出物が便器内に置かれている間に便器から光を受信するように構成された1つ以上の光センサと、
コンピュータプロセッサであって、
受信した光を分析することによって、所与の微生物が蛍光を発する特徴的なスペクトル成分である1つ以上のスペクトル成分を検出し、
検出に応じて、身体排出物内に微生物の存在があると決定し、
決定に少なくとも一部応じて、出力デバイスで出力を生成する、
ように構成されている、コンピュータプロセッサと、を含む。
【0028】
いくつかの用途では、身体排出物は糞便を含み、コンピュータプロセッサは、糞便内に微生物の存在があると決定することによって身体排出物内に微生物の存在があることを決定するように構成されている。いくつかの用途では、身体排出物は尿を含み、コンピュータプロセッサは、尿内に微生物の存在があると決定することによって身体排出物内に微生物の存在があることを決定するように構成されている。
【0029】
いくつかの用途では、コンピュータプロセッサは、所与の微生物が蛍光を発する特徴的なスペクトル成分である3つ以上のスペクトル成分を検出するように構成されており、3つ以上のスペクトル成分は、微生物の蛍光スペクトル内において互いに特徴的な関係を有する。
【0030】
いくつかの用途では、コンピュータプロセッサは、対象者が医療専門家にかかるべきであることを示す出力を生成することによって出力を生成するように構成されている。いくつかの用途では、コンピュータプロセッサは、炎症性腸疾患症状発現が近く予想されることを示す出力を生成することによって出力を生成するように構成されている。
【0031】
本発明のいくつかの用途によれば、便器内に置かれた対象者の身体排出物と共に使用するための方法が更に提供され、方法は、
身体排出物が便器内に置かれている間に1つ以上の光センサを用いて便器から光を受信することと、
コンピュータプロセッサを用いて、
受信した光を分析することによって、所与の微生物が蛍光を発する特徴的なスペクトル成分である1つ以上のスペクトル成分を検出することと、
検出に応じて、身体排出物内に微生物の存在があると決定することと、
決定に少なくとも一部応じて、出力デバイスで出力を生成することと、を含む。
【0032】
本発明のいくつかの用途によれば、便器内に置かれた対象者の身体排出物及び出力デバイスと共に使用するための装置が更に提供され、装置は、
身体排出物が便器内に置かれている間に便器から光を受信するように構成された1つ以上の光センサと、
コンピュータプロセッサであって、
受信した光を分析することによって、白血球が蛍光を発する特徴的なスペクトル成分である1つ以上のスペクトル成分を検出し、
検出に応じて、身体排出物内に白血球の存在があると決定し、
決定に少なくとも一部応じて、出力デバイスで出力を生成する
ように構成されている、コンピュータプロセッサと、を含む。
【0033】
いくつかの用途では、身体排出物は糞便を含み、コンピュータプロセッサは、糞便内に白血球の存在があると決定することによって身体排出物内に白血球の存在があると決定するように構成されている。いくつかの用途では、身体排出物は尿を含み、コンピュータプロセッサは、尿内に白血球の存在があると決定することによって身体排出物内に白血球の存在があると決定するように構成されている。
【0034】
いくつかの用途では、コンピュータプロセッサは、白血球が蛍光を発する特徴的なスペクトル成分である3つ以上のスペクトル成分を検出するように構成されており、3つ以上のスペクトル成分は、白血球の蛍光スペクトル内において互いに特徴的な関係を有する。
【0035】
いくつかの用途では、コンピュータプロセッサは、検出された白血球を所与のタイプの白血球として分類するように更に構成されている。
【0036】
いくつかの用途では、コンピュータプロセッサは、対象者が医療専門家にかかるべきであることを示す出力を生成することによって出力を生成するように構成されている。いくつかの用途では、コンピュータプロセッサは、炎症性腸疾患症状発現が近く予想されることを示す出力を生成することによって出力を生成するように構成されている。
【0037】
本発明のいくつかの用途によれば、便器内に置かれた対象者の身体排出物と共に使用するための方法が更に提供され、方法は、
身体排出物が便器内に置かれている間に1つ以上の光センサを用いて便器から光を受信することと、
コンピュータプロセッサを用いて、
受信した光を分析することによって、白血球が蛍光を発する特徴的なスペクトル成分である1つ以上のスペクトル成分を検出することと、
検出に応じて、身体排出物内に白血球の存在があると決定することと、
決定に少なくとも一部応じて、出力デバイスで出力を生成することと、を含む。
【0038】
本発明のいくつかの用途によれば、便器内に置かれた対象者の身体排出物及び出力デバイスと共に使用するための装置が更に提供され、装置は、
身体排出物が便器内に置かれている間に便器から光を受信するように構成された1つ以上の光センサと、
コンピュータプロセッサであって、
受信した光を分析することによって、血液の成分の光吸収スペクトル内において互いに特徴的な関係を有する一連の3つ以上のスペクトル成分を検出し、
検出に応じて、身体排出物内の血液の量を推定し、
推定に少なくとも一部応じて、出力デバイスで出力を生成する
ように構成されている、コンピュータプロセッサと、を含む。
【0039】
いくつかの用途では、コンピュータプロセッサは、身体排出物内の血液の濃度を推定することによって身体排出物内の血液の量を推定するように構成されている。いくつかの用途では、コンピュータプロセッサは、身体排出物内の血液の体積を推定することによって身体排出物内の血液の量を推定するように構成されている。
【0040】
いくつかの用途では、身体排出物は糞便を含み、コンピュータプロセッサは、糞便内の血液の量を推定することによって身体排出物内の血液の量を推定するように構成されている。いくつかの用途では、身体排出物は尿を含み、コンピュータプロセッサは、尿内の血液の量を推定することによって身体排出物内の血液の量を推定するように構成されている。
【0041】
いくつかの用途では、コンピュータプロセッサは、オキシヘモグロビン、デオキシヘモグロビン、メトヘモグロビン、カルボキシヘモグロビン、ヘム、及び血小板からなる群から選択される血液の成分の光吸収スペクトル内において互いに特徴的な関係を有する一連の3つ以上のスペクトル成分を検出することによって血液の成分の光吸収スペクトル内において互いに特徴的な関係を有する一連の3つ以上のスペクトル成分を検出するように構成されている。
【0042】
本発明のいくつかの用途によれば、便器内に置かれた対象者の身体排出物と共に使用するための方法が更に提供され、方法は、
身体排出物が便器内に置かれている間に1つ以上の光センサを用いて便器から光を受信することと、
コンピュータプロセッサを用いて、
受信した光を分析することによって、血液の成分の光吸収スペクトル内において互いに特徴的な関係を有する一連の3つ以上のスペクトル成分を検出することと、
検出に応じて、身体排出物内の血液の量を推定することと、
推定に少なくとも一部応じて、出力デバイスで出力を生成することと、を含む。
【0043】
本発明は、以下の、図面と併せて解釈されるその実施形態の詳細な説明からより完全に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1】本発明のいくつかの用途による、身体排出物を分析するための装置の概略図である。
図2】本発明のいくつかの用途による、センサモジュールの構成要素を概略的に示すブロック図である。
図3A】本発明の各用途による、センサモジュールの画像化構成要素の構成要素の概略図である。
図3B】本発明の各用途による、センサモジュールの画像化構成要素の構成要素の概略図である。
図4】本発明のいくつかの用途による、大便試料から記録されたスペクトログラムを示すグラフである。
図5】本発明のいくつかの用途に従い行われた実験中に各試料から記録されたスペクトル成分の態様を示す棒グラフである。
図6】本発明のいくつかの用途に従い実施された実験の結果を示すグラフである。
図7】本発明のいくつかの用途に従い実施される工程を示すフローチャートである。
図8】英語版のWikipedia,CC BY-SA 3.0,https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=3447869のBme591wikiprojectにより提供される、紫外領域、可視領域、及び近赤外領域内の酸化ヘモグロビン(HbO2)及び脱酸素化ヘモグロビン(Hb)の光吸収スペクトルを示す。
図9】本発明のいくつかの用途に従い行われた実験において各細菌株から記録された赤外線透過スペクトルを示す。
図10】本発明のいくつかの用途に従い行われた実験において各細菌株から記録された紫外線透過スペクトルを示す。
図11】本願の発明者によって測定され、本発明のいくつかの用途に従い使用される、800nmにおける、血液の光透過率と血液の経過時間(分)との間の関係を示すグラフである。
図12】本願の発明者によって測定され、本発明のいくつかの用途に従い使用される、嫌気的条件において各時間が経過した血液の光透過スペクトルを示す。
図13】本願の発明者によって測定され、本発明のいくつかの用途に従い使用される、(a)800nmにおける、血液の光透過率(透過率は他の波長における光透過率によって正規化されている)と、(b)血液の経過時間(分)との間の関係を示すグラフである。
図14】本願の発明者によって測定され、本発明のいくつかの用途に従い使用される、各体積の血液が混合された大便試料から反射した光強度の比率をグラフ化した散布図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
ここで、本発明のいくつかの用途による身体排出物を分析するための装置20の概略図である図1を参照する。示されるように、装置20は、通常、便器23の内部に配置されたセンサモジュール22を含む。いくつかの用途(図示せず)においては、センサモジュール(及び/又は装置の更なる構成要素)は便器に組み込まれている。センサモジュールは画像化構成要素24を含み、画像化構成要素24は、更に、対象者により排出され、便器内に置かれた身体排出物(通常、尿又は糞便26)から光を受信するように構成された1つ以上の光センサを含む。例えば、以下で更に詳細に記載するように、光センサは分光計を含んでもよく、又は1つ以上のカメラを含んでもよい。コンピュータプロセッサは受信した光を分析し、身体排出物中に血液の存在があるかどうかを決定する。通常、コンピュータプロセッサは、受信した光を分析することによって(例えば、受信した光にスペクトル分析を実施することによって)、赤血球の成分による光吸収を示す、受信した光内の1つ以上のスペクトル成分を検出する。(本明細書に記載するようにこのような成分の特定の組み合わせは血液の存在を示すことから、このようなスペクトル成分は、本明細書では、血液シグネチャの例と呼ばれる。)更に通常、光を受信する工程、受信した光を分析する工程、及び身体排出物中に血液の存在があるかどうかを決定する工程は、対象者が身体排出物を便器内に排出した後、人(例えば、ユーザ、介護者、又は医療専門家)による行為の実施を全く必要とせずに実施される。
【0046】
いくつかの用途においては、装置20は、図1に示すように、便器の外側のハウジング30の内部に配置された電源28(例えば、バッテリーパック)を含む。代替的に又は付加的に、センサモジュールは商用電源(図示せず)に接続されている。通常、電源とセンサモジュール22は有線で(図示されるように)又は無線で(図示せず)接続されている。各用途に従い、上述の分析を実施するコンピュータプロセッサは、トイレの腸(toilet bowel)の内部(例えば、センサモジュールと同じハウジングの内部)、ハウジング30の内部、又は遠隔的に配置されている。例えば、示されるように、センサモジュールは、コンピュータプロセッサを含むユーザインタフェースデバイス32と無線通信してもよい。このようなユーザインタフェースデバイスは、電話34、タブレット型コンピュータ36、ラップトップコンピュータ38、又は異なる種類のパーソナルコンピューティングデバイスを含んでもよいが、これらに限定されない。ユーザインタフェースデバイスは、通常、入力デバイス及び出力デバイスの両方としての役割を果たし、ユーザは、ユーザインタフェースデバイスを介してセンサモジュール22と対話する。センサモジュールはユーザインタフェースデバイスにデータを送信してもよく、ユーザインタフェースデバイスのコンピュータプロセッサは、画像化モジュールによって受信された光を分析し、それにより、対象者の身体排出物中に血液の存在があるかどうかを検出するように構成されたプログラムを実行してもよい。
【0047】
いくつかの用途においては、センサモジュール22及び/又はユーザインタフェースデバイスはリモートサーバと通信する。例えば、装置は、患者からの介入なしに通信ネットワーク上で医師又は保険会社と通信してもよい。医師又は保険会社は、結果を評価し、更なる試験又は介入が患者にとって適切であるかどうかを決定してもよい。いくつかの用途においては、受信した光に関するデータはメモリ(以下に記載するメモリ46など)に記憶される。例えば、メモリは、トイレの腸(toilet bowel)の内部(例えば、センサユニットの内部)、ハウジング30の内部、又は遠隔的に配置されていてもよい。対象者は、定期的に、記憶されたデータを医療施設(例えば、医師の事務所又は薬局)又は保険会社などの施設に提出してもよく、施設のコンピュータプロセッサは、その後、ある期間にわたって取得した対象者の複数の身体排出物に関するデータのバッチに対して上述の分析を実施してもよい。
【0048】
本明細書中に記載される装置及び方法は、対象者が身体排出物に物理的に触れる必要がないスクリーニングテストを含むことに留意されたい。更に、対象者は、通常、例えば、デバイスを取り付ける、又はデバイスのバッテリーを交換する若しくは充電するために専用のセンシング装置の任意の部分に定期的に触れることのみを必要とする。(対象者はユーザインタフェースデバイスを扱う場合があるが、これは通常、対象者がセンシング装置を使用しない場合でも扱うデバイス(電話など)であることに留意されたい。)更に通常、本明細書中に記載される装置及び方法は、対象者が便器に身体排出物を排出した後、排出物のスペクトル分析及び/又は排出物が血液を含むという決定を容易にするために便器に何も加える必要はない。いくつかの用途においては、対象者は、便器に装置を取り付けた後、いかなる行為も行う必要はない。試験は自動であり、装置によって処理され、対象者の排出物の監視は対象者にとって円滑であり、異常が検出されない限りは対象者による承諾を必要としない。
【0049】
通常、対象者が便器に身体排出物を排出した後、(及び通常、対象者が身体排出物の排泄を終え、身体排出物が便器の水中に少なくとも一部置かれると)、身体排出物は、排出後に人による行為の実施を全く必要とすることなく、便器から反射された及び/又は送信された光を受信することによって画像化される。いくつかの用途においては、身体排出物は便器に身体排出物を排出中に分析される。通常、コンピュータプロセッサは、(a)受信した光を分析し(例えば、スペクトル分析する)、(b)分析に応じて、身体排出物内に血液の存在があるかどうかを決定し(及び/又は本明細書中に記載される付加的な機能を身体排出物に対して実施し)、(c)少なくとも一部それに応じて出力を生成し、これらは全て排出後の人による行為の実施を全く必要としない。いくつかの用途においては、以下で更に詳細に記載するように、身体排出物中の血液の存在の兆候が検出された場合、ユーザインタフェースデバイスを介して対象者による入力が求められることに留意されたい。しかしながら、このような用途においても、血液の存在があることは自動スペクトル分析に基づき決定され、ユーザ入力は、血液の源を決定するために及び/又は血液の源が懸念の原因であるか否かを決定するために使用される。
【0050】
いくつかの用途においては、対象者の各排出物について、良い兆しの場合には、装置は、出力デバイスを介して、例えばユーザインタフェースデバイス32を介して患者に所見を報告する。いくつかの用途においては、出力デバイスは、装置20に組み込まれた出力構成要素(照明(例えば、LED)又は画面など)を含む。いくつかの用途においては、身体排出物の分析により排出物中に血液が存在することが示された場合、コンピュータプロセッサはユーザインタフェースを駆動し、ユーザにいくつかの確認の質問を尋ねることにより対象者による入力を要求する。例えば、ユーザインタフェースデバイスは、肉は血液を含むので赤肉の消費は偽陽性の原因となり得ることから、「最近大便をする前の24時間以内に赤肉を食べましたか?」とユーザに尋ねてもよい。代替的に又は付加的に、ユーザインタフェースデバイスは、「アスピリン又は他の非ステロイド性抗炎症薬を使用しましたか?」とユーザに尋ねてもよい。これは、このような薬剤の摂取は感受性の高い者であれば胃又は胃腸管の出血の原因となることが示されているからである。いくつかの用途においては、データはローカルで分析されるが、結果はネットワーク接続を通じて医療提供者又は保険会社に送信される。
【0051】
いくつかの用途においては、装置は対象者の身体排出物を長期間にわたって、例えば、1週間超又は1か月超にわたって監視する。通常、このようにして、装置は、断続的にしか特徴的に出血しない悪性腫瘍及び/又はポリープの存在をスクリーニングするように構成されている。いくつかの用途においては、装置は、ある期間にわたる身体排出物(例えば、糞便)中に検出された血液の量を閾値量と比較する。平均2ml/日未満と推定されている正常な、生理的な、非病原性の胃腸管出血のレベルがあることは周知である。2ml/日を超える腸管出血は異常とみなされる。(異常とみなされる厳密な量は、例えば、年齢及び性別によって各個人で異なり得ることに留意されたい。したがって、例えば、成人女性においては、大便中の正常血液濃度は64マイクログラム/グラム未満であるとみなされ得る一方で、成人男性においては、20マイクログラム/グラムを上回るものは異常とみなされ得る。)したがって、いくつかの用途においては、閾値は、出血のレベルが正常な、生理的な、非病原性の胃腸管出血に合致する場合にはアラートは生成されないが、例えば、出血のレベルが癌及び/又はポリープの存在を示す場合にはアラートを生成するように、センシングの特異性を高めるように校正される。
【0052】
いくつかの用途においては、受信した光を分析するコンピュータプロセッサは、異常検知及び/又は外れ値検知などの機械学習技術を用いる。例えば、コンピュータプロセッサは、各対象者の出力信号のパターンを学習し、対象者の特徴的な血液シグネチャの異常な変化を検知する個別化された異常検知又は外れ値検知を実施するように構成されていてもよい。本明細書で上述したように、いくつかの用途においては、分析を実施するコンピュータプロセッサはセンサモジュールから離れている及び/又は分離されている。いくつかの用途においては、センサモジュールは使い捨てであるが、センサモジュールを廃棄した後でも過去データを機械学習技術で利用できるように、コンピュータプロセッサは対象者に関する過去データにアクセスする。
【0053】
ここで、本発明のいくつかの用途によるセンサモジュール22の構成要素を概略的に示すブロック図である図2を参照する。本明細書で上述したように、センサモジュールは、通常、便器内に置かれている。更に通常、センサモジュールは画像化構成要素を含み、画像化構成要素は、更に、対象者により排出され、便器内に置かれた身体排出物から光を受信するように構成された1つ以上の光センサを含む。画像化構成要素については、図3A図3Bを参照して以下で更に詳細に記載する。通常、センサモジュールは耐水ハウジング内に収容されている。更に通常、画像化構成要素が下に取り付けられているセンサモジュールの面は透明耐水カバーで覆われている。図1は、便器内の水位より上に配置されたセンサモジュールを示すことに留意されたい。しかしながら、いくつかの用途においては、センサモジュールの少なくとも一部分(例えば、センサモジュール全体)は便器内の水中に沈められている。
【0054】
いくつかの用途においては、センサモジュールは対象者センサ40を含む。対象者センサは、対象者がトイレ上又はトイレの近傍にいるとき、及び/又は対象者が便器内に排便した及び/又は排尿したかどうかを検知するように構成されている。例えば、対象者センサは、糞便、尿、対象者、又は便器内の水の動きを検知するように構成されたモーションセンサを含んでもよい。代替的に又は付加的に、対象者センサは、浴室内の照明のスイッチが入れられたとき、又は対象者がトイレに着座したときを検出するように構成された光センサを含んでもよい。いくつかの用途においては、身体排出物からの光を検知するために使用される光センサは上述の機能のためにも使用される。このようないくつかの用途においては、センサモジュールはほとんどの時間、待機モードにあるように構成されている(センサモジュールが低減された電力量を使用するように)。センサモジュールは、対象者がトイレ上若しくはトイレの近傍にいること及び/又は対象者が便器内に排便した及び/又は排尿したことの検知に応答してスイッチが入れられる。通常、センサモジュールの画像化構成要素は、対象者がトイレ上若しくはトイレの近傍にいること及び/又は対象者が便器内に排便した及び/又は排尿したことの検知に応答して画像を取得する。いくつかの用途においては、対象者は手動でセンサモジュールのスイッチを入れる。
【0055】
いくつかの用途においては、センサモジュールは、通常、便器内の糞便を振動させるように構成された振動構成要素42を含む。振動要素は、超音波振動子、モータにより動作する機械的要素及び/又は水の噴流を放出するように構成されたポンプを含んでもよい。振動要素は、通常、糞便片中にある血液が画像化構成要素に見えるようになるように、糞便を小片に砕くように構成されている。いくつかの用途においては、振動構成要素は、便器内に、センサモジュールとは別個に配置されていることに留意されたい。いくつかの用途においては、振動構成要素は使用されず、装置20が、糞便が砕けて便器内に落下し、便器に衝突することにより、十分なレベルの特異性を持って血液が糞便中に存在するかどうかを決定することができる。
【0056】
通常、センサモジュールは、コンピュータプロセッサ44と、メモリ46と、通信モジュール48と、を含む。コンピュータプロセッサ44は、本明細書中に記載される機能を実施するために画像化構成要素を駆動するように構成されている。いくつかの用途においては、コンピュータプロセッサは、更に、本明細書中に記載される分析機能を実施するように構成されている。このような用途においては、コンピュータプロセッサ44は、通常、通信モジュール48を介して、分析の結果(例えば、糞便中の血液の陽性検知)をユーザインタフェースデバイス32(図1)などのリモートデバイスに通信する。あるいは、本明細書で上述したように、受信した光の分析は、リモートコンピュータプロセッサ、例えば、ユーザインタフェースデバイスの一部であるコンピュータプロセッサによって実施されてもよい。このような用途においては、コンピュータプロセッサ44は、通常、生の画像化データ及び/又は光信号を、通信モジュール48を介してリモートコンピュータプロセッサに通信する。いくつかの用途においては、コンピュータプロセッサはデータをメモリ46に記憶する。データは、後に取り出され、分析されてもよい生データ及び/又は画像化構成要素によって受信された光のスペクトル分析の結果を含んでもよい。メモリ46は、物理的に取り出すことができるSDカードなどのメモリカードを含んでもよい。通信モジュールは、通常、Wifi、Bluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)などの周知のプロトコル、又は任意の近距離通信(NFC)プロトコルを使用して外部デバイス(例えば、ユーザインタフェースデバイス32)と通信するように構成されている。
【0057】
いくつかの用途においては、センサモジュール22は、インジケータ50、例えば、視覚インジケータ(LED光など)、又は聴覚インジケータ(例えば、警告音を発するように構成されたスピーカ)を含み、インジケータは、試料が無事に画像化されたとき及び/又はデータがユーザインタフェースデバイス32などのリモートデバイスに無事に送信されたときに対象者に示すように構成されている。図示しないが、インジケータは、通常、コンピュータプロセッサ及び/又は通信モジュールなどのセンサモジュールの他の構成要素と対話することに留意されたい。
【0058】
ここで、図3A図3Bを参照すると、本発明の各用途による画像化構成要素24の構成要素の概略図である。画像化構成要素24は、通常、便器内の水に面しているセンサモジュール22の面に配置されている。図3A図3Bは、上述のセンサモジュールの面の概略図である。
【0059】
以下で更に詳細に記載するように、通常、身体排出物中の血液シグネチャを検出するために、身体排出物から反射される及び/又は身体排出物によって透過される光内の特定のスペクトルバンドが検出される。通常、スペクトルバンドは、530nm~785nmの範囲内(例えば、530nm~600nm)の波長を中心とする。更に通常、約540nm、565nm、及び575nmを中心とする2つ以上のスペクトルバンドが検出される。いくつかの用途においては、血液の存在を示す他のスペクトルバンドが測定される。例えば、約425nm(例えば、420~430nm)を中心とするスペクトルバンド及び/又は約500nm(例えば、490~510nm)を中心とするスペクトルバンドが検出されてもよい。スペクトルバンドの幅は、通常、3nm超(例えば、5nm超又は8nm超)、及び/又は40nm未満(例えば、20nm未満又は12nm)、例えば、3~40nm、5~20nm、又は8~12nmである。概ね所与のスペクトル値を中心とするものとして本明細書中に記載されるスペクトルバンドは、所与の値プラス/マイナス5nmを中心とするスペクトルバンドを含むものと解釈すべきである。
【0060】
図3Aを参照すると、いくつかの用途においては、センサモジュール22の画像化構成要素24は、白色光を発する光源68(例えば、LED発光体又は異なる種類の照明)を含む。加えて、画像化モジュールは、光センサとして機能する2つ以上のカメラを含む。2つ以上のカメラは、上述のスペクトルバンドのうちの第1スペクトルバンド(カメラ62)、上述のスペクトルバンドのうちの第2スペクトルバンド(カメラ64)及び/又は上述のスペクトルバンドのうちの第3のスペクトルバンド(カメラ66)を検出するためなどのフィルタを含むカラーカメラ60及び/又はモノクロカメラを含んでもよい。カメラは装置20の光センサとして機能し、光源は、便器及び身体排出物を照明するように機能する。いくつかの用途においては、全4つのカメラが画像化構成要素内で使用される。いくつかの用途においては、異なるタイプの光センサ(例えば、分光計)がカメラの代わりに又はカメラに加えて使用される。
【0061】
いくつかの用途においては、装置20のコンピュータプロセッサは、身体排出物の各部分内のスペクトル成分を、カメラにより取得された画像内の各画素を個々に分析することによって同定するように構成されている。身体排出物の所与の部分のスペクトル成分を同定するために、コンピュータプロセッサは、各カメラにより取得された画像の画素間の対応関係を決定する。通常、いくつのカメラが使用されるかを問わず、例えば、全てのカメラが10平方センチメートル未満の面積(例えば、5平方センチメートル未満の面積又は1平方センチメートル未満の面積)以内に配置されるように、全てのカメラが互いに非常に近接して配置される。いくつかの用途においては、互いに非常に近接して配置されたカメラを使用することで、各カメラにより取得された画像の画素間の対応関係の決定を容易にする。
【0062】
図3Bを参照すると、いくつかの用途においては、センサモジュール22の画像化構成要素24はカラーカメラ60を含み、各スペクトルバンドの光を発する2つ以上の光源(例えば、LED照明又は他の種類の照明)を含む。2つ以上の光源は、通常、光源68(図3Aを参照して記載したように、白色光を発するように構成されている)、及び/又は上述のスペクトルバンドのうちの第1スペクトルバンド(光源72)、上述のスペクトルバンドのうちの第2スペクトルバンド(光源74)、及び/又は上述のスペクトルバンドのうちの第3のスペクトルバンド(光源76)の光を発するように構成されている光源を含む。いくつかの用途においては、光源の1つ以上に狭帯域フィルタが取り付けられている。カメラは装置20の光センサとして機能し、光源は、便器及び身体排出物を照明するように機能する。いくつかの用途においては、全4つの光源が画像化構成要素で使用される。
【0063】
いくつかの用途においては、画像化構成要素は光源を含まず、画像化構成要素の光センサ(例えば、カメラ)は周囲光に依存することに留意されたい。あるいは、画像化構成要素の光源及び光センサは、便器の互いに異なる側に配置されていてもよい。いくつかの用途においては、画像化構成要素は、身体排出物の光透過及び/又は光反射を検出するように構成されている。代替的に又は付加的に、画像化構成要素は身体排出物の光吸収を検出するように構成されている。概して、本願の範囲は、身体排出物及び/又は身体排出物に接する便器内の水の光反射スペクトル、光透過スペクトル及び/又は光吸収スペクトルのスペクトル成分の強度を検出する及び/又は算出することによって、本明細書に記載する身体排出物の光スペクトルのスペクトル成分を検出することを含む。いくつかの用途においては、画素毎に光を検出するように構成されている1つ以上のカメラを使用するよりもむしろ、分光計を使用して、身体排出物から反射した光の全体的なスペクトルを検出し、反射した光を分析する。
【0064】
いくつかの用途においては、カラーカメラ60はマルチスペクトルカメラ又はハイパースペクトルカメラである。例えば、ハイパースペクトルカメラは身体排出物の画像を取得するために使用してもよく、コンピュータプロセッサは、2つの空間的次元及び1つの波長次元を含むデータのハイパーキューブを生成することによってデータを分析してもよい。コンピュータプロセッサは、身体排出物内に血液があるか否かを、ハイパーキューブを分析することによって決定してもよい。
【0065】
図3A図3Bに示す光源及び光センサの特定の配置は例であり、本発明の範囲は、光源及び/又は光検出器の代替的又は付加的な配置を使用することを含むことに更に留意されたい。例えば、4つよりも多い又は少ない光源及び/又は光センサが使用されてもよい。同様に、光源及び/又は光センサは図3A図3Bに示すものと異なる構成で配置されていてもよい。本発明の範囲は、本明細書に記載する測定の実施を容易にする任意の構成で配置された光センサ及び光源の任意の組み合わせを使用することを含む。
【0066】
通常、センサモジュール22の画像化構成要素24の光センサは、本明細書で上述したように、対象者がトイレ上若しくはトイレの近傍にいること及び/又は対象者が便器内に排便した及び/又は排尿したことの検知に応答して画像を取得する。いくつかの用途においては、カメラ60、62、64及び/又は66による画像の取得中、画像のバーストが所与の時間間隔で取得される。例えば、バーストは3秒毎、5秒毎、又は10秒毎に1度取得されてもよい。画像の各バーストは、通常、1~8つの画像、例えば、3~5つの画像を含む。通常、所与の排出物において取得される全画像は、各バースト内の各画像の取得間で身体排出物の実質的な動きがないように20秒未満の合計時間以内に取得される。いくつかの用途においては、画像フレーム当たりの最大露出時間は通常10msである。あるいは、画像フレーム当たりの露出時間は10ms超、例えば、35ms超であってもよい。
【0067】
本明細書中に記載される装置及び方法は、赤血球から反射して戻り、光センサによって収集された光を用いる。いくつかの実施形態では、この光は周囲光源から反射させることができ、他の実施形態では、光源はシステムの一体部品である。いくつかの実施形態では、このような光源は、1つ以上の波長のLED又はバンドパスフィルタを有する広帯域光源であり得る。本明細書で上述したように、赤血球は、試験媒体から反射され、光センサによって検出され得る同定性のあるスペクトルシグネチャを有し、このシグネチャは、本明細書中では、血液シグネチャと呼ばれる。
【0068】
いくつかの用途においては、センサモジュールは、2つ以上の波長の吸収、透過及び/又は反射の数学的関数による値が戻されたこと、又は波長の重み付き関数が特定の値を戻したことの検知に応答して身体排出物中の血液の存在を検知する。本明細書で上述したように、いくつかの用途においては、センサモジュールは光センサの出力をユーザインタフェースデバイス32(図1)に送信し、コンピュータプロセッサによってデバイス上で実行されるソフトウェアが分析を実施する。
【0069】
概して、装置20は、通常、患者から排泄された生物学的流体に照射し、便器の水を通過する照明源(すなわち、光源)を含む。いくつかの用途においては、放射(例えば、可視光域内の放射)は、標本の光シグネチャを評価するために、目的の様々な波長で放出される。光検出器は、光源に対して反対側に、同じ側に、又は便器内の他のどこにでも配置される。例えば、光検出器は、身体排出物及び/又は身体排出物に接する便器内の水を通過する、光源からの光を検出するなどのために、光源に面していてもよい。本発明のいくつかの用途は、可視光域内の放射の検知を使用し、本明細書中に記載される技法を実施することに関するが、本発明の範囲は、任意のスペクトルバンドの放射を使用し、本明細書に記載される技術を準用して実施することを含むことに留意されたい。
【0070】
いくつかの用途においては、白色光広帯域照明源が使用され(例えば、白色光源68)、光検出器は、少なくとも2つの光検出器(例えば、カメラ60、62、64及び66のうちの2つ以上)を含んでもよい。各光検出器は、生物学的流体を通過後の異なる波長の光を収集するための異なるフィルタを含んでもよい。フィルタは、狭帯域フィルタ、干渉フィルタ、吸収フィルタ、又は回折光学素子(DOE:diffractive optical element)フィルタであってもよい。
【0071】
ここで、本発明のいくつかの用途による、大便試料から記録されたスペクトログラムを示すグラフである図4を参照する。未加工のヒトの大便試料及び0.2mlの血液を注入したヒトの大便試料を、水道水を約70mmの高さまで(水を約500cc)収容したガラス容器(寸法86x86x90mm)内に入れた。400~700nmの範囲内及び約220ルーメンの強度の白色LED光を容器内に向け、容器から反射された光のスペクトログラムを標準的な分光計を使用して取得した。
【0072】
太い曲線は未加工の大便試料から得られたスペクトログラムであり、細い曲線は血液を含む大便から得られたスペクトログラムである。認められ得るように、グラフの拡大部分内において、血液を含む試料から得られたスペクトログラムは、約540nm(谷)、565nm(山)、及び575nm(谷)に特徴的な谷-山-谷形状を含む。この特徴的な形状は血液シグネチャの一例であり、この形状は血液の存在を示す。具体的には、この形状は、血液中の赤血球に存在するオキシヘモグロビンによる光吸収を示す。
【0073】
上記結果は、大便試料内の血液シグネチャは特定の条件下で検出され得ることを示す。更に、上記結果は、試料の全体的なスペクトルプロファイルを分析するスペクトログラムを使用することにより得られる。本発明の特定の用途の場合のように試料を画素毎に分析する場合、血液シグネチャは、より高い感度及び特異性を持って検出されることが予想され得る。
【0074】
ここで、本発明のいくつかの用途に従い行われた実験中に各試料から記録されたスペクトル成分の比率を示す棒グラフである図5を参照する。図4に関して上述した技法を使用して、複数の試料のスペクトログラムが分析された。試料には以下が含まれる。
1.新鮮なビート。
2.新鮮な生肉。
3.血液を含まない糞便試料。
4.血液を含まない第2糞便試料。
5.ラム酒と赤色食品着色料との混合物。
6.糞便と0.2mlの血液とを含む試料。試料はかき混ぜていない。
7.糞便と0.2mlの血液とを含む試料。試料は棒で1回混ぜることでかき混ぜた。
8.糞便と0.2mlの血液とを含む試料。試料は棒で2回混ぜることでかき混ぜた。
9.糞便と5滴の血液とを含む試料。試料はかき混ぜていない。
10.糞便と5滴の血液とを含む試料。試料は棒で2回混ぜることでかき混ぜた。
【0075】
血液は血液銀行から入手し、クエン酸塩中で保存した。
【0076】
各試料について、受信したスペクトログラムを、2つの比率を算出することによって分析した。比率1は、575nmを中心とした10nmバンドの強度に対する、565nmを中心とした10nmバンドの強度の比率である(I(565)/I(575))。比率2は、540nmを中心とした10nmバンドの強度に対する、565nmを中心とした10nmバンドの強度の比率である(I(565)/I(540))。実験のために、比率1が1.05を超え、かつ比率2が0.8を超えた場合、試料が血液を含むことを示すように、閾値は、比率1では1.05、比率2では0.8に設定した。これは、血液を含む試料は、約540nm(谷)、565nm(山)、及び575nm(谷)に特徴的な谷-山-谷形状を有する血液シグネチャを有すると予想される一方、図4の太い曲線で示すように、血液を含まない試料では、スペクトログラムの傾きが540nm~575nmで増加すると予想されることが理由である。結果は図5に示す棒グラフで示し、以下の表にまとめる。
【0077】
【表1】
【0078】
図5及び上記表に基づき認められ得るように、概して、上述の比率及び閾値を使用すると、5つのケースのうち4つで糞便中に血液が検出された。概して、血液が試料中に存在していなかったケースでは、上述の比率及び閾値を使用すると、以下で記載する肉試料(試料2)以外では血液は検出されなかった。これら結果は、本明細書に記載する技術を使用して排出物をスペクトル分析することによって、身体排出物中の血液を検出することができることを示す。したがって、本発明のいくつかの用途において、530nm~785nmの範囲内(例えば、530nm~600nm)の波長を中心とするスペクトルバンドが検出される。通常、約540nm、565nm、及び575nmを中心とする2つ以上のスペクトルバンドが検出される。スペクトルバンドの幅は、通常、3nm超(例えば、5nm超又は8nm超)、及び/又は40nm未満(例えば、20nm未満、又は12nm未満)、例えば、3~40nm、5~20nm、又は8~12nmである。いくつかの用途においては、上述のスペクトルバンドの強度の、互いに対する1つ以上の比率が決定される。例えば、約575nmを中心とするバンドの強度に対する、約565nmを中心とするスペクトルバンドの強度の比率(又はこの逆)が決定されてもよい、及び/又は約540nmを中心とするバンドの強度に対する、約565nmを中心とするスペクトルバンドの強度の比率(又はこの逆)が決定されてもよい。いくつかの用途においては、上述のスペクトルバンドの強度間の、互いに対する異なる関係が決定される。いくつかの用途においては、強度以外の各スペクトルバンドのパラメータ間の関係が決定される。いくつかの用途においては、血液の存在を示す他のスペクトルバンドが測定される。例えば、本発明者により水中の全血に対して実施された実験の結果は、約425nmに反射スペクトルの谷があることを示した。図5に関して記載する実験において、血液を含む糞便試料のいくつかは、約500nmにその反射スペクトルの山を示した。したがって、いくつかの用途においては、約425nm(例えば、420~430nm)を中心とするスペクトルバンド及び/又は約500nm(例えば、490~510nm)を中心とするスペクトルバンドが検出される。
【0079】
図5に示し、上記表にまとめた結果は、分析した試料の一部を示すことに留意されたい。概して、肉試料を分析したとき以外で偽陽性はなかった。新鮮な生肉は動物の血液の残留物を有し、これが水中に溶解していることから、これは予想されることである。本発明のいくつかの用途によれば、このような偽陽性は、本明細書で上述したように、対象者が排泄の所与の時間間隔以内に赤肉を食したかどうかなどの質問を対象者に尋ねることによって低減される。
【0080】
偽陰性は、血液を固形の糞便に注入したが、水には達しなかった(試料6のケース)場合に認められた。本発明のいくつかの用途によれば、このような偽陰性は、本明細書中に記載される技法に従い、便器内の糞便を混合、振動及び/又は撹拌することによって低減される。実験では、ガラス容器内に大便が配置されたときに血液を大便と混合したことに留意されたい。通常、人が便器に排泄するとき、糞便が便器内に落下し、便器に衝突することによって糞便は攪拌される。したがって、本発明のいくつかの用途において、便器内に置かれた糞便に対して能動的な撹拌は行われない。加えて、ビートを含む血液を試料として用いたケースで偽陰性があった(図5には示さず)。本発明のいくつかの用途において、このような偽陰性は、上述の実験で使用したものよりも高い光強度を使用することにより低減される。いくつかの用途によれば、身体排出物の分析はある期間にわたって実施されることから、隠れた血液が一部の排出物で見過ごされた場合、他の排泄物では検出される傾向にあることに更に留意されたい。
【0081】
ここで、本発明のいくつかの用途に従い実施されたシミュレーションの結果を示すグラフである図6を参照する。本明細書で上述した実験で得られた(a)糞便のスペクトログラム及び(b)5滴の血液のスペクトログラムを使用した。1滴のスペクトログラムをシミュレートし、使用する1滴の血液のスペクトログラムに関する信号対雑音比を向上させるために、5滴の血液のスペクトログラムを5で割った。シミュレーションは、糞便を各量の血液と混合する効果を生成するなどのためにスペクトルを人為的に混合するために実施した。上述の第1比率及び第2比率を、その後、スペクトルフィルタの増加するバンド幅について算出した。図6は、各バンド幅において検出可能であった滴の最小数を示すプロットである。20nmのバンド幅までは2滴の血液が検出可能であったが、30nm以上のバンド幅では、血液が検出可能であるためには最低でも3滴の血液が必要であったことが認められ得る。したがって、本発明のいくつかの用途において、約540nm、565nm、及び575nmを中心とする2つ以上のスペクトルバンドが検出され、スペクトルバンドの幅は、通常、3nm超(例えば、5nm超又は8nm超)、及び/又は40nm未満(例えば、20nm未満、又は12nm未満)、例えば、3~40nm、5~20nm、又は8~12nmである。
【0082】
ここで、本発明のいくつかの用途に従い実施される手順の工程を示すフローチャートである図7を参照する。
【0083】
第1工程(工程80)において、本明細書で図2を参照して上述したように、センサモジュール22(例えば、センサモジュールの対象者センサ40)が、対象者がトイレの近傍に又はトイレ上に存在することを検出する、及び/又は身体排出物がトイレに排出されたことを検出する。検出に応じて、センサモジュールの画像化構成要素24は、通常、1つ以上のカメラ(例えば、1つ以上のマルチスペクトルカメラ又は1つ以上のハイパースペクトルカメラ)を使用して画像を取得することにより便器から光を受信する(工程82)。本明細書で上述したように、本発明の範囲は、任意のスペクトルバンドの放射を受信することを含み、可視光域内の放射を受信することに限定されない。
【0084】
受信した光はコンピュータプロセッサによって分析される(例えば、スペクトル分析される)。本明細書で上述したように、このコンピュータプロセッサは、センサモジュールのコンピュータプロセッサ44又は異なるコンピュータプロセッサであってもよい。通常、530nm~785nmの範囲内(例えば、530nm~600nm)の波長を中心とするスペクトルバンドが検出される。更に通常、血液シグネチャスペクトル成分が検出される(工程84)。例えば、赤血球の成分(例えば、オキシヘモグロビン)による光吸収を示す、受信した光内の1つ以上のスペクトル成分が検出されてもよい。本明細書で上述したように、本発明のいくつかの用途において、約540nm、565nm、及び575nmを中心とする2つ以上のスペクトルバンドが検出される。いくつかの用途においては、血液の存在を示す他のスペクトルバンドが測定される。例えば、約425nm(例えば、420~430nm)を中心とするスペクトルバンド及び/又は約500nm(例えば、490~510nm)を中心とするスペクトルバンドが検出されてもよい。(本明細書で上述したように、概ね所与のスペクトル値を中心とするものとして本明細書中に記載されるスペクトルバンドは、所与の値プラス/マイナス5nmを中心とするスペクトルバンドを含むものと解釈すべきである。)いくつかの用途においては、例えば、本明細書で上述したように、検出されたスペクトル成分は各成分の強度の、互いに対する比率を算出することによって分析される(工程86)。代替的に又は付加的に、スペクトル成分は異なる手法で分析されてもよい。(工程86は、比率を算出する特定の工程が任意であることを示すために点線のボックス内にある。)スペクトル分析に応じて、コンピュータプロセッサは、血液を検出し(工程88)、例えば、ユーザインタフェースデバイス32上に出力を生成する(工程90)。
【0085】
本発明の範囲は、赤血球の成分による光吸収を示す任意のスペクトル成分、例えば、ヘモグロビン、メトヘモグロビン及び/又はヘムを示すスペクトル成分を検出することを含む。いくつかの用途においては、尿及び/又は糞便の光吸収を示すスペクトル成分が検出される。いくつかの用途においては、コンピュータプロセッサは、検出された血液が糞便及び/又は尿に関連付けられる血液であり、異なる源からのものではないことを立証するために、血液を伴う糞便及び/又は尿があるかどうかを決定する。加えて、本発明の範囲は、受信した光内の各スペクトルバンドのパラメータ(例えば、強度)間の任意の種類の関係を決定することを含み、各スペクトルバンドのパラメータ(例えば、強度)間の比率を決定することに限定されない。更に、本明細書で上述したように比率1及び比率2が算出される用途においても、使用されたと記載した閾値は例示であり、本発明の範囲は、本明細書で上述したものと異なる閾値を使用することを含む。例えば、校正された光センサが使用される用途においては、比率1(すなわち、I(565)/I(575))に対して、1を超える及び/又は1.5未満(例えば、1~1.5)の閾値を使用してもよく、比率2(すなわち、I(565)/I(540))に対して、0.7を超える及び/又は1未満(例えば、0.7~1)の閾値を使用してもよい。光センサが校正されない用途においては、比率は異なっていてもよい。
【0086】
この段階において、出力は、対象者の血液が身体排出物中にあるという疑いを示し得ることに留意されたい。いくつかの用途においては、疑いを確認するために、ユーザは、本明細書で上述したように、ユーザに確認の質問(質問の答えは、通常、検出された血液の源を示す)をすることにより入力を行うことが要求される。コンピュータプロセッサは対象者から確認の質問に関する入力を受信する(工程92)。ユーザからの入力が、血液の検出が偽陽性(例えば、対象者が赤肉を食したことに起因し得る)でないことを示す場合、コンピュータプロセッサは、血液イベントが発生したことを記録する(工程94)。例えば、コンピュータプロセッサは、センサモジュールのメモリ46にイベントを記録してもよい。いくつかの用途においては、血液イベントはユーザから入力を受信せずとも記録される(工程92)。例えば、コンピュータプロセッサは、血液イベントを長期にわたって監視するのに使用される閾値に偽陽性の尤度を組み込むなどによる異なる手法で偽陽性を説明してもよい。(工程92は、この工程が任意であることを示すために点線のボックス内にある。)
【0087】
通常、図7の工程80~90(大きな点線のボックス内の工程)は、対象者が便器に身体排出物を排出した後、対象者又は他のあらゆる人物による何らかの行為を必要とすることなく実施される。
【0088】
ここで、英語版のWikipedia,CC BY-SA 3.0,https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=3447869のBme591wikiprojectにより提供される、紫外領域、可視領域及び近赤外光領域内の酸化ヘモグロビン(HbO2)及び脱酸素化ヘモグロビン(Hb)の光吸収スペクトルを示す図8を参照する。本明細書で上述したように、いくつかの用途においては、血液シグネチャは、血液の成分の光吸収曲線の特徴的な形状を示す2つ以上(及び通常、3つ以上)のスペクトル成分を検出することにより検出される。例えば、本明細書で上述したように、約540nm(谷)、565nm(山)、及び575nm(谷)に特徴的な谷-山-谷形状が検出されてもよい。この特徴的な形状は血液シグネチャの一例であり、この形状は血液の存在を示す。具体的には、この形状は、血液中の赤血球に存在するオキシヘモグロビンによる光吸収を示す。
【0089】
本発明の範囲は、血液の成分の光吸収スペクトルにおいて互いに特徴的な関係を有する任意の一連の3つ以上のスペクトル成分を同定することを含む。通常、3つ以上の成分は、スペクトルの紫外領域、可視領域及び/又は近赤外光領域内にある。例えば、デオキシヘモグロビンの光吸収スペクトルにおいて互いに特徴的な関係を有する一連の3つ以上のスペクトル成分が検出されてもよい。図8を参照すると、このような一連の3つの成分の一例は、デオキシヘモグロビンの光吸収スペクトルにおいて約435nm(山)、480nm(谷)、及び555nm(山)で示される山-谷-山形状である。いくつかの用途においては、血液を同定するのに使用される3つのスペクトル成分のうちの1つは約425nm(例えば、420~430nm)である。いくつかの用途においては、血液を同定するのに使用される3つのスペクトル成分のうちの1つは約500nm(例えば、490nm~510nm)である。(図8はオキシヘモグロビン及びデオキシヘモグロビンの吸収スペクトルを示すことから、身体排出物から反射される光のこれら成分間の関係は、図8に示すものとは異なることに留意されたい。吸収スペクトルが山-谷-山形状を示す場合、反射される又は透過される光スペクトルは谷-山-谷形状を示し、この逆も同様である。同様に、図4(反射された光スペクトルを示す)に示されるオキシヘモグロビン曲線の谷-山-谷パターンは図8に山-谷-山パターンとして現れる。)いくつかの用途においては、血液の異なる成分の光吸収スペクトルにおいて互いに特徴的な関係を有する一連の3つ以上のスペクトル成分が検出される。例えば、血液の成分は、赤血球中に存在する血液の成分(例えば、メトヘモグロビン、カルボキシヘモグロビン及び/又はヘム)、及び/又は非赤血球成分(血小板など)を含み得る。
【0090】
本明細書で上述したように、いくつかの用途においては、目的のスペクトル成分を中心としたスペクトルバンドが検出される。スペクトルバンドの幅は、通常、3nm超(例えば、5nm超又は8nm超)、及び/又は40nm未満(例えば、20nm未満、又は12nm未満)、例えば、3~40nm、5~20nm、又は8~12nmである。
【0091】
通常、血液成分を身体排出物内の他の成分から区別するために、本明細書で上述した技法に従い、一連の少なくとも3つのスペクトル成分が検出される。しかしながら、本発明の範囲は、血液の成分の吸収スペクトルにおいて互いに特徴的な関係を有する2つ以上のスペクトル成分を検出することを含む。通常、成分は、スペクトルの紫外領域、可視領域及び/又は近赤外光領域内、例えば、400nm~600nmにある。
【0092】
ここで、本発明のいくつかの用途に従い行われた実験において各細菌株から記録された赤外線透過スペクトルを示す図9を参照する。また、各細菌株から記録された紫外線透過スペクトルを示す図10を参照する。
【0093】
実験では、大腸菌(Escherichia coli)(大腸菌(E.coli))の血清型O25、O87及びラクトバチラス-プランタルム(Lactobacillus plantarum)(“L.plantarum”)株を使用した。細菌は全て、トリプチックソイブロス(Sigma-Aldrich)培地で37℃にて一晩培養した。等量(5mL)の新鮮培養株をペトリ皿に入れ、スペクトル分析を行った。実験は異なる細菌の培養株を用いて2回のセッションにわたり行った。第1セッションでは、大腸菌(E.coli)O25及びラクトバチラス-プランタルム(L.plantarum)を使用し、第2セッションでは、上述の株の3つ全てを使用した。対照として、ペトリ皿内の新鮮かつ清浄なトリプチックソイブロス培地を更に5ml使用した。
【0094】
光ファイバ(StellarNet、F600 VIS-NIR)に取り付けられ、USBポートを介してコンピュータに接続された分光計(StellarNet、BLUE-Wave Miniature Spectrometer)を用い、各皿の光透過を試験した。コンピュータは、設定期間(積分時間)にわたりソフトウェアのスコープモードを使用して波長200nm~1000nmの光子計数の読取りを可能にするSpectraWizソフトウェアを実行した。
【0095】
3つの異なる波長域、すなわち、白色域(OPT machine vision PI0803、400nm~750nm)、紫外域(OPT machine vision PI0803、360nm~410nm)及び赤外域(860nm~1000nm)を有する光源を使用した。
【0096】
光源及び検出器を垂直スタンド上に置き、検出器がペトリ皿から伝送される光子を受け取るように、ペトリ皿を光源と検出器との間に置いた。実験中、周囲光はオフにした。最初に、光源をオンにし、対照皿及び光センサの真下に配置した。飽和のない最大ピーク(すなわち、光子計数50,000以下)を持つ最小積分時間を見出すために、SpectraWizソフトウェアを使用し、異なる積分時間を用いて強度を測定した。その後、ダークスペクトルを設定するために光源をオフにした。これを行った後、光源を用いて各皿の強度を試験した。対照皿の最大ピークを検査する一方で、各光源について、新たな積分時間及びダークスペクトルを設定した。細菌株によって透過される光のフラクションを受けるために、各細菌株の強度を対照の強度で除し、各細菌株の光透過率を算出した。
【0097】
図9は、第2セッションで記録された、赤外線源を使用したときの各細菌株の透過率を示す。上(実線)の曲線は大腸菌(E.coli)25の透過スペクトルであり、中央(点線)の曲線は大腸菌(E.coli)87の透過スペクトルであり、下(点線の曲線)はラクトバチラス-プランタルム(L.plantarum)の透過スペクトルである。各細菌株の透過スペクトルの間に相違があることが認められ得る。図10は、第2セッションで記録された、紫外線源を使用したときの各細菌株の透過率を示す。この場合も、各細菌株の透過スペクトルの間に相違があることが認められ得る。可視光線源を使用した場合にも同様の結果が認められた。図10に示される紫外線透過スペクトルに関しては、透過される光の少なくとも一部は細菌の蛍光によるものであると仮定される。
【0098】
したがって、本発明のいくつかの用途によれば、身体排出物(例えば、糞便及び/又は尿)から透過又は反射される光は、身体排出物中に存在する1種以上の細菌株又は他の微生物を同定するために分析される。いくつかの用途においては、分析は、対象者が身体排出物を便器に排出した後に、本明細書で上述した技法に従い自動的に実施される。いくつかの用途においては、光(例えば、紫外光、可視光及び/又は赤外光が身体排出物に向かって伝送される)が身体排出物に向かって伝送され、身体排出物から透過される光が検出され、分析される。検出される透過光は、微生物からの反射及び/又は微生物の蛍光による可能性がある。
【0099】
図9及び図10に示されるスペクトルの拡大部分に関しては、各細菌株のスペクトルは、互いに特徴的な関係を有するスペクトル成分を含むことに留意されたい。例えば、ラクトバチラス-プランタルム(L.plantarum)は、854nm、857nm及び859nmに谷-山-谷パターンを有する。同様に、大腸菌(E.coli)87は、852nm、854nm及び859nmに谷-山-谷パターンを有する。これら結果によれば、いくつかの用途においては、身体排出物中に存在し得る所与の種類の微生物(例えば、細菌、ウイルス、又は真菌などの寄生微生物)の存在を検出するために、本明細書中に記載される、身体排出物内の血液を検出するための方法及び装置が使用される。例えば、微生物は、特徴的な光スペクトル(例えば、透過スペクトル、反射スペクトル、吸収スペクトル及び/又は蛍光スペクトル)を有し得る。通常、微生物は、微生物の光スペクトル内において互いに特徴的な関係を有する一連の3つ以上のスペクトル成分を検出することによって検出される。いくつかの用途においては、微生物は、微生物の光スペクトル内において互いに特徴的な関係を有する一連の2つ以上のスペクトル成分を検出することによって検出される。通常、スペクトル成分は、スペクトルの紫外領域、可視領域及び/又は近赤外光領域内にある。いくつかの用途においては、検出されるスペクトル成分は、微生物の蛍光による。いくつかの用途においては、コンピュータプロセッサは、対象者の胃腸管の感染のレベルを、微生物の蛍光信号に基づき決定する。このようないくつかの用途においては、決定に応じて、コンピュータプロセッサは、対象者が炎症性腸疾患及び/又は赤痢などの状態に現在罹患していることを示す及び/又はこのような状態に関連するイベントの到来を予測する出力を生成する。代替的に又は付加的に、コンピュータプロセッサは、対象者が医療専門家にかかることを推奨する出力を生成してもよい。
【0100】
本発明のいくつかの用途において、本明細書中に記載される装置及び方法は、身体排出物(糞便又は尿など)内の白血球を検出するために、及び/又は例えば、白血球、単球、好中球及び/又は好酸球間を区別することにより白血球を分類するために使用される。例えば、コンピュータプロセッサは、白血球の存在及び/又は白血球の量(例えば、濃度、計数及び/又は体積)を検出してもよい。このようないくつかの用途においては、例えば、“Natural fluorescence of white blood cells:spectroscopic and imaging study,“by Monici et al.(Journal of Photochemistry and Photobiology B:Biology 30(1995)29-37)に記載されている技法に従い、白血球を光源のうちの1つから伝送される光で励起することによって(例えば、250~370nm、250~265nm及び/又は366~436nmの励起信号を使用して)白血球が自家蛍光(auto-fluoresce)するようにしてもよい。通常、白血球の存在及び/又は分類は、コンピュータプロセッサが、本明細書中に記載される技法に従い、自家蛍光信号中の特徴的なシグネチャ(例えば、互いに特徴的な関係を有する3つ以上のスペクトル成分を含むシグネチャ)を検出することによって同定される。いくつかの用途においては、コンピュータプロセッサは、対象者の胃腸管の感染のレベルを白血球の自家蛍光信号に基づき決定する。このようないくつかの用途においては、決定に応じて、コンピュータプロセッサは、対象者が炎症性腸疾患及び/又は赤痢などの状態に現在罹患していることを示す及び/又はこのような状態に関連するイベントの到来を予測する出力を生成する。代替的に又は付加的に、コンピュータプロセッサは、対象者が医療専門家にかかることを推奨する出力を生成してもよい。
【0101】
いくつかの用途においては、本明細書中に記載される装置及び方法は、胆汁、鉄、ビタミン(ビタミンA、ビタミンB及び/又はビタミンDなど)などの身体分泌物及び/又はホルモン(コルチゾール及び/又はヒト線毛性ゴナドトロピンなど)を検出するために準用して使用される。通常、身体分泌物は、例えば、本明細書で上述した技法を使用して、コンピュータプロセッサが、身体分泌物の光スペクトル(例えば、透過スペクトル、反射スペクトル、吸収スペクトル及び/又は蛍光スペクトル)において互いに特徴的な関係を有する一連の3つ以上のスペクトル成分を検出することによって検出される。いくつかの用途においては、身体分泌物は、コンピュータプロセッサが、身体分泌物の光スペクトルにおいて互いに特徴的な関係を有する一連の2つ以上のスペクトル成分を検出することによって検出される。通常、スペクトル成分は、スペクトルの紫外領域、可視領域及び/又は近赤外光領域内にある。いくつかの用途においては、検出されるスペクトル成分は、身体分泌物の蛍光による。いくつかの用途においては、本明細書中に記載される装置及び方法は、身体排出物(例えば、尿又は糞便)中に存在するビタミンの量及び/又は濃度を検出するために使用される。いくつかの用途においては、検出に応じて、本明細書中に記載される装置及び方法は、対象者によるビタミンの過剰使用を検出するために使用される。
【0102】
いくつかの用途においては、本明細書中に記載される装置及び方法は、対象者の糞便の色及び/又はテクスチャを検出するために、及び/又は対象者の糞便の色及び/又はテクスチャの経時的な変化を検出するために準用して使用される。いくつかの用途においては、上述の身体分泌物の任意の1つの存在又は濃度は、コンピュータプロセッサが、対象者の糞便の色及び/又はテクスチャを検出することによって及び/又は対象者の糞便の色及び/又はテクスチャの経時的な変化を検出することによって検出される。
【0103】
生理的条件(ストレス、労作、妊娠等など)及び特定の病状(セリアック病、糖尿病、精神障害、ラクターゼ減少、肝炎、肝胆道系疾患、炎症性腸疾患、吸収不良症候群、アレルギー、炎症、自己免疫症候群など)が糞便の色及び/又はテクスチャに影響する。したがって、いくつかの用途においては、対象者の糞便の検出された色及び/又はテクスチャ及び/又は対象者の糞便の検出された色及び/又はテクスチャの経時的な変化に少なくとも一部応じて、コンピュータプロセッサは、対象者が1つ以上の生理的条件(ストレス、労作、妊娠等など)下にあることを特定する。いくつかの用途においては、対象者の糞便の検出された色及び/又はテクスチャ及び/又は対象者の糞便の検出された色及び/又はテクスチャの経時的な変化に少なくとも一部応じて、コンピュータプロセッサは、対象者が1つ以上の病状(セリアック病、糖尿病、精神障害、ラクターゼ減少、肝炎、肝胆道系疾患、炎症性腸疾患、吸収不良症候群、アレルギー、炎症、自己免疫症候群等など)に罹患していることを特定する。いくつかの用途においては、対象者の糞便の検出された色及び/又はテクスチャ及び/又は対象者の糞便の検出された色及び/又はテクスチャの経時的な変化に少なくとも一部応じて、コンピュータプロセッサは、炎症性腸疾患に罹患している対象者が症状発現を伴っている可能性があることを示すアラートを生成する。
【0104】
ここで、本願の発明者によって測定され、本発明のいくつかの用途に従い使用される、800nmにおける、血液の光透過率と、嫌気的条件における血液の経過時間(分)との間の関係を示すグラフである図11を参照する。45歳未満の健康な成人から血液試料0.5mlを採取した。試料を、その後、二酸化炭素富化リン酸緩衝生理食塩水(「PBS」)溶液で、10部の二酸化炭素富化PBS溶液に対し1部の血液の比率で希釈した。試料を、その後、200nm~1000nm透過分光測定モードのTecan Infinite(登録商標)200 PROプレートリーダに置き、合計3時間25分にわたる経時的な透過率変化について試験した。
【0105】
図11は、800nmにおける透過率と血液試料の経過時間との間の変化を示す。透過強度と血液の経過時間との間には直線関係があり、透過強度は嫌気的条件における血液の経過時間の関数として減少することが認められ得る。
【0106】
また、上述の実験で測定され、本発明のいくつかの用途に従い使用される、嫌気的条件において各時間が経過した血液の光透過スペクトルを示す図12を参照する。図11を参照して記載されるように、例えば、800nmにおいては、血液の時間が経過するにつれて透過強度の減少がある。同様に、図12を参照すると、スペクトル領域C(すなわち、約590nm~1000nm)内の他の波長、及びスペクトル領域A(すなわち、約480nm~520nm)内の波長においては、血液の時間が経過するにつれて透過強度の減少がある。対照的に、図12に示すように、スペクトル領域B(すなわち、約520nm~590nm)内においては、血液は、嫌気的条件における血液の経過時間に関わらず概ね同様の透過強度を有する。
【0107】
ここで、本願の発明者によって測定され、本発明のいくつかの用途に従い使用される、(a)800nmにおける、血液の光透過率(透過率は他の波長における光透過率によって正規化されている)と(b)血液の経過時間(分)との間の関係を示すグラフである図13を参照する。図12を参照して記載したように、特定のスペクトル領域(例えば、図12の領域A及び領域C)内において、血液の透過率は嫌気的条件における血液の経過時間が増加するにつれて変化する一方、他のスペクトル領域(例えば、図12の領域B)内において、血液は、嫌気的条件における血液の経過時間に関わらず概ね同様の透過強度を有する。透過率が血液の経過時間とともに変化する波長における透過率が、透過率が一定のままである波長における透過率に対して正規化される場合、これは血液の経過時間の良好な表示となるはずであり、この表示は、検出される絶対透過率から独立している。したがって、上述の実験で測定した結果を使用し、800nmにおいて、血液の各経過時間に対し検出された透過率は、(a)535~545nm、(b)555~565nm、及び(c)575~585における透過率に対する、800nmにおける透過率の比率を算出することによって正規化した。次いで、これら比率の平均値を算出し、800nmにおける、血液の各経過時間に対し検出された透過率の正規化された測定値を得た。図13は、800nmにおける正規化された透過強度対嫌気的条件における血液の経過時間のグラフを示す。800nmにおける正規化された強度と嫌気的条件における血液の経過時間との間には直線関係があり、透過強度は嫌気的条件における血液の経過時間の関数として減少することが認められ得る。上述の結果は、身体排出物内の血液の透過強度は、嫌気的条件における血液の時間経過の長さの表示を提供するので、胃腸管内の血液の源を示すのに使用することができることを示す。更に、特定の波長における透過強度(例えば、図12の領域A及び領域C内の透過強度)が他の波長における透過強度(例えば、図12の領域B内の透過強度)に対して正規化される場合、これは、絶対透過強度から独立した嫌気的条件における血液の時間経過の長さの表示を得るために使用され得る。
【0108】
上述の結果によれば、本発明のいくつかの用途において、装置20(図1に示される)は、例えば、本明細書で上述した技法を使用して糞便内の血液を検出するために使用される。いくつかの用途においては、装置は、付加的に、対象者の胃腸管内から血液の源(例えば、血液が、上部胃腸管出血箇所から(対象者がポリープを有することを示す可能性がある)であるか、より下方の出血箇所からである(例えば肛門の外傷による可能性のある)かどうか)を決定するように構成されている。決定に応じて、装置は、通常、出力を生成する。例えば、装置は、上部胃腸管出血箇所からの血液の検知に応答して対象者が医療専門家にかかるべきであることを示すアラートを生成してもよい。
【0109】
通常、糞便内の血液は胃腸管を通過する際、嫌気的環境内にある。したがって、いくつかの用途においては、図11図13に示される結果は、糞便内の血液の源の決定において実施される。通常、コンピュータプロセッサ44は、(a)480~520nm(図12の領域Aに相当する)及び/又は590~1000nm(図12の領域Cに相当する)の範囲内にある1つ以上のスペクトル成分の強度を、(b)520~590nm(図12の領域Bに相当する)の範囲内にある1つ以上のスペクトル成分の強度に対して正規化する。通常、コンピュータプロセッサは、血液の経過時間を正規化された強度に基づき決定する。いくつかの用途においては、コンピュータプロセッサは、糞便中に存在する血液の源を、胃腸管内から決定し、決定に応じて、出力を生成する。例えば、コンピュータプロセッサは、糞便内に血液が存在するという表示、血液の源の可能性の表示、来たるべき症状発現(例えば、炎症性腸疾患症状発現)の予測の表示及び/又は対象者が医療専門家にかかるべきであるという表示を生成してもよい。
【0110】
例えば、(a)約480nm~520nmの波長(図12の領域Aに相当する)を有するスペクトル成分の強度及び(b)約520nm~590nmの波長(図12の領域Bに相当する)を有するスペクトル成分の強度との間の比率を決定してもよい。代替的に又は付加的に、(a)約590nm~1000nmの波長(図12の領域Cに相当する)を有するスペクトル成分の強度及び(b)約520nm~590nmの波長(図12の領域Bに相当する)を有するスペクトル成分の強度との間の比率を決定してもよい。いくつかの用途においては、2つ以上のこのような比率の代表値(例えば、平均値又は重み付き平均値)が決定される。いくつかの用途においては、糞便内の血液の源を決定するために、3つ以上のスペクトル成分が検出され、これらの強度間の関係が決定される。例えば、成分のうちの第1成分は、480nm~520nm(図12の領域Aに相当する)の波長を有する場合があり、第2成分は、約520nm~590nmの波長(図12の領域Bに相当する)を有する場合があり、第3の成分は、約590nm~1000nmの波長(図12の領域Cに相当する)を有する場合がある。
【0111】
いくつかの用途においては、糞便内の血液のスペクトルプロファイルを分析することの代わりに又はこれに加えて、装置20は、胃腸管内から血液の源を決定するために、糞便内の血液の空間的分布を分析する。例えば、コンピュータプロセッサは、血液が糞便に広がっている範囲及び/又は糞便内の血液の位置を分析してもよい。通常、血液が一様に広がっているとの検出に応答して、システムは、血液の源は上行結腸直腸管(upper colorectal tract)(この内部で糞便は比較的に流体であるため、血液は一様に広がることができ、この内部で蠕動運動により糞便と血液が混ざる)であると決定する。更に通常、血液が糞便内の分離された体積内に配置されているとの検出に応答して、システムは、血液の源は大腸直腸管内の下流の出血箇所(この場合、糞便は、通常、より固形のため、蠕動運動による混合によって血液が糞便内に一様に広がることはできず、血液は糞便内により不規則に広がることになる)であると決定する。更に通常、血液が糞便の表面上に付着するか便器の水中に拡散した場合、システムは、血液の源は直腸の近傍及び/又は直腸であると決定する。
【0112】
図1の記載によれば、通常、対象者は、上述の工程を実施するために、糞便に物理的に触れる必要はない。更に、対象者は、通常、例えば、デバイスを取り付ける、又はデバイスのバッテリーを交換する若しくは充電するために専用のセンシング装置の任意の部分に定期的に触れることのみを必要とする。(対象者はユーザインタフェースデバイスを扱う場合があるが、これは通常、対象者がセンシング装置を使用しない場合でも扱うデバイス(電話など)であることに留意されたい。)更に通常、上述の工程の実施には、対象者が便器に身体排出物を排出した後、排出物のスペクトル分析、排出物が血液を含むという決定及び/又は血液の源の決定を容易にするために、便器に何も加える必要はない。いくつかの用途においては、対象者は、便器に装置を取り付けた後、いかなる行為も行う必要はない。試験は自動であり、装置によって処理され、対象者の排出物の監視は対象者にとって円滑であり、異常が検出されない限りは対象者による承諾を必要としない。
【0113】
ここで、本願の発明者によって測定され、本発明のいくつかの用途に従い使用される、各体積の血液が混合された大便試料から反射した光強度の比率をグラフ化した散布図である図14を参照する。
【0114】
本明細書で上述したように、本発明のいくつかの用途において、約540nm、565nm、及び575nmを中心とする2つ以上のスペクトルバンドが検出される。いくつかの用途においては、検出されたスペクトル成分は各成分の強度の、互いに対する比率を算出することによって分析される。例えば、575nmを中心とした10nmバンドの強度に対する、565nmを中心とした10nmバンドの強度の比率(I(565)/I(575))が算出されてもよい及び/又は540nmを中心とした10nmバンドの強度に対する、565nmを中心とした10nmバンドの強度の比率(I(565)/I(540))が算出されてもよい。スペクトル分析に応じて、コンピュータプロセッサは、身体排出物内の血液を検出し、例えば、ユーザインタフェースデバイス32上に出力を生成する。
【0115】
糞便100gを4つの異なる量、すなわち、0マイクロリットル、125マイクロリットル、250マイクロリットル、及び500マイクロリットルの血液と混合した30個の試料に実験を行った。各試料について、上述の強度比率(I(565)/I(575)及びI(565)/I(540))を測定した。図14は、各試料について記録された強度比率の散布図を示す。血液0マイクロリットルを含む試料の結果は三角形の印で示され、このような試料の線形傾向線は破線及び点線で示される。血液125マイクロリットルを含む試料の結果は円形の印で示され、このような試料の線形傾向線は大きなダッシュの破線で示される。血液250マイクロリットルを含む試料の結果は菱形の印で示され、このような試料の線形傾向線は小さなダッシュの破線で示される。血液500マイクロリットルを含む試料の結果は正方形の印で示され、このような試料の線形傾向線は点線で示される。図14に示される結果は、本明細書に記載する強度比率は、身体排出物(尿又は糞便など)内の血液の存在のみならず、排出物内の血液の量(例えば、濃度又は体積)も示すことができることを示す。
【0116】
したがって、本発明のいくつかの用途によれば、本明細書で上述した技法に従い、530nm~785nmの範囲内(例えば、530nm~600nm)の波長を中心とするスペクトルバンドが、便器内に置かれた身体排出物(尿又は糞便など)中において検出される。通常、約540nm、565nm、及び575nmを中心とする2つ以上のスペクトルバンドが検出される。スペクトルバンドの幅は、通常、3nm超(例えば、5nm超又は8nm超)、及び/又は40nm未満(例えば、20nm未満、又は12nm未満)、例えば、3~40nm、5~20nm、又は8~12nmである。いくつかの用途においては、上述のスペクトルバンドの強度の、互いに対する1つ以上の比率がコンピュータプロセッサによって決定される。例えば、約575nmを中心とするバンドの強度に対する、約565nmを中心とするスペクトルバンドの強度の比率(又はこの逆)が決定されてもよい及び/又は約540nmを中心とするバンドの強度に対する、約565nmを中心とするスペクトルバンドの強度の比率(又はこの逆)が決定されてもよい。いくつかの用途においては、上述のスペクトルバンドの強度間の、互いに対する異なる関係がコンピュータプロセッサによって決定される。いくつかの用途においては、強度以外の各スペクトルバンドのパラメータ間の関係が決定される。いくつかの用途においては、血液を示す他のスペクトルバンドが測定される。例えば、約425nm(例えば、420~430nm)を中心とするスペクトルバンド及び/又は約500nm(例えば、490~510nm)を中心とするスペクトルバンドが概ね同様の手法で検出され、使用されてもよい。
【0117】
上述の測定に応じて、コンピュータプロセッサは、(a)身体排出物内に血液の存在があることを決定し、(b)身体排出物内の血液の量(例えば、濃度又は体積)を推定する。通常、コンピュータプロセッサは、推定した濃度に応じて(例えば、ユーザインタフェースデバイス32上に)出力を生成する。例えば、コンピュータプロセッサは、対象者が医療専門家にかかるべきであることを推奨する出力又は炎症性腸疾患症状発現が近く予想されることを示す出力を生成してもよい。
【0118】
本明細書に記載される本発明の適用は、コンピュータプロセッサ44又はユーザインタフェースデバイス32のコンピュータプロセッサなどの、コンピュータ又は任意の命令実行システムによる又は関連する使用のためのプログラムコードを提供するコンピュータ使用可能又はコンピュータ可読媒体(例えば、非一時的コンピュータ可読媒体)からアクセス可能な、コンピュータプログラム製品の形態をとることができる。本明細書の目的において、コンピュータ使用可能又はコンピュータ可読媒体は、命令実行システム、装置、又はデバイスによる若しくは関連する使用のためのプログラムを含む、記憶する、通信する、伝搬する、又は搬送することができる任意の装置であり得る。この媒体は、電子、磁気、光、電磁、赤外線、又は半導体システム(又は装置若しくはデバイス)、又は伝搬媒体であり得る。通常、コンピュータ使用可能又はコンピュータ可読媒体は非一時的コンピュータ使用可能又はコンピュータ可読媒体である。
【0119】
コンピュータ可読媒体の例としては、半導体又はソリッドステートメモリ、磁気テープ、リムーバブルコンピュータディスケット、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読出し専用メモリ(ROM)、剛体磁気ディスク、及び光ディスクが挙げられる。光ディスクの現在の例としては、コンパクトディスク読出し専用メモリ(CD-ROM)、コンパクトディスク読出し/書込み(CD-R/W)及びDVDが挙げられる。いくつかの用途においては、クラウドストレージが使用される。
【0120】
プログラムコードを記憶する及び/又は実行するのに好適なデータ処理システムとしては、システムバスを介してメモリ要素(例えば、メモリ46又はユーザインタフェースデバイス32のメモリ)に直接的又は間接的に接続される少なくとも1つのプロセッサ(例えば、コンピュータプロセッサ44又はユーザインタフェースデバイス32のコンピュータプロセッサ)が挙げられる。メモリ要素としては、プログラムコードの実際の実行中に用いられるローカルメモリ、大容量ストレージ、及び実行中に大容量ストレージからコードを呼び出さなければならない回数を低減するために少なくともいくつかのプログラムコードを一時記憶するキャッシュメモリが挙げられ得る。システムは、プログラムストレージデバイス上の本発明の命令を読み取り、これらの命令に従い、本発明の実施形態の手法を実行することができる。
【0121】
ネットワークアダプタはプロセッサに接続することができ、プロセッサを、介在する私設網又は公衆網を介して、他のプロセッサ又はリモートプリンタ又はストレージデバイスに接続することができる。モデム、ケーブルモデム、及びイーサネットカードは、現在入手可能な種類のネットワークアダプタのほんの一部である。
【0122】
本発明の動作を実行するためのコンピュータプログラムコードは、Java、Smalltalk、C++などのオブジェクト指向プログラミング言語、及びCプログラミング言語又は類似のプログラミング言語などの従来の手続き型プログラミング言語を含む1つ以上のプログラミング言語の任意の組み合わせで記述してもよい。
【0123】
図7に示されるフローチャートのブロック及びフローチャート内のブロックの組み合わせは、コンピュータプログラム命令によって実行され得るものと理解される。これらのコンピュータプログラム命令は、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、又は他のプログラム可能データ処理装置のプロセッサに提供され、コンピュータのプロセッサ(例えば、コンピュータプロセッサ44、又はユーザインタフェースデバイス32のコンピュータプロセッサ)又はその他のプログラム可能データ処理装置を介して実行される命令が、フローチャートに示される機能/動作及び/又は本願に記載されるアルゴリズムを実行する手段を形成するようにマシンを構成する。また、これらのコンピュータプログラム命令は、コンピュータ又はその他のプログラム可能データ処理装置に特定の状態で機能するように命令することができるコンピュータ可読媒体(例えば、非一時的コンピュータ可読媒体)に記憶して、コンピュータ可読媒体に記憶される命令がフローチャートブロック及びアルゴリズムに示される機能/動作を実行する命令手段を含む製品を構成することもできる。コンピュータプログラム命令はコンピュータ又は他のプログラム可能データ処理装置にロードして、一連の動作工程をコンピュータ又は他のプログラム可能装置で実行させて、コンピュータ実行プロセスを生成し、コンピュータ又は他のプログラム可能装置で実行される命令がフローチャートに示される機能/動作及び/又は本願に記載されるアルゴリズムを実行するためのプロセスを提供することもできる。
【0124】
典型的には、コンピュータプロセッサ44及び本明細書に記載される他のコンピュータプロセッサは、コンピュータプログラム命令でプログラムされ、専用コンピュータを構成するハードウェアデバイスである。例えば、図7を参照して説明したアルゴリズムを実行するようにプログラムされる場合、コンピュータプロセッサは典型的には、専用の身体排泄物分析用コンピュータプロセッサとして動作する。通常、コンピュータプロセッサによって実行される本明細書に記載の動作は、使用されるメモリの技術に応じて、実際の物理的物品であるメモリの物理的状態を、異なる磁気極性、電荷等を有するように変換する。
【0125】
本発明のいくつかの用途に従い、以下の発明の概念を記載する。
【0126】
発明の概念1.便器内に置かれた対象者の身体排出物と共に使用するための方法であって、
身体排出物が便器内に置かれている間に1つ以上の光センサを用いて便器から光を受信することと、
コンピュータプロセッサを用いて、
受信した光を分析することによって、血液の成分の光吸収スペクトル内において互いに特徴的な関係を有する一連の3つ以上のスペクトル成分を検出することと、
検出に応じて、身体排出物内に血液の存在があると決定することと、
決定に少なくとも一部応じて、出力デバイスで出力を生成することと、を含む方法。
【0127】
発明の概念2.身体排出物は糞便を含み、身体排出物内に血液の存在があると決定することは、糞便内に血液の存在があると決定することを含む、発明の概念1に記載の方法。
【0128】
発明の概念3.身体排出物は尿を含み、身体排出物内に血液の存在があると決定することは、尿内に血液の存在があると決定することを含む、発明の概念1に記載の方法。
【0129】
発明の概念4.血液の成分の光吸収スペクトル内において互いに特徴的な関係を有する一連の3つ以上のスペクトル成分を検出することは、オキシヘモグロビン、デオキシヘモグロビン、メトヘモグロビン、カルボキシヘモグロビン、ヘム、及び血小板からなる群から選択される血液の成分の光吸収スペクトル内において互いに特徴的な関係を有する一連の3つ以上のスペクトル成分を検出することを含む、発明の概念1に記載の方法。
【0130】
発明の概念5.便器内に置かれた対象者の身体排出物及び出力デバイスと共に使用するための装置であって、
身体排出物が便器内に置かれている間に便器から光を受信するように構成された1つ以上の光センサと、
コンピュータプロセッサであって、
受信した光を分析することによって、血液の成分の光吸収スペクトル内において互いに特徴的な関係を有する一連の3つ以上のスペクトル成分を検出し、
検出に応じて、身体排出物内に血液の存在があると決定し、
決定に少なくとも一部応じて、出力デバイスで出力を生成する
ように構成されている、コンピュータプロセッサと、を含む、装置。
【0131】
発明の概念6.身体排出物は糞便を含み、コンピュータプロセッサは、糞便内に血液の存在があると決定することによって身体排出物内に血液の存在があることを決定するように構成されている、発明の概念5に記載の装置。
【0132】
発明の概念7.身体排出物は尿を含み、コンピュータプロセッサは、尿内に血液の存在があると決定することによって身体排出物内に血液の存在があることを決定するように構成されている、発明の概念5に記載の装置。
【0133】
発明の概念8.コンピュータプロセッサは、オキシヘモグロビン、デオキシヘモグロビン、メトヘモグロビン、カルボキシヘモグロビン、ヘム、及び血小板からなる群から選択される血液の成分の光吸収スペクトル内において互いに特徴的な関係を有する一連の3つ以上のスペクトル成分を検出することによって血液の成分の光吸収スペクトル内において互いに特徴的な関係を有する一連の3つ以上のスペクトル成分を検出するように構成されている、発明の概念5に記載の装置。
【0134】
発明の概念9.便器内に置かれた対象者の身体排出物及び出力デバイスと共に使用するための装置であって、
身体排出物が便器内に置かれている間に便器から光を受信するように構成された1つ以上の光センサと、
コンピュータプロセッサであって、
受信した光を分析することによって、血液の成分の光吸収スペクトル内において互いに特徴的な関係を有する一連の3つ以上のスペクトル成分を検出し、
検出に応じて、身体排出物内の血液の量を推定し、
推定に少なくとも一部応じて、出力デバイスで出力を生成する
ように構成されている、コンピュータプロセッサと、を含む装置。
【0135】
発明の概念10.コンピュータプロセッサは、身体排出物内の血液の濃度を推定することによって身体排出物内の血液の量を推定するように構成されている、発明の概念9に記載の装置。
【0136】
発明の概念11.コンピュータプロセッサは、身体排出物内の血液の体積を推定することによって身体排出物内の血液の量を推定するように構成されている、発明の概念9に記載の装置。
【0137】
発明の概念12.身体排出物は糞便を含み、コンピュータプロセッサは、糞便内の血液の量を推定することによって身体排出物内の血液の量を推定するように構成されている、発明の概念9に記載の装置。
【0138】
発明の概念13.身体排出物は尿を含み、コンピュータプロセッサは、尿内の血液の量を推定することによって身体排出物内の血液の量を推定するように構成されている、発明の概念9に記載の装置。
【0139】
発明の概念14.コンピュータプロセッサは、オキシヘモグロビン、デオキシヘモグロビン、メトヘモグロビン、カルボキシヘモグロビン、ヘム、及び血小板からなる群から選択される血液の成分の光吸収スペクトル内において互いに特徴的な関係を有する一連の3つ以上のスペクトル成分を検出することによって血液の成分の光吸収スペクトル内において互いに特徴的な関係を有する一連の3つ以上のスペクトル成分を検出するように構成されている、発明の概念9に記載の装置。
【0140】
発明の概念15.便器内に置かれた対象者の身体排出物と共に使用するための方法であって、
身体排出物が便器内に置かれている間に1つ以上の光センサを用いて便器から光を受信することと、
コンピュータプロセッサを用いて、
受信した光を分析することによって、血液の成分の光吸収スペクトル内において互いに特徴的な関係を有する一連の3つ以上のスペクトル成分を検出することと、
検出に応じて、身体排出物内の血液の量を推定することと、
推定に少なくとも一部応じて、出力デバイスで出力を生成することと、を含む方法。
【0141】
発明の概念16.身体排出物内の血液の量を推定することは、身体排出物内の血液の濃度を推定することを含む、発明の概念15に記載の方法。
【0142】
発明の概念17.身体排出物内の血液の量を推定することは、身体排出物内の血液の体積を推定することを含む、発明の概念15に記載の方法。
【0143】
発明の概念18.身体排出物は糞便を含み、身体排出物内の血液の量を推定することは、糞便内の血液の量を推定することを含む、発明の概念15に記載の方法。
【0144】
発明の概念19.身体排出物は尿を含み、身体排出物内の血液の量を推定することは、尿内の血液の量を推定することを含む、発明の概念15に記載の方法。
【0145】
発明の概念20.血液の成分の光吸収スペクトル内において互いに特徴的な関係を有する一連の3つ以上のスペクトル成分を検出することは、オキシヘモグロビン、デオキシヘモグロビン、メトヘモグロビン、カルボキシヘモグロビン、ヘム、及び血小板からなる群から選択される血液の成分の光吸収スペクトル内において互いに特徴的な関係を有する一連の3つ以上のスペクトル成分を検出することを含む、発明の概念15に記載の方法。
【0146】
当業者であれば、本発明は具体的に図示し上述した実施形態に限定されないと理解するであろう。むしろ、本発明の範囲は、上述の様々な特徴の組み合わせ及び副組み合わせのみならず、上記の説明を読んだ当業者が想到するだろう従来技術に属さない変形及び変更を含む。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14