(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-05
(45)【発行日】2024-03-13
(54)【発明の名称】太陽光発電シートの設置構造
(51)【国際特許分類】
E04D 13/18 20180101AFI20240306BHJP
H02S 30/00 20140101ALI20240306BHJP
E04F 13/08 20060101ALI20240306BHJP
H02S 20/23 20140101ALI20240306BHJP
【FI】
E04D13/18 ETD
H02S30/00
E04F13/08 Z
H02S20/23 Z
(21)【出願番号】P 2022132423
(22)【出願日】2022-08-23
(62)【分割の表示】P 2022048272の分割
【原出願日】2022-03-24
【審査請求日】2022-08-23
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】早川 明伸
(72)【発明者】
【氏名】横田 生吹樹
【審査官】山口 敦司
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-036612(JP,A)
【文献】特開2013-004695(JP,A)
【文献】特開2013-048222(JP,A)
【文献】特開2011-258759(JP,A)
【文献】特開2009-267034(JP,A)
【文献】国際公開第2016/031315(WO,A1)
【文献】特開2011-181566(JP,A)
【文献】特開2011-198886(JP,A)
【文献】特開2011-124320(JP,A)
【文献】特開2012-234961(JP,A)
【文献】特開2007-208213(JP,A)
【文献】特開平11-312819(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04D 13/18
H02S 30/00
E04F 13/08
H02S 20/23
H10K 39/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
設置面と、
前記設置面の上に設置される太陽光発電シートと、
前記太陽光発電シートの少なくとも外周部と前記設置面との間に設けられて、前記太陽光発電シートを前記設置面に接着する接着剤とを有し、
前記太陽光発電シートは、バックシートと、発電部と、バリアシートと、封止剤と、封止縁材と、を備え、
前記バックシートは、前記太陽光発電シートの受光面とは反対側に配置されるものであって、前記設置面と対向する面を構成し、前記バリアシートは、前記太陽光発電シートの厚さ方向において、前記バックシートとは反対側に配置され、前記発電部は、光起電力効果を利用した光電変換素子である発電セルを備え、前記発電部は、前記バックシートと前記バリアシートとの間に配置され、前記封止剤は、前記バリアシートと前記バックシートとの間における前記発電部の周囲の空間に充填され、前記封止縁材は、
前記バリアシートの表面に接着される第1接着部、前記バックシートの裏面に接着される第2接着部、及び前記第1接着部と前記第2接着部とをつないで、前記バックシートの外周縁と前記バリアシートの外周縁との間を封止する封着部のみから構成される太陽光発電シートの設置構造。
【請求項2】
前記接着剤は、前記太陽光発電シートの外周部と前記設置面との間のみに設けられる請求項1に記載の太陽光発電シートの設置構造。
【請求項3】
前記接着剤は、前記太陽光発電シートの全体と前記設置面との間に設けられる請求項1に記載の太陽光発電シートの設置構造。
【請求項4】
前記接着剤の粘度は800cP以上である請求項1乃至3のいずれかに記載の太陽光発電シートの設置構造。
【請求項5】
前記太陽光発電シートは可撓性を有する請求項1乃至4のいずれかに記載の太陽光発電シートの設置構造。
【請求項6】
前記接着剤は、酢酸ビニル樹脂、エチレン酢酸ビニル樹脂、エポキシ樹脂、シアノアクリレート樹脂、アクリル樹脂、クロロプレンゴム、スチレン、ブタジエンゴム、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂から選ばれる少なくとも1つ以上の樹脂組成物を含む請求項1乃至5のいずれかに記載の太陽光発電シートの設置構造。
【請求項7】
紫外線遮断性を有し、前記太陽光発電シートの外周縁と前記設置面との間を覆うように設けられるカバー部材をさらに備える請求項1乃至6のいずれかに記載の太陽光発電シートの設置構造。
【請求項8】
前記カバー部材は、前記太陽光発電シートの外縁部を覆うように設けられる請求項7に記載の太陽光発電シートの設置構造。
【請求項9】
前記封止縁材は、ブチルゴム或いはシリコーンゴムからなるテープ材である請求項1乃至8のいずれかに記載の太陽光発電シートの設置構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光発電シートが設置面の上に設置される太陽光発電シートの設置構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シリコンを発電セルに用いるリジットな太陽光電池シートが使用されている(特許文献1)。この種の太陽光発電シートを設置する際には、屋根等の設置面の上に取付台を設置して、鋲等を用いて太陽光発電シートを取付台の上に取り付けることで、太陽光に対する太陽光発電シートの角度が定められていた。
【0003】
近年では、ペロブスカイト太陽光発電シートなどのフレキシブルな太陽光発電シートが普及している。この種の太陽光発電シートは、それ自体の可撓性によって太陽光に対する角度を調整できるため、取付台を使用せずに当該太陽光発電シートを設置面に直接取り付けることが期待されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで
図10及び
図11に示すように、太陽光発電シート100を鋲101を用いて設置面102に直接取り付ける場合には、設置面102に存在する凹凸によって、太陽光発電シート100と設置面102との間に隙間103が生じる虞がある。この場合、風が隙間103に入り込むことで、太陽光発電シート100が振動して太陽光発電シート100への太陽光の入射角度が安定しなくなることで、太陽光発電シートの発電効率が低下する虞がある。
【0006】
本発明は、上記事項に鑑みてなされたものであって、その目的は、太陽光発電シートが設置面の上に設置された状態で、風による太陽光発電シートの振動を抑制可能な太陽光発電シートの設置構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明は、次の項に記載の主題を包含する。
【0008】
項1.設置面と、
前記設置面の上に設置される太陽光発電シートと、
前記太陽光発電シートの少なくとも外周部と前記設置面との間に設けられて、前記太陽光発電シートを前記設置面に接着する接着剤とを有する太陽光発電シートの設置構造。
【0009】
項2.前記接着剤の粘度は800cP以上である項1に記載の太陽光発電シートの設置構造。
【0010】
項3.前記太陽光発電シートは可撓性を有する項1又は2に記載の太陽光発電シートの設置構造。
【0011】
項4.前記接着剤は、酢酸ビニル樹脂、エチレン酢酸ビニル樹脂、エポキシ樹脂、シアノアクリレート樹脂、アクリル樹脂、クロロプレンゴム、スチレン、ブタジエンゴム、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂から選ばれる少なくとも1つ以上の樹脂組成物を含む項1乃至3のいずれかに記載の太陽光発電シートの設置構造。
【0012】
項5.前記接着剤は、前記太陽光発電シートの全体と前記設置面との間に設けられる項1乃至4のいずれかに記載の太陽光発電シートの設置構造。
【0013】
項6.紫外線遮断性を有し、前記太陽光発電シートの外周縁と前記設置面との間を覆うように設けられるカバー部材をさらに備える項1乃至5のいずれかに記載の太陽光発電シートの設置構造。
【0014】
項7.前記カバー部材は、前記太陽光発電シートの外縁部を覆うように設けられる項6に記載の太陽光発電シートの設置構造。
【発明の効果】
【0015】
本発明の太陽光発電シートの設置構造によれば、太陽光発電シートが設置面の上に設置された状態で、風による太陽光発電シートの振動を抑制可能である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の第一実施形態に係る太陽光発電シートの設置構造を示す概略平面図である。
【
図3】
図3(A)は、太陽光発電シートの断面図である。
図3(B)は、
図3(A)のa部分の拡大図である。
図3(C)は、
図3(A)のB-B線に沿って発電部を切断した状態を示す断面図である。
【
図4】本発明の第二実施形態に係る太陽光発電シートの設置構造を示す概略平面図である。
【
図6】本発明の第三実施形態に係る太陽光発電シートの設置構造を示す概略平面図である。
【
図8】本発明の第三実施形態の変形例に係る太陽光発電シートの設置構造を示す概略平面図である。
【
図10】従来の太陽光発電シートの設置構造を示す概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しながら説明する。
【0018】
<第一実施形態>
図1は、本発明の第一実施形態に係る太陽光発電シート1の設置構造2を示す概略平面図であり、
図2は、
図1におけるA-A線概略断面図である。
【0019】
第一実施形態に係る太陽光発電シート1の設置構造2は、設置面3と、設置面3の上に設置される太陽光発電シート1と、太陽光発電シート1を設置面3に接着する接着剤4とを有する。
【0020】
(設置面3)
設置面3は、建築材5(
図2)の表面によって構成される。建築材5としては、例えば、屋根材、壁材(金属系サイディング材、窯業系サイディング材、サンドイッチパネル等)、間仕切り、扉材、フェンス材、床材等が挙げられる。屋根材としては、例えば、折板屋根、スレート屋根、ルーフデッキ、瓦棒葺き、立平葺き等に用いられる屋根材が挙げられる。屋根は、縦葺きであってもよいし、横葺きであってもよい。なお本発明は、設置面3を有する部材を、上記の建築材5に限定するものではなく、設置面3は、道路をなす舗装体の表面によって構成されてもよく、自動車、電車、船舶等の構造体の表面であってもよいまた設置面3は、平面とされているが、曲面とされてもよい。また設置面3を構成する部材の材料も、特に限定されず、例えば、金属、樹脂、アスファルト、コンクリートとされ得る。
【0021】
(太陽光発電シート1)
図3(A)は、太陽光発電シート1の断面図である。
図3(B)は、
図3(A)のa部分の拡大図である。
図3(C)は、
図3(A)のB-B線に沿って後述の発電部7を切断した状態を示す断面図である。太陽光発電シート1は、シート状に形成されており、太陽光を受けることで発電を行うことができる。本明細書でいう「シート状」は、その物体の厚さが、平面視における外縁の間の最大長さに対して、10%以下である形状を意味する。平面視における形状が矩形状である場合、「平面視における外縁の間の最大長さ」は、対角線の長さを意味する。また、平面視における形状が円形状である場合、「平面視における外縁の間の最大長さ」は、直径の長さを意味する。本明細書では、膜状、箔状、フィルム状等も、「シート状」に含まれる。
【0022】
本実施形態に係る太陽光発電シート1は、平面視略矩形状に形成されている。ただし、本発明では、太陽光発電シート1の形状としては、例えば、平面視略円形状、平面視楕円形状、平面視多角形状等であってもよく、特に制限はない。
【0023】
図3(A)に示すように、太陽光発電シート1は、バックシート6と、発電部7と、バリアシート8と、封止剤9と、封止縁材10と、を備える。発電部7及び封止剤9は、バックシート6とバリアシート8との間に配置される。封止縁材10は、バックシート6の外周縁15とバリアシート8の外周縁16との間を封止する。
【0024】
太陽光発電シート1の曲げ強さは、50MPa以上であり、より好ましくは100MPa以上である。また、太陽光発電シート1の曲げ強さは、150MPa以下であり、より好ましくは130MPa以下である。太陽光発電シート1の曲げ強さの設定は、主に、バックシート6及びバリアシート8の剛性によって実現され得る。バックシート6及びバリアシート8については、後ほど詳述する。太陽光発電シート1の曲げ強さが、50MPa以上150MPa以下に設定されることで、施工性を良好にしながら、ひび割れ等の破損が生じることを抑制できる。本明細書でいう「曲げ強さ」は、例えば、JIS 7171に準拠する測定方法で測定される。
【0025】
(バックシート6)
バックシート6は、太陽光発電シート1の受光面とは反対側に配置される。バックシート6は、太陽光発電シート1において設置面3(
図1,
図2)に対向する面を構成する。バックシート6は、水蒸気に対するバリア性能、及び外力に対する保護性能を有する。バックシート6は、透光性があってもよいが、必ずしも透光性は必要ではない。
【0026】
本明細書でいう「透光性がある」とは、光の透過率が、入射前の光のピーク波長に対して、10%以上であることを意味する。
【0027】
バックシート6は、可撓性を有する。バックシート6に用いられる材料としては、縦弾性係数が100MPa以上10000MPa以下であることが好ましく、より好ましくは、1000MPa以上5000MPa以下である。バックシート6の材料として、具体的には、例えば、プラスチックフィルム、プラスチック基板等が挙げられる。
【0028】
バックシート6の厚さは、50μm以上であることが好ましく、より好ましくは、100μm以上であり、より好ましくは、200μm以上である。また、バックシート6の厚さは、1000μm以下であることが好ましく、より好ましくは、800μm以下であり、より好ましくは、600μm以下である。バックシート6の厚さが50μm以上1000μm以下であることにより、太陽光発電シート1としての曲げ強さを、50MPa以上150MPa以下に設定しやすい。
【0029】
(発電部7)
発電部7は、光起電力効果を利用した光電変換素子である発電セル70を備える。本実施形態では、発電部7は、複数の発電セル70が太陽光発電シート1の面方向(例えば太陽光発電シート1の長手方向或い幅方向)に配置された光電変換ユニットから構成される。なお、発電部7は一つの発電セル70によって構成されてもよい。
【0030】
発電セル70は、
図3(A)に示すように、透光性基材11と、透光性導電層12と、発電層13と、電極14と、を備える。透光性基材11、透光性導電層12、発電層13、及び電極14は、バリアシート8からバックシート6に向かう方向に沿って、この順で積層されている。すなわち、透光性基材11がバリアシート8に対向し、電極14がバックシート6に対向するように配置される。
【0031】
(透光性基材11)
透光性基材11は、透光性導電層12、発電層13、及び電極14を支持する。透光性基材11は、透光性を有する。透光性基材11の透光性は、光の透過率が、入射前の光のピーク波長に対して、10%以上であればよいが、好ましくは、50%以上であり、より好ましくは、80%以上である。本明細書では、光の透過率が、入射前の光のピーク波長に対して、80%以上であることを、「透明」であるとする。
【0032】
透光性基材11の材料としては、例えば、無機材料、有機材料、金属材料等が挙げられる。無機材料としては、例えば、石英ガラス、無アルカリガラス等が挙げられる。有機材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET; polyethylene terephthalate)、ポリエチレンナフタレート(PEN; polyethylene naphthalene)、ポリエチレン、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、液晶ポリマー、シクロオレフィンポリマー等のプラスチック、高分子フィルム等が挙げられる。金属材料としては、ステンレス鋼、アルミニウム、チタン、シリコン等が挙げられる。
【0033】
透光性基材11の厚さは、透光性導電層12、発電層13及び電極14を支持することができれば、特に制限はなく、例えば、30μm以上300μm以下が挙げられる。
【0034】
透光性基材11は、発電セル70の製造過程で必要になる基材であり、必ずしも必要な構成ではない。透光性基材11は、例えば、太陽光発電シート1の製造途中にだけ利用されてもよく、製造後又は製造途中に取り除かれてもよい。なお、取り除かれる場合、透光性基材11に代えて、透光性を有さない基材を用いてもよい。
【0035】
(透光性導電層12)
透光性導電層12は、導電性を有する層であり、カソードとして機能する。透光性導電層12は、透光性を有する。透光性導電層12は、透明であることが好ましい。
【0036】
透光性導電層12としては、例えば、酸化インジウムスズ(ITO; Indium Tin Oxide)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO; F-doped Tin Oxide)、ネサ膜等の透明な材料が挙げられる。透光性導電層12は、透光性基板の表面に対して、例えば、スパッタリング法、イオンプレーティング法、メッキ法、塗布法等により形成される。
【0037】
また、透光性導電層12としては、不透光性材料を用いつつ、光を透過可能なパターンを形成することで、透光性を有するように構成してもよい。不透光性材料としては、例えば、白金、金、銀、銅、アルミニウム、ロジウム、インジウム、チタン、ニッケル、スズ、亜鉛、又はこれらを含む合金等が挙げられる。光を透過可能なパターンとしては、例えば、格子状、線状、波線状、ハニカム状、丸穴状等が挙げられる。
【0038】
透光性導電層12の厚さは、例えば、30nm以上300nm以下であることが好ましい。透光性導電層12が、30nm以上300nm以下であると、可撓性を高く保ちながら、良好な導電性を得ることができる。
【0039】
(発電層13)
発電層13は、光の照射によって光電変換を生じさせる層であり、光を吸収することで生成された励起子から、電子と正孔とを生じさせる。
図3(B)に示すように、発電層13は、正孔輸送層131と、光電変換層132と、電子輸送層133と、を備える。正孔輸送層131、光電変換層132、及び電子輸送層133は、透光性導電層12から電極14に向かう方向に沿って、この順で積層されている。
【0040】
(正孔輸送層131)
正孔輸送層131は、光電変換層132で発生した正孔を、透光性導電層12へ抽出し、かつ光電変換層132で発生した電子が、透光性導電層12へ移動するのを妨げる。正孔輸送層131の材料としては、例えば、金属酸化物を用いることができる。金属酸化物としては、例えば、酸化チタン、酸化モリブデン、酸化バナジウム、酸化亜鉛、酸化ニッケル、酸化リチウム、酸化カルシウム、酸化セシウム、酸化アルミニウム等が挙げられる。また、その他、デラフォサイト型化合物半導体(CuGaO2)、酸化銅、チオシアン酸銅(CuSCN)、五酸化バナジウム(V2O5)、酸化グラフェン等が用いられてもよい。また、正孔輸送層131の材料として、p型有機半導体又はp型無機半導体を用いることもできる。
【0041】
正孔輸送層131の厚さは、例えば、1nm以上1000nm以下であることが好ましく、より好ましくは、10nm以上500nm以下であり、更に好ましくは、10nm以上50nm以下である。正孔輸送層131の厚さが、1nm以上1000nm以下であれば、正孔の輸送が実現できる。
【0042】
(光電変換層132)
光電変換層132(光活性層)は、吸収した光を光電変換する層である。光電変換層132の材料としては、吸収した光を光電変換することができれば特に制限はなく、例えば、アモルファスシリコン、ペロブスカイト、非シリコン系材料(半導体材料CIGS)等が用いられる。また、光電変換層132は、これらを複合したタンデム型の積層構造としてもよい。非シリコン系材料が用いられた光電変換層132は、銅(Cu)、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、セレン(Se)を含む半導体材料CIGSが用いられており、光電変換層の厚さを薄くしやすい。
【0043】
以下では、光電変換層132の一例として、ペロブスカイトが用いられる光電変換層を挙げて説明する。ペロブスカイト化合物を含む光電変換層132は、入射光の角度に対する発電効率の依存性(以下、入射角依存性という場合がある)が比較的低いという利点がある。これにより、本実施形態では、より高い発電効率を得ることができる。
【0044】
ペロブスカイト化合物は、ペロブスカイト結晶構造体及びこれに類似する結晶を有する構造体である。ペロブスカイト結晶構造体は、組成式 ABX3 で表される。この組成式において、例えば、Aは有機カチオン、Bは金属カチオン、Xはハロゲンアニオンを示す。ただし、Aサイト、Bサイト及びXサイトはこれに限定されない。
【0045】
Aサイトを構成する有機カチオンの有機基としては、特に制限はなく、例えば、アルキルアンモニウム誘導体、ホルムアミジニウム誘導体等が挙げられる。Aサイトを構成する有機カチオンは、1種類であってもよいし、2種類以上であってもよい。
【0046】
Bサイトを構成する金属カチオンの金属としては、特に制限はなく、例えば、Cu、Ni、Mn、Fe、Co、Pd、Ge、Sn、Pb、Eu等が挙げられる。Bサイトを構成する金属カチオンは、1種類であってもよいし、2種類以上であってもよい。
【0047】
Xサイトを構成するハロゲンアニオンのハロゲンには、特に制限はなく、例えば、F、Cl、Br、I等が挙げられる。Xサイトを構成するハロゲンアニオンは、1種類であってもよいし、2種類以上であってもよい。
【0048】
光電変換層132の厚さは、例えば、1nm以上100000nm以下が好ましく、より好ましくは、5nm以上50000nm以下であり、更に好ましくは、10nm以上1000nm以下である。光電変換層132の厚さが、1nm以上100000nm以下であると、光電変換効率が向上する。
【0049】
(電子輸送層133)
電子輸送層133は、光電変換層132で発生した電子を電極14へ抽出し、かつ光電変換層132で発生した正孔が、電極14へ移動するのを妨げる。電子輸送層133としては、例えば、ハロゲン化合物又は金属酸化物のいずれかを含むことが好ましい。
【0050】
ハロゲン化合物としては、例えば、ハロゲン化リチウム(LiF、LiCl、LiBr、LiI)、ハロゲン化ナトリウム(NaF、NaCl、NaBr、NaI)等が挙げられる。金属酸化物を構成する元素としては、チタン、モリブデン、バナジウム、亜鉛、ニッケル、リチウム、カリウム、セシウム、アルミニウム、ニオブ、スズ、バリウム等が挙げられる。また、電子輸送層133の材料として、n型有機半導体又はn型無機半導体を用いることもできる。
【0051】
電子輸送層133の厚さは、例えば、1nm以上1000nm以下であることが好ましく、より好ましくは、10nm以上500nm以下であり、更に好ましくは、10nm以上50nm以下である。電子輸送層133の厚さが、1nm以上1000nm以下であれば、電子の輸送が実現できる。
【0052】
(電極14)
電極14は導電性を有し、アノードとして機能する。電極14は、光電変換層132によって生じた光電変換に応じて、光電変換層132から電子を取り出すことができる。電極14は、透光性を有していてもよいし、不透光性材料で構成されてもよい。電極14の材料としては、例えば、白金、金、銀、銅、アルミニウム、ロジウム、インジウム、チタン、ニッケル、スズ、亜鉛、又はこれらを含む合金等が挙げられる。
【0053】
(バリアシート8)
バリアシート8は、太陽光発電シート1の厚さ方向において、バックシート6とは反対側に配置される。バリアシート8は、太陽光発電シート1の受光面を含む。バリアシート8は、透光性を有している。バリアシート8は、透明であることが好ましい。バリアシート8は、水蒸気に対するバリア性能、及び外力に対する保護性能を有する。
【0054】
バリアシート8は、可撓性を有する。バリアシート8に用いられる材料としては、縦弾性係数が100Pa以上10000MPa以下であることが好ましく、より好ましくは、1000MPa以上5000MPa以下である。バリアシート8の材料として、具体的には、例えば、プラスチックフィルム、ビニルフィルム等が挙げられる。
【0055】
また、バリアシート8の厚さは、50μm以上であることが好ましく、より好ましくは、100μm以上であり、より好ましくは、200μm以上である。また、バリアシート8の厚さは、1000μm以下であることが好ましく、より好ましくは、800μm以下であり、より好ましくは、600μm以下である。バリアシート8の厚さが50μm以上1000μm以下であることにより、太陽光発電シート1としての曲げ強さを、50MPa以上150MPa以下に設定しやすい。
【0056】
(封止剤9)
封止剤9は、バリアシート8とバックシート6との間に発電層13を配置した状態で、バリアシート8とバックシート6との間に充填される。封止剤9は、発電層13に対して、発電層13の周囲から浸水するのを妨げる。封止剤9は、透光性を有しており、好ましくは、透明である。
【0057】
封止剤9として、例えば、エチレン酢酸ビニル(EVA; Ethylene-vinyl acetate)、ポリオレフィン、ブチルゴム、シリコーン樹脂、ポリビニルブチラール等を使用できる。
【0058】
(封止縁材10)
封止縁材10は、バックシート6とバリアシート8との間に複数の発電セル70及び封止剤9が配置された状態で、バックシート6の外周縁15とバリアシート8の外周縁16との間を封止する。太陽光発電シート1の外周縁17は封止縁材10の外周縁によって構成される。
図3(A)に示すように、封止縁材10は、第1接着部101と、第2接着部102と、第1接着部101と第2接着部102とをつなぐ封着部103と、を備える。第1接着部101は、バリアシート8の表面(図では上面)に接着される。第2接着部102は、バックシート6の裏面(図では下面)に接着される。第1接着部101、封着部103、及び第2接着部102は、一体に形成されている。
【0059】
封止縁材10の材料としては、例えば、ブチルゴム、シリコーンゴム等からなるテープ材が挙げられる。
【0060】
(太陽光発電シート1の作用)
太陽光発電シート1の表面側(バリアシート8側)から太陽光発電シート1に光が照射されると、発電層13の光電変換層132が光を吸収して光電変換を行うことで、光電変換層132で電子と正孔とが生じる。当該電子が電子輸送層133を介して電極14(アノード)へ抽出され、正孔が正孔輸送層131を介して透光性導電層12(カソード)へ抽出されることで、透光性導電層12から電極14へと電流が流れる(すなわち発電が行われる)。
【0061】
発電部7を構成する光電変換ユニットでは、各発電セル70の電極14(アノード)に延長部14aが設けられる(
図3(C))。当該電極14の延長部14aは透光性導電層12(カソード)側へ延びる。隣り合う2つの発電セル70,70では、一方のセル70の電極14の延長部14が、他方のセル70の透光性導電層12に接合される。この接合により、太陽光発電シート1に光が照射される間では、発電部7(光電変換ユニット)の一方側端にある透光性導電層12Aから、発電部7の他方側端にある電極14Aへと電流が流れる(
図3(C)では電流の流れを矢印で示している)。当該電流は、図示しない配電線を介して取り出される。
【0062】
発電部7を上記の光電変換ユニットから構成することで、一部の発電セル70で不具合が生じても、発電部7からの電気取り出し量を安定化させることができる。
【0063】
なお各発電セル70の電極14(アノード)に延長部14aを設けることの代わりに、各発電セル70の透光性導電層12(カソード)に、電極14(アノード)側へ延びる延長部を設けてもよい。この場合、隣り合う2つの発電セル70,70では、一方のセル70の透光性導電層12の延長部が、他方のセル70の電極14に接合される。このようにしても上記と同様の効果が得られる。
【0064】
また発電部7に透光性基材11を設ける場合には、発電部7の製造を容易にする観点から、
図3(C)に示すように、各発電セル70の透光性導電層12、発電層13及び電極14を、共通の透光性基材11に支持させることが好ましい。
【0065】
また発電部70が一つの発電セル70によって構成される場合には、電極14から透光性導電層12へと流れる電流が配電線を介して取り出される。
【0066】
なお太陽光発電シート1には、複数の発電部70が含まれていてもよい。この場合、複数の発電部70は、太陽光発電シート1の面方向に配置されて、直列又は並列に電気的に接続される。
【0067】
発電部7が光電変換ユニットから構成される場合には、複数の発電部70を直列に接続するために、隣り合う2つの発電部7,7において、一方の発電部7の端にある透光性導電層12Aと、他方の発電部7の端にある電極14Aとを、配電線を介して接続することが行われる。複数の発電部70を並列に接続する場合には、隣り合う2つの発電部7,7の端にある透光性導電層12A,12A同士と、上記隣り合う2つの発電部7,7の端にある電極14A,14A同士とを、それぞれ配電線を介して接続することが行われる。
【0068】
また発電部7が一つの発電セル70から構成される場合には、複数の発電部7を直列に接続するために、隣り合う2つの発電部7,7において、一方の発電部7の透光性導電層12と、他方の発電部7の電極14とを配電線を介して接続することが行われる。複数の発電部7を並列に接続する場合には、隣り合う2つの発電部7,7の透光性導電層12,12同士と、上記隣り合う2つの発電部の電極14,14同士とを、それぞれ配電線を介して接続することが行われる。
【0069】
なお発電部7が、上記の光電変換ユニット及び一つの発電セル70のいずれから構成される場合においても、隣り合う発電部7,7の間の距離は、0mm超であればよく、好ましくは2mm以上であり、より好ましくは10mm以上であり、更に好ましくは、15mm以上である。また、隣り合う発電部7,7の間の距離は、100mm以下が好ましく、より好ましくは50mm以上であり、更に好ましくは、20mm以下である。
【0070】
(接着剤4)
接着剤4は、太陽光発電シート1の外周部18と設置面3との間に設けられて、太陽光発電シート1の外周部18を設置面3に接着する。本明細書において「太陽光発電シートの外周部」とは、太陽光発電シート1の外周縁17から所定幅を有する太陽光発電シート1の環状の範囲を意味する。なお太陽光発電シート1を設置面3に強く接着するために、接着剤4が800cP以上の粘度を有することが好ましいが、接着剤4の粘度は800cP未満であってもよい。
【0071】
接着剤4として、例えば、酢酸ビニル樹脂、エチレン酢酸ビニル樹脂、エポキシ樹脂、シアノアクリレート樹脂、アクリル樹脂、クロロプレンゴム、スチレン、ブタジエンゴム、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂から選ばれる少なくとも1つ以上を含む樹脂組成物を使用できる。なお本発明は接着剤4を上記の樹脂組成物に限定するものではない。
【0072】
(作用効果)
第一実施形態に係る太陽光発電シート1の設置構造2によれば、太陽光発電シート1の外周部18の下側にある設置面3の凹凸が接着剤4によって埋められた状態で、接着剤4によって太陽光発電シート1の外周部18が設置面3に接着される。これにより太陽光発電シート1の外周部18と設置面3との間に隙間が生じないようにすることができるので、太陽光発電シート1と設置面3との間に風が入り込むことを防止できる。したがって太陽光発電シート1が風で振動することを抑制できるので、太陽光に対する太陽光発電シート1の角度を安定して維持できる。このため太陽光発電シート1の発電効率を安定して維持できる。
【0073】
また太陽光発電シート1が可撓性を有することで、太陽光発電シート1の任意の位置における太陽光に対する角度が所望の角度となるように太陽光発電シート1の形や向きを調整した状態で、接着剤4によって太陽光発電シート1を設置面3に接着できる。
【0074】
以下、本発明の他の実施形態に係る太陽光発電シート1の設置構造について説明する。なお以下では、第一実施形態と相違する点を中心に説明し、第一実施形態と共通する点については同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0075】
<第二実施形態>
図4は、本発明の第二実施形態に係る太陽光発電シート1の設置構造20を示す概略平面図である。
図5は、
図4におけるB-B線概略断面図である。
【0076】
第二実施形態に係る太陽光発電シート1の設置構造20も、設置面3と、太陽光発電シート1と、接着剤4とを有する。第二実施形態の設置構造20では、接着剤4が太陽光発電シート1の全体と設置面3との間に設けられることで、接着剤4によって太陽光発電シート1の全体が設置面3に接着される。
【0077】
第二実施形態に係る設置構造20によれば、太陽光発電シート1の全体の下側にある設置面3の凹凸が接着剤4によって埋められた状態で、接着剤4が太陽光発電シート1の全体を設置面3に接着することで、太陽光発電シート1の全体と設置面3との間に隙間が生じないようにすることができる。これにより風による太陽光発電シート1の振動をより小さく抑制できる。したがって太陽光に対する太陽光発電シート1の角度をより安定して維持できるので、太陽光発電シート1の発電効率をより安定して維持できる。
【0078】
<第三実施形態>
図6は、本発明の第三実施形態に係る太陽光発電シート1の設置構造21を示す概略平面図であり、
図7は、
図6におけるC-C線概略断面図である。
【0079】
第三実施形態に係る設置構造21は、第二実施形態で示した設置構造20の構成に加えて、紫外線遮断性を有するカバー部材22をさらに備える。
【0080】
カバー部材22は、幅一方側部23が幅他方側部24に対して折れ曲がった形状を呈する。該カバー部材22は、幅一方側部23が太陽光発電シート1の外周縁17に沿い、幅他方側部24が太陽光発電シート1の外側にある設置面3に沿うように設けられることで、太陽光発電シート1の外周縁17と設置面3との間を覆う。
【0081】
第三実施形態に係る設置構造21によれば、カバー部材22が紫外線を遮断することで、紫外線が接着剤4に照射されることを防止できる。これにより、紫外線によって接着剤4が劣化することを防止できるので、接着剤4によって太陽光発電シート1と設置面3とが接着された状態を長期に亘って維持できる。
【0082】
<第四実施形態>
図8は、本発明の第四実施形態に係る太陽光発電シート1の設置構造25を示す概略平面図であり、
図9は、
図8におけるD-D線概略断面図である。
【0083】
第四実施形態に係る設置構造25は、カバー部材22の代わりに、カバー部材30を備える点で、第三実施形態の設置構造21と異なる。カバー部材30は、紫外線遮断性を有しており、幅一方側部31及び幅他方側部32が幅中間部33に対して逆側に折れ曲がった形状を呈する。当該カバー部材30は、幅一方側部31が太陽光発電シート1の外縁部34の表面に沿い、幅中間部33が太陽光発電シート1の外周縁17に沿い、幅他方側部32が太陽光発電シート1の外側にある設置面3に沿うように設けられることで、太陽光発電シート1の外縁部34の上側と、太陽光発電シート1の外周縁17と設置面3の間とを覆う。本明細書において「太陽光発電シートの外縁部」とは、太陽光発電シート1の外周縁17から所定幅を有する太陽光発電シート1の部分を意味する。
【0084】
第四実施形態に係る設置構造21によれば、カバー部材30に「太陽光発電シート1の外縁部34の上側を覆う部分(幅一方側部31に相当)」が設けられていることで、カバー部材30と太陽光発電シート1の外周縁17との間に隙間(図示せず)が生じている場合でも(カバー部材30の幅中間部33が外周縁17に密着していない場合でも)、紫外線が接着剤4に照射されることを防止できる。
【0085】
第三、第四実施形態に示したカバー部材22,30の材料は、紫外線の遮断性を有すれば、特に限定されないが、カバー部材22,30として、例えばアルミニウム等の金属からなるフレームを使用できる。カバー部材22,30が金属製のフレームとされる場合には、カバー部材22,30をボルトや接着剤等を用いて設置面3に固定することが行われる。
【0086】
また
図6及び
図8に示すように、太陽光発電シート1の全周がカバー部材22,30によって囲まれるように、カバー部材22,30を設けることが好ましい。このようにすれば接着剤4の全部の劣化を防止することができる。なお太陽光発電シート1の全周をカバー部材22,30で囲むために、
図6及び
図8に示すように太陽光発電シート1の各辺に対して直線状のカバー部材22,30を設けてもよく、或いは太陽光発電シート1の全周を囲む環状のカバー部材22,30を設けてもよい。なお本発明は、太陽光発電シート1の全周がカバー部材22,30に囲まれない場合(すなわち太陽光発電シート1の周囲の一部のみにカバー部材22,30を設ける場合)を除外するものではない。この場合でも、カバー部材22,30が設けられる箇所では、紫外線が接着剤4に照射されることを防止できるので、接着剤4の劣化を防止できる。
【0087】
<変形例>
本発明は、上記実施形態に限定されず、種々改変できる。
【0088】
例えば第三、第四実施形態の設置構造21,25では、必ずしも太陽光発電シート1の全体と設置面3との間に接着剤4を設ける必要はなく、第一実施形態の設置構造2(
図1,
図2)と同様に、太陽光発電シート1の外周部18と設置面3との間のみに接着剤4を設けてもよい。
【0089】
また第一、第二、第三、第四実施形態の設置構造2,20,21,25では、単独の接着剤4で太陽光発電シート1と設置面3との空隙が充填されていたが、本発明の設置構造では、設置面3と充填剤とを接着する第一接着層と、前記充填剤と太陽光発電シート1とを接着する第二接着層とを設けてもよい。このようにしても上記実施形態と同様の効果が得られる。またこの場合には充填剤の粘度を800cP以上とすることが好ましい。
【0090】
また接着剤4で太陽光発電シート1を設置面3に接着することに加えて、固定材を用いて太陽光発電シート1を設置面3に固定してもよい。固定材としては、特に制限はなく、例えば、ボルト、鋲、クリップ、磁石、ピン、ネイル、重石等が挙げられる。防水性の観点から、穴を空けることを要しない、磁石、又は重石が用いられること好ましい。また施工性及び取付け強度の観点から、ボルト、鋲が用いられることが好ましい。
【0091】
また第一、第二、第三、第四実施形態の設置構造2,20,21,25が備える太陽光発電シート1では、上述したペロブスカイト化合物を含む光電変換層132(光活性層)の代わりに、アモルファスシリコンを含む光電変換層が設けられてもよく、或いは、アモルファスシリコン及びペロブスカイト化合物を複合的に含むタンデム型の積層構造の光電変換層が設けられてもよい。なおペロブスカイト化合物を光電変換層に含めるようにすれば、ペロブスカイト化合物の発電効率の依存性が光の入射角度に対して比較的低いことで、より高い発電効率を得ることができる。
【0092】
上記実施形態では、太陽光発電シートの一形態として、ペロブスカイト化合物を含む光電変換層を有する太陽光発電シートを挙げて説明をしたが、本発明では、可撓性を有する太陽光発
電シートであれば同等の効果を発揮することができる。また、本発明に係る太陽光発電シートとしては、光により発電効果が得られる太陽電池だけでなく、光エネルギーを別のエネルギーに変換するシートであってもよい。例えば、太陽光発電シートとしては、光エネルギーを熱エネルギーに変換する光発熱シート(太陽光駆動型熱電変換デバイス)等であってもよい。
【符号の説明】
【0093】
1 太陽光発電シート
2,20,21,25 太陽光発電シートの設置構造
3 設置面
4 接着剤
18 太陽光発電シートの外周部
22,30 カバー部材
34 太陽光発電シートの外縁部