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特許7449392多部品アノードを有する電気化学セルを発生させるためのシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-05
(45)【発行日】2024-03-13
(54)【発明の名称】多部品アノードを有する電気化学セルを発生させるためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 6/02 20060101AFI20240306BHJP
   H01M 10/04 20060101ALI20240306BHJP
【FI】
H01M6/02 A
H01M10/04 Z
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2022544704
(86)(22)【出願日】2021-01-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-16
(86)【国際出願番号】 US2021013151
(87)【国際公開番号】W WO2021150402
(87)【国際公開日】2021-07-29
【審査請求日】2022-09-21
(31)【優先権主張番号】62/964,374
(32)【優先日】2020-01-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/144,672
(32)【優先日】2021-01-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516268286
【氏名又は名称】エナジャイザー ブランズ リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】ボリオス クリストファー スティーヴン
【審査官】冨士 美香
(56)【参考文献】
【文献】特開昭56-126267(JP,A)
【文献】特開平10-144325(JP,A)
【文献】特開2003-217600(JP,A)
【文献】特開2007-048623(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 6/02
H01M 10/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気化学セルの中に電極材料を提供するためのノズルであって、
開放上端と開放下端の間を延びる中空管状本体と、
前記中空管状本体の前記開放下端から離間した下側偏向器であって、該下側偏向器の偏向面と該中空管状本体の該開放下端の間に環状開口部を形成する前記下側偏向器と、
前記下側偏向器を前記中空管状本体と接続し、1又は2以上の支持トラスによって該中空管状本体の内部内に懸架された支持ロッドと、
を備えることを特徴とするノズル。
【請求項2】
前記支持ロッド及び前記下側偏向器は、それらを通って延びる導管を画定することを特徴とする請求項1に記載のノズル。
【請求項3】
前記下側偏向器は、前記中空管状本体の外側第2直径よりも大きい直径を有することを特徴とする請求項1に記載のノズル。
【請求項4】
前記偏向面は、凹面として具現化されることを特徴とする請求項1に記載のノズル。
【請求項5】
前記環状開口部は、調節可能であることを特徴とする請求項1に記載のノズル。
【請求項6】
前記環状開口部は、0.09インチから0.125インチの間の高さを有することを特徴とする請求項1に記載のノズル。
【請求項7】
前記偏向器は、0.24インチから0.275インチの間の直径を有することを特徴とする請求項1に記載のノズル。
【請求項8】
前記1又は2以上の支持トラスは、前記中空管状本体の内部の周りに少なくとも均に離間していることを特徴とする請求項1に記載のノズル。
【請求項9】
前記1又は2以上の支持トラスは、前記中空管状本体の内部の周りの複数の位置のそれぞれに複数の支持トラスを備えることを特徴とする請求項8に記載のノズル。
【請求項10】
電気化学セルの電極を形成する方法であって、
前記電気化学セルの中心開口部内にノズルを位置決めする段階と、
前記電気化学セルの前記中心開口部から前記ノズルを後退させ、一方で中心開口部を有する第1のアノード部分を形成するために該ノズルの下端に近接して位置付けられた環状開口部を通して第1のアノード材料を連続的に押し出す段階と、
前記第1のアノード部分の前記中心開口部の中に第2のアノード材料を押し出す段階と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項11】
前記第1のアノード部分の前記中心開口部の中に前記第2のアノード材料を押し出す段階は、前記ノズルが前記電気化学セルの前記中心開口部から後退している間に該ノズル内の中心導管を通して該第2のアノード材料を押し出す段階を含むことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記ノズルは、
開放上端と開放下端の間を延びる中空管状本体と、
前記中空管状本体の前記開放下端から離間した下側偏向器であって、該下側偏向器の偏向面と該中空管状本体の該開放下端の間に環状開口部を形成する前記下側偏向器と、
前記下側偏向器を前記中空管状本体と接続し、1又は2以上の支持トラスによって該中空管状本体の内部内に懸架された支持ロッドと、
を備え、
前記環状開口部を通して前記第1のアノード材料を押し出す段階は、
前記開放上端から前記開放下端まで前記中空管状本体の長さに沿ってかつ前記下側偏向器の前記偏向面に対して前記第1のアノード材料を押し出す段階であって、該偏向面が、前記環状開口部を通して該第1のアノード材料を向け直す前記押し出す段階、
を含む、
ことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記環状開口部の高さを調節する段階を更に含むことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記第1のアノード部分の前記中心開口部の中に前記第2のアノード材料を押し出す段階は、前記ノズルを該第1のアノード部分の該中心開口部から後退させた後に該第1のアノード部分の該中心開口部の中に該第2のアノード材料を押し出す段階を含むことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔関連出願への相互参照〕
この特許出願は、引用によってその全体が本明細書に組み込まれている2020年1月22日出願の米国仮特許出願第62/964,374号に対する優先権を主張するものである。
【背景技術】
【0002】
特にアルカリバッテリに一般的に見られるボビン様式電気化学セルに対して、アノード粒子の位置酸化は、電気化学セルの全体性能に影響を与える。これらのボビン様式セルでは、カソード(典型的に、アルカリ1次セル内に活物質として二酸化マンガンを備える)は、セル容器内に位置決めされたほぼ中空のチューブとして形成される。アノード(典型的に、亜鉛又は亜鉛複合物を備える)は、カソードの中空内部内に位置決めされ、かつセパレータによってカソードから分離される。集電体(例えば、釘)は、アノードの中心に位置決めされる。組成物全体は、KOH電解質内で飽和される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許出願第15/896,917号明細書
【文献】米国特許出願第16/145,830号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、ボビン様式アルカリセルの中心内に少なくとも実質的に同心に位置決めされた複数のアノード部分を含む電気化学セルの小規模試験は、全体セル性能の改善に関して有望な結果をもたらしている。例えば、引用によってその内容が全体的に本明細書に組み込まれている現在特許出願中の2018年2月14日出願の米国特許出願第15/896,917号明細書及び2018年9月28日出願の米国特許出願第16/145,830号明細書で議論されているように、二重アノードを有するある一定のセル構成は、低率機能に対する最小トレードオフと共に高速放電性能の増加を示している。これらの小規模実験室試験は、アルカリ電気化学セルに対して有望な性能改善を明らかにしているが、二重アノード構成を有するアルカリ電気化学セルを大規模に製造するための製造技術の開発に向けた有意な労力は存在していない。従って、放電性能を改善する電気化学セルを製造するための新しいアルカリ電気化学セル製造技術に対する必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
様々な実施形態は、電気化学セルが特徴的な勾配を提供するための(例えば、そこに少なくとも2つのアノード部分を提供するための)電極(例えば、アノード)を構成するためのシステム及び方法を提供する。ある一定の実施形態は、電気化学セル内に(例えば、セルのカソードリング及びセパレータによって形成された開放内部内に)アノードリングを発生させるように構成された押出ノズルに関する。
【0006】
様々な実施形態は、電気化学セルの中に電極材料を提供するためのノズルに関し、ノズルは、開放上端と開放下端の間を延びる中空管状本体と、中空管状本体の開放下端から離間した下側偏向器であって、下側偏向器の偏向面と中空管状本体の開放下端との間に環状開口部を形成する上記下側偏向器と、下側偏向器を中空管状本体と接続し、1又は2以上の支持トラスによって中空管状本体の内部内に懸架された支持ロッドとを備える。
【0007】
ある一定の実施形態では、支持ロッド及び下側偏向器は、それらを通って延びる導管を定める。更に、下側偏向器は、中空管状本体の外側第2直径よりも大きい直径を有することができる。ある一定の実施形態では、偏向面は、凹面として具現化される。様々な実施形態では、環状開口部は調節可能である。ある一定の実施形態では、環状開口部は、約0.09インチから約0.125インチの間の高さを有する。様々な実施形態では、偏向器は、約0.24インチから約0.275インチの間の直径を有する。ある一定の実施形態では、1又は2以上の支持トラスは、中空管状本体の内部の周りに少なくとも実質的に均等に分配された半径方向場所で離間している。様々な実施形態では、1又は2以上の支持トラスは、各半径方向場所で複数の支持トラスを備える。
【0008】
ある一定の実施形態は、電気化学セルの電極を形成する方法に関連し、本方法は、電気化学セルの中心開口部内にノズルを位置決めする段階と、電気化学セルの中心開口部からノズルを後退させ、一方でノズルの下端に近接して位置付けられた環状開口部を通して第1のアノード材料を連続的に押し出して中心開口部を有する第1のアノード部分を形成する段階と、第1のアノード部分の中心開口部の中に第2のアノード材料を押し出す段階とを備える。
【0009】
様々な実施形態では、第2のアノード材料を第1のアノード部分の中心開口部の中に押し出す段階は、ノズルが電気化学セルの中心開口部から後退する間にノズル内の中心導管を通して第2のアノード材料を押し出す段階を備える。ある一定の実施形態では、ノズルは、開放上端と開放下端の間を延びる中空管状本体と、中空管状本体の開放下端から離間し、かつ下側偏向器の偏向面と中空管状本体の開放下端との間に環状開口部を形成する下側偏向器と、下側偏向器を中空管状本体と接続し、1又は2以上の支持トラスによって中空管状本体の内部内に懸架された支持ロッドとを備え、環状開口部を通して第1のアノード材料を押し出す段階は、中空管状本体の長さに沿って第1のアノード材料を開放上端から開放下端までかつ下側偏向器の偏向面に対して押し出す段階を備え、偏向面は、環状開口部を通して第1のアノード材料を向け直す。ある一定の実施形態では、本方法は、環状開口部の高さを調節する段階を更に備える。ある一定の実施形態により、第1のアノード部分の中心開口部の中に第2のアノード材料を押し出す段階は、ノズルを第1のアノード部分の中心開口部から後退させた後に第2のアノード材料を第1のアノード部分の中心開口部の中に押し出す段階を備える。
【0010】
ここで添付図面を以下で参照するが、これらは必ずしも縮尺通りに描かれていない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】一実施形態によるアルカリ電気化学セルの断面立面図である。
図2】一実施形態によるアルカリ電気化学セルの断面立面図である。
図3A】ある一定の実施形態による押出ダイの概略図である。
図3B】ある一定の実施形態による押出ダイの概略図である。
図3C】ある一定の実施形態による押出ダイの概略図である。
図3D】ある一定の実施形態による押出ダイの概略図である。
図4】ある一定の実施形態による押出ダイの機能性を概略的に示す図である。
図5】ある一定の実施形態による代替押出ダイの機能性を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明をここで本発明の全ての実施形態ではないが一部を示す添付図面を参照して以下により完全に説明する。実際に、本発明は、多くの異なる形態に具現化することができ、本明細書に説明する実施形態に限定されるように解釈すべきではない。むしろ、これらの実施形態は、本発明の開示が適用される法的要件を満足するように提供される。類似の番号は、全体を通して類似の要素を指す。
【0013】
アルカリ電気化学セルは、LR6(AA)、LR03(AAA)、LR14(C)、及びLR20(D)として公知のセルサイズで市販されている。セルは、「国際電気標準会議」のような組織によって設定された寸法基準に準拠する円筒形状を有する。電気化学セルは、広範囲の電気デバイス、例えば、時計、ラジオ、おもちゃ、電子ゲーム、フラッシュバルブユニットを一般的に含むフィルムカメラ、並びにデジタルカメラに給電するために消費者によって利用される。そのような電気デバイスは、低いドレーンから比較的高いドレーンまでのような広範囲の放電条件を保有する。デジタルカメラのような高ドレーンデバイスの使用増加により、望ましい高ドレーン放電特性を保有するバッテリを生成することが製造業者にとって望ましい。
【0014】
図1は、立面断面での円筒形セル1を示し、セルは、従来のLR6(AA)サイズのアルカリセルに同等の釘タイプ又はボビンタイプ構成及び寸法を有する。しかし、様々な実施形態によるセルは、当該技術分野で公知のようにプリズム又はボタンタイプ形状のような他のサイズ及び形状及び電極構成を有することができることは理解されるものとする。図1に示す電気化学セルの成分のための材料及び設計は、例示目的のためのものであり、他の材料及び設計で置換することができる。
【0015】
電気化学セル1は、閉鎖底端24と、上端22と、その間の側壁26とを有する容器又は缶10を含む。閉塞底端24は、突起を含む端子カバー20を含む。缶10は、内壁16を有する。実施形態では、正端子カバー20は、底端24に溶接されるか又は他に取り付けられる。一実施形態では、端子カバー20は、例えば、その中心領域に突出したナブを有してメッキ鋼で形成することができる。容器10は、鋼のような金属で形成することができ、これは、電気化学セル内の様々な入力に適合する十分な構造特性を保有するニッケル、コバルト、及び/又は他の金属又は合金又は他の材料を用いてその内部上にメッキすることができる。ラベル28は、容器10の外面の周りに形成することができ、負端子カバー46が容器10及び正端子20から電気的に分離される限り、正端子カバー20及び負端子カバー46の周縁にわたって形成することができる。
【0016】
容器10内に配置されるのは、第1の電極18及び第2の電極12であり、その間にセパレータ14を有する。第1の電極18は、セパレータと容器10の開放端22に固定された閉鎖アセンブリ40とによって定められた空間内に配置される。閉鎖端24、側壁26、及び閉鎖アセンブリ40は、セルの電極が収容されるキャビティを定める。
【0017】
閉鎖アセンブリ40は、ガスケットのような閉鎖部材42と、集電体44と、集電体44と電気接触した導電端子46とを備える。閉鎖部材42は、セルの内圧が過剰になる場合に閉塞部材が破裂することを可能にする圧力逃し通気口を含有することができる。閉塞部材42は、集電体44及び導電端子46が第2の電極12の集電体として機能する容器10から電気的に分離されるという前提で、ポリマー又はエラストマー材料、例えば、ナイロン-6,6、ポリ(フェニレンオキシド)又はポリスチレンと組み合わせたポリプロピレン母材のような射出成形可能なポリマー配合物又は金属のような別の材料から形成することができる。例示的な実施形態では、集電体44は、細長い釘又はボビン状構成要素である。集電体44は、銅又は真鍮のような金属又は金属合金、導電性メッキ金属、又はプラスチック集電体などで作られる。他の適切な材料を利用することができる。集電体44は、閉塞部材42内の孔(例えば、中心に位置付けられた孔)を通して挿入される。
【0018】
第1の電極18は、負極又はアノードとすることができる。負極は、1又は2以上の活物質(例えば、亜鉛)、導電材料、固体酸化亜鉛、及び/又は一部の実施形態では界面活性剤の混合物を含む。負極は、任意的に、他の添加剤、例えば、結合剤又はゲル化剤などを含むことができる。
【0019】
図1の実施形態は、ほぼ均一な特性を有するものとして第1の実施形態を示すが、様々な実施形態は、不均一なアノード構成を備えることを理解しなければならない。例えば、第1の電極18は、集電体44に近接して第1のアノード部分(第1のアノード調剤から構成される)及びセパレータ14に近接して第2のアノード部分(第2のアノード調剤から構成される)を定めることができる。第1のアノード部分及び第2のアノード部分は、境界領域によって分離することができる異なる特性によって定められた離散領域を定めることができる。境界領域は、隣接するアノード組成物の間の離散境界により、又は隣接するアノード組成物の各々の部分が混合する混合領域により、例えば、複数のアノード組成物をセルの離散領域の中に追加するための処理段階の結果として定めることができる。
【0020】
ある一定の実施形態では、隣接するアノード組成物の間の境界は、第1の電極18の半径に対して中心に置くことができる(又は境界は、2よりも多いアノード組成物を備える実施形態では、第1の電極18の半径に沿って均等に離間させることができる)。しかし、隣接するアノード組成物の間の境界は、ある一定の実施形態では、セパレータ14又は集電体44に向けて傾斜する場合がある。様々なアノード組成物の間の量の差は、重量(例えば、第1の電極18の総重量の重量パーセント)、容積(例えば、第1の電極18の全容積の容積パーセント)、及び/又は厚み(例えば、第1の電極18の全体の厚みの半径方向厚みパーセント、換言すると、第1の電極18の長さのパーセント)などのような異なる特性に基づいて定めることができる。例として、各アノード組成物(例えば、第1のアノード組成物及び第2のアノード組成物)の重量は、少なくとも実質的に等しいとすることができる。別の例として、各アノード組成物(例えば、第1のアノード組成物及び第2のアノード組成物)の容積は、少なくとも実質的に等しいとすることができる。更に別の例として、各アノード組成物(例えば、第1のアノード組成物及び第2のアノード組成物)の厚みは、少なくとも実質的に等しいとすることができる。特定のアノード組成物のより多い又は少ないものは、ある一定の実施形態では第1の電極18内に含めることができる(例えば、各アノード組成物の重量、容積、又は厚みが等しくないように)ことを理解しなければならない。一具体例として、第1のアノード組成物の量は、重量で第2のアノード組成物の量を超える場合がある。
【0021】
ある一定の実施形態では、アノード特性の各々に関連付けられたアノード組成物は、それぞれのアノード組成物内に含まれる界面活性剤タイプの差によって定めることができる。例えば、第1のアノード組成物は、第1の界面活性剤タイプを備えることができ、第2のアノード組成物は、第2の界面活性剤タイプを備えることができる。具体例として、セパレータ14に隣接して位置付けられた第1の電極18の一部分に組み込まれた第1の界面活性剤を組み込む第1のアノード組成物は、第2の界面活性剤を組み込むかつ集電体44に隣接して位置付けられた第1の電極18の一部分に位置決めされた第2のアノード組成物よりも高い電荷移動抵抗を有することができる。第1の界面活性剤を組み込む第1のアノード組成物は、第2の界面活性剤を組み込む第2のアノード組成物よりも低いアノード伝導性を有する場合もある。そのような例では、第1のアノード組成物は、リン酸エステル界面活性剤を備えることができ、第2のアノード組成物は、スルホン酸塩界面活性剤(例えば、アニオン性スルホン酸塩界面活性剤)を備えることができる。本発明者の理解するところにより、第1のアノード組成物にリン酸エステル界面活性剤(例えば、非イオン性リン酸エステル界面活性剤)を含めることは、第1のアノード組成物がスルホン酸塩界面活性剤を備える第2のアノード組成物よりも高い電荷移動抵抗及び低い伝導性を有するということである。第1の電極18の集電体44に近接して低い電荷移動抵抗、及びセパレータ14に近接して高い電荷移動抵抗を備えることにより、第1の電極18は、集電体44により近い部分が最初に放電するように放電され、それにより、セパレータ14により近いZnO粒子の形成前に集電体44に最も近い第1の電極の部分内にZnO粒子の形成を生じる。アノード内により近いアノードの部分の完全な放電の前にセパレータ14に近接して形成されたZnO粒子は、セパレータ14にわたる電解質の拡散を遮断することにより、アノード内部内のアノード活物質の完全な放電を防止するか又は少なくとも妨げることができる。図示のように、集電体44の近くのアノードの部分がセパレータ14に近いアノードの部分よりも前に放電するように第1の電極(アノード)を形成することにより、第1の電極内の未放電活物質がセパレータ14に近接したZnOの形成による放電から遮断されないことが保証される。集電体44により近くかつより低い電荷移動抵抗を有する第1の電極18の部分が少なくとも実質的に放電した後に、セパレータ14により近く位置付けられてより高い電荷移動抵抗を有する第1の電極18の部分が放電し始める。
【0022】
ある一定の実施形態では、アノードの第1の外側領域(セパレータ14に隣接する)は、第1の界面活性剤を組み込む第1のアノード組成物を備え、第2の内側領域(集電体44に隣接する)は、第2の界面活性剤を組み込む第2のアノード組成物を備える。第1のアノード組成物と第2のアノード組成物の間に離散境界が存在することができ、又は第1のアノード組成物と第2のアノード組成物の間の境界に位置付けられた小さい混合領域が存在することができ、混合領域は、第1の界面活性剤及び第2の界面活性剤の両方を備える。
【0023】
引用によってその内容が全体的に本明細書に組み込まれている現在特許出願中で2018年2月14日出願の米国特許出願第15/896,917号明細書で議論されたように、他の特性は、第1のアノード部分と第2のアノード部分の間で異なる場合がある。例えば、異なる特性は、活物質(例えば、亜鉛)の平均粒径、平均活物質合金組成、活物質の平均濃度、添加剤の平均濃度、及び/又は界面活性剤の平均濃度などとすることができる。非限定例として、第1の電極18の総組成物のパーセントとしての活物質の相対組成は、第1の電極18の半径に沿って(例えば、第1の電極18の外面と内側部分の間で)異なる場合があり、1又は2以上の活物質の粒子特性(例えば、粒径、表面粗度、及び/又は孔隙率など)は、第1の電極18の半径に沿って異なる場合があり、活物質合金タイプは、第1の電極の半径に沿って異なる場合があり、界面活性剤タイプは、第1の電極の半径に沿って異なる場合があり、第1の電極の総組成物のパーセントとしての界面活性剤の相対組成は、第1の電極18の半径に沿って異なる場合があり、及び/又は1又は2以上の不活物質の1又は2以上の粒子特性は、第1の電極18の半径に沿って異なる場合があるなどである。
【0024】
様々な実施形態では、複数の特性は、アノードの半径に沿って変化して複数の固有勾配アノード組成を形成することができる。例えば、アノード内の活物質の平均粒径は、アノードの半径に沿って変化する場合があり、界面活性剤タイプも、アノードの半径に沿って変化する場合がある。アノード固有変化の様々な組合せのいずれも、望ましい特性を有するアノードを提供するように意図している。具体例として、アノードは、セパレータに近接したアノードの領域に第1の界面活性剤タイプ及びセパレータに近接したアノードの領域に第1の平均活物質粒径と、集電体に近接したアノードの領域に第2の界面活性剤タイプ及び第2の平均活物質粒径とを備えることができる。そのような構成は、集電体44により近い領域により低い電荷移動抵抗を望ましく提供することができ、これは、集電体44に近い領域のガス発生を最小にしながら高速放電機能を増大することができる。
【0025】
ある一定の実施形態では、アノードは、2又は3以上の離散領域によって定めることができ、各領域は、そこに一貫した材料特性を有する。離散領域は、同時に及び/又は連続して形成することができる。例えば、様々な実施形態による電気化学セルの側面断面図である図2に示すように、第1の電極18は、第1の部分18a及び第2の部分18bを備えることができる。図2に示すように、第1の部分18aは、第1の電極18の外面と第2の部分18bの間に位置付けることができる。従って、第2の部分は、第1の部分18aと第1の電極18の内側部分との間に位置付けることができる(例えば、集電体44に隣接して)。従って、第1の部分18aは、第1の電極18の外面と共存する外面と、第1の部分18aの開放内部を取り囲む内面とを定める中空管状形を定めることができる。第2の部分18bは、第1の部分18aの内部開口部内に位置付けることができ、その結果、第2の部分18bは、第1の部分18aの内面に隣接して位置付けられた外面と、第1の電極18の内側部分と共存する内側部分とを定めるようになる。様々な実施形態では、第1の部分18aと第2の部分18bの間のインタフェース(第2の部分18bの外面と第1の部分18aの内面の間に定められた)は、第1の部分と第2の部分の間に離散境界を定めることができる。しかし、ある一定の実施形態では、第1の部分18aと第2の部分18bの間のインタフェースは、第1の部分18aと第2の部分18bの間で混合することによって定められた混合領域によって定めることができる。
【0026】
ある一定の実施形態では、第1の部分18aは、第1の電極18の総重量の約20重量%-80重量%を定めることができ、第2の部分18bは、第1の電極18の総重量の約20重量%-80重量%を定めることができる。本明細書で議論するような例示的実施形態では、第1のアノード部分18aの重量は、第2のアノード部分18bの重量を超える場合がある。
【0027】
図2に示されていないが、様々な実施形態の第1の電極18は、2よりも多い離散部分を備えることができる。追加の部分は、第1の部分18aと第2の部分18bの間に位置付けることができ、それにより、第2の部分18bを取り囲んで第1の電極18内に一連のリング(例えば、同心のリング)を形成する。本明細書により議論されるように、第1の電極18の様々な離散部分は、電気化学セルの中に共押し出しすることができ、及び/又は様々な離散部分は、連続的に電気化学セルの中に押出すことができるなどである。
【0028】
単に一例として、第1の部分18a内の界面活性剤は、第2の部分18b内の界面活性剤とは異なる場合がある。具体的には、第1の部分18a内の界面活性剤は、第1の部分が、第2の部分18bよりも高い電荷移動抵抗及び低いアノード伝導性を有することを可能にすることができる。ある一定の実施形態では、第1の部分18a内の界面活性剤は、リン酸エステル界面活性剤であり、第2の部分18b内の界面活性剤は、スルホン酸塩界面活性剤である。別の例として、非イオン性界面活性剤は、第1の部分18a又は第2の部分18bのうちの一方に使用することができ、アニオン性界面活性剤は、アノードの他の部分に使用することができる。具体的には、亜鉛粒子に付着するための第1の親和性を有する第1の界面活性剤は、第1の部分18aに提供することができ、亜鉛粒子に付着させるための第2の親和性(例えば、亜鉛粒子に付着するためのより低い親和性)を有する第2の界面活性剤は、第2の部分18bに提供することができる。界面活性剤タイプのそのような勾配は、集電体44の上に亜鉛メッキすることができ、それにより、高速放電中に亜鉛酸化の最高濃度を有するアノードの領域内に高活性界面活性剤を提供しながらガス抜きを低減する。
【0029】
別の例として、第1の部分18a内の活性アノード材料(例えば、亜鉛)の平均粒径は、第2の部分18b内の活性アノード材料の平均粒径よりも大きくすることができる。別の例として、第1の部分18a内の活物質の平均量は、第2の部分18b内の活物質の平均量よりも大きくすることができる(例えば、それぞれの第1の電極部分の総重量に対して活物質の重量パーセントとして測定され、及び/又はそれぞれの第1の電極部分の総重量に対して活物質の容積パーセントとして測定されるなど)。更に別の例として、第2の部分18a内の界面活性剤の平均量は、第2の部分18b内の界面活性剤の平均量よりも大きくすることができる(例えば、それぞれの第1の電極部分の総重量に対して界面活性剤の重量パーセントとして測定され、及び/又はそれぞれの第1の電極部分の総重量にして界面活性剤の容積パーセントとして測定されるなど)。
【0030】
更に別の例として、第1の部分18aで利用される活物質のタイプは、第2の部分18bで利用される活物質のタイプとは異なる場合がある(例えば、様々な等級の亜鉛を使用することができ、様々な供給業者から購入された亜鉛を使用することができ、様々な亜鉛鉱山から取り出された亜鉛を使用することができ、様々な平均孔隙率を有する亜鉛を使用することができ、様々な粗度特性を有する亜鉛を使用することができ、及び/又は様々な合金組成物を有する活物質を使用することができるなど(例えば、様々な合金を様々なアノード部分に使用することができ、これらの合金は、亜鉛-ビスマス合金、亜鉛-インジウム合金、及び/又は亜鉛-アルミニウム合金などの非限定例から選択することができるなど))。具体例として、反応性が高くなることが公知の亜鉛合金は、第1の部分18aに含めることができ、反応性が低くなることが公知の亜鉛は、第2の部分18bに含めて、集電体44に近接する領域でガス抜きを低減しながら高率機能を増大することができる(従って、亜鉛反応性は、セパレータに近接してほぼ集中する)。
【0031】
様々な実施形態に使用するのに適する亜鉛は、BIA 100、BIA 115のような様々な名称で多数の様々な商業的ソースから購入することができる。ベルギーのブリュッセル所在のUmicore,S.A.は、亜鉛供給業者の例である。好ましい実施形態では、亜鉛粉末は、一般的に、75ミクロン未満の25から40パーセントの微粒子、具体的には75ミクロン未満の28から38パーセントの微粒子を有する。一般的に、より低いパーセントの微粒子は、望ましい高率機能を実現することを可能にしないことになり、より高いパーセントの微粒子の利用は、ガス発生の増加に至る可能性がある。正しい亜鉛合金は、セル内の負極ガス発生を低減し、試験機能結果を維持するのに必要である。
【0032】
ある一定の実施形態では、負極に存在する亜鉛の量は、一般的に、負極、すなわち、亜鉛、固体酸化亜鉛、界面活性剤、及びゲル化電解質の総重量に基づいて約62から約78重量パーセント、望ましくは約64から約74重量パーセント、及び具体的には約68から約72重量パーセントの範囲である。
【0033】
様々な実施形態で利用される固体酸化亜鉛は、デジタルスチルカメラ(DSC)機能のような高率機能を増大するように、並びにアノード流動を増加させてDSC機能の変動性を低減するように高活性とすることができる。
【0034】
アノードに追加する固体酸化亜鉛は、具体的には高純度を有し、かつより高い亜鉛ガス発生及びより低い機能をもたらすことができる低レベルの不純物を含む。固体酸化亜鉛は、具体的には、30ppm未満の鉄、3ppm未満の銀及びヒ素、1ppm未満の銅、ニッケル、クロム、及びカドミウムの各々、0.05ppm未満のモリブデン、バナジウム、及びアンチモンの各々、0.1ppm未満のスズ、及び0.005ppm未満のゲルマニウムを含有する。
【0035】
様々な実施形態では、第1の電極18の1又は2以上の部分に追加する界面活性剤は、非イオン性又はアニオン性界面活性剤、又はその組合せのいずれかとすることができる。例えば、上述のように、非イオン性界面活性剤は、第1の電極18の1つの部分に追加することができ、アニオン性界面活性剤は、第1の電極18の別の部分に追加することができる。アノード粘性は、固体酸化亜鉛単独の添加によって放電中に増加するが、界面活性剤の添加によって軽減することが見出されている。界面活性剤の添加は、上述のように、固体酸化亜鉛の表面電荷密度を増加させてアノード粘性を低減する。従って、アノードの一部分に界面活性剤を追加し(例えば、アノードの離散部分及び/又はアノード内の界面活性剤の濃度を変化させ)、又はアノードの様々な部分内に様々な界面活性剤を追加することでアノード内に電荷分布勾配を発生させることができる。
【0036】
界面活性剤の使用は、界面活性剤が固体酸化亜鉛上で吸収する時により多孔質の放電生成物を形成することを助けると考えられる。界面活性剤がアニオン性である時に、それは負電荷を帯び、アルカリ溶液中では、固体酸化亜鉛の表面上で吸収された界面活性剤は、固体酸化亜鉛粒子表面の表面電荷密度を変化させると考えられる。吸収された界面活性剤は、固体酸化亜鉛粒子の間に反発的静電相互作用を引き起こすと考えられる。界面活性剤の添加は、固体酸化亜鉛粒子表面の表面電荷密度の強化をもたらすと考えられる。固体酸化亜鉛のBrunauer-Emmett-Teller(BET)表面積が高いほど、より多くの界面活性剤を固体酸化亜鉛表面に吸収させることができる。
【0037】
更に、本発明者は、界面活性剤化学の違いが、アノードのアノード電荷移動抵抗及びアノード伝導性の違いを発生させる場合があることを見出した。具体例として、本発明者は、リン酸エステル界面活性剤(例えば、非イオン性リン酸エステル界面活性剤)を含むアノード組成物が、スルホン酸塩界面活性剤(例えば、アニオン性スルホン酸塩界面活性剤)を含むアノード組成物よりも高い電荷移動抵抗及び低いアノード伝導性を有することを見出した。電荷移動抵抗の違いを有する複数のアノード組成物が単一セル内に含まれる時に、より低い電荷移動抵抗を有するアノードの部分は、アノードの他の部分よりも前に最初に放電する。従って、リン酸エステル界面活性剤(例えば、非イオン性リン酸エステル界面活性剤)を含む第1のアノード組成物と、スルホン酸塩界面活性剤(例えば、アニオン性スルホン酸塩界面活性剤)を含む第2のアノード組成物とを単一セル内に含むことで(例えば、アノードの対応する部分内に)、第2のアノード組成物が第1のアノード組成物の前に放電するようになる。
【0038】
この理解を所与として、様々な実施形態によるアノードは、複数のアノード組成物を備え、集電体44に最も近く位置付けられたアノード組成物は、セパレータ14に最も近く位置付けられたアノード組成物よりも低い電荷移動抵抗を有する。そのような実施形態では、集電体44に最も近く位置付けられたアノード組成物は、セパレータ14に位置付けられたアノード組成物よりも前に放電し、それにより、セパレータ14に隣接する酸化亜鉛障壁の早期形成を防止し、これは、集電体44により近く位置付けられたアノード活物質の更に別の放電を妨げることができる。
【0039】
水性アルカリ電解質は、水酸化カリウム(KOH)又は水酸化ナトリウムなど又はこれらの混合物のようなアルカリ金属水酸化物を含む。負極のゲル化電解質を形成するのに使用するアルカリ電解質は、アルカリ電解質の総重量に基づいて約26から約36重量パーセント、望ましくは約26から約32重量パーセント、及び具体的には約26から約30重量パーセントの量でアルカリ金属水酸化物を含有する。相互作用は、負極のアルカリ金属水酸化物と追加した固体酸化亜鉛との間で起こり、より低いアルカリ金属水酸化物は、DSC機能を改善することが見出されている。より少ないアルカリの電解質が好ましいが、アノードの迅速な電解質分離をもたらす可能性がある。アルカリ金属水酸化物濃度の増加は、より安定したアノードを発生させるが、DSC機能を低減する可能性がある。
【0040】
当該技術分野で公知のように、米国オハイオ州クリーブランド所在のNoveon,Inc.から入手可能なCarbopol(登録商標)940のような架橋ポリアクリル酸のようなゲル化剤を負極に利用することができる。カルボキシメチルセルロース、ポリアクリルアミド、及びポリアクリル酸ナトリウムは、アルカリ電解質溶液に使用するのに適する他のゲル化剤の例である。ゲル化剤は、負極内で亜鉛及び固体酸化亜鉛粒子の実質的に均一な分散を維持するのに望ましい。存在する量又はゲル化剤は、より低率の電解質分離が得られように選択され、降伏応力でのアノード粘性は、アノード分配に関連付けられた問題をもたらす可能性があるほど大き過ぎない。
【0041】
負極の1又は2以上の部分内に任意的に存在する場合がある他の成分は、以下に限定されないが、ガス発生抑制剤、有機又は無機防食剤、メッキ剤、結合剤、又は他の界面活性剤を備える。ガス発生抑制剤又は防食剤の例は、水酸化インジウムのようなインジウム塩、パーフルオロアルキルアンモニウム塩、アルカリ金属硫化物、その他を備えることができる。一実施形態では、溶解酸化亜鉛は、ボビン又は釘集電体上のメッキを改善して負極棚ガス発生を下げるために、電解質内で溶解を通して存在する場合がある。追加した溶解酸化亜鉛は、アノード組成物中に存在する固体酸化亜鉛とは別個であって明確に異なる。負極電解質の総重量に基づいて約1重量パーセントの量の溶解酸化亜鉛のレベルは、一実施形態では好ましい。可溶性又は溶解酸化亜鉛は、一般的に、酸化亜鉛が150℃で1時間脱気された後に、多点較正を有するMicrometricsからTristar 3000 BET比表面積解析装置を利用して測定した約4m2/g又はそれ未満のBET表面積と、上述のようにCILAS粒径解析装置を使用して測定した約1ミクロンの粒径D50(平均直径)とを有する。更に別の実施形態では、負極電解質の総重量に基づいて約0.3重量パーセントの量のケイ酸ナトリウムは、セル放電中にセパレータを通してセル短絡を実質的に防止するために負極では好ましい。
【0042】
例示的ノズル
図3A-5は、第2の電極12(例えば、カソード)及びセパレータ14によって形成された電気化学セル1の内部開口部内に電極材料(例えば、アノード材料)を提供するのに利用される例示的ノズル300の様々な概略図である。具体的には、図3A-5に関して示したノズル300構成は、セパレータ14の内壁に隣接する中空管状電極部分18a(本明細書では第1の電極の第1の部分18aと呼ばれる)を形成するように構成され、第1の部分18aは、第1の部分18aの長さに沿って延びてそこに第2の部分18bを受け入れるように構成された内部開口部を定める(追加の部分は、例えば、2よりも多い離散アノード部分を含む実施形態で第1の部分18aの内部開口部内に提供することができることを理解しなければならない)。図2を参照して示すように、第1の部分18aは、セパレータ32の内径と実質的に適合する外径AD1を有することができ、第1の部分は、更に、内部開口部の直径を定めて第2の部分18bの外径に少なくとも実質的に適合する内径AD2を有することができる。
【0043】
図3A-3Cを参照して具体的に示すように、ノズル300は、ノズル300を利用して電極材料(例えば、アノード材料)で充填するように電気化学セル1の予想長さに対応する長さを有する中空管状本体301を備える。例えば、中空管状本体301は、ノズル300を利用して電極材料で充填するように少なくとも予想電気化学セルと同じ長さを有することができ、その結果、ノズル300は、使用中に電気化学セル1の内部高さ全体に沿って延びることができる。中空管状本体301は、更に、外径(中空管状本体301の外面上の対向する点の間で測定された)と、内径(中空管状本体301の内面上の対向する点の間で測定された)とを定める。拡大解釈すれば、中空管状本体301の壁は、中空管状本体301の外径と内径の間の差の半分の壁厚を有する。
【0044】
更に、例示的実施形態の中空管状本体301は、第1の電極(例えば、アノード)の第1の部分18aの内部開口部の断面形状及びサイズに対応する断面形状及びサイズを有する。具体的には、例示的実施形態では、中空管状本体301は、円形の外部断面形状を有し、第1の部分18aの内部開口部の内径に対応する外径を有する。ある一定の実施形態では、中空管状本体301の外径は、LR6(AA)電気化学セルを形成するのに使用するために少なくとも約0.242インチとすることができる。他の外径寸法は、他の実施形態で及び/又は他の電気化学セルサイズに対して提供することができることを理解しなければならない。しかし、中空管状本体301は、本明細書で議論する下側偏向器310のサイズ及び位置決めに照らしてある一定の実施形態では様々な形状及びサイズのいずれかを有し、第1の部分18aの内部開口部のサイズ及び形状に対応する必要はない場合があることを理解しなければならない。拡大解釈すれば及び本明細書により議論するように、中空管状本体301の外径は、下側偏向器310の直径と等しいとする必要はなく、下側偏向器310は、第1の部分18aの材料がセル内に提供される時に第1の部分18aの内径AD2を確立するのに利用することができる。例えば、中空管状本体301の外径は、下側偏向器310の直径よりも小さくすることができる。
【0045】
中空管状本体301は、開放上端302(そこに第1のアノード部分18aのアノード材料を受け入れるように構成された)と、開放下端303(そこから第1のアノード部分18aのアノード材料を放出するように構成された)との間を延びる。開放上端302では、ノズル300は、例えば、図に示すようなコネクタ304を通して第1のアノード部分18aのアノード材料を供給する導管に接続することができる。図示のように、コネクタ304は、導管のサイズをノズル300のサイズに適応させるように構成することができる。しかし、他の接続構成をある一定の実施形態で利用することができることを理解しなければならない。
【0046】
図3A-3Cの例示的実施形態に示すように、ノズル300は、更に、中空管状本体301の開放下端303から離間した下側偏向器310を備える。下側偏向器310は、中空管状本体301の下端303から、例えば、中空内部本体301の長さと少なくとも実質的に平行な方向から空内部本体301の長さと少なくとも実質的に垂直な方向に放出された電極材料の流れを向け直すように構成された偏向面(例えば、下側偏向器310の上面)を定めることができ、その結果、電極材料(例えば、アノード材料)は、ノズル300から少なくとも実質的に半径方向に押し出されるようになり、その結果、電極材料は、電気化学セル1のセパレータ14の側壁に対して押し出されるようになる。図3Aに示すように、偏向面は、中空管状本体301の長さに対して少なくとも実質的に垂直に向けられた少なくとも実質的に平面として具現化することができる。図3Cは、偏向面が湾曲面(例えば、凹面曲率を有する)として具現化され、電極材料(例えば、アノード材料)をノズル300の外側に向け直す別の例示的実施形態を示している。他の実施形態は、面取り偏向面又は別の偏向面形状を利用することができる。
【0047】
更に、下側偏向器310は、第1の電極(例えば、アノード)の第1の部分18aの内部開口部の形状に対応する断面形状を有する。従って、電極材料は、ノズル300からセパレータ14の側壁に対して押し出され、下側偏向器310は、電極材料がそれに対して流れて成形することができるモールド部分として作動する。従って、第1の電極のリング状の第1の部分18a(又は第2の電極12の内部開口部の断面形状及び下側偏向器310の断面形状によって少なくとも部分的に定められた他の形状)は、セパレータ14と下側偏向器310の外部側面との間に形成される。下側偏向器310の高さは、本明細書で議論するように、十分な高さの電極材料を押し出すことができるように最適化されてノズル300の移動前に第1の電極の第1の部分18aの構造的に安定したリング状の形成を可能にすることができる。ある一定の実施形態では、下側偏向器310の直径は、第1の部分18aの電極材料が第1の部分18aの電極材料の粘性に応じて沈殿する場合があるので、第1の部分18aの得られる内径AD2よりも大きくすることができる。従って、下側偏向器310の直径は、第1の部分18aの望ましい内径AD2及び第1の部分18aの電極材料の公知の粘性に少なくとも部分的に基づいて選択することができる。単に一例として、下側偏向器310は、第1の部分18aを高粘性のアノード材料で形成する時に、約0.240インチから約0.275インチの間の直径を有することができ、下側偏向器310は、第1の部分18aの内径AD2に少なくとも実質的に等しい直径を有することができる。そのような実施形態では、下側偏向器310は、少なくとも約0.242インチの直径を有してLR6電気化学セルに対して少なくとも約0.242インチの第1の部分18aの内径AD2を形成することができる。しかし、より低い粘性のアノード材料を利用する時に、下側偏向器310の直径は、第1の部分18aの得られる内径AD2よりも大きくすることができる。そのような実施形態では、下側偏向器310は、約0.245インチから約0.275インチの間の直径を有してLR6サイズの電気化学セルに対して少なくとも約0.242インチの第1の部分18aの内径AD2を形成することができる。本明細書で議論するように、下側偏向器310の直径は、中空管状本体301の外径よりも大きくすることができる。0.301インチの第1の部分18aの外径AD1を有する電気化学セルに対して第1の部分18aは、少なくとも約0.0295インチの厚みを有する。
【0048】
例示的実施形態では、下側偏向器310は、中空管状本体301の内壁から支持ロッド311の外面まで延びる複数の支持トラス312の各々によって中空管状本体301の内部内に懸架された支持ロッド311によって支持される。各支持トラス312は、中空管状本体301を通る電極材料の流れに最小限の影響を及ぼすか又は全く影響を及ぼさないように、断面形状を十分に薄く及び/又は小さくすることができる。図3Aの実施形態に示すように、複数の支持トラス312は、中空管状本体301の内部の周りの様々な半径方向場所で中空管状本体301の長さに沿って垂直に位置合わせすることができる。例えば、支持トラス312は、中空管状本体301の3つの半径方向場所(例えば、内部の周りに少なくとも実質的に均等に離間した)に位置付けることができる。図3Dは、中空管状本体301の内部の周りに少なくとも実質的に均等に位置決めされた半径方向場所に離間した細長い支持トラス312を組み込む代替実施形態を示している。例えば、単一細長支持トラス312は、中空管状本体301の内部内の各半径方向場所に位置付けることができる。ある一定の実施形態では、細長支持トラス312の各々は、中空管状本体301の上側開放端と中空管状本体301の下側開放端の間を延びることができる。しかし、図3Dに示すように、各半径方向場所で細長支持トラス312は、中空管状本体312の長さの一部分だけに沿って延びることができる。
【0049】
更に、ある一定の実施形態では、下側偏向器310は、支持ロッド311に切り離し可能に固定することができ(例えば、ネジ切りインタフェースを通じて)、それにより、異なる直径の下側偏向器310をノズル300の端部の上に固定して様々な電気化学セルのサイズを受け入れ、第1のアノード部分18aの様々な望ましい内径AD2のサイズを受け入れ、及び/又は様々なアノード材料の粘性を受け入れることなどを可能にする。
【0050】
支持ロッド311は、中空管状本体301の長さに沿って少なくとも部分的に延び、中空管状本体301の開放下端303から離れた距離で下側偏向器310を支持し、下側偏向器310の偏向面と中空管状本体301の開放下端303の間に環状間隙315を定める。ノズル300を通過した電極材料(例えば、アノード材料)は、中空内部本体301の長さに沿って開放上端302から開放下端303まで移動し、環状間隙315を通ってノズル300の外に偏向される。ある一定の実施形態では、環状間隙315は、ノズル300を通した電極材料の滑らかな流れを依然として可能にしながら第1の電極の構造的に安定した第1の部分18aを形成するように、ノズル300が移動する時に電気化学セルの中に電極材料を提供するように最適化された中空管状本体303の開放下端303と下側偏向器310の偏向面の最下点との間の高さを有する。他の実施形態では、環状間隙315の高さは、使用中に環状間隙315の高さの最適化を可能にするように調節可能とすることができる。ある一定の実施形態では、環状間隙315は、約0.090インチから約0.124インチの間のような約0.080インチから約0.125インチの間の高さを有する。環状間隙135の高さは、第1の部分18aを形成するように提供された電極材料の圧力及び/又は流量を調節するように調節することができ、これは、第1の部分18aの電極材料の沈殿の量にそれを電気化学セルに提供した後で影響を与える場合がある。
【0051】
図示していないが、ノズル300は、電極材料がノズル300を通過する時に少なくとも実質的に直線的に(例えば、電気化学セル1内で垂直に)ノズル300を移動するように構成された関連の線形アクチュエータを有することができる。本明細書で議論するように、ノズル300は、下側偏向器310の底面が電気化学セル1の内部開口部の底面に接触又は少なくとも近接するように最初に置くことができる。電極材料(例えば、アノード材料)がノズル300を通過する時にノズル300は上方に後退するが、電極材料は、ノズル300を連続的に通過してセパレータ14の側壁に対して押し出される。ノズル300が上方に移動する時に下側偏向器310の側壁は、本明細書で議論するように、少なくとも実質的に同時に又は連続的に処理する段階を有する第1の電極(例えば、アノード)の第2の部分18b(及び/又は追加の部分)で充填することができる第1の電極(例えば、アノード)の第1の部分18aの内部開口部を取り囲む第1の電極の第1の部分18aの内面を形成する。ノズル300が電気化学セルの内部から後退する速度は、第1のアノード部分18aの予想不能な又は過剰な沈殿をもたらす場合がある第1の部分18aの電極材料が十分に固まるノズル300の移動中の過剰な沈殿を回避することを保証するように最適化することができる。
【0052】
図5を簡単に参照すると、ある一定の実施形態では、支持ロッド311及び下側偏向器310は、第2の部分18bに対応する追加の電極材料(本明細書では、例えば、第2のアノード材料として具現化することができる第2の電極材料とも呼ばれる)を押し出すことができる内部導管313を定める。そのような構成を通して、第1の電極の第1の部分18a及び第2の部分18bは、単一成形ツールを用いて少なくとも実質的に同時に形成することができる。具体的には、第1の部分18aの電極材料(例えば、アノード材料)は、支持ロッド311と中空管状本体301の間に提供することができるが、第2の部分18bの第2の電極材料(例えば、第2のアノード材料)は、支持ロッド311の中空内部を通って流れる。そのような実施形態は、多部品内側電極(例えば、多部品アノード)の発生に関連付けられた生成速度を増大することができる。更に、電極の第1の部分18aと同時に電極の第2の部分18bを提供することにより、第2の部分18bが第1の部分18aの沈殿に対抗するために存在する時に第1の部分18aの沈殿を抑制することができる。
【0053】
例示的製造方法
本明細書で簡単に示すように、アノードの1又は2以上の部分(例えば、第1の電極18の第1の部分18a、第1の電極18の第2の部分18b、及び/又は第1の電極18の全体)は、電気化学セル内に第1の電極を形成するように押し出すことができる。ある一定の実施形態では、第1の電極18の様々な部分は、(例えば、図5の例示に従って構成されたノズル300を通して第1の電極18の個別の部分を同時に又は連続的に押し出すことにより)共押出しされ、(図3A-4に従って構成されたノズル300を利用して第1の電極18の第1の部分18aを押し出し、第1の部分18aに形成された内部開口部から外にノズル300を後退させ、次に、例えば、個別のノズルを通してノズル300の取り外しによって作り出された内部開口部の中に第1の電極18の第2の部分18bを押し出すことにより)連続して押し出すことができる。
【0054】
具体的には、様々な実施形態による方法に従って第1の電極の第1の部分18aを形成するために、ノズル300は、下側偏向器310の底面が開口部の底面(例えば、セパレータ14の底壁)に対して位置決めされる第1の位置に第2の電極12及びセパレータ14によって形成された開口部の中に最初に挿入される。ノズル300が第1の位置にある状態で、第1の電極18の第1の部分18aの電極材料(例えば、アノードの第1の部分を形成するのに利用されるアノード材料)は、ノズル300の中空管状本体301を通過して環状開口部15を出る。電極材料が中空管状本体301を通して環状開口部15から外に流れ続けると、ノズル300は、図4に示すように、少なくとも部分的にノズル300を通って電極材料の押出の割合(例えば、流体圧力及び/又は流量)に基づいて決定される速度で電気化学セル1から外に後退する(例えば、ゆっくり後退する)。電極材料が電気化学セル1の中に押し出されて第1の部分18aを形成すると、電気化学セル1内の電極材料のレベルは上昇する(かつ第1の電極(例えば、アノード)の第1の部分18aの上面は上昇し続ける)。ノズル300の後退速度は、第1の電極の第1の部分18aの上昇上面が下側偏向器310の底面よりも上に留まるように維持される。例えば、第1の部分18aの上昇する上面は、下側偏向器310の側壁に位置合わせされたままであり、又は上部部分18aの上昇する上面は、下側偏向器310の偏向面の上方に留まる。少なくとも部分的に第1の電極18材料の粘性に起因して、第1の部分18aは、ノズル300(及び下側偏向器310)が後退する時に開放内部を有する管状形状を維持する。
【0055】
望ましい量の電極材料がノズル300を通して電気化学セル1の中に提供された状態で、電極材料の流れは停止し、ノズル300は、電気化学セル1の内部から完全に後退する。ノズル300が第1の部分18aの電極材料のみを提供するように構成されたこれらの実施形態では、個別のノズル(図示せず)は、第1の部分18aの内部開口部を第2の部分18bの第2の電極材料で充填するのに利用することができる。
【0056】
図5に示すような構成を有する実施形態のような他の実施形態では、第2の部分18bの第2の電極材料は、ノズル300が後退する時に導管313を通じて提供することができ、それにより、第1の部分18aの内部開口部を充填して少なくとも実質的に第1の部分18aの形成と同時に電極の第2の部分18bを形成する。
【0057】
一実施形態では、亜鉛及び固体酸化亜鉛粉末とゲル化剤以外の他の任意的な粉末とが組み合わされて混合される。ある一定の実施形態では、亜鉛及び固体酸化亜鉛粉末は、第1電極18(例えば、アノード)の様々な部分に対応する個別のバッチで混合することができる。例えば、第1の亜鉛及び酸化亜鉛粉末は、混合されて第1のバッチを形成することができ、第2の亜鉛及び酸化亜鉛粉末は、混合されて第2のバッチ(例えば、第1のバッチの亜鉛粉末とは異なる平均亜鉛粒径を有する亜鉛粉末を備える)を形成することができる。
【0058】
その後に、亜鉛及び固体酸化亜鉛を含有する混合物の中に界面活性剤を導入することができる(例えば、界面活性剤は、様々なバッチの各々の中に導入することができる)。アルカリ電解質、可溶性酸化亜鉛、及びゲル化剤、並びに任意的に他の液体成分を備える予備ゲルは、界面活性剤、亜鉛、及び固体酸化亜鉛混合物に導入することができ、これは、セルに添加する前に実質的に均質な(例えば、各バッチ内で均質な)混合物を得るように更に混合される。様々な実施形態では、各バッチの1又は2以上の成分は、各バッチの間の望ましいアノード特性差を提供するように(例えば、異なる量の界面活性剤を提供し、異なる亜鉛等級を提供し、及び/又は異なる酸化亜鉛量を提供するなど)変えることができる。
【0059】
更に別の実施形態では、固体酸化亜鉛は、アルカリ電解質、ゲル化剤、可溶性酸化亜鉛、及び他の望ましい液体を備える負極予備ゲル中に予め分散され、約15分にわたってなどで配合される。上述のように、複数のバッチを提供することができ、各々は、固体酸化亜鉛、アルカリ電解質、ゲル化剤、可溶性酸化亜鉛、及び他の望ましい液体を備える。ある一定の実施形態では、各バッチは、上述のように、組み合わされた成分の異なる組成物を備えることができる。次に、固体亜鉛及び界面活性剤が追加され、第1の電極組成物の各バッチは、約20分などの追加の期間にわたって配合される。第1の電極組成物(例えば、アノード組成物)の各バッチで利用されるゲル化電解質の量は、一般的に約25から約35重量パーセントである。例えば、ゲル化電解質の量は、第1の電極組成物の各バッチの総重量に基づいて約32重量パーセントとすることがでる。ゲル化電解質の容積パーセントは、ある一定の実施形態では、第1の電極の全容積に基づいて約70%とすることがでる。第1の電極製造工程中にゲル化剤によって吸収される水性アルカリ電解質に加えて、追加の量のアルカリ金属水酸化物の水溶液、すなわち、「遊離電解質」も製造工程中にセルに追加することができる。遊離電解質は、正極又は負極、又はその組合せによって定められたキャビティの中にそれを配置することによってセルの中に組み込むことができる。一実施形態では、遊離電解質は、負極混合物の添加前、並びに添加後の両方に追加される。一実施形態では、29重量パーセントのKOH溶液の約0.97グラムが、遊離電解質としてLR6タイプセルに追加され、約0.87グラムが、負極が追加される前にセパレータ裏打ちキャビティに追加される。本明細書で議論するように、負極の添加前に追加された遊離電解質は、後で負極によって吸収される界面活性剤組成物を備えることができ、それにより、負極の少なくとも一部分内に界面活性剤濃度勾配を形成する。29重量パーセントKOH溶液の残余は、負極が挿入された後でセパレータ裏打ちキャビティの中に注入される。
【0060】
本明細書で正極又はカソードとも呼ばれる第2の電極12は、電気化学的活物質として二酸化マンガンを備えることができる。二酸化マンガンは、一般的に、正極、すなわち、二酸化マンガン、導電材料、正極電解質、及び硫酸バリウムのような添加剤の総重量に基づいて重量で約81から85パーセントのような約80から約86重量パーセントの量で存在する。二酸化マンガンは、天然二酸化マンガン(NMD)、化学二酸化マンガン(CMD)、又は電解質二酸化マンガン(EMD)として市販されている。セルに使用するための好ましい二酸化マンガンは、EMDである。EMDの供給業者は、米国コネチカット州のスタンフォード所在のTronoxLtd.、日本の東京所在のTosoh Corporation、及び米国メリーランド州ボルチモア所在のErachem Comilog,Inc.を含む。正極は、電極の望ましい成分を組み合わせて混合することにより、続いて、ある量の混合物を容器の開放端の中に分配させ、次に、ラムを使用することによって形成され、セパレータ14及び第1の電極18が後で配置される容器内のキャビティを定める固体管状構成に混合物を成形する。第2の電極12は、図1に示すように、棚30及び内面32を有する。これに代えて、正極は、二酸化マンガンを備える混合物から複数のリングを予め形成し、次に、管状の第2の電極を形成するようにリングを容器の中に挿入することによって形成することができる。図1に示すセルは、典型的に3又は4個のリングを含むと考えられる。
【0061】
正極は、二酸化マンガンと混合された時に実質的に正極を通じて導電性母材を提供する導電材料、例えば、グラファイトのような他の成分を含むことができる。導電材料は、天然、すなわち、採掘される又は合成、すなわち、製造することができる。一実施形態では、セルは、約12から約14の範囲の活物質又は酸化物対炭素比(O:C比)を有する正極を含む。酸化物対炭素比が高すぎることは、容器対カソード抵抗を低減し、これは、全体のセル抵抗に影響を与え、DSC試験のような高率試験又はより高いカットオフ電圧に及ぼす潜在的影響を有する可能性がある。更に、グラファイトは、膨張する可能性があり、又は非膨張性である可能性がある。アルカリバッテリに使用するためのグラファイトの供給業者は、スイスのビロニコ所在のImerys Graphite & Carbon及び米国イリノイ州のシカゴ所在のSuperior Graphiteを含む。導電材料は、一般的に、正極の総重量に基づいて約5から約10重量パーセントの量で存在する。グラファイトが多すぎることは、二酸化マンガン入力及び従ってセル容積を低減する可能性があり、グラファイトが少なすぎることは、容器対カソード接触抵抗及び/又はバルクカソード抵抗を増大する可能性がある。追加の添加剤の例は、イタリアのマッサ所在のBario E.Derivati S.p.A.から市販の硫酸バリウム(BaSO4)である。硫酸バリウムは、一般的に、正極の総重量に基づいて約1から約2重量パーセントの量で存在する。他の添加剤は、例えば、酢酸バリウム、二酸化チタン、コアチレンのような結合剤、及びステアリン酸カルシウムを含むことができる。
【0062】
一実施形態では、二酸化マンガン、導電材料、及び硫酸バリウムのような正極成分は、互いに混合されて均質な混合物を形成する。混合工程中に、約37%から約40%のKOH溶液のようなアルカリ電解質溶液が混合物の中に均等に分散され、それにより、正極材料を通して溶液の均一な分布を保証する。次に、混合物は、容器に追加され、ラムを利用して成形される。成形前後の容器及び正極混合物内の水分と混合物の成分とは、高品質の正極が成形されることを可能にするように最適化することができる。混合物水分最適化は、湿式混合による飛沫及び閃光、並びに乾式混合による剥離及び過度の工具摩耗を最小にして正極を成形することを可能にし、最適化は、望ましい高いカソード重量を達成することを助ける。正極混合物中の水分含有量は、全体のセル電解質均衡に影響を与える可能性があり、高率試験に対する影響を有する。
【0063】
セパレータ14は、第1の電極18を第2の電極12から分離するために提供される。セパレータ14は、負極の電気化学的活物質からの正極の電気化学的活物質の物理的誘電材料分離を維持し、電極材料の間のイオンの搬送を可能にする。更に、セパレータは、電解質に対するウィッキング媒体として及び負極の断片部分が正極の上部に接触することを防止するカラーとして作用する。セパレータ14は、層状イオン透過性の不織繊維状生地とすることができる。典型的なセパレータは、一般的に、紙の2又は3以上の層を含む。従来のセパレータは、一般的に、第2の電極12及び閉鎖端24、並びにその上のあらゆる正極材料によって定められたキャビティの下にその後に挿入されるカップ形バスケットにセパレータ材料を予め形成するか、又はセパレータの2つの矩形シートを互いに対して90°角度的に回転した材料と共にキャビティの中に挿入することによってセル組立中にバスケットを形成するかのいずれかで形成される。従来の事前形成セパレータは、典型的には、第2の電極の内壁に適合して閉鎖底端を有する円筒形に圧延された1枚の不織布で作られる。
【0064】
以上の構成は、高い放電速度で作動する既存のアルカリセルバッテリに関連付けられた一般的な放電不足に対処する。実験を通して、従来のアルカリセルは、セルが高い放電速度使用を受ける時に完全には放電しないことが見出されている。具体的に、ZnOの形成を引き起こすアノード内の亜鉛の酸化は、ほぼ均質なアノードを含有するアルカリセルの高速放電中にセパレータに近接して集中することが見出されている。上述のように、ZnOは、未反応亜鉛よりも高い粒子容積を有し、従って、セパレータの近くのZnO形成は、アノードの中心により近く位置付けられた亜鉛粒子の放電を妨げる障壁を実質的に発生させる。
【0065】
従って、異なる電極特性を有する複数の第1の電極部分(例えば、複数のアノード部分)の各々を提供することにより、第1の電極の特性は、中心集電体により近くて(セパレータから離れた)第1の電極部分内により低い放電抵抗を促すように修正することができ、これは、セルの中程度及び高速の放電中にある一定の深さの放電の後でセパレータの近くで利用可能な亜鉛の量を増大することができる。例えば、異なる界面活性剤タイプが、セパレータに近接した及び集電体に近接したアノードの部分に提供されて電流分布を広げることができ、そのためにアノード内のより高い百分率のアノード活物質が放電反応に関与し、及び/又はより大きい平均粒径のアノード活物質をセパレータに近接して配置することができる(例えば、中程度及び高速放電中にセパレータに近い亜鉛の完全な消費を回避するために)などである。更に、集電体により近いアノードの各部分は、ガス発生特性を低減させるように修正され、それにより、アノードが高度に放電される時に望ましくないガス発生を低減することができる。
【0066】
結論
本明細書に列挙する本発明の多くの修正及び他の実施形態は、以上の説明及び関連の図面に提示した教示の利益を有するこれらの実施形態が関連する当業者には想起されるであろう。従って、実施形態は、開示した特定の実施形態に限定されるものではないこと、及び修正及び他の実施形態は添付の特許請求の範囲内に含まれるように意図していることは理解されるものとする。特定の用語が本明細書に使用されているが、それらは、制限の目的に対してではなく、単に一般的かつ説明的な意味に使用されている。
【符号の説明】
【0067】
1 電気化学セル
10 容器、缶
14、32 セパレータ
30 ノズル
44 集電体
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図4
図5