(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-05
(45)【発行日】2024-03-13
(54)【発明の名称】シャフト取付アセンブリ
(51)【国際特許分類】
F16J 9/20 20060101AFI20240306BHJP
F16J 9/00 20060101ALI20240306BHJP
【FI】
F16J9/20
F16J9/00 A
(21)【出願番号】P 2022548163
(86)(22)【出願日】2021-02-12
(86)【国際出願番号】 GB2021050352
(87)【国際公開番号】W WO2021161041
(87)【国際公開日】2021-08-19
【審査請求日】2022-09-21
(32)【優先日】2020-02-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(32)【優先日】2020-11-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】515132412
【氏名又は名称】クロス マニュファクチャリング カンパニー(1938)リミティド
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クロス エドワード ヘンリー
【審査官】宮下 浩次
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05826788(US,A)
【文献】実開昭61-138880(JP,U)
【文献】米国特許第03228705(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16J 9/20
F16J 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャフト取付アセンブリであって、
実質的に円形の断面を有する外面を備える細長いシャフトと、
ボアを画定する内面を有するシリンダであって、
前記
ボアの内径は、
前記シャフト
の外径よりも大きい、シリンダと、
を備え、
前記シャフトの前記外面および前記シリンダの前記内面のうちの一方は溝を備え、前記溝は、前記シャフトの前記外面の周囲または前記シリンダの前記内面の周囲の周りにそれぞれ延在し、
前記シャフトは、前記シャフトの前記外面と前記シリンダの前記内面との間に間隙が画定されるように前記ボアに収容され、前記シャフトは前記ボアに対して非回転および非往復運動であり、
前記シャフト取付アセンブリは、さらに、実質的に円形の不連続バンドを備えるばねを備え、
前記不連続バンドは、半径方向に、内面および外面を有し、前記内面および外面は、対応して成形され、軸方向に沿った断面の形状が弧状であり、
前記ばねは、前記バンド
の軸方向に沿った両方の縁部が前記溝内に位置するように前記溝内に位置決めされ、
前記ばねは、前記バンドの高さが前記溝の深さよりも大きく、前記バンドの前記軸方向
に沿った両方の縁部間の部分が前記溝から突出し、前記バンドの軸方向
に沿った長さである軸方向幅が前記溝の幅よりも小さい消勢状態と、
前記消勢状態と比較して、前記バンドの前記高さが減少し、前記バンドの前記軸方向幅が増加するように、前記ばねが前記ボア内で圧縮されている付勢状態と、を有
し、
軸方向は、前記シャフトの長さ方向に沿う方向であり、半径方向は、軸方向に垂直な方向である、アセンブリ。
【請求項2】
前記バンドの前記外面
および内面は
、軸方向に沿った断面の形状が、半径方向に凸状の形状である、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項3】
前記溝から突出する前記バンドの前記部分は、前記バンドの前記外面のピークまたは頂点である、請求項2に記載のアセンブリ。
【請求項4】
前記頂点は、前記バンドの前記
軸方向に沿った両方の縁部の間の中間点に位置する、請求項3に記載のアセンブリ。
【請求項5】
前記バンドの前記外面の外径は、前記シリンダの内径よりも大きい、請求項2~4のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項6】
前記バンドの前記外面
および内面は、
軸方向に沿った断面の形状が、半径半径方向に凹状の形状である、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項7】
前記溝から突出する前記バンドの前記部分は、前記バンドの前記内面のトラフである、請求項6に記載のアセンブリ。
【請求項8】
前記トラフは、前記バンドの前記
軸方向に沿った両方の縁部の間
の中間点に位置する、請求項7に記載のアセンブリ。
【請求項9】
前記バンドの前記内面の前記内径は、前記シャフトの前記外径よりも小さい、請求項6~8のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項10】
前記消勢状態において、前記バンドの
前記外面および内面は、
軸方向に沿った断面の形状において、円弧の半径に対して60度~80度の円弧寸法を有する、先行請求項のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項11】
前記溝は、陥凹基部と、前記
陥凹基部に対して垂直に配置された2つの実質的に平行な側面と、開口部と、を備え、前記ばねは、前記開口部を通って前記溝から突出することができる、先行請求項のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項12】
前記バンドの前記軸方向
に沿った両方の縁部間の前記部分は、前記消勢状態および前記付勢状態において前記溝から突出する、先行請求項のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項13】
前記付勢状態において、前記バンドの前記部分は、前記間隙を横切って延在して、前記シリンダの前記内面または前記シャフトの前記外面のいずれかと単一の接触点を形成する、先行請求項のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項14】
前記単一の接触点は、前記バンドの前記軸方向
に沿った両方の縁部間
の中間点に位置する、請求項13に記載のアセンブリ。
【請求項15】
前記バンドが実質的に一定の厚さを有する、先行請求項のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項16】
前記バンドの前記厚さに対する前記
外面および内面の弦の比は、前記消勢状態において30:1である、請求項15に記載のアセンブリ。
【請求項17】
前記バンドの前記
軸方向幅と円弧の前記高
さとのアスペクト比は、前記消勢状態において6:1である、先行請求項のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項18】
前記溝の前記深さに対する前記溝の前記幅のアスペクト比は、10:1である、先行請求項のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項19】
前記バンドの前記軸方向幅は、前記付勢状態において前記溝の前記幅よりも小さい、先行請求項のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項20】
前記不連続バンドは、前記バンドの端部が離間されるように、
前記バンドの周方向の端部間に間隙を備え、前記ばねが前記シャフトの前記外面と前記シリンダの前記内面との間の前記ボア内で圧縮されると、前記バンドの前記端部は、前記バンドが前記シャフトの周りで収縮することを可能にするように互いに近づけられるか、または前記バンドの前記端部は、前記バンドが前記ボア内で伸張することを可能にするようにさらに離間される、先行請求項のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項21】
さらなるばねを追加的に備え、前記さらなるばねは、対応して成形された軸方向に弧状の内面および外面を有する実質的に円形で不連続なバンドを備え、前記さらなるばねは、前記さらなるばねの前記バンドの軸方向
に沿った両方の縁部が前記溝内に位置するように前記溝内に位置決めされ、前記ばねおよび前記さらなるばねは、前記溝内で他方の上に積層される、先行請求項のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項22】
シールリングをさらに備え、
前記シャフトまたは前記シリンダは、前記シャフトの前記外面の前記周囲または前記シリンダの前記内面の前記周囲の周りに延在するさらなる溝を備え、
前記シールリングは、前記さらなる溝内に位置決めされる、先行請求項のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項23】
前記シリンダは、前記ボアと連通する側壁ポートを備え、前記溝は、前記さらなる溝と前記側壁ポートとの間に位置する、請求項22に記載のアセンブリ。
【請求項24】
請求項1~
23のいずれか一項に記載のアセンブリを組み立てる方法であって、前記方法は、
前記バンドの前記端部を離間させ、前記バンドを前記シャフトの周りに位置決めし、前記バンドが前記シャフトの前記外面の周りに位置する前記溝内に着座するように前記端部を解放すること、または、
前記バンドの前記端部を一緒にし、前記バンドを前記ボア内に位置決めし、前記バンドが前記シリンダの前記内面の周りの前記溝内に着座するように前記端部を解放することのいずれかによって、前記溝内に前記ばねを設置するステップと、
前記シャフトを前記ボアに挿入し、前記バンドの前記端部が互いに対して移動されるように前記ばねを圧縮して付勢するステップと、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ばねを備えるシャフト取付アセンブリ、およびそれを組み立てる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
回転機械、例えば、ガスタービンは、使用中に振動を生じる可能性があり、この振動は、望ましくない場合があり、内部機械構成要素の摩耗およびその後の損傷につながる可能性がある。
【0003】
望ましくない振動の問題に対する既知の解決策として、減衰を提供し、振動を低減することができるオイルスクイーズフィルムが挙げられる。スクイーズフィルムは、例えば、軸受とハウジングとの間のオイルの層であり得、減衰効果を増大させる。この解決策には、オイル膜を収容するための半径方向のクリアランスの存在が必要となる。しかしながら、このような半径方向のクリアランスは、構成要素の位置ずれの問題につながり得る空間を提供する。
【0004】
また、シールリングは、中心化、減衰およびシール効果を提供するために使用されてきた。しかしながら、シールリングに大きな荷重がかかると、シールリングが比較的速く摩耗する可能性がある。さらに、シャフトとハウジングとの間の間隙がオイルなどの高温流体で充たされると、シールリングを形成する材料(例えば、ゴム)の化学構造が破壊され、リングが変形する可能性がある。時間の経過に伴い、シールリングは、シールリングの効果が低下し、必要な減衰/中心化効果が得られなくなる。
【0005】
したがって、本発明の実施形態の目的は、上記の欠点の少なくとも1つに対処することである。
【発明の概要】
【0006】
したがって、第1の態様では、本発明は、シャフト取付アセンブリを提供し、アセンブリは、
実質的に円形の断面を有する外面を備える細長いシャフトと、
ボアを画定する内面を有するシリンダであって、ボアは、シャフトを収容し、ボアの内径は、シャフトの外面とシリンダの内面との間に間隙が画定されるように、シャフトの外径よりも大きい、シリンダと、
対応して成形された軸方向に弧状の内面および外面を有する実質的に円形の不連続バンドを備えるばねと、を備え、
シャフトの外面およびシリンダの内面のうちの一方は、溝を備え、溝は、シャフトの外面の周囲またはシリンダの内面の周囲の周りにそれぞれ延在し、
ばねは、バンドの両方の軸方向縁部が溝内に位置するように溝内に位置決めされ、
ばねは、バンドの高さが溝の深さよりも大きく、バンドの軸方向縁部間の部分が溝から突出し、バンドの軸方向幅が溝の幅よりも小さい消勢状態と、消勢状態と比較して、バンドの高さが減少し、バンドの軸方向幅が増加するように、ばねがボア内で圧縮される付勢状態と、を有する。
シャフトはボアに対して非回転および非往復運動である。
【0007】
一実施形態においては、
溝は、細長いシャフトの円周の周りに延在し、
シリンダは、ボアと連通する側壁ポートとを有し、
ばねは、バンドの外径がボアの内径よりも大きく、バンドの軸方向幅が溝の幅よりも小さい消勢状態と、消勢状態と比較して、バンドの外径が減少し、バンドの軸方向幅が増加するように、ばねがボア内で圧縮される付勢状態と、を有する。
【0008】
他の実施形態においては、溝は、ボアの周囲の周りに延在し、
ばねは、バンドの内径がシャフトの外径よりも小さく、バンドの軸方向幅が溝の幅よりも小さい消勢状態と、消勢状態と比較して、バンドの内径が増大し、バンドの軸方向幅が増大するように、ばねがボア内で圧縮される付勢状態と、を有する。
【0009】
ばねは、半径方向の防振作用を提供し、シャフトとシリンダとの間の中心化効果も提供する剛性の高定数のばねであり得る。本発明のばねは、シリンダ内でシャフトを半径方向に中心化することができ、それにより、任意のシールリングがシールとしてのみ作用することを可能にする。これにより、シールリングの寿命を延ばすことができる。
【0010】
さらに、バンドの内面および外面の軸方向に弧状または三日月形の形状は、バンドが作製される材料と組み合わせて、ばねが軸方向および半径方向の両方に弾性であり、コンプライアント(可撓性)であることを意味する。次に、これは、シールリング単独と比較して、ばねが使用中により高い軸方向荷重および半径方向荷重に耐えることを可能にし得る。
【0011】
シャフトの外面は、溝がシャフトの外面の円周の周りに延在するように、溝を含み得る。代替として、シリンダの内面は、溝がシリンダの内面の円周の周りに延在するように、溝を含み得る。
【0012】
溝は、陥凹基部と、基部に垂直に配置された2つの実質的に平行な側面とを含み得る。溝は、ばねが開口部を通って溝から突出し得るように、陥凹基部の反対側などに開口部を含み得る。開口部は、シリンダの内面またはシャフトの外面と面一であり得る。
【0013】
付勢状態において、ばねは、シャフトの外面とシリンダの内面との間のボア内で圧縮され得る。軸方向縁部間のバンドの部分は、消勢状態および付勢状態において溝から突出し得る。付勢状態では、バンドの部分は、間隙を横切って延在し、溝がシャフトの外面またはシリンダの内面の周りにそれぞれ位置するかどうかに応じて、シリンダの内面またはシャフトの外面と単一の接触点を形成することができる。単一の接触点は、バンドの2つの軸方向縁部間の中間点に位置し得る。
【0014】
バンドの外面の最大直径または外径は、溝がシャフトの外面の周りに延在する場合、シリンダの内径より大きくてもよい。あるいは、バンドの内面の最小直径または内径は、溝がシリンダの内面の周りに延在する場合、シャフトの外径より小さくてもよい。
【0015】
消勢状態では、バンドの軸方向弧状面は、円弧の半径に対して60度~80度の円弧寸法(円弧角度)を有し得る。円弧角度は、円弧の半径に対して約70度であってもよい。
【0016】
バンドは、バンドの長手方向軸に沿って、対応して成形された弧状内面および外面を有し得る。バンドの外面は、軸方向に凸状の形状であってもよく、バンドの内面は、対応して軸方向に凹状の形状であってもよい。あるいは、バンドの外面は、軸方向に凹状の形状であってもよく、バンドの内面は、対応して軸方向に凸状の形状であってもよい。
【0017】
溝から突出するバンドの部分は、溝がシャフトの外面の周りに位置する場合、バンドの外面のピークまたは頂点であり得る。頂点は、バンドの2つの軸方向縁部間の中間点に位置し得る。あるいは、溝がシリンダの内面の周りに位置する場合、溝から突出するバンドの部分は、バンドの内面のトラフであってもよい。トラフは、バンドの2つの軸方向縁部の間の中間点に位置し得る。
【0018】
内面および外面は、弧状形状を有し得る。ばねが半径方向圧縮(シャフトの外面とシリンダの内面との間の圧縮による)によって付勢されると、バンドの幅は、バンドの軸方向縁部が軸方向に互いから離れるにつれて増大する。
【0019】
消勢状態において溝の幅と比較してバンドの幅が狭いことは、ばねが付勢されるときにバンドが軸方向に広がる(すなわち、バンドの軸方向幅が増加する)ことを可能にするのに十分な空間があることを意味する。以下にさらに説明されるように、中心化効果に加えて、これは、半径方向の復元効果を提供するのに役立ち得る。
【0020】
バンドは、実質的に規則的または均一なプロファイルを有し得る。消勢状態および付勢状態の両方において、バンドは、実質的に一定の厚さを有し得る。
【0021】
バンドの厚さは、少なくとも0.12mmであり得る。バンドの厚さに対するバンドの幅(軸方向弧状面の弦)の比は、消勢状態において約30:1であり得る。
【0022】
バンドの軸方向幅(軸方向弧状面の弦)と弧状面の高さ(サジッタ)とのアスペクト比は、消勢状態で6:1であり得る。消勢状態におけるサジッタは、付勢状態(ばねがボア内で圧縮されているとき)におけるサジッタよりも大きい。
【0023】
溝の深さに対する溝の幅のアスペクト比は、10:1であり得る。付勢状態および消勢状態の両方において、バンドの高さは、バンドの少なくとも一部が溝の開口部から突出し得るように、溝の深さよりも大きくすることができる。
【0024】
バンドの幅は、付勢状態において溝の幅よりも小さくすることができる。
【0025】
不連続バンドは、バンドの端部が離間されるように、その周囲に間隙を含み得る。ばねがボア内で圧縮されると、バンドの端部を互いに近づけてバンドがシャフトの周りで収縮し得るようにすることができ、またはバンドの端部をさらに離してバンドがボア内で伸張することを可能にする。間隙は、バンドがシャフトの周りで収縮するときに、消勢状態と比較して小さくなり得る。間隙は、バンドがボア内で伸張するにつれて、消勢状態と比較して大きくなり得る。使用中、ばねが付勢状態にあるとき、間隙は、アセンブリ内の熱変動に起因してばねが伸張または収縮することを可能にし得る。
【0026】
一部の実施形態では、不連続バンドは、ばね鋼から構成され得る。しかしながら、任意の他の好適な材料が使用され得ることが理解されるであろう。この材料は、好ましくは、剛性で、高いばね定数を有する。例えば、ばね定数は、1800N/mm~2100N/mmの範囲内であり得る。
【0027】
アセンブリは、さらなるばねを追加的に備え得、さらなるばねは、対応して成形された軸方向に弧状の内面および外面を有する実質的に円形で不連続なバンドを備える。さらなるばねは、さらなるばねのバンドの両方の軸方向縁部が溝内に位置するように、溝内に位置決めされ得る。ばねおよびさらなるばねは、それらが溝内で他方の上に積層されるように、二重バンクにされ得る。溝の深さは、積層ばね装置を収容するために、1つのばね厚さだけ増加され得る。積層ばねの組み合わされたばね定数は、5500N/mm~6500N/mmの範囲、例えば6000N/mmであり得る。
【0028】
さらなるばねはまた、その周囲に間隙を含み得る。ばねの間隙およびさらなるばねの間隙は、位置合わせされ得る。あるいは、ばねの間隙とさらなるばねの間隙とは周方向にオフセットすることができる。
【0029】
単一のばね装置を使用する場合、より大きいばね定数は、典型的には、ばね厚さを増加させることによって達成することができる。しかし、より厚いばねは、ばねの応力が高くなりすぎる可能性があるので、半径方向の移動範囲が減少する。代わりに積層ばね装置を使用すると、個々のばねをより厚くする必要なく、ばね定数を増加させることができる。これは、半径方向の移動範囲が単一のばね装置に非常に類似していることを意味する。したがって、積層ばね装置は、単一ばね装置と同じ半径方向の移動範囲を維持しながら、単一ばね装置と比較してより大きいばね定数を提供することができる。
【0030】
シャフトは、シャフトの外面の周囲の周りに延在するさらなる溝を有し得る。代替的に、シリンダの内面は、シリンダの内面の周囲の周りに延在するさらなる溝を有し得る。さらなる溝内にシールリングを位置決めすることができる。
【0031】
シリンダは、ボアと連通する側壁ポートを有し得る。溝は、さらなる溝と側壁ポートとの間に位置し得る。シャフトの外面は、側壁ポートの両側に溝およびさらなる溝を含み得る。あるいは、シリンダの内面は、側壁ポートの両側に溝およびさらなる溝を含み得る。各溝は、それぞれのさらなる溝と側壁ポートとの間に位置し得る。各溝は、本明細書に説明されるように、ばねを収容し得る。各溝はまた、本明細書に説明されるように、さらなるばねを収容し得る。各さらなる溝は、シールリングを収容し得る。
【0032】
側壁ポートは、間隙への軸受流体の供給を提供することができる。
【0033】
他の態様では、本発明は、本発明の第1の態様によるアセンブリを組み
立てる方法を提供し、方法は、
バンドの端部を離間させ、バンドをシャフトの周りに位置決めし、バンドがシャフトの外面の周りに位置する溝内に着座するように端部を解放すること、または
バンドの端部を一緒にし、バンドをボア内に位置決めし、バンドがシリンダの内面の周りに位置する溝内に着座するように端部を解放することのいずれかによって、溝内にばねを設置するステップと、
シャフトをボアに挿入し、バンドの端部が互いに対して移動されるようにばねを圧縮して付勢するステップと、を含む。
【0034】
バンドがシャフトの周りに位置決めされる実施形態では、シャフトをボアに挿入し、ばねを圧縮して付勢するステップは、バンドの端部を互いに接近させる。バンドがボア内に位置決めされる実施形態では、シャフトをボアに挿入し、ばねを圧縮して付勢するステップは、バンドの端部をさらに離れるように移動させる。
【0035】
ばねの形状に起因して、シャフトに作用する正味の半径方向の力は0であり、これは、シャフトをボアと同心に保つのに役立ち、半径方向の復元効果も提供する。シャフトが所与の方向に中心から外れて移動される場合、ばねは、ボア内でシャフトを再センタリングするように作用し、所与の方向の反力を増加させる一方で、反対方向の力を減少させる。したがって、ばね上の荷重は、ばねの円周の周りで均一でなくてもよいが、正味の力は0のままである。溝がシャフトの外面の周りに位置する場合、ばねの作用は、アウトスプリングと称され得る。溝がシリンダの内面の周りに位置する場合、ばねの作用は、ばね作用と称され得る。
【0036】
本方法は、
バンドの端部を離間させ、バンドをシャフトの周りに位置決めし、バンドが溝内に着座し、さらなるばねがばねの上に積層されるように端部を解放すること、または
バンドの端部を一緒にし、バンドをボア内に位置決めし、バンドが溝内に着座し、さらなるばねがばねの上に積層されるように端部を解放することのいずれかによって、さらなるばねを溝内に設置することをさらに含み得る。
【0037】
溝内で他方の上に積層されるばねおよびさらなるばねを備える実施形態では、これは、シリンダ内でシャフトを再センタリングするために必要とされる力を最小限に抑え、より強い復元効果を提供することができる。
【0038】
本発明を上記で説明してきたが、本発明は、上述した、または以下の説明、または図面に記載された任意の発明の組み合わせに及ぶ。
【図面の簡単な説明】
【0039】
ここで、本発明は、種々の方法で実施することができ、その実施形態は、添付の図面を参照して、例示としてのみ説明される。
【0040】
【
図1】
図1aおよび
図1bは、ばねの側面図および断面図、ならびにその幾何学的形状の種々の態様を説明するために使用される用語を示す。
【
図2】ばねの正面図(A)、側面図(B)、および断面図(C)を示す。
【
図3】シャフトを収容するボアを有し、ばねを備えるシリンダの半分を通る長手方向断面を示す。
【
図4】
図2のばねおよび異なるシールリングの半径方向荷重に対する半径方向撓みをプロットしている。
【
図6】
図6aおよび
図6bは、ばねのさらなる実施形態の側面図および断面図、ならびにその幾何学的形状の種々の態様を説明するために使用される用語を示す。
【
図9】シャフトを収容するボアを有し、
図7aのばねおよび
図8aのばねを備えるシリンダの半分を通る長手方向断面を示す。
【発明を実施するための形態】
【0041】
本明細書で使用される「軸方向」という用語は、バンドの中心を通って延在するばねの長手方向軸に平行な方向として定義される。例えば、「ばねの軸方向幅」は、ばねの長手方向軸に沿って延在するばねの幅として定義される。
【0042】
本明細書で使用される「半径方向」という用語は、ばねの長手方向軸に垂直な方向として定義され、長手方向軸からバンドの円周上の点まで延在する。
【0043】
図1aおよび
図1bは、ばねの側面図および線A-Aを通る断面を示している。図には、本明細書におけるばねの幾何学的形状を説明するために使用される種々の用語が付されている。
【0044】
図2は、直径d
1(
図1aおよび
図2(B)に見られる)を有する実質的に円形の断面を有する不連続バンド11を備える消勢されたばね10を示している。この例では、直径d
1は約28mmであってもよい。
図8aおよび
図8bにも示されているように、不連続部は、バンドを軸方向に切断するなどしてバンド内に間隙12を作成することによって形成される。間隙12は、バンドの端部を離間させる。これにより、バンドの2つの端部を分離し、シャフトの周りでそれらを解放することによって、ピストンなどのシャフトの周りにばねを容易に嵌め込むことができる(
図3参照)。この例では、バンド11は、高いばね定数を有する剛性のばね鋼から作製され、バンドがかかる操作によって恒久的に変形されないように十分に弾性であることが保証される。他の好適な材料も使用できることが理解されるであろう。
【0045】
バンド11は、
図2(C)に見られるように、外面14および内面16を含む。バンドの外面14および内面16は、対応して弧状に成形されている。外面14は軸方向に凸の形状を有し、内面は対応する軸方向に凹状の形状を有する(
図1bおよび
図2(C)参照)。この例では、円弧の長さは約4mmである。軸方向弧状面の幅(または弦)wは、
図2(C)で見ることができる。この例における幅は、約3.8mmである。円弧の高さまたはサジッタは、
図1bに示されており、消勢状態にあるときに約0.66mmである。使用時、付勢状態において、弧状形状の高さは約0.5mmである。したがって、バンドの軸方向に弧状の形状は、約6:1のアスペクト比(弦とサジッタとの比)を有する。
【0046】
図2(B)に見られるように、バンド11はまた、規則的または均一なプロファイルおよび一定の厚さを含む。この例では、バンド11の厚さは約0.127mmである。
【0047】
図2(A)および(C)に示すように、境界18a、18bにおける外面14は、バンドの軸からバンドの境界までの半径方向距離である第1の半径方向距離r
1を有する。頂点20における外面14は、バンドの軸からバンドの頂点までの半径方向距離である第2の半径方向距離r
2を有する。
【0048】
第2の半径方向距離r2は、第1の半径方向距離r1より大きい。これは弧状形状を画定し、頂点20はバンドの境界18a、18b間の中点に位置決めされる。r2とr1との間の差により、サジッタが定義される。弧状形状は、三日月形状と称されることもある。外面14および内面16は、対応する弧状形状を有する。(外側)直径d1は、外面14の頂点20によって画定される。
【0049】
実施形態では、積層ばね装置100が提供され得る(
図5参照)。積層ばね装置100は、ばね10およびさらなるばね50を備える。ばね50は、構造的にも機能的にもばね10と同一である。
図5に示すように、ばね10およびさらなるばね50は、互いの上に積層される。ばね10は内側ばねと称することができ、さらなるばね50は外側ばねと称することができる。あるいは、ばね10が外側ばねであり、さらなるばね50が内側ばねであるように、ばねを交換してもよい。
【0050】
ばね10または積層装置100の1つの用途は、シャフト取付アセンブリ30内であり、その一部を
図3に見ることができる。特に、
図3は、シリンダまたはハウジング35のボア内に位置する細長いシャフト32の半分を通る断面を示している。シャフト取付アセンブリ30は、非往復運動および非回転で
ある。すなわち、シャフト32およびシリンダ35は、互いに対して移動するようには意図されていない
。
【0051】
シリンダ35は側壁ポート36を備える。シリンダ35の内径はシャフト32の外径よりも大きいため、シャフト32の外面とシリンダ35の内面との間に間隙40が作成される。間隙40は、オイルなどの流体42で充たされている。使用中、シリンダ35とシャフト32との間の流体42の層は、ポート36を介して供給され、防振減衰効果を提供し、これは次に、使用中にアセンブリを通して伝達される振動および騒音を最小限に抑えるのに役立ち得る。
【0052】
シャフト32は、実質的に円形の断面を有し、シャフト32の外面の円周の周りに、2つの長手方向に離間した溝34と、2つのさらなる長手方向に離間した溝37とを備える。溝34の各々は、上述したように、ばね10を収容する。ばね10は、ばね10の両方の軸方向縁部(境界18a,18b)が溝34内に位置するように、溝34内に完全に位置する。代替的に、溝34は、ばね10およびさらなるばね50を備える積層ばね装置100を含み得る。ばね10およびさらなるばね50の両方は、ばね10およびさらなるばね50の両方の軸方向縁部が溝34内に位置するように、溝34内に完全に位置する。
【0053】
溝34は、陥凹基部と、基部に対して垂直に配置された2つの実質的に平行な側面と、陥凹基部の反対側に位置する開口部とを備え、開口部を通ってばね10が溝34から突出し得る。開口部は、シャフト32の外面と面一である。
【0054】
溝37はそれぞれ、Oリング38の形態のシールを収容する。
図3に見られるように、ばね10(および溝34)は、Oリング38(および溝37)とポート36との間に位置する。
【0055】
従来は、Oリングは、単独で、減衰および中心化効果を提供するとともに、必要とされるシール効果を提供する。本発明のばねは、Oリングが主にシールとして作用し、ばねがセンタライザとして作用するように、半径方向荷重を支持する。これは、Oリングの寿命を延ばすのに役立ち得る。
【0056】
バンド11の幅(または弦)wは、溝34の幅g1より小さい。消勢状態では、円弧の高さは溝の深さよりも大きく、バンドの頂点20が溝34の開口部から突出するようになっている。溝34の一方または両方の側縁部と、バンドの一方または両方の軸方向縁部(境界18a,18b)との間にも間隙がある。間隙は、バンドが、使用時に圧縮され付勢されたときに軸方向に伸張することを可能にする。実施形態では、溝の幅は3mmであってもよく、バンドの幅(すなわち、軸方向弧状面の弦)は、(付勢状態および消勢状態の両方において)3mm未満であってもよい。付勢されたとき、バンド11の幅は溝34の幅よりも小さいままである。
【0057】
消勢状態では、外面14の頂点20によって画定される直径d1は、シリンダの内径よりも大きい。付勢されたとき、円弧のサジッタ/高さは溝の高さよりも大きいままであり、バンドの頂点20は溝34の開口部から間隙40内にかつ間隙40を横切って突出する。次いで、バンドの外面14は、シリンダ35(ボアを画定する)の内面と単一の接触点を形成し、これは、ばね10が必要な中心化効果を提供するのに役立つ。さらに、ばね10は、シーリング要素を提供することができるが、この実施形態では、これはばねの主な目的ではない。
【0058】
上記の説明は、積層装置100にも該当する。さらなるばね50のバンドの幅は、(付勢状態および消勢状態の両方において)3mm未満であり得る。積層ばね装置100を利用する実施形態では、外側ばね(
図5のさらなるばね50)のバンドの頂点は、溝34の開口部から間隙40内に突出する。次に、バンドの外面がシリンダ35の内面に接触し、これは、積層ばね装置100が必要な中心化効果を提供するのに役立つ。さらに、溝34の深さは、さらなるばね50を収容するために、ばね10単独の溝深さと比較して、約1つのばね厚さだけ増加される。
【0059】
図4は、本出願人によって得られた一部の試験結果を示しており、これらの試験結果は、ばね10およびOリング37の半径方向撓みと、加えられた半径方向荷重との関係を示している。試験された両方のOリングは、Rhondama社によって製造されたものであり、異なるばね定数(300Nmm
-1および600Nmm
-1)を含む。ばね10は、本出願人によって製造された。このグラフは、ばね10がOリング単独と比較してより高い半径方向荷重に耐え得ることを明確に示している。したがって、ばね10は、Oリング単独と比較して、シャフトに対して必要とされる中心化効果を提供するのにはるかに適している。ばね10が半径方向荷重の大部分を受けることを可能にすることで、Oリングは、必要とされるシールをきわめて効果的に提供する。
【0060】
使用時には、シリンダ35およびシャフト32は、最初に各溝34内にばね10を設置し、バンドの端部を離間させ、それぞれの溝34の周りでそれらを解放することによって組み立てられる。この時点で、さらなるばね50もまた、ばね50が溝34内のばね10の上部に座するように、バンドの端部を離間させ、それぞれの溝34の周囲でそれらを解放することによって、溝34の一方または両方内に設置され得る。
【0061】
以下のプロセスは、各溝34内にばね10を備える単一ばね装置に関して説明されるが、このプロセスは、各溝34内にばね10およびさらなるばね50を備える積層ばね装置100にも適用される。
【0062】
この時点で、ばね10は消勢され、バンドの軸方向縁部(境界18a,18b)とそれぞれの溝34の縁部との間に間隙が存在する。
【0063】
次に、シャフト32をシリンダ35内に(
図3の左から右に)挿入する。第1のばね10(
図3の最も右側のばね)がボアに入ると、第1のばね10は変形されて圧縮され、付勢される。付勢状態では、バンド11の端部はシャフト32の周りで一緒にされる。バンドがシャフトの外面とシリンダの内面との間で圧縮されるにつれて、バンドの高さが減少し、バンドの縁部(境界18a,18b)が軸方向に互いから離れて溝の縁部に向かって移動し、バンドの離間した端部がシャフトの周りで互いに接近する。しかしながら、18aと18bとの間の弦距離が溝幅g
1に等しくなる点はなく、すなわち、バンドの弧状形状は溝34によって軸方向に制御されず、18aと18bとの間の弦距離は常にg
1より小さい。最も右側のばね10は、シャフト32とシリンダ35との間の付勢位置に保持される。ばね10の頂点20は、シリンダ34の内面と単一の接触点を形成する。
【0064】
シャフト32がボア内にさらに移動すると、最も右側のばね10は、シリンダ35への側部開口を提供する半径方向ポート36を越えて移動する必要がある。シリンダ35の周囲の周りに90度離れて設定された最大4つの半径方向ポートがあってもよい。最も右側のばね10がポート36を越えて移動すると、弛緩して少なくとも部分的に消勢することができる。しかしながら、最も右側のばね10がポートの他方の側に到達すると、再び変形して圧縮され、完全に再付勢される。
【0065】
従来の形状のリングは、ポート36がシリンダ35の残りの部分と交わる角に引っ掛かる可能性が高くなるため、組み立てがより困難になる。ばね10の軸方向に弧状の形状は、その弾性およびコンプライアンスとともに、組み立てをより容易かつ効率的にする。
【0066】
シャフト32がシリンダ35内にさらに移動すると、
図3の2番目または左端のばね10が最終的にボアに入り、変形および圧縮され、付勢される。最も左側のばね10は、半径方向ポート36を越えて移動しない。
【0067】
シャフト32がシリンダ35のボアに完全に挿入されると、ばね10が半径方向ポート36の両側に位置することになる。両方のばね10は、シャフト32とシリンダ35との間の付勢位置に保持される。
【0068】
シャフト32がシリンダ35のボアに完全に挿入されると、間隙40はポート36を介してオイル42で充たされる。使用中、流体は軸受として作用する。
【0069】
付勢位置では、ばね10は、シリンダ35の内面に対して正味ゼロ半径方向力を及ぼし、これは、使用時に、シャフト32をシリンダ35内で中心に置く。付勢されたばね10はまた、オイル42(軸受としても作用する)とともに、半径方向の防振効果を提供する。
【0070】
シャフトに作用する正味の力は0であり、これは、シャフト32をシリンダ35内で中心化される(すなわち、シャフトおよびシリンダが同心である)のに役立ち、半径方向の復元効果も提供する。シャフトが所与の方向に中心から外れて移動される場合、ばね10は、所与の方向の反力を増加させる一方で反対方向の力を減少させることによって、シリンダ35内でシャフト32を再センタリングするために必要な力を提供する。したがって、ばね10上の荷重は、ばね10の円周の周りで均一でなくてもよいが、正味の力は0のままである。ばね10は、半径方向に約1000N/mmの力に反応することができ、最大変位は約0.1mmである(間隙40によって提供される半径方向クリアランスによって決定される)。
【0071】
したがって、Oリングの役割は、もはや減衰および中心化効果を提供することではなくなるため、シリンダ35内でシャフト32をシーリングすることに集中することができる。この実施形態では、ばね10は、Oリングに達する高温オイル42の量を減少させることによってOリングの寿命をさらに延ばすのに役立ち得るシーリング要素を提供する。
【0072】
図6a、
図6b、
図8a、
図8bおよび
図9は、ばね200のさらなる実施形態を示している。ばね10に関して上述した構造的および機能的特徴は、ばね200にも適用され、以下で相違点が強調される。
【0073】
ばね200は、本質的に、ばね10を反転させたものであり、すなわち、外面214は、軸方向に凹状の形状を有し、内面216は、対応する軸方向に凸状の形状を有する。境界218aおよび218bにおける内面214は、弧状形状を画定するトラフ220における内面214よりも大きい半径方向距離を有する。トラフ220は、バンド211の境界218aと218bとの間の中間点に位置決めされる。
【0074】
図6aおよび
図6bは、ばね200の側面図および線A-Aを通る断面を示している。図には、ばね200の幾何学的形状を説明するために使用される種々の用語が付されている。
図7aおよび
図7bは、内面216のトラフ220によって画定される(内側)直径d
2を有する実質的に円形の断面を有する不連続バンド211を備える消勢されたばね200を示している。不連続部は、バンド内に間隙212を作成することによって形成され、これによりバンド211の端部が離間される。これにより、バンドの2つの端部を一緒に圧縮し、バンド211をシリンダのボアに挿入し、バンド211を解放して、シリンダの内面の周りに延在する溝234に着座させることによって、ばねをボア内に容易に嵌め込むことができる(
図9参照)。
【0075】
ばね200は、
図9に示されるようなシャフト取付アセンブリにおいて使用され得る。特に、
図9は、シリンダまたはハウジング35のボア内に位置する細長いシャフト32の半分を通る断面を示している。シリンダ35の内面によって画定されるボアは、実質的に円形の断面を有する。シリンダ35の内面は、シリンダ35の内面の周囲の周りに延在する溝234を備える。溝234は、シャフト32の外面の周りではなくシリンダ35の内面の周りに位置することを除いて、溝34と同じである。溝234は、溝234内に完全に位置するばね200を収容し、ばね200の両方の軸方向縁部(境界218a,218b)が溝234内に位置するようになっている。
【0076】
図3と同様に、シリンダ35の内径はシャフト32の外径よりも大きく、したがって、シャフト32の外面とシリンダ35の内面との間に間隙40が作成される。バンド211の内面216のトラフ220によって画定される直径d
2は、シャフト32の外径よりも小さい。使用時には、シャフト32がシリンダ35内に挿入され、シャフト32がばね200を横切って通ると、ばね200が変形して圧縮され、付勢される。バンドがシャフト32の外面とシリンダ35の内面との間で圧縮されるにつれて、バンド211の高さが減少し、バンドの縁部(境界218a,218b)が軸方向に互いから離れて溝の縁部に向かって移動し、バンドの離間した端部がボア内でさらに離れるように移動する。ばね200のトラフ220は、溝234の開口部から突出し、間隙40を横切って延在して、シャフト32の外面と単一の接触点を形成する。
【0077】
比較のために、
図9は、上述したように、シャフト32の周りに位置し、ばね10を備える溝34をさらに示している。ばね200は、ばね10を反転させたものであるが、消勢状態および付勢状態の両方においてばね10と全く同じように機能する。実施形態では、上述のように、互いの上に積層されるばね200およびさらなるばねを備える、積層ばね装置が提供されてもよい。
【0078】
本発明は、本発明の異なる実施形態を参照して上述されたが、添付の特許請求の範囲に定義されるような本発明の範囲から逸脱することなく、種々の変更または修正がなされ得ることが理解されるであろう。例えば、一部の実施形態では、ポートがシリンダの残りの部分と交わる角は、面取りされた表面などの傾斜面/テーパ状表面を有してもよい。このような傾斜面は、組み立てを補助することができ、ポートを通過した後に、シャフトとシリンダとの間の付勢位置にばねを戻すのに役立ち得る。