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特許7449410ワイヤレス電力伝送システムにおける異物検出
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-05
(45)【発行日】2024-03-13
(54)【発明の名称】ワイヤレス電力伝送システムにおける異物検出
(51)【国際特許分類】
   H02J 50/60 20160101AFI20240306BHJP
   H02J 50/80 20160101ALI20240306BHJP
   H02J 50/10 20160101ALI20240306BHJP
【FI】
H02J50/60
H02J50/80
H02J50/10
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2022572349
(86)(22)【出願日】2021-05-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-26
(86)【国際出願番号】 EP2021063315
(87)【国際公開番号】W WO2021239545
(87)【国際公開日】2021-12-02
【審査請求日】2023-10-30
(31)【優先権主張番号】20176582.3
(32)【優先日】2020-05-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】弁理士法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ドラーク ヨハネス ウィルヘルムス
【審査官】赤穂 嘉紀
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-502385(JP,A)
【文献】特開2012-249401(JP,A)
【文献】特開2017-99239(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 50/00-50/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘導電力伝送信号を介して電力受信機に電力を伝送するための電力送信機であって、前記電力送信機は、
異物検出用の電磁テスト場を生成する送信機コイルと、
直列に結合された2つの検出コイルを備え、前記電磁テスト場によって前記2つの検出コイルにおいて誘導される信号が互いに補償し合うようにされる、平衡検出コイルの組と、
前記平衡検出コイルの組に結合される異物検出器であって、前記異物検出器は異物検出を実行し、前記平衡検出コイルの組からの出力信号の特性が、異物検出基準を満たすことに応じて、異物を検出する、異物検出器と、
通信アンテナと、
を備え、前記電力送信機は、
前記通信アンテナに結合され、前記通信アンテナを介して前記電力受信機と通信する通信機をさらに備え、
前記通信アンテナは、並列に結合された少なくとも第1の通信コイル及び第2の通信コイルを備え、前記通信アンテナは、前記2つの検出コイルの第1の検出コイルへの第1の結合を有する前記第1の通信コイルの第1のセグメントと、前記2つの検出コイルの第2の検出コイルへの第2の結合を有する前記第2の通信コイルの第2のセグメントとで構成され、前記第1の結合及び前記第2の結合は、容量結合及び誘導結合のうちの少なくとも1つであり、前記第1の結合及び前記第2の結合は、前記出力信号において互いに補償することを特徴とする、電力送信機。
【請求項2】
前記第1の結合は、容量結合と誘導結合との両方を含み、前記第2の結合は、容量結合と誘導結合との両方を含む、請求項1に記載の電力送信機。
【請求項3】
前記第1の通信コイル及び前記第2の通信コイルは、前記第1の通信コイルと前記第1の検出コイルとの間の空間関係が、前記第2の通信コイルと前記第2の検出コイルとの間の空間関係に対応するように構成される、請求項1又は2に記載の電力送信機。
【請求項4】
前記第1の通信コイル及び前記第2の通信コイルは、実質的に同様の空間構成を有し、前記第1のセグメント及び前記第2のセグメントは、前記第1の検出コイル及び前記第2の検出コイルの対応するセグメントである、請求項1からのいずれか一項に記載の電力送信機。
【請求項5】
前記平衡検出コイルの組は、第1の平面に形成され、前記通信コイルは、前記第1の平面に実質的に平行な第2の平面に形成される平面コイルである、請求項1からのいずれか一項に記載の電力送信機。
【請求項6】
前記第1の検出コイルは、前記第1の平面内の第1の領域にまたがり、前記第2の検出コイルは、前記第1の平面内の第2の領域にまたがり、前記第1の平面上の前記第1のセグメントの直交突起が、前記第2の領域に対する前記第1の平面上の前記第2のセグメントの直交突起の空間関係と同じ空間関係を、前記第1の領域に対して有する、請求項に記載の電力送信機。
【請求項7】
前記第1の検出コイルは、前記第1の平面内の第1の領域にまたがり、前記第2の検出コイルは、前記第1の平面内の第2の領域にまたがり、前記第1の領域上への前記第1の通信コイルの直交突起は、前記第2の領域上への前記第2の通信コイルの直交突起と一致する、請求項に記載の電力送信機。
【請求項8】
前記第1の検出コイル及び前記第2の検出コイルは、回転点の周りで回転対称であり、前記第1のセグメント及び前記第2のセグメントは、前記回転点の周りで回転対称である、請求項からのいずれか一項に記載の電力送信機。
【請求項9】
平衡検出コイルの複数の組を備え、平衡検出コイルの各組は、少なくとも2つの検出コイルを備え、前記検出コイルは、回転点の周りで回転対称であり、各検出コイルは、角度間隔にまたがり、前記第1の通信コイル及び前記第2の通信コイルのおのおのは、前記回転点を取り囲み、平衡検出コイルの1組の検出コイルの角度間隔の間で、前記回転点の周りの回転について対称性がある、同心閉曲線に沿って分布するセグメントを備え、
平衡検出コイルの組の1つの検出コイルがまたがる角度間隔内のセグメントは、平衡検出コイルの組の別の検出コイルがまたがる角度間隔内のセグメントと回転対称である、請求項からのいずれか一項に記載の電力送信機。
【請求項10】
各角度間隔は、前記第1の通信コイル及び前記第2の通信コイルのおのおのについて異なる閉曲線に沿って分布する複数のセグメントを備える、請求項に記載の電力送信機。
【請求項11】
隣接する角度間隔の異なるセグメントは、前記同心閉曲線の異なる曲線に沿って分布される、請求項又は10に記載の電力送信機。
【請求項12】
電力送信機が、誘導電力伝送信号を介して、電力送信機から電力受信機へ電力を伝送する方法であって、前記方法は、
異物検出用の電磁テスト場を生成する送信機コイルを準備するステップと、
直列に結合され、前記電磁テスト場によって2つの検出コイルにおいて誘導される信号が互いに補償するように2つの前記検出コイルを含む、平衡検出コイルの組を準備するステップと、
前記平衡検出コイルの組に結合され、異物検出を実行する異物検出器を準備するステップであって、前記異物検出器は、前記平衡検出コイルの組からの出力信号の特性が、異物検出基準を満たすことに応じて、異物を検出する、準備するステップと、
通信アンテナを準備するステップと、
を有し、前記方法は、
前記通信アンテナに結合され、前記通信アンテナを介して前記電力受信機と通信する通信機を準備するステップをさらに有し、
前記通信アンテナは、少なくとも第1の通信コイルと、前記第1の通信コイルと並列に結合された第2の通信コイルとを備え、前記通信アンテナは、第1前記検出コイルへの第1の結合を有する前記第1の通信コイルの第1のセグメントと、第2前記検出コイルへの第2の結合を有する前記第2の通信コイルの第2のセグメントとで構成され、前記第1の結合及び前記第2の結合は、容量結合及び誘導結合のうちの少なくとも1つであり、前記第1の結合及び前記第2の結合は、前記出力信号において互いに補償することを特徴とする、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイヤレス電力伝送システムにおける異物検出に関し、特に、限定的ではないが、例えばキッチン家電のように、より高電力のデバイスに誘導電力伝送を提供する電力送信機の異物検出に関する。
【背景技術】
【0002】
現在のほとんどの電気製品は、外部電源から電力を供給されるために、専用の電気接点を必要とする。しかしながら、これは非実用的である傾向があり、ユーザが、コネクタを物理的に挿入するか、或いは物理的な電気接点を確立する必要がある。通常、電力要件も大きく異なり、現在、ほとんどのデバイスには専用の電源が提供されているため、一般的なユーザは、各電源が特定のデバイス専用になっている多数の異なる電源を有している。内部バッテリを使用すると、使用中に電源に有線接続する必要がなくなるが、バッテリの再充電(又は交換)が必要になるため、これは部分的な解決策に過ぎない。バッテリを使用すると、デバイスの重量と、可能性としてコスト及びサイズとが大幅に増加する。
【0003】
ユーザ体感を大幅に改善するために、電力送信機デバイスの送信機インダクタから、個々のデバイスの受信機コイルに、電力が誘導的に伝送されるワイヤレス電源を使用することが提案されている。
【0004】
磁気誘導による電力伝送はよく知られた概念であり、主に、一次送信機インダクタ/コイルと、二次受信機コイルとの間に密結合を有する変圧器に適用される。一次送信機コイルと二次受信機コイルとを、2つのデバイス間で分離することにより、疎結合変圧器の原理に基づいて、これらの間のワイヤレス電力伝送が可能になる。
【0005】
そのような構成により、ワイヤ又は物理的な電気接続を行う必要なく、デバイスへのワイヤレス電力伝送が可能になる。実際、外部からの再充電又は電力供給のために、送信機コイルに隣接して、又は送信機コイルの上にデバイスを単に配置するだけでよい。例えば、電力送信機デバイスは、電力供給されるためにデバイスを単に配置できる水平面に構成される。
【0006】
さらに、そのようなワイヤレス電力伝送構成は、電力送信機デバイスが、一連の電力受信デバイスと共に使用できるように有利に設計される。特に、Qi仕様として知られるワイヤレス電力伝送アプローチが定義されており、現在さらに開発が進められている。このアプローチにより、Qi仕様を満たす電力送信機デバイスを、Qi仕様を満たす電力受信デバイスとともに使用することができ、これらは、同じ製造者性である必要も、互いに専用である必要もない。Qi規格はさらに、(例えば、特定の電力ドレインに依存して)動作を特定の電力受信デバイスに適合させることを可能にするいくつかの機能を含む。
【0007】
Qi仕様はワイヤレスパワーコンソーシアムによって開発され、そのウェブサイトhttp://www.wirelesspowerconsortium.com/index.htmlで見つけることができ、特に定義された仕様文書を見つけることができる。
【0008】
ワイヤレス電力伝送の潜在的な問題は、電力が、意図せずに、例えば、たまたま電力送信機の近傍にある金属製の物体に伝送される可能性があることである。例えば、コイン、鍵、指輪などのような異物が、電力受信機を受け入れるように構成された電力送信機プラットフォーム上に配置された場合、送信機コイルによって生成された磁束が、金属物体内に渦電流を導入し、この物体を加熱する。熱の上昇は非常に大きく、非常に不都合である。
【0009】
そのようなシナリオが発生するリスクを低減するために、電力送信機が異物の存在を検出し、送信電力を低減し、及び/又は肯定的な検出が発生したときにユーザアラートを生成できる異物検出を導入することが提案されている。例えば、Qiシステムは、異物を検出するための機能、及び異物が検出された場合に電力を低減するための機能を含む。特に、Qi仕様バージョン1.2.1のセクション11に、異物を検出するさまざまな方法が記載されている。
【0010】
そのような異物を検出する1つの方法は、WO2015018868A1に開示されている。別の例は、未知の電力損失の判定に基づくアプローチを開示しているWO2012127335に提供されている。このアプローチでは、電力受信機と電力送信機との両方が電力を測定し、受信機は、測定された受信電力を、電力送信機に通信する。電力送信機が、送信機によって送られた電力と、受信機によって受信された電力との間に顕著な差があることを検出すると、不要な異物が存在する可能性があり、安全上の理由から、電力伝送が低減又は中止される。この電力損失方法は、電力送信機及び電力受信機によって実行される、同期された正確な電力測定を必要とする。
【0011】
例えば、Qi電力伝送規格では、電力受信機は、例えば、整流された電圧及び電流を測定し、それらを乗算し、電力受信機の内部電力損失(例えば、整流器、受信機コイル、受信機の一部である金属部品の損失など)の推定値を追加することによって、その受信電力を推定する。電力受信機は、判定された受信電力を、電力送信機に、例えば4秒毎のような最小レートで報告する。
【0012】
電力送信機は、例えば、インバータのDC入力電圧及び電流を測定し、それらを乗算し、例えば、電力送信機の一部であるインバータ、一次コイル、及び金属部品の推定電力損失のような、送信機の内部電力損失の推定値を差し引いて結果を補正することによって、その送信電力を推定する。
【0013】
電力送信機は、報告された受信電力を、送信電力から差し引くことで、電力損失を推定できる。この差がしきい値を超えると、送信機は、異物で消費された電力が多すぎると見なし、電力伝送を終了する。
【0014】
或いは、一次コイル及び二次コイルによって形成される共振回路の品質又はQファクタを、対応する静電容量及び抵抗とともに測定することが提案されている。測定されたQファクタの減少は、異物の存在を示す。このアプローチは、しばしば、電力伝送前に使用される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
実際には、Qi仕様に記載されている方法を使用して、十分な検出精度を達成することは困難になる傾向がある。この困難性は、特定の現在の動作条件に関する多くの不確実性によって悪化する。
【0016】
例えば、特定の問題は、フレンドリな金属(つまり、電力受信機又は電力送信機を具現化するデバイスの金属部分)が潜在的に存在することであり、これは、これらの磁気的特性及び電気的特性が不明であり(かつ、デバイスによって異なるため)、補償は困難である。
【0017】
さらに、比較的少量の電力が金属異物に散逸することによって、望ましくない加熱が生じることがある。したがって、送信電力と受信電力との間のわずかな電力の不一致さえも検出する必要があり、これは、電力伝送の電力レベルが増加する場合に特に困難になる。
【0018】
Qファクタ低下アプローチは、多くのシナリオで、金属物体の存在を検出する感度が向上する。しかしながら、それでも十分な精度が得られず、例えば、フレンドリな金属の影響を受ける。
【0019】
異物検出の性能は、テストが実際に実行されるときに存在する特定の動作条件の影響を受ける。例えば、Qi仕様に記載されているように、異物検出の測定が、電力伝送初期化プロセスの選択フェーズで実行される場合、電力送信機が測定のために提供する信号は、電力受信機のウェイクアップを阻止するために、十分小さい必要がある。しかしながら、そのような小さな信号の場合、信号/雑音比は、通常低く、測定の精度が低下する。
【0020】
別の問題は、異物検出は通常、非常に感度の高いテストであり、ここでは、異物の存在によって引き起こされる比較的小さな変化が、テストが実行される対象となる動作条件やシナリオが大きく変動する可能性がある環境で検出されることが望まれる。
【0021】
この問題は、電力レベルが高くなると悪化する傾向があり、現在のワイヤレス電力のトレンドの進展は、より高い電力レベルの伝送に向かう傾向がある。例えば、ワイヤレスパワーコンソーシアムは、最大2.5kW又はそれ以上の可能性のある高電力レベルをサポートすることが意図されたコードレスキッチン仕様を開発している。より高い電力レベルでは、安全な温度を超えて異物を加熱することを阻止するために、異物検出アルゴリズムは、より正確である必要がある。実際、温度上昇は絶対電力レベルによって与えられるため、より高い電力レベルの場合、検出する必要のある相対電力損失は、大幅に低減される。
【0022】
異物検出のさらなる課題は、電力送信機と電力受信機との金属部分が、検出を妨害し、他の金属物体の存在の検出をより困難にすることである。
【0023】
そのような問題は、他のいくつかの機能が、金属部品を使用しているという事実によって悪化される。特に、電力伝送は通常、電力伝送コイルを介して行われ、電力伝送コイルはしばしば比較的大きいため、異物検出に顕著な影響を与える。専用の異物検出アンテナ又はコイルを使用して異物検出が実行される状況では、電力伝送デバイスの設計は、電力伝送コイルを互いに距離を保つことによって、又は例えば、電力伝送コイルの間に実装されている磁気シールドによって、電力伝送コイルの影響を最小限に抑えるように努める。しかしながら、これはしばしば、2つのデバイスの電力伝送コイルを近接して配置したいという要望と相反するため、実現が困難である。
【0024】
同様に、多くの電力伝送システムでは、電力伝送デバイス間の通信は、専用の通信アンテナによって達成される。例えば、専用のNFC通信コイルを適用するNFC通信が実施される。これらは、互いに近くに配置されることが望ましく、これは、異物検出への影響を最小限に抑える際の設計の自由度を制限する。
【0025】
電力送信機における異物検出及び通信に対する現在のアプローチは、最適ではないという傾向があり、一部のシナリオや例では、最適な性能が得られない。異物検出と通信機能との間の相互作用は、しばしば(例えば、通信アンテナ間の最適ではない結合による)通信性能の低下、及び/又は、(例えば、異物検出アンテナに近い通信アンテナの影響による)異物検出性能の低下をもたらす。特に、現在のアプローチでは、異物の存在が検出されなかったり、異物が存在しない場合に異物が誤って検出されたりする。さらに、より正確なアプローチは、複雑で高価になる傾向がある。
【0026】
したがって、電力送信機の異物検出及び/又は通信の改善が有利であり、特に、柔軟性の向上、コストの削減、複雑さの低減、異物検出の改善、誤検出及び検出ミスの減少、後方互換性、より高い電力レベルの転送の改善された適応性、改善された通信、異物検出に対する通信アンテナの影響の低減、及び/又は改善された性能を可能にするアプローチが有利であろう。
【0027】
したがって、本発明は、上述の欠点の1つ又は複数を、単独で、又は任意の組合せで、好適に軽減、緩和、又は排除しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0028】
本発明の態様によれば、誘導電力伝送信号を介して電力受信機に電力を伝送するための電力送信機が提供され、電力送信機は、異物検出用の電磁テスト場を生成するように構成された送信機コイルと、直列に結合された2つの検出コイルを含み、電磁テスト場によって2つの検出コイルにおいて誘導される信号が互いに補償し合う、平衡検出コイルの組と、平衡検出コイルの組に結合され、異物検出を実行するように構成された異物検出器であって、平衡検出コイルの組からの出力信号の特性が、異物検出基準を満たすことに応じて、異物を検出するように構成された異物検出器と、通信アンテナと、通信アンテナに結合され、通信アンテナを介して電力受信機と通信するように構成された通信機とを備え、通信アンテナは、並列に結合された少なくとも第1の通信コイル及び第2の通信コイルを備え、通信アンテナは、第1の検出コイルへの第1の結合を有する第1の通信コイルの第1のセグメントと、第2の検出コイルへの第2の結合を有する第2のコイルの第2のセグメントとで構成され、第1の結合及び第2の結合は、容量結合及び誘導結合のうちの少なくとも1つであり、第1の結合及び第2の結合は、出力信号において互いに補償する。
【0029】
本発明は、多くの実施形態において、改善された異物検出を提供する。多くのシナリオ及びシステムでは、より正確な異物検出が実現される。このアプローチは、多くの実施形態において、複雑さを低減する。特に、このアプローチは、より高い電力レベルの電力伝送システムにおける異物検出を改善するのに特に適している。
【0030】
このアプローチにより、電力伝送フェーズ中の異物検出テストの精度及び/又は信頼性が向上する。多くの実施形態では、このアプローチは、異物検出テストの不確実性を低減し、それによって性能を改善する。このアプローチは、平衡検出コイルを使用する場合に検出精度を改善するための特に効率的なアプローチを提供する。
【0031】
このアプローチは、多くの実施形態において非常に効率的な電力伝送及び/又は通信機能を可能にし、特に、電力伝送コイル及び/又は電力送信機及び電力受信機の通信アンテナの間の結合を改善することを可能にする。
【0032】
このアプローチは、多くの実施形態において、有利な実装を可能にし、通常、例えば、多層プリント回路基板の異なる層に実装できる平面コイルを使用して、コンパクトな実装を可能にする。
【0033】
検出コイルは、送信機コイルによって生成された電磁場によって、2つの検出コイルにおいて誘導される信号が、互いに補償し合うように、検出コイルが構成されるという点で平衡化されている。補償は、2つの平衡検出コイルにわたり結合された電圧が、2つの平衡検出コイルのおのおのにわたる電圧の最大値よりも低くなるようにされる。補償は、2つの信号の少なくとも部分的な相殺である。
【0034】
異物検出器は、検出コイルからの位相及び/又は振幅信号が、しきい値を超える場合に、異物が検出されたと判定するように構成される。
【0035】
電磁テスト信号は、テスト電磁場とも呼ばれ、これらの用語は、相互置換可能であると考えられる。検出コイル/巻線が、直列に結合されているということは、検出コイル/巻線を流れる電流が同様であることを意味する。
【0036】
平衡検出コイルの組間の結合の合成抵抗は、100オーム未満である。
【0037】
互いに補償する電磁テスト場によって2つの検出コイルに誘導される信号は、信号が少なくとも部分的に互いに相殺し合うことを反映する。補償は、2つのコイルに誘導される個々の信号の最大振幅に対して、出力信号の(結合された)信号振幅を低減させる。互いに補償する結合は、出力信号において結合が少なくとも部分的に互いに相殺し合うことを反映する。補償は、個々の結合の結合信号成分の最大振幅に対して、出力信号内の結合信号成分の(結合された)信号振幅を減少させる。
【0038】
本発明の任意の特徴によれば、第1の結合は、容量結合と誘導結合との両方を含み、第2の結合は、容量結合と誘導結合との両方を含む。
【0039】
このアプローチは、異物検出コイルと通信アンテナとの間の、誘導結合と容量結合との両方を補償することによって、通常、有利な動作と、典型的には改善された異物検出、電力伝送、及び/又は通信を可能にする。
【0040】
本発明の任意選択の特徴によれば、通信は、第1の通信コイルの電流から第1の検出コイルに誘導される第1の信号成分が、第2の通信コイルの電流から、第2の検出コイルに誘導される第2の信号成分によって、出力信号において補償されるように構成される。
【0041】
このアプローチは、有利な動作を可能にし、通常、異物検出を改善する。
【0042】
本発明の任意の特徴によれば、第1の検出コイルの電流方向に対する第1のセグメントの電流方向は、第2の検出コイルの電流方向に対する第2のセグメントの電流方向とは逆である。
【0043】
このアプローチは、有利な動作を可能にし、通常、異物検出を改善する。これは特に、異物検出中の場合である。
【0044】
本発明の任意選択の特徴によれば、第1の通信コイル及び第2の通信コイルは、第1の通信コイルと第1の検出コイルとの間の空間関係が、第2の通信コイルと第2の検出コイルとの間の空間関係に対応するように構成される。
【0045】
このアプローチは、有利な動作を可能にし、通常、異物検出を改善する。空間関係は、同じ/同様であることによって互いに対応する。空間関係は、平行移動、回転、及びミラー変換のみを使用して互いに変換される。
【0046】
本発明の任意選択の特徴によれば、第1のセグメントの電位は、第2のセグメントの電位と一致する。
【0047】
これは特に、異物検出中の場合である。このアプローチは、有利な動作を可能にし、通常、改善された異物検出を可能にし、特に、多くの実施形態において容量結合の密接な一致をもたらす。電位は、セグメントにわたる平均電位である。電位は、例えば、互いの10%又は5%以内のように、実質的に同様であることによって一致する。
【0048】
いくつかの実施形態では、第1のセグメントの電圧分布は、第2のセグメントの電圧分布と一致する。これは特に、異物検出中の場合である。
【0049】
いくつかの実施形態では、第1の検出コイルに対する第1の通信コイルの電圧分布は、第2の検出コイルに対する第2の通信コイルの電圧分布と対称的である。これは特に、異物検出中の場合である。
【0050】
このアプローチは、有利な動作を可能にし、通常、改善された異物検出を可能する。
【0051】
いくつかの実施形態では、第1の通信コイル及び第2の通信コイルは、第1のセグメントと第1の検出コイルとの間の空間関係が、第2のセグメントと第2の検出コイルとの間の空間関係に対応するように構成される。
【0052】
このアプローチは、有利な動作を可能にし、通常、異物検出を改善する。空間関係は、同じ/同様であることによって互いに対応する。空間関係は、平行移動、回転、及びミラー変換のみを使用して互いに変換される。
【0053】
いくつかの実施形態では、第1の検出コイルに対する第1のセグメントの向きは、第2の検出コイルに対する第2のセグメントの向きと一致する。
【0054】
いくつかの実施形態では、第1の検出コイルに対する第1のセグメントの電流の方向は、第2の検出コイルに対する第2のセグメントの電流の方向と一致する。
【0055】
本発明の任意選択の特徴によれば、第1の通信コイル及び第2の通信コイルは、実質的に同様の空間構成を有し、第1のセグメント及び第2のセグメントは、第1の検出コイル及び第2の検出コイルの対応するセグメントである。
【0056】
これにより、有利な動作が可能になる。
【0057】
いくつかの実施形態では、第1の通信コイル及び第2の通信コイルは、実質的に同様の空間構成を有し、第1のセグメント及び第2のセグメントは、第1の検出コイル及び第2の検出コイルの同じセグメントである。
【0058】
本発明の任意の特徴によれば、平衡検出コイルの組は、第1の平面に形成され、通信コイルは、第1の平面に実質的に平行な第2の平面に形成される平面コイルである。
【0059】
これは、多くの実施形態において特に有利な動作及び/又は実装を提供する。これら平面は、それらの間の相対角度が10°、5°、又は3°以下で実質的に平行である。
【0060】
本発明の任意の特徴によれば、第1の検出コイルは、第1の平面内の第1の領域にまたがり、第2の検出コイルは、第1の平面内の第2の領域にまたがり、第1の平面上の第1のセグメントの直交突起は、第2の領域に対する第1の平面上の第2のセグメントの直交突起の空間関係と、同じ空間関係を第1の領域に対して有する。
【0061】
これは、多くの実施形態において特に有利な動作及び/又は実装を提供する。
【0062】
本発明の任意選択の特徴によれば、第1の検出コイルは、第1の平面内の第1の領域にまたがり、第2の検出コイルは、第1の平面内の第2の領域にまたがり、第1の領域上への第1の通信コイルの直交突起は、第2の領域上への第2の通信コイルの直交突起と一致する。
【0063】
これは、多くの実施形態において特に有利な動作及び/又は実装を提供する。
【0064】
いくつかの実施形態では、第1の検出コイル及び第2の検出コイルは、回転点の周りで回転対称であり、さらに第1の通信コイル及び第2の通信コイルは、回転点の周りで回転対称である。
【0065】
これは、多くの実施形態において特に有利な動作及び/又は実装を提供する。
【0066】
本発明の任意の特徴によれば、第1の検出コイル及び第2の検出コイルは、回転点の周りで回転対称であり、さらに第1のセグメント及び第2のセグメントは、回転点の周りで回転対称である。
【0067】
これは、多くの実施形態において特に有利な動作及び/又は実装を提供する。
【0068】
本発明の任意の特徴によれば、電力送信機は、平衡検出コイルの複数の組を備え、平衡検出コイルの各組は、少なくとも2つの検出コイルを備え、検出コイルは、回転点の周りで回転対称であり、各検出コイルは、角度間隔にまたがり、第1の通信コイル及び第2の通信コイルのおのおのは、回転点を取り囲み、平衡検出コイルの1組の検出コイルの角度間隔の間で回転点の周りの回転について対称的である同心閉曲線に沿って分布するセグメントを備え、平衡検出コイルの組の1つの検出コイルがまたがる角度間隔内のセグメントは、平衡検出コイルの組の別の検出コイルがまたがる角度間隔内のセグメントと回転対称である。
【0069】
これは、多くの実施形態において特に有利な動作及び/又は実装を提供する。
【0070】
本発明の任意選択の特徴によれば、各角度間隔は、第1の通信コイル及び第2の通信コイルのおのおのについて異なる閉曲線に沿って分布する複数のセグメントを備える。
【0071】
これは、多くの実施形態において特に有利な動作及び/又は実装を提供する。
【0072】
いくつかの実施形態では、異なる閉曲線に沿って分布する検出コイルの隣接するセグメントは、回転点に対して検出コイルの実質的に半径方向のセグメントを介して結合される。
【0073】
これは、多くの実施形態において特に有利な動作及び/又は実装を提供する。
【0074】
いくつかの実施形態では、同心閉曲線は円である。
【0075】
これは、多くの実施形態において特に有利な動作及び/又は実装を提供する。
【0076】
本発明の任意選択の特徴によれば、隣接する角度間隔の異なるセグメントは、同心閉曲線の異なる曲線に沿って分布される。
【0077】
これは、多くの実施形態において特に有利な動作及び/又は実装を提供する。
【0078】
本発明の別の態様によれば、電力送信機が、誘導電力伝送信号を介して、電力送信機から電力受信機へ電力を伝送する方法が提供され、この方法は、異物検出用の電磁テスト場を生成するための送信機コイルを準備することと、直列に結合され、電磁テスト場によって2つの検出コイルにおいて誘導される信号が互いに補償するように構成された2つの検出コイルを含む、平衡検出コイルの組を準備することと、平衡検出コイルの組に結合され、異物検出を実行するように構成された異物検出器を準備することであって、異物検出器は、平衡検出コイルの組からの出力信号の特性が、異物検出基準を満たすことに応じて、異物を検出するように構成される、準備することと、通信アンテナを準備することと、通信アンテナに結合され、通信アンテナを介して電力受信機と通信するように構成された通信機を準備することとを有し、通信アンテナは、少なくとも第1の通信コイルと、第1の通信コイルと並列に結合された第2の通信コイルとを備え、通信アンテナは、第1の検出コイルへの第1の結合を有する第1の通信コイルの第1のセグメントと、第2の検出コイルへの第2の結合を有する第2のコイルの第2のセグメントとで構成され、第1の結合及び第2の結合は、容量結合及び誘導結合のうちの少なくとも1つであり、第1の結合及び第2の結合は、出力信号において互いに補償する。
【0079】
本発明のこれら及び他の態様、特徴及び利点は、以下に記載される実施形態を参照して明らかになり、解明されるであろう。
【発明の効果】
【0080】
本発明の実施形態は、図面を参照して、単なる例として記載される。
【図面の簡単な説明】
【0081】
図1図1は、本発明のいくつかの実施形態による電力伝送システムの要素の例を示す図である。
図2図2は、本発明のいくつかの実施形態による電力送信機の要素の例を示す図である。
図3図3は、電力送信機のハーフブリッジインバータの例を示す図である。
図4図4は、電力送信機のフルブリッジインバータの例を示す図である。
図5図5は、図1のワイヤレス電力伝送システムの時間フレームの例を示す図である。
図6図6は、本発明のいくつかの実施形態による電力送信機の検出コイルの例を示す図である。
図7図7は、本発明のいくつかの実施形態による電力送信機の電磁場及び検出コイルの例を示す図である。
図8図8は、本発明のいくつかの実施形態による電力伝送システムにおけるコイルの構成の例を示す図である。
図9図9は、本発明のいくつかの実施形態による電力送信機の検出コイルの例を示す図である。
図10図10は、本発明のいくつかの実施形態による通信コイルのセグメント設計の例を示す図である。
図11図11は、本発明のいくつかの実施形態による通信コイルのセグメント設計の例を示す図である。
図12図12は、本発明のいくつかの実施形態による通信コイルのセグメント設計の例を示す図である。
図13図13は、本発明のいくつかの実施形態による通信コイルのセグメント設計の例を示す図である。
図14図14は、本発明のいくつかの実施形態による通信コイルのセグメント設計の例を示す図である。
図15図15は、本発明のいくつかの実施形態による通信コイルのセグメント設計の例を示す図である。
図16図16は、本発明のいくつかの実施形態による、通信アンテナ及び検出アンテナの実際の実施の例を示す図である。
図17図17は、電力送信機コイルの隣にある、本発明のいくつかの実施形態による通信アンテナ及び検出アンテナの実際の実施の例を示す図である。
図18図18は、本発明のいくつかの実施形態による通信コイルのセグメント設計の例を示す図である。
図19図19は、本発明のいくつかの実施形態による通信コイルのセグメント設計の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0082】
以下の説明は、Qi仕様又はコードレスキッチン仕様から知られているような電力伝送アプローチを利用するワイヤレス電力伝送システムに適用可能な本発明の実施形態に注目する。しかしながら、本発明はこの用途に限定されず、他の多くのワイヤレス電力伝送システムに適用されることを理解されたい。
【0083】
図1は、本発明のいくつかの実施形態による電力伝送システムの一例を示す。電力伝送システムは、送信機コイル/インダクタ103を含む(又はそれに結合される)電力送信機101を備える。システムは、受信機コイル/インダクタ107を含む(又はそれに結合される)電力受信機105をさらに備える。
【0084】
システムは、電力送信機101から電力受信機105に電力を誘導的に伝送する電磁電力伝送信号を提供する。特に、電力送信機101は、送信機コイル又はインダクタ103によって磁束として伝搬される電磁信号を生成する。電力伝送信号は通常、約20kHzから約500kHzの間の周波数を有し、Qi対応システムの場合、通常、95kHzから205kHzの範囲にある(又は、高電力のキッチン用途の場合、周波数は、例えば、通常、20kHzから80kHzの範囲にある)。送信機コイル103と電力受信機コイル107とは疎結合されているため、電力受信機コイル107は、電力送電機101からの電力伝送信号(の少なくとも一部)をピックアップする。したがって、電力は、送信機コイル103から受信機コイル107へのワイヤレス誘導結合を介して、電力送信機101から電力受信機105へ伝送される。電力伝送信号という用語は、主に、送信機コイル103と受信機コイル107との間の誘導信号/磁場(磁束信号)を指すために使用されるが、等価性により、送信機コイル103に提供されるか、又は受信機コイル107によってピックアップされる電気信号に対する基準として、考慮及び使用されることを理解されたい。
【0085】
この例では、電力受信機105は特に、受信機コイル107を介して電力を受信する電力受信機である。しかしながら、他の実施形態では、電力受信機105は、金属加熱要素などの金属要素を備え、この場合、電力伝送信号は、この要素の直接加熱をもたらす渦電流を直接誘導する。
【0086】
システムは、実質的な電力レベルを伝送するように構成され、特に、電力送信機は、多くの実施形態において、500mW、1W、5W、50W、100W、又は500Wを超える電力レベルをサポートする。例えば、Qi対応用途の場合、電力転送は、通常、低電力用途(基本的な電力プロファイル)の場合は1~5Wの電力範囲、Qi仕様バージョン1.2の場合は最大15W、電動工具、ラップトップ、ドローン、ロボットなどの高電力用途の場合は最大100Wの範囲、例えば、キッチン用途のような超高電力用途の場合は100Wを超え、最大1000Wとなる。
【0087】
以下では、電力送信機101及び電力受信機105の動作は、一般にQi仕様(本明細書で説明される(又は必然的な)修正及び強化を除く)に従う、又はワイヤレスパワーコンソーシアムが開発中の高電力キッチン仕様に適した実施形態を特に参照して記載される。特に、電力送信機101及び電力受信機105は、Qi仕様バージョン1.0,1.1、又は1.2(本明細書に記載された(又は必然的な)修正及び強化を除く)の要素に従うか、又はそれらと実質的に互換性がある。
【0088】
ワイヤレス電力伝送システムでは、(通常、電力伝送信号から電力を抽出し、電力送信機101又は電力受信機105の一部ではない導電性要素、つまり、電力伝送に対する意図しない、望ましくない、及び/又は干渉要素である)物体の存在は、電力伝送中に非常に不都合である。そのような望ましくない物体は、異物として知られる場にある。
【0089】
異物は、動作に電力損失を加えることによって効率を低下させるだけではなく、(例えば、電力伝送効率を阻害したり、又は、例えば電力伝送ループによって直接制御されていない電力を抽出したりすることによって)電力伝送動作自体を低下させる。それに加えて、異物内の電流(特に、異物の金属部分内の渦電流)の誘導は、しばしば非常に望ましくない異物の加熱をもたらす。
【0090】
そのようなシナリオに対処するために、Qi又はコードレスキッチン仕様などのワイヤレス電力伝送システムは、異物検出のための機能を含む。特に、電力送信機は、異物が存在するか否かを検出しようとする機能を備える。その場合、電力送信機は、例えば、電力伝送を終了するか、伝送できる最大電力量を低減する。
【0091】
電力受信機が、電力伝送フェーズに入る前(例えば、電力伝送の初期化中)又は電力伝送フェーズ中に、異物検出を実行する。電力伝送フェーズ中の検出は、しばしば、測定された送信電力と受信電力との比較に基づくが、電力伝送フェーズの前に行われる検出は、しばしば、例えば、小さな測定信号を使用して送信機コイルの品質係数を測定することによる、反射インピーダンスの測定に基づく。
【0092】
Qi仕様で提案されている現在のアプローチは、(送信電力と報告された受信電力との比較による)電力損失の検出、又は出力共振回路の品質Qの低下の検出に基づく。しかしながら、現在の使用では、これらのアプローチは、多くのシナリオにおいて次善の性能を提供することがわかっており、特に不正確な検出につながり、その結果、検出漏れや、及び/又は、異物が存在しないにも関わらず検出される誤検出が生じる。
【0093】
従来の異物検出は、電力送信機の特性、電力受信機の特性、適用されるテスト条件などの変動及び不確実性を含む、異物検出が実行される特定の動作条件とシナリオの変動及び不確実性のために、最適ではない傾向がある。
【0094】
異物検出テストに対する課題の例は、十分に信頼性の高い異物検出を実現するために、十分に正確な測定を実行する必要があるという要件である。これは、検出精度を高めるために、できるだけ強力な信号を生成したいという要求につながる。しかしながら、これにより、電力受信機や、存在する異物の消費電力が増加する。検出性能は、適用される特定の信号レベルに対する感度が高く、通常、相反する要件である。
【0095】
図1のシステムは、異物検出のための改善されたトレードオフを提供しようとする異物検出のためのアプローチを使用する。このアプローチは、多くの実施形態において、改善された異物検出を提供し、特に、多くの実施形態において、より正確及び/又は信頼できる異物検出を提供する。このアプローチはさらに、複雑さを軽減し、リソース要件を低く抑える。
【0096】
以下でより詳細に記載されるように、このアプローチは、電力伝送フェーズ中に時分割アプローチを利用し、ここでは、異物検出及び電力伝送は、例えば、別々の時間間隔で実行されることにより、これらの間の干渉(特に、異物検出に対する電力伝送の影響)を大幅に低減する。
【0097】
以下では、図1のシステムが、より詳細に記載される。この例では、電磁電力伝送信号と、異物検出に使用される電磁テスト信号とは、同じコイルによって生成される。さらに、信号/場は、異なる用語で呼ばれ、つまり、電力伝送時間間隔中に生成される電磁信号/場は、電力伝送信号と呼ばれ、異物検出時間間隔中に生成される電磁信号/場は、電磁テスト信号、又は単にテスト信号と呼ばれる。電力伝送と異物検出との間の時分割が適用されないいくつかの場合では、電力伝送信号自体も電磁テスト信号として使用される。
【0098】
図2は、図1の電力送信機101の要素をより詳細に示す。
【0099】
電力送信機101は、駆動信号を生成することができるドライバ201を含み、この駆動信号は、送信機コイル103に供給され、送信機コイルは、駆動信号に応じて電磁電力伝送信号を生成し、それによって、電力受信機105に電力伝送を提供する。電力伝送信号は、電力伝送フェーズの電力伝送時間間隔中に提供される。
【0100】
ドライバ201は、送信機インダクタ103へ供給される電流及び電圧を生成する。ドライバ201は、通常、DC電圧から交流信号を生成するインバータの形態の駆動回路である。ドライバ201の出力は、通常、スイッチブリッジのスイッチを適切に切り替えることによって駆動信号を生成するスイッチブリッジである。図3は、ハーフブリッジスイッチブリッジ/インバータを示す。スイッチS1及びスイッチS2は、同時に閉じないように制御される。交互に、S2が開いている間にS1が閉じられ、S1が開いている間にS2が閉じられる。スイッチは所望の周波数で開閉され、それによって出力において交流信号を生成する。通常、インバータの出力は、共振コンデンサを介して送信機インダクタに接続される。図4は、フルブリッジスイッチブリッジ/インバータを示す。スイッチS1及びスイッチS2は、同時に閉じないように制御される。スイッチS3及びスイッチS4は、同時に閉じないように制御される。交互に、スイッチS2及びスイッチS3が開いている間にスイッチS1及びスイッチS4が閉じられ、その後、S1及びS4が開いている間にS2及びS3が閉じられ、それによって、出力において方形波信号を生成する。スイッチは、所望の周波数で開閉される。
【0101】
電力送信機101は、所望の動作原理に従って電力送信機101の動作を制御するように構成された電力送信機コントローラ203をさらに備える。特に、電力送信機101は、Qi仕様又はコードレスキッチン仕様に従って電力制御を実行するために必要な機能の多くを含む。
【0102】
電力送信機コントローラ203は、特に、ドライバ201による駆動信号の生成を制御するように構成され、特に駆動信号の電力レベル、したがって、生成された電力伝送信号のレベルを制御する。電力送信機コントローラ203は、電力制御フェーズ中に電力受信機105から受信された電力制御メッセージに応じて、電力伝送信号の電力レベルを制御する電力ループコントローラを備える。
【0103】
図1のシステムは、異物検出のための改善されたトレードオフを提供するように動作を適合させることを求める、異物検出のためのアプローチを使用する。このアプローチは、多くの実施形態において、改善された異物検出を提供し、特に、多くの実施形態において、より正確及び/又は信頼できる異物検出を提供する。このアプローチはさらに、複雑さを軽減し、リソース要件を低く抑える。
【0104】
この例では、ドライバ201及び送信機コイル103は、電力受信機に電力を伝送するための電磁電力伝送信号と、異物検出に使用される電磁テスト信号との両方を生成するように構成される。時分割を適用していないシステムでは、電力伝送信号は、電磁テスト信号又は電磁テスト場としても使用される。
【0105】
しかしながら、この例では、電力送信機は、電力伝送フェーズ中に、駆動信号に、繰返し時間フレームを適用し、この時間フレームは、少なくとも1つの電力伝送時間間隔と、1つの異物検出時間間隔とを備える。そのような繰返し時間フレームの例が、図5に例示され、ここでは、電力伝送時間間隔はPTで示され、異物検出時間間隔はDで示される。この例では、各時間フレームFRMは、1つの異物検出時間間隔と、1つの電力伝送時間間隔のみを備え、これら(及び時間フレーム自体)は、各フレームにおいて同じ持続時間を有する。しかしながら、他の実施形態では、他の時間間隔も、時間フレーム(例えば、通信間隔など)に含められるか、又は複数の異物検出時間間隔及び/又は電力伝送時間間隔が、各時間フレームに含められることを理解されたい。さらに、いくつかの実施形態では、異なる時間間隔の持続時間(及び実際には時間フレーム自体)は動的に変化する。いくつかの実施形態では、システムは、繰返し時間フレームを適用せず、異物検出時間間隔又は電力伝送間隔を適用しない。いくつかのそのような実施形態では、電力伝送及び/又は通信と同時に異物検出が実行される。
【0106】
しかしながら、以下に記載されるアプローチでは、異物検出及び電力伝送が、時間領域において分離され、それによって、電力伝送から異物検出への相互干渉が減少する。したがって、電力伝送の動作条件の変動に起因する変動性及び不確実性を、異物検出から分離することができ、より信頼性が高く、正確な異物検出が得られる。
【0107】
したがって、電力伝送フェーズでは、電力送信機は、時間フレームの電力伝送時間間隔中に電力伝送を実行するように構成される。特に、これらの時間間隔中、電力送信機101及び電力受信機105は、電力制御ループを動作させる(電力制御ループは、電力伝送時間間隔内の通信に基づくか、又は例えば、異物検出時間間隔と重複する、又は同様である、専用の通信時間間隔などにおけるような、電力伝送時間間隔外の通信に基づく)。したがって、伝送される電力のレベルは、動的に変化する。電力伝送フェーズの時間フレームの異物検出時間間隔では、駆動信号の、したがって電磁テスト信号の少なくとも1つのパラメータは、通常、所定の値に、又は、例えば、異物検出時間間隔の前に実行された適応動作中に決定された値に設定される。したがって、異物検出時間間隔では、パラメータは、所定の値に設定される(すなわち、異物検出時間間隔の前に、しばしば、電力伝送フェーズの前に決定される)。対照的に、パラメータは、電力伝送時間間隔中に、この所定の値に制約されない。
【0108】
例えば、電力伝送時間間隔中、システムは、電力受信機からの電力制御メッセージに応じて、電力伝送信号の電力レベルを変化させる電力制御ループを動作させる。電力制御ループは、駆動信号/電力伝送信号の電流、電圧、及び周波数のうちの少なくとも1つを制御/変更する。対照的に、異物検出時間間隔中、電力伝送時間間隔中に電力制御ループによって変更されるパラメータは、電力伝送フェーズの前に決定された電流、電圧、及び/又は周波数の所定の値に設定される。
【0109】
多くの実施形態において、駆動信号の一定の(通常はより低い)振幅(通常は電圧)が、異物検出時間間隔中に設定される。それに加えて、又はその代わりに、異物検出時間間隔中、駆動信号に対して所定の周波数が設定され、これは通常、電力伝送時間間隔中の駆動信号よりも大幅に高い。
【0110】
その結果、時分割アプローチでは、電力伝送時間間隔中に生成された電磁信号である電力伝送信号は、通常、異物検出時間間隔中に生成された電磁信号である電磁テスト信号とは実質的に異なる特性を有する。電力伝送時間間隔中に生成される電磁信号又は電磁場は、電力伝送信号と呼ばれ、異物検出時間間隔中に生成される電磁信号又は電磁場は、電磁テスト信号又は単にテスト信号と呼ばれる。しかしながら、図2のシステムでは、電磁信号は、電力伝送時間間隔と異物検出時間間隔との両方で同じコイルから生成され、実際、電力伝送時間間隔と異物検出時間間隔との両方のために、同じドライバなどが使用されることを理解されたい。実際、テスト信号への言及は、多くの実施形態において、異物検出時間間隔中の電力伝送信号と等価であると考えられる。他の実施形態では、電力伝送信号及び電磁テスト信号は、異なる回路及び/又は異なるコイルによって生成される。
【0111】
電力送信機101は、異物検出テストを実行するように、すなわち、生成された電磁場内に望ましくない導電性要素が存在する可能性があるか否かを特に検出するように構成された異物検出器205を備える。
【0112】
したがって、異物検出が実行される間隔中、すなわち異物検出時間間隔中、異物検出器205は、条件を評価して、異物が存在すると見なされるか否かを判定する。異物検出時間間隔中、電力送信機101は、電磁テスト信号を生成し、異物検出は、この信号の特徴及び特性の評価に基づく。
【0113】
システムでは、異物検出は、均質な磁場の存在下において、及び(又は)特に電磁テスト信号のように、送信機コイル103によって生成される電磁場の存在下において、互いに消極的にオフセットされるように構成された少なくとも2つの検出コイル207,209を備える平衡検出コイルの組における電磁テスト信号によって誘導される信号を検出することに基づく。特に、電力送信機は、送信機コイルによって生成される電磁場が(少なくとも部分的に)互いに補償するように結合される第1の検出コイル207及び第2の検出コイル209を備える。
【0114】
したがって、送信機コイル103によって生成された電磁場は、第1の検出コイル207に信号を誘導し、第2の検出コイル209に信号を誘導する。しかしながら、誘導された電圧は、送信機コイル103によって生成された電磁場から生じる検出コイル207,209の直列結合の電圧(振幅)が、送信機コイル103によって生成された電磁場から生じる個々の検出コイル207,209の少なくとも最大、及び通常は、いずれかにわたる電圧(振幅)よりも低くなるように、逆極性を有する。したがって、第1の検出コイル207及び第2の検出コイル209は、送信機コイル103によって生成される電磁場からの誘導電圧が、少なくとも部分的に互いに相殺するように結合される。したがって、2つの信号の補償は、結合信号の信号振幅の減少、特に少なくとも部分的な補償をもたらす。
【0115】
検出コイルは、均一な電磁場(又は送信機コイル103によって生成される電磁場)の存在下で2つの検出コイルからの合成信号(通常、電圧信号)の振幅が、検出コイルの個々の信号のおのおのの振幅よりも小さくなるように構成される。多くの実施形態では、一連の2つの検出コイルにわたる電圧は、最大の電圧振幅を有する検出コイルにわたる電圧の電圧振幅よりも小さい。
【0116】
検出コイルは、少なくとも2つの巻線/コイルに対応するように特に構成され、ここでは、異物が存在しない場合に電磁テスト信号によって反対の信号が生成される。したがって、反対の信号は、互いに少なくとも部分的に相殺し、したがって、検出コイル207,209の直列結合にわたる測定された誘導信号のレベルが低下し、実質的に相殺される可能性がある。これにより、異物検出に使用する磁場強度を大幅に高める。実際、多くの実施形態及びシナリオにおいて、結果として生じる誘導電圧は、(理想的には)巻線間の磁束の差異のみによる。巻線間のそのような差異又は非対称性は、異物によって引き起こされるので、多くのシナリオにおいて、磁場(したがって、更に誘導信号)に対する異物の効果をより正確に測定できる。
【0117】
検出コイルの構成例が図6に示される。この例では、第1の検出コイル207は、第1の巻線L1として形成され、第2の検出コイル209は、(逆)直列に結合された第2の巻線L2として形成され、2つの巻線の結合電圧は、均一な電磁場に対して互いに相殺される。この例では、検出コイル207,209/巻線L1,L2は、中心点の周りに、対向して対称的に配置される。それらはさらに平面内に形成され、送信機コイル103はさらに同じ平面(又は少なくとも実質的に平行な平面)内に形成される。この例では、送信機コイルの内部に検出コイルが形成される。さらに、検出コイルは、実質的に同一の外形を有し、実質的に同一の領域をカバーするように形成される。
【0118】
結果として、2つの検出コイルを通過する電磁束は実質的に同じであるが、検出コイルの電流方向に対して逆方向である。結果として、2つの検出コイル207,209における誘導電圧は実質的に同じであるが、逆の位相/極性を有し、2つの直列に結合された検出コイル213にわたる結合電圧は実質的にゼロに相殺される。
【0119】
検出コイル207,209は、均質な磁場の存在下で、及び/又は、生成された電磁テスト場の存在下で、例えば、他の物体が存在しない送信機コイル103によって、誘導信号/電圧が、少なくとも部分的に互いに相殺/補償し、理想的にはゼロ結合電圧をもたらすように構成される。
【0120】
図2及び図6の構成は、2つの検出コイルのうちの第1の検出コイルの誘導信号が、2つの検出コイルのうちの第2の検出コイルの誘導信号と逆の電圧を有するようになっている。2つの検出コイルの誘導信号は、均一な磁場に対して逆位相を有する。2つの検出コイルにおける誘導信号は、逆位相である。2つの検出コイルは、誘導信号が逆極性を有するように、逆位相で直列に結合される。これらの特性は、送信機コイル103によって生成される均一な場及び歪みのない場に対して存在する。不均一な場の場合、相殺は単に部分的である。
【0121】
しかしながら、金属異物が存在する場合、磁場は歪められ、通常、2つの検出コイル207,209の磁場間に非対称性が生じる。通常、金属異物の場合、生成された電磁テスト信号は渦電流を誘導し、その結果、異物は電磁場を生成し、結合された電磁場は、生成された電磁テスト信号の場に対して歪められる。結果として生じる非対称磁場は、図7によって示されるように、第1の検出コイル207及び第2の検出コイル209において誘導される異なる信号をもたらす。したがって、異物が存在せず、2つの検出コイル207,209を通過する磁束が対称的であり、結合電圧が実質的にゼロになる状況とは対照的に、異物が存在すると非対称になり、結果として電圧が生じる。2つの検出コイル207,209の誘導信号のこの差異は、異物の存在を検出するために使用できる。
【0122】
理想的な理論的ケースでは、送信機コイル103によって生成される電磁場は、平衡検出コイル207,209において完全に均一かつ同様であり、同様に平衡検出コイル207,209は完全に同様/対称的である。そのような場合、2つの平衡検出コイル207,209において誘導される信号は正確に同じであり、互いに完全に補償し、平衡検出コイルの組からの結合信号は、環境内に異物又は他の非対称性が存在しない場合に正確にゼロになる。
【0123】
しかしながら、実際には、そのようなシナリオは非常にありそうにないことを理解されたい。通常、検出コイルに可能な限り均一な場を提供するようにシステムが実装されている場合でも、生成された場、電磁環境、及び/又は検出コイル(又は送信機コイル103)の物理的特性の変動に起因するさまざまな非対称性が、個々の検出コイルで生成された信号が幾分変化し、検出コイルにおいて誘導される信号が互いに完全に補償しないという結果になる可能性が高い。そのような場合、平衡検出コイルの組からの結合出力は、正確にはゼロにならない。しかしながら、これにより、異物検出の感度が低下する可能性があり、場合によっては、小さな異物が正確に検出されなくなる可能性があるが、このアプローチは、例えば、単一の検出コイルを使用する場合と比較して、依然として大幅に改善された性能を提供する。検出コイルの組の対応する検出コイル間の部分補償は、異物検出に使用できる、より正確な信号を提供する。実際、通常、検出コイル間の補償は、改善された異物検出を提供する傾向がある。
【0124】
したがって、(送信機コイル103によって生成される)電磁テスト場によって2つの検出コイルに誘導される信号が互いに補償するように検出コイルが構成される限り、改善された異物検出を達成できる。
【0125】
実際、いくつかの実施形態では、強い不均一な電磁テスト場でさえも使用され、その結果、例えば、平衡検出コイル間の補償が部分的にしか行われず、(まだ補償されている間に)比較的高い結合信号が生成される。これは、例えば、取り除くことができないか、又は他の目的のために必要とされるセットアップの非対称特性(例えば、検出コイルの相違、送信機コイル103の非対称性、例えばシステムの金属要素又は部品によって引き起こされる電磁環境の非対称性)による。そのような状況では、補償は除かれるが、それでも性能は向上する。
【0126】
実際、いくつかの実施形態では、時変場が生成され、場合によっては不均一場が生成される。そのようなシナリオでは、変化する不均一な場は、部分的にしか補償されない時変結合信号をもたらす。しかしながら、部分的な補償から得られる結合信号は、異物が存在するか否かに応じて依然として異なり、これは異物検出を実行するために異物検出器205によって使用される。
【0127】
例えば、送信機コイル103によって生成された所与の時変する不均一な場について、異物が存在しない場合の結合された(部分的に)補償された出力信号が判定される。いくつかの実施形態では、そのような判定は、製造中に、例えば、分析又はシミュレーションに基づいて行われる。他の実施形態では、電力伝送の初期化中に、例えば、ユーザが、異物が存在しないことを確認したことに応じて実行される較正プロセス中に判定される。続いて、異物検出テストが実行され、時変する不均一なテスト電磁場が生成されると、平衡検出コイルから得られる結合信号が、格納された/予想される結果と比較される。この差が(任意の適切な比較及び差分メトリックに関して)所与の量を超える場合、異物が存在すると判定され、そうでない場合、存在しないと判定される。例えば、測定された結合信号は、予想される結合信号と相関付けられ、相関が、しきい値を下回る場合、異物が存在すると検出される。
【0128】
非変動時間信号の場合、(通常、何らかの平均化又はローパスフィルタリング後の)平衡検出コイルの組からの結合信号(例えば、電圧)と、予想される信号レベルとの単純な比較が実行され、この差が、しきい値を超えると、異物が検出されたと見なされる。多くの実施形態では、異物は、測定された結合信号が、所与の量だけ、予想されるレベルを超える場合、又は測定された結合信号が、所与の量だけ、予想されるレベルを下回る場合、検出されたと見なされる。
【0129】
したがって、いくつかの実施形態では、異物を検出するために使用される判断基準は、特定の優先度及び要件に基づいて適合され、生成された電磁場、環境、検出コイル、及び/又は送信機コイルの変動を反映するように適合される。したがって、動作は、個々の実施形態の特定の条件、要件、及び優先度に適合される。
【0130】
いくつかの実施形態では、電力送信機は、誘導信号の非対称性についてシステムを較正するように構成された較正器を備える。例えば、電力伝送の初期化の一部として、又は例えば電力伝送中に定期的に、システムは較正を実行する。例えば、電力送信機は、異物が存在しないことをユーザが確認できるようにするユーザ入力を要求する。次に、現在の結合信号レベルの測定に進み、逆の値に等しい較正値を生成する。次いで、結合信号に較正値を加算することによって(すなわち、異物検出テスト中に測定された値から、較正中に測定された値を減算することによって)、修正された検出値が生成され、検出は、修正された値に基づく。時変電磁場の場合、較正値は時間変動する。そのような例では、修正された値に基づく単純な静的な異物検出評価が使用され、例えば、修正された信号の絶対値がしきい値を超えると、異物が検出される。
【0131】
したがって、このアプローチは、生成される均質な場から恩恵を得ることができ、多くの実施形態では、システムは、均質な場を可能な限り均質にし、場合によっては一定にするように努めるが、これは決して本質的又は必要な特徴ではない。実際、多くの実施形態では、不均一な場及び/又は時変場を意図的に作成することによって、所望の性能が達成される。
【0132】
図2のシステムでは、一対の検出コイル207,209の結合電圧が直接測定され、異物検出を実行するために使用される。しかしながら、他の実施形態では、検出コイルは、例えば、検出コイル207,209を通過する電流が、測定変成器の一次巻線をも流れるように、測定変圧器と直列に結合される。したがって、検出コイル207,209及び一次巻線は、検出コイル207,209に誘導された電流が流れる直列回路の一部である。異物検出器205は、測定変圧器の二次側に結合され、例えば、測定変圧器の二次電圧がしきい値を超えた場合に異物を検出する。
【0133】
変圧器の一次巻線は、電源から電力/エネルギを引き出す巻線であり、二次巻線は、負荷にエネルギを供給する巻線であり、つまり、エネルギは、一次巻線から二次巻線に伝送されることに留意されたい。
【0134】
回路は、他の部品及び要素を備えるが、特定の例では、検出コイル207,209間の結合は低オームである。ほとんどの実施形態では、検出コイル207,209間のカップリングの合成抵抗は、100オーム未満であり、多くの実施形態では、50オーム、10オーム、5オーム、さらには多くの実施形態では1オーム未満である。多くの実施形態では、測定変圧器の一次巻線は、検出コイル207,209に直接結合される。
【0135】
測定変圧器は、そのような例では、電圧変圧器ではなく電流変圧器として実施される。特に、測定変圧器は、二次巻線の巻数が一次巻線の巻数よりも実質的に多い巻数比を有するように構成される。多くの実施形態では、二次巻線の巻数は、一次巻線の巻数よりも少なくとも10倍、20倍、50倍、又は100倍以上である。
【0136】
異物検出器205は、(恐らく、測定変圧器を介して受信される)平衡検出コイルからの信号の特性に基づいて、異物検出時間間隔中に異物検出を実行するように構成された記載されたシステム内にある。この信号が、適切な異物検出基準を満たす場合、異物が存在すると判定され、そうではない場合、異物が存在しないと判定される。特定の異物検出基準は、個々の実施形態の特定の優先度及び要件に依存する。多くの実施形態では、平衡検出コイルからの信号の振幅が、しきい値を超えることを必要とし、例えば、平衡検出コイルの出力の電圧及び/又は電流の振幅を必要とする。平衡検出コイルの出力は、特に、個々の検出コイル/巻線の直列結合にわたる電圧である。
【0137】
多くの電力伝送システムでは、効率的で信頼性の高い動作を実現するために、電力受信機と電力送信機との間で広範な通信が適用されている。図2のシステムでは、電力送信機と電力受信機との間の通信の一部又はすべては、専用の通信システム/アプローチを使用して実行される。したがって、このシステムでは、電力伝送信号を変調するのではなく、通信の少なくとも一部が、別の通信キャリアを使用して行われ、この例では、通信キャリアは、専用の通信アンテナを使用して送信される。
【0138】
記載された例では、電力送信機101は、電力送信機コントローラ203及び通信アンテナ213に結合される通信機211を備える。したがって、通信機211は、電力受信機105との間でデータを送信及び/又は受信するように構成される。通信機211は、特に、NFC通信システムなどの専用の通信システム/規格を使用して通信する。通信機211は、当業者に知られるように、通信キャリアを生成又は受信し、それを変調/復調するように構成される。
【0139】
多くのワイヤレス電力伝送システムの課題は、負の相互効果や干渉を導入することなく、同じデバイスにおいてさまざまな機能を、どう実施するかである。特定の課題は、電磁場に対するアンテナの影響がすべての動作に影響するため、さまざまなアンテナ及びコイルが存在することである。特に、異物検出は非常に敏感であり、しばしば、非常に繊細な測定に基づく。特に、平衡検出コイルの使用は、改善された検出を可能にするが、検出コイルと、これらを介した電磁場の正確かつ効果的な平衡化に依存する動作も行う。
【0140】
この問題は通常、小型でコンパクトな構造でアンテナを実装したいという要望によってさらに悪化する。特に、実際の実装上の理由から、異物検出コイル及び通信アンテナを、しばしば、例えば同じプリント回路基板内の異なる層など、互いに近くに実装することが好ましい。
【0141】
電力送信機及び電力受信機のためのアンテナ/コイルの実際の構成の例が図8に示される。この図は、デバイスが電力伝送のための(最適な)構成に配置されている、電力送信機101及び電力受信機105それぞれの送信機コイル103及び受信機コイル107の断面を示す。この例では、電力受信機105は、電力送信機101の頂部に配置される。
【0142】
電力送信機101は、電力伝送信号を生成する送信機電力伝送コイル103を備える。図8の例では、送信機電力伝送コイル103は、巻線を備える領域の断面を反映し、中央領域に巻線がないことを反映する2つの領域によって示される。
【0143】
この例では、平衡検出コイル207,209の形態の異物検出アンテナは、電力受信機105に向かって送信機電力伝送コイル103の頂部に配置される。送信機電力伝送コイル103及び異物検出アンテナ207は、中心軸801の周りに分布している。
【0144】
この例では、通信アンテナ213はさらに、異物検出コイルと実質的に同じ平面内に分布している。例えば、異物検出コイル207,209及び通信アンテナ213は、同じプリント回路基板(PCB)の異なる層に配置される。
【0145】
同様に、電力受信機105は、電力伝送信号を受信するための受信機電力伝送コイル107を備える。図8の例では、受信機電力伝送コイル107は、巻線を備える領域の断面を反映し、中央領域には巻線がないことを反映する2つの領域によって示される。
【0146】
受信機電力伝送コイル107は、特定の例では同軸であり、(電力送信機101上の電力受信機105の最適な配置を反映して)電力送信機101と同じ中心軸801の周りに対称的に分布している。
【0147】
電力受信機105はさらに、電力送信機101と電力受信機105との間の通信をサポートするように構成され、特に電力送信機101の通信アンテナ213に結合する、電力受信機通信アンテナ803を備える。
【0148】
図8は、中心軸801が電力送信機及び電力受信機の両方のコイル構成に共通であるように、電力受信機が電力送信機に対して最適に配置される例を示すが、電力受信機は通常、いくつかの誤整列を伴い配置され、中心軸801は、電力受信機を電力送信機に対して完全には整列させないことを理解されたい。
【0149】
図8の構成は、特に、送信機から受信機に電力を送信するために使用される2つの大きな電力伝送コイル103,107を有するコードレスキッチン器具用である。異物検出アンテナ207は、電力伝送コイル103,107の間に配置される。
【0150】
この構成は、電力伝送コイル103,107間の非常に良好な結合、並びに異物検出アンテナ207が電力受信機と電力送信機との間の領域の近くに配置されるため、良好な異物検出を提供する。また、通信アンテナを近接させて強い結合で配置できるため、効率的な通信性能を提供する。
【0151】
そのようなシステムの問題は、アンテナが互いに相互作用/影響/干渉する可能性があることである。図8の例では、電力伝送コイル103,107は、((例えば、電磁場強度又は周波数の差異により)電力伝送信号のために磁気シールドが重要ではないように構築できる)磁気シールド要素805,807を使用して、通信アンテナ203,803及び異物検出コイル207,209から電磁的にシールドされる。しかしながら、検出コイル207,209が、通信アンテナ213に近接していると、検出コイルと通信アンテナとの間に潜在的な干渉が生じ、特に、通信アンテナ213が近接していると、高感度の異物検出に影響を与える。
【0152】
特に、異物検出時間間隔中に、送信機コイル103は、検出コイル207,209によってピックアップされる、(知られているコイル電流と、結果として生じる磁場とを有する)定義されたテスト信号を生成する。検出コイルは、異物によって生成された送信機コイル103の磁場の変化を検出できる。このシステムは非常に感度が高いため、検出コイルの配置と設計、及び完全な磁気環境は非常に重要である。
【0153】
図8のアプローチでは、通信アンテナ213は、異物検出コイルと(実質的に)同じ平面に配置され、したがって、通信アンテナと異物検出コイルは近接しており、通常は、サイズが類似している。
【0154】
図6のような平衡検出コイルを使用することによって異物検出を改善することが提案されているが、発明者は、そのようなアプローチにおいても、通信アンテナが比較的近接して存在すると性能が低下し、異物の検出がより困難になるという実質的な問題があることを認識した。通信アンテナと異物検出コイルとを互いに非常に近くに配置できることがしばしば望ましいため、この問題は、多くの実際の実装において悪化する。発明者はさらに、通信アンテナの存在が、異なる平衡検出コイルにわたって少なくとも部分的に平衡化されるように通信アンテナを構成することによって、影響を低減できることを認識した。
【0155】
改善された性能は、しばしば、並列に結合された2つの通信コイルを備える通信アンテナの使用によって達成され、2つのコイルは2つの異なる検出コイルに結合するように構成され、1つの通信コイルから1つの検出コイルへの結合が、他の通信コイルから他の検出コイルへの結合によって、平衡検出コイルからの出力において少なくとも部分的に補償される。特に、通信アンテナは、第1の検出コイルへの第1の結合を有する第1の通信コイルの第1のセグメントと、平衡検出コイルの第2の検出コイルへの第2の結合を有する第2の通信コイルの第2のセグメントとで構成される。さらに、この構成は、第1及び第2の結合が、出力信号において互いに補償するようになっている。
【0156】
これら結合は、誘導結合及び/又は容量結合である。
【0157】
いくつかの実施形態では、第1の検出コイルと、第1の通信コイルの第1のセグメントとの間の容量結合の影響は、平衡検出コイルからの出力信号において、第2の検出コイルと、第2の通信コイルの第2のセグメントとの間の容量結合の影響によって補償/低減される。
【0158】
いくつかの実施形態では、第1の検出コイルと、第1の通信コイルの第1のセグメントとの間の誘導結合の影響は、平衡検出コイルからの出力信号において、第2の検出コイルと、出力信号における第2の通信コイルの第2のセグメントとの間の誘導結合の影響によって補償/低減される。
【0159】
多くの実施形態では、結合は、誘導結合と容量結合との両方である。
【0160】
いくつかの実施形態では、第1の検出コイルと、第1の通信コイルの第1のセグメントとの間の誘導結合及び容量結合の影響は、平衡検出コイルからの出力信号において、第2の検出コイルと、第2の通信コイルの第2のセグメントとの間の誘導結合及び容量結合の影響によって、補償/低減/少なくとも部分的に相殺される。
【0161】
第2の結合による第1の結合の補償は、第1の結合から生じる(平衡コイルの組からの)出力信号内の信号成分が、第2の結合から生じる出力信号内の信号成分によって低減されるようにする。したがって、第1の結合によって第1の検出コイルに導入される信号成分は、第2の結合によって第2の検出コイルに導入される信号成分によって低減される。例えば図6の例におけるように、直列に結合されている2つの検出コイルによって、結合から生じる電圧又は電流の寄与/歪み/信号成分は、位相が逆であり、個々の寄与/歪み/信号成分の最大振幅よりも低い結合値/合計振幅になる。実際、多くの実施形態及びシナリオでは、寄与を互いに完全に相殺し合うことが実現可能である。
【0162】
したがって、アプローチは、2つの並列に結合された通信コイルを使用して2つの検出コイルに対称的に結合し、異なる結合からの結合効果/信号成分が(部分的又は完全に)結合出力信号において互いに補償し合うようになる。
【0163】
多くの実施形態では、第1の検出コイルの空間構成に対する第1の通信コイルの空間構成は、第2の検出コイルの空間構成に対する第2の通信コイルの空間構成に、対応する/対称的である。
【0164】
多くの実施形態では、第1の通信コイルの空間構成は、第2の通信コイルの空間構成と同じである。例えば、第1の通信コイルは、平行移動、回転、及びミラー変換のみを使用して第2の通信に変換される。同様に、第1の検出コイルの空間構成は、第2の検出コイルの空間構成と同じである。例えば、第1の検出コイルは、平行移動、回転、及びミラー変換のみを使用して第2の検出コイルに変換される。さらに、第1の検出コイルに対する第1の通信コイルの位置/向きは、第2の検出コイルに対する第1の通信コイルの位置/向きに対応する。
【0165】
したがって、多くの実施形態では、第1の通信コイルと、第1の検出コイルとの間の空間関係は、第2の通信コイルと、第2の検出コイルとの間の空間関係に対応する。空間関係は同様であり、多くの実施形態では、空間関係は、第1の検出コイルと第1の通信コイルとの合成空間構成が、平行移動、回転、ミラー変換のみを含む(幾何学的/空間的)変換によって、第2の検出コイルと第2の通信コイルとの合成空間構成に変換されるようなものである。
【0166】
多くの実施形態では、第1の通信コイルと第1の検出コイルとの間の誘導結合は、第2の通信コイルと第2の検出コイルとの間の誘導結合と(少なくとも部分的に)平衡化される。
【0167】
多くの実施形態では、通信アンテナは、第1の通信コイルの電流から、第1の検出コイルに誘導される第1の信号成分が、第2の通信コイルの電流から、第2の検出コイルに誘導される第2の信号成分によって出力信号において補償されるように構成される。
【0168】
したがって、検出コイル及び通信コイルの2つの対の構成は、相対的な電流方向が、2つの検出コイルにおける合成誘導信号の減少をもたらし、誘導電流は、互いに位相がずれ、特に逆位相を有する。これは、第1の検出コイルの電流方向に対する第1の通信コイルの電流方向が、第2の検出コイルの電流方向に対する第2の通信コイルの電流方向と逆であることによって達成される。電流方向は、実際の電流を反映する必要はないが、ワイヤの公称方向を反映するため、その方向に流れる電流は、正の電流と見なされ、逆方向に流れる電流は、負の電流と見なされる。
【0169】
多くの実施形態では、相対的な空間構成は実質的に同じであるが、電流方向は逆方向である。
【0170】
多くの実施形態では、第1の通信コイルと第1の検出コイルとの間の容量結合は、第2の通信コイルと第2の検出コイルとの間の容量結合と(少なくとも部分的に)平衡化される。空間構成に加えて、通信アンテナ213は、通信コイル上の電位及び電圧分布が対応し、検出コイルに対して対称的であるように構成される。
【0171】
いくつかの実施形態では、第1の通信コイルのセグメントの電位は、第2の通信コイルの第2のセグメントの電位と一致し、実質的に同じであり、2つのセグメントは、それぞれ第1の検出コイル及び第2の検出コイルに対して同じ空間関係を有する。
【0172】
多くの実施形態では、第1の検出コイルに対する第1の通信コイルの電圧分布は、第2の検出コイルに対する第2の通信コイルの電圧分布と対称的である。そのようなシナリオでは、空間関係が実質的に同じである場合、第1の検出コイルと通信コイル対との間の容量結合は、第2の検出コイルと通信コイル対との間の容量結合と実質的に同じになる。
【0173】
多くの実施形態では、第1及び第2の通信コイルは実質的に同様であり、直接並列に結合され、それによって通信コイルにわたって実質的に同じ電圧分布となる。したがって、共通の接続点から(コイルワイヤに沿って)同じ距離にある2つの通信コイルのセグメントは、同じ電位(又は延長されたセグメントの電位分布/平均電位)を有する。
【0174】
さらに、第1及び第2の検出コイルが、実質的に同様であり、通信コイルが、それぞれの検出コイルに対して同様/対称的に配置されている場合、検出コイルは、並列に結合された通信コイルに対して同じ有効容量結合を受け、それによって、結果的に影響を受け、容量結合からの信号成分は、平衡検出コイルからの結合出力を実質的に相殺する。
【0175】
ほとんどのシナリオでは、結合の効果を完全に相殺することが好ましいが、通常、効果を部分的に相殺/補償/低減することも有益であることを理解されたい。
【0176】
多くの実施形態では、通信アンテナ、特に通信コイルは、誘導結合と容量結合との両方が緩和され補償されるように構成される。特に、多くの実施形態では、通信コイルは、空間構成、コイル内の電流、及びコイル内の電圧分布に関する上記された考慮事項をより多く、いくつか、又はすべてさえも含むように構成される。
【0177】
いくつかの実施形態では、上記された空間的制約及び特性は、通信コイル全体、すなわち通信コイルの全長/範囲に及ぶ。他の実施形態では、この関係は、例えば、対応する検出コイルと重なる通信コイルのセグメントのみなど、通信コイルの1つ又は複数のセグメントのみに制限される。例えば、第1の通信コイルと第1の検出コイルとの間の記載された関係は、(例えば、第1の検出コイルの平面に対して垂直な方向で)第1の検出コイルと重なる第1の通信コイルのセグメントに(特に/のみ)適合する。同様に、第2の通信コイルと第2の検出コイルとの間の記載された関係は、(例えば、第2の検出コイルの平面に対して垂直な方向で)第2の検出コイルと重なる第2の通信コイルのセグメントに(特に/のみ)適合する。
【0178】
したがって、アプローチは、複数の並列通信コイルを含む通信アンテナとともに平衡検出コイルを使用して、異物検出コイルと通信アンテナとの間の結合の影響及び効果を低減する。このアプローチは、多くの実施形態において大幅に改善された異物検出を可能にし、改善された実装を提供する。例えば、通常、コイルの物理的な位置に対する制約を低減し、例えば、異物検出コイルと、通信アンテナとを極力近づけて配置できる。
【0179】
結合及び結果として生じる干渉は、通常は、単に物理的に異物検出コイルに近い通信アンテナの存在によって引き起こされ、したがって、異物検出及び通信を、異なる時間間隔で動作させることによって、すなわち、時分割アプローチを使用するだけでは除去できないことが留意される。しかしながら、記載されたアプローチは、たとえ時分割が採用されていなくても結合を低減する。
【0180】
記載された例では、異物検出アンテナは、2つ(又はそれ以上)の平衡検出コイルを使用し、これらは容量的/誘導的に通信アンテナに結合される。単一のコイルを使用する従来の通信アンテナでは、誘導結合が、非対称性を導入する。さらに、誘導非対称性が低減されるか、又は完全に除去されたとしても、通信アンテナ上の電圧分布の変化は、平衡検出コイルが、異なる電圧でアンテナのセグメントに容量結合し、非対称容量結合が発生することを意味する。通常、異物検出コイルは、非常に正確で感度の高い検出を実現するように注意深く設計されているため、大きな設計上の制約を受ける。しかしながら、複数の並列に結合された通信コイルを使用することによって、これら通信コイルは、対称的な誘導結合を示すだけではなく、検出コイルに対してより対称的な電圧分布を提供し、したがって、より対称的な容量結合を提供するように設計できる。これにより、多くの実施形態において、異物検出を大幅に改善する。
【0181】
多くの実施形態では、異物検出コイル及び通信アンテナ/コイルは、平面アンテナ/コイルである。
【0182】
特に、平衡検出コイルの組は通常、第1の平面に形成され、通信コイルは、第2の平面に形成される平面コイルであり、第1の平面及び第2の平面は実質的に平行である。ほとんどの実施形態では、平面間の角度は、10°、5°、3°、又は1°以下である。
【0183】
多くの実施形態では、アンテナ/コイルは、プリント回路基板(PCB)上の層として実装でき、実際、多くの実施形態では、異物検出コイル及び通信アンテナは、同じPCBの異なる層で実装できる。
【0184】
図6は、単一平面内の平面コイルとして実装される平衡検出コイルの組の例を示す。コイルは、PCBの層に実装される。
【0185】
他の実施形態では、平衡検出コイルの複数の組が使用され、異物検出は、平衡検出コイルのこれらの組の1つ又は複数からの出力信号に基づいて異物検出を実行するように構成される。図9は、平衡検出コイルの3つの組の平面構成の例を示し、平衡検出コイルの各組は、互いに対向して構成された2つの検出コイルを備える。
【0186】
図9の例では、電力送信機は、各組が2つの検出コイルからなる、平衡検出コイルの3つの組を含むように生成される。この例では、異物検出は、3つの平衡検出コイル対のおのおのからの出力信号を測定し、これらを使用して異物検出を実行する。使用される正確な基準は、個々の実施形態の優先度及び要件に依存する。複雑ではない例として、平衡検出コイルの組のうちの少なくとも1つの組が、所与のしきい値を超える信号を生成する場合、異物検出が検出されたと判定される。いくつかの実施形態では、例えば、検出異物のための位置推定値を生成するために、異なる信号が評価され、比較される。
【0187】
空間検出コイルの各々は、コイルが形成される平面の領域にまたがる、又は取り囲む。この例では、各検出コイルは、実質的に円形の扇形の外形を有し、したがって、円形の扇形領域にまたがる。他の実施形態では、外形及び形状が異なることを理解されたい。例えば、外側の扇形は、曲線/円形ではなく直線である(例えば、形状が、三角形である)。別の例として、いくつかの実施形態では、検出コイルの外形は、実質的に長方形である。
【0188】
この例では、平衡検出コイルの組の検出コイルは、回転点の周りで回転対称である。実際、この例では、平衡検出コイルの異なる組の検出コイルは、回転対称である。したがって、図6及び図9のものなどの多くの実施形態では、検出コイルは角度間隔にまたがり、異なる検出コイル207,209は、回転点から異なる重複しない角度間隔にまたがる。この例では、検出コイルはさらに、検出コイルによってカバーされる角度間隔の中間点である角度で回転点から半径方向に延在する中心の周りで鏡面対称である。
【0189】
したがって、特定の例では、平衡検出コイルの組の検出コイル間、及び平衡検出コイルの異なる組からの検出コイル間に、高い対称性が存在する。
【0190】
並列に結合された2つの通信コイルは、通信コイルのうちの1つと、検出コイルのうちの1つとの間の結合の影響が、他方の通信コイルと、平衡検出コイルの他方の検出コイルとの間の対応する結合によって少なくとも部分的に補償されるように、検出コイルに関して対応する対称性を有するように設計される。
【0191】
多くの実施形態では、通信コイルは、検出コイルと対称性を有するように構成される。特に、第1の通信コイル及び第1の検出コイルの構成は、第2の通信コイル及び第2の検出コイルと一致するように変換できる。この例では、通信コイルは、検出コイルが回転対称であるのと同じ回転点の周りで回転対称である。対称性が発生する回転も同じであり、つまり、角度Xだけ回転すると、第1の検出コイルが、第2の検出コイルに変換され、同じ角度Xだけ回転すると、第1の通信コイルも、第2の通信コイルに変換される。いくつかの実施形態では、この変換は特に、回転、平行移動、及びミラー変換又は対称性のみを含むように限定される。
【0192】
通信アンテナ及び異物検出コイルが、互いに非常に接近している2つの平行な平面に形成される実施形態では、対称性はしばしば2次元対称とみなされる。コイルは特に互いに重なり合う。
【0193】
構成の空間的考慮事項は、異物検出コイル(の平面)上への通信コイルの突起を考慮して考慮され、特に、この突起は、異物検出コイル及び/又は通信コイルが形成される平面に垂直な方向への垂直又は直交する突起である。実際には、平面間の距離は通常、コイル及びアンテナのサイズと比べて非常に小さく、突起は取るに足らないものになる傾向があり、実際、コイルは本質的に同じ平面に形成されていると見なすことができることに留意されたい。
【0194】
検出コイルは、検出コイルが形成される平面内の領域にまたがる(包囲する/輪郭を描く/取り囲む)。多くの場合、通信コイルは、通信コイルがこれらの領域に重なるようになるため、垂直の突起は、またがる領域内に収まる。以前に記載された結合に関する考慮事項は、所与のまたがり領域内の通信コイルのセグメントと、その領域にまたがる検出コイルとの間に特に当てはまる。多くの領域において、通信コイルは、平衡検出コイルの組の第1の検出コイルがまたがる領域内の第1の通信コイルの突起セグメントが、平衡検出コイルの組の第2の検出コイルがまたがる領域内の第2の通信コイルの突起セグメントと同じになるように構成される。これは、通常、平面コイル構成の場合、平衡検出コイルの組からの結合信号を相殺する整合結合効果となる。
【0195】
したがって、多くの実施形態では、第1の検出コイルは、第1の平面内の第1の領域にまたがり、第2の検出コイルは、同じ平面内の第2の領域にまたがり、第1の平面上の第1の通信コイルのセグメントの直交/垂直突起が、第2の領域に対する第1の平面上の第2の通信コイルのセグメントの直交/垂直突起の空間関係と同じ空間関係を第1の領域に対して有するように通信コイルが構成される。特に、第1の領域への第1の通信コイルの直交/垂直突起は、第2の領域への第2の通信コイルの直交/垂直突起と一致する。
【0196】
以下では、上記の考慮事項のほとんど又はすべてを満たす通信コイルの対の特定の実装が記載される。この例が、図10から図15を参照して記載される。特定の設計は、非常に少数の層で実施できるという利点があり、特に多くの実施形態では、プリント回路基板の異なる層など、2つの層のみで実施できる。
【0197】
この設計は、回転点を囲む同心曲線に沿って通信コイルのセグメントを分散することに基づく。図10は、通信コイルの構成のための基礎となるテンプレート又はグリッドとして使用できる同心円の組を示す。この例は、等間隔の同心円の組を示しているが、他の閉曲線及びこれらの間の他の距離を、他の実施形態で使用できることを理解されたい。しかしながら、多くの設計では、閉曲線は、2つの検出コイルの間の角度に対応する角度だけ回転する回転点の周りで回転対称である。多くの実施形態では、閉曲線は、検出コイルと同じ回転対称を有する。したがって、同じ検出コイル構成となる回転角度について、閉曲線の回転も同じ構成となる。
【0198】
図9の検出コイルに適した通信コイルの設計が記載され、図10は、中心回転点からの半径方向の線によって、6つの検出コイルのおのおのについての角度断面を示す。
【0199】
第1の通信コイルの形成は、一連のステップを考慮することによって例示できる。第1に、セグメントの組は、図11に示されるように曲線に沿って分布される。この例では、通信コイルは、検出コイルに対応する各角度間隔内の閉曲線のうちの1つの閉曲線に従う。したがって、この例では、第1の通信コイルは、角度間隔に対応するセグメントを備え、各セグメントは、同心曲線のうちの1つの同心曲線に従う。同心円の場合、各セグメントは、円のセグメントである。
【0200】
さらに、この例では、隣接する角度間隔のセグメントは、異なる同心曲線に従うため、ある角度間隔から別の角度間隔に(したがって、ある検出コイルから別の検出コイルに)移行するとき、コイルも、1つの同心曲線から別の同心曲線に移行する。ある同心曲線から別の同心曲線への移行は、多くの例において、回転点に対して半径方向にあるセグメントによって形成される。この例では、外側の閉曲線に沿って分布する第1のセグメントは、回転点に対して半径方向にあり、2つの検出コイル間の境界に従う移行セグメントを介して、隣接する閉曲線に沿って分布する第2のセグメントに接続される。同様に、第2のセグメントは、別の半径方向相互接続移行セグメントを介して、次の内側閉曲線に沿って第3のセグメントに接続される。
【0201】
図11は、4つの同心円に沿って分布する4つの検出コイル領域に対応する4つの部分円形セグメントを示す。次に、この構成は、4つの検出コイルに対応する回転で、図12に示すように繰り返される。内側セグメントの最後(第1の繰返しの最後のセグメント)は、第2の繰返しの外側セグメント(第2の繰返しの最初のセグメント)に結合される。次に、このプロセスを繰り返して、セグメントのパターンの第3の繰返しを作成し、その結果、図13に示すコイル構成が得られる。これにより、2ターンの不規則な直径からなるコイルが得られ、図14に示されるように、コイルの端点は、コイルの中央接続点を提供するために、半径方向の接続を介してコイルの中心に供給される。
【0202】
第2の通信コイルは、第1のコイルと同様のパターン/形状/空間構成で生成されるが、回転点を中心に180°回転する。したがって、第1及び第2の通信コイルは、回転点を中心に回転対称である。さらに、この回転の結果、第1の通信コイルによって占有されなかった同心閉曲線の部分は、第2の通信コイルによって占有され、曲線のどの部分も両方の通信コイルによって占有されず、すなわち、両方の通信コイルの間に、重なりがない。
【0203】
図15は、並列に結合された2つの通信コイル(第2の通信コイルは破線で示されている)によって形成された、結果的に得られた通信アンテナ213を示す。
【0204】
理解できるように、このアプローチは、第1の通信コイル及び第2の通信コイルのおのおのについて異なる閉曲線に沿って分布する、複数のセグメントを備える各角度間隔をもたらす。セグメントは、実質的に半径方向の接続を介して接続される。
【0205】
さらに、コイルは、検出コイルに対して回転対称であるため、平衡検出コイルの組の2つの検出コイルについて、検出コイルは回転対称であり、通信コイルが切り替えられる場合、通信コイルに対する空間関係も同様である。したがって、第1の検出コイルに対する(特に、第1の検出コイルの角度間隔内の)第1の通信コイルの空間構成は、第2の検出コイルに対する(特に、第2の検出コイルの角度間隔内の)第2の通信コイルの空間構成と同じである。同様に、それに加えて、第1の検出コイルに対する(特に、第1の検出コイルの角度間隔内の)第2の通信コイルの空間構成は、第2の検出コイルに対する(特に、第2の検出コイルの角度間隔内の)第1の通信コイルの空間構成と同じである。
【0206】
したがって、それぞれ第1及び第2の通信コイルと、第1及び第2の検出コイルとの間で、完全な対称性が達成される。さらに、通信コイルは並列に結合され、平衡に影響を与える可能性のある実際の偏差は別として、正確に同じ電流及び電圧分布が、第1及び第2の通信コイルに存在する。その結果、第1の通信コイルと第1の検出コイルとの間の結合の効果は、第2の通信コイルと第2の検出コイルとの間の結合の効果と同じになる。同様に、第1の通信コイルと第2の検出コイルとの間の結合の効果は、第2の通信コイルと第1の検出コイルとの間の結合の効果と同じである。2つの通信コイルの電流は同じであり、検出コイルは通信コイルの電流方向に対して異なる電流方向を有する(それらは図6及び図9に示されるように中央で交換される)ので、検出コイルの電流によって検出コイルに誘導される低周波磁界は、互いに相殺する。同様に、空間構成だけでなく、セグメントに沿った電位も2つの検出コイルについて同様であるため、容量結合は同じになり、容量結合の効果は相殺される。その結果、実質的により正確な異物検出が実行される。
【0207】
別の実質的な利点は、このアプローチにより、ワイヤレス電力伝送システムのアンテナの非常に効率的な実装が可能になることである。通信アンテナは、異物検出コイルの非常に近くに配置することができ、多くの実施形態では、単一のPCBの異なる層に実装される。実際、記載された構成により、異物検出コイルと通信コイルとの両方が、単一の2層PCBによって実装される。したがって、非常にコンパクトで実用的な実装を実施できる。これにより、例えば図8の例のように、電力伝送のために非常に良好な結合を達成しながら、コイルを、送信機コイルと受信機コイルとの間に配置することが可能になる。
【0208】
図16は、単一のPCBの異なる層のための異物検出コイル及び通信コイルの実際の設計を示し、図17は、高電力送信機コイルに隣接するそのようなPCBの実装の写真を示す。
【0209】
上記されたアプローチは、特に通信コイルの他の多くの可能な実装及びレイアウトにつながることが理解されるであろう。例えば、図18は、図15に対応する例を示すが、8つの異物検出コイルを実装するシステムに適しており、図19は、6つ及び8つの異物検出コイルの両方に恐らくは使用可能な通信コイルの別の可能なレイアウトの例を示す。
【0210】
明確にするための上記の説明は、異なる機能回路、ユニット、及びプロセッサを参照して本発明の実施形態を記載したと理解されたい。しかしながら、異なる機能回路、ユニット、又はプロセッサ間の機能の任意の適切な分布が、本発明を損なうことなく使用されることが明らかであろう。例えば、別個のプロセッサ又はコントローラによって実行されるように示されている機能は、同じプロセッサ又はコントローラによって実行される。したがって、特定の機能ユニット又は回路への言及は、厳密な論理的又は物理的構造又は編成を示すのではなく、記載された機能を提供するための適切な手段への言及としてのみ理解されるべきである。
【0211】
本発明は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又はこれらの任意の組合せを含む任意の適切な形式で実施できる。本発明は、任意選択的に、少なくとも部分的に、1つ又は複数のデータプロセッサ及び/又はデジタル信号プロセッサ上で実行されるコンピュータソフトウェアとして実施される。本発明の実施形態の要素及び部品は、物理的、機能的、及び論理的に、任意の適切な手法で実施される。実際、機能は、単一のユニット、複数のユニット、又は他の機能ユニットの一部として実施される。したがって、本発明は、単一のユニットで実施することもできるし、異なるユニット、回路、及びプロセッサ間で物理的及び機能的に分散させることもできる。
【0212】
本発明は、いくつかの実施形態に関連して記載されたが、本明細書に記載された特定の形態に限定されることは意図されていない。むしろ、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。それに加えて、特徴は、特定の実施形態に関連して記載されたように見えるが、当業者は、記載された実施形態のさまざまな特徴を本発明に従って組み合わせることができることを認識するであろう。特許請求の範囲において、備えるという用語は、他の要素又はステップの存在を排除しない。
【0213】
さらに、個別に列挙されているが、複数の手段、要素、回路、又は方法ステップは、例えば、単一の回路、ユニット、又はプロセッサによって実施される。それに加えて、個々の特徴は、異なる請求項に含まれるが、これらは有利に組み合わされる可能性があり、異なる請求項に含まれることは、特徴の組合せが、実行可能ではない、及び/又は有利ではないことを意味しない。また、請求項の1つのカテゴリに特徴を含めることは、このカテゴリへの限定を意味するものではなく、その特徴が必要に応じて他の請求項のカテゴリに等しく適用できることを示す。1つの独立請求項の従属請求項に特徴を含めることは、この独立請求項を限定することを意味せず、その特徴が必要に応じて他の独立請求項に等しく適用できることを示す。さらに、請求項における特徴の順序は、特徴が実行されねばならない特定の順序を意味せず、特に、方法請求項における個々のステップの順序は、ステップがこの順序で実行されねばならないことを意味しない。むしろ、ステップは、任意の適切な順序で実行される。それに加えて、単数の参照は、複数を除外しない。したがって、単数形は、複数を排除しない。特許請求の範囲における参照符号は、明確化の例として提供されるにすぎず、特許請求の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
図1
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