(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-05
(45)【発行日】2024-03-13
(54)【発明の名称】流動床再生器、軽オレフィンを調製する装置およびその応用
(51)【国際特許分類】
B01J 8/24 20060101AFI20240306BHJP
C07C 1/20 20060101ALI20240306BHJP
C07C 11/04 20060101ALI20240306BHJP
C07C 11/06 20060101ALI20240306BHJP
B01J 38/14 20060101ALI20240306BHJP
B01J 38/16 20060101ALI20240306BHJP
B01J 38/30 20060101ALI20240306BHJP
B01J 38/06 20060101ALI20240306BHJP
B01J 29/85 20060101ALI20240306BHJP
B01J 29/90 20060101ALI20240306BHJP
C07B 61/00 20060101ALN20240306BHJP
【FI】
B01J8/24
C07C1/20
C07C11/04
C07C11/06
B01J38/14
B01J38/16
B01J38/30
B01J38/06
B01J29/85 Z
B01J29/90 Z
C07B61/00 300
(21)【出願番号】P 2022573395
(86)(22)【出願日】2020-10-16
(86)【国際出願番号】 CN2020121577
(87)【国際公開番号】W WO2022077460
(87)【国際公開日】2022-04-21
【審査請求日】2022-12-21
(73)【特許権者】
【識別番号】503190796
【氏名又は名称】中国科学院大▲連▼化学物理研究所
【氏名又は名称原語表記】DALIAN INSTITUTE OF CHEMICAL PHYSICS,CHINESE ACADEMY OF SCIENCES
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】叶 茂
(72)【発明者】
【氏名】張 涛
(72)【発明者】
【氏名】張 今令
(72)【発明者】
【氏名】徐 庶亮
(72)【発明者】
【氏名】唐 海龍
(72)【発明者】
【氏名】王 賢高
(72)【発明者】
【氏名】張 聘
(72)【発明者】
【氏名】▲ジャー▼ 金明
(72)【発明者】
【氏名】王 静
(72)【発明者】
【氏名】李 華
(72)【発明者】
【氏名】李 承功
(72)【発明者】
【氏名】劉 中民
【審査官】小久保 勝伊
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第104672044(CN,A)
【文献】特開昭56-73537(JP,A)
【文献】特公昭42-6970(JP,B1)
【文献】特公昭30-64(JP,B1)
【文献】特開2009-142811(JP,A)
【文献】特表2006-507119(JP,A)
【文献】特開昭59-73022(JP,A)
【文献】特開昭51-119568(JP,A)
【文献】特開2004-536060(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第107540494(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第106732823(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第102463138(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第104419468(CN,A)
【文献】欧州特許出願公開第2785459(EP,A1)
【文献】米国特許出願公開第2004/0186333(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 8/24
C07C 1/20
C07C 11/04
C07C 11/06
B01J 38/14
B01J 38/16
B01J 38/30
B01J 38/06
B01J 29/85
B01J 29/90
C07B 61/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流動床再生器は、下から上への、第2の活性化領域、第1の活性化領域および固気分離領域を含み、
前記第2の活性化領域と固気分離領域は、軸方向に連通され、
前記第1の活性化領域は、前記第2の活性化領域と固気分離領域の接続先の外周に設置されており、
前記第1の活性化領域は、環状のチャンバであり、
前記第1の活性化領域は、径方向に沿ってn個のバッフル板が設けられており、前記n個のバッフル板は、前記第1の活性化領域をn個の第1の活性化領域のサブ領域に分割し、
n-1個の前記バッフル板には、前記第1の活性化領域に入る触媒が環状方向に沿って流れるように、触媒流通孔が開設される、ことを特徴とする含酸素化合物から軽オレフィン触媒を調製する触媒を活性化する流動床再生器。
【請求項2】
前記第1の活性化領域において、前記n個のバッフル板は、第1のバッフル板、第2のバッフル板ないし第nのバッフル板を含み、
前記第1のバッフル板には、前記触媒流通孔が開設されておらず、
前記第2ないし第nのバッフル板には、前記触媒流通孔が開設されており、
前記第1のバッフル板と前記第2のバッフル板によって分割形成された第1の活性化領域のサブ領域には、使用済み触媒入口が設けられており、
前記第1のバッフル板と前記第nのバッフル板によって分割形成された第nの活性化領域のサブ領域には、第1の活性化領域の触媒輸送管が設けられており、
前記第1の活性化領域のサブ領域の下方には、第1の活性化領域の分配器が設けられており、
前記第1の活性化領域のサブ領域の頂部には、第1の活性化領域のガス輸送管が設けられて
おり、
前記nの値の範囲は、2≦n≦10であり、
前記第1の活性化領域のサブ領域の断面は、扇環形であり、
前記第2の活性化領域には、水平方向に沿ってm個の多孔板が設置されており、
1≦m≦10であり、
前記多孔板の開孔率は、5~50%であり、
前記第2の活性化領域の底部には、第2の活性化領域の分配器が設置されている、ことを特徴とする請求項1に記載の流動床再生器。
【請求項3】
前記第1の活性化領域の上部には、再生器の第1の固気分離装置が設置されており、
前記再生器の第1の固気分離装置は、前記使用済み触媒入口を介して前記第1の活性化領域に連通され
、
前記流動床再生器は、再生器のガス収集室および流動床再生器の熱除去器を含み、
前記再生器のガス収集室は、前記流動床再生器の頂部に位置し、
前記再生器のガス収集室の頂部には、再生器の生成ガス輸送管が設置されており、
前記固気分離領域には、第2の固気分離装置が設置され、
前記再生器のガス収集室は、第2の固気分離装置の出口に接続され、
前記流動床再生器の熱除去器は、前記第2の活性化領域の下部に位置する、ことを特徴とする請求項1に記載の流動床再生器。
【請求項4】
流動床反応器および流動床再生器を含み、
前記流動床再生器は、請求項
1に記載の流動床再生
器を含む、ことを特徴とする含酸素化合物から軽オレフィンを調製するための装置。
【請求項5】
前記装置は、使用済み傾斜管、流動床反応器のストリッパー、使用済み剤輸送管、再生傾斜管および再生剤輸送管を含み、
使用済み剤領域、使用済み傾斜管、流動床反応器のストリッパー、使用済み剤輸送管、再生器の第1の固気分離装置は、順番に連通され、
第2の活性化領域、再生傾斜管、再生剤輸送管、流動床反応器の反応領域は、順番に連通され
、
前記流動床反応器は、下ハウジング、輸送管および上ハウジングを含み、
前記下ハウジングは、反応領域を包囲形成し、
前記輸送管は、前記反応領域の上方に位置し、前記反応領域と連通され、
前記輸送管の外周には、上ハウジングが設けられており、
前記上ハウジングは、前記輸送管とキャビティを包囲形成し、
前記キャビティは、下から上への、使用済み剤領域と固気分離領域に分けられ、
前記反応領域は、高速流動化領域に属し、
前記使用済み剤領域は、気泡流動化領域に属し、
前記固気分離領域には、流動床反応器の第1の固気分離装置が設置されており、
前記輸送管の上部は、流動床反応器の第1の固気分離装置の入口に接続され、
前記流動床反応器は、流動床反応器の分配器、流動床反応器の熱除去器、使用済み剤領域のガス分配器、流動床反応器のガス収集室および流動床反応器の第2の固気分離装置を含み、
前記流動床反応器の分配器は、反応領域の底部に位置し、
前記流動床反応器の熱除去器は、使用済み剤領域の下部に位置し、
前記使用済み剤領域のガス分配器は、使用済み剤領域の下部に位置し、
流動床反応器の第2の固気分離装置と、流動床反応器の第1の固気分離装置のガス出口と、流動床反応器のガス収集室とは、互いに接続され、
前記流動床反応器のガス収集室には、生成ガス輸送管が設置されており、
流動床反応器の第1の固気分離装置と、流動床反応器の第2の固気分離装置の触媒出口と、使用済み剤領域とは、互いに接続され、
前記反応領域と使用済み剤領域の間は、使用済み剤循環管を介して連通される、ことを特徴とする請求項
4に記載の装置。
【請求項6】
含酸素化合物から軽オレフィンを調製する方法であって、請求項
4に記載の装
置を使用
し、
前記含酸素化合物から軽オレフィンを調製する方法は、含酸素化合物から軽オレフィンを調製する触媒を活性化する方法を含み、含酸素化合物から軽オレフィンを調製する触媒を活性化する方法は、請求項1に記載の流動床再生器を用い、
前記含酸素化合物から軽オレフィンを調製する触媒を活性化する方法は、
第1の活性化領域の原料と使用済み触媒を第1の活性化領域に通入し、前記使用済み触媒は、前記第1の活性化領域のサブ領域に沿って環状方向に流れると共に、第1の活性化領域の原料と化学反応させ、部分的に活性化された触媒を生成するステップと、
前記部分的に活性化された触媒と第2の活性化領域の原料を、第2の活性化領域に通入し、化学反応を起こさせ、再生触媒を生成するステップとを含み、
前記部分的に活性化された触媒におけるコークスの成分には、含酸素炭化水素種と無酸素炭化水素種が含有されており、
前記含酸素化合物から軽オレフィンを調製する方法は、
含酸素化合物を含む原料と再生触媒を反応領域に通入し、反応させ、軽オレフィンと使用済み触媒を含む流れAを得るステップ、
前記流れAを固気分離した後、前記使用済み触媒を使用済み剤領域に通入するステップ、
使用済み剤領域の使用済み触媒の一部は流動床反応領域に戻り、使用済み触媒の他の部分は流動床再生器に入るステップとを含む、ことを特徴とする方法。
【請求項7】
前記第1の活性化領域の原料は、酸素、空気および水蒸気を含有し、
酸素の質量分率は0~10wt%で、
空気の質量分率は0~20wt%で、
水蒸気の質量分率は80~100wt%であり、
前記流動床再生器の第1の活性化領域のプロセス動作条件は、ガスの見掛け線速度が0.1~0.5m/sで、温度が650~750℃で、圧力が100~500kPaで、ベッド密度が400~700kg/m
3
であり、
前記第2の活性化領域の原料は、水蒸気であり、
前記流動床再生器の第2の活性化領域のプロセス動作条件は、ガスの見掛け線速度が0.1~0.5m/sで、温度が550~700℃で、圧力が100~500kPaで、ベッド密度が400~700kg/m
3
である、ことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記使用済み触媒におけるコークス含有量は、9~13wt%であり、
前記使用済み触媒におけるコークス含有量は10~12wt%であり、
前記使用済み触媒には、SAPO-34分子篩が含まれており、
前記再生触媒におけるコークス含有量は5~11wt%であり、
前記再生触媒におけるコークス含有量分布の四分位偏差は1.0wt%以下であり、
前記再生触媒において、コークス種は、ポリメチルベンゼンとポリメチルナフタレンを含み、
ポリメチルベンゼンとポリメチルナフタレンの合計質量の、コークスの総質量における含有量は60wt%以上であり、
分子量>184であるコークス種の質量の、コークス総質量における含有量は30wt%以下であり、
前記コークスの総質量は、コークス種の総質量を指す、ことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記使用済み剤領域の流動化ガスは、窒素ガス、水蒸気から選ばれる少なくとも1つであり、
前記流動床反応器の使用済み剤領域のプロセス動作条件は、ガスの見掛け線速度が0.1~1.0m/sで、反応温度が350~550℃で、反応圧力が100~500kPaで、ベッド密度が200~800kg/m
3である、ことを特徴とする請求項
6に記載の方法。
【請求項10】
前記含酸素化合物の原料は、メタノール、ジメチルエーテルから選ばれる少なくとも1つであ
り、
前記再生触媒の質量流量と前記含酸素化合物の供給量の比率は、0.3~1.0トンの触媒/トンのメタノールであり、
前記再生触媒の質量流量と前記含酸素化合物の供給量の比率は、0.5~1.0トンの触媒/トンのメタノールであり、
前記流動床反応器の反応領域のプロセス動作条件は、ガスの見掛け線速度が0.5~7.0m/sで、反応温度が350~550℃で、反応圧力が100~500kPaで、ベッド密度が100~500kg/m
3
である、ことを特徴とする請求項
6に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、流動床再生器、軽オレフィンを調製する装置およびその応用に関し、化学触媒分野に属する。
【背景技術】
【0002】
メタノールからオレフィンを製造する技術(MTO)は、主に中国科学院大連化学物理研究所のDMTO技術および米国UOP会社のMTO技術がある。2010年にDMTO技術を採用した神華包頭メタノール-オレフィン製造工場が建設され生産を開始した。これは、世界初のMTO技術の工業化応用であり、2019年末までに、14セットのDMTO工業装置が生産を開始しており、1年の軽オレフィンの総生産能力は約800万トンである。
【0003】
近年、DMTO技術はさらに発展し、性能がより優れた次世代DMTO触媒が徐々に工業化応用され始めており、DMTO工場のためにより高い効果を創造している。次世代DMTO触媒は、より高いメタノール処理能力および軽オレフィン選択性を備えている。
【0004】
メタノールからオレフィンを製造する技術は、一般的にSAPO-34分子篩触媒を使用しており、メタノールからオレフィンを製造するプロセスにおける軽オレフィンの高選択性は、分子篩の酸性触媒作用を介して、分子篩の骨組構造における孔口の制限作用を組合わせて達成されている。メタノール転化プロセスは、酸性分子篩触媒のコーキング(coking)プロセスが同時に伴っている。従来のメタノールからオレフィンを製造する工場でのメタノールのコーキング率は1.5~2.5wt%であり、即ち、メタノールの3.3~5.5%のC原子は、触媒におけるコークスに転化され、コークスが再生器で燃焼してCO、CO2およびH2Oなどの物質を生成して排出し、C原子の利用率はわずか94.5~96.7%である。技術の進歩に伴い、メタノールからオレフィンを製造するプロセスの軽オレフィン選択性は大幅に向上され、メタノールのコーキング率が高く、C原子の利用率が低いことは、すでに技術の進歩を抑制するボトルネックとなっている。したがって、新しいメタノールからオレフィンを製造する技術を開発し、C原子の利用率を高め、技術の原子経済性を向上させる必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
メタノールからオレフィンを製造するプロセスは、酸性分子篩触媒のコーキング(coking)プロセスを同時に伴っており、分子篩ケージの内部でコークス種を形成することによって、メタノールからオレフィンを製造する触媒プロセスを開始する。触媒コーキングは、分子篩の活性部位を覆い、触媒の活性を低下させるが、分子篩におけるコークスは、分子篩の骨組構造の孔口をさらに制限し、軽オレフィン選択性を向上させる。
【0006】
本出願で述べる軽オレフィンは、エチレンとプロピレンを指す。DMTO触媒の活性および軽オレフィン選択性に影響を与える主な要因は、触媒におけるコークス含有量、コークス含有量分布およびコークス種であることを、出願人は研究を通じて発現した。触媒の平均コークス含有量は同じで、コークス含有量分布が狭いと、軽オレフィン選択性が高く、活性が高い。触媒におけるコークス種には、ポリメチル芳香族炭化水素およびポリメチルシクロアルカンなどが含まれており、うち、ポリメチルベンゼンとポリメチルナフタレンは、エチレンの生成を促進することができる。したがって、触媒におけるコークス含有量、コークス含有量分布およびコークス種を制御することは、DMTO触媒の動作ウィンドウを制御し、軽オレフィン選択性を向上させるキーポイントとなる。
【0007】
メタノールからオレフィンを製造する使用済み触媒におけるコークス含有量は、一般的に7~13wt%であり、コークス含有量が高い場合、触媒の活性が大幅に低下する。現在のメタノールからオレフィンを製造する工場では、一般的に、空気再生の方法を使用して触媒の活性を回復し、それにより、触媒をリサイクルする。このプロセスで、コークスを再生器で燃焼させCO、CO2およびH2Oなどの物質を生成して排出する。実際的に、使用済み触媒におけるコークスは2つの種類に分けることができる。1つは、分子量が大きく、黒鉛化度が高く、触媒活性がないコークスであり、不活性コークスと称してもよく、もう1つは、分子量が小さく、触媒活性を有するポリメチル芳香族炭化水素およびポリメチルシクロアルカンであり、活性コークスと称してもよい。空気を再生媒体として使用する場合、空気は酸化性が強いため、不活性コークス、活性コークスおよび酸素と深い酸化反応を起こし、主にCO、CO2およびH2Oなどの物質を生成する。それにより、コークスの制御可能な転化が実現しにくく、触媒におけるコークス含有量、コークス含有量分布およびコークス種の制御が困難である。したがって、空気を再生媒体として、触媒におけるコークス含有量が3wt%未満である場合、即ち、コークスの大部分が酸化によって除去されてから、触媒は十分な触媒活性を回復することができる。このような再生方法を使用して得られる再生触媒は、軽オレフィン選択性が低く、メタノールのコーキング率が高く、メタノールの単位消費が高い。再生媒体として水を使用する場合、活性コークスは水と反応し、高分子種が小分子種に転化し、適切な条件下で、活性コークスは、ポリメチルベンゼンとポリメチルナフタレンをメインとする種に転化することができる。水と酸素を共に再生媒体として使用する場合、不活性コークスと活性コークスは、酸素と水の作用により、分子量が小さい含酸素炭化水素種と無酸素炭化水素種に転化され、うち、含酸素炭化水素種は触媒活性がない。含酸素炭化水素種は、水蒸気、水素、メタン、エタン、プロパンなどの物質の作用下で、触媒活性を有する無酸素炭化水素種に転化することができる。
【0008】
したがって、本出願では、使用済み触媒を再生触媒に転化する制御可能な活性化方法が提供され、かつ得られる再生触媒は、高い活性と、高い軽オレフィン選択性などの特性を有し、メタノールの単位消費とメタノールのコーキング率とを低減し、メタノールからオレフィンを製造する技術の原子経済性を向上させることができる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本出願の1つの側面により、含酸素化合物から軽オレフィン触媒を調製する触媒を活性化するための流動床再生器が提供される。
【0010】
含酸素化合物から軽オレフィン触媒を調製する触媒を活性化するための流動床再生器であって、前記流動床再生器は、流動床再生器および第2の再生器を含み、
前記流動床再生器は、下から上への、第2の活性化領域、第1の活性化領域および固気分離領域を含み、
前記第2の活性化領域および固気分離領域は、軸方向に連通され
前記第1の活性化領域は、前記第2の活性化領域と固気分離領域の接続先の外周に設置されており、
前記第1の活性化領域は、環状のチャンバであり、
前記第1の活性化領域は、径方向に沿ってn個のバッフル板が設けられており、前記n個のバッフル板は、前記第1の活性化領域をn個の第1の活性化領域のサブ領域に分割し、
うち、n-1個の前記バッフル板には、前記第1の活性化領域に入る触媒が環状方向に沿って流れるように触媒流通孔が開設されている。
【0011】
選択的に、前記第1の活性化領域において、前記n個のバッフル板は、第1のバッフル板、第2のバッフル板~第nのバッフル板を含み、
前記第1のバッフル板には前記触媒流通孔が開設されておらず、
前記第2~第nのバッフル板には前記触媒流通孔が開設されており、
前記第1のバッフル板と前記第2のバッフル板によって分割形成された第1の活性化領域のサブ領域には、使用済み触媒入口が設けられており、
前記第1のバッフル板と前記第nのバッフル板によって分割形成された第nの活性化領域のサブ領域には、第1の活性化領域の触媒輸送管が設けられており、
前記第1の活性化領域のサブ領域の下方には、第1の活性化領域の分配器が設けられており、
前記第1の活性化領域のサブ領域の頂部には、第1の活性化領域のガス輸送管が設けられている。
【0012】
具体的に、バッフル板に開設される触媒流通孔は1つでよく、または複数でもよいが、本出願では厳密には限定しない。複数の触媒流通孔を設置する場合、触媒流通孔同士の相対位置に関しても、本出願では厳密に限定しない。例えば、複数の触媒流通孔は平行に設置されてもよく、または不規則に設置されてもよい。
【0013】
好ましくは、各々の第1の活性化領域のサブ領域の下方には、いずれも第1の活性化領域の分配器が設けられる。このようにして、第1の活性化領域の原料を第1の活性化領域のサブ領域の全体が均一に入ることが実現できる。
【0014】
好ましくは、各々の第1の活性化領域のサブ領域の頂部には、いずれも第1の活性化領域のガス輸送管が設けられる。
【0015】
具体的に、前記第1の活性化領域の原料は、第1の活性化領域の分配器を介して使用済み触媒と接触して反応する。
【0016】
選択的に、前記第1の活性化領域の上部には、再生器の第1の固気分離装置が設置されており、
前記再生器の第1の固気分離装置は、前記使用済み触媒入口を介して前記第1の活性化領域と連通される。
【0017】
具体的に、前記使用済み触媒は、第1の固気分離装置を経て第1の活性化領域に入る。
【0018】
具体的に、前記第1の活性化領域には、第1の活性化領域の触媒輸送管が設置され、前記第1の活性化領域の触媒輸送管の入口は、第nの第1の活性化領域のサブ領域に接続され、第1の活性化領域の触媒輸送管の出口は第2の活性化領域に位置する。
【0019】
選択的に、再生器の第1の固気分離装置は固気サイクロン分離器を採用する。
【0020】
選択的に、前記nの値の範囲は2≦n≦10である。
【0021】
選択的に、前記第1の活性化領域のサブ領域の断面は扇環形である。
【0022】
選択的に、前記第2の活性化領域には、水平方向に沿ってm個の多孔板が設置されており、
うち、1≦m≦10である。
【0023】
選択的に、前記多孔板の開孔率は5~50%である。
【0024】
本出願において、第2の活性化領域は多孔板を採用して、ベッドの内部での触媒の逆混合を抑制することによって、触媒におけるコークス分布の均一性を向上させる。
【0025】
選択的に、前記第2の活性化領域の底部には、第2の活性化領域の分配器が設置される。
【0026】
選択的に、前記流動床再生器は、再生器のガス収集室および流動床再生器の熱除去器を含み、
前記再生器のガス収集室は、前記流動床再生器の頂部に位置し、
前記再生器のガス収集室の頂部には、再生器の生成ガス輸送管が設置されており、
前記固気分離領域には、第2の固気分離装置が設置され、
前記再生器のガス収集室は、第2の固気分離装置のガス出口に接続され、
前記流動床再生器の熱除去器は、前記第2の活性化領域の下部に位置する。
【0027】
具体的に、第2の活性化領域と固気分離領域の接続先の内径は、小から大への大きさである。
【0028】
具体的に、流動床再生器の下ハウジングと上ハウジングの接続先の内径は、小から大への大きさである。
【0029】
選択的に、前記再生器の第2の固気分離装置は、1組以上の固気サイクロン分離器を使用する。
【0030】
好ましくは、各組の固気サイクロン分離器は、1つの第1級の固気サイクロン分離器と1つの第2級の固気サイクロン分離器とを含む。
【0031】
1つの好ましい実施形態として、前記流動床再生器は、下から上への、第2の活性化領域、第1の活性化領域および固気分離領域に分けられる。
【0032】
前記流動床再生器は、再生器ハウジング、再生器の第1の固気分離装置、第1の活性化領域の分配器、バッフル板、第1の活性化領域の触媒輸送管、第1の活性化領域のガス輸送管、第2の活性化領域の分配器、多孔板、流動床再生器の熱除去器、再生器の第2の固気分離装置、再生器のガス収集室、再生器の生成ガス輸送管、再生傾斜管、再生滑動弁および再生剤輸送管を含む。
【0033】
第1の活性化領域は、第2の活性化領域の上方の環状領域に位置し、第1の活性化領域の内部にはn個のバッフル板を設置し、バッフル板は、第1の活性化領域をn個の第1の活性化領域のサブ領域に分割され、2≦n≦10である。各第1の活性化領域のサブ領域の底部には、いずれも第1の活性化領域の分配器を個別に設置し、第1の活性化領域の断面は環状であり、第1の活性化領域のサブ領域の断面は扇環形である。第1~nの第1の活性化領域のサブ領域は同心順番に配列されており、バッフル板には、触媒流通孔が含まれるが、第1の第1の活性化領域のサブ領域と第n第1の活性化領域のサブ領域の間のバッフル板には、触媒流通孔が含まれない。
【0034】
再生器の第1の固気分離装置は、流動床再生器固気分離領域に位置し、再生器の第1の固気分離装置の入口は、使用済み剤輸送管の出口に接続される。再生器の第1の固気分離装置のガス出口は固気分離領域に位置し、再生器の第1の固気分離装置の触媒出口は、第1の第1の活性化領域のサブ領域に位置する。
【0035】
第1の活性化領域の触媒輸送管の入口は、第nの第1の活性化領域のサブ領域に接続され、第1の活性化領域の触媒輸送管の出口は第2の活性化領域に位置する。各第1の活性化領域のサブ領域の頂部には、いずれも第1の活性化領域のガス輸送管が個別に設置され、第1の活性化領域のガス輸送管の出口は固気分離領域に位置する。
【0036】
第2の活性化領域の分配器は流動床再生器の第2の活性化領域の底部に位置し、第2の活性化領域にはm個の多孔板が設置され、1≦m≦10であり、流動床再生器の熱除去器は第2の活性化領域に位置する。
【0037】
再生器の第2の固気分離装置と再生器のガス収集室は、流動床再生器固気分離領域に位置し、再生器の第2の固気分離装置の入口は、流動床再生器固気分離領域に位置し、再生器の第2の固気分離装置のガス出口は、再生器のガス収集室に接続される。再生器の第2の固気分離装置の触媒出口は、第2の活性化領域に位置し、再生器の生成ガス輸送管は、再生器のガス収集室の頂部に接続される。
【0038】
再生傾斜管の入口は、第2の活性化領域の下部に接続され、再生滑動弁の入口は、再生傾斜管の出口に接続され、再生滑動弁の出口は、パイプを経て再生剤輸送管の入口に接続され、再生剤輸送管の出口は、流動床反応器の反応領域に接続される。
【0039】
本出願の第2の側面により、含酸素化合物から軽オレフィンを調製するための装置が提供される。該装置は、流動床反応器と流動床再生器とを含む、含酸素化合物で軽オレフィン(DMTO)を製造する装置である。
【0040】
含酸素化合物から軽オレフィンを調製するための装置は、流動床反応器と流動床再生器とを含む。
【0041】
選択的に、前記装置は、使用済み傾斜管、流動床反応器のストリッパー、使用済み剤輸送管、再生傾斜管および再生剤輸送管を含み、
使用済み剤領域、使用済み傾斜管、流動床反応器のストリッパー、使用済み剤輸送管、再生器の第1の固気分離装置は、順番に連通され、
第2の活性化領域、再生傾斜管、再生剤輸送管、流動床反応器の反応領域は、順番に連通される。
【0042】
具体的に、使用済み傾斜管、流動床反応器のストリッパー、使用済み剤輸送管は順番に互いに接続され、
再生傾斜管と再生剤輸送管とは順番に互いに接続され、
再生傾斜管の入口は第2の活性化領域の下部に接続され、
流動床反応器で反応後の使用済み触媒は使用済み傾斜管に入って、使用済み剤輸送管を経て流動床再生器に入り、
流動床再生器を経て再生された再生触媒は再生傾斜管に入って、再生剤輸送管を経て流動床反応器に入る。
【0043】
選択的に、前記流動床反応器のストリッパーと使用済み剤輸送管とは、使用済み滑動弁を介して互いに接続される。
【0044】
選択的に、前記再生傾斜管と再生剤輸送管とは、再生滑動弁を介して互いに接続される。
【0045】
選択的に、前記流動床反応器は、下ハウジング、輸送管および上ハウジングを含み、
前記下ハウジングは、反応領域を包囲形成し、
前記輸送管は、前記反応領域の上方に位置し、前記反応領域に連通され、
前記輸送管の外周には、上ハウジングが設けられ、
前記上ハウジングは前記輸送管とキャビティを包囲形成し、
前記キャビティは、下から上への、使用済み剤領域と固気分離領域に分けられる。
【0046】
具体的に、流動床反応器の反応領域と輸送管との接続先の内径は、大から小への大きさである。
【0047】
具体的に、流動床反応器の下ハウジングと上ハウジングとの接続先の内径は、小から大への大きさである。
【0048】
選択的に、前記反応領域は、高速流動化領域に属する。
【0049】
選択的に、前記使用済み剤領域は、気泡流動化領域に属する。
【0050】
本出願において、反応領域の流動化タイプに対して厳密に限定せず、反応領域は高速流動化領域に属するのが好ましい。反応領域のガスの見掛け線速度は7.0m/sに達することができ、高いメタノール流量を有し、装置の単位体積のメタノール処理量が大きく、メタノールの重量空間速度が20h-1に達することができる。本出願において、使用済み剤領域の流動化タイプに対して厳密に限定せず、使用済み剤領域は気泡流動化領域に属するのが好ましい。使用済み剤領域は、吸熱し、使用済み触媒の温度を下げ、反応領域に低温の使用済み触媒を送ることによって、反応領域のベッド密度を高め、反応領域のベッド温度を制御する。ガスの見掛け線速度が0.5~7.0m/sの場合、対応するベッド密度は500~100kg/m3である。
【0051】
選択的に、前記固気分離領域には、流動床反応器の第1の固気分離装置が設置されており、
前記輸送管の上部は、流動床反応器の第1の固気分離装置の入口に接続される。
【0052】
選択的に、前記流動床反応器は、流動床反応器の分配器、流動床反応器の熱除去器、使用済み剤領域のガス分配器、流動床反応器のガス収集室および流動床反応器の第2の固気分離装置を含み、
前記流動床反応器の分配器は、反応領域の底部に位置し、
前記流動床反応器の熱除去器は、使用済み剤領域の下部に位置し、
前記使用済み剤領域のガス分配器は、使用済み剤領域の下部に位置し、
流動床反応器の第2の固気分離装置と、流動床反応器の第1の固気分離装置のガス出口と、流動床反応器のガス収集室とは、互いに接続され、
前記流動床反応器のガス収集室には、生成ガス輸送管が設置されており、
流動床反応器の第1の固気分離装置と、流動床反応器の第2の固気分離装置の触媒出口と、使用済み剤領域とは、互いに接続される。
【0053】
具体的に、前記含酸素化合物を含有する原料は、流動床反応器の分配器を介して再生触媒と接触して反応する。
【0054】
具体的に、前記使用済み剤領域の流動化ガスは、使用済み剤領域のガス分配器を介して使用済み触媒と接触する。
【0055】
選択的に、前記反応領域と使用済み剤領域の間は、使用済み剤循環管を介して連通される。
【0056】
具体的に、前記使用済み剤循環管の入口は使用済み領域に接続され、
前記使用済み剤循環管の出口は反応領域の底部に接続される。
【0057】
選択的に、前記使用済み剤循環管には、使用済み剤の循環滑動弁が設置されている。
【0058】
選択的に、前記流動床反応器の第1の固気分離装置は、1組以上の固気サイクロン分離器を使用する。
【0059】
好ましくは、各組の固気サイクロン分離器は、1つの第1級の固気サイクロン分離器と1つの第2級の固気サイクロン分離器とを含む。
【0060】
選択的に、前記流動床反応器の第2の固気分離装置は、1組以上の固気サイクロン分離器を使用する。
【0061】
好ましくは、各組の固気サイクロン分離器は、1つの第1級の固気サイクロン分離器と1つの第2級の固気サイクロン分離器とを含む。
【0062】
好ましい実施形態として、前記流動床反応器は、流動床反応器ハウジング、流動床反応器の分配器、輸送管、流動床反応器の第1の固気分離装置、流動床反応器のガス収集室、使用済み剤領域のガス分配器、流動床反応器の熱除去器、流動床反応器の第2の固気分離装置、生成ガス輸送管、使用済み剤循環管、使用済み剤の循環滑動弁、使用済み傾斜管、流動床反応器のストリッパー、使用済み滑動弁および使用済み剤輸送管を含む。
【0063】
前記流動床反応器は、下部が反応領域で、中部が使用済み剤領域で、上部が固気分離領域である。
【0064】
前記流動床反応器の分配器は流動床反応器の反応領域の底部に位置し、輸送管は流動床反応器の中部と上部の中心領域に位置する。輸送管の底端は反応領域の頂端に接続され、輸送管の上部は流動床反応器の第1の固気分離装置の入口に接続される。流動床反応器の第1の固気分離装置は流動床反応器の固気分離領域に位置し、流動床反応器の第1の固気分離装置のガス出口は、流動床反応器のガス収集室に接続される。流動床反応器の第1の固気分離装置の触媒出口は、使用済み剤領域に位置し、使用済み剤領域のガス分配器は、使用済み剤領域の底部に位置する。流動床反応器の熱除去器は使用済み剤領域に位置し、流動床反応器の第2の固気分離装置は、流動床反応器の固気分離領域に位置する。流動床反応器の第2の固気分離装置の入口は、流動床反応器の固気分離領域に位置し、流動床反応器の第2の固気分離装置のガス出口は、流動床反応器のガス収集室に接続される。流動床反応器の第2の固気分離装置の触媒出口は、使用済み剤領域に位置し、流動床反応器のガス収集室は、流動床反応器の頂部に位置する。生成ガス輸送管は、流動床反応器のガス収集室の頂部に接続され、使用済み剤循環管の入口は、使用済み剤領域に接続され、使用済み剤循環管の出口は、流動床反応器の反応領域の底部に接続される。使用済み剤循環管には使用済み剤の循環滑動弁が設置され、使用済み傾斜管の入口は、使用済み剤領域に接続され、使用済み傾斜管の出口は、流動床反応器のストリッパーの上部に接続される。流動床反応器のストリッパーは、流動床反応器ハウジングの外に位置し、使用済み滑動弁の入口は、パイプを経て流動床反応器のストリッパーの底部に接続される。使用済み滑動弁の出口は、パイプを経て使用済み剤輸送管の入口に接続され、使用済み剤輸送管の出口は流動床再生器に接続される。
【0065】
本出願の第3の側面により、含酸素化合物から軽オレフィンを調製する触媒を活性化する方法が提供される。
【0066】
含酸素化合物から軽オレフィンを調製する触媒を活性化する方法は、上述の流動床再生器を使用する。
【0067】
選択的に、前記方法は、
第1の活性化領域の原料と使用済み触媒を第1の活性化領域に通入し、前記使用済み触媒は、前記第1の活性化領域のサブ領域に沿って環状方向に流れると共に、第1の活性化領域の原料と化学反応させ、部分的に活性化される触媒を生成するステップと、
前記部分的に活性化される触媒と、第2の活性化領域の原料を第2の活性化領域に通入し、化学反応させ、再生触媒を生成するステップとを含み、
前記部分的に活性化される触媒におけるコークスの組成には、含酸素炭化水素種および無酸素炭化水素種が含有されている。
【0068】
選択的に、第1の活性化領域の原料は、第1の活性化領域の分配器を介して第1の活性化領域に入って、触媒におけるコークスと反応する。
【0069】
選択的に、第2の活性化領域の原料は、第2の活性化領域の分配器を介して第2の活性化領域に入って、触媒におけるコークスと反応する。
【0070】
具体的に、使用済み触媒は、バッフル板に設置される触媒流通孔を介して、環状方向に沿って流れると共に、第1の活性化領域の原料は、下方に位置する第1の活性化領域の分配器から第1の活性化領域のサブ領域に入って、使用済み触媒と接触し、使用済み触媒における不活性コークスと活性コークスとを、分子量が小さい含酸素炭化水素種と無酸素炭化水素種に転化し、気相(未反応の第1の活性化領域の原料を含む)は、第1の活性化領域の上方の第1の活性化領域のガス輸送管から固気分離領域に輸送される。
【0071】
具体的に、触媒は、第1の活性化領域の触媒輸送管を介して第2の活性化領域に入り、第2の活性化領域の原料は、下方に位置する第2の活性化領域の分配器から第2の活性化領域に入って、触媒と接触し、触媒におけるコークスに含まれている触媒活性がない含酸素炭化水素種を、触媒活性を有する無酸素炭化水素種に転化し、気相(未反応の第2の活性化領域の原料を含む)は固気分離領域に入る。
【0072】
選択的に、前記使用済み触媒におけるコークスは、第1の活性化領域の原料と化学反応させ、第1の活性化領域の生成ガスを生成する。
【0073】
選択的に、前記部分的に活性化される触媒におけるコークスは、第2の活性化領域の原料と化学反応させ、第2の活性化領域の生成ガスを生成する。
【0074】
選択的に、第1の活性化領域の生成ガスと第2の活性化領域の生成ガスは、固気分離領域で混合されて、再生器の生成ガスを形成する。
【0075】
選択的に、再生器の生成ガスは、触媒を持って再生器の第2の固気分離装置に入って、再生器の第2の固気分離装置によって分離され、再生器の生成ガスと触媒を得、
前記再生器の生成ガスは再生器のガス収集室に入り、
前記触媒は流動床再生器の第2の活性化領域に戻る。
【0076】
選択的に、前記再生器の生成ガスはCO、H2およびCO2を含有し、
前記COとH2の含有量は90wt%以上である。
【0077】
選択的に、前記第1の活性化領域の原料は、酸素、空気および水蒸気を含み、
うち、酸素の質量分率は0~10wt%であり、
空気の質量分率は0~20wt%であり、
水蒸気の質量分率は80~100wt%である。
【0078】
選択的に、前記第2の活性化領域の原料は、水蒸気である。
【0079】
選択的に、前記使用済み触媒におけるコークス含有量は9~13wt%である。
【0080】
前記使用済み触媒におけるコークス含有量は10~12wt%であることが好ましい。
【0081】
選択的に、前記再生触媒におけるコークス含有量は5~11wt%であり、
前記再生触媒におけるコークス含有量分布の四分位偏差は1.0wt%以下である。
【0082】
選択的に、前記再生触媒において、コークス種には、ポリメチルベンゼンとポリメチルナフタレンが含まれており、
ポリメチルベンゼンとポリメチルナフタレンの質量和の、コークスの総質量における含有量は60wt%以上であり、
分子量>184であるコークス種の質量の、コークス総質量における含有量は30wt%以下であり、
うち、前記コークス総質量は、コークス種の総質量を指す。
【0083】
本出願において、コークス種のタイプ、およびコークス種の含有量は非常に重要であり、第1の活性化領域および第2の活性化領域における、触媒の平均滞留時間と滞留時間分布を制御することにより、触媒におけるコークス含有量およびコークス含有量分布を制御し、ポリメチルベンゼンとポリメチルナフタレンの、コークス総質量における含有量が60wt%以上になる効果を実現し、触媒の活性および軽オレフィン選択性を向上させる。
【0084】
選択的に、前記使用済み触媒には、SAPO-34分子篩が含まれる。
【0085】
本出願において、触媒における活性成分はSAPO-34分子篩である。
【0086】
選択的に、前記流動床再生器の第1の活性化領域のプロセス動作条件は、ガスの見掛け線速度が0.1~0.5m/sで、温度が650~750℃で、圧力が100~500kPaで、ベッド密度が400~700kg/m3である。
【0087】
選択的に、前記流動床再生器の第2の活性化領域のプロセス動作条件は、ガスの見掛け線速度が0.1~0.5m/sで、温度が550~700℃で、圧力が100~500kPaで、ベッド密度が400~700kg/m3である。
【0088】
本出願における流動床再生器の第1の活性化領域は、n個の第1の活性化領域のサブ領域を含み、触媒は、第1の活性化領域のバッフル板における触媒流通孔を介して、上流のサブ領域から下流のサブ領域のみに流れることができる。その有益な効果は次の2つを含む。(1)第1の活性化領域における触媒の平均滞留時間は、プロセス動作条件を変更することによって、制御できるため、触媒におけるコークス含有量を制御できる。(2)n個の第1の活性化領域のサブ領域構造を採用して、触媒の滞留時間分布を制御し、その滞留時間の分布は、直列されたn個の完全混合タンク型反応器(RCSTR)に近似しているため、コークス含有量分布が狭い再生触媒を得ることができる。
【0089】
本出願において、触媒は粉体であるため、触媒のコークス含有量は各触媒粒子のコークス含有量の平均値を指すが、実際的に各触媒粒子におけるコークス含有量は異なる。本出願において、再生触媒におけるコークス含有量分布の四分位偏差を、1.0wt%未満の範囲に制御することによって、触媒全体的のコークス含有量分布を狭くし、それにより、触媒の活性および軽オレフィン選択性を向上させることができる。
【0090】
本出願の流動床再生器において、触媒の活性化プロセスは2つのステップを含む。(1)活性化ガスとして酸素を使用し、使用済み触媒における不活性コークスと活性コークスを、分子量の小さい含酸素炭化水素種と無酸素炭化水素種に転化させ、うち、含酸素炭化水素種が触媒活性を有しない場合、このステップは、第1の活性化領域で完了する。(2)活性化ガスとして水蒸気を使用し、コークスに含まれている触媒活性のない含酸素炭化水素種を、触媒活性を有する無酸素炭化水素種に転化させ、これと同時に、コークスの分子量がさらに小さくなり、即ち、触媒におけるコークスがポリメチルベンゼンとポリメチルナフタレンをメインとする種に転化され、このステップは第2の活性化領域で完了する。第1のステップで使用する活性化ガスは、酸化性が強くて、不活性コークスを分解することができるが、一部の触媒活性のない含酸素炭化水素種の生成を招く。第2のステップでは、非酸化性の活性化ガスを用いて、さらに、触媒活性のない含酸素炭化水素種を、触媒活性を有する無酸素炭化水素種に転化させる。2段階の活性化を経て、再生触媒におけるコークス種は、ポリメチルベンゼンとポリメチルナフタレンをメインとし、エチレン選択性が高い。
【0091】
本出願の流動床再生器において、触媒の再生プロセスは発熱反応と吸熱反応の結合であり、第1の活性化領域の原料と触媒のコークスは、第1の活性化領域で反応し、COとH2などの物質を生成し、熱を放出してベッドの温度を上昇させる。第2の活性化領域の原料と触媒のコークスは、第2の活性化領域で反応し、COとH2等の物質を生成し、この反応は吸熱反応である。反応に必要な熱は、第1の活性化領域における発熱反応によって供給される。
【0092】
好ましい実施形態として、第1の活性化領域の原料を第1の活性化領域の分配器から流動床再生器の第1の活性化領域に通入し、使用済み触媒を使用済み剤輸送管から再生器の第1の固気分離装置に通入して、固気分離した後、ガスは、再生器の第1の固気分離装置のガス出口から流動床再生器固気分離領域に排出され、使用済み触媒は、再生器の第1の固気分離装置の触媒出口から流動床再生器の第1の活性化領域に排出され、第1の活性化領域の原料と使用済み触媒は、第1の活性化領域で接触して、化学反応させ、使用済み触媒における不活性コークスと活性コークスは、分子量が小さい含酸素炭化水素種と無酸素炭化水素種に転化し、第1の活性化領域の生成ガスを生成する。第1の活性化領域における触媒は、バッフル板の触媒流通孔を経由して第1~nの第1の活性化領域のサブ領域を順番に通過し、第1の活性化領域の触媒輸送管を経由して流動床再生器の第2の活性化領域に入る。第1の活性化領域の生成ガスは、第1の活性化領域のガス輸送管を経由して流動床再生器固気分離領域に入る。第2の活性化領域の原料を第2の活性化領域の分配器から流動床再生器の第2の活性化領域に通入し、第1の活性化領域からの触媒と接触させ、化学反応させ、コークスに含まれる触媒活性のない含酸素炭化水素種は、触媒活性を有する無酸素炭化水素種に転化される。これと同時に、コークスの分子量がさらに小さくなり、即ち、触媒におけるコークスは、ポリメチルベンゼンとポリメチルナフタレンをメインとする種に転化され、第2の活性化領域を通過した後、触媒は再生触媒と称される。第2の活性化領域において、第2の活性化領域の原料は第2の活性化領域の生成ガスに転化され後、流動床再生器固気分離領域に入る。第1の活性化領域の生成ガスと第2の活性化領域の生成ガスは、固気分離領域で混合された後再生器の生成ガスを形成する。再生器の生成ガスは触媒を持って再生器の第2の固気分離装置に入って、固気分離された後、再生器の生成ガスと触媒に分離される。再生器の生成ガスは、再生器のガス収集室に入り、その後、再生器の生成ガス輸送管をさらに経由して下流の再生器の生成ガスのリサイクルシステムに入り、触媒は流動床再生器の第2の活性化領域に戻る。第2の活性化領域の再生触媒は吸熱し、降温した後、再生傾斜管、再生滑動弁および再生剤輸送管を経由して流動床反応器に入る。
【0093】
本出願では、再生器の生成ガスの主要成分はCO、H2および少量のCO2である。うち、はCOとH2の含有量は90 wt%より大きく、CO2の含有量は10 wt%以下(無水ベース、転化していないH2Oを含まない)である。簡単な分離を経過した後、COとH2の混合ガスが得られる。COとH2の混合ガスは、メタノールを調製する原料をリサイクルしてもよい。したがって、本出願の技術案において、メタノールによって生成される焦コークスは、本プロセスの中間生成物であり、全プロセスにおけるC原子の利用率は99%以上である。
【0094】
本出願の第4の側面により、含酸素化合物から軽オレフィンを調製するための方法が提供される。
【0095】
含酸素化合物から軽オレフィンを調製するための方法は、上述の装置を使用する。
【0096】
選択的に、前記方法は、
含酸素化合物を含む原料と再生触媒を反応領域に通入して反応させ、軽オレフィンと使用済み触媒を含む流れAを得るステップ、
前記流れAを固気分離した後、前記使用済み触媒を使用済み剤領域に通入するステップ、
使用済み剤領域の使用済み触媒の一部が流動床反応領域に戻り、使用済み触媒の他の部分が流動床再生器に入るステップを含む。
【0097】
具体的に、使用済み剤領域の使用済み触媒の一部は、使用済み剤循環管を介して流動床反応領域に戻り、使用済み触媒の他の部分は、使用済み傾斜管、流動床反応器ストリッパーおよび使用済み剤輸送管を介して流動床再生器に入る。
【0098】
選択的に、前記使用済み触媒が流動床再生器を経て再生され得られる再生触媒は、再生剤輸送管を介して流動床反応器の反応領域に入る。
【0099】
選択的に、再生触媒は、流動床反応器の反応領域に入ると共に、含酸素化合物を含む原料が流動床反応器の分配器を介して流動床反応器の反応領域に入って、反応し、軽オレフィンと使用済み触媒を含有する流れAを得る。
【0100】
選択的に、軽オレフィンと使用済み触媒を含有する流れAは、輸送管を経て流動床反応器の第1の固気分離装置に入って、分離され軽オレフィンを含むガスおよび使用済み触媒を得る。
【0101】
選択的に、前記軽オレフィンを含有するガスは流動床反応器のガス収集室に入る。
【0102】
選択的に、前記使用済み触媒は、ストリッピングされた後に流動床再生器に入る。
【0103】
選択的に、前記使用済み剤領域の流動化ガスは、窒素ガス、水蒸気から選ばれる少なくとも1種である。
【0104】
選択的に、前記含酸素化合物の原料は、メタノール、ジメチルエーテルから選ばれる少なくとも1種である。
【0105】
選択的に、前記再生触媒の質量流量と前記含酸素化合物の供給量の比率(剤とアルコールの比率)は、0.3~1.0トンの触媒/トンのメタノールである。
【0106】
前記剤とアルコールの比率は、0.5~1.0トンの触媒/トンのメタノールであることが好ましい。
【0107】
選択的に、前記流動床反応器の反応領域のプロセス動作条件は、ガスの見掛け線速度が0.5~7.0m/sで、反応温度が350~550℃で、反応圧力が100~500kPaで、ベッド密度が100~500kg/m3である。
【0108】
選択的に、前記流動床反応器の使用済み剤領域のプロセス動作条件は、ガスの見掛け線速度が0.1~1.0m/sで、反応温度が350~550℃で、反応圧力が100~500kPaで、ベッド密度が200~800kg/m3である。
【0109】
選択的に、含酸素化合物を含有する原料と再生触媒は、流動床反応器の反応領域で反応した後、軽オレフィンと使用済み触媒を含む流れAを得、輸送管を経て流動床反応器の第1の固気分離装置に入って、固気分離された後、気相流れBと固相流れCに分離される。固相流れCは使用済み剤領域に入り、使用済み剤領域の流動化ガスと固相流れCは流れDを形成する。流れDは流動床反応器の第2の固気分離装置に入って、固気分離された後、気相流れEと固相流れFに分離され、固相流れFは使用済み剤領域に戻る。使用済み剤領域の使用済み触媒は、ストリッピングされた後、流動床再生器に入り、流動床再生器を経て再生された後再生触媒は、再生剤輸送管を経て流動床反応器の反応領域に入る。
【0110】
選択的に、使用済み剤領域の使用済み触媒の一部は、使用済み剤循環管を経て流動床反応器の反応領域の底部に戻る。
【0111】
選択的に、前記固相流れCと固相流れFは使用済み触媒を含有する。
【0112】
選択的に、気相流れBと気相流れEは、流動床反応器のガス収集室で混合され生成ガスを形成し、
前記気相流れBは軽オレフィンを含有する。
【0113】
本出願において、反応領域は高速流動化領域に属する。反応領域のガスの見掛け線速度は7.0m/sに達することができ、高いメタノール流量を有し、装置の単位体積のメタノール処理量が大きく、メタノールの重量空間速度(WHSV)は20h-1に達することができる。使用済み剤領域は気泡流動化領域に属し、使用済み剤領域は吸熱し、使用済み触媒の温度を低下し、低温の使用済み触媒を反応領域に輸送することによって、反応領域のベッド密度を高め、反応領域のベッド温度を制御する。ガスの見掛け線速度が0.5~7.0m/sの場合、対応するベッド密度は500~100kg/m3である。
【0114】
本出願において、流動床反応器の第1の固気分離装置は輸送管の構造に直接に接続され、流れA中の軽オレフィンを含むガスと使用済み触媒との高速分離を実現することによって、軽オレフィンが使用済み触媒の作用下でさらに反応し、より大きい分子量を持つ炭化水素の副産物を生成することを防止する。
【0115】
好ましい実施形態として、含酸素化合物を含有する原料は、流動床反応器の分配器から流動床反応器の反応領域に通入し、再生剤輸送管からの再生触媒と接触し、軽オレフィンと使用済み触媒を含有する流れAを生成する。流れAは、輸送管を経て流動床反応器の第1の固気分離装置に入って、固気分離された後、気相流れBと固相流れCに分離される。気相流れBは軽オレフィンを含有するガスであり、固相流れCは使用済み触媒である。気相流れBは流動床反応器のガス収集室に入り、固相流れCは使用済み剤領域に入る。使用済み剤領域の流動化ガスは、使用済み剤領域のガス分配器から使用済み剤領域に通入し、使用済み触媒と接触する。使用済み剤領域の流動化ガスとそれによって運ばれる使用済み触媒は流れDを形成し、流れDは流動床反応器の第2の固気分離装置に入って、固気分離された後、気相流れEと固相流れFに分離される。気相流れEは使用済み剤領域の流動化ガスであり、固相流れFは使用済み触媒である。気相流れEは流動床反応器のガス収集室に入り、固相流れFは使用済み剤領域に戻る。気相流れBと気相流れEは、流動床反応器のガス収集室で混合され生成ガスを形成する。生成ガスは、生成ガスの輸送管を経由して下流工程に入る。使用済み剤領域の使用済み触媒の一部は、使用済み剤循環管と使用済み剤循環滑動弁を経て、流動床反応器の反応領域の底部に戻る。使用済み触媒の他の部分は、使用済み傾斜管を経由して流動床反応器のストリッパーに入って、ストリッピングされた後、使用済み触媒は使用済み滑動弁と使用済み剤輸送管をさらに経由して流動床再生器に入る。流動床再生器を経由して再生され得られる再生触媒は、再生傾斜管、再生滑動弁および再生剤の搬送管を介して流動床反応器に入る。
【0116】
本出願において、「剤とアルコールの比率」は、再生触媒の質量流量と前記含酸素化合物の供給量の比率である。本出願で剤とアルコールの比率で表現する場合、含酸素化合物におけるジメチルエーテルの質量は、C元素の質量に基づいてメタノール質量に同等に変換して計算する。
【0117】
本出願の前記の方法において、生成ガスは、38~55wt%のエチレン、37~54wt%のプロピレン、6wt%以下のC4-C6炭化水素および3wt%以下のその他の成分で構成される。その他の組分はメタン、エタン、プロパン、水素、COおよびCO2などであり、エチレンとプロピレンの、生成ガスにおける総選択性は92~97wt%である。
【0118】
本出願において、生産単位消費を表現するとき、含酸素化合物におけるジメチルエーテルの質量は、C元素の質量に基づいてメタノールの質量に同等に変換して計算し、生産単位消費の単位はトンのメタノール/トンの軽オレフィンである。
【0119】
本出願の前記方法において、生産単位消費は2.4~2.5トンのメタノール/トンの軽オレフィンである。
【発明の効果】
【0120】
本出願により発生できる有益効果は、以下を含む。
(1)再生触媒におけるコークス種は、ポリメチルベンゼンとポリメチルナフタレンをメインとし、エチレン選択性が高い。
(2)第1の活性化領域と第2の活性化領域における、触媒の平均滞留時間と滞留時間分布を制御することによって、触媒におけるコークス含有量とコークス含有量分布を制御する。
(3)多孔板を使用して、触媒のベッドの内部での逆混合を抑制することによって、触媒におけるコークス分布の均一性を向上させる。
(4)使用済み触媒を活性化すると共に、使用済み触媒におけるコークスをCOとH2に転化し、COとH2はメタノールを調製する原料としてリサイクルでき、すなわち、メタノールにより生成されるコークスは、本プロセスの中間生成物であり、プロセス全体において、C原子の利用率は99%以上である。
【図面の簡単な説明】
【0121】
【
図1】本出願の一実施形態に係る含酸素化合物で軽オレフィン(DMTO)を調製する装置を示す図である。
【
図2】
図1の第1の活性化領域の横断面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0122】
以下、本出願は、実施形態を参照して詳述するが、これらの実施形態に限定されるものではない。
【0123】
特に説明がない限り、本出願の実施例における原料と触媒は、いずれも商業ルートを通じて購入する。
【0124】
本出願の一実施形態として、
図1および
図2に示すように、含酸素化合物で軽オレフィン(DMTO)を調製する装置が示されている。該装置は、流動床反応器1、流動床再生器2を含み、それぞれ説明すると以下のとおりである。
【0125】
図1に示すように、流動床反応器1は、流動床反応器ハウジング1-1、流動床反応器の分配器1-2、輸送管1-3、流動床反応器の第1の固気分離装置1-4、流動床反応器のガス収集室1-5、使用済み剤領域のガス分配器1-6、流動床反応器の熱除去器1-7、流動床反応器の第2の固気分離装置1-8、生成ガス輸送管1-9、使用済み剤循環管1-10、使用済み剤の循環滑動弁1-11、使用済み傾斜管1-12、流動床反応器のストリッパー1-13、使用済み滑動弁1-14および使用済み剤輸送管1-15を含む。流動床反応器1は、下部が反応領域で、中部が使用済み剤領域で、上部が固気分離領域である。流動床反応器の分配器1-2は流動床反応器1の反応領域の底部に位置し、輸送管1-3は流動床反応器1の中部と上部の中心領域に位置する。輸送管1-3の底端は反応領域の頂端に接続され、輸送管1-3の上部は流動床反応器の第1の固気分離装置1-4の入口に接続される。流動床反応器の第1の固気分離装置1-4は流動床反応器1の固気分離領域に位置し、流動床反応器の第1の固気分離装置1-4のガス出口は流動床反応器のガス収集室1-5に接続される。流動床反応器の第1の固気分離装置1-4の触媒出口は使用済み剤領域に位置し、使用済み剤領域のガス分配器1-6は使用済み剤領域の底部に位置する。流動床反応器の熱除去器1-7は使用済み剤領域に位置し、流動床反応器の第2の固気分離装置1-8は流動床反応器1の固気分離領域に位置する。流動床反応器の第2の固気分離装置1-8の入口は、流動床反応器1の固気分離領域に位置し、流動床反応器の第2の固気分離装置1-8のガス出口は流動床反応器のガス収集室1-5に接続される。流動床反応器の第2の固気分離装置1-8の触媒出口は使用済み剤領域に位置し、流動床反応器のガス収集室1-5は流動床反応器1の頂部に位置する。生成ガス輸送管1-9は流動床反応器のガス収集室1-5の頂部に接続され、使用済み剤循環管1-10の入口は使用済み剤領域に接続される。使用済み剤循環管1-10の出口は流動床反応器1の反応領域の底部に接続され、使用済み剤循環管1-10には使用済み剤の循環滑動弁1-11が設置される。使用済み傾斜管1-12の入口は使用済み剤領域に接続され、使用済み傾斜管1-12の出口は流動床反応器のストリッパー1-13の上部に接続される。流動床反応器のストリッパー1-13は流動床反応器ハウジング1-1の外に設置され、使用済み滑動弁1-14の入口は、パイプを経て流動床反応器のストリッパー1-13の底部に接続される。使用済み滑動弁1-14の出口は、パイプを経て使用済み剤輸送管1-15の入口に接続され、使用済み剤輸送管1-15の出口は流動床再生器2に接続される。流動床反応器の第1の固気分離装置1-4は、複数組の固気サイクロン分離器を使用し、各組の固気サイクロン分離器は、1つの第1級の固気サイクロン分離器と1つの第2級の固気サイクロン分離器を含む。流動床反応器の第2の固気分離装置1-8は、複数組の固気サイクロン分離器を使用し、各組の固気サイクロン分離器は、1つの第1級の固気サイクロン分離器と1つの第2級の固気サイクロン分離器を含む。
【0126】
図1に示すように、流動床再生器2は、再生器ハウジング2-1、再生器の第1の固気分離装置2-2、第1の活性化領域の分配器2-3、バッフル板2-4、第1の活性化領域の触媒輸送管2-5、第1の活性化領域のガス輸送管2-6、第2の活性化領域の分配器2-7、多孔板2-8、流動床再生器の熱除去器2-9、再生器の第2の固気分離装置2-10、再生器のガス収集室2-11、再生器の生成ガス輸送管2-12、再生傾斜管2-13、再生滑動弁2-14および再生剤輸送管2-15を含む。流動床再生器2は、下から上への、第2の活性化領域、第1の活性化領域および固気分離領域に分けられる。第1の活性化領域は第2の活性化領域の上方の環状領域に位置し、第1の活性化領域の内部にはn個のバッフル板2-4が設置されており、バッフル板2-4は第1の活性化領域をn個の第1の活性化領域のサブ領域に分割する。各々の第1の活性化領域のサブ領域の底部には、いずれも第1の活性化領域の分配器2-3が個別に設置される。第1の活性化領域の断面は環状であり、第1の活性化領域のサブ領域の断面は扇環形であり、第1~nの第1の活性化領域のサブ領域は同心順番に配列される。バッフル板2-4には触媒流通孔が含まれるが、第1の第1の活性化領域のサブ領域と第nの第1の活性化領域のサブ領域の間のバッフル板には、触媒流通孔が含まれない。再生器の第1の固気分離装置2-2は流動床再生器2の固気分離領域に位置し、再生器の第1の固気分離装置2-2の入口は、使用済み剤輸送管1-15の出口に接続される。再生器の第1の固気分離装置2-2のガス出口は固気分離領域に位置し、再生器の第1の固気分離装置2-2の触媒出口は、第1の第1の活性化領域のサブ領域に位置する。第1の活性化領域の触媒輸送管2-5の入口は第nの第1の活性化領域のサブ領域に接続され、第1の活性化領域の触媒輸送管2-5の出口は、第2の活性化領域に位置する。各々の第1の活性化領域のサブ領域の頂部には、いずれも第1の活性化領域のガス輸送管2-6が個別に設置されており、第1の活性化領域のガス輸送管2-6の出口は固気分離領域に位置する。第2の活性化領域の分配器2-7は流動床再生器2の第2の活性化領域の底部に位置し、第2の活性化領域にはm個の多孔板2-8が設置される。流動床再生器の熱除去器2-9は第2の活性化領域に位置する。再生器の第2の固気分離装置2-10と再生器のガス収集室2-11は、流動床再生器2の固気分離領域に位置する。再生器の第2の固気分離装置2-10の入口は流動床再生器2の固気分離領域に位置し、再生器の第2の固気分離装置2-10のガス出口は再生器のガス収集室2-11に接続される。再生器の第2の固気分離装置2-10の触媒出口は第2の活性化領域に位置し、再生器の生成ガス輸送管2-12は、再生器のガス収集室2-11の頂部に接続される。再生傾斜管2-13の入口は第2の活性化領域の下部に接続され、再生滑動弁2-14の入口は再生傾斜管2-13の出口に接続される。再生滑動弁2-14の出口は、パイプを経て再生剤輸送管2-15の入口に接続され、再生剤輸送管2-15の出口は、流動床反応器1の反応領域に接続される。再生器の第2の固気分離装置2-10は複数組の固気サイクロン分離器を使用し、各組の固気サイクロン分離器は、1つの第1級の固気サイクロン分離器と1つの第2級の固気サイクロン分離器を含む。
【0127】
本出願の1つの具体的な実施形態において、本出願に記載の含酸素化合物から軽オレフィンを調製するための方法は、以下のステップを含む。
【0128】
含酸素化合物を含む原料を流動床反応器の分配器1-2から流動床反応器1の反応領域に通入し、再生剤輸送管2-15からの再生触媒と接触し、軽オレフィンと使用済み触媒を含有する流れAを生成する。流れAは、輸送管1-3を経て流動床反応器の第1の固気分離装置1-4に入って、固気分離された後、気相流れBと固相流れCに分離され、気相流れBは軽オレフィンを含有するガスであり、固相流れCは使用済み触媒である。気相流れBは流動床反応器のガス収集室1-5に入り、固相流れCは使用済み剤領域に入る。使用済み剤領域の流動化ガスは、使用済み剤領域のガス分配器1-6から使用済み剤領域に通入し、使用済み触媒と接触し、使用済み剤領域の流動化ガスとそれにより運ばれる使用済み触媒は流れDを形成する。流れDは、流動床反応器の第2の固気分離装置1-8に入って、固気分離された後、気相流れEと固相流れFに分離され、気相流れEは使用済み剤領域の流動化ガスであり、固相流れFは使用済み触媒である。気相流れEは流動床反応器のガス収集室1-5に入り、固相流れFは使用済み剤領域に戻る。気相流れBと気相流れEは、流動床反応器のガス収集室1-5で混合されて生成ガスを形成し、生成ガスは、生成ガスの輸送管1-9を経由して下流工程に入る。使用済み剤領域の使用済み触媒の一部は、使用済み剤循環管1-10と使用済み剤の循環滑動弁1-11を経由して、流動床反応器1の反応領域の底部に戻り、使用済み触媒の他の部分は、使用済み傾斜管1-12を経由して流動床反応器のストリッパー1-13に入って、ストリッピングされた後、使用済み触媒は、さらに使用済み滑動弁1-14と使用済み剤輸送管1-15を経由して流動床再生器2に入る。
【0129】
第1の活性化領域の原料を第1の活性化領域の分配器2-3から流動床再生器2の第1の活性化領域に通入し、使用済み触媒は使用済み剤輸送管1-15から再生器の第1の固気分離装置2-2に通入し、固気分離された後、ガスは、再生器の第1の固気分離装置2-2のガス出口から流動床再生器2の固気分離領域に排出される。使用済み触媒は、再生器の第1の固気分離装置2-2の触媒出口から流動床再生器2の第1の活性化領域に排出され、第1の活性化領域の原料と使用済み触媒は、第1の活性化領域で接触し、化学反応させ、使用済み触媒における不活性コークスと活性コークスは、分子量が小さい含酸素炭化水素種と無酸素炭化水素種に転化し、第1の活性化領域の生成ガスを生成する。第1の活性化領域における触媒は、バッフル板2-4の触媒流通孔を介して第1~nの第1の活性化領域のサブ領域を順番に経過し、第1の活性化領域の触媒輸送管2-5を経由して流動床再生器2の第2の活性化領域に入る。第1の活性化領域の生成ガスは、第1の活性化領域のガス輸送管2-6を経由して流動床再生器2の固気分離領域に入る。第2の活性化領域の原料は、第2の活性化領域の分配器2-7から流動床再生器2の第2の活性化領域に入って、第1の活性化領域の触媒と接触し、化学反応させ、コークスに含まれている触媒活性のない含酸素炭化水素種は、触媒活性を有する無酸素炭化水素種に転化される。これと同時に、コークスの分子量がさらに小さくなり、即ち、触媒におけるコークスはポリメチルベンゼンとポリメチルナフタレンをメインとする種に転化され、第2の活性化領域を経過した後、触媒は再生触媒と称される。第2の活性化領域において、第2の活性化領域の原料は第2の活性化領域の生成ガスに転化し、その後、流動床再生器2の固気分離領域に入る。第1の活性化領域の生成ガスと第2の活性化領域の生成ガスは、固気分離領域で混合され再生器の生成ガスを形成し、再生器の生成ガスは触媒を持って再生器の第2の固気分離装置2-10に入って、固気分離された後、再生器の生成ガスと触媒に分離される。再生器の生成ガスは再生器のガス収集室2-11に入った後、再生器の生成ガスの輸送管2-12をさらに経由して下流の再生器の生成ガスのリサイクルシステムに入り、触媒は流動床再生器2の第2の活性化領域に戻る。第2の活性化領域の再生触媒は吸熱し、降温された後、再生傾斜管2-13、再生滑動弁2-14および再生剤輸送管2-15を経由して流動床反応器1に入る。
【0130】
本出願をよりよく説明し、本出願の技術案を容易に理解するために、本出願の典型的であるが非限定的な実施形態は、以下の通りである。
【実施例1】
【0131】
本実施形態では、
図1および
図2に示される装置を使用する。再生器の第1の固気分離装置2-2は固気サイクロン分離器を使用する。流動床再生器2の第1の活性化領域の内部には、2つのバッフル板2-4が設置され、即ち、n=2である。バッフル板2-4は第1の活性化領域を2つの第1の活性化領域のサブ領域に分割する。流動床再生器2の第2の活性化領域の内部には、10個の多孔板2-8が設置され、即ち、m=10であり、多孔板2-8の開孔率は50%である。
【0132】
本実施形態において、含酸素化合物はメタノールである。使用済み剤領域の流動化ガスは窒素ガスである。第1の活性化領域の原料は10wt%の酸素と90wt%の水蒸気である。第2の活性化領域の原料は水蒸気である。触媒における活性成分はSAPO-34分子篩である。再生触媒におけるコークス含有量は約5wt%であり、コークス種にはポリメチルベンゼンとポリメチルナフタレンとが含まれる。ポリメチルベンゼンとポリメチルナフタレンの質量の、コークス総質量における含有量は約72wt%であり、分子量>184であるコークス種の質量の、コークス総質量における含有量は約19wt%である。再生触媒におけるコークス含有量分布の四分位偏差は約0.9wt%である。使用済み触媒におけるコークス含有量は約9wt%である。流動床反応器1の反応領域は高速流動化領域に属し、流動床反応器1の反応領域のプロセス動作条件は、ガスの見掛け線速度が約7.0m/sで、反応温度が約550℃で、反応圧力が約100kPaで、ベッド密度が約100kg/m3である。流動床反応器1の使用済み剤領域のプロセス動作条件は、ガスの見掛け線速度が約1.0m/sで、反応温度が約550℃で、反応圧力が約100kPaで、ベッド密度が約200kg/m3である。流動床再生器2の第1の活性化領域のプロセス動作条件は、ガスの見掛け線速度が0.5m/sで、温度が750℃で、圧力が100kPaで、ベッド密度が400kg/m3である。流動床再生器2の第2の活性化領域のプロセス動作条件は、ガスの見掛け線速度が0.5m/sで、温度が700℃で、圧力が100kPaで、ベッド密度が400kg/m3である。
【0133】
本実施形態において、剤とアルコールの比率は約0.3トンの触媒/トンのメタノールである。生成ガスは、55wt%のエチレン、37wt%のプロピレン、5wt%のC4-C6炭化水素および3wt%のその他の成分で構成され、その他の成分はメタン、エタン、プロパン、水素、COとCO2などである。生産単位消費は、2.50トンのメタノール/トンの軽オレフィンである。プロセス全体でC原子の利用率は99.5%である。
【実施例2】
【0134】
本実施形態では、
図1および
図2に示される装置を使用する。再生器の第1の固気分離装置2-2は固気サイクロン分離器を使用する。流動床再生器2の第1の活性化領域の内部には10個のバッフル板2-4が設置され、即ち、n=10である。バッフル板2-4は、第1の活性化領域を10個の第1の活性化領域のサブ領域に分割され、流動床再生器2の第2の活性化領域の内部には1個の多孔板2-8が設置され、即ち、m=1であり、多孔板2-8の開孔率は5%である。
【0135】
本実施形態において、含酸素化合物は82wt%のメタノールと18wt%のジメチルエーテルである。使用済み剤領域の流動化ガスは水蒸気である。第1の活性化領域の原料は20wt%の空気と80wt%の水蒸気である。第2の活性化領域の原料は水蒸気である。触媒における活性成分はSAPO-34分子篩である。再生触媒におけるコークス含有量は約7wt%で、コークス種にはポリメチルベンゼンとポリメチルナフタレンが含まれている。ポリメチルベンゼンとポリメチルナフタレンの質量の、コークス総質量における含有量は約66wt%であり、分子量>184であるコークス種の質量の、コークス総質量における含有量は約26wt%である。再生触媒におけるコークス含有量分布の四分位偏差は約0.6wt%である。使用済み触媒におけるコークス含有量は約11wt%である。流動床反応器1の反応領域のプロセス動作条件は、ガスの見掛け線速度が約0.5m/sで、反応温度が約350℃で、反応圧力が約500kPaで、ベッド密度が約500kg/m3である。流動床反応器1の使用済み剤領域は気泡流動化領域に属する。流動床反応器1の使用済み剤領域のプロセス動作条件は、ガスの見掛け線速度が約0.1m/sで、反応温度が約350℃で、反応圧力が約500kPaで、ベッド密度が約800kg/m3である。流動床再生器2の第1の活性化領域のプロセス動作条件は、ガスの見掛け線速度が0.3m/sで、温度が700℃で、圧力が500kPaで、ベッド密度が510kg/m3である。流動床再生器2の第2の活性化領域のプロセス動作条件は、ガスの見掛け線速度が0.3m/sで、温度が550℃で、圧力が500kPaで、ベッド密度が510kg/m3である。
【0136】
本実施形態において、剤とアルコールの比率は約0.5トンの触媒/トンのメタノールである。生成ガスは、38wt%のエチレン、54wt%のプロピレン、6wt%のC4-C6炭化水素および2wt%のその他の成分で構成され、その他の成分はメタン、エタン、プロパン、水素、COおよびCO2などである。生産単位消費は2.50トンのメタノール/トン軽オレフィンである。プロセス全体でC原子の利用率は99.3%である。
【実施例3】
【0137】
本実施形態では、
図1および
図2に示される装置を使用する。再生器の第1の固気分離装置2-2は固気高速分離器を使用する。流動床再生器2の第1の活性化領域の内部には4個のバッフル板2-4が設置され、即ち、n=4である。バッフル板2-4は、第1の活性化領域を4個の第1の活性化領域のサブ領域に分割する。流動床再生器2の第2の活性化領域の内部には6個の多孔板2-8が設置され、即ち、m=6であり、多孔板2-8の開孔率は30%である。
【0138】
本実施形態において、含酸素化合物はジメチルエーテルである。使用済み剤領域の流動化ガスは5wt%の窒素ガスと95wt%の水蒸気である。第1の活性化領域の原料は1wt%の酸素と99wt%の水蒸気である。第2の活性化領域の原料は水蒸気である。触媒における活性成分はSAPO-34分子篩である。再生触媒におけるコークス含有量は約9wt%で、コークス種にはポリメチルベンゼンとポリメチルナフタレンが含まれている。ポリメチルベンゼンとポリメチルナフタレンの質量の、コークス総質量における含有量は約79wt%であり、分子量>184であるコークス種の質量の、コークス総質量における含有量は約13wt%である。再生触媒におけるコークス含有量分布の四分位偏差は約0.2wt%である。使用済み触媒におけるコークス含有量は約12wt%である。流動床反応器1の反応領域のプロセス動作条件は、ガスの見掛け線速度が約3.0m/sで、反応温度が約450℃で、反応圧力が約300kPaで、ベッド密度が約230kg/m3である。流動床反応器1の使用済み剤領域のプロセス動作条件は、ガスの見掛け線速度が約0.2m/sで、反応温度が約450℃で、反応圧力が約300kPaで、ベッド密度が約600kg/m3である。流動床再生器2の第1の活性化領域のプロセス動作条件は、ガスの見掛け線速度が0.2m/sで、温度が680℃で、圧力が300kPaで、ベッド密度が580kg/m3である。流動床再生器2の第2の活性化領域のプロセス動作条件は、ガスの見掛け線速度が0.2m/sで、温度が630℃で、圧力が300kPaで、ベッド密度が580kg/m3である。
【0139】
本実施形態において、剤とアルコールの比率は約0.8トンの触媒/トンのメタノールである。生成ガスは、45wt%のエチレン、51wt%のプロピレン、3wt%のC4-C6炭化水素および1wt%のその他の成分で構成され、その他の成分はメタン、エタン、プロパン、水素、COとCO2などである。生産単位消費は2.42トンのメタノール/トンの軽オレフィンである。プロセス全体でC原子の利用率は99.5%である。
【実施例4】
【0140】
本実施形態では、
図1および
図2に示される装置を使用する。再生器の第1の固気分離装置2-2は固気高速分離器を使用する。流動床再生器2の第1の活性化領域の内部には8個のバッフル板2-4が設置され、即ち、n=8である。バッフル板2-4は、第1の活性化領域を8個の第1の活性化領域のサブ領域に分割する。流動床再生器2の第2の活性化領域の内部には4個の多孔板2-8が設置され、即ち、m=4であり、多孔板2-8の開孔率は20%である。
【0141】
本実施形態において、含酸素化合物はメタノールである。使用済み剤領域の流動化ガスは水蒸気である。第1の活性化領域の原料は5wt%の空気と95wt%の水蒸気である。第2の活性化領域の原料は水蒸気である。触媒における活性成分はSAPO-34分子篩である。再生触媒におけるコークス含有量は約11wt%であり、コークス種にはポリメチルベンゼンとポリメチルナフタレンが含まれている。ポリメチルベンゼンとポリメチルナフタレンの質量の、コークス総質量における含有量は約88wt%であり、分子量>184であるコークス種の質量の、コークス総質量における含有量は約7wt%である。再生触媒におけるコークス含有量分布の四分位偏差は約0.1wt%である。使用済み触媒におけるコークス含有量は約13wt%である。流動床反応器1の反応領域のプロセス動作条件は、ガスの見掛け線速度が約4.0m/sで、反応温度が約500℃で、反応圧力が約200kPaで、ベッド密度が約160kg/m3である。流動床反応器1の使用済み剤領域のプロセス動作条件は、ガスの見掛け線速度が約0.5m/sで、反応温度が約500℃で、反応圧力が約200kPaで、ベッド密度が約300kg/m3である。流動床再生器2の第1の活性化領域のプロセス動作条件は、ガスの見掛け線速度が0.1m/s、温度が650℃で、圧力が200kPaで、ベッド密度が700kg/m3である。流動床再生器2の第2の活性化領域のプロセス動作条件は、ガスの見掛け線速度が0.1m/sで、温度が600℃で、圧力が200kPaで、ベッド密度が700kg/m3である。
【0142】
本実施形態において、剤とアルコールの比率は約1.0トンの触媒/トンのメタノールである。生成ガスは、51wt%のエチレン、46wt%のプロピレン、2wt%のC4-C6炭化水素および1wt%のその他の成分で構成され、その他の成分はメタン、エタン、プロパン、水素、COとCO2などである。生産単位消費は2.40トンのメタノール/トンの軽オレフィンである。プロセス全体でC原子の利用率は99.6%である。
【0143】
上記の説明は、本出願の一部の実施例のみであり、いかなる形式でも本出願を制限するものではない。本出願では、より好ましい実施例を上記のように開示しているが、本出願を限定するものではない。当分野に精通している技術者が、本出願の技術案から逸脱しない範囲内で、上記に開示された技術内容を利用して行われた様々な変動や修飾は、いずれも等価実施例と同等であり、いずれも技術案の範囲内に属する。
【符号の説明】
【0144】
1:流動床反応器
1-1:流動床反応器ハウジング
1-2:流動床反応器の分配器
1-3:輸送管
1-4:流動床反応器の第1の固気分離装置
1-5:流動床反応器のガス収集室
1-6:使用済み剤領域のガス分配器
1-7:流動床反応器の熱除去器
1-8:流動床反応器の第2の固気分離装置
1-9:生成ガスの輸送管
1-10:使用済み剤循環管
1-11:使用済み剤の循環滑動弁
1-12:使用済み傾斜管
1-13:流動床反応器のストリッパー
1-14:使用済み滑動弁
1-15:使用済み剤輸送管
2:流動床再生器
2-1:再生器ハウジング
2-2:再生器の第1の固気分離装置
2-3:第1の活性化領域の分配器
2-4:バッフル板
2-5:第1の活性化領域の触媒輸送管
2-6:第1の活性化領域のガス輸送管
2-7:第2の活性化領域の分配器
2-8:多孔板
2-9:流動床再生器の熱除去器
2-10:再生器の第2の固気分離装置
2-11:再生器のガス収集室
2-12:再生器の生成ガス輸送管
2-13:再生傾斜管
2-14:再生滑動弁
2-15:再生剤輸送管